説明

抜枠鋳型造型装置

【課題】抜枠鋳型造型装置において、停止した機械の復旧を迅速に行うことを可能にすること。
【解決手段】シーケンサ200は、可動部材(下スクィーズボード4、下盛枠6、上枠10、マスタープレート22、押出プレート32)、シリンダ(枠セットスクィーズシリンダ2、下盛枠シリンダ5、上枠シリンダ9、パターンシャトルシリンダ21、モールド押出シリンダ31)及びシリンダ駆動機構(枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400等)の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置100の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、操作パネル(タッチパネル300)における表示画面の表示及び入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空圧回路と油圧回路との複合回路を有する抜枠鋳型造型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空圧回路と油圧回路との複合回路を有する抜枠鋳型造型装置は、枠付造型装置と比較すると、設備全体が小さく造型ラインも短いため、設備全体のイニシャルコスト、ランニングコストが少なくて済む。そのような背景もあり、中小企業の鋳物工場で使用されることが多い。更に近年、発展途上国での鋳型設備稼働が珍しくなく、その大半は、空圧回路と油圧回路との複合回路を有する抜枠鋳型造型装置を使用することが初めてとなるケースが多い。
【0003】
大企業においては設備専属のメンテナンス員が常時配置されているが、中小企業では設備オペレータが兼務している場合が大半である。更には零細企業においては設備メーカーの営業所員がそれを兼務していることも珍しくない。
【0004】
そのような背景から抜枠鋳型造型設備を導入する企業では、熟練されたメンテナンス員が少なく、様々なトラブルに対し修理、復旧だけでなく、原因追及に多大な時間を要する。
【0005】
発展途上国においても、当然熟練されたメンテナンス員がほとんどおらず、停止原因を追究することすら出来ない状態が多い。
【0006】
また、国内外において、このような際に復旧方法を設備メーカーに問い合わせすることも頻繁にあるため、状況報告から復旧までを、電話等で行うものの、多大な時間を要する。特に、海外では、言葉の違いや時差の関係から、復旧までに、国内と比べ更に多大な時間を要する。なお、本発明の先行技術を調査したところ、下記の特許文献1,2を見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−136195公報
【特許文献2】特開2008−100247公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、空圧回路と油圧回路との複合回路を有する抜枠鋳型造型装置において、停止した機械の停止原因追求から復帰までをサポートすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による抜枠鋳型造型装置は、鋳型砂から鋳型を造型し搬送ラインへ押出すまでの作業を実施する複数の可動部材と、各可動部材を作動する可動部材用シリンダと、空気圧回路又は空気圧回路と油圧回路との複合回路からなり、前記各シリンダを駆動するシリンダ駆動機構と、各シリンダ駆動機構の構成要素であるソレノイドバルブへの通電制御を行う制御回路と、表示画面及び入力スイッチを有し、前記制御回路から指令信号を受信すると共に前記入力スイッチからの入力信号を前記制御回路に送信する操作パネルとを備える抜枠鋳型造型装置の機械停止復旧支援方法であって、前記制御回路は、前記可動部材、前記シリンダ及び前記シリンダ駆動機構の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、前記操作パネルにおける前記表示画面の表示及び前記入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明によると、制御回路は、可動部材、シリンダ及びシリンダ駆動機構の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、操作パネルにおける表示画面の表示及び入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行うため、停止した機械の復旧を迅速に行うことが可能になる。
【0011】
ここで、前記シリンダは、枠セットスクィーズシリンダを含み、該枠セットスクィーズシリンダを駆動する枠セットスクィーズシリンダ駆動機構は、空気圧回路と油圧回路との複合回路からなり、前記表示画面に、前記枠セットスクィーズシリンダの工程表示が行われるようにすると、表示画面に枠セットスクィーズシリンダが表示されることで、この機械に枠セットスクィーズシリンダが搭載されていることが明確になる。また、工程表示により、枠セットスクィーズシリンダが作動中か否かが明確になる。
【0012】
また、前記表示画面に、スクィーズ上昇条件の成立を確認する表示が行われるようにすると、枠セットスクィーズシリンダが動作可能か否かを確認することができ、動作不可能な場合、条件成立を阻害している条件を確認することが可能になる。
【0013】
また、前記表示画面に、機械停止復旧支援画面が表示されるようにすると、停止原因究明、解決が簡単な原因である際の機械停止において、原因究明及び復帰までを画面操作と現物確認により短時間で復旧することが可能となる。また、枠セットスクィーズシリンダの部品異常、空気圧回路、油圧回路のバルブ類や電装系統の故障が原因による機械停止の際にも原因究明へのフローを示すことにより、原因究明と復旧が短時間で出来る。加えて原因究明へのフローを示すと、熟練したメンテナンス員でなくても、原因究明が可能となる。
【0014】
また、前記機械停止復旧支援画面に、アクチュエータの動作を確認する画面が表示されるようにすると、制御回路から動作指令が出ているか否かを確認することが出来る。
【0015】
また、前記機械停止復旧支援画面に、バルブコネクタを確認する画面が表示されるようにすると、確認結果によりバルブコネクタまで電気信号が到達しているか確認することが出来る。また、その確認結果により、故障の原因がバルブコネクタ又は制御回路からバルブコネクタまでの間の配線・電装部品によるものと断定でき、また、配線・電装部品が正常であることが確認できる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、電装部品の故障による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0016】
また、前記機械停止復旧支援画面に、アクチュエータ・ワークの干渉・動作を妨げる異物を確認する画面が表示されるようにすると、アクチュエータ・ワークの干渉による機械停止か否かを確認できる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、機械停止の原因がアクチュエータ・ワークの干渉による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0017】
