説明

折り畳み式携帯電話機

【課題】第1筐体1と第2筐体2とが軸を介して互いに開閉可能に連結され、第1筐体1の表面には、前記軸から離れた端部に、送話部12が配備されると共に、第2筐体2の表面には、前記軸から離れた端部に、受話部22が配備され、第1筐体1又は第2筐体2にはスピーカ13が収容され、閉じ状態でスピーカ13及び送話部12によって通話が可能となる折り畳み式携帯電話機において、ハンズフリーでの通話時に発生するエコーを抑制する。
【解決手段】本発明に係る折り畳み式携帯電話機において、第1筐体1又は第2筐体2の表面には、前記軸から離れた位置に、軸と平行な方向に延びるリブ4が突設され、第1筐体1と第2筐体2の閉じ状態にて、リブ4を挟んで軸側に受話部22、反軸側に送話部12が位置し、該リブ4は、中央部を頂点として両側へ低く傾斜するアーチ状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式の携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み式携帯電話機においては、図6及び図7に示すごとく、第1筐体(5)と第2筐体(6)とがそれぞれの端部にてヒンジ機構(7)を介して互いに開閉可能に連結され、閉じ状態では第1筐体(5)の表面と第2筐体(6)の表面とが互いに対向する。
【0003】
図7のごとく、第1筐体(5)の表面には操作キー(51)が配備され、第2筐体(6)の表面には画面(61)が配備されている。又、第1筐体(5)の表面には、ヒンジ機構(7)から離れた端部に、マイクロホン(図示省略)を内蔵した送話部(52)が配備され、第2筐体(6)の表面には、ヒンジ機構(7)から離れた端部に、スピーカ(図示省略)を内蔵した受話部(62)が配備されている。
又、第1筐体(5)には一対のスピーカ(53)(53)が収容されている。
【0004】
更に、第1筐体(5)の表面には、ヒンジ機構(7)から離れた端部に凸部(8)(8)が形成されており、第1筐体(5)と第2筐体(6)の閉じ状態で第1筐体(5)の操作キー(51)が第2筐体(6)の画面(61)と接触することを阻止している。
【0005】
上記折り畳み式携帯電話機によれば、図7に示す開き状態で送話部(52)と受話部(62)によって通話が可能であると共に、図6に示す閉じ状態で送話部(52)とスピーカ(53)(53)によってハンズフリーによる通話が可能である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-217792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6及び図7に示す折り畳み式携帯電話機においては、第1筐体(5)と第2筐体(6)の閉じ状態で、図8の如く第1筐体(5)の送話部(52)と第2筐体(6)の受話部(62)とが互いに近接した位置にて対向することになるため、ハンズフリーでの通話時に、第1筐体(5)のスピーカ(53)から発せられる音波によって受話部(62)を構成するスピーカの振動板が振動し、これによって発生する音響が送話部(52)へ伝わることで、エコーが発生する問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、ハンズフリーでの通話時に発生するエコーを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る折り畳み式携帯電話機においては、第1筐体(1)と第2筐体(2)とがそれぞれの端部にて軸を介して互いに開閉可能に連結され、閉じ状態では第1筐体(1)の表面と第2筐体(2)の表面とが互いに対向し、第1筐体(1)の表面には、前記軸から離れた端部に、送話部(12)が配備されると共に、第2筐体(2)の表面には、前記軸から離れた端部に、受話部(22)が配備され、第1筐体(1)又は第2筐体(2)にはハンズフリーでの通話時に動作すべきスピーカ(13)が収容され、開き状態で前記送話部(12)及び受話部(22)によって通話が可能であると共に、閉じ状態で前記スピーカ(13)及び送話部(12)によって通話が可能となる。
【0010】
ここで、第1筐体(1)又は第2筐体(2)の表面には、前記軸から離れた位置に、軸と平行な方向に延びるリブ(4)が突設され、第1筐体(1)と第2筐体(2)の閉じ状態にて、該リブ(4)を挟んで軸側に前記受話部(22)、反軸側に送話部(12)が位置し、該リブ(4)は、中央部を頂点として両側へ低く傾斜するアーチ状に形成されている。
