説明

振動アクチュエータ、レンズ鏡筒及びカメラ

【課題】限定されたスペースにも配置可能で且つ駆動性能の良好な振動アクチュエータ、それを備えるレンズ鏡筒及びカメラを提供する。
【解決手段】本発明の振動アクチュエータ10は、電気機械変換素子13に接触して設けられ、前記電気機械変換素子13の駆動により振動波を生じる弾性体12と、前記弾性体12と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体12に対して相対移動される相対移動部材15と、を備える振動アクチュエータ10であって、前記弾性体12の前記相対移動部材15側は、櫛歯状となるように複数の溝30が形成され、前記相対移動部材15の相対移動方向θと交差する方向における前記溝30の深さは、前記相対移動部材15の相対移動方向θに沿って異なっていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動アクチュエータ、それを備えるレンズ鏡筒及びカメラ
に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電アクチュエータは、圧電体の伸縮を利用して、弾性体の駆動面に進行性振動波を発生させるものであり、この進行波によって、駆動面には楕円運動が生じ、楕円運動の波頭に加圧接触した移動子は駆動される(特許文献1参照)。このような圧電アクチュエータは、低回転でも高トルクを有するといった特徴がある。このため、駆動装置に搭載した場合に駆動装置のギアを省略することができ、ギア騒音を無くす、位置決め精度が向上できるといったような利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平1−17354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のデジタルカメラまたはレンズ鏡筒のコンパクト化に伴い、振動アクチュエータを配置するスペースも限定されてきている。しかし、振動アクチュエータをスペースに合わせて全体的に小型化した場合、振動子の径が短くなるため、発生トルクが低下する傾向にある。
【0005】
本発明の課題は、限定されたスペースにも配置可能で且つ駆動性能の良好な振動アクチュエータ、それを備えるレンズ鏡筒及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、電気機械変換素子(13)に接触して設けられ、前記電気機械変換素子(13)の駆動により振動波を生じる弾性体(12)と、前記弾性体(12)と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体(12)に対して相対移動される相対移動部材(15)と、を備える振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)の前記相対移動部材(15)側は、櫛歯状となるように複数の溝(30)が形成され、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)と交差する方向における前記溝(30)の深さは、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項2に記載の発明は、電気機械変換素子(13)に接触して設けられ、前記電気機械変換素子(13)の駆動により振動波を生じる弾性体(12)と、前記弾性体(12)と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体(12)に対して相対移動される相対移動部材(15)と、を備える振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)は、前記相対移動部材(15)側に設けられた櫛歯部(12a)と、前記電気機械変換素子(13)側に設けられたベース部(12b)と備え、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)と交差する方向における前記ベース部(12b)の厚みは前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項3に記載の発明は、電気機械変換素子(13)に接触して設けられ、前記電気機械変換素子(13)の駆動により振動波を生じる弾性体(12)と、前記弾性体(12)と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体(12)に対して相対移動される相対移動部材(15)と、を備える振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)のヤング率は、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項4に記載の発明は、電気機械変換素子(13)に接触して設けられ、前記電気機械変換素子(13)の駆動により振動波を生じる弾性体(12)と、前記弾性体(12)と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体(12)に対して相対移動される相対移動部材(15)と、を備える振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)の密度は、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)の、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)と交差する方向における厚みは、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って一定であること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)の、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)と交差する方向における幅は、前記相対移動部材(15)の相対移動方向(θ)に沿って異なること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の振動アクチュエータ(10)であって、前記弾性体(12)の外形は、楕円形状であること、を特徴とする振動アクチュエータ(10)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えるレンズ鏡筒(3)である。
