説明

振動器

【課題】従来存在する欠点の少なくとも1つを克服するまたは実質的に改善すること。
【解決手段】振動型コンベア(スリップ型コンベア)のトレイ(10)のための振動器(16)である。振動器(16)は、固定式構造体(37)にある弾性搭載部(17、18)によって支持された基部(19、22)を有する。細長い弾性搭載部(17、18)は、基部(19、22)間で延在し、トレイ(10)は、キャリッジ(23)に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動器に関し、より具体的には、コンベアに採用される振動器に関するがこれに限定されない。
【背景技術】
【0002】
多様な装置は、材料の移送を補助するために振動器を採用する。例えば、振動型コンベア及びスリップ型コンベアは、コンベアトレイを有し、このコンベアトレイに沿って、トレイの振動によって材料が搬送される。
【0003】
振動器を採用する既知のコンベアは、
(1)支持構造体への振動の伝送、
(2)結果として動作の非効率及び過剰な摩耗を引き起こす組立体の不安定、
(3)多様な構造のコンベアに適応する多様な振動器構造、
を含む多くの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記欠点の少なくとも1つを克服するまたは実質的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、要素を振動させるために要素に固定される振動器が開示され、この振動器は、所定の第1経路に沿って支持構造体に対して移動するために支持構造体に固定される第1基部と、第1基部に固定され、相対移動を提供するためにかつ第1基部を少なくとも部分的に支持するために構造体に固定される第1搭載部と、第1基部の経路とほぼ平行な第2経路に沿って支持構造体に対して移動するために支持構造体に固定され、かつ要素に固定される第2基部と、基部に固定され、第2基部と支持構造体との間の相対移動を提供するためにかつ第2基部を少なくとも部分的に支持するために支持構造体に固定される第2搭載部と、基部に取り付けられて基部間の相対移動を提供する弾性連結部と、基部と動作可能に関連付けられ、基部間の相対移動をもたらすモータと、を有し、基部、連結部及びモータが、第1及び第2経路とほぼ平行な第3経路に沿ってかつ反対方向でほぼ一斉に往復する2つの可動式の基部組立体を提供するように協働し、基部組立体のうちの一方が、第1重量を有し、第1基部を有し、基部組立体のうちの2つ目が、第2重量を有し、第2基部を有し、第1重量が、第2重量よりも大きく、第2基部組立体が要素に取り付けられることを可能とし、そのため、第2重量及び要素が、第1重量とほぼ等しい組み合わせた重量を有する。
【0006】
好ましくは、経路それぞれは、ほぼ直線状である。
【0007】
好ましくは、弾性連結部は、複数の弾性連結部であり、弾性連結部は、細長い部材であり、基部は、連結部の先端部に固定される。
【0008】
好ましくは、弾性連結部それぞれは、経路それぞれにほぼ垂直な方向で長手方向に細長い。
【0009】
好ましくは、モータは、電磁石及び電機子を有する電磁モータである。
【0010】
好ましくは、電機子は、第1基部に取り付けられ、電磁石は、第2基部に取り付けられている。
【0011】
好ましくは、振動器は、固有周波数を有し、モータは、固有周波数で動作するように構成されている。
【0012】
好ましくは、経路それぞれは、水平に対して傾けられている。
【0013】
好ましくは、重心は、第1及び第2経路とほぼ平行な第2経路に沿って移動する。
【0014】
好ましくは、第1対の連結部及び第2対の連結部を含む4つの弾性連結部があり、第1対の連結部は、経路の方向で第2対の連結部から間隔をあけており、第1対及び第2対の連結部の連結部は、第1経路の横断方向で間隔をあけている。
【0015】
好ましくは、第1対の搭載部及び第2対の搭載部を含む4つの搭載部があり、第1対の搭載部は、第1経路の方向で第2対の搭載部から間隔をあけており、第1対及び第2対の連結部の連結部は、第1経路の横断方向で間隔をあけている。
【0016】
好ましくは、第1基部組立体は、ウェイト重量を有するウェイトを有し、ウェイトが、ウェイト重量を変更するために変更可能である。
【0017】
本明細書では、上記振動器とコンベアのトレイとの組合体が開示され、トレイは、コンベアのトレイであり、トレイは、底面を有する底壁部を有し、振動器は、底面に取り付けられている。
