振動型駆動装置
【課題】複数の振動体により移動体を所定の方向に移動させる振動型駆動装置を構成するに当たり、出力方向に寄与しない振動体の負荷を低減し、出力の低下を抑制する振動型駆動装置を提供する。
【解決手段】複数の振動体が、楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
複数の振動体と移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
加圧制御手段は、
移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせている振動体に対する加圧接触力を、前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御する。
【解決手段】複数の振動体が、楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
複数の振動体と移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
加圧制御手段は、
移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせている振動体に対する加圧接触力を、前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の振動体と接触している移動体を異なる複数の方向に移動させる振動型駆動装置に関する。特に、カメラなどの光学装置の手ぶれを補正する機構などへの適用に好適な振動型駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、圧電振動体などにより駆動力を発生して摩擦接触された移動体を駆動する駆動装置や、複数の直動型の圧電振動体を用いたアクチュエータなど振動型駆動装置を用いた多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、図15に示すような振動型駆動装置を用いた撮像装置が提案されている。
図15(a)は撮像装置としてのカメラの透視斜視図である。
図15(a)に示されるように、撮像素子203を駆動させるための振動体が3個(211、212、213(213は図15(b)に示す))設けられている。
そして、該撮像素子203を取り付けた移動体204の裏側をそれぞれ1点ずつの3点の接触部で受ける構成になっている。
また、超音波振動体211乃至213と移動体204の加圧接触は、不図示の磁石等の磁力を利用して行うようになっている。201は撮像装置本体で、202はレンズなどから成る鏡筒部である。
263P、263Y、263Rは撮像装置の回転運動を検出する角加速度センサである。
上記角加速度センサにより手ブレなどによる撮像装置の姿勢変化を検出し、撮像素子203の信号に手ブレの影響を受けないように上記振動体に駆動力を発生させ撮像素子を光軸に対して垂直な面に移動させている。
【0003】
図15(b)は、撮像素子を取り付けた移動体を駆動させる駆動部を示す図であり、移動体204をY方向に駆動するときの図15(a)の撮像装置における振動体及び位置検出センサの配置及び駆動力の方向を示している。
位置検出センサ222〜224は対向する位置に貼り付けられたスケールの目盛りを読み位置情報を得、それぞれの位置情報を演算することで移動体204の移動方向がわかるように構成されている。
Y方向に駆動するときの 振動体211で発生する力をf1、振動体212で発生する力をf2、振動体213で発生する力をf3とすると、
f1=0×F f2=F f3=F
の力が加えられるようにされている。
【0004】
また、特許文献2では、複数の振動体を用いて異なる複数の方向に駆動が可能な位置決め装置及び負荷の低減方法が提案されている。
この特許文献2では、振動体を複数用いて移動体を多方向に駆動させる際、つぎのようにして振動体の負荷を低減するようにしている。
移動体を動かすための複数の振動体の少なくとも一つには移動体の表面に平行な力を与え、それ以外の少なくとも一つには移動体の表面に垂直な振動(突上げモードの振動)のみを行うように、これらを同時に制御することで負荷を低減するようにしている。
また、垂直な振動の周期を制御し、平行な力が移動体にかかるときは垂直な振動を行う振動体が移動体から離れるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−031353号公報
【特許文献2】特表2007−524339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来例である特許文献1のものにおいては、移動体を移動させる方向に力を作用させている振動体は移動体の移動に寄与しているが、出力方向に寄与しない振動体は接触面の摩擦力が負荷となり全体の出力を低下させてしまうという課題を有している。
すなわち、Y方向に移動体204を駆動するときは振動体212、213は移動方向に駆動力成分を持っているが、振動体211は移動方向すなわちY方向には駆動力をもっておらず、振動体と移動体との摩擦力が負荷となり出力を低下させることとなる。
これに対して、特許文献2のものでは、移動体を動かすため移動体の表面に平行な力を与えている振動体以外のものは、移動体の表面に垂直な振動のみを与えることで、移動の負荷の軽減が図られている。
しかしながら、摩擦力を十分に低減させるには 大きな振幅の振動を発生させる必要があり、特許文献2のものにおいても消費電力も大きくなるという課題を有している。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の振動体により移動体を所定の方向に移動させる振動型駆動装置を構成するに当たり、出力方向に寄与しない振動体の負荷を低減し、出力の低下を抑制することが可能となる振動型駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動型駆動装置は、少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と接触部とを含む弾性体を有し、前記接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備え、
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、該異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
