説明

押しボタンスイッチ機構および電池パック

【課題】押圧する場所により操作性に差異が生ずることを抑制し、操作性に優れた高品質な押しボタンスイッチ機構および電池パックを提供する。
【解決手段】レンズ部材15において、可動部15gには、Z軸方向上向きに突設した突起部15fを有する。2つのアーム部15iは、可動部15gの対向2辺のそれぞれから延設されている。ビーム部15jは、Y軸方向に延伸し、可動部15gの裏面への押圧力によりZ軸方向に撓む。ベース部15lは、ビーム部15jの各々を両端支持する。押しボタンスイッチ機構では、レンズ部材15の伝達部材部分において、可動部15gの側周が、2つのアーム部15iが連続する部分を除き、ビーム部15jおよびベース部15lとの各間がスリット15hにより区画されており、ビーム部15jが、その両端部分を除き、ベース部15lとの間がスリット15kにより区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンスイッチ機構および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の外面には、ユーザが当該電子機器に対して操作を行うための操作ボタンが設けられている(例えば、特許文献1,2を参照)。例えば、モバイル機器の電源として用いられる電池パックでは、電池容量の残量確認を行う際に用いられる押しボタンが設けられている。ユーザは、外面に設けられたパッド部などを押圧することで、パッケージ内部に設けられた押しボタンスイッチのボタンに押圧力が伝達され、インジケータを構成するLEDの点灯により電池容量の残量を知ることができる。
【0003】
ここで、ユーザが押圧するパッド部と、押しボタンスイッチのボタン部との間には、ユーザからの押圧力を押しボタンスイッチのボタン部に伝達するための、伝達部材が介在されていることがある。この伝達部材は、通常、回路基板などに実装されている押しボタンスイッチを直接ユーザが操作することを防ぎ、回路基板の損傷などを防ぐことなどを目的に介在されている。従来技術に係る伝達部材の構成について、図8および図9を用い説明する。
【0004】
図8に示すように、従来技術の伝達部材95では、押しボタンスイッチのボタンに押圧力を伝達する突起部95fが、Y軸方向に細長い短冊状をした可動部95gのほぼ中央部分に設けられている。可動部95gは、Y軸方向右側の辺に連続して設けられたアーム部95iによりベースとなる部分に接続されている。伝達部材95においては、可動部95gは、アーム部95iが接続された部分を除き、周囲がスリット95hにより区画されている。このため、可動部95gは、一端支持となっており、Y軸方向左側の端辺95lは、自由端となっている。
【0005】
図9に示すように、従来技術の伝達部材95を備える機器に対し、ユーザが押圧力を入力した場合には、伝達部材95では、アーム部95iの基端部分Pを支点として可動部95gがZ軸方向の上方向へと可動する。そして、可動部95gのZ軸方向上側主面から突設された突起部95fが、その上方に存在する押しボタンスイッチのボタン部を押圧することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−40260号公報
【特許文献2】特開2010−108701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図9に示すように、従来技術に係る伝達部材95では、アーム部95iの基端部分Pを支点として可動部95gが稼働するため、操作性という観点で改良の余地がある。具体的には、図9に示すように、伝達部材95の可動部95gは、ユーザからの押圧力により、基端部分Pを支点として自由端である端辺95lが円弧を描くように可動するため、ユーザがC部分を押圧したときと、C部分を押圧したときとで、突起部95fのZ軸方向へのストロークに差異が生じる。即ち、ユーザが同じ押し込み量で押圧しても、押圧する箇所により、突起部95fの可動量が変化し、操作性に問題を生じてしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、押圧する箇所により操作性に差異が生ずることを抑制し、操作性に優れた高品質な押しボタンスイッチ機構および電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、次の構成を採用することとした。
本発明に係る押しボタンスイッチ機構は、ボタンへの押圧の有無によりオン・オフ状態の切り替えを行う押しボタンスイッチと、ユーザからの押圧力をボタンに伝達する伝達部材とを備え、伝達部材が、可動部、アーム部、撓み部、およびベース部を有し構成されていることとした。
