説明

折り畳み作業機における延長レベラの復元装置

【課題】トラクタの後方に位置する本体作業機とそれに対して折り畳み自在に連結される延長作業機を備え、延長作業機が本体作業機の本体ロータに連結可能な延長ロータを覆う延長エプロンとその後方に揺動自在に連結される延長レベラを有する折り畳み作業機において、延長レベラが畦等から外力を受けて延長エプロンに対して回転したときに、延長レベラを回転前の状態に復帰させる。
【解決手段】延長作業機7の本体作業機2との連結状態のときに、延長レベラ11を本体レベラ6の揺動に連動させて揺動自在とする。
延長作業機7が折り畳み状態にあり、延長レベラ11が外力を受けたときに延長エプロン5に対して回転可能とする。
延長レベラ11が本体レベラ6に連動し得る状態となる側へ延長レベラ11を直接、もしくは間接的に付勢する付勢部材23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は代掻き作業機や耕耘作業機等、トラクタの後方に位置する本体作業機とそれに対して折り畳み自在に連結される延長作業機を有する折り畳み作業機において、延長作業機の後方に揺動自在に連結される延長レベラが延長作業機の折り畳み状態で、外力を受けて回転したときに、この延長レベラを回転前の状態に復帰させる復元装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタの後部に連結される本体作業機とその両側、あるいは片側に折り畳み自在に連結される延長作業機を有する折り畳み作業機では、延長作業機の展開状態、すなわち延長作業機の本体作業機への連結状態で延長作業機を本体作業機に連係させることが必要になる。
【0003】
本体作業機と延長作業機はそれぞれトラクタからの動力を受けて駆動するロータとその上方を覆うシールドカバーから構成され、シールドカバーの後方にはロータを構成するロータリ軸に突設される耕耘爪等の爪が掻き上げる土砂の後方への飛散を防止するためのエプロンがロータ(ロータリ軸)に平行な軸の回りに回転可能に連結される。エプロンの後方には圃場面付近の土を均平に均すためのレベラがロータに平行な軸の回りに揺動自在に連結される。
【0004】
延長作業機の展開状態での作業中、延長作業機にはそのロータ(ロータリ軸)が本体作業機のロータ(ロータリ軸)に連結されることで、本体作業機から動力が伝達されるのに対し、それぞれのロータ(ロータリ軸)を覆うシールドカバー後方のエプロンは圃場面の不陸の程度に応じ、独立して挙動し得る。このため、延長作業機のエプロンと本体作業機のエプロンが独立していれば、それぞれに連結されたレベラが圃場面を均平にすることができなくなることがある。
【0005】
このことから、各レベラの機能を有効に発揮させる上では、延長作業機のエプロン(延長エプロン)とレベラ(延長レベラ)をそれぞれ本体作業機のエプロン(本体エプロン)とレベラ(本体レベラ)に連動させて揺動させる必要があり、延長作業機のエプロンとレベラにそれぞれ本体作業機のエプロンとレベラに連動するための連係部材を設置する必要が生ずる(特許文献1、2参照)。
【0006】
ここで、図1に示すように延長作業機が折り畳み状態にあるときに、延長作業機のレベラ(延長レベラ)がエプロン(延長エプロン)に対して自由に揺動できるとすれば、折り畳み状態のまま折り畳み作業機が移動(走行)するときに、振動によってレベラが暴れ、エプロンやレベラを損傷させたり、騒音を発生させたりする可能性がある。従って延長レベラと延長エプロンの損傷を回避するには、特許文献1のように延長レベラが振動を受けて自由に揺動できないようにこれを延長エプロンに拘束することが適切である。
【0007】
各エプロンはシールドカバーの後方に回転自在に連結され、レベラは各エプロンの後方に揺動自在に連結されるから、連係部材は延長作業機のエプロン用とレベラ用に別個に設置され、それぞれ延長エプロンと延長レベラと一体となって挙動する。延長レベラ用の連係部材は例えば特許文献1のように本体作業機側には本体作業機が連係の向きに係止可能な被係止部を有し、延長作業機側には被係止部が受けた力を延長作業機に伝達し、延長作業機に連係の向きに係止した状態を維持するための係止部を有する。
【0008】
特許文献1では延長レベラの側板を貫通する連係部材の係止部を延長エプロンの側板に形成された凹部に貫入させ、延長レベラが回転しようとする正負の揺動の向きに係止部を凹部に係合させることで、延長レベラの延長エプロンに対する回転角度を制限している。この場合、係止部の先端が側板の凹部に入り込み、いずれの回転の向きにも凹部の内周面に係合することで、係止部の抜け出しが阻止され、延長エプロンに対する延長レベラの自由な回転が阻止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−185124号公報(請求項1、段落0031〜0036、図1〜図10)
【特許文献2】特開2007−61033号公報(請求項2、段落0019〜0031、図5〜図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図1に示すように延長作業機を折り畳み状態で畦等から圃場に進入するときに、畦等の高さの程度によっては畦等の上面に延長作業機のレベラを衝突させる可能性があるため、延長エプロンに対する延長レベラの回転が完全に阻止されているとすれば、畦等への衝突によって延長レベラを損傷させる可能性がある。
【0011】
畦を構成する土は硬化していることもあれば、畦自体がコンクリート製であることもあり、このような場合に、延長レベラを畦に衝突させたときに、延長レベラを損傷させる可能性が高く、本体作業機との連結時にそのレベラに連係部材を係止させることが不可能になることが想定される。
【0012】
一方、延長レベラが畦等から外力を受けることにより連係部材が延長エプロンから離脱し、延長レベラが跳ね上げられた状態を維持するとすれば、延長レベラと一体となっている連係部材も延長エプロンに対して回転した状態にある。この場合、上記した被係止部が本体レベラの係止位置からずれているから、延長作業機が折り畳み状態から連結状態へ移行するときに、連係部材の延長レベラが本体レベラに連係する状態にならなくなる。
【0013】
本発明は上記背景より、延長作業機が折り畳み状態のまま、折り畳み作業機が畦から圃場に進入し、延長レベラが畦等から外力を受けて延長エプロンに対して回転したときに、延長レベラを回転前の状態に復帰させる機能を有する折り畳み作業機における延長レベラの復元装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明の折り畳み作業機における延長レベラの復元装置は、トラクタの後部に連結され、トラクタからの動力を受けて駆動する本体ロータを覆う本体エプロンとその後方に位置し、前記本体ロータに平行な軸の回りに揺動自在な本体レベラを有する本体作業機と、この本体作業機の前記本体ロータに連結可能な延長ロータを覆う延長エプロンとその後方に位置し、その延長ロータに平行な軸の回りに揺動自在な延長レベラを有し、前記本体作業機に対して折り畳み自在な延長作業機とを備え、
