説明

押しボタン及び操作パネル

【課題】良好な操作感を実現しつつ、接点と押しボタンの相対位置の設計を容易とする。
【解決手段】押しボタン40は、パネル面30Aに開口した収容枠31Aに嵌め込まれる押しボタン本体42の裏面に、押しボタン本体42が押し込まれたときに押しボタン本体42の裏側に離間して配置した基板14上の接点12Bに当接して切り換えするボス43、及び、押し込みに抗して押しボタン本体42を押し戻す一対のばね脚44を設け、ボス43を偏心した位置に立設し、一対のばね脚44の支点部44Aのそれぞれを、ボス43の立設位置による偏心を補う位置に配置した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン、この押しボタンを備えた操作パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載オーディオ装置やカーナビゲーション装置等の車載用機器では、装置本体の正面に操作パネルを備え、この操作パネルに複数の押しボタンを配置し、各押しボタンを押して当該押しボタン裏側に配置した基板上の接点を押圧可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の車載用機器に採用されている押しボタンについて簡単に説明すると、押しボタン53は、図8A〜図8Cに示すように、基板51上に接点52を設け、この接点52を押動可能に押しボタン53を配置して構成される。この押しボタン53は、上縁部に結合した略U字形状のヒンジ54を備え、このヒンジ54の両端に張り出した2カ所のヒンジ支持部54A,54Bをパネル55の位置決め穴55Aに嵌合し、押しボタン53を図5Aの矢印X方向に押すことで、上縁部のヒンジ54を支点として回動し、基板51上の接点52を押動かつ切換可能に構成されている(いわゆる、片側支点、片側ヒンジの構造)。
【特許文献1】実開平4−78730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の押しボタン53は、上縁部のヒンジ54を支点として回動する構成としているため、例えば、押しボタン53の上縁部を押下したときと下縁部を押下したときとではヒンジ54(支点)と操作点(作用点)までの距離が異なることから、押下操作する指に与える力(操作感)が異なる、といった問題がある。
【0004】
さらに、従来の押しボタン53は、接点52までの離間距離が大きい場合には次ぎのような問題があった。
すなわち、押しボタン53の裏面側に接点を押すボスを設けた場合、押下操作のヒンジ54を支点とした回動に伴って、ボスの先端部が円弧を描きながら移動するため、接点をボスの直下からずれた位置に設ける必要があり設計が煩雑である、といった問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、良好な操作感を実現しつつ、接点と押しボタンの相対位置の設計が容易な押しボタン及び操作パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、パネル面に開口した収容枠に嵌め込まれる押しボタン本体の裏面に、前記押しボタン本体が押し込まれたときに前記押しボタン本体の裏側に離間して配置した基板上の接点に当接して切り換えするボス、及び、前記押し込みに抗して前記押しボタン本体を押し戻す一対のばね脚を設け、前記ボスを偏心した位置に立設し、前記一対のばね脚の支点のそれぞれを、前記ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したことを特徴とする押しボタンを提供する。
【0007】
本発明の押しボタンによれば、押しボタン本体の裏面側に、ボスを偏心した位置に立設し、一対のばね脚の支点のそれぞれを、前記ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したため、押しボタン本体の押下位置にかかわらず、押下操作する指に対して与える力が略一様となるから、良好な操作感が得られる。
さらに、ばね力をヒンジで得るのではなく、ばね脚により実現しているため、押下操作時に押しボタン本体が回動することなく、押し込みの力の方向に沿って直線的に移動することから、接点の配置位置とボスの先端部との位置関係の設計が容易となる。
