説明

押釦スイッチ

【課題】超小型で、薄く、確実にセンター押しが可能で、かつ、静電耐圧に優れ、さらに組立も簡便な押釦スイッチを提供すること。
【解決手段】ハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、この導電性板ばねを押圧して第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、ハウジングに、カバーを嵌合し、このカバーの前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を形成し、この押圧部を、導電性板ばねに対向する位置に配置してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超小型で、薄く、確実にセンター押しが可能で、かつ、静電耐圧に優れた押釦スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PDAなどの側面に取り付けられる押釦スイッチは、超小型に構成される。
このような押釦スイッチは、図7に示すように、椀を反転したようなMT板といわれる導電性板ばね14を使用し、シート15の上から導電性板ばね14を直接指先で押圧してオン、オフするものである(特許文献1)。
さらに詳しくは、薄くて角型のハウジング10に凹部11を形成し、この凹部11の内底に、センターの第1電極12を露出して成型するとともに、この第1電極12の外周にサイドの第2電極13を露出して成型し、これら第1電極12と第2電極13の上に導電性板ばね14を被せ、さらにその上からシート15で保護してなるものである。そして、シート15の上から指で押し込むと、導電性板ばね14の中央部分がクリック感を持って凹み、第1電極12と第2電極13が短絡する。導電性板ばね14の押し込みを解除すると、導電性板ばね14は、復元して元の状態に戻る。
【0003】
また、図8に示すように、導電性板ばね14を、押釦20を介在して押圧してオン、オフするものが知られている(特許文献2)。
この押釦スイッチ9は、絶縁性のプラスチックなどからなる基板16、スペーサ17、上蓋18を重ね合わせ、金属カバー19で外周を取り巻いて補強したもので、前記基板16の内面には、第1電極12と第2電極13を取り付け、これらの第1電極12と第2電極13に臨ませた前記第2電極13の内部に下向き椀型の導電性板ばね14を配置し、押釦20を前記上蓋18の内側に進退自在に嵌合して前記導電性板ばね14を押釦20の突起部21で押圧するようにしたものである。
【0004】
この押釦スイッチ9をプリント回路基板26に横置き状態に実装するには、プリント回路基板26の切欠き27に、前記基板16、スペーサ17、上蓋18を重ね合わせた部分の下方部を遊嵌する。すると、前記切欠き27の周縁付近に形成されたアース兼固定用ランド25に前記金属カバー19の前部両側と後部両側とが載せられ、また、前記切欠き27の周縁付近に形成された電極用ランド24に後面の端子部22と端子部23が載せられる。この状態で半田付けすることにより、押釦スイッチ9がプリント回路基板26に固定的に取り付けられるとともに、電気的に接続される。
【特許文献1】特許第3286142号公報
【特許文献2】特開2004―79220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7(特許文献1)に示す押釦スイッチは、シート15の上から導電性板ばね14を直接指先で押圧するものであるから、超小型で、薄く形成することができる。
しかし、超小型で、薄型の押釦スイッチに使用されるMT板といわれる導電性板ばね14は、直径が3mm程度で指先よりもさらに小さいために、指で直接押圧してオン、オフする部分は、導電性板ばね14の頂部の精々1mmである。したがって、確実にセンター押しがなされているかどうかが認識できない、という問題もあった。また、静電防止の対策が採られていないために破壊や誤動作の恐れがあるという問題があった。
【0006】
図8(特許文献2)に示す押釦スイッチは、金属カバー19で側方を保持し、取付け用ランド25に半田付けされるので、ある程度の静電防止の対策が採られ、また、導電性板ばね14は、押釦20によって押圧されるので、押釦20の頭部を大きくすれば、センター押しが可能である。
しかし、押釦20を組み込むために、図7の例に比較して厚さが3倍以上となり、小型の電子機器に搭載するのに難点があり、また、ハウジングを構成する基板16,スペーサ17,上蓋18の他に、導電性板ばね14を押圧する押釦20を必要とし、組立工程が面倒である、などの問題があった。
【0007】
