説明

振動フィーダ装置

【課題】 駆動時に発生する音(振動音)を極力小さくし得るフィーダ装置の提供。
【解決手段】 搬送トラフを支持台に弾性支持手段を介して連結された振動フィーダ装置において、支持手段は、支持台側に設けられてコイルバネの下端部を載置支持する載置部と、搬送トラフの裏面側に設けられてコイルバネの上端部が下方から当接する当接部とを有し、載置部は合成樹脂から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬剤分包装置に付設される振動フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば薬剤分包装置に付設される振動フィーダ装置として、下記特許文献1に示すものがある。これは、搬送トラフ(振動フィーダ)がトラフ支持台に、支持スプリング等を介して連結された構成を有している。また支持スプリングの下端部は、トラフ支持台に設けた下支持部材に載置され、支持スプリングの上端部は、搬送トラフの下面に該下面に設けた上支持部材を介して連結されている。
このようなフィーダ装置において、下支持部材および上支持部材は金属で形成され、支持スプリングも金属で形成されている。
【特許文献1】特開2005−41502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の振動フィーダ装置では、搬送トラフとトラフ支持台とは金属部材で連結されているから、搬送トラフが振動すると、金属部材どうしが細かく接触離間を繰り返すことになり、したがって振動フィーダ装置の駆動時に発生する音が大きかった。
【0004】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、駆動時に発生する音(振動音)を極力小さくし得るフィーダ装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は搬送トラフを支持台に弾性支持手段を介して連結された振動フィーダ装置において、前記支持手段は、支持台側に設けられてコイルバネの下端部を載置支持する載置部と、搬送トラフの裏面側に設けられてコイルバネの上端部が下方から当接する当接部とを有し、前記載置部は合成樹脂から形成されていることを特徴としている。
【0006】
上記構成において、一般に金属に比べて合成樹脂はその弾性が高いから、搬送トラフが振動した場合に合成樹脂の弾性によって該振動が吸収され易く、したがってコイルバネが金属で形成されていたとしても金属と金属との接触による振動音に比べて、搬送トラフの振動時の振動音を小さく抑えることが可能となる。
搬送トラフがピエゾ素子の振動を用いたフィーダである場合では、電磁石の振動を用いた搬送トラフに比べて一般的に大きな振動音が発生するものの、本発明のように、コイルバネがその下端部で接触する載置部を合成樹脂から形成することで、搬送トラフがピエゾ素子の振動を用いたフィーダである場合でも、振動音をできるだけ小さく抑えることが可能になる。
【0007】
本発明の振動フィーダ装置では、当接部の弾性に比べて載置部の弾性が高く設定されていることを特徴としている。
上記構成のように、搬送トラフの振動がコイルバネの下端部側より上端部側の方がより直接的に伝わるものであるから、当接部の弾性に比べて載置部の弾性を高く設定することで、搬送トラフの振動がコイルバネに伝わり易い状態を確保することが可能となる。
【0008】
本発明の振動フィーダ装置では、載置部は合成ゴムから形成されていることを特徴としている。
上記構成のように、載置部を合成ゴムで形成することで、コイルバネからの振動を合成ゴムの弾性によって吸収して、振動音の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
本発明の振動フィーダ装置では、載置部は支持台に載置される大径部と、該大径部に上方へ向けて突出するよう形成されて大径部に比べて小径の小径部からなり、コイルバネの下端部が小径部を外嵌して大径部に載置されていることを特徴としている。
上記構成によれば、コイルバネの下端部における支持が安定する。
【0010】
本発明の振動フィーダ装置は、載置部の小径部を上方ほど小径になるよう形成してその外周面とコイルバネの内周部との間に隙間を設けていることを特徴としている。
上記構成によれば、コイルバネと載置部との接触面積を最下端部ほど大きくすることが可能になるから、コイルバネの振動が一気に吸収されて、したがって搬送トラフの振動を円滑にしつつ振動音の発生が抑えられる。
