説明

拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器

【課題】広域画像の範囲を最低倍率の対物レンズで得られる視野に制限されない拡大画像観察装置等を提供する。
【解決手段】観察対象物を拡大表示する拡大画像観察装置であって、観察対象物の画像を取得するための光学撮像系と、観察対象物を低倍率で撮像した広域画像WIを表示するための広域画像表示領域WAと、高倍率で撮像した拡大画像MIを表示するための拡大画像表示領域MAを有する表示部と、複数の広域画像WIを予め取得し、各々保持するためのメモリ部と、観察対象物を載置するための試料載置部28と、試料載置部28を光学撮像系に対して相対的に移動させるための移動機構とを備え、広域画像表示領域WAに表示される広域画像WIを切り替え可能に構成できる。これにより、複数枚の広域画像WIを登録可能で、かつこれらを適宜切り替えて表示可能となり、一枚の広域画像の表示領域に制限されず、より広い範囲での視野探しが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の蛍光像を撮像して表示する機能を備えた蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡等の拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡を用いた観察は、観察対象の標本や研究目的に応じて、明視野観察、暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察、蛍光観察、偏光観察等が利用される。明視野観察は、標本を透過または反射した光を観察する。一方、蛍光観察は予め標本や対象物等の試料に蛍光色素を導入し、試料に特定波長の励起光を照射し、試料から発される蛍光を観察する。一般に、細胞の微細構造や分子の局在等を観察するには蛍光観察が行われており、蛍光顕微鏡が用いられる。蛍光顕微鏡では、試料内の注目する特定の分子に特異的に結合する蛍光分子(蛍光プローブ等と呼ばれ、例えば注目するタンパク質の抗体に蛍光分子を共有結合させたもの等が使用される)を付けて、この分子の分布や動きを観察する。
【0003】
このような蛍光顕微鏡に限らず、光学顕微鏡や電子顕微鏡を含めた観察用顕微鏡、測定用顕微鏡、マイクロスコープ等、各種顕微鏡や画像観察装置等の拡大画像観察装置を用いて各種観察や測定を行う際においては、低倍率で広い視野の画像(広域画像)を表示させた上で、目標となる視野を探し、拡大表示することが行われている。このような作業を実現するために種々の技術が開発されており、例えば特許文献1では、低倍率で得た広域画像上で領域指定すると、その領域を観察できる視野すなわち倍率の対物レンズを自動挿入してXYステージを移動する技術が開示される。また特許文献2では、標本の全体像を含む観察像上の矩形領域を、複数の更なる矩形領域に自動的に分割する技術が開示される。
【特許文献1】特許2925647号公報
【特許文献2】特許3321198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれらの手法ではいずれも、低倍率の広域画像を一のみ表示させて、この上で領域を指定することしかできないため、広域画像の範囲は拡大画像観察装置の有する最低の倍率の対物レンズで得られる視野に制限される。いいかえると、最低倍率の対物レンズで得られる視野以上に広い広域画像を得ることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の第1の目的は、広域画像の範囲を最低倍率の対物レンズで得られる視野に制限されない拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【0006】
また一方で、図1に示すように、広域画像WIと拡大画像MIとを同一画面に表示させ、図1(a)の広域画像WI上に拡大画像MIの対応する位置を枠状BXに表示して、広域画像WIと拡大画像MIの位置関係を把握できるようにした機能が提供されている。この際に、図1(b)に示す拡大画像MIを拡大する方法として、光学的なズーム以外にデジタルズームと呼ばれる画像処理によるズーム機能を備えるものがある。デジタルズームによる画像拡大は、元画像の持つ解像度に制限されるため、光学ズームと異なり拡大すると高解像度を維持できない。図1(b)に示す拡大画像MIをデジタルズームで拡大していくと、拡大するにつれて図1(a)の広域画像WI上に表示された拡大画像MIを示す枠状BXよりも狭くなってしまい、利用中のデータとして情報量が少なくなっているが、実際に表示されている広域画像WI上では観察中の視野が変更されないため、ユーザは光学ズームと同様の解像度が維持されているものと誤解する虞があり、また低倍率の広域画像WI上での対応位置も正しく反映されておらず、正確な位置関係の把握がなされていないという問題があった。
【0007】
本発明は、さらにこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の第2の目的は、広域画像と拡大画像の位置関係をデジタルズームの倍率に応じて一致させることが可能な拡大可能な拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の拡大画像観察装置は、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察装置であって、観察対象物の画像を取得するための光学撮像系と、観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部と、複数の広域画像を予め取得し、各々保持するためのメモリ部と、観察対象物を載置するための試料載置部と、試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させるための移動機構と、広域画像表示領域に表示される広域画像を、メモリ部から読み出して切り替えるための広域画像切替手段とを備え、表示部がさらに、試料載置部の相対移動範囲を表示するための相対移動範囲表示領域を有し、相対移動範囲表示領域に相対移動範囲を表示させた状態で、複数の広域画像の撮像位置を相対移動範囲上に表示可能であり、かつ、相対移動範囲上で表示された広域画像を選択することで、広域画像表示領域に表示される広域画像を切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示可能に構成できる。これにより、複数枚の広域画像を登録可能で、かつこれらを適宜切り替えて表示可能となり、一枚の広域画像の表示領域に制限されず、より広い範囲での視野探しが可能となる。さらに、単に複数の広域画像の登録、切り替えを可能とするのみならず、観察可能な全領域である試料載置部の移動範囲上で、これら複数の広域画像の位置関係を把握できるので、各広域画像の位置を見失うことなくユーザにガイドでき、確実に視野探しや領域指定を行える。
【0009】
第2の拡大画像観察装置は、拡大画像を画像処理により拡大して表示可能なデジタルズーム機能を備えており、広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、広域画像表示領域において枠状で表示で表示可能であり、さらに拡大画像をデジタルズームすると、広域画像上の枠状の大きさを、デジタルズーム後に表示されるデジタルズーム画像で表示される領域に応じて縮小又は拡大することができる。これにより、デジタルズームに対応させて広域画像上の対応位置も縮小又は拡大されるため、元画像のデータ量と正しく対応した広域画像と拡大画像の関係をユーザに把握させることができる。特に、デジタルズームした拡大画像は解像度が悪くなるため、デジタルズームに対応する範囲に縮小することでユーザにデジタルズームの状態を告知することにも役立つ。
【0010】
第3の拡大画像観察装置は、広域画像表示領域に表示される広域画像上で、拡大画像のデジタルズーム前の元画像に対応する位置を第1の枠状で表示しつつ、デジタルズームした拡大画像の対応する大きさを、第2の枠状で表示し、第1の枠状と第2の枠状を異なる態様で表示できる。これにより、デジタルズームする前の位置及び大きさと、デジタルズーム後の位置及び大きさを、ユーザは広域画像表示領域上で対比でき、デジタルズームによる領域の変化を視覚的に把握できる。例えば元画像が光学撮像系で撮像した光学像である場合、光学的な視野とデジタルズームした視野とを対比して表示でき、ユーザにデジタルズームの能力の限界を告知できる。
【0011】
第4の拡大画像観察装置は、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察装置であって、観察対象物の画像を取得するための光学撮像系と、観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部と、複数の広域画像を予め取得し、各々保持するためのメモリ部と、観察対象物を載置するための試料載置部と、試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させるための移動機構と、移動機構を移動させて撮像された隣接する領域の複数の広域画像を合成し、より大きな広域画像を作成する広域画像合成手段とを備えることができる。これにより、複数枚の広域画像を合成してより大きな合成広域画像を生成でき、対物レンズの最低倍率で得られる広域画像以上に広い合成広域画像が得られる。
【0012】
第5の拡大画像観察装置はさらに、合成された合成広域画像において、広域画像合成手段による広域画像同士を合成した位置に基づき、座標位置を補正する補正座標位置演算手段を備えることができる。これにより、合成広域画像の合成時に、広域画像同士の隣接領域で重複部分が生じる等して座標位置のずれが生じても、これを正確に補正した座標位置を合成広域画像に対して設定できるので、合成広域画像に対しても正確な対応位置の演算等が可能となる。
【0013】
第6の拡大画像観察装置は、広域画像合成手段が4枚以上の広域画像を合成して合成広域画像を生成する際に、補正座標位置演算手段が左上に位置する広域画像の座標位置を基準として、補正後の座標位置を演算することができる。これにより、座標位置の補正を行う際の基準位置を明確にし、補正座標位置演算手段による補正を容易に行える。
【0014】
第7の拡大画像観察装置は、広域画像表示領域が別画面で表示可能に構成できる。これにより、一般に縮小表示させることの多い広域画像を別画面での表示とし、必要に応じて拡大して表示ことも容易となり、より詳細な表示として視野探し等の作業に資する。
【0015】
第8の拡大画像観察装置は、拡大画像観察装置が、蛍光画像及び明視野画像を撮像する撮像系を備えており、広域画像表示領域に表示させる広域画像を明視野像とし、拡大画像表示領域に表示させる拡大画像を蛍光像とすることができる。これにより、カラーの明視野画像を広域画像として利用しつつ、高倍率で鮮明な画像を取得可能なモノクロの蛍光像を拡大画像として利用し、効率よく視野探しや観察が可能となる。
【0016】
第9の拡大画像観察装置は、試料載置部の移動中は、登録されている広域画像のデジタルズーム像を表示部に表示させることができる。これにより、試料載置部の移動に時間を要する場合でも、仮のデジタルズーム画像が表示されるので、ユーザにおける待ち時間のストレスを低減できる。
【0017】
第10の拡大画像観察装置は、表示部の画像を表示する画像表示領域を複数に分割して、メモリ部に保持された複数の広域画像を、並べて表示可能に構成できる。これにより、登録済みの複数の広域画像を一画面で確認でき、視認性を一層高めることができる。
【0018】
第11の拡大画像観察方法は、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する工程と、観察対象物を載置する試料載置部が相対移動可能な相対移動範囲を、表示部の相対移動範囲表示領域に表示すると共に、保存された複数の広域画像の、該相対移動範囲上における位置をそれぞれ、該相対移動範囲に重ねて表示する工程と、該相対移動範囲上で、いずれかの広域画像の位置を選択することで、該当する広域画像を表示部の広域画像表示領域に切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示させる工程とを含むことができる。これにより、複数枚の広域画像を登録可能で、かつこれらを適宜切り替えて表示可能となり、一枚の広域画像の表示領域に制限されず、より広い範囲での視野探しが可能となる。さらに、単に複数の広域画像の登録、切り替えを可能とするのみならず、観察可能な全領域である試料載置部の移動範囲上で、これら複数の広域画像の位置関係を把握できるので、各広域画像の位置を見失うことなくユーザにガイドでき、確実に視野探しや領域指定を行える。
【0019】
