説明

挟み込み検出装置

【課題】信号処理回路を設けるスペースの制約を無くすことができ、高い防水性能を達成可能であり、更に、ノイズなどの外乱の影響を受けない正常な挟み込み検出を実施可能な挟み込み検出装置を提供する。
【解決手段】挟み込み検出装置が、同軸ケーブル状に配置される、第1の中心電極と当該第1の中心電極を取り囲む圧電材料と当該圧電材料を取り囲む第1の外部電極とを備え、ドアパネル3を有する車両用ドア1の開口部側の外縁部4に沿って設けられる圧電センサ6と、第1の中心電極と第1の外部電極との間の電位差を表す圧電出力信号を圧電センサ6から受け取る信号処理回路10と、圧電センサ6と信号処理回路10との間を接続する中継線7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアパネルを有する車両用ドアの開口部側の外縁部に沿って設けられる圧電センサを備える挟み込み検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられるスライドドアやバックドアなどの車両用ドアにおいて物体の挟み込みが発生しているか否かを検出するための装置として、車両用ドアの外縁部に沿って設けられる感圧センサと、感圧センサからの感圧出力信号を受け取る信号処理回路とを備えた挟み込み検出装置がある。感圧センサは、物体の挟み込みが発生したときにその物体に接触する部位に設けられるため、必然的に開口部に面した車両用ドアの外縁部に設けられることになる。言い換えると、物体の挟み込みが発生したとき、その物体に接触できない部位に感圧センサを設ける必要は無い。また、信号処理回路は、感圧出力信号の増幅処理などを行う電気回路を用いて構成される。そして、挟み込みを判定する手段が、信号処理回路から出力される処理信号に基づいて、例えば、処理信号が設定閾値以上であるか否かに基づいて、物体の挟み込みが発生しているか否かの判定を行う。
【0003】
特許文献1に記載の従来の挟み込み検出装置は、感圧センサとして、弾性材からなる長尺のチューブの外皮部の内部に、このチューブの中心周りに漸次変位する十字孔を設け、この十字孔の中に互いに離間し且つ十字孔に沿って螺旋状に電極となる複数の導線を配置したものである。物体の挟み込みによって感圧センサに押圧力が加わると、外皮部が弾性変形して外皮部の内部の十字孔が潰される。そのとき、十字孔に配置した複数の導線の内の2以上、又は、全ての導線が互いに接触する。その結果、感圧センサからの感圧出力信号は、押圧力が加えられていないとき(非導通状態)と、押圧力が加えられているとき(導通状態)とで変化する。よって、信号処理回路が出力する処理信号の大きさも変化し、上記処理信号に基づく挟み込みが発生しているか否かの判定が可能となる。
【0004】
特許文献2に記載の従来例の挟み込み検出装置は、感圧センサとして、圧電材料を2つの電極で挟んだ構成の圧電センサを使用するものである。物体の挟み込みによって、この圧電センサに押圧力が加わると、圧電材料に分極が生じ、2つの電極間の電位差を表す圧電出力信号が発生する。その結果、その圧電出力信号を受け取る信号処理回路から出力される処理信号の大きさも変化し、上記処理信号に基づく挟み込みが発生しているか否かの判定が可能となる。
【0005】
以上のように、従来の挟み込み検出装置の構成は、特許文献1及び特許文献2の何れのタイプの感圧センサ(圧電センサ)を用いたとしても、挟み込みを発生するドアの外縁部に感圧センサを設け、挟み込みを発生しない部分には感圧センサ(圧電センサ)を設けないものである。そして、上記信号処理回路は、ドアの外縁部で感圧センサ(圧電センサ)と信号処理回路と直接接続されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3300660号公報
【特許文献2】特開2001−165784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の挟み込み検出装置では、信号処理回路は、圧電センサが設けられているのと同じ車両用ドアの外縁部に配置される。
しかしながら、圧電センサが設けられているような車両用ドアの外縁部には特段の防水対策は施されていないのがほとんどであるため、電気回路を備えた信号処理回路が水によって誤作動を起こしたり、故障してしまう可能性がある。
また、車両用ドアの外縁部は電磁ノイズから遮蔽されていないため、信号処理回路が電磁ノイズの影響を受けると、正常な挟み込みの検出が出来なくなる可能性もある。
【0008】
更に、物体の挟み込みを良好に検出するためには、圧電センサを車両用ドアの外縁部の端々に設ける必要があるが、その場合、車両用ドアの外縁部において、信号処理回路を設けるスペースに制約が生じる。そのため、その制約下において物体の挟み込みを良好に検出できるようにしながらも信号処理回路を車両用ドアの外縁部に設けようとすると、信号処理回路を小型化しなければならない。
【0009】
以上のように、信号処理回路を車両用ドアの外縁部に設けるような従来の挟み込み検出装置では、信号処理回路を設けるスペースに制約があり、且つ、水や電磁ノイズなどの影響によって、故障や挟み込み検出が正常に行えないなどの問題が発生する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信号処理回路を設けるスペースの制約を無くすことができ、高い防水性能を達成可能であり、更に、電磁ノイズなどの外乱の影響を受けない正常な挟み込み検出を実施可能な挟み込み検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る挟み込み検出装置の特徴構成は、