前記延長作業機の前記本体作業機との連結状態のときに、前記延長レベラが前記本体レベラの揺動に連動して揺動し、
前記延長作業機が折り畳み状態にあり、前記延長レベラが外力を受けたときに前記延長エプロンに対して回転可能な折り畳み作業機において、
前記延長レベラが前記本体レベラに連動し得る状態となる側へ前記延長レベラを直接、もしくは間接的に付勢する付勢部材を備えていることを構成要件とする。
【0015】
延長作業機の延長レベラには、延長作業機の本体作業機への連結(展開)時に本体作業機のレベラ(本体レベラ)が連係の向きに係止可能な被係止部を有し、被係止部が受けた力を延長作業機に伝達する係止部を有する延長レベラ用の連係部材が延長レベラに装着される。延長作業機の本体作業機への連結(展開)状態では、連係部材が本体作業機と延長作業機に連係することで、本体作業機のレベラ(本体レベラ)の揺動に連動して延長レベラが揺動する。
【0016】
具体的には連係部材の被係止部に少なくともいずれかの揺動の向きに延長レベラと本体レベラが係止、もしくは係合することで、本体レベラからの力が連係部材の被係止部を通じて延長レベラに伝達されるため、本体レベラの揺動に延長レベラが連動して揺動する。本体レベラが被係止部にいずれ(正負)の揺動の向きにも係止等すれば、本体レベラの正負の向きの揺動に連動して延長レベラが揺動する。
【0017】
また延長作業機の本体作業機への連結状態で、連係部材の係止部が後述のように延長エプロンに係止している状態から離脱可能になることで、本体レベラから受けた力を、連係部材を通じて延長レベラに伝達しながら、延長エプロンに対して延長レベラを揺動可能とし、本体レベラに連動する延長レベラの揺動量(角度)を制限する。
【0018】
本体レベラが連係部材の被係止部に係止等した状態は延長作業機が展開状態にあるとき(折り畳み作業機が作業状態にあるとき)に維持され、延長作業機の折り畳み状態への移行時には連係部材が本体レベラから離脱することで、本体レベラの被係止部への係止状態が解除される。
【0019】
連係部材は延長レベラに設置されることで、延長作業機の連結状態(展開状態)と折り畳み状態に関係なく、常に延長レベラと共に延長エプロンに対して揺動可能な状態、すなわち延長レベラの回転軸と平行な軸の回りに回転可能な状態にある。連係部材の係止部は例えば延長エプロンにいずれかの揺動の向きに係止、あるいは係合することにより、その向きへの延長レベラの延長エプロンに対する回転が阻止される。
【0020】
連係部材は延長レベラと共に延長エプロンに対して揺動(回転)するから、直接的には延長レベラに支持されるが、間接的には延長レベラと共に延長ロータの軸に平行な連結軸の回りに回転可能に延長エプロンに支持される。延長レベラは延長作業機の折り畳み時に、連係部材の係止部が延長レベラに係止等したまま、延長エプロンに係止等することで、図1に示すように延長エプロンへの連結軸を中心として自重等により懸垂した状態を維持する。延長レベラが連結軸から懸垂した状態では、延長レベラが延長エプロンに対し、連結軸の回りに揺動可能な範囲で回転する。
【0021】
図1に実線で示す状態から二点鎖線で示すように延長レベラ11が跳ね上げの向き(延長レベラの下面側が延長エプロンの下面側に重なる向き)に外力を受けたとき、延長レベラは自重、もしくは付勢部材の復元力に抗してその向きに連結軸の回りに回転することにより、停止したまま外力を受けることによる衝撃の作用を回避する。
【0022】
延長作業機を折り畳み状態にしたまま、折り畳み作業機を進行させて作業を行う場合に、畦際から作業を開始しようとして折り畳み作業機を通常作業位置(レベル)にまで降ろそうとすると、折り畳み作業機は数100mm程度、急激に降下するため、前記したようにトラクタの後方に連結されている延長作業機の延長レベラが畦等の上面、もしくは法面等に衝突する可能性がある。
【0023】
ここで、本発明では延長作業機が折り畳み状態にあるときに、延長レベラが外力を受けて延長エプロンに対して回転可能であることで、延長レベラは外力の作用によって延長エプロンに対し、自由に揺動して畦等から逃げることができる。このため、延長レベラが畦等から衝撃的な力を受けることがなくなり、外力を受けることによる損傷の発生が回避され、損傷に起因して本体レベラとの連係が不能になる事態も回避される。
【0024】
前記した特許文献1のように連係部材の係止部が凹部からの抜け出しが阻止される状態に延長エプロンに係合している場合には、係止部と凹部の少なくともいずれかが外力によって曲げ変形(塑性変形)、または破断等しない限り、延長レベラが揺動することはできず、係止部は延長エプロンの凹部から離脱することができない。これに対し、本発明では延長レベラが外力を受けることによって延長エプロンに対して回転可能であることで、係止部が破断する事態の発生はなく、延長レベラや延長エプロンが損傷を受ける事態の発生もない。
【0025】
ここで、延長レベラが延長エプロンに対して回転し、跳ね上げられた状態を維持するとすれば、延長レベラと一体となっている連係部材も延長エプロンに対して回転した状態にあり、被係止部が本体レベラの係止位置からずれているから、延長作業機が折り畳み状態から連結状態へ移行するときに、延長レベラの連係部材が本体レベラに連係する状態にならない。
【0026】
これに対し、本発明では延長レベラが本体レベラに連動し得る状態となる側へ延長レベラを直接、もしくは間接的に付勢する付勢部材を備えていることで、外力の作用がなくなると同時に、延長レベラが回転前の状態、すなわち連係部材の被係止部が本体レベラの係止位置に合致する位置にまで、延長レベラを復帰させることができるため、延長作業機を折り畳み状態から展開させるだけで、被係止部に本体レベラが係止する状態に移行させ、延長レベラを本体レベラに連動し得る状態に復帰させることが可能である。
【0027】
「延長レベラが本体レベラに連動し得る状態」とは、延長作業機が折り畳み状態から展開状態へ移行したときに、延長レベラが本体レベラの揺動に連動して揺動可能になる状態を言い、「連動し得る状態となる側」とは、延長レベラが本体レベラに連動可能になる向きを指す。すなわち、付勢部材は延長レベラが本体レベラと連動する状態になる位置まで延長レベラを直接、もしくは間接的に付勢する。具体的には、付勢部材は延長作業機の展開操作のみによって延長レベラの連係部材の被係止部に本体作業機の本体レベラが係止、もしくは係合可能な状態になるまで、延長レベラを復帰させる。
【0028】
従って付勢部材は延長レベラが畦等から外力を受けた後に、連結軸の回りに自重で懸垂状態に復帰できない場合にも、延長レベラを強制的に懸垂状態に復帰させる。
【0029】