【0011】
本発明の振動フィーダ装置では、当接部が合成樹脂から形成されていることを特徴としている。
当接部を合成樹脂から形成することにより、コイルバネと当接部とが接触する部分で発生する振動音を小さく抑えることが可能になる。
【0012】
本発明の振動フィーダ装置では、当接部は搬送トラフの裏面に取付けられる大径部と、該大径部から下方へ向けて突出する上下方向で同一断面の柱形状を有する小径部とから形成され、該小径部をコイルバネの上端部が外嵌して小径部の外周面とコイルバネの内周部とを接触させていることを特徴としている。
上記構成のように、搬送トラフの振動が直接的に伝わり易い部位にあるコイルバネの上端部で、搬送トラフの裏面に設けた当接部にコイルバネを接触させているから、確実に搬送トラフの振動をコイルバネに伝達することが可能となる。
【0013】
本発明の振動フィーダ装置では、コイルバネの上端面および下端面を平坦面としてそれぞれ当接部および載置部に当接させていることを特徴としている。
コイルバネの上端面および下端面を平坦面とすることで、コイルバネを構成する線材をそのまま用いる場合に比べて当接部および載置部に接触する面積が大きくなるから、コイルバネの上端部では確実に搬送トラフの振動が伝わるとともに、コイルバネの下端部では確実に項いるバネの振動が吸収されることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の振動フィーダ装置によれば、金属に比べて合成樹脂はその弾性が高いから、搬送トラフが振動した場合に合成樹脂の弾性によって該振動が吸収され易く、したがってコイルバネが金属で形成されていたとしても金属と金属との接触による振動音に比べて、搬送トラフの振動時の振動音を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る振動フィーダの一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
図1に、本実施形態における振動フィーダ装置2を備えた分包機(以下、分包機の一例として薬剤分包機を示す)1が示されている。該薬剤分包機1は、上下両方向に開口したホッパー3と、ホッパー3の下側の開口に上流端部が位置するように配置される振動フィーダ装置2と、振動フィーダ装置2の下流端部の下側に外周縁部が位置するように配置される回転テーブル4と、回転テーブル4に対して所定の位置で粉粒体(散薬)の切り出しを行う切り出し機構(図示省略)と、回転テーブル4の下側に配置される包装機構(図示省略)とを備える。
【0016】
薬剤分包機1は、ホッパー3の上側の開口から投入した粉粒体を下側の開口から排出して振動フィーダ装置2に供給し、振動フィーダ装置2の振動によって振動フィーダ装置2上で粉粒体を均一にならしつつ上流側から下流側に搬送し、振動フィーダ装置2の下流端部から均一にならした粉粒体を回転テーブル4上に供給して、切り出し機構にて所定量の粉粒体を切り出して粉粒体を小分けにし、包装機構にて小分けにした粉粒体をそれぞれ包装するものである。
【0017】
ホッパー3は、長方形の漏斗状に形成されており、上端開口から散薬等の粉粒体が投入され、下端開口から粉粒体が排出されるように構成されている。
【0018】
回転テーブル4は、振動フィーダ装置2の下流側下方にその外周縁部が位置するように配置されている。回転テーブル4には、その外周縁部に環状凹溝41が形成され、この環状凹溝41内に振動フィーダ装置2から粉粒体としての散薬が供給される。
【0019】
切り出し機構は、回転テーブル4の環状凹溝41に対向する所定位置に、回転テーブル4の回転軌道に交差するように配置されている。
【0020】
振動フィーダ装置2は、図2に示すように、振動によって粉粒体を搬送する搬送トラフ5と、コイル61を有し両端6211,6211が共に搬送方向上流側になるように配置される電磁石6と、一方の磁極が電磁石6の一端に対向するように配置される第1永久磁石7と、第1永久磁石7の一方の磁極と反対の磁極が電磁石6の他端に対向するように配置される第2永久磁石8とを備え、第1永久磁石7と第2永久磁石8とを搬送トラフ5に固定する第1固定部9と、電磁石6を固定すると共に保持部材11を介して搬送トラフ5を振動可能に保持する第2固定部10とを備える。
【0021】