【0018】
本発明の好ましい形態は、添付の図面を参照しながら例としてここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンベアトレイ及びコンベアトレイに取り付けられた振動器を示す概略斜視図である。
【図2】図1の振動器及びトレイを示す概略側面図である。
【図3】図1及び図2の振動器及びトレイを示す概略端面図である。
【図4】図1から図3のトレイ及び振動器を示す概略斜視図である。
【図5】図1から図4の振動器の改良を示す概略上面図である。
【図6】図5の振動器を示す概略側面図である。
【図7】図5の振動器を示す概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図1から図4には、振動型コンベアまたはスリップ型コンベアのトレイ10が概略的に図示されている。トレイ10は、直列に配置された一連のトレイのうちの1つであり、所望の方向に沿って材料を搬送する。トレイ10は、底壁部11を有し、この底壁部から、一対の側壁部12が上向きに分岐する。底壁部11及び側壁部12は、長手方向に平行であり、ほぼ同一の広がりを有する。補強材15は、側壁部12の上側部分間に延在する。底壁部11は、上方に搬送される材料が載置される頂面13と、下面14と、を有する。
【0021】
振動器16は、下面14に取り付けられている。
【0022】
振動器16は、一対の下側搭載部17及び一対の上側搭載部18を用いて固定支持構造体37に取り付けられている。搭載部17及び18は、支持構造体37に対する振動器16の相対移動をもたらすために弾性を有する。
【0023】
搭載部17は、キャリッジ20を有する第1基部19に取り付けられている。搭載部17及びウェイト21は、キャリッジ20に取り付けられている。
【0024】
搭載部18は、キャリッジ23を有する第2基部22に取り付けられており、このキャリッジには、搭載部18が取り付けられている。キャリッジ23は、下面14に固定されている。
【0025】
基部19及び22が移動する間、搭載部17及び18は、弾性変形し、基部19及び22を開始(待機)位置へ付勢する。
【0026】
弾性連結部24は、キャリッジ20及び23間に延在する。この実施形態において、弾性連結部24は、垂直に対して傾くように長手方向に細長いバンドまたはストリップである。キャリッジ20及び23は、連結部24の先端部に固定される。基部19及び22が移動する間、連結部24は、弾性変形し、基部19及び22を開始(待機)位置へ付勢する。
【0027】
モータ25は、キャリッジ20及び23に動作可能に関連付けられている。この実施形態において、モータ25は、電磁石26及び電機子27を有する電磁モータである。電磁石26に電圧を加えると、電機子27及び電磁石26は、互いに向けて付勢される。これにより、キャリッジ20及び23は、互いに向けて移動させられ、搭載部17及び18の変形、結果として連結部24の変形がもたらされる。
【0028】
好ましくは、電機子27は、キャリッジ20に固定され、電磁石26は、キャリッジ23に固定される。
【0029】
ウェイト21及び電機子27と共に基部19を有する基部組立体38は、重心28を有する。基部22と共に電磁石26及びトレイ10のような基部に取り付けられた要素を有する基部組立体39は、重心29を有する。電磁石26に繰り返し電圧を加えると、基部19及び22は、互いに対してかつ支持構造体37に対して移動させられ、そのため、重心28及び29は、ほぼ直線状の所定経路30に沿って長手方向に移動させられる。その際、当然ながら、搭載部17及び18は、経路30に沿う移動を提供するように構成されている。
【0030】
弾性連結部24は、長手方向に細長く、そのため、経路30に対してほぼ垂直である。
【0031】
搭載部17及び18は、図4で最も良く示されるように、第1対17及び第2対18を有する。一対の搭載部18は、経路30の方向において一対の搭載部17から間隔をあけている。搭載部17は、経路30の横断方向において間隔をあけており、搭載部18も同様である。
【0032】
弾性連結部24は、モータ25の一側に位置する第1対の弾性連結部24と、モータ25の他側に位置する第2対の弾性連結部24と、を有する。第1対の連結部は、経路30の方向で第2対の連結部24から離れて位置する。第1対の連結部24は、経路30の横断方向で間隔をあけており、第2対の連結部24も同様である。