同軸ケーブル状に配置される、第1の中心電極と当該第1の中心電極を取り囲む圧電材料と当該圧電材料を取り囲む第1の外部電極とを備え、ドアパネルを有する車両用ドアの開口部側の外縁部に沿って設けられる圧電センサと、
前記第1の中心電極と前記第1の外部電極との間の電位差を表す圧電出力信号を前記圧電センサから受け取る信号処理回路と、
前記圧電センサと前記信号処理回路との間を接続する中継線と、を備える点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、圧電センサと信号処理回路との間に中継線を設けているため、信号処理回路を圧電センサから離れた位置、すなわち、車両用ドアの開口部の外縁部から離れた位置に配置できる。よって、防水処理された空間や電磁ノイズを遮蔽できる空間があれば、圧電センサから離れたその空間まで中継線を配線して信号処理回路を配置できる。
従って、信号処理回路を設けるスペースの制約を無くすことができ、高い防水性能を達成可能であり、更に、電磁ノイズなどの外乱の影響を受けない正常な挟み込み検出を実施可能な挟み込み検出装置を提供できる。
【0013】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記信号処理回路は、前記ドアパネルの内部の、シート状の防水部材を設けて防水処理した空間に収納され、
前記中継線は、前記車両用ドアの前記外縁部から前記防水処理した空間まで配線されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、信号処理回路は、広い空間が確保されたドアパネルの内部空間に設けられるので、信号処理回路を設けるスペースの制約が実質的に無くなる。よって、実質的に大きさの制約を受けずに、信号処理回路を設計することができる。また、信号処理回路がドアパネル内部の防水処理した空間に設けられるので、信号処理回路が水の影響を受けないようになる。よって、信号処理回路を構成する電気回路の誤作動や故障の発生を抑制できる。加えて、信号処理回路自身には防水性能がほとんど要求されないのでその性能を事前に試験しなくてもよく、結果として、挟み込み検出装置の製造コストを低減できる。
更に、ドアパネルが導電性部材を用いて形成される場合、外部からの電磁波は導電性部材によって吸収又は反射される。よって、信号処理回路は他の電気部品からの電磁ノイズの影響を受け難くなるので、正常な挟み込み検出を実施可能な挟み込み検出装置を提供できる。
【0015】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記中継線は、シールド線を用いて構成される点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、中継線にノイズが重畳しないようにできる。
【0017】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記中継線は、同軸ケーブル状に配置される、第2の中心電極と当該第2の中心電極を取り囲む絶縁体と当該絶縁体を取り囲む第2の外部電極とを備え、
前記第1の中心電極と前記第2の中心電極とが接続され、及び、前記第1の外部電極と前記第2の外部電極とが接続されることで、前記圧電センサと前記中継線とが接続される点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、圧電センサの第1の中心電極と中継線の第2の中心電極とが同電位となり、圧電センサの外部電極と中継線の外部電極とが同電位になる。よって、各々の外部電極は各々の中心電極をシールドするので、圧電センサの第1の中心電極と第1の外部電極との間の電位差を正確に信号処理回路に伝えることができる。
【0019】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記圧電センサが備える前記圧電材料は、強誘電体に分極処理を施すことにより作製され、
前記中継線が備える前記絶縁体は、強誘電体を用いて構成され、
前記第1の中心電極、前記第1の外部電極及び前記分極処理が施される前の強誘電体のそれぞれは、前記第2の中心電極、前記第2の外部電極及び前記絶縁体としての強誘電体のそれぞれと同じ材料を用いて構成される点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、圧電センサと中継線とを同じ材料で構成できるので、挟み込み検出装置を構成するのに必要な材料の種類を少なくできる。また、互いに接続される圧電センサと中継線との材料の違いによって圧電出力信号の伝達に影響が及ぼされる可能性を排除できる。
【0021】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記強誘電体に直流高電界を印加して圧電活性を与えることで前記分極処理を施す点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、分極処理を施すことで確実に圧電センサを構成できる。