これに加え、ボスにより接点を押下する構成であるため、接点の先端部を延ばす必要が無いことから、着脱自在な操作パネル(DCP)を構成した場合でも、延びた接点が露出することが無い。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の押しボタン本体を有し、前記押しボタン本体に裏側から光を照射し、前記押しボタン本体に設けた光透過式表示部を光らせる操作パネルにおいて、前記押しボタン本体のそれぞれは、前記操作パネルのパネル面に開口した収容枠に嵌め込まれ、前記押しボタン本体の裏面に、前記押しボタン本体が押し込まれたときに前記押しボタン本体の裏側に離間して配置した基板上の接点に当接して切り換えするボス、及び、前記押し込みに抗して前記押しボタン本体を押し戻す一対のばね脚を設け、前記ボスを前記押しボタン本体の光透過式表示部を避けるように偏心した位置に立設し、前記一対のばね脚の支点のそれぞれを、前記ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したことを特徴とする操作パネルを提供する。
【0009】
本発明の操作パネルによれば、上述した本発明の押しボタンと同等の効果が得られる。
これに加え、本発明の操作パネルによれば、ボスが偏心した位置に立設されているため、光透過式表示部を押しボタン本体の中心位置に設けることが可能となる。
【0010】
また本発明は、上記操作パネルにおいて、前記押しボタン本体の裏側に、前記押しボタン本体の押下時に前記収容枠の側面を摺動し前記押しボタン本体の押し込み方向を前記ボスの延在方向に案内するガイド面を有したガイド部材を備え、前記ガイド部材のガイド面が前記光透過式表示部の周囲を囲むと共に、前記押しボタン本体の非押下位置において前記ガイド部材のガイド面が前記収容枠の側面と連続することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ガイド部材が押しボタン本体の押し込み方向をボスの延在方向に規制さするため、接点の配置位置をボスの直下に決めることが可能となり設計が非常に容易となる。
さらに、ガイド部材のガイド面が、光透過式表示部の周囲を囲んで遮光するため、押しボタン本体を収容する収容枠の隙間からの光漏れが防止される。特に、押しボタン本体が押しこまれていない状態においては、収容枠が押しボタン本体の裏面から離れた位置にあると、押しボタン本体と収容枠の間の隙間から光漏れが生じることがあるが、押しボタン本体が押しこまれていない状態においても、ガイド部材のガイド面が収容枠の側面と連続するため、このような光漏れも防止することができる。
このように、光透過式表示部以外から漏れる光を遮光することで、光透過式表示部による表示の意匠性を高めることができる。
【0012】
また本発明は、上記操作パネルにおいて、前記押しボタン本体に、前記ガイド部材と前記収容枠との間の摺動面を覆う覆い部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、寸法公差によりガイド部材と収容枠との間に生じた僅かな隙間から漏れる光を覆い部により遮光することができる。
【0013】
また本発明は、上記操作パネルにおいて、前記押しボタン本体及び前記ガイド部材を光遮光性材により形成し、或いは、前記押しボタン本体及び前記ガイド部材に遮光材を塗布したことを特徴とする。
この構成によれば、押しボタン本体及びガイド部材を透過して外に漏れる光を遮光することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボスを偏心した位置に立設し、一対のばね脚の支点のそれぞれを、ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したことにより、良好な操作感を実現しつつ、接点と押しボタンの相対位置の設計が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車載用機器の一例たる車載用情報機器を示す斜視図である。車載用情報機器1は、カーナビゲーションシステム、DVD再生システム、地上デジタルTV等の機能を有する機器であり、自動車のインストルメントパネル(不図示)に取り付けられ、装置本体10と、この装置本体10から引き出し可能に設けられた画像表示パネル部20と、装置本体10の前面であって、画像表示パネル部20の下側に着脱可能に取り付けられた操作パネル30とを備えている。
【0016】
装置本体10は、その外側部分が板金加工によって形成された略直方体の形状をなしており、いわゆる1DINサイズ(縦50mm×横178mm)の大きさに形成されている。すなわち、インストルメントパネルの表面積が狭いものであっても、取り付け可能な大きさに形成されている。
