抗酸化物質のセンサ、検出方法、および組成物
【解決手段】 本発明は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の抗酸化活性を直接検出する装置および方法であって、溶媒/水/界面活性剤混合液中の試料と液体流通自在な酸素ラジカル高感度センサを使用する装置および方法を含み、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として抗酸化物質センサの分野に関し、より具体的には、親水性および疎水性抗酸化物質の双方を直接測定する抗酸化物質センサおよび当該抗酸化物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2004年8月26日付け米国特許出願第10/648,047号明細書の優先権を主張するものであり、また当該米国特許出願第10/648,047号明細書の一部継続出願である。以下、本発明の範囲を限定することなく、抗酸化物質センサの技術および検出方法と関連させて本発明の背景を説明する。
【0003】
生体系には、ラジカルおよび他の酸化促進性種の影響に対抗するため、抗酸化系が構築されている。抗酸化物質とは、酸化基質と比べ低濃度で存在する場合、その酸化基質の酸化を有為に遅延または防止する任意の物質である。多数の有機的組織体により符号化されたスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなど、一部の酵素は抗酸化物質である。ビタミンCや植物フェノールなどの物質は、食事を通じて生体系へ導入される抗酸化物質である。これらの物質については、体内での生成または通常の食事での摂取により自然発生するレベルが十分でないと提唱されてきている。通常の食事は果物、野菜が不足し、且つ/または前記食事に含まれる前記果物および野菜は、現代の加工処理により抗酸化物質が激減してしまっているため、通常の食事では抗酸化物質を十分に摂取することができない。通常の食事を改善することも可能ではあるが、今日の生活様式および欧米での食事内容の貧困さを考慮すると、身体が必要とする抗酸化物質を送達するには、栄養補給が最も実用的な方法となる。通常の食事を補完するには、補助食品に含まれる成分の抗酸化能を決定する必要がある。
【0004】
フリーラジカル(遊離基)を物質がクエンチ(quench)する能力、またその物質の抗酸化能を実験室で決定する方法は、いくつか開発されており、これらのアッセイをそれぞれ以下に詳しく説明する。簡単に述べると、これらのアッセイにはTEAC、19F−NMR、TRAP、修正TRAP、FRAP、蛍光ベースの方法、リンモリブデン錯体検出、およびORACなどがあり、これらはすべて、物質がフリーラジカル種をクエンチする能力おける何らかの側面を測定するため提案されたものである。各方法については、それぞれ固有の長所・短所も含め、以下簡単に説明する。
【0005】
TEACアッセイ。このTrolox(登録商標)等量抗酸化能(Trolox Equivalent Antioxidant Capacity 、略称TEAC)アッセイは、ペルオキシダーゼおよび過酸化水素の存在下、またはヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、および無機ラジカルの存在下、2,2´−アジノビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(2,2´−azinobis−(3−ethylbenzothiazoline−6−sulphonic acid)、略称ABTS)をインキュベートした場合、わずかにより安定したABTS・+ラジカルカチオンが生じるという観測に基づいている。ABTSと、メトミオグロビンと、緩衝液と、過酸化水素とを混合した時点から、波長734nmでの赤外線の吸収を経時的に測定する。前記ABTS・+ラジカルカチオンの形成が始まるとともに、前記吸収度は増していく。過酸化水素を加える前に抗酸化剤を加えると、この抗酸化剤が過酸化水素により形成されたラジカルを除去し、ABTS・+ラジカルカチオンの形成を遅延させて、吸収度抑制の割合の増加を誘発する。このアッセイでの測定単位が前記TEACで、これは試験物質の1.0mmol/l溶液と等価の抗酸化能を伴うTrolox(登録商標)濃度(mmol/l)である。
【0006】
このTEACアッセイでは、可溶化できる1つまたは複数の水溶性薬剤について抗酸化能を検出する。また、このTEACアッセイは他成分の寄与も検出できるため、系の抗酸化能の測定に使用できる。このTEAC法は、薬理学および栄養学の研究にも使用することができる。試料中に存在するペルオキシダーゼは734nmでより高い吸収値を生じ、試験対象の化学物質も734nmで吸収を示す可能性があるため、前記TEAC法の用途には制限がある。H2O2が比較的低濃度であるため抗酸化物質試料と試薬とが直接相互作用することから、前記TEAC法では、試料である抗酸化物質がフリーラジカルを直接クエンチする特異性を保証することはできない。また、前記TEAC法は試料の希釈度にも左右され、試料濃度が低いほどTEAC値は上昇する。
【0007】
19F−NMRアッセイ。この別の方法では、19F−NMR(核磁気共鳴)を使ってフッ素化された芳香族アミンを検出する。芳香族アミンはヒドロキシルラジカルにすばやく反応し、水酸化された生成物の混合物を形成する。フッ素化した検出剤であるN−(4−ヒドロキシフェニル)−トリフルオロアセトアミドは、ヒドロキシルラジカルの攻撃により分解され、これによりCF3CONH2、トリフルオロアセトアミド(trifluoroacetamide、略称TFAM)を他の生成物とともに生じる。TFAMを使うと、物質が前記フッ素化した検出剤をヒドロキシルラジカルの攻撃から保護する能力を決定できる。試料が前記フッ素化した検出剤をフリーラジカルの攻撃から良好に保護する場合は、この保護が劣悪な場合と比べ、TFAMピーク下の面積が小さくなる。各試薬は混合し、NMRを使って測定を行う。前記ピークの面積を測定したら、フッ素を含む種の合計濃度に対して正規化を行う。この19F−NMR法は、低分子量生体分子の抗酸化特性を測定する単純な方法である。但し、前記特性の指標はヒドロキシルラジカルが関与する場合にしか現れず、また放射性フッ素を使用するこの方法に必要なNMR機器は、購入も運用も非常に高価である。
【0008】
TRAPアッセイ。有機酸化化合物の水分散は、総ラジカルトラップ抗酸化パラメータ(Total Radical−Trapping Antioxidant Parameter、略称TRAP)法で基礎的な役割を果たす水溶性アゾ化合物2,2´−アゾ−ビス−(2−アミジノプロパン塩酸塩(2,2´−azo−bis−(2−amidinopropane hydrochloride)、略称ABAP)を使った過酸化により、一定率Riで、容易に且つ良好な再現性で生じさせることができる。このTRAP法では、過酸化物化可能なプラズマにより酸素取り込みが抑制される時間長を酸素プローブで検出し、この検出値はTRAPと呼ばれる。Trolox(登録商標)は、この方法において、天然抗酸化物質枯渇後の第2誘導期中、抗酸化剤の対照試料として使用される。この第2誘導時間はRi値の計算に使用され、この値を用いて前記TRAP値が計算される。このTRAP値は、液体1リットルにつきトラップされたペルオキシルラジカルのモル数として報告される。
【0009】
残念なことに、TRAP法では前記時間長が唯一の測定値であり、これによりハイスループット(高速大量処理)の分析としての有用性が制限されている。最大酸素の取り込み防止に必要な時間は容易に精確な測定が行えず、一部の抗酸化剤1モルあたりの総ラジカルトラップ能は、その抗酸化物質の初期濃度に依存し、実際の抑制の度合いは測定できない。このTRAP法は、反応槽を1つのみ用いて一度に試験できる試料は1つだけであるため、長時間を要する。TRAP法は、必要な遅滞期を生じさせるために高レベルのプラズマ希釈を要するためTEAC法より限定され、前記遅滞期を達成するための工程により、迅速な連鎖反応に必要な脂質鎖長が短縮される。リノール酸を加えることにより鎖長の短縮を補うことが可能であることが提案されているが、更なる研究の結果、リノール酸を加えることで他の誤差源が導入されることが示された(Ghiselli A、Serafini M、Maiani G、Azzini E、Ferro−Luzzi A.、A fluorescence−based method for measuring total plasma antioxidant capability(総プラズマ抗酸化能を測定するための蛍光ベースの方法)、Free Radic.Biol.Med.1995 Jan、18: 29〜36)。このTRAP法アッセイシステムにおいて、ビタミンCなど一部の抗酸化物質の総ペルオキシルラジカルトラップ能は、初期濃度に依存していた。
【0010】
修正TRAPアッセイ。修正TRAPアッセイでは、プラズマタンパク質または試料希釈からの干渉が補正される(Ghiselliら、上記参照)。この修正TRAP法では、タンパク質β−フィコエリトリン(β−PE)の蛍光特性に対するABAPからのペルオキシルラジカル攻撃の効果と、β−PEを保護するプラズマの能力とを間接に測定する。この保護は、硫酸アンモニウムを伴うプラズマから前記タンパク質を沈殿させ、超遠心分離を行うことによりもたらされる。この修正TRAPアッセイは、石英蛍光光度計セルに試薬を混ぜ入れ、37℃で5分間維持することにより実施する。ABAPを加えたのち、495nmでの蛍光性を測定し、5分ごとに監視する。この修正TRAP法では、元の酸素プローブベースの方法と同様、ABAPの熱分解により、蛍光性が線形に減少する。保護が完全である期間は、任意の抗酸化化合物を加える際の遅滞期により示されるが、総プラズマ抗酸化能は直接この遅滞期の長さに関係すると仮定されるTRAPは、抗酸化化合物により生じる遅滞期と、既知濃度のTrolox(登録商標)溶液による遅滞期との比較により定量化する。
【0011】
前記修正TRAP法では、ABAPの引き起こす脂質過酸化鎖をプラズマが切断する能力を測定しないが、脂溶性抗酸化物質がTRAPに関与するか、またその関与度は完全に定義されていない。この修正TRAP法では、一度に4〜8個だけプラズマ試料を扱える。
【0012】
FRAPアッセイ。プラズマの鉄還元能力(Ferric Reducing Ability of Plasma、略称FRAP)アッセイはBenzieおよびStrainにより開発され、1996年に発表されたもので、COBAS FARA II分光光度分析装置で実施する。FRAP試薬および全溶液は、日ごとに新しく調製される。FRAP試薬は37℃に加熱される。ブランク測定値を取得したのち、抗酸化物質試料および水を加える。測定値の取得は、反応開始から0.5秒後に開始し、実験中15秒ごとに繰り返す。吸収度の差分は、前記ブランク測定値と最終測定値の間の変化を計算して決定し、次に並行して試験を行っている標準鉄(II)溶液の吸収度の変化と関連付ける。このFRAPアッセイは濃度に依存せず、原点を通る、期待される線形トレンドの結果からの逸脱を示さない。
【0013】
前記FRAPアッセイには、ある種の問題が知られている。すなわち、この系にはフリーラジカルが導入されない。このFRAPアッセイでは、酸化/還元反応を使い、試料が鉄(III)を鉄(II)に還元する能力を測定する。抗酸化物質は酸化/還元における還元体と同じ方法で電子を供与するため、FRAPアッセイは抗酸化能を評価する方法であると想定される。但し、このFRAPアッセイは、潜在的抗酸化物質の抗酸化能を直接測定するものではない。この系にはフリーラジカルが導入されないため、異種のラジカルそれぞれに対する抗酸化能を比較するすべはない。FRAPアッセイでは、鉄(II)およびSH基含有抗酸化物質との反応が可能なアスコルビン酸など、特定の抗酸化物質については抗酸化能を正確に測定できない。FRAPアッセイでは抑制作用を量的に考慮しないため、FRAPは総抗酸化能の重要な成分を取り残してしまう。前記FRAPアッセイおよびTEACアッセイが抗酸化能を正確に決定できないことは、これら2つのアッセイの結果を比較すると線形相関がないことから明白である。
【0014】
蛍光ベースの方法。蛍光ベースの方法は、β−フィコエリトリンの蛍光が、ペルオキシルラジカルおよびヒドロキシルラジカルの攻撃に起因する損傷後、経時的に変化するという発見に基づいている。β−フィコエリトリン法では、Perkin−Elmer MPF 44B蛍光分光光度計を使って蛍光を検出する。蛍光測定値は経時的に得られ、前記蛍光測定値を使って対照試料に対する「平坦な時間」の長さを観測することにより、抗酸化物質がもたらす保護性に関し数量が決定される。これら間接的な蛍光ベースの方法では、吸収度が同じレベルに留まり、前記「平坦な時間」が化学物質Bより化学物質Aについて長かった場合、化学物質Aは化合物Bよりラジカル攻撃からの保護性に優れており、従って、より強い抗酸化物質であるとされる。
【0015】
この蛍光法では、プラズマ中または他の生体液中で、少量の試料について、非血清抗酸化物質のレベルを迅速に定量化する方法が得られ、プラズマと、タンパク質と、DNAと、神経伝達物質および関連物質と、ビタミンおよびその誘導体と、他の化学物質との抗酸化能の分析に使用されてきている。但し、この間接的な蛍光法には、いくつかの問題がある。例えば、これらのアッセイでは、β−PEなどの抑制時間ではなく、蛍光損失の初期線形レートから計算された抑制作用の割合(パーセント)を測定する。この蛍光法では、脂溶性抗酸化物質の寄与を決定する方法も血清中におけるタンパク質の総抗酸化能への寄与を決定する方法も得られない。
【0016】
リンモリブデン錯体アッセイ(PCA)。リンモリブデン錯体アッセイの構成は、前記FRAP法に類似している。このPCA法は、モリブデン(VI)をモリブデン(V)に還元した後の吸収度の変化に基づいたものである。モリブデン(VI)をモリブデン(V)に還元するには、抗酸化物質などの還元種が存在しなければならない。試料は、適切な溶媒に溶解する直前に調製される。水溶性化合物の場合は水を使用する。有機溶媒に可溶性を示す物質の場合は、エタノールか、メタノールか、ジメチルスルホキシドまたはヘキサンを、文献に基づいた吸収性係数により決定される精確な濃度で使用する。粉砕・凍結後に種試料を溶解し、必要に応じ抽出を行う。次に、試料をモリブデン含有試薬溶液と混合する。一定の時間インキュベートおよび冷却したのち、ブランク状態に対し、紫外可視分光光度計などを使って吸収度を測定する。未知の試料の場合は、α−トコフェロールおよびアスコルビン酸の等量として、有機および水溶性の抗酸化能はそれぞれ表現される。抗酸化能は、リンモリブデン錯体のモル吸収係数の比較に基づいて定量化する。モル吸収係数が1に近づくほど、その抗酸化物質は優れている。このリンモリブデン法は、25〜37℃でのビタミンEなど、強い抗酸化物質の抗酸化能を決定する上で良好かつ簡便な方法である。この方法は、総抗酸化能を決定するため利用できる他の方法と比べて安価な代替方法である。
【0017】
従来のORACアッセイ。酸素ラジカル吸収能(Oxygen−Radical Absorbance Capacity、略称ORAC)法では、蛍光タンパク質であるフィコエリトリンの化学特性を利用する。このORACアッセイは、反応を完了させるという点において、上記で説明したように、平坦な時間として報告されるものを観測するグレーザー(Glazer)法とは異なる。前記ORAC法では、硫酸アンモニウムでの処理後、超遠心分離法でタンパク質を除去した血清を使用することができる。このアッセイでは、ペルオキシルラジカル発生剤である2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2’−azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride、略称AAPH)を使用する。
【0018】
従来のORAC法での検出は、例えば、Perkin−Elmer LS−5蛍光分光光度計などを使って、蛍光がゼロになるまで実行される。試薬をキュベットに加え、AAPHを加えたのち反応混合液を37℃でインキュベートして、反応が完了するまで5分ごとに蛍光を測定する。その結果はORAC値として報告され、この値は抗酸化物質の存在下におけるβ−PEのクエンチング曲線下の正味の保護面積を意味する。このORAC値は、試料曲線の下の面積をTrolox(登録商標)曲線下の面積で除算することにより計算し、この場合、どちらの面積もブランク曲線下の面積を減算して補正する。ORACの1単位を、最終濃度1μMのTrolox(登録商標)によりもたらされる正味の保護面積として割り当てる。試料に関する曲線下面積をTrolox(登録商標)曲線下面積と比べた結果は、Trolox(登録商標)等量で与えられる。
【0019】
自動化されたORAC法では、例えば、COBAS FARA II遠心分離分析装置などを使用する。開始剤を加えてから0.5秒後に蛍光を測定し、以降2分ごとに測定する。前記COBAS FARA IIは、試料の回転および混合が可能な遠心分離機能を備えている。このCOBAS FARA IIは一度に最高30試料まで処理することができ、その結果は、基本方法同様、ORAC値を決定するため曲線下面積を使って報告される。このCOBAS FARA IIを使った方法は、複数の試料マトリックスを評価する上で効果的に使われてきている。
【0020】
ORACは、βフィコエリトリンの代わりにフルオレセイン塩を使ってさらに修飾することが可能である。βフィコエリトリンは、その単離工程により約30%純粋であり、ロット間に一貫性がない。βフィコエリトリンは、ペルオキシルラジカルへの反応度が一定しないことによってもロットごとに一貫性のないことが判定された。またβフィコエリトリンは、一定時間、励起光に露出すると光退色する。タンパク質結合に特異性がないため、βフィコエリトリンは、安定性に影響を与えるポリフェノールと相互作用する。さらに、βフィコエリトリンは、フルオレセインよりはるかに高価である。これらの理由から、βフィコエリトリンの代わりにフルオレセインが採用された。
【0021】
前記ORAC法では、無作為にメチル化したβシクロデキストリン(randomly methylated beta−cyclodextrin、略称RMCD)の50%アセトン水混合溶液の導入により、脂溶性抗酸化物質試料の分析に適合している。このアセトン:水混合液により、脂溶性抗酸化物質がリン酸緩衝液に対し可溶性となった。前記ORAC法は、抗酸化物質と血清、または他の生体液のペルオキシルラジカル吸収能を測定する上で、簡便かつ高感度で信頼性の高い方法である。血清のヒドロキシルラジカル吸収能は、このORAC法を使って測定が達成されている。ORAC(fl)法を、96ウェルプレートを使った蛍光マイクロプレートリーダーと併用すると、多数の試料を同時に動態解析して、必要な血清試料の量を削減することができる。このORAC法は、前記曲線下面積を測定することにより、抑制時間および抑制度を単一の数量にして考慮するという点で、その分析に独自性がある9。ORAC法は希釈に影響されない5。βフィコエリトリンを使ったCOBAS FARA IIの自動化アッセイ、FRAPアッセイおよびTEACアッセイが比較が行われた。ORACとTEACとに線形相関はなく、TEACアッセイが試料の抗酸化能を正確に決定できないことがさらに示された。但し、ORACとFRAPとの間には存外弱い線形相関が見られ、FRAPアッセイが低精度で潜在的抗酸化物質の抗酸化能を決定することが示された。
【0022】
物質の抗酸化能を決定する方法は、いくつか検討されてきている。これらの方法は、すべて有益であるが制限もある。これらの方法は、コスト高であることから(すでに一部は製造中止となっている機器、試薬、人件費などを含む)、抗酸化物質産業を構成する小企業の大部分にとって非実用的である。
【0023】
他の方法としては、モーター油および他の潤滑剤用の電気化学センサを開示し、Fangに発行された米国特許第5,518,590号公報などがある。これを簡単に説明すると、油製剤中における抗酸化物質および耐摩耗剤の残余レベルを決定することにより、高感度で高速な電気化学センサが、モーター油の劣化、特に抗酸化特性を監視する。この電気化学センサは、電極表面に導電性電解質の液体またはゲル状の界面相を有する2電極または3電極の電気化学セルである。モーター油の劣化度は、前記油の抗酸化能または耐摩耗能を測定して監視される。この電気化学センサは、電気活性添加剤を含む他の潤滑剤および炭化水素の監視に使用される。この電気化学センサを使うと、油に化学的または物理的な前処理を行うことなく、in situ測定が可能になる。
【0024】
抗酸化物質センサの別の例には、流体試料中における酸化物質または抗酸化物質の検体のレベルを測定する装置および方法を開示し、Hodgesに発行された米国特許第6,638,415号公報がある。この装置は、検体とのレドックス反応(酸化還元反応)が可能な試薬を含む、薄層電気化学セルなどの使い捨て電気化学セルを含む。遅反応性の検体に対して前記装置および方法を使用すると、この装置内の抵抗加熱素子により、あるいは前記電気化学セルに含まれる発熱材料により、試料が加熱されうる。この加熱により、前記試薬および前記検体間のレドックス反応率が加速され、遅反応性検体の電気化学的測定が容易になると教示されている。
【0025】
最後に、米国特許出願第20020182736号明細書では、親油性抗酸化物質の活性を間接的に測定する方法を開示している。この場合、親油性ラジカル発生剤および酸化性・親油性の指示薬を使って、試料の脂質区画内における脂質抗酸化物質の活性を測定する選択的方法が開示されている。本発明は、脂質区画内および水溶性区画内双方の試料の総抗酸化活性を正確かつ効率的に決定するものである。本発明の方法は、対象内に存在する過剰なフリーラジカルによる障害の診断および防御とに使用することができる。本発明の方法で使用する試薬は、キットアッセイとして提供可能である。但し、前記酸素ラジカル吸収能(ORAC)値は、標準的な蛍光プローブを使って間接に測定する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、総試料酸化レベルおよび総試料酸化状態に対する抗酸化物質の効果を直接測定する抗酸化物質センサおよび方法を含む。本発明は、また、最適な健康のために有効量の抗酸化物質を個人に提供する上で有用な組成物および方法も含む。本明細書に開示した装置および方法は、試料の総抗酸化能を、同時にまた直接的にリアルタイムで検出する。本技術により(親油性および疎油性の)抗酸化物質という2つの相互排他的なカテゴリーが人工的に生み出され、またこれらの抗酸化物質が別個に測定されたことを、本発明者は認識している。さらに本技術では、間接に(すなわち検出可能なレポーター分子を使って)全般的にラジカルの存在を測定した。
【0027】
本発明は、高速かつ安価で直接的な検出システムを使って、先行技術の検出器および方法における制限を克服するものである。これらの制限に対処するため、本発明者は、本明細書に開示した酸素ラジカル吸収能−酸素(Oxygen Radical Absorbance Capacity−Oxygen、略称ORAC(o))装置および方法を開発した。前記ORAC(o)装置を使い、本発明者は溶存酸素レベルに対する親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の効果を、初めて同時にリアルタイムで測定することに成功した。また、本発明者は、前記ORAC(o)アッセイを使って相乗的な抗酸化組成物の開発に成功した。この相乗的な抗酸化組成物は、単独で、または1若しくはそれ以上の抗酸化増強剤と組み合わせて使用してもよい。
【0028】
より具体的には、本発明は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の抗酸化活性を直接検出する装置であって、溶媒/水/界面活性剤混合液中の試料および酸素ラジカルに高感度な分子と液体流通自在な溶存酸素センサを含んだ装置を具備しており、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出する。前記酸素ラジカルに高感度な分子は、例えば、共役二重結合を伴った分子、または窒素か硫黄かを含んだ化合物など、酸素に反応する分子である可能性がある。酸素ラジカルに高感度な分子の例としては、フルオレセイン、βフィコエリトリン(β−PE)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、リノール酸、またはこれらの組み合わせなどがある。前記酸素ラジカルのレベルは、溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶存酸素計またはセンサを使って直接決定される。前記溶存酸素のレベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、超スペクトル酸素センサといった酸素センサを使って決定しうる。前記溶存酸素計またはセンサは、ハイスループットの分析用に一列に配置しても、単一の試料検出器であってもよく、また、オフィスあるいは家庭用途にさえ適合させることが可能である。前記溶媒は、アセトンなどの有機溶媒であってもよい。前記界面活性剤は、Tween−20といった非イオン性洗浄剤などの洗浄剤であってもよい。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、一般に、前記溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約10〜90容量パーセント(33%など)である。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、一般に、この溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約10〜90容量パーセント(33〜67%など)である。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤(または洗浄剤)は、この溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約0.1〜10容量パーセントであり、水に溶解された状態で保存される。1特定の実施例においては、この溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【0029】
前記装置は、例えば、前記検出器を制御し、データを取得し、当該データを格納し、当該データおよび/または情報データベースに基づき計算を実行し、および/または前記データまたは当該データの要約を表、グラフ、チャートなどの形態で表示することができるコンピュータなどの、1若しくはそれ以上のプロセッサをさらに含む場合がある。また、前記プロセッサ/コンピュータは、前記酸素センサおよび前記溶媒/水/洗浄剤混合液と液体流通自在な流体システムに接続することもでき、この流体システムを制御することさえで可能である。本発明では、抗酸化能試験中の試料が活性化することによって生じる酸素の相対的消失を、既知の標準活性の結果として観測される酸素の相対的消失と関係付ける曲線下面積を測定する。本発明および本明細書で説明する方法を使用し、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の双方を含む溶液中で、溶存酸素のレベルが同時に直接測定される。AUC(曲線下面積)を計算する式の例は、次の通りである。
【0030】
【数3】
【0031】
ここで、AUCSMPは、試料の曲線下面積値であって、
AUCBLNKは、ブランク曲線下面積値であって、
AUCTRLXは、Trolox(登録商標)の曲線下面積値であって、
SMPは、試料である。
【0032】
本発明は、抗酸化活性を直接決定する方法であって、1若しくはそれ以上の抗酸化物質および酸素ラジカル標的が存在する、溶媒/水/界面活性剤混合液に溶解した試験溶液中の溶存酸素レベルを決定する工程を有する方法も含み、前記方法において、水溶性および脂溶性双方の抗酸化物質の活性は酸素検出器で測定される。前記溶存酸素ラジカルレベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、超スペクトル酸素センサといった酸素検出器を使って決定しうる。前記抗酸化活性は、約37℃で測定される場合がある。ラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)と、塩と、これらの混合物または同等物などがある。前記検出器は使い捨てであってもよい。
【0033】
本発明は、任意の単離および精製された疎油性抗酸化物質と、任意の単離および精製された親油性抗酸化物質とを含む栄養補助食品も含み、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、合わせて6,000μMol Trolox(登録商標)等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムより大きい溶存酸素値を有する。当業者であれば、この値が6,000μMol Trolox(登録商標)等量(TE)/ミリリットルなど、液体での等量として表現されることが理解できるであろう。前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は時限放出され、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせから選択される1若しくはそれ以上のビタミンEを含む場合がある。親油性抗酸化物質の例としては、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせがある。
【0034】
また、前記任意の単離および精製された疎油性抗酸化物質と、任意の単離および精製された親油性抗酸化物質とを含む栄養補助食品は、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、マンノース、アセチル化マンノース、N−アセチルノイラミン酸、フコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、および/またはキシロースなど、2若しくはそれ以上の必須糖類も含む場合がある。一実施形態では、前記栄養補助食品は、Australian bush plum(オーストラリアブッシュプラム、学名Terminalia ferdinandiana)といった体内で吸収利用可能な高レベルの天然ビタミンCを伴った植物源などのビタミンC源も含む。別の特定の実施形態では、ビタミンCは、農場で育てたブッシュプラムより高い割合のビタミンCを含有する野生のAustralian bush plum(学名Terminalia ferdinandiana)といった、ビタミンCの植物源から得られる抗酸化活性の増強剤である。前記栄養補助食品は、乳酸菌種およびビフィドバクテリウム属の種(ビフィズス菌)などの1若しくはそれ以上のプロバイオティックも含む場合がある。前記栄養補助食品は、全体的に酸素不浸透性の表面を提供するよう圧縮でき、ローラー圧縮された粒子、カプセル、錠剤、小型錠剤(mini−tab)、カプレット、発泡錠、これらの組み合わせなどであってよい。
【0035】
上記で説明したORAC(o)装置および方法との比較基準として、前記単離および精製された親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質は、7000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい抗酸化物質ORAC(fl−lipo)値を有する。本発明は、本発明の抗酸化物質を含む抗酸化物質/糖質栄養素ブレンドを食事で服用している各個人の抗酸化物質レベル変化を測定する非盲検試験に使用された。前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質を患者に投与したところ、累積患者集団の平均ベースライン抗酸化物質レベルからのORAC(β−PE)測定値には、平均的に13%を超える増加がもたらされた。
【0036】
本発明は、また、いくつかの組成物も含む。本明細書に開示する組成物は、現在入手可能な栄養補助食品は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質を、個々の成分から期待される以上の測定可能な活性を伴う形で組み合わせることに失敗しているという認識に基づいている。本発明の装置および方法を使用することにより、本発明者は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の相乗的組み合わせを開発するだけでなく、それら抗酸化物質の活性の増強剤を加えることに成功した。
【0037】
近年、遺伝子の抗酸化剤応答配列を介し、グルタチオン合成における律速酵素であるγグルタミルシステイン合成酵素の重鎖サブユニット転写を、ケルセチンなどのフラボノイドが増加させることが示されている。転写が増加することにより、組織培養細胞内で還元された(活性)グルタチオンの細胞内レベルも増加する。ケルセチンは、赤ワイン、ブドウ皮、そしてタマネギの主成分である。赤ワイン、ブドウ皮、タマネギから得られたケルセチンの研究では、ケルセチンが健康に有益な効果をもたらすことが示唆されている。ケルセチンは、人体への吸収がよいことが示されている。ある研究では、摂取されたケルセチンがすべて食後2時間で代謝されたことが示された(European Research on Functional Effects of Dietary Antioxidants(欧州における食物抗酸化剤の機能的効果に関する研究)、2002年9月25〜28日、英国ケンブリッジ)。中程度の量の赤ワインを消費した対象におけるLDLの酸化が実質的に減少したことが発見され、研究者たちは、この保護効果が非常に高い尤度でケルセチンの活性とケルセチンの代謝産物とに起因すると主張した。ケルセチンは、赤血球をより安定にすることも示されている。
【0038】
酸化ストレスに影響を及ぼす因子は多種多様であるため、抗酸化物質の補給は、個々のニーズと化学的性質とに応じてカスタマイズする必要があると、本発明者は認識している。さらに、個々の異なるニーズに対応するには、トコフェロールを組み合わせる必要があることも認識している。トコフェロールを組み合わせる必要があるのは、一部の抗酸化物質が身体に「選択される」ことによる。例えば、北米の飲食物におけるビタミンEの主な形態はγトコフェロールで、これは一般に植物油と、大豆およびトウモロコシから導出される生成物に見られる。但し、身体は主にαトコフェロールを保持する。αトコフェロール輸送タンパク質に依存した特定の方法は、体内のαトコフェロール濃度を調整することが明らかになっている。先行技術の抗酸化剤組成物と異なり、本発明では、混合したトコフェロールを使って多形態のビタミンEを身体に提供することにより、各形態の最適量が選択、保持、使用されるようにする。さらに、ケルセチンおよび混合トコフェロールの相乗的組み合わせによって、個々のニーズに応じて異なりうる、広範な抗酸化栄養素からの最適な選択肢を身体にもたらすものである。
【0039】
本発明者は、これらの抗酸化物質の活性増強に役立つ化合物を加えることにより、ケルセチンおよび混合トコフェロールの相乗的組み合わせの活性をさらに最大化するよう追求した。そのような増強剤の1つがビタミンCである。ビタミンCは、著しい抗酸化活性と、いくつかの非抗酸化栄養機能とを有する。酸化促進特性は、特に遷移金属の存在下では、ビタミンCによるものと見なされる場合が多い。ビタミンCのこの酸化促進特性は、完全に破壊的ではないこともある。しかし他の研究者は、非結合金属の存在下であっても、ビタミンCが抗酸化物質として振る舞うと主張する。
【0040】
抗酸化活性の他の増強剤には、ブドウの種の抽出物や緑茶抽出物といった天然抽出物がある。ある研究では、緑茶が生体外で効力のある抗変異原活性を呈し、ラット結腸では発癌物質誘起性前癌病変部の進行を抑制した。緑茶は、腸ポリープの形成も有為に抑制した。そのため、本発明者はケルセチンや混合トコフェロールなど自然源から精製および単離された抗酸化物質を相乗的に組み合わせだけでなく、これら薬剤の検出可能な抗酸化活性を増加する増強剤もさらに加えた。
【0041】
より具体的には、この組成物は、栄養的に有効な量の2若しくはそれ以上の必須糖類と、単離および精製された疎油性酸素ラジカルクエンチャーと、単離および精製された親油性酸素ラジカルクエンチャーとを含有する栄養補助食品を含み、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、合わせて6,000μMol Trolox(登録商標)等量(TE)/グラムより大きい酸素ラジカルクエンチャー値を有する。あるアッセイでは、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、患者に与えた場合、ORAC(fl−lipo)として測定される患者集団のベースライン抗酸化物質レベルに平均的に13%を超える増加をもたらしている。前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは徐放用に包装され、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、εトコフェロールと、γトコフェロールと、ζトコフェロールと、ηトコフェロールと、ξ1トコフェロールと、ξ2トコフェロールと、σトコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなるビタミンE分子のうち1若しくはそれ以上を含有する場合がある。前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、フラボノールと、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせのうち1若しくはそれ以上を含有する場合ある。前記栄養補助食品は、ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される2若しくはそれ以上の糖類をさらに含有する場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の種々の実施形態の考案および使用について詳述するが、本発明は、多種多様な特定の文脈で具体化できる応用可能な多数の発明概念を提供することを理解すべきである。本明細書に説明する具体的な実施形態は、本発明を考案および使用するため具体的な方法を単に例示したものであって、本発明の範囲を画定するものではない。
【0043】
本発明に関する理解を促進するため、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書に定義した用語は、本発明に関連した分野の当業者が一般に理解しているとおりの意味を有する。用語「a」と「an」と「the」とは、単数の物のみを指すよう意図したものではなく、具体例を例示として使用することが可能な分類全般を含む。本明細書における用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するため使用するが、その用法は、請求項での概略説明を除き、本発明を画定するものではない。
【0044】
本発明は、本技術が相互に排他的な2つの抗酸化物質カテゴリーを人為的に作成し、それらを別個に測定したという認識に一部基づいている。さらに本技術では、間接的に(すなわちレポーター分子を使って)ラジカルの存在全般を測定した。本発明は、試料の総抗酸化能を同時に検出するだけでなく直接的にも検出する装置および方法を提供する。
【0045】
本明細書における「抗酸化物質/抗酸化剤」は、易酸化性標的分子の酸化を遅延させる、または防止する任意の分子を指す。抗酸化物質は、生物学的に重要な反応性フリーラジカルまたは他の反応性酸素種(O2−、H2O2、HOCl、フェリル、ペルオキシル、ペルオキシ亜硝酸、アルコキシルなど)を除去するか、酸素ラジカル形成を防止するか、フリーラジカルまたは他の反応性酸素種を、より反応性の低い種へと触媒的に変換するかにより作用する。一般に、抗酸化物質は、(1)脂質(親油性または疎水性)抗酸化物質、(2)水溶性(疎油性または親水性)抗酸化物質の2つのクラスに分けられる。脂質抗酸化物質の例としては(これに限定はされないが)、コア脂質区画内に位置するカロチノイド(ルテイン、ゼアキサンチン、βクリプトキサンチン、リコピン、αカロチン、βカロチンなど)、脂質区画の界面内に位置するトコフェロール(ビタミンE、αトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロールなど)、レチノイド(ビタミンA、レチノール、レチニルパルミテートなど)、脂溶性ポリフェノール(ケルセチンなど)などがある。水溶性抗酸化物質の例には(これに限定はされないが)、アスコルビン酸とその酸化型「デヒドロアスコルビン酸」、尿酸とその酸化型「アラントイン」、ビリルビン、アルブミン、ビタミンC、またリン脂質膜への高親和性を有するカテキンや、イソフラボンや、プロシアニジンなどの水溶性ポリフェノールなどがある。