【0023】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記圧電センサ及び前記中継線は、中心電極と当該中心電極を取り囲む強誘電体と当該強誘電体を取り囲む外部電極とを備える一連の同軸ケーブル中に形成され、前記同軸ケーブルのうち、前記強誘電体に前記分極処理を施した部分が前記圧電センサとして機能し、前記強誘電体に前記分極処理を施していない部分が前記中継線として機能する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、一連の同軸ケーブルの一部に分極処理を施すことで、同軸ケーブルの一部が圧電センサとなる。よって、圧電センサと中継線とは一続きの同軸ケーブル中に形成されているので、圧電センサと中継線との間の接続工程が不要になる。また、圧電センサと中継線との間の接続部分の防水や、接続部部分の設置スペースを考慮する必要なくなる。また、中継線の第2の中心電極と第2の外部電極との間の強誘電体には分極処理が施されていないので、中継線に外部からの力が加わっても圧電出力信号にノイズがほとんど加わらないように構成できる。
【0025】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記圧電センサ及び前記中継線は、中心電極と当該中心電極を取り囲む強誘電体と当該強誘電体を取り囲む外部電極とを備える同一構成の2本の同軸ケーブルの夫々に形成され、前記強誘電体に前記分極処理を施した方の前記同軸ケーブルが前記圧電センサとして機能し、前記強誘電体に前記分極処理を施していない方の前記同軸ケーブルが前記中継線として機能する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、圧電センサの部分と中継線の部分を明確に区別でき、挟み込みを検出すべき部分にのみ圧電センサを配置できる。また、中継線の第2の中心電極と第2の外部電極との間の強誘電体には分極処理が施されていないので、中継線に外部からの力が加わっても圧電出力信号にノイズがほとんど加わらないように構成できる。
【0027】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記圧電センサが備える前記第1の中心電極及び前記第1の外部電極のそれぞれは、前記中継線が備える前記第2の中心電極及び前記第2の外部電極のそれぞれと、封止された筐体内で接続される点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、圧電センサと中継線との接続部分の防水を確実に行える。
【0029】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記圧電センサは、当該圧電センサの端部の先端側で前記第1の中心電極が露出し、端部の根元側で前記第1の外部電極が露出するように構成され、
前記中継線は、当該中継線の端部の先端側で前記第2の中心電極が露出し、端部の根元側で前記第2の外部電極が露出するように構成され、
前記圧電センサ及び前記中継線は、露出した前記第1の中心電極及び露出した前記第2の中心電極が並んだ状態、且つ、露出した前記第1の外部電極及び露出した前記第2の外部電極が並んだ状態で前記筐体内に配置される点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、圧電センサの端部と中継線の端部とが一方向に向かって並んだ状態で、圧電センサと中継線とが接続されることになる。よって、上記筐体を車両用ドアの端部に配置できるので、圧電センサを車両用ドアの開口部側の外縁部のほぼ全てに引き延ばすことができ、挟み込みの検出範囲を拡大できる。また、圧電センサは車両用ドアの外縁部に沿って延ばすだけであるので、折り曲げる部分が不要となる。よって、圧電センサをU字型などに曲げる必要がなくなるので、挟み込みを検出していない定常状態で圧電センサに負荷がかからず、検出精度を向上することができる。更に、筐体を導電性部材で形成することにより、中心電極のシールドを行うこともできる。
【0031】
本発明に係る挟み込み検出装置の別の特徴構成は、前記車両用ドアは車体側面に設けられたスライドドアであって、前記筐体は当該スライドドアの外縁部の開口部側の下部に設けられている点にある。
【0032】
上記特徴構成によれば、窓ガラス設置のためにスペースが限られるスライドドアの外縁部の上部ではなく、比較的空間に余裕のあるスライドドアの外縁部の下部に筐体を配置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下に本実施形態の挟み込み検出装置について図面を参照して説明する。
図1は車両用ドアへの圧電センサの設置例を示す図であり、図2は車両用ドアの縦断面図であり、図3は車両用ドアへの挟み込み検出装置の設置例を概略的に示す図である。
図示するように、車両の側部には、乗員の出入りや物体の出し入れが可能な開口部15が形成されており、当該開口部15には、車両用ドアとしてのスライドドア1を設けてある。また、スライドドア1を閉じると開口部15が形成されなくなる。従って、スライドドア1を閉じるとき、開口部15において乗員や物体がスライドドア1と当接することがある。このように、開口部15においてスライドドア1と物体(乗員を含む。以下、同じ。)とが当接することを、物体の挟み込みが発生したと言う。