【0010】
(a) 可動部は、平板状をし、一方の主面に前記ユーザからの押圧力を受け、他方の主面からその法線方向に突設した突起を有する。
(b) アーム部は、可動部の対向する2辺のそれぞれから延設されている。
(c) 撓み部は、2つのアーム部のそれぞれに連続し、可動部の対向する上記2辺の各々に沿って延伸し、且つ、ユーザからの押圧力によりボタンの押圧方向に撓む。
【0011】
(d) ベース部は、撓み部の各々に対し、その両端部分で連続し、当該撓み部を両端支持する。
そして、本発明に係る押しボタンスイッチ機構では、伝達部材において、可動部の側周が、2つのアーム部を除き、撓み部およびベース部との各間がスリットにより区画されており、撓み部が、両端部分を除き、ベース部との間がスリットにより区画されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る電池パックは、上記本発明に係る押しボタンスイッチ機構を備えることを特徴とする。
なお、本発明に係る押しボタンスイッチ機構については、その適用対象が電池パックに限定されるものではなく、他の電子機器にも適用が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る押しボタンスイッチ機構では、伝達部材の可動部が、その対向する2辺のそれぞれから延設された2つのアーム部により支持されている。そして、2つのアーム部は、それぞれが梁状(ビーム状)の撓み部に接続されており、当該撓み部がユーザからの押圧力に応じて撓む。即ち、本発明に係る押しボタンスイッチ機構では、突起が突設されてなる可動部が、2つの撓み部の撓みにより、突起の突設方向に向けて平行に可動することとなり、円弧状に端辺95lが可動し、可動部95gが回転可動する従来技術の伝達部材95に対して、優れた操作性を確保できる。
【0014】
上述のように、図9の従来技術の伝達部材95では、基端部分Pを支点として自由端である端辺95lが円弧を描くように可動部95gが回転可動するため、ユーザが押圧する箇所により操作性が大きく異なる。
これに対して、本発明に係る押しボタンスイッチ機構では、可動部が2つのアーム部を介して2つの撓み部に両端支持され、撓み部が突起の突設方向に可動するので、可動部は平行な姿勢を保った状態で可動する。このため、本発明に係る押しボタンスイッチ機構では、ユーザが異なる箇所を押圧しても、同様のクリック感が実現される。
【0015】
従って、本発明に係る押しボタンスイッチ機構は、押圧する箇所によりクリック感に差異が生ずることが抑制され、優れた操作性を有し高品質である。
そして、本発明に係る電池パックは、本発明に係る押しボタンスイッチ機構を備えるので、上記同様に、優れた操作性を有し高品質である。
本発明に係る押しボタンスイッチ機構および電池パックでは、一例として、次のようなバリエーション構成を採用することが可能である。
【0016】
本発明に係る押しボタンスイッチ機構およびこれを備える電池パックは、上記構成において、アーム部が、可動部の対向2辺のそれぞれにおける中央部分から延設されているとすることができる。このように、アーム部を可動部の対向2辺の各中央部分から延設された構成とすれば、アーム部に対して可動部が対象に可動することになり、更に優れた操作性(クリック性)を実現することができる。
【0017】
本発明に係る押しボタンスイッチ機構およびこれを備える電池パックは、上記構成において、伝達部材における可動部が、撓み部の延伸方向に沿った方向での長さが、これに直交する方向での幅よりも長い短冊状をしており、突起が、撓み部が延伸する方向に沿った方向において、可動部の中央部分から突出しているとすることができる。このような構成を採用すれば、可動部に対する突起の配置についても対称性を確保することができ、更に優れた操作性(クリック性)を実現することができる。
【0018】
本発明に係る押しボタンスイッチ機構およびこれを備える電池パックは、上記構成において、さらに、伝達部材における可動部の一方の主面に対し当接あるいは接合され、ユーザの押圧を受け付ける操作面を有する操作部材を備え、操作部材が、撓み部の延伸方向に沿った方向において、可動部と実質的に同じ長さを有するとすることができる。このように、操作部材の上記方向における長さを、可動部と実質的に同じとすることにより、ユーザに対するクリック時におけるダイレクト感を実現することができる。
【0019】