第12の拡大画像観察方法は、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する工程と、観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部において、広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、広域画像表示領域において第1の枠状で表示する工程と、拡大画像をデジタルズームすると、第1の枠状を表示させつつ、第1の枠状と異なる態様で表示される第2の枠状で、デジタルズームされた画像で表示される領域に応じて広域画像上の枠状の大きさを縮小又は拡大する工程とを含むことができる。これにより、デジタルズームに対応させて広域画像上の対応位置も縮小又は拡大されるため、元画像のデータ量と正しく対応した広域画像と拡大画像の関係をユーザに把握させることができる。特に、デジタルズームした拡大画像は解像度が悪くなるため、デジタルズームに対応する範囲に縮小することでユーザにデジタルズームの状態を告知することにも役立つ。また、デジタルズームする前の位置及び大きさと、デジタルズーム後の位置及び大きさを、ユーザは広域画像表示領域上で対比でき、デジタルズームによる領域の変化を視覚的に把握できる。例えば元画像が光学撮像系で撮像した光学像である場合、光学的な視野とデジタルズームした視野とを対比して表示でき、ユーザにデジタルズームの能力の限界を告知できる。
【0020】
第13の拡大画像観察方法は、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、観察対象物を載置するための試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させて、隣接する領域の広域画像を複数撮像する工程と、これら複数の広域画像を、画像処理により境界部分が一致するように繋ぎ合わせて合成し、より大きな広域画像を作成する工程と、合成された合成広域画像において、広域画像同士を繋ぎ合わせた位置情報に基づき、合成画像全体としての座標位置を補正する工程とを含むことができる。これにより、複数枚の広域画像を合成してより大きな合成広域画像を生成でき、対物レンズの最低倍率で得られる広域画像以上に広い合成広域画像が得られる。また、合成広域画像の合成時に、広域画像同士の隣接領域で重複部分が生じる等して座標位置のずれが生じても、これを正確に補正した座標位置を合成広域画像に対して設定できるので、合成広域画像に対しても正確な対応位置の演算等が可能となる。
【0021】
第14の拡大画像観察プログラムは、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する機能と、観察対象物を載置する試料載置部が相対移動可能な相対移動範囲を、表示部の相対移動範囲表示領域に表示すると共に、保存された複数の広域画像の、該相対移動範囲上における位置をそれぞれ、該相対移動範囲に重ねて表示する機能と、該相対移動範囲上で、いずれかの広域画像の位置を選択することで、該当する広域画像を表示部の広域画像表示領域に切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示させる機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、複数枚の広域画像を登録可能で、かつこれらを適宜切り替えて表示可能となり、一枚の広域画像の表示領域に制限されず、より広い範囲での視野探しが可能となる。さらに、単に複数の広域画像の登録、切り替えを可能とするのみならず、観察可能な全領域である試料載置部の移動範囲上で、これら複数の広域画像の位置関係を把握できるので、各広域画像の位置を見失うことなくユーザにガイドでき、確実に視野探しや領域指定を行える。
【0022】
第15の拡大画像観察プログラムは、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する機能と、観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部において、広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、広域画像表示領域において第1の枠状で表示する機能と、拡大画像をデジタルズームすると、第1の枠状を表示させつつ、第1の枠状と異なる態様で表示される第2の枠状で、デジタルズームされた画像で表示される領域に応じて広域画像上の枠状の大きさを縮小又は拡大する機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、デジタルズームに対応させて広域画像上の対応位置も縮小又は拡大されるため、元画像のデータ量と正しく対応した広域画像と拡大画像の関係をユーザに把握させることができる。特に、デジタルズームした拡大画像は解像度が悪くなるため、デジタルズームに対応する範囲に縮小することでユーザにデジタルズームの状態を告知することにも役立つ。また、デジタルズームする前の位置及び大きさと、デジタルズーム後の位置及び大きさを、ユーザは広域画像表示領域上で対比でき、デジタルズームによる領域の変化を視覚的に把握できる。例えば元画像が光学撮像系で撮像した光学像である場合、光学的な視野とデジタルズームした視野とを対比して表示でき、ユーザにデジタルズームの能力の限界を告知できる。
【0023】
第16の拡大画像観察プログラムは、観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、観察対象物を載置するための試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させて、隣接する領域の広域画像を複数撮像する機能と、これら複数の広域画像を、画像処理により境界部分が一致するように繋ぎ合わせて合成し、より大きな広域画像を作成する機能と、合成された合成広域画像において、広域画像同士を繋ぎ合わせた位置情報に基づき、合成画像全体としての座標位置を補正する機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、複数枚の広域画像を合成してより大きな合成広域画像を生成でき、対物レンズの最低倍率で得られる広域画像以上に広い合成広域画像が得られる。また、合成広域画像の合成時に、広域画像同士の隣接領域で重複部分が生じる等して座標位置のずれが生じても、これを正確に補正した座標位置を合成広域画像に対して設定できるので、合成広域画像に対しても正確な対応位置の演算等が可能となる。
【0024】
第17のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器は、上記プログラムを格納するものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray(登録商標)、HD DVD等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を例示するものであって、本発明は拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を以下のものに特定しない。特に本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0026】
本明細書において拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器は、蛍光顕微鏡の操作や表示、設定を行うシステムそのもの、ならびに蛍光顕微鏡の操作、表示、設定等に関連する入出力、表示、演算、通信その他の処理をハードウェア的に行う装置や方法に限定するものではない。ソフトウェア的に処理を実現する装置や方法も本発明の範囲内に包含する。例えば汎用の回路やコンピュータにソフトウェアやプログラム、プラグイン、オブジェクト、ライブラリ、アプレット、スクリプレット、コンパイラ、モジュール、特定のプログラム上で動作するマクロ等を組み込んで蛍光顕微鏡の画像表示そのものあるいはこれに関連する処理を可能とした汎用あるいは専用のコンピュータ、ワークステーション、端末、携帯型電子機器その他の電子デバイスも、本発明の拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器の少なくともいずれかに含まれる。また本明細書においては、プログラム自体も蛍光顕微鏡装置に含むものとする。また本プログラムは単体で使用するものに限られず、特定のコンピュータプログラムやソフトウェア、サービス等の一部として機能する態様や、必要時に呼び出されて機能する態様、OS等の環境においてサービスとして提供される態様、環境に常駐して動作する態様、バックグラウンドで動作する態様やその他の支援プログラムという位置付けで使用することもできる。
【0027】
以下、拡大画像観察装置の一例として、蛍光顕微鏡の例を説明する。ただ、拡大画像観察装置は蛍光顕微鏡に限られず、他の顕微鏡、例えば光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ、共焦点顕微鏡、SEM、TEMその他の荷電粒子線装置等の電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、静電気力顕微鏡、近視野顕微鏡等に適用することもできる。
(実施の形態1)
【0028】
図2に、本発明の一実施の形態に係る蛍光顕微鏡システムのブロック図を示す。なお以下の例では、蛍光顕微鏡を用いて、試料WK(標本、検体、サンプル、ワーク等とも呼ばれる)に複数の蛍光染料(蛍光色素)を導入して多色で染色、発現させる多色蛍光観察を行う例について説明する。この図に示す蛍光顕微鏡本体100は、外部接続されたコンピュータ58によって操作され、コンピュータ58の表示部24上に観察画像を表示させる。
【0029】
コンピュータ58は蛍光顕微鏡本体100と有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータ58と一体に構成される。各種操作や設定は、コンピュータ58に接続された入力デバイス59により行われる。入力デバイス59の例としては、マウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイント等の各種ポインティングデバイスが挙げられる。入力デバイス59で蛍光顕微鏡操作プログラムを操作することにより、蛍光顕微鏡やその周辺機器の操作を行うこともできる。さらに、インターフェース画面を表示する表示部24自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、又は音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。図2の例では、コンピュータ58は入力デバイス59としてキーボード及びマウスを備える。マウスによって、ボタンやアイコン、スライダを操作したり、画像に対して位置指定等の各種操作を行える。このように表示部24で画像と共に操作メニューや設定等を表示させ、イメージ上で操作項目を選択したり操作を行うことにより、ユーザは操作内容や状態等を正確に把握でき、操作ミスも防止でき、また感覚的で操作しやすい操作体系が実現される。
【0030】
蛍光顕微鏡本体100は、光学撮像系として、励起光源を構成する落射光源48、蛍光落射照明用のコレクタレンズ54、フィルタセット1、対物レンズ50、結像レンズ52、蛍光撮像部22を備える。これらの部材は一定の光路上に配置される。落射光源48は蛍光染料を励起する励起光を発する。励起光としては紫外線が多用されるため、落射光源48には紫外光成分を含む高圧水銀ランプや高圧キセノンランプ等が用いられる。これらは、幅広い波長の光を放出する。また落射光源48等の部材はユニット化し、ユニットを組み合わせて蛍光顕微鏡システムを構成することもできる。
【0031】
落射光源48の前面には、落射照明光を遮断/透過させるための落射光量調整部49が設けられる。落射光量調整部49は光路上に配置され、透過率の異なるフィルタを切り替えることで落射光量を調整する。フィルタの切り替えには、フィルタホイールやスライダ等が利用される。図2の例では、フィルタホイールを用いて、透過率が0%、20%、40%、60%、80%、及びフィルタ無しの100%の6段階に透過光量すなわち励起光量を切り替え可能としている。また落射光量調整部を開閉式あるいは移動式の落射光シャッタとして、落射光をON/OFFする機構としてもよいし、或いはホイールとシャッタを併用することもできる。落射光量調整部49の動作は、蛍光観察時には落射光を透過させ、明視野観察時には遮断するよう、制御部26にて制御される。図2の例では、超高圧水銀ランプを励起光原として用いているため、物理的にON/OFFを制御している。ただ、光源の速やかなON/OFFが可能で、また印加電圧等により光量を変化できる落射光源を使用すれば、落射光量調整部を省略することもできる。このような落射光源としては、低消費電力で小型、高効率の発光ダイオードや半導体レーザ等の半導体発光素子が挙げられる。これらは電圧制御による光量調整が可能なので、機械的なフィルタやシャッタを使用した離散的な光量切り替えでなく連続的な調光が可能で、より高精度な励起光量の抑制制御が実現できる。半導体発光素子は発光波長の帯域が比較的狭いため、複数の励起光に対応するために、異なる波長の発光ダイオードを複数配置してもよい。
【0032】