【0046】
酸素ラジカルおよび抗酸化能の相対レベルを検出する上で一般に使用される方法は、酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorbance Capacity、略ORAC)アッセイである。従来のORACタイプのアッセイでは、特定の酸素ラジカルによる酸化の良好な標的でありうる(または良好な標的でない可能性もある)蛍光分子または他の検出可能な分子などに対する酸素ラジカルの効果を測定することにより、抗酸化値が間接的に測定される。一般に、試験試料に抗酸化物質を加えると、試料中の、スーパーオキシドなどのフリーラジカルの量、または過酸化水素などの非ラジカル反応性酸素種の量に、抗酸化物質で処理していない試料(対照試料)と比較して、検出可能な減少がみられる可能性がある。但し、これらの間接的な方法では、中間体(フルオレセイン、β−フィコエリトリン(β−PE)など)の測定を介し、この中間体に対するラジカルの効果が酸化物質および抗酸化物質の相対レベルを真に反映しているという仮定の下で、抗酸化状態の変化を監視する。これらアッセイ用の対照試料は既知濃度の酸素ラジカル発生剤および既知濃度の抗酸化物質で、試料の標準として測定および使用される。
【0047】
本明細書における用語「フリーラジカル」は、不対電子を少なくとも1つ含む分子を指す。大部分の分子は偶数の電子を含み、その共有結合は、通常、共有電子対を含む。このような結合が開裂すると、不対電子をそれぞれ伴う2つの別個のフリーラジカルが生じる(任意の電子対のほか)。フリーラジカルは電荷を帯びているか電気的に中性であり、高反応性で通常は短命である。フリーラジカルは、フリーラジカル同士で、または不対電子を有する原子と結合する。原型分子と反応するフリーラジカルは、自らの不完全な電子構造を補おうとして新しいラジカルを生み出し、そのラジカルがまた他の分子と反応して結果的に連鎖反応を引き起こす。フリーラジカルの連鎖反応は、高温での物質分解において、また重合において特に重要である。体内では、酸化されたフリーラジカルは組織の損傷に関与する。熱、紫外線、電離放射線は、すべてフリーラジカルを生成する。フリーラジカルは、酸化代謝の副次的効果として生じる。過剰なフリーラジカルは、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼなどの天然保護酵素を圧倒する。過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(HO.)、一重項酸素(1O2)、スーパーオキシド陰イオンラジカル(O.2−)、一酸化窒素ラジカル(NO.)、ペルオキシルラジカル(ROO.)、ペルオキシ亜硝酸(ONOO−)などのフリーラジカルは、脂質または水溶性の区画内に存在しうる。抗酸化栄養素(ビタミンC、ビタミンE、セレン、ポリフェノールなど)は、これらの影響を軽減する可能性がある。
【0048】
本明細書における用語「脂質区画」とは、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなど、環式または非環式の長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含有する化合物を指す。例えば、一般的な脂質には、脂肪酸、脂肪、リン脂質、ステロイド、エイコサノイド、ワックスおよび脂溶性ビタミンなどがある。一部の脂質は単純脂質および複合脂質という2つのグループに大まかに分類でき、例えばトリグリセリド(または油脂)、グリセロールの脂肪酸エステル、ワックス、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、コレステロールやエルゴステロールなどのステロイドがある。複合脂質には、フォスファチド(phosphatide)すなわちリン脂質(phospholipid)(脂質を含むリン)、糖脂質(脂質を含む炭水化物)、スフィンゴ脂質(脂質を含むスフィンゴシン)などがある。
【0049】
本明細書における用語「脂質」は、脂肪または脂肪状の物質を含む。この用語は、タンパク質や炭水化物などの化学名ではなく、むしろ記述的なものである。脂質には、真の脂肪(すなわち脂肪酸およびグリセロールのエステル)、脂質(すなわちリン脂質、セレブロシド、ワックス)、ステロール(すなわちコレステロール、エルゴステロール)が含まれる。脂質は、自動酸化などの機序を介して酸化の標的になりうる。本明細書における用語「脂肪酸」は、負の電荷を帯びた、全体として直鎖状の炭化水素鎖の群などを指す。この脂肪酸の炭化水素鎖の長さおよび酸化状態は、場合に応じて異なる。一般に、脂肪酸は(カルボキシル末端などに)負の電荷を帯びた部分と「テール」(尾)部分とを有し、これによりその脂肪酸の水溶性および両親媒性が決定する。例えば脂肪酸は、細胞内でのエネルギー蓄積に使用され、あるいは血流での脂肪輸送に使用される、脂肪としての生体膜を含むリン脂質の成分である。本明細書における用語「リン脂質」は、脂肪酸と、アルコールと、含窒素塩基との側鎖のうち、少なくとも1つを含む任意クラスのリン酸エステルを指す。
【0050】
本明細書における用語「脂肪」(fatまたはfats)は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロールの形態の脂肪酸など、脂肪酸のグリセロールエステルをすべて指す。トリグリセリドとは、電気的に中性で全体的に疎水性の分子、すなわち還元された分子を指す。モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールはリン脂質合成における代謝中間体であり、他方トリグリセリドは、水のないコンパクトな状態での化学エネルギー蓄積に使われる脂肪分子を形成する。本明細書における用語「脂溶性ビタミン」は、例えばビタミン(A)(レチノール)、ビタミンD(ビタミンD3(コレカルシフェロール)など)、ビタミンE、ビタミンKなど、一般的な脂溶性ビタミンを指す。
【0051】
本明細書における用語「脂質抗酸化活性」または「脂質抗酸化能」は同義的に使われ、試料の脂質区画から生じる抗酸化能力の測定値を指す。本明細書における用語「水溶性抗酸化活性」または「水溶性抗酸化能」は同義的に使われ、試料の水溶性区画から生じる抗酸化能力の測定値を指す。本明細書における用語「総抗酸化活性」または「総抗酸化能」は同義的に使われ、試料の脂質部分および水溶性部分双方から生じる抗酸化能力の測定値を指す。
【0052】
本明細書における用語「水溶性区画」は、前記脂質区画と相互作用しない流体試料の一部を指す。水溶性区画は、血液、血漿、血清、糞便、脳脊髄液、羊水、間質液、リンパ液、滑液などの生物学的流体試料を含む。例えば、血清など流体試料の水溶性区画は、血液を凝固させ遠心分離して血球および凝固成分を除去した後に残る液体部分だけでなく、アルブミンやグロブリンなどのタンパク質;抗体;酵素;アミノ酸やグルコースなどの少量の有機栄養物;ナトリウム、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、カルシウム、カリウム、重炭酸塩、マグネシウム、ヨウ素、亜鉛、鉄などの無機物;尿素、尿酸、キサンチン、クレアチニン、クレアチン、胆汁色素、アンモニアなどの少量の老廃物;酸素、二酸化炭素などの微量のガスといった他の化合物も含む可能性がある。この流体試料は非生物試料の場合もあり、例えば化学製剤、合成組成物、あるいは食品、化粧品であってもよい。
【0053】
本明細書における用語「試料」とは、液体、流体、または固体の生物試料であって、当該生物試料内でフリーラジカル発生剤(親油性フリーラジカル発生剤または親水性フリーラジカル発生剤など)を使ってフリーラジカルを生じさせることができ、本発明の(ORAC(o))検出器および方法を使って検出できる生物試料を指す。生物試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、羊水、間質液、滑液などがある。固体生物試料には、組織、細胞、組織培養物、固定細胞、細胞上清のほか、組織または細胞物質の一部(または抽出物)なども含まれる。この「試料」という用語は、化学溶液、合成組成物、食品などの非生物試料も含む。本明細書における用語「相対ORAC(o)」および「ORAC(o)」は同じ値を指し、グラムまたはミリリットルあたりのTrolox(登録商標)マイクロモル等量により測定される。負値のORAC(o)は、ラジカルクエンチ活性がブランクで得られた活性より低いことを反映しており、組成物が酸化促進剤すなわち抗酸化物質として作用せず、むしろ酸化を促進する薬剤であることを示す。
【0054】
本明細書における用語「ラジカル発生剤」または「ラジカル開始剤」は同義的に使われ、フリーラジカルを生成する薬剤か、化合物か、分子かを指す。ラジカル発生剤を使用すると、抗酸化物質または易酸化性指示薬がフリーラジカルと相互作用して測定可能または検出可能な出力を生成できるレベルなどの測定レベルで、フリーラジカルを生成できる。ラジカル発生剤の例としては、既知の一定率でフリーラジカルの流量を生成する化合物である、アゾラジカル発生剤などがある。アゾラジカル発生剤の例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)、アゾ−ビス−イソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2イル)プロパン]二塩酸塩、鉄、アスコルビン酸、金属イオンなどがある。
【0055】
本明細書における「対象」は、任意の生体を指す。この用語「対象」は、魚類、哺乳類、爬虫類、鳥類、昆虫などを含む。その具体例としては、ヒト;チンパンジーその他の類人猿やサル種などヒト以外の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマなどの家畜;イヌやネコなどの家畜哺乳類;マウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などがある。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。そのため、成人および新生児の対象、そして(妊娠3か月以後の)胎児も、男女の区別なく対象とされるよう意図されている。
【0056】
本明細書における用語「フリーラジカル関連障害」は、フリーラジカルの生成またはフリーラジカルへの露出に起因する病的状態を指す。本明細書における用語「フリーラジカル関連障害」には、フリーラジカルによる損傷が疾患状態の病変に寄与する病理疾患、あるいはフリーラジカル阻害剤(デスフェリオキサミンなど)、スカベンジャー(トコフェロール、グルタチオンなど)、または触媒(SOD、カタラーゼなど)を投与すると、症状を低減する、生存率を増加させる、または病理疾患に対する防御または予防を行う上で他の検出可能な臨床的メリットをもたらすことにより、検出可能な有益性を示す病理疾患などが含まれる。フリーラジカル障害の例としては(これに限定はされないが)、虚血再潅流傷害、炎症性疾患、全身性紅斑性狼瘡、心筋梗塞、脳卒中、外傷性出血、脊髄損傷、クローン病、自己免疫疾患(関節リウマチ、糖尿病など)、白内障形成、加齢黄斑変性症、アルツハイマー病、ブドウ膜炎、気腫、胃潰瘍、酸素中毒、新生組織形成、望ましくない細胞アポトーシス、放射能疾患などがある。
【0057】
本明細書における用語「酸化ストレス」は、対象内で酸素フリーラジカルにより生じる損傷のレベルを指す。損傷のレベルは、反応性酸素種が生じたのち抗酸化物質により不活性にされる速度、また位置および修復速度に応じて異なる。本明細書における、酸化状態および酸化ストレスに関連した用語「逸脱」または「逸脱する」は同義的に使われ、試料の抗酸化活性の変化を指す。酸化状態の変化は、既知の正常値と比べた抗酸化活性の増加、減少、上昇、または下降である可能性がある。例えば、試料の脂質区画、試料の水溶性区画、または試料の脂質区画および水溶性区画の双方における抗酸化活性の増加または減少などである。
【0058】
本明細書における用語「必須糖類」は、細胞糖タンパク質のオリゴ糖鎖で一般に見られ、飲食物または生化学的製造を通じてもヒト体内で容易に得られない単糖類の定義に使われる(Harper’s Biochemistry(ハーパー生化学)(Murrayら、1996)(8個をリスト)およびPrinciples of Biochemistry、第2巻(Zubayら、1995)(11個をリスト)など参照)。これまでに200以上の単糖類が自然界で発見されているが、ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、イズロン酸と、アラビノースと、グルクロン酸との11個は、哺乳類が健康を良好に維持する上で重要であると考えられている。これらの炭水化物の構造は広く知られている(Stryer’s Biochemistry(ストライヤー生化学)(Stryer、1995)およびMerck Index(メルクインデックス)、(第12版、1996)などを参照)。
【0059】
本明細書における用語「栄養的に有効な量」は、哺乳類において有益な栄養効果/反応をもたらす量の定義に使用される。例えば、ビタミンおよびミネラルを含む栄養補助食品への栄養反応は、哺乳類ごとに異なるように、栄養的に有効な量のビタミンおよびミネラルは、それぞれ異なることを理解すべきである。同様に、必須アミノ酸、ビタミンC、鉄、ヨウ素、他のビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質などが欠乏すると、生理機能および細胞機能に影響の及ぶことが知られている。本明細書に開示する栄養的に有効な量の抗酸化物質および糖類は、例えば、これらの栄養補給剤を有する食事内容の維持または増補を望むヒトの場合に、飲食物中のこれら重要な栄養素のレベルを維持し上昇させる働きをする。このように、一哺乳類が、特定プロファイルのビタミンおよびミネラルを特定の量だけ必要としても、別の哺乳類は、同じ特定プロファイルのビタミンおよびミネラルを別の特定量で必要とする可能性がある。
【0060】
本明細書における用語「薬理上許容される塩」は、正しい医療判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織中、組織上、または組織と伴に使用するのに適し、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応などのない、妥当な有益性/危険性比に見合った塩の説明に使用する。「薬理上許容される塩」は当該技術分野で広く知られている(S.M.Bergeら、J.Pharmaceutical Sciences、1977年などを参照。この関連部分は言及により本明細書に組み込むものとする)。適切な塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中に調製するか、または遊離塩基の官能基を適切な有機酸と反応させて別個に調製してもよい。代表的な酸付加塩としては(これに限定はされないが)、酢酸塩(アセテート)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩(ブチラート)、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩(digluconate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオシアネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩(ニコチネート)、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミト酸塩(palmitoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩などがある。四級化剤として使われる塩基性窒素含有基の例としては、低級ハロゲン化アルキル(メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物);硫酸ジアルキル(ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびアミルの硫酸塩);長鎖ハロゲン化物(デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物);アリールアルキルのハロゲン化物(ベンジルおよびフェネチルの臭化物)などがある。薬学的に許容される酸付加塩の形成に使用される酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、またシュウ酸、マレイン酸、琥珀酸、クエン酸などの有機酸などがある。塩基付加塩も、本明細書に開示した抗酸化化合物の最終的な単離および精製中に、薬学的に許容される金属カチオンの水素化物、炭酸塩、または重炭酸塩など適切な塩基により、あるいはアンモニア、有機第1級アミン、有機第2級アミン、または有機第3級アミンにより、in situで調製可能である。薬理上許容される塩としては(これに限定はされないが)、アルカリ性金属に基づくカチオン、またはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などのアルカリ性土類金属に基づくカチオン、そしてアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、エチルアンモニウムといった無毒第4級のアンモニアおよびアミンのカチオンなどがある。塩基付加塩の形成に役立つ他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどがある。
【0061】
本明細書における用語「増強剤」とは、本発明の疎油性抗酸化物質および/または親油性抗酸化物質の活性を増加させる、または強化するよう直接または間接に作用する1若しくはそれ以上の薬剤を指す。このような増強剤の1つはビタミンCで、ビタミンCは、抗酸化物質を再活性化すなわちリサイクルするよう作用し、それ自体で著しい抗酸化活性を有する可能性がある。ビタミンCの酸化促進特性は、遷移金属の存在下で観測されてきた。抗酸化活性の他の増強剤には、ブドウの種の抽出物や緑茶抽出物といった天然抽出物がある。ある研究では、緑茶が生体外で効力のある抗変異原活性を呈し、動物モデルでは発癌物質誘起性前癌病変部の進行を抑制した。このように、前記増強剤は、ケルセチンおよび混合トコフェロールなど、自然源から精製および単離された抗酸化物質を強化し、あるいはこれに相乗効果さえ与える。
【0062】
本明細書における用語「糖質栄養素の(glyconutritional)」または「糖質栄養素(glyconutrient)」は、天然に合成され、コミュニケーション分子およびシグナル分子の各種クラスの生化学的合成に必要な複雑な炭水化物、糖類、または単純な糖かを指し、これらは、細胞間質液中において自由であり、細胞間コミュニケーションにおいて活性を示し(すなわち、サイトカイン、成長因子など)、あるいは細胞膜の高度に特異的な分子活性の中核である分子構造を構成しうる(すなわち受容体部位、イオン輸送チャネル、抗原同定など)。
【0063】
本明細書における用語「植物栄養素の(phytonutritional)」または「植物栄養素(phytonutrient)」は、植物の細胞を保護するため生成され、植物のみに見られる、天然に合成された分子を指す。植物栄養素は、抗酸化物質と、フリーラジカルスカベンジャーと、必要不可欠な微量栄養素活性を主に有する。食事補給を通じて供給されるこれらの分子は、成熟した植物組織に見られ、種を覆う種皮および結実組織に最も濃縮されている。哺乳類組織では、これらの分子を食餌で供給すると、これらの分子が細胞微環境での生化学反応、免疫、生理反応の最適化に活性を示す。
【0064】
本明細書における用語「植物抽出物」および「ハーブ抽出物」は同義的に使われ、植物組織で生成され、水か、極性溶媒か、石油系溶剤かで抽出でき、健康または治療にある程度有益な活性を有する植物化学物質を指す。大部分のハーブ剤は、特に濃縮すると有毒な可能性があるが、一般には、「疾患治療および健康促進のための民間薬」として、茶や湿布など、より伝統的な態様で利用すると安全である。本明細書における用語「ハーブボディトーニング剤」は、加齢または日焼けに起因する弾性組織およびコラーゲン繊維の損傷を軽減および逆転するため、本発明が観測してきた物質を指す。これらの効果は、しわ、たるみ、色素沈着過度を効果的に低減または排除し、美容上容姿を損なう望ましくない他の要素を逆転する、皮膚の張りおよび弾性の回復からも明らかである。
【0065】
本発明の栄養補助食品に含まれる前記炭水化物は、低木、木、植物、酵母、菌類、かび、ガム(ゴム)、樹脂、デンプン誘導体、セルロース誘導体、天然のムチン源など、多種多様な自然源および合成源から入手できる。具体的には、次のような自然源がある。(a)アカシア、カラヤ、トラガカント、またはガッティなどの低木または木からの浸出物。(b)寒天、アルギン、またはカラギーナンなどの海産物(海藻抽出物)ガム。(c)グァー、イナゴマメ(ローカストビーン)、またはオオバコなどの種子のガム。(d)ペクチンまたはアセチル化したポリマンノースなどの植物抽出物。(e)ヘタスターチ、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、酸化セルロースなどのデンプン誘導体およびセルロース誘導体;およびデキストラン、キサンタンなどの微生物のガム。但し、本発明の組成物は、各前記炭水化物の取得源により限定されるよう意図されてはいないことを理解すべきである。
【0066】
本発明の糖類は、単糖類、オリゴ糖、および/または多糖類として自然界に見られる。これにより、本発明の組成物は、単量体、オリゴマー、および/または重合体(高分子)の形態で、糖類を含むことができる。前記糖類およびその用途に関する既知の自然源リストは、米国特許出願第US2003072770号明細書(関連部分は、言及により本明細書に組み込むものとする)を参照されたい。
【0067】
本明細書における用語「炭水化物(carbohydrate)」は、用語「糖類(saccharide)」と、「多糖類(polysaccharide)」と、「オリゴ糖(oligosaccharide)」と、「糖(sugar)」と同義的に使われ、これらの定義は炭水化物化学に携わる当業者に広く知られている。本発明の組成物は、少なくとも2つの必須糖類を含有するよう意図されているが、これらの糖類は単糖類、オリゴ糖、および/または多糖類の形態をとることが可能で、例えば、トラガカントガムおよびグァーガムを含有する組成物は、ガラクツロン酸と、シアル酸と、マンノースと、ガラクトースとを含むと見なされることに注意が必要である。そのため、所与の栄養補助食品中の特定のガムの量を制御することにより、栄養補助食品中の各糖類の量を制御することができる。
【0068】
本明細書における用語「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、εトコフェロールと、γトコフェロールと、ζトコフェロールと、ηトコフェロールと、ξ1トコフェロールと、ξ2トコフェロールと、σトコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの組み合わせまたは誘導体から選択される少なくとも2形態の混合物を記述するため使用される。一実施形態では、「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、γトコフェロールとから選択される少なくとも2形態のトコフェロールの混合物である。別の実施形態では、「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、γトコフェロールとのうち、少なくとも2形態の混合物である。「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、VITAECAPS,SA社(スペイン)、Henkel Corporation社、またはCognis Corporation社(米国イリノイ州カンカキー(Kankakee))などから入手可能である。COVITOL(登録商標) F−350MはCognis社から市販されており、食用植物油から得られた混合トコフェロールとともに自然源αトコフェロールを含有する。本発明の抗酸化組成物に含まれる特定のトコフェロール混合物は、ORAC(o)で抗酸化能を決定することにより決定される。
【0069】
塩またはトコフェロールの誘導体は、酢酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、ニコチン酸塩、アロファネート、リン酸塩、キノン、またはハロゲン化誘導体;エステル;立体異性体などの薬理上許容される塩を含む。本発明は、誘導体がビタミンEの抗酸化活性を維持するという条件付きで、6−クロマノール環および/または側鎖に置換と付加と他の修正が加えられたビタミンE誘導体の使用を包含する。例えば、トコフェロールおよびその誘導体は、アルキル基と、二重結合と、他の置換基との数および位置、また環上および側鎖上の違いにより異なる。「アルキル」は、メチル、ブチル、オクチルなど、炭素および水素だけを含む環状、分岐状、または直鎖状の化学基である。アルキル基は、非置換の場合もあり、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、またはベンジルなど1若しくはそれ以上の置換基で置換されている場合もある。アルキル基は、飽和状態の場合もあり、1つまたは複数の位置で不飽和状態の場合もある。通常、アルキル基は、1〜8個の炭素、1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する。付加的なトコフェロールは、酸素、窒素、硫黄、および/またはリンを含むものなど、他の各種骨格の環構造または側鎖に共役させて構成される可能性がある。また、トコフェロール誘導体は、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、γトコフェロールなど、原型的なトコフェロールに見られる側鎖の長さを修飾することによっても生成可能である。トコフェロールは、環構造および側鎖における結合の立体化学および飽和によっても異なりうる。
【0070】
プロドラッグを含む付加的なトコフェロール誘導体は、糖または他の骨格を側鎖構造または環構造と共役させることにより生成できる。混合トコフェロールとしては(これに限定はされないが)、単一のトコフェロールの立体異性体の混合物(αトコフェロールの+立体異性体および−立体異性体など。(+/−)は、ラセミ混合物を示す)、または、構造的に異なったトコフェロールの混合物(αトコフェロールおよびγトコフェロールなど)などがある。
【0071】
本発明は前述した11個の必須糖類を含むが、本発明の栄養補助食品には、他の糖類、栄養化合物、または生物活性のある/ない化合物が含まれうることに注意すべきである。このような他の栄養化合物は、植物栄養素、ヤムイモ複合体、植物抽出物、ハーブ抽出物、植物の一部、ハーブ成分、ビタミン、ミネラルのうち、いずれか1若しくはそれ以上を含有しうる。これらの栄養化合物は、本発明の栄養補助食品に加えるか、当該栄養補助食品を投与中の哺乳類に別個に提供することができる。例えば、本発明の糖質栄養素含有剤形を服用しているヒトは、同じ剤形または別個の剤形で植物栄養素を服用することもできる。不活性化合物は、フレーバー、充填剤、潤滑剤、緩衝液、ゲル、結合剤、賦形剤、担体、および/または、本発明の栄養補助食品の製剤または投与を促進する他の化合物を含む場合がある。糖質栄養素を含む本発明の栄養補助食品組成物は、付加的な化合物、薬剤、または他の物質を含むものであっても、すべてMannatech,Inc.社(米国テキサス州コッペル(Coppell))から直接入手できる。
【0072】
本発明は、疎水性抗酸化物質および/または親水性抗酸化物質の双方を含有する組成物の酸素ラジカル吸収能(oxygen radical absorption capacity、略称ORAC)を直接かつ同時に測定する装置および方法を含む。当該アッセイでは、試料中の酸素含有量を直接測定する酸素ラジカル吸収能アッセイ(oxygen radical absorption capacity(oxygen)、略称ORAC(o))で酸素の消失を直接追跡して、抗酸化物質がラジカルをクエンチする能力を測定することから、用語「ORAC(o)」が使用される。ORAC(fl)およびORAC(β−PE)といった現在の業界標準アッセイでは、酸素ラジカルに露出した蛍光化合物(フルオレセインまたはβフィコエリトリン)の蛍光放射の劣化を間接的に測定して抗酸化能を測定する。これらのアッセイは親水性抗酸化物質では良好に作用するが、疎水性抗酸化物質、または疎水性抗酸化物質と親水性抗酸化物質との混合物に関する測定では効果が制限される。さらに、既知のORAC(fl)システムおよびORAC(β−PE)システムとは異なり、本明細書に開示するORAC(o)は、使い捨てセンサとして簡便化および製造する上で適している。このシステムは、オフィス用システムおよび家庭用システムの製造業者が、利用者からの生物試料の酸化能を直ちに評価するために十分頑強なものである。
【0073】
ORAC(o)装置。図1は、ORAC(o)抗酸化物質直接検出装置10を示した図である。この装置10は、図示したように、検出器システム12と、流体システム14と、データプロセッサシステム16との3つの基本コンポーネントを有しており、これらはデータ取得と、流体および試料の制御と、データ処理を提供するよう相互接続されている。前記検出器システム12は、1若しくはそれ以上の導管20を介して前記流体システム14と液体流通自在な酸素センサ18を有する。前記1若しくはそれ以上の導管20を通じて流れる流体は、1若しくはそれ以上の弁22を使って制御され、これら1若しくはそれ以上の弁22は、手動での制御、および/または前記データプロセッサシステム16による制御が可能である。作動時、試料24は、前記流体システムに入り、前記検出器18へ導かれ、データ取得後、廃棄物貯蔵部26に送られる。また、前記流体システム14は、ポンプ、減圧、または加圧不活性ガスなどの圧力により前記流体システム14を通過するよう導かれる1若しくはそれ以上の溶液28も含む場合がある。前記流体システム14内の前記溶液28は、全体的にあらかじめ混合するか平衡化させておき、本発明で使用する場合は、一般に水、溶媒、洗浄剤または水:洗浄剤混合液、酸素ラジカル発生剤、酸化標的などを含み、酸素検出槽34へ送る前に混合槽30で混合してもよい。流体システムの選択は、当業者に知られているように、どの程度の自動化が望ましいか、または採用されているかに依存する。前記試料24は、前記酸素センサ18の較正に使う溶液と同じものに事前に混合してもよいし、前記混合槽30で事前に混合してもよい。
【0074】
本発明で使用する酸素検出器18の例としては、溶媒と水と洗浄剤との存在下で溶存酸素を検出できる任意の溶存酸素センサなどがある。溶存酸素センサの例には、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、さらに超スペクトル酸素センサなどがある。一具体例においては、この溶存酸素センサはYSI 5300A生物学的酸素センサ(YSI社、米国)、SPREETAセンサ(Texas Instruments社)、PASCO PS2108(Pasco社、米国)などである。一例では、前記溶存酸素センサの仕様は次のとおりである。範囲:0〜20mg/L。精度:フルスケールの±10%。分解能:0.01mg/L。最大サンプルレート:20sps。デフォルトサンプルレート:2sps。応答:60秒で98%。温度範囲:0〜50℃。温度補正:10〜40℃。陰極:プラチナ。陽極:Ag/AgCl。膜:1mlシリコン。さらに、Dissolved Oxygen EZ(Pasco社、米国)など製造元から提供されるソフトウェアと併用可。前記システムは、前記流体システムと液体流通自在なpHセンサか、ORPセンサか、導電率センサまたは濁度センサも含む場合がある。
【0075】
作動時、本明細書に開示した前記ORAC(o)システムは、次のように使用できる。利用者は、試料を回収し、これを(乾燥または液状)ORAC(o)溶媒キット中に、あるいは当該ORAC(o)溶媒キットで溶解する。携帯型表面プラズモン共鳴酸素センサ(Texas Instruments SPREETAセンサなどを参照)などのORAC(o)センサを、1若しくはそれ以上の較正基準に露出したのち、前記利用者の試料に露出する。前記酸素センサは、同センサ上にある前記検出器の表面からの出力を評価するプロセッサに接続されており、利用者に読み出し値を提供する。この読み出し値は、画面表示、印刷、および/またはプロセッサやメモリなどへの送信が可能である。前記利用者の試料は、酸素ラジカルを含有する疑いがある尿、唾液、涙、粘液分泌物、汗、血液(または血液製剤)、組織、糞便、または他の生物試料である可能性がある。一例では、試料は、回路の閉じたレスピレータなどのレスピレータで回収された1若しくはそれ以上の呼吸(1若しくはそれ以上の吸気および/または呼気)である。センサにより検出される値は、後日参照して、あるいは過去か将来かの値と比較して利用者の酸化状態を評価するため、(揮発性、半永久、または永久)メモリに保存することさえできる。
【0076】
本発明の抗酸化活性用ORAC(o)アッセイの基本コンポーネントでは、ORACに類似した既存の方法を活用するため、大規模な研修の必要なく(該当する場合)、研究室での用途に容易に適用することができる。簡潔に説明すると、ORAC(o)では、血漿酸素センサまたは溶存可能酸素センサなどの酸素センサを使って、例えば、試料溶液中の1若しくはそれ以上の酸素ラジカル発生分子と、標準としての酸化クエンチャー(抗酸化物質)との相対活性を直接測定することにより酸化促進活性を測定する。還元剤または揮発性剤といったある特定の薬剤は、AAPHなどのラジカル源の不在下では溶液中における酸素の吸収または生成につながる可能性があり、溶液中の酸素量に影響を与える可能性があることに注意すべきである。当業者であれば、本発明を使用することにより、フリーラジカル開始剤を加える前に溶液中での前記試料の性質を評価することにより、同試料のラジカルクエンチング活性と、非ラジカルクエンチング活性とを区別することが可能である。試験する試料のラジカルクエンチング活性と、非ラジカルクエンチング活性とは、本発明を利用して決定されるように、どちらも酸化状態に関係することに注意すべきである。酸素ラジカル発生剤および酸素ラジカルクエンチャーの相対活性は、間接的な方法であるORAC(fl)、ORAC(fl−lipo)、ORAC(β−PE)などと同様、経時的に滴定および/または測定することが可能である。
【0077】
図2は、本発明の方法の基本工程を要約したフローチャートである。工程52では、溶媒:水:洗浄剤混合液の存在下で、溶存可能酸素プローブを平衡化および/または較正して、ベースラインを測定する。一例では、前記溶媒:水:洗浄剤は、比1:1:1のアセトン:水:Tween 20混合液である。工程54では、抗酸化剤としてTrolox(登録商標)などを使って抗酸化活性を比較する上で、抗酸化活性のベースライン決定すると、それが陽性対照およびベースラインの役割を果たす。Trolox(登録商標)および関連分子の利点1つは、これらのビタミンE誘導体がロット間で比較的安定しており、ロット間の変動が比較的小さく、合成物質であるため信頼性の高い抗酸化活性濃度が得られる点にある。工程54の前記混合物は、工程56でリノール酸などの酸素ラジカル標的と混合したのち、工程58で酸素ラジカル発生剤を加える。アッセイを実施し、工程60では、経時的な溶存酸素消失の測定と、試料について格納された値とから曲線下面積(area under the curve、略称AUC)を計算する。前記試料は、順次または並行して前記溶媒:水:洗浄剤混合液に溶解し(工程66)、その後工程68で酸素ラジカル標的を加える。一般に、工程56および工程68では同じタイプの酸素ラジカル標的を使用し、工程58および工程70では同じタイプの酸素ラジカル発生剤を使用する。工程72では、前記試料のAUCを検出し、同試料に関する値を格納する。この時点で前記標準および試料のAUCを決定し、ブランクのAUCを減算することによってこれらの値を正規化する。次に、正規化した標準および試料のAUC値を比較し、試料の抗酸化活性レベルを計算する。
【0078】
以下の説明は本発明の例示に役立てるためであって、本発明の範囲を限定するためのものではない。前記洗浄剤Tween 20は、リノール酸の分散を助ける場合がある。リノール酸は、酸素の吸収が可能な二重結合をもたらす。Trolox(登録商標)は、内部標準として使われる合成抗酸化剤である。すべての試料から得られる値は、Trolox(登録商標)の値に関連付けられる。酸素ラジカル発生分子である2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2’ azobis (2−amidinopropane)dihydrochloride、略称AAPH)は、酸素と反応して炭素を中心としたラジカルを生じる。AAPHが生成するラジカルは、リノール酸の酸化を起こす。リノール酸が酸化されるとリノール酸の二重結合はケトンになり、これが前記炭素を中心としたラジカルに含まれる酸素分子と結合する。リノール酸の酸化により前記反応槽から酸素が除去される率は、酸素プローブにより測定される。アゾラジカルは、リノール酸と直接反応してリノール酸ラジカルの形成を起す可能性がある。前記リノール酸ラジカルは、前記反応槽内に存在する酸素と反応してケトンを形成する。以上提案したどちらの機構を介しても、酸素は、リノール酸の酸化により消費される。前記反応槽内での抗酸化物質による酸素の消費は、リノール酸の酸化を抑止することにより緩慢になる。溶存酸素に関する曲線下面積の計算値を時間に対しプロットすると、リノール酸の酸化を緩慢にする能力として、試料の抗酸化能の測度が得られる。
【0079】
酸素ラジカル発生剤。アゾラジカル発生剤は、本発明のORAC(o)アッセイに既知の濃度で存在し、抗酸化活性の測定用にラジカルを生成する。アゾラジカル開始剤には、例えば、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)などがある。
【0080】
例えば、前記ラジカル発生剤2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)は、分解して分子窒素および2つの炭素ラジカルになる。この炭素ラジカルは、互いに結合して安定した生成物を生成するか、酸素分子と反応してペルオキシルラジカルを生じる。AAPHの半減期は、約175時間(中性pHで37℃)である。そのため、最初の数時間、溶液中でのフリーラジカル生成率は本質的に一定である。多くの場合、AAPHは、脂肪酸の水分散における脂質過酸化に使われるため、単独で、あるいは親油性および/または疎油性のラジカル発生剤と組み合わせて使用することができる。本明細書に開示した溶媒系では、当該装置が前記試料中の総酸素を測定するため、親油性および/または疎油性のラジカル発生剤の一方または双方を使用することが可能である。
【0081】
溶媒系。ORAC(o)用の溶媒系は、溶媒と、水相と、洗浄剤とを含む3つの部分からなる。例えば、この溶媒は、アルコール、アミン、エステル、グリコールエーテル、グリコール、テルペン、および/またはこれらの混合物から選択される有機溶媒である可能性がある。前記有機溶媒系は、溶媒成分に対し、約50%未満、約30%または33%、20%未満、また一部のケースでは10%未満になるよう製剤される。
【0082】
一実施形態では、この溶媒はアセトンで、ORAC(o)溶媒系との体積比は約10%〜90%、水溶性部分のORAC(o)溶媒系との体積比は約10%〜90%で、前記洗浄剤は当該溶媒系の0.001%〜90%である場合がある。例えば、前記ORAC(o)溶媒系は、1/3が水で、1/3が洗浄剤で(「1/3」溶媒)、試料濃度は1mg/mLなどである。次に、同じ溶媒を使って希釈を行う。前記洗浄剤は、TWEEN(登録商標)(すなわちTween(登録商標) 20)、BRIJ(登録商標)、またはTRITON(登録商標)などの非イオン性洗浄剤か、CHAPS(登録商標)などの両性イオン性洗浄剤か、陽イオン性洗浄剤か、コール酸塩、デオキシコール酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、またはTWEEN(登録商標) 80などの陰イオン性洗浄剤か、界面活性剤であってよい。水:アセトン:洗浄剤の比は、それぞれ約5%:90%〜90%:5%である可能性がある。アセトン2分の1および水2分の1の2成分系を使うORAC(fl)と異なり、当該ORAC(o)溶媒系の洗浄剤では、試料全体から酸素を直接測定できる。変形形態の1つには、無作為にメチル化したβシクロデキストリンを使うORAC(fl−lipo)がある。
【0083】
