説明

押ボタンスイッチ、及び押ボタンスイッチを備えた時計又は電子機器

【課題】 簡単な構成で確実にクリック感を得ることができる押ボタンスイッチを提供すること。
【解決手段】 押ボタンスイッチは、先端部1aの端面をスイッチ接触部とし且つ後端部1bに押ボタン2が固着された導電性操作軸1と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられたドーム状金属板の導電性クリックばね3と、第1電極面4aと第2電極面4bとを有するスイッチ部4とで構成されている。第1電極面4aは導電性操作軸1のスイッチ接触面に対向して、第2電極面4bはドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aに対向して基板6の表面にそれぞれ形成されている。導電性操作軸1の先端部1aの近くには、抜け止め用Eリング10が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者がボタンを押圧してスイッチをオン・オフさせる押ボタンスイッチ及びこれを備えた時計又は電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
クリック感を得ることができるスイッチは、時計や電子機器などに広く採用されており、従来から様々な構成のものが知られている。
【0003】
特開平11−109057号公報(特許文献1)には、時計ケースの側面に配置されてクリック感を得ることができる押ボタンスイッチが開示されている。即ち、この押ボタンスイッチは、先端部の端面をスイッチ接触部とし且つ後端部に押ボタンが固着された操作軸と、前記操作軸を案内するパイプと、前記時計ケースに穿設されて前記パイプが嵌め込まれる案内用貫通穴と、スイッチ部と、スイッチの非操作時には前記スイッチ接触部が前記スイッチ部から離間する方向に前記操作軸を付勢する圧縮ばねと、前記操作軸に形成した環状溝に嵌め込まれた防水用パッキンと、前記操作軸の先端部近くに形成された環状溝に嵌め込まれた抜け止め用Oリングとで構成された押ボタンスイッチにおいて、前記操作軸に形成した第2の環状溝に嵌め込んだクリック発生用パッキンと前記パイプに形成したクリック溝とでクリック感を得るようにしたことを特徴とするものである。
【0004】
この押ボタンスイッチは確実なクリックの発生が確保されているが、前記パイプに特殊なクリック溝を形成しなければならないこと、及び、クリック発生用パッキンという特殊なパッキンを用いなければならないことから、製造コストが高くなるという問題がある。また、クリックを発生させるストロークとスイッチをオンにするストロークを一致させるための面倒な微調整を設計段階で行わなければならないという問題もある。
【0005】
特開2001−184983号公報(特許文献2)には、スイッチ接点を設けたスイッチ部材と、前記スイッチ部材上に接地され且つヒンジを介して前記スイッチ接点を押圧する押圧部を設けたケースと、前記押圧部の上に配置されるキートップとを具備し、前記ケースは、前記押圧部が前記スイッチ接点をオンしない程度にスイッチ接点の上部を押圧した状態で前記スイッチ部材上に配置されていることを特徴とするスイッチ機構であって、前記スイッチ部材を合成樹脂フィルム製のフレキシブル基板と2枚のドーム形状の弾性金属板からなるクリック板と取付部材とを備えて構成したスイッチ機構が開示されている。
【0006】
この押ボタンスイッチ機構はキートップの各方向のガタを確実に無くするものであり、クリック確実なクリックの発生が確保されているが、前記スイッチ部材を合成樹脂フィルム製のフレキシブル基板と2枚のドーム形状の弾性金属板からなるクリック板と取付部材とを備えて構成しなければならないので、構成が複雑でありコストも高くなるという問題がある。
【0007】
特開平5−74266号公報(特許文献3)には、一対の櫛歯上電極回路が形成されたプリント配線回路導体と、前記プリント配線回路導体上に積層された絶縁膜であって、前記櫛歯上電極回路に整合する位置にくりぬかれた開口部を有する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置されたバネ製が強いドーム状の導電性金属からなるクリックバネを備えたクリックアクションスイッチが開示されている。スイッチの非操作時には、前記導電性クリックばねはその周縁部は前記絶縁層と当接しているが、前記一対の櫛歯上電極回路とは離間している。そして、スイッチの操作時には、前記導電性クリックばねは図示しない押ボタンで前記スイッチ部の方に押圧され、そのドームの頂上がへこみ、許容荷重を超えたときにクリックを生じさせ、その後に前記導電性クリックばねの頂上の裏面を前記一対の櫛歯上電極回路に接触させる。これによって前記前記一対の櫛歯上電極回路は前記導電性クリックばねによって短絡され、スイッチはオンとなる。
【0008】
このクリックアクションスイッチは構成が簡単であるが、ベースフィルム上に設けられたプリント回路基板が用いられない装置には適用できないという問題がある。
【0009】