前記複数の振動体における接触部材と、移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
前記加圧制御手段は、
前記移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせる(方向に配置された)振動体に対する前記加圧接触力を、
前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する前記加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の振動体により移動体を所定の方向に移動させる振動型駆動装置を構成するに当たり、出力方向に寄与しない振動体の負荷を低減し、出力の低下を抑制することが可能となる振動型駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における振動型駆動装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例1における動型駆動装置に用いられている振動体を用いて直動方向に移動体を駆動させるときの基本構成を示した図。
【図3】振動型駆動装置の振動体による駆動原理を説明する図。
【図4】振動型駆動装置を駆動する回路のドライバ部の回路構成を示す図。
【図5】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段を含む振動体の構成を示す図。
【図6】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段で発生させる電流と電磁石により発生する振動体と移動体の加圧接触力の関係を示す図。
【図7】本発明の実施例1の振動型駆動装置における振動体部を4ヶ所に設けた制御回路ブロックの構成例を示す図。
【図8】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングを示す図。
【図9】本発明の実施例2における加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例を示す図。
【図10】本発明の実施例3における加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例3における振動波アクチュエータの出力と電流の関係を示す図。
【図12】本発明の実施例4における移動体を斜め方向に駆動するときの駆動イメージを示す図。
【図13】本発明の実施例4における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングを示す図。
【図14】実施例5の振動波アクチュエータ群の動作を示す図。
【図15】従来例である特許文献1における振動型駆動装置を用いた撮像装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
実施例1として、本発明における振動型駆動装置の構成例を、図1〜図4を用いて説明する。
図1(a)は本実施例の振動体を配置し振動型駆動装置における駆動力を発生させる側の上面図である。
図1(b)は上記振動体と摩擦接触し振動体の駆動力を得て移動する移動体側の下面図(図1(a)の振動体と対向する側)であり、図1(c)は上記駆動部と移動体が組み合わさったときの側面図である。
【0013】
まず、図2〜図4を用い、本実施例の振動型駆動装置に複数用いられる振動体部およびそれに加圧接触して移動する移動部について説明する。
図2は振動型駆動装置に用いられている振動体を用いて直動方向に移動体を駆動させるときの基本構成を示した図である。
図2において、本実施例の振動型駆動装置は、圧電素子部(電気−機械エネルギー変換素子)107と、接触部材である突起部108を有し、接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備えている。そして、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させるように構成されている。
本実施例では、図1に示されるように移動体はXY方向に移動できる必要があるため板状の形状になっている。
図3は振動型駆動装置の振動体による駆動原理を説明する図であり、圧電素子に電圧を印加することにより発生する二つの曲げ振動モードを表している。
図3(a)における振動モードは、二つの曲げ振動モードのうち一方の曲げ振動モード(Aモードとする)を表している。
このAモードは、矩形の振動体106の長辺方向(矢印X方向)における二次の屈曲運動であり、短辺方向(矢印Y方向)と平行な3本の節を有した曲げのモードである。
ここで、突起部108はAモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、Aモードの振動により突起先端部は矢印X方向に往復運動を行う。
図3(b)に示す振動モードは二つの曲げ振動モードの内他方の曲げ振動モード(Bモードと呼ぶ)を表している。
このBモードは、矩形の振動体106の短辺方向(矢印Y方向)における一次の屈曲振動であり、長辺方向(矢印X方向)と平行な2本の節を有したモードである。
ここで、Aモードにおける節とBモードにおける節は、XY平面内において略直交するようになっている。
また、突起部108はBモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、Bモードの振動により矢印Z方向に往復運動を行う。
上述したAモードとBモードの振動を所定の位相差で発生させることにより、突起部108の先端に楕円運動を発生させることができる。
突起部108の先端には図2に示すように、被駆動部であるスライダ116が加圧接触するようになっており、スライダ116は突起部108の先端部の楕円運動によって矢印L方向に移動することができる。
【0014】
図4は振動型駆動装置を駆動する回路のドライバ部の回路構成を示す図である。
図4の回路構成において、スイッチング回路はスイッチング素子にFET51〜58を用いている。
ここで、図4に示すようにA相パルスがHiになるとFET51、54がオンとなりA相から/A相に向かって電流が流れる。逆に/AパルスがHiになるとFET53、52がオンとなり/A相からA相に向かって電流が流れる。