【0034】
物体の挟み込みが発生したとき、その状況を回避するためにスライドドア1を急停止させたり、反転作動させる必要がある。そのため、スライドドア1において物体の挟み込みが発生しているか否かを検出可能な挟み込み検出装置が設けられる。図1及び図3に示すように、開口部15に面したスライドドア1の開口部15側の外縁部4には弾力性のあるプロテクタ5が設けられる。そして、ケーブル状の圧電センサ6は開口部15に面したスライドドア1の外縁部4であって、プロテクタ5の内部に設けられる。
【0035】
図1及び図3に示すように、本実施形態の挟み込み検出装置は、開口部15に面したスライドドア1の外縁部4に設けられる圧電センサ6と、その圧電センサ6から出力される圧電出力信号を信号処理して、スライドドア1による物体の挟み込みが発生しているか否かの判定が可能な処理信号を出力する検知回路部10とを備える。
【0036】
図1〜図3に示すように、スライドドア1の上部には上下動可能な窓ガラス2が設けられ、スライドドア1の下部には少なくとも内部が導電性部材を用いて形成されるドアパネル3が設けられる。図2において概略的に示すように、ドアパネル3の内部空間は、車内側に位置する内部空間Aと車外側に位置する内部空間Bとを備える。ドアパネル3の内部空間のうち、内部空間Bは、上下動する窓ガラス2がスライドしながら出入り可能な空間である。ドアパネル3の内部空間のうち、内部空間Aは、導電性部材で囲まれ、且つ、内部空間Bとは仕切り部によって隔絶され、内部空間Aの車外側の仕切り部にシート状の防水部材25を設けて防水処理した空間である。防水部材25は、樹脂フィルム等を用いて形成できる。
【0037】
図4は、スライドドア1の開口部15側の外縁部4の下部に設けられた、圧電センサ6と、シールド線でもある同軸ケーブルを用いた中継線7とを接続する接続手段としてのコネクタ8の斜視図である。図4に示すように、圧電センサ6は、同軸ケーブル状に配置される、中心電極6aと、その中心電極6aを取り囲む圧電材料6bと、その圧電材料6bを取り囲む外部電極6cとを備え、ドアパネル3を有するスライドドア1の開口部15側の外縁部4に沿って設けられる。具体的には、圧電センサ6は、物体が当接すると圧電効果により分極現象を示して電荷を生じさせる圧電材料6bを用いて構成される。ケーブル形状の圧電センサ6の中心にはワイヤ状の中心電極6aが設けられ、中心電極6aの周囲は圧電材料6bで取り囲まれている。この圧電材料6bの周囲は上記中心電極6aの対向電極としての外部電極6cで覆われている。その結果、ワイヤ状の中心電極6aと筒状の外部電極6cとの間に圧電材料6bが配置された構成となる。また、外部電極6cの周囲は絶縁性の外部被覆6dで覆われる。
同様に、中継線7は、同軸ケーブル状に配置される、中心電極7aと、その中心電極7aを取り囲む絶縁体7bと、その絶縁体7bを取り囲む外部電極7cとを備える。また、外部電極7cの周囲は絶縁性の外部被覆7dで覆われる。
以上のように、中心電極6aは本発明の第1の中心電極として機能し、外部電極6cは本発明の第1の外部電極として機能する。また、中心電極7aは本発明の第2の中心電極として機能し、外部電極7cは本発明の第2の外部電極として機能する。
【0038】
上述したように、圧電センサ6が備える圧電材料6bは、他の物体に当接して外力が印加されたとき、圧電効果により分極現象を示して電荷を生じさせる。そして、当該分極現象により生じた電荷は、中心電極6aと外部電極6cとの間の電位差を表す圧電出力信号として出力される。従って、開口部15に物体が存在している状態でスライドドア1が閉動作すると、圧電センサ6と物体とがプロテクタ5を介して当接して圧電センサ6に外力が加わり、その結果、圧電材料6bで生じた電荷が圧電センサ6の外部に出力されることになる。このとき、圧電材料6bの受けた外力(加速度)が大きいほど、圧電材料6bの分極により生じる電荷量は大きくなる。従って、スライドドア1による物体の挟み込みが発生すると、圧電材料6bに対する外力(加速度)も必然的に大きくなるため、圧電材料6bの分極により生じる電荷量(圧電出力信号)も大きくなる。他方で、例えば、圧電材料6bに対して外力が加えられていない状態や、圧電材料6bに対して非常に小さい外力が加えられた状態では、圧電材料6bの分極により生じる電荷量は小さくなる。つまり、圧電材料6bを用いた圧電センサ6は、外力に応じて中心電極6aと外部電極6cとの間の電位差が変化する構造であり、印加される加速度に応じた圧電出力信号を出力する。
【0039】
検知回路部10は、圧電センサ6から出力される圧電出力信号を信号処理して、スライドドア1による物体の挟み込みが発生しているか否かの判定が可能な処理信号を出力する。例えば、検知回路部10は圧電出力信号を増幅処理して得られる処理信号を出力し、後段のECU(電子制御装置)11にて当該処理信号に基づいて挟み込みが発生しているか否かの判定を行えるようにする。また、ECU11は、スライドドア1において物体の挟み込みが発生したと判定したときには、スライドドア1の駆動用モータ装置(図示せず)へ、スライドドア1を反転作動させるための信号を送出する。
