説明

押出機を使用して好ましくはポロクサマーおよびグリセリドを含む多粒子アジスロマイシン組成物を製造するための噴霧凝固法

許容可能な低い濃度のアジスロマイシンエステルを含むアジスロマイシン多粒子は、噴霧器および押出機を使用して、溶融凝固法により形成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多粒子(Multiparticulate)は、その全体が意図された治療上有用な投薬量となる多数の粒子を含むよく知られている投薬形態である。経口摂取する場合、多粒子は、一般に、胃腸管内で自由に分散し、胃から比較的迅速に、また再現性のある形で放出され、吸収を最大化し、副作用を最小化する。例えば、「Multiparticulate Oral Drug Delivery」(Marcel Dekker、1994年)、および「Pharmaceutical Pelletization Technology」(Marcel Dekker、1989年)を参照されたい。
【0002】
薬剤を溶融し、液滴にし、その液滴を冷やして小さな薬剤粒子にすることにより薬剤粒子を製造する方法が知られている。多粒子のこのような製造方法は、一般に、「溶融凝固(melt−congeal)」法と呼ばれる。米国特許第4,086,346号および第4,092,089号は、両方とも、押出機でフェナセチンを高速溶融すること、およびその溶融物を噴霧してフェナセチン顆粒を形成することを開示しており、これらを参照されたい。
【0003】
アジスロマイシンは、エリスロマイシンAから誘導された広域スペクトル抗菌化合物である、薬剤9a−アザ−9a−メチル−9−デオキソ−9a−ホモエリスロマイシンAに対する総称名である。したがって、アジスロマイシンおよびその特定の誘導体は、抗生物質として有用である。
【0004】
アジスロマイシンを経口服用した結果、筋けいれん、下痢、吐き気、および嘔吐のような副作用を生じる可能性があることはよく知られている。このような副作用は、低投薬量よりも高投薬量のときに高い。多粒子は、副作用を比較的低く抑えつつ比較的大量の経口服用を可能にするアジスロマイシンの知られている改善された投薬形態である。米国特許第6,068,859号を参照されたい。アジスロマイシンのこのような多粒子は、比較的長い期間にわたって比較的大量の薬剤を制御した速度で送達できるため、薬剤の単回投与に特に適している。押出成形/球形化、噴霧乾燥、および噴霧コーティングを含む、このようなアジスロマイシン多粒子を製剤する多数の手法が、米国特許第6,068,859号で開示されている。しかし、多くの場合、このような方法を使用し、そのような多粒子に特定の賦形剤を含めると、多粒子を形成中に、また形成した後に、アジスロマイシンの劣化を招く可能性がある。この劣化は、アジスロマイシンが、多粒子を形成する際に使用される担体または賦形剤の成分と化学反応を起こすことにより生じ、その結果アジスロマイシンエステルが形成されるが、これはアジスロマイシンの劣化の一形態である。
【0005】
公開された米国出願第2001/0006650A1号では、噴霧凝固法による「固溶体」ビーズレットの形成を開示しており、ビーズレットは、疎水性の長鎖脂肪酸またはエステル中に溶解されている薬剤、および界面活性剤からなる。しかし、アジスロマイシンはビーズレットに包含するのに適した薬剤として開示されず、問題の開示にはアジスロマイシンエステル形成の認識はなく、また押出機を薬剤、疎水性物質、および界面活性剤の溶融物を製造する特に効果的な手法として使用することについての開示はない。
【0006】
米国特許第6,068,859号では、さらに、アジスロマイシンを液体ワックスとともに攪拌して均質な混合物を形成し、その混合物を冷まして固体にし、その後、強制的にその固体混合物を篩いに通して顆粒を形成することによるアジスロマイシンを含む多粒子の製造も開示している。このような方法にあるいくつかの欠点としては、アジスロマイシン結晶が多粒子の表面に存在し、それにより投薬形態中の他のアジスロマイシンエステル形成賦形剤に曝される可能性があること、不均一なサイズおよびより大きな粒子が形成され、そのため、粒子サイズ分布が広がること、混合物を凝固させるために必要な期間に懸濁薬剤が沈殿することで生じるアジスロマイシン含量の不均一さ、高温の液体ワックスに比較的長い間曝されることにより引き起こされる薬剤劣化、粒子の不均一な形状、および粒子が集塊する危険性が挙げられる。
【0007】
したがって、望まれているのは、前述の欠点が克服され、アジスロマイシンエステルの形成を低減してその結果多粒子投薬形態中の薬剤の純度がかなり高められるように賦形剤およびプロセス条件が選択される、アジスロマイシン多粒子を形成する溶融凝固法である。
【特許文献1】米国特許第4,086,346号
【特許文献2】米国特許第4,092,089号
【特許文献3】米国特許第6,068,859号
【特許文献4】米国公開出願第2001/0006650A1号
【特許文献5】米国特許出願第60/527316号
【特許文献6】米国特許第6,268,489号
【特許文献7】特許第6,365,574号
【特許文献8】米国第6,245,903号
【特許文献9】米国特許出願公開第20030162730号
【特許文献10】米国特許出願公開第20010047089号
【特許文献11】米国特許出願公開第20020111318号
【特許文献12】国際出願公開第WO01/00640号
【特許文献13】国際出願公開第WO01/49697号
【特許文献14】国際出願公開第WO02/10181号
【特許文献15】国際出願公開第WO02/42315号
【特許文献16】米国特許出願公開第20030139583号
【特許文献17】米国特許第6,528,492号
【特許文献18】米国特許第4,474,768号
【特許文献19】米国特許出願第60/527319号
【特許文献20】米国特許出願第60/527329号
【特許文献21】米国特許出願第60/527084号
【特許文献22】米国特許出願第60/527245号
【非特許文献1】「Multiparticulate Oral Drug Delivery」(Marcel Dekker、1994年)
【非特許文献2】「Pharmaceutical Felletization Technology」(Marcel Dekker、1989年)
【非特許文献3】Remington「Pharmaceutical Sciences」(第16版、1980年)
【非特許文献4】Lefebvre「Atomization and Sprays」(1989年)
【非特許文献5】Perry「Chemical Engineers’Handbook」(第7版、1997年)
【非特許文献6】Welcher「Standard Methods of Chemical Analysis」(1975年)
【非特許文献7】Pharmaceutical Excipients 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含み、結果として望ましくないアジスロマイシンエステルを許容濃度で含む多粒子を形成する溶融凝固法を提供することにより従来技術の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、アジスロマイシンエステル形成は、(1)薬剤とのエステル形成の速度が非常に低い特定のクラスの物質から担体を選択することにより、(2)エステル形成速度が本質的に比較的速い担体が選択される場合に処理パラメータを選択することにより、(3)薬剤と担体との溶融混合物が、実施的に均一な組成、好ましくは溶融担体中の薬剤の均質な懸濁液となるようにし、また溶融手段における混合物の滞留時間が最小になるようにすることにより、さまざまな方法で著しく抑制されることが判明した。(3)を遂行する特に効果的な手段は、押出機を使用することである。薬剤と担体の混合物は、混合物の十分な画分を十分に溶融し、材料を噴霧して液滴を形成し、その後液滴を凝固させて多粒子を形成することができるという意味で「溶融」されることに留意されたい。しかし、通常、アジスロマイシンの多くおよび場合により担体の一部は、固体状態に留まることがある。アジスロマイシンの場合、たいてい、アジスロマイシンのできる限り多くが結晶状態に留まることが好ましい。そのため、「溶融」混合物は、溶融された担体および薬剤中の固体薬剤および場合により賦形剤の懸濁液であることが多い。
【0010】
アジスロマイシンエステル形成の許容レベルは、多粒子の形成から始まり、投薬まで続く期間中に、多粒子内で元々存在するアジスロマイシンの全質量に関するアジスロマイシンエステルの質量の割合として、約10質量%未満のアジスロマイシンエステル、好ましくは約5質量%未満、より好ましくは約1質量%未満、さらに好ましくは約0.5質量%未満、最も好ましくは約0.1質量%未満のアジスロマイシンエステルが形成されるレベルである。
【0011】
概して、アジスロマイシンとのエステル形成速度が本質的に遅い担体のクラスは、化学置換基として、酸および/またはエステル置換基をまったく含まないか、または比較的少ない酸および/またはエステル置換基を含む薬剤として許容される担体であるということができる。本明細書における「酸および/またはエステル置換基」に対するすべての言及は、それぞれ(1)カルボン酸、スルホン酸、およびリン酸置換基、または(2)カルボン酸エステル、スルホニルエステル、およびリン酸エステル置換基に対する言及である。逆に、アジスロマイシンとのエステル形成速度が本質的に高い担体のクラスは、比較的多数の酸および/またはエステル置換基を含む薬剤として許容される担体であるということができ、限度内で、このクラスの担体に対する処理条件を利用して、エステル形成速度を許容レベルに抑制することができる。
【0012】
そのため、一態様では、本発明は、(a)アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む溶融混合物を押出機で形成する工程、(b)工程(a)の溶融混合物を噴霧手段に送り、溶融混合物から液滴を形成する工程、および(c)工程(b)の液滴を凝固させて多粒子を形成する工程を含む、多粒子を形成する方法を提供する。
【0013】
他の態様では、本発明は、(a)アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む溶融混合物を形成する工程、(b)工程(a)の溶融混合物を噴霧手段に送り、溶融混合物から液滴を形成する工程、および(c)工程(b)の液滴を凝固させて多粒子を形成する工程を含み、多粒子中でのアジスロマイシンエステルの濃度は約10重量%未満である、多粒子を形成する方法を提供する。
【0014】
前記の両方の態様において、本発明の方法は、アジスロマイシン多粒子を形成するために使用される上の知られている手法の欠点を克服する。
【0015】
知られている手法に関する本発明の方法の1つの利点は、溶融混合物を形成することで担体がアジスロマイシン薬剤結晶の表面全体を濡らすことができ、それにより薬剤結晶を多粒子内の担体で完全にカプセル化することができるという点である。そのようなカプセル化を使用すると、多粒子からのアジスロマイシンの放出をうまく制御することができ、また薬剤が投薬形態中の他の賦形剤と接触しなくてすむ。
【0016】
知られている手法に関する本発明の方法の他の利点は、機械的手段により形成される多粒子に比べて得られる粒子サイズ分布が狭いという点である。噴霧を使用して液滴を形成することにより、表面張力などの自然現象を利用して均一なサイズの球形多粒子を形成することができる。粒子サイズは、回転式噴霧器の速度を調整するなどして、噴霧手段を通じて制御することができる。
【0017】
知られている手法に関する本発明の方法の他の利点は、その結果として、比較的均一な薬剤含量を有するアジスロマイシン含有液滴が形成されるという点で含量均一性が良好であることである。
【0018】
知られている手法に関する本発明の方法のさらに他の利点は、薬剤が溶融状態にある時間の長さを短縮できることである。凝固工程は急速に実行できるが、それは、小さな液滴は体積に対する表面積の比が高いからである。
【0019】
知られている手法に関する本発明の方法のさらに他の利点は、平均粒径が約40μmと小さい、より小さな多粒子を形成するために使用できることである。多くの場合、粒子サイズは小さいほど、患者の「口内感触」がよいものとなる。
【0020】
さらに、本発明の方法では、多粒子が互いに集って塊になる危険性が低減される。噴霧工程では、液滴が形成中に互いに離れ、多粒子を互いに離れて形成することができることが多い。
【0021】
最後に、本発明の方法では、通常機械式手段により形成される多粒子に比べて滑らかで、丸い粒子が得られる。この結果、流量特性に優れ、ひいては処理が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に使用されているように、「約」という用語は、指定値の指定値±10%を意味する。
【0023】
本発明の方法により形成される組成物は、複数の「多粒子」を含む。「多粒子」という用語は、その全体がアジスロマイシンの意図された治療上有用な投薬量となる多数の粒子を含む投薬形態を包含することを意図されている。これらの粒子は、一般に、約40から約3000μm、好ましくは約50から約1000μm、最も好ましくは約100から約300μmの平均粒径である。多粒子は、患者の体重に適合するように投薬形態内の粒子の質量を単純に加減することにより治療を必要としている個々の患者の体重に応じて投薬形態の量を加減する用途に適しているため好ましい。さらに、大量の薬剤を、経口摂取しやすいスラリーに製剤できるサシェなどの単純な投薬形態に入れることができるため有利である。多粒子は、さらに、(1)改善された胃腸(GI)管内の分散、(2)均一なGI管輸送時間、ならびに(3)低減された患者間および患者内のバラツキを含む、特に経口摂取したときに他の投薬形態に勝る多数の治療面の利点を有する。
【0024】
多粒子形成過程、最終投薬形態の製造に必要な他の処理工程、または製造してから投薬までの間の保存においてアジスロマイシンエステルが形成される可能性がある。アジスロマイシン投薬形態は、投薬するまでの間最大2年間またはさらにはそれ以上長い間、保存される可能性があるため、保存された投薬形態内のアジスロマイシンエステルの濃度は投薬前の上記の値を超えないことが好ましい。
【0025】
多粒子は、任意の形状および質感を持たせることができるが、球形で表面質感が滑らかなものが好ましい。これらの物理的特性があれば、流量特性に優れ、「口内感触」が改善され、嚥下しやすく、必要ならば均一なコーティングを容易に行える。
【0026】
本発明は、単回投薬治療で患者に比較的大量のアジスロマイシンを投与するために特に有用である。多粒子投薬形態内で含まれるアジスロマイシンの量は、少なくとも250mgAであるのが好ましく、7gA程度に高くすることもできる(「mgA」および「gA」は、それぞれ、投薬形態中の活性アジスロマイシンのミリグラムおよびグラムを意味する)。この投薬形態に含まれる量は、好ましくは約1.5から約4gA、より好ましくは約1.5から約3gA、最も好ましくは1.8から2.2gAである。小柄な患者の場合、例えば、体重約30kg以下の子供の場合、多粒子投薬形態は、患者の体中に応じて加減することができ、一態様では、投薬形態は、患者体重の約30から約90mgA/kg、好ましくは約45から約75mgA/kg、より好ましくは約60mgA/kgを含む。
【0027】
本発明の方法により形成される多粒子は、使用環境に導入された後、アジスロマイシンの制御放出を行うように設計されている。本明細書で使用されるように、「使用環境」は、哺乳類、特にヒトのGI管のインビボ環境、または試験液のインビトロ環境のいずれかとすることができる。例示的な試験液は、(1)酵素なしの胃液をシミュレートする、HCl 0.1N、(2)アジスロマイシンの過剰な酸劣化を回避する胃液をシミュレートする、HCl 0.01N、および(3)酵素なしの腸液をシミュレートする、KOHを使用してpH 6.8に調整された、KH2PO4 50mMを含む37℃の水溶液を含む。発明者は、さらに、NaOHを使用してpH 6.0に調整された、Na2HPO4 100mMを含むインビトロ試験液は、溶解プロファイルに基づいて異なる製剤を区別する弁別手段となることを発見した。このような溶液中のインビトロ溶解試験は、インビボ性能および生体利用可能性のよい指標となることがわかった。本明細書では、インビトロ試験および試験溶液の詳細について説明する。
【0028】
本発明によれば、賦形剤の反応速度は、エステル形成速度の遅い賦形剤は望ましいが、エステル形成速度の速い賦形剤は望ましくないという一般ガイドラインに従って実施者が情報に基づき選択できるように計算することができる。
【0029】
溶融凝固法
本発明で使用される基本的な方法は、(a)アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む溶融混合物を形成する工程と、(b)工程(a)の溶融混合物を噴霧手段に送り、溶融混合物から液滴を形成する工程と、(c)工程(b)の液滴を凝固させて多粒子を形成する工程とを含む。
【0030】
溶融混合物は、アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む。溶融混合物中のアジスロマイシンは、担体中に溶解することができるか、または溶融担体中に分散された結晶性アジスロマイシンの懸濁液とすることができるか、またはそのような状態もしくは中間にある状態の組み合わせとすることができる。好ましくは、溶融混合物は、溶融担体内で溶融または溶解するアジスロマイシンの画分が比較的低く抑えられている溶融担体中の結晶性アジスロマイシンの均質な懸濁液である。全アジスロマイシンの約30重量%未満は、溶融担体中に溶融または溶解するのが好ましい。アジスロマイシンは、結晶性二水和物として存在するのが好ましい。