付勢部材は少なくとも延長レベラが外力を受けたときに弾性変形することにより復元力を保有し、この復元力により、外力を受けて延長エプロンに対して回転した延長レベラを回転前の状態に復帰させるから、延長レベラを付勢することによる反力を延長レベラから受ける。この関係で、付勢部材の復元力を効果的に延長レベラに作用させる上では、付勢部材は延長エプロンに設置されることが望ましいが、付勢部材が直接、もしくは間接的に延長エプロンと延長レベラとの間に跨れば復元力は延長レベラに作用するため、延長レベラに設置されることもある。
【0030】
「付勢部材が延長レベラを直接、付勢する」とは、付勢部材の一端が例えば延長レベラのいずれかの部分に直接、接続され、付勢部材が直接、延長レベラを付勢することを言う。延長レベラのいずれかの部分は延長レベラの例えば側板、もしくは側板に一体化する上記の連係部材を指す。「付勢部材が延長レベラを間接的に付勢する」とは、付勢部材と延長レベラとの間に例えば後述の連動部材が介在し、この連動部材を通じて付勢部材の復元力を延長レベラに作用させることを言う。
【0031】
付勢部材が「少なくとも外力を受けたときに弾性変形する」とは、延長レベラが外力を受けない平常時の状態でも弾性変形した状態にある場合があることを言い、その場合には付勢部材の復元力が常に延長レベラに復帰の向きに作用する状態になるため(請求項2)、延長レベラは外力を受けない限り、連結軸から懸垂し、本体レベラに連動し得る状態で安定する。この結果、平常時での延長レベラの安定性を向上させ、折り畳み作業機の走行時における延長レベラの暴れ、すなわち無秩序な挙動を防止することが可能になる。
【0032】
付勢部材は延長レベラが本体レベラに連動し得る平常時の状態での設定により、延長レベラが延長エプロンに対して回転したときにのみ、復元力が延長レベラに作用する状態にすることも、延長レベラの回転に関係なく、常に復元力が延長レベラに作用する状態にすることも可能である。
【0033】
付勢部材の復元力が常に延長レベラに作用する状態は延長レベラが本体レベラに連動し得る平常時の状態で、付勢部材が復元力を付与しておくことにより可能になる。復元力は例えば付勢部材がコイルスプリングの場合には、自然長の状態から引張力、もしくは圧縮力を与えられることにより、ねじりばねの場合にはねじりモーメント(トルク)を与えられることにより予め付勢部材が保有する。
【0034】
上記のように付勢部材は延長レベラと延長エプロンとの間に跨れば延長エプロンから反力を取って延長レベラに復元力を与えることができるため、付勢部材は延長レベラに直接、連結されることもあれば、間接的に連結されることもある。但し、付勢部材の復元力を効果的に延長レベラに作用させる、すなわち復元力を拡大して延長レベラに伝達する上では、付勢部材と延長レベラとの間に間接的な部材を介在させ、この部材を回転、あるいは回動(揺動)させる方が有利であることが多い。
【0035】
そこで、延長エプロンに、延長レベラの揺動に連動して回動する連動部材を支持(例えば軸支)させ、付勢部材をこの連動部材に連結することにすれば(請求項3)、復元力を拡大して延長レベラに伝達することが可能になるため、回転した延長レベラを復帰させることの必要な機能を発揮させる上で、付勢部材の能力、あるいは規模を縮小することが可能である。この場合、付勢部材の復元力が連動部材の回動によって増幅して延長レベラに伝達されるため、小さい復元力によって効果的に延長レベラを復帰させることが可能になる。
【0036】
また前記のように延長レベラには、延長作業機の本体作業機との連結状態のときに、本体レベラの揺動に連係させて延長レベラを揺動させる連係部材が設置され、この連係部材は延長レベラの回転軸と平行な軸の回りに回転するため、この連係部材に延長エプロンに支持された連動部材を係合させれば(請求項4)、延長作業機の折り畳み状態の(延長作業機を本体作業機に対して折り畳み状態にした)ときに連動部材の回動を延長レベラに伝達し易くなる。
【0037】
例えば連動部材を直接、延長レベラに連結するとすれば、連動部材の回転を延長レベラに伝達するために、両者を互いに係止、あるいは係合させることが必要になるが、連係部材は延長レベラと一体となって回転し、また棒状に形成されることが合理的であるから、連動部材を延長レベラではなく、連係部材に係合させることで、係合状態を得易くなる。連係部材は延長レベラと共に、延長ロータに平行な軸(延長レベラを延長エプロンに連結する連結軸)の回りに延長エプロンに対して回転するから、連係部材はこの軸と平行な軸の回りに回転自在に延長レベラに支持されるため、丸棒状等に形成されることが合理的である。
【0038】
この場合、付勢部材に連結され、付勢部材に連動する連動部材が延長レベラの連係部材に係合することで、連動部材を延長レベラに係合させるための格別な部品を付加する必要がないため、部品点数の削減とそれに伴う延長レベラの軽量化、並びにコストの削減が図 られる。
【発明の効果】
【0039】
延長レベラが本体レベラに連動し得る状態となる側へ延長レベラを直接、もしくは間接的に付勢する付勢部材を備えていることで、外力の作用がなくなると同時に、延長レベラが回転前の状態、すなわち連係部材の被係止部が本体レベラの係止位置に合致する位置にまで、延長レベラを復帰させることができる。この結果、延長作業機を折り畳み状態から展開させるだけで、連係部材の被係止部に本体レベラが係止する状態に移行させ、延長レベラを本体レベラに連動し得る状態に復帰させることができる。
【0040】
また延長作業機が折り畳み状態にあるときに、延長レベラが外力を受けて延長エプロンに対して回転可能であることで、延長レベラは外力の作用によって延長エプロンに対し、自由に揺動して畦等から逃げることができるため、延長レベラが畦等から衝撃的な力を受けることがなくなり、外力を受けることによる損傷の発生が回避され、損傷に起因して本体レベラとの連係が不能になる事態も回避される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】延長作業機が折り畳み状態にあるときの折り畳み作業機における延長エプロンと延長レベラの関係、及び復元装置(付勢部材と連動部材)の構成例を示した側面図である。
【図2】図1に示す延長作業機が本体作業機と連結状態(展開状態)にあるときの両作業機のエプロンとレベラの関係を示した平面図である。
【図3】付勢部材と連動部材の平常時と回転時の様子を示した図1の一部拡大図である。
【図4】延長作業機が折り畳み状態にあるときの他の復元装置の構成例を示した側面図である。
【図5】図4に示す延長作業機が本体作業機と連結状態(展開状態)にあるときの両作業機のエプロンとレベラの関係を示した平面図である。
【図6】付勢部材と連動部材の平常時と回転時の様子を示した図4の一部拡大図である。
【図7】延長作業機が折り畳み状態にあるときの他の復元装置の構成例を示した側面図である。
【図8】図7に示す延長作業機が本体作業機と連結状態(展開状態)にあるときの両作業機のエプロンとレベラの関係を示した平面図である。
【図9】付勢部材と連動部材の平常時と回転時の様子を示した図7の一部拡大図である。
【図10】延長作業機が展開状態にあるときの折り畳み作業機の後方側を示した立面図である。