この装置本体10の内部には、図示は省略するが、上述したカーナビゲーションシステム等の機能を発揮するための機器が搭載される他、例えば、携帯電話とBluetooth(登録商標)を用いて無線通信することができるハンズフリー通話を可能とした情報通信機器などが搭載されている。ハンズフリー通話とは、例えば、ナビゲーション画面のタッチパネルによって携帯電話の電話番号をダイレクトに入力し、携帯電話の電話帳とのデータ交換を可能にしたものである。
【0017】
画像表示パネル部20は、所定の厚みを有する略平板状に形成されており、一方の平面には、液晶表示画面21が設けられている。この画像表示パネル部20は、車載用情報機器1が使用されるときには、装置本体10に収容されていた画像表示パネル部20が液晶表示画面21を下側に向けた姿勢のまま手前側に引き出された後、装置本体10の上面側に向けて回動して立ち上がり、液晶表示画面21をユーザ側に向けた状態となる。すなわち、液晶表示画面21は、装置本体10よりも手前側に位置するようになっている。また、画像表示パネル部20を収納するときは、その逆の動作により収納される。
【0018】
また、画像表示パネル部20の引き出し方向における先端部20aには、無線通信を行うためのBluetooth(登録商標)等のアンテナ(不図示)が配置されている。この構成により、画像表示パネル部20を引き出した状態であっても収納した状態であっても無線通信用のアンテナ(不図示)が車室内に向けられるようになる。
【0019】
操作パネル30は、意匠性を考慮したデザインが取り入れられており、この操作パネル30の表面(パネル面)30Aには、車載用情報機器1の各種機能を操作可能な複数(本実施の形態では、10個)の押しボタン40が配列されている。また、操作パネル30の左側には、画像表示パネル部20を引き出すための引き出しボタン22が配置されている。ユーザがこの引き出しボタン22を押圧操作すると、装置本体10の内部に設けられた駆動機構(不図示)が作動し、画像表示パネル部20の上述した一連の引き出し動作が自動的に行われるようになっている。
【0020】
操作パネル30は、パネル面30Aが引き出して立ち上げた画像表示パネル部20の液晶表示画面21と略同等に装置本体10よりも手前側に位置するように、所定の厚さDを有して形成される。このため、画像表示パネル部20を引き出して立ち上げた状態でも、ユーザが押しボタン40を押しやすくなっている。
また上記所定の厚さDは、画像表示パネル部20を装置本体10に収容したときに、その先端部20aと操作パネル30とが面一になる厚さでもある。上述のように、画像表示パネル部20の先端部20aには、無線通信のためのアンテナが配設されているため、装置本体10の筐体を構成する金属部分に対して離間距離を設けてアンテナ感度を維持する必要がある。このことから、画像表示パネル部20を装置本体10に収容したときに、その先端部20aが上記厚さDだけ装置本体10から突出するように構成されており、この厚さDに合わせて操作パネル30の厚みが決定される。
【0021】
この操作パネル30は、装置本体10の正面から着脱自在に構成された、いわゆるDCPとして構成されている。
図2は、操作パネル30が非装着状態の装置本体10を示す模式図である。なお、同図においては、操作パネル30に係る構成のみを示し、画像表示パネル部20等の記載は省略している。
装置本体10の正面には、操作パネル30に配設された押しボタン40の操作を受ける表面パネル11が設けられている。この表面パネル11の裏側には基板14(図5)が配設され、この基板14の上に複数の押下接点切換式のスイッチ12(図5)が設けられている。図2に示すように、表面パネル11には、各スイッチ12の対向位置に、スイッチ12を押圧できるようにスイッチ孔11Aが設けられている。
このように、基板14やスイッチ12等を操作パネル30ではなく装置本体10側に設ける構成を採ることにより、操作パネル30側には、回路基板やコネクタ等を設ける必要がなく、操作パネル30を落下させてしまったとしても、接触不良などに起因する不具合が生じることがない。
【0022】
図2に示すように、装置本体10の表面パネル11の両端には、光源を構成する一対のLED13A、13Bが設けられている。それぞれのLED13A、13Bは、操作パネル30の両側から光りを入射するように対向配置されている。LED13A、13Bから操作パネル30に入射した光は、当該操作パネル30に内部を導光し、押しボタン40の発光に供される。以下、かかる操作パネル30の構成について詳述する。
【0023】
図3は、操作パネル30の分解斜視図である。