搬送トラフ5は、搬送方向に伸びる長尺溝状の形状であり、上流側の粉粒体を振動によって下流側へ搬送し、回転テーブル4に供給する。具体的には、搬送トラフ5は、溝の底壁51の下流端部が開口しており、底壁51の上流側端部の上面にホッパー3を介して供給された粉粒体を搬送方向に均一にならしながら下流側へ搬送し、下流端部の開口から粉粒体を下側の回転テーブル4へ供給する。尚、本実施形態では、搬送トラフ5は、その底壁51の上面が略水平になるように配置しているが、底壁51の上面を搬送方向上流側から搬送方向下流側へ向けて傾斜するように設けてもよい。
【0022】
また、搬送トラフ5は、溝状の嵌合部52を備えている。具体的には、嵌合部52は、下方へ向けて開口した溝形状であり、底壁51の開口の上流側から上流端部にまで亘るように設けられている。
【0023】
第1固定部9は、搬送方向に伸びる第1プレート91と断面略L字状の第1ブランケット92とを備え、搬送トラフ5の下側に配置されて搬送トラフ5に固定されている。具体的には、第1プレート91は、その厚み方向が上下方向で、搬送方向に伸びる板状であり、その幅(左右方向の長さ)が嵌合部52の溝幅にほぼ等しくなっている。また、第1プレート91の搬送方向の両端面911,912は、搬送方向に対し上流側に傾きを有した状態で略平行となっている。つまり、第1プレート91の搬送方向両端面911,912は、下側ほど搬送方向下流側となるように傾斜しており、その傾斜角度は、搬送方向上流側の端面911と下流側の端面912とでほぼ等しい。
【0024】
第1ブランケット92は、その断面形状が搬送方向下流側に伸びると共に下方へ伸びる略L字状であり、その長さが第1プレート91の幅とほぼ等しい長さとなっている。また、下方へ伸びる固定片921には、その下流側の面全域に薄板の鉄板93が貼り付けられている。第1ブランケット92は、固定片921が下方へ向けて突出するように第1プレート91の下面に固定されている。
【0025】
このような第1固定部9は、第1プレート91が嵌合部52の溝に嵌め込まれて搬送トラフ5に固定されることによって、搬送トラフ5に固定されている。尚、第1プレート91と嵌合部52の溝の底面(上面)との間には隙間が形成されている。
【0026】
第1永久磁石7と第2永久磁石8とは、第1固定部9を介して搬送トラフ5に固定されている。具体的には、第1永久磁石7と第2永久磁石8とは、鉄板93の下流側の面に上下方向に並べて固定されることによって、搬送トラフ5に固定されている。そして、第1永久磁石7と第2永久磁石8とは、それぞれの下流側に面する磁極が互いに反対の磁極となるように配置されている。例えば、第1永久磁石7のN極が下流側に面して配置されている場合には、第2永久磁石8のS極が下流側に面して配置されている。尚、永久磁石としては、特に限定されるものではないが、磁力が強いものが好ましい。
【0027】
第2固定部10は、搬送方向に伸びる第2プレート101と断面略L字状の第2ブランケット102とを備え、搬送トラフ5の下側に位置して保持部材11を介して搬送トラフ5を振動可能に保持している。具体的には、第2プレート101は、その厚み方向が上下方向で、搬送方向に伸びる板状である。また、第2プレート101の搬送方向両端面1011,1012は、搬送方向に対し上流側に傾きを有した状態で略平行となっている。つまり、第2プレート101の搬送方向両端面1011,1012は、下側ほど搬送方向下流側となるように傾斜しており、その傾斜角度は、搬送方向上流側の端面1011と下流側の端面1012とでほぼ等しく、第1プレート91の搬送方向両端面911,912の傾斜角とほぼ等しくなっている。
【0028】
第2ブランケット102は、その断面形状が搬送方向下流側に伸びると共に上方へ伸びる略L字状であり、その長さが第2プレート101の幅とほぼ等しい長さとなっている。第2ブランケット102は、固定片1021が上方へ突出するように第2プレート101の上面に固定されている。
【0029】