【図11】(a)は本体レベラの側板に凹部を形成した場合の延長レベラと本体レベラの連結部分を示した斜視図、(b)は本体レベラの側板に凸部を形成した場合の延長レベラと本体レベラの連結部分を示した斜視図である。
【図12】付勢部材を延長エプロンと延長レベラとの間に架設し、付勢部材からの復元力を直接、延長レベラに伝達させる場合の例を示した図1の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0043】
図1は図10に示すようにトラクタ40の後部に連結され、本体エプロン5と本体レベラ6を有する本体作業機2と、この本体作業機2に対して折り畳み自在で、延長エプロン10と延長レベラ11を有する延長作業機7とを備えた折り畳み作業機(以下、作業機)1の側面を示す。図1はまた、延長作業機7が折り畳み状態にあるときに、延長レベラ11が延長エプロン10から自重で懸垂した状態を維持している様子も示している。
【0044】
本体作業機2はトラクタ40の後部に配置され、トラクタ40からの動力を受けて駆動する本体ロータ3を覆う本体シールドカバー4とその後方に連結される本体エプロン5、及び本体エプロン5の後方に位置し、本体ロータ3に平行な軸の回りに揺動自在な本体レベラ6を有する。延長作業機7は本体作業機2の本体ロータ3に連結可能な延長ロータ8を覆う延長シールドカバー9とその後方に連結される延長エプロン10、及び延長エプロン10の後方に位置し、その延長ロータ8に平行な軸の回りに揺動自在な延長レベラ11を有し、本体作業機2に対して折り畳み自在に支持されている。
【0045】
作業機1の本体である本体作業機2は図1に示すようにトラクタ40後部のトップリンクとロアリンクからなる3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト12と、ロアリンク連結部13を備え、この3点リンクヒッチ機構を介してトラクタ40の後部に昇降可能に装着される。
【0046】
トップマスト12の下端部には、トラクタ40のPTO軸にユニバーサルジョイント、伝動シャフト等を介して連結されるギアボックス14が配置され、図10に示すようにギアボックス14から本体作業機2の幅方向に伝動フレーム15と支持フレーム16が架設される。PTO軸からの動力はギアボックス14の入力軸に伝達され、入力軸で受けた動力は伝動フレーム15の内部を挿通する伝動シャフトに伝達される。
【0047】
伝動フレーム15の先端部にはチェーン伝動ケース17が垂下する形で固定され、支持フレーム15の先端にはチェーン伝動ケース17に対向する端部カバー18が固定される。このチェーン伝動ケース17と端部カバー18との間に本体ロータ3のロータリ軸3aが軸回りに回転自在に架設される。チェーン伝動ケース17とロータリ軸3a間にはチェーンが張架され、チェーンを通じて伝動シャフトの動力がロータリ軸3aに伝達される。
【0048】
本体シールドカバー4は図10に示すようにその両端部の端板4a、4aにおいてチェーン伝動ケース17と端部カバー18に接合され、上面(外周面)に突設された連結材4bにおいて、伝動フレーム15と支持フレーム16の下に突設された下部ブラケット15a、16aに接合されることにより両フレーム15、16に支持される。
【0049】
ロータリ軸3aの外周には図1に示すように周方向に適度な間隔を置いて耕耘爪等の爪3bが突設され、ロータリ軸3aと爪3bから本体ロータ3が構成される。爪3bはロータリ軸3aの軸方向には互いに干渉しない程度の間隔を置いて配置される。ロータリ軸3aの軸方向に隣接する爪3b、3bは例えば軸の中心に関して互いに角度が付いて配列し、本体ロータ3の全体では爪3bの先端部が図1に2点鎖線で示す回転軌跡を描く。
【0050】
延長作業機7は図1に示すように展開時に本体ロータ3と同時に回転する延長ロータ8とその上方を覆う延長シールドカバー9と、延長シールドカバー9の幅方向両側に位置する端板9aを持ち、端板9aにおいて本体作業機2の端板4aに展開と折り畳みが自在な状態に連結される。延長作業機7は例えば走行方向に対して鉛直方向側へ傾斜した軸の回りに回転自在に本体作業機2に連結される。
【0051】
延長作業機7の延長ロータ8は展開時に本体作業機2の本体ロータ3のロータリ軸3aにロータリ軸8aがクラッチを介して連結されることにより本体ロータ3からの動力を受ける。延長ロータ8はロータリ軸3aに連結されるロータリ軸8aとその外周に突設される爪8bから構成される。図1では爪8bをその先端部が描く回転軌跡として2点鎖線で示している。
【0052】
延長作業機7は図1、図10に示すようにその端板9aの上部側に突設されたブラケット9bにおいて、本体作業機2における端板4aの上部側の後方寄りの位置に突設されたブラケット4cに回転軸となるピン9cやボルト等により連結されることにより展開と格納が自在な状態に連結される。ピン9c等からなる回転軸は平面上、トラクタ40の走行方向に平行な方向を向き、延長作業機7の折り畳み時に本体作業機2の走行方向後方側に延長作業機7が載るよう、回転軸には水平面に対して前方側(トラクタ40側)が高くなる傾斜が付けられる。
【0053】
延長作業機7の展開状態と格納状態の切り換えは図10に示すように本体作業機2と延長作業機7との間に架設される切り換え用シリンダ19によって行われ、展開状態と格納状態はそれぞれの状態を保持する拘束(ロック)装置によって拘束される。図面では切り換え用シリンダ19の本体作業機2側の端部を伝動フレーム15と支持フレーム16に連結しているが、切り換え用シリンダ19は本体シールドカバー4と延長シールドカバー9との間に架設されることもある。
【0054】
延長レベラ11には図10の一部拡大図である図2に示すように延長作業機7が本体作業機2と連結状態にあるときに、その延長レベラ11を本体レベラ6の揺動に連係させて揺動させる延長レベラ用連係部材(以下、連係部材)20が設置される。
【0055】
連係部材20は延長作業機7の本体作業機2への連結時に、延長レベラ11と本体レベラ6が係止する被係止部21を有すると共に、延長作業機7の折り畳み時に延長レベラ11と延長エプロン10に係止する係止部22を有する。連係部材20は延長作業機7の折り畳み時に延長レベラ11がいずれかの揺動の向きに外力を受けたときに、その外力が作用する向きに延長レベラ11と共に回転する。
【0056】
連係部材20は本体レベラ6の揺動に延長レベラ11を連動させる働きを有するから、常に延長レベラ11と同時に(一体となって)延長エプロン10に対して揺動、あるいは回転するよう、被係止部21と係止部22は常に延長レベラ11にその揺動のいずれの向きにも係合した状態にある。図2に示すように延長作業機7の本体作業機2への連結状態では連係部材20の被係止部21は本体レベラ6の側板6aに少なくともいずれかの揺動の向きに係止、もしくは係合(以下、係止等)している。
【0057】