本発明の第1の目的は、超小型で、薄く、確実にセンター押しが可能な押釦スイッチを提供することであり、第2の目的は、静電耐圧に優れ、さらに組立も簡便な押釦スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による押釦スイッチは、肉薄のハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記ハウジングの外側面から前記第1電極と一体の第1端子部と、前記第2電極と一体の第2端子部を突設し、前記凹部を被覆したシートの上から導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングの上方から、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる断面コ字形の導電性の金属カバーを嵌合し、前記シート側に対向する前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を一体に形成し、前記後板部に下向き斜めにアース端子部を一体に突設し、前記第1端子部と第2端子部を、ハウジングから下向き斜めに突設したことを特徴とする。
【0009】
また、前記導電性板ばねを押圧するために前板部に形成した押圧部は、前板部の一端部から複数周の螺旋状の溝部を切り欠いて、浅い椀状の導電性板ばねの頂部に位置した略円形の押圧部と、この押圧部の一部に連続する支持アーム部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングに、このハウジングの少なくとも前面を被覆するための前板部を有するカバーを嵌合し、前記前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を形成し、この押圧部を、前記導電性板ばねに対向する位置に配置したので、押圧点が導電性板ばねの頂点から少しずれても確実に電極間の接離ができるとともに、良好なクリック感が得られる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記凹部を被覆したシートの上から導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングに、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる導電性の金属カバーを嵌合し、前記シート側に対向する前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を一体に形成し、前記後板部にアース端子部を一体に形成したので、請求項1記載の発明の効果に加えて次のような効果を有する。
・十分な静電防止の対策が採られ、破壊や誤動作の恐れがない。
・導電性板ばねを収納した凹部を被覆するシートを精度よく貼着する必要がないので、組立の手間がかからない。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、前板部の一端部から複数周の螺旋状の溝部を切り欠いて、浅い椀状の導電性板ばねの頂部に位置した略円形の押圧部と、この押圧部の一部に連続する支持アーム部を形成したので、押圧部の押圧位置がずれても、指圧部が傾かずに水平に押下げられ、確実に電極間の接離ができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、前板部を切り欠いて、浅い椀状の導電性板ばねの頂部に位置した略円形の押圧部と、この押圧部に連続する少なくとも2個のS字形の支持アーム部を形成したので、押圧部の押圧位置がずれても、指圧部が傾かずに水平に押下げられ、確実に電極間の接離ができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、ハウジングの上方から、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる断面コ字形の導電性の金属カバーを嵌合し組み込む作業が簡単である。
また、後板部に下向き斜めにアース端子部を一体に突設し、第1端子部と第2端子部を、ハウジングから下向き斜めに突設したので、本発明の押釦スイッチをプリント基板等に上から押し付けて接続するだけであり、組み込み作業が容易になる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、導電性板ばねは、浅い椀状に形成し、シートには、導電性板ばねと対向する面に、導電性板ばねと接触する面を除いて接着剤層を塗布し、このシートを、ハウジングにおける凹部の外周囲のシート貼着面に接着したので、導電性板ばねのクリック感をシートによって損なうことがない。
【0016】
請求項7記載の発明によれば、導電性板ばねは、浅い椀状に形成し、この導電性板ばねの頂部にシートの中央の膨出部が当接するようにシートを被覆したので、導電性板ばねのストロークが大きくなり、かつ、シートが周囲を接着剤層でシート貼着面に接着されていても、導電性板ばねを押し込んだときにシートが抵抗なく弛み、クリック感が良くなる。