電磁石6は、コイル61とコイル61の内部に挿通される芯体62とを備え、その両端6211,6211が共に搬送方向上流側になるように配置されている。具体的には、電磁石6は、芯体62が一対の直線部621と直線部621の基端部同士を連結し軸線が曲線状である連結部622とで形成される略U字状に形成され、コイル61がその軸線が直線状である略筒状に形成されて構成されている。電磁石6は、コイル61が芯体62の直線部621分に設けられており、芯体62がその両直線部621が上下方向に並んで各先端6211,6211が搬送方向上流側で連結部622が搬送方向下流側となるように、直線部621の先端部が第2ブランケット102の固定片1021に固定されることによって、第2固定部10に固定されている。具体的には、電磁石6は、芯体62の一方の直線部621のみがコイル61の内部に挿通されて構成されており、芯体62の両端6211,6211が上下方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、芯体62の下側の直線部621のみがコイル61の内部に挿通されている。尚、上側の直線部621のみがコイル61に挿通されてもよい。また、芯体62の材質としては、鉄を用いることもできるが、例えば、珪素鋼やパーマロイなどの透磁性に優れたものを用いるのが好ましい。
【0030】
そして、第2固定部10は、保持部材11を介して搬送トラフ5を保持している。具体的には、第2固定部10は、第2プレート101が第1プレート91の下方に離間して搬送方向に沿って平行になると共に、その搬送方向両端面1011,1012が第1プレート91の搬送方向両端面911,912とそれぞれ面一となるように配置され、第1プレート91の搬送方向上流側の端面911及び第2プレート101の搬送方向上流側の端面1011と、第1プレート91の搬送方向下流側の端面912及び第2プレート101の搬送方向下流側の端面1012とをそれぞれ保持部材11にて連結することによって、搬送トラフ5を搬送方向に振動可能に保持している。そして、第1プレート91に固定されている第1ブランケット92と第2プレート101に固定されている第2ブランケット102とは、第1ブランケット92が第2ブランケット102の上流側となり、第1ブランケット92の固定片921と第2ブランケット102の固定片1021とが対向する配置となっている。このような配置とすることによって、第1ブランケット92の固定片921に固定されている第1永久磁石7と第2永久磁石8とが第2ブランケット102の固定片1021に固定されている電磁石6の両端6211,6211にそれぞれ面することとなる。即ち、芯体62の上側の直線部621の先端6211に上側の第1永久磁石7が面し、下側の直線部621の先端6211に下側の第2永久磁石8が面する配置となる。
【0031】
尚、保持部材11は、搬送トラフ5を搬送方向に振動可能に保持するものであり、第2固定部10に取り付けられて搬送トラフ5を保持している。具体的には、保持部材11は、第2固定部10の上流側と下流側とに一対設けられており、例えば、薄板状の板ばねである。
【0032】
このような構成の振動フィーダ装置2は、図1に示すように、支持部材13を介して振動可能に支持されている。具体的には、振動フィーダ装置2は、第2固定部10にカバー部材12が取付けられ、このカバー部材12に支持部材13を取付け、この支持部材13を支持台14に固定することによって、薬剤分包機1に振動可能に支持されている。
【0033】
支持部材13は、弾性支持手段を構成するコイルバネであり、軸線を上下方向にしてその上端部がカバー部材12に下端部が支持台14にそれぞれ固定されている。このコイルバネは金属により形成されている。
なお、支持部材13を設けず、カバー部材12或いは第2固定部10を支持台14に直接固定してもよい。但し、支持部材13を設けることにより、振動フィーダ装置2の振動系としての固有振動数を小さくすることができ、共振を起こしやすくすることができるので好ましい。
【0034】
図3は、図1の概念図で要部を拡大した正面図である。図1および図3に示すように、弾性支持手段は、支持台14側に設けられて支持部材13の下端部13aを載置支持する載置部(以下「載置部材」という)30と、搬送トラフ5の裏面側に設けられて支持部材13の上端部13bが下方から当接する当接部(以下、「当接部材」という)31とを有し、載置部材30および当接部材31は合成樹脂から形成されている。
【0035】
当接部材31の弾性に比べて載置部材30の弾性が高く設定されている。換言すれば、当接部材31の剛性に比べて載置部材30の剛性が低く設定されている。さらに具体的に、載置部材30は合成ゴムから形成されている。当接部材31は合成ゴムに比べて硬質の合成樹脂から形成されている。載置部材30は支持台14に載置される大径部32と、大径部32に上方へ向けて突出するよう形成されて大径部32に比べて小径の小径部34からなる。
支持部材13の下端部13aが小径部34を外嵌して大径部32の環状上面に載置されている。