本体エプロン5と本体レベラ6の各本体の幅方向の端部にはそれぞれの端部を塞ぐ側板(本体レベラ6の側板6a)が一体化し、同様に延長エプロン10と延長レベラ11の各本体の幅方向端部にはそれぞれの本体の端部を塞ぐ側板10a、11aが一体化している。図2、図11−(a)、(b)に示すように延長作業機7の本体作業機2への連結状態では連係部材20の被係止部21は本体レベラ6の側板6aに少なくともいずれかの揺動の向きに係止、もしくは係合(以下、係止等)している。
【0058】
連係部材20の被係止部21には図11−(a)に示すように本体レベラ6の側板6aの延長作業機7側の面に形成された凹部6bの内周面、あるいは図11−(b)示すように凸部6cの一方側(上下いずれか)の面が係止等し、これらの凹部6bや凸部6cが被係止部21に係止等することにより本体レベラ6の揺動に連動して延長レベラ11が揺動する。側板6aの凹部6bは例えば延長作業機7側の面に板を突設し、相対的な凸部を形成することにより、あるいは図11−(a)に示すように延長作業機7側の面に溝を形成することにより形成される。
【0059】
側板6aの片面に板を突設する場合には、凹部6bに該当する部分の上下に板が突設された場合に上下の板に挟まれた部分が凹部6bになり、本体レベラ6は正負(上下)の向きに被係止部21に係止等する。図11−(b)に示すように凹部6bに該当する部分の片側にのみ板が突設された場合には、板が凸部6cになるため、凸部6cの上面、もしくは下面が被係止部21に上向き、もしくは下向きに係止等する。本体レベラ6の正負(上下)の向きの揺動に延長レベラ11を連動させる場合には、被係止部21の先端部位置に凹部6bが形成されるか、先端部位置の上下に凸部6cが形成される。
【0060】
但し、本体レベラ6が例えば下向きの回転に対して拘束され、本体レベラ6の下向きの回転が制限されているような場合には、本体レベラ6の上向きの回転(揺動)に延長レベラ11が連動すればよいから、図11−(b)に示すように被係止部21(の先端部)の下側にのみ、凸部6cとなる板が突設されればよい。
【0061】
連係部材20は図2、図10に示すように延長作業機7が展開状態にあるときの延長レベラ11の上面上に設置され、1箇所、もしくは複数箇所で支持される。連係部材20は本体レベラ6側に被係止部21を有し、前記したブラケット4cとブラケット9bを貫通するピン9cの回りの回転により延長作業機7が折り畳み状態から展開状態に移行するときに被係止部21が本体レベラ6側へ突出して前記した凹部6b、もしくは凸部6cに係止等する。
【0062】
延長レベラ11は図1、図4、図7に示すように延長エプロン10との連結部分(連結軸10b)から懸垂した状態で、畦50等からの外力を回避しながら、外力がなくなったときに懸垂した状態に復帰し、安定するよう、図面では二点鎖線で示すように畦50等との衝突により跳ね上がる向きに回転可能にしながら、逆向きには回転しない状態に設定している。但し、連結部分から懸垂した状態を維持できれば、延長作業機7が本体作業機2と連結状態になったときに、延長レベラ11が本体作業機2の本体レベラ6に連係することができるため、跳ね上がる向きの反対側には必ずしも回転しない状態にする必要はない。
【0063】
延長レベラ11と延長エプロン10との関係の詳細を示す図11で言えば、延長レベラ11はその上面が延長エプロン10の上面に重なる向きには回転しないが、延長レベラ11の下面が延長エプロン10の下面に重なる向きには外力を受けることで回転する。従って延長レベラ11と一体となって延長エプロン10に対して回転する連係部材20は図11においては延長レベラ11の上向きには回転しないが、下向きには回転する。
【0064】
延長作業機7は上記したピン9cの回りに回転することにより本体作業機2に連結され、また連結状態が解除されるから、連係部材20はピン9cの軸に直交する平面に平行な、延長エプロン10(の側板10a)と延長レベラ11(の側板11a)を連結する連結軸10bに平行な方向に出没自在に延長レベラ11に支持される。
【0065】
また連係部材20は延長レベラ11と共に延長エプロン10に対して回転可能であるから、連結軸10bと平行な軸の回りに回転自在に延長レベラ11に支持され、その関係で、図面では連係部材20の本体である軸部20aを丸棒状、もしくは角棒状等に形成している。それに伴い、軸部20aの本体レベラ6側の一部を係止部22として利用し、軸部20aの表面から軸部20aに平行な被係止部21を張り出して形成すると共に、延長作業機7の展開状態で被係止部21が本体レベラ6の側板6aに係合しながら、係止部22が延長エプロン10の側板10aから離脱する位置関係となるよう、連係部材20を十手状の形状にしている。
【0066】
連係部材20の軸部20aは係止部22の反対側において延長レベラ11の軸方向に移動自在に、すなわち出没自在に支持される。延長レベラ11の上面には軸部20aが軸方向に挿通する挿通孔を有する支持材11cが突設され、軸部20aはこの支持材11cに軸方向に移動可能に支持される。連係部材20の被係止部21は図11に示すように延長レベラ11の側板11aに形成された挿通孔11bを挿通して本体レベラ6の凹部6b、もしくは凸部6cに係止等することから、軸部20aの一端において支持材11cに支持されていれば、連係部材20は2点で支持されることになるため、軸部20aの本体レベラ6側の端部を必ずしも支持する必要はない。
【0067】
連係部材20は軸部20aの端部において支持材11cの挿通孔を挿通し、被係止部21と係止部22が側板10aを貫通した状態で延長レベラ11の上面に設置される。軸部20aの係止部22寄りの部分にはフランジ20bが形成されており、連係部材2の設置状態では、フランジ20bと支持材11cとの間にコイルスプリング等の付勢部材20cが圧縮された状態で介在し、この付勢部材20cによって連係部材20は側板11a側へ付勢された状態に置かれる。
【0068】
延長作業機7の展開状態において、被係止部21の先端が本体レベラ6の側板6aに当接しながら前記した凹部6b、もしくは凸部6cに係合しているとき、係止部22の先端は延長エプロン10の側板10aから離脱した位置にある。このとき、連係部材20が側板6aから支持材11c側へ反力を受けることで、本体レベラ6と被係止部21とが確実に係合した状態となり、延長エプロン10(の凹部10c)との係合が解除された延長レベラ11は本体レベラ6と連動して揺動可能になる。
【0069】
また延長作業機7が折り畳み状態から展開状態に移行しようとするときには、連係部材20の被係止部21が本体レベラ6の側板6aの上記凹部6bの内周面、あるいは凸部6cの表面に接触(当接)することにより一旦、連係部材20が支持材11c側へ押され、引き込まれる。その後、連係部材20は付勢部材20cの復元力によって本体レベラ6の側板6a側へ突出し、先端が側板6aの凹部6bの内周面、あるいは凸部6cの表面に接触し、その周囲(先端部)が凹部6b、あるいは凸部6cに係止等した状態になる。
【0070】
