説明

振り込め詐欺防止装置、および振り込め詐欺防止方法

【課題】携帯電話の通話が制限された状態でも、通話を可能とし、かつ振り込み詐欺を防止する。
【解決手段】振り込め詐欺防止装置13において、電磁波遮断シールド外に設けられ、携帯電話網との電波の送受信を担うキャリアアンテナ12と、携帯電話を差し込み可能な携帯電話差込口22と、携帯電話の携帯電話差込口22への差込みを検知する差込検知部23と、携帯電話が前記携帯電話差込口22に差し込まれたことを検知された場合に、振り込み詐欺の可能性がある旨の注意喚起メッセージを、携帯電話から出力させる注意喚起部25と、携帯電話が携帯電話差込口22に差し込まれたことを検知された場合に、キャリアアンテナ12から受信した電波を復号化して携帯電話に送出するとともに、携帯電話から入力された音声信号を符号化してキャリアアンテナ12に送出する音声信号符号復号部26とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り込み詐欺を防止する振り込め詐欺防止装置、および振り込め詐欺防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末を用いて現金の引き出しや預け入れを行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)を利用した振り込め詐欺が問題となっている。振り込め詐欺は、近親者の情愛につけ込み、人と社会の信頼関係を逆手にとるなどきわめて卑劣な犯罪である。
【0003】
このような振り込め詐欺を防止するための対策として、例えば、建造物を電磁波遮断シールドで覆い、携帯端末による通話が不可能なエリアを作り出し、建造物に外部アンテナとケーブルを介して携帯端末の通話が可能なエリア(携帯端末利用部屋)を作り出すことで、本来の携帯端末の利用者に不便が無い建造物を提供するという技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
この場合、建造物の代わりに現金自動預払機コーナーに電磁波遮断シールドを覆い、かつ自動預払機コーナーに外部アンテナとケーブルを介して、携帯端末の通話が可能な通信経路を用いることで、携帯端末の通話エリアを制限しながら、本来の携帯端末の利用者に不便がないようにすることにより、振り込め詐欺の防止に利用することが考えられる。
【0005】
また、例えば、携帯端末にある、音声信号の符号復号機能を用いて、振り込め詐欺を抑止する技術が開示されている(特許文献2、特許文献3参照)。具体的には、音声信号の符号復号機能を用いて、デジタル音声信号による音声認識を行い、振り込め詐欺の可能性のある単語等を検出し、注意喚起を行うことで、振り込め詐欺を抑止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−101499号公報
【特許文献2】特開2006−196949号公報
【特許文献3】特開2006−324715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、建造物の代わりに自動預払機コーナーを適用することで、携帯端末の通話エリアを制限しながら、本来の携帯端末の利用者に不便がないようにすることができるが、携帯端末の通話が可能なところでは、利用者が何の障害もなく通話を行えるため、振り込め詐欺を防止できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2と特許文献3に開示された発明では、携帯端末が音声信号符号復号機能を用いて、デジタル音声信号による音声認識を行う。そして、振り込め詐欺に用いられる単語や声紋を検出した場合に注意喚起を行う。しかし、登録された単語や声紋が検出できない場合は、何も対処できない。よって、通話に使用する単語や声紋を変えることなどの、時々刻々と変化する振り込め詐欺の犯罪の手口に、これらの発明では対応しきれない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯端末の通話が制限された状態でも、通話を可能とし、かつ振り込み詐欺を防止する振り込め詐欺防止装置、および振り込め詐欺防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電磁波遮断シールドに覆われた現金自動預払機コーナー内で使用される携帯端末を利用した振り込め詐欺を防止する振り込め詐欺防止装置において、電磁波遮断シールド外に設けられ、携帯電話網との電波の送受信を担うアンテナ部と、前記携帯端末を差し込み可能な差込口と、前記携帯端末の前記差込口への差込みを検知する差込検知部と、前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