ORAC(o)アッセイの用途。ORAC(o)アッセイは、本発明の栄養補給剤の成分を評価するため、さらに競合他社および/または本発明の最終的な栄養補助食品の試験および評価をするため、生物試料の総抗酸化活性の測定に使用することができる。生物試料を評価の使用用途としては、例えば、血清、脂溶性血清分画、水溶性血清分画、尿、脂溶性尿分画、水溶性尿分画、LDL分画、組織ホモジネート、抗酸化栄養補助食品の品質管理、食品、または保存料、新しい抗酸化栄養補助食品の開発、新しい食品か新しい保存料か新しい抗酸化治療の開発、食品製造および食品加工の品質管理、植物の抗酸化活性の評価、または化粧品の抗酸化活性の監視などがある。
【0084】
例1:ORAC(fl)アッセイおよびORAC(o)アッセイを使った抗酸化活性の比較。
【0085】
蛍光(ORAC(fl))を測定する先行技術の酸素ラジカル吸収能方法および溶存酸素(ORAC(o))を測定する本発明の方法を使って、抗酸化組成物の成分を抗酸化活性について分析した。生成物の抗酸化活性とは、ペルオキシルラジカルに起因する損傷に対し、当該生成物がその系を保護する能力である。
【0086】
比較対照としての、抗酸化活性を測定する先行技術の方法。ORAC(fl)アッセイについては、Ouらの方法(Ou,B.、Hampsch−Woodill,M.およびPrior,R.L.、J.Agric. Food Chem.2001、49、4619〜4626)に従った。Ouの公開済み手順との相違点は、オービタルシェーカーの速度(Ou、400rpm。本明細書、280 rpm)、遠心分離速度(Ou、14,000rpm、15分。本明細書、3200rpm、15分)、アッセイの時間長(Ou、30分。本明細書、100分)などであった。フルオレセイン、ナトリウム塩は、Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。Ou方法の場合は、被験抗酸化生成物に標準的な量のフルオレセインを加え、蛍光の開始時レベルを測定した。フリーラジカル開始剤を加え、時間および蛍光消失の度合いを測定した。Trolox(登録商標)、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸は、強力な抗酸化特性を伴った、細胞透過性で水溶性のビタミンE誘導体である。Trolox(登録商標)は、ラット胸腺細胞においてペルオキシ亜硝酸が仲介する酸化ストレスおよびアポトーシスを防止する、ロット間で品質が一貫した合成抗酸化物質であり、各試料との比較用に標準物質として使用されている。各実施試験には、各試料のORAC(o)値計算に使用するブランク(対照)を含める場合がある。プロットするのは蛍光対時間である。前記ブランク(対照)を各曲線から減算し、抗酸化物質の正味の曲線下面積を、Trolox(登録商標)の正味の曲線下面積と比較する。前記正味の曲線下面積が大きいほど、試料中の分子の抗酸化能も大きい。すべてのORAC(fl)分析は、COBAS FARA II遠心分離分析装置(Roche Diagnostic System Inc.社、米国ニュージャージー州ブランチバーグ(Branchburg)。励起波長=493nmおよび発光フィルター=515 nm)で実施した。結果は、試料1グラムあたりのTrolox(登録商標)等量のマイクロモルで示された。
【0087】
抗酸化活性の測定方法。 実施時、本発明のORAC(o)アッセイを、空気と平衡状態にある酸素の存在下で、標的分子(リノール酸)に対する溶液中の抗酸化組成物、その組み合わせなどの評価に使用した。フリーラジカル開始剤を加え、酸素が消失するまでにかかる時間を測定し、消失率を得た。標準としてはTrolox(登録商標)を使用し、対照としてブランク試験を実施した。時間に対して溶存酸素の量をプロットし、正味の曲線下面積を直接比較できるようにした。詳細な方法は、次のとおりである。緩衝液(K2HPO4(F.W.174.2)、NaH2PO4(FW 120.0))は、Sigma社(米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。リノール酸99%、Trolox(登録商標)(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)97%、Tween(登録商標)20、および2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩97%(AAPH)は、Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。HPLCグレードのアセトンは、Fisher社(米国ニューハンプシャー州ハンプトン)から入手した。YSI 5300A生体酸素計は、YSI社(米国オハイオ州イエロースプリングス)から入手し、製造元の仕様に従って使用した。
【0088】
ORAC(o)の方法。以下の原液を使用した。リン酸緩衝液の調剤(75mM、pH7.4);750mMのK2HPO4(F.W. 174.2);65.33gを秤量して500mLの容量フラスコに入れ、目印のところまでdH20を加える。濃度は750mMである。750mMのK2HPO4原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。750mMのNaH2PO4(FW 120.0);45.00gを秤量して500mLの容量フラスコに入れ、目印のところまでdH20を加える。濃度は750mMである。750mMのNaH2PO4原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。40mlの750mM K2HPO4原液およびl0mlの750mM NaH2PO4原液を混合する(4:1の比)。これにより、50mLのORAC原液緩衝液が得られる。原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。dH20(1:9)で混合液を希釈して、ORAC緩衝液の希釈標準溶液を生成し、pHを測定する。前記pHは7.4になるものである。使用直前まで、室温でカバーを掛けておく。
【0089】
Tween調剤。10gのTween 20を秤量し、90gの脱イオン水を加える。この混合物にカバーをかけ、一晩撹拌する。Tween原液は1週間保存が利く。カウンター上に保管する。
【0090】
溶媒調剤。25mLのアセトンと、25mLの脱イオン水と、25mLのTween 20とを混合する。この溶媒を使って試料を調製する。試験実施前には、プローブに損傷がないか点検し、特に膜に注意して必要に応じ膜を交換する。プローブは、脱イオン水に先端を浸して保存する。このアッセイでは、プローブを1つだけ、反応槽を1つだけ使用すべきである。ブランクおよびTrolox(登録商標)(10μg/mlまたは0.03995μmol/mlで)の試験を8時間ごとに実施する。
【0091】
試料は、濃度10μg/mlで試験を実施する。試料濃度およびTrolox(登録商標)濃度は、同一でなければならない。
【0092】
希釈液は、1mgの試料を秤量し、1mlの溶媒を加えて初期抽出を実施することにより調製する。1時間振盪し、0.5mlの初期抽出溶液をガラスのシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加えて第1の希釈液を調製する。この第1の希釈液を約30秒ボルテックスする。この濃度は0.1mg/mlすなわち100ppmである。この第1の希釈液を0.5ml取って別のガラスのシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加え、約30秒ボルテックスして濃度0.01mg/mlすなわち10ppmを得る。このバイアル試料を0.5ml取って別のガラスシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加え、約30秒ボルテックスして濃度0.01mg/mlすなわち10ppmを得る。これらのバイアルを4℃の冷蔵庫に入れる。37℃の水槽でリノール酸を融解させ、0.18mLのTween原液と、0.18mLの緩衝液と、0.44mLの脱イオン水とを70.8mgのリノール酸に加えることにより、リノール酸溶液を(最小光で)調製する。溶液管はフォイルで包んでおく。リノール酸溶液は、8時間ごとに新鮮なものにする。酸素ラジカル発生剤を調製するため、67.8mgのAAPHを秤量し、0.9mLの緩衝液に溶解する。AAPHは、冷却し続けることにより最高8時間使用できる。1時間振盪する。Trolox(登録商標)溶液は、常に冷却しておく。抗酸化活性の測定を開始するため、1.86mLの緩衝液を各反応容器に加え、2.36mLの水を37℃で前記シンチレーションバイアルに加え、この反応マトリックスが一定温度になるよう3分間撹拌する。0.284mLの試料を加え、前記プローブの先端を反応溶液に接触させないよう容器内に配置して、1分間撹拌する。測定は、遮光環境で行うのが最適である。
【0093】
データ取得後、プローブを槽から除去し、それぞれ0.357mLのリノール酸溶液を加え、プローブの末端を槽の元の位置に直ちに戻す。0.357mlのAAPH溶液を加え、プローブを溶液管内に注意深く迅速に配置して、反応領域に気泡が残らないよう、また溶液がプローブケースのオーバーフローリッジ部に至らないようにする。次に、プローブをこの溶液中に配置して測定値を取得する。データを取得し、抗酸化活性を計算する。
【0094】
試料は、「1/3溶媒」(別称ORAC(o)ORAC(o)溶媒系)に対し1mg/mLの濃度で調製する。「1/3」溶媒とは、水と、アセトンと、水で1:9に希釈したTween 20の溶液とを等量ずつ含むものである。280rpmのオービタルシェーカーにより、試料を1時間室温で振盪する。この試料溶液は、「1/3溶媒」で(一般に10μg/mLまで)さらに希釈したのち、分析可能な状態になった。「1/3」溶媒は、ブランクとしても使用した。
【0095】
YSI 5300A生体酸素計を使って、ORAC(o)アッセイを実施した。リノール酸は、0.18mLの75mMリン酸緩衝液(pH7.4)と、0.18mLの10重量パーセントTween(登録商標)20原液と、0.44mLの脱イオン水を、70.8mgのリノール酸に加えて調製した。AAPHは、0.9mLの緩衝液を67.8mgのAAPHに加えて調製した。最終的な反応液体積(5.218mL)でリノール酸(21.59mM)をフリーラジカル攻撃の標的として使い、AAPH(19.00mM)をペルオキシルラジカル発生剤として使った。標準としてはTrolox(登録商標)(10μg/mL)を使用した。測定値は、ゼロ値が観測されるまで毎秒取得した。
【0096】
ORAC(o)値(Oxygen Radical Absorbance Capacity oxygen specific electrode=酸素ラジカル吸収能酸素感応電極)の計算式は、次のとおりである。
【0097】
【数4】
【0098】
また、液体製剤を評価する場合は、ORAC(o)をミリリットルで計算することもできる。この計算により、試料1グラムあたりのTrolox(登録商標)等量のマイクロモルとして知られる数量が得られる。負値のORAC(o)は、ラジカルクエンチ活性がブランクで得られた活性より低いことを反映しており、組成物が酸化促進剤、すなわち抗酸化物質として作用せず、むしろ酸化を促進する薬剤であることを示す。ORAC(o)アッセイでは酸素が試料により吸収または放出されないものと仮定するが、試料の酸素レベルにおける影響はすべて評価でき、抗酸化計算値の補正に使用できる。
【0099】
ORAC(o)およびORAC(fl)のアッセイパラメータの比較。直接的および間接的な抗酸化能測定において、ORAC(fl)と比較したORAC(o)の優位性を測定した。ORAC(fl)は、測定される蛍光成分がフルオレセイン(標的分子)だけであるという仮定に依存するため、間接的な酸素ラジカル検出方法である。但し、抗酸化化合物の多くは自然状態で蛍光性であり(ブルーベリーなど)、ラジカル−ラジカル反応で生じるこれら化合物の組み合わせも蛍光を発する。そのため、試料からの蛍光によって、蛍光に基づいたアッセイの結果が歪められる可能性がある。他方、ORAC(o)法は酸素取り込みの直接測定で、すなわち、フリーラジカル内への酸素消失を直接測定するものである。この抗酸化能測定方法は、酸素が水溶性または脂溶性の成分に結合しているかに依存しない。ORAC(fl)法およびORAC(o)法のアッセイパラメータを比較したものを表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
本発明の明らかな利点の1つは、本装置および本方法を研究室環境に導入する際、利用者が新技術を習得したり、機器を購入する必要がない点である。例えば、試料の飽和について測定する場合、本発明では同じ緩衝液、条件、抽出工程および/または分離工程を多数回使用するが、これは、Ouらが開発した測定システムなど、すでに確立されている間接的な測定システムと同様である。Ouらは、アセトン/水(50:50、v/v)で濃度20mL中500mgの試料を調製し、これをロータリーシェーカーにより1時間400rpmで回転させ、14,000rpmで15分間遠心分離し、75mMのリン酸カリウム緩衝液によりpH7.4で希釈した(Ouら、Development and Validation of Oxygen Radical Absorbance Capacity Assay for Lipophilic Antioxidants Using Randomly Methylated-β−Cyclodextrin as the Solubility Enhancer、J.Agric.Food Chem.2002、50、1815〜1821)。本発明者は、Ouの条件(ORAC(fl)条件)下では試験試料の大部分が溶液に溶解せず、高可溶性の成分が低可溶性の成分に置き換わることを発見した。その結果、ORAC(fl)条件下で可溶化された試料の一部だけがORAC(fl)試料に含められ測定されることになる。そのため、分析用にORAC(fl)法に従って調製した上清溶液では、実際の試料の総抗酸化活性を示す可能性が低い。試料のORAC(fl)緩衝液溶液は常に試料の含有物を反映するとは限らないため、ORAC(fl)を使った結果は歪められている恐れがある。
【0102】
このように試料溶解の問題が認識されたほか、ORAC(fl)を使用した場合、ケルセチンおよび混合トコフェロールの混合液について実施される抗酸化測定では、混合トコフェロールの寄与が欠如していることが観測された。図7に示すように、ORAC(o)システムを使用した場合、5μg/mLのケルセチンおよび5μg/mLの混合トコフェロールを組み合わせたものは、10μg/mLの各成分と別個に比較して、より抗酸化効果のあることがわかった。これと対照的に、間接的なORAC(fl)システムでは、同じ組み合わせを使っても、ケルセチン単独での値を超える付加的な効果は示されなかった(図11)。混合トコフェロールとのこのような組み合わせでの活性の欠如と、上記の飽和問題は、ORAC(o)法では存在しない。これは、試料の濃度がより低く、また試料の全成分を可溶化する目的で試料用の溶媒がアセトンと水と洗浄剤とを含むためである。前記試料用の前記溶媒中にTWEEN(登録商標) 20を存在させるのは、混合トコフェロールの活性の検出を考慮したものである。Trolox(登録商標)活性の対照として、図7は、5μg/mLのケルセチンおよび5μg/mLの混合トコフェロールは、10μg/mLの各成分と別個に比べ、またTrolox(登録商標)対照も含め、ORAC(o)が経時的に前記試料に残った酸素ラジカルのレベルを検出する能力を示している。
【0103】
ORAC(o)は、より高価なORAC(fl)(自動約$250,000、非自動$50,000)と比べ、大幅な経費節約をもたらす。ORAC(fl)と対照的に、本明細書に開示したORAC(o)装置は、容易に小型化および/または自動化でき、また、診療所、さらに家庭向けに販売するために開発可能な市販の酸素センサシステムを活用するため、大規模な蛍光光度計検出システムの何分の1かのコストで済む。米国公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists、略称AOAC)の単一研究室での妥当性確認ガイドラインに基づき実施した検証では、表2、表3、表4の結果が得られた。
【0104】
【表2】
【0105】
日ごとの値は、濃度10μg/mLのケルセチン試料について3回実施した試験の平均である。前記HORRAT値は、観測されたRSDR値と、当業者に知られているHorwitzの式から予測されたRSDR値との比であり、一方法の精度に関する許容度(アクセプタビリティ)の指標であると見なされている。単一研究室性能検査では、一連のHORRAT比が0.5〜2.0であれば、その方法の精度は許容範囲内であると見なされる。前記5日間試験でのHORRAT値は1.98である。分析範囲を線形範囲として決定すると表3のとおりになる。
【0106】
【表3】
【0107】
線形性は、試料濃度1000μg/mL付近で衰える。この分析範囲を線形範囲と決定すると、最高500μg/mLの可変濃度の曲線下面積の値が決定される。表4には、単一日から得られた精度に関する結果を示した。
【0108】
【表4】
【0109】
単一日精度試験では、濃度10μg/mLのケルセチン試料について5回の試験を別個に実施した。ORAC(o)法に関する表4のHORRAT値は0.65448であった。
【0110】
前記ORAC(o)アッセイは、例2に記載する抗酸化組成物の成分比を最適化するため使用された。前記組成物の一実施形態における重量比は、ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%、ブッシュプラム1.64%であり、ORAC(o)を使った抗酸化値は17,254マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムであった。これと同じ組成物について、ORAC(fl)を使った抗酸化値は5,281マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムであった。これらのデータでは、ORAC(o)法およびORAC(fl)法で抗酸化活性を測定した場合、間接的なORAC(fl)法の制限により、得られる結果は異なることを示している。
【0111】
例2:相乗的な抗酸化組成物
本発明の栄養補助食品では、世界各地域の長寿人々の飲食物に顕著な5つの成分をそれぞれ、抗酸化組成物へと組み合わされる。本発明者は、長寿で知られる地域における飲食物の広範囲な研究に基づき、成分を選択した。本発明者は、これら地域での飲食物がフラボノールおよびトコフェロールを多く含むことを認識した。本発明者は、さらに、ある種の天然化合物が、抗酸化活性を再活性化させるビタミンCなどの分子と好適に相互作用することも認識した。実際、広範囲にわたる研究では、ビタミンCがαトコフェロールなどの再生で果たす役割を裏付けている(PizzornoおよびMurray、Textbook of Natural Medicine、1999、第2版、New York、Churchill Livingston)。
【0112】
この研究に基づき、本発明者は、長寿国の様々な地域から得られた、生物的に利用可能な化合物を高い割合で含有する、自然源およびその他の源から単離および精製した抽出物を1つの製剤へと組み合わせた。本発明の一例では、以下の基本成分を選択した。フラボノール、混合トコフェロール、ブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、またはブッシュプラム。これらの成分は、エクアドルのアンデス山脈付近のビルカバンバ村、カシミールのカラコラム山脈付近のHuzaの地、または旧ソ連領グルジア共和国アブハズ自治共和国の人々の飲食物に顕著であり、文献例としては、Leaf A.およびLaunois J.の"A Scientist Visits Some of the World’s Oldest People(科学者、世界指折りの長寿者数人を訪れる)"(National Geographic、1973年1月)、イタリア領サルジニア島に関するもの(Koenig R.の"Sardinia’s Mysterious Male Methuselahs(サルジニアの神秘的な男性長寿者)"(Science、2001年3月16日)、またオーストラリアに関するものがある。
【0113】
本発明の組成物は、相乗的な抗酸化活性を示した。理論に束縛されるわけではないが、前記抗酸化組成物の種々の成分は、細胞内サイトゾルと、細胞膜と、細胞外液とを保護する活性を有し、身体全体を保護する。例えば、ブッシュプラム成分は天然ビタミンCを多く含有し、細胞に入ることが可能で、親水性であり、サイトゾルの保護に利用できる。ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物は、親水性であり、細胞には入れることはできないが、細胞外液の保護に利用できる。また、混合トコフェロールは親油性であり、親水性および親油性の両性であるフラボノール(ケルセチンなど)とともに膜を保護する。さらに、飲食物に含まれ、栄養補助食品自体にも含まれる任意の繊維は、排泄の十分な手段となりうる。
【0114】
前記相乗的な抗酸化組成物の成分。本発明のORAC(o)装置および方法を利用することによって、本発明者は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の組み合わせについて、またこれらの薬剤の抗酸化活性増強に役立つビタミンCなどの他の薬剤について総抗酸化活性を測定することに成功した。ORAC(o)システムを使用することにより、ケルセチン、少なくとも2形態のビタミンEの混合物、および選択的にブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、オーストラリアブッシュプラムなどのフラボノイドを含有する相乗的活性を伴った抗酸化組成物が開発された。この相乗作用は、特にケルセチンと、ビタミンE形態の混合物との重量比が40/60〜90/10%の場合に観測される。この組成物の一実施形態は、次の重量比を含む。ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%、およびブッシュプラム1.64%。
【0115】
図6は、ケルセチンと、混合トコフェロールと、トコフェロールおよびケルセチンの混合物と、合成抗酸化標準物質Trolox(登録商標)(Hoffman−La Roche)を比較したORAC(o)アッセイの結果を示したグラフである。
【0116】
ケルセチンなどのフラボノイド。当該組成物のフラボノイドは、フラボンか、フラボノールか、イソフラボンか、イソフラボノールか、これらの類縁体か、これらの薬理上許容される塩か、これらの混合物である可能性がある。フラボノールの例としては、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチンなどがある。前記組成物に含める特定のフラボノイド、フラボノイド類縁体、または塩は、ORAC(o)を実施することによって決定される抗酸化活性により決定する。ケルセチン活性の80%以内の活性は、類縁体をもたらすと考えられている。フラボノイド、特にケルセチンに言及する場合も、例えば糖がアラビノースか、ラムノースか、ガラクトースか、グルコースかの場合は、そのアグリコンまたはグリコシドを指すよう意図されている。ケルセチンのラムノースグリコシドは、ルチンまたはケルセチンとして知られており、ミリセチンのラムノースグリコシドは、ミリシトリンとして知られている。ケルセチンの類縁体には、3、5、7、3’、および4’の位置のうち1若しくはそれ以上で−OH基以外の置換基を含有する化合物などがある。他の置換基としては、5炭素原子未満のアルキル、アセチル、スルフィル(sulphyl)、またはマロニルなどがある。ケルセチンの類縁体の場合は、1つまたは2つの位置だけが−OH基以外の任意の基で置換される。
【0117】
ケルセチンなどのフラボノイドは、容易に生体外で合成される。但し、フラボノイド(ケルセチンを含む)は天然食材、特にリンゴ、西洋ナシ、ブドウ、タマネギ、赤ワイン、ピーマン、アカフサスグリ、クロフサスグリ、レモン、サクランボ、クランベリー、グーズベリー、トマト、オリーブ、ラディッシュ、コールラビ、ホースラディシュ、ジャガイモ、アスパラガスといった果物や野菜などに存在し、これらから単離および精製しうる。ケルセチンはPharmline社(米国ニューヨーク州フロリダ)から入手可能である。
【0118】
ブッシュプラム:オーストラリアブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)は、HPLCクロマトグラム(データ示さず)でも示されるように約5%のビタミンCおよび各種成分を含む。これらの成分は、フラボンおよびフラボノイドを含有すると考えられている。前記HPLCクロマトグラムは、メタノールおよび水で抽出したブッシュプラム粉末試料を使って、流量1mL/分で、0.1%トリフルオロ酢酸および100%メタノールの段階的勾配を使った逆相C18カラムから得られたものである。その条件は、フラボノイドを分離し、ビタミンCを分離するよう開発したものである。吸収は245nmで測定された。
【0119】
ブッシュプラムの果肉および皮を種から取り除き、スラリー水溶液にする。このスラリーを凍結乾燥して粉砕する。本明細書の抗酸化組成物の場合、この凍結乾燥した材料を望ましい量だけ秤量する。ブッシュプラムは、本発明の組成物中には0重量%〜87.9重量%の量存在し、別の実施形態では約2重量%存在する。
【0120】
ブドウ皮抽出物。ブドウ皮抽出物はブドウ皮から調製され、30〜82%のポリフェノールを含有し、Polyphenolics社(米国カリフォルニア州マデラ(Madera))、Hunan Kinglong Bio−Resource Co.Ltd社Changsha Economic Development Zone(中国)、またはPharmline社(米国ニューヨーク州フロリダ)から入手可能である。
【0121】
緑茶抽出物。 緑茶抽出物はCamellia sinensisの葉からの抽出物で、35〜95%のポリフェノールを含有し、Amax NutraSource Inc.社(米国オレゴン州ユージーン(Eugene))、Blue California社(米国カリフォルニア州ランチョサンタマルガリータ(Rancho Santa Margarita))、またはPL Thomas & Co.社(米国ニュージャージー州モリスタウン(Morristown))から入手可能である。
【0122】
他の成分。本発明の抗酸化組成物は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチル、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体など、無毒で薬理上許容される担体を1若しくはそれ以上含有する可能性がある。これら1若しくはそれ以上の担体を使うと、カプセルまたは錠剤を容易に製剤でき、嚥下(飲み下し)または噛み下しを容易にできる。錠剤は、適切な担体か、結合剤か、潤滑剤か、希釈剤か、崩壊剤か、着色剤か、香料添加剤か、滑沢剤(flow−inducing agent)か、溶解剤(melting agent)を含有する可能性がある。錠剤は、選択的に1若しくはそれ以上の追加成分とともに、圧縮または成形で製剤しうる。圧縮した錠剤は、任意選択で結合剤(ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、錠剤分解剤(デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースなど)、界面活性剤、または分散剤と混合して、自由流動形態(粉末、顆粒など)の有効成分を圧縮することにより調剤が可能である。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコースやβラクトースなどの天然糖、コーン甘味料、アカシアやトラガカントやアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどがある。これらの剤形に使われる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどがある。成形錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末有効成分の混合物を、適切な機械で成形することにより製剤することが可能である。
【0123】
カプセル剤または錠剤は、任意選択でコーティングまたはスコアリングでき、抗酸化組成物の徐放(持続放出)または制御放出をもたらすよう製剤することが可能である。薬剤を制御放出するための時限放出組成物は、一般に選択した時間だけ腸内での分解または崩壊に耐性のある物質と混合された、あるいはその物質でコーティングされた薬剤粒子を含有する。薬剤の放出は、リーチングか、浸食か、破断か、拡散か、またはこれらに類似した作用により起こる。
【0124】
担体は、抗酸化剤の安定性を促進し、時限放出を提供する。AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formula(AMBROTOSE(登録商標)植物製剤)と呼ばれる植物炭水化物の混合物は、抗酸化組成物と組み合わせることができる。このような組み合わせによって、抗酸化組成物の有効期間が延長され、時限放出形態をもたらされる。AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、重量/重量比が約30/30/20/19/1のアラビアゴム(アカシア)と、キサンタンガムと、トラガカントガムと、ガッティガム(TicGum社より入手可能)と、アロエゲル抽出物(葉内ゲルや、Carrington Labs社(米国テキサス州アービングのMANAPOL(登録商標)粉末または類似生成物など)とを含む。前記AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、本発明の抗酸化組成物と重量比2:1〜1:2でブレンドされる。さらに別の実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、前記抗酸化組成物と重量比2:1でブレンドされる。
【0125】
カプセル剤または錠剤は、具体的な製剤に応じ、約0.1%〜90%未満の重量パーセントで付加的な植物成分を含有することが可能である。担体自体は一般に前記組成物に対し栄養学的に有意な効果を及ぼさないが、本発明の栄養的に有効な量の放出について、タイミングと、位置と、放出プロファイルに有意な影響を及す可能性がある。例えば、血液中または尿中から検出される抗酸化レベルをスパイクさせるよう、一連の放出事象において、1若しくはそれ以上の本発明の抗酸化物質を1若しくはそれ以上のボーラス投与をすることができる。別の実施形態では、抗酸化物質はやや均等に放出されるか、または血液中または尿中のレベルでスパイクを伴う勾配を有する状態で提供される。実際に、本発明には、消化中の異なる時間および/または位置における、疎油性抗酸化物質および親油性抗酸化物質の放出を含めることもできる。例えば、1つの抗酸化物質は、直ちに放出されるよう発泡性担体で提供し、異なる抗酸化物質は、胃酸などにより、あるいは腸管内で放出されるよう提供できる。
【0126】
製剤工程。ローラーコンパクター(乾式圧縮成形機)で抗酸化組成物を製剤する工程は、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを本明細書に記載の抗酸化組成物とブレンドする工程を有する。結果として得られるブレンドは、ローラーコンパクターに移送され、ローラー間で圧縮されて成形体となる。前記ブレンドに与えた圧力で、成分間の物理的粘着度が強化される。次に、前記成形体をミルにかけて造粒する。次に、この造粒で形成された顆粒を、カプセル剤や錠剤など望ましい剤形に形成する。一例では、固定力10トンおよび約0.093のフィッツミル(Fitzmill)スクリーンを有するFitzpatrick Chilsonatorモデル4LX10Dローラーコンパクターを、回転方向に垂直なノッチが表面全体に付いたロールで使用する場合がある。前記ローラーコンパクター装置は、Gerteis Polygran社(ドイツ、ゲルタイス(Gerteis))の乾式圧縮成形システムなどのように、可変回転速度調整能力と、加力調整能力と、間隙幅の調整能力を有する場合もある。前記ローラーコンパクターは、前記ブレンドを2つの相反する方向に回転するローラー間に通過させて、同ブレンドに均一に圧力をかけることにより機能する。前記ローラーが前記ブレンドに加える圧力により、同ブレンドはシートやリボンなどの成形体へと圧縮され、通常、ミルにかけられて顆粒になる。その他、造粒は強打、ミル加工、または篩過により行われる。顆粒は、20〜80番のメッシュで得られたものを選択する。
【0127】
抗酸化組成物とAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaとをローラーコンパクターで組み合わせたものは、酸素に晒される抗酸化組成物の表面積が小さくなることから、有効期間が長くなると考えられる。また、このローラーコンパクターによる組み合わせによって、カプセルまたは錠剤製剤工程における賦形用の充填剤も不要になる。本明細書に記載の抗酸化組成物にAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを組み合わせることの付加的な利点としては、消化管内で不対電子を吸収する働きをする不溶性繊維の提供、およびフリーラジカルにより損傷した細胞の修復において、細胞媒介性コミュニケーションに関与する細胞糖型を適正構造にするための単糖類の提供などがある。
【0128】
用量。本発明の組成物投与に有用な用量の製剤としては、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000mgの抗酸化組成物を含むカプセル剤または錠剤などがある。一実施形態では、当該組成物に充填剤も、担体も、安定剤も加えない。実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを、本発明の抗酸化組成物と重量比2:1か、1:1か、1:2かでブレンドする。さらに異なる別の実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを、前記抗酸化組成物と重量比2:1でブレンドする。さらに異なる別の実施形態では、カプセル剤または錠剤により、500mgの抗酸化組成物をAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaとブレンドしたものを提供する。この実施形態の場合、錠剤またはカプセル剤を1日に2つ服用する。口当たりをよくする、または吸収を遅延するよう、適切なコーティングを施すこともできる。
【0129】
図8および図9は、抗酸化能の測定にORAC(o)法を使い、ケルセチンおよび混合トコフェロールの比を変えて正味の曲線下面積(AUC)の結果を示したものである。試料(Q+MT)の総濃度は、アッセイする全割合について10μg/mLである。例えば、ケルセチンが0%の場合、混合トコフェロールの濃度は10μg/mLで、試料にケルセチンは含まれない。ケルセチンが10%の場合、試料は1μg/mLのケルセチンと、9μg/mLの混合トコフェロールとを含み、ケルセチンが20%の場合、試料は2μg/mLのケルセチンと、8μg/mLの混合トコフェロールとを含むことになる。前記相乗効果は、ケルセチン40〜100%で容易に観測され、ケルセチン40〜90%で最も容易に観測された。各グラフの直線は添加剤の効果を表しており、ケルセチン10%では、この線は混合トコフェロール単独の場合の活性の90%と、そしてケルセチン単独の場合の活性の10%との合計を表す。相乗効果は、この線の上側に見られる。
【0130】
本発明の組成物の第1の抗酸化物質成分(ケルセチンとしてのフラボノイド、および少なくとも2形態のビタミンEの混合物)は、12.1重量%〜100重量%または30重量%〜85重量%、あるいは別の実施形態では約82重量%の5つの成分を含有する。一実施形態では、前記5つの成分の総重量に対し、ケルセチンの量が49.18%で、ビタミンE形態の量が32.79%である。
【0131】
本発明の組成物の第2の成分(すなわち増強剤)(ブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、ブッシュプラム)は、前記5つの成分の0重量%〜87.9重量%か、15重量%〜70重量%または約18重量%を含有する。図10に示すように、ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物の最適比は、49.18%ケルセチンと、32.79%混合トコフェロールと、1.64%ブッシュプラムの存在下で決定した。ブドウ皮抽出物と緑茶抽出物との最適比は60/40〜80/20である。一実施形態では、前記抗酸化組成物の総重量に対し、ブドウ皮抽出物が9.84%で、前記緑茶抽出物は6.56%である。ブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)は、当該組成物の成分として約0%〜87.9%の量、または別の実施形態では約2%の量で提供される。図10の実施形態では、ブッシュプラムはこの組成物の1.64%である。
【0132】
ORAC(o)アッセイでは、ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%およびブッシュプラム1.64%の重量比を含有する抗酸化物質ブレンドが、17,254マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムの抗酸化活性を有することが示されている。
【0133】
AMBROTOSE AO(TM)の安定性。AMBROTOSE AO(TM)は、AMBROTOSE(登録商標)(米国Mannatech社)および本発明の抗酸化製剤を2:1の重量比でブレンドしたもので、安定性が加速された条件下で(相対湿度75%で40℃)その活性を維持し、有効期間を約6か月にすることが示されている。
【0134】
ORAC(fl)と比較した場合のORAC(o)アッセイの妥当性確認。図11はORAC(fl)の結果のグラフで、αトコフェロールを異なる比でケルセチンと混合することの、抗酸化(AO)活性への寄与は示していない。このグラフは、標準的なアセトン水溶液でのORAC(fl)アッセイにおいて、AUCが、ケルセチン濃度の増加に直接比例して線形に増加していることを示している。抗酸化活性への寄与が欠如しているのは、αトコフェロールがアセトン:水に溶解しなかったことに起因している可能性がある。
【0135】
図12Aおよび図12Bは、混合トコフェロールを使ったORAC(fl−lipo)の結果と、前記溶媒/水/洗浄剤溶液を使って試料を溶解し親油性抗酸化能および疎油性抗酸化能の双方を検出した相対AUCの結果を示したグラフである。図11(上記)では、αトコフェロールについて、親油性抗酸化物質(AOs)の抗酸化(AO)寄与を検出する標準的ORAC(fl)法を使って、統計的に有意な活性が検出できなかったことを示していた。図12Aに示すように、αトコフェロールに関する前記ORAC(fl−lipo)のAUCを、公開済みORAC(fl−lipo)法(アセトン:水)と、アセトン:水:Tween 20とで比較したところ、同ORAC(fl−lipo)アッセイでAUCの大幅な増加が検出された。図12Bは、ケルセチンおよび混合トコフェロールを組み合わせても、結果は横座標全体にわたり直線状になり、このアッセイにおける相乗効果の欠如を示すことから、前記既知のORAC(fl−lipo)法を使った場合、相乗効果が検出されないことを示している。
【0136】
文献とその文献で推奨されている方法の調査を行えば、既知のアッセイから上記の結果が得られても驚くには当らないものである。いわゆる「高ORAC食品(High−ORAC Foods)」(www.ars.usda.govを参照)の評価に関する現在の標準には、疎油性抗酸化物質とは別個に親油性抗酸化物質の抗酸化能を測定することが標準であると示されている。本発明によって、この二分法、すなわち試験管ORAC値を血清ORAC値への効果に関係付ける際に、研究者等が観測してきた食い違いの結果が起こりうる二分法の必要性が排除されるものである。USDA(米国農務省)のAgricultural Research Service(農事試験場)は、ORAC(fl)評価と比較して血清中の抗酸化効果を測定した際、試験管ORACアッセイでは、ホウレンソウの方がイチゴよりスコアが低いが、血清ORAC値ではホウレンソウの方がイチゴより高い効果を示すことを発見した。本発明者は、本発明および本明細書で説明する組成物を使い、可変溶解度により抗酸化物質間の相互作用を可能にしてヒト体内での抗酸化物質の活性をより反映するシステムを開発することにより、上記の食い違いを解決した。間接的なORAC(fl)法および/またはORAC (fl−lipo)法は、総抗酸化活性を測定できず、一定の食品の相乗効果を検出することができない。