連係部材20の被係止部21は少なくとも延長作業機7の展開時には延長レベラ11の側板11aを貫通して本体レベラ6の側板6aに到達することから、図面では被係止部21が常に側板11aを貫通した状態にしているため、被係止部21は常に側板11a(延長レベラ11)に上下いずれの向きにも係止等した状態にある。
【0071】
後述のように延長作業機7の折り畳み時には、連係部材20の係止部22も延長レベラ11の側板11aを貫通し、連動部材24の係止部24aに係止等する。連係部材20の係止部22は延長レベラ11の跳ね上げの向きへの回転時に連動部材24の係止部24aに係止することで、連動部材24を連結軸10bの回りに回転させる。
【0072】
なお、係止部22の先端部は側板11aから本体レベラ6側へ出没(突没)可能な状態で側板11aに支持されることから、延長作業機7が展開した状態のときには、係止部22の先端部が側板11a(の厚さ)内に没入しても側板11aが係止部22を確実に支持できるよう、図面では図2、図6に示すように側板11aの連係部材20側の面に係止部22が挿通可能な中空のガイド部材11dを固定している。係止部22は常に側板11aに固定されたガイド部材11dに挿通しているため、係止部22も常に側板11a(延長レベラ11)に上下いずれも向きにも係止等した状態にある。
【0073】
図面では延長レベラ11が図1の状態から跳ね上がる向きに回転可能にしながら、逆向きには回転しないようにしていることに伴い、連係部材20の係止部22は延長エプロン10の側板10aには、延長レベラ11の回転可能な向きには係止せず、回転不能の向きに係止等している。
【0074】
係止部22の先端部は側板11aから本体レベラ6側へ僅かに突出した位置で、延長エプロン10の側板10aに係止等する。側板10aには連係部材20の係止部22が係止、もしくは係合する被係止部10cが形成されている。図11に示す状態では係止部22の表面が被係止部10cに接触している場合と、係止部22と被係止部10cとの間にある程度の空隙(遊び)が確保される場合がある。
【0075】
従って図11の状態から延長レベラ11が上向きに回転しようとするときには、係止部22が側板10aの被係止部10cに係止等するため、延長レベラ11は回転することができないが、延長レベラ11が下向きに回転しようとするときには、連係部材20は延長レベラ11及び連動部材24と共に回転し、係止部22が側板10aの被係止部10cから離脱する。
【0076】
延長レベラ11の側板11aは延長エプロン10の側板10aと重なった状態で連結軸10bによって連結される。両側板11a、10aの位置関係は特に問われないが、図面では側板11aと、側板6aを含めた本体レベラ6との干渉を回避するために、延長レベラ11の側板11aの本体レベラ6側に延長エプロン10の側板10aを配置し、両側板11a、10aが重なった範囲に連結軸10bとなるボルトやピンを挿通させている。
【0077】
連係部材20の係止部22は図11に示すように連係部材20の設置位置である延長レベラ11からその側板11aに突設された上記ガイド部材11dとそれに連続する側板11aの挿通孔を貫通し、延長エプロン10の側板10aの側板11a側に形成された被係止部10cに係止等する。
【0078】
延長レベラ11、もしくはその側板11aには、延長レベラ11が本体レベラ6に連動し得る状態となる側へ延長レベラ11を直接、もしくは間接的に付勢し、図1に二点鎖線で示すように外力を受けて回転した延長レベラ11を実線で示す懸垂状態に復帰させるための、復元装置28を構成する付勢部材23が設置される。延長レベラ11が本体レベラ6に連動し得る状態は、延長作業機7が本体作業機2と連結されたときに、延長レベラ11が本体レベラ6と連係する状態であり、その状態になるように付勢部材23は常に延長レベラ11を付勢する。
【0079】
これに伴い、図面ではまた、延長エプロン10の側板10aの本体レベラ6側に、付勢部材23からの復元力を延長レベラ11に効果的に伝達するための連動部材24を配置し、側板10aに前記連結軸10bの回りに回転(回動)可能に支持(軸支)している。図1の場合、復元装置28は付勢部材23と連動部材24から構成される。連動部材24を側板10aの本体レベラ6側の面に重ねた状態で配置することは、連結軸10b回りの回転時にも他の部品との干渉を生じさせることなく配置し易いことと、付勢部材23からの復元力を受け易く、側板10a(連係部材20)に伝達し易いことによる。
【0080】
連動部材24は図1の一部拡大図である図3に示すように付勢部材23と延長レベラ11との間に介在し、連動部材24に付勢部材23が連結される。図12に示すように付勢部材23からの復元力を直接、延長レベラ11、もしくは側板11a、または連係部材20に伝達させる場合には連動部材24は不要である。
【0081】
図12は付勢部材23としてのコイルスプリングを延長レベラ用の連係部材20の被係止部21と後述する延長エプロン10用の連係部材30の被係止部31との間に架設し、双方に接続した場合を示す。この場合、付勢部材23は平常時に軸方向に引張力を受けた状態にあり、常に延長レベラ11の側板11aを貫通する被係止部21を延長エプロン10(連係部材30)側へ引き寄せることで、延長レベラ11を懸垂状態に復帰させる向きに付勢する。
【0082】
連動部材24が側板10aの表面に重なる状態で軸支される場合には、側板10aと連動部材24との間に摩擦力が作用しないよう、間隔が保持されるか、両者間に摩擦力を低減させるための、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)のシート等の低摩擦材が介在させられる。
【0083】
図示するように側板10aに連動部材24を軸支させる場合、連動部材24は例えば延長レベラ11、もしくはその側板11aに係止、あるいは連結されることで、連動部材24を通じた付勢部材23からの復元力が直接的に延長レベラ11に伝達されることもあるが、図面では特に連動部材24からの力を側板11aに伝達し易いことから、連係部材20の係止部22に連動部材24を係止、もしくは係合させている。
【0084】
この場合、連動部材24は図1に二点鎖線で示すように連動部材24の連結軸10b回りの回転によって跳ね上げられている延長レベラ11を実線で示す懸垂状態に復帰させる役割を与えられるから、付勢部材23の復元力が延長レベラ11を復帰させる向きに作用するように、連動部材24は延長レベラ11、もしくは側板11a、あるいは連係部材20に係止等する。
【0085】
図面では連動部材24を連係部材20の係止部22に、延長レベラ11の復帰の向きに係止等させていることから、図3に示すように連動部材24の、係止部22に対応した位置に、係止部22を原位置(懸垂位置)に復帰させる係止部24aが形成される。図1では連動部材24が、係止部22の両側位置に係止部22に係止可能な部分を有する形状をしているが、連動部材24は係止部22を延長レベラ11の復帰の向きに係止可能な係止部24aを有していればよいため、復帰の向きの逆向きには係止部22に係止可能な部分は必要ない。
【0086】