本発明に係る押しボタンスイッチ機構およびこれを備える電池パックは、上記構成において、伝達部材が、可動部、アーム部、撓み部およびベース部を含み一体形成されているとすることができる。このように伝達部材を一体形成することにより、部品点数の増加を抑え、生産性の向上を図ることができる。また、伝達部材を一体形成することにより、各部間に接合部を有する場合に比べて、押圧によるクラックなどのダメージを受け難い。
【0020】
また、本発明に係る電池パックでは、一例として、次のようなバリエーション構成を採用することが可能である。
本発明に係る電池パックは、上記構成において、1または複数の素電池と、1または複数の素電池の残容量に関するインジケータとを備え、押しボタンスイッチ機構が、インジケータのオン・オフ制御に供されるとすることができる。
【0021】
本発明に係る電池パックは、上記構成において、インジケータが、1または複数のLEDを有し構成されており、伝達部材が、透光性材料からなり、LEDから出射される光が透過するレンズ部材の一部として構成されているとすることができる。このように、伝達部材をレンズ部材の一部として構成すれば、別途、伝達部材を備える場合に比べて部品点数の削減を図ることができ、製造に係るコスト面で有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る電池パック1の外観構成を示す模式斜視図であって、(a)は一方の外面側から見た図であり、(b)は他方の外面側から見た図である。
【図2】電池パック1の内部構成を示すために、第1ケース部材11を除去した状態で示す模式斜視図である。
【図3】電池パック1における回路ユニット102の周辺部分の構成を示す模式断面図であり、(a)はY−Z断面、(b)はX−Z断面を示す。
【図4】回路ユニット102とレンズ部材15およびパッド部材14との配置関係を示す模式展開側面図である。
【図5】(a)は、電池パック1の製造過程における第2ケース部材12へのレンズ部材15およびパッド部材14の取り付け途中の状態を示す模式展開斜視図であり、(b)は、レンズ部材15とパッド部材14との配置関係を示す模式展開斜視図である。
【図6】レンズ部材15の構成中、押圧力の伝達に係る部分を抜き出して示す模式斜視図である。
【図7】ユーザがパッド部材14を押圧した際のレンズ部材15の状態変化を説明するための模式断面図である。
【図8】従来技術に係る電池パックにおける押圧力伝達部材95の構成の一部を示す模式斜視図である。
【図9】従来技術に係る電池パックにおいて、ユーザがパッド部材を押圧した際の押圧力伝達部材95の状態変化を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で示す具体例は、本発明の構成およびその構成から奏される作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、本発明は、発明の本質とする構成部分以外について、以下の具体例に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態]
1.電池パック1の外観構成
本実施の形態に係る電池パック1の外観構成について、図1を用い説明する。
【0024】
図1(a)に示すように、電池パック1は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とにより外装が構成されている。第1ケース部材11におけるX軸方向手前側の側壁には、一部に窓部が開けられており、当該窓部から外部コネクタ1022が露出している。
図1(b)に示すように、電池パック1では、機器への装着時に露出する側の第2ケース部材12の外面には、インジケータ用の窓部12aが開けられ、当該インジケータを点灯させようとする場合にユーザが押圧するパッド部材14の一部が露出している。本実施の形態に係る電池パック1では、ユーザが電池容量の残量を確認しようとする際、パッド部材14を押圧することによって、残量に応じた数のLEDがパッケージ内部で点灯し、窓部12aから確認が可能となっている。
【0025】
2.電池パック1の内部構成
電池パック1の内部構成について、図2を用い説明する。
図2に示すように、電池パック1には、第1ケース部材11(図2では、便宜上、図示を省略)および第2ケース部材12により構成される外装内部に、コアパック10が収納されている。コアパック10は、12本の素電池101a〜101lと、回路ユニット102とから構成されている。
【0026】