【0036】
さらに、載置部材30の小径部34は上方ほど小径になるよう円錐台形状に形成してその外周面36と支持部材13の内周部(内径部)との間に隙間38を設けている。
【0037】
当接部材31は搬送トラフ5の裏面に取付けられる大径部33と、大径部33から下方へ向けて突出する上下方向で同一断面の柱形状を有する小径部35とから形成されている。小径部35を支持部材13の上端部13bが外嵌して小径部35の外周面37と支持部材13の内周部とを接触させるよう、両者を嵌合して組付けている。
【0038】
支持部材13の上端面および下端面を平坦面とされており、支持部材13の上端面および下端面それぞれを、当接部材31および載置部材30の大径部32,33の環状平面に、平面どうしで当接させている。
【0039】
上記弾性支持手段の構成において、一般に金属に比べて合成樹脂はその弾性が高い(剛性が低い)から、搬送トラフ5が振動した場合に合成樹脂の弾性によって該振動が吸収され易くなる。したがって支持部材13が金属で形成されていたとしても、従来は支持部材13と載置部材30との接触が金属と金属との接触であったことによって発生する振動音に比べて、搬送トラフ5の振動時の振動音を小さく抑えることが可能となる。特に、載置部材30を合成ゴムで形成していることで、支持部材13からの振動が合成ゴムの弾性によって充分に吸収されるから、搬送トラフ5の振動に伴って発生する振動音を小さく抑えることができる。
【0040】
搬送トラフ5が電磁フィーダである場合では、例えばピエゾ素子を用いて搬送トラフ5を振動させる場合に比べて、一般的に大きな振動音が発生するものである。しかしながら、この実施形態に示すように、支持部材13がその下端部13aで接触する載置部材30を合成樹脂から形成しているから、搬送トラフ5が電磁フィーダである場合でも、振動音を小さく抑えることが可能になる。
【0041】
また、搬送トラフ5の振動は、支持部材13の上端部13bには直接的に伝えられ、下端部13aにはなるべく伝えられないようにすることが搬送トラフ5を円滑に振動させるという点において好ましい。そこでこの実施形態では、当接部材31と載置部材30との関係を、当接部材31の弾性に比べて載置部材30の弾性を高く設定し、しかも弾性の低い(剛性の高い)当接部材31に支持部材13の上端部13bを外嵌させて接触させているから、搬送トラフ5の振動を、支持部材13の上端部13bには直接的に伝え、下端部13aにはなるべく伝えられないようにすることができ、したがって搬送トラフ5を円滑に振動させることができる。
【0042】
また、支持部材13の上端面および下端面を平坦面とされており、支持部材13の上端面および下端面それぞれを、当接部材31および載置部材30の大径部32,33の環状平面に、平面どうしで当接させているから支持部材13の支持を確実に行うことができる。
なお、載置部材30は例えばフッ素ゴムから形成されており、当接部材31はジュラコン等の合成樹脂から形成されている。
【0043】
ここで図4〜図9に、搬送トラフト5の振動のレベル(1〜12レベル)と該レベル毎に発生するデシベル値(振動音)との関係を確かめた実験設備または実験結果を示す。
この実験は、搬送トラフト5の駆動装置については、本実施形態の電磁フィーダで、上記支持機構を有する振動フィーダ装置(「SF」と記している)と、ピエゾ素子を用いて搬送トラフト5を振動させ、従来の支持機構を有する振動フィーダ装置(「PF」と記している)との比較で実験を行ったものである。
【0044】
図4(a)は上記実験を行った室内の状況を示し、部屋Rの中心に、机Dに振動フィーダ装置を静置し、平面視して振動フィーダの中心から水平方向に距離L:1.0mで基準角度0°、この基準角度0°位置から90°、180°、270°の各位置に騒音計50を配置してレベルを設定し、該レベル毎のデシベル値を計測した(図5〜図8参照)。また、振動フィーダ装置の上下方向の中心からその直上高さH:1.0mの位置に騒音計50を配置し、レベルを設定し、該レベル毎のデシベル値を計測した(図9参照)。
【0045】
これら図5〜図9に示すように、何れのレベルにおいてもSFの方がPFに比べて極めてデシベル値(振動音)が低いことが明らかになった。つまり、電磁石の振動を用いたフィーダに比べて振動音の大きなピエゾ素子の振動を用いたフィーダであっても、本発明の実施形態における支持機構によって搬送トラフ5を支持することにより、振動音の発生を少なくできる。