【0017】
請求項8記載の発明によれば、押圧部は、前板部の略中央部であって、導電性板ばねの頂部に位置して略円形に形成され、この押圧部の中央下面に膨出部を形成し、この膨出部を、シートの頂部にシートを介して接するように構成したので、押圧部を押下げる位置がずれても確実に導電性板ばねのオン、オフをすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の押釦スイッチは、
肉薄のハウジング30の一方の面に形成した凹部36内に、センターの第1電極31とサイドの第2電極32を一部露出して設けるとともに、導電性板ばね33を収納し、前記ハウジング30の外側面から前記第1電極31に一体の第1端子部42と、前記第2電極32に一体の第2端子部43を突設し、前記凹部36を被覆したシート34の上から導電性板ばね33を押圧して前記第1電極31と第2電極32の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、
前記ハウジング30の上方から、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる断面コ字形の導電性の金属カバー35を嵌合し、前記シート34側に対向する前板部45に押圧部48を一体に形成し、前記後板部46に下向き斜めにアース端子部53を一体に突設し、前記第1端子部42と第2端子部43を、ハウジング30から下向き斜めに突設してなるものである。
【0019】
本発明の第1の目的である確実にセンター押しが可能なものを提供するためには、カバー35は、必ずしも導電性の金属である必要はなく、プラスチックなどの絶縁物であってもよい。
本発明の第2の目的である静電耐圧に優れたものを提供するためには、カバー35は、導電性であることが必要で、そのためには、導電性金属からなるもの、導電性を持たせるためにプラスチックなどの絶縁物に導電性金属を蒸着などにより被覆させたものなどが用いられる。
【0020】
押圧部48の一例として、前板部45の一端部から複数周の螺旋状の溝部49を切り欠いて、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48の一部に連続し、可撓性を有する支持アーム部50を形成する。
【0021】
押圧部48のさらに他の例として、前板部45を切り欠いて、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48に連続する少なくとも2個のS字形の可撓性を有する支持アーム部50を形成する。
【0022】
押圧部48の他の例として、カバー35がプラスチックなどの絶縁物である場合において、前板部45の溝部49の部分を切り欠くことなく、肉薄に形成して、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48に連続する螺旋状の又は少なくとも2個の可撓性を有するS字形の支持アーム部50を形成するようにしてもよい。
【0023】
導電性板ばね33は、浅い椀状に形成し、シート34の導電性板ばね33と対向する面に、導電性板ばね33と接触する面を除いて接着剤層44を塗布し、このシート34を、ハウジング30における凹部36の外周囲のシート貼着面37に接着する。
【0024】
さらに、導電性板ばね33は、浅い椀状に形成し、この導電性板ばね33の頂部にシート34の中央の膨出部68が当接するようにシート34を被覆する。
なお、このシート34は、必須の部品ではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1ないし図5に基づき説明する。
本発明の押釦スイッチは、センターの第1電極31とサイドの第2電極32を一体に埋設したハウジング30と、このハウジング30に嵌め込まれる導電性板ばね33と、この導電性板ばね33を保護するシート34と、前記ハウジング30に被せる導電性の金属カバー35とからなる。図4は、本発明の押釦スイッチを各部品に分解して一方の側面から見た斜視図であり、同様に、図5は、他方の側面から見た分解斜視図である。
【0026】
前記第1電極31は、図4に示すように、中央の円形板部63に接点部59が膨出し、前記円形板部63の外周の一部を側方に延ばして、その先をコ字形部60とし、さらにこのコ字形部60の下端部を延ばして第1端子部42となるようにフ字形に屈曲してなるものである。
また、前記第2電極32は、図4に示すように、前記第1電極31の外周に間隙を持って配置されるC字形部61をなし、このC字形部61の一側面に略120度間隔で3個の接点部58が膨出し、C字形部60の外周の一部を側方に延ばして、その先を横向きL字形部62とし、さらにこのL字形部62の下端部を延ばして第2端子部43となるようにフ字形に屈曲してなるものである。
【0027】