コアパック10における素電池101a〜101lは、互いに同一の円筒形状の外観を有する。回路ユニット102は、平板状の基板本体1021を備え構成されており、基板本体は、Y−Z面に沿う状態でX軸方向手前で立設されている。そして、外部コネクタ1022は、基板本体1021のX軸方向手前側の主面に実装されている。
3.回路ユニット102の周辺部分の構成
電池パック1における回路ユニット102の周辺部分の構成について、図3を用い説明する。
【0027】
図3(a)に示すように、回路ユニット102の基板本体1021におけるZ軸方向下側の縁部には、5つのLED(Light Emitting Diode)1023a〜1023eと、押しボタンスイッチ1024が実装されている。LED1023a〜1023eは、各々がZ軸方向下向きに光出射出来るようになっており、第2ケース部材12における各窓部12aに対応した箇所に配置されている。
【0028】
押しボタンスイッチ1024は、押圧を受け付けるボタンがZ軸方向下向きに設けられており、ボタンに押圧を受けると、押しボタンスイッチ1024がON状態となり、電池容量の残量に応じた数のLED1023a〜1023eが点灯する。
図3(a)、(b)に示すように、基板本体1021と第2ケース部材12の内底面との間には、レンズ部材15が介挿されており、LED1023a〜1023eから出射された光を散光する。また、レンズ部材15の一部は、押しボタンスイッチ1024のZ軸方向下方まで延設されている。
【0029】
4.回路ユニット102とレンズ部材15およびパッド部材14との配置
電池パック1における回路ユニット102とレンズ部材15およびパッド部材14との配置について、図4を用い説明する。
図4に示すように、レンズ部材15における各レンズ部15a〜15eは、回路ユニット102における各LED1023a〜1023eに対応した箇所に設けられており、LED1023a〜1023eから出射された光はレンズ部材15の各レンズ部15a〜15eを通り外部へと出射される。
【0030】
レンズ部材15における押しボタンスイッチ1024のZ軸方向下方まで延設された部分(Y軸方向右側部分)では、押しボタンスイッチ1024におけるボタン部1024aに対応した箇所に、突起部15fが突設されている。突起部15fは、Z軸方向上向きに突設されている。
上述のように、本実施の形態に係る電池パック1では、レンズ部材15の一部が、パッド部材14に対してユーザから入力された押圧力を押しボタンスイッチ1024へと伝達する伝達部材としての機能も有する。即ち、パッド部材14をユーザが押圧した場合には、押圧力がレンズ部材14の一部を伝達し、突起部15fのZ軸方向上向きの可動により、押しボタンスイッチ1024のボタン部1024aが押圧される。
【0031】
5.第2ケース部材12へのレンズ部材15およびパッド部材14の取り付け
第2ケース部材12へのレンズ部材15およびパッド部材14の取り付けについて、図5を用い説明する。
図5(a)に示すように、第2ケース部材12の内側部分には、X軸方向手前側の側壁に沿って直方体形状の凹部12bが形成されている。第2ケース部材12の凹部12bには、その底面に沿うようにレンズ部材15が挿入される。このとき、図5(b)に示すように、レンズ部材15のY軸方向右側部分には、その裏面側にパッド部材14が接合されている。
【0032】
なお、図示を省略しているが、レンズ部材15を挿入した後において、第2ケース部材12の内側部分には、回路ユニット102を含むコアパック10が挿入される。このとき、回路ユニット102の基板本体1021とレンズ部材15とは、図3および図4に示すような位置関係となる。
6.レンズ部材15における押圧力の伝達に係る部分の構成
レンズ部材15における押圧力の伝達に係る部分の構成について、図6を用い説明する。
【0033】
図6に示すように、押しボタンスイッチ1024のボタン部1024aを実際に押圧する突起部15fは、Y軸方向に長い短冊状の可動部15gからZ軸方向上向きに突設されている。突起部15fの突設箇所は、可動部15gにおける面の中央部分(X軸方向およびY軸方向の中央部分)である。
また、可動部15gにおけるX軸方向に対向する2側辺のそれぞれからは、アーム部15iが延設されている。アーム部15iは、各側辺から延出した後、Z軸方向下向きに方向を変えるよう形成されている。
【0034】
2つのアーム部15iのそれぞれは、各先端において、Y軸方向に延伸形成されたビーム部15jに連続している。2つのビーム部15jのそれぞれは、X軸方向の幅に比べて、Y軸方向の長さが長い短冊形状をしており、パッド部材14(図6では、図示を省略)を介して可動部15gの裏面への押圧力によりZ軸方向に撓む。