以上のように、検知回路部10は本発明の「信号処理回路」として機能する。
【0040】
図3に示すように、コネクタ8はスライドドア1の開口部15側の外縁部4の下部に設けられている。中継線7は、スライドドア1の外縁部4から内部空間Aにわたって配線され、圧電センサ6から検知回路部10へ上記圧電出力信号を中継する。図4に示すように、コネクタ8は、導電性部材で形成された筐体20の内部に圧電センサ6と中継線7とを並べて引き込むためのブッシュ21を備える。ブッシュ21は、圧電センサ6と中継線7を共に挿入可能な貫通孔を備え、その貫通孔に圧電センサ6の端部及び中継線7の端部を並べて挿入した状態で、筐体20の側面に嵌め込まれて固定される。
【0041】
図4に示すように、コネクタ8の筐体20の内部では、圧電センサ6は、中心電極6a及び外部電極6cの端部がそれぞれ露出するように、中心電極6aを覆う圧電材料6b及び外部電極6cを覆う外部被覆6dが部分的に取り除かれている。よって、圧電センサ6は、圧電センサ6の端部の先端側で中心電極6aが露出し、端部の根元側で外部電極6cが露出するように構成される。
同様に、中継線7は、中心電極7a及び外部電極7cの端部がそれぞれ露出するように、中心電極7aを覆う絶縁体7b及び外部電極7cを覆う外部被覆7dがそれぞれ取り除かれている。よって、中継線7は、中継線7の端部の先端側で中心電極7aが露出し、端部の根元側で外部電極7cが露出するように構成される。
【0042】
本実施形態において、圧電センサ6及び中継線7の夫々は同一構成の2本の同軸ケーブルを用いて構成される。具体的には、圧電センサ6を構成するための同軸ケーブル及び中継線7を構成するための同軸ケーブルは、中心電極(第1の中心電極6a及び第2の中心電極7a)と、当該中心電極6a、7aを取り囲む強誘電体(圧電材料6b及び絶縁体7b)と、当該強誘電体6b、7bを取り囲む外部電極(第1の外部電極6c及び第2の外部電極7c)とを夫々備える。ここで、上記圧電材料6bは、強誘電体に分極処理を施すことにより作製される。この分極処理は、強誘電体に直流高電界を印加して圧電活性を与えることで行われる。従って、この分極処理が施されていない部分の特性は、通常の強誘電体を含む同軸ケーブルの特性と同じである。
【0043】
つまり、圧電センサ6が備える中心電極6a、外部電極6c及び分極処理が施される前の強誘電体のそれぞれは、中継線7が備える中心電極7a、外部電極7c及び絶縁体7bとしての強誘電体のそれぞれと同じ材料を用いて構成される。そして、強誘電体に分極処理を施した方の同軸ケーブルが圧電センサ6として機能し、強誘電体に分極処理を施していない方の同軸ケーブルが中継線7として機能する。
よって、圧電センサ6の部分と中継線7の部分を明確に区別でき、挟み込みを検出すべき部分にのみ圧電センサ6を配置できる。また、中継線7の中心電極7aと外部電極7cとの間の絶縁体(強誘電体)7bには分極処理が施されていないので、中継線7に外部からの力が加わっても圧電出力信号にノイズがほとんど加わらないように構成できる。
【0044】
図4に示すように、圧電センサ6が備える中心電極6a及び外部電極6cのそれぞれは、中継線7が備える中心電極7a及び外部電極7cのそれぞれと、封止された筐体20内で接続される。具体的には、圧電センサ6及び中継線7は、露出した中心電極6a及び露出した中心電極7aが並んだ状態、且つ、露出した外部電極6c及び露出した外部電極7cが並んだ状態で筐体20の内部に配置される。そして、導電性の接続部材22を介して圧電センサ6の中心電極6aと中継線7の中心電極7aとが電気的に接続される。また、導電性の接続部材23を介して圧電センサ6の外部電極6cと中継線7の外部電極7cとが電気的に接続される。本実施形態では、圧電センサ6の中心電極6a及び中継線7の中心電極7aは、半田付けによって接続部材22に接続され、圧電センサ6の外部電極6c及び中継線7の外部電極7cも、半田付けによって接続部材23に接続される。但し、半田付けではなく、接続部材22、23を用いて各電極6a、6c及び各電極7a、7cを機械的に挟むことで導通を確立するように改変してもよい。ここで、接続部材23と筐体20とが電気的に同電位になるように接続すると、シールド効果を高めることができる。
【0045】
以上のように構成することで、コネクタ8は、平行に並んだ圧電センサ6及び中継線7を、互いに振動しないようにブッシュ21を用いて筐体20に固定した状態で電気的に接続できる。また、筐体20の内部に絶縁性樹脂などの封止部材を流し込んでコネクタ8を封止するシール層24が形成される。封止部材としてはシリコーン樹脂などを用いることができる。その結果、圧電センサ6の中心電極6a及び外部電極6c、中継線7の中心電極7a及び外部電極7c、並びに、接続部材22及び接続部材23などの導電性の部材はシール層24によって封止されて、その防水性が維持される。また、圧電センサ6の中心電極6a及び外部電極6c、中継線7の中心電極7a及び外部電極7c、並びに、接続部材22及び接続部材23などの部材をシール層24で固めることで、各部材が相対的に振動しないように構成できる。
また、シール層24を構成する封止部材は固まった状態で透明であることが好ましい。透明であれば、圧電センサ6の中心電極6aと中継線7の中心電極7aとの間での接続部材22を介した接続状態や、圧電センサ6の外部電極6cと中継線7の外部電極7cとの間での導電性の接続部材23を介した接続状態を目視で確認できるからである。