落射光源48から落射光量調整部49を透過した落射照明光は、コレクタレンズ54でほぼ平行な光束にされてフィルタセット1に励起光として導入される。コレクタレンズ54は、落射照明の場合は蛍光落射照明レンズ等が利用できる。なお以下の例では試料の照明を落射照明型とするが、同様に透過型照明や全反射照明型等他の照明方法についても本発明は適用可能である。また図2の例では蛍光撮像部22と、目視用の接眼レンズ29を、ミラー等を利用した観察切替手段53により反射、分岐させて切り替え可能としている。また目視用の機構を省略して、蛍光撮像部22で撮像された画像を表示部24でのみ確認する構成とすることもできる。さらに接眼レンズ29と共に、或いはこれに代わって、明視野像を撮像する明視野撮像部25を配置することもできる。
【0033】
フィルタセット1は、特定の蛍光染料の観察に適した波長の光を選択的に透過するシングルパスのフィルタおよびミラーの組み合わせであり、図2に示すように励起フィルタ12と吸収フィルタ16とダイクロイックミラー14を備える。さらにフィルタセット1は、複数種類が切り替え可能に構成されている。各フィルタセット1は、使用する蛍光染料に応じた励起フィルタ12と吸収フィルタ16とダイクロイックミラー14の組み合わせからなり、これらを切り替えることでそれぞれ異なる単色画像を撮像できる。複数のフィルタセット1はフィルタホルダ56にセットされ、フィルタ切替部18で切り替えられる。フィルタセット1の励起フィルタ12で選択された励起光はダイクロイックミラー14で反射され、対物レンズ50を通過して試料WKに投射される。対物レンズ50は、コンデンサレンズを兼用している。対物レンズ50は観察目的に応じて交換可能であり、ネジ式等により脱着式に、あるいはレボルバ等で複数の対物レンズ50を切り替え可能に構成できる。例えば位相差観察用、微分干渉観察用、明視野観察、暗視野観察用等の専用の対物レンズに交換でき、油浸対物レンズや水浸レンズ、ドライレンズ、カバースライド標本用、ノンカバースライド用等、観察目的や用途に応じて適切な対物レンズを装着、或いは切り替えできる。
(暗室空間46)
【0034】
試料WKは、試料載置部28に載置される。一般に蛍光試料等の微弱光試料の観察は、外乱光を排除する必要があるため暗室で行われる。蛍光顕微鏡本体100は、試料載置部28および光学系の光路を外乱光から遮断された暗室空間46内に配置し、この暗室空間46を暗室状態とすることにより、暗室を用意することなく蛍光観察を行え、使い勝手を改善している。試料載置部28はXYステージ等が利用でき、X軸、Y軸方向に移動可能である。また試料載置部28は上下方向(Z軸方向)にも移動可能とすることにより、光学系(対物レンズ50)との相対距離を変化させてフォーカスの調整を可能としている。試料載置部28は移動機構38により駆動され、移動機構38は制御部26により制御される。あるいは、対物レンズ50を移動させることでもフォーカスを調整できる。同様に、視野の変更においても試料載置部28をX軸、Y軸方向に移動させる他、対物レンズ側を移動させることでも視野を移動できる。
【0035】
試料WKに含まれる蛍光染料の内、照射された励起光に対応する蛍光染料が蛍光を発し、この蛍光が対物レンズ50を通過してフィルタセット1に入射され、ダイクロイックミラー14を通過する。このようにダイクロイックミラー14は、落射照明光を反射して蛍光を透過する。さらに吸収フィルタ16で蛍光を通過し、落射照明光等蛍光以外の光成分を選択的に吸収する。吸収フィルタ16はバリアフィルタとも呼ばれ、ダイクロイックミラー14よりも蛍光像の形成面側に配置される。フィルタセット1を出た光は結像レンズ52を通過して蛍光撮像部22に入射される。蛍光撮像部22は対物レンズ50の焦点面と共役な位置に配置される。この蛍光撮像部22は蛍光を電気信号に変換して画像処理部30に送出する。画像処理部30は、後述する広域画像合成手段の機能を実現する。画像処理部30で必要な画像処理を行った後、画像転送部31で外部のコンピュータ58に転送される。これらの制御は、制御部26にて行われる。制御部26は、蛍光観察モードと明視野観察モードとを切り替える観察モード切替手段21と、観察モードに応じた撮像条件を自動的に設定する等、観察条件を指定するための観察条件設定手段23と、フィルタ切替部18を制御する切替設定部20、広域画像表示領域WAに表示される広域画像を切り替える広域画像切替手段76、合成広域画像において広域画像同士を合成した位置に基づき座標位置を補正する補正座標位置演算手段77、基準励起光量及び表示部でのフレームレートに基づいて、必要な励起光量及び蛍光撮像部の露光時間を演算し、励起光量調整部及び蛍光撮像部の露光時間を制御するための露光時間・励起光量制御手段27等の機能を実現する。この制御部26は、例えばマイクロプロセッサ(MPU)やCPU、LSI、FPGAやASIC等のゲートアレイで構成される。また、蛍光顕微鏡本体100と接続されたコンピュータ58は表示部24を備えており、画像転送部31から送られる画像を、表示部24上に表示する。
【0036】
なお本明細書においては、低倍率で撮像した画像を広域画像、高倍率で撮像した画像を拡大画像と便宜上呼ぶ。ここで低倍率、高倍率とは相対的な値であって、例えば低倍率の拡大倍率が1倍〜10倍程度の場合は、高倍率は20倍〜100倍程度に設定できる。
(蛍光撮像部22)
【0037】
蛍光撮像部22は撮像素子で構成され、2次元状に配列された2次元フォトディテクタが使用される。2次元フォトディテクタは2次元状に配列されており、レーザ顕微鏡のように画面を順次走査することなく一画面を同時に撮像できる。2次元フォトディテクタとしては、CCDのほか、CMOSのイメージセンサ、フォトダイオードのイメージセンサ、フォトトランジスタのイメージセンサ等が使用可能である。本実施の形態では高解像度のモノクロCCDカメラが使用される。CCDカメラを冷却することでノイズ特性を向上できるので、ペルチェ素子や液体窒素等で冷却する機構を備えるCCDカメラを使用してもよい。以上のように蛍光顕微鏡は、シングルパスのフィルタセット1をフィルタ切替部18によって自動で切り替えでき、各フィルタセット1で撮像した単色画像と、これらを重ね合わせた重ね合わせ画像を、同時に表示できる。
(カラーフィルタ32)
【0038】
蛍光撮像部22の前面にはカラーフィルタ32が設けられる。カラーフィルタ32は、図3(a)に示した機械式フィルタ33や図3(b)に示した液晶式フィルタ34が使用できる。液晶式フィルタ34は、液晶チューナブルフィルタや波長可変フィルタ等とも呼ばれ、印加電圧に応じてR、G、Bの透過分光特性をスイッチングする。このフィルタは、機械的な動作が無いので安定した切り替えが可能で、さらに高速なスイッチングが可能であり、好適に利用できる。
(機械式フィルタ33)
【0039】
ただ、液晶式フィルタ34に代わって、図3(a)に示す回転式のターレットを使用した機械式フィルタ33も利用できる。回転式ターレットとは、一般に複数のフィルタを速やかに交換できるような構造の回転板である。円盤状の回転板は中心軸で回転自在に支承され、回転軸を中心に周囲に複数の開口が設けられる。図3(a)の例では、4つの開口が設けられ、それぞれR、G、Bのフィルタ及びフィルタのない開口としている。各開口が、光軸と一致するようにターレットが配置されており、ターレットを回転させることで、開口を速やかに切り替えることができる。これらフィルタの切替は、制御部26の指示により行われる。またこれらのカラーフィルタ32はRGB式に限られず、CMY式としてもよい。なおCCD自体にカラーフィルタを設けたカラーフィルタ付きCCDを使用することもできる。この場合は、さらに別のカラーフィルタを設ける必要はなくなる。
【0040】
さらにカラーフィルタとして、上述した液晶フィルタや機械式フィルタ33の他、音響光学素子(AOTF)を用いた音響光学フィルタや、プリズムとグレーティングを組み合わせたイメージング分光器(インスペクタ)等も利用できる。
(フィルタセット1)
【0041】
フィルタセット1は、一般にダイクロイックキューブと呼ばれる箱状体に、励起フィルタ12と吸収フィルタ16とダイクロイックミラー14の組を含んでいる。フィルタセット1は、試料WKに導入する蛍光染料に応じて励起フィルタ12、ダイクロイックミラー14、吸収フィルタ16の組み合わせが決定される。蛍光染料で発現される色のみが正しく観察できるように、所望の波長成分の光を抽出し他の波長成分を排除するよう、シングルパスのバンドパスフィルタの組み合わせが決定される。したがって、使用される蛍光染料に応じて、使用されるフィルタセット1は決定される。一般には各々蛍光色の異なるフィルタセット1が使用され、例えばRGB、CMY等、蛍光色素に応じた色の組み合わせが適宜採用できる。複数のフィルタセット1はフィルタ切替部18により切り替え可能に構成されている。複数のフィルタセット1はフィルタホルダ56にセットされ、フィルタ切替部18により複数のフィルタセット1のいずれか一を光路上にセットさせる。フィルタ切替部18は、モータ等の駆動により回転式あるいはスライド式にフィルタセット1を切り替えるターレット等が利用できる。フィルタ切替部18の制御は、制御部26の切替設定部20により設定される。フィルタセット1を使用して必要な組の励起フィルタ12、吸収フィルタ16、ダイクロイックミラー14を一括して切り替えることができ、切り替え動作部分を一箇所にまとめて高速動作やメンテナンスを容易にすることができる。ただ、励起フィルタ、吸収フィルタ、ダイクロイックミラーが組になったフィルタセットを使用することなく、複数の励起フィルタ、吸収フィルタ、ダイクロイックミラーをそれぞれ個別に切り替える個別の切替手段を設け、各切替手段を連動して制御することによって所定の組の励起フィルタ、吸収フィルタ、ダイクロイックミラーを光路上に配置する構成としてもよい。さらには、フィルタ類を移動させることなく、ミラー等で光路を変更することでも実質的にフィルタ類を切り替えて撮像することが可能である。
(表示部24)
【0042】
表示部24は、光学系で撮像された画像を表示するディスプレイである。表示部24を構成するディスプレイは、高解像度表示が可能なモニタであり、CRTや液晶パネル等が利用される。なお表示部24を蛍光顕微鏡自体に組み込んだり、外付けしたモニタとすることもできる。
(透過照明)
【0043】
さらに図2の蛍光顕微鏡は、落射光(明視野照明)による蛍光観察に加えて、透過光(透過照明)による明視野観察も行えるよう、透過照明を備えている。試料載置部28の下面に、透過照明レンズ35と、透過光源36を配置している。また透過光源36には、透過照明をON/OFFする透過照明駆動電源37が接続され、制御部26により点灯を制御される。透過光源36は、ハロゲンランプ等が利用される。ハロゲンランプは印加電圧によって光量を変化できるので、機械式のフィルタやシャッタを使用することなくON/OFFや光量制御が可能である。ハロゲンランプから出射された透過照明光は、透過照明レンズ35であるコンデンサレンズを通って試料載置部28上の試料WKを照射する。この際、明視野観察では蛍光観察用のフィルタセット無しで撮像するため、制御部26はフィルタ切替部18を操作して、フィルタセット1からフィルタ部を退避させる。透過照明光で得られた試料WKの明視野像は、対物レンズ50、フィルタセット1、結像レンズ52を通って、観察切替手段53で反射され、明視野撮像部25で撮像され、表示部24上に表示される。
(観察モード切替手段21)
【0044】
以上のように図2の蛍光顕微鏡は、蛍光観察を行う蛍光観察モードと、明視野観察を行う明視野観察モードを備え、これらを観察モード切替手段21で切り替え可能としている。さらに観察モード切替手段21で選択された観察モードに応じて、観察条件設定手段23が観察モードに適した撮像条件を自動的に設定する。これにより、観察モードをスムーズに切り替えできる。
【0045】
従来は、蛍光観察の際はモノクロ画像、明視野観察の際はカラー画像での観察が主であり、各々の観察方式に切り替えるには、ユーザが手動でフィルタの挿抜や励起光の遮断/開放、ピントずれや視野ずれの調整を行っていた。これらの操作は煩雑である上、特に蛍光顕微鏡では操作すべき部位が点在していることが多く、極めて面倒であった。そこで本発明では、観察モードとして蛍光観察モードと明視野観察モードを選択させ、選択された観察モードに応じた撮像条件に、装置側で自動設定するように構成している。これにより、ユーザは観察モードを選択するのみで、表示部にて所望の観察像を表示させることができ、極めて使い勝手の良い顕微鏡観察が実現される。
(蛍光顕微鏡操作プログラム)
【0046】
次に、蛍光顕微鏡操作プログラムの操作画面60のユーザインターフェース画面を図4に示す。図4の操作画面60から、ユーザは試料WKに対して視野探しや倍率調整等、所望の観察を行うことができる。この例は一例であって、蛍光顕微鏡操作プログラムのユーザインターフェース画面において、各入力欄や各ボタン等の配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様等は適宜変更できることはいうまでもない。デザインの変更によってより見やすく、評価や判断が容易な表示としたり操作しやすいレイアウトとすることもできる。例えば画像表示領域や詳細設定画面を別ウィンドウで表示させる、複数画面を同一表示画面内で表示する等、適宜変更できる。またこれらのプログラムのユーザインターフェース画面において、仮想的に設けられたボタン類や入力欄に対するON/OFF操作、数値や命令入力等の指定は、蛍光顕微鏡操作プログラムを組み込んだコンピュータ58に接続された入力デバイス59で行う。本明細書において「押下する」とは、ボタン類に物理的に触れて操作する他、入力デバイス59によりクリックあるいは選択して擬似的に押下することを含む。また、選択できない項目はグレーアウトして表示させることで、ユーザに設定可能な項目かそうでないかを区別し易くしている。