B相に対しても同様に与えられたパルス信号に応じてFET55〜58がオンして振動体11に電圧を印加する構成となっている。
ここでAと/AおよびBと/Bはそれぞれ180°位相がずれておりパルス幅は等しいパルス信号となっている。
41、42はモータとのインピーダンスを整合させるインピーダンス素子である。
この例では41、42はインダクタンス素子である。ここで、不図示ではあるがインピーダンスを整合させるために容量素子を、振動体と並列に設けるケースもある。
このようにインピーダンス素子を41、42の位置に付加することでより低電圧でかつ高効率でモータを駆動することができる。
本実施例の振動型駆動装置では、上記振動体群を複数配置し、1つの移動体を駆動させるように構成されている。
【0015】
図1(a)において、11(a)〜11(d)は上記振動体部である。
この振動体部は、つぎの第1の振動体群と第2の振動体群を備える。
第1の振動体群は、振動体が発生する駆動力の方向が平行な2つの振動体11(a)、11(c)からなる。
また、第2の振動体群は、第1の振動体群が発生する駆動力とのなす角が90°の方向(直行する方向)の位置に平行に配置された2つの振動体11(b)、11(d)からなる。
なお、本発明はこのような4つの振動体の配置による構成に限定されるものではない。
例えば、3つの振動体により、第1の振動体と第2の振動体はそれぞれの駆動力の方向のなす角度が120°となる位置に配置し、第2の振動体と第3の振動体はそれぞれの駆動力の方向のなす角度が120°となる位置に配置するようにしてもよい。
13(a)〜(c)はエンコーダなどの位置検出センサであり図1(b)の移動体部にはセンサと対向する位置にスケール部14(a)〜(c)が矢印方向を検出できるように配置されている。
詳細は略すが、上記3つの位置検出センサ信号より移動体の移動量を検出し制御情報として不図示のマイクロコンピュータなどに取り込み駆動制御が実施される。
図1(b)の移動体は 該複数の振動体11(a)〜11(d)に接触し4つの振動体の駆動力の合成した方向に移動され、動作方向はXYおよびベース板中心から回転方向θに移動可能な構成が取られている。
また、移動体部4の振動体部11(a)〜11(d)に対向する部分には耐磨耗性の高い摩擦部15(a)〜15(d)が設けられている。
本実施例では摩擦部材15(a)〜15(d)を貼り付けた構成にしているが、移動体全体を耐磨耗性の高い部品にすることも可能である。
図1(c)において9は前記振動体11(a)〜(d)を固定する固定部、12は前記移動体部4と前記固定部9との間に配置されたボールである。
前記ボール12は固定部9に配置された複数の穴に納められており前記ボールが前記移動体部4の移動と共に回転することにより、前記移動体部4は面内に自在に駆動されかつ前記固定部9に対して常に一定の高さとなるように支持されている。また、前記振動体11(a)〜11(d)は後述する弾性部材を介して前記固定部9に接続されている。
【0016】
図5を用いて、電流による磁力の変更ができる磁力制御部を備え、該磁力制御部による磁力の増減に応じて加圧接触力を制御する加圧制御手段を含む振動体の構成例について説明する。
図5において100は振動体であり、図3に示したように金属などの弾性体である振動板106と、電気−機械エネルギー変換素子107とが接合されて構成されている。4は磁性体からなる移動体部である。
振動体100は、振動体の振動が伝わらないように工夫した状態で振動体保持部材20に接続されている。
前記振動体保持部材20には前記振動体100を介して前記振動体100が移動体部4の方向に吸引されるように電磁石21が設けられている。
さらに、前記振動体保持部20は弾性部材8を介して固定部9に接続されている。
そして、この弾性部材により、振動体の2つの突起を結んだ線と移動体接触面が平行になり電磁石21から得られる加圧接触力が均等に移動体4と振動体の2つの突起間に加えられるような構成になっている。
23は加圧制御手段であり電磁石21へ与える電流値を必要な加圧接触力に応じて決定させる演算部分と電流発生器から構成されている。この21と23により加圧設定部24が構成されている。
22は上記加圧制御手段23をコントロールし、加圧接触力を変化させるコントローラ部である。
【0017】
図6に、本実施例における加圧制御手段23で発生させる電流と電磁石21により発生する振動体と移動体の加圧接触力の関係を示す。
図6に示されるように、発生電流と加圧接触力が比例関係になっており、加圧を大きくしたいときは電流を増加させ、加圧を小さくしたいときは電流を減少させることで 必要とする加圧接触力に設定することが可能に構成される。
【0018】
図7を用いて、本実施例の振動型駆動装置における振動体部を4ヶ所に設けた制御回路ブロックの構成例について説明する。
加圧設定部24(a)〜24(d)も、振動体部11(a)〜11(d)にそれぞれ設けられており、それぞれの加圧接触力がコントローラ部22によってそれぞれ制御可能な構成になっている。
コントローラ部22はマイクロコンピュータなどの演算処理部であり、実際には加圧制御手段だけでなく装置全体の制御を行なう部分である。
61は発振器部、62、63、64、65は該発振器61に対しそれぞれ位相が異なる信号を出すための位相シフタである。66〜69は図4の回路で構成されたスイッチング回路部であり図1の11(a)〜11(d)の振動体部に接続される。
13(a)〜13(c)は上記X、Y方向の移動位置を検出するセンサである。例えば、センサ13(a)だと、図1(b)に示したスケール部14(a)が矢印に示した方向に移動することで移動量に応じた位置信号が得られる。
同様にセンサ13(b)はスケール部14(b)が、センサ13(c)はスケール部14(c)が矢印方向に移動することで移動量に応じた位置信号を出力する。
コントローラ部(演算処理部)22は、これらの13(a)〜13(c)のセンサから得られる位置信号を演算することで移動体4の移動位置が検出できるように構成されている。
この演算処理部22の結果から目標位置に対して現在位置がどの状態になっているかを判別し、目標位置に達するように61で発振周波数を決める。
そして、それぞれの振動アクチュエータに、用意された62〜65の位相シフタを介してドライバ回路66〜69に図4に示したA相パルス、/A相パルス、B相パルス、/B相パルス入力という形でそれぞれのドライバへ入力させる。
【0019】
図7において、振動体部11(a)を含む駆動部をMa、振動体部11(b)を含む駆動部をMb、振動体部11(c)を含む駆動部をMc、振動体部11(d)を含む駆動部をMdと称す。