【0046】
また、図3に示すように、コネクタ8から引き出された中継線7は、プロテクタ5の内部を引き回された後、スライドドア1の外縁部4に設けられた孔9を通って上記内部空間Aに引き込まれる。上述したように、内部空間Aは、ドアパネル3を構成する導電性部材で囲まれ、内部空間Bとは仕切り部によって隔絶され、内部空間Aの車外側の仕切り部にシート状の防水部材25を設けて防水処理した空間である。そして、この防水性が高められた内部空間Aには、中継線7と接続される検知回路部10及びECU11が配置される。
【0047】
以上のように、本実施形態の挟み込み検出装置は、スライドドア1の開口部15に面し、挟み込みが発生し得るスライドドア1の外縁部4にのみ圧電センサ6を設けることで、挟み込みが発生し得ない部位において圧電センサ6が感度を持たないように構成できる。つまり、圧電センサ6を起因とするノイズの発生を抑制できる。
また、スライドドア1の外縁部4において圧電センサ6と中継線7とを接続し、中継線7を、導電性部材で囲まれ、車外側の仕切り部にシート状の防水部材25を設けて防水性が高められた内部空間Aに引き込んだ上で、中継線7と検知回路部10とを接続している。従って、導電性部材によって電磁波が吸収又は反射されるので、検知回路部10は、外部からの電磁ノイズの影響を受け難くなる。更に、検知回路部10は、水分による影響も受け難くなるので、水分による誤作動や故障の発生を抑制して、挟み込み検出装置が正常な挟み込み検出を行えるようにできる。
【0048】
また更に、従来のように検知回路部10がスライドドア1の外縁部4に設けられている場合に比べて、スライドドア1を閉じるとき及び乗員の足が当たったときなどの大きな衝撃が検知回路部10には伝わり難くなる。つまり、検知回路部10はドアパネル3の内部空間Aに設けられているので、スライドドア1を閉じたとき及び乗員の足が当たったときの衝撃は、プロテクタ5及びドアパネル3を介して検知回路部10に伝えられる。ところが、スライドドア1を閉じたとき及び乗員の足が当たったときの衝撃は、ドアパネル3を大きく振動させるほどのものではないため、検知回路部10は大きく振動しない。よって、検知回路部10が外部からの衝撃によって故障する可能性を排除できる。加えて、検知回路部10には防水性能や耐衝撃性能がほとんど要求されないのでそれらの性能を試験しなくてもよく、結果として、挟み込み検出装置の製造コストを低減できる。
【0049】
加えて、検知回路部10は、広い空間が確保されたドアパネル3の内部空間Aに設けられるので、検知回路部10を設けるスペースの制約が実質的に無くなる。よって、実質的に大きさの制約を受けずに、検知回路部10を設計することができる。
また、圧電センサ6と中継線7とを接続するコネクタ8は、圧電センサ6と中継線7とを平行に隣接した状態でスライドドア1の外縁部4の下部に配置できる構成である。従って、コネクタ8の幅を狭くできるので、スライドドア1の外縁部4の下部に大きなスペースが無くても、コネクタ8を用いて圧電センサ6と中継線7とを接続できる。加えて、コネクタ8は樹脂などの封止部材を用いたシール層24で封止されるので、圧電センサ6と中継線7との接続部分を外部から絶縁し、その防水性を高め、且つ、耐振動性を高めることができる。
【0050】
<第2実施形態>
第2実施形態の挟み込み検出装置は、中継線の構成が第1実施形態と異なる。以下に第2実施形態の挟み込み検出装置について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0051】
図5は、第2実施形態の挟み込み検出装置の設置例を概略的に示す図である。本実施形態では、圧電センサ12から出力された圧電出力信号を検知回路部10へ中継するための中継線13が、圧電センサ12と一連の部材を用いて作製されている。具体的には、圧電センサ12及び中継線13は、一連の同軸ケーブル中に形成される。この同軸ケーブルは、上記第1実施形態で説明したのと同様に、圧電センサ12及び中継線13と同一構成であり、中心電極と当該中心電極を取り囲む強誘電体と当該強誘電体を取り囲む外部電極とを備える。そして、この同軸ケーブルのうち、強誘電体に分極処理を施した部分が圧電センサ12として機能し、強誘電体に分極処理を施していない部分が中継線13として機能する。従って、この分極処理が施されていない部分の同軸ケーブルの特性は、通常の強誘電体を含む同軸ケーブルの特性と同じである。
【0052】
従って、第2実施形態の挟み込み検出装置では、開口部15に面し、挟み込みが発生し得るスライドドア1の外縁部4に配置される部分のケーブル状の材料には分極処理を施して圧電センサ12として機能させ、他の部分には分極処理を施さずに中継線13として機能させている。言い換えると、中継線13は、圧電センサ12と一連の部材を用いて作製されているものの、圧電センサ12よりも感度が低く設定されている。
従って、中継線13が圧電センサ12と一連の部材を用いて作製されるので、中継線13と圧電センサ12とを接続するための装置や手間が不要になる。また、圧電出力信号が上記中継線13を用いてスライドドア1の外縁部4からドアパネル3の内部空間Aへ中継される間に、その圧電出力信号にノイズがほとんど加わらないように構成できる。