【0031】
そこで、本明細書で使用されるような「溶融混合物」は、混合物が十分に流体となり混合物が液滴に形成されるか、または噴霧されるように十分に加熱されたアジスロマイシンおよび担体の混合物を指す。溶融混合物の噴霧は、後述の噴霧手法のいずれかを使用して実行することができる。一般に、混合物は、遠心または回転円盤噴霧器によって加えられるような、圧力、剪断力、および遠心力などの1つまたはそれ以上の力を受けたときに流れるという意味で溶融される。したがって、アジスロマイシン/担体混合物は、混合物の一部が十分に流体となり、混合物が全体として十分に流体であり、噴霧できる場合に「溶融」されているとみなすことができる。一般に、混合物は、溶融混合物の粘度が約20,000cp未満、好ましくは約15,000cp未満、および最も好ましくは約10,000cp未満である場合に、十分に、噴霧できる流体であるといえる。多くの場合、混合物は、担体成分のうちの1つまたはそれ以上の融点よりも高い温度に加熱されたときに溶融し、その場合、担体は十分に結晶性で比較的はっきりした融点を有し、または担体成分が非晶質である場合は、1つまたはそれ以上の担体成分の軟化点よりも高い温度に加熱されたときに、溶融する。したがって、溶融混合物は、多くの場合、流体マトリックス内の固体粒子の懸濁液である。好ましい一実施形態では、溶融混合物は、実質的に流体である担体内で懸濁されている実質的に結晶性のアジスロマイシン粒子の混合物を含む。このような場合、アジスロマイシンの一部は、流体担体内で溶解していてもよく、担体の一部は固体のままであってもよい。
【0032】
実質的にどのような方法も、溶融混合物を形成するために使用することができる。一手法では、流体になるまでタンク内で担体を加熱し、次いで、アジスロマイシンを溶融担体に加えることを含む。一般に、担体は、流体になる温度よりも約10℃以上高い温度に加熱される。この方法は、溶融混合物の少なくとも一部が噴霧されるまで流体のままでいるように実施される。担体が流体になった後、アジスロマイシンを流体担体または「メルト」に加えることができる。「メルト」という用語は、一般に、特に融点で生じる結晶から液体状態への結晶性物質の遷移を意味し、「溶融物」という用語は、一般に、本明細書で使用されているように、流体状態の結晶性物質を指すが、これらの用語は、さらに広い意味で使用され、「メルト」の場合、流体状態の結晶性物質に似た方法で送り込むか、または噴霧することができるという意味で流体になるように物質または物質の混合物を十分に加熱することを指す。同様に、「溶融物」は、そのような流体状態にある物質または物質の混合物を指す。それとは別に、アジスロマイシンと固体担体は両方とも、タンクに添加し、担体が流体になるまで混合物を加熱することができる。
【0033】
担体が流体になり、アジスロマイシンが加えられた後、混合物を混合して、その中でアジスロマイシンが実質的に均一に分散されるようにする。混合は、一般に、オーバーヘッドミキサー、磁力式混合器およびスターバー、遊星式混合器、およびホモジナイザーなどの機械式手段を使用して行われる。場合により、タンクの内容物を、タンクから送り出し、直列静的混合器または押出機に通し、その後、タンクに戻すことができる。溶融された供給物を混合するために使用される剪断の量は、溶融混合物内のアジスロマイシンが実質的に均一に分散されるように十分に高くなければならない。しかし、剪断力は、アジスロマイシンの形態が変化する、つまり、結晶性アジスロマイシンの一部が非晶質になったり、新しい結晶性形態のアジスロマイシンに変化するほどの高い値であってはならない。供給物が担体内の結晶性アジスロマイシンの懸濁液である場合、剪断力は、アジスロマイシン結晶の粒子サイズを実質的に縮小するほど高くないことが好ましい。供給溶液を数分から数時間かけて混合することができ、混合時間は、供給物の粘度および担体内のアジスロマイシンの溶解度に依存する。エステルの形成は、混合時間を制限することによりアジスロマイシンの溶解をその通常の溶解性限度まで妨げることで最小にすることができる。一般に、混合時間を、溶融担体全体を通して実質的に均一に結晶性アジスロマイシンを分散するのに必要な最小値近くまで制限することが好ましい。
【0034】
このようなタンクシステムを使用して組成物が結晶性水和物または溶媒和物形態のアジスロマイシンを含む溶融混合物を製造するときに、溶融混合物内の水または溶媒の活性が十分に高く、アジスロマイシン結晶の水和または溶媒和の水が溶融担体への溶解により除去されないようにすることによりアジスロマイシンをこの形態に保持することができる。溶融担体内の水または溶媒の活性を高く保つために、溶融混合物上の気相雰囲気を高い水または溶媒活性で保つことが望ましい。本発明者は、結晶性アジスロマイシン二水和物が乾燥溶融担体および/または乾燥気相雰囲気と接触したときに、かなり大部分が溶融担体中に溶解し得、また一水和物などのアジスロマイシンの他のあまり安定していない非晶質または結晶性形態に転換し得ることを発見した。水和水の喪失により結晶性アジスロマイシン二水和物が非晶質結晶性形態に転換されないようにする一手法は、混合時に混合タンク内のヘッドスペースを加湿することである。それとは別に、処理温度での溶融担体内の水の溶解度の30から100重量%のオーダーの少量の水を供給物に加えて、アジスロマイシン二水和物結晶性形態の喪失を防ぐのに十分な水があるようにすることができる。さらに、ヘッドスペースの加湿および供給物への水の添加を組み合わせることができ、よい結果が得られる。これは、2003年12月4日に出願された同一出願人による米国特許出願第60/527316号(「Method for Making Pharmaceutical Multiparticulates」整理番号PC25021)でさらに完全に開示されている。
【0035】
溶融混合物を製造する他の手法では、2つのタンクを使用し、第1の担体を一方のタンクで、第2の担体を他方のタンクで溶融する。アジスロマイシンを、これらのタンクのうちの一方に加え、上述のように混合する。このような二重タンクシステムに対し、タンク内の水の活性に関するのと同じ用心をしなければならない。その後、2つの溶融物がポンプで直列静的混合器または押出機に通され、後述の噴霧プロセスに送られる単一溶融混合物を生成する。このような二重システムは、賦形剤の1つがアジスロマイシンとの高い反応性を有する場合、または一方の担体が第2の担体と反応し架橋多粒子を形成する架橋剤である場合など、賦形剤が相互反応性を有する場合に、いくつかの利点を有する。後者の例は、賦形剤としてアルギン酸とイオン架橋剤の使用である。
【0036】
溶融混合物を製造するために使用できる他の手法では、連続攪拌タンクシステムを使用する。このシステムでは、アジスロマイシンおよび担体は、連続攪拌する手段を備える加熱されたタンクに連続的に添加され、その一方で、溶融混合物は、タンクから連続的に取り出される。タンクの内容物は、十分に加熱され、内容物の温度は、溶融混合物が流体になる温度よりも約10℃以上高くなる。アジスロマイシンおよび担体は、タンクから取り出された溶融供給物が所望の組成を持つような割合で加えられる。アジスロマイシンは、通常、固形で加えられ、タンクに加えられる前に予熱することができる。水和された結晶性形態で加えられ予熱される場合、アジスロマイシンは、十分に高い水活性、通常は30から100%RHを有する条件の下で加熱し、すでに述べたように、アジスロマイシン結晶性形態の脱水およびその結果の転換を防ぐようにしなければならない。担体は、さらに、連続攪拌タンクシステムに加える前に予熱またはさらに事前溶融することもできる。上述のように、さまざまな混合法をこのようなシステムと併用することができる。
【0037】
溶融混合物は、さらに、Dyno(登録商標)Millなどの連続ミルを使用して形成することもでき、固形アジスロマイシンおよび担体は、直径0.25から5mmのビーズなどの粉砕媒体を含むミルの粉砕室に供給される。粉砕室は、通常、粉砕室内の温度を制御するために加熱または冷却流体が粉砕室の周りを循環できるように被覆されている。溶融混合物は、粉砕室内で形成され、粉砕室を出て、分離器を通り、溶融混合物から粉砕媒体が取り除かれる。
【0038】
溶融混合物を形成する特に好ましい手法は、押出機によるものである。「押出機」とは、熱および/または剪断力により溶融押出物を作成する、および/または固体および/または液体(例えば溶融)供給物から均一に混合された押出物を生成するデバイスまたはデバイスの集合体を意味する。このようなデバイスは、限定はしないが、1軸押出機、共回転、逆回転、かみ合い、および非かみ合い押出機を含む2軸押出機、多軸押出機、加熱シリンダと溶融供給物を押出すためのピストンとからなるラム押出機、溶融供給物の加熱と送り込みを同時に行う一般に逆回転する加熱ギアポンプからなるギアポンプ押出機、およびコンベヤー押出機を含む。コンベヤー押出機は、スクリューコンベヤーまたはニューマチックコンベヤー、およびポンプなどの、固体および/または粉末供給物を搬送するためのコンベヤー手段を備える。コンベヤー手段の少なくとも一部を、溶融混合物を生成できる十分に高い温度に加熱する。溶融混合物は、場合により、蓄積タンクに導いてから、ポンプに送り、溶融混合物を噴霧器に送ることができる。場合により、直列混合器をポンプの前または後に使用することで、溶融混合物が実質的に均一になるようにすることができる。これらの押出機のそれぞれにおいて、溶融混合物を混合し、均一に混合された押出物を形成する。このような混合は、混合要素、捏ね上げ要素、および還流による剪断混合を含む、さまざまな機械式および加工手段により達成することができる。そのため、このようなデバイスでは、組成物は、押出機に供給され、そこで、噴霧器に導くことができる溶融混合物が生成される。
【0039】
一実施形態では、組成物は、固体粉末の形態で押出機に供給される。粉末供給物は、含量均一性の高い粉末混合物を得るため当技術分野でよく知られている手法を使用して製造することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences(第16版、1980年)を参照されたい。一般に、アジスロマイシンおよび担体の粒子サイズは、均一なブレンドを得るために類似していることが望ましい。しかし、これは、本発明の実施を成功させるために本質的であるということはない。
【0040】
粉末供給物を製造する方法の一例では、まず、担体をミリング処理して、粒子サイズがアジスロマイシンとほぼ同じになるようにし、次に、アジスロマイシンおよび担体を、20分間、V型ブレンダーでブレンドし、その結果得られたブレンド物の塊を除去し、大きな粒子を取り除き、最後にさらに4分かけてブレンドする。いくつかの場合において、担体を所望の粒子サイズとなるようにミリング処理することは難しい、というのも、それらの物質の多くは、ろう様物質である傾向を有し、ミリング過程において発生する熱がミリング装置をべとべとにする場合があるからである。このような場合、担体の小さな粒子は、後述のように溶融凝固法を使用して形成することができる。次いで、その結果得られる担体の凝固粒子をアジスロマイシンとブレンドして、押出機用の供給物を生成することができる。
【0041】
押出機に送る粉末供給物を生成する他の手法では、タンク内の担体を溶融し、タンクシステムについて上で説明したようにアジスロマイシン中で混合し、その後、溶融混合物を冷やして、アジスロマイシンと担体との固化混合物を生成する。次いで、この固化混合物をミリング処理して、均一な粒子サイズにし、押出機に供給することができる。
【0042】
溶融混合物を生成するために、2供給押出機システム(two−feed extruder system)を使用することもできる。このシステムでは、担体およびアジスロマイシンは、両方とも粉末形態であり、同じかまたは異なる供給口を通して押出機に供給される。この方法では、成分をフレンドする必要はなくなる。
【0043】
それとは別に、粉末形態の担体を、ある時点に、押出機に供給し、押出機に担体を溶融させることもできる。その後、押出機長さの途中に位置する第2の供給物送出口を通じてアジスロマイシンを溶融担体に加えて、アジスロマイシンと溶融担体との接触時間を短縮し、それによりさらにアジスロマイシンエステルの形成を減らす。第2の供給物送出口が押出機の放出口に近いほど、押出機内のアジスロマイシンの滞留時間が少なくなる。複数供給物押出機は、担体が1より多くの賦形剤を含む場合に使用することができる。
【0044】
他の手法では、組成物は、押出機に供給されるときに、粉末ではなく、より大きな固体粒子または固体塊の形態である。例えば、固化混合物を上述のように製造し、その後、ラム押出機のシリンダ内で収まるように成形して、ミリング処理なしで直接使用することができる。
【0045】
他の手法では、まず担体を、例えば、タンク内で溶融し、溶融形態で押出機に供給することができる。次いで、担体を押出機に供給するために使用されるものと同じかまたは異なる送出口を通じて、通常粉末形態のアジスロマイシンを押出機に導入することができる。このシステムは、担体の溶融工程を混合工程から分離し、アジスロマイシンと溶融担体との接触を減らし、さらにアジスロマイシンエステルの形成を低減するという利点を有する。
【0046】
上記の手法のそれぞれにおいて、押出機は、好ましくは担体内で均一に分散されたアジスロマイシン結晶を含む溶融混合物を生成するように設計すべきである。一般に、押出物の温度は、アジスロマイシンおよび担体混合物が流体になる温度よりも約10℃以上高い温度でなければならない。担体が単結晶性物質である場合、この温度は、通常、担体の融点よりも約10℃以上高い。押出機内のさまざまなゾーンを適切な高度に加熱し、当技術分野で知られている手順に従って、所望の押出物温度とともに所望の混合または剪断の程度を得るべきである。機械式混合について上で指摘されているように、剪断レベルは、好ましくは比較的低いが、それでも、実質的に均一な溶融混合物を生成するのに十分なレベルである。
【0047】
担体がアジスロマイシンと高い反応性を有する場合、押出機内の物質の滞留時間は、アジスロマイシンエステルの形成をさらに制限するためにできる限り短時間に留めなければならない。このような場合、押出機は、結晶性アジスロマイシンが均一に分散する溶融混合物を生成するために必要な時間が、アジスロマイシンエステルの形成を許容レベルに保持できる十分短い時間であるように設計されるべきである。滞留時間が短くなるように押出機を設計する手法は、当技術分野で知られている。押出機内の滞留時間は、アジスロマイシンエステル形成が許容レベル以下に保たれるように十分短く維持されなければならない。
【0048】
溶融供給混合物を形成する他の手法について上で説明されているように、アジスロマイシンの二水和物などの結晶性水和物が使用される場合に、アジスロマイシンの脱水を減らすために、薬剤/担体混合剤中で高い水分活性を維持することが望ましい。これは、水を粉末供給物ブレンドに加えるか、または別の送出口に制御された量の水を計って入れることにより水を直接押出機内で注入することで、行うことができる。いずれの場合も、結晶性アジスロマイシンの所望の形態を維持するために必ず十分に高い水分活性が得られるように十分な水分を加えなければならない。アジスロマイシンが二水和物結晶性形態である場合、アジスロマイシンと接触する物質の水分活性を30%RHから100%RHの範囲内で保つことが好ましい。これは、溶融担体中の水の濃度が最高処理温度で溶融担体中の水の溶解度の30%から100%となるようにすることで実現できる。いくつかの場合に、100%水溶性限界よりも少し過剰な水を混合物に加えることができる。
【0049】
溶融混合物は、形成された後、溶融供給物を小さな液滴に分ける噴霧器に送出される。溶融混合物を噴霧器に送出するために、ポンプ、および加圧容器またはピストンポットなどのさまざまな種類の空気圧デバイスの使用を含む、実質的にどのような手法でも使用できる。押出機を使用して溶融混合物を形成する場合、押出機自体は、溶融混合物を噴霧器に送出するために使用することができる。通常、溶融混合物は高温に保持される、その一方で、混合物を噴霧器に送出して混合物の固化を防止し、溶融混合物が流れ続けるようにする。
【0050】
一般に、噴霧は、(1)「圧力」または1流体ノズル、(2)2流体ノズル、(3)遠心または回転円盤噴霧器、(4)超音波ノズル、および(5)機械的振動ノズルなどによる、複数の方法のうちの1つで行われる。噴霧処理の詳細な説明は、Lefebvre「Atomization and Sprays」(1989年)またはPerry's Chemical Engineers’Handbook(第7版、1997年)にある。
【0051】
一般に溶融混合物を高圧でオリフィスに送出する、圧力ノズルの種類および設計は多数ある。溶融混合物は、フィラメント、または複数のフィラメントに分けられる薄いシートとしてオリフィスから出て、その後、複数の液滴に分かれる。圧力ノズルの動作圧降下は、溶融供給物の粘度、オリフィスのサイズ、および多粒子の所望のサイズに応じて、1bargから70bargまでの範囲である。
【0052】
2流体ノズルでは、溶融混合物は、溶融混合物を十分噴霧できる速度で流れる気体、通常は空気または窒素の流れと接触する。内部混合構成では、溶融混合物および気体は、ノズルオリフィスを通じて放出する前にノズルの内側で混合する。外部混合構成では、ノズルの外側の高速気体が、溶融混合物と接触する。このような2流体ノズルに対する気体の圧力降下は、通常、0.5bargから10bargまでの範囲である。
【0053】