【0137】
図13は、可変量の洗浄剤と合わせてαトコフェロールを使ったORAC(fl)AUCの結果のグラフで、その試料のAUC測定値への効果を示している。このアッセイでは、前記1/3溶媒を完全に1/3使用し、また、より少量のTween 20との混合液に使用している。図14は、溶媒:水と洗浄剤との比が異なる2つの混合液に溶解した、固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。図13および図14の結果は、前記洗浄剤(Tween 20)がAUC増加の主な原因であることを示しており、これにより、標準的アセトン:水の混合液と比べてORAC(fl)活性の検出値が増加していることを示している。
【0138】
例3。抗酸化物質の相乗効果および増強に関するORAC(o)検出
ORAC(o)アッセイが親油性抗酸化活性および疎油性抗酸化活性の双方を検出可能であることを示すため、既知濃度の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の特定の組み合わせの効果に関する、さらに例えばブドウ種抽出物および緑茶抽出物それぞれ単独での場合と比較しつつ、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物を加えることによる前記効果の増強とに関する一連の研究が行われた。図15は、異なる比のケルセチンおよび混合トコフェロールにより得られたORAC(o)値を示したグラフである。図16は、異なる比のブドウ種抽出物(grape seed extract、略称GES)および緑茶抽出物(green tea extract、略称GTE)についてORAC(o)値を示したグラフである。GSEおよびGTEの抗酸化活性に関する最大比を決定した後、これら2つを、ケルセチンおよび混合トコフェロールについて最適化した比で組み合わせた。図17は、ケルセチン:混合トコフェロールと、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物との最大比の組み合わせについて、ORAC(o)値を示したグラフである。これにより、ケルセチンおよび混合トコフェロールの組み合わせと、GSEと、GTEとが、栄養補助食品の抗酸化能を最大化することがわかった。
【0139】
例4。少数健常人の非盲検、非プラセボ対照試験におけるAMBROTOSE AO(TM)の抗酸化効果
抗酸化物質は、生体基質の酸化を遅延または防止できる任意の物質と定義される。抗酸化物質を含有する果物および野菜を多く含んだ飲食物は、酸化ストレスが原因と考えられる病理疾患の発生減少に関与すると考えられてきた。但し、単離した抗酸化化合物を補給しても、一部のケースでは健康改善に効果が見られないことが多く、他のケースでは危険でさえある1,3,4。果物および野菜を多く摂取することによる抗酸化物質の利点は、必ずしも単一の抗酸化物質から来るものではなく、むしろこれらの食品に存在する異なる抗酸化物質の組み合わせの協動作用から来るものであることが示唆されている5,6。この単一抗酸化物質の重視により、抗酸化物質に富んだ飲食物の保護効果を科学者がいまだ栄養補給剤で再現できない理由が説明できると考えられる7。
【0140】
近年の研究では、糖質栄養素(glyconutritional、略称GN)栄養補助食品、すなわち細胞コミュニケーションおよび免疫機能を助ける糖を提供する栄養補給剤が、生体外でも生体内でも抗酸化特性を有すると示唆されている。GN栄養補助食品を含む培養液で成長させたラット肝臓細胞は、対照より高レベルの還元グルタチオンを示しており、これにより抗酸化保護の増加を示している8。
【0141】
試験的な臨床研究では、GN栄養補助食品を消費した被験者において酸化ストレスのバイオマーカーが低下し、酸化防御のバイオマーカーが増加したことが示された。毎日2gのGN栄養補助食品を通常の食事に加え始めた後76日以内で、総鉄結合能および葉酸に有意な増加が観測され、銅/セルロプラスミン比に有意な減少が観測された。また、血清中アルケナールと、ホモシステインと、8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8−hydroxydeoxyguanosine、略称8−OHdG)と、総コレステロールの減少、および酸素ラジカル吸収能(ORACβ−PE)の増加を示唆する傾向も観測された9。
【0142】
近年の研究では、広範囲な栄養素(一部は既知、他は未確認)が果物および野菜の抗酸化活性を説明することが示されている10,11,12,13,14。有益な抗酸化物質として知られているものには、ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなどがある6。ブドウ(および赤ワイン)と、緑茶と、オーストラリアブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)とを含むある種の飲食物は、このような抗酸化物質を比較的高レベル含有する6,15,16。
【0143】
この研究では、緑茶と、ブドウと、混合トコフェロールと、ケルセチンと、オーストラリアブッシュプラムとから導出されるブレンドをGN栄養補助食品に組み合わせた、新規性のある栄養補給剤がもたらす抗酸化保護を測定した。
【0144】
方法。Cover−Tek,Inc.社(米国テキサス州ダラス)により血液試料が回収された。血液および尿の試料はすべてGenox Corporation社(米国メリーランド州ボルティモア(Baltimore))により分析され、統計分析は、すべてDecision Analyst社(米国テキサス州アーリントン(Arlington))により行われた。
【0145】
試料の抗酸化能を試験する方法は、いくつか公開されている17。この研究で使われた試験は、血清全体のORACβ−PE測定であった。この方法では、既知の標準であるTrolox(登録商標)との比較で、特にペルオキシルラジカルに対する血清試料の抗酸化物質の捕捉能を決定するため、蛍光プローブであるβフィコエリトリンを使う。その結果は、マイクロモルTrolox等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムで表される18。この研究に使われる他の標準分析技術としては、フリーラジカルによる脂質損傷量に間接的に関係する尿脂質ヒドロペルオキシドおよびアルケナールの測定と、DNA損傷に間接的に関係する尿8−OHdGの測定がある19,20,21。
【0146】
この研究に使用した抗酸化栄養補給剤AMBROTOSE AO(TM)は、ケルセチン、混合トコフェロール、ブドウ抽出物、緑茶抽出物、オーストラリアプラムの成分の生体外評価を使って開発された。これら各成分の生体外の抗酸化値は、標準ORACfl法を使って決定した(異なる蛍光プローブであるフルオレセインを使用)。前記成分の混合物の抗酸化値は、新規開発された、溶存酸素を直接測定する方法であるORACoを使って決定した。脂溶性および水溶性の抗酸化物質は生体内で協動的に作用するため、脂溶性および水溶性の化合物の寄与および相互作用を同時に測定する前記ORACoは、蛍光ベースの方法(ORACfl、ORACfl−lipo、ORACβ−PE)に比べ改善されている。これらの方法は、良くても脂溶性および水溶性の化合物における単独の活性を測定するのみであるが、ORACoは、水溶性成分および脂溶性成分双方のブレンドについて生体外の総抗酸化活性をより正確に決定するものである。前記水溶性および脂溶性の成分を組み合わせてORACoで評価し、前記ブレンドの最大相乗効果および最適生体外ORACo値を確立した*。
【0147】
その結果得られたブレンドをAMBROTOSE(登録商標)複合体とともに1:2の比でローラーコンパクターにかけ、AMBROTOSE AO(TM)を調製した。AMBROTOSE(登録商標)に含まれる天然ガムの多くは、化合物の放出を制御して徐放をもたらすために使われている。具体的な生成物の開発は、別個の公開および米国特許出願の対象である。
【0148】
この研究は、標準化した試験を使って、血清ORACβ−PEにより直接決定され、また尿脂質ヒドロペルオキシドと、アルケナールと、8−OHdGの分析により間接的に決定される異なる量のAMBROTOSE AO(登録商標)について、生体内抗酸化活性を決定するよう計画されている。近年、PriorおよびCaoは、腎不全など、酸化ストレスとはまったく無関係な一部の病理疾患により、任意の一試験の結果が変化する恐れがあるため、任意の単一試験よりも一連の試験が必要であることを示唆した22。
【0149】
参加者すべてからインフォームドコンセントを得た。栄養補給剤、あるいは当該研究と干渉する可能性があるいかなる薬物も服用していない12人の健常な男女成人ボランティアが登録された。年齢22〜61の男性4人および女性8人からなる前記研究対象者は、前記抗酸化栄養補助食品を量を増加させながら摂取した。ORACβ−PEの経時的変動性を評価し、検査結果の再現性を試験するため、栄養補助食品を服用していない追加参加者から血液および尿の試料が回収された。この研究中、参加者は、各自研究以前の通常の日課および食事を続けた。表5は、前記研究対象者に関する情報を示したものである。
【0150】
【表5】
【0151】
前記12人の研究対象者については、栄養補助食品を摂取しない2週間の初期休薬期間後、さらに、抗酸化栄養補助食品の量を増加させていく各2週間の終了時に、朝の空腹時において血清ORACβ−PEおよび尿を分析した。使用量は、栄養補助食品の使用を開始した最初の14日間(期間1)が1日500mg(1カプセル)、第2の14日間(期間2)が1日1.0g(2カプセル)、第3の14日間(期間3)が1日1.5g(3カプセル)であった。また、当該分析の精度を試験するため、栄養補助食品を消費していない各個人から得られた血液および尿の試料が3回分析された。血液および尿の試料は独立採血専門技師(phlebotomist)により回収され、直ちにドライアイスで覆って梱包されて、調製用に現地病院の研究室へ輸送された。次に、調製された血清および尿の試料は、Genox社のプロトコルで独立した分析を行うため、ドライアイスで覆って翌日配達便でGenox社へ送られた23。その後、任意の分析試薬の変化を最小限に抑えるため、全試料をGenox社でドライアイス保存して、研究終了時にORACβ−PEおよび尿の測定をすべて同時に行なった。
【0152】
結果:ORAC値およびベースラインデータからのパーセント変化。AMBROTOSE AO(TM)を服用している12人の参加者について、ORACβ−PE値およびベースラインからのパーセント変化を示したのが表6である。ベースラインは2週間の休薬期間後で、2週間後の期間1に500mg、2週間後の期間2に1.0g、2週間後の期間3に1.5gであった。期間2の試料の血清バイアルラベルが、Genoxへの配送中に一部剥がれてしまったため、ORACβ−PE値はこの期間の研究参加者3人だけに特に割り当て、残りの研究参加者または追加の非研究参加者には割り当てなかった。
【0153】
【表6】
【0154】
生ORACデータの統計解析。反復測定ANOVA検定を行い、前記ベースラインと、期間1と、期間2と、期間3の生ORACデータ間に差があったかどうか決定した。前記期間の間には、全体的に有意な差があった(F(3,24)=4.02、p=.020)。事後解析により、期間2はベースラインと有為に異なることがわかった(t(24)=−3.47、p=.002)。期間1は期間2と有為に異なっていた(t(24)=−2.77、p=.011)。期間2は期間3と有為に異なっていた(t(24)=2.87、p=.009)。各期間の平均は表6のようになった。
【0155】
【表7】
【0156】
ベースラインORACデータからのパーセント変化の統計解析。上記に報告した解析に使用した生データ(表6)とは対照的に、この解析では、ベースラインからのパーセント変化として表された期間の間の差を調べた。反復測定ANOVA検定を行い、期間1と、期間2と、期間3のORACデータについて、ベースラインからの各パーセント変化間の差を評価した。オムニバス検定を行ったところ、全体的な有意差は見られなかった(F(2,13)=0.71、p=.510)。また事後解析からも、期間の間には有意な差が見られなかった。各期間の平均は表7、それに対応する箱ひげ図は図Bに示したとおりである。
【0157】
【表8】
【0158】
表8は、平均脂質ヒドロペルオキシドと、総アルケナールと、8−OHdGの値をまとめたものである。これらは、同じ試料について同時に測定した尿クレアチニンで除算することにより、尿濃度変動について補正してある。
【0159】
【表9】
【0160】
大気質。大気質は、酸化ストレスのレベルを左右することが知られている。オゾンや二酸化窒素など一般的な汚染物の濃度が増加すると、大気質が低下する。これにより、ROS(活性酸素種)の生成される可能性が高まる24,25。各2週間の期間について、前記対象者等が居住するダラス(Dallas)/フォートワース(Fort Worth)(DFW)地域での米国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agency、略称EPA)による平均大気質指標を要約したものを表6に示す。前記EPAでは、各地域の大気質マップにカラーコードが使われている。すなわち、緑色:「良好」(0〜79/10億(parts per billion、略称ppb)のオゾン)、黄色:「中程度」(80〜99ppb)、オレンジ色:「敏感な集団にとって有害」(100〜124ppb)、赤色:「有害」(125〜149ppb)、および紫色:「非常に有害」(150ppb以上)である。これらの色に次の数を割り当てることにより、この研究を実施した地域に関する日次EPAマップの数値を計算した。緑色:1、黄色:2、オレンジ色:3、赤色:4、および紫色:5。また、公開されているEPAマップの各地域の色に基づき各日付の平均数値を推定し、次に、各日付の数値を、この研究の各2週間の期間について平均した(表9)。
【0161】
【表10】
【0162】
上記で概略説明した、期間2での研究参加者への値割り当ての不確定性を考慮して、前記12人の研究参加者について考えられる最低の平均ORACβ−PEを計算した。ラベルを識別できなかった血清試料のうち最も低い値から9個の値がこの研究の参加者に帰属すると仮定した場合、これらを既知の3つの値と組み合わせると、考えられる最低の平均値が得られ、これにより、ベースラインからの変化について最も保守的な推定値が得られる。前記最も低い値から9個のORACβ−PE値は、4727.9、5233.9、5104.3、4599.9、5699.9、5364.8、3987.3、4179.7、および4584.9であった。表5の期間2についてわかっている3つの値と組み合わせると、期間2の12人の研究参加者について平均ORACβ−PE値5467.70が得られる。これはベースラインの平均値4279.49を27.8%上回るものである。
【0163】
考察。諸研究により、果物および野菜を多く含む飲食物を摂取すると酸化ストレスに対する防御が得られることが示されている7,26,27。食事指針では、2〜4サービング(1回の摂取量または1皿分)の果物および3〜5サービングの野菜を毎日摂取するよう提唱している28。このような事実を知り、これらの推奨を受けているにも関わらず、米国で推奨量を毎日摂取する人々の数は極わずかである。
【0164】
米国農務省(U.S.Department of Agriculture、略称USDA)が資金援助した臨床研究において、研究者等は、果物および野菜の摂取量を増加させると(具体的には通常の1日5サービングを実験的に1日10サービングに増加させると)、2週間後には血清ORACβ−PE値が最高約13%と有為に増加することを発見した7。この研究では、各量の栄養補助食品を使った平均血清ORACβ−PE値の増加は、500mgで19.1%、1.0gで37.4%、また1.5gで14.3%であった。これらのデータは、健常人においてベースラインと比べ血清ORACβ−PEの最大増加をもたらす最適な量は、1.0gであることを示唆してる。AMBROTOSE AO(TM)1.0gに対する保守的な増加推定値27.8%は、果物および野菜を毎日5つ付加的に摂取する個人について報告されている13%の2倍以上である。
【0165】
尿脂質ヒドロペルオキシド/クレアチニン値は、栄養補助食品摂取量の増加とともに低下した。各量に関する減少は500mgで12.1%、1.0gで15.0%、そして1.5gで17.0%であり、研究の範囲では、栄養補助食品量の増加に伴い脂質損傷に対する防御が増加したことを示唆している。
【0166】
脂質ヒドロペルオキシドデータがなぜORACβ−PE値と厳密に相関しないかは明らかではない。血清ORACβ−PEは、血液が測定時にフリーラジカルをクエンチする能力に関する血液の抗酸化保護の測度となる。尿脂質ヒドロペルオキシドは、脂質が過去に受けた酸化損傷のマーカーである。実際の脂質損傷と、尿中の脂質ヒドロペルオキシドの態様の間の時間的関係は、明確に定義されていない。これらの時間的差分が、部分的に、この不一致を説明する可能性もある。
【0167】
尿脂質ヒドロペルオキシドのほか、尿8−OHdGおよびアルケナールについても、各期間において測定した。これらに有意な差および傾向は観測されなかった。この結果についても、実際の脂質と、DNA損傷と、尿中のバイオマーカーの時間的関係に関係する可能性がある。
【0168】
研究参加者は、前記DFW地域に居住していた。DFWについて公開されたEPA日次大気質評価は、各2週間の期間について平均した。研究の実施期間中、大気質は悪化していた。この場合、通常であればROSが増加するため、脂質ヒドロペルオキシドなど酸化損傷のバイオマーカーが増加し、酸化ストレスが増加することが期待される29。しかし、対照的に、測定された血清ORAC値は増加しており、保護効果の増加は明白であった。さらに、尿脂質ヒドロペルオキシド値の下降傾向と、尿8−OHdGおよびアルケナールの安定性とが、酸化損傷が減少した証拠を提供している。これらのデータを総合すると、前記栄養補助食品がもたらした抗酸化効果は実際測定された効果より大きかったことが示唆される。
【0169】
結論。公開されている指針では果物および野菜の摂取を推奨しているが、それに従っていない人々が圧倒的多数であるのが現状である。これらの予備的データは、製品中に抗酸化活性を維持する最適な抗酸化成分を含有した栄養補給剤が、血清ORACβ−PEで測定されたように、健常人における抗酸化保護を増加させ、尿脂質ヒドロペルオキシドで測定されたように脂質の酸化損傷を低減することを示唆している。2週間後に血清ORACβ−PEがベースラインを超えて増加したことにより示された、健常人における保護性は、500mgと、1.0gと、1.5gとのAMBROTOSE AO(TM)を使った場合、2週間5つの果物および野菜を食事に追加した公開済みデータ記載値より優れていた(19.1%、37.4%、および14.3%に対し13%)。
【0170】
本発明者の知る限りでは、抗酸化栄養補助食品を使って健常人における酸化ストレスの4つの測度を検査し、上記のような血清ORACβ−PEの増加を示したのは、本研究が最初である。ORACβ−PE値が示唆したように、健常対象者における最適範囲は1日あたり1gであるが、研究では、血清ORAC値が低い個人には、高用量の抗酸化物質補給が有効であることを示している30。従って、酸化ストレスの増加に悩む個人、また酸化ストレスに悩む個人には、より大量の用量が有効である可能性がある。
【0171】
抗酸化ブレンドの製剤ではORACoを使用したが、独立した研究室では確立された方法であるORACβ−PE法を使って、ヒト臨床試験の血漿試料を分析した。AMBROTOSE AO(TM)製品の抗酸化効果に関する生体内評価は、ORACo法によるものではない。
【0172】
これらのデータは、血清ORAC(β−PE)で測定されたように、本抗酸化栄養補助食品が、それを摂取者において抗酸化保護を増加させ、尿脂質ヒドロペルオキシドで測定されたように、脂質の酸化損傷を減少させることを示している。
【0173】
本明細書で説明する特定の実施形態は、本発明を例示するためのものであって、本発明を限定するためのものではないことが理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の実施形態に使用できる。当業者であれば、通常範囲を超えない実験を使って、本明細書で説明した具体的な手順に対応する無数の実施形態を理解し、また確認できるであろう。このような対応形態は、本発明の範囲内であり、前記請求項により包含されるものと見なされる。
【0174】
本明細書で言及した公報および特許出願はすべて、本発明に関する当業者の技能レベルを示している。すべての公報および特許出願は、各公報または各特許出願の言及による組み込みを具体的かつ個別に示した場合と同程度に、言及により本明細書に組み込むものとする。
【0175】
本明細書で開示および主張したすべての組成物および/または方法は、本開示に照らして、不適切な実験を行うことなく、調製および実施することができる。以上、好適な実施形態により本発明の組成物および方法を説明してきたが、当業者であれば、本発明の概念、精神および要旨を逸脱しない範囲で、本明細書で説明した前記組成物および/または方法、および方法の工程または一連の工程には種々の変形形態を適用できることが明白である。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連した特定の薬剤を、本明細書で説明した薬剤の代わりに使用しても、同じまたは類似した結果が達成できることが明白である。当業者に明らかな、これらすべての類似代用形態および変更形態は、添付した請求項が定義する本発明の精神、要旨および概念の範囲内であると見なされるものである。
【0176】
【表11−1】
【0177】
【表11−2】
【0178】
【表11−3】
【図面の簡単な説明】
【0179】
本発明の特徴および利点をより完全に理解するため、添付の図面とともに発明の詳細な説明を参照する。添付の図面は以下のとおりである。
【図1】図1は、ORAC(o)抗酸化物質直接検出装置を示したものである。
【図2】図2は、本発明のORAC(o)法のフローチャートである。
【図3】図3は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、ブランク溶液を、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図4】図4は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、抗酸化標準Trolox(登録商標)を、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図5】図5は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、前記ブランク溶液と、前記標準と、前記試料とを、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図6】図6は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(mixed tocopherols、略称MT)の組み合わせの抗酸化効果を、10μg/mL濃度の各成分と別個に比較し、本発明のORAC(o)法で測定して示したグラフである。
【図7】図7は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(MT)の組み合わせの抗酸化効果を、対照試料としてのTrolox(登録商標)と比較し、本発明のORAC(o)法で測定して示したグラフである。
【図8】抗酸化能の測定用に前記ORAC(o)法を使って、ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定比から得られた曲線下面積(Area Under the Curve、略称AUC)の結果のグラフである。
【図9】図9は、抗酸化能の測定用に前記ORAC(o)法を使って、ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定比から得られたAUC結果に関する別のグラフである。このグラフでは、期待された結果(線)およびこの線の上部分で検出された相乗効果の度合いを、前記ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定から期待された結果と比較した場合に示しされた抗酸化能を測定するものである。
【図10】図10は、49.18%ケルセチンと、32.79%混合トコフェロールと、1.64%ブッシュプラムの存在下における、ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物の可変比についてORAC(o)アッセイの結果を示したグラフである。ブドウ皮抽出物と緑茶抽出物との最適比は60/40〜80/20である。
【図11】図11は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(MT)の組み合わせに関するORAC(fl)の結果を、10μg/mL濃度の各成分と別個に比較し示したグラフである。
【図12A】図12は、アセトン:水に溶解した、ケルセチン対αトコフェロールの滴定を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図12B】図12は、アセトン:水に溶解した、ケルセチン対αトコフェロールの滴定を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図13】図13は、溶媒:水:洗浄剤混合液に溶解した固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図14】図14は、溶媒:水と洗浄剤との比が異なる2つの混合液に溶解した、固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図15】図15は、異なる比のケルセチンおよび混合トコフェロールにより得られたORAC(o)値を示したグラフである。
【図16】図16は、異なる比のブドウ種抽出物および緑茶抽出物についてORAC(o)値を示したグラフである。
【図17】図17は、ケルセチン:混合トコフェロールと、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物との最大比の組み合わせについて、ORAC(o)値を示したグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として抗酸化物質センサの分野に関し、より具体的には、親水性および疎水性抗酸化物質の双方を直接測定する抗酸化物質センサおよび当該抗酸化物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2004年8月26日付け米国特許出願第10/648,047号明細書の優先権を主張するものであり、また当該米国特許出願第10/648,047号明細書の一部継続出願である。以下、本発明の範囲を限定することなく、抗酸化物質センサの技術および検出方法と関連させて本発明の背景を説明する。
【0003】
生体系には、ラジカルおよび他の酸化促進性種の影響に対抗するため、抗酸化系が構築されている。抗酸化物質とは、酸化基質と比べ低濃度で存在する場合、その酸化基質の酸化を有為に遅延または防止する任意の物質である。多数の有機的組織体により符号化されたスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなど、一部の酵素は抗酸化物質である。ビタミンCや植物フェノールなどの物質は、食事を通じて生体系へ導入される抗酸化物質である。これらの物質については、体内での生成または通常の食事での摂取により自然発生するレベルが十分でないと提唱されてきている。通常の食事は果物、野菜が不足し、且つ/または前記食事に含まれる前記果物および野菜は、現代の加工処理により抗酸化物質が激減してしまっているため、通常の食事では抗酸化物質を十分に摂取することができない。通常の食事を改善することも可能ではあるが、今日の生活様式および欧米での食事内容の貧困さを考慮すると、身体が必要とする抗酸化物質を送達するには、栄養補給が最も実用的な方法となる。通常の食事を補完するには、補助食品に含まれる成分の抗酸化能を決定する必要がある。
【0004】
フリーラジカル(遊離基)を物質がクエンチ(quench)する能力、またその物質の抗酸化能を実験室で決定する方法は、いくつか開発されており、これらのアッセイをそれぞれ以下に詳しく説明する。簡単に述べると、これらのアッセイにはTEAC、19F−NMR、TRAP、修正TRAP、FRAP、蛍光ベースの方法、リンモリブデン錯体検出、およびORACなどがあり、これらはすべて、物質がフリーラジカル種をクエンチする能力おける何らかの側面を測定するため提案されたものである。各方法については、それぞれ固有の長所・短所も含め、以下簡単に説明する。
【0005】
TEACアッセイ。このTrolox(登録商標)等量抗酸化能(Trolox Equivalent Antioxidant Capacity 、略称TEAC)アッセイは、ペルオキシダーゼおよび過酸化水素の存在下、またはヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、および無機ラジカルの存在下、2,2´−アジノビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(2,2´−azinobis−(3−ethylbenzothiazoline−6−sulphonic acid)、略称ABTS)をインキュベートした場合、わずかにより安定したABTS・+ラジカルカチオンが生じるという観測に基づいている。ABTSと、メトミオグロビンと、緩衝液と、過酸化水素とを混合した時点から、波長734nmでの赤外線の吸収を経時的に測定する。前記ABTS・+ラジカルカチオンの形成が始まるとともに、前記吸収度は増していく。過酸化水素を加える前に抗酸化剤を加えると、この抗酸化剤が過酸化水素により形成されたラジカルを除去し、ABTS・+ラジカルカチオンの形成を遅延させて、吸収度抑制の割合の増加を誘発する。このアッセイでの測定単位が前記TEACで、これは試験物質の1.0mmol/l溶液と等価の抗酸化能を伴うTrolox(登録商標)濃度(mmol/l)である。
【0006】
このTEACアッセイでは、可溶化できる1つまたは複数の水溶性薬剤について抗酸化能を検出する。また、このTEACアッセイは他成分の寄与も検出できるため、系の抗酸化能の測定に使用できる。このTEAC法は、薬理学および栄養学の研究にも使用することができる。試料中に存在するペルオキシダーゼは734nmでより高い吸収値を生じ、試験対象の化学物質も734nmで吸収を示す可能性があるため、前記TEAC法の用途には制限がある。H2O2が比較的低濃度であるため抗酸化物質試料と試薬とが直接相互作用することから、前記TEAC法では、試料である抗酸化物質がフリーラジカルを直接クエンチする特異性を保証することはできない。また、前記TEAC法は試料の希釈度にも左右され、試料濃度が低いほどTEAC値は上昇する。
【0007】
19F−NMRアッセイ。この別の方法では、19F−NMR(核磁気共鳴)を使ってフッ素化された芳香族アミンを検出する。芳香族アミンはヒドロキシルラジカルにすばやく反応し、水酸化された生成物の混合物を形成する。フッ素化した検出剤であるN−(4−ヒドロキシフェニル)−トリフルオロアセトアミドは、ヒドロキシルラジカルの攻撃により分解され、これによりCF3CONH2、トリフルオロアセトアミド(trifluoroacetamide、略称TFAM)を他の生成物とともに生じる。TFAMを使うと、物質が前記フッ素化した検出剤をヒドロキシルラジカルの攻撃から保護する能力を決定できる。試料が前記フッ素化した検出剤をフリーラジカルの攻撃から良好に保護する場合は、この保護が劣悪な場合と比べ、TFAMピーク下の面積が小さくなる。各試薬は混合し、NMRを使って測定を行う。前記ピークの面積を測定したら、フッ素を含む種の合計濃度に対して正規化を行う。この19F−NMR法は、低分子量生体分子の抗酸化特性を測定する単純な方法である。但し、前記特性の指標はヒドロキシルラジカルが関与する場合にしか現れず、また放射性フッ素を使用するこの方法に必要なNMR機器は、購入も運用も非常に高価である。
【0008】
TRAPアッセイ。有機酸化化合物の水分散は、総ラジカルトラップ抗酸化パラメータ(Total Radical−Trapping Antioxidant Parameter、略称TRAP)法で基礎的な役割を果たす水溶性アゾ化合物2,2´−アゾ−ビス−(2−アミジノプロパン塩酸塩(2,2´−azo−bis−(2−amidinopropane hydrochloride)、略称ABAP)を使った過酸化により、一定率Riで、容易に且つ良好な再現性で生じさせることができる。このTRAP法では、過酸化物化可能なプラズマにより酸素取り込みが抑制される時間長を酸素プローブで検出し、この検出値はTRAPと呼ばれる。Trolox(登録商標)は、この方法において、天然抗酸化物質枯渇後の第2誘導期中、抗酸化剤の対照試料として使用される。この第2誘導時間はRi値の計算に使用され、この値を用いて前記TRAP値が計算される。このTRAP値は、液体1リットルにつきトラップされたペルオキシルラジカルのモル数として報告される。
【0009】
残念なことに、TRAP法では前記時間長が唯一の測定値であり、これによりハイスループット(高速大量処理)の分析としての有用性が制限されている。最大酸素の取り込み防止に必要な時間は容易に精確な測定が行えず、一部の抗酸化剤1モルあたりの総ラジカルトラップ能は、その抗酸化物質の初期濃度に依存し、実際の抑制の度合いは測定できない。このTRAP法は、反応槽を1つのみ用いて一度に試験できる試料は1つだけであるため、長時間を要する。TRAP法は、必要な遅滞期を生じさせるために高レベルのプラズマ希釈を要するためTEAC法より限定され、前記遅滞期を達成するための工程により、迅速な連鎖反応に必要な脂質鎖長が短縮される。リノール酸を加えることにより鎖長の短縮を補うことが可能であることが提案されているが、更なる研究の結果、リノール酸を加えることで他の誤差源が導入されることが示された(Ghiselli A、Serafini M、Maiani G、Azzini E、Ferro−Luzzi A.、A fluorescence−based method for measuring total plasma antioxidant capability(総プラズマ抗酸化能を測定するための蛍光ベースの方法)、Free Radic.Biol.Med.1995 Jan、18: 29〜36)。このTRAP法アッセイシステムにおいて、ビタミンCなど一部の抗酸化物質の総ペルオキシルラジカルトラップ能は、初期濃度に依存していた。
【0010】
修正TRAPアッセイ。修正TRAPアッセイでは、プラズマタンパク質または試料希釈からの干渉が補正される(Ghiselliら、上記参照)。この修正TRAP法では、タンパク質β−フィコエリトリン(β−PE)の蛍光特性に対するABAPからのペルオキシルラジカル攻撃の効果と、β−PEを保護するプラズマの能力とを間接に測定する。この保護は、硫酸アンモニウムを伴うプラズマから前記タンパク質を沈殿させ、超遠心分離を行うことによりもたらされる。この修正TRAPアッセイは、石英蛍光光度計セルに試薬を混ぜ入れ、37℃で5分間維持することにより実施する。ABAPを加えたのち、495nmでの蛍光性を測定し、5分ごとに監視する。この修正TRAP法では、元の酸素プローブベースの方法と同様、ABAPの熱分解により、蛍光性が線形に減少する。保護が完全である期間は、任意の抗酸化化合物を加える際の遅滞期により示されるが、総プラズマ抗酸化能は直接この遅滞期の長さに関係すると仮定されるTRAPは、抗酸化化合物により生じる遅滞期と、既知濃度のTrolox(登録商標)溶液による遅滞期との比較により定量化する。
【0011】
前記修正TRAP法では、ABAPの引き起こす脂質過酸化鎖をプラズマが切断する能力を測定しないが、脂溶性抗酸化物質がTRAPに関与するか、またその関与度は完全に定義されていない。この修正TRAP法では、一度に4〜8個だけプラズマ試料を扱える。
【0012】
FRAPアッセイ。プラズマの鉄還元能力(Ferric Reducing Ability of Plasma、略称FRAP)アッセイはBenzieおよびStrainにより開発され、1996年に発表されたもので、COBAS FARA II分光光度分析装置で実施する。FRAP試薬および全溶液は、日ごとに新しく調製される。FRAP試薬は37℃に加熱される。ブランク測定値を取得したのち、抗酸化物質試料および水を加える。測定値の取得は、反応開始から0.5秒後に開始し、実験中15秒ごとに繰り返す。吸収度の差分は、前記ブランク測定値と最終測定値の間の変化を計算して決定し、次に並行して試験を行っている標準鉄(II)溶液の吸収度の変化と関連付ける。このFRAPアッセイは濃度に依存せず、原点を通る、期待される線形トレンドの結果からの逸脱を示さない。
【0013】
前記FRAPアッセイには、ある種の問題が知られている。すなわち、この系にはフリーラジカルが導入されない。このFRAPアッセイでは、酸化/還元反応を使い、試料が鉄(III)を鉄(II)に還元する能力を測定する。抗酸化物質は酸化/還元における還元体と同じ方法で電子を供与するため、FRAPアッセイは抗酸化能を評価する方法であると想定される。但し、このFRAPアッセイは、潜在的抗酸化物質の抗酸化能を直接測定するものではない。この系にはフリーラジカルが導入されないため、異種のラジカルそれぞれに対する抗酸化能を比較するすべはない。FRAPアッセイでは、鉄(II)およびSH基含有抗酸化物質との反応が可能なアスコルビン酸など、特定の抗酸化物質については抗酸化能を正確に測定できない。FRAPアッセイでは抑制作用を量的に考慮しないため、FRAPは総抗酸化能の重要な成分を取り残してしまう。前記FRAPアッセイおよびTEACアッセイが抗酸化能を正確に決定できないことは、これら2つのアッセイの結果を比較すると線形相関がないことから明白である。
【0014】
蛍光ベースの方法。蛍光ベースの方法は、β−フィコエリトリンの蛍光が、ペルオキシルラジカルおよびヒドロキシルラジカルの攻撃に起因する損傷後、経時的に変化するという発見に基づいている。β−フィコエリトリン法では、Perkin−Elmer MPF 44B蛍光分光光度計を使って蛍光を検出する。蛍光測定値は経時的に得られ、前記蛍光測定値を使って対照試料に対する「平坦な時間」の長さを観測することにより、抗酸化物質がもたらす保護性に関し数量が決定される。これら間接的な蛍光ベースの方法では、吸収度が同じレベルに留まり、前記「平坦な時間」が化学物質Bより化学物質Aについて長かった場合、化学物質Aは化合物Bよりラジカル攻撃からの保護性に優れており、従って、より強い抗酸化物質であるとされる。
【0015】
この蛍光法では、プラズマ中または他の生体液中で、少量の試料について、非血清抗酸化物質のレベルを迅速に定量化する方法が得られ、プラズマと、タンパク質と、DNAと、神経伝達物質および関連物質と、ビタミンおよびその誘導体と、他の化学物質との抗酸化能の分析に使用されてきている。但し、この間接的な蛍光法には、いくつかの問題がある。例えば、これらのアッセイでは、β−PEなどの抑制時間ではなく、蛍光損失の初期線形レートから計算された抑制作用の割合(パーセント)を測定する。この蛍光法では、脂溶性抗酸化物質の寄与を決定する方法も血清中におけるタンパク質の総抗酸化能への寄与を決定する方法も得られない。
【0016】
リンモリブデン錯体アッセイ(PCA)。リンモリブデン錯体アッセイの構成は、前記FRAP法に類似している。このPCA法は、モリブデン(VI)をモリブデン(V)に還元した後の吸収度の変化に基づいたものである。モリブデン(VI)をモリブデン(V)に還元するには、抗酸化物質などの還元種が存在しなければならない。試料は、適切な溶媒に溶解する直前に調製される。水溶性化合物の場合は水を使用する。有機溶媒に可溶性を示す物質の場合は、エタノールか、メタノールか、ジメチルスルホキシドまたはヘキサンを、文献に基づいた吸収性係数により決定される精確な濃度で使用する。粉砕・凍結後に種試料を溶解し、必要に応じ抽出を行う。次に、試料をモリブデン含有試薬溶液と混合する。一定の時間インキュベートおよび冷却したのち、ブランク状態に対し、紫外可視分光光度計などを使って吸収度を測定する。未知の試料の場合は、α−トコフェロールおよびアスコルビン酸の等量として、有機および水溶性の抗酸化能はそれぞれ表現される。抗酸化能は、リンモリブデン錯体のモル吸収係数の比較に基づいて定量化する。モル吸収係数が1に近づくほど、その抗酸化物質は優れている。このリンモリブデン法は、25〜37℃でのビタミンEなど、強い抗酸化物質の抗酸化能を決定する上で良好かつ簡便な方法である。この方法は、総抗酸化能を決定するため利用できる他の方法と比べて安価な代替方法である。