【0047】
この図に示す操作画面60は、画面左側に画像を表示するための画像表示領域61と、右側に各種操作を行うボタン類を配置した操作領域62を設けている。ここでは、画像表示のためにCH1〜CH4の4チャンネルを用意しており、画像表示領域61を4分割し、各々が独立しており異なる画像を表示可能としている。図4の例では、CH1〜CH3に蛍光像、CH4に明視野像を表示させている。画像表示領域61の下側には、励起のON/OFFやプレビュー、撮影、録画等を行うためのボタン類が配置されている。またマウスのホイールに割り当てる機能の選択欄(Zフォーカス、ズーム、露光時間)や、自動保存のON/OFFの別、画像のサイズ、階調等が表示される。
【0048】
操作領域62の上段には、「観察方法の選択」欄64が設けられ、各チャンネルで選択されている観察モードがボタン状のチャンネルボタン65として表示される。またチャンネルボタン65を選択すると、選択したチャンネルの画像が画像表示領域61で拡大表示される。図5は、CH4の明視野像を選択して、拡大画像MIとして拡大表示させた状態を示している。これにより、所望の画像を選択してより詳細に観察できる。図5の画像表示領域61では、画像表示領域61の下段に、露光時間を表示する露光時間表示欄や、露光時間の調整スライダ、オート調整ボタン等が設けられる。また、図5の例では、画像表示領域61に重ねてスケール(200μmに相当する長さ)SCを表示している。ユーザはこの画面から、所望の拡大観察を行う。
【0049】
さらにチャンネルボタン65の下には、観察倍率表示欄66と「チャンネル設定」ボタン67が設けられる。観察倍率表示欄66では、現在の画像表示領域61における倍率を演算して表示される。さらに「チャンネル設定」ボタン67は、各チャンネルで表示される画像の観察モードの変更等、チャンネル毎の設定を行うチャンネル設定画面90(図6)を呼び出すためのボタンである。
(チャンネル設定画面90)
【0050】
図6は、チャンネル毎の設定を行うチャンネル設定画面90の一例を示している。図4の画面から、「チャンネル設定」ボタン67を押下すると図6のチャンネル設定画面90が表示される。ここでは、各チャンネル毎の観察モードの変更や擬似カラー表示の有無等を行う。具体的には、図4に対応させてCH1〜4の各チャンネルの設定欄を4分割して表示し、観察モード切替手段21を構成するプルダウンメニュー21Aで、OFF(使用しない)、明視野観察、蛍光観察、位相差観察のいずれかを選択する。ここで選択された観察モードに応じて、観察条件設定手段23により自動的に透過照明ハロゲンランプ(透過光源36)のON/OFF、蛍光励起シャッタ(励起光量調整部49に設けられた落射光シャッタ)のOPEN/CLOSEが選択され、プルダウンメニュー21A下段に設けられた透過照明ハロゲン状態表示欄91、蛍光励起シャッタ状態表示欄92に各々表示される。さらに、画像処理部30における内部処理の方法も、これら観察モードの変更に応じた設定に自動的に切り替えられる。例えば「明視野」を選択すると、明視野観察に適した顕微鏡の設定として、自動的にカラーフィルタ32が挿入され、画像処理部30でもカラー画像を作成する設定に切り替わる。このように、ユーザが選択した観察モードに応じて各項目を一々手作業で切り替える操作を無くし、自動で必要な切替作業を行わせることにより、大幅な省力化が図られ、ユーザは各項目の切替作業を意識することなく所望の観察像を速やかに観察できるようになる。
(擬似カラー表示機能)
【0051】
また、蛍光観察で得られたモノクロ画像を所望の色に着色する擬似カラー表示機能を備えている。擬似カラー表示は、モノクロ階調に色の濃淡を割り付ける処理であり、LUT(ルックアップテーブル)割り付けとも呼ばれる。ここでは、擬似カラー表示欄93のチェックボックスをONし、所望の表示色を表示カラー選択欄94で選択することにより、選択した色に着色された擬似カラーの蛍光像が表示されるようになる。さらに擬似カラー表示機能のON/OFFを蛍光像に表示させることもできる。図4の例では、画像表示領域61において各チャンネルの画像の下段に擬似カラーON/OFF表示欄95が設けられ、擬似カラー表示されているものについては「擬似カラー」と表示され、さらに着色した色と同色の背景色にて表示される。これにより、ユーザは擬似カラー表示を選択したチャンネルを視認できると共に、何色に着色したかも併せて把握できる。なお擬似カラー表示機能はモノクロ画像への着色を行うものであり、既にカラー画像である明視野画像には適用されない。このため明視野画像選択時には擬似カラーON/OFF表示欄95をグレーアウトさせ、誤設定を防止する。
【0052】
さらに、コメント表示欄96を設け、画像表示領域61において、試料WKの名前や観察条件等、所望のコメントをテキストで表示することもできる。
【0053】
図6の例では、CH1〜CH3が蛍光観察モード、CH4が明視野観察モードを選択している。明視野観察モードでは、元々カラー表示されるため擬似カラー表示欄93はグレーアウトして表示し、選択できないようにしている。また、CH4設定欄の下段には「オーバーレイ表示として使用」欄97が設けられる。オーバーレイ表示とは、マルチカラー撮影の4分割画面表示の際に、CH1〜CH3の画像を合成したオーバーレイ画像をCH4で表示するモードである。図6に示すように「オーバーレイ表示として使用」欄97のチェックをONすることで、CH4での設定(図6の例では明視野観察モード)に拘わらず、図4に示すように、オーバーレイ表示を行う。この際、画像表示領域61におけるCH4の表示領域の下段のステータス表示欄95A左側に「オーバーレイ」と表示され、オーバーレイ表示が適用されていることが確認できる。更にステータス表示欄95には、オーバーレイ画像の合成元画像であるCH1〜CH3の各画像の重み付けを調整する合成調整欄95Bを設けることもできる。図4の例では、合成調整欄95Bとして各画像の透過率を0〜100の範囲で独立して調整できる。
【0054】
加えて、すべてのチャンネルでの共通の設定項目を設定するための共通設定欄98として、ゲイン/プレビュー速度、測光方式、LUT補正/ブラックバランス、リアルタイムフィルタ、ホワイトバランス、ノイズリダクション、励起光量等のON/OFFを選択できる。これらの設定終了後、「設定」ボタン99を押下することで設定が反映され、観察条件設定手段23がフィルタの挿抜等を実行する。
【0055】
図4の蛍光顕微鏡操作プログラムに戻って説明を継続すると、「観察方法の選択」欄64の下段に設けられた操作領域62では、複数のタブを切り替えて操作項目を選択する。図4の例では「顕微鏡操作」タブ102が選択されており、このとき操作領域62には「レンズ選択」欄68が設けられ、対物レンズ50を選択できる。この蛍光顕微鏡では複数の対物レンズ50を対物レンズ用ターレット上にセットし、対物レンズ用ターレットを回転させて切り替え可能としている。倍率の異なる対物レンズ50を切り替えることで、光学倍率を変更できる。図4の例では対物レンズを6個までセット可能で、ここでは5個の対物レンズをセットしている。「レンズ選択」欄68では現在セットされている対物レンズ50が、その倍率と共にアイコン状に表示されている。対物レンズがセットされていない位置は、空欄で表示され、この位置に対物レンズを追加できることが視認できる。所望の対物レンズ50のアイコンを選択すると、制御部26が指令を出し、対物レンズ用ターレットを回転させて自動的に対物レンズ50が切り替えられる。また対物レンズ50を切り替える際には、対物レンズ50を一旦待避させて、対物レンズ用ターレット回転時に試料載置部28と接触しないようにしている。
(ナビゲーション欄70)
【0056】
さらに「レンズ選択」欄68の下段には、倍率を調整するズーム調整スライダ69が設けられる。さらにその下段には、ナビゲーション欄70が設けられる。ナビゲーション欄70は、観察可能な範囲の全域、すなわち試料載置部28の相対移動範囲SIを示す相対移動範囲表示領域を構成する。またナビゲーション欄70には、現在観察中の位置が十字状のグリッドGDで表示される。これにより、ユーザは現在観察中の位置が全体のどの辺りに位置するかを把握できる。このナビゲーション欄70では、広域画像の表示、選択を行う。ナビゲーション欄70の「ナビゲーション」ボタン71を押下すると、図7のナビゲーション画面72が別ウィンドウで開き、登録された広域画像WIが表示される。すなわちナビゲーション画面72は、広域画像WIを表示する広域画像表示領域WAとして機能する。従来、広域画像は拡大画像の脇に併設された小さな画面を使用することが多かったが、この状態では詳細が判別し辛いという問題があった。本実施の形態ではナビゲーション画面72を使って広域画像WIを大きく表示させることにより、より見易く、詳細表示を可能にして視野探し作業を容易にできる。また、図5の拡大画像表示領域MAで現在表示中の拡大画像MIに対応する領域を、広域画像WI上で矩形状の第1の枠状BX1にて表示している。これにより、現在観察中の部位を広域画像WI上で容易に把握でき、視野の移動等に役立てることができる。また図7の画面で第1の枠状BX1をマウス等の操作により移動させると、これに追従して図5の拡大画像表示領域MAの表示も対応する領域の拡大画像MIとなるよう更新される。この例では、広域画像WI、拡大画像MIのいずれも明視野像としているが、広域画像WIを明視野像、拡大画像MIを蛍光像とすることで、カラー画像で視野を探して高解像度のモノクロ画像で拡大観察するという蛍光観察に適した環境が実現できる。
【0057】
なお、この例では、広域画像表示領域WAを別ウィンドウとしているが、拡大表示領域と同一画面で分割して表示させることも可能であることはいうまでもない。例えば図5の画面において、画像表示領域を二分割して拡大画像表示領域と広域画像表示領域を並べて表示させることもできる。さらに図5の例では、ナビゲーション欄70に試料載置部28の相対移動範囲SIを表示しているが、従来のようにナビゲーション欄に広域画像を縮小表示させることも可能である。このような表示形態の設定は、ユーザの好み等に応じて任意に設計できる。
(広域画像切替手段76)
【0058】
さらに、複数の広域画像を切り替えることができる。図7のナビゲーション画面72の上段には、チャンネル表示欄73、ナビ画像倍率表示欄74、履歴画像表示欄75及び広域画像切替手段76が設けられている。チャンネル表示欄73は、現在表示中のチャンネル番号(図7の例ではCH4)を表示する。ナビ画像倍率表示欄74は、ナビゲーション画面72で表示される広域画像WIの倍率を表示する(図7の例では200倍)。履歴画像表示欄75は、現在登録されている広域画像の枚数と、表示中の広域画像の番号を表示している。図7の例では、3/3と表示され、登録済みの3枚の広域画像中、3番目の広域画像WIが表示されていることを示している。広域画像WIは、広域画像切替手段76を構成する矢印ボタンで切り替えることができる。図7の例では、←、→ボタンが配置され、これを押下することで、登録済みの広域画像WIが登録番号の昇順、降順に順次切り替えられる。このように、複数枚の広域画像WIを切り替え可能とすることで、従来のように一枚のみの広域画像に制限されることなく、より柔軟な視野の選択、切り替えが可能となる。
【0059】
広域画像WIの登録は、図7のナビゲーション画面72において、所望の視野や倍率に調整した後、画面右下に設けられた「画像登録」ボタン78を押下して行う。これにより、その時点でナビゲーション画面72に表示されている画像が広域画像WIとしてメモリ部に保存される。広域画像WIは、明視野像や蛍光像といった観察方法の種別、撮像時の倍率といった撮像条件の情報と共に記録される。またそれぞれの広域画像WIの座標情報に基づいて、図5において広域画像WIの登録位置を示すナビゲーション欄70の表示も自動更新される。
【0060】
広域画像WIは、予め登録され、メモリ部に保存される。複数の登録画像を保存するメモリ部は、蛍光顕微鏡本体側の制御部や画像処理部等に備えることもできるし、あるいはコンピュータ側に備えることもできる。図2の例では、カメラ制御用PCであるコンピュータ58にメモリ部を備える。例えばコンピュータのハードディスク等を利用することで、蛍光顕微鏡本体側の構成を簡素化してコストダウンを図ることができる。また制御部を構成するコンピュータ58が各種制御を行う。さらに図7のナビゲーション画面72に表示中の画像を、広域画像として登録することなく、単に保存することもできる。「画像登録」ボタン78の右隣に配置された「保存」ボタン79を押すと、画像に名前を付けて保存するダイヤログが現れ、所望の名前を付して保存できる。
(相対移動範囲表示領域)
【0061】