回転噴霧器または回転円盤噴霧器とも呼ばれる遠心噴霧器では、溶融混合物は、回転面に送られ、そこで遠心力により広げられる。回転面は、複数の形態を取ることができ、そのいくつかの実施例は、平坦な円板、カップ、羽根付き円板、および溝付きホイールを含む。円板の表面を加熱して、多粒子の形成を助けることもできる。噴霧のいくつかのメカニズムは、溶融混合物の円板への流れ、円板の回転速度、円板の直径、供給物の粘度、ならびに供給物の表面張力および密度に応じて、平坦な円板およびカップ遠心噴霧器で観察される。低流量では、溶融混合物は、円板表面に広がり、円板の縁に達すると、分離した液滴を形成し、次いで円板から投げ出される。溶融混合物の円板への流れが増大するにつれ、混合物は、分離した液滴としてではなくむしろ、フィラメントとして円板から出る傾向を有する。フィラメントは、その後、かなり均一なサイズの複数の液滴に分かれる。流量が更に増大すると、溶融混合物は、薄い連続シートとして円板縁を出て、その後、不規則なサイズのフィラメントおよび液滴に分解する。回転面の直径は、一般に、2cmから50cmの範囲であり、回転速度は、多粒子の所望のサイズに応じて、500rpmから100,000rpmまたはそれ以上の範囲である。
【0054】
超音波ノズルでは、溶融混合物は、超音波周波数で振動する、トランスデューサおよびホーンの中に通されるか、またはその上に通され、溶融混合物は噴霧されて小さな液滴となる。機械式振動ノズルでは、溶融混合物は、制御された周波数で振動する針に通され、溶融混合物は噴霧されて小さな液滴となる。両方の場合において、生成される粒子サイズは、液体流量、超音波または振動の周波数、およびオリフィス直径により決定される。
【0055】
好ましい一実施形態では、噴霧器は、Niro A/S(デンマーク、ソーホーグ)製のFX1 100mm回転噴霧器などの遠心または回転円盤噴霧器である。
【0056】
アジスロマイシンおよび担体を含む溶融混合物は、上述のように、溶融混合物として噴霧処理段に送られる。好ましくは、供給物は少なくとも5秒間、より好ましくは少なくとも10秒間、最も好ましくは少なくとも15秒間凝固する前に溶融され、これにより、溶融された薬剤/担体の適度な均質性を確保する。また、溶融混合物は、アジスロマイシンエステルの形成を制限するために、溶融された状態で維持されるのは約20分以下であることも好ましい。上述のように、選択された担体の反応性に応じて、アジスロマイシン混合物が溶融される時間を20分をはるかにきるように短縮し、さらにアジスロマイシンエステル形成を許容レベルに制限することが好ましい場合もある。このような場合、そのような混合物を、15分よりも短い間、場合によってはさらに、10分よりも短い間、溶融状態に保持することができる。押出機を使用して溶融供給物を生成する場合、上記の時間は、物質が押出機に導入されてから溶融混合物が凝固されるまでの平均時間を意味する。このような平均時間は、当技術分野でよく知られている手順により決定することができる。例えば、押出機が公称条件の下で動作している間に少量の染料または他のトレーサ物質を供給物に加える。次いで、凝固した多粒子を、時間をかけて回収し、染料またはトレーサ物質の分析を行い、そこから平均時間を求める。特に好ましい実施形態では、アジスロマイシンは、実質的に結晶性二水和物状態に保持される。これを遂行するために、供給物は、水を加えて溶融混合物の最高温度で少なくとも30%の相対湿度となるようにすることにより水和されるのが好ましい。
【0057】
溶融混合物が噴霧された後、通常、液滴を液滴の固化温度よりも低い温度の気体または液体に接触させて凝固させる。通常、液滴は、約60秒よりも短い間に、好ましくは約10秒よりも短い間に、より好ましくは約1秒よりも短い間に、凝固される。多くの場合、周囲温度で凝固すると、液滴は十分高速で固化し、過剰なアジスロマイシンエステル形成が回避される。しかし、凝固工程は、多粒子の回収を簡素化するために密閉空間内で実行されることが多い。このような場合、凝固媒体(気体または液体)の温度は、液滴が密閉空間内に導入されるにつれ時間の経過とともに高くなり、アジスロマイシンエステルが形成される可能性が生じる。そのため、冷却気体または液体は、凝固温度を一定に保つために密閉空間内を循環することが多い。使用される担体がアジスロマイシンと高い反応性を有する場合、アジスロマイシンが溶融担体に曝される時間は、許容可能な低いレベルに保たれなければならない。このような場合、冷却気体または液体を周囲温度よりもの低い温度に冷却して高速凝固を促進し、さらにアジスロマイシンエステルの形成を低減することができる。
【0058】
好ましい実施形態では、多粒子中のアジスロマイシンは、結晶性二水和物などの結晶性水和物の形態をとる。結晶性水和物形態を保持し、他の結晶性形態への転換を防ぐために、上述のように、凝固雰囲気または液体中の水の濃度を高く保ち、水和水の喪失を避けるようにしなければならない。一般に、凝固媒体の湿度は、アジスロマイシンの結晶性形態を保持するために、30%RH以上の高さに保持されなければならない。
【0059】
アジスロマイシン
本発明の多粒子は、アジスロマイシンを含む。アジスロマイシンは、好ましくは、多粒子の全重量の約5重量%から約90重量%、より好ましくは約10重量%から約80重量%、さらに好ましくは約30重量%から約60重量%を占める。
【0060】
本明細書で使用されているように、「アジスロマイシン」は、アジスロマイシンのすべての多形体、同形体、仮像、包接体、塩、溶媒和物、および水和物とともに、無水アジスロマイシンを含むすべての非晶質および結晶性形態を意味する。請求項の治療量に関する、または放出速度におけるアジスロマイシンの言及は、活性アジスロマイシン、つまり、分子量が749g/モルの非塩、非水和アザライド分子を指している。
【0061】
好ましくは、本発明のアジスロマイシンは、アジスロマイシン二水和物であり、これは、米国特許第6,268,489号で開示されている。
【0062】
本発明の他の実施形態では、アジスロマイシンは、非二水和アジスロマイシン、非二水和アジスロマイシンの混合物、またはアジスロマイシン二水和物と非二水和アジスロマイシンとの混合物を含む。好適な非二水和アジスロマイシンの例は、これらに限定するものではないが、他の結晶形B、D、E、F、G、H、J、M、N、O、P、Q、およびRを含む。
【0063】
アジスロマイシンは、さらに、アジスロマイシンの水和物および/または溶媒和物である、I属およびII属同形体として存在する。キャビティ内の溶媒分子は、特定の条件の下で溶媒と水との間で交換を行う傾向を有する。したがって、同形体の溶媒/水含量は、ある程度変化しうる。
【0064】
アジスロマイシンの吸湿性水和物であるアジスロマイシン形態Bは、米国特許第4,474,768号で開示されている。
【0065】
アジスロマイシン結晶形D、E、F、G、H、J、M、N、O、P、Q、およびRは、2003年8月28日に公開された共通出願の米国特許公開第20030162730号で開示されている。
【0066】
結晶形B、F、G、H、J、M、N、O、およびPは、I属アジスロマイシンに属しており、格子定数がa=16.3±0.3Å、b=16.2±0.3Å、c=18.4±0.3Å、およびベータ=109±2°である単斜晶系空間群P21を有する。
【0067】
結晶形Fアジスロマイシンは、単結晶構造で化学式C3872212・H2O・0.5C25OHのアジスロマイシンエタノール溶媒和物であり、アジスロマイシン一水和物ヘミエタノール溶媒和物である。結晶形Fは、さらに、質量で水2〜5重量%、エタノール1〜4重量%を粉末試料内に含むものとして特徴付けられる。形態Fの単結晶は、単斜晶系空間群P21で結晶化され、非対称単位は2個のアジスロマイシン分子、2個の水分子、および1個のエタノール分子を一水和物/ヘミエタノール溶媒和物として含む。これは、すべてのI属アジスロマイシン結晶形状に同形である。理論的な水およびエタノール含量は、それぞれ、2.3および2.9重量%である。
【0068】
結晶形Gアジスロマイシンは、単結晶構造で化学式C3872212・1.5H2Oで表され、アジスロマイシンセスキ水和物である。結晶形Gは、さらに、質量で水2.5〜6重量%、および有機溶媒<1重量%を粉末試料内に含むものとして特徴付けられる。結晶形Gの単結晶構造は、非対称単位1個につき2個のアジスロマイシン分子および3個の水分子からなり、これは、理論的水含量3.5重量%のセスキ水和物に対応する。結晶形Gの粉末試料の水含量は、約2.5から約6重量%の範囲である。全残留有機溶媒は、結晶化に使用される対応する溶媒の1重量%未満である。
【0069】
結晶形Hアジスロマイシンは、化学式C3872212・H2O・0.5C382で表され、アジスロマイシン一水和物ヘミ−1,2プロパンジオール溶媒和物として特徴付けることができる。結晶形Hは、アジスロマイシン遊離塩基の一水和物/ヘミ−プロピレングリコール溶媒和物である。
【0070】
結晶形Jアジスロマイシンは、単結晶構造で化学式C3872212・H2O・0.5C37OHで表され、アジスロマイシン一水和物ヘミ−n−プロパノール溶媒和物である。結晶形Jは、さらに、質量で水2〜5重量%、およびn−プロパノール1〜5重量%を粉末試料内に含むものとして特徴付けられる。計算で求められた溶媒含量は、n−プロパノール約3.8重量%および水約2.3重量%である。
【0071】
結晶形Mアジスロマイシンは、化学式C3872212・H2O・0.5C37OHで表
され、アジスロマイシン一水和物ヘミ−イソプロパノール溶媒和物である。結晶形Mは、さらに、質量で水2〜5重量%、および2−プロパノール1〜4重量%を粉末試料内に含むものとして特徴付けられる。結晶形Mの単結晶構造は、一水和物/ヘミ−イソプロパノール溶媒和物となるであろう。
【0072】
結晶形Nアジスロマイシンは、I族の同形体の混合物である。この混合物は、同形体F、G、H、J、M、およびその他の可変割合、および水およびエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、プロピレングリコール、アセトン、アセトニトリル、ブタノール、ペンタノールなどの有機溶媒の可変割合を含むことができる。水の質量パーセントは、1〜5.3重量%の範囲であり、有機溶媒の全質量パーセントは、2〜5重量%で、それぞれの溶媒は0.5〜4重量%を占めていてよい。
【0073】
結晶形Oアジスロマイシンは、化学式C3872212・0.5H2O・0.5C49OHで表され、単結晶構造データによるアジスロマイシン遊離塩基の半水和物ヘミ−n−ブタノール溶媒和物である。
【0074】
結晶形Pアジスロマイシンは、化学式C3872212・H2O・0.5C512Oで表され、アジスロマイシン一水和物ヘミ−n−ペンタノール溶媒和物である。
【0075】
結晶形Qは、I族およびII族と異なり、化学式C3872212・H2O・0.5C48Oで表され、アジスロマイシン一水和物ヘミテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物である。これは、水約4重量%およびTHF約4.5重量%を含む。
【0076】
結晶形D、E、およびRは、II族アジスロマイシンに属し、格子定数がa=8.9±0.4Å、b=12.3±0.5Å、およびc=45.8±0.5Åである斜方晶系空間群P2111を含む。
【0077】
結晶形Dアジスロマイシンは、単結晶構造で化学式C3872212・H2O・C612で表され、アジスロマイシン一水和物モノシクロヘキサン溶媒和物である。結晶形Dは、さらに、質量で水2〜6重量%、およびシクロヘキサン3〜12重量%を粉末試料内に含むものとして特徴付けられる。単結晶データから、結晶形Dの計算で求められた水およびシクロヘキサン含量は、それぞれ2.1および9.9重量%である。
【0078】
結晶形Eアジスロマイシンは、化学式C3872212・H2O・C48Oで表され、単結晶分析によりアジスロマイシン一水和物モノ−THF溶媒和物である。
【0079】
結晶形Rアジスロマイシンは、化学式C3872212・H2O・C512Oで表され、アジスロマイシン一水和物モノ−メチル第三級ブチルエーテル溶媒和物である。結晶形Rは、理論的水含量2.1重量%、および理論的メチル第三級ブチルエーテル含量10.3重量%を有する。
【0080】
非二水和物アジスロマイシンの他の例は、限定はしないが、アジスロマイシンのエタノール溶媒和物またはアジスロマイシンのイソプロパノール溶媒和物を含む。アジスロマイシンのこのようなエタノールおよびイソプロパノール溶媒和物は米国特許第6,365,574号および第6,245,903号、および2003年8月28日に公開された米国特許出願公開第20030162730号で開示されている。
【0081】
非二水和物アジスロマイシンの他の例は、限定はしないが、2001年11月29日に公開された米国特許出願公開第20010047089号、および2002年8月15日に公開された米国特許出願公開第20020111318号、さらに国際出願公開第WO01/00640号、第WO01/49697号、第WO02/10181号、および第WO02/42315号で開示されているようなアジスロマイシン一水和物を含む。
【0082】
非二水和物アジスロマイシンの他の例は、限定はしないが、2003年7月24日に公開された米国特許出願公開第20030139583号、および米国特許第6,528,492号で開示されているような無水アジスロマイシンを含む。
【0083】
好適なアジスロマイシン塩の例は、限定はしないが、米国特許第4,474,768号で開示されているようなアジスロマイシン塩を含む。
【0084】
好ましくは、多粒子中のアジスロマイシンの少なくとも70重量%は、結晶性である。多粒子中のアジスロマイシンの結晶化度は、多粒子中の結晶性アジスロマイシンの量が少なくとも約80%であることを意味する「実質的に結晶性」、結晶性アジスロマイシンの量が少なくとも約90%であることを意味する「ほとんど完全に結晶性」、または多粒子中の結晶性アジスロマイシンの量が少なくとも95%であることを意味する「本質的に結晶性」であることができる。
【0085】
多粒子中のアジスロマイシンの結晶化度は、粉末X線回折(PXRD)分析を使用して決定することができる。例示的な手順では、PXRD分析は、Bruker AXS D8 Advance回折計で実行できる。この分析では、約500mgの試料をLucite試料カップに詰め込んで、スライドガラスを使用して試料面を滑らかにし、試料カップの上部と同じ高さの一貫して滑らかな試料面を得た。φ平面内で30rpmの速度で試料を回転させ、結晶方位効果を最小にした。X線源(S/B KCuα、λ=1.54Å)は、電圧45kV、電流40mAで動作させた。それぞれの試料のデータは、約20から約60分の期間にわたり約12秒/ステップの走査速度、ステップサイズ0.02°/ステップで連続検出器走査モードにより収集された。ディフラクトグラムは、10°から16°までの2θ範囲にわたって収集された。
【0086】
試験試料の結晶化度は、以下のように較正基準と比較して決定された。較正基準は、アジスロマイシン/担体20重量%/80重量%およびアジスロマイシン/担体80重量%/20重量%の物理的混合物で構成された。それぞれの物理的混合物を、ターブラミキサーで15分間ブレンドした。計装ソフトウェアを使用して、基準直線を使用して10°から16°までの2θ範囲にわたりディフラクトグラム曲線の下の面積を積分した。この積分範囲には、担体関連のピークを除外しつつ、可能な限り多くのアジスロマイシン固有のピークを含めた。さらに、約10°2θの大きなアジスロマイシン固有ピークは、積分領域内で走査間バラツキが大きいため省かれた。結晶性アジスロマイシンの割合対ディフラクトグラム曲線の下の面積の直線較正曲線を、較正基準から生成した。その後、それらの較正結果および試験試料に対する曲線の下の面積を使用して、試験試料の結晶化度を決定した。結果は、アジスロマイシン結晶化度の平均割合(結晶質量により)として報告された。
【0087】
結晶性アジスロマイシンは、非晶質形態よりも化学的に、また物理的に安定しているため好ましい。化学安定性は、結晶形態においてアジスロマイシン分子は低い熱力学的エネルギー状態にある三次元剛構造に固定されるという事実に起因する。したがって、例えば、担体と反応させるためにこの構造からアジスロマイシン分子を取り除くには、かなりの量のエネルギーを必要とする。さらに、結晶力は、結晶構造内のアジスロマイシン分子の可動性を低減する。その結果、アジスロマイシンと担体上の酸およびエステル置換基との反応速度は、非晶質アジスロマイシンを含む製剤と比較したときに結晶性アジスロマイシンでは著しく低下する。
【0088】
アジスロマイシンエステルの形成
アジスロマイシンエステルは、アジスロマイシンのヒドロキシル置換基の直接エステル化またはエステル交換を介して形成することができる。直接エステル化は、カルボン酸基を持つ賦形剤がアジスロマイシンのヒドロキシル置換基と反応し、アジスロマイシンエステルを形成できることを意味する。エステル交換とは、エステル置換基を有する賦形剤がヒドロキシル基と反応し、担体のカルボキシレートをアジスロマイシンに移動し、さらに、アジスロマイシンエステルを生み出せることを意味する。アジスロマイシンエステルの目的のある合成から、エステルは、通常、デソサミン環の2’炭素(C2’)に結合されているヒドロキシル基で形成することがわかったが、クラジノース環上の4''炭素(C4'')に結合しているヒドロキシルまたはマクロライド環上のC6、C11、またはC12炭素に結合しているヒドロキシルでのエステル化も、アジスロマイシン製剤において生じる可能性がある。アジスロマイシンとC16からC22の脂肪酸グリセリントリエステルとのエステル交換反応の一例を以下に示す。
【化1】