図7のドライバ部66から振動体部11(a)には、つぎの4相の信号
Ma_A、Ma_/A、Ma_B、Ma_/Bが出力される。
また、ドライバ部67から振動体部11(b)には、
Mb_A、Mb_/A、Mb_B、Mb_/Bが出力される。
また、ドライバ部68から振動体部11(c)には、
Mc_A、Mc_/A、Mc_B、Mc_/Bが出力される。
また、ドライバ部69から振動体部11(d)には、
Md_A、Md_/A、Md_B、Md_/Bが出力される。
ここで、速度を変化させるパラメータとしてはそれぞれのモータに加える駆動周波数、駆動電圧、ABパルスの位相差、ABパルスのパルス幅などが選択できる。
24(a)〜24(d)が駆動部Ma〜Mdそれぞれに設けられた加圧制御手段であり、コントローラ部22から与えられた指令値によって電流値をコントロールし、移動体と振動体の接触部材との間の加圧接触力を変更させる。
【0020】
図8を用いて、本実施例における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングについて説明する。
図8には、移動体の駆動方向における各加圧設定部の加圧制御手段に与える電流の関係が示されている。
横軸が時間で縦軸が電流値となっており、以下に示す動作によりt1〜t4区間のように電流値(加圧接触力)が増減されている。
ここで、本実施例における移動体部4を図1(a)のX方向に駆動するときの動作を説明する。
振動体部11(a)は矢印Fa方向の駆動力を発生し、振動体部11(c)は矢印Fc方向の駆動力を発生させる。
このとき、振動体部11(b)及び振動体部11(d)は駆動方向には力を発生できないので振動体部の接触部材と移動体部との間の接触力を弱め、接触による負荷が低減されるように加圧制御手段を操作する。
このように駆動に寄与しない振動体部の加圧を減らすことで振動体部11(a)と11(c)の駆動力が無駄なく前記移動体部4に伝わりX方向に駆動される。この状態が図8のt1区間で示されている。
どの方向にも駆動しないときは重力や外からの力によって移動体と振動体部との位置がずれないように摩擦力で保持されている状態が望ましい。
よって、このときの加圧制御手段23が電磁石21に与える電流はゼロではなく上記重力や外からの力が加えられても移動しない適度な加圧接触力が発生している状態の電流値が良い。この状態が図8のt2区間に示されている。
【0021】
次に、Y方向に駆動させたいときは逆に振動体部11(b)と11(d)とに駆動力を発生させるように加圧接触力を上げ、振動体部11(a)と11(c)は加圧を減らすもしくはゼロにすることでX方向駆動と同様に効率良く駆動することが可能である。この状態が図8のt3区間で示されている。
t4区間は上記t2と同じ停止状態を示している。
このように 駆動方向に応じて加圧接触力の大きさをコントロールすることで常に効率の良い駆動が実現できる。
また、X、Y方向とずれた斜め方向に駆動するときは振動体部11(a)と振動体部11(c)の駆動力の合成を力のベクトルFxとし、同様に振動体部11(b)と振動体部11(d)の駆動力の合成を力のベクトルFyとする。
これにより、各力のベクトルFxとFyとの合成により被駆動部4を任意の方向に駆動させることが可能となる。
ここで 加圧変更手段は駆動力が大きい方の加圧接触力を大きく、駆動力が小さい方の加圧接触力を小さくするように動作させることでそれぞれの振動体群に適切な駆動力や負荷を与えている。
図1(a)のX方向を0°、Y方向を90°としたとき、45度方向に駆動する場合は上記FxとFyの比が等しくなるように設定される。
このときの11(a)〜11(d)は4つで同じ力で駆動されるのでそれぞれの加圧接触力も同じに設定される。
60度方向に駆動するときにはX方向駆動とY方向駆動の駆動力が1:√3倍になるように加圧制御手段も設定される。
このときX方向駆動に使われる振動体部11(a)と11(c)の加圧はY方向駆動に使われる振動体11(b)と11(d)が出せる出力の1/√3のときに適した加圧接触力に設定する。
これにより振動体部11(a)と11(c)は必要な出力を出しつつ加圧が低く設定されていることにより振動体11(b)と11(d)の駆動を妨げないような負荷になっており、本駆動装置として効率良く斜め方向に駆動することが可能となる。
【0022】
ここで、出力とそのときに適する加圧接触力の関係は事前に測定されているなどして、各角度についてX方向駆動とY方向駆動の最適な加圧接触力が決められている。この加圧接触力を設定することで各駆動方向それぞれに適した駆動制御を実現することが可能である。
また、本実施例のように同じ駆動方向に複数の振動体群が設けられている場合、同じ方向の振動体部11(a)と11(c)および11(b)と11(d)を出力と加圧の関係がほぼ等しい振動体を用い同じ加圧設定にする。
これにより、4つそれぞれに出力と加圧の関係のテーブルを参照する制御に対し、11(a)と11(c)の群と11(b)と11(d)の群で同じ出力と加圧の関係のテーブルを用いて共有することで、制御アルゴリズムを簡略化することも可能となる。
また、本実施例は4振動体を用いた例を示しているが 従来例にあったような3振動体を用いた構成においても同様な加圧接触力調整手段を設けることで、負荷になる振動体の負荷量を減らすことが可能となる。
【0023】
[実施例2]
実施例2として、駆動電圧により伸縮する積層圧電素子による長さ制御部を備え、該長さ制御部による長さの増減に応じて加圧接触力を制御する加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例について、図9を用いて説明する。
実施例1では電磁石21に与える電流によって加圧接触力をコントロールしていたが、本実施例では加圧手段として積層圧電素子27を用いている。
ここで、図9に示される加圧制御手段の構成について説明する。
積層圧電素子27はベース部9に設けられており、電圧を印加することにより伸びる方向に力を発生する。
28は積層圧電素子27の伸び縮みによりストロークが変わることにより加圧接触力を変更し、かつ移動体4の接触面に振動体100における接触部材を構成する2つの突起が平行に当たるように、倣わせるためのバネ部材である。
29は上記圧電素子27に延び縮みさせるための電圧を供給する可変電圧電源である。
この電源から発生する電圧値はコントローラ部22から指令される。
