説明

振動モーターの固定方法、及び振動発生装置

【課題】煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に基板又は筐体に振動モーターを固定する方法、及びこの方法によって得ることのできる薄型の振動発生装置を提供する。
【解決手段】回転部に偏心分銅122を取り付け、必要に応じて振動を発生させる振動モーター12において、基板11又は筐体と振動モーター12とに接触するようにシート状の熱可塑性又は熱硬化性の樹脂材料13を配置し、前記基板11又は前記筐体と前記振動モーター12とを前記樹脂材料13で固定することにより薄型の振動発生装置10を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モーターの固定方法、及び振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、携帯電話装置にあっては、振動モーターの回転部に偏心錘を取り付けた振動発生体を付加し、必要に応じて着信を振動により報知するようにしていた。またゲ−ム機器の中にはゲームの状況に合わせて、機器内の振動モーターにより発生させた振動を操作者に伝えて遊技性を高めるようにしているものがある。
【0003】
一方、上述のような振動発生装置においては、不用意な落下事故などを想定し、振動モーターはシリコンゴム等の弾性体を介して器体ケース内に保持し、衝撃をこの弾性体にて吸収するようにして、偏心錘の質量付加などによる回転部の軸部変形、破損を防止するようにしていた(特許文献1、2参照)。また、弾性シートを介して、一枚の金属薄膜から形成されたホルダーで前記モーター本体を固定する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、前者のように弾性体を介して振動発生体を器体ケースに取り付けた場合、振動発生装置の薄型化を図ることができなかった。また、後者の場合は、金属板にまず複数の切り込みを入れ、くし歯状の当接部を形成後、モーターホルダーの形状に曲げ加工しなければならない等の煩雑な工程を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−145049号
【特許文献2】特開平8−140301号
【特許文献3】特開2005−198366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に基板又は筐体に振動モーターを固定する方法、及びこの方法によって得ることのできる薄型の振動発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、
基板又は筐体に振動モーターを固定する方法であって、
前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとに接触するようにしてシート状の熱可塑性又は熱硬化性の樹脂材料を配置し、前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとを前記樹脂材料で固定することを特徴とする、振動モーターの固定方法に関する。
【0008】
本発明によれば、基板又は筐体と振動モーターとを、それぞれに接触するようにして配置した熱可塑性又は熱硬化性の樹脂材料で固定するようにしている。このような樹脂材料は、ゴム等の弾性体に比較して薄く、必要に応じて、基板又は筐体の特定箇所と振動モーターの特定箇所とを接触させれば振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。したがって、振動モーターを配置する筐体内に配置した弾性体を介して振動モーターを固定するような場合、及び金属ホルダーで振動モーターを固定するような場合に比較して、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。
【0009】
また、弾性体に比較して上記樹脂材料は薄く、必要に応じ、基板又は筐体の特定箇所と振動モーターの特定箇所とを接触させれば足りるので、振動モーターを固定させるのに使用する樹脂材料の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置を薄型化することができる。
【0010】
なお、本発明の一例において、樹脂シートは熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、樹脂シートを加熱軟化又は加熱溶融させることによって得た硬化体によって、基板又は筐体と振動モーターとを強固に接着固定することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上より、本発明によれば、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に基板又は筐体に振動モーターを固定する方法、及びこの方法によって得ることのできる薄型の振動発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための正面図である。
【図2】第1の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための側面図である。
【図3】同じく、第1の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための正面図である。
【図4】第1の実施形態における振動モーターの固定方法の変形例を説明するための正面図である。
【図5】第1の実施形態における振動モーターの固定方法の変形例を説明するための側面図である。
【図6】同じく、第1の実施形態における振動モーターの固定方法の変形例を説明するための正面図である。
【図7】第1の実施形態における振動モーターの固定方法における他の変形例を説明するための正面図である。