各ビーム部15jは、その両側にスリット15h,15kが開けられることにより、ベース部15lに対してX軸方向で区画されている。各ビーム部15jは、上記のようにスリット15h,15kの形成により、ベース部15lに対して、その長手方向端部が支持され、両端支持された状態となっている。
【0035】
即ち、レンズ部材15の伝達部材部分においては、可動部15gの側周が、2つのアーム部15iが連続する部分を除き、ビーム部15jおよびベース部15lとの各間がスリット15hにより区画されており、ビーム部15jが、その両端部分を除き、ベース部15lとの間がスリット15kにより区画されている。
なお、レンズ部材15は、透光性樹脂材料から構成されており、押圧力を伝達する機能を有する部分を含め、一体形成されている。
【0036】
7.ユーザがパッド部材14を押圧した際のレンズ部材15の可動形態
ユーザがパッド部材14を押圧した際のレンズ部材15の可動形態について、図6および図7を用い説明する。
図6に示すように、レンズ部材15では、その可動部15gが、対向2辺のそれぞれから延設された2つのアーム部15iにより支持されている。そして、2つのアーム部15iは、それぞれが梁状のビーム部15jに接続されており、パッド部材14を介してユーザからの押圧力を受けた際に、当該押圧力に応じて当該ビーム部15jがZ軸方向上向きに撓む。即ち、レンズ部材15では、突起部15fが突設された可動部15gが、2つのビーム部15jの撓みにより、突起部15fの突設方向(Z軸方向上向き)に向けて平行に可動することとなり、円弧状に端辺95lが可動し、可動部95gが回転可動する従来技術の伝達部材95に対して、優れた操作性を確保できる。
【0037】
上述のように、図9の従来技術の伝達部材95では、基端部分Pを支点として自由端である端辺95lが円弧を描くように可動部95gが回転可動するため、ユーザが押圧する箇所により操作性が大きく異なる。
これに対して、図7に示すように、本実施の形態に係る電池パック1では、ユーザがA部分を押圧した場合でも、A部分を押圧した場合でも、可動部15gが2つのアーム部15iを介して2つのビーム部15jに両端支持され、ビーム部15jが突起部の突設方向に可動するので、可動部15gはX−Y面方向に平行な姿勢を保った状態で可動する。このため、電池パック1では、ユーザがA部分およびA部分を含む何れの部分を押圧しても、同様のクリック感が実現される。
【0038】
従って、本実施の形態に係る電池パック1では、押圧する箇所によりクリック感に差異が生ずることが抑制され、優れた操作性を有し高品質である。
[その他の事項]
上記実施の形態では、本発明に係る押しボタンスイッチ機構を、一例として、電池パック1のインジケータ用の構成として適用したが、本発明に係る押しボタンスイッチ機構は、電池パックのインジケータ用以外にも種々の電子機器に対して適用することができる。例えば、安定化電源装置における供給電力の電圧値や電流値を表示させる際に用いる押しボタンスイッチ機構として適用することもできる。また、車両における各種情報のモニタリングに際して用いられる押しボタンスイッチ機構としても適用することができる。
【0039】
また、上記実施の形態では、複数のLED1023a〜1023eを用いてインジケータを構成することとしたが、それ以外にも液晶パネルやELパネルなどの表示パネルを用いることもできる。
また、上記実施の形態に係る電池パック1では、12本の円筒形の素電池101a〜101lを備える構成としたが、素電池の数や種類は、これに限定されるものではない。例えば、角形の外観形状を有する電池や金属ラミネート外装を有する電池などを採用することもできる。素電池の数も1本でもよく、2本以上とすることもできる。
【0040】
また、上記実施の形態では、パッド部材14を介してレンズ部材15を押圧する構成としたが、パッド部材14の介挿は必須の要件ではない。
また、上記実施の形態では、レンズ部材15の一部に押圧力伝達機能を担わせることとしたが、レンズ部材とは別に押圧力伝達部材を設ける構成としてもよい。ただし、部品点数の削減という観点から、上記実施の形態のようにレンズ部材の一部構成とすることが望ましい。
【0041】