前記ハウジング30は、絶縁性プラスチック等による成型加工時に図4に示す第1電極31と第2電極32を部分的に埋設部分と露出部分があるように、一体に形成したもので、縦×横×厚さが例えば、4.5×8.0×0.9mmのように、超小型に形成される。このハウジング30には、一側面に凹部36が形成されるとともに、この凹部36より外側にシート貼着面37が形成され、また、図4に示す一側面に係止突起39が形成され、図5に示す他側面に係止突起40が形成され、それぞれの係止突起39、40が前記導電性の金属カバー35と係止する。さらに、このハウジング30の両側部には、側方突部41、41が形成されている。
そして、前記凹部36に前記第1電極31の円形板部63と第2電極32のC字形部61が露出し、前記第1電極31のコ字形部60の上方への突起部64と前記第2電極32のL字形部62の上方への突起部65とをハウジング30の上面から一部突出させ、さらに、前記第1端子部42と第2端子部43が側方突部41、41の下面から突出してなるものである。
【0028】
前記ハウジング30の凹部36には、MT板といわれる浅い椀形の導電性板ばね33を、その外周縁部分が前記3個の接点部58に接触するように嵌合され、この導電性板ばね33を被覆するように上からさらに防塵のためのシート34を被せて、このシート34の一方の面に塗布した接着剤層44でハウジング30のシート貼着面37に接着固定する。このとき、接着剤層44は、導電性板ばね33の頂点部分で接着しないことにより、オン、オフが円滑になるように中央には塗布しない。また、接着剤層44は、シート34の外周部分にもやや隙間を持って塗布することにより、一枚の大きなシート34に多数個を打ち抜き形成するとき、隣接するシート34が互いに接着剤が付着しないで確実に分離できるようにしてある。
【0029】
前記導電性の金属カバー35は、ハウジング30の上から嵌合するように、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とが下向きコ字形に折曲されている。前記前板部45には、中央部に円形の押圧部48が形成されている。この押圧部48は、一端部から螺旋状に約2周する溝部49を形成すると、押圧部48に連続し、かつ、その周りを約1周する支持アーム部50が形成される。
なお、螺旋状の支持アーム部50に限られるものではなく、S字形の支持アーム部を押圧部48の外周から2個を180度間隔で、3個を120度間隔で、又は、4個を90度間隔で延長して形成してもよい。要するに、押圧部48を指先で押したときに押圧箇所が中心からずれても傾かずに全体が略平らな状態で押し込まれるように構成する。
前記前板部45の両側縁部には、前記ハウジング30の両側縁の係止突起39に係止する係止段部51が形成されている。また、前記後板部46には、図5に示すように、途中から外方に略直角に屈曲し、さらに下方に屈曲したアース端子部53が形成され、また、後板部46の上端部近くの両側位置に前記ハウジング30の係止突起40に係止する係止孔52が形成されている。
【0030】
以上のように構成された各部品の組み立てについて説明すると、第1電極31と第2電極32を一体に成型加工したハウジング30の凹部36に、導電性板ばね33を嵌合し、かつ、シート貼着面37にシート34を接着剤層44により貼着する。このハウジング30に導電性板ばね33,シート34を取り付けた後、ハウジング30の上方から導電性の金属カバー35を嵌め込む。すると、導電性の金属カバー35の押圧部48が導電性板ばね33の膨出頂点に位置した状態で、導電性の金属カバー35の係止段部51がハウジング30の係止突起39に係止すると共に、導電性の金属カバー35の係止孔52がハウジング30の係止突起40に係止して図1に示すように組立が完了する。
【0031】
組み立てられた押釦スイッチは、図2に示すように、プリント回路基板54の切り欠き55に、ハウジング30の段部67がプリント回路基板54の上面に接触するまで底部突起部66を嵌合し、ハウジング30の側面に設けた係止突起(図示せず)を、プリント回路基板54の切り欠き55等に係止固定する。すると、第1端子部42,第2端子部43,アース端子部53がそれぞれの弾力性を持って、プリント回路基板54の接続ランド56,56とアースランド57にそれぞれ圧接する。これらの圧接箇所を、半田によって、電気的に接続するようにしてもよい。
【0032】
押釦スイッチをプリント回路基板54に取り付けた図3の状態において、図1に斜線で示した押圧部48を押圧すると、押圧箇所に中心から若干のずれが生じても支持アーム部50が押圧部48の回りを約1周しているので、押圧部48は、ハウジング30の一側面と略平衡を保ったままシート34を介して導電性板ばね33を押し込み、この導電性板ばね33の中央部分が凹むことにより、第1電極31と第2電極32が短絡されてオンする。導電性板ばね33の押圧力を除くと、導電性板ばね33は、自動的に反転してもとの状態に戻り、オフする。