、振り込み詐欺の可能性がある旨の注意喚起メッセージを、前記携帯端末から出力させる注意喚起部と、前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、前記アンテナ部から受信した電波を復号化して前記携帯端末に送出するとともに、前記携帯端末から入力された音声信号を符号化して前記アンテナ部に送出する音声信号符号復号部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アンテナと携帯端末の通信の間に、音声信号符号復号機能のある振り込め詐欺防止装置をつけて、アンテナから携帯端末に流れるデジタル音声信号は、振り込め詐欺防止装置が復号化する。そのため、復号化したアナログ音声信号や注意喚起メッセージのアナログ音声信号を、任意のタイミングで携帯端末に送ることができる。よって、携帯端末の通話が制限された状態でも、通話を可能としながら、かつ振り込み詐欺を防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の概要について説明する説明図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の内部構成を説明する機能ブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の音声信号の符号復号化から注意喚起を行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の内部構成を説明する機能ブロック図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の音声信号の符号復号化から注意喚起を行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第3の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の概要について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる振り込め詐欺防止装置、振り込め詐欺防止方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態として、本発明の振り込め詐欺防止装置を電磁波遮断シールドで覆われた現金自動預払機コーナー(以下、「ATMコーナー」という)で使用する携帯端末(以下、「携帯電話」という)に適用した例について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の概要について説明する説明図である。携帯電話14は、振り込め詐欺防止装置13を介してキャリアアンテナ12を通して、通話を行う。また、ATMコーナー16は、ATM11と、振込み詐欺防止装置13と、携帯電話14とを設置している。そして、ATMコーナー16は電磁波遮断シールド15に覆われている。また、振り込め詐欺防止装置13は、警報出力装置17と接続されている。
【0016】
ここで、ATMコーナー16は、ATM11が設置されている部屋である。
【0017】
ATM11は、利用者の操作により、金融機関等のサービスを利用できる現金自動預け払い機である。
【0018】
キャリアアンテナ12とは、通信サービスを提供する企業が提供するアンテナであり、電波の送受信を行う。
【0019】
携帯電話14は、基地局と呼ばれる有線ネットワークとの中継点と無線で通信する。
【0020】
振り込め詐欺防止装置13は、振り込め詐欺による利用者の携帯電話14の操作を抑止する。具体的には、この振り込め詐欺防止装置13が音声信号符号復号機能を使用して、注意喚起メッセージをアナログ信号で携帯電話14へ送信することで、振り込め詐欺の抑止をする。
【0021】
電磁波遮断シールド15は、導電性のある材料によって空間を2つに分離することで電磁波を隔離するものである。電磁波防止フィルムや、目の細かい金属製の網や、透明性導電フィルムなどがある。ジャミングを使用すると、特定周波数の妨害電波が発生するため、総合通信局の許可が必要となる。更に、特定空間以外の通話の電波等に影響を及ぼす可能性がある。しかし、電磁波遮断シールド15は、比較的導入が容易であり、特定空間以外に影響を及ぼすことなく、特定空間内の電磁波のみを遮断する。
【0022】
警報出力装置17は、振り込め詐欺の可能性のある警報を出力する装置である。この警報から、例えば、ATMコーナーの監視カメラのアラームと連動することや、行員や関係者、警備会社等に対して通報することが考えられる。
【0023】
図2は、振り込め詐欺防止装置13の内部構成を説明する機能ブロック図である。振り込め詐欺防止装置13は、通信I/F21と、携帯電話差込口22と、差込検知部23と、回線接続制御部24と、注意喚起部25と、音声信号符号復号部26と、警報送信部27とを備えている。