また、前記機械停止復旧支援画面に、バルブからのエアー・油の供給を確認する画面が表示されるようにすると、停止の原因がアクチュエータへの作動流体の供給不足が原因であるか否かが確認可能になる。また、作動流体の供給不足が原因であった場合、バルブ本体の故障による原因か否かの原因追究が可能となる。また、作動流体の供給不足が原因であった場合、配管類の漏れ等による停止か否かの原因追及が可能となる。また、作動流体の供給不足が原因でなかった場合、アクチュエータ本体の故障による原因追求が可能となる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、機械停止の原因がエアー・油の供給による停止か否か、バルブ本体の故障による停止か否か、アクチュエータ本体の故障による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0018】
また、前記機械停止復旧支援画面に、対策画面が表示されるようにすると、復旧のための適切な対応が可能になり、早期復帰が可能になる。
【0019】
上記のように機械停止復旧支援画面を表示することにより、故障停止が発生するたびに、メンテナンス員が機械停止復旧支援画面を何度も繰り返し見て故障時の確認を行うことになるため、メンテナンス員を熟練したメンテナンス員に育て上げる効果も奏される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る抜枠鋳型造型装置の正面図である。
【図2】同抜枠鋳型造型装置の側面図である。
【図3】同抜枠鋳型造型装置の平面図である。
【図4】同抜枠鋳型造型装置の下スクィーズボード周辺の概略拡大図である。
【図5】同抜枠鋳型造型装置の上枠シリンダ周辺の概略拡大図である。
【図6】同抜枠鋳型造型装置により実施される鋳型造型方法の全工程図である。
【図7】同抜枠鋳型造型装置の動作を説明するための説明図であり、鋳型造型方法におけるパターンシャトルイン工程終了状態を示す図である。
【図8】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法におけるエアレーション工程終了状態を示す図である。
【図9】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法におけるスクィーズ工程終了状態を示す図である。
【図10】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法におけるドロー(抜型)工程終了状態を示す図である。
【図11】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法におけるパターンシャトルアウト工程終了状態を示す図である。
【図12】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法における枠合せ工程終了状態を示す図である。
【図13】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法における抜枠工程を示す図である。
【図14】同じく動作説明図であり、鋳型造型方法における枠分離工程終了状態を示す図である。
【図15】同抜枠鋳型造型装置の電気系統及び空油圧系統を示すブロック図である。
【図16】枠セットスクィーズシリンダ駆動機構の空油圧回路図である。
【図17】同抜枠鋳型造型装置の機械停止復旧支援方法の前半の手順を表したフローチャートである。
【図18】同機械停止復旧支援方法の後半の手順を表したフローチャートである。
【図19】タッチパネルのメイン画面である。
【図20】同タッチパネルの工程表示画面である。
【図21】同タッチパネルのインターロック条件不成立時の画面である。
【図22】同タッチパネルのインターロック条件成立時の画面である。
【図23】機械停止復旧支援画面の前半の遷移図である。
【図24】同機械停止復旧支援画面の後半の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る抜枠鋳型造型装置を説明する。
【0022】
A. 抜枠鋳型造型装置の構成
図1〜図5において、一実施形態に係る抜枠鋳型造型装置100は、上鋳型及び下鋳型からなる鋳型を造型する鋳型造型部100Aと、鋳型造型部100Aに下枠を進入及び後退させる下枠進退駆動部100Bと、鋳型造型部で造型された鋳型を外部に押出すモールド押出部100Cと、鋳型造型部100Aに鋳型砂を供給する鋳型砂供給部100Dとを備えて構成される。
【0023】
(1) 鋳型造型部100A
抜枠鋳型造型装置100は、門型フレーム1を備える。門型フレーム1は、下部ベースフレーム1aと上部フレーム1bとを、平面視四隅においてコラム1cを介して一体的に連結して構成される。
【0024】
図4に示すように、下部ベースフレーム1aの上面中央部には、枠セットスクィーズシリンダ2が上向きに取り付けられている。枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aの先端には、下スクィーズフレーム3の上端部3aを介して下スクィーズボード4が取り付けられている。枠セットスクィーズシリンダ2の本体部2bは、下スクィーズフレーム3の下端部3bの中央に設けられた挿通孔3cに挿通されている。下部ベースフレーム1aの平面視四隅には、少なくとも高さ10mm以上の摺動ブッシュ(図示せず。)が設けられ、下スクィーズフレーム3の水平状態が保持される。
【0025】
下スクィーズフレーム3の下端部3bには、枠セットスクィーズシリンダ2を囲むように、4個の下盛枠シリンダ5が鉛直状態で取り付けられている。各下盛枠シリンダ5の上側のピストンロッド5aは、下スクィーズフレーム3の下端部3bに設けられた挿通孔3dを通り、その先端に下盛枠6が取り付けられている。
【0026】
下盛枠6の内面6aは、下方へ向かうに従って狭くなるように形成されており、下スクィーズボード4が気密状態を保ちながら嵌入し得るよう形成されている。下盛枠6の側壁部6bには、鋳型砂導入口6cが設けられている。下盛枠6の上面には、位置決めピン7が立ててある。
【0027】
上記のように、枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aの先端には、下スクィーズフレーム3の上端部3aを介して下スクィーズボード4が取り付けられ、下スクィーズフレーム3の下端部3bには、下盛枠シリンダ5が取り付けられ、下盛枠シリンダ5の上側のピストンロッド5aの先端には、下盛枠6が取り付けられている。このため、枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aが伸縮動作をすると、同時に、下スクィーズボード4、下スクィーズフレーム3、下盛枠シリンダ5及び下盛枠6が一体となって上昇又は下降する。また、下盛枠シリンダ5の上側のピストンロッド5aが伸縮動作をすると、下盛枠6が上昇又は下降する。
【0028】