【0089】
通常、このような反応では、賦形剤上の1つの酸または1つのエステル置換基は、それぞれ、アジスロマイシンの1分子と反応しうるが、アジスロマイシンの単一分子上での2つまたはそれ以上のエステルの形成も可能である。賦形剤がアジスロマイシンと反応してアジスロマイシンエステルを形成する可能性を評価する都合のよい手段として、組成物中のアジスロマイシンのグラム当たりの担体の酸またはエステル置換基のモル数または当量がある。例えば、賦形剤が組成物中のアジスロマイシンのグラム当たり0.13ミリグラム当量(meq)の酸またはエステル置換基を持ち、それらの酸またはエステル置換基のすべてがアジスロマイシンと反応し、一置換アジスロマイシンエステルが形成される場合、0.13meqのアジスロマイシンエステルが形成されるであろう。アジスロマイシンの分子量は、749g/モルであるため、これは、アジスロマイシン約0.1gが、組成物中に最初に存在していたアジスロマイシンのグラム毎に組成物中のアジスロマイシンエステルに転換されることを意味する。そのため、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は10重量%となるであろう。しかし、組成物中のすべての酸およびエステル置換基が反応してアジスロマイシンエステルを形成することはあり得ない。後述のように、多粒子内のアジスロマイシンの結晶化度が大きいほど、賦形剤上の酸およびエステル置換基の濃度が高まるが、それでも、許容可能な量のアジスロマイシンエステルを含む組成物が得られる。
【0090】
温度T(℃)における所定の賦形剤に対するアジスロマイシンエステル形成速度Re(重量%/日)は、以下の式に従って、ゼロ次反応モデルを使用して予測することができる。
e=Cエステル÷t (I)
ただし、Cエステルは、形成されたアジスロマイシンエステルの総濃度(重量%)であり、tは、温度Tにおけるアジスロマイシンと賦形剤との間の接触時間(日数)である。
【0091】
賦形剤とともにアジスロマイシンエステルを形成する反応速度を決定する手順は以下の通りである。賦形剤を融点よりも高い一定の温度まで加熱し、等しい重量のアジスロマイシンを溶融賦形剤に加え、それにより、溶融賦形剤中でアジスロマイシンの懸濁液または溶液を形成する。その後、溶融混合物の試料を定期的に回収し、後述の手順を使用してアジスロマイシンエステルの形成について分析する。次いで、上記の式Iを使用してエステル形成速度を決定することができる。
【0092】
それとは別に、賦形剤の溶融温度以下の温度で賦形剤とアジスロマイシンをブレンドし、そのブレンドを50℃などの都合のよい温度で保存することができる。ブレンドの試料は、後述のように、定期的に取り出して、アジスロマイシンエステルについて分析することができる。次いで、上記の式Iを使用してエステル形成速度を決定することができる。
【0093】
当技術分野でよく知られている多数の手法を使用して、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度を決定することができる。例示的な手法は、高性能液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)法である。この手法では、アジスロマイシンおよびアジスロマイシンエステルは、メタノールまたはイソプロピルアルコールなどの適切な溶媒を使用して多粒子から抽出される。その後、抽出溶媒を、0.45μmのナイロンシリンジフィルターで濾過し、溶媒中に存在する粒子を取り除くことができる。次いで、当技術分野でよく知られている手順を使用して、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により抽出溶媒中に存在するさまざまな化学種を分離することができる。質量分析計を使用して、化学種を検出するが、アジスロマイシンおよびアジスロマイシンエステルの濃度は、内部または外部アジスロマイシン制御に基づいて質量分析計のピーク領域から計算される。信頼できる標準のエステルが合成された場合、アジスロマイシンエステルへの外部参照を使用することができるのが好ましい。その後、アジスロマイシンエステル値は、試料内の全アジスロマイシンの割合として報告される。
【0094】
約10重量%未満の全アジスロマイシンエステル含量を満たすには、アジスロマイシンエステル形成速度Re(重量%/日)は、
Re≦3.6×108・e-7070/(T+273)
でなければならず、ただし、Tは温度(℃)である。
【0095】
約5重量%未満の好ましい全アジスロマイシンエステル含量を満たすには、全アジスロマイシンエステル形成速度は、
Re≦1.8×108・e-7070/(T+273)
でなければならない。
【0096】
約1重量%未満のより好ましい全アジスロマイシンエステル含量を満たすには、全アジスロマイシンエステル形成速度は、
Re≦3.6×107・e-7070/(T+273)
でなければならない。
【0097】
約0.5重量%未満のさらにより好ましい全アジスロマイシンエステル含量を満たすには、全アジスロマイシンエステル形成速度は、
Re≦1.8×107・e-7070/(T+273)
でなければならない。
【0098】
約0.1重量%未満の最も好ましい全アジスロマイシンエステル含量を満たすには、全アジスロマイシンエステル形成速度は、
Re≦3.6×106・e-7070/(T+273)
でなければならない。
【0099】
アジスロマイシンが賦形剤と反応しアジスロマイシンエステルを形成する可能性を評価する都合のよい方法は、賦形剤の酸/エステル置換の程度を確認することである。これは、それぞれの賦形剤分子の分子量でそれぞれの賦形剤分子上の酸およびエステル置換基の数を除算し、それぞれの賦形剤分子のグラム当たりの酸およびエステル置換基の個数を求めることにより決定することができる。多くの好適な賦形剤が実際に、いくつかの特定の分子タイプの混合物であるため、置換基の数および分子量の平均値をこれらの計算で使用することができる。その後、組成物内のアジスロマイシンのグラム当たりの酸およびエステル置換基の濃度は、この数に組成物内の賦形剤の質量を乗算し、組成物内のアジスロマイシンの質量で除算することにより決定することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン、
CH3(CH216COOCH2CHOHCH2OH
は、分子量358.6g/モル、および1モル当たり1つのエステル置換基を有する。そこで、賦形剤のグラム当たりのエステル置換基濃度は、1eq÷358.6g、すなわち0.0028eq/gの賦形剤、すなわち2.8meq/gの賦形剤である。アジスロマイシン30重量%およびモノステアリン酸グリセリン70重量%を含む多粒子が形成される場合、アジスロマイシンのグラム当たりエステル置換基濃度は、
2.8meq/g×70/30=6.5meq/g
となるであろう。
上記の計算は、賦形剤候補上の酸およびエステル置換基の濃度を計算するために使用できる。
【0100】
しかし、ほとんどの場合、候補となる賦形剤は、純粋な形態では入手できず、複数の主分子タイプとともに酸またはエステルの可能性もありうる少量の不純物または分解産物の混合物を構成する場合がある。さらに、多くの賦形剤の候補は、天然物であるか、または広範な化合物を含みうる天然物から誘導されるため、上記の計算は、不可能でないとしても、きわめて困難なものとなる。このような理由から、本発明者らは、そのような物質上の酸/エステル置換の程度は、多くの場合、賦形剤の鹸化数または鹸化価を使用することにより最も容易に推定できることを発見した。鹸化数は、物質1グラム内に存在する酸またはエステル置換基を中和または加水分解するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。鹸化数の測定は、多くの市販の医薬品賦形剤を特徴付ける標準的な方法であり、メーカーは、賦形剤の鹸化数を提示していることが多い。鹸化数は、賦形剤自体に存在する酸およびエステル置換基を説明するだけでなく、賦形剤内の不純物または分解産物のせいで存在するそのような置換基をも説明する。したがって、鹸化数は、多くの場合、賦形剤内の酸/エステル置換の程度を表すより正確な尺度となる。
【0101】
候補賦形剤の鹸化数を決定する一手順は以下の通りである。まず水酸化カリウム5から10gを95%のエタノール1リットルに加え、その混合液を約1時間かけて還流冷却器の下で沸騰させることにより水酸化カリウム溶液を製造する。次に、エタノールを蒸留し、15.5℃以下になるまで冷却する。蒸留されたエタノールをこの温度以下に保ちつつ、水酸化カリウム40gをそのエタノールに溶解し、アルカリ性試薬を形成する。次いで、賦形剤の試料4から5gを、還流冷却器を備えたフラスコに加える。さらに、アルカリ性試薬の試料50mLをそのフラスコに加え、還流条件の下でその混合液を、鹸化が完了するまで、一般に、約1時間、沸騰させる。次に、溶液を冷まし、フェノールフタレイン溶液1mL(95%エタノール中1%)を混合液に加え、ピンク色がちょうど消えるまでHCl 0.5Nで混合液を滴定する。次に、物質のグラム当たりの水酸化カリウムのmg単位の鹸化数を、以下の式
鹸化数=[28.05×(B−S)]+試料の重量
から計算するが、ただし、Bは、ブランク試料(賦形剤をいっさい含まない試料)を滴定するのに要するHClのmL数であり、Sは、その試料を滴定するのに要するHClのmL数である。物質の鹸化数を決定するそのような手法の詳細は、Welcher「Standard Methods of Chemical Analysis」(1975年)に示されている。米国材料試験協会(ASTM)では、さらに、ASTM D1387−89、D94−00、およびD558−95などの、さまざまな物質について鹸化数を決定するための試験をいくつか定めている。これらの手法は、さらに、潜在的賦形剤の鹸化数を決定するのに適していると思われる。
【0102】
いくつかの賦形剤について、多粒子を形成するために使用される処理条件(例えば、高温)の結果として、賦形剤の化学的構造が変化し、場合によっては、例えば、酸化により酸および/またはエステル置換基が形成されることもある。したがって、賦形剤の鹸化数は、多粒子を形成することについて予想される処理条件に曝された後に測定すべきである。この方法で、アジスロマイシンエステルの形成を引き起こす可能性のある賦形剤からの潜在的分解産物を説明できる。
【0103】
賦形剤上の酸およびエステル置換の程度は、以下のように鹸化数から計算できる。鹸化数を水酸化カリウムの分子量56.11g/モルで除算すると、賦形剤1グラムに存在する酸またはエステル置換基を中和または加水分解するのに要する水酸化カリウムのミリモル数が得られる。水酸化カリウム1モルは酸またはエステル置換基1当量を中和するので、鹸化数を水酸化カリウムの分子量で除算しても、賦形剤1グラムに存在する酸またはエステル置換基のmeq数が得られる。
【0104】
例えば、モノステアリン酸グリセリンは、メーカーによって指定されている通り、鹸化数165で得られる。そのため、モノステアリン酸グリセリンのグラム当たりの酸/エステル置換の程度つまりその酸/エステル濃度は、
165÷56.11=2.9meq/g賦形剤
となる。
【0105】
アジスロマイシン30重量%およびモノステアリン酸グリセリン70重量%の組成物の上記の例を使用すると、アジスロマイシンのグラム当たりの形成されるエステルの理論的濃度は、すべてのアジスロマイシンが反応したとすれば、
2.9meq/g×70/30=6.8meq/g
となるであろう。
【0106】
多粒子が2つまたはそれ以上の賦形剤を含む場合、すべての賦形剤中の酸およびエステル基の総濃度を使用して、多粒子中のアジスロマイシンのグラム当たりの酸/エステル置換の程度が決定される。例えば、賦形剤Aの酸/エステル置換基濃度[A]が、組成物中に存在するアジスロマイシンg当たり3.5meqであり、賦形剤Bの[A]が0.5meq/gアジスロマイシンであり、そしてこれらは、組成物中の賦形剤の総量が50重量%となる量で存在する場合、賦形剤の混合物の実質的な[A]は、(3.5+0.5)÷2、すなわち2.0meq/gアジスロマイシンである。このようにして、酸/エステル置換の程度がかなり高いいくつかの賦形剤を組成物内で使用することができる。
【0107】
本発明で使用される賦形剤および担体は、アジスロマイシンエステルを形成する傾向に関して(1)非反応性、(2)低反応性、(3)中反応性、および(4)高反応性の4つの一般的カテゴリに分類することができる。押出機を使用して担体、任意選択の賦形剤、および薬剤の溶融混合物を形成する場合、本発明の方法は、噴霧工程の前に押出機を使用してかなり穏やかな温度を使用できるので中反応性および高反応性の担体ならびに任意選択の賦形剤を使用してアジスロマイシン多粒子を形成する際に特に有用である。
【0108】
非反応性担体および賦形剤は、一般に、酸またはエステル置換基を持たず、酸またはエステルを含む不純物を有しない。一般に、非反応性物質は、賦形剤1g当たり0.0001meq未満の酸/エステル濃度を有する。非反応性担体および賦形剤は、ほとんどの物質が少量の不純物を含むため、非常にまれである。したがって、非反応性担体および賦形剤は高純度でなければならない。さらに、非反応性担体および賦形剤は、多くの場合、炭化水素であるが、それは、担体または賦形剤中に他の成分が存在するため、酸またはエステル不純物が含まれる可能性があるためである。非反応性担体および賦形剤に対するアジスロマイシンエステルの形成速度は、本質的に0であり、賦形剤とのアジスロマイシンの反応速度を決定することについて上述の条件の下で形成するアジスロマイシンエステルはない。非反応性担体および賦形剤の例は、合成ろう、マイクロクリスタリンワックス、およびパラフィンろうといった高純度の炭化水素形態を含む。
【0109】
低反応性担体および賦形剤は、さらに、酸またはエステル置換基を持たないが、多くの場合、酸またはエステル置換基を含む少量の不純物または分解産物を含む。一般に、低反応性担体および賦形剤は、賦形剤1g当たり約0.1meq未満の酸/エステル濃度を有する。一般に、低反応性担体および賦形剤では、アジスロマイシンエステルの形成速度は100℃で測定したときに、約0.005重量%/日未満である。低反応性賦形剤の例は、ステアリルアルコール、セチルアルコールおよびポリエチレングリコールなどの長鎖アルコール、ならびに微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびエチルセルロースなどのエーテル置換セルロース誘導体を含む。
【0110】
中反応性担体および賦形剤は、酸またはエステル置換基を含むことが多いが、賦形剤の分子量に比較すると相対的に少ない。一般に、中反応性担体および賦形剤は、賦形剤1g当たり約0.1から約3.5meqの酸/エステル濃度を有する。例は、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリエトキシ化ひまし油誘導体、ジベヘン酸グリセリン、およびモノベヘン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリンおよびトリベヘン酸グリセリンの混合物を含む、モノアルキルグリセリド、ジアルキルグリセリドおよびトリアルキルグリセリドの混合物、トリステアリン酸グリセリン、トリパルミチン酸グリセリン、および硬化植物油などの長鎖脂肪酸エステル、ならびにカルナウバろう、白ろう、および蜜ろうなどのろうを含む。
【0111】
高反応性担体および賦形剤は、通常、複数の酸もしくはエステル置換基を有するか、または低分子量である。一般に、高反応性担体および賦形剤は、賦形剤1g当たり3.5meqを超える酸/エステル濃度を有し、アジスロマイシンエステルの形成速度は、100℃で約40重量%/日を超える。例は、ステアリン酸、安息香酸、およびクエン酸などのカルボン酸を含む。一般に、高反応性担体および賦形剤の酸/エステル濃度は、非常に高いため、それらの担体または賦形剤が製剤中のアジスロマイシンと直接接触すると、許容できないくらい高い濃度のアジスロマイシンエステルが組成物の処理または保存中に形成する。したがって、そのような高反応性担体および賦形剤は、低反応性の担体または賦形剤との併用のみが好ましく、そのため多粒子で使用される担体および賦形剤上の酸およびエステル基の総量は少ない。
【0112】
担体
多粒子は、薬剤として許容される担体を含む。「薬剤として許容される」は、担体は組成物の他の成分と適合性がなければならず、またその摂取者に悪影響があってはならないことを意味する。担体は、多粒子のマトリックスとして機能するか、または多粒子からのアジスロマイシンの放出速度に影響を及ぼすか、またはその両方である。担体は、一般に、多粒子の総質量に基づき、多粒子の約10重量%から約95重量%、好ましくは約20重量%から約90重量%、およびより好ましくは約40重量%から約70重量%を占める。担体は、約40℃の温度で固体であるのが好ましい。発明者らは、担体が40℃で固体でないならば、特に40℃などの高温で保存したときに、時間の経過とともに組成物の物理的特性が変化しうることを発見した。そのため、担体は、約50℃の温度で固体であるのが好ましく、約60℃で固体であるのがより好ましい。処理を簡単にするため、担体は、さらに、約130℃未満の温度で、好ましくは約115℃未満の温度で、より好ましくは約100℃未満の温度で流体または液体(例えば、溶融状態)であるのが好ましい。好ましい一実施形態では、担体は、アジスロマイシンの融点よりも低い融点を持つ。例えば、アジスロマイシン二水和物は113℃から115℃の融点を持つ。したがって、アジスロマイシン二水和物を本発明の多粒子で使用する場合に、担体は約113℃未満の融点を持つのが好ましい。
【0113】
本発明の多粒子における使用に好適な担体の例は、合成ろう、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンろう、カルナウバろう、および蜜ろうなどのろう、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリエトキシ化ひまし油誘導体、硬化植物油、モノベヘン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリン、トリベヘン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリパルミチン酸グリセリンなどのグリセリド、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびポリエチレングリコールなどの長鎖アルコール、ならびにそれらの混合物を含む。
【0114】
賦形剤
多粒子は、場合により、多粒子を形成するのを補助するための、または多粒子からのアジスロマイシンの放出速度に影響を及ぼすための、または当技術分野で知られている他の目的のための賦形剤を含むことができる。
【0115】
多粒子は、場合により、溶解促進剤(dissolution enhancer)を含むことができる。溶解促進剤は、多粒子からの薬剤の溶解速度を高める。一般に、溶解促進剤は、両親媒性化合物であり、一般に、担体よりも高い親水性を有する。溶解促進剤は、一般に、多粒子の全質量の約0.1から約30重量%を占める。例示的な溶解促進剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびポリエチレングリコールなどのアルコール、ポロキサマー(ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、およびポロキサマー407など)、ドクセート塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびソルビタンモノエステルなどの界面活性剤、グルコース、スクロース、キシリトール、ソルビトール、およびマルチトールなどの糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、およびリン酸カリウムなどの塩類、アラニンおよびグリシンなどのアミノ酸、およびそれらの混合物を含む。溶解促進剤は、好ましくは少なくとも1つの界面活性剤であり、および最も好ましくは、少なくとも1つのポロクサマーである。
【0116】
特定の理論またはメカニズムに束縛されることを望まないけれども、多粒子内で存在する溶解促進剤は、水性使用環境が多粒子に浸透する速度に影響を及ぼし、したがってアジスロマイシンが放出される速度に影響を及ぼすことが考えられる。さらに、このような賦形剤は、担体自体の水溶解を補助することにより、多くの場合ミセル中の担体を可溶化することによりアジスロマイシン放出速度を高めることができる。アジスロマイシン多粒子の適切な賦形剤の溶解促進剤および選択の詳細は、2003年12月4日に出願された同一出願人による米国特許出願第60/527319号(「Controlled Release Multiparticulates Formed with Dissolution Enhancers」、整理番号PC25016)で開示されている。
【0117】
多粒子からのアジスロマイシンの放出を抑制または遅延させる薬剤も、多粒子に含めることができる。このような溶解抑制剤は、一般に、疎水性である。溶解抑制剤の例としては、マイクロクリスタリンワックスおよびパラフィンろうなどの炭化水素ろう、ならびに分子量が約20,000ダルトンを超えるポリエチレングリコールがある。
【0118】
場合により多粒子に含めることができる他の有用なクラスの賦形剤は、多粒子を形成するために使用される溶融供給物の粘度を調整するために使用される物質を含む。このような粘度調整賦形剤は、一般に、多粒子の総質量に基づき、多粒子の0から25重量%を占める。溶融供給物の粘度は、粒子サイズ分布が狭い多粒子を得る際の重要な変数である。例えば、回転円盤噴霧器が使用される場合、溶融混合物の粘度は、少なくとも約1cpかつ約10,000cp未満、より好ましくは少なくとも50cpかつ約1000cp未満