【0024】
通信I/F21は、外部との通信を制御する。
【0025】
携帯電話差込口22は、電磁波遮断シールド15で覆われたATMコーナー16で携帯電話14を着脱する差込口である。
【0026】
差込検知部23は、携帯電話14が携帯電話差込口22に差し込まれると、携帯電話14からの接続信号が差込検知部に送られるため、その接続信号を受信したか否かを検知する。
【0027】
回線接続制御部24は、携帯電話14を通話可能にするための回線接続と、不通にするための回線切断の制御を行う。
【0028】
注意喚起部25は、携帯電話14が携帯電話差込口22に差し込まれたことを検知した場合や、携帯電話14の通話をする前のタイミングで、アナログ音声信号である注意喚起メッセージを、携帯電話14のスピーカーに送信する。携帯電話14の利用者に対して送信するメッセージは、「振り込め詐欺が多発しています。ご注意ください」や「この通話は振り込め詐欺の可能性があります。今一度、話し相手をご確認ください」などが考えられる。
【0029】
また、注意喚起部25は、通信I/F21を介してキャリアアンテナ12を通して、携帯電話利用者の通話相手先に、注意喚起メッセージのアナログ信号を符号化し、デジタル信号として送信することもできる。携帯電話利用者の通話相手先に対して送信するメッセージは、例えば「現在、通話先のお相手は、ATMコーナーから通話しています。携帯通話の使用注意事項をご案内していますので、少々お待ちください」等が考えられる。
【0030】
音声信号符号復号部26は、携帯電話14の音声を符号化して電波にする。また、その電波を元に戻す復号化の処理を行う。
【0031】
通常は、携帯電話14がこの音声信号の符号復号機能を備えているため、キャリアアンテナ12から携帯電話14にデジタル音声信号が流れる。しかし、本実施形態では振り込め詐欺防止装置13が音声信号の符号復号機能を備えているため、キャリアアンテナ13から流れるデジタル音声信号は、振り込め詐欺防止装置13が復号化する。これにより、振り込め詐欺防止装置13は、復号化したアナログ音声信号や、注意喚起メッセージなどのアナログ音声信号を、任意のタイミングで携帯電話14のスピーカーに送信することができる。
【0032】
警報送信部27は、携帯電話14の利用者への振り込め詐欺の注意喚起メッセージを出力したあとで、振り込め詐欺の警報を警報出力装置17に送信する。
【0033】
次に、以上のように構成された第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置13における携帯電話14の携帯電話差込口22への挿入から回線接続したあとに注意喚起メッセージを出力するまでの全体の処理について説明する。図3は振り込め詐欺防止装置13における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
まず、電磁波遮断シールド15で覆われたATMコーナー16で、利用者が携帯電話14を使用するために、携帯電話14を携帯電話差込口22に差込む。
【0035】
そして、差込検知部23は、携帯電話差込口22から、携帯電話14の接続信号を検知したか否か判断する(ステップS301)。
【0036】
ここで、差込検知部23が、携帯電話差込口22から携帯電話14の接続信号を検知できなかった場合(ステップS301:No)、この判断処理を繰り返す。
【0037】
差込検知部23が、携帯電話差込口22から携帯電話14の接続信号を検知できた場合(ステップS301:Yes)、回線接続制御部24が、携帯電話14から相手先の電話番号への発呼を検知したか否か判断する(ステップS302)。
【0038】
ここで、回線接続制御部24が携帯電話14から相手先の電話番号への発呼を検知できなかった場合(ステップS302:No)、この判断処理を繰り返す。
【0039】
回線接続制御部24が携帯電話14から相手先の電話番号への発呼を検知できた場合(ステップS302:Yes)、回線接続制御部24が、回線接続する(ステップS303)。
【0040】
次に、注意喚起部25は、携帯電話14に、通話注意喚起メッセージの音声信号を送信する(ステップS304)。
【0041】
ステップS304が終了すると、次に、利用者による携帯電話14の通常の通話処理を行う。
【0042】
まず、音声信号符号復号部26は、キャリアアンテナ12からの音声信号を抽出し、復号化する。また、携帯電話14からの音声信号を抽出し、符号化する(ステップ305)。
【0043】
次に、音声信号符号復号部26は、復号化した音声信号を携帯電話14に送信する。また、符号化した音声信号を、キャリアアンテナ12に送信する(ステップS306)。