【0017】
従来のORACアッセイ。酸素ラジカル吸収能(Oxygen−Radical Absorbance Capacity、略称ORAC)法では、蛍光タンパク質であるフィコエリトリンの化学特性を利用する。このORACアッセイは、反応を完了させるという点において、上記で説明したように、平坦な時間として報告されるものを観測するグレーザー(Glazer)法とは異なる。前記ORAC法では、硫酸アンモニウムでの処理後、超遠心分離法でタンパク質を除去した血清を使用することができる。このアッセイでは、ペルオキシルラジカル発生剤である2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2’−azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride、略称AAPH)を使用する。
【0018】
従来のORAC法での検出は、例えば、Perkin−Elmer LS−5蛍光分光光度計などを使って、蛍光がゼロになるまで実行される。試薬をキュベットに加え、AAPHを加えたのち反応混合液を37℃でインキュベートして、反応が完了するまで5分ごとに蛍光を測定する。その結果はORAC値として報告され、この値は抗酸化物質の存在下におけるβ−PEのクエンチング曲線下の正味の保護面積を意味する。このORAC値は、試料曲線の下の面積をTrolox(登録商標)曲線下の面積で除算することにより計算し、この場合、どちらの面積もブランク曲線下の面積を減算して補正する。ORACの1単位を、最終濃度1μMのTrolox(登録商標)によりもたらされる正味の保護面積として割り当てる。試料に関する曲線下面積をTrolox(登録商標)曲線下面積と比べた結果は、Trolox(登録商標)等量で与えられる。
【0019】
自動化されたORAC法では、例えば、COBAS FARA II遠心分離分析装置などを使用する。開始剤を加えてから0.5秒後に蛍光を測定し、以降2分ごとに測定する。前記COBAS FARA IIは、試料の回転および混合が可能な遠心分離機能を備えている。このCOBAS FARA IIは一度に最高30試料まで処理することができ、その結果は、基本方法同様、ORAC値を決定するため曲線下面積を使って報告される。このCOBAS FARA IIを使った方法は、複数の試料マトリックスを評価する上で効果的に使われてきている。
【0020】
ORACは、βフィコエリトリンの代わりにフルオレセイン塩を使ってさらに修飾することが可能である。βフィコエリトリンは、その単離工程により約30%純粋であり、ロット間に一貫性がない。βフィコエリトリンは、ペルオキシルラジカルへの反応度が一定しないことによってもロットごとに一貫性のないことが判定された。またβフィコエリトリンは、一定時間、励起光に露出すると光退色する。タンパク質結合に特異性がないため、βフィコエリトリンは、安定性に影響を与えるポリフェノールと相互作用する。さらに、βフィコエリトリンは、フルオレセインよりはるかに高価である。これらの理由から、βフィコエリトリンの代わりにフルオレセインが採用された。
【0021】
前記ORAC法では、無作為にメチル化したβシクロデキストリン(randomly methylated beta−cyclodextrin、略称RMCD)の50%アセトン水混合溶液の導入により、脂溶性抗酸化物質試料の分析に適合している。このアセトン:水混合液により、脂溶性抗酸化物質がリン酸緩衝液に対し可溶性となった。前記ORAC法は、抗酸化物質と血清、または他の生体液のペルオキシルラジカル吸収能を測定する上で、簡便かつ高感度で信頼性の高い方法である。血清のヒドロキシルラジカル吸収能は、このORAC法を使って測定が達成されている。ORAC(fl)法を、96ウェルプレートを使った蛍光マイクロプレートリーダーと併用すると、多数の試料を同時に動態解析して、必要な血清試料の量を削減することができる。このORAC法は、前記曲線下面積を測定することにより、抑制時間および抑制度を単一の数量にして考慮するという点で、その分析に独自性がある9。ORAC法は希釈に影響されない5。βフィコエリトリンを使ったCOBAS FARA IIの自動化アッセイ、FRAPアッセイおよびTEACアッセイが比較が行われた。ORACとTEACとに線形相関はなく、TEACアッセイが試料の抗酸化能を正確に決定できないことがさらに示された。但し、ORACとFRAPとの間には存外弱い線形相関が見られ、FRAPアッセイが低精度で潜在的抗酸化物質の抗酸化能を決定することが示された。
【0022】
物質の抗酸化能を決定する方法は、いくつか検討されてきている。これらの方法は、すべて有益であるが制限もある。これらの方法は、コスト高であることから(すでに一部は製造中止となっている機器、試薬、人件費などを含む)、抗酸化物質産業を構成する小企業の大部分にとって非実用的である。
【0023】
他の方法としては、モーター油および他の潤滑剤用の電気化学センサを開示し、Fangに発行された米国特許第5,518,590号公報などがある。これを簡単に説明すると、油製剤中における抗酸化物質および耐摩耗剤の残余レベルを決定することにより、高感度で高速な電気化学センサが、モーター油の劣化、特に抗酸化特性を監視する。この電気化学センサは、電極表面に導電性電解質の液体またはゲル状の界面相を有する2電極または3電極の電気化学セルである。モーター油の劣化度は、前記油の抗酸化能または耐摩耗能を測定して監視される。この電気化学センサは、電気活性添加剤を含む他の潤滑剤および炭化水素の監視に使用される。この電気化学センサを使うと、油に化学的または物理的な前処理を行うことなく、in situ測定が可能になる。
【0024】
抗酸化物質センサの別の例には、流体試料中における酸化物質または抗酸化物質の検体のレベルを測定する装置および方法を開示し、Hodgesに発行された米国特許第6,638,415号公報がある。この装置は、検体とのレドックス反応(酸化還元反応)が可能な試薬を含む、薄層電気化学セルなどの使い捨て電気化学セルを含む。遅反応性の検体に対して前記装置および方法を使用すると、この装置内の抵抗加熱素子により、あるいは前記電気化学セルに含まれる発熱材料により、試料が加熱されうる。この加熱により、前記試薬および前記検体間のレドックス反応率が加速され、遅反応性検体の電気化学的測定が容易になると教示されている。
【0025】
最後に、米国特許出願第20020182736号明細書では、親油性抗酸化物質の活性を間接的に測定する方法を開示している。この場合、親油性ラジカル発生剤および酸化性・親油性の指示薬を使って、試料の脂質区画内における脂質抗酸化物質の活性を測定する選択的方法が開示されている。本発明は、脂質区画内および水溶性区画内双方の試料の総抗酸化活性を正確かつ効率的に決定するものである。本発明の方法は、対象内に存在する過剰なフリーラジカルによる障害の診断および防御とに使用することができる。本発明の方法で使用する試薬は、キットアッセイとして提供可能である。但し、前記酸素ラジカル吸収能(ORAC)値は、標準的な蛍光プローブを使って間接に測定する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、総試料酸化レベルおよび総試料酸化状態に対する抗酸化物質の効果を直接測定する抗酸化物質センサおよび方法を含む。本発明は、また、最適な健康のために有効量の抗酸化物質を個人に提供する上で有用な組成物および方法も含む。本明細書に開示した装置および方法は、試料の総抗酸化能を、同時にまた直接的にリアルタイムで検出する。本技術により(親油性および疎油性の)抗酸化物質という2つの相互排他的なカテゴリーが人工的に生み出され、またこれらの抗酸化物質が別個に測定されたことを、本発明者は認識している。さらに本技術では、間接に(すなわち検出可能なレポーター分子を使って)全般的にラジカルの存在を測定した。
【0027】
本発明は、高速かつ安価で直接的な検出システムを使って、先行技術の検出器および方法における制限を克服するものである。これらの制限に対処するため、本発明者は、本明細書に開示した酸素ラジカル吸収能−酸素(Oxygen Radical Absorbance Capacity−Oxygen、略称ORAC(o))装置および方法を開発した。前記ORAC(o)装置を使い、本発明者は溶存酸素レベルに対する親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の効果を、初めて同時にリアルタイムで測定することに成功した。また、本発明者は、前記ORAC(o)アッセイを使って相乗的な抗酸化組成物の開発に成功した。この相乗的な抗酸化組成物は、単独で、または1若しくはそれ以上の抗酸化増強剤と組み合わせて使用してもよい。
【0028】
より具体的には、本発明は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の抗酸化活性を直接検出する装置であって、溶媒/水/界面活性剤混合液中の試料および酸素ラジカルに高感度な分子と液体流通自在な溶存酸素センサを含んだ装置を具備しており、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出する。前記酸素ラジカルに高感度な分子は、例えば、共役二重結合を伴った分子、または窒素か硫黄かを含んだ化合物など、酸素に反応する分子である可能性がある。酸素ラジカルに高感度な分子の例としては、フルオレセイン、βフィコエリトリン(β−PE)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、リノール酸、またはこれらの組み合わせなどがある。前記酸素ラジカルのレベルは、溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶存酸素計またはセンサを使って直接決定される。前記溶存酸素のレベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、超スペクトル酸素センサといった酸素センサを使って決定しうる。前記溶存酸素計またはセンサは、ハイスループットの分析用に一列に配置しても、単一の試料検出器であってもよく、また、オフィスあるいは家庭用途にさえ適合させることが可能である。前記溶媒は、アセトンなどの有機溶媒であってもよい。前記界面活性剤は、Tween−20といった非イオン性洗浄剤などの洗浄剤であってもよい。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、一般に、前記溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約10〜90容量パーセント(33%など)である。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、一般に、この溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約10〜90容量パーセント(33〜67%など)である。前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤(または洗浄剤)は、この溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも約0.1〜10容量パーセントであり、水に溶解された状態で保存される。1特定の実施例においては、この溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【0029】
前記装置は、例えば、前記検出器を制御し、データを取得し、当該データを格納し、当該データおよび/または情報データベースに基づき計算を実行し、および/または前記データまたは当該データの要約を表、グラフ、チャートなどの形態で表示することができるコンピュータなどの、1若しくはそれ以上のプロセッサをさらに含む場合がある。また、前記プロセッサ/コンピュータは、前記酸素センサおよび前記溶媒/水/洗浄剤混合液と液体流通自在な流体システムに接続することもでき、この流体システムを制御することさえで可能である。本発明では、抗酸化能試験中の試料が活性化することによって生じる酸素の相対的消失を、既知の標準活性の結果として観測される酸素の相対的消失と関係付ける曲線下面積を測定する。本発明および本明細書で説明する方法を使用し、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の双方を含む溶液中で、溶存酸素のレベルが同時に直接測定される。AUC(曲線下面積)を計算する式の例は、次の通りである。
【0030】
【数3】
【0031】
ここで、AUCSMPは、試料の曲線下面積値であって、
AUCBLNKは、ブランク曲線下面積値であって、
AUCTRLXは、Trolox(登録商標)の曲線下面積値であって、
SMPは、試料である。
【0032】
本発明は、抗酸化活性を直接決定する方法であって、1若しくはそれ以上の抗酸化物質および酸素ラジカル標的が存在する、溶媒/水/界面活性剤混合液に溶解した試験溶液中の溶存酸素レベルを決定する工程を有する方法も含み、前記方法において、水溶性および脂溶性双方の抗酸化物質の活性は酸素検出器で測定される。前記溶存酸素ラジカルレベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、超スペクトル酸素センサといった酸素検出器を使って決定しうる。前記抗酸化活性は、約37℃で測定される場合がある。ラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)と、塩と、これらの混合物または同等物などがある。前記検出器は使い捨てであってもよい。
【0033】
本発明は、任意の単離および精製された疎油性抗酸化物質と、任意の単離および精製された親油性抗酸化物質とを含む栄養補助食品も含み、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、合わせて6,000μMol Trolox(登録商標)等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムより大きい溶存酸素値を有する。当業者であれば、この値が6,000μMol Trolox(登録商標)等量(TE)/ミリリットルなど、液体での等量として表現されることが理解できるであろう。前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は時限放出され、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせから選択される1若しくはそれ以上のビタミンEを含む場合がある。親油性抗酸化物質の例としては、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせがある。
【0034】
また、前記任意の単離および精製された疎油性抗酸化物質と、任意の単離および精製された親油性抗酸化物質とを含む栄養補助食品は、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、マンノース、アセチル化マンノース、N−アセチルノイラミン酸、フコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、および/またはキシロースなど、2若しくはそれ以上の必須糖類も含む場合がある。一実施形態では、前記栄養補助食品は、Australian bush plum(オーストラリアブッシュプラム、学名Terminalia ferdinandiana)といった体内で吸収利用可能な高レベルの天然ビタミンCを伴った植物源などのビタミンC源も含む。別の特定の実施形態では、ビタミンCは、農場で育てたブッシュプラムより高い割合のビタミンCを含有する野生のAustralian bush plum(学名Terminalia ferdinandiana)といった、ビタミンCの植物源から得られる抗酸化活性の増強剤である。前記栄養補助食品は、乳酸菌種およびビフィドバクテリウム属の種(ビフィズス菌)などの1若しくはそれ以上のプロバイオティックも含む場合がある。前記栄養補助食品は、全体的に酸素不浸透性の表面を提供するよう圧縮でき、ローラー圧縮された粒子、カプセル、錠剤、小型錠剤(mini−tab)、カプレット、発泡錠、これらの組み合わせなどであってよい。
【0035】
上記で説明したORAC(o)装置および方法との比較基準として、前記単離および精製された親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質は、7000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい抗酸化物質ORAC(fl−lipo)値を有する。本発明は、本発明の抗酸化物質を含む抗酸化物質/糖質栄養素ブレンドを食事で服用している各個人の抗酸化物質レベル変化を測定する非盲検試験に使用された。前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質を患者に投与したところ、累積患者集団の平均ベースライン抗酸化物質レベルからのORAC(β−PE)測定値には、平均的に13%を超える増加がもたらされた。
【0036】
本発明は、また、いくつかの組成物も含む。本明細書に開示する組成物は、現在入手可能な栄養補助食品は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質を、個々の成分から期待される以上の測定可能な活性を伴う形で組み合わせることに失敗しているという認識に基づいている。本発明の装置および方法を使用することにより、本発明者は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の相乗的組み合わせを開発するだけでなく、それら抗酸化物質の活性の増強剤を加えることに成功した。
【0037】
近年、遺伝子の抗酸化剤応答配列を介し、グルタチオン合成における律速酵素であるγグルタミルシステイン合成酵素の重鎖サブユニット転写を、ケルセチンなどのフラボノイドが増加させることが示されている。転写が増加することにより、組織培養細胞内で還元された(活性)グルタチオンの細胞内レベルも増加する。ケルセチンは、赤ワイン、ブドウ皮、そしてタマネギの主成分である。赤ワイン、ブドウ皮、タマネギから得られたケルセチンの研究では、ケルセチンが健康に有益な効果をもたらすことが示唆されている。ケルセチンは、人体への吸収がよいことが示されている。ある研究では、摂取されたケルセチンがすべて食後2時間で代謝されたことが示された(European Research on Functional Effects of Dietary Antioxidants(欧州における食物抗酸化剤の機能的効果に関する研究)、2002年9月25〜28日、英国ケンブリッジ)。中程度の量の赤ワインを消費した対象におけるLDLの酸化が実質的に減少したことが発見され、研究者たちは、この保護効果が非常に高い尤度でケルセチンの活性とケルセチンの代謝産物とに起因すると主張した。ケルセチンは、赤血球をより安定にすることも示されている。
【0038】
酸化ストレスに影響を及ぼす因子は多種多様であるため、抗酸化物質の補給は、個々のニーズと化学的性質とに応じてカスタマイズする必要があると、本発明者は認識している。さらに、個々の異なるニーズに対応するには、トコフェロールを組み合わせる必要があることも認識している。トコフェロールを組み合わせる必要があるのは、一部の抗酸化物質が身体に「選択される」ことによる。例えば、北米の飲食物におけるビタミンEの主な形態はγトコフェロールで、これは一般に植物油と、大豆およびトウモロコシから導出される生成物に見られる。但し、身体は主にαトコフェロールを保持する。αトコフェロール輸送タンパク質に依存した特定の方法は、体内のαトコフェロール濃度を調整することが明らかになっている。先行技術の抗酸化剤組成物と異なり、本発明では、混合したトコフェロールを使って多形態のビタミンEを身体に提供することにより、各形態の最適量が選択、保持、使用されるようにする。さらに、ケルセチンおよび混合トコフェロールの相乗的組み合わせによって、個々のニーズに応じて異なりうる、広範な抗酸化栄養素からの最適な選択肢を身体にもたらすものである。
【0039】
本発明者は、これらの抗酸化物質の活性増強に役立つ化合物を加えることにより、ケルセチンおよび混合トコフェロールの相乗的組み合わせの活性をさらに最大化するよう追求した。そのような増強剤の1つがビタミンCである。ビタミンCは、著しい抗酸化活性と、いくつかの非抗酸化栄養機能とを有する。酸化促進特性は、特に遷移金属の存在下では、ビタミンCによるものと見なされる場合が多い。ビタミンCのこの酸化促進特性は、完全に破壊的ではないこともある。しかし他の研究者は、非結合金属の存在下であっても、ビタミンCが抗酸化物質として振る舞うと主張する。
【0040】
抗酸化活性の他の増強剤には、ブドウの種の抽出物や緑茶抽出物といった天然抽出物がある。ある研究では、緑茶が生体外で効力のある抗変異原活性を呈し、ラット結腸では発癌物質誘起性前癌病変部の進行を抑制した。緑茶は、腸ポリープの形成も有為に抑制した。そのため、本発明者はケルセチンや混合トコフェロールなど自然源から精製および単離された抗酸化物質を相乗的に組み合わせだけでなく、これら薬剤の検出可能な抗酸化活性を増加する増強剤もさらに加えた。
【0041】
より具体的には、この組成物は、栄養的に有効な量の2若しくはそれ以上の必須糖類と、単離および精製された疎油性酸素ラジカルクエンチャーと、単離および精製された親油性酸素ラジカルクエンチャーとを含有する栄養補助食品を含み、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、合わせて6,000μMol Trolox(登録商標)等量(TE)/グラムより大きい酸素ラジカルクエンチャー値を有する。あるアッセイでは、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、患者に与えた場合、ORAC(fl−lipo)として測定される患者集団のベースライン抗酸化物質レベルに平均的に13%を超える増加をもたらしている。前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは徐放用に包装され、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、εトコフェロールと、γトコフェロールと、ζトコフェロールと、ηトコフェロールと、ξ1トコフェロールと、ξ2トコフェロールと、σトコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなるビタミンE分子のうち1若しくはそれ以上を含有する場合がある。前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、フラボノールと、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせのうち1若しくはそれ以上を含有する場合ある。前記栄養補助食品は、ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される2若しくはそれ以上の糖類をさらに含有する場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の種々の実施形態の考案および使用について詳述するが、本発明は、多種多様な特定の文脈で具体化できる応用可能な多数の発明概念を提供することを理解すべきである。本明細書に説明する具体的な実施形態は、本発明を考案および使用するため具体的な方法を単に例示したものであって、本発明の範囲を画定するものではない。
【0043】
本発明に関する理解を促進するため、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書に定義した用語は、本発明に関連した分野の当業者が一般に理解しているとおりの意味を有する。用語「a」と「an」と「the」とは、単数の物のみを指すよう意図したものではなく、具体例を例示として使用することが可能な分類全般を含む。本明細書における用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するため使用するが、その用法は、請求項での概略説明を除き、本発明を画定するものではない。
【0044】
本発明は、本技術が相互に排他的な2つの抗酸化物質カテゴリーを人為的に作成し、それらを別個に測定したという認識に一部基づいている。さらに本技術では、間接的に(すなわちレポーター分子を使って)ラジカルの存在全般を測定した。本発明は、試料の総抗酸化能を同時に検出するだけでなく直接的にも検出する装置および方法を提供する。
【0045】
本明細書における「抗酸化物質/抗酸化剤」は、易酸化性標的分子の酸化を遅延させる、または防止する任意の分子を指す。抗酸化物質は、生物学的に重要な反応性フリーラジカルまたは他の反応性酸素種(O2−、H2O2、HOCl、フェリル、ペルオキシル、ペルオキシ亜硝酸、アルコキシルなど)を除去するか、酸素ラジカル形成を防止するか、フリーラジカルまたは他の反応性酸素種を、より反応性の低い種へと触媒的に変換するかにより作用する。一般に、抗酸化物質は、(1)脂質(親油性または疎水性)抗酸化物質、(2)水溶性(疎油性または親水性)抗酸化物質の2つのクラスに分けられる。脂質抗酸化物質の例としては(これに限定はされないが)、コア脂質区画内に位置するカロチノイド(ルテイン、ゼアキサンチン、βクリプトキサンチン、リコピン、αカロチン、βカロチンなど)、脂質区画の界面内に位置するトコフェロール(ビタミンE、αトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロールなど)、レチノイド(ビタミンA、レチノール、レチニルパルミテートなど)、脂溶性ポリフェノール(ケルセチンなど)などがある。水溶性抗酸化物質の例には(これに限定はされないが)、アスコルビン酸とその酸化型「デヒドロアスコルビン酸」、尿酸とその酸化型「アラントイン」、ビリルビン、アルブミン、ビタミンC、またリン脂質膜への高親和性を有するカテキンや、イソフラボンや、プロシアニジンなどの水溶性ポリフェノールなどがある。
【0046】
酸素ラジカルおよび抗酸化能の相対レベルを検出する上で一般に使用される方法は、酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorbance Capacity、略ORAC)アッセイである。従来のORACタイプのアッセイでは、特定の酸素ラジカルによる酸化の良好な標的でありうる(または良好な標的でない可能性もある)蛍光分子または他の検出可能な分子などに対する酸素ラジカルの効果を測定することにより、抗酸化値が間接的に測定される。一般に、試験試料に抗酸化物質を加えると、試料中の、スーパーオキシドなどのフリーラジカルの量、または過酸化水素などの非ラジカル反応性酸素種の量に、抗酸化物質で処理していない試料(対照試料)と比較して、検出可能な減少がみられる可能性がある。但し、これらの間接的な方法では、中間体(フルオレセイン、β−フィコエリトリン(β−PE)など)の測定を介し、この中間体に対するラジカルの効果が酸化物質および抗酸化物質の相対レベルを真に反映しているという仮定の下で、抗酸化状態の変化を監視する。これらアッセイ用の対照試料は既知濃度の酸素ラジカル発生剤および既知濃度の抗酸化物質で、試料の標準として測定および使用される。
【0047】
本明細書における用語「フリーラジカル」は、不対電子を少なくとも1つ含む分子を指す。大部分の分子は偶数の電子を含み、その共有結合は、通常、共有電子対を含む。このような結合が開裂すると、不対電子をそれぞれ伴う2つの別個のフリーラジカルが生じる(任意の電子対のほか)。フリーラジカルは電荷を帯びているか電気的に中性であり、高反応性で通常は短命である。フリーラジカルは、フリーラジカル同士で、または不対電子を有する原子と結合する。原型分子と反応するフリーラジカルは、自らの不完全な電子構造を補おうとして新しいラジカルを生み出し、そのラジカルがまた他の分子と反応して結果的に連鎖反応を引き起こす。フリーラジカルの連鎖反応は、高温での物質分解において、また重合において特に重要である。体内では、酸化されたフリーラジカルは組織の損傷に関与する。熱、紫外線、電離放射線は、すべてフリーラジカルを生成する。フリーラジカルは、酸化代謝の副次的効果として生じる。過剰なフリーラジカルは、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼなどの天然保護酵素を圧倒する。過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(HO.)、一重項酸素(1O2)、スーパーオキシド陰イオンラジカル(O.2−)、一酸化窒素ラジカル(NO.)、ペルオキシルラジカル(ROO.)、ペルオキシ亜硝酸(ONOO−)などのフリーラジカルは、脂質または水溶性の区画内に存在しうる。抗酸化栄養素(ビタミンC、ビタミンE、セレン、ポリフェノールなど)は、これらの影響を軽減する可能性がある。
【0048】
本明細書における用語「脂質区画」とは、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなど、環式または非環式の長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含有する化合物を指す。例えば、一般的な脂質には、脂肪酸、脂肪、リン脂質、ステロイド、エイコサノイド、ワックスおよび脂溶性ビタミンなどがある。一部の脂質は単純脂質および複合脂質という2つのグループに大まかに分類でき、例えばトリグリセリド(または油脂)、グリセロールの脂肪酸エステル、ワックス、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、コレステロールやエルゴステロールなどのステロイドがある。複合脂質には、フォスファチド(phosphatide)すなわちリン脂質(phospholipid)(脂質を含むリン)、糖脂質(脂質を含む炭水化物)、スフィンゴ脂質(脂質を含むスフィンゴシン)などがある。
【0049】
本明細書における用語「脂質」は、脂肪または脂肪状の物質を含む。この用語は、タンパク質や炭水化物などの化学名ではなく、むしろ記述的なものである。脂質には、真の脂肪(すなわち脂肪酸およびグリセロールのエステル)、脂質(すなわちリン脂質、セレブロシド、ワックス)、ステロール(すなわちコレステロール、エルゴステロール)が含まれる。脂質は、自動酸化などの機序を介して酸化の標的になりうる。本明細書における用語「脂肪酸」は、負の電荷を帯びた、全体として直鎖状の炭化水素鎖の群などを指す。この脂肪酸の炭化水素鎖の長さおよび酸化状態は、場合に応じて異なる。一般に、脂肪酸は(カルボキシル末端などに)負の電荷を帯びた部分と「テール」(尾)部分とを有し、これによりその脂肪酸の水溶性および両親媒性が決定する。例えば脂肪酸は、細胞内でのエネルギー蓄積に使用され、あるいは血流での脂肪輸送に使用される、脂肪としての生体膜を含むリン脂質の成分である。本明細書における用語「リン脂質」は、脂肪酸と、アルコールと、含窒素塩基との側鎖のうち、少なくとも1つを含む任意クラスのリン酸エステルを指す。
【0050】
本明細書における用語「脂肪」(fatまたはfats)は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロールの形態の脂肪酸など、脂肪酸のグリセロールエステルをすべて指す。トリグリセリドとは、電気的に中性で全体的に疎水性の分子、すなわち還元された分子を指す。モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールはリン脂質合成における代謝中間体であり、他方トリグリセリドは、水のないコンパクトな状態での化学エネルギー蓄積に使われる脂肪分子を形成する。本明細書における用語「脂溶性ビタミン」は、例えばビタミン(A)(レチノール)、ビタミンD(ビタミンD3(コレカルシフェロール)など)、ビタミンE、ビタミンKなど、一般的な脂溶性ビタミンを指す。
【0051】
本明細書における用語「脂質抗酸化活性」または「脂質抗酸化能」は同義的に使われ、試料の脂質区画から生じる抗酸化能力の測定値を指す。本明細書における用語「水溶性抗酸化活性」または「水溶性抗酸化能」は同義的に使われ、試料の水溶性区画から生じる抗酸化能力の測定値を指す。本明細書における用語「総抗酸化活性」または「総抗酸化能」は同義的に使われ、試料の脂質部分および水溶性部分双方から生じる抗酸化能力の測定値を指す。
【0052】
本明細書における用語「水溶性区画」は、前記脂質区画と相互作用しない流体試料の一部を指す。水溶性区画は、血液、血漿、血清、糞便、脳脊髄液、羊水、間質液、リンパ液、滑液などの生物学的流体試料を含む。例えば、血清など流体試料の水溶性区画は、血液を凝固させ遠心分離して血球および凝固成分を除去した後に残る液体部分だけでなく、アルブミンやグロブリンなどのタンパク質;抗体;酵素;アミノ酸やグルコースなどの少量の有機栄養物;ナトリウム、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、カルシウム、カリウム、重炭酸塩、マグネシウム、ヨウ素、亜鉛、鉄などの無機物;尿素、尿酸、キサンチン、クレアチニン、クレアチン、胆汁色素、アンモニアなどの少量の老廃物;酸素、二酸化炭素などの微量のガスといった他の化合物も含む可能性がある。この流体試料は非生物試料の場合もあり、例えば化学製剤、合成組成物、あるいは食品、化粧品であってもよい。
【0053】
本明細書における用語「試料」とは、液体、流体、または固体の生物試料であって、当該生物試料内でフリーラジカル発生剤(親油性フリーラジカル発生剤または親水性フリーラジカル発生剤など)を使ってフリーラジカルを生じさせることができ、本発明の(ORAC(o))検出器および方法を使って検出できる生物試料を指す。生物試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、羊水、間質液、滑液などがある。固体生物試料には、組織、細胞、組織培養物、固定細胞、細胞上清のほか、組織または細胞物質の一部(または抽出物)なども含まれる。この「試料」という用語は、化学溶液、合成組成物、食品などの非生物試料も含む。本明細書における用語「相対ORAC(o)」および「ORAC(o)」は同じ値を指し、グラムまたはミリリットルあたりのTrolox(登録商標)マイクロモル等量により測定される。負値のORAC(o)は、ラジカルクエンチ活性がブランクで得られた活性より低いことを反映しており、組成物が酸化促進剤すなわち抗酸化物質として作用せず、むしろ酸化を促進する薬剤であることを示す。
【0054】
本明細書における用語「ラジカル発生剤」または「ラジカル開始剤」は同義的に使われ、フリーラジカルを生成する薬剤か、化合物か、分子かを指す。ラジカル発生剤を使用すると、抗酸化物質または易酸化性指示薬がフリーラジカルと相互作用して測定可能または検出可能な出力を生成できるレベルなどの測定レベルで、フリーラジカルを生成できる。ラジカル発生剤の例としては、既知の一定率でフリーラジカルの流量を生成する化合物である、アゾラジカル発生剤などがある。アゾラジカル発生剤の例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)、アゾ−ビス−イソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2イル)プロパン]二塩酸塩、鉄、アスコルビン酸、金属イオンなどがある。
【0055】
本明細書における「対象」は、任意の生体を指す。この用語「対象」は、魚類、哺乳類、爬虫類、鳥類、昆虫などを含む。その具体例としては、ヒト;チンパンジーその他の類人猿やサル種などヒト以外の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマなどの家畜;イヌやネコなどの家畜哺乳類;マウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などがある。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。そのため、成人および新生児の対象、そして(妊娠3か月以後の)胎児も、男女の区別なく対象とされるよう意図されている。
【0056】
本明細書における用語「フリーラジカル関連障害」は、フリーラジカルの生成またはフリーラジカルへの露出に起因する病的状態を指す。本明細書における用語「フリーラジカル関連障害」には、フリーラジカルによる損傷が疾患状態の病変に寄与する病理疾患、あるいはフリーラジカル阻害剤(デスフェリオキサミンなど)、スカベンジャー(トコフェロール、グルタチオンなど)、または触媒(SOD、カタラーゼなど)を投与すると、症状を低減する、生存率を増加させる、または病理疾患に対する防御または予防を行う上で他の検出可能な臨床的メリットをもたらすことにより、検出可能な有益性を示す病理疾患などが含まれる。フリーラジカル障害の例としては(これに限定はされないが)、虚血再潅流傷害、炎症性疾患、全身性紅斑性狼瘡、心筋梗塞、脳卒中、外傷性出血、脊髄損傷、クローン病、自己免疫疾患(関節リウマチ、糖尿病など)、白内障形成、加齢黄斑変性症、アルツハイマー病、ブドウ膜炎、気腫、胃潰瘍、酸素中毒、新生組織形成、望ましくない細胞アポトーシス、放射能疾患などがある。
【0057】
本明細書における用語「酸化ストレス」は、対象内で酸素フリーラジカルにより生じる損傷のレベルを指す。損傷のレベルは、反応性酸素種が生じたのち抗酸化物質により不活性にされる速度、また位置および修復速度に応じて異なる。本明細書における、酸化状態および酸化ストレスに関連した用語「逸脱」または「逸脱する」は同義的に使われ、試料の抗酸化活性の変化を指す。酸化状態の変化は、既知の正常値と比べた抗酸化活性の増加、減少、上昇、または下降である可能性がある。例えば、試料の脂質区画、試料の水溶性区画、または試料の脂質区画および水溶性区画の双方における抗酸化活性の増加または減少などである。
【0058】
本明細書における用語「必須糖類」は、細胞糖タンパク質のオリゴ糖鎖で一般に見られ、飲食物または生化学的製造を通じてもヒト体内で容易に得られない単糖類の定義に使われる(Harper’s Biochemistry(ハーパー生化学)(Murrayら、1996)(8個をリスト)およびPrinciples of Biochemistry、第2巻(Zubayら、1995)(11個をリスト)など参照)。これまでに200以上の単糖類が自然界で発見されているが、ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、イズロン酸と、アラビノースと、グルクロン酸との11個は、哺乳類が健康を良好に維持する上で重要であると考えられている。これらの炭水化物の構造は広く知られている(Stryer’s Biochemistry(ストライヤー生化学)(Stryer、1995)およびMerck Index(メルクインデックス)、(第12版、1996)などを参照)。
【0059】
本明細書における用語「栄養的に有効な量」は、哺乳類において有益な栄養効果/反応をもたらす量の定義に使用される。例えば、ビタミンおよびミネラルを含む栄養補助食品への栄養反応は、哺乳類ごとに異なるように、栄養的に有効な量のビタミンおよびミネラルは、それぞれ異なることを理解すべきである。同様に、必須アミノ酸、ビタミンC、鉄、ヨウ素、他のビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質などが欠乏すると、生理機能および細胞機能に影響の及ぶことが知られている。本明細書に開示する栄養的に有効な量の抗酸化物質および糖類は、例えば、これらの栄養補給剤を有する食事内容の維持または増補を望むヒトの場合に、飲食物中のこれら重要な栄養素のレベルを維持し上昇させる働きをする。このように、一哺乳類が、特定プロファイルのビタミンおよびミネラルを特定の量だけ必要としても、別の哺乳類は、同じ特定プロファイルのビタミンおよびミネラルを別の特定量で必要とする可能性がある。
【0060】