更に、従来のクリック感を得られるスイッチとしては、図7に示す押ボタンスイッチがある。この押ボタンスイッチは、先端部1aをスイッチ操作端とし且つ後端部1bに押ボタン2が固着された操作軸1と、ケース5に穿設されて操作軸1を案内する案内用貫通穴5aと、基板6側に形成されたスイッチパターンの電極面4cとベース電位面4dに一端が固定されたカンチレバー型スイッチバネ4eとを有するスイッチ部4と、スイッチの非操作時にはスイッチ操作端1aがスイッチ部4から離間する方向に操作軸1を付勢する圧縮ばね8と、操作軸1に形成した環状溝1cに嵌め込まれた防水用パッキン9と、操作軸1の先端部近くに取り付けられて圧縮ばね8の付勢力によって操作軸1が案内用貫通穴1dから抜けることを防止する抜け止め用Eリング10と、クリックばね11とで構成された押ボタンスイッチである。クリックばね11は案内用貫通穴5aの上部開口に連通してケース1に設けられている円筒形のクリックばね収納部5dに配置されている。操作軸1は、後端側の大径部と先端部の小径部に略二分されて、段部1eが形成されている。そしてクリックばね11は、その中心部の係合穴が操作軸1の段部1eに係合するよう配置されている。
【0010】
この押ボタンスイッチは、カンチレバー型スイッチバネ4dとクリックばね11の別部品の2個のばねが用いられている。このため、クリックを発生させるストロークとスイッチをオンにするストロークを一致させるための面倒な微調整を設計段階で行わなければならないという問題がある。また、クリックばね11を配置するための大径の円筒部をケース1に形成しなければならないこと、及び操作軸1をストレートの円柱でなく段部1eを有する円柱部品としなければならないので製造コストも高くなるという問題がある。更にまた、スイッチ部4は基板6側に形成されたスイッチパターンの電極面4cとベース電位面4dに一端が固定されたカンチレバー型スイッチバネ4eとを有するものであるから、部品点数が多く、これもコスト高の原因になっている。
【特許文献1】特開平11−109057号公報
【特許文献2】特開平5−74266号公報
【特許文献3】特開2001−184983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構成で確実にクリック感を得ることができる押ボタンスイッチ、及びこれを備えた時計又は電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するクリック感を得ることができる押ボタンスイッチを、先端部の端面をスイッチ接触部とし且つ後端部に押ボタンが固着された導電性操作軸と、前記導電性操作軸の先端部近くに取り付けられたドーム状の導電性クリックばねと、前記導電性操作軸のスイッチ接触面に対向して基板の表面に形成された第1電極面と前記ドーム状の導電性クリックばねの周縁部に対向して基板の表面に形成された第2電極面とを有するスイッチ部とで構成した。このような構成によって、押ボタンを押してスイッチが操作されたときには、前記第1電極面と第2電極面は前記導電性クリックばねと前記導電性操作軸とによって短絡されるからスイッチはオンになり、同時に前記クリックばねは確実にクリックを発生する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、部品点数を減少させると共に加工が容易、構成が簡単で、しかも確実にクリック感を得ることができる押ボタンスイッチであって、ストップウオッチ、競技用時計、多機能時計、又は各種の電子機器に適用できる押ボタンスイッチが提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、先端部の端面をスイッチ接触部とし且つ後端部に押ボタンが固着された導電性操作軸と、ケースに穿設されて前記操作軸を案内する案内用貫通穴と、基板側に形成された第1電極面と第2電極面とを有するスイッチ部と、スイッチの非操作時には前記スイッチ接触部が前記スイッチ面から離間する方向に前記導電性操作軸を付勢する圧縮ばねと、前記操作軸に形成した環状溝に嵌め込まれた防水用パッキンと、前記導電性操作軸の先端部近くに取り付けられて前記圧縮ばねの付勢力によって前記導電性操作軸が前記案内用貫通穴から抜けることを防止する抜け止め用部材とで構成された押ボタンスイッチにおいて、
前記導電性操作軸の先端部近くに導電性クリックばねを取り付け、且つ、スイッチの操作時に前記導電性クリックばねの周縁部が前記第2電極面と当接し且つ前記導電性クリックばねが許容荷重を超えて一気に荷重が下がった状態に達した後に前記スイッチ接触部が前記第1電極面に当接するように前記スイッチ部を構成したことを特徴とする押ボタンスイッチである。
【実施例1】
【0015】