【図8】第1の実施形態における振動モーターの固定方法における他の変形例を説明するための側面図である。
【図9】同じく、第1の実施形態における振動モーターの固定方法における他の変形例を説明するための正面図である。
【図10】第1の実施形態における振動モーターの固定方法におけるその他の変形例を説明するための正面図である。
【図11】第1の実施形態における振動モーターの固定方法におけるその他の変形例を説明するための側面図である。
【図12】同じく、第1の実施形態における振動モーターの固定方法におけるその他の変形例を説明するための正面図である。
【図13】第2の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための正面図である。
【図14】第2の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための側面図である。
【図15】同じく、第1の実施形態における振動モーターの固定方法を説明するための正面図である。
【図16】第2の実施形態における振動モーターの固定方法の変形例を説明するための正面図である。
【図17】同じく、第2の実施形態における振動モーターの固定方法の変形例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1〜図3は、本実施形態における振動モーターの接続方法を説明するための工程図である。図1及び図3は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図であり、図2は、図1に示す振動モーターの接続方法に関する側面図である。
【0015】
最初に、図1及び図2に示すように、基板又は筐体11及び振動モーター12を準備する。基板又は筐体11は、例えばガラス、セラミック、樹脂(BT、PET等)、ガラスエポキシ(FR−4、FR−5)、金属酸化物を表面に被覆した金属板等から構成することができる。なお、符号11が筐体を示す場合、本実施形態では、筐体の一面部分を示すものである。
【0016】
振動モーター12は、径方向寸法に対して長手方向寸法が大なるシリンダータイプのモーター(径:4.0mm、長手方向長さ:11.1mm)を用いたものであり、モーター本体120の一端部に出力軸121が突出しており、その先端部に偏心分銅122が取り付けられている。偏心分銅122は、タングステンのような比重の大きな材料からなり、この分銅122が回転することにより、振動モーター12が取り付けられた基板11又は筐体を介して装置全体に振動を与えるように構成されている。
【0017】
また、モーター本体120に電流を供給するための給電部123が、モーター本体120の、出力軸121と相対向する側に設けられており、基板又は筐体11のパッド111に対してリード線124を介して電気的に接続されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、モーター本体120は、所定の長さに切断した樹脂シート13で覆われるとともに、樹脂シート13の端部が基板又は筐体11に接触固定され、振動発生装置10を構成している。樹脂シート13は、熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シートを用いることができる。なお、樹脂シート13の基板又は筐体11に対する接触固定は、所定の接着剤を介して行うこともできるし、樹脂シート13を部分的に溶融させ、固着するようにして行うこともできる。
【0019】
熱硬化性樹脂シートとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂系等のものを用いることができる。熱可塑性樹脂シートとしてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシリコーン樹脂系等を使用できる。
【0020】
本実施形態によれば、基板又は筐体11とモーター本体120、すなわち振動モーター12とを、それぞれに接触するようにして配置した樹脂シート13で固定するようにして、振動発生装置10を構成するようにしている。樹脂シート13は、ゴム等の弾性体に比較して薄く、図1及び図2に示すように、基板又は筐体11の一部とモーター本体120の外周面の一部とを接触させれば、振動モーター12を基板又は筐体11に固定することができる。したがって、振動モーターを配置する筐体内に配置した弾性体を介して振動モーターを固定するような場合、及び金属ホルダーで振動モーターを固定するような場合に比較して、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。
【0021】
また、弾性体に比較して樹脂シート13は薄く、上述のように、樹脂シート13は、基板又は筐体11の一部とモーター本体120の一部とを接触させれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0022】
なお、本実施形態において、樹脂シート13は熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、図3に示すように、樹脂シート13を加熱することにより、熱硬化性樹脂シートは軟化して基板又は筐体11の一部とモーター本体120の一部に跨った状態のまま軟化溶融し、基板又は筐体11の一部とモーター本体120との接触部がそれぞれの表面に沿って広がり、この状態で硬化して図示のような硬化体15を得ることができる。したがって、基板又は筐体11と振動モーター12とを強固に接着固定することができる。
【0023】
また、特に樹脂シート13を熱硬化性樹脂から構成する場合、樹脂シート13の加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであるようなものが好ましい。弾性率が1.0GPa未満であると強度不足となる傾向を示し、30.0GPaを超えると、樹脂シート13の剛性が増大し、熱履歴を受けた際などに剥離等が発生しやすくなる。