本明細書における用語「薬理上許容される塩」は、正しい医療判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織中、組織上、または組織と伴に使用するのに適し、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応などのない、妥当な有益性/危険性比に見合った塩の説明に使用する。「薬理上許容される塩」は当該技術分野で広く知られている(S.M.Bergeら、J.Pharmaceutical Sciences、1977年などを参照。この関連部分は言及により本明細書に組み込むものとする)。適切な塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中に調製するか、または遊離塩基の官能基を適切な有機酸と反応させて別個に調製してもよい。代表的な酸付加塩としては(これに限定はされないが)、酢酸塩(アセテート)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩(ブチラート)、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩(digluconate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオシアネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩(ニコチネート)、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミト酸塩(palmitoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩などがある。四級化剤として使われる塩基性窒素含有基の例としては、低級ハロゲン化アルキル(メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物);硫酸ジアルキル(ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびアミルの硫酸塩);長鎖ハロゲン化物(デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物);アリールアルキルのハロゲン化物(ベンジルおよびフェネチルの臭化物)などがある。薬学的に許容される酸付加塩の形成に使用される酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、またシュウ酸、マレイン酸、琥珀酸、クエン酸などの有機酸などがある。塩基付加塩も、本明細書に開示した抗酸化化合物の最終的な単離および精製中に、薬学的に許容される金属カチオンの水素化物、炭酸塩、または重炭酸塩など適切な塩基により、あるいはアンモニア、有機第1級アミン、有機第2級アミン、または有機第3級アミンにより、in situで調製可能である。薬理上許容される塩としては(これに限定はされないが)、アルカリ性金属に基づくカチオン、またはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などのアルカリ性土類金属に基づくカチオン、そしてアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、エチルアンモニウムといった無毒第4級のアンモニアおよびアミンのカチオンなどがある。塩基付加塩の形成に役立つ他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどがある。
【0061】
本明細書における用語「増強剤」とは、本発明の疎油性抗酸化物質および/または親油性抗酸化物質の活性を増加させる、または強化するよう直接または間接に作用する1若しくはそれ以上の薬剤を指す。このような増強剤の1つはビタミンCで、ビタミンCは、抗酸化物質を再活性化すなわちリサイクルするよう作用し、それ自体で著しい抗酸化活性を有する可能性がある。ビタミンCの酸化促進特性は、遷移金属の存在下で観測されてきた。抗酸化活性の他の増強剤には、ブドウの種の抽出物や緑茶抽出物といった天然抽出物がある。ある研究では、緑茶が生体外で効力のある抗変異原活性を呈し、動物モデルでは発癌物質誘起性前癌病変部の進行を抑制した。このように、前記増強剤は、ケルセチンおよび混合トコフェロールなど、自然源から精製および単離された抗酸化物質を強化し、あるいはこれに相乗効果さえ与える。
【0062】
本明細書における用語「糖質栄養素の(glyconutritional)」または「糖質栄養素(glyconutrient)」は、天然に合成され、コミュニケーション分子およびシグナル分子の各種クラスの生化学的合成に必要な複雑な炭水化物、糖類、または単純な糖かを指し、これらは、細胞間質液中において自由であり、細胞間コミュニケーションにおいて活性を示し(すなわち、サイトカイン、成長因子など)、あるいは細胞膜の高度に特異的な分子活性の中核である分子構造を構成しうる(すなわち受容体部位、イオン輸送チャネル、抗原同定など)。
【0063】
本明細書における用語「植物栄養素の(phytonutritional)」または「植物栄養素(phytonutrient)」は、植物の細胞を保護するため生成され、植物のみに見られる、天然に合成された分子を指す。植物栄養素は、抗酸化物質と、フリーラジカルスカベンジャーと、必要不可欠な微量栄養素活性を主に有する。食事補給を通じて供給されるこれらの分子は、成熟した植物組織に見られ、種を覆う種皮および結実組織に最も濃縮されている。哺乳類組織では、これらの分子を食餌で供給すると、これらの分子が細胞微環境での生化学反応、免疫、生理反応の最適化に活性を示す。
【0064】
本明細書における用語「植物抽出物」および「ハーブ抽出物」は同義的に使われ、植物組織で生成され、水か、極性溶媒か、石油系溶剤かで抽出でき、健康または治療にある程度有益な活性を有する植物化学物質を指す。大部分のハーブ剤は、特に濃縮すると有毒な可能性があるが、一般には、「疾患治療および健康促進のための民間薬」として、茶や湿布など、より伝統的な態様で利用すると安全である。本明細書における用語「ハーブボディトーニング剤」は、加齢または日焼けに起因する弾性組織およびコラーゲン繊維の損傷を軽減および逆転するため、本発明が観測してきた物質を指す。これらの効果は、しわ、たるみ、色素沈着過度を効果的に低減または排除し、美容上容姿を損なう望ましくない他の要素を逆転する、皮膚の張りおよび弾性の回復からも明らかである。
【0065】
本発明の栄養補助食品に含まれる前記炭水化物は、低木、木、植物、酵母、菌類、かび、ガム(ゴム)、樹脂、デンプン誘導体、セルロース誘導体、天然のムチン源など、多種多様な自然源および合成源から入手できる。具体的には、次のような自然源がある。(a)アカシア、カラヤ、トラガカント、またはガッティなどの低木または木からの浸出物。(b)寒天、アルギン、またはカラギーナンなどの海産物(海藻抽出物)ガム。(c)グァー、イナゴマメ(ローカストビーン)、またはオオバコなどの種子のガム。(d)ペクチンまたはアセチル化したポリマンノースなどの植物抽出物。(e)ヘタスターチ、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、酸化セルロースなどのデンプン誘導体およびセルロース誘導体;およびデキストラン、キサンタンなどの微生物のガム。但し、本発明の組成物は、各前記炭水化物の取得源により限定されるよう意図されてはいないことを理解すべきである。
【0066】
本発明の糖類は、単糖類、オリゴ糖、および/または多糖類として自然界に見られる。これにより、本発明の組成物は、単量体、オリゴマー、および/または重合体(高分子)の形態で、糖類を含むことができる。前記糖類およびその用途に関する既知の自然源リストは、米国特許出願第US2003072770号明細書(関連部分は、言及により本明細書に組み込むものとする)を参照されたい。
【0067】
本明細書における用語「炭水化物(carbohydrate)」は、用語「糖類(saccharide)」と、「多糖類(polysaccharide)」と、「オリゴ糖(oligosaccharide)」と、「糖(sugar)」と同義的に使われ、これらの定義は炭水化物化学に携わる当業者に広く知られている。本発明の組成物は、少なくとも2つの必須糖類を含有するよう意図されているが、これらの糖類は単糖類、オリゴ糖、および/または多糖類の形態をとることが可能で、例えば、トラガカントガムおよびグァーガムを含有する組成物は、ガラクツロン酸と、シアル酸と、マンノースと、ガラクトースとを含むと見なされることに注意が必要である。そのため、所与の栄養補助食品中の特定のガムの量を制御することにより、栄養補助食品中の各糖類の量を制御することができる。
【0068】
本明細書における用語「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、εトコフェロールと、γトコフェロールと、ζトコフェロールと、ηトコフェロールと、ξ1トコフェロールと、ξ2トコフェロールと、σトコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの組み合わせまたは誘導体から選択される少なくとも2形態の混合物を記述するため使用される。一実施形態では、「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、γトコフェロールとから選択される少なくとも2形態のトコフェロールの混合物である。別の実施形態では、「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、αトコフェロールと、βトコフェロールと、δトコフェロールと、γトコフェロールとのうち、少なくとも2形態の混合物である。「少なくとも2形態のビタミンEの混合物」は、VITAECAPS,SA社(スペイン)、Henkel Corporation社、またはCognis Corporation社(米国イリノイ州カンカキー(Kankakee))などから入手可能である。COVITOL(登録商標) F−350MはCognis社から市販されており、食用植物油から得られた混合トコフェロールとともに自然源αトコフェロールを含有する。本発明の抗酸化組成物に含まれる特定のトコフェロール混合物は、ORAC(o)で抗酸化能を決定することにより決定される。
【0069】
塩またはトコフェロールの誘導体は、酢酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、ニコチン酸塩、アロファネート、リン酸塩、キノン、またはハロゲン化誘導体;エステル;立体異性体などの薬理上許容される塩を含む。本発明は、誘導体がビタミンEの抗酸化活性を維持するという条件付きで、6−クロマノール環および/または側鎖に置換と付加と他の修正が加えられたビタミンE誘導体の使用を包含する。例えば、トコフェロールおよびその誘導体は、アルキル基と、二重結合と、他の置換基との数および位置、また環上および側鎖上の違いにより異なる。「アルキル」は、メチル、ブチル、オクチルなど、炭素および水素だけを含む環状、分岐状、または直鎖状の化学基である。アルキル基は、非置換の場合もあり、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、またはベンジルなど1若しくはそれ以上の置換基で置換されている場合もある。アルキル基は、飽和状態の場合もあり、1つまたは複数の位置で不飽和状態の場合もある。通常、アルキル基は、1〜8個の炭素、1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する。付加的なトコフェロールは、酸素、窒素、硫黄、および/またはリンを含むものなど、他の各種骨格の環構造または側鎖に共役させて構成される可能性がある。また、トコフェロール誘導体は、αトコフェロール、βトコフェロール、δトコフェロール、γトコフェロールなど、原型的なトコフェロールに見られる側鎖の長さを修飾することによっても生成可能である。トコフェロールは、環構造および側鎖における結合の立体化学および飽和によっても異なりうる。
【0070】
プロドラッグを含む付加的なトコフェロール誘導体は、糖または他の骨格を側鎖構造または環構造と共役させることにより生成できる。混合トコフェロールとしては(これに限定はされないが)、単一のトコフェロールの立体異性体の混合物(αトコフェロールの+立体異性体および−立体異性体など。(+/−)は、ラセミ混合物を示す)、または、構造的に異なったトコフェロールの混合物(αトコフェロールおよびγトコフェロールなど)などがある。
【0071】
本発明は前述した11個の必須糖類を含むが、本発明の栄養補助食品には、他の糖類、栄養化合物、または生物活性のある/ない化合物が含まれうることに注意すべきである。このような他の栄養化合物は、植物栄養素、ヤムイモ複合体、植物抽出物、ハーブ抽出物、植物の一部、ハーブ成分、ビタミン、ミネラルのうち、いずれか1若しくはそれ以上を含有しうる。これらの栄養化合物は、本発明の栄養補助食品に加えるか、当該栄養補助食品を投与中の哺乳類に別個に提供することができる。例えば、本発明の糖質栄養素含有剤形を服用しているヒトは、同じ剤形または別個の剤形で植物栄養素を服用することもできる。不活性化合物は、フレーバー、充填剤、潤滑剤、緩衝液、ゲル、結合剤、賦形剤、担体、および/または、本発明の栄養補助食品の製剤または投与を促進する他の化合物を含む場合がある。糖質栄養素を含む本発明の栄養補助食品組成物は、付加的な化合物、薬剤、または他の物質を含むものであっても、すべてMannatech,Inc.社(米国テキサス州コッペル(Coppell))から直接入手できる。
【0072】
本発明は、疎水性抗酸化物質および/または親水性抗酸化物質の双方を含有する組成物の酸素ラジカル吸収能(oxygen radical absorption capacity、略称ORAC)を直接かつ同時に測定する装置および方法を含む。当該アッセイでは、試料中の酸素含有量を直接測定する酸素ラジカル吸収能アッセイ(oxygen radical absorption capacity(oxygen)、略称ORAC(o))で酸素の消失を直接追跡して、抗酸化物質がラジカルをクエンチする能力を測定することから、用語「ORAC(o)」が使用される。ORAC(fl)およびORAC(β−PE)といった現在の業界標準アッセイでは、酸素ラジカルに露出した蛍光化合物(フルオレセインまたはβフィコエリトリン)の蛍光放射の劣化を間接的に測定して抗酸化能を測定する。これらのアッセイは親水性抗酸化物質では良好に作用するが、疎水性抗酸化物質、または疎水性抗酸化物質と親水性抗酸化物質との混合物に関する測定では効果が制限される。さらに、既知のORAC(fl)システムおよびORAC(β−PE)システムとは異なり、本明細書に開示するORAC(o)は、使い捨てセンサとして簡便化および製造する上で適している。このシステムは、オフィス用システムおよび家庭用システムの製造業者が、利用者からの生物試料の酸化能を直ちに評価するために十分頑強なものである。
【0073】
ORAC(o)装置。図1は、ORAC(o)抗酸化物質直接検出装置10を示した図である。この装置10は、図示したように、検出器システム12と、流体システム14と、データプロセッサシステム16との3つの基本コンポーネントを有しており、これらはデータ取得と、流体および試料の制御と、データ処理を提供するよう相互接続されている。前記検出器システム12は、1若しくはそれ以上の導管20を介して前記流体システム14と液体流通自在な酸素センサ18を有する。前記1若しくはそれ以上の導管20を通じて流れる流体は、1若しくはそれ以上の弁22を使って制御され、これら1若しくはそれ以上の弁22は、手動での制御、および/または前記データプロセッサシステム16による制御が可能である。作動時、試料24は、前記流体システムに入り、前記検出器18へ導かれ、データ取得後、廃棄物貯蔵部26に送られる。また、前記流体システム14は、ポンプ、減圧、または加圧不活性ガスなどの圧力により前記流体システム14を通過するよう導かれる1若しくはそれ以上の溶液28も含む場合がある。前記流体システム14内の前記溶液28は、全体的にあらかじめ混合するか平衡化させておき、本発明で使用する場合は、一般に水、溶媒、洗浄剤または水:洗浄剤混合液、酸素ラジカル発生剤、酸化標的などを含み、酸素検出槽34へ送る前に混合槽30で混合してもよい。流体システムの選択は、当業者に知られているように、どの程度の自動化が望ましいか、または採用されているかに依存する。前記試料24は、前記酸素センサ18の較正に使う溶液と同じものに事前に混合してもよいし、前記混合槽30で事前に混合してもよい。
【0074】
本発明で使用する酸素検出器18の例としては、溶媒と水と洗浄剤との存在下で溶存酸素を検出できる任意の溶存酸素センサなどがある。溶存酸素センサの例には、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、さらに超スペクトル酸素センサなどがある。一具体例においては、この溶存酸素センサはYSI 5300A生物学的酸素センサ(YSI社、米国)、SPREETAセンサ(Texas Instruments社)、PASCO PS2108(Pasco社、米国)などである。一例では、前記溶存酸素センサの仕様は次のとおりである。範囲:0〜20mg/L。精度:フルスケールの±10%。分解能:0.01mg/L。最大サンプルレート:20sps。デフォルトサンプルレート:2sps。応答:60秒で98%。温度範囲:0〜50℃。温度補正:10〜40℃。陰極:プラチナ。陽極:Ag/AgCl。膜:1mlシリコン。さらに、Dissolved Oxygen EZ(Pasco社、米国)など製造元から提供されるソフトウェアと併用可。前記システムは、前記流体システムと液体流通自在なpHセンサか、ORPセンサか、導電率センサまたは濁度センサも含む場合がある。
【0075】
作動時、本明細書に開示した前記ORAC(o)システムは、次のように使用できる。利用者は、試料を回収し、これを(乾燥または液状)ORAC(o)溶媒キット中に、あるいは当該ORAC(o)溶媒キットで溶解する。携帯型表面プラズモン共鳴酸素センサ(Texas Instruments SPREETAセンサなどを参照)などのORAC(o)センサを、1若しくはそれ以上の較正基準に露出したのち、前記利用者の試料に露出する。前記酸素センサは、同センサ上にある前記検出器の表面からの出力を評価するプロセッサに接続されており、利用者に読み出し値を提供する。この読み出し値は、画面表示、印刷、および/またはプロセッサやメモリなどへの送信が可能である。前記利用者の試料は、酸素ラジカルを含有する疑いがある尿、唾液、涙、粘液分泌物、汗、血液(または血液製剤)、組織、糞便、または他の生物試料である可能性がある。一例では、試料は、回路の閉じたレスピレータなどのレスピレータで回収された1若しくはそれ以上の呼吸(1若しくはそれ以上の吸気および/または呼気)である。センサにより検出される値は、後日参照して、あるいは過去か将来かの値と比較して利用者の酸化状態を評価するため、(揮発性、半永久、または永久)メモリに保存することさえできる。
【0076】
本発明の抗酸化活性用ORAC(o)アッセイの基本コンポーネントでは、ORACに類似した既存の方法を活用するため、大規模な研修の必要なく(該当する場合)、研究室での用途に容易に適用することができる。簡潔に説明すると、ORAC(o)では、血漿酸素センサまたは溶存可能酸素センサなどの酸素センサを使って、例えば、試料溶液中の1若しくはそれ以上の酸素ラジカル発生分子と、標準としての酸化クエンチャー(抗酸化物質)との相対活性を直接測定することにより酸化促進活性を測定する。還元剤または揮発性剤といったある特定の薬剤は、AAPHなどのラジカル源の不在下では溶液中における酸素の吸収または生成につながる可能性があり、溶液中の酸素量に影響を与える可能性があることに注意すべきである。当業者であれば、本発明を使用することにより、フリーラジカル開始剤を加える前に溶液中での前記試料の性質を評価することにより、同試料のラジカルクエンチング活性と、非ラジカルクエンチング活性とを区別することが可能である。試験する試料のラジカルクエンチング活性と、非ラジカルクエンチング活性とは、本発明を利用して決定されるように、どちらも酸化状態に関係することに注意すべきである。酸素ラジカル発生剤および酸素ラジカルクエンチャーの相対活性は、間接的な方法であるORAC(fl)、ORAC(fl−lipo)、ORAC(β−PE)などと同様、経時的に滴定および/または測定することが可能である。
【0077】
図2は、本発明の方法の基本工程を要約したフローチャートである。工程52では、溶媒:水:洗浄剤混合液の存在下で、溶存可能酸素プローブを平衡化および/または較正して、ベースラインを測定する。一例では、前記溶媒:水:洗浄剤は、比1:1:1のアセトン:水:Tween 20混合液である。工程54では、抗酸化剤としてTrolox(登録商標)などを使って抗酸化活性を比較する上で、抗酸化活性のベースライン決定すると、それが陽性対照およびベースラインの役割を果たす。Trolox(登録商標)および関連分子の利点1つは、これらのビタミンE誘導体がロット間で比較的安定しており、ロット間の変動が比較的小さく、合成物質であるため信頼性の高い抗酸化活性濃度が得られる点にある。工程54の前記混合物は、工程56でリノール酸などの酸素ラジカル標的と混合したのち、工程58で酸素ラジカル発生剤を加える。アッセイを実施し、工程60では、経時的な溶存酸素消失の測定と、試料について格納された値とから曲線下面積(area under the curve、略称AUC)を計算する。前記試料は、順次または並行して前記溶媒:水:洗浄剤混合液に溶解し(工程66)、その後工程68で酸素ラジカル標的を加える。一般に、工程56および工程68では同じタイプの酸素ラジカル標的を使用し、工程58および工程70では同じタイプの酸素ラジカル発生剤を使用する。工程72では、前記試料のAUCを検出し、同試料に関する値を格納する。この時点で前記標準および試料のAUCを決定し、ブランクのAUCを減算することによってこれらの値を正規化する。次に、正規化した標準および試料のAUC値を比較し、試料の抗酸化活性レベルを計算する。
【0078】
以下の説明は本発明の例示に役立てるためであって、本発明の範囲を限定するためのものではない。前記洗浄剤Tween 20は、リノール酸の分散を助ける場合がある。リノール酸は、酸素の吸収が可能な二重結合をもたらす。Trolox(登録商標)は、内部標準として使われる合成抗酸化剤である。すべての試料から得られる値は、Trolox(登録商標)の値に関連付けられる。酸素ラジカル発生分子である2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2’ azobis (2−amidinopropane)dihydrochloride、略称AAPH)は、酸素と反応して炭素を中心としたラジカルを生じる。AAPHが生成するラジカルは、リノール酸の酸化を起こす。リノール酸が酸化されるとリノール酸の二重結合はケトンになり、これが前記炭素を中心としたラジカルに含まれる酸素分子と結合する。リノール酸の酸化により前記反応槽から酸素が除去される率は、酸素プローブにより測定される。アゾラジカルは、リノール酸と直接反応してリノール酸ラジカルの形成を起す可能性がある。前記リノール酸ラジカルは、前記反応槽内に存在する酸素と反応してケトンを形成する。以上提案したどちらの機構を介しても、酸素は、リノール酸の酸化により消費される。前記反応槽内での抗酸化物質による酸素の消費は、リノール酸の酸化を抑止することにより緩慢になる。溶存酸素に関する曲線下面積の計算値を時間に対しプロットすると、リノール酸の酸化を緩慢にする能力として、試料の抗酸化能の測度が得られる。
【0079】
酸素ラジカル発生剤。アゾラジカル発生剤は、本発明のORAC(o)アッセイに既知の濃度で存在し、抗酸化活性の測定用にラジカルを生成する。アゾラジカル開始剤には、例えば、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)などがある。
【0080】
例えば、前記ラジカル発生剤2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)は、分解して分子窒素および2つの炭素ラジカルになる。この炭素ラジカルは、互いに結合して安定した生成物を生成するか、酸素分子と反応してペルオキシルラジカルを生じる。AAPHの半減期は、約175時間(中性pHで37℃)である。そのため、最初の数時間、溶液中でのフリーラジカル生成率は本質的に一定である。多くの場合、AAPHは、脂肪酸の水分散における脂質過酸化に使われるため、単独で、あるいは親油性および/または疎油性のラジカル発生剤と組み合わせて使用することができる。本明細書に開示した溶媒系では、当該装置が前記試料中の総酸素を測定するため、親油性および/または疎油性のラジカル発生剤の一方または双方を使用することが可能である。
【0081】
溶媒系。ORAC(o)用の溶媒系は、溶媒と、水相と、洗浄剤とを含む3つの部分からなる。例えば、この溶媒は、アルコール、アミン、エステル、グリコールエーテル、グリコール、テルペン、および/またはこれらの混合物から選択される有機溶媒である可能性がある。前記有機溶媒系は、溶媒成分に対し、約50%未満、約30%または33%、20%未満、また一部のケースでは10%未満になるよう製剤される。
【0082】
一実施形態では、この溶媒はアセトンで、ORAC(o)溶媒系との体積比は約10%〜90%、水溶性部分のORAC(o)溶媒系との体積比は約10%〜90%で、前記洗浄剤は当該溶媒系の0.001%〜90%である場合がある。例えば、前記ORAC(o)溶媒系は、1/3が水で、1/3が洗浄剤で(「1/3」溶媒)、試料濃度は1mg/mLなどである。次に、同じ溶媒を使って希釈を行う。前記洗浄剤は、TWEEN(登録商標)(すなわちTween(登録商標) 20)、BRIJ(登録商標)、またはTRITON(登録商標)などの非イオン性洗浄剤か、CHAPS(登録商標)などの両性イオン性洗浄剤か、陽イオン性洗浄剤か、コール酸塩、デオキシコール酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、またはTWEEN(登録商標) 80などの陰イオン性洗浄剤か、界面活性剤であってよい。水:アセトン:洗浄剤の比は、それぞれ約5%:90%〜90%:5%である可能性がある。アセトン2分の1および水2分の1の2成分系を使うORAC(fl)と異なり、当該ORAC(o)溶媒系の洗浄剤では、試料全体から酸素を直接測定できる。変形形態の1つには、無作為にメチル化したβシクロデキストリンを使うORAC(fl−lipo)がある。
【0083】
ORAC(o)アッセイの用途。ORAC(o)アッセイは、本発明の栄養補給剤の成分を評価するため、さらに競合他社および/または本発明の最終的な栄養補助食品の試験および評価をするため、生物試料の総抗酸化活性の測定に使用することができる。生物試料を評価の使用用途としては、例えば、血清、脂溶性血清分画、水溶性血清分画、尿、脂溶性尿分画、水溶性尿分画、LDL分画、組織ホモジネート、抗酸化栄養補助食品の品質管理、食品、または保存料、新しい抗酸化栄養補助食品の開発、新しい食品か新しい保存料か新しい抗酸化治療の開発、食品製造および食品加工の品質管理、植物の抗酸化活性の評価、または化粧品の抗酸化活性の監視などがある。
【0084】
例1:ORAC(fl)アッセイおよびORAC(o)アッセイを使った抗酸化活性の比較。
【0085】
蛍光(ORAC(fl))を測定する先行技術の酸素ラジカル吸収能方法および溶存酸素(ORAC(o))を測定する本発明の方法を使って、抗酸化組成物の成分を抗酸化活性について分析した。生成物の抗酸化活性とは、ペルオキシルラジカルに起因する損傷に対し、当該生成物がその系を保護する能力である。
【0086】
比較対照としての、抗酸化活性を測定する先行技術の方法。ORAC(fl)アッセイについては、Ouらの方法(Ou,B.、Hampsch−Woodill,M.およびPrior,R.L.、J.Agric. Food Chem.2001、49、4619〜4626)に従った。Ouの公開済み手順との相違点は、オービタルシェーカーの速度(Ou、400rpm。本明細書、280 rpm)、遠心分離速度(Ou、14,000rpm、15分。本明細書、3200rpm、15分)、アッセイの時間長(Ou、30分。本明細書、100分)などであった。フルオレセイン、ナトリウム塩は、Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。Ou方法の場合は、被験抗酸化生成物に標準的な量のフルオレセインを加え、蛍光の開始時レベルを測定した。フリーラジカル開始剤を加え、時間および蛍光消失の度合いを測定した。Trolox(登録商標)、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸は、強力な抗酸化特性を伴った、細胞透過性で水溶性のビタミンE誘導体である。Trolox(登録商標)は、ラット胸腺細胞においてペルオキシ亜硝酸が仲介する酸化ストレスおよびアポトーシスを防止する、ロット間で品質が一貫した合成抗酸化物質であり、各試料との比較用に標準物質として使用されている。各実施試験には、各試料のORAC(o)値計算に使用するブランク(対照)を含める場合がある。プロットするのは蛍光対時間である。前記ブランク(対照)を各曲線から減算し、抗酸化物質の正味の曲線下面積を、Trolox(登録商標)の正味の曲線下面積と比較する。前記正味の曲線下面積が大きいほど、試料中の分子の抗酸化能も大きい。すべてのORAC(fl)分析は、COBAS FARA II遠心分離分析装置(Roche Diagnostic System Inc.社、米国ニュージャージー州ブランチバーグ(Branchburg)。励起波長=493nmおよび発光フィルター=515 nm)で実施した。結果は、試料1グラムあたりのTrolox(登録商標)等量のマイクロモルで示された。
【0087】
抗酸化活性の測定方法。 実施時、本発明のORAC(o)アッセイを、空気と平衡状態にある酸素の存在下で、標的分子(リノール酸)に対する溶液中の抗酸化組成物、その組み合わせなどの評価に使用した。フリーラジカル開始剤を加え、酸素が消失するまでにかかる時間を測定し、消失率を得た。標準としてはTrolox(登録商標)を使用し、対照としてブランク試験を実施した。時間に対して溶存酸素の量をプロットし、正味の曲線下面積を直接比較できるようにした。詳細な方法は、次のとおりである。緩衝液(K2HPO4(F.W.174.2)、NaH2PO4(FW 120.0))は、Sigma社(米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。リノール酸99%、Trolox(登録商標)(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)97%、Tween(登録商標)20、および2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩97%(AAPH)は、Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。HPLCグレードのアセトンは、Fisher社(米国ニューハンプシャー州ハンプトン)から入手した。YSI 5300A生体酸素計は、YSI社(米国オハイオ州イエロースプリングス)から入手し、製造元の仕様に従って使用した。
【0088】
ORAC(o)の方法。以下の原液を使用した。リン酸緩衝液の調剤(75mM、pH7.4);750mMのK2HPO4(F.W. 174.2);65.33gを秤量して500mLの容量フラスコに入れ、目印のところまでdH20を加える。濃度は750mMである。750mMのK2HPO4原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。750mMのNaH2PO4(FW 120.0);45.00gを秤量して500mLの容量フラスコに入れ、目印のところまでdH20を加える。濃度は750mMである。750mMのNaH2PO4原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。40mlの750mM K2HPO4原液およびl0mlの750mM NaH2PO4原液を混合する(4:1の比)。これにより、50mLのORAC原液緩衝液が得られる。原液は、較正済み温度計を備えた冷蔵庫(2〜8℃)で保存する。標的の温度は4℃である。dH20(1:9)で混合液を希釈して、ORAC緩衝液の希釈標準溶液を生成し、pHを測定する。前記pHは7.4になるものである。使用直前まで、室温でカバーを掛けておく。
【0089】
Tween調剤。10gのTween 20を秤量し、90gの脱イオン水を加える。この混合物にカバーをかけ、一晩撹拌する。Tween原液は1週間保存が利く。カウンター上に保管する。
【0090】
溶媒調剤。25mLのアセトンと、25mLの脱イオン水と、25mLのTween 20とを混合する。この溶媒を使って試料を調製する。試験実施前には、プローブに損傷がないか点検し、特に膜に注意して必要に応じ膜を交換する。プローブは、脱イオン水に先端を浸して保存する。このアッセイでは、プローブを1つだけ、反応槽を1つだけ使用すべきである。ブランクおよびTrolox(登録商標)(10μg/mlまたは0.03995μmol/mlで)の試験を8時間ごとに実施する。
【0091】
試料は、濃度10μg/mlで試験を実施する。試料濃度およびTrolox(登録商標)濃度は、同一でなければならない。
【0092】
希釈液は、1mgの試料を秤量し、1mlの溶媒を加えて初期抽出を実施することにより調製する。1時間振盪し、0.5mlの初期抽出溶液をガラスのシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加えて第1の希釈液を調製する。この第1の希釈液を約30秒ボルテックスする。この濃度は0.1mg/mlすなわち100ppmである。この第1の希釈液を0.5ml取って別のガラスのシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加え、約30秒ボルテックスして濃度0.01mg/mlすなわち10ppmを得る。このバイアル試料を0.5ml取って別のガラスシンチレーションバイアルに入れたのち、4.5mlの溶媒を加え、約30秒ボルテックスして濃度0.01mg/mlすなわち10ppmを得る。これらのバイアルを4℃の冷蔵庫に入れる。37℃の水槽でリノール酸を融解させ、0.18mLのTween原液と、0.18mLの緩衝液と、0.44mLの脱イオン水とを70.8mgのリノール酸に加えることにより、リノール酸溶液を(最小光で)調製する。溶液管はフォイルで包んでおく。リノール酸溶液は、8時間ごとに新鮮なものにする。酸素ラジカル発生剤を調製するため、67.8mgのAAPHを秤量し、0.9mLの緩衝液に溶解する。AAPHは、冷却し続けることにより最高8時間使用できる。1時間振盪する。Trolox(登録商標)溶液は、常に冷却しておく。抗酸化活性の測定を開始するため、1.86mLの緩衝液を各反応容器に加え、2.36mLの水を37℃で前記シンチレーションバイアルに加え、この反応マトリックスが一定温度になるよう3分間撹拌する。0.284mLの試料を加え、前記プローブの先端を反応溶液に接触させないよう容器内に配置して、1分間撹拌する。測定は、遮光環境で行うのが最適である。
【0093】
データ取得後、プローブを槽から除去し、それぞれ0.357mLのリノール酸溶液を加え、プローブの末端を槽の元の位置に直ちに戻す。0.357mlのAAPH溶液を加え、プローブを溶液管内に注意深く迅速に配置して、反応領域に気泡が残らないよう、また溶液がプローブケースのオーバーフローリッジ部に至らないようにする。次に、プローブをこの溶液中に配置して測定値を取得する。データを取得し、抗酸化活性を計算する。
【0094】
試料は、「1/3溶媒」(別称ORAC(o)ORAC(o)溶媒系)に対し1mg/mLの濃度で調製する。「1/3」溶媒とは、水と、アセトンと、水で1:9に希釈したTween 20の溶液とを等量ずつ含むものである。280rpmのオービタルシェーカーにより、試料を1時間室温で振盪する。この試料溶液は、「1/3溶媒」で(一般に10μg/mLまで)さらに希釈したのち、分析可能な状態になった。「1/3」溶媒は、ブランクとしても使用した。
【0095】
YSI 5300A生体酸素計を使って、ORAC(o)アッセイを実施した。リノール酸は、0.18mLの75mMリン酸緩衝液(pH7.4)と、0.18mLの10重量パーセントTween(登録商標)20原液と、0.44mLの脱イオン水を、70.8mgのリノール酸に加えて調製した。AAPHは、0.9mLの緩衝液を67.8mgのAAPHに加えて調製した。最終的な反応液体積(5.218mL)でリノール酸(21.59mM)をフリーラジカル攻撃の標的として使い、AAPH(19.00mM)をペルオキシルラジカル発生剤として使った。標準としてはTrolox(登録商標)(10μg/mL)を使用した。測定値は、ゼロ値が観測されるまで毎秒取得した。
【0096】
ORAC(o)値(Oxygen Radical Absorbance Capacity oxygen specific electrode=酸素ラジカル吸収能酸素感応電極)の計算式は、次のとおりである。
【0097】
【数4】
【0098】
また、液体製剤を評価する場合は、ORAC(o)をミリリットルで計算することもできる。この計算により、試料1グラムあたりのTrolox(登録商標)等量のマイクロモルとして知られる数量が得られる。負値のORAC(o)は、ラジカルクエンチ活性がブランクで得られた活性より低いことを反映しており、組成物が酸化促進剤、すなわち抗酸化物質として作用せず、むしろ酸化を促進する薬剤であることを示す。ORAC(o)アッセイでは酸素が試料により吸収または放出されないものと仮定するが、試料の酸素レベルにおける影響はすべて評価でき、抗酸化計算値の補正に使用できる。
【0099】
ORAC(o)およびORAC(fl)のアッセイパラメータの比較。直接的および間接的な抗酸化能測定において、ORAC(fl)と比較したORAC(o)の優位性を測定した。ORAC(fl)は、測定される蛍光成分がフルオレセイン(標的分子)だけであるという仮定に依存するため、間接的な酸素ラジカル検出方法である。但し、抗酸化化合物の多くは自然状態で蛍光性であり(ブルーベリーなど)、ラジカル−ラジカル反応で生じるこれら化合物の組み合わせも蛍光を発する。そのため、試料からの蛍光によって、蛍光に基づいたアッセイの結果が歪められる可能性がある。他方、ORAC(o)法は酸素取り込みの直接測定で、すなわち、フリーラジカル内への酸素消失を直接測定するものである。この抗酸化能測定方法は、酸素が水溶性または脂溶性の成分に結合しているかに依存しない。ORAC(fl)法およびORAC(o)法のアッセイパラメータを比較したものを表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
本発明の明らかな利点の1つは、本装置および本方法を研究室環境に導入する際、利用者が新技術を習得したり、機器を購入する必要がない点である。例えば、試料の飽和について測定する場合、本発明では同じ緩衝液、条件、抽出工程および/または分離工程を多数回使用するが、これは、Ouらが開発した測定システムなど、すでに確立されている間接的な測定システムと同様である。Ouらは、アセトン/水(50:50、v/v)で濃度20mL中500mgの試料を調製し、これをロータリーシェーカーにより1時間400rpmで回転させ、14,000rpmで15分間遠心分離し、75mMのリン酸カリウム緩衝液によりpH7.4で希釈した(Ouら、Development and Validation of Oxygen Radical Absorbance Capacity Assay for Lipophilic Antioxidants Using Randomly Methylated-β−Cyclodextrin as the Solubility Enhancer、J.Agric.Food Chem.2002、50、1815〜1821)。本発明者は、Ouの条件(ORAC(fl)条件)下では試験試料の大部分が溶液に溶解せず、高可溶性の成分が低可溶性の成分に置き換わることを発見した。その結果、ORAC(fl)条件下で可溶化された試料の一部だけがORAC(fl)試料に含められ測定されることになる。そのため、分析用にORAC(fl)法に従って調製した上清溶液では、実際の試料の総抗酸化活性を示す可能性が低い。試料のORAC(fl)緩衝液溶液は常に試料の含有物を反映するとは限らないため、ORAC(fl)を使った結果は歪められている恐れがある。
【0102】