図5に示すように、上部フレーム1bの下面には、上スクィーズボード8が固定して設けられており、上スクィーズボード8は下スクィーズボード4の上方対向位置にある。上部フレーム1bには、エアシリンダからなる上枠シリンダ9が下向きに固定して設けられている。上枠シリンダ9のピストンロッド9aの先端には、上枠10が取り付けられている。
【0029】
上枠10の内面10aは、下方へ向かうに従って広くなり、上スクィーズボード8が気密状態を保ちながら嵌入し得るよう形成されている。図7等に示すように、上枠10の側壁部10bには、鋳型砂導入口10cが設けられている。
【0030】
上スクィーズボード8と下スクィーズボード4との中間位置には、後述する下枠23が進入可能で、かつ、進入した下枠23が昇降可能となる空間Sが形成されている。
【0031】
コラム1cの内側には、同一水平面上を左右方向(左右方向は、図1図示の状態を基準に定めるものとする。以下、同様である。)へ平行に延びる一対の走行レール11が配設されている。
【0032】
(2) 下枠進退駆動部100B
下枠進退駆動部100Bは、コラム1cの左方又は右方(図1では左方)に配置される。
【0033】
下枠進退駆動部100Bは、右向きに配置されたパターンシャトルシリンダ21を備える。パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aの先端には、マスタープレート22が水平状態で取り付けられる。マスタープレート22は、ピストンロッド21aの先端から上方へ離隔し得るようピストンロッド21aの先端に取り付けられる。
【0034】
マスタープレート22の下面には、下枠23が取り付けられる。
【0035】
マスタープレート22の上面には、上下面に模型を備えたマッチプレート24が取り付けられる。
【0036】
マスタープレート22は、平面視四隅にそれぞれ鉛直状態のローラアーム22aを備える。各ローラアーム22aの上端及び下端には、それぞれ鍔付ローラ22b、22cが配設されている。
【0037】
下側の4個の鍔付ローラ22cは、パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aが後退状態にあるとき、同一水平面上を左右方向へ平行に延びる一対のガイドレール25上に転動可能に載っており、上記ピストンロッド21aが前進状態になると、一対のガイドレール25上から離れ、コラム1cの内側へ移るようになる。
【0038】
上側の4個の鍔付ローラ22bは、パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aが後退状態のとき、右側の2個の鍔付ローラ22bのみがコラム1cから延びる一対の走行レール11の左端部の上に載っており、上記ピストンロッド21aが前進状態になると、左側の2個の鍔付ローラ22bも一対の走行レール11の上に載るようになる。
【0039】
(3) モールド押出部100C
モールド押出部100Cは、コラム1cの左方に配置される。
【0040】
モールド押出部100Cは、右向きに配置されたモールド押出シリンダ31を備える。モールド押出シリンダ31のピストンロッド31aの先端には、押出プレート32が連結されている。
【0041】
(4) 鋳型砂供給部100D
鋳型砂供給部100Dは、上部フレーム1bに配設される。
【0042】
鋳型砂供給部100Dは、鋳型砂供給口41と、鋳型砂供給口41を開閉するサンドゲート42と、サンドゲート42の下方に配置されたエアレーションタンク43とを備えて構成される。図7等に示すように、エアレーションタンク43の先端は、上下方向へ二股状に分岐して砂導入孔43aを構成する。
【0043】
B. 抜枠鋳型造型装置100により実施される鋳型造型方法
次に、抜枠鋳型造型装置100により実施される鋳型造型方法を説明する。
【0044】
鋳型造型方法は、図6に示すように、パターンシャトルイン工程S1、枠セット工程S2、エアレーション工程S3、スクィーズ工程S4、ドロー工程S5、パターンシャトルアウト工程S6、枠合せ工程S7、抜枠工程S8、枠分離工程S9及びモールド押出工程S10の一連の工程からなる。以下、各工程を順に説明する。
【0045】
(1) スタート時(図1、図3、図4、図5)
鋳型造型部100Aにおいて、枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aは後退端に位置し、下スクィーズボード4は下降端に位置する。また、下盛枠シリンダ5の上側のピストンロッド5aは後退端に位置し、下盛枠6は下降端に位置する。また、上枠シリンダ9のピストンロッド9aは前進端に位置し、上枠10は下降端に位置する。
【0046】
下枠進退駆動部100Bにおいて、パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aは後退端に位置し、マスタープレート22、下枠23及びマッチプレート24は、それぞれ後退端に位置する。
【0047】
モールド押出部100Cにおいて、モールド押出シリンダ31のピストンロッド31aは後退端に位置し、押出プレート32は後退端に位置する。
【0048】
鋳型砂供給部100Dにおいて、エアレーションタンク43内に鋳型砂51(図7)が充填されている。
【0049】
(2) パターンシャトルイン工程S1(図2、図7)
パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aを前進させる。このピストンロッド21aの前進により、マスタープレート22が前進し、上側の4個の鍔付ローラ22bのうち左側の2個の鍔付ローラ22bも一対の走行レール11上に載ると共に下側の4個の鍔付ローラ22cが一対のガイドレール25上から離れるようになり、ピストンロッド21aが前進端まで前進したとき、マスタープレート22、下枠23及びマッチプレート24が鋳型造型部100Aのコラム1cの内側の所定位置にセットされる。
【0050】
(3) 枠セット工程S2(図8)
枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aを前進させて下スクィーズボード4を上昇させると共に、下盛枠シリンダ5を前進させて下盛枠6を上昇させ、下盛枠6の位置決めピン7を下枠23の位置決め孔(図示せず。)に挿通し、下枠23の下面に下盛枠6を重合し、下スクィーズボード4、下盛枠6、下枠23及びマッチプレート24により密閉された下鋳型空間を形成する。ここで、下スクィーズボード4と下スクィーズフレーム3は一体であるため、枠セットスクィーズシリンダ2を昇降させると、下スクィーズフレーム3も下スクィーズボード4と共に昇降する。
【0051】
次に、これらを一体的に上昇させ、位置決めピン7を上枠10の下面に挿通し、下枠23を上枠10の下面に、マッチプレート24及びマスタープレート22を介して重合し、上スクィーズボード8、上枠10及びマッチプレート24により密閉された上鋳型空間を形成する。なお、上鋳型空間が形成されたとき、枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aは前進端(上昇端)まで達していない。
【0052】
上鋳型空間が形成されたとき、下盛枠6の鋳型砂導入口6cは、エアレーションタンク43の砂導入孔43aと合致する。
【0053】
なお、図8は、鋳型砂51が上鋳型空間及び下鋳型空間に充填された状態を示しているが、枠セット工程S2は、鋳型砂51が充填される前の状態である。