【0024】
上述のような要件を満足する熱硬化性樹脂としては、例えば(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、(D)無機フィラー及び(E)難燃剤を含み、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)が10/90〜30/70であり、(D)無機フィラーの含有量が全体の10質量%〜80質量%であるような熱硬化性樹脂から構成することができる。
【0025】
(A)成分として用いられる液状ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状のビスフェノール型化合物であればよく、特に制限はないが、例えばビスフェノールA型及びビスフェノールF型が好適である。このうち、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられ、その具体例としては、ダウケミカル社製の「DER383J」、三菱化学社製の「807」(エポキシ当量170)、三井化学社製の「R140P」(エポキシ当量188)などが使用される。
【0026】
なお、本実施形態において、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、25℃において液状を呈するビスフェノール型エポキシ樹脂を指す。
【0027】
(B)成分として用いられる軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂の混合物やジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の混合物などが挙げられる。軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬社製の「NC3000(軟化点57℃)」、「NC3000H(軟化点70℃)」、東都化成社製の「YDCN704(軟化点90℃)」などが好ましく使用される。
【0028】
上記熱硬化性樹脂組成物において、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)は、10/90〜30/70の範囲にあることを要する。液状エポキシ樹脂が、上記範囲より少ないか又は固形状エポキシ樹脂の軟化点が70℃を超えると、上記熱硬化性樹脂組成物から樹脂シート13を製造した際に、割れまたは欠けが発生し好ましくない。
【0029】
また、液状エポキシ樹脂が上記範囲より多いか又は固形状エポキシ樹脂の軟化点が低すぎると、上記熱硬化性樹脂組成物から、樹脂シート13を製造するのが困難となる。
【0030】
なお、上述した作用効果をより顕著に奏するようにするためには、質量比(A)/(B)は15/85〜25/75の範囲であることがより好ましく、また固形状エポキシ樹脂の軟化点の下限は、通常40℃程度であることが好ましい。
【0031】
(C)成分として用いられるエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばアミン系、フェノール系、酸無水物系などが挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミドや、m−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン等が好ましく挙げられる。
【0032】
なお、上記熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ樹脂用硬化促進剤を含有させることができる。このエポキシ樹脂用硬化促進剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア等のウレア類などを例示することができる。
【0033】
(D)成分として用いられる無機フィラーとしては特に制限はなく、例えば溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ類;アルミナなど、通常用いられているものを使用することができる他、難燃効果も有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムも用いることができる。水酸化アルミニウム化合物としては、例えば昭和電工社製の「H42M」を好ましく使用することができる。
【0034】
無機フィラーの質量平均粒子径は、製造時の作業性および充填効率の観点から、1〜30μmの範囲にあることが好ましい。なお、この質量平均粒子径は、レーザ回折散乱方式(たとえば、島津製作所製、装置名:SALD-3100)により測定された値である。
【0035】
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム化合物や球状シリカが好ましく、前者のものは、例えば、昭和電工社製の「H42M」が好ましく、後者のものは、例えば、電気化学工業社製の「FB−959(質量平均粒子径:25μm)」などが好適である。
【0036】
無機フィラーの含有量は、上記熱硬化性樹脂組成物の全量に対し、10〜80質量%であることを要する。この含有量が10質量%未満では、上記熱硬化性樹脂組成物から樹脂シート13を製造するに際し、溶融した樹脂の流動性が高くなって、硬化物15に反りや、ねじれが発生しやすい。一方80質量%を超えると、樹脂シート13に割れや欠けが発生し、さらには溶融時の流動性が低下して、樹脂シート13の接着性の低下等の問題が起きやすくなるため好ましくない。
【0037】
上記熱硬化性樹脂組成物から樹脂シート13を製造する場合は、例えば以下のようにして行う。すなわち、熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分を、ニーダー、二本ロール、連続混練装置などで50〜110℃程度の混練温度で十分混練した後、得られた上記熱硬化性樹脂組成物を冷却し、成形機にて50〜100℃程度の温度、圧力0.5〜1.5MPaの条件でプレスして、樹脂シート13を製造する。