【0044】
そして、回線接続制御部24は、携帯電話14から、通信切断信号を検知したか否か判断する(ステップS307)。
【0045】
ここで、回線接続制御部24が携帯電話14から通信切断信号を検知できなかった場合(ステップS307:No)、この判断処理を繰り返す。
【0046】
以上までの処理が、携帯電話14の通常の通話処理である。
【0047】
回線接続制御部24が携帯電話14から通信切断信号を検知できた場合(ステップS307:Yes)、回線接続制御部24が、回線切断を行う(ステップS308)。
【0048】
上述した処理手順により、利用者に必ず注意喚起メッセージを出力することが可能になる。なお、上述した手順は、第1の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置13における携帯電話14の携帯電話差込口22への挿入から回線接続したあとに注意喚起メッセージを出力する手順の例を示したものであり、本発明をこの処理手順に制限するものではない。
【0049】
(第2の実施の形態)
上述した第1の実施の形態においては、振り込め詐欺防止装置が音声信号符号復号部を備えた例について説明した。よって、注意喚起のアナログ音声信号も携帯電話に送信できるものであったが、本実施の形態の振り込め詐欺防止装置では、更に、通話の音声録音を行い、警報出力装置に音声録音信号を送信できるものである。そこで、第2の実施の形態においては、振り込め詐欺防止装置が音声録音部と音声録音記憶部とを備えた場合について説明する。
【0050】
第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の概要について説明する説明図は、第1の実施の形態で示した図1の概要について説明する説明図と同様であり、第1の実施の形態の振り込め詐欺防止装置13は、本実施の振り込め詐欺防止装置41に対応している。図1に示すように、本実施形態の振り込め詐欺防止装置41は、携帯電話14と、キャリアアンテナ12と、ATMコーナー16と、ATM11と、電磁波遮断シールド15と、警報出力装置17と主に関連している。ここで、携帯電話14と、キャリアアンテナ12と、ATMコーナー16と、ATM11と、電磁波遮断シールド15と、警報出力装置17の機能および構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
図4は、第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置41の内部構成を説明する機能ブロック図である。図4に示すように、本実施の形態の振り込め詐欺防止装置41は、通信I/F21と、携帯電話差込口22と、差込検知部23と、回線接続制御部24と、注意喚起部25と、音声信号符号復号部26と、警報送信部27と、音声録音記憶部42と、音声録音部43とを主に備えている。ここで、通信I/F21と、携帯電話差込口22と、差込検知部23と、回線接続制御部24と、注意喚起部25と、音声信号符号復号部26と、警報送信部27の機能および構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
音声録音記憶部42は、利用者が携帯電話14を用いて通話を開始してから通話を終了するまでの通話音声の録音信号を格納する。
【0053】
音声録音部43は、音声信号符号復号部26がキャリアアンテナ12から音声信号を復号化したアナログ音声信号と、携帯電話14のマイクからのアナログ音声信号とを、それぞれ音声録音記憶部42に格納する。音声録音部43は、警報送信部27を介して警報出力装置17に録音信号を送信する。送信された録音信号は、警備装置や監視カメラだけでなく、通話が終了してから、警察等に提供することができるなど、第1の実施の形態に比べて、振り込め詐欺の抑止により効果がある。
【0054】
振り込め詐欺防止装置41では、このような構成により、電磁波遮断シールド15によって覆われたATMコーナー16で、携帯電話14を使用した際の通話の内容を、音声録音記憶部42に録音することができる。
【0055】
また、注意喚起部25は、通信I/F21を介してキャリアアンテナ12を通して、携帯電話利用者の通話相手先に、注意喚起メッセージのアナログ信号を符号化し、デジタル信号として送信することもできる。携帯電話利用者の通話相手先に対して送信するメッセージは、例えば「現在、通話先のお相手は、ATMコーナーから通話しています。この通話は録音されますので、ご了承ください」等が考えられる。
【0056】