【0046】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、載置部材30の大径部32の環状上面に下方へ向けて凹となる環状の溝を形成し、この溝に支持部材13の下端部13aを挿入するようにすることも可能である。このようにすることで、支持部材13の下端部13aが載置部材30に確実に支持され、搬送トラフ5の振動をいっそう円滑に各自に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態における振動フィーダ装置を備えた分包機の正面図
【図2】同じく振動フィーダ装置の正面図
【図3】同じく図1の概念図で要部を拡大した正面図
【図4】同じく図4(a)は実験を行った室内の状況を示した平面図、(b)は実験状態を示す正面図
【図5】同じく搬送トラフトの振動のレベルとレベル毎に発生するデシベル値との関係を確かめた実験結果を示すグラフ図(角度0°)
【図6】同じく搬送トラフトの振動のレベルとレベル毎に発生するデシベル値との関係を確かめた実験結果を示すグラフ図(角度90°)
【図7】同じく搬送トラフトの振動のレベルとレベル毎に発生するデシベル値との関係を確かめた実験結果を示すグラフ図(角度180°)
【図8】同じく搬送トラフトの振動のレベルとレベル毎に発生するデシベル値との関係を確かめた実験結果を示すグラフ図(角度270°)
【図9】同じく搬送トラフトの振動のレベルとレベル毎に発生するデシベル値との関係を確かめた実験結果を示すグラフ図(直上)
【符号の説明】
【0048】
1…薬剤分包機、2…振動フィーダ装置、3…ホッパー、5…搬送トラフ、6…電磁石、7…永久磁石、13… 支持部材、13a…下端部、13b…上端部、14… 支持台、30…載置部材、31…当接部材、32,33…大径部、34,35…小径部、36,37…外周面、38…隙間、50…騒音計、R…部屋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送トラフを支持台に弾性支持手段を介して連結された振動フィーダ装置において、前記支持手段は、支持台側に設けられてコイルバネの下端部を載置支持する載置部と、搬送トラフの裏面側に設けられてコイルバネの上端部が下方から当接する当接部とを有し、前記載置部は合成樹脂から形成されていることを特徴とする振動フィーダ装置。
【請求項2】
当接部の弾性に比べて載置部の弾性が高く設定されていることを特徴とする請求項1記載の振動フィーダ装置。
【請求項3】
載置部は合成ゴムから形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の振動フィーダ装置。
【請求項4】
載置部は支持台に載置される大径部と、該大径部に上方へ向けて突出するよう形成されて大径部に比べて小径の小径部からなり、コイルバネの下端部が小径部を外嵌して大径部に載置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の振動フィーダ装置。
【請求項5】
載置部の小径部を上方ほど小径になるよう形成してその外周面とコイルバネの内周部との間に隙間を設けていることを特徴とする請求項4記載の振動フィーダ装置。
【請求項6】
当接部が合成樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の振動フィーダ装置。
【請求項7】
当接部は搬送トラフの裏面に取付けられる大径部と、該大径部から下方へ向けて突出する上下方向で同一断面の柱形状を有する小径部とから形成され、該小径部をコイルバネの上端部が外嵌して小径部の外周面とコイルバネの内周部とを接触させていることを特徴とする請求項6記載の振動フィーダ装置。
【請求項8】
コイルバネの上端面および下端面を平坦面としてそれぞれ当接部および載置部に当接させていることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の振動フィーダ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−156076(P2008−156076A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348062(P2006−348062)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】