30は移動体4の加圧接触力を受ける固定部材、31は加圧接触力を受けつつ移動方向には自由に動けるようにするためのボール部材である。
24’は上記積層圧電素子を用いた加圧機構部となっている。
このような構成において、圧電素子は電圧に応じて延びる方向に力を発生する特性を示し振動体100および保持部材20は移動体4に対し加圧接触力が発生する。このときの加圧接触力はあらかじめ測定された積層圧電素子27への印加電圧によって決まる。
加圧接触力の制御方法に関しては実施例1と同様であるので、説明は省略する。このように積層圧電素子で加圧機構を構成することにより、電磁石を使う必要が無くなるので、磁力の影響を受けると問題になる環境下でも加圧調整機構を用いることが可能となる。
【0024】
[実施例3]
実施例3として、加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例について、図10を用いて説明する。
実施例1では、コントローラ部22は加圧制御手段23への加圧指令値をコントロールすることで加圧設定を実施しているが、それ以外にも振動波アクチュエータの速度制御などの駆動制御も同時に実施していた。
例えば、振動体部が4つある場合には振動体の駆動制御を実施する制御ブロック4つと加圧制御手段をコントロールするブロック4つが必要となっていた。
本実施例では、振動体それぞれに行なわれていた加圧制御手段の制御を、振動波アクチュエータの駆動電流を指令値として使うことにより省略するように構成されている。
【0025】
図11は、本実施例で用いられているアクチュエータ(振動体部)の速度などの出力と駆動回路に流れる駆動電流の関係を示したものである。
図1で示したように、移動体4をX方向に駆動するときは振動体11(a)、11(c)に大きな駆動力を発生させる必要がある。
このとき、振動体部には図11のf1の周波数の駆動電圧が加えられるが、この振動体部のインピーダンス変化により駆動電流も大きな値となる。
ここで 振動波アクチュエータを駆動する駆動電流は図10に示すように電源部32から加圧制御手段23を介して駆動回路25へと流れていく。
そして、最終的にはフレキシブル基板26などを介し振動体100へと与えられ振動体に駆動力が発生する。
加圧制御手段23では流れた電流値に比例して加圧接触力が増加するような構成になっている。
したがって、f1の周波数では流れる電流値が大きいので、加圧接触力も大きな値を示すようになっている。
【0026】
振動体11(b)、11(d)は逆に駆動方向となす角が90°なので、小さな駆動力を発生させるのみで良い。
よって、このとき振動体部にはf2の周波数の駆動電圧が加えられ、11(b)、11(d)駆動電流は駆動周波数がf1のときよりも小さな値になる。
そのとき、加圧制御手段23には小さな電流が流れ、電流値に比例して加圧接触力が増加するような構成になっているので加圧接触力は小さな値を示すようになっている。
このように、電源から加圧制御手段23を介して駆動回路への電流を供給する構成にすることで、自動的に加圧接触力が最適な値に設定でき コントローラ部22がわざわざ加圧制御手段へ指令を送る必要が無く、コントローラ部22の負担を大きく削減することが可能となる。
【0027】
[実施例4]
実施例4として、本発明における振動型駆動装置の構成例を、図12、図13を用いて説明する。
図12に実施例4の移動体4を斜め方向に駆動するときの駆動イメージを示す。図13に実施例4のときの4つの加圧制御手段へ与える電流値とそのタイミングを示す。
実施例1では斜め方向に駆動するとき振動体部11(a)と振動体部11(c)の駆動力の合成を力のベクトルFx、同様に振動体部11(b)と振動体部11(d)の駆動力の合成を力のベクトルFyとする。各力のベクトルFxとFyとの合成により被駆動部4を任意の方向に駆動させるという駆動方法を実施していた。
しかしながら、このような駆動方法では各振動体部の駆動方向と移動体4の移動方向とのなす角が0°に対し大きくなるため各振動体部の接触面ではすべることによる摩擦損失が生じ駆動効率が低下してしまう問題も生じている。
本実施例は、このような問題を解決するために、X方向駆動とY方向駆動の駆動タイミングをコントロールすることで、振動体部の駆動方向になす角が0°に近い振動体のみ駆動力を発生させ、なす角が90°に近い振動体の加圧接触力を下げる。
これにより、摩擦負荷を減らした状態の駆動をし、斜め方向駆動、すなわちすべりが発生する駆動をさせないようにするものである。
【0028】
つぎに、図12、図13を用いて、本実施例における電流の大きさを変更できる電流制御部を備え、該電流制御部による電流の大きさに応じて加圧接触力を制御するようにした構成例について説明する。
図13において縦軸は加圧制御手段へ与える電流値となり大きい程、加圧接触力が大きくなることを意味している。
逆に、電流値がゼロのところは加圧接触力がゼロになっているところである。
図12に示されるように移動体4をX方向とY方向のちょうど中間の45度方向に駆動させるとき、まずY方向にある位置分移動させる(t11)。
このとき、振動体部11(b)と振動体部11(d)には駆動させるための電圧が印加され同時に加圧接触力も大きくするように加圧制御手段の電流を大きくする。
【0029】
アクチュエータを駆動する電圧は図示していないが、図4で示したドライバ回路により4相駆動電圧が駆動力を必要とするそれぞれの振動体部に入力されている。
ここで、振動体部11(a)と振動体部11(c)は駆動力を必要とせず加圧の設定も小さくて良いので加圧制御手段の電流も小さな値となる。
次に、X方向にある位置分移動させる(t12)。
このとき振動体部11(a)と振動体部11(c)に駆動させるための電圧が印加され同時に加圧接触力も大きくするように加圧制御手段の電流を大きくする。振動体部11(b)と振動体部11(d)は駆動力を必要とせず加圧の設定も小さくなっている。
図12のt13〜t15のタイミングでは、上記t1、t2の動作を交互に繰り返して斜め方向の駆動を実現している。
t16は停止状態で移動体と振動体部との摩擦力で保持されている状態となっている。
したがって、このときの加圧制御手段に与える電流はゼロではなく振動体部と移動体を保持する適度な加圧接触力が発生している状態の電流値に設定されている。
【0030】
本実施例の説明では45度方向に駆動する例を示したのでX方向とY方向の駆動タイミングが1:1であった。
例えば、60度方向に駆動するときにはX方向駆動とY方向駆動の駆動時間を1:√3にすることで同じような効果を得ることができる。