【0011】
上記折り畳み式携帯電話機においては、第1筐体(1)と第2筐体(2)の閉じ状態で、何れか一方の筐体の表面に突設されたリブ(4)の中央部が他方の筐体の表面に当接し、第1筐体(1)の表面と第2筐体(2)の表面との間に隙間が形成される。
【0012】
この状態で、スピーカ(13)と送話部(12)によって通話を行った場合、スピーカ(13)から発せれる音波によって受話部(22)を構成するスピーカの振動板が振動し、これによって送話部(12)へ向かう音響が発生したとしても、受話部(22)と送話部(12)との間にはリブ(4)が介在しているので、前記音響はリブ(4)によって伝播が妨げられ、送話部(12)へ到達する音響は小さなものとなる。これによってエコーの発生が抑制される。
【0013】
又、リブ(4)は、中央部を頂点として両側へ低く傾斜するアーチ状に形成されているので、リブ(4)の中央部は前記他方の筐体の表面に当接するが、リブ(4)の両側部分は該筐体の表面とは接触せず、リブ(4)の両側部分と該筐体の表面との間には隙間が形成される。
【0014】
ところで、第2筐体(2)に対して第1筐体(1)を勢いよく閉じると、両筐体の表面間の隙間には、軸側から両筐体の端部側へ向かって空気流が発生する。この空気流の風圧が受話部(22)に作用した場合、受話部(22)を構成するスピーカのコイルに断線が生じる虞がある。
しかしながら、上記本発明の折り畳み式携帯電話機によれば、リブ(4)の両側部分と前記他方の筐体の表面との間には隙間が形成されているので、該隙間を経て前記空気流がリブ(4)を通過することが可能であり、これによって受話部(22)に作用する風圧が小さくなり、コイルの断線が防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る折り畳み式携帯電話機によれば、ハンズフリーでの通話時に発生するエコーを抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係る折り畳み式携帯電話機の閉じ状態の斜視図である。
【図2】図2は、該折り畳み式携帯電話機の開き状態の斜視図である。
【図3】図3は、該折り畳み式携帯電話機の閉じ状態における送話部と受話部の位置関係を示す図である。
【図4】図4は、該折り畳み式携帯電話機の閉じ状態においてリブの形状を示す正面図である。
【図5】図5は、リブの他の形状を示す正面図である。
【図6】図6は、従来の折り畳み式携帯電話機の閉じ状態の斜視図である。
【図7】図7は、該折り畳み式携帯電話機の開き状態の斜視図である。
【図8】図8は、該折り畳み式携帯電話機の閉じ状態における送話部と受話部の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施態様である折り畳み式携帯電話機においては、図1及び図2に示すごとく、第1筐体(1)と第2筐体(2)とがそれぞれの端部にてヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結され、閉じ状態では第1筐体(1)の表面と第2筐体(2)の表面とが互いに対向する。
【0018】
図2のごとく、第1筐体(1)の表面には操作キー(11)が配備され、第2筐体(2)の表面には画面(21)が配備されている。又、第1筐体(1)の表面には、ヒンジ機構(3)から離れた端部に、マイクロホン(図示省略)を内蔵した送話部(12)が配備され、第2筐体(2)の表面には、ヒンジ機構(3)から離れた端部に、スピーカ(図示省略)を内蔵した受話部(22)が配備されている。
又、第1筐体(1)には一対のスピーカ(13)(13)が収容されている。
【0019】
更に、第1筐体(1)の表面には、操作キー(11)と送話部(12)の間に、図4に示す様に第2筐体(2)の表面に向かって膨らむ円弧板状のリブ(4)が形成されている。
リブ(4)は、中央部を頂点として、その両端は、第1筐体(1)及び第2筐体(2)の両側面の近傍まで延びている。
【0020】
上記折り畳み式携帯電話機によれば、図2に示す開き状態で送話部(12)と受話部(22)によって通話が可能であると共に、図1に示す閉じ状態で送話部(12)とスピーカ(13)(13)によってハンズフリーによる通話が可能である。
【0021】