実施例1の押ボタンスイッチは、図1から図3に示す如く、先端部1aの端面をスイッチ接触部とし且つ後端部1bに押ボタン2が固着された導電性操作軸1と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられたドーム状金属板の導電性クリックばね3と、導電性操作軸1の先端部1aの端面のスイッチ接触面に対向して基板6の表面に形成された第1電極面4aとドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aに対向して基板6の表面に形成された第2電極面4bとを有するスイッチ部4と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられた抜け止め用Eリング10とで構成された押ボタンスイッチである。なお、基板6の表面は、基板の上面および下面における表面のみならず、基板の端面部における表面も含んでいる。
【0016】
なお、導電性クリックばねは、ドーム状金属板でなくても、ばね性と導電性を備えた材料、例えば、ドーム状の導電性プラスチックやドーム状の非導電性プラスチックに導電性を有する部材を蒸着や接着等で形成してもよい。
【0017】
時計ケース5には、導電性操作軸1を案内する小径の案内用貫通穴5aと大径の押ボタン収納部5bが同軸に連通するように形成されている。押しボタン2には、軸取り付穴2aと圧縮ばね収納凹部2bが形成されている。導電性操作軸1には、時計ケース5の案内用貫通穴5aに位置する部分にパッキン取り付用環状溝1cが、また、操作軸1の先端部1aの近くには抜け止め部材取付部1dがそれぞれ形成されている。
【0018】
時計ケース5の内部、即ちモジュール収納部5cに配置されている基板6の表面には、第1電極面4aと第2電極面4bが形成されている。第1電極面4aは、導電性操作軸1の先端部1aの端面よりも少し広い面積の電極面であって、スイッチパターン面として機能するものである。一方、第2電極面4bは、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aに対向する電極面であって、ベース電位面として機能するものである。そして、第1電極面4aは第2電極面4bよりも少し低い位置になるようにスイッチ部4は構成されている。これは、クリックの発生とスイッチのオンを同時に行わせるために必要な操作軸1のストロークを確保するためである。
【0019】
押ボタンスイッチの組立は、押ボタン2の軸取り付穴2aに導電性操作軸1の後端部1bの端部を固着する。そして押ボタン2の圧縮ばね収納凹部2bにコイルばねの圧縮ばね8を収納し、パッキン取り付用環状溝1cに防水用パッキン9が嵌め込まれた導電性操作軸1を案内用貫通穴5aに挿入する。すると、押ボタン2はケース5の押ボタン収納部5bに収納され、同時に 導電性操作軸1の先端部1aは案内用貫通穴5aを貫通して時計ケース5の内部に突出する。次に、導電性操作軸1の先端部1aの近くに形成されている抜け止め部材取付部1dにドーム状金属板の導電性クリックばね3が取付けられ、最後に抜け止め用Eリング10が取付けられる。これによって、押ボタンスイッチの操作部の組立が完成する。そして、第1電極面4aと第2電極面4bが形成された基板6が時計ケース5内の所定の位置に配置されると、図1に示す如く、本発明の実施例1の押ボタンスイッチは完成する。
なお、押しボタン2は、導電性操作軸1の切削加工にて一体に形成しても良い。また、図1から図5の押しボタン2は、導電性操作軸1をインサート成型し形成されている。
【0020】
スイッチの非操作時においては、本発明の実施例1の押ボタンスイッチは、圧縮ばね8の作用により操作軸1が図1の上方に付勢されて、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bから離間しており、導電性操作軸1の先端部1aの端面は第1電極面4aから離間している。
【0021】
押ボタン2が押されてスイッチが操作されると、本発明の実施例1の押ボタンスイッチは、図2に示す如く、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bに先ず接触する。この段階では、導電性操作軸1の先端部1aの端面は第1電極面4aから離間している。
【0022】
押ボタン2が更に下方に押されると、本発明の実施例1の押ボタンスイッチは、図3に示す如く、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bに接触したまま、導電性操作軸1のスイッチ接触面は第1電極面4aに接触する。即ち、ドーム状金属板の導電性クリックばね3はクリックを発生すると共に、スイッチはオンする。第1電極面4aと第2電極面4bは、導電性操作軸1とドーム状金属板の導電性クリックばね3によって短絡されるからである。
【0023】
以上、図1〜図3を参照して、時計ケースの表面側から操作する押ボタンスイッチの構成を詳細に説明した。図4は、時計ケース5の側面側から操作する押ボタンスイッチの構成を示すもので、先端部1aの端面をスイッチ接触部とし且つ後端部1bに押ボタン2が固着された導電性操作軸1と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられたドーム状金属板の導電性クリックばね3と、第1電極面4aと第2電極面4bとを有するスイッチ部4と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられた抜け止め用Eリング10とで構成された押ボタンスイッチである。第1電極面4aは基板6の端面に設けられたスイッチパターン面である。第2電極面4bは、図4から省略されているが、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部が非操作時には離間しており、且つ操作時には導電性操作軸1の先端部1aが。第1電極面4aに当接する前に当接するような位置に配置されている。