【0053】
<別実施形態>
<1>
上記第1及び第2実施形態では、検知回路部とECUとを別体で構成した場合について説明したが、図6に示すように検知回路部10とECU14とを一体で構成してもよい。例えば、ECU14が形成されているのと同一回路基板上に検知回路部10を設けてもよい。或いは、ECU14が形成されている回路基板を収容している筐体内に検知回路部10が形成されている回路基板を収容してもよい。
従って、本発明の信号処理回路としての検知回路部10とECU14とが一体に形成されるので、挟み込み検出装置の構成を単純化できる。また、検知回路部10とECU14とが一体に形成されていれば、ECU14は、検知回路部10で行われる信号処理の条件を変更させることも自在に行える。例えば、検知回路部10が圧電センサ6から出力される圧電出力信号の増幅処理を行う場合、ECU14は、検知回路部10における増幅処理の増幅率を変更させ、検知回路部10から出力される処理信号の大きさを調節して、物体の挟み込みが発生しているか否かの判定が好適に行われるように構成できる。
【0054】
<2>
上記実施形態及び上記別実施形態では、圧電センサ6と中継線7とを接続するための接続手段としてのコネクタ8をスライドドア1の開口部15側の外縁部4の下端部位に設けた例について説明したが、コネクタ8を外縁部4の上端部位に設けるように改変してもよい。但し、圧電センサ6は、物体の挟み込みが発生し得るスライドドア1の外縁部4のできるだけ広い領域に設けることが好ましいので、コネクタ8を設ける領域はできるだけ狭くする必要がある。或いは、コネクタ8は、スライドドア1の外縁部4の中でも、できるだけ物体の挟み込みが発生する可能性が低い部位に設けることが好ましい。
【0055】
<3>
上記実施形態及び上記別実施形態では、本発明の挟み込み検出装置を車両用ドアとしてのスライドドアの開口側の外縁部に設けた場合について説明したが、車両の後部に設けられたバックドアや、車両の側部に設けられた揺動式のドアにおける物体の挟み込みを検出する目的にも利用可能である。
【0056】
<4>
上記実施形態及び上記別実施形態では、圧電センサ6と信号処理回路である検知回路部10の間に同軸ケーブルを用いた中継線7を用いているが、この同軸ケーブルの代わりに、圧電センサ6の中心電極及び外部電極の信号をそれぞれ伝える信号線を内部に持つシールド線とすることも可能である。また、中継線7へ加わるノイズを無視できる環境で使用できるのであれば、同軸ケーブルの代わりに、圧電センサ6の中心電極及び外部電極の信号をそれぞれ伝える信号線のみとすることも可能である。
【0057】
<5>
上記実施形態及び上記別実施形態において、コネクタ8を図7〜図9に例示するコネクタ30に変更することもできる。図7は、コネクタ30の透視図であり、図8は、図7の線分VIII−VIIIにおける断面図であり、図9は、コネクタ30の内部のキャップ34の正面図である。
図7に示すように、圧電センサ6の端部の先端側で中心電極6aが露出し、端部の根元側で外部電極6cが露出するように外部被覆6dや圧電材料6bが除去されている。同様に、中継線7の端部の先端側で中心電極7aが露出し、端部の根元側で外部電極7cが露出するように外部被覆7dや絶縁体が除去されている。そして、この別実施形態のコネクタ30は、圧電センサ6の外部電極6cと中継線7の外部電極7cとを束ねて挟み込むW形接続金具31を備える。また、図7に示すように、圧電センサ6の中心電極6aと中継線7の中心電極7aとを電気的に接続するスプライス32を備える。そして、W形接続金具31とスプライス32を取り付けた状態で、圧電センサ6及び中継線7の端部を半田槽に付けると、圧電センサ6の外部電極6c、中継線7の外部電極7c及びW形接続金具31が半田で固定され、且つ、圧電センサ6の中心電極6a、中継線7の中心電極7a及びスプライス32が半田で固定される。このとき、圧電材料6b及び絶縁体7b、並びに、外部被覆6d及び外部被覆7dの部分には半田が定着しない。この後、圧電センサ6の中心電極6a、中継線7の中心電極7a及びスプライス32の外側に熱収縮チューブ33を被せ、加熱して先端部の絶縁を施す。更に、有底筒状の導電性のキャップ34を、スプライス32及びW形接続金具31を覆うように被せる。キャップ34には図8及び図9に示すように、W形接続金具31に対応する位置に、円周に沿って長孔34aが彫られている。この長孔34aからW型接続金具31側へ半田を流し込み、W形接続金具31とキャップ34間を固定するとともに、W形接続金具31とキャップ34間の導通をとる。最後に、キャップ34を覆うように熱収縮チューブ35を被せて、加熱して全体を固定する。
従って、キャップ34は圧電センサ6の外部電極6c及び中継線7の外部電極7cと同電位となり、キャップ34の内側をシールドするため、露出された圧電センサ6の中心電極6aと中継線7の中心電極7aへのノイズの侵入を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】車両用ドアへの圧電センサの設置例を示す図
【図2】車両用ドアの縦断面図
【図3】第1実施形態の挟み込み検出装置の設置例を概略的に示す図
【図4】コネクタの斜視図
【図5】第2実施形態の挟み込み検出装置の設置例を概略的に示す図