操作パネル30は、ケース体を構成する前側筐体部31及び後側筐体部32と、これら前側筐体部31及び後側筐体部32からなるケース体に収容された導光体33と、前側筐体部31に一列に配列された10個の押しボタン40と、を備えている。各押しボタン40の操作面には、文字41(記号や図形や等でも良い)が設けられている。押しボタン40にあっては、文字41の箇所のみが押しボタン40の裏面側から正面側に光を透過するように構成されており、これにより光透過式表示部が構成している。
【0024】
操作パネル30の上記の各部材は、全て樹脂等の非金属材料で形成されており、また、基板14やスイッチ12等の電気回路部品が装置本体10側に設けられているため、操作パネル30には金属材料が含まれていない。すなわち、上述の通り、画像表示パネル部20を装置本体10に収容したときに、操作パネル30が画像表示パネル部20の先端部20aの直下に位置することとなるが、この操作パネル30が金属材料を含まない構成であるため、画像表示パネル部20の先端部20aに配設されたアンテナの受信感度を阻害することが無い。
【0025】
前側筐体部31のパネル面30Aには、収容枠31Aとしての10個の開口が形成されており、各収容枠31Aに押しボタン40が正面側から嵌め込まれている。
後側筐体部32には、各押しボタン40に対応して突出孔32Aが開口し、押しボタン40の裏面側に立設されたボス43(図4)が貫通している。また、後側筐体部32の両端には、装置本体10に設けられたLED13A、13B(図2)の発光を内部に導入するための一対の導光孔34A、34Bが設けられている。
これら前側筐体部31及び後側筐体部32は、光遮光性材により形成され、或いは、少なくとも前側筐体部31の収容枠31Aには光の透過を防止する遮光材が塗布されている。
【0026】
導光体33は、前側筐体部31と後側筐体部32の間に配置され、後側筐体部32の左側の導光孔34Aから導入された光を導光する板状の左導光パーツ133と、右側の導光孔34Bから導入された光を導光する板状の右導光パーツ133とを備えている。左及び右導光パーツ133、134のそれぞれは、端部133A、134Aが光入射面として形成され、押しボタン40の配列方向に沿って光を導くように延在する。本実施形態では、一列に配列された押しボタン40のうち、左から数えて所定数の押しボタン40には左導光パーツ133が光りを導き、残りの押しボタン40には右導光パーツ133が光りを導くように構成している。
【0027】
また、左及び右導光パーツ133、134のそれぞれには、各押しボタン本体42に裏側から照射し、押しボタン本体42に設けた文字41を光らせることができるよう、各押しボタン40に対応した位置に図示しない反射板が設けられている。さらに、左及び右導光パーツ133、134のそれぞれには、突出孔32Aに対応して、後述するボス43を支持する支持部33Aが設けられている。
これらの左及び右導光パーツ133、134は、前側筐体部31と後側筐体部32の間に嵌合されて、これら前側筐体部31、後側筐体部32、および導光体33が互いにパットスクリュー35でねじ止めされることにより、操作パネル30が形成されている。
【0028】
図4は、押しボタン40を裏側から示す斜視図である。
この押しボタン40は、ユーザによって直接押圧操作される押しボタン本体42と、スイッチ12(図2)に当接して切り換えする円柱状のボス43と、押し込みに抗して押しボタン本体42を押し戻す一対のばね脚44と、押しボタン本体42の押し込み方向をボス43の延在方向に案内するためのガイド部材45とを備えている。
【0029】
押しボタン本体42は、ユーザの指で確実に押圧することができる程度の大きさに板状に形成され、略中心に形成された文字41を除いて、光遮光性材により形成され、或いは、遮光材を塗布されている。
ボス43は押しボタン本体42の略中心に形成された文字41を避けて、押しボタン本体42の中心を避けて下縁側42A側にずれるように偏心した位置に一体に設けられる。
【0030】
ばね脚44は、弾性を有するポリカーボネート等の樹脂材料から形成されており、押しボタン本体42の上縁側42B側に連結された支点部44Aを有し、この支点部44Aから押しボタン本体42の裏面に略平行に下縁側42Aに延びた後、Uターンするように屈曲して上縁側42Bに延びたU字形状に構成されている。
かかる構成の一対のばね脚44の支点部44Aは、ボス43の立設位置の偏心を補うように、ボス43の反対側、すなわち上縁側42Bの左右両側にそれぞれ設けられる。また、ばね脚44は、押しボタン40の幅内に収まるよう形成され、正面側から視認されないようになされている。