上述の通り、図5に示す蛍光顕微鏡操作プログラムの画面では、ナビゲーション欄70に試料載置部28の相対移動範囲SIを表示しており、この相対移動範囲SI上に、登録済みの広域画像の位置が点で表示される。複数枚の広域画像が登録されている場合は、各広域画像に対応する位置に、それぞれ点が表示される。これにより、広域画像が試料載置部28上のどの位置に登録されているかを俯瞰でき、複数枚の広域画像が離散的に登録されている場合でも、相互の位置関係を把握してこれらを区別することが容易となる。
【0062】
このように、従来の1枚の広域画像のみに基づく拡大画像の視野探しに加えて、複数枚の広域画像と、これら広域画像の範囲を示す相対移動範囲SIを付加することで、図8に示すように、より柔軟な視野移動や視野探しを可能とする。図8(a)は相対移動範囲SI(図5のナビゲーション欄70)、図8(b)は広域画像WI2(図7のナビゲーション画面72)、図8(c)は拡大画像MI(図5の拡大画像表示領域MA)をそれぞれ示している。この例では4つの広域画像が登録されており、図8(a)の相対移動範囲SIには各広域画像の位置を示すWI1〜4の4点が表示される。図8(a)の画面からいずれかの広域画像WI1〜4の点を選択すると、図8(b)に示すように対応する広域画像(図8(b)の例ではWI2)が図7のナビゲーション画面72に表示される。ナビゲーション画面72上から拡大画像MIを指定すると、図5の拡大画像表示領域MAに該当する拡大画像が表示されると共に、図7の広域画像WI上には対応する領域に矩形状の第1の枠状BX1が表示され、拡大画像MIの位置を広域画像WI上で確認できる。
【0063】
以上のように、蛍光顕微鏡の視野を決定するために大領域、中領域、小領域の3段階を用意し、これらを相互にリンクさせることで、視野の相対的な位置関係の把握が容易になり、視野の移動、選択を極めて容易にできる。すなわち、一枚の広域画像のみで視野探しを行っていた従来の方法と比べ、複数枚の広域画像を登録して切り替え可能とすることでより広範な範囲で視野探しが可能となる。さらに、複数枚の広域画像が、XYステージの相対移動範囲においてどの位置にあるかを相対移動範囲表示領域で表示させることで、これら複数枚の広域画像同士の位置関係も容易に整理でき、複数枚の広域画像を混乱無く選択して、適切な視野探しが行える。
【0064】
また、登録済みの広域画像を表示部上に複数表示させることもできる。表示部24の画像表示領域61を複数領域に分割し(例えば図4に示すCH1〜4)、分割された領域に登録済みの広域画像を各々表示させることで、複数の広域画像を一画面で確認できる。例えばタイムラプス機能で長時間の経時観察画像を複数並べて表示する場合のように、所望の領域の画像を複数抽出して同時に表示させることができ、視認性を高め視野探し等に資する。
(デジタルズーム)
【0065】
また蛍光顕微鏡は、光学ズーム以外に、画像処理によるデジタルズーム機能を備える。デジタルズームを行う際は、図9に示すように、現在拡大画像表示領域MAで表示される視野に対応する領域を広域画像WI上で、光学視野とデジタルズームした視野の両方を表示する。すなわち、広域画像WI上に拡大画像MIの領域を矩形状で表示させる際、図9(a)に示すように元画像である光学画像の矩形を破線(第1の枠状BX1)で表示させつつ、デジタルズームの倍率に応じて、拡大表示された領域を実線(第2の枠状BX2)で表示させる。これにより、解像度の高い元の光学像と、デジタルズームにより拡大された視野に対応する領域とを広域画像WI上で対比でき、ユーザはデジタルズームによる表示であること、すなわち光学画像に比べて解像度が低下していることを認識できる。加えて、低倍率の広域画像WI上での対応位置が正しく反映されるので、どの程度解像度が低下しているか、すなわち元データの領域と視野との相対関係も確認できる。また広域画像WI上で現在位置を変更する際は、変更位置まで試料載置部28が移動している間はデジタルズーム像を表示しておく。すなわち、XYステージの可動範囲は大きく、指定された目標位置までステージを物理的に移動し終えるまである程度の時間を要する。このため、ナビゲーション画面72に表示されている広域画像WIの中から、目標位置の視野に相当する画像を切り出し(例えば枠状BX1で表示される視野範囲画像)、ステージの移動中はこの視野範囲画像をデジタルズームで拡大表示させた視野範囲画像を一時的に表示させる。ステージ移動終了後は、得られた拡大画像MIの表示に切り替える。これにより、時間のかかるステージ移動中にも仮のデジタルズーム画像が表示されるので、ユーザにおける待ち時間のストレスを低減できる。
(広域画像合成手段)
【0066】
また複数の広域画像を離散的に登録して切り替え表示する他、隣接する広域画像同士を繋げて、より大きい広域画像に合成することもできる。このような画像を連結の手順を、図10に基づいて説明する。図10の例では、4枚の広域画像WI5〜8を繋ぎ合わせて一枚の合成広域画像を生成している。先ず図10(a)に示すように、試料載置部28を移動させて、左上から時計回りに、隣接する広域画像WI5〜8まで4枚撮像する。広域画像WIは、倍率の最も低い対物レンズを使用して明視野画像で撮像する。この際、隣接する広域画像WI同士が若干重なるように、視野を設定する。そして図10(b)に示すように、隣接する広域画像WI同士の重なり部分に基づいて、画像処理によりこれらを連結する。この合成処理は、画像処理部30の広域画像合成手段により行う。画像を合成するアルゴリズムとしては、画像データから特徴点を抽出してマッチングを行う等、既知の方法が適宜利用できる。これにより、一枚の大きな合成広域画像を得ることができる。従来は、最も倍率の低い対物レンズで得られる視野以上に広い広域画像を得ることができなかったが、この方法であれば複数枚の広域画像を継ぎ足すことで、対物レンズの最低倍率に制限されないより広い広域画像を得ることが可能となる。
(補正座標位置演算手段77)
【0067】
このようにして得られた合成広域画像は、つなぎ合わせのための重なり部分によって、各広域画像の持つ位置座標が若干狂うという問題がある。そこで、広域画像合成手段が画像の合成を行う際の重なり量を保持しておき、この値に基づいて、座標位置を補正する。この補正は、制御部26の補正座標位置演算手段77により行う。具体的には、図10(b)において左上の広域画像WI5の座標を基準とし、広域画像WI6〜8については各画像との重なり量を減算した座標位置に補正する。これにより、拡大画像MIの位置を合成広域画像上に正しく反映させることができる。
【0068】
図11に、このような広域画像合成を行うユーザインターフェース画面の一例を示す。この図に示す例では、ナビゲーション画面72において広域画像WI9〜WI14の6枚を指定し、広域画像合成を実行している。広域画像合成実行中は、進捗ダイヤログボックス120に進捗を示すバーグラフが表示され、各広域画像の撮影と、撮影された広域画像の連結を実行する進捗状況が示される。
【0069】
図5の顕微鏡操作プログラムの説明に戻ると、ナビゲーション欄70の右側には、対物レンズ50の位置を縦棒状に表示しており、視覚的に対物レンズ50の相対位置を把握できる。さらにその下段には、「ステージ位置記憶」欄80が設けられる。加えてその下段には照明の光量調整欄82が設けられる。図4の例では、透過光源36であるハロゲンランプは、チェックボックスによりON/OFFが切り替えられ、また落射光源48である超高圧水銀ランプは、スライダを操作することで光量を調整できる。
【0070】
また操作領域62の最下段には、対物レンズ50を退避させる「レンズ退避(Pause)」ボタン、画像上で各種の解析を行うための解析ソフトを呼び出す「解析ソフト」ボタン、顕微鏡操作プログラム起動時の初期画面を表示させる「初期メニューへ」ボタンが設けられている。
(蛍光観察モードへの切替)
【0071】
観察条件設定手段23が撮像条件を切り替える手順を、図12及び図13のフローチャートに基づいて説明する。これらのフローチャートにおいて、図12は蛍光観察を選択した場合、図13は明視野観察を選択した場合、の観察モード切替手順を説明している。まず、蛍光観察モードへの切替について、図12に基づき説明する。ステップS1201で、ユーザが図6の画面から観察モード切替手段21で蛍光観察を指定すると、ステップS1202で透過光源36のハロゲンランプがOFFされ、ステップS1203で蛍光フィルタキューブが挿入され、ステップS1204でCCDカメラの前段に配置したカラーフィルタ32が排除される。ここでカラーフィルタ32が回転式の場合はフィルタのない穴の位置が選択され、液晶式の場合は、電動挿抜機構等により機械的に退避される。次にステップS1205で蛍光観察用の蛍光撮像部22の設定を行う。例えばピーク測光やAE(自動露光)のOFF等を設定する。さらにステップS1206で画像処理部30をモノクロ画像処理モードに切り替える。具体的には色補間や色合成等を行わない処理とする。さらにステップS1207で、蛍光励起シャッタを開放位置とする。しかし、観察が終了した後、例えば別の観察条件に移っている場合やパソコンのアプリケーションで他の演算をしている場合等は、無駄な励起を行わないようにする。
【0072】
一方、明視野観察モードへの切替は、図13に示すようにステップS1301でユーザが明視野観察モードを選択すると、ステップS1302で蛍光励起シャッタを閉鎖位置とし、無駄な励起を行わないようにする。次にステップS1303で、透過光源36であるハロゲンランプをONする。特にハロゲンランプはランプ光量の立ち上がりが悪いため、早めに点灯することが好ましい。次にステップS1304で透過光が蛍光フィルタを透過しないよう、蛍光フィルタキューブを退避させる。次いでステップS1305でカラーフィルタ32をカラーモードに切り替える。機械式フィルタ33を使用する場合はターレットを回転させてRGBを順次切り替え、液晶式フィルタ34の場合はフィルタを光路に挿入する。さらにステップS1306で画像処理部30をカラー画像処理モードに切り替える。機械式フィルタ33の場合はターレットの回転の制御と色合成とをリンクさせ、あるいは液晶式フィルタ34の場合は印加電圧制御と色合成をリンクさせ、カラー画像を合成する。そしてステップS1307により、明視野撮像部25の設定を行う。例えばカラーCCDカメラのアベレージ測光やAEをONにする等の設定を行う。なお、これらの手順は一例であり、一部の工程の順序を入れ替えることもできる。
【0073】
これによって、蛍光観察モードに際しては、高感度、高階調、高解像度のモノクロ撮影ができ、一方明視野観察に際しては、色情報を持ち3CCD並の高解像度のカラー撮影ができる。ユーザが観察モードを選択するという一の操作のみで、顕微鏡、カメラ、画像処理、カラーフィルタ32等の制御を全て自動で観察条件設定手段23に行わせることにより、観察モードの切替に伴う設定変更の大幅な省力化を図ることができる。またこの構成は特別な機器を付加することなく安価に実現できる。
(位相差観察モード)
【0074】
さらにこの方法は、明視野観察に限られず、位相差観察や微分干渉観察にも適用できることはいうまでもない。位相差観察によれば、光の回折と干渉を利用して、透明な試料に明暗のコントラストを付けて観察できる。明視野観察のように試料を染色する必要がないので、生体細胞や培養細胞、血液等生きたままの状態で観察できる。
【0075】
以下、位相差観察モードの設定を行う手順を、図14のフローチャートに基づき説明する。まずステップS1401で、位相差観察を指定する。ここではユーザが観察モード切替手段21により、位相差観察モードを選択する。次にステップS1402で、蛍光励起シャッタを閉鎖位置とし、無駄な励起を行わないようにする。さらにステップS1403で、透過光源36であるハロゲンランプをONした後、ステップS1404で、透過光が蛍光フィルタを透過しないよう、蛍光フィルタキューブを退避させる。次いでステップS1405でカラーフィルタ32をカラーモードに切り替え、ステップS1406で画像処理部30をカラー画像処理モードに切り替える。これらステップS1402〜ステップS1406の処理は、上述した図13とほぼ同様の手順となる。そしてステップS1407により、位相差用の撮像部の設定を行う。例えば明視野撮像部25のカラーCCDカメラのアベレージ測光やAEをONにする、エッジ強調フィルタを適用する等の設定を行う。さらにステップS1408で、蛍光顕微鏡を位相差観察を行うための物理的な構成に切り替える。ここでは、対物レンズ50の倍率に応じた位相リング絞りを挿入する。本実施の形態では、位相差リングのPhリングとしてPhL、Ph1、Ph2、Ph3の4タイプがあり、対物レンズ50の倍率に応じてこれらを使い分ける。このようにして位相差観察モードでは、透明な試料又は反射試料の位相あるいは光路差に基づき位相差像を結像することで、コントラストの高い位相差像を得ることができる。なお、これらの手順は一例であり、一部の工程の順序を入れ替えることもできる。
(微分干渉観察モード)
【0076】
微分干渉観察とは、無染色の試料を光が通過する際の屈折率の違いや、試料表面の形状による光路差(光の進み方の違い)を明暗のコントラストに変えて観察する方法である。微分干渉観察では偏光を利用して僅かに離間した平行光を生成して、無色透明の試料に透過させた後、これらの光を干渉させて立体的な結像を得る。この微分干渉観察は位相差観察と同様、生きたままの試料を観察でき、特に位相差観察よりも厚い試料に適している。用途としては神経や筋肉の繊維構造、細胞分裂紡錘体の観察や、細胞核構造、その他無染色の厚い試料、あるいはICウェハ表面、磁気ヘッドの研磨面の外観検査、結晶成長過程の観察等に利用される。