【0054】
(4) エアレーション工程S3(図8)
鋳型砂供給部100Dにおいて、サンドゲート42(図2)を閉じ、エアレーションタンク43に圧縮空気を供給する。エアレーションタンク43内の鋳型砂51は、圧縮空気の空気圧により、下側の砂導入孔43a及び下盛枠6の鋳型砂導入口6cを経て下鋳型空間に導入されると共に、上側の砂導入孔43a及び上枠10の鋳型砂導入口10cを経て上鋳型空間に導入される。
【0055】
このエアレーション工程S3において、圧縮空気のみが、上枠10及び下枠23の側壁部に設置された排気孔(図示せず。)から外部に排出される。
【0056】
(5) スクィーズ工程S4(図9)
枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aを更に前進させ、上鋳型空間内の鋳型砂52及び下鋳型空間内の鋳型砂53を上スクィーズボード8と下スクィーズボード4とによって挟圧し、スクィーズする。このスクィーズ工程S4においては、下スクィーズボード4の上昇に伴い、下盛枠6、下枠23、マッチプレート24及び上枠10も上昇し、それぞれ上昇端まで達する。
【0057】
このスクィーズ工程S4により、上鋳型54及び下鋳型55が形成される。
【0058】
(6) ドロー(抜型)工程S5(図10)
枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aを後退させ、下スクィーズボード4を下降させる。下スクィーズボード4の下降に伴い、下枠23、マッチプレート24、マスタープレート22、下盛枠6も下降する。下降途中において、マスタープレート22の上側の4個の鍔付ローラ22bが一対の走行レール11上に載り、マスタープレート22、下枠23及びマッチプレート24の下降が停止し、下スクィーズボード4及び下盛枠6が下降を続行する。
【0059】
(7) パターンシャトルアウト工程S6(図11)
ドロー工程S5において、マスタープレート22の上側の4個の鍔付ローラ22bが一対の走行レール11上に載ったとき、マスタープレート22は、パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aの先端に連結状態となる。
【0060】
パターンシャトルアウト工程S6においては、パターンシャトルシリンダ21のピストンロッド21aを後退端まで後退させる。ピストンロッド21aの後退により、マスタープレート22の下側の4個の鍔付ローラ22bは一対のガイドレール25上に載ると共に、マスタープレート22の上側の4個の鍔付ローラ22bのうち左側の2個の鍔付ローラ22bは一対の走行レール11上から離隔し、マスタープレート22、下枠23及びマッチプレート24は、後退端(原位置)に復帰する。
【0061】
このパターンシャトルアウト工程S6終了後は、コラム1cの内側に中子を入れることが可能になり、必要に応じて中子入れが行われる。
【0062】
(8) 枠合せ工程S7(図12)
枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aを前進させて下スクィーズボード4を上昇させ、上鋳型54の下面に下鋳型55を接触させる。このときの枠セットスクィーズシリンダ2の前進出力は、スクィーズ工程S4時の前進出力よりも小さくかつ上鋳型54及び下鋳型55を押し潰すことがないよう設定される。
【0063】
(9) 抜枠工程S8(図13)
上枠シリンダ9のピストンロッド9aを後退させ、上枠10を上昇させる。上枠10の上昇により、上枠10から上鋳型54が抜枠される。抜枠後、上枠シリンダ9のピストンロッド9aを前進させ、上枠10を下降端(原位置)まで復帰させる。
【0064】
(10) 枠分離工程S9(図14)
枠セットスクィーズシリンダ2のピストンロッド2aを後退させ、下スクィーズボード4を下降端(原位置)まで復帰させる。また、下盛枠シリンダ5の上側のピストンロッド5aを後退させ、下盛枠6を下降端(原位置)まで復帰させる。
【0065】
(11) モールド押出工程S10
モールド押出シリンダ31のピストンロッド31aを前進させて押出プレート32を前進させ、下スクィーズボード4上の鋳型(上鋳型54及び下鋳型55)を搬送ラインに送り出す。
【0066】
C. 抜枠鋳型造型装置100の電気系統及び空油圧系統(図15)
図15に示すように、抜枠鋳型造型装置100の電気系統はシーケンサ200を備え、シーケンサ200にタッチパネル300(図1〜図3)、ソレノイドバルブSV1,SV2,SV3,SV5,SV6,SV7,SV8及びカットバルブCVを電気的に接続して構成される。また、シーケンサ200には、モールド押出シリンダの帰端(後退端)を検出するためのセンサ、後述する圧力スイッチPS、供給される圧縮空気が一定圧力以上であることを監視する圧力センサ、各シリンダの行き端、帰り端を確認するリードスイッチ又は近接スイッチ、スクィーズ時に鋳型が一定の厚さに満たない厚さにならないよう監視する近接スイッチなど各種センサ500が電気的に接続される。
【0067】
ソレノイドバルブSV1,SV2,SV3及びカットバルブCVは、図16に示す枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400の構成要素であり、後述する。
【0068】
ソレノイドバルブSV5は、モールド押出シリンダ31に対し圧縮空気の給排気を行い、ピストンロッド31aを前進及び後退させるソレノイドバルブである。
【0069】
ソレノイドバルブSV6は、パターンシャトルシリンダ21に対し圧縮空気の給排気を行い、ピストンロッド21aを前進及び後退させるソレノイドバルブである。
【0070】
ソレノイドバルブSV7は、上枠シリンダ9に対し圧縮空気の給排気を行い、ピストンロッド9aを前進(下降)及び後退(上昇)させるソレノイドバルブである。
【0071】
ソレノイドバルブSV8は、下盛枠シリンダ5に対し圧縮空気の給排気を行い、ピストンロッド5aを前進(上昇)及び後退(下降)させるソレノイドバルブである。
【0072】
D. 枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400(図16)
図16に示すように、枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400は、圧縮空気源401とオイルタンク402とブースタシリンダ403とを備え、空気圧回路404と油圧回路405の複合回路からなるエア・オン・オイル方式で構成される。エア・オン・オイル方式とは、空気圧を油圧に変換して使用する空圧、油圧の複合機能をいう。エア・オン・オイル方式では、油圧ポンプを用いた専用の油圧ユニットを使用せず、圧縮空気源のみを用いる。
【0073】
I) 空気圧回路404
オイルタンク402は上部に空気圧室402aを有しており、空気圧室402aは、ソレノイドバルブSV1に連動して2位置制御されるバルブV1によって、圧縮空気源401及び大気(サイレンサ406)のいずれか一方と連通状態となる。ソレノイドバルブSV1は、非通電時には、バルブV1の制御ポートをサイレンサ407に連通してバルブV1を非作動状態に保ち、オイルタンク402の空気圧室402aをサイレンサ406に連通し、空気圧室402a内を大気圧に保つ。また、ソレノイドバルブSV1は、通電時には、バルブV1の制御ポートを圧縮空気源401に連通してバルブV1を作動状態に保ち、オイルタンク402の空気圧室402aを圧縮空気源401に連通し、空気圧室402a内に圧縮空気を供給する。