【0038】
なお、上述した熱硬化性樹脂組成物から樹脂シート13を製造した場合、樹脂シート13の厚さは、用途にもよるが、例えば0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.2mm〜1.0mmである。
【0039】
また、上述した熱硬化性樹脂組成物から樹脂シート13を製造し、これを加熱硬化させて硬化物15を製造する場合、例えば、100℃の温度で120分間あるいは140℃の温度で10分間などの条件を採用することによって行うことができる。
【0040】
なお、上述した熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、基板又は筐体11と振動モーター12とを強固に接着固定することができる。
【0041】
図4〜図6は、図1〜図3に関する実施形態の、振動モーターの接続方法の変形例を説明するための工程図である。図4及び図6は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図であり、図5は、図4に示す振動モーターの接続方法に関する側面図である。
【0042】
本変形例においては、振動モーター12が給電部123等を有しない代わりに、モーター本体120の下部に接続端子125を有し、基板又は筐体11の表面に形成された給電部111と電気的に接続されている点で異なり、振動モーター12の樹脂シート13による固定は、図4及び図5に示すように、上記実施形態と同様に、モーター本体120は、所定の長さに切断した樹脂シート13で覆われるとともに、樹脂シート13の端部が基板又は筐体11に接触固定されている。すなわち、基板又は筐体11とモーター本体120、すなわち振動モーター12とを、それぞれに接触するようにして配置した樹脂シート13で固定し、振動発生装置10を構成するようにしている。
【0043】
なお、樹脂シート13の基板又は筐体11に対する接触固定は、所定の接着剤を介して行うこともできるし、樹脂シート13の基板又は筐体11との接触部を部分的に溶融させ、固着するようにして行うこともできる。
【0044】
したがって、本変形例においても、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。樹脂シート13は薄く、樹脂シート13は、基板又は筐体11の一部とモーター本体120の一部とを接触させれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0045】
なお、本変形例においても、樹脂シート13は熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、図6に示すように、樹脂シート13を加熱硬化させることによって硬化体15を得ることができるので、基板又は筐体11と振動モーター12とを強固に接着固定することができる。
【0046】
また、樹脂シート13を熱硬化性樹脂から構成する場合、樹脂シート13の加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであるようなものが好ましいなど、その他の好ましい諸条件は上記実施形態と同様である。
【0047】
図7〜図9は、図1〜図3に関する実施形態の、振動モーターの接続方法の他の変形例を説明するための工程図である。図7及び図9は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図であり、図8は、図7に示す振動モーターの接続方法に関する側面図である。
【0048】
本変形例においては、振動モーター12が、径方向の寸法が長手方向の寸法よりも大きくなっているコインタイプのモーターとなっている点で上記実施形態と相違し、樹脂シートを用いた具体的な接続方法は実施形態と同様である。
【0049】
図7及び図8に示すように、振動モーター12のモーター本体120の上面に給電部123が設けられ、この給電部123と基板11のパッド111とがリード線124によって電気的に接続されている。
【0050】
振動モーター12の樹脂シート13による固定は、図7及び図8に示すように、モーター本体120の上面端部に、所定の長さに切断した樹脂シート13が接触固定されているともに、樹脂シート13の端部が基板又は筐体11に接触固定されている。すなわち、基板又は筐体11とモーター本体120、すなわち振動モーター12とを、それぞれに接触するようにして配置した樹脂シート13で固定し、振動発生装置10を構成するようにしている。
【0051】
なお、樹脂シート13の、モーター本体120の上面、及び基板又は筐体11に対する接触固定は、所定の接着剤を介して行うこともできるし、樹脂シート13を部分的に溶解させ、固着するようにして行うこともできる。
【0052】
したがって、本変形例においても、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。樹脂シート13は薄く、樹脂シート13は、基板又は筐体11の一部とモーター本体120の一部とを接触させれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0053】
なお、本変形例においても、樹脂シート13は熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、図9に示すように、樹脂シート13を加熱硬化させることによって硬化体15を得ることができるので、基板又は筐体11と振動モーター12とを強固に接着固定することができる。
【0054】
また、樹脂シート13を熱硬化性樹脂から構成する場合、樹脂シート13の加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであるようなものが好ましいなど、その他の好ましい諸条件は上記実施形態と同様である。