請求項9に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(10)を備えるカメラ(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、限定されたスペースにも配置可能で且つ駆動性能の良好な振動アクチュエータ、それを備えるレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のカメラを説明する図である。
【図2】カメラにおけるレンズ鏡筒内部を被写体側から見た図である。
【図3】一実施形態の超音波モータの断面図である。
【図4】一実施形態の振動子を示す図である。
【図5】比較形態の振動子を示す図である。
【図6】移動体の進行方向を横軸として、溝の深さを縦軸としたグラフである。
【図7】変形形態の振動子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、振動アクチュエータとして、超音波モータを例に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態のカメラ1を説明する図である。図2はカメラ1におけるレンズ鏡筒3内部を被写体側から見た図である。カメラ1は、撮像素子8を有するカメラボディ2と、レンズ7を有するレンズ鏡筒3とを備えている。レンズ鏡筒3は、カメラボディ2に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒3は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
【0012】
レンズ鏡筒3は、レンズ7、カム筒6、ギア4,5、超音波モータ10、及びこれらを包囲する筐体9等を備えている。本実施形態では、超音波モータ10は、図2に示すように、カム筒6と筐体9との間の円環状の隙間に配置されるものである。超音波モータ10は、カメラ1のフォーカス動作時にレンズ7を駆動する駆動源として用いられる。超音波モータ10から得られた駆動力は、ギア4,5を介してカム筒6に伝えられる。レンズ7は、カム筒6に保持されており、超音波モータ10の駆動力により、光軸方向(図1中に示す、矢印L方向)に略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
【0013】
図1において、レンズ鏡筒3内に設けられた不図示のレンズ群(レンズ7を含む)によって、撮像素子8の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子8によって、結像された被写体像が電気信号に変換され、その信号をA/D変換することによって、画像データが得られる。
【0014】
図3は、第1実施形態の超音波モータ10の断面図である。なお、理解を容易にするために、図3及び後述の図4には、XYZ直交座標系を設けた。出力軸18の軸方向に平行な方向をZ軸方向とし、Z軸方向において移動子15側に向かう方向をZ軸プラス方向とした。そして、Z軸プラス方向(移動子15側)から見た振動子11の外形の楕円形状の長径(長軸、図4参照)に平行な方向をX軸方向、短径(短軸、図4参照)に平行な方向をY軸方向とする。
【0015】
第1実施形態の超音波モータ10は、振動子11、移動子15、出力軸18、加圧部材19等を備え、振動子11側を固定とし、移動子15を回転駆動する形態となっている。振動子11は、弾性体12と、弾性体12に接合された圧電体13とを有する中空形状の部材である。弾性体12は、共振先鋭度が大きな金属材料によって形成された部材である。弾性体12は、外形が略楕円形状である中空形状(図3(a)参照)であり、この弾性体12は、櫛歯部12a、ベース部12b、フランジ部12c等を有する。
【0016】
櫛歯部12aは、移動子15と接触する側の面に、複数の溝30を切ることにより形成され、この櫛歯部12aの先端面は、移動子15に加圧接触され、移動子15を駆動する駆動面12dとなる。この駆動面には、Ni−P(ニッケル−リン)メッキ等の潤滑性の表面処理が施されている。櫛歯部12aを設ける理由は、圧電体13の伸縮により駆動面12dに生じる進行波の中立面をできる限り圧電体13側へ近づけ、これにより駆動面12dの進行波の振幅を増幅させるためである。
【0017】
ベース部12bは、弾性体12の周方向に連続した部分であり、ベース部12bの櫛歯部12aとは反対側の面に、圧電体13が接合されている。フランジ部12cは、弾性体12の内径方向に突出した鍔状の部分であり、ベース部12bの厚さ方向の中央に配置されている。このフランジ部12cにより、振動子11は、固定部材16に固定されている。
【0018】
圧電体13は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子である。なお、本実施形態では、圧電体13として圧電素子を用いたが、電歪素子等を用いてもよい。圧電体13は、略平板形状であり、弾性体12に接着剤を用いて接合されている。この圧電体13には、駆動信号を入力するための不図示の電極部が形成されている。
【0019】
フレキシブルプリント基板14は、その配線が圧電体13の電極部に接続されている。フレキシブルプリント基板14は、圧電体13に駆動信号を供給する機能を有する。このフレキシブルプリント基板14から供給される駆動信号によって、圧電体13が伸縮することにより、弾性体12を励振し、弾性体12の駆動面に進行波が発生する。本実施形態では、4波の進行波が発生している。
【0020】
移動子15は、弾性体12の駆動面に生じる進行波によって回転駆動される部材である。移動子15は、アルミニウム等の軽金属によって形成された略円盤形状の部材であり、振動子11(弾性体12の駆動面12d)に接触する接触面15aを有する。接触面15aは、略円環形状であり、接触面15aの表面には、耐磨耗性向上のためのアルマイト等の表面処理が施されている。出力軸18は、略円柱形状の部材である。出力軸18は、一方の端部がゴム部材23を介して移動子15に接しており、移動子15と一体に回転するように設けられている。