【実施例2】
【0024】
実施例2の押ボタンスイッチは、実施例1の押ボタンスイッチにおいて、導電性クリックばね3と抜け止め用Eリング10とを一体化したものである。即ち、図5に示す如く、実施例2の押ボタンスイッチは、先端部1aの端面をスイッチ接触部とし且つ後端部1bに押ボタン2が固着された導電性操作軸1と、導電性操作軸1の先端部1aの近くに取り付けられたドーム状金属板の導電性クリックばね3と、導電性操作軸1の先端部1aの端面のスイッチ接触面に対向して基板6の表面に形成された第1電極面4aとドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aに対向して基板6の表面に形成された第2電極面4bとを有するスイッチ部4とで構成された押ボタンスイッチである。
【0025】
時計ケース5には、導電性操作軸1を案内する小径の案内用貫通穴5aと大径の押ボタン収納部5bが同軸に連通するように形成されている。押しボタン2には、軸取り付穴2aと圧縮ばね収納凹部2bが形成されている。導電性操作軸1には、時計ケース5の案内用貫通穴5aに位置する部分にパッキン取り付用環状溝1cが、また、操作軸1の先端部1aの近くには抜け止め部材取付部1dがそれぞれ形成されている。
【0026】
時計ケース5の内部、即ちモジュール収納部5cに配置されている基板6の表面には、第1電極面4aと第2電極面4bが形成されている。第1電極面4aは、導電性操作軸1の先端よりも少し広い面積の電極面であって、スイッチパターン面として機能するものである。一方、第2電極面4bは、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aに対向する電極面であって、ベース電位面として機能するものである。そして、第1電極面4aは第2電極面4bよりも少し低い位置になるようにスイッチ部4は構成されている。これは、クリックの発生とスイッチのオンを同時に行わせるために必要な操作軸1のストロークを確保するためである。
【0027】
押ボタンスイッチの組立は、押ボタン2の軸取り付穴2aに導電性操作軸1の後端部1bの端部を固着する。そして押ボタン2の圧縮ばね収納凹部2bにコイルばねの圧縮ばね8を収納し、パッキン取り付用環状溝1cに防水用パッキン9が嵌め込まれた導電性操作軸1を案内用貫通穴5aに挿入する。すると、押ボタン2はケース5の押ボタン収納部5bに収納され、同時に 導電性操作軸1の先端部1aは案内用貫通穴5aを貫通して時計ケース5の内部に突出する。最後に、導電性操作軸1の先端部1aの近くに形成されている抜け止め部材取付部1dに、抜け止め用Eリングとしても機能するドーム状金属板の導電性クリックばね3が取付けられる。これによって、押ボタンスイッチの操作部の組立が完成する。そして、第1電極面4aと第2電極面4bが形成された基板6が時計ケース5のモジュール収納部5cの所定の位置に配置されると、図5に示す如く、本発明の実施例2の押ボタンスイッチは完成する。
【0028】
実施例2に用いられている抜け止め用Eリングとしても機能するドーム状金属板の導電性クリックばね3は、図6に示す如く、ドーム状金属板の円環状クリックばね部3bと、導電性操作軸1の抜け止め部材取付部1dが嵌挿される係合穴3c、及び係合穴3cの周縁から中心に向かう一対の係止用小突起3dを有するばね部品である。導電性操作軸1の抜け止め部材取付部1dが嵌挿されたドーム状金属板の導電性クリックばね3は、クリックばねとして機能すると共に、係止用小突起3cの作用により抜け止め用Eリングとしても機能する。
【0029】
スイッチの非操作時においては、本発明の実施例2の押ボタンスイッチは、圧縮ばね8の作用により操作軸1が図5の上方に付勢されて、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bから離間しており、導電性操作軸1のスイッチ接触面も第1電極面4aから離間している。
【0030】
押ボタン2が押されてスイッチが操作されると、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bに先ず接触する。この段階では、導電性操作軸1の先端部1aの端面は第1電極面4aから離間している。
【0031】
押ボタン2が更に下方に押されると、ドーム状金属板の導電性クリックばね3の周縁部3aは第2電極面4bに接触したまま、導電性操作軸1の先端部1aの端面は第1電極面4aに接触する。即ち、ドーム状金属板の導電性クリックばね3はクリックを発生すると共に、スイッチはオンする。第1電極面4aと第2電極面4bは、導電性操作軸1とドーム状金属板の導電性クリックばね3によって短絡されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1の押ボタンスイッチを備えた腕時計の水平方向に切断した部分拡大断面図である。なお、前記押ボタンスイッチは非操作状態にある。