このように試料溶解の問題が認識されたほか、ORAC(fl)を使用した場合、ケルセチンおよび混合トコフェロールの混合液について実施される抗酸化測定では、混合トコフェロールの寄与が欠如していることが観測された。図7に示すように、ORAC(o)システムを使用した場合、5μg/mLのケルセチンおよび5μg/mLの混合トコフェロールを組み合わせたものは、10μg/mLの各成分と別個に比較して、より抗酸化効果のあることがわかった。これと対照的に、間接的なORAC(fl)システムでは、同じ組み合わせを使っても、ケルセチン単独での値を超える付加的な効果は示されなかった(図11)。混合トコフェロールとのこのような組み合わせでの活性の欠如と、上記の飽和問題は、ORAC(o)法では存在しない。これは、試料の濃度がより低く、また試料の全成分を可溶化する目的で試料用の溶媒がアセトンと水と洗浄剤とを含むためである。前記試料用の前記溶媒中にTWEEN(登録商標) 20を存在させるのは、混合トコフェロールの活性の検出を考慮したものである。Trolox(登録商標)活性の対照として、図7は、5μg/mLのケルセチンおよび5μg/mLの混合トコフェロールは、10μg/mLの各成分と別個に比べ、またTrolox(登録商標)対照も含め、ORAC(o)が経時的に前記試料に残った酸素ラジカルのレベルを検出する能力を示している。
【0103】
ORAC(o)は、より高価なORAC(fl)(自動約$250,000、非自動$50,000)と比べ、大幅な経費節約をもたらす。ORAC(fl)と対照的に、本明細書に開示したORAC(o)装置は、容易に小型化および/または自動化でき、また、診療所、さらに家庭向けに販売するために開発可能な市販の酸素センサシステムを活用するため、大規模な蛍光光度計検出システムの何分の1かのコストで済む。米国公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists、略称AOAC)の単一研究室での妥当性確認ガイドラインに基づき実施した検証では、表2、表3、表4の結果が得られた。
【0104】
【表2】
【0105】
日ごとの値は、濃度10μg/mLのケルセチン試料について3回実施した試験の平均である。前記HORRAT値は、観測されたRSDR値と、当業者に知られているHorwitzの式から予測されたRSDR値との比であり、一方法の精度に関する許容度(アクセプタビリティ)の指標であると見なされている。単一研究室性能検査では、一連のHORRAT比が0.5〜2.0であれば、その方法の精度は許容範囲内であると見なされる。前記5日間試験でのHORRAT値は1.98である。分析範囲を線形範囲として決定すると表3のとおりになる。
【0106】
【表3】
【0107】
線形性は、試料濃度1000μg/mL付近で衰える。この分析範囲を線形範囲と決定すると、最高500μg/mLの可変濃度の曲線下面積の値が決定される。表4には、単一日から得られた精度に関する結果を示した。
【0108】
【表4】
【0109】
単一日精度試験では、濃度10μg/mLのケルセチン試料について5回の試験を別個に実施した。ORAC(o)法に関する表4のHORRAT値は0.65448であった。
【0110】
前記ORAC(o)アッセイは、例2に記載する抗酸化組成物の成分比を最適化するため使用された。前記組成物の一実施形態における重量比は、ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%、ブッシュプラム1.64%であり、ORAC(o)を使った抗酸化値は17,254マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムであった。これと同じ組成物について、ORAC(fl)を使った抗酸化値は5,281マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムであった。これらのデータでは、ORAC(o)法およびORAC(fl)法で抗酸化活性を測定した場合、間接的なORAC(fl)法の制限により、得られる結果は異なることを示している。
【0111】
例2:相乗的な抗酸化組成物
本発明の栄養補助食品では、世界各地域の長寿人々の飲食物に顕著な5つの成分をそれぞれ、抗酸化組成物へと組み合わされる。本発明者は、長寿で知られる地域における飲食物の広範囲な研究に基づき、成分を選択した。本発明者は、これら地域での飲食物がフラボノールおよびトコフェロールを多く含むことを認識した。本発明者は、さらに、ある種の天然化合物が、抗酸化活性を再活性化させるビタミンCなどの分子と好適に相互作用することも認識した。実際、広範囲にわたる研究では、ビタミンCがαトコフェロールなどの再生で果たす役割を裏付けている(PizzornoおよびMurray、Textbook of Natural Medicine、1999、第2版、New York、Churchill Livingston)。
【0112】
この研究に基づき、本発明者は、長寿国の様々な地域から得られた、生物的に利用可能な化合物を高い割合で含有する、自然源およびその他の源から単離および精製した抽出物を1つの製剤へと組み合わせた。本発明の一例では、以下の基本成分を選択した。フラボノール、混合トコフェロール、ブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、またはブッシュプラム。これらの成分は、エクアドルのアンデス山脈付近のビルカバンバ村、カシミールのカラコラム山脈付近のHuzaの地、または旧ソ連領グルジア共和国アブハズ自治共和国の人々の飲食物に顕著であり、文献例としては、Leaf A.およびLaunois J.の"A Scientist Visits Some of the World’s Oldest People(科学者、世界指折りの長寿者数人を訪れる)"(National Geographic、1973年1月)、イタリア領サルジニア島に関するもの(Koenig R.の"Sardinia’s Mysterious Male Methuselahs(サルジニアの神秘的な男性長寿者)"(Science、2001年3月16日)、またオーストラリアに関するものがある。
【0113】
本発明の組成物は、相乗的な抗酸化活性を示した。理論に束縛されるわけではないが、前記抗酸化組成物の種々の成分は、細胞内サイトゾルと、細胞膜と、細胞外液とを保護する活性を有し、身体全体を保護する。例えば、ブッシュプラム成分は天然ビタミンCを多く含有し、細胞に入ることが可能で、親水性であり、サイトゾルの保護に利用できる。ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物は、親水性であり、細胞には入れることはできないが、細胞外液の保護に利用できる。また、混合トコフェロールは親油性であり、親水性および親油性の両性であるフラボノール(ケルセチンなど)とともに膜を保護する。さらに、飲食物に含まれ、栄養補助食品自体にも含まれる任意の繊維は、排泄の十分な手段となりうる。
【0114】
前記相乗的な抗酸化組成物の成分。本発明のORAC(o)装置および方法を利用することによって、本発明者は、親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の組み合わせについて、またこれらの薬剤の抗酸化活性増強に役立つビタミンCなどの他の薬剤について総抗酸化活性を測定することに成功した。ORAC(o)システムを使用することにより、ケルセチン、少なくとも2形態のビタミンEの混合物、および選択的にブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、オーストラリアブッシュプラムなどのフラボノイドを含有する相乗的活性を伴った抗酸化組成物が開発された。この相乗作用は、特にケルセチンと、ビタミンE形態の混合物との重量比が40/60〜90/10%の場合に観測される。この組成物の一実施形態は、次の重量比を含む。ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%、およびブッシュプラム1.64%。
【0115】
図6は、ケルセチンと、混合トコフェロールと、トコフェロールおよびケルセチンの混合物と、合成抗酸化標準物質Trolox(登録商標)(Hoffman−La Roche)を比較したORAC(o)アッセイの結果を示したグラフである。
【0116】
ケルセチンなどのフラボノイド。当該組成物のフラボノイドは、フラボンか、フラボノールか、イソフラボンか、イソフラボノールか、これらの類縁体か、これらの薬理上許容される塩か、これらの混合物である可能性がある。フラボノールの例としては、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチンなどがある。前記組成物に含める特定のフラボノイド、フラボノイド類縁体、または塩は、ORAC(o)を実施することによって決定される抗酸化活性により決定する。ケルセチン活性の80%以内の活性は、類縁体をもたらすと考えられている。フラボノイド、特にケルセチンに言及する場合も、例えば糖がアラビノースか、ラムノースか、ガラクトースか、グルコースかの場合は、そのアグリコンまたはグリコシドを指すよう意図されている。ケルセチンのラムノースグリコシドは、ルチンまたはケルセチンとして知られており、ミリセチンのラムノースグリコシドは、ミリシトリンとして知られている。ケルセチンの類縁体には、3、5、7、3’、および4’の位置のうち1若しくはそれ以上で−OH基以外の置換基を含有する化合物などがある。他の置換基としては、5炭素原子未満のアルキル、アセチル、スルフィル(sulphyl)、またはマロニルなどがある。ケルセチンの類縁体の場合は、1つまたは2つの位置だけが−OH基以外の任意の基で置換される。
【0117】
ケルセチンなどのフラボノイドは、容易に生体外で合成される。但し、フラボノイド(ケルセチンを含む)は天然食材、特にリンゴ、西洋ナシ、ブドウ、タマネギ、赤ワイン、ピーマン、アカフサスグリ、クロフサスグリ、レモン、サクランボ、クランベリー、グーズベリー、トマト、オリーブ、ラディッシュ、コールラビ、ホースラディシュ、ジャガイモ、アスパラガスといった果物や野菜などに存在し、これらから単離および精製しうる。ケルセチンはPharmline社(米国ニューヨーク州フロリダ)から入手可能である。
【0118】
ブッシュプラム:オーストラリアブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)は、HPLCクロマトグラム(データ示さず)でも示されるように約5%のビタミンCおよび各種成分を含む。これらの成分は、フラボンおよびフラボノイドを含有すると考えられている。前記HPLCクロマトグラムは、メタノールおよび水で抽出したブッシュプラム粉末試料を使って、流量1mL/分で、0.1%トリフルオロ酢酸および100%メタノールの段階的勾配を使った逆相C18カラムから得られたものである。その条件は、フラボノイドを分離し、ビタミンCを分離するよう開発したものである。吸収は245nmで測定された。
【0119】
ブッシュプラムの果肉および皮を種から取り除き、スラリー水溶液にする。このスラリーを凍結乾燥して粉砕する。本明細書の抗酸化組成物の場合、この凍結乾燥した材料を望ましい量だけ秤量する。ブッシュプラムは、本発明の組成物中には0重量%〜87.9重量%の量存在し、別の実施形態では約2重量%存在する。
【0120】
ブドウ皮抽出物。ブドウ皮抽出物はブドウ皮から調製され、30〜82%のポリフェノールを含有し、Polyphenolics社(米国カリフォルニア州マデラ(Madera))、Hunan Kinglong Bio−Resource Co.Ltd社Changsha Economic Development Zone(中国)、またはPharmline社(米国ニューヨーク州フロリダ)から入手可能である。
【0121】
緑茶抽出物。 緑茶抽出物はCamellia sinensisの葉からの抽出物で、35〜95%のポリフェノールを含有し、Amax NutraSource Inc.社(米国オレゴン州ユージーン(Eugene))、Blue California社(米国カリフォルニア州ランチョサンタマルガリータ(Rancho Santa Margarita))、またはPL Thomas & Co.社(米国ニュージャージー州モリスタウン(Morristown))から入手可能である。
【0122】
他の成分。本発明の抗酸化組成物は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチル、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体など、無毒で薬理上許容される担体を1若しくはそれ以上含有する可能性がある。これら1若しくはそれ以上の担体を使うと、カプセルまたは錠剤を容易に製剤でき、嚥下(飲み下し)または噛み下しを容易にできる。錠剤は、適切な担体か、結合剤か、潤滑剤か、希釈剤か、崩壊剤か、着色剤か、香料添加剤か、滑沢剤(flow−inducing agent)か、溶解剤(melting agent)を含有する可能性がある。錠剤は、選択的に1若しくはそれ以上の追加成分とともに、圧縮または成形で製剤しうる。圧縮した錠剤は、任意選択で結合剤(ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、錠剤分解剤(デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースなど)、界面活性剤、または分散剤と混合して、自由流動形態(粉末、顆粒など)の有効成分を圧縮することにより調剤が可能である。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコースやβラクトースなどの天然糖、コーン甘味料、アカシアやトラガカントやアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどがある。これらの剤形に使われる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどがある。成形錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末有効成分の混合物を、適切な機械で成形することにより製剤することが可能である。
【0123】
カプセル剤または錠剤は、任意選択でコーティングまたはスコアリングでき、抗酸化組成物の徐放(持続放出)または制御放出をもたらすよう製剤することが可能である。薬剤を制御放出するための時限放出組成物は、一般に選択した時間だけ腸内での分解または崩壊に耐性のある物質と混合された、あるいはその物質でコーティングされた薬剤粒子を含有する。薬剤の放出は、リーチングか、浸食か、破断か、拡散か、またはこれらに類似した作用により起こる。
【0124】
担体は、抗酸化剤の安定性を促進し、時限放出を提供する。AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formula(AMBROTOSE(登録商標)植物製剤)と呼ばれる植物炭水化物の混合物は、抗酸化組成物と組み合わせることができる。このような組み合わせによって、抗酸化組成物の有効期間が延長され、時限放出形態をもたらされる。AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、重量/重量比が約30/30/20/19/1のアラビアゴム(アカシア)と、キサンタンガムと、トラガカントガムと、ガッティガム(TicGum社より入手可能)と、アロエゲル抽出物(葉内ゲルや、Carrington Labs社(米国テキサス州アービングのMANAPOL(登録商標)粉末または類似生成物など)とを含む。前記AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、本発明の抗酸化組成物と重量比2:1〜1:2でブレンドされる。さらに別の実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaは、前記抗酸化組成物と重量比2:1でブレンドされる。
【0125】
カプセル剤または錠剤は、具体的な製剤に応じ、約0.1%〜90%未満の重量パーセントで付加的な植物成分を含有することが可能である。担体自体は一般に前記組成物に対し栄養学的に有意な効果を及ぼさないが、本発明の栄養的に有効な量の放出について、タイミングと、位置と、放出プロファイルに有意な影響を及す可能性がある。例えば、血液中または尿中から検出される抗酸化レベルをスパイクさせるよう、一連の放出事象において、1若しくはそれ以上の本発明の抗酸化物質を1若しくはそれ以上のボーラス投与をすることができる。別の実施形態では、抗酸化物質はやや均等に放出されるか、または血液中または尿中のレベルでスパイクを伴う勾配を有する状態で提供される。実際に、本発明には、消化中の異なる時間および/または位置における、疎油性抗酸化物質および親油性抗酸化物質の放出を含めることもできる。例えば、1つの抗酸化物質は、直ちに放出されるよう発泡性担体で提供し、異なる抗酸化物質は、胃酸などにより、あるいは腸管内で放出されるよう提供できる。
【0126】
製剤工程。ローラーコンパクター(乾式圧縮成形機)で抗酸化組成物を製剤する工程は、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを本明細書に記載の抗酸化組成物とブレンドする工程を有する。結果として得られるブレンドは、ローラーコンパクターに移送され、ローラー間で圧縮されて成形体となる。前記ブレンドに与えた圧力で、成分間の物理的粘着度が強化される。次に、前記成形体をミルにかけて造粒する。次に、この造粒で形成された顆粒を、カプセル剤や錠剤など望ましい剤形に形成する。一例では、固定力10トンおよび約0.093のフィッツミル(Fitzmill)スクリーンを有するFitzpatrick Chilsonatorモデル4LX10Dローラーコンパクターを、回転方向に垂直なノッチが表面全体に付いたロールで使用する場合がある。前記ローラーコンパクター装置は、Gerteis Polygran社(ドイツ、ゲルタイス(Gerteis))の乾式圧縮成形システムなどのように、可変回転速度調整能力と、加力調整能力と、間隙幅の調整能力を有する場合もある。前記ローラーコンパクターは、前記ブレンドを2つの相反する方向に回転するローラー間に通過させて、同ブレンドに均一に圧力をかけることにより機能する。前記ローラーが前記ブレンドに加える圧力により、同ブレンドはシートやリボンなどの成形体へと圧縮され、通常、ミルにかけられて顆粒になる。その他、造粒は強打、ミル加工、または篩過により行われる。顆粒は、20〜80番のメッシュで得られたものを選択する。
【0127】
抗酸化組成物とAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaとをローラーコンパクターで組み合わせたものは、酸素に晒される抗酸化組成物の表面積が小さくなることから、有効期間が長くなると考えられる。また、このローラーコンパクターによる組み合わせによって、カプセルまたは錠剤製剤工程における賦形用の充填剤も不要になる。本明細書に記載の抗酸化組成物にAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを組み合わせることの付加的な利点としては、消化管内で不対電子を吸収する働きをする不溶性繊維の提供、およびフリーラジカルにより損傷した細胞の修復において、細胞媒介性コミュニケーションに関与する細胞糖型を適正構造にするための単糖類の提供などがある。
【0128】
用量。本発明の組成物投与に有用な用量の製剤としては、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000mgの抗酸化組成物を含むカプセル剤または錠剤などがある。一実施形態では、当該組成物に充填剤も、担体も、安定剤も加えない。実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを、本発明の抗酸化組成物と重量比2:1か、1:1か、1:2かでブレンドする。さらに異なる別の実施形態では、AMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaを、前記抗酸化組成物と重量比2:1でブレンドする。さらに異なる別の実施形態では、カプセル剤または錠剤により、500mgの抗酸化組成物をAMBROTOSE(登録商標) Phyto Formulaとブレンドしたものを提供する。この実施形態の場合、錠剤またはカプセル剤を1日に2つ服用する。口当たりをよくする、または吸収を遅延するよう、適切なコーティングを施すこともできる。
【0129】
図8および図9は、抗酸化能の測定にORAC(o)法を使い、ケルセチンおよび混合トコフェロールの比を変えて正味の曲線下面積(AUC)の結果を示したものである。試料(Q+MT)の総濃度は、アッセイする全割合について10μg/mLである。例えば、ケルセチンが0%の場合、混合トコフェロールの濃度は10μg/mLで、試料にケルセチンは含まれない。ケルセチンが10%の場合、試料は1μg/mLのケルセチンと、9μg/mLの混合トコフェロールとを含み、ケルセチンが20%の場合、試料は2μg/mLのケルセチンと、8μg/mLの混合トコフェロールとを含むことになる。前記相乗効果は、ケルセチン40〜100%で容易に観測され、ケルセチン40〜90%で最も容易に観測された。各グラフの直線は添加剤の効果を表しており、ケルセチン10%では、この線は混合トコフェロール単独の場合の活性の90%と、そしてケルセチン単独の場合の活性の10%との合計を表す。相乗効果は、この線の上側に見られる。
【0130】
本発明の組成物の第1の抗酸化物質成分(ケルセチンとしてのフラボノイド、および少なくとも2形態のビタミンEの混合物)は、12.1重量%〜100重量%または30重量%〜85重量%、あるいは別の実施形態では約82重量%の5つの成分を含有する。一実施形態では、前記5つの成分の総重量に対し、ケルセチンの量が49.18%で、ビタミンE形態の量が32.79%である。
【0131】
本発明の組成物の第2の成分(すなわち増強剤)(ブドウ皮抽出物、緑茶抽出物、ブッシュプラム)は、前記5つの成分の0重量%〜87.9重量%か、15重量%〜70重量%または約18重量%を含有する。図10に示すように、ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物の最適比は、49.18%ケルセチンと、32.79%混合トコフェロールと、1.64%ブッシュプラムの存在下で決定した。ブドウ皮抽出物と緑茶抽出物との最適比は60/40〜80/20である。一実施形態では、前記抗酸化組成物の総重量に対し、ブドウ皮抽出物が9.84%で、前記緑茶抽出物は6.56%である。ブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)は、当該組成物の成分として約0%〜87.9%の量、または別の実施形態では約2%の量で提供される。図10の実施形態では、ブッシュプラムはこの組成物の1.64%である。
【0132】
ORAC(o)アッセイでは、ケルセチン49.18%、混合トコフェロール32.79%、ブドウ皮抽出物9.84%、緑茶抽出物6.56%およびブッシュプラム1.64%の重量比を含有する抗酸化物質ブレンドが、17,254マイクロモルTrolox(登録商標)等量/グラムの抗酸化活性を有することが示されている。
【0133】
AMBROTOSE AO(TM)の安定性。AMBROTOSE AO(TM)は、AMBROTOSE(登録商標)(米国Mannatech社)および本発明の抗酸化製剤を2:1の重量比でブレンドしたもので、安定性が加速された条件下で(相対湿度75%で40℃)その活性を維持し、有効期間を約6か月にすることが示されている。
【0134】
ORAC(fl)と比較した場合のORAC(o)アッセイの妥当性確認。図11はORAC(fl)の結果のグラフで、αトコフェロールを異なる比でケルセチンと混合することの、抗酸化(AO)活性への寄与は示していない。このグラフは、標準的なアセトン水溶液でのORAC(fl)アッセイにおいて、AUCが、ケルセチン濃度の増加に直接比例して線形に増加していることを示している。抗酸化活性への寄与が欠如しているのは、αトコフェロールがアセトン:水に溶解しなかったことに起因している可能性がある。
【0135】
図12Aおよび図12Bは、混合トコフェロールを使ったORAC(fl−lipo)の結果と、前記溶媒/水/洗浄剤溶液を使って試料を溶解し親油性抗酸化能および疎油性抗酸化能の双方を検出した相対AUCの結果を示したグラフである。図11(上記)では、αトコフェロールについて、親油性抗酸化物質(AOs)の抗酸化(AO)寄与を検出する標準的ORAC(fl)法を使って、統計的に有意な活性が検出できなかったことを示していた。図12Aに示すように、αトコフェロールに関する前記ORAC(fl−lipo)のAUCを、公開済みORAC(fl−lipo)法(アセトン:水)と、アセトン:水:Tween 20とで比較したところ、同ORAC(fl−lipo)アッセイでAUCの大幅な増加が検出された。図12Bは、ケルセチンおよび混合トコフェロールを組み合わせても、結果は横座標全体にわたり直線状になり、このアッセイにおける相乗効果の欠如を示すことから、前記既知のORAC(fl−lipo)法を使った場合、相乗効果が検出されないことを示している。
【0136】
文献とその文献で推奨されている方法の調査を行えば、既知のアッセイから上記の結果が得られても驚くには当らないものである。いわゆる「高ORAC食品(High−ORAC Foods)」(www.ars.usda.govを参照)の評価に関する現在の標準には、疎油性抗酸化物質とは別個に親油性抗酸化物質の抗酸化能を測定することが標準であると示されている。本発明によって、この二分法、すなわち試験管ORAC値を血清ORAC値への効果に関係付ける際に、研究者等が観測してきた食い違いの結果が起こりうる二分法の必要性が排除されるものである。USDA(米国農務省)のAgricultural Research Service(農事試験場)は、ORAC(fl)評価と比較して血清中の抗酸化効果を測定した際、試験管ORACアッセイでは、ホウレンソウの方がイチゴよりスコアが低いが、血清ORAC値ではホウレンソウの方がイチゴより高い効果を示すことを発見した。本発明者は、本発明および本明細書で説明する組成物を使い、可変溶解度により抗酸化物質間の相互作用を可能にしてヒト体内での抗酸化物質の活性をより反映するシステムを開発することにより、上記の食い違いを解決した。間接的なORAC(fl)法および/またはORAC (fl−lipo)法は、総抗酸化活性を測定できず、一定の食品の相乗効果を検出することができない。
【0137】
図13は、可変量の洗浄剤と合わせてαトコフェロールを使ったORAC(fl)AUCの結果のグラフで、その試料のAUC測定値への効果を示している。このアッセイでは、前記1/3溶媒を完全に1/3使用し、また、より少量のTween 20との混合液に使用している。図14は、溶媒:水と洗浄剤との比が異なる2つの混合液に溶解した、固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。図13および図14の結果は、前記洗浄剤(Tween 20)がAUC増加の主な原因であることを示しており、これにより、標準的アセトン:水の混合液と比べてORAC(fl)活性の検出値が増加していることを示している。
【0138】
例3。抗酸化物質の相乗効果および増強に関するORAC(o)検出
ORAC(o)アッセイが親油性抗酸化活性および疎油性抗酸化活性の双方を検出可能であることを示すため、既知濃度の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質の特定の組み合わせの効果に関する、さらに例えばブドウ種抽出物および緑茶抽出物それぞれ単独での場合と比較しつつ、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物を加えることによる前記効果の増強とに関する一連の研究が行われた。図15は、異なる比のケルセチンおよび混合トコフェロールにより得られたORAC(o)値を示したグラフである。図16は、異なる比のブドウ種抽出物(grape seed extract、略称GES)および緑茶抽出物(green tea extract、略称GTE)についてORAC(o)値を示したグラフである。GSEおよびGTEの抗酸化活性に関する最大比を決定した後、これら2つを、ケルセチンおよび混合トコフェロールについて最適化した比で組み合わせた。図17は、ケルセチン:混合トコフェロールと、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物との最大比の組み合わせについて、ORAC(o)値を示したグラフである。これにより、ケルセチンおよび混合トコフェロールの組み合わせと、GSEと、GTEとが、栄養補助食品の抗酸化能を最大化することがわかった。
【0139】
例4。少数健常人の非盲検、非プラセボ対照試験におけるAMBROTOSE AO(TM)の抗酸化効果
抗酸化物質は、生体基質の酸化を遅延または防止できる任意の物質と定義される。抗酸化物質を含有する果物および野菜を多く含んだ飲食物は、酸化ストレスが原因と考えられる病理疾患の発生減少に関与すると考えられてきた。但し、単離した抗酸化化合物を補給しても、一部のケースでは健康改善に効果が見られないことが多く、他のケースでは危険でさえある1,3,4。果物および野菜を多く摂取することによる抗酸化物質の利点は、必ずしも単一の抗酸化物質から来るものではなく、むしろこれらの食品に存在する異なる抗酸化物質の組み合わせの協動作用から来るものであることが示唆されている5,6。この単一抗酸化物質の重視により、抗酸化物質に富んだ飲食物の保護効果を科学者がいまだ栄養補給剤で再現できない理由が説明できると考えられる7。
【0140】
近年の研究では、糖質栄養素(glyconutritional、略称GN)栄養補助食品、すなわち細胞コミュニケーションおよび免疫機能を助ける糖を提供する栄養補給剤が、生体外でも生体内でも抗酸化特性を有すると示唆されている。GN栄養補助食品を含む培養液で成長させたラット肝臓細胞は、対照より高レベルの還元グルタチオンを示しており、これにより抗酸化保護の増加を示している8。
【0141】
試験的な臨床研究では、GN栄養補助食品を消費した被験者において酸化ストレスのバイオマーカーが低下し、酸化防御のバイオマーカーが増加したことが示された。毎日2gのGN栄養補助食品を通常の食事に加え始めた後76日以内で、総鉄結合能および葉酸に有意な増加が観測され、銅/セルロプラスミン比に有意な減少が観測された。また、血清中アルケナールと、ホモシステインと、8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8−hydroxydeoxyguanosine、略称8−OHdG)と、総コレステロールの減少、および酸素ラジカル吸収能(ORACβ−PE)の増加を示唆する傾向も観測された9。
【0142】
近年の研究では、広範囲な栄養素(一部は既知、他は未確認)が果物および野菜の抗酸化活性を説明することが示されている10,11,12,13,14。有益な抗酸化物質として知られているものには、ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなどがある6。ブドウ(および赤ワイン)と、緑茶と、オーストラリアブッシュプラム(Terminalia ferdinandiana)とを含むある種の飲食物は、このような抗酸化物質を比較的高レベル含有する6,15,16。
【0143】
この研究では、緑茶と、ブドウと、混合トコフェロールと、ケルセチンと、オーストラリアブッシュプラムとから導出されるブレンドをGN栄養補助食品に組み合わせた、新規性のある栄養補給剤がもたらす抗酸化保護を測定した。
【0144】
方法。Cover−Tek,Inc.社(米国テキサス州ダラス)により血液試料が回収された。血液および尿の試料はすべてGenox Corporation社(米国メリーランド州ボルティモア(Baltimore))により分析され、統計分析は、すべてDecision Analyst社(米国テキサス州アーリントン(Arlington))により行われた。
【0145】
試料の抗酸化能を試験する方法は、いくつか公開されている17。この研究で使われた試験は、血清全体のORACβ−PE測定であった。この方法では、既知の標準であるTrolox(登録商標)との比較で、特にペルオキシルラジカルに対する血清試料の抗酸化物質の捕捉能を決定するため、蛍光プローブであるβフィコエリトリンを使う。その結果は、マイクロモルTrolox等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムで表される18。この研究に使われる他の標準分析技術としては、フリーラジカルによる脂質損傷量に間接的に関係する尿脂質ヒドロペルオキシドおよびアルケナールの測定と、DNA損傷に間接的に関係する尿8−OHdGの測定がある19,20,21。
【0146】
この研究に使用した抗酸化栄養補給剤AMBROTOSE AO(TM)は、ケルセチン、混合トコフェロール、ブドウ抽出物、緑茶抽出物、オーストラリアプラムの成分の生体外評価を使って開発された。これら各成分の生体外の抗酸化値は、標準ORACfl法を使って決定した(異なる蛍光プローブであるフルオレセインを使用)。前記成分の混合物の抗酸化値は、新規開発された、溶存酸素を直接測定する方法であるORACoを使って決定した。脂溶性および水溶性の抗酸化物質は生体内で協動的に作用するため、脂溶性および水溶性の化合物の寄与および相互作用を同時に測定する前記ORACoは、蛍光ベースの方法(ORACfl、ORACfl−lipo、ORACβ−PE)に比べ改善されている。これらの方法は、良くても脂溶性および水溶性の化合物における単独の活性を測定するのみであるが、ORACoは、水溶性成分および脂溶性成分双方のブレンドについて生体外の総抗酸化活性をより正確に決定するものである。前記水溶性および脂溶性の成分を組み合わせてORACoで評価し、前記ブレンドの最大相乗効果および最適生体外ORACo値を確立した*。
【0147】
その結果得られたブレンドをAMBROTOSE(登録商標)複合体とともに1:2の比でローラーコンパクターにかけ、AMBROTOSE AO(TM)を調製した。AMBROTOSE(登録商標)に含まれる天然ガムの多くは、化合物の放出を制御して徐放をもたらすために使われている。具体的な生成物の開発は、別個の公開および米国特許出願の対象である。
【0148】
この研究は、標準化した試験を使って、血清ORACβ−PEにより直接決定され、また尿脂質ヒドロペルオキシドと、アルケナールと、8−OHdGの分析により間接的に決定される異なる量のAMBROTOSE AO(登録商標)について、生体内抗酸化活性を決定するよう計画されている。近年、PriorおよびCaoは、腎不全など、酸化ストレスとはまったく無関係な一部の病理疾患により、任意の一試験の結果が変化する恐れがあるため、任意の単一試験よりも一連の試験が必要であることを示唆した22。
【0149】
参加者すべてからインフォームドコンセントを得た。栄養補給剤、あるいは当該研究と干渉する可能性があるいかなる薬物も服用していない12人の健常な男女成人ボランティアが登録された。年齢22〜61の男性4人および女性8人からなる前記研究対象者は、前記抗酸化栄養補助食品を量を増加させながら摂取した。ORACβ−PEの経時的変動性を評価し、検査結果の再現性を試験するため、栄養補助食品を服用していない追加参加者から血液および尿の試料が回収された。この研究中、参加者は、各自研究以前の通常の日課および食事を続けた。表5は、前記研究対象者に関する情報を示したものである。
【0150】
【表5】
【0151】
前記12人の研究対象者については、栄養補助食品を摂取しない2週間の初期休薬期間後、さらに、抗酸化栄養補助食品の量を増加させていく各2週間の終了時に、朝の空腹時において血清ORACβ−PEおよび尿を分析した。使用量は、栄養補助食品の使用を開始した最初の14日間(期間1)が1日500mg(1カプセル)、第2の14日間(期間2)が1日1.0g(2カプセル)、第3の14日間(期間3)が1日1.5g(3カプセル)であった。また、当該分析の精度を試験するため、栄養補助食品を消費していない各個人から得られた血液および尿の試料が3回分析された。血液および尿の試料は独立採血専門技師(phlebotomist)により回収され、直ちにドライアイスで覆って梱包されて、調製用に現地病院の研究室へ輸送された。次に、調製された血清および尿の試料は、Genox社のプロトコルで独立した分析を行うため、ドライアイスで覆って翌日配達便でGenox社へ送られた23。その後、任意の分析試薬の変化を最小限に抑えるため、全試料をGenox社でドライアイス保存して、研究終了時にORACβ−PEおよび尿の測定をすべて同時に行なった。
【0152】
結果:ORAC値およびベースラインデータからのパーセント変化。AMBROTOSE AO(TM)を服用している12人の参加者について、ORACβ−PE値およびベースラインからのパーセント変化を示したのが表6である。ベースラインは2週間の休薬期間後で、2週間後の期間1に500mg、2週間後の期間2に1.0g、2週間後の期間3に1.5gであった。期間2の試料の血清バイアルラベルが、Genoxへの配送中に一部剥がれてしまったため、ORACβ−PE値はこの期間の研究参加者3人だけに特に割り当て、残りの研究参加者または追加の非研究参加者には割り当てなかった。
【0153】
【表6】
【0154】
生ORACデータの統計解析。反復測定ANOVA検定を行い、前記ベースラインと、期間1と、期間2と、期間3の生ORACデータ間に差があったかどうか決定した。前記期間の間には、全体的に有意な差があった(F(3,24)=4.02、p=.020)。事後解析により、期間2はベースラインと有為に異なることがわかった(t(24)=−3.47、p=.002)。期間1は期間2と有為に異なっていた(t(24)=−2.77、p=.011)。期間2は期間3と有為に異なっていた(t(24)=2.87、p=.009)。各期間の平均は表6のようになった。
【0155】
【表7】
【0156】
ベースラインORACデータからのパーセント変化の統計解析。上記に報告した解析に使用した生データ(表6)とは対照的に、この解析では、ベースラインからのパーセント変化として表された期間の間の差を調べた。反復測定ANOVA検定を行い、期間1と、期間2と、期間3のORACデータについて、ベースラインからの各パーセント変化間の差を評価した。オムニバス検定を行ったところ、全体的な有意差は見られなかった(F(2,13)=0.71、p=.510)。また事後解析からも、期間の間には有意な差が見られなかった。各期間の平均は表7、それに対応する箱ひげ図は図Bに示したとおりである。
【0157】
【表8】
【0158】
表8は、平均脂質ヒドロペルオキシドと、総アルケナールと、8−OHdGの値をまとめたものである。これらは、同じ試料について同時に測定した尿クレアチニンで除算することにより、尿濃度変動について補正してある。
【0159】
【表9】
【0160】
大気質。大気質は、酸化ストレスのレベルを左右することが知られている。オゾンや二酸化窒素など一般的な汚染物の濃度が増加すると、大気質が低下する。これにより、ROS(活性酸素種)の生成される可能性が高まる24,25。各2週間の期間について、前記対象者等が居住するダラス(Dallas)/フォートワース(Fort Worth)(DFW)地域での米国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agency、略称EPA)による平均大気質指標を要約したものを表6に示す。前記EPAでは、各地域の大気質マップにカラーコードが使われている。すなわち、緑色:「良好」(0〜79/10億(parts per billion、略称ppb)のオゾン)、黄色:「中程度」(80〜99ppb)、オレンジ色:「敏感な集団にとって有害」(100〜124ppb)、赤色:「有害」(125〜149ppb)、および紫色:「非常に有害」(150ppb以上)である。これらの色に次の数を割り当てることにより、この研究を実施した地域に関する日次EPAマップの数値を計算した。緑色:1、黄色:2、オレンジ色:3、赤色:4、および紫色:5。また、公開されているEPAマップの各地域の色に基づき各日付の平均数値を推定し、次に、各日付の数値を、この研究の各2週間の期間について平均した(表9)。
【0161】
【表10】
【0162】
上記で概略説明した、期間2での研究参加者への値割り当ての不確定性を考慮して、前記12人の研究参加者について考えられる最低の平均ORACβ−PEを計算した。ラベルを識別できなかった血清試料のうち最も低い値から9個の値がこの研究の参加者に帰属すると仮定した場合、これらを既知の3つの値と組み合わせると、考えられる最低の平均値が得られ、これにより、ベースラインからの変化について最も保守的な推定値が得られる。前記最も低い値から9個のORACβ−PE値は、4727.9、5233.9、5104.3、4599.9、5699.9、5364.8、3987.3、4179.7、および4584.9であった。表5の期間2についてわかっている3つの値と組み合わせると、期間2の12人の研究参加者について平均ORACβ−PE値5467.70が得られる。これはベースラインの平均値4279.49を27.8%上回るものである。