付勢部材23には主として図1〜図3に示すねじりばね、または図4〜図9に示すコイルスプリング等が使用される。ねじりばねの場合、付勢部材23には原則として軸回りのいずれかの向きにねじりモーメントが与えられた状態で使用される。コイルスプリングの場合には図4〜図6に示すように軸方向に圧縮力が与えられた状態で使用される場合と、図7〜図9に示すように引張力が与えられた状態で使用される場合がある。いずれの場合も、付勢部材23の復元力は連動部材24の連結軸10b回りの回転によって側板11a(連係部材20)を常に懸垂状態に復帰させる向きに側板11a(延長レベラ11)に作用する。
【0087】
図1〜図3は上記の通り、付勢部材23がねじりばねである場合の、連動部材24との組み合わせ例、すなわち復元装置28の構成例を示す。
【0088】
延長エプロン10には図2に示すように延長レベラ11と同様に、延長作業機7が本体作業機2と連結状態にあるときに、延長エプロン10を本体エプロン5の揺動に連係させて揺動させる延長エプロン用連係部材(以下、連係部材)30が設置される。この連係部材30は図2、図5、図8に示すように付勢部材23の一端や中間部等、いずれかの部分を連結、もしくは支持するために、あるいは図4〜図9に示すように付勢部材23と連動部材24との間に介在する連結部材25を支持するために利用される。
【0089】
連係部材30の形態、及びそれと延長エプロン10の側板10aとの関係は連係部材20、及び延長レベラ11の側板11aとの関係と同様であり、連係部材30は本体エプロン5の側板5aが係止、もしくは係合する被係止部31と、延長エプロン10の側板10aに係止、もしくは係合する係止部32を有する。被係止部31は延長エプロン10の側板10aを貫通して本体エプロン5の側板5aに接触し、係止部32は側板10aに係止等している。
【0090】
図1〜図3の場合、付勢部材23の一端は延長エプロン10、または延長シールドカバー9のいずれかの部分に復元の向きに係止し、他端は連動部材24の連結部24bに復元の向きに係止する。図1〜図3では付勢部材23の軸を延長エプロン10に支持させるために、延長エプロン10に設置されている連係部材30の被係止部31(軸部30a)に付勢部材23の軸を巻き付けている。連係部材30は連係部材20と同様、軸部30aにおいて延長エプロン10に支持される。
【0091】
この場合、付勢部材23の連動部材24側の端部は延長レベラ11が跳ね上げられた状態から、延長エプロン10の連結軸10bから懸垂した状態に延長レベラ11を復帰させる向きに、連動部材24の連結部24bに係止、もしくは係合する。
【0092】
連動部材24は延長レベラ11と同じく連結軸10bに軸支されており、その係止部24aが延長レベラ11、もしくは連係部材20に係止等することにより延長レベラ11を懸垂状態に復帰させるから、連動部材24は少なくとも延長レベラ11の復帰の向きには延長レベラ11と一体となって連結軸10bの回りを回転する。このとき、連動部材24は連結軸10bの回りに連結部24bが延長エプロン10の本体側へ接近する向きに回転しようとするため、連動部材24は上端部において延長エプロン10の本体に接触することにより停止状態を維持する。
【0093】
延長レベラ11が図1、図3に実線で示す懸垂状態から畦50等から外力を受けて二点鎖線で示す跳ね上げ状態になるときには、延長レベラ11に一体化している連係部材20の係止部22が連動部材24の係止部24aを跳ね上げの向きに押すことにより、連動部材24が連結軸10bの回りに、付勢部材23の復元力に抗して延長エプロン10から分離する向きに回転する。連動部材24の回転によりその連結部24bが付勢部材23の端部を復元の反対の向きに回転させ、付勢部材23に復元力を付与する。
【0094】
延長レベラ11が跳ね上げられた状態はその先端部分等、いずれかの部分が畦50等に接触している限り、維持される。畦50等との接触が解除されたときには、付勢部材23の復元力が連動部材24の連結部24bを跳ね上げ前の状態(延長レベラ11の懸垂状態)に復帰させようとし、連動部材24が復帰側へ回転する。それに伴い、連動部材24の係止部24aが連係部材20の係止部22を連結軸10b回りに回転させて復帰側へ押し、同時に延長レベラ11が懸垂状態に復帰する。
【0095】
付勢部材23が平常時、すなわち延長レベラ11が懸垂状態にあるときに軸方向圧縮力を負担した状態にある図4〜図6に示す例の場合も、付勢部材23の一端は延長エプロン10、または延長シールドカバー9のいずれかの部分に復元の向きに押圧する状態で連結され、他端は連動部材24の連結部24bに復元の向きに押圧する状態で、直接、もしくは間接的に連結される。
【0096】
付勢部材23が軸方向力を負担している場合、付勢部材23の復元力が連動部材24を延長エプロン10の本体に接触させる向きに作用する状態になるように、付勢部材23を連動部材24と延長エプロン10、または延長シールドカバー9との間に架設することができれば、付勢部材23の他端は直接、連結部24bに連結される。但し、それには付勢部材23の軸を延長エプロン10の本体に対して直交する方向に近い方向に向ける必要があり、付勢部材23の一端の連結場所の確保が困難であることから、図4以降では連動部材24の連結部24bと付勢部材23の一端との間に連結部材25を介在させている。
【0097】
図4〜図6の場合、復元装置28は付勢部材23と、延長エプロン10の側板10aに連結軸10bによって軸支され、延長レベラ11の跳ね上げと同時に側板10aに対して連結軸10b回りに回転し、付勢部材23の復元力を受けて延長レベラ11を復帰させる連動部材24に加え、上記連結部材25と、この連結部材25と付勢部材23の他端を連結する図5、図6に示す回動部材26、及び軸部材27から構成される。
【0098】
付勢部材23の一端は例えば図5に示すように延長エプロン10の延長シールドカバー9寄りの端部に連結され、他端は上記回動部材26に回転自在に連結(軸支)される。回動部材26は上記連係部材30の軸部30aと側板10aに保持された軸部材27の一端に固定状態で連結され、軸部材27と一体となった状態で軸部材27の中心の回りに回転する。連結部材25の一端は側板10aから本体エプロン5側へ突出した軸部材27の他端に固定状態で連結され、連結部材25は軸部材27と一体となった状態で軸部材27の中心の回りに回転する。
【0099】
連結部材25の他端には図6に示すように連動部材24の連結部24bが連結部材25の長さ方向に移動可能に挿通する挿通孔が形成される。この連結部24bが挿通する挿通孔は連結部材25の回転に伴い、連結部24bが連結部材25の長さ方向に移動可能なように連結部材25の長さ方向に長孔状に形成されている。
【0100】
図4、図6に示すように延長レベラ11が連結軸10bから懸垂した状態から、畦50等から外力を受けて二点鎖線で示す状態に跳ね上げられたときには、延長レベラ11を貫通している連係部材20の係止部22が連動部材24の係止部24aを跳ね上げの向きに押すことにより連動部材24が連結軸10bの回りに、延長エプロン10から分離する向きに回転する。