であることが好ましい。溶融混合物の粘度がこれらの好ましい範囲を外れている場合、粘度調整賦形剤を添加して、好ましい粘度範囲の溶融混合物を得ることができる。粘度低減賦形剤の例は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、低分子量ポリエチレングリコール(例えば、約1000ダルトン未満)、イソプロピルアルコール、および水を含む。粘度増加賦形剤の例は、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンろう、合成ろう、高分子量ポリエチレングリコール(例えば、約5000ダルトンを超える)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウム、糖類、および塩類を含む。
【0119】
他の賦形剤を添加して、多粒子の放出特性を調整するか、または処理を改善することができ、これは、通常、多粒子の総質量に基づき、多粒子の0から50重量%を占める。例えば、水溶液中のアジスロマイシンの溶解度は、pHが高くなると減少するので、組成物中に塩基を入れて、水性使用環境内でアジスロマイシンが放出される速度を遅くすることができる。組成物に含めることができる塩基の例は、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、重炭酸ナトリウム、およびクエン酸ナトリウム二水和物とともに、当技術分野で知られている水和および無水形態を含む他の酸化物、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、およびクエン酸塩を含む。さらに他の賦形剤を添加して、多粒子上の静電荷を減らすことができる。このような帯電防止剤の例は、タルクおよび二酸化ケイ素を含む。矯味矯臭剤、着色剤、およびその他の賦形剤も、通常の目的のために通常の量だけ加えることができる。
【0120】
一実施形態では、担体および1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤は、固溶体を形成するが、これは、担体および1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤が単一の熱力学的安定相を形成することを意味する。このような場合、約40℃未満の温度で固体ではない賦形剤を使用することができるが、ただし、担体/賦形剤混合物は、最高約40℃までの温度で固体であるとする。これは、使用される賦形剤の融点および組成物に含まれる担体の相対量に左右される。一般に、一方の賦形剤の融点が大きいほど、固相にある担体をそのまま40℃以下に保持しつつ組成物に加えることができる低融点賦形剤の量は多くなる。
【0121】
他の実施形態では、担体および1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤は、固溶体を形成しないが、これは、担体および1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤が2つまたはそれ以上の熱力学的安定相を形成することを意味する。このような場合、担体/賦形剤混合物は、多粒子を形成するために使用される処理温度で完全溶融することができるか、または一方の物質を固体、他方の物質を溶融状態とし、一方の物質を溶融混合物中に懸濁させることができる。
【0122】
担体および1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤が固溶体を形成しないが、例えば、特定の放出制御プロファイルを得るために固溶体の形成が望まれている場合、追加の賦形剤を組成物中に含めて、担体、1つまたはそれ以上の任意選択の賦形剤、および追加の賦形剤を含む固溶体を生成することができる。例えば、マイクロクリスタリンワックスおよびポロクサマーを含む担体を使用して、所望の放出プロファイルを有する多粒子を得ることが望ましい場合がある。このような場合、固溶体は、一つは、マイクロクリスタリンワックスの疎水性とポロクサマーの親水性のため形成されない。ステアリルアルコールなどの少量の第3の成分を組成に含めることにより、固溶体を実現し、所望の放出プロファイルを有する多粒子を得ることができる。
【0123】
一実施形態では、アジスロマイシンは、溶融担体中での溶解度は低い。この低い溶解度のため、多粒子形成過程において非晶質アジスロマイシンの形成が制限され、その結果、低濃度のアジスロマイシンエステルを含む組成物が得られる。「溶融担体中の溶解度」は、溶融混合物が形成される処理条件で担体および溶解アジスロマイシンの総質量で除算された担体中に溶解されているアジスロマイシンの質量を意味する。担体中のアジスロマイシンの溶解度は、好ましくは約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、最も好ましくは約5重量%未満である。溶融担体中のアジスロマイシンの溶解度の測定は、結晶性アジスロマイシンを担体の溶融試料にゆっくりと加え、目視で、または光散乱などの定量的分析法を通じて、アジスロマイシンがもはや溶融試料中に溶解しなくなる点を決定することにより行うことができる。それとは別に、結晶性アジスロマイシンを余分に、溶融担体の試料に加え、懸濁液を形成することができる。次いで、この懸濁液を濾過または遠心分離し、未溶解結晶性アジスロマイシンを除去することができ、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)などの標準的な定量技術を使用して、液相中に溶解されているアジスロマイシンの量を測定することができる。これらの試験を実行する際に、前述のように、アジスロマイシンが曝される担体、雰囲気、または気体中の水の活性は、十分に高く保ち、アジスロマイシンの結晶形態が試験時に変化しないようにすべきである。
【0124】
アジスロマイシンが処理温度で担体中に高い溶解度を有する場合、溶解アジスロマイシンは、結晶性アジスロマイシンよりも反応性が高い。そのため、このような場合、酸/エステル置換基の担体の濃度は、形成されるアジスロマイシン多粒子が含むアジスロマイシンエステルの濃度が許容可能な低濃度であるように低くなければならない。好ましくは、処理温度での担体中のアジスロマイシンの溶解度が約20重量%未満であり、組成物中に残っているアジスロマイシンが結晶性である場合に、担体上の酸/エステル置換の程度は、組成物中で約1.0meq/gアジスロマイシン未満でなければならない。つまり、組成物が1グラムのアジスロマイシンを含む場合、担体上の酸およびエステル置換基の当量の総数は、約1.0meq未満でなければならない。より好ましくは、担体上の酸/エステル置換の程度は、約0.2meq/gアジスロマイシン未満でなければならず、さらにより好ましくは約0.1meq/gアジスロマイシン未満、最も好ましくは約0.02meq/g未満でなければならない。
【0125】
発明者らは、許容可能な量、つまり、約10重量%未満のアジスロマイシンエステルを含む多粒子について、担体上の酸およびエステル置換基の濃度と多粒子中のアジスロマイシンの結晶化度との間にトレードオフの関係があることを発見した。概して、多粒子中のアジスロマイシンの結晶化度が大きいほど、許容可能な量のアジスロマイシンエステルを含む多粒子を得るために、担体の酸/エステル置換の程度は大きくなる可能性がある。この関係は、数式
[A]≦0.4/(1−x) (II)
により定量化することができるが、ただし、[A]は、担体上の酸/エステル置換の総
濃度(meq/gアジスロマイシン)であり、2meq/g以下であり、xは、結晶性である組成物中のアジスロマイシンの質量分率である。担体が複数の賦形剤を含む場合、[A]の値は、meq/gアジスロマイシンの単位で、担体を構成するすべての賦形剤上の酸/エステル置換の総濃度を指す。
【0126】
アジスロマイシンエステル約5重量%未満を有するより好ましい多粒子では、アジスロマイシンおよび担体は、以下の式
[A]≦0.2/(1−x) (III)
を満たす。
【0127】
アジスロマイシンエステル約1重量%未満を有するよりいっそう好ましい多粒子では、アジスロマイシンおよび担体は、以下の式
[A]≦0.04/(1−x) (IV)
を満たす。
【0128】
アジスロマイシンエステル約0.5重量%未満を有するさらによりいっそう好ましい多粒子では、アジスロマイシンおよび担体は、以下の式
[A]≦0.02/(1−x) (V)
を満たす。
【0129】
アジスロマイシンエステル約0.1重量%未満を有する最も好ましい多粒子では、アジスロマイシンおよび担体は、以下の式
[A]≦0.004/(1−x) (VI)
を満たす。
【0130】
前記の数式(II)〜(VI)から、酸/エステル置換の担体の程度と組成物中のアジスロマイシンの結晶化度との間のトレードオフの関係を決定することができる。いずれの場合も、3.5meq/gアジスロマイシンを超える酸/エステル濃度の担体は、使用されないのが好ましいが、それは、酸/エステル置換の程度がそのように高いと、組成物は、許容できない高さの濃度のアジスロマイシンエステルを含むことが多いからである。
【0131】
一実施形態では、多粒子は、多粒子の総質量に基づき、アジスロマイシン約20から約75重量%、担体約25から約80重量%、および溶解促進剤約0.1から約30重量%を含む。
【0132】
より好ましい実施形態では、多粒子は、アジスロマイシン約35重量%から約55重量%、合成ろう、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンろう、カルナウバろう、および蜜ろうなどのろう、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリエトキシ化ひまし油誘導体、硬化植物油、モノベヘン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリン、トリベヘン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリパルミチン酸グリセリン、およびこれらの混合物などのグリセリドから選択された賦形剤約40重量%から約65重量%、、ならびにポロクサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびソルビタンモノエステルなどの界面活性剤、ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびポリエチレングリコールなどのアルコール、グルコース、スクロース、キシリトール、ソルビトール、およびマルチトールなどの糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、およびリン酸カリウムなどの塩類、アラニンおよびグリシンなどのアミノ酸、ならびにそれらの混合物から選択された溶解促進剤約0.1重量%から約15重量%を含む。
【0133】
他の実施形態では、本発明の方法により作られる多粒子は、(a)アジスロマイシン、(b)16個またはそれ以上の炭素原子からなる少なくとも1つのアルキレート置換基を有するグリセリド担体、および(c)ポロクサマーを含む。多粒子中の薬剤の少なくとも70重量%は、結晶性である。これらの特定の担体賦形剤の選択により、広範な放出速度についてアジスロマイシンの放出速度を正確に制御することができる。グリセリド担体およびポロクサマーの相対量の変化がわずかでも、薬剤の放出速度は大きく変化する。このため、薬剤、グリセリド担体、およびポロクサマーの適切な比を選択することにより、多粒子からの薬剤の放出速度を正確に制御することができる。これらのマトリックス材は、多粒子からほぼすべての薬剤を放出するという利点をさらに有する。このような多粒子は、2003年12月3日に出願された同一出願人による米国特許出願第60/527329号(「Multiparticulate Crystalline Drug Compositions Having Controlled Release Profiles」整理番号PC25020)でさらに完全に開示されている。
【0134】
一態様では、多粒子は、非分散マトリックス(non−disintegrating matrix)の形態である。「非分散マトリックス」とは、多粒子が水性使用環境に導入された後、担体の少なくとも一部が溶解または分散しないことを意味する。このような場合、アジスロマイシンおよび場合により担体または任意選択の賦形剤の一部、例えば、溶解促進剤が、溶解により多粒子から放出される。担体の少なくとも一部は、溶解または分散せず、使用環境がインビボの場合に排出されるか、または使用環境がインビトロの場合に試験液内で懸濁されたままとなる。この態様では、担体は、水性使用環境では溶解度が低いのが好ましい。好ましくは、水性使用環境での担体の溶解度は、約1mg/mL未満、より好ましくは約0.1mg/mL未満、最も好ましくは約0.01mg/mL未満である。好適な低溶解性の担体の例は、合成ろう、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンろう、カルナウバろう、および蜜ろうなどのろう、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、モノベヘン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリン、トリベヘン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリパルミチン酸グリセリンなどのグリセリド、ならびにそれらの混合物を含む。
【0135】
放出制御
本発明の方法により作られる多粒子組成物は、使用環境に導入された後、アジスロマイシンの制御放出を行うように設計されている。「制御放出」とは、徐放、遅延放出、および遅延時間を伴う徐放を意味する。組成物は、副作用の状況を改善する十分に遅い速度でアジスロマイシンの放出を行わせることにより機能しうる。組成物は、さらに、十二指腸から遠位にあるGI管の一部に大量のアジスロマイシンを放出することもできる。以下では、治療量に関する、または放出速度における「アジスロマイシン」の言及は、活性アジスロマイシン、つまり、分子量が749g/モルの非塩、非水和マクロライド分子を指している。
【0136】
一態様では、本発明の方法により形成される組成物は、同一出願人による米国特許第6,068,859号で述べられている放出プロファイルに従ってアジスロマイシンを放出する。
【0137】
他の態様では、本発明の方法により形成される組成物は、37℃でpH 6.0のNa2HPO4緩衝液900mLを含む攪拌された緩衝化試験媒体への組成物を含む投薬形態の投与後、アジスロマイシンを、該緩衝化試験媒体への投与後(i)0.25時間で投薬形態中のアジスロマイシンの約15から約55重量%、ただし1.1gA以下、(ii)0.5時間で投薬形態中のアジスロマイシンの約30から約75重量%、ただし、1.5gA以下、好ましくは1.3gA以下、および(iii)1時間で投薬形態中のアジスロマイシンの約50重量%超の速度で試験媒体に放出する。さらに、本発明の組成物を含む投薬形態は、投薬から少なくとも2時間以内で少なくとも0.5μg/mLの最高アジスロ
マイシン血中濃度に達した断食状態の患者のアジスロマイシン放出プロファイルおよび投薬から96時間以内の少なくとも10μg時間/mLであるアジスロマイシン血中濃度対時間曲線の下の面積を示す。
【0138】
本発明の方法により作られる多粒子を1つまたはそれ以上の薬剤として許容される物質と混合またはブレンドして、好適な投薬形態を形成することができる。好適な投薬形態は、錠剤、カプセル、サシェ、体質用経口パウダーなどを含む。
【0139】
多粒子は、さらに、副作用の発生を低減するためにアルカリ化剤とともに投薬することもできる。本明細書で使用されているような「アルカリ化剤」という用語は、構成懸濁液(constituted suspension)または患者に経口投与した後の前記患者の胃の中のpHを高める1つまたはそれ以上の薬剤として許容される賦形剤を意味する。アルカリ化剤は、例えば、制酸剤だけでなく、他の薬剤として許容される(1)有機および無機塩基、(2)強有機および無機酸の塩、(3)弱有機および無機酸の塩、および(4)緩衝液を含む。例示的なアルカリ化剤は、限定はしないが、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどのアルミニウム塩、炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩、重カルシウム塩および重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム(TSP)、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウムなどのリン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化ナトリウム、および水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、N−メチルグルカミン、アルギニンおよびその塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などのアミン、およびこれらの組み合わせを含む。好ましくは、アルカリ化剤は、TRIS、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、第二リン酸ナトリウム、TSP、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、またはこれらの組み合わせである。より好ましくは、アルカリ化剤は、TSPと水酸化マグネシウムの組み合わせである。アルカリ化剤は、2003年12月4日に出願された同一出願人による米国特許出願第60/527084号(「Azithromycin Dosage Forms With Reduced Side Effects」整理番号PC25240)において、アジスロマイシン含有多粒子についてさらに完全に開示されている。
【0140】
本発明の方法により作られる多粒子は、後処理を行って、薬剤の結晶化度および/または多粒子の安定性を改善することができる。一実施形態では、多粒子は、アジスロマイシンおよび少なくとも1つの担体を含み、担体の融点はTm℃であり、多粒子は、(i)多粒子を少なくとも約35℃かつ約(Tm℃−10℃)未満の温度まで加熱する、(ii)多粒子を流動促進剤に曝す、のうちの少なくとも1つによりその形成後に処理される。この後処理工程の結果、多粒子の薬剤結晶化度が高まり、通常、多粒子の化学安定性、物理安定性、および溶解安定性のうちの少なくとも1つが改善される。後処理の方法は、2003年12月4日に出願された同一出願人による米国特許出願第60/527245号(「Multiparticulate Compositions with Improved Stability」整理番号PC11900)でさらに完全に開示されている。
【0141】
さらに詳しく述べなくても、当業者であれば、前述の説明を用いて、本発明を完璧に利用できると考えられる。したがって、以下の具体的な実施形態は、単に例示的であると解釈すべきであり、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。当業者であれば、以下の実施例の条件および方法の知られている変更形態を使用できることを理解するであろう。
【0142】
〔実施例〕
スクリーニング例1〜3
アジスロマイシンが異なる温度で、異なる期間に溶融物内でエステルを形成する傾向を調べた。ベヘン酸グリセリンの混合物(モノベヘネート13から21重量%、ジベヘネート40から60重量%、およびトリベヘネート21から35重量%)(ニュージャージー州パラマスのGattefosse CorporationのCOMPRITOL 888 ATO)をガラスバイアル内で試料2.5g中に堆積させ、100℃(実施例1)、90℃(実施例2)、および80℃(実施例3)の温度の温度調節油浴内で溶融させた。次に、これら3つの溶融物のそれぞれに、アジスロマイシン二水和物2.5gを加え、溶融されたCOMPRITOL 888 ATO中でアジスロマイシンの懸濁液を形成した。15分間懸濁液を攪拌した後、懸濁液の試料50から100mgを溶融試料のそれぞれから取り出し、試料を室温まで冷まして凝固させた。それぞれの懸濁液の攪拌を続けつつ、懸濁液形成の後、追加の試料を30、60、および120分のときに回収した。回収されたすべての試料を分析するまで−20℃で保存しておいた。
【0143】
Finnegan LCQ Classic質量分析計を使用して液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)分析によりそれぞれの試料内のアジスロマイシンエステルを同定した。イソプロピルアルコールによる抽出で濃度1.25mg/mLのアジスロマイシンを含む試料を製造し、15分間超音波処理した。その後、0.45μmナイロンシリンジフィルターで試料を濾過し、次いで、Hewlett Packard HP1100液体クロマトグラフ上でHypersil BDS C18 4.6mm×250mm(5μm)HPLCカラムを使用してHPLCにより分析した。試料溶離に使用される移動相は、イソプロピルアルコール/酢酸アンモニウム50/50(v/v)の初期条件の組成のイソプロピルアルコールおよび25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH約7)のグラジエントであり、次に、イソプロピルアルコールの割合を30分にわたって100%に高め、さらに15分間、100%に保持した。流量は、0.80mL/minであった。この手法では、75μLの注入量および43℃のカラム温度を使用した。
【0144】
選択的イオン監視機能により陽イオンモードで使用される大気圧化学イオン化(APCI)源で検出するためにLC/MSを使用した。アジスロマイシンエステル形成は、アジスロマイシンコントロールに基づき質量分析計のピーク領域から計算した。アジスロマイシンエステル値は、試料内の全アジスロマイシンの割合として報告された。試験の結果は、表1に報告されており、アジスロマイシンが溶融懸濁液中に長く置かれるほど、そして溶融温度が高くなるほど、アジスロマイシンエステルの濃度が高まったことを示している。
【0145】
【表1】