【0021】
ゴム部材23は、ゴムにより形成された略円環形状の部材である。このゴム部材23は、ゴムによる粘弾性で移動子15と出力軸18とを一体に回転可能とする機能と、移動子15からの振動を出力軸18へ伝えないように振動を吸収する機能とを有しており、ブチルゴム、シリコンゴム、プロピレンゴム等が用いられている。
【0022】
加圧部材19は、振動子11と移動子15とを加圧接触させる加圧力を発生する部材である。この加圧部材19は、ギア4とベアリング受け部材21との間に設けられている。本実施形態では、加圧部材19は、圧縮コイルバネを用いているが、これに限定されるものではない。
【0023】
ギア4は、出力軸18のDカットに嵌まるように挿入され、Eリング等のストッパ22で固定され、回転方向及び軸方向に出力軸18と一体となるように設けられている。ギア4は、出力軸18の回転とともに回転することにより、ギア5(図1参照)に駆動力を伝達する。
【0024】
また、ベアリング受け部材21は、ベアリング17の内径側に配置され、ベアリング17は、固定部材16の内径側に配置された構造となっている。加圧部材19は、振動子11を移動子15側へ、出力軸18の軸方向に加圧しており、この加圧力によって、移動子15は、振動子11の駆動面に加圧接触し、回転駆動される。なお、加圧部材19とベアリング受け部材21との間には、加圧力調整ワッシャーを設けて、超音波モータ10の駆動に適正な加圧力が得られるようにしてもよい。
【0025】
次に、本実施形態の振動子11について詳述説明する。図4は、振動子11を示す図である。図4(a)は、振動子11を移動子15側から見た図であり、図4(b)は、XZ平面に平行な矢印S1−S2断面での振動子11の断面図であり、図4(c)は、YZ平面に平行な矢印S3−S4断面での振動子11の断面図である。また、図4(a)中に破線で示される形状は、駆動面12dに接する移動子15の接触面15aの形状であり、接触面15aは、この破線で示された領域で駆動面12dと接する。図示するように、本実施形態で振動子11は、弾性体12及び圧電体13を含めて外形が楕円形状である。
【0026】
このように振動子11の外形を楕円形状にしたのは以下の理由による。本実施形態の場合、図2に示すように、超音波モータ10は、カム筒6と筐体9との間の円環状の隙間に配置されるものである。振動子11が楕円形状でなく、外形が真円形の場合、その径の大きさはカム筒6と筐体9との間の幅に限定されるため、圧電体の静電容量も限定される。
【0027】
しかし圧電体は、楕円形にした場合、長径が大きくなるにつれて静電容量が大きくなる。それは、厚さや誘電率等の条件を一定とした場合に、圧電体の静電容量は、圧電体が分極された領域の面積に比例するため、圧電体の面積を広くすることにより、分極される領域を広くすることができるからである。つまり、圧電体と弾性体との接合面の面積が広くなれば、圧電体が分極される領域を広くとることができ、圧電体の静電容量を大きくできる。これにより、より大きな駆動力が得られるからである。
【0028】
このように、本実施形態によれば、振動子11(圧電体13)が楕円形状であるので、一方向(本実施形態ではY方向)に十分なスペースをとることができない、例えばカム筒6と筐体9との間の円環状の隙間のような場所に配置することができるとともに、そのスペースを利用して最大限大きなトルクを得ることができる。
【0029】
しかし、振動子11(圧電体13、弾性体12)の形状を楕円形状のような真円以外とした場合、図5に示す比較形態の場合、長径a側では弾性体12の径方向の幅が広いので短径b側と比べて曲げ剛性が高くなる。すなわち、曲げ剛性が移動体の移動方向θで異なり、振動振幅が移動子15の移動方向θで均等に発生しない可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態では、図4(b)及び図4(c)に示すように、櫛歯部12aの溝30の深さを不均一にしている。すなわち、長径a側では溝30が深く、短径b側では溝30が浅い。図6(a)は移動体の移動方向θを横軸(径がaの位置をθ=0として)、溝の深さ(すなわちベースの厚み)を縦軸としたグラフである。図中実線は図4に示す本実施形態、点線は図5に示す比較形態である。
【0031】
また、図6(b)は移動体の進行方向θを横軸(径がaの位置をθ=0として)、曲げ剛性を縦軸としたグラフである。図6(b)も同様に、図中実線は図4に示す本実施形態、点線は図5に示す比較形態である。図示するように、比較形態では、短径b近辺(θ=π/2、3π/2)では曲げ剛性が低く、長径a近辺(θ=0、π、2π)では曲げ剛性が高い。
【0032】
しかし、本実施形態では、図6(a)で実線で示すように、短径b近辺(θ=π/2、3π/2)に比べて長径a近辺(θ=0、π、2π)では溝30が深い(ベース部12bが薄い)。したがって、長径a側では径方向に幅が広いが溝30が深く、短径b側は径方向に幅が狭いが溝30が浅くなっており、径方向の幅と溝30の深さとの、剛性に対する影響が互いに相殺されて、長径a側と短径b側における剛性の差が図6(b)に実線で示すように比較形態と比べて小さくなる。
【0033】
以上、本実施形態による以下の効果を有する。
(1)振動子11(圧電体13)が楕円形状であるので、一方向(本実施形態ではY方向)に十分なスペースをとることができない場所に配置することができ、そのスペースを利用して最大限大きなトルクを得ることができる。
(2)長径a側では径方向に幅が広いが溝30が深く、短径b側は径方向に幅が狭いが溝30が浅くなっている。したがって、径方向の幅と溝30の深さとの、剛性への影響が互いに相殺されて、長径a側と短径b側における剛性の差が小さくなる。したがって限定されたスペースにも配置可能で且つ駆動性能の良好な超音波モータ、それを備えるレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【0034】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0035】