ガイド部材45は、文字41の周囲を囲むとともに、押しボタン本体42に覆い部42Cを形成するように、押しボタン本体42の外形よりも小さい外形を有する略角筒型に形成され、押しボタン本体42に対して垂直に設けられる。ガイド部材45は、例えば、光遮光性材により形成され、或いは、遮光材を塗布されている。また、上縁側42B側および下縁側42A側のガイド部材45には、所定の幅Wを有する略四角形状に形成される一対の爪孔45Aが設けられている。
【0031】
図5は、操作パネル30が装置本体10に装着された状態を示す断面図である。
図6及び図7は、操作パネルの断面図である。
前側筐体部31の収容枠31Aは、その内側面が垂直に形成され、押しボタン40のガイド部材45の側面が摺接することで、押下操作時に押しボタン本体42を垂直(ボス43の延在方向)に移動させる。この収容枠31Aの左右には、押しボタン40のU字状のばね脚44を受けるばね脚溝31Bが一体に形成され、この溝構造により、左右方向のばね脚44のがたつきを抑制している。また、ばね脚溝31Bは、図6に示すように、ばね脚44の裏側面44B全体を保持する。また、ばね脚溝31Bには、押しボタン40の押下操作時に、押しボタン本体42の裏面に当接する肩部131が形成されており、この肩部131が押しボタン40の押動限界位置を規定している。
【0032】
また、収容枠31Aには、図7に示すように、ガイド部材45の爪孔45Aに対応する位置に一対の爪31Cが設けられている。
すなわち、本実施形態の押しボタン40は、前掲図3に示すように、前側筐体部31の正面側から収容枠31Aに挿し込み、押しボタン40のばね脚44を収容枠31Aのばね脚溝31Bに嵌め込むと共に、上記爪31Cを爪孔45Aに引掛けて取り付けられる。
【0033】
上記爪31Cは、押しボタン本体42が押されていない場合、押しボタン本体42の前面と前側筐体部31の前面とがほぼ面一になるように、ばね脚44(図6)の弾性力によって爪孔45Aに係止されている。
また、爪孔45Aは、押しボタン本体42が押し込まれた場合、爪31Cが爪孔45A内を水平方向に移動できるよう、所定の幅Wを有して形成されている。
図5に示すように、取り付け時には、押しボタン本体42の裏側に一体に形成されたボス43が後側筐体部32に形成された突出孔32Aに挿入され、押下操作に伴って、装置本体10に向けて突出可能になっている。
【0034】
操作パネル30が装置本体10に装着されると、突出孔32Aから突出自在になされたボス43の先端43Aが、装置本体10の表面パネル11に設けられたスイッチ孔11Aに対向配置され、押しボタン40の押下操作時には、このスイッチ孔11Aからボス43の先端43Aが進入可能になされている。
表面パネル11の裏側には、スイッチ孔11Aに対向して、インナースイッチ12Aおよび接点12Bを備えるスイッチ12が配置されている。このインナースイッチ12Aは、弾性を有するポリカーボネート等の樹脂材料を用いて形成され、ボス43と接点12Bとの間に配置されてクッションの役割をし、ボス43とインナースイッチ12Aは互いにすべりやすく形成されている。接点12Bは制御用の基板14に取り付けられ、接点12Bが開閉することで、押しボタン40による選択が実行される。
【0035】
上述の通り、導光体33には、各押しボタン40に対応した位置に図示しない反射板が設けられており、図5に示すように、この反射板による反射によりガイド部材45および収容枠31Aに囲われる範囲が照明範囲Aとなる。
ここで、押しボタン40の非押下時状態においては、図5に示すように、押しボタン本体42の裏面が収容枠31Aの上面から離れた状態で保持されているため、何ら対策を施さなければ、押しボタン本体42の裏面と収容枠31Aとの間の隙間から光が漏れることとなる。
これに対して、本実施形態では、押しボタン40の非押下時状態において、図5に示すように、ガイド部材45のガイド面たる側面が収容枠31Aの側面と連続する構成となっているため、押しボタン本体42の裏面と収容枠31Aとの間の隙間がガイド部材45によって遮られ、この隙間からの光漏れが防止される。
【0036】
次に、押しボタン40がスイッチ12を押す動作について説明する。
ユーザの指により押しボタン本体42が押されると、ガイド部材45の側面(ガイド面)が収容枠31Aの内側面を摺動することで押しボタン本体42が垂直に移動する(ボス43の延在方向に案内される)。これに伴って、ボス43は、導光体33の支持部33Aおよび後側筐体部32の突出孔32Aに支持されながら垂直方向に移動し、その先端43Aがインナースイッチ12Aを押し、インナースイッチ12Aがクッションになるとともに、その下の接点12Bを押して接点12Bを開閉する。