【0033】
電磁石26に繰り返し電圧を加えると、基部19及び22それぞれは、経路30とほぼ平行な経路に沿って反対方向で一斉に移動する。同様の移動は、振動器16によってトレイ10に付与され、トレイ10は、経路30とほぼ平行な経路に沿って移動させられる。
【0034】
連結部24と搭載部17及び18との弾性は、振動器16が固有周波数で動作するように協働する。具体的な例として、周波数は、25Hzである。周波数は、同様に、電磁石26に電圧を加える周波数によって決定される。トレイ10を振動すると、トレイ10は、方向31で上方かつ前方に移動し、搬送される材料を方向31で移動させる。
【0035】
第1基部組立体38(基部19並びにウェイト21及び電機子27のような基部に固定される要素)の重量は、第2基部組立体39(基部22及び電磁石のような基部に固定される要素)の重量よりも大きい。これにより、トレイ10は、トレイ10及び第2基部組立体39が第1基部組立体38の重量とほぼ同様の組み合わせ重量を有するように、基部22に固定されることが可能となる。
【0036】
図5から図7の実施形態において、振動器16は、上記実施形態の振動器16の改良である。この実施形態において、キャリッジ20は、上方に延在するブラケット31を有し、弾性連結部24は、ブラケット31の上側部分からキャリッジ23の前側部分まで下方に延在する。
【0037】
キャリッジ23の上側端部には、トレイ10を受けるように形付けられかつトレイに固定されるフランジ部32が設けられている。
【0038】
モータ25は、シリンダ状構造からなる。1つの好ましい形状において、モータ25は、キャリッジ23に取り付けられたメインシリンダ状本体部と、キャリッジ20に取り付けられたロッド部と、を有する。具体的な好ましい形状において、改良型のモータ25は、キャリッジ23に取り付けられた電磁石33と、キャリッジ20の延長部35を用いてキャリッジ20に取り付けられた電機子34(ロッド部)と、を有する。電気的に電圧が印加されると、電磁石33は、軸34によってもたらされる直線状経路に沿う重心28及び29の往復運動と共に、軸36に沿う電機子34の往復運動を引き起こす。あるいは、電磁石33は、キャリッジ20に取り付けられ、ロッド部34は、キャリッジ23に取り付けられても良い。
【0039】
上述した好ましい実施形態において、経路30は、搭載部17と搭載部18との間を通過しても良い。
【0040】
上述した好ましい実施形態は、コンベアに関してモジュール式構造を提供するコンベア16を含む多数の利点を有する。特に、ウェイト21は、重量が異なるトレイ10に適用するように調整される。さらなる利点は、経路30に沿う重心28及び29の往復によって、支持構造体に伝達される振動が小さくなる点である。
【符号の説明】
【0041】
10 トレイ(要素)、16 コンベア,振動器、17 下側搭載部,搭載部、18 上側搭載部,搭載部、19 第1基部、20,23 キャリッジ、21 ウェイト、22 第2基部、24 弾性連結部,連結部、25 モータ、26,33 電磁石、27 電機子、28,29 重心、30 経路、34 電機子,ロッド,軸、37 固定支持構造体,支持構造体、38 第1基部組立体,基部組立体、39 第2基部組立体,基部組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素を振動させるために前記要素に固定される振動器であって、振動器は、
所定の第1経路に沿って支持構造体に対して移動するために前記支持構造体に固定される第1基部と、
前記第1基部に固定され、前記相対移動を提供するためにかつ前記第1基部を少なくとも部分的に支持するために前記構造体に固定される第1搭載部と、
前記第1基部の経路とほぼ平行な第2経路に沿って前記支持構造体に対して移動するために前記支持構造体に固定され、かつ前記要素に固定される第2基部と、
前記第2基部に固定され、前記第2基部と前記支持構造体との間の相対移動を提供するためにかつ前記第2基部を少なくとも部分的に支持するために前記支持構造体に固定される第2搭載部と、

前記基部に取り付けられて前記基部間の相対移動を提供する弾性連結部と、
前記基部と動作可能に関連付けられ、前記基部間の相対移動をもたらすモータと、
を有し、
前記基部、前記連結部及び前記モータが、前記第1及び第2経路とほぼ平行な第3経路に沿ってかつ反対方向でほぼ一斉に往復する2つの可動式の基部組立体を提供するように協働し、