【図2】本発明の実施例1の押ボタンスイッチを備えた腕時計の水平方向に切断した部分拡大断面図である。なお、前記押ボタンスイッチは操作途中であり、ドーム状金属板の導電性クリックばねの周縁部は第1電極面に接触している。
【図3】本発明の実施例1の押ボタンスイッチを備えた腕時計の水平方向に切断した部分拡大断面図である。なお、ドーム状金属板の導電性クリックばねの周縁部第1電極面に接触し、且つ導電性操作軸の先端は第2電極面に接触し、スイッチがオンされた状態にある。
【図4】本発明の実施例1の押ボタンスイッチを腕時計の側面から操作するように時計ケースに取り付けた場合の腕時計の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例2の押ボタンスイッチを備えた腕時計の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の実施例2の押ボタンスイッチの導電性操作軸とドーム状金属板の導電性クリックばねを下方からみた拡大平面図である。
【図7】従来の押ボタンスイッチを備えた腕時計の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 導電性操作軸
1a 先端部
1b 後端部
1c パッキン取り付用環状溝
1d 抜け止め部材取付部
1e 段部
2 押しボタン
2a 軸取り付穴
2b 圧縮ばね収納凹部
3 ドーム状金属板の導電性クリックばね
3a 周縁部
4 スイッチ部
4a 第1電極面
4b 第2電極面
4c スイッチパターンの電極面
4d ベース電位面
4e カンチレバー型スイッチバネ
5 ケース
5a 案内用貫通穴
5b 押ボタン収納部
5c モジュール収納部
5d クリックばね収納部
6 基板
7 案内用貫通穴
8 圧縮ばね
9 防水用パッキン
10 抜け止め用Eリング
11 クリックばね
12 裏蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部の端面をスイッチ接触部とし且つ後端部に押ボタンが固着された導電性操作軸と、前記導電性操作軸の先端部近くに取り付けられたドーム状の導電性クリックばねと、前記導電性操作軸のスイッチ接触面に対向して基板の表面に形成された第1電極面と前記ドーム状の導電性クリックばねの周縁部に対向して基板の表面に形成された第2電極面とを有するスイッチ部とで構成された押ボタンスイッチ。
【請求項2】
先端部の端面をスイッチ接触部とし且つ後端部に押ボタンが固着された導電性操作軸と、ケースに穿設されて前記操作軸を案内する案内用貫通穴と、基板側に形成された第1電極面と第2電極面とを有するスイッチ部と、スイッチの非操作時には前記スイッチ接触部が前記スイッチ面から離間する方向に前記導電性操作軸を付勢する圧縮ばねと、前記操作軸に形成した環状溝に嵌め込まれた防水用パッキンと、前記導電性操作軸の先端部近くに取り付けられて前記圧縮ばねの付勢力によって前記導電性操作軸が前記案内用貫通穴から抜けることを防止する抜け止め用部材とで構成された押ボタンスイッチにおいて、
前記導電性操作軸の先端部近くに導電性クリックばねを取り付け、且つ、スイッチの操作時に前記導電性クリックばねの周縁部が前記第2電極面と当接し且つ前記導電性クリックばねが許容荷重を超えて一気に荷重が下がった状態に達した後に前記スイッチ接触部が前記第1電極面に当接するように前記スイッチ部を構成したことを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項3】
前記導電性クリックばねは前記抜け止め部材を兼ねていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項4】
前記スイッチ部の第1電極面はスイッチパターン面であり、前記第2電極面はベース電位面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ部の第1電極面はベース電位面であり、前記第2電極面はスイッチパターン面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の押ボタンスイッチを備えたことを特徴とする時計。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の押ボタンスイッチを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−115630(P2007−115630A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308720(P2005−308720)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】