【0037】
この場合、ばね脚44は、ばね脚溝31Bに保持されているため、ばね脚44の弾性力によって押し込みに抗して押しボタン本体42を押し戻す。また、上述したように、ボス43とインナースイッチ12Aとの接面は滑りやすくなっているため、ボス43がインナースイッチ12Aに固着するようなことはなく、押下操作の終了に伴って押しボタン本体42は元の位置に復帰する。
【0038】
次に、文字41が光る作用について説明する。
LED13A、13Bからの光は、導光孔34A、34Bから導光体33に導入され、各押しボタン40に対応して導光体33に設けられた反射板(不図示)により各押しボタン本体42の裏側へ反射される。反射した光は、遮光処理が施されたガイド部材45および収容枠31Aによって区画された照明範囲Aに導かれ、押しボタン本体42は文字41を除いて遮光処理が施されているので、押しボタン本体42に設けられた文字41だけから操作パネル30の外側へ透過し、これにより、文字41が光る。
【0039】
特に、車載用情報機器1では、ガイド部材45と収容枠31Aとの隙間から漏れるかすかな光は、ガイド部材45と収容枠31Aとの隙間を覆うように押しボタン本体42に設けられた覆い部42Cに遮られ、押しボタン本体42と押しボタン本体42との隙間δ1(図5)や、パネル面30Aと押しボタン本体42との隙間δ2(図7)に光が到達せず、光漏れが防止されることとなる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、押しボタン本体42の裏面側に、ボス43を偏心した位置に立設し、一対のばね脚44の支点部44Aのそれぞれを、ボス43の立設位置による偏心を補う位置に配置したため、押しボタン本体42の押下位置にかかわらず、押下操作する指に対して与える力が略一様となるから、良好な操作感が得られる。
さらに、ばね力をヒンジで得るのではなく、収容枠31Aの上面(より正確にはばね脚溝31B)で受けられるばね脚44により実現しているため、押下操作時に押しボタン本体42が回動することなく、押し込みの力の方向に沿って直線的に移動することから、接点たるスイッチ12の配置位置とボス43の先端部との位置関係の設計が容易となる。
これに加え、本実施形態によれば、ボス43が偏心した位置に立設されているため、光透過式表示部たる文字41を押しボタン本体42の中心位置に設けることが可能となる。
【0041】
また本実施形態によれば、ガイド部材45が押しボタン本体42の押し込み方向をボス43の延在方向に規制さするため、接点たるスイッチ12の配置位置をボス43の直下に決めることが可能となり設計が非常に容易となる。
さらに、ガイド部材45の側面たるガイド面が、文字41の周囲を囲んで遮光するため、押しボタン本体42を収容する収容枠31Aの隙間からの光漏れが防止される。特に、押しボタン本体が押しこまれていない状態においては、収容枠31Aが押しボタン本体42の裏面から離れた位置にあるため、押しボタン本体42と収容枠31Aの間の隙間から光漏れが生じることがあるが、押しボタン本体が押しこまれていない状態においても、ガイド部材45のガイド面が収容枠31Aの側面と連続するため、このような光漏れも防止することができる。
【0042】
また本実施形態によれば、押しボタン本体42に、ガイド部材45と収容枠31Aとの間の摺動面を覆う覆い部42Cを設けたため、寸法公差によりガイド部材45と収容枠31Aとの間に生じた僅かな隙間から漏れる光を覆い部により遮光することができる。
【0043】
また本実施形態によれば、押しボタン本体42及びガイド部材45を光遮光性材により形成し、或いは、押しボタン本体42及びガイド部材45に遮光材を塗布したため、押しボタン本体42又はガイド部材45を透過して外に漏れる光を遮光することができる。
【0044】
また本実施形態によれば、DCPとしての操作パネル30において、スイッチ12や基板14等の電気部品を装置本体10側に設け、操作パネル30には、押しボタン40のみを配設すると共に、操作パネル30を非金属製材から構成した。
この構成によれば、操作パネル30を誤って落とす等して多少の衝撃が与えられても、接触不良などに起因する不具合が生じることがなく、また、操作パネル30の近傍にアンテナ等が配置されてもアンテナの受信特性に影響を及ぼすことが無い。
【0045】