前記基部組立体のうちの一方が、第1重量を有し、前記第1基部を有し、
前記基部組立体のうちの2つ目が、第2重量を有し、前記第2基部を有し、
前記第1重量が、前記第2重量よりも大きく、前記第2基部組立体が前記要素に取り付けられることを可能とし、そのため、前記第2重量及び前記要素が、前記第1重量とほぼ等しい組み合わせた重量を有することを特徴とする振動器。
【請求項2】
前記経路それぞれが、ほぼ直線状であることを特徴とする請求項1に記載の振動器。
【請求項3】
前記弾性連結部が、複数の弾性連結部であり、
前記弾性連結部が、細長い部材であり、
前記基部が、前記連結部の先端部に固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の振動器。
【請求項4】
前記弾性連結部それぞれが、前記経路それぞれにほぼ垂直な方向で長手方向に細長いことを特徴とする請求項3に記載の振動器。
【請求項5】
前記モータが、電磁石及び電機子を有する電磁モータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項6】
前記電機子が、前記第1基部に取り付けられ、
前記電磁石が、前記第2基部に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の振動器。
【請求項7】
当該振動器が、固有周波数を有し、
前記モータが、前記固有周波数で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項8】
前記経路それぞれが、水平に対して傾けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項9】
重心が、前記第1及び第2経路とほぼ平行な第2経路に沿って移動することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項10】
第1対の連結部及び第2対の連結部を含む4つの前記弾性連結部があり、
前記第1対の連結部が、前記経路の方向で前記第2対の連結部から間隔をあけており、
前記第1対及び第2対の連結部の前記連結部が、前記第1経路の横断方向で間隔をあけていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項11】
第1対の搭載部及び第2対の搭載部を含む4つの搭載部があり、
前記第1対の搭載部が、前記第1経路の方向で前記第2対の搭載部から間隔をあけており、
前記第1対及び第2対の連結部の前記連結部が、前記第1経路の横断方向で間隔をあけていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項12】
前記第1基部組立体が、ウェイト重量を有するウェイトを有し、
前記ウェイトが、前記ウェイト重量を変更するために変更可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の振動器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の振動器と前記要素との組合体であって、
前記要素が、コンベアのトレイであり、
前記トレイが、底面を有する底壁部を有し、
当該振動器が、前記底面に取り付けられていることを特徴とする組合体。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1項に記載の振動器と前記要素との組合体であって、
前記要素が、コンベアのためのトレイであり、
前記トレイが、トレイ重量を有し、
前記トレイ重量及び前記第2重量が、前記第1重量とほぼ等しい組み合わせ重量を有することを特徴とする組合体。
【請求項15】
振動型コンベアが、前記トレイを有することを特徴とする請求項13または14に記載の組合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39558(P2013−39558A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−177905(P2012−177905)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(512069290)ティーエヌエー・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】