【0074】
ブースタシリンダ403は、シリンダ部403aとピストン部403bとを備える。シリンダ部403aは、上部の空気圧室403cと下部の油圧室403dとを有し、空気圧室403cの断面積と油圧室403dの断面積との面積比は、例えば10:1と大きな値に設定されている。ピストン部403bは、シリンダ部403aの空気圧室403cに配され、空気圧室403cを上部空気圧室403eと下部空気圧室403fに区画する大径ピストン部403gと、大径ピストン部403gから下方へ延び、先端部が油圧室403dに配される小径ピストン部403hとにより構成される。ブースタシリンダ403は、上記面積比が10:1の場合、圧縮空気圧の10倍の油圧を発生する。
【0075】
ブースタシリンダ403の上部空気圧室403eは、ソレノイドバルブSV2に連動して2位置制御されるバルブV2aによって、圧縮空気源401及び大気(サイレンサ408)のいずれか一方と連通状態となる。ソレノイドバルブSV2は、非通電時には、バルブV2の制御ポートをサイレンサ407に連通してバルブV2aを非作動状態に保ち、ブースタシリンダ403の上部空気圧室403eをサイレンサ408に連通し、上部空気圧室403e内を大気圧に保つ。また、ソレノイドバルブSV2は、通電時には、バルブV2aの制御ポートを圧縮空気源401に連通してバルブV2aを作動状態に保ち、上部空気圧室403eを圧縮空気源401に連通し、上部空気圧室403e内に圧縮空気を供給する。圧縮空気源401とバルブV2aとの間の空気圧配管には、レギュレータ409が配設されている。
【0076】
ブースタシリンダ403の下部空気圧室403fは、ソレノイドバルブSV2に連動して2位置制御されるバルブV2bによって、圧縮空気源401及び大気(サイレンサ410)のいずれか一方と連通状態となる。ソレノイドバルブSV2は、非通電時には、バルブV2bの制御ポートを圧縮空気源401に連通してバルブV2bを作動状態に保ち、ブースタシリンダ403の下部空気圧室403fを圧縮空気源401に連通し、下部空気圧室403f内に圧縮空気を供給する。また、ソレノイドバルブSV2は、通電時には、バルブV2bの制御ポートをサイレンサ411に連通してバルブV2aを非作動状態に保ち、下部空気圧室403fをサイレンサ410に連通し、下部空気圧室403f内を大気圧に保つ。
【0077】
枠セットスクィーズシリンダ2は、本体部(シリンダ部)2bと、本体部2bの内部に配されるピストン2cと、ピストン2cから上方へ延びるピストンロッド2aとを備え、上述したように、ピストンロッド2aの先端に下スクィーズボード4が連結されている。本体部2bは、上部の空気圧室2dと下部の油圧室2eとを有し、ピストン2cは、空気圧室2dと油圧室2eとを区画する。
【0078】
空気圧室2dは、ソレノイドバルブSV3によって、圧縮空気源401及び大気(サイレンサ407)のいずれか一方と連通状態となる。ソレノイドバルブSV3は、非通電時には、空気圧室2dをサイレンサ407に連通して空気圧室2d内を大気圧に保つ。また、ソレノイドバルブSV3は、通電時には、空気圧室2dを圧縮空気源401に連通して空気圧室2d内に圧縮空気を供給する。
【0079】
II) 油圧回路405
油圧回路405は、オイルタンク402と枠セットスクィーズシリンダ2の油圧室2eとの間を油圧配管412で連通すると共に、オイルタンク402側の油圧配管部412aの途中にスピードコントローラSC及びカットバルブCVを連通し、かつ、枠セットスクィーズシリンダ2側の油圧配管部412bにブースタシリンダ403の油圧室403dを連通し、さらに、枠セットスクィーズシリンダ2側の油圧配管部412bに圧力スイッチPSを連通して構成される。
【0080】
カットバルブCVは、非通電時には、オイルタンク402と枠セットスクィーズシリンダ2の油圧室2eとの間、及び、オイルタンク402とブースタシリンダ403の油圧室403dとの間を遮断状態に保つ。また、カットバルブCVは、通電時には、圧縮空気圧により作動し、オイルタンク402と枠セットスクィーズシリンダ2の油圧室2eとの間、及び、オイルタンク402とブースタシリンダ403の油圧室403dとの間を連通状態に保つ。
【0081】
D. 抜枠鋳型造型装置100の機械停止復旧支援方法(図17〜図24)
シーケンサ200及びタッチパネル300は、図17及び図18に示す手順で抜枠鋳型造形装置100の機械停止時の復旧支援を行う。
【0082】
(1) タイムオーバー判定(S11)
自動運転が開始されると、シーケンサ200は、枠セットスクィーズシリンダ2等、各アクチュエータ(各シリンダ)の動作指令信号を監視し、上記鋳型造形方法の工程ごとに、作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値例えば10秒以上になったか否かを判定する(S11)。
【0083】
(2) タイムオーバー表示点灯(S12)
シーケンサ200は、作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値以上になったと判断した場合、タッチパネル300にタイムオーバー表示点灯コマンドを送信し、このコマンドを受信したタッチパネル300は、図19に示すメイン画面におけるタイムオーバー表示部(入力スイッチ)を点灯する(S12)。
【0084】
(3) タイムオーバー表示クリック確認(S13)
タッチパネル300は、タイムオーバー表示部がクリックされたか否かを判定する(S13)。
【0085】
(4) 工程表示(S14)
オペレータがタイムオーバー表示部をクリックした場合、タッチパネル300は、表示画面に図20に示す工程表示画面を表示する(S14)。
【0086】
(5) 枠セットスクィーズ表示点滅(S15)
タッチパネル300は、工程表示画面において、「11U」表示部(入力スイッチ)を点滅状態させる(S15)。ここで、「11U」表示部の点滅は、枠セットスクィーズ(枠セット工程S2、スクィーズ工程S4及び枠合わせ工程S7)において、枠セットスクィーズシリンダ2が上昇行程動作中であることを示し、タイムオーバー表示が点灯したことにより、動作工程中に所定の設定時間が経過し、タイムオーバーが発生したことを表している。
【0087】
(6) 枠セットスクィーズ表示クリック確認(S16)
タッチパネル300は、「11U」表示部がクリックされたか否かを判定する(S16)。
【0088】
(7) 枠セットスクィーズ上昇条件画面表示(S17)
オペレータが「11U」表示部をクリックした場合、タッチパネル300は、図21(A)又は図22に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面を表示する(S17)。ここで、図21(A)及び図22に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面は、シーケンサ200のシーケンスラダー内のインターロック回路を表している。