【図6】別実施形態の挟み込み検出装置の設置例を概略的に示す図
【図7】別実施形態のコネクタの透視図
【図8】図7の線分VIII−VIIIにおける断面図
【図9】コネクタの内部のキャップの正面図
【符号の説明】
【0059】
1 スライドドア(車両用ドア)
3 ドアパネル
4 外縁部
6、12 圧電センサ
6a 中心電極(第1の中心電極)
6b 圧電材料(強誘電体)
6c 外部電極(第1の外部電極)
7、13 中継線
7a 中心電極(第2の中心電極)
7b 絶縁体(強誘電体)
7c 外部電極(第2の外部電極)
10 検知回路部(信号処理回路)
15 開口部
20 筐体
25 防水部材
A 内部空間(空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブル状に配置される、第1の中心電極と当該第1の中心電極を取り囲む圧電材料と当該圧電材料を取り囲む第1の外部電極とを備え、ドアパネルを有する車両用ドアの開口部側の外縁部に沿って設けられる圧電センサと、
前記第1の中心電極と前記第1の外部電極との間の電位差を表す圧電出力信号を前記圧電センサから受け取る信号処理回路と、
前記圧電センサと前記信号処理回路との間を接続する中継線と、を備える挟み込み検出装置。
【請求項2】
前記信号処理回路は、前記ドアパネルの内部の、シート状の防水部材を設けて防水処理した空間に収納され、
前記中継線は、前記車両用ドアの前記外縁部から前記防水処理した空間まで配線されていることを特徴とする請求項1記載の挟み込み検出装置。
【請求項3】
前記中継線は、シールド線を用いて構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の挟み込み検出装置。
【請求項4】
前記中継線は、同軸ケーブル状に配置される、第2の中心電極と当該第2の中心電極を取り囲む絶縁体と当該絶縁体を取り囲む第2の外部電極とを備え、
前記第1の中心電極と前記第2の中心電極とが接続され、及び、前記第1の外部電極と前記第2の外部電極とが接続されることで、前記圧電センサと前記中継線とが接続されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の挟み込み検出装置。
【請求項5】
前記圧電センサが備える前記圧電材料は、強誘電体に分極処理を施すことにより作製され、
前記中継線が備える前記絶縁体は、強誘電体を用いて構成され、
前記第1の中心電極、前記第1の外部電極及び前記分極処理が施される前の強誘電体のそれぞれは、前記第2の中心電極、前記第2の外部電極及び前記絶縁体としての強誘電体のそれぞれと同じ材料を用いて構成されることを特徴とする請求項4記載の挟み込み検出装置。
【請求項6】
前記強誘電体に直流高電界を印加して圧電活性を与えることで前記分極処理を施すことを特徴とする請求項5記載の挟み込み検出装置。
【請求項7】
前記圧電センサ及び前記中継線は、中心電極と当該中心電極を取り囲む強誘電体と当該強誘電体を取り囲む外部電極とを備える一連の同軸ケーブル中に形成され、前記同軸ケーブルのうち、前記強誘電体に前記分極処理を施した部分が前記圧電センサとして機能し、前記強誘電体に前記分極処理を施していない部分が前記中継線として機能することを特徴とする請求項5又は6記載の挟み込み検出装置。
【請求項8】
前記圧電センサ及び前記中継線は、中心電極と当該中心電極を取り囲む強誘電体と当該強誘電体を取り囲む外部電極とを備える同一構成の2本の同軸ケーブルの夫々に形成され、前記強誘電体に前記分極処理を施した方の前記同軸ケーブルが前記圧電センサとして機能し、前記強誘電体に前記分極処理を施していない方の前記同軸ケーブルが前記中継線として機能することを特徴とする請求項5又は6記載の挟み込み検出装置。
【請求項9】
前記圧電センサが備える前記第1の中心電極及び前記第1の外部電極のそれぞれは、前記中継線が備える前記第2の中心電極及び前記第2の外部電極のそれぞれと、封止された筐体内で接続されることを特徴とする請求項8記載の挟み込み検出装置。
【請求項10】
前記圧電センサは、当該圧電センサの端部の先端側で前記第1の中心電極が露出し、端部の根元側で前記第1の外部電極が露出するように構成され、
前記中継線は、当該中継線の端部の先端側で前記第2の中心電極が露出し、端部の根元側で前記第2の外部電極が露出するように構成され、
前記圧電センサ及び前記中継線は、露出した前記第1の中心電極及び露出した前記第2の中心電極が並んだ状態、且つ、露出した前記第1の外部電極及び露出した前記第2の外部電極が並んだ状態で前記筐体内に配置されることを特徴とする請求項9記載の挟み込み検出装置。
【請求項11】
前記車両用ドアは車体側面に設けられたスライドドアであって、前記筐体は当該スライドドアの開口部側の外縁部の下部に設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の挟み込み検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−55590(P2007−55590A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202213(P2006−202213)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】