次に、以上のように構成された第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置41における携帯電話14の携帯電話差込口22への挿入から回線接続したあとに注意喚起メッセージを出力し、録音開始メッセージを出力したあとで音声録音を行うまでの全体の処理について説明する。図5は振り込め詐欺防止装置41における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
まず、第1の実施の形態の図3のステップS301〜S304と同様にして、携帯電話14の接続信号検知から、相手先電話番号への発呼検知、回線接続、通話注意喚起メッセージを出力するまでの処理を行う(ステップS501〜S504)。
【0058】
次に、注意喚起部25が、携帯電話14に、録音開始メッセージの音声信号を送信する(ステップS505)。
【0059】
そして、注意喚起部25が、携帯電話14からの録音指示として#ボタン押下信号を受信したか否かを判断する(ステップS506)。
【0060】
ここで、注意喚起部25が、携帯電話14からの録音指示として#ボタン押下信号を受信できなかった場合(ステップS506:No)、この判断処理を繰り返す。
【0061】
注意喚起部25が、携帯電話14からの録音指示として#ボタン押下信号を受信できた場合(ステップS506:Yes)、第1の実施の形態の図3のステップS305、S306と同様にして、キャリアアンテナ12からの音声信号を抽出し、復号化したアナログ音声信号を携帯電話14に送信する。また、携帯電話14からの音声信号を抽出し、符号化したデジタル信号をキャリアアンテナ12に送信する(ステップS507、S508)。
【0062】
そして、音声録音部43は、復号化したアナログ音声信号を、音声録音記憶部42に格納する(ステップS509)。
【0063】
そして、第1の実施の形態の図3のステップS307、S308と同様にして、回線接続制御部24が、携帯電話14から通信切断信号を検知してから、回線切断を行う(ステップS510、S511)。
【0064】
上述した処理手順により、注意喚起メッセージを出力したあとで、音声録音を行うことが可能となる。なお、上述した手順は、第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置41における携帯電話14の携帯電話差込口22への挿入から回線接続したあとに注意喚起メッセージを出力し、音声録音を行う手順の例を示したものであり、本発明をこの処理手順に制限するものではない。
【0065】
(第3の実施の形態)
上述した第2の実施の形態においては、振り込め詐欺防止装置が音声信号符号復号部と音声録音部とを備えた例について説明した。しかしながら、利用者が通話の際に使用する通信端末は、第2の実施の形態にかかる携帯電話に制限するものではない。そこで、第3の実施の形態においては、携帯電話にヘッドセットを接続した場合について説明する。
【0066】
図6は、第3の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置の概要について説明する説明図である。図6に示すように、本実施形態の振り込め詐欺防止装置41は、携帯電話14と、ヘッドセット61と、キャリアアンテナ12と、ATMコーナー16と、ATM11と、電磁波遮断シールド15と、警報出力装置17と主に関連している。ここで、携帯電話14と、キャリアアンテナ12と、ATMコーナー16と、ATM11と、電磁波遮断シールド15と、警報出力装置17の機能および構成は、第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
また、第3の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置41における音声録音を行うまでの全体の処理の手順は、第2の実施の形態にかかる振り込め詐欺防止装置41における音声録音を行うまでの全体の処理の手順とは、携帯電話がヘッドセットに変更された構成を有している点で異なるが、その他の部分は同一の構成要素であるため、その説明を省略している。
【0068】
ヘッドセット61は、イヤホンとマイクが一体となった音声入出力装置である。頭部に装着することで、携帯電話14の通話中も、利用者は両手が自由になる。利用者が、通話と別の作業とを平行に作業する場合に使われる。基本的にはヘッドセット61と携帯電話14の間はケーブルで有線接続する。
【0069】
また、ヘッドセット61は、振り込め詐欺防止装置41に接続されていても良い。通話および注意喚起は、ヘッドセット61から行われる。
【0070】
上述した構成により、ヘッドセット61を用いて、第2の実施の形態と同様に、振り込め詐欺防止装置41における、携帯電話14の携帯電話差込口22への挿入から回線接続したあとに注意喚起メッセージを出力し、音声録音を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
11 ATM