【0089】
(8) 条件成立判定(S18)
シーケンサ200は、インターロック条件が成立しているか否かを判定する(S18)。
【0090】
そして、インターロック条件が不成立の場合は、図21(A)に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面を表示する。この図21(A)に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面は、条件不成立の原因となっているアクチュエータ(モールド押出シリンダ31)を表す「12B」表示部(入力スイッチ)を消灯状態で表示している。オペレータが「12B」表示部をクリックすると、図21(B)に示す詳細画面が表示される。
【0091】
一方、インターロック条件が成立している場合は、図22に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面を表示する。この図22に示す枠セットスクィーズ上昇条件画面は、「条件成立」表示部を点灯状態で表示している。
【0092】
(9)-a 機械停止復旧支援画面表示クリック確認(S19)
インターロック条件成立の場合、タッチパネル300は、枠セットスクィーズ上昇条件画面に表示されている機械停止復旧支援画面表示部(入力スイッチ)がオペレータによってクリックされたか否かを判定し(S19)、オペレータが機械停止復旧支援画面表示部をクリックした場合、後述する機械停止復旧支援画面1表示(S22)に移行する。
【0093】
(9)-b インターロック確認(S20)及びアクチュエータ動作確認(S21)
一方、インターロック条件不成立の場合、オペレータはインターロック条件を確認し(S20)、インターロック条件が不成立の場合、手動操作でインターロック条件を成立させる。そして、インターロック条件成立後、再起動した場合は正常運転に戻り、一方、再起動をしてもアクチュエータが動作しない場合、オペレータに機械停止復旧支援画面表示部(入力スイッチ)をクリックさせる指示表示を行い(S21)、オペレータが機械停止復旧支援画面表示部をクリックした場合、後述する機械停止復旧支援画面1表示(S22)に移行する。
【0094】
(10) 機械停止復旧支援画面1表示(S22)
タッチパネル300は、図23(A)に示す機械停止復旧支援画面1を表示する(S22)。ここで、機械停止復旧支援画面1には、「バルブへの出力はしています(インターロック条件成立)」、「実際にバルブに出力されているかバルブ本体の上部ランプの点灯を確認して下さい」の表示と、「YES」ボタン(入力スイッチ)、「NO」ボタン(入力スイッチ)の表示がされている。
【0095】
(11) バルブコネクタ通電確認(S23)
オペレータは、機械停止復旧支援画面1に基づきバルブ本体の上部ランプの点灯の有無を確認し、上部ランプが消灯している場合には「NO」ボタンをクリックし、一方、上部ランプが点灯している場合には「YES」ボタンをクリックする(S23)。
【0096】
(12)-a 機械停止復旧支援画面4表示(S24)
機械停止復旧支援画面1の表示において「NO」ボタンがクリックされた場合、タッチパネル300は、図23(B)に示す機械停止復旧支援画面4を表示する(S24)。ここで、機械停止復旧支援画面4には、「対策 バルブまで出力が出ていません。下記項目をテスター等で確認してください。」、「シーケンサ出力ユニットの接点溶着(交換をして下さい)」、「制御盤内、2次側配線に断線が無いか確認して断線があれば交換してください」の表示がされている。
【0097】
オペレータは、この表示を見て、電装部品及びケーブルの断線を確認する。
【0098】
(12)-b 機械停止復旧支援画面2表示(S25)
機械停止復旧支援画面1の表示において「YES」ボタンがクリックされた場合、タッチパネルは、図23(C)に示す機械停止復旧支援画面2を表示する(S25)。ここで、機械停止復旧支援画面2には、「バルブ本体へは信号は出力されています」、「目視にてシリンダ周りの砂積もりや機械的干渉はありませんか」の表示と、「YES」ボタン(入力スイッチ)、「NO」ボタン(入力スイッチ)の表示がされている。
【0099】
(13) アクチュエータ・ワークの干渉・動作を妨げる異物確認(S26)
オペレータは、機械停止復旧支援画面2の表示を見て、シリンダ周りの砂積もりや機械的干渉の有無を目視にて確認し(S26)、シリンダ周りの砂積もりや機械的干渉が有る場合、「YES」ボタンをクリックし、一方、無い場合、「NO」ボタンをクリックする。
【0100】
(14)-a 機械停止復旧支援画面5表示(S27)
機械停止復旧支援画面2の表示において「YES」ボタンがクリックされた場合、タッチパネルは、図24(A)に示す機械停止復旧支援画面5を表示する(S27)。ここで、機械停止復旧支援画面5には、「対策 シリンダの動作が妨げられています ・異物・干渉物を除去してください」の表示がされている。
【0101】
オペレータは、この表示を見て、異物又は干渉物を除去する。
【0102】
(14)-b 機械停止復旧支援画面3表示(S28)
機械停止復旧支援画面2の表示において「NO」ボタンがクリックされた場合、タッチパネルは、図23(D)に示す機械停止復旧支援画面2を表示する(S28)。ここで、機械停止復旧支援画面3には、「実際にバルブ本体は出力されています」、「シリンダの動作を干渉するものはありません」、「バルブからエアーが出ていますか(継ぎ手からホースを取り外して確認)」の表示と、「YES」ボタン(入力スイッチ)、「NO」ボタン(入力スイッチ)の表示がされている。
【0103】
(15) バルブからのエアー・油の供給確認(S29)
オペレータは、機械停止復旧支援画面3の表示を見て、バルブからのエアー又は油の供給が有るか無いかを確認し、供給が有る場合、「YES」ボタンをクリックし、一方、無い場合、「NO」ボタンをクリックする。
【0104】
(16)-a 機械停止復旧支援画面6表示(S30)
機械停止復旧支援画面3の表示において「YES」ボタンがクリックされた場合、タッチパネルは、図24(B)に示す機械停止復旧支援画面6を表示する(S27)。ここで、機械停止復旧支援画面6には、「対策 シリンダ本体に問題があります シリンダからエア漏れ油漏れしていませんか? 部品交換又はシリンダを解体して確認してください」の表示がされている。
【0105】
オペレータは、この表示を見て、アクチュエータが動作不良であることを把握し、配管及び本体を確認し、必要に応じて部品交換を行う。
【0106】
(16)-b 機械停止復旧支援画面7表示(S31)
機械停止復旧支援画面3の表示において「NO」ボタンがクリックされた場合、タッチパネルは、図24(C)に示す機械停止復旧支援画面7を表示する(S31)。ここで、機械停止復旧支援画面7には、「バルブに不具合があります」、「バルブを交換するか解体清掃等をして原因を調査してください」の表示がされている。
【0107】