また、他の角度についても同様にしてX方向駆動とY方向駆動の駆動時間の比と駆動方向を制御することで実現することが可能である。
【0031】
[実施例5]
実施例5として、本発明における複数の振動体中から加圧接触するものを選択し駆動させる構成を備え、移動体の位置に応じて加圧接触する振動体を選択して駆動させる振動型駆動装置の構成例を、図14を用いて説明する。
本実施例では、振動体部が縦横に等間隔で多数個配置されている。
このような構成にすることで移動体がXY平面上に大きく移動することが可能になる。
つぎに、本実施例における移動体を点p→q→rという順に移動させる動作について説明する。
ここで、振動体部の個々の名称は縦と横のライン名の重なったところにあるものを、その振動体の名称としている。
例えば、記号Pの位置にある振動体部を1Bと称す。
点p→点qに移動する動作では、つぎの動作1から動作5のように駆動する。
[動作1]:2A、2Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので加圧接触力大にして駆動させる。
1B、3Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作2]:2A、2C、4A、4Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
3Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作3]:4A、4Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので加圧接触力大にして駆動させる。
3B、5Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作4]:4A、4C、6A、6Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
5Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作5]:6A、6Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
5B、7Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
という順に駆動力および加圧接触力がコントロールされるように駆動する。
【0032】
点q→点rに移動する動作では、同様に考えて、つぎの動作6から動作10のように駆動する。
[動作6]:5B、7Bを加圧接触力大で駆動し、駆動6A、6Cを加圧接触力小で駆動する。
[動作7]:5B、7B、5D、7Dを加圧接触力大で駆動し、6Cを加圧接触力小で駆動する。
[動作8]:5D、7Dを加圧接触力大で駆動し、6C、6Eを加圧接触力小で駆動する。
[動作9]:5D、7D、5F、7Fを加圧接触力大で駆動し、6Eを加圧接触力小で駆動する。
[動作10]:5F、7Fを加圧接触力大で駆動し、6E、6Gを加圧接触力小で駆動する。
【0033】
このように、振動体部を多数配置し、駆動力を発生させかつ加圧接触力を大きくした駆動に用いる振動体部と加圧接触力を下げ駆動の負荷にならないようにした振動体部を選択する。
そして、これらを動作させることにより、多数の振動体部を配置した領域で移動体を自由な位置へ移動することが可能となる。
本実施例では 平行移動の動作を説明したが、ベクトルの合成もしくは実施例4に示したようにX駆動とY駆動を切り替える動作をさせることで斜め方向に大きな動作範囲で移動体を移動させることも可能である。
また、上記各実施例における移動体を、レンズを含む構造体で構成し、レンズの光軸に垂直な平面上を移動するように構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
4:移動体部
8:弾性部材
9:固定部
11(a)〜11(d):振動体部
12:ボール
13(a)〜13(c):位置検出センサ
14(a)〜14(c):スケール部
15(a)〜15(d):摩擦部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の振動体と接触している移動体を異なる複数の方向に移動させる振動型駆動装置に関する。特に、カメラなどの光学装置の手ぶれを補正する機構などへの適用に好適な振動型駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、圧電振動体などにより駆動力を発生して摩擦接触された移動体を駆動する駆動装置や、複数の直動型の圧電振動体を用いたアクチュエータなど振動型駆動装置を用いた多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、図15に示すような振動型駆動装置を用いた撮像装置が提案されている。
図15(a)は撮像装置としてのカメラの透視斜視図である。
図15(a)に示されるように、撮像素子203を駆動させるための振動体が3個(211、212、213(213は図15(b)に示す))設けられている。
そして、該撮像素子203を取り付けた移動体204の裏側をそれぞれ1点ずつの3点の接触部で受ける構成になっている。
また、超音波振動体211乃至213と移動体204の加圧接触は、不図示の磁石等の磁力を利用して行うようになっている。201は撮像装置本体で、202はレンズなどから成る鏡筒部である。
263P、263Y、263Rは撮像装置の回転運動を検出する角加速度センサである。
上記角加速度センサにより手ブレなどによる撮像装置の姿勢変化を検出し、撮像素子203の信号に手ブレの影響を受けないように上記振動体に駆動力を発生させ撮像素子を光軸に対して垂直な面に移動させている。
【0003】
図15(b)は、撮像素子を取り付けた移動体を駆動させる駆動部を示す図であり、移動体204をY方向に駆動するときの図15(a)の撮像装置における振動体及び位置検出センサの配置及び駆動力の方向を示している。
位置検出センサ222〜224は対向する位置に貼り付けられたスケールの目盛りを読み位置情報を得、それぞれの位置情報を演算することで移動体204の移動方向がわかるように構成されている。
Y方向に駆動するときの 振動体211で発生する力をf1、振動体212で発生する力をf2、振動体213で発生する力をf3とすると、
f1=0×F f2=F f3=F
の力が加えられるようにされている。