【0077】
以下、微分干渉観察モードの設定を行う手順を、図15のフローチャートに基づき説明する。まずステップS1501で、微分干渉観察を指定する。ここではユーザが観察モード切替手段21により、微分干渉観察モードを選択する。次にステップS1502で、蛍光励起シャッタを閉鎖位置とし、ステップS1503で透過光源36をONした後、ステップS1504で蛍光フィルタキューブを退避させる。これらステップS1502〜ステップS1504の処理は、上述した図13、図14とほぼ同様の手順となる。次いでステップS1505でCCDカメラの前段に配置したカラーフィルタ32を排除する。ここでカラーフィルタ32が回転式の場合はフィルタのない穴の位置が選択され、液晶式の場合は、電動挿抜機構等により機械的に退避される。さらにステップS1506で画像処理部30をモノクロ画像処理モードに切り替える。具体的には色補間や色合成等を行わない処理とする。そしてステップS1507により、微分干渉用の撮像部の設定を行う。例えば蛍光撮像部22を構成するモノクロCCDカメラ22Aのアベレージ測光やAEをONにする、エンボスフィルタを適用する等の設定を行う。最後にステップS1508で、蛍光顕微鏡を微分干渉観察を行うための物理的な構成に切り替える。ここでは、投光側の光路上に光学素子(プリズム)及び偏光板(ポラライザ)を挿入し、一方結像側の光路上に光学素子(プリズム)及び偏光板(アナライザ)を、それぞれ挿入する。このようにして、微分干渉観察モードへの切り替えを行った上で微分干渉観察を実行する。なお、これらの手順は一例であり、一部の工程の順序を入れ替えることもできる。
【0078】
このような位相差観察や微分干渉観察を行う観察モードをさらに観察モード切替手段21に付加して選択可能とすることで、これらの観察モードへの切り替えもスムーズに行うことができる。あるいはまた、蛍光顕微鏡の構成に応じて、微分干渉観察に加えて、特殊なコンデンサを使用することで試料を斜めから照明して試料により散乱した光を観察する暗視野観察や、試料の偏光特性を明暗のコントラストや色の変化にして観察する偏光観察等への切り替えも選択肢に含めることもできる。
(蛍光合成観察モード)
【0079】
また蛍光観察で得られたモノクロ画像をカラー化したい要求もある。例えば、蛍光観察をする前にまず試料内の細胞の位置を確認するためにカラー画像を利用することがある。また、得られた信号が蛍光か単なるノイズかを判断するために蛍光の色合いを見て判断することや、非蛍光標本を観察する場合、あるいは蛍光イメージングで問題となる自家蛍光(バックグラウンド)と蛍光シグナルと判別したい場合等にカラー撮影したいことがある。このような場合、モノクロCCDカメラではカラー撮影できず、カラーCCDカメラを増設するのはコストがかかる。またカメラを接続するカメラポートが1つしか備えられていない場合は、一々カメラを装着し直す必要があった。そこでモノクロカメラにカラーフィルタを挿入してカラー化する方法が開発されている。明視野観察のカラー撮影により試料の色情報を取得した後、蛍光観察により得られたモノクロ画像である蛍光像の輝度情報に色情報を重ねることで、カラー化した蛍光合成画像を結像する。これにより信号を判別しながら高感度、高解像度、高速な蛍光観察も可能となる。ただ、蛍光合成画像を結像するには、フィルタ挿抜と共にカメラ画像処理も変更する必要があり、観察方法の切り替えに応じて変更するのが手間であった。またカラーフィルタを挿入したときピントずれや視野ずれ、色ずれ、あるいはレンズの個体差によるずれ等が発生するので、これらの調整も必要となる。そこで、このような蛍光合成画像を撮像する条件を、蛍光合成観察モードとして、観察モード切替手段21に付加し、観察条件設定手段23で自動的に設定することで、このような手間を省力化し、容易に蛍光合成画像を得ることができるようになる。
【0080】
蛍光合成観察モードにおいてカラーの蛍光合成画像を得る手順の一例を説明すると、先ず透過光源36のハロゲンランプがOFFされ、蛍光フィルタキューブが挿入され、カラーフィルタ32をカラーモードに切り替える。さらに蛍光観察用の蛍光撮像部22の設定を行い、画像処理部30をカラー画像処理モードに切り替え、蛍光励起シャッタを開放位置とする。このようにして、カラーの蛍光合成画像を得るための構成とできる。観察条件設定手段23は、蛍光合成観察モードが選択されると、上記の撮像条件に変更する。
【0081】
さらに、蛍光顕微鏡で光軸方向に移動させながら、すなわち高さを変化させながら複数の画像を撮像し、これらの画像を合成することで3次元情報を含む立体画像(スタック画像)を取得することもできる。スタック画像は光軸方向の奥行きを持っており、試料Wの表面状態を観察可能である。特に多色蛍光観察(マルチカラー)においては、多重染色試料に合致したフィルタセット1を切り替えるターレットを自動選択しながら、Z軸方向のスキャニング画像を時系列で取得し、これによって蛍光染料の発現箇所等を立体的に深度深く観察することが可能となる。
(補正作業の自動化)
【0082】
加えて、観察条件設定手段23が撮像条件を変更する際に、カラーフィルタ32を挿入したときに発生する様々なずれを自動的に補正することもできる。従来、このようなずれの修正は手作業で行っていたが、フィルタ毎の補正量を予め登録しておくことで、観察モードの切り替えと共にレンズ位置の微調整等の補正作業も併せて行わせることができ、更なる省力化と高精度な観察が実現できる。
(帯域)
【0083】
さらにまた、観察モードの切替の際に、画像転送の際のフレーム落ちを考慮したデータ量の調整を行わせることもできる。一般にモノクロ画像データに比べ、カラー画像データは情報量が多いため、図2において画像転送部31から外部のコンピュータ58に画像データを転送する際の転送経路の帯域の制限、転送速度やフレームレートが問題となる。すなわち、モノクロ画像の際にはデータ量が比較的少ないため、データ通信量を帯域の範囲内に抑えることができ、フレーム落ちを生じることなく画像データを転送でき、表示部24においてリアルタイムに画像が更新されていたものであっても、カラー画像に切り替えた途端、データ量が大きくなって制限された帯域内で転送されるデータ量が不足し、フレーム落ちを生じることがある。これに対応するために、画像転送部31とコンピュータ58間で行われるデータ通信経路の帯域やフレーム転送速度に応じて、画像データのビット数を調整する。例えば、モノクロ撮影時は1CHの高階調(10〜16bit)で転送し、カラー撮影時はRGB毎の階調を8bit以下に低下させて画像転送することで、動画転送時の帯域を一定量に抑え、フレーム落ちや低下を防ぐことができる。この設定は、予め装置又はプログラム側で設定する。或いは、ユーザが転送速度等に応じて個別に設定可能とすることもできる。
(露光調整機能)
【0084】
さらに本実施の形態では、蛍光撮像部のフレームレートに応じて、可能な限り露光時間を長く調整し、必要最小限の励起光量を自動的に計算してこの値に励起光量を自動調整する機能を備える。これにより、強い励起光を試料に照射し続けることで試料に与えるダメージを軽減できる。すなわち、従来はユーザが励起光量を抑えるために、蛍光観察の目的や条件等に応じて手動で露光時間を適宜調整して励起光量を下げる作業を行っていた。しかしながら、必ずしも正確な調整がなされていたとはいえず、またこの作業が非常に面倒であるという問題があった。そこで本実施の形態では、このような作業を自動化し、ユーザが求める蛍光像の明るさを得るために、条件の範囲内で励起光量を可能な限り抑えるよう、制御部26の露光時間・励起光量制御手段27が自動的に露光時間を設定している。この手順を、図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0085】
先ずステップS1601で、ユーザが所望の条件で適切な明るさに調整する。すなわち、所望の観察モードに観察モード切替手順で設定し、また励起光源の明るさや蛍光撮像部のシャッタースピード等を観察条件設定手段23で設定する。このときの励起光量を基準励起光量とする。図3の例では励起光量は、励起光量調整部であるフィルタの切り替えにより0〜100%まで20%幅で6段階の切り替えを可能としている。実際には0%(励起光遮断)にすることはないので、20%〜100%の5段階で励起光量を記憶する。次にステップS1602で、露光時間・励起光量制御手段27の露光調整機能をONにする。そしてステップS1603で、現在の蛍光撮像部の撮像条件を取得する。すなわち、モノクロCCDカメラのカメラ撮影条件として、蛍光像撮像時のフレームレート(シャッタースピード又は露光時間)、画素数等を保持する。
【0086】
次にステップS1604で、この撮像条件から、フレームレートを演算する。フレームレートは、観察モードによって変化する。観察モードとしては、ビニング、画像積算、蛍光合成観察等が挙げられる。ビニングは、隣接する複数の画素で光量を加算して一画素として扱うことにより、画素数は少なくなるものの、画像を明るくできる観察モードである。画像積算は、連続的に撮像した複数枚の蛍光像を画素毎に重ねて光量を多くする観察モードである。蛍光合成観察は、RGB各色に対応する蛍光像を取得し、これらを合成したカラー画像を得る観察モードである。また蛍光像の一部の領域のみを撮像する読み出しの有無、すなわち蛍光像の画素数によっても変化する。一例として、画素数1360ピクセルx1024ピクセルで15フレーム/秒を標準のフレームレートとした場合の、フレームレートの変化を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
これらフレームレートの計算は、標準観察を元にして演算される。例えば、部分読み出しであれば画素数が少なくなる分、高速な読み出しが求められ、画素数1000ピクセルx400ピクセルに設定すると、(1360×1024)÷(1000×400)倍=約3.48倍となり、15フレーム/秒×3.48=52フレーム/秒となる。この場合に、部分読み出しで励起光量を80%透過、露光時間10msにおいて十分な蛍光像が得られているとすれば、これを基準光量として露光調整機能を実行すると、露光時間は1/52フレーム/秒=19.1msとなるので、励起光量を標準観察の80%から、80%/(19.1ms/10ms)=41.8%まで落とすことが可能となる。
【0089】
また、ビニングにより2×2ピクセルをサブアレイ(部分領域)に設定すると、元画像の1360ピクセル×1024ピクセルが680ピクセル×512ピクセル相当となるので、上記部分読み出しと同様に計算できる。さらに画像積算では、積算枚数分だけフレームレートが低くなり、例えば5枚の画像積算では(15フレーム/秒)/5枚=3フレーム/秒となる。さらにまた蛍光合成観察では、図3に示すようにモノクロカメラにカラーフィルタを挿入してカラー化する。カラーフィルタの挿入方法には、図3(a)に示すように回転式のターレット状にR、G、B、透過のフィルタを設け、機械的にこれらを切り替える方式と、図3(b)に示すように、液晶RGBフィルタを用いて印加電圧によってR、G、Bと透過分光特性をスイッチング、若しくは透過を切り替える方式がある。いずれの場合も、RGB各色毎の蛍光像を合成するため、フレームレートは1/3となり、15フレーム/秒が5フレーム/秒となる。
【0090】
さらに、これらの撮影条件を組み合わせることもでき、上記と同様の計算によりフレームレートを計算できる。観察条件を組み合わせた場合のフレームレートの変化の一例を、表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
このようにしてフレームレートが決定されると、ステップS1605で、このフレームレートに応じて蛍光撮像部の露光時間を調整する。すなわち、フレームレートで許容される時間いっぱいまで、露光時間を長くする。例えばユーザが標準観察において励起光量を80%透過、露光時間を10msに設定して蛍光観察し、蛍光像の明るさが十分得られているとしてこの値を基準励起光量に設定した場合に、観察モードを部分読み出しに変更し、画素数を1000ピクセルx400ピクセルに設定し、露光調整機能を適用すると、そのフレームレートは表1のように52フレーム/秒となるから、露光時間は1/52=19.2msまで延ばすことができる。ここまでの露光時間であれば、表示部のリアルタイム表示に要求されるフレームレートに十分対応できる。そしてステップS1606で、露光時間を調整した分、励起光量を調整する。上記の例では、露光時間を10msから19.2msに延長することで、その分だけ励起光量も80%透過から少なくすることができ、具体的には80%/(19.2/10)=41.7%まで、励起光量調整部で励起光量を低減できる。図2の例では、励起光量は20%刻みで段階的に調整できるため、設定可能な励起光量に最も近い40%に設定する。このようにして、蛍光像に必要な明るさを保ちつつ、励起光量を可能な限り抑えることができ、試料への負荷を軽減できる。
【0093】