オペレータは、この表示を見て、バルブが動作不良であると認識し、バルブを確認し、必要に応じて交換する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る抜枠鋳型造型装置は、空気圧回路と油圧回路との複合回路を有し、エア・オン・オイル方式(空気圧を油圧に変換して使用する方式)を採用する抜枠鋳型造型装置である。具体的には、鋳型砂51から鋳型(上鋳型54、下鋳型55)を造型し搬送ラインへ押出すまでの作業を実施する複数の可動部材(下スクィーズボード4、下盛枠6、上枠10、マスタープレート22、押出プレート32)と、各可動部材(下スクィーズボード4、下盛枠6、上枠10、マスタープレート22、押出プレート32)を作動する可動部材用シリンダ(枠セットスクィーズシリンダ2、下盛枠シリンダ5、上枠シリンダ9、パターンシャトルシリンダ21、モールド押出シリンダ31)と、空気圧回路404又は空気圧回路404と油圧回路405との複合回路からなり、各シリンダ(枠セットスクィーズシリンダ2、下盛枠シリンダ5、上枠シリンダ9、パターンシャトルシリンダ21、モールド押出シリンダ31)を駆動するシリンダ駆動機構(枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400等)と、各シリンダ駆動機構(枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400等)の構成要素であるソレノイドバルブ(SV1,SV2,SV3,SV5,SV6,SV7,SV8,CV)への通電制御を行う制御回路(シーケンサ200)と、表示画面及び入力スイッチを有し、制御回路(シーケンサ200)から指令信号を受信すると共に入力スイッチからの入力信号を制御回路(シーケンサ200)に送信する操作パネル(タッチパネル300)とを備える抜枠鋳型造型装置100であって、制御回路(シーケンサ200)は、可動部材(下スクィーズボード4、下盛枠6、上枠10、マスタープレート22、押出プレート32)、シリンダ(枠セットスクィーズシリンダ2、下盛枠シリンダ5、上枠シリンダ9、パターンシャトルシリンダ21、モールド押出シリンダ31)及びシリンダ駆動機構(枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400等)の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置100の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、操作パネル(タッチパネル300)における表示画面の表示及び入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行う。
【0109】
本実施形態によると、制御回路(シーケンサ200)は、可動部材(下スクィーズボード4、下盛枠6、上枠10、マスタープレート22、押出プレート32)、シリンダ(枠セットスクィーズシリンダ2、下盛枠シリンダ5、上枠シリンダ9、パターンシャトルシリンダ21、モールド押出シリンダ31)及びシリンダ駆動機構(枠セットスクィーズシリンダ駆動機構400等)の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置100の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、操作パネル(タッチパネル300)における表示画面の表示及び入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行うため、停止した機械の復旧を迅速に行うことが可能になる。
【0110】
また、表示画面に、枠セットスクィーズシリンダ2の工程表示を行うようにしたため、表示画面に枠セットスクィーズシリンダ2が表示されることで、この機械に枠セットスクィーズシリンダ2が搭載されていることが明確になる。また、工程表示により、枠セットスクィーズシリンダ2が作動中か否かが明確になる。
【0111】
また、表示画面に、スクィーズ上昇条件の成立を確認する表示を行うようにしたため、枠セットスクィーズシリンダ2が動作可能か否かを確認することができ、動作不可能な場合、条件成立を阻害している条件を確認することが可能になる。
【0112】
また、表示画面に、機械停止復旧支援画面を表示したため、停止原因究明、解決が簡単な原因である際の機械停止において、原因究明及び復帰までを画面操作と現物確認により短時間で復旧することが可能となる。また、枠セットスクィーズシリンダ2の部品異常、空気圧回路404、油圧回路405のバルブ類や電装系統の故障が原因による機械停止の際にも原因究明へのフローを示すことにより、原因究明と復旧が短時間で出来る。加えて原因究明へのフローを示すと、熟練したメンテナンス員でなくても、原因究明が可能となる。
【0113】
また、機械停止復旧支援画面に、アクチュエータ(シリンダ)の動作を確認する画面を表示したため、制御回路200から動作指令が出ているか否かを確認することが出来る。
【0114】
また、機械停止復旧支援画面に、バルブコネクタを確認する画面を表示したため、確認結果によりバルブコネクタまで電気信号が到達しているか確認することが出来る。また、その確認結果により、故障の原因がバルブコネクタ又は制御回路からバルブコネクタまでの間の配線・電装部品によるものと断定でき、また、配線・電装部品が正常であることが確認できる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、電装部品の故障による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0115】
また、機械停止復旧支援画面に、アクチュエータ・ワークの干渉・動作を妨げる異物を確認する画面を表示したため、アクチュエータ・ワークの干渉による機械停止か否かを確認できる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、機械停止の原因がアクチュエータ・ワークの干渉による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0116】
また、機械停止復旧支援画面に、バルブからのエアー・油の供給を確認する画面を表示したため、停止の原因がアクチュエータへの作動流体の供給不足が原因であるか否かが確認可能になる。また、作動流体の供給不足が原因であった場合、バルブ本体の故障による原因か否かの原因追究が可能となる。また、作動流体の供給不足が原因であった場合、配管類の漏れ等による停止か否かの原因追及が可能となる。また、作動流体の供給不足が原因でなかった場合、アクチュエータ本体の故障による原因追求が可能となる。加えて原因究明への指示が示されると、熟練したメンテナンス員でなくても、機械停止の原因がエアー・油の供給による停止か否か、バルブ本体の故障による停止か否か、アクチュエータ本体の故障による停止か否かの原因追及が可能となる。
【0117】
また、機械停止復旧支援画面に、対策画面を表示したため、復旧のための適切な対応が可能になり、早期復帰が可能になる。
【0118】
さらに、上記のような機械停止復旧支援画面を表示することにより、故障停止が発生するたびに、メンテナンス員が機械停止復旧支援画面を何度も繰り返し見て故障時の確認を行うことになるため、メンテナンス員を熟練したメンテナンス員に育て上げる効果も奏される。
【符号の説明】
【0119】
2 枠セットスクィーズシリンダ(可動部材用シリンダ)