【0004】
また、特許文献2では、複数の振動体を用いて異なる複数の方向に駆動が可能な位置決め装置及び負荷の低減方法が提案されている。
この特許文献2では、振動体を複数用いて移動体を多方向に駆動させる際、つぎのようにして振動体の負荷を低減するようにしている。
移動体を動かすための複数の振動体の少なくとも一つには移動体の表面に平行な力を与え、それ以外の少なくとも一つには移動体の表面に垂直な振動(突上げモードの振動)のみを行うように、これらを同時に制御することで負荷を低減するようにしている。
また、垂直な振動の周期を制御し、平行な力が移動体にかかるときは垂直な振動を行う振動体が移動体から離れるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−031353号公報
【特許文献2】特表2007−524339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来例である特許文献1のものにおいては、移動体を移動させる方向に力を作用させている振動体は移動体の移動に寄与しているが、出力方向に寄与しない振動体は接触面の摩擦力が負荷となり全体の出力を低下させてしまうという課題を有している。
すなわち、Y方向に移動体204を駆動するときは振動体212、213は移動方向に駆動力成分を持っているが、振動体211は移動方向すなわちY方向には駆動力をもっておらず、振動体と移動体との摩擦力が負荷となり出力を低下させることとなる。
これに対して、特許文献2のものでは、移動体を動かすため移動体の表面に平行な力を与えている振動体以外のものは、移動体の表面に垂直な振動のみを与えることで、移動の負荷の軽減が図られている。
しかしながら、摩擦力を十分に低減させるには 大きな振幅の振動を発生させる必要があり、特許文献2のものにおいても消費電力も大きくなるという課題を有している。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の振動体により移動体を所定の方向に移動させる振動型駆動装置を構成するに当たり、出力方向に寄与しない振動体の負荷を低減し、出力の低下を抑制することが可能となる振動型駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動型駆動装置は、少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と接触部とを含む弾性体を有し、前記接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備え、
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、該異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
前記複数の振動体における接触部材と、移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
前記加圧制御手段は、
前記移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせる(方向に配置された)振動体に対する前記加圧接触力を、
前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する前記加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の振動体により移動体を所定の方向に移動させる振動型駆動装置を構成するに当たり、出力方向に寄与しない振動体の負荷を低減し、出力の低下を抑制することが可能となる振動型駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における振動型駆動装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例1における動型駆動装置に用いられている振動体を用いて直動方向に移動体を駆動させるときの基本構成を示した図。
【図3】振動型駆動装置の振動体による駆動原理を説明する図。
【図4】振動型駆動装置を駆動する回路のドライバ部の回路構成を示す図。
【図5】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段を含む振動体の構成を示す図。
【図6】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段で発生させる電流と電磁石により発生する振動体と移動体の加圧接触力の関係を示す図。
【図7】本発明の実施例1の振動型駆動装置における振動体部を4ヶ所に設けた制御回路ブロックの構成例を示す図。
【図8】本発明の実施例1の振動型駆動装置における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングを示す図。
【図9】本発明の実施例2における加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例を示す図。
【図10】本発明の実施例3における加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例3における振動波アクチュエータの出力と電流の関係を示す図。
【図12】本発明の実施例4における移動体を斜め方向に駆動するときの駆動イメージを示す図。
【図13】本発明の実施例4における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングを示す図。
【図14】実施例5の振動波アクチュエータ群の動作を示す図。
【図15】従来例である特許文献1における振動型駆動装置を用いた撮像装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
実施例1として、本発明における振動型駆動装置の構成例を、図1〜図4を用いて説明する。
図1(a)は本実施例の振動体を配置し振動型駆動装置における駆動力を発生させる側の上面図である。
図1(b)は上記振動体と摩擦接触し振動体の駆動力を得て移動する移動体側の下面図(図1(a)の振動体と対向する側)であり、図1(c)は上記駆動部と移動体が組み合わさったときの側面図である。
【0013】
まず、図2〜図4を用い、本実施例の振動型駆動装置に複数用いられる振動体部およびそれに加圧接触して移動する移動部について説明する。