12 キャリアアンテナ
13 振り込め詐欺防止装置
14 携帯電話
15 電磁波遮断シールド
16 ATMコーナー
17 警報出力装置
21 通信I/F
22 携帯電話差込口
23 差込検知部
24 回線接続制御部
25 注意喚起部
26 音声信号符号復号部
27 警報送信部
41 振り込め詐欺防止装置
42 音声録音記憶部
43 音声録音部
61 ヘッドセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波遮断シールドに覆われた現金自動預払機コーナー内で使用される携帯端末を利用した振り込め詐欺を防止する振り込め詐欺防止装置において、
電磁波遮断シールド外に設けられ、携帯電話網との電波の送受信を担うアンテナ部と、
前記携帯端末を差し込み可能な差込口と、
前記携帯端末の前記差込口への差込みを検知する差込検知部と、
前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、振り込み詐欺の可能性がある旨の注意喚起メッセージを、前記携帯端末から出力させる注意喚起部と、
前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、前記アンテナ部から受信した電波を復号化して前記携帯端末に送出するとともに、前記携帯端末から入力された音声信号を符号化して前記アンテナ部に送出する音声信号符号復号部と、
を備えたことを特徴とする振り込め詐欺防止装置。
【請求項2】
音声録音記憶部と、
前記音声信号または前記電波から復号化された音声信号を録音して前記音声録音記憶部に保存する音声録音部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項3】
前記携帯端末は、録音指示を入力可能であり、
前記音声録音部は、前記録音指示が入力された場合に、前記音声信号の録音を行うことを特徴とする請求項2に記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項4】
前記注意喚起メッセージをネットワークに接続された警報出力装置に送信する警報送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項5】
前記警報送信部は、さらに、前記携帯端末から前記録音指示が入力された場合に、前記注意喚起メッセージを前記警報出力装置に送信することを特徴とする請求項4に記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項6】
前記警報送信部は、さらに、前記音声録音記憶部に保存された前記音声信号を前記警報出力装置に送信することを特徴とする請求項4または5に記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項7】
前記音声信号符号復号部は、さらに、前記注意喚起メッセージを符号化して前記アンテナ部に送出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項8】
前記音声信号符号復号部は、前記音声信号の入出力が可能な携帯型入出力機器を接続可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の振り込め詐欺防止装置。
【請求項9】
電磁波遮断シールドに覆われた現金自動預払機コーナー内で使用される携帯端末を利用した振り込め詐欺を防止する振り込め詐欺防止装置で実行される振り込め詐欺防止方法において、
前記振り込め詐欺防止装置は、電磁波遮断シールド外に設けられ、携帯電話網との電波の送受信を担うアンテナ部と、前記携帯端末を差し込み可能な差込口と、を備え、
前記携帯端末の前記差込口への差込みを検知する差込検知ステップと、
前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、振り込み詐欺の可能性がある旨の注意喚起メッセージを、前記携帯端末から出力させる注意喚起ステップと、
前記携帯端末が前記差込口に差し込まれたことを検知された場合に、前記アンテナ部から受信した電波を復号化して前記携帯端末に送出するとともに、前記携帯端末から入力された音声信号を符号化して前記アンテナ部に送出する音声信号符号復号ステップと、
を含むことを特徴とする振り込め詐欺防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−187349(P2010−187349A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31905(P2009−31905)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】