【0146】
次に、これらのデータを上の式Iに当てはめて、使用される溶融温度でのアジスロマイシンエステル形成速度Re(重量%/日)
e=Cエステル÷t
を記述した。
【0147】
表1のデータから計算した反応速度は表2に報告されている。
【表2】

【0148】
スクリーニング例4〜25
アジスロマイシンが異なる温度で、異なる期間に溶融物内でエステルを形成する傾向を調べた。スクリーニング例4〜25は、実施例1〜3と同様に製造されたが、ただし、表3にすべて示されているように、さまざまな異なる賦形剤、温度、および暴露時間が使用された点が異なる。スクリーニングされたさまざまな担体の化学的構成は、以下の通り、つまり、MYVAPLEX 600は、モノステアリン酸グリセリンであり、GELUCIRE 50/13は、モノアルキルグリセリド、ジアルキルグリセリド、およびトリアルキルグリセリドとポリエチレングリコールの一脂肪酸エステルおよび二脂肪酸エステルの混合物であり、カルナウバろうは、酸とヒドロキシ酸のエステル、オキシ多価アルコール、炭化水素、樹脂性物質、および水の複雑な混合物であり、マイクロクリスタリンワックスは、石油から得られる直鎖および無秩序に枝分かれした分枝鎖飽和アルカンの石油誘導混合物であり、パラフィンろうは、固体飽和炭化水素の精製混合物であり、ステアリルアルコールは、1−オクタデカノールであり、ステアリン酸は、オクタデカン酸であり、PLURONIC F127は、ポロクサマー407と呼ばれ、LUTROL F127(ニュージャージー州マウントオリーブのBASF Corporation)としても販売されている酸化エチレンおよび酸化プロピレンのブロック共重合体であり、PEG 8000は、分子量8000ダルトンのポリエチレングリコールであり、BRIJ 76は、ポリオキシル10ステアリルエーテルであり、MYRJ 59は、ステアリン酸ポリオキシエチレンであり、TWEEN 80は、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエートである。表3は、さらに、形成されたアジスロマイシンエステルの濃度を報告した表である。表4は、計算された反応速度を示している。
【0149】
【表3】