導電性の金属カバー35のいずれかの箇所に指先が触れて静電気が発生したときは、アース端子部53を介してアースランド57に電流が流れて押釦スイッチの内部や他の素子への悪影響を防止する。
【実施例2】
【0033】
前記実施例1では、図6の鎖線で示すように、シート34が略水平な状態で、シート34の内面(図6のb点)に導電性板ばね33の頂点が接するように構成したので、導電性板ばね33のストロークb-c間が小さくなり、かつ、シート34が周囲を接着剤層44でシート貼着面37に接着されていることにより、導電性板ばね33を押し込んだときにシート34が弛むのを妨害し、クリック感が鈍くなる。
そこで、図6の実線で示すように、シート34が上方に少し膨らんだ状態で、シート34の内面(図6のa点)に導電性板ばね33の頂点が接するように構成することで、ストロークa-c間が大きくなり、かつ、シート34が周囲を接着剤層44でシート貼着面37に接着されていても、導電性板ばね33を押し込んだときにシート34が抵抗なく弛み、クリック感が良くなる。
なお、押圧部48の中央下面に膨出部68を形成し、この膨出部68を、シート34の頂部にシート34を介して正確に接するように構成することで、押圧部48を押下げる指先の位置がずれても確実に導電性板ばね33のオン、オフをすることができる。
【0034】
前記実施例では、カバー35は、導電性の金属で構成したが、これに限られるものではなく、本発明の第1の目的である確実にセンター押しが可能なものを提供するためには、カバー35は、プラスチックなどの絶縁物であってもよい。
また、本発明の第2の目的である静電耐圧に優れたものを提供するためには、カバー35は、導電性であることが必要で、そのためには、前記実施例のように、導電性金属からなるものの他に、プラスチックなどの絶縁物に導電性を持たせるために導電性金属を蒸着などにより被覆させたものなどであってもよい。
【0035】
前記実施例では、押圧部48の一例として、前板部45の一端部から複数周の螺旋状の溝部49を切り欠いて、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48の一部に連続する支持アーム部50を形成した。
【0036】
また、押圧部48のさらに他の例として、前板部45を切り欠いて、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48に連続する少なくとも2個のS字形の可撓性を有する支持アーム部50を形成した。
【0037】
しかし、これに限られるものではなく、押圧部48の他の例として、カバー35がプラスチックなどの絶縁物である場合において、前板部45の溝部49の部分を切り欠くことなく、肉薄に形成して、導電性板ばね33の頂部に位置した略円形の押圧部48と、この押圧部48に連続する螺旋状の又は少なくとも2個のS字形の可撓性を有する支持アーム部50を形成し、押圧部48が容易に撓むようにしてもよい。この場合には、押圧部48が導電性板ばね33と接触しても問題なく、かつ、外部からの塵埃の侵入を防止できるので、シート15を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による押釦スイッチの実施例1を示す正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明による押釦スイッチの実施例1を示す正面側から見た分解斜視図である。
【図5】図4の背面側から見た分解斜視図である。
【図6】本発明による押釦スイッチの実施例2を示すもので、横の寸法に対し縦の寸法を拡大して示した断面図である。
【図7】従来の押釦スイッチの一例を示す断面図である。
【図8】従来の押釦スイッチの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10…ハウジング、11…凹部、12…第1電極、13…第2電極、14…導電性板ばね、15…シート、16…基板、17…スペーサ、18…上蓋、19…金属カバー、20…押釦、21…凸部、22…端子部、23…端子部、24…電極用ランド、25…取付け用ランド、26…プリント回路基板、27…切り欠き、30…ハウジング、31…第1電極、32…第2電極、33…導電性板ばね、34…シート、35…導電性の金属カバー、36…凹部、37…シート貼着面、38…段差、39…係止突起、40…係止突起、41…側方突部、42…第1端子部、43…第2端子部、44…接着剤層、45…前板部、46…後板部、47…天板部、48…押圧部、49…溝部、50…支持アーム部、51…係止段部、52…係止孔、53…アース端子部、54…プリント回路基板、55…切り欠き、56…接続ランド、57…アースランド、58…接点部、59…接点部、60…コ字形部、61…C字形部、62…L字形部、63…円形板部、64…突起部、65…突起部、66…底部突起部、67…段部、68…膨出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングに、このハウジングの少なくとも前面を被覆するための前板部を有するカバーを嵌合し、前記前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を形成し、この押圧部を、前記導電性板ばねに対向する位置に配置したことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
ハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記凹部を被覆したシートの上から導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングに、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる導電性の金属カバーを嵌合し、前記シート側に対向する前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を一体に形成し、前記後板部にアース端子部を一体に形成したことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項3】
前板部の一端部から複数周の螺旋状の溝部を切り欠いて、浅い椀状の導電性板ばねの頂部に位置した略円形の押圧部と、この押圧部の一部に連続する支持アーム部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前板部を切り欠いて、浅い椀状の導電性板ばねの頂部に位置した略円形の押圧部と、この押圧部に連続する少なくとも2個のS字形の支持アーム部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の押釦スイッチ。
【請求項5】
肉薄のハウジングの一方の面に形成した凹部内に、第1電極と第2電極を一部露出して設けるとともに、導電性板ばねを収納し、前記ハウジングの外側面から前記第1電極と一体の第1端子部と、前記第2電極と一体の第2端子部を突設し、前記凹部を被覆したシートの上から導電性板ばねを押圧して前記第1電極と第2電極の間を電気的に接離するようにした押釦スイッチにおいて、前記ハウジングの上方から、このハウジングの前面を被覆する前板部と、後面を被覆する後板部と、上面を被覆する天板部とからなる断面コ字形の導電性の金属カバーを嵌合し、前記シート側に対向する前板部に、この前板部に設けた可撓性を有する支持アームを介して押圧部を一体に形成し、前記後板部に下向き斜めにアース端子部を一体に突設し、前記第1端子部と第2端子部を、ハウジングから下向き斜めに突設したことを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項6】
導電性板ばねは、浅い椀状に形成し、シートには、導電性板ばねと対向する面に、導電性板ばねと接触する面を除いて接着剤層を塗布し、このシートを、ハウジングにおける凹部の外周囲のシート貼着面に接着したことを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の押釦スイッチ。
【請求項7】
導電性板ばねは、浅い椀状に形成し、この導電性板ばねの頂部にシートの中央の膨出部が当接するようにシートを被覆したことを特徴とする請求項2、3、4、5又は6記載の押釦スイッチ。
【請求項8】
押圧部は、前板部の略中央部であって、導電性板ばねの頂部に位置して略円形に形成され、この押圧部の中央下面に膨出部を形成し、この膨出部を、導電性板ばねの頂部にシートを介して接するように構成したことを特徴とする請求項7記載の押釦スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−16208(P2009−16208A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177503(P2007−177503)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年6月21日 インターネットアドレス「http://www.smk.co.jp/whatsnew_i/787fc.html」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年6月22日 「電波新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年6月25日 「日刊工業新聞」に発表
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】