なお、フレームレートで許容される範囲内で露光時間を長く設定するが、フレームレートを超えることがないように設定される。例えば励起光量を20%刻み等、離散的に設定する場合においては、演算された露光時間に合致する露光時間に設定できないことがある。この場合の離散値の選択方法は、露光時間がフレームレートを超えることがないように励起光量を調整する。これによってフレーム落ちを回避できる。
【0094】
以上のようにして、観察条件に応じてフレームレートが決まるので、ユーザが所望の観察条件にて所望の明るさに設定した基準状態から、その明るさを保つために必要で、かつフレームレートの維持に必要な励起光と露光時間すなわちCCDカメラのシャッタースピードを自動調整し、かつこれに応じて受光光量を低下させる機能を備えることで、試料に照射する励起光量を必要最小限とすることができ、安定した蛍光観察が可能となる。
(カメラ設定)
【0095】
以上のビニング、部分読み出し(ROI)等の設定は、図17に示す設定画面から行う。図17は、蛍光顕微鏡操作プログラムの操作領域62で「カメラ設定」タブ104を選択した状態のユーザインターフェース画面を示している。「カメラ設定」タブ104を選択すると、操作領域62には、「カラー・モノクロ設定」欄130、「カメラ設定」欄140、「オートフォーカス設定」欄150、「ホワイトバランス」欄160がそれぞれ表示される。「カラー・モノクロ設定」欄130では、モノクロ8bit、モノクロ12bit、カラーのいずれかをラジオボタンで選択する。また保存時のデータビット数を12ビットから16ビットに拡張する際の拡張方法として、上詰め(標準)、下詰めのいずれかを選択できる。
【0096】
「カメラ設定」欄140では、プレビューモード(超高速/高速/標準)、ゲイン(0dB/6dB/12dB/24dB)、測光方法(アベレージ測光/ピーク測光、及び全画面/一部分)等がプルダウンメニューで選択される。さらに「ビニング/ROI」として、「OFF」、「ビニング(2x2/4x4/8x8)」、「ROI(小/中/大)」が選択できる。この例では部分読み出し(ROI)は、小/中/大のいずれかの規定値から選択する方式としているが、画面上の任意の領域を指定して部分読み出しを行うよう構成してもよい。
【0097】
さらに撮影条件として、フルサイズの画素数(1360×1024/680×512/2720×2048/4080×3072)、マルチカラー&Zスタック撮影順序(マルチカラー→Zスタック/Zスタック→マルチカラー)をそれぞれ選択できる。また「オートフォーカス設定」欄150では、フォーカスエリア表示のON/OFFと、全画面/一部分の設定、「ホワイトバランス」欄160では、プッシュセット実行、初期化に加えて、プッシュセットエリア表示のON/OFFと、表示ONの場合の大/中/小、並びにマニュアル設定時のRGBのバランス等を設定できる。
(XY座標記憶位置表示機能)
【0098】
さらに、広域画像上の所望の領域をXYステージのXY座標位置として記憶し、広域画面上に表示させることもできる。このXY座標は、複数を記憶しておくこともできる。図18、図19、図20に示す例では、所望の領域を3つ記憶し、それぞれの記憶領域を細線の点線枠PX1〜PX3でナビゲーション画面72の広域画像WI上に示している。複数の領域を記憶する際は、各点線枠に登録番号を添えて表示させることで、これらを容易に区別できる。XY座標記憶位置の表示は、図19〜図20のナビゲーション画面72において下段に設けられた「ステージ記憶位置」欄110のチェックをON/OFFすることで切り替える。このようにして、複数登録された領域の相対位置を確認できる。特に、予め設定された複数の位置を移動しながら順次撮影する場合の位置確認に好適である。なおこれらの図において、図18は操作画面60の画像表示領域61で明視野画像の拡大画像MIを表示させつつナビゲーション画面72を開いて広域画像WIを表示させた状態、図19は図18のナビゲーション画面72を拡大した状態、図20は別のナビゲーション画面72として蛍光画像の広域画像WIを表示させた状態を、それぞれ示している。
(撮影履歴表示機能)
【0099】
加えて、過去に表示した拡大画像に相当する領域を広域画面上に表示させることもできる。上述した図18に示す例では、画像表示領域61の拡大画像表示領域MAに現在表示される拡大画像MIを、ナビゲーション画面72に表示される広域画像WI上の対応する位置に、矩形状の第1の枠状BX1で表示すると共に、過去に表示した領域を履歴領域として、白っぽい枠状HXで表示している。撮影履歴表示機能で表示される履歴領域HXは、拡大画像表示領域MAに表示させた拡大画像の位置をすべて記憶して表示させる他、画像登録した拡大画像のみを記憶することもできる。撮影履歴の表示は、図19〜図20のナビゲーション画面72において下段に設けられた「撮影履歴」欄112のチェックをON/OFFすることで切り替えることができる。このように撮影履歴表示のON/OFFを切り替えることで、過去の履歴を広域画面上から容易に確認でき、新たな視野探しの際の基準等に利用できる。また最新の履歴を削除したり、あるいはすべての履歴を削除することもできる。図19〜図20のナビゲーション画面72の例では、下段に設けられた「最新履歴削除」ボタン114を押下すると、履歴が最新のものから順次削除され、また「全履歴削除」ボタン116を押下することですべての履歴が削除される。
【0100】
また、枠状の線種に変えて、あるいはこれに加えて枠状の色を変更することで、視認性を高め、さらに複数種類の枠の区別も容易となる。図18、図19、図20に示す例では、細線の点線枠を黄色、太線の実線枠を赤色に、それぞれ表示している。
(簡易スケール機能)
【0101】
ナビゲーション画面72で表示される拡大倍率は任意に調整でき、ナビ画像倍率表示欄74に現在の倍率が表示される。倍率はユーザが任意に指定する他、登録された広域画像の倍率に応じて適切な倍率に自動調整して表示させることもできる。また、図19〜図20のナビゲーション画面72の例では、ナビゲーション画面72の広域画像に重ねて、適切なスケールSCを表示する簡易スケール機能を備える。スケールSCは画像表示領域61の視野範囲、すなわち選択中の対物レンズの倍率から自動計算して、最適な長さの寸法にて画像上に表示される。図19〜図20の例では、下段に設けられた「簡易スケール」欄118のチェックをONすると、選択中の広域画像の倍率に応じた最適なスケールで、ナビゲーション画面72において広域画像が表示される。
(共焦点顕微鏡)
【0102】
さらに本発明は、光学レンズを使った光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープ等の他、共焦点顕微鏡にも使用できる。共焦点顕微鏡はレーザ光を使用して測定対象物の表面を走査することから、共焦点レーザ顕微鏡、共焦点走査型顕微鏡等とも呼ばれる。また共焦点顕微鏡で得られる共焦点画像はレーザ画像とも呼ばれる。共焦点顕微鏡では、試料やワーク等の測定対象物からの光が共焦点光学系を介して受光素子で受光され、その受光量に基づいて、試料の超深度画像(焦点深度が非常に深い画像)や高さ分布等の情報が取得される。ステージに載置された試料と対物レンズとの相対距離を光軸方向に変化させると、共焦点光学系を介して受光素子に入射する光の量、すなわち受光量が変化し、試料の表面にピントが合ったときに受光量が最大となる。したがって、最大受光量が得られるときの試料と対物レンズとの相対距離から試料の表面の高さ情報を算出し、試料の表面を光で走査することによって試料の表面の高さ分布を取得することができる。取得された高さ分布は、例えば三次元表示によって表示装置の画面上に表示される。あるいは、高さ分布を輝度分布や色分布に置き換えたものが画面上に表示される。表示装置としてCRT(陰極線管)やLCD(液晶表示装置)が使用され、共焦点顕微鏡に制御用のコントローラ、表示装置、コンソール等が接続されて共焦点顕微鏡が構成される。また、試料表面の各点(画素)でピントが合ったときの受光量の情報(すなわち各画素の最大輝度情報)をつなぎ合わせることにより、焦点深度の非常に深い試料表面の白黒画像を得ることができる。この画像がいわゆる超深度画像である。更に、白色光で照射された試料からの光を共焦点光学系から分離してカラー撮像素子で受光することにより、超深度画像と同じ範囲の試料表面のカラー画像を得ることができる。このカラー画像は超深度画像と異なり焦点深度の浅いものであるが、高さ分布情報に基づいてカラー画像の合焦位置の画素データをつなぎ合わせることにより、非常に焦点深度の深いカラー画像(カラーピーク画像ということもある)、及びカラーピーク画像の輝度信号を超深度画像の輝度信号で置き換えるような合成処理を行うことにより、焦点深度の深いカラー画像を得ることも可能である。
(電子顕微鏡)
【0103】
さらにまた本発明は、電子レンズを使った電子顕微鏡にも適用できる。電子顕微鏡は、電子の進行方向を自由に屈折させ、光学顕微鏡のような結像システムを電子光学的に設計したものである。電子顕微鏡には、試料や標本を透過した電子を電子レンズを用いて結像する透過型の他、試料表面で反射した電子を結像する反射型、収束電子線を試料表面上に走査して各走査点からの二次電子を用いて結像する走査型電子顕微鏡、加熱あるいはイオン照射によって試料から放出される電子を結像する表面放出型(電界イオン顕微鏡)等がある。
【0104】
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)は、対象となる試料に細い電子線(電子プローブ)を照射した際に発生する二次電子や反射電子を、二次電子検出器、反射電子検出器等それぞれの検出器を用いて取り出し、ブラウン管やLCD等の表示画面上に表示して、主として試料の表面形態を観察する装置である。一方、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)は、薄膜試料に電子線を透過させ、その際に試料中で原子により散乱、回折された電子を電子回折パターンまたは透過電顕像として得ることによって主に物質の内部構造を観察できる。電子線が固体試料に照射されたとき、電子のエネルギーによって固体中を透過するが、その際に試料を構成する原子核や電子との相互作用によって弾性的な衝突、弾性散乱やエネルギー損失を伴う非弾性散乱を生じる。非弾性散乱によって試料元素の殻内電子を励起したり、X線等を励起したり、また二次電子を放出し、それに相当するエネルギーを損失する。二次電子は衝突する角度によって放出される量が異なる。一方、弾性散乱によって後方に散乱し、試料から再び放出される反射電子は、原子番号に固有の量が放出される。SEMはこの二次電子や反射電子を利用する。SEMは電子を試料に照射し、放出される二次電子や反射電子を検出して観察像を結像している。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の拡大画像観察装置、拡大画像観察方法、拡大画像観察プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器は、例えば患者の血清と細胞核とを反応させ、蛍光標識を加えて蛍光顕微鏡で坑核坑体を観察し、坑核坑体の蛍光により陽性、陰性を判定する蛍光抗体検査等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】拡大画像の領域を広域画像に表示させる様子を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る蛍光顕微鏡システムを示すブロック図である。
【図3】モノクロカメラに使用するカラーフィルタの構成例を示す模式図である。
【図4】蛍光顕微鏡操作プログラムの操作画面のユーザインターフェースを示すイメージ図である。
【図5】図4におけるCH4の明視野像を拡大表示させた状態を示すイメージ図である。
【図6】チャンネル毎の設定を行うチャンネル設定画面を示すイメージ図である。
【図7】ナビゲーション画面で広域画像を表示する例を示すイメージ図である。
【図8】相対移動範囲と拡大画像、広域画像の表示の対応関係を示す概念図である。
【図9】デジタルズームによる拡大画像の領域を広域画像に表示させる様子を示す概念図である。
【図10】複数の広域画像を合成する様子を示す概念図である。
【図11】広域画像合成を行うユーザインターフェース画面の一例を示すイメージ図である。
【図12】蛍光観察を選択した場合に撮像条件を切り替える手順を示すフローチャートである。
【図13】明視野観察を選択した場合に撮像条件を切り替える手順を示すフローチャートである。
【図14】位相差観察モードの設定を行う手順を示すフローチャートである。
【図15】微分干渉観察モードの設定を行う手順を示すフローチャートである。
【図16】露光時間を自動的に調整する手順を示すフローチャートである。
【図17】蛍光顕微鏡操作プログラムの設定画面のユーザインターフェースを示すイメージ図である。
【図18】蛍光顕微鏡操作プログラムの操作画面からナビゲーション画面を開いた状態を示すイメージ図である。
【図19】図18のナビゲーション画面を拡大した状態を示すイメージ図である。
【図20】他のナビゲーション画面の例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0107】
1…フィルタセット