【0101】
連動部材24の回転に伴い、その連結軸24bが連結部材25の長孔状の挿通孔に沿って移動することにより連結部材25を軸部材27の(中心の)回りに回転させ、同時に軸部材27に一体化している回動部材26が軸部材27の回りに回転し、付勢部材23が軸方向に収縮し、復元力を保有する。
【0102】
延長レベラ11に作用する外力がなくなったときには、収縮している付勢部材23が伸長しようとして回動部材26を軸部材27の回りに回転させ、同時に連結部材25を軸部材27の回りに回転させる。連結部材25の回転によりその挿通孔を挿通している連動部材24の連結部24bが延長エプロン10側に移動しようとするため、連動部材24が延長エプロン10の本体に接触するまで回転し、接触により停止し、延長レベラ11が懸垂状態に復帰する。
【0103】
図7〜図9に示す付勢部材23は図4〜図6に示す、軸方向圧縮力を負担している付勢部材23が軸方向引張力を負担した状態になる点で相違するだけであるから、図7〜図9に示す復元装置28の構成は図4〜図6の復元装置28と同様である。
【0104】
図7〜図9では付勢部材23が常に軸方向引張力を負担する状態に置かれるから、図8に示すように付勢部材23の一端は延長エプロン10の延長レベラ11側に連結される。付勢部材23の他端は図4〜図6の場合と同様に、軸部材27の一端に固定状態で連結された回動部材26に回転自在に連結される。側板10aから本体エプロン5側へ突出した軸部材27の他端には連結部材25の一端が固定状態で連結され、回動部材26と連結部材25は軸部材27と一体となった状態で、軸部材27の中心の回りに回転する。
【0105】
図4〜図6と同様、連結部材25の他端には連動部材24の連結部24bが移動可能に挿通する長孔状の挿通孔が形成され、この挿通孔に連結部24bが挿通する。
【0106】
図7〜図9の場合も、延長レベラ11が連結軸10bから懸垂した状態から、畦50等から外力を受けて二点鎖線で示す状態に跳ね上げられたときには、延長レベラ11を貫通している連係部材20の係止部22が連動部材24の係止部24aを跳ね上げの向きに押すことにより連動部材24が連結軸10bの回りに、延長エプロン10から分離する向きに回転する。
【0107】
連動部材24の回転に伴い、その連結軸24bが連結部材25の長孔状の挿通孔に沿って移動することにより連結部材25を軸部材27の(中心の)回りに回転させ、同時に軸部材27に一体化している回動部材26が軸部材27の回りに回転し、付勢部材23が軸方向に伸長し、復元力を保有する。
【0108】
延長レベラ11に作用する外力がなくなったときには、伸長している付勢部材23が収縮しようとして回動部材26を軸部材27の回りに回転させ、同時に連結部材25を軸部材27の回りに回転させる。連結部材25の回転によりその挿通孔を挿通している連動部材24の連結部24bが延長エプロン10側に移動しようとするため、連動部材24が延長エプロン10の本体に接触するまで回転し、接触により停止し、延長レベラ11が懸垂状態に復帰する。
【符号の説明】
【0109】
1……折り畳み作業機、
2……本体作業機、
3……本体ロータ、3a……ロータリ軸、3b……爪、
4……本体シールドカバー、4a……端板、4b……連結材、4c……ブラケット、
5……本体エプロン、5a……側板、
6……本体レベラ、6a……側板、6b……凹部、6c……凸部、
7……延長作業機、
8……延長ロータ、8a……ロータリ軸、8b……爪、
9……延長シールドカバー、9a……端板、9b……ブラケット、9c……ピン、
10……延長エプロン、10a……側板、10b……連結軸、10c……被係止部、
11……延長レベラ、11a……側板、11b……挿通孔、11c……支持材、11d……ガイド部材、
12……トップマスト、13……ロアリンク連結部、
14……ギアボックス、
15……伝動フレーム、15a……下部ブラケット、
16……支持フレーム、16a……下部ブラケット、
17……チェーン伝動ケース、18……端部カバー、19……切り換え用シリンダ、
20……延長レベラ用連係部材、20a……軸部、20b……フランジ、20c……付勢部材、
21……被係止部、22……係止部、
23……付勢部材、24……連動部材、24a……係止部、24b……連結部、
25……連結部材、26……回動部材、27……軸部材、
28……復元装置、
30……延長エプロン用連係部材、30a……軸部、
31……被係止部、32……係止部、
40……トラクタ、
50……畦。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの後部に連結され、トラクタからの動力を受けて駆動する本体ロータを覆う本体エプロンとその後方に位置し、前記本体ロータに平行な軸の回りに揺動自在な本体レベラを有する本体作業機と、この本体作業機の前記本体ロータに連結可能な延長ロータを覆う延長エプロンとその後方に位置し、その延長ロータに平行な軸の回りに揺動自在な延長レベラを有し、前記本体作業機に対して折り畳み自在な延長作業機とを備え、
前記延長作業機の前記本体作業機との連結状態のときに、前記延長レベラが前記本体レベラの揺動に連動して揺動し、
前記延長作業機が折り畳み状態にあり、前記延長レベラが外力を受けたときに前記延長エプロンに対して回転可能な折り畳み作業機において、
前記延長レベラが前記本体レベラに連動し得る状態となる側へ前記延長レベラを直接、もしくは間接的に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする折り畳み作業機における延長レベラの復元装置。
【請求項2】
前記付勢部材の復元力が常に延長レベラに作用する状態にあることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み作業機における延長レベラの復元装置。
【請求項3】
前記延長エプロンに、前記延長レベラの揺動に連動して回動する連動部材が支持され、前記付勢部材はこの連動部材に連結されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の折り畳み作業機における延長レベラの復元装置。
【請求項4】
前記延長レベラに、前記延長作業機の前記本体作業機との連結状態のときに、前記本体レベラの揺動に連係させて延長レベラを揺動させる連係部材が設置され、前記連動部材はこの連係部材に前記延長作業機の折り畳み状態のときに係合していることを特徴とする請求項3に記載の折り畳み作業機における延長レベラの復元装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−200722(P2010−200722A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53074(P2009−53074)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】