【0055】
図10〜図12は、図1〜図3に関する実施形態の、振動モーターの接続方法のその他の変形例を説明するための工程図である。図10及び図12は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図であり、図11は、図10に示す振動モーターの接続方法に関する側面図である。
【0056】
本変形例においては、振動モーター12が、径方向の寸法が長手方向の寸法よりも大きくなっているコインタイプのモーターとなっており、モーター本体120の下部に接続端子125を有し、基板又は筐体11の表面に形成された給電部111と電気的に接続されている点で異なり、振動モーター12の樹脂シート13による固定は、図10及び図11に示すように、図7〜図9に関する変形例と同様である。
【0057】
したがって、本変形例においても、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。樹脂シート13は薄く、樹脂シート13は、基板又は筐体11の一部とモーター本体120の一部とを接触させれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0058】
なお、本変形例においても、樹脂シート13は熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、図12に示すように、樹脂シート13を加熱硬化させることによって硬化体15を得ることができるので、基板又は筐体11と振動モーター12とを強固に接着固定することができる。
【0059】
また、樹脂シート13を熱硬化性樹脂から構成する場合、樹脂シート13の加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであるようなものが好ましいなど、その他の好ましい諸条件は上記実施形態と同様である。
【0060】
(第2の実施形態)
図13〜図15は、本実施形態における振動モーターの接続方法を説明するための工程図である。図13及び図15は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図であり、図14は、図13に示す振動モーターの接続方法に関する側面図である。なお、第1の実施形態と類似あるいは同一の構成要素に関しては同一の参照数字を用いて表している。
【0061】
最初に、図13及び図14に示すように、基板又は筐体11及び振動モーター12を準備する。基板又は筐体11は、第1の実施形態同様に、例えばガラス、セラミック、樹脂(BT、PET等)、ガラスエポキシ(FR−4、FR−5)、金属酸化物を表面に被覆した金属板等から構成することができる。なお、符号11が筐体を示す場合、本実施形態では、筐体の一面部分を示すものである。
【0062】
振動モーター12も、第1の実施形態同様に、径方向寸法に対して長手方向寸法が大なるシリンダータイプのモーター(径:4.0mm、長手方向長さ:11.1mm)を用いたものであり、モーター本体120の一端部に出力軸121が突出しており、その先端部に偏心分銅122が取り付けられている。偏心分銅122は、タングステンのような比重の大きな材料からなり、この分銅122が回転することにより、振動モーター12が取り付けられた基板11又は筐体を介して装置全体に振動を与えるように構成されている。
【0063】
また、モーター本体120に電流を供給するための給電部123が、モーター本体120の、出力軸121と相対向する側に設けられており、基板又は筐体11のパッド111に対してリード線124を介して電気的に接続されている。
【0064】
図13及び図14に示すように、基板又は筐体11上には樹脂シート13が積層され、この樹脂シート13上に振動モーター12を配置する。なお、樹脂シート13は、熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シートを用いることができる。熱硬化性樹脂シートとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂系等のものを用いることができる。熱可塑性樹脂シートとしてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシリコーン樹脂系等を使用できる。
【0065】
次いで、図15に示すように、樹脂シート13を加熱硬化させることにより、硬化前の溶融時において振動モーター12は自重によってその一部が溶融した樹脂シート13中に埋設されるとともに振動モーター12の周囲が盛り上がって振動モーター12の周囲を広い面で保持するようになり、その後、樹脂シート13の硬化物15によって接着固定されるようになる。
【0066】
本実施形態によれば、基板又は筐体11とモーター本体120、すなわち振動モーター12とを、これらの間に配置した樹脂シート13にそれぞれ接触するようにして配置し、樹脂シート13を加熱硬化させて固定し、振動発生装置10を構成するようにしている。樹脂シート13は、ゴム等の弾性体に比較して薄く、さらに本実施形態では、樹脂シート13を加熱硬化させているので、振動モーター12の一部が溶融した樹脂シート13中に埋設するようになっている。
【0067】
したがって、振動モーターを配置する筐体内に配置した弾性体を介して振動モーターを固定するような場合、及び金属ホルダーで振動モーターを固定するような場合に比較して、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。
【0068】
また、弾性体に比較して樹脂シート13は薄く、上述のように、樹脂シート13は、基板又は筐体11とモーター本体120とを接触部に対して形成すれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0069】