4 下スクィーズボード(可動部材)
5 下盛枠シリンダ(可動部材用シリンダ)
6 下盛枠(可動部材)
8 上スクィーズボード
9 上枠シリンダ(可動部材用シリンダ)
10 上枠(可動部材)
21 パターンシャトルシリンダ(可動部材用シリンダ)
22 マスタープレート(可動部材)
23 下枠
24 マッチプレート
31 モールド押出シリンダ(可動部材用シリンダ)
32 押出プレート(可動部材)
51 鋳型砂
54 上鋳型(鋳型)
55 下鋳型(鋳型)
100 抜枠鋳型造型装置
200 シーケンサ(制御回路)
300 タッチパネル(操作パネル)
401 圧縮空気源(空気圧回路)
402 オイルタンク(空気圧回路及び油圧回路)
403 ブースタシリンダ(空気圧回路及び油圧回路)
404 空気圧回路
405 油圧回路
500 センサ
V1,V2a,V2b バルブ(空気圧回路)
CV カットバルブ(ソレノイドバルブ、油圧回路)
SV1,SV2,SV3,SV5,SV6,SV7,SV8 ソレノイドバルブ(空気圧回路)
PS 圧力スイッチ(センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型砂から鋳型を造型し搬送ラインへ押出すまでの作業を実施する複数の可動部材と、各可動部材を作動する可動部材用シリンダと、空気圧回路又は空気圧回路と油圧回路との複合回路からなり、前記各シリンダを駆動するシリンダ駆動機構と、各シリンダ駆動機構の構成要素であるソレノイドバルブへの通電制御を行う制御回路と、表示画面及び入力スイッチを有し、前記制御回路から指令信号を受信すると共に前記入力スイッチからの入力信号を前記制御回路に送信する操作パネルとを備える抜枠鋳型造型装置であって、
前記制御回路は、前記可動部材、前記シリンダ及び前記シリンダ駆動機構の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、前記操作パネルにおける前記表示画面の表示及び前記入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行う
ことを特徴とする抜枠鋳型造型装置。
【請求項2】
前記シリンダは、枠セットスクィーズシリンダを含み、該枠セットスクィーズシリンダを駆動する枠セットスクィーズシリンダ駆動機構は、空気圧回路と油圧回路との複合回路からなり、前記表示画面に、前記枠セットスクィーズシリンダの工程表示が行われることを特徴とする請求項1に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項3】
前記表示画面に、スクィーズ上昇条件の成立を確認する表示が行われることを特徴とする請求項2に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項4】
前記表示画面に、機械停止復旧支援画面が表示されることを特徴とする請求項3に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項5】
前記機械停止復旧支援画面に、アクチュエータの動作を確認する画面が表示されることを特徴とする請求項4に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項6】
前記機械停止復旧支援画面に、バルブコネクタを確認する画面が表示されることを特徴とする請求項4に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項7】
前記機械停止復旧支援画面に、アクチュエータ・ワークの干渉・動作を妨げる異物を確認する画面が表示されることを特徴とする請求項4に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項8】
前記機械停止復旧支援画面に、バルブからのエアー・油の供給を確認する画面が表示されることを特徴とする請求項4に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項9】
前記機械停止復旧支援画面に、対策画面が表示されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項10】
前記シリンダは、パターンシャトルシリンダを含むことを特徴とする請求項2に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項11】
前記シリンダは、下盛枠シリンダを含むことを特徴とする請求項10に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項12】
前記シリンダは、上枠シリンダを含むことを特徴とする請求項11に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項13】
前記シリンダは、モールド押出シリンダを含むことを特徴とする請求項12に記載の抜枠鋳型造型装置。
【請求項14】
鋳型砂から鋳型を造型し搬送ラインへ押出すまでの作業を実施する下スクィーズボード、下盛枠、上枠、マスタープレート及び押出プレートと、
前記下スクィーズボードを作動する枠セットスクィーズシリンダ、前記下盛枠を作動する下盛枠シリンダ、前記上枠を作動する上枠シリンダ、前記マスタープレートを作動するパターンシャトルシリンダ及び前記押出プレートを作動するモールド押出シリンダと、
空気圧回路と油圧回路との複合回路からなる枠セットスクィーズシリンダ駆動機構を含み、前記各シリンダを駆動するシリンダ駆動機構と、
各シリンダ駆動機構の構成要素であるソレノイドバルブへの通電制御を行う制御回路と、
表示画面及び入力スイッチを有し、前記制御回路から指令信号を受信すると共に前記入力スイッチからの入力信号を前記制御回路に送信する操作パネルと、
を備える抜枠鋳型造型装置であって、
前記制御回路は、前記可動部材、前記シリンダ及び前記シリンダ駆動機構の各作動状態を監視し、当該抜枠鋳型造型装置の作業工程において作動開始から所定位置に到達するまでの作動時間が異常動作時間設定値を経過したとき、前記操作パネルにおける前記表示画面の表示及び前記入力スイッチの入力操作を介して機械停止復旧支援を行い、
前記表示画面に、前記枠セットスクィーズシリンダの工程表示、スクィーズ上昇条件の成立を確認するための表示、機械停止復旧支援画面が表示され、
前記機械停止復旧支援画面に、アクチュエータの動作を確認させる画面、バルブコネクタを確認させる画面、アクチュエータ・ワークの干渉・動作を妨げる異物を確認させる画面、バルブからのエアー・油の供給を確認させる画面及び対策画面が表示されることを特徴とする抜枠鋳型造型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−156555(P2011−156555A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19142(P2010−19142)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【特許番号】特許第4687822号(P4687822)
【特許公報発行日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】