さらに、上記実施の形態では、第1ケース部材11と第2ケース部材12とにおいては、コアパック10とその他の部品とを隔離するために隔壁が設けられているが、この隔壁の肉厚を厚くすると、第1ケース部材11と第2ケース部材12の隔壁が接合されている部分の外表面に樹脂形成の収縮によるヒケが発生し易くなる。この対策として、図2の二点鎖線で囲む拡大図に示すように、隔壁を肉厚が比較的薄い2枚の隔壁要素121,122で構成するようにすれば(第1ケース部材11についても同様)、ヒケの発生を抑制することが可能となる。ここで、3枚以上の隔壁要素で隔壁を構成することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、押しボタンスイッチ機構を備える電子機器を実現する上で有用である。
【符号の説明】
【0043】
1.電池パック
10.コアパック
11.第1ケース部材
12.第2ケース部材
12a.窓部
12b.凹部
14.パッド部材
15.レンズ部材
15a〜15e.レンズ部
15f.突起部
15g.可動部
15h,15k.スリット
15i.アーム部
15j.ビーム部
15l.ベース部
101a〜101l.素電池
102.回路ユニット
121,122.隔壁要素
1021.基板
1022.外部コネクタ
1023a〜1023e.LED
1024.押しボタンスイッチ
1024a.ボタン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンへの押圧の有無によりオン・オフ状態の切り替えを行う押しボタンスイッチと、
ユーザからの押圧力を前記ボタンに伝達する伝達部材と
を備え、
前記伝達部材は、
平板状をし、一方の主面に前記ユーザからの押圧力を受け、他方の主面からその法線方向に突設した突起を有する可動部と、
前記可動部の対向する2辺のそれぞれから延設されたアーム部と、
前記2つのアーム部のそれぞれに連続し、前記2辺の各々に沿って延伸し、且つ、前記ユーザからの押圧力により前記ボタンの押圧方向に撓む撓み部と、
前記撓み部の各々に対し、その両端部分で連続し、当該撓み部を両端支持するベース部と、
を有し構成されており、
前記可動部の側周は、前記2つのアーム部を除き、前記撓み部および前記ベース部との各間がスリットにより区画されており、
前記撓み部は、前記両端部分を除き、前記ベース部との間がスリットにより区画されている
ことを特徴とする押しボタンスイッチ機構。
【請求項2】
前記アーム部は、前記可動部の対向する2辺のそれぞれにおける中央部分から延設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の押しボタンスイッチ機構。
【請求項3】
前記伝達部材における前記可動部は、前記撓み部が延伸する方向に沿った方向での長さが、これに直交する方向での幅よりも長い短冊状をしており、
前記突起は、前記撓み部が延伸する方向に沿った方向において、前記可動部の中央部分から突出している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押しボタンスイッチ機構。
【請求項4】
さらに、前記伝達部材における前記可動部の一方の主面に対し当接あるいは接合され、前記ユーザの押圧を受け付ける操作面を有する操作部材を備え、
前記操作部材は、前記撓み部が延伸する方向に沿った方向において、前記可動部と実質的に同じ長さを有する
ことを特徴とする請求項3に記載の押しボタンスイッチ機構。
【請求項5】
前記伝達部材は、前記可動部および前記アーム部および前記撓み部および前記ベース部を含み一体形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の押しボタンスイッチ機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかの押しボタンスイッチ機構を備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項7】
1または複数の素電池と、
前記1または複数の素電池の残容量に関するインジケータと、
を備え、
前記押しボタンスイッチ機構は、前記インジケータのオン・オフ制御に供される
ことを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記インジケータは、1または複数のLEDを有し構成されており、
前記伝達部材は、透光性材料からなり、前記LEDから出射される光が透過するレンズ部材の一部として構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234780(P2012−234780A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104619(P2011−104619)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】