【0163】
考察。諸研究により、果物および野菜を多く含む飲食物を摂取すると酸化ストレスに対する防御が得られることが示されている7,26,27。食事指針では、2〜4サービング(1回の摂取量または1皿分)の果物および3〜5サービングの野菜を毎日摂取するよう提唱している28。このような事実を知り、これらの推奨を受けているにも関わらず、米国で推奨量を毎日摂取する人々の数は極わずかである。
【0164】
米国農務省(U.S.Department of Agriculture、略称USDA)が資金援助した臨床研究において、研究者等は、果物および野菜の摂取量を増加させると(具体的には通常の1日5サービングを実験的に1日10サービングに増加させると)、2週間後には血清ORACβ−PE値が最高約13%と有為に増加することを発見した7。この研究では、各量の栄養補助食品を使った平均血清ORACβ−PE値の増加は、500mgで19.1%、1.0gで37.4%、また1.5gで14.3%であった。これらのデータは、健常人においてベースラインと比べ血清ORACβ−PEの最大増加をもたらす最適な量は、1.0gであることを示唆してる。AMBROTOSE AO(TM)1.0gに対する保守的な増加推定値27.8%は、果物および野菜を毎日5つ付加的に摂取する個人について報告されている13%の2倍以上である。
【0165】
尿脂質ヒドロペルオキシド/クレアチニン値は、栄養補助食品摂取量の増加とともに低下した。各量に関する減少は500mgで12.1%、1.0gで15.0%、そして1.5gで17.0%であり、研究の範囲では、栄養補助食品量の増加に伴い脂質損傷に対する防御が増加したことを示唆している。
【0166】
脂質ヒドロペルオキシドデータがなぜORACβ−PE値と厳密に相関しないかは明らかではない。血清ORACβ−PEは、血液が測定時にフリーラジカルをクエンチする能力に関する血液の抗酸化保護の測度となる。尿脂質ヒドロペルオキシドは、脂質が過去に受けた酸化損傷のマーカーである。実際の脂質損傷と、尿中の脂質ヒドロペルオキシドの態様の間の時間的関係は、明確に定義されていない。これらの時間的差分が、部分的に、この不一致を説明する可能性もある。
【0167】
尿脂質ヒドロペルオキシドのほか、尿8−OHdGおよびアルケナールについても、各期間において測定した。これらに有意な差および傾向は観測されなかった。この結果についても、実際の脂質と、DNA損傷と、尿中のバイオマーカーの時間的関係に関係する可能性がある。
【0168】
研究参加者は、前記DFW地域に居住していた。DFWについて公開されたEPA日次大気質評価は、各2週間の期間について平均した。研究の実施期間中、大気質は悪化していた。この場合、通常であればROSが増加するため、脂質ヒドロペルオキシドなど酸化損傷のバイオマーカーが増加し、酸化ストレスが増加することが期待される29。しかし、対照的に、測定された血清ORAC値は増加しており、保護効果の増加は明白であった。さらに、尿脂質ヒドロペルオキシド値の下降傾向と、尿8−OHdGおよびアルケナールの安定性とが、酸化損傷が減少した証拠を提供している。これらのデータを総合すると、前記栄養補助食品がもたらした抗酸化効果は実際測定された効果より大きかったことが示唆される。
【0169】
結論。公開されている指針では果物および野菜の摂取を推奨しているが、それに従っていない人々が圧倒的多数であるのが現状である。これらの予備的データは、製品中に抗酸化活性を維持する最適な抗酸化成分を含有した栄養補給剤が、血清ORACβ−PEで測定されたように、健常人における抗酸化保護を増加させ、尿脂質ヒドロペルオキシドで測定されたように脂質の酸化損傷を低減することを示唆している。2週間後に血清ORACβ−PEがベースラインを超えて増加したことにより示された、健常人における保護性は、500mgと、1.0gと、1.5gとのAMBROTOSE AO(TM)を使った場合、2週間5つの果物および野菜を食事に追加した公開済みデータ記載値より優れていた(19.1%、37.4%、および14.3%に対し13%)。
【0170】
本発明者の知る限りでは、抗酸化栄養補助食品を使って健常人における酸化ストレスの4つの測度を検査し、上記のような血清ORACβ−PEの増加を示したのは、本研究が最初である。ORACβ−PE値が示唆したように、健常対象者における最適範囲は1日あたり1gであるが、研究では、血清ORAC値が低い個人には、高用量の抗酸化物質補給が有効であることを示している30。従って、酸化ストレスの増加に悩む個人、また酸化ストレスに悩む個人には、より大量の用量が有効である可能性がある。
【0171】
抗酸化ブレンドの製剤ではORACoを使用したが、独立した研究室では確立された方法であるORACβ−PE法を使って、ヒト臨床試験の血漿試料を分析した。AMBROTOSE AO(TM)製品の抗酸化効果に関する生体内評価は、ORACo法によるものではない。
【0172】
これらのデータは、血清ORAC(β−PE)で測定されたように、本抗酸化栄養補助食品が、それを摂取者において抗酸化保護を増加させ、尿脂質ヒドロペルオキシドで測定されたように、脂質の酸化損傷を減少させることを示している。
【0173】
本明細書で説明する特定の実施形態は、本発明を例示するためのものであって、本発明を限定するためのものではないことが理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の実施形態に使用できる。当業者であれば、通常範囲を超えない実験を使って、本明細書で説明した具体的な手順に対応する無数の実施形態を理解し、また確認できるであろう。このような対応形態は、本発明の範囲内であり、前記請求項により包含されるものと見なされる。
【0174】
本明細書で言及した公報および特許出願はすべて、本発明に関する当業者の技能レベルを示している。すべての公報および特許出願は、各公報または各特許出願の言及による組み込みを具体的かつ個別に示した場合と同程度に、言及により本明細書に組み込むものとする。
【0175】
本明細書で開示および主張したすべての組成物および/または方法は、本開示に照らして、不適切な実験を行うことなく、調製および実施することができる。以上、好適な実施形態により本発明の組成物および方法を説明してきたが、当業者であれば、本発明の概念、精神および要旨を逸脱しない範囲で、本明細書で説明した前記組成物および/または方法、および方法の工程または一連の工程には種々の変形形態を適用できることが明白である。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連した特定の薬剤を、本明細書で説明した薬剤の代わりに使用しても、同じまたは類似した結果が達成できることが明白である。当業者に明らかな、これらすべての類似代用形態および変更形態は、添付した請求項が定義する本発明の精神、要旨および概念の範囲内であると見なされるものである。
【0176】
【表11−1】
【0177】
【表11−2】
【0178】
【表11−3】
【図面の簡単な説明】
【0179】
本発明の特徴および利点をより完全に理解するため、添付の図面とともに発明の詳細な説明を参照する。添付の図面は以下のとおりである。
【図1】図1は、ORAC(o)抗酸化物質直接検出装置を示したものである。
【図2】図2は、本発明のORAC(o)法のフローチャートである。
【図3】図3は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、ブランク溶液を、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図4】図4は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、抗酸化標準Trolox(登録商標)を、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図5】図5は、AAPHを開始剤として、Trolox(登録商標)を標準として、リノール酸またはフルオレセインをそれぞれ酸素ラジカル標的として使って、前記ブランク溶液と、前記標準と、前記試料とを、ORAC(o)(酸素パーセント)測定値およびORAC(fl)(蛍光)測定値で比較した2つのグラフである。
【図6】図6は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(mixed tocopherols、略称MT)の組み合わせの抗酸化効果を、10μg/mL濃度の各成分と別個に比較し、本発明のORAC(o)法で測定して示したグラフである。
【図7】図7は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(MT)の組み合わせの抗酸化効果を、対照試料としてのTrolox(登録商標)と比較し、本発明のORAC(o)法で測定して示したグラフである。
【図8】抗酸化能の測定用に前記ORAC(o)法を使って、ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定比から得られた曲線下面積(Area Under the Curve、略称AUC)の結果のグラフである。
【図9】図9は、抗酸化能の測定用に前記ORAC(o)法を使って、ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定比から得られたAUC結果に関する別のグラフである。このグラフでは、期待された結果(線)およびこの線の上部分で検出された相乗効果の度合いを、前記ケルセチンおよび混合トコフェロールの滴定から期待された結果と比較した場合に示しされた抗酸化能を測定するものである。
【図10】図10は、49.18%ケルセチンと、32.79%混合トコフェロールと、1.64%ブッシュプラムの存在下における、ブドウ皮抽出物および緑茶抽出物の可変比についてORAC(o)アッセイの結果を示したグラフである。ブドウ皮抽出物と緑茶抽出物との最適比は60/40〜80/20である。
【図11】図11は、5μg/mLのケルセチン(Q)および5μg/mLの混合トコフェロール(MT)の組み合わせに関するORAC(fl)の結果を、10μg/mL濃度の各成分と別個に比較し示したグラフである。
【図12A】図12は、アセトン:水に溶解した、ケルセチン対αトコフェロールの滴定を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図12B】図12は、アセトン:水に溶解した、ケルセチン対αトコフェロールの滴定を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図13】図13は、溶媒:水:洗浄剤混合液に溶解した固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図14】図14は、溶媒:水と洗浄剤との比が異なる2つの混合液に溶解した、固定比のケルセチン:αトコフェロールについて抗酸化活性を測定したORAC(fl)アッセイのグラフである。
【図15】図15は、異なる比のケルセチンおよび混合トコフェロールにより得られたORAC(o)値を示したグラフである。
【図16】図16は、異なる比のブドウ種抽出物および緑茶抽出物についてORAC(o)値を示したグラフである。
【図17】図17は、ケルセチン:混合トコフェロールと、ブドウ種抽出物および緑茶抽出物との最大比の組み合わせについて、ORAC(o)値を示したグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の抗酸化活性を直接検出する装置であって、
溶媒/水/界面活性剤混合液に含まれる、試料および酸素ラジカルに高感度な分子に液体流通自在な酸素センサを有し、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出するものである
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記酸素ラジカルに高感度な分子は、酸素か、共役二重結合を伴った分子か、窒素または硫黄を含んだ化合物か、フルオレセインか、β−PEか、グルタチオン−S−トランスフェラーゼか、リノール酸か、またはこれらの組み合わせと反応する分子から選択されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、溶存酸素レベルは、溶存酸素計を使って決定されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、溶存酸素レベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、またはハイパースペクトル酸素センサを有する酸素センサを使って決定されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記溶媒は、さらに、
有機溶媒として定義されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤は、さらに、
洗浄剤として定義されるものである。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤は、さらに、
非イオン性洗浄剤として定義されるものである。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、前記溶媒はアセトンを含有するものである。
【請求項13】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤はTweenを含有するものである。
【請求項14】
請求項1記載の装置において、前記酸素ラジカルのレベルは、次式を使って決定されるものであり、
【数1】
ここで、AUCsmpは、前記試料の曲線下面積値であって
AUCblnkは、ブランク曲線下面積値であって、
AUCtrlxは、Troloxの曲線下面積値であって、
SMPは、前記試料である。
【請求項15】
抗酸化活性を決定する方法であって、
1若しくはそれ以上の抗酸化物質および酸素ラジカル標的が存在する、溶媒/水/界面活性剤混合液に溶解した試験溶液中の溶存酸素レベルを決定する工程を有し、水溶性および脂溶性双方の抗酸化物質の活性は酸素検出器で測定されるものである
方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記溶存酸素レベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、ハイパースペクトル酸素センサを有する酸素検出器を使って決定されるものである。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、前記溶存酸素レベルは、溶存酸素センサを使って決定されるものである。
【請求項18】
請求項15記載の方法において、前記酸素ラジカルのレベルは、次式を使って決定されるものであり、
【数2】
ここで、AUCsmpは、前記試料の曲線下面積値であって、
AUCblnkは、前記ブランク曲線下面積値であって、
AUCTtrlxは、前記Troloxの曲線下面積値であって、
SMPは、前記試料である。
【請求項19】
請求項15記載の方法において、前記溶媒は、さらに、
有機溶媒として定義されるものである。
【請求項20】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、さらに、
洗浄剤として定義されるものである。
【請求項21】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、さらに、
非イオン性洗浄剤として定義されるものである。
【請求項22】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項23】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項24】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項25】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【請求項26】
請求項15記載の方法において、前記溶媒はアセトンを含有するもである。
【請求項27】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、陰イオン洗浄剤か、イオン洗浄剤か、またはこれらの混合物を含有するものである。
【請求項28】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤はTweenを含有するものである。
【請求項29】
請求項15記載の方法において、前記抗酸化活性は、約37℃で測定されるものである。
【請求項30】
請求項15記載の方法において、この方法は、さらに、
2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)と、塩と、これらの混合物または同等物からなる群から選択されるラジカル開始剤を提供する工程を有するものである。
【請求項32】
請求項15記載の方法において、前記検出器は使い捨て可能である。
【請求項33】
抗酸化物質栄養補助食品であって、
単離および精製された疎油性抗酸化物質と、
単離および精製された親油性抗酸化物質と、
を有し、
前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、合わせて6,000μMol Trolox等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムより大きい溶存酸素値を含有するものである
抗酸化物質栄養補助食品。
【請求項34】
請求項33記載の補助食品において、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、時限放出される。
【請求項35】
請求項33記載の補助食品において、前記疎油性抗酸化物質は、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される1若しくはそれ以上のビタミンEからなる群から選択されるものである。
【請求項36】
請求項33記載の補助食品において、前記親油性抗酸化物質は、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と、類縁体と、薬理上許容される塩と、これらの組み合わせとからなる群から選択されるものである。
【請求項37】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
2若しくはそれ以上の必須糖類を含有するものである。
【請求項38】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、ガラクトサミンと、グルコサミンと、グルコースと、マンノースと、アセチル化マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースから選択される2若しくはそれ以上の糖類を含有するものである。
【請求項39】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ビタミンCの植物源を有するものである。
【請求項40】
請求項39記載の補助食品において、前記ビタミンCの植物源は、オーストラリアブッシュプラム(Australian bush plum、学名:Terminalia ferdinandiana)を有するものである。
【請求項41】
請求項39記載の補助食品において、前記ビタミンCの植物源は、野生のオーストラリアブッシュプラム(Australian bush plum、学名:Terminalia ferdinandiana)を含有するものである。
【請求項42】
請求項39記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
1若しくはそれ以上のプロバイオティックスを含有するものである。
【請求項43】
請求項39記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
乳酸菌種およびビフィドバクテリウム属の種(ビフィズス菌)から選択される1若しくはそれ以上のプロバイオティックスを含有するものである。
【請求項44】
請求項33記載の補助食品において、前記補助食品は、全体的に酸素不浸透性の表面を提供するよう圧縮されるものである。
【請求項45】
請求項33記載の補助食品において、前記補助食品は、ローラー圧縮された粒子か、カプセルか、錠剤か、小型錠剤(mini−tab)か、カプレットか、発泡錠または、これらの組み合わせである。
【請求項46】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、前記単離および精製された親油性抗酸化物質を有し、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、7000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい抗酸化物質ORAC(fl−lipo)値を有するものである。
【請求項47】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、前記単離および精製された親油性抗酸化物質を有し、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、患者に与えた場合、ORAC(β−PE)によって測定される患者のベースライン抗酸化物質レベルに13%を超える増加をもたらすものである。
【請求項48】
栄養補助食品であって、
栄養的に有効な量の2若しくはそれ以上の必須糖類と、
単離および精製された疎油性酸素ラジカルクエンチャーと、
単離および精製された親油性酸素ラジカルクエンチャーと
を含有し、
前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、合わせて6,000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい酸素ラジカルクエンチャー値を有するものである
栄養補助食品。
【請求項49】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、患者に与えた場合、ORAC(β−PE)によって測定される患者のベースライン抗酸化物質レベルに13%を超える増加をもたらす。
【請求項50】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、徐放用に包装されるものである。
【請求項51】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーは、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される1若しくはそれ以上のビタミンEからなる群から選択されるものである。
【請求項52】
請求項48記載の補助食品において、前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、フラボノールと、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択されるものである。
【請求項53】
請求項48記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される2若しくはそれ以上の糖類をさらに含有するものである。
【請求項54】
請求項48記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される6若しくはそれ以上の糖類を含有するものである。
【請求項55】
組成物の抗酸化能を測定するシステムであって、
溶媒/水/界面活性剤混合液に含まれる、試料および酸素ラジカルに高感度な分子に液体流通自在な酸素センサであって、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出する、酸素センサと、
前記酸素センサと液体流通自在な流体システムであって、1若しくはそれ以上の容器と、弁と、導管を有する流体システムと、
前記酸素センサおよび前記流体システムに接続されたプロセッサと
を有するシステム。
【請求項56】
請求項55記載のシステムにおいて、このシステムは、さらに、
前記流体システムと液体流通自在なpHセンサか、ORPセンサか、導電率センサまたは濁度センサを有するものである。
【請求項1】
親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方の抗酸化活性を直接検出する装置であって、
溶媒/水/界面活性剤混合液に含まれる、試料および酸素ラジカルに高感度な分子に液体流通自在な酸素センサを有し、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出するものである
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記酸素ラジカルに高感度な分子は、酸素か、共役二重結合を伴った分子か、窒素または硫黄を含んだ化合物か、フルオレセインか、β−PEか、グルタチオン−S−トランスフェラーゼか、リノール酸か、またはこれらの組み合わせと反応する分子から選択されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、溶存酸素レベルは、溶存酸素計を使って決定されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、溶存酸素レベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、赤外線酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、またはハイパースペクトル酸素センサを有する酸素センサを使って決定されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記溶媒は、さらに、
有機溶媒として定義されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤は、さらに、
洗浄剤として定義されるものである。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤は、さらに、
非イオン性洗浄剤として定義されるものである。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、前記溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、前記溶媒はアセトンを含有するものである。
【請求項13】
請求項1記載の装置において、前記界面活性剤はTweenを含有するものである。
【請求項14】
請求項1記載の装置において、前記酸素ラジカルのレベルは、次式を使って決定されるものであり、
【数1】
ここで、AUCsmpは、前記試料の曲線下面積値であって
AUCblnkは、ブランク曲線下面積値であって、
AUCtrlxは、Troloxの曲線下面積値であって、
SMPは、前記試料である。
【請求項15】
抗酸化活性を決定する方法であって、
1若しくはそれ以上の抗酸化物質および酸素ラジカル標的が存在する、溶媒/水/界面活性剤混合液に溶解した試験溶液中の溶存酸素レベルを決定する工程を有し、水溶性および脂溶性双方の抗酸化物質の活性は酸素検出器で測定されるものである
方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記溶存酸素レベルは、電気化学酸素センサか、化学発光酸素センサか、表面プラズモン共鳴酸素センサか、容量結合酸素センサか、色素結合光ファイバー酸素センサか、ハイパースペクトル酸素センサを有する酸素検出器を使って決定されるものである。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、前記溶存酸素レベルは、溶存酸素センサを使って決定されるものである。
【請求項18】
請求項15記載の方法において、前記酸素ラジカルのレベルは、次式を使って決定されるものであり、
【数2】
ここで、AUCsmpは、前記試料の曲線下面積値であって、
AUCblnkは、前記ブランク曲線下面積値であって、
AUCTtrlxは、前記Troloxの曲線下面積値であって、
SMPは、前記試料である。
【請求項19】
請求項15記載の方法において、前記溶媒は、さらに、
有機溶媒として定義されるものである。
【請求項20】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、さらに、
洗浄剤として定義されるものである。
【請求項21】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、さらに、
非イオン性洗浄剤として定義されるものである。
【請求項22】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の溶媒は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項23】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の水は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項24】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の界面活性剤は、当該溶媒/水/界面活性剤混合液の少なくとも10容量パーセントである。
【請求項25】
請求項15記載の方法において、前記溶媒/水/界面活性剤の比は約1:1:1である。
【請求項26】
請求項15記載の方法において、前記溶媒はアセトンを含有するもである。
【請求項27】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤は、陰イオン洗浄剤か、イオン洗浄剤か、またはこれらの混合物を含有するものである。
【請求項28】
請求項15記載の方法において、前記界面活性剤はTweenを含有するものである。
【請求項29】
請求項15記載の方法において、前記抗酸化活性は、約37℃で測定されるものである。
【請求項30】
請求項15記載の方法において、この方法は、さらに、
2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩と、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)と、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)[2−(N−ステアリル)アミジノプロパン]二塩酸塩(SA−1)と、2,2’−アゾ(2−(2−イミジアゾリン−2−イル)−プロパン)−[2−[2−(4−n−オクチル)イミダゾリン−2−イル]−プロパン]二塩酸塩(C−8)と、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(MeO−AMVN)と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)と、アゾ−ビス−イソブチルニトリルと、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)(DAMP)と、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)と、塩と、これらの混合物または同等物からなる群から選択されるラジカル開始剤を提供する工程を有するものである。
【請求項32】
請求項15記載の方法において、前記検出器は使い捨て可能である。
【請求項33】
抗酸化物質栄養補助食品であって、
単離および精製された疎油性抗酸化物質と、
単離および精製された親油性抗酸化物質と、
を有し、
前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、合わせて6,000μMol Trolox等量(Trolox Equivalent、略称TE)/グラムより大きい溶存酸素値を含有するものである
抗酸化物質栄養補助食品。
【請求項34】
請求項33記載の補助食品において、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、時限放出される。
【請求項35】
請求項33記載の補助食品において、前記疎油性抗酸化物質は、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される1若しくはそれ以上のビタミンEからなる群から選択されるものである。
【請求項36】
請求項33記載の補助食品において、前記親油性抗酸化物質は、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と、類縁体と、薬理上許容される塩と、これらの組み合わせとからなる群から選択されるものである。
【請求項37】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
2若しくはそれ以上の必須糖類を含有するものである。
【請求項38】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、ガラクトサミンと、グルコサミンと、グルコースと、マンノースと、アセチル化マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースから選択される2若しくはそれ以上の糖類を含有するものである。
【請求項39】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ビタミンCの植物源を有するものである。
【請求項40】
請求項39記載の補助食品において、前記ビタミンCの植物源は、オーストラリアブッシュプラム(Australian bush plum、学名:Terminalia ferdinandiana)を有するものである。
【請求項41】
請求項39記載の補助食品において、前記ビタミンCの植物源は、野生のオーストラリアブッシュプラム(Australian bush plum、学名:Terminalia ferdinandiana)を含有するものである。
【請求項42】
請求項39記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
1若しくはそれ以上のプロバイオティックスを含有するものである。
【請求項43】
請求項39記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
乳酸菌種およびビフィドバクテリウム属の種(ビフィズス菌)から選択される1若しくはそれ以上のプロバイオティックスを含有するものである。
【請求項44】
請求項33記載の補助食品において、前記補助食品は、全体的に酸素不浸透性の表面を提供するよう圧縮されるものである。
【請求項45】
請求項33記載の補助食品において、前記補助食品は、ローラー圧縮された粒子か、カプセルか、錠剤か、小型錠剤(mini−tab)か、カプレットか、発泡錠または、これらの組み合わせである。
【請求項46】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、前記単離および精製された親油性抗酸化物質を有し、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、7000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい抗酸化物質ORAC(fl−lipo)値を有するものである。
【請求項47】
請求項33記載の補助食品において、この補助食品は、前記単離および精製された親油性抗酸化物質を有し、前記疎油性抗酸化物質および前記親油性抗酸化物質は、患者に与えた場合、ORAC(β−PE)によって測定される患者のベースライン抗酸化物質レベルに13%を超える増加をもたらすものである。
【請求項48】
栄養補助食品であって、
栄養的に有効な量の2若しくはそれ以上の必須糖類と、
単離および精製された疎油性酸素ラジカルクエンチャーと、
単離および精製された親油性酸素ラジカルクエンチャーと
を含有し、
前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、合わせて6,000μMol Trolox等量(TE)/グラムより大きい酸素ラジカルクエンチャー値を有するものである
栄養補助食品。
【請求項49】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、患者に与えた場合、ORAC(β−PE)によって測定される患者のベースライン抗酸化物質レベルに13%を超える増加をもたらす。
【請求項50】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーおよび前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、徐放用に包装されるものである。
【請求項51】
請求項48記載の補助食品において、前記疎油性酸素ラジカルクエンチャーは、α(アルファ)トコフェロールと、β(ベータ)トコフェロールと、δ(デルタ)トコフェロールと、ε(イプシロン)トコフェロールと、γ(ガンマ)トコフェロールと、ζ(ゼータ)トコフェロールと、η(イータ)トコフェロールと、ξ1(クサイ1)トコフェロールと、ξ2(クサイ2)トコフェロールと、σ(シグマ)トコフェロールと、αトコトリエノールと、βトコトリエノールと、δトコトリエノールと、γトコトリエノールと、これらの類縁体と、これらの薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される1若しくはそれ以上のビタミンEからなる群から選択されるものである。
【請求項52】
請求項48記載の補助食品において、前記親油性酸素ラジカルクエンチャーは、フラボノールと、ケルセチンと、ケンフェロールと、ミリセチンと、アピゲニンと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択されるものである。
【請求項53】
請求項48記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される2若しくはそれ以上の糖類をさらに含有するものである。
【請求項54】
請求項48記載の補助食品において、この補助食品は、さらに、
ガラクトースと、グルコースと、マンノースと、N−アセチルノイラミン酸と、フコースと、N−アセチルガラクトサミンと、N−アセチルグルコサミンと、キシロースと、これらの誘導体と類縁体と薬理上許容される塩と、これらの組み合わせからなる群から選択される6若しくはそれ以上の糖類を含有するものである。
【請求項55】
組成物の抗酸化能を測定するシステムであって、
溶媒/水/界面活性剤混合液に含まれる、試料および酸素ラジカルに高感度な分子に液体流通自在な酸素センサであって、前記酸素ラジカル高感度センサは、前記溶媒/水/界面活性剤混合液中の親油性抗酸化物質および疎油性抗酸化物質双方を同時に検出する、酸素センサと、
前記酸素センサと液体流通自在な流体システムであって、1若しくはそれ以上の容器と、弁と、導管を有する流体システムと、
前記酸素センサおよび前記流体システムに接続されたプロセッサと
を有するシステム。
【請求項56】
請求項55記載のシステムにおいて、このシステムは、さらに、
前記流体システムと液体流通自在なpHセンサか、ORPセンサか、導電率センサまたは濁度センサを有するものである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−504443(P2007−504443A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524830(P2006−524830)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027644
【国際公開番号】WO2005/022116
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506066906)マナテック、インク. (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027644
【国際公開番号】WO2005/022116
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506066906)マナテック、インク. (3)
【Fターム(参考)】
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