12…励起フィルタ;14…ダイクロイックミラー
16…吸収フィルタ;18…フィルタ切替部;20…切替設定部
21…観察モード切替手段;21A…プルダウンメニュー
22…蛍光撮像部;22A…モノクロCCDカメラ
23…観察条件設定手段;24…表示部
25…明視野撮像部;26…制御部;27…露光時間・励起光量制御手段
28…試料載置部;29…接眼レンズ
30…画像処理部;31…画像転送部
32…カラーフィルタ;33…機械式フィルタ;34…液晶式フィルタ
35…透過照明レンズ;36…透過光源
38…移動機構;37…透過照明駆動電源
46…暗室空間;48…落射光源;49…励起光量調整部
50…対物レンズ;52…結像レンズ;53…観察切替手段
54…コレクタレンズ;56…フィルタホルダ
58…コンピュータ;59…入力デバイス
60…操作画面;61…画像表示領域;62…操作領域
64…「観察方法の選択」欄;65…チャンネルボタン
66…観察倍率表示欄;67…「チャンネル設定」ボタン
68…「レンズ選択」欄;69…ズーム調整スライダ
70…ナビゲーション欄;71…「ナビゲーション」ボタン
72…ナビゲーション画面;73…チャンネル表示欄
74…ナビ画像倍率表示欄;75…履歴画像表示欄
76…広域画像切替手段;77…補正座標位置演算手段
78…「画像登録」ボタン;79…「保存」ボタン
80…「ステージ位置記憶」欄;82…光量調整欄;90…チャンネル設定画面
91…透過照明ハロゲン状態表示欄;92…蛍光励起シャッタ状態表示欄
93…擬似カラー表示欄;94…表示カラー選択欄
95…擬似カラーON/OFF表示欄;96…コメント表示欄
95A…ステータス表示欄;95B…合成調整欄
97…「オーバーレイ表示として使用」欄;98…共通設定欄;99…「設定」ボタン
100…蛍光顕微鏡本体
102…「顕微鏡操作」タブ;104…「カメラ設定」タブ
110…「ステージ記憶位置」欄;112…「撮影履歴」欄
114…「最新履歴削除」ボタン;116…「全履歴削除」ボタン
118…「簡易スケール」欄
120…進捗ダイヤログボックス;130…「カラー・モノクロ設定」欄
140…「カメラ設定」欄;150…「オートフォーカス設定」欄
160…「ホワイトバランス」欄
WI、WI1〜WI14…広域画像
MI…拡大画像;WA…広域画像表示領域;MA…拡大画像表示領域
SI…相対移動範囲;BX…枠状;BX1…第1の枠状;BX2…第2の枠状
PX1〜PX3…記憶領域;HX…履歴領域
WK…試料;SC…スケール;GD…グリッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察装置であって、
観察対象物の画像を取得するための光学撮像系と、
観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部と、
複数の広域画像を予め取得し、各々保持するためのメモリ部と、
観察対象物を載置するための試料載置部と、
前記試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させるための移動機構と、
前記広域画像表示領域に表示される広域画像を、前記メモリ部から読み出して切り替えるための広域画像切替手段と、
を備え、
前記表示部がさらに、前記試料載置部の相対移動範囲を表示するための相対移動範囲表示領域を有し、
前記相対移動範囲表示領域に相対移動範囲を表示させた状態で、複数の広域画像の撮像位置を相対移動範囲上に表示可能であり、
かつ、相対移動範囲上で表示された広域画像を選択することで、前記広域画像表示領域に表示される広域画像を切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示可能に構成してなることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の拡大画像観察装置であって、
拡大画像を画像処理により拡大して表示可能なデジタルズーム機能を備えており、
前記広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、前記広域画像表示領域において枠状で表示で表示可能であり、
さらに拡大画像をデジタルズームすると、広域画像上の枠状の大きさを、デジタルズーム後に表示されるデジタルズーム画像で表示される領域に応じて縮小又は拡大することを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項3】
請求項2に記載の拡大画像観察装置であって、
前記広域画像表示領域に表示される広域画像上で、拡大画像のデジタルズーム前の元画像に対応する位置を第1の枠状で表示しつつ、
デジタルズームした拡大画像の対応する大きさを、第2の枠状で表示し、
前記第1の枠状と第2の枠状を異なる態様で表示してなることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項4】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察装置であって、
観察対象物の画像を取得するための光学撮像系と、
観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部と、
複数の広域画像を予め取得し、各々保持するためのメモリ部と、
観察対象物を載置するための試料載置部と、
前記試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させるための移動機構と、
前記移動機構を移動させて撮像された隣接する領域の複数の広域画像を合成し、より大きな広域画像を作成する広域画像合成手段と、
を備えることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項5】
請求項4に記載の拡大画像観察装置であって、さらに、
合成された合成広域画像において、前記広域画像合成手段による広域画像同士を合成した位置に基づき、座標位置を補正する補正座標位置演算手段と、
を備えることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項6】
請求項5に記載の拡大画像観察装置であって、
前記広域画像合成手段が4枚以上の広域画像を合成して合成広域画像を生成する際に、前記補正座標位置演算手段が左上に位置する広域画像の座標位置を基準として、補正後の座標位置を演算することを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の拡大画像観察装置であって、
前記広域画像表示領域が別画面で表示可能に構成してなることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の拡大画像観察装置であって、
前記拡大画像観察装置が、蛍光画像及び明視野画像を撮像する撮像系を備えており、
前記広域画像表示領域に表示させる広域画像を明視野像とし、
前記拡大画像表示領域に表示させる拡大画像を蛍光像とすることを特徴とする拡大画像観察装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の拡大画像観察装置であって、
試料載置部の移動中は、登録されている広域画像のデジタルズーム像を前記表示部に表示させてなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の拡大画像観察装置であって、
前記表示部の画像を表示する画像表示領域を複数に分割して、前記メモリ部に保持された複数の広域画像を、並べて表示可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項11】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、
低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する工程と、
観察対象物を載置する試料載置部が相対移動可能な相対移動範囲を、表示部の相対移動範囲表示領域に表示すると共に、保存された複数の広域画像の、該相対移動範囲上における位置をそれぞれ、該相対移動範囲に重ねて表示する工程と、
該相対移動範囲上で、いずれかの広域画像の位置を選択することで、該当する広域画像を表示部の広域画像表示領域に切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示させる工程と、
を含むことを特徴とする拡大画像観察方法。
【請求項12】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、
低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する工程と、
観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部において、前記広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、前記広域画像表示領域において第1の枠状で表示する工程と、
拡大画像をデジタルズームすると、第1の枠状を表示させつつ、第1の枠状と異なる態様で表示される第2の枠状で、デジタルズームされた画像で表示される領域に応じて広域画像上の枠状の大きさを縮小又は拡大する工程と、
を含むことを特徴とする拡大画像観察方法。
【請求項13】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察方法であって、
観察対象物を載置するための試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させて、隣接する領域の広域画像を複数撮像する工程と、
これら複数の広域画像を、画像処理により境界部分が一致するように繋ぎ合わせて合成し、より大きな広域画像を作成する工程と、
合成された合成広域画像において、広域画像同士を繋ぎ合わせた位置情報に基づき、合成画像全体としての座標位置を補正する工程と、
を含むことを特徴とする拡大画像観察方法。
【請求項14】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、
低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する機能と、
観察対象物を載置する試料載置部が相対移動可能な相対移動範囲を、表示部の相対移動範囲表示領域に表示すると共に、保存された複数の広域画像の、該相対移動範囲上における位置をそれぞれ、該相対移動範囲に重ねて表示する機能と、
該相対移動範囲上で、いずれかの広域画像の位置を選択することで、該当する広域画像を表示部の広域画像表示領域に切り替えて表示させると共に、該広域画像上から所望の領域を指定して、拡大画像を表示部の拡大画像表示領域に表示させる機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする拡大画像観察プログラム。
【請求項15】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、
低倍率で撮像された複数の広域画像を取得し、保存する機能と、
観察対象物を低倍率で撮像した広域画像を表示するための広域画像表示領域と、高倍率で撮像した拡大画像を表示するための拡大画像表示領域を有する表示部において、前記広域画像表示領域に表示される広域画像上で指定した領域を、拡大画像として拡大画像表示領域に表示すると共に、拡大画像が広域画像上で対応する位置を、前記広域画像表示領域において第1の枠状で表示する機能と、
拡大画像をデジタルズームすると、第1の枠状を表示させつつ、第1の枠状と異なる態様で表示される第2の枠状で、デジタルズームされた画像で表示される領域に応じて広域画像上の枠状の大きさを縮小又は拡大する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする拡大画像観察プログラム。
【請求項16】
観察対象物を拡大表示する拡大画像観察プログラムであって、
観察対象物を載置するための試料載置部を光学撮像系に対して相対的に移動させて、隣接する領域の広域画像を複数撮像する機能と、
これら複数の広域画像を、画像処理により境界部分が一致するように繋ぎ合わせて合成し、より大きな広域画像を作成する機能と、
合成された合成広域画像において、広域画像同士を繋ぎ合わせた位置情報に基づき、合成画像全体としての座標位置を補正する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする拡大画像観察プログラム。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一に記載されるプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2008−139795(P2008−139795A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328618(P2006−328618)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】