【0150】
【表4】

【0151】
【表5】

【0152】
MYVAPLEX 600およびステアリン酸に対する反応速度は高いが、これは、それらの担体が好適な候補でないことを示している。
【0153】
スクリーニング例26
この実施例は、酸/エステル置換の程度を賦形剤に対する鹸化数からどのように求められるかを例示している。表5に示されている賦形剤の酸/エステル置換の程度[A]は、「Pharmaceutical Excipients 2000」に示されているような担体に対する鹸化数56.11で除算することにより決定された。
【0154】
【表6】

【0155】
スクリーニング例27
この実施例は、酸/エステル置換の程度を賦形剤に対する鹸化数からどのように求められるかを例示している。表6に示されている賦形剤の酸/エステル置換の程度は、メーカーが規定している鹸化数56.11で除算することにより決定された。
【表7】

【0156】
スクリーニング例28
この実施例は、酸/エステル置換の程度を賦形剤の構造からどのように決定できるかを例示している。表7に示されている賦形剤の酸/エステル置換の程度は、賦形剤上の酸およびエステル置換基のモル数をその分子量で除算することにより決定された。ポリマーについては、酸/エステル置換の程度は、モノマー上の酸およびエステル置換基の平均モル数をモノマーの分子量で除算することにより計算された。
【表8】

【0157】
スクリーニング例29
蜜ろうのアジスロマイシン二水和物の溶解度は、以下の手順を使用して測定した。蜜ろうの試料5gをガラスバイアル内に置き、バイアルを温水槽に入れて65℃で溶かした。次に、アジスロマイシン二水和物の結晶を溶融ろうに、攪拌しつつゆっくりと加えた。最初に加えた結晶が、ろうの中に溶解した。全部で0.3gのアジスロマイシン二水和物を溶融ろうに加えたときに、アジスロマイシン二水和物すべてがろうの中に溶解したが、さらにアジスロマイシン二水和物0.1gmを加えたところ、30分攪拌した後も、結晶は溶解しなかった。そのため、蜜ろう中のアジスロマイシン二水和物の溶解度は約6重量%と決定された。
【0158】
スクリーニング例30〜40
スクリーニング例29で概要を述べた手順を使用して、表8に示されている賦形剤中のアジスロマイシン二水和物の溶解度を、そこに示されている温度で決定した。さらに、アジスロマイシン二水和物の溶解度は、表8に報告されている重量比の担体の混合物について決定された。
【表9】

【0159】
〔実施例1〕
この実施例では、溶融混合物を噴霧器に押出、その結果得られた液滴を凝固させることにより多粒子を形成することを説明している。以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物50重量%、COMPRITOL 888 ATO 45重量%、およびPLURONIC F127 5重量%を含む多粒子を製造した。まず、COMPRITOL 112.5g、PLURONIC F127 12.5g、および水2gを、機械式混合へらを備えた密閉され被覆されたステンレス製タンクに加えた。97℃の加熱流体を、タンクのジャケット内で循環させた。約40分後、混合物が溶融し、温度は約95℃になっていた。次に、この混合物を15分間370rpmの速度で混合した。次に、100%RHで95℃に予熱されたアジスロマイシン二水和物125gを溶融物に加え、5分間370rpmの速度で混合したところ、溶融成分中のアジスロマイシン二水和物の供給懸濁液が得られた。
【0160】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250g/分の速度で、回転円盤噴霧器の中心に供給した。回転円盤噴霧器は、特注品であり、直径10.1cm(4インチ)のボウル型のステンレス製円盤で構成されていた。円盤の表面を円盤の下の薄膜ヒーターにより約100℃に加熱した。その円盤は、最大約10,000RPMまで円盤を駆動するモーター上に取り付けられている。アセンブリ全体は、噴霧器により形成された微粒子を凝固し、捕捉するように直径約8フィートのプラスチック製袋内で封入されていた。円盤の下の口から空気を導入し、凝固の際に多粒子を冷却し、拡張サイズおよび形状になるまで袋を膨らませた。
【0161】
この回転円盤噴霧器と同等の好適な市販品は、Niro A/S(デンマーク、ソーホーグ)製のFX1 100mm回転噴霧器である。
【0162】
回転円盤噴霧器の表面を100℃に保持し、円盤を7500rpmで回転させ、アジスロマイシン多粒子を形成した。
【0163】
回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させたところ、全部で205gの多粒子が回収された。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、170μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの83±10%が結晶性二水和物であることがわかった。
【0164】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、以下の手順を使用して決定された。多粒子の試料750mgを、50rpmで回転しているテフロンコーティングのへらを備えるUSP Type 2 Dissoetteフラスコ内に置いた。フラスコには、37.0±0.5℃に保持されているHCl 0.01N(pH2)でシミュレートされた胃液緩衝液750mLを入れておいた。多粒子は、フラスコに加えられる前にシミュレートされた胃液緩衝液10mLで事前に濡らされた。その後、多粒子をフラスコに加えてからフラスコ内の流体の試料3mLを、5、15、30、および60分で回収した。0.45μmシリンジフィルターを使用して試料を濾過してから、HPLC(Hewlett Packard 1100、Waters Symmetry C8カラム、1.0mL/分で45:30:25アセトニトリル:メタノール:25mM KH2PO4緩衝液、ダイオードアレイ分光光度計で吸収度を210nmで測定した)を介して分析した。
【0165】
この溶解試験の結果は、表9に報告されており、これから、多粒子コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表10】

【0166】
スクリーニング例1〜3の場合のようにLC/MSによりアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。この分析の結果から、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は0.05重量%であることがわかった。
【0167】
〔実施例2〕
アジスロマイシン二水和物50重量%、COMPRITOL 888 ATO 40重量%、およびPLURONIC F127 10重量%を含む多粒子は、実施例1の場合のように製造したが、ただし、アジスロマイシン二水和物を溶融COMPRITOL 888 ATOおよびPLURONIC F127に加えた後、回転円盤噴霧器を使用して多粒子を形成する前に懸濁液を15分間攪拌した。こうして形成された多粒子の平均粒子直径は、約170μmであった。PXRD分析の結果、多粒子中のアジスロマイシンの74±10%は、結晶性二水和物であることがわかった。
【0168】
多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。これらの試験の結果は、表10に報告されている。
【表11】

【0169】
スクリーニング例1〜3の場合のようにLC/MSによりアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。この分析の結果から、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は0.33重量%であることがわかった。こうして、アジスロマイシンを長期間にわたって溶融担体に暴露すると、多粒子中に存在するアジスロマイシンエステルの量が増大した。
【0170】
〔実施例3〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物50重量%、カルナウバろう45重量%、およびPLURONIC F127 5重量%を含む多粒子を製造した。まず、容器内のカルナウバろう112.5gおよびPLURONIC F127 12.5gを、約93℃の温度で溶融した。次に、アジスロマイシン二水和物125gをこの溶融物の中に懸濁し、約15分間、手で混ぜたところ、溶融成分中にアジスロマイシン二水和物の供給懸濁液が得られた。
【0171】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250g/分の速度で、5000rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を約98℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させたところ、全部で167gの多粒子が回収された。
【0172】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表11に報告されており、これから、多粒子コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表12】

【0173】
多粒子の試料を室温で約190日間保存してから、スクリーニング例1〜3の場合のようにLC/MSによりアジスロマイシンエステルについて分析した。この分析の結果から、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は0.012重量%であることがわかった。
【0174】
〔実施例4〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物40重量%およびマイクロクリスタリンワックス60重量%を含む多粒子を製造した。まず、マイクロクリスタリンワックス150gおよび水5gを、機械式混合へらを備えた密閉され被覆されたステンレス製タンクに加えた。97℃の加熱流体を、タンクのジャケット内で循環させた。約40分後、ろうが溶融し、温度は約94℃になっていた。次に、100%RHで95℃に予熱されたアジスロマイシン二水和物100gおよび水2gを溶融ろうに加え、75分間370rpmの速度で混合したところ、マイクロクリスタリンワックス内でアジスロマイシン二水和物の供給懸濁液が得られた。
【0175】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250cc/分の速度で、7500rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を100℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、170μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの93±10%が結晶性二水和物であることがわかった。
【0176】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表12に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表13】

【0177】
〔実施例5〕
実施例4と同じ組成の多粒子を実施例4のように製造したが、ただし、アジスロマイシン二水和物を周囲相対湿度で100℃に予熱し、アジスロマイシン二水和物を溶融マイクロクリスタリンワックスと混合するときに追加の水を供給タンクに加えなかった。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、180μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの67%のみが結晶性であり、二水和物および非二水和物結晶性形態が多粒子内に存在していることがわかった。
【0178】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。この分析の結果から、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は0.01重量%未満であることがわかった。
【0179】
〔実施例6〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物40重量%、マイクロクリスタリンワックス59重量%、およびPLURONIC F127 1重量%を含む多粒子を製造した。まず、アジスロマイシン二水和物200g、マイクロクリスタリンワックス295g、およびPLURONIC F127 5gを、10分間、ツインシェルブレンダー(twin−shell blender)内でブレンドした。次に、0.050”スクリーンを使用しナイフを手前にして3000rpmのFitzpatric L1Aミル内でこのブレンドの塊を除去した。次いで、ブレンドを、さらに10分間、ツインシェルブレンダーで混合した。
【0180】
次に、このブレンド250gを、機械式混合へらを備えた密閉され被覆されたステンレス製タンクに加えた。99℃の加熱流体を、タンクのジャケット内で循環させた。約60分後、ブレンドが溶融したところで、水1gをタンクに加えて、370rpmで混合した。15分間混合した後、さらに水1gをタンクに加えた。これを、全部で水4gがタンクに加えられるまで繰り返した。
【0181】
合計60分間混合した後、ギアポンプを使用し、供給懸濁液を250cc/分の速度で、5000rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を100℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、250μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの16%が結晶性であり、二水和物および非二水和物結晶性形態が多粒子内に存在していることがわかった。
【0182】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。この分析の結果から、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は0.005重量%未満であることがわかった。
【0183】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表13に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことが確認される。
【表14】

【0184】
〔実施例7〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物40重量%、マイクロクリスタリンワックス55重量%、およびペトロラタム5重量%を含む多粒子を製造した。まず、マイクロクリスタリンワックス137.5g、ペトロラタム12.5g、および水2gを、機械式混合へらを備えた密閉され被覆されたステンレス製タンクに加えた。101℃の加熱流体を、タンクのジャケット内で循環させた。約50分経つと、混合物は溶融していた。次に、100%RHで95℃に予熱されたアジスロマイシン二水和物100gを溶融物に加え、75分間370rpmの速度で混合したところ、マイクロクリスタリンワックス内でアジスロマイシン二水和物の供給懸濁液が得られた。
【0185】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250cc/分の速度で、7500rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を100℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、170μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの85±10%が結晶性二水和物であることがわかった。
【0186】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。これらの多粒子内で、アジスロマイシンエステルは検出されなかった。
【0187】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表14に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表15】

【0188】
〔実施例8〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物38重量%、Na3PO4 13重量%、マイクロクリスタリンワックス33重量%、PLURONIC F87 8重量%、およびステアリルアルコール8重量%を含む多粒子を製造した。まず、マイクロクリスタリンワックス166.5g、Na3PO4 62.5g、PLURONIC F87 41.5g、およびステアリルアルコール41.5gを95℃の水槽内のガラスビーカー内で熱した。約60分経つと、混合物は溶融していた。次に、アジスロマイシン二水和物187.5gを溶融物に加え、約15分間、へらを使用して混ぜたところ、アジスロマイシン二水和物およびNa3PO4がそれ以外の成分中に懸濁した供給懸濁液が得られた。
【0189】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250cc/分の速度で、7000rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を100℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、250μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの約89%が結晶性二水和物であることがわかった。
【0190】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。これらの多粒子内で、アジスロマイシンエステルは検出されなかった。
【0191】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表15に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表16】

【0192】
〔実施例9〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物45重量%、マイクロクリスタリンワックス37重量%、PLURONIC F87 9重量%、およびステアリルアルコール9重量%を含む多粒子を製造した。まず、マイクロクリスタリンワックス370g、PLURONIC F87 90g、およびステアリルアルコール90gを93℃の水槽内のガラスビーカー内で熱した。約60分経つと、混合物は溶融していた。次に、アジスロマイシン二水和物450gを溶融物に加え、約25分間、へらを使用して混ぜたところ、アジスロマイシン二水和物がそれ以外の成分中に懸濁した供給懸濁液が得られた。
【0193】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250cc/分の速度で、8000rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を100℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、190μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの約84%が結晶性二水和物であることがわかった。
【0194】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。これらの多粒子内で、アジスロマイシンエステルは検出されなかった。
【0195】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表16に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表17】