図3に示す如く、第1筐体(1)と第2筐体(2)の閉じ状態では、第1筐体(1)の表面に突設されたリブ(4)の中央部が第2筐体(2)の表面に当接し、第1筐体(1)の表面と第2筐体(2)の表面との間に、例えば0.5mm程度の隙間が形成される。
これによって、閉じ状態にて第1筐体(1)の操作キー(11)が第2筐体(2)の画面(21)と接触することを阻止している。
【0022】
図3に示す第1筐体(1)と第2筐体(2)の閉じ状態で、スピーカ(13)と送話部(12)によって通話を行った場合、スピーカ(13)から発せれる音波によって受話部(22)を構成するスピーカの振動板(図示省略)が振動し、これによって送話部(12)へ向かう音響が発生したとしても、受話部(22)と送話部(12)との間にはリブ(4)が介在しているので、前記音響はリブ(4)によって伝播が妨げられ、送話部(12)へ到達する音響は小さなものとなる。これによってエコーの発生が抑制される。
【0023】
又、リブ(4)は、中央部を頂点とする円弧板状に形成されているので、リブ(4)の中央部は第2筐体(2)の表面に当接するが、リブ(4)の両側部分は第2筐体(2)の表面とは接触せず、図4に示す様に、リブ(4)の両側部分と第2筐体(2)の表面との間には隙間(40)(40)が形成される。
【0024】
第2筐体(2)に対して第1筐体(1)を勢いよく閉じると、両筐体の表面間の隙間には、ヒンジ機構(3)側から両筐体の端部側へ向かって空気流が発生するが、該空気流は、リブ(4)の両側の隙間(40)(40)を通過して両筐体の外側へ逃げることになるので、受話部(22)に作用する風圧が小さくなり、コイルの断線が防止される。
【0025】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えばリブ(4)の形状は、円弧板状に限らず、図5に示す台形の板状や三角形の板状など、中央部を頂点として両側へ低く傾斜するアーチ状の種々の形状を採用することが出来る。
【0026】
又、スピーカ(13)は、第1筐体(1)に収容する構成に限らず、第2筐体(2)に収容する構成を採用することも可能である。
更に又、ヒンジ機構(3)は、開閉のための1本の軸を有する1軸ヒンジ機構に限らず、開閉のための1本の軸の他に該軸と直交する1本の回転軸を有する2軸ヒンジ機構であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
(1) 第1筐体
(11) 操作キー
(12) 送話部
(13) スピーカ
(2) 第2筐体
(21) 画面
(22) 受話部
(3) ヒンジ機構
(4) リブ
(40) 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とがそれぞれの端部にて軸を介して互いに開閉可能に連結され、閉じ状態では第1筐体の表面と第2筐体の表面とが互いに対向し、第1筐体の表面には、前記軸から離れた端部に、送話部が配備されると共に、第2筐体の表面には、前記軸から離れた端部に、受話部が配備され、第1筐体又は第2筐体にはハンズフリーでの通話時に動作すべきスピーカが収容され、開き状態で前記送話部及び受話部によって通話が可能であると共に、閉じ状態で前記スピーカ及び送話部によって通話が可能となる折り畳み式携帯電話機において、
第1筐体又は第2筐体の表面には、前記軸から離れた位置に、軸と平行な方向に延びるリブが突設され、第1筐体と第2筐体の閉じ状態にて、該リブを挟んで軸側に前記受話部、反軸側に送話部が位置し、該リブは、中央部を頂点として両側へ低く傾斜するアーチ状に形成されていることを特徴とする折り畳み式携帯電話機。
【請求項2】
前記リブは、円弧状に形成されている請求項1に記載の折り畳み式携帯電話機。
【請求項3】
前記リブは、台形状に形成されている請求項1に記載の折り畳み式携帯電話機。
【請求項4】
前記リブは、第1筐体と第2筐体の閉じ状態にて何れか一方の筐体の表面に配備された操作キーが他方の筐体の表面に配備された画面と僅かな隙間をおいて対向することとなる高さを有している請求項1乃至請求項3の何れかに記載の折り畳み式携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217064(P2012−217064A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81516(P2011−81516)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】