なお、本実施形態においても、樹脂シート13は熱硬化性樹脂シートとすることができる。この場合、第1の実施形態と同様に、樹脂シート13の加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであるようなものが好ましい。
【0070】
また、上述のような特性を有する熱硬化性樹脂としては、第1の実施形態同様に、例えば(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、(D)無機フィラー及び(E)難燃剤を含み、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)が10/90〜30/70であり、(D)無機フィラーの含有量が全体の10質量%〜80質量%であるような熱硬化性樹脂とすることができる。
【0071】
なお、上記熱硬化性樹脂組成物に要求される特性は、第1の実施形態と同様であるので、説明については省略する。
【0072】
図16及び図17は、図13〜図15に関する実施形態の、振動モーターの接続方法の変形例を説明するための工程図である。図16及び図17は、振動モーターの接続方法を説明するための正面図である。
【0073】
本変形例においては、振動モーター12が、径方向の寸法が長手方向の寸法よりも大きくなっているコインタイプのモーターとなっている点で上記実施形態と相違し、樹脂シートを用いた具体的な接続方法は実施形態と同様である。
【0074】
図16及び図17に示すように、振動モーター12のモーター本体120の上面に給電部123が設けられ、この給電部123と基板11のパッド111とがリード線124によって電気的に接続されている。
【0075】
振動モーター12の樹脂シート13による固定は、図16及び図17に示すように、基板又は筐体11上に樹脂シート13を積層し、この樹脂シート13上に振動モーター12を配置する。次いで、樹脂シート13を加熱硬化させることにより、硬化前の溶融時において振動モーター12は自重によってその一部が溶融した樹脂シート13中に埋設されるようになり、その後、樹脂シート13の硬化物15によって接着固定されるようになる。
【0076】
したがって、本変形例においても、煩雑な工程を要せずに、簡易かつ安価に振動モーターを基板又は筐体に固定することができる。樹脂シート13は薄く、樹脂シート13は、基板又は筐体11とモーター本体120とを接触させれば足りるので、振動モーター12を固定させるのに使用する樹脂シート13の量を低減することができる。したがって、上述した固定方法によって得る振動発生装置10を薄型化することができる。
【0077】
なお、その他の好ましい諸条件は上記実施形態と同様である。
【0078】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。例えば上記具体例では樹脂シートを用いたが、板状の樹脂材料とすることもできる。
【符号の説明】
【0079】
10 振動発生装置
11 基板
12 振動モーター
13 樹脂シート
15 硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板又は筐体に振動モーターを固定する方法であって、
前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとに接触するようにしてシート状の熱可塑性又は熱硬化性の樹脂材料を配置し、前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとを前記樹脂材料で固定することを特徴とする、振動モーターの固定方法。
【請求項2】
前記樹脂材料は熱硬化性樹脂であり、前記樹脂材料で振動モーター上を覆い、加熱軟化又は加熱溶融により硬化させて、前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとを接着固定することを特徴とする、請求項1に記載の振動モーターの固定方法。
【請求項3】
前記樹脂材料は前記基板又は前記筐体の振動モーター搭載面に載置し、前記樹脂材料上に前記振動モーターを搭載した後、前記樹脂シートを加熱軟化又は加熱溶融により加熱硬化させて、前記基板又は前記筐体と前記振動モーターとを接着固定することを特徴とする、請求項2に記載の振動モーターの固定方法。
【請求項4】
前記樹脂シートの加熱硬化後の25℃における弾性率が、1.0GPa〜30.0GPaであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の振動モーターの固定方法。
【請求項5】
前記樹脂シートが、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、(D)無機フィラー及び(E)難燃剤を含む熱硬化性樹脂組成物からなり、
(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)が10/90〜30/70であり、(D)無機フィラーの含有量が前記熱硬化性樹脂組成物の10質量%〜80質量%であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一に記載の振動モーターの固定方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載の方法で、基板又は筐体に振動モーターが固定されてなることを特徴とする、振動発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−139616(P2012−139616A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292219(P2010−292219)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】