【0196】
〔実施例10〕
以下の溶融凝固手順を使用して、アジスロマイシン二水和物70重量%およびステアリルアルコール30重量%を含む多粒子を製造した。まず、ステアリルアルコール121gを95℃の水槽内のガラスビーカー内で溶融した。次に、アジスロマイシン二水和物282gを溶融物に加え、約15分間、へらを使用して混ぜたところ、ステアリルアルコール中のアジスロマイシン二水和物の供給懸濁液が得られた。
【0197】
次に、ギアポンプを使用して、供給懸濁液を250cc/分の速度で、6700rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器の中心に供給し、該噴霧器の表面を約95℃に保持した。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気中で凝固させた。粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、約229μmと決定された。
【0198】
スクリーニング例1〜3の場合のようにアジスロマイシンエステルについて多粒子の試料を分析した。これらの多粒子内で、アジスロマイシンエステルは検出されなかった。
【0199】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、実施例1のようにして決定された。この溶解試験の結果は、表17に報告されており、これから、コアからのアジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【表18】

【0200】
〔実施例11〕
以下の方法を使用して、アジスロマイシン二水和物50重量%、COMPRITOL 888 ATO 40重量%、およびPLURONIC F127 10重量%を含む多粒子を作った。まず、アジスロマイシン二水和物250g、COMPRITOL 888 ATO 200g、およびPLURONIC F127 50gを、20分間、ツインシェルブレンダー内でブレンドした。次に、0.065インチスクリーンを使用しナイフを手前にして3000rpmのFitzpatrick L1Aミルを使用してこのブレンドの塊を除去した。再び混合物を、ツインシェルブレンダー内で20分間ブレンドして、プリブレンド供給物を形成した。
【0201】
プリブレンド供給物をB&P 19−mm2軸押出機(ミシガン州サギノーのB&P Process Equipment and Systems,LLCから購入した25 L/D比のMP19−TC)に130g/分の速度で送出し、約90℃の温度でCOMPRITOL 888 ATO/PLURONIC F127内でアジスロマイシン二水和物の溶融供給懸濁液を生成した。その後、供給懸濁液を、5500rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器に送った。2軸押出機内のアジスロマイシン二水和物の最大滞留時間は、約60秒で、アジスロマイシン二水和物が溶融懸濁液に曝される合計時間は、約3分未満であった。回転円盤噴霧器により形成された粒子を外気中で凝固させたところ、全部で270gの多粒子が回収された。
【0202】
そうして形成された多粒子を以下のように後処理した。多粒子の試料を、深さ約2cmの浅い皿に置いた。次に、この皿を24時間の間、47℃、および70% RHで、雰囲気制御オーブン内に置いた。
【0203】
〔実施例12〜16〕
表18に示されている変数とともに変化する比のアジスロマイシン二水和物、COMPRITOL 888 ATO、およびPLURONIC F127を含む多粒子を実施例11の場合のように作った。
【0204】
【表19】

【0205】
実施例11〜16の多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、以下の手順を使用して決定された。多粒子の試料を、50rpmで回転しているテフロンコーティングのへらを備えるUSP Type 2 Dissoetteフラスコ内で置いた。実施例11〜13および16では、多粒子1060mgを溶解媒体に加え、実施例14では、1048mgを加え、実施例15では、1000mgを加えた。フラスコには、37.0±0.5℃に保持されている、50mM KH2PO4緩衝液1000mL(pH 6.8)を入れた。多粒子は、フラスコに加えられる前に緩衝液10mLで事前に濡らされた。その後、多粒子をフラスコに加えてから、フラスコ内の流体の試料3mLを、5、15、30、60、120、および180分で回収した。0.45μmシリンジフィルターを使用して試料を濾過してから、HPLC(Hewlett Packard 1100、Waters Symmetry C8カラム、1.0 mL/分で45:30:25アセトニトリル:メタノール:25mM KH2PO4緩衝液、ダイオードアレイ分光光度計で吸収度を210nmで測定した)を介して分析した。この溶解試験の結果は、表19に報告されており、これから、アジスロマイシンの制御放出が行われたことがわかる。
【0206】
【表20】

【0207】
【表21】

【0208】
〔実施例17〜19〕
実施例17〜19では、表20に示されている変数とともに変化する比のアジスロマイシン二水和物およびCOMPRITOL 888 ATOを含む多粒子を実施例11の場合のように作った。
【表22】

【0209】
実施例17〜20の多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、以下の例外はあるが、実施例11〜16と同様にして測定された。実施例17については、試料サイズは1342mgであり、実施例18については、試料サイズは1790mgであり、実施例19については、試料サイズは2680mgであった。この溶解試験の結果は、表21に報告されており、これから、アジスロマイシンの制御放出が行われ、放出速度は多粒子の組成に依存することがわかる。
【表23】

【0210】
〔実施例20〕
表22に示されている変数により、アジスロマイシン二水和物、担体としての硬化綿実油(オハイオ州コロンバスのABITEC Corp.のSTEROTEX NF)、およびPLURONIC F127を含む多粒子を実施例11の場合のように作った。
【表24】

【0211】
実施例20の多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、試料サイズを1060mgとし、実施例12〜16と同様にして測定された。この溶解試験の結果は、表23に報告されており、これから、アジスロマイシンの制御放出が行われ、放出速度は多粒子の組成に依存することがわかる。
【表25】

【0212】
〔実施例21〕
アジスロマイシン二水和物50重量%、COMPRITOL 888 ATO 47重量%、およびPLURONIC F127 3重量%を含む多粒子を作った。まず、アジスロマイシン二水和物15kg、COMPRITOL 888 ATO 14.1kg、およびPLURONIC F127 0.9kgを計量し、上記の順序でQuadro 194S Comilミルに通した。ミル速度を600rpmに設定した。ミルは、No.2C−075−H050/60スクリーン(特殊丸形)、No.2C−1607−049フラットブレードインペラー、およびインペラーとスクリーンとの間の0.225インチスペーサを備えていた。20rpmで回転するServo−Lift 100−Lステンレス製ビンブレンダーを使用し、合計で500回転させて混合物をブレンドし、プリブレンド供給物を形成した。
【0213】
プリブレンド供給物をLeistritz 50mm2軸押出機(Model ZSE 50、American Leistritz Extruder Corporation、ニュージャージー州サマービル)に25kg/時の速度で送った。押出機を約300rpmで同時回転モードにより運転し、溶融/噴霧凝固(MSC)ユニットと接続した。押出機は、9つのセグメント分割されたバレルゾーンを持ち、押出機全長は36スクリュー径(36 screw diameters)(1.8インチ)であった。水を8.3g/分の速さでバレル#4に注入した。押出機の押出速度は、約90℃の温度でCOMPRITOL 888 ATO/PLURONIC F127中にアジスロマイシン二水和物の溶融供給懸濁液を生成するように設定した。
【0214】
その後、供給懸濁液を、90℃に保持され、7600rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器に送った。アジスロマイシン二水和物が溶融懸濁液に曝される最大合計時間は、約10分未満であった。回転円盤噴霧器により形成された粒子を冷却し、生成物回収室内を循環する冷却用空気の存在下で凝固させた。平均粒子サイズは、Horiba LA−910粒子サイズ分析装置を使用して、188μmと決定された。さらに、多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの約99%が結晶性二水和物形態であることがわかった。
【0215】
実施例21の多粒子を以下のように後処理した。多粒子の試料を密閉バレル内に置いた。次に、バレルを、3週間、40℃の雰囲気制御室内に置いた。
【0216】
実施例21の多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、以下の手順を使用して決定された。スクロース93重量%、リン酸三ナトリウム1.7重量%、水酸化マグネシウム1.2重量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.3重量%、キサンタンガム0.3重量%、コロイド状二酸化ケイ素0.5重量%、二酸化チタン1.9重量%、チェリー香味料0.7重量%、およびバナナ香味料1.1重量%からなる投与ビヒクル約21gを含む125mLのボトルに多粒子約4g(約2000mgAの薬剤を含む)を入れた。次に、精製水60mLを加え、ボトルを30秒間振った。内容物を、50rpmで回転しているテフロンコーティングのへらを備えるUSP Type 2 Dissoetteフラスコに加えた。フラスコには、37.0±0.5℃に保持されている、100mM Na2HPO4緩衝液840mL(pH 6.0)を入れた。ボトルを、フラスコから取り出した緩衝液20mLで2回すすぎ、そのすすぎ液をフラスコに戻し、最終体積を900mLとした。その後、多粒子をフラスコに加えてから、フラスコ内の流体の試料3mLを、15、30、60、120、および180分で回収した。0.45μmシリンジフィルターを使用して試料を濾過してから、HPLC(Hewlett Packard 1100、Waters Symmetry C8カラム、1.0mL/分で45:30:25アセトニトリル:メタノール:25mM KH2PO4緩衝液、ダイオードアレイ分光光度計で吸収度を210nmで測定した)を介して分析した。この溶解試験の結果は、表24に報告されており、これから、アジスロマイシンの徐放が行われたことがわかる。
【表26】

【0217】
〔実施例21〕
以下の手順を使用して、アジスロマイシン二水和物50重量%、COMPRITOL 888 ATO 47重量%、およびLUTROL F127 3重量%を含む多粒子を作った。まず、アジスロマイシン二水和物140kgを計量し、ミル速度900rpmのQuadro Comil 196Sに通した。ミルは、No.2C−075−H050/60スクリーン(特殊丸形、0.075”)、No.2F−1607−254インペラー、およびインペラーとスクリーンとの間の0.225インチスペーサを備えていた。次に、LUTROL 8.4kgを、次いでCOMPRITOL 888 ATO 131.6kgを計量し、Quadro 194S Comilミルに通した。ミル速度を650rpmに設定した。ミルは、No.2C−075−R03751スクリーン(0.075”)、No.2C−1601−001インペラー、およびインペラーとスクリーンとの間の0.225インチスペーサを備えていた。10rpmで回転するGallay 38立方フィートステンレス製ビンブレンダーを使用し、40分間、合計で400回転させて、混合物をブレンドし、プリブレンド供給物を形成した。
【0218】
プリブレンド供給物をLeistritz 50mm2軸押出機(Model ZSE 50、American Leistritz Extruder Corporation、ニュージャージー州サマービル)に約20kg/時の速度で送った。押出機を約100rpmで同時回転モードにより運転し、溶融/噴霧凝固ユニットと接続した。押出機は、5つのセグメント分割されたバレルゾーンを持ち、押出機全長は20スクリュー径(1.0インチ)であった。水を6.7g/分(2重量%)の速さでバレル#2に注入した。押出機の押出速度を、約90℃の温度でCOMPRITOL 888 ATO/LUTROL F127中にアジスロマイシン二水和物の溶融供給懸濁液を生成するように調整した。
【0219】
供給懸濁液を、6400rpmで回転している、実施例1の回転円盤噴霧器に送った。アジスロマイシン二水和物が溶融懸濁液に曝される最大合計時間は、10分未満であった。回転円盤噴霧器により形成された粒子を冷却し、生成物回収室内を循環する冷却用空気の存在下で凝固させた。平均粒子サイズは、Malvern粒子サイズ分析装置を使用して、200μmと決定された。
【0220】
そのように形成された多粒子について、密閉バレル内に試料を置き、その後密閉バレルを10日間、40℃で雰囲気制御室内に置いて、後処理した。後処理された多粒子の試料をPXRDで評価したところ、多粒子中のアジスロマイシンの約99%が結晶性二水和物形態であることがわかった。
【0221】
これらの多粒子からのアジスロマイシンの放出速度は、アジスロマイシン約2000mgAを含む多粒子の試料を、スクロース19.36g、リン酸三ナトリウム352mg、水酸化マグネシウム250mg、ヒドロキシプロピルセルロース67mg、キサンタンガム67mg、コロイド状二酸化ケイ素110mg、二酸化チタン400mg、チェリー香味料140mg、およびバナナ香味料230mgとともに125mLボトルに入れて測定された。次に、精製水60mLを加え、ボトルを30秒間振った。内容物を、50rpmで回転しているテフロンコーティングのへらを備えるUSP Type 2 Dissoetteフラスコに加えた。フラスコには、37.0±0.5℃に保持されている、100mM Na2HPO4緩衝液(pH 6.0)を含む緩衝化試験液840mLを入れた。ボトルを、フラスコから取り出した緩衝液20mLで2回すすぎ、そのすすぎ液をフラスコに戻し、最終体積900mLとした。その後、多粒子をフラスコに加えてから、フラスコ内の流体の試料3mLを、15、30、60、120、および180分で回収した。0.45μmシリンジフィルターを使用して試料を濾過してから、HPLC(Hewlett Packard 1100、Waters Symmetry C8カラム、1.0mL/分で45:30:25アセトニトリル:メタノール:25mM KH2PO4緩衝液、ダイオードアレイ分光光度計で吸収度を210nmで測定した)を介して分析した。この溶解試験の結果は、表25に示されており、これから、アジスロマイシンの徐放が行われたことがわかる。
【0222】
【表27】

【0223】
本明細書中で使用された用語および表現は、制限ではなく、説明の用語として使用される。そのような用語および表現の使用においては、記載されている特徴またはその一部の等価物を除外する意図はなく、本発明の範囲は請求項によってのみ定義および制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む溶融混合物を押出機内で形成する工程、
(b)工程(a)の該溶融混合物を噴霧手段に送り、該混合物から液滴を形成する工程、および
(c)工程(b)の該液滴を凝固させて多粒子を形成する工程
を含む多粒子を形成する方法。
【請求項2】
(a)アジスロマイシンおよび薬剤として許容される担体を含む溶融混合物を形成する工程、
(b)工程(a)の該溶融混合物を噴霧手段に送り、該混合物から液滴を形成する工程、および
(c)工程(b)の該液滴を凝固させて、多粒子を形成する工程
を含む、多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度が約1重量%未満である多粒子を形成する方法。
【請求項3】
溶融混合物は、押出機内で形成される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶融混合物は、担体の融点よりも少なくとも10℃高い処理温度で形成される請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
溶融混合物は、担体中の結晶性アジスロマイシン二水和物の懸濁液を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
溶融混合物は、少なくとも約70℃であり、そして約130℃未満の温度である請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
溶融混合物は、少なくとも5秒間、そして約20分未満の間に溶融され、その後工程(b)で液滴が形成される請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
多粒子中のアジスロマイシンエステルの濃度は、約0.1重量%未満である請求項2に記載の方法。
【請求項9】
多粒子は、アジスロマイシンを約20から約75重量%、および担体を約25から約80重量%含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
担体は、ろう、グリセリド、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
多粒子の約0.1から約30重量%を含む溶解促進剤をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
多粒子は、アジスロマイシンを約35から約55重量%含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
多粒子は、担体を約40から約65重量%含み、そして該担体は、ろう、グリセリド、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
担体は、合成ろう、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンろう、カルナウバろう、蜜ろう、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリエトキシ化ひまし油誘導体、硬化植物油、モノベヘン酸グリセリン、ジベヘン酸グリセリン、トリベヘン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリパルミチン酸グリセリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
担体はさらに溶解促進剤を約0.1から約15重量%含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶解促進剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノエステル、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、グルコース、スクロース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム、アラニン、グリシン、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2007−513143(P2007−513143A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542040(P2006−542040)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003839
【国際公開番号】WO2005/053653
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】