(1)上述の実施形態で弾性体12の外形を楕円柱形状としたが、本発明はこれに限定されない。図7に示すように、弾性体32の外形を楕円錐形状の上部を切り取った形状としてもよい。この場合においても上述の実施形態と同様に長径a側で剛性が高くなるが、上端の角部がないため実施形態より短径側との剛性の差が小さい。ゆえに溝40の深さの長径a側と短径側との差は、実施形態より小さくてもよい。
【0036】
(2)上述の実施形態では、剛性に対する径の影響を溝の深さにより相殺させる形態について説明したが、剛性に対する径の影響は、弾性体の材質により相殺してもよい。例えば、長径側の材質を、短径側の材質よりヤング率が小さいものを使用することができる。このようにすることにより、楕円形状の弾性体であっても、上述の実施形態と同様に剛性を均一にすることができる。
【0037】
(3)上述の実施形態では、剛性に対する径の影響を溝の深さにより相殺させる形態について説明したが、剛性に対する径の影響は、弾性体の密度により相殺してもよい。例えば、長径側に短径側より密度が小さいものを使用することができる。このようにすることにより、楕円形状の弾性体であっても、上述の実施形態と同様に剛性を均一にすることができる。
【0038】
(4)上述の実施形態において、圧電体13及び弾性体12の外形が楕円形状である例を示したが、これに限らず、例えば、多角形形状として、その形状に合わせて溝の深さや材質を変更してもよい。
【0039】
(5)各実施形態において、移動子が回転駆動される超音波モータを例に挙げて説明したが、これに限らず、移動子が直線方向に駆動されるリニア型の振動アクチュエータに適用してもよい。
【0040】
(6)各実施形態において、超音波領域の振動を用いる超音波モータを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、超音波領域以外の振動を用いる振動アクチュエータに適用してもよい。
【0041】
(7)各実施形態において、超音波モータは、フォーカス動作時にレンズの駆動に用いられる例を示したが、これに限らず、例えば、レンズのズーム動作時の駆動に用いられる超音波モータとしてもよい。
【0042】
(8)各実施形態において、超音波モータは、カメラに用いられる例を示したが、これに限らず、例えば、複写機の駆動部や、自動車のハンドルチルト装置やヘッドレストの駆動部に用いてもよい。
なお、上述の実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0043】
1:カメラ、3:レンズ鏡筒、10:超音波モータ、11:振動子、12:弾性体、12a:櫛歯部、12b:ベース部、13:圧電体、15:移動子、30:溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械変換素子に接触して設けられ、前記電気機械変換素子の駆動により振動波を生じる弾性体と、前記弾性体と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動される相対移動部材と、を備える振動アクチュエータであって、
前記弾性体の前記相対移動部材側は、櫛歯状となるように複数の溝が形成され、
前記相対移動部材の相対移動方向と交差する方向における前記溝の深さは、前記相対移動部材の相対移動方向に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項2】
電気機械変換素子に接触して設けられ、前記電気機械変換素子の駆動により振動波を生じる弾性体と、前記弾性体と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動される相対移動部材と、を備える振動アクチュエータであって、
前記弾性体は、前記相対移動部材側に設けられた櫛歯部と、前記電気機械変換素子側に設けられたベース部と備え、
前記相対移動部材の相対移動方向と交差する方向における前記ベース部の厚みは前記相対移動部材の相対移動方向に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項3】
電気機械変換素子に接触して設けられ、前記電気機械変換素子の駆動により振動波を生じる弾性体と、前記弾性体と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動される相対移動部材と、を備える振動アクチュエータであって、
前記弾性体のヤング率は、前記相対移動部材の相対移動方向に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項4】
電気機械変換素子に接触して設けられ、前記電気機械変換素子の駆動により振動波を生じる弾性体と、前記弾性体と加圧接触し、前記振動波によって前記弾性体に対して相対移動される相対移動部材と、を備える振動アクチュエータであって、
前記弾性体の密度は、前記相対移動部材の相対移動方向に沿って異なっていること、を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動アクチュエータであって、
前記弾性体の、前記相対移動部材の相対移動方向と交差する方向における厚みは、前記相対移動部材の相対移動方向に沿って一定であること、
を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の振動アクチュエータであって、
前記弾性体の、前記相対移動部材の相対移動方向と交差する方向における幅は、前記相対移動部材の相対移動方向に沿って異なること、
を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載の振動アクチュエータであって、
前記弾性体の外形は、楕円形状であること、を特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えるレンズ鏡筒。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えるカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−239780(P2010−239780A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85325(P2009−85325)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】