また、車載用情報機器1は、運転席のインストルメントパネルのような狭隘な部位に取り付けられるため、一般的にコンパクト化が図られる。従って、1つ1つの押しボタンの大きさにも制限が生じ、操作性良好なことが重要である。すなわち、パネル面30Aの裏側から押しボタンを収容枠31Aに取り付ける構成であると、収容枠31Aの裏側に押しボタン本体の縁部を掛止させる構成となるため、押しボタンの一部が収容枠31Aに隠れてしまい操作面が狭く、操作しにくい。
これに対して、本実施形態の押しボタン40は、図3に示すように、正面側から収容枠31Aに挿し込んで取り付ける構成(いわゆる前刺し式の操作ボタン)であるため、収容枠31Aを押しボタン40の操作面で覆うことが可能となり、従来のものよりも、操作面を広くすることが可能となる。
【0046】
なお、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載用情報機器を示す斜視図である。
【図2】操作パネルが非装着状態の装置本体を示す模式図である。
【図3】操作パネルの分解斜視図である。
【図4】押しボタンを裏側から示す斜視図である。
【図5】操作パネルが装置本体に装着された状態を示す断面図である。
【図6】操作パネルの断面図である。
【図7】操作パネルの断面図である。
【図8】従来の押しボタンを説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車載用情報機器
10 装置本体
12B 接点
14 基板
30 操作パネル
30A パネル面
31A 収容枠
40 押しボタン
42 押しボタン本体
41 文字(光透過式表示部)
43 ボス
44 ばね脚
44A 支点部
45 ガイド部材
42C 覆い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面に開口した収容枠に嵌め込まれる押しボタン本体の裏面に、
前記押しボタン本体が押し込まれたときに前記押しボタン本体の裏側に離間して配置した基板上の接点に当接して切り換えするボス、及び、前記押し込みに抗して前記押しボタン本体を押し戻す一対のばね脚を設け、
前記ボスを偏心した位置に立設し、前記一対のばね脚の支点のそれぞれを、前記ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したことを特徴とする押しボタン。
【請求項2】
複数の押しボタン本体を有し、前記押しボタン本体に裏側から光を照射し、前記押しボタン本体に設けた光透過式表示部を光らせる操作パネルにおいて、
前記押しボタン本体のそれぞれは、前記操作パネルのパネル面に開口した収容枠に嵌め込まれ、
前記押しボタン本体の裏面に、前記押しボタン本体が押し込まれたときに前記押しボタン本体の裏側に離間して配置した基板上の接点に当接して切り換えするボス、及び、前記押し込みに抗して前記押しボタン本体を押し戻す一対のばね脚を設け、
前記ボスを前記押しボタン本体の光透過式表示部を避けるように偏心した位置に立設し、前記一対のばね脚の支点のそれぞれを、前記ボスの立設位置による偏心を補う位置に配置したことを特徴とする操作パネル。
【請求項3】
請求項2に記載の操作パネルにおいて、
前記押しボタン本体の裏側に、前記押しボタン本体の押下時に前記収容枠の側面を摺動し前記押しボタン本体の押し込み方向を前記ボスの延在方向に案内するガイド面を有したガイド部材を備え、
前記ガイド部材のガイド面が前記光透過式表示部の周囲を囲むと共に、前記押しボタン本体の非押下位置において前記ガイド部材のガイド面が前記収容枠の側面と連続することを特徴とする操作パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の操作パネルにおいて、
前記押しボタン本体に、前記ガイド部材と前記収容枠との間の摺動面を覆う覆い部を設けたことを特徴とする操作パネル。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の操作パネルにおいて、
前記押しボタン本体及び前記ガイド部材を光遮光性材により形成し、或いは、前記押しボタン本体及び前記ガイド部材に遮光材を塗布したことを特徴とする操作パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−199843(P2009−199843A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39530(P2008−39530)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】