図2は振動型駆動装置に用いられている振動体を用いて直動方向に移動体を駆動させるときの基本構成を示した図である。
図2において、本実施例の振動型駆動装置は、圧電素子部(電気−機械エネルギー変換素子)107と、接触部材である突起部108を有し、接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備えている。そして、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させるように構成されている。
本実施例では、図1に示されるように移動体はXY方向に移動できる必要があるため板状の形状になっている。
図3は振動型駆動装置の振動体による駆動原理を説明する図であり、圧電素子に電圧を印加することにより発生する二つの曲げ振動モードを表している。
図3(a)における振動モードは、二つの曲げ振動モードのうち一方の曲げ振動モード(Aモードとする)を表している。
このAモードは、矩形の振動体106の長辺方向(矢印X方向)における二次の屈曲運動であり、短辺方向(矢印Y方向)と平行な3本の節を有した曲げのモードである。
ここで、突起部108はAモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、Aモードの振動により突起先端部は矢印X方向に往復運動を行う。
図3(b)に示す振動モードは二つの曲げ振動モードの内他方の曲げ振動モード(Bモードと呼ぶ)を表している。
このBモードは、矩形の振動体106の短辺方向(矢印Y方向)における一次の屈曲振動であり、長辺方向(矢印X方向)と平行な2本の節を有したモードである。
ここで、Aモードにおける節とBモードにおける節は、XY平面内において略直交するようになっている。
また、突起部108はBモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、Bモードの振動により矢印Z方向に往復運動を行う。
上述したAモードとBモードの振動を所定の位相差で発生させることにより、突起部108の先端に楕円運動を発生させることができる。
突起部108の先端には図2に示すように、被駆動部であるスライダ116が加圧接触するようになっており、スライダ116は突起部108の先端部の楕円運動によって矢印L方向に移動することができる。
【0014】
図4は振動型駆動装置を駆動する回路のドライバ部の回路構成を示す図である。
図4の回路構成において、スイッチング回路はスイッチング素子にFET51〜58を用いている。
ここで、図4に示すようにA相パルスがHiになるとFET51、54がオンとなりA相から/A相に向かって電流が流れる。逆に/AパルスがHiになるとFET53、52がオンとなり/A相からA相に向かって電流が流れる。
B相に対しても同様に与えられたパルス信号に応じてFET55〜58がオンして振動体11に電圧を印加する構成となっている。
ここでAと/AおよびBと/Bはそれぞれ180°位相がずれておりパルス幅は等しいパルス信号となっている。
41、42はモータとのインピーダンスを整合させるインピーダンス素子である。
この例では41、42はインダクタンス素子である。ここで、不図示ではあるがインピーダンスを整合させるために容量素子を、振動体と並列に設けるケースもある。
このようにインピーダンス素子を41、42の位置に付加することでより低電圧でかつ高効率でモータを駆動することができる。
本実施例の振動型駆動装置では、上記振動体群を複数配置し、1つの移動体を駆動させるように構成されている。
【0015】
図1(a)において、11(a)〜11(d)は上記振動体部である。
この振動体部は、つぎの第1の振動体群と第2の振動体群を備える。
第1の振動体群は、振動体が発生する駆動力の方向が平行な2つの振動体11(a)、11(c)からなる。
また、第2の振動体群は、第1の振動体群が発生する駆動力とのなす角が90°の方向(直行する方向)の位置に平行に配置された2つの振動体11(b)、11(d)からなる。
なお、本発明はこのような4つの振動体の配置による構成に限定されるものではない。
例えば、3つの振動体により、第1の振動体と第2の振動体はそれぞれの駆動力の方向のなす角度が120°となる位置に配置し、第2の振動体と第3の振動体はそれぞれの駆動力の方向のなす角度が120°となる位置に配置するようにしてもよい。
13(a)〜(c)はエンコーダなどの位置検出センサであり図1(b)の移動体部にはセンサと対向する位置にスケール部14(a)〜(c)が矢印方向を検出できるように配置されている。
詳細は略すが、上記3つの位置検出センサ信号より移動体の移動量を検出し制御情報として不図示のマイクロコンピュータなどに取り込み駆動制御が実施される。
図1(b)の移動体は 該複数の振動体11(a)〜11(d)に接触し4つの振動体の駆動力の合成した方向に移動され、動作方向はXYおよびベース板中心から回転方向θに移動可能な構成が取られている。
また、移動体部4の振動体部11(a)〜11(d)に対向する部分には耐磨耗性の高い摩擦部15(a)〜15(d)が設けられている。
本実施例では摩擦部材15(a)〜15(d)を貼り付けた構成にしているが、移動体全体を耐磨耗性の高い部品にすることも可能である。
図1(c)において9は前記振動体11(a)〜(d)を固定する固定部、12は前記移動体部4と前記固定部9との間に配置されたボールである。
前記ボール12は固定部9に配置された複数の穴に納められており前記ボールが前記移動体部4の移動と共に回転することにより、前記移動体部4は面内に自在に駆動されかつ前記固定部9に対して常に一定の高さとなるように支持されている。また、前記振動体11(a)〜11(d)は後述する弾性部材を介して前記固定部9に接続されている。
【0016】
図5を用いて、電流による磁力の変更ができる磁力制御部を備え、該磁力制御部による磁力の増減に応じて加圧接触力を制御する加圧制御手段を含む振動体の構成例について説明する。
図5において100は振動体であり、図3に示したように金属などの弾性体である振動板106と、電気−機械エネルギー変換素子107とが接合されて構成されている。4は磁性体からなる移動体部である。
振動体100は、振動体の振動が伝わらないように工夫した状態で振動体保持部材20に接続されている。
前記振動体保持部材20には前記振動体100を介して前記振動体100が移動体部4の方向に吸引されるように電磁石21が設けられている。
さらに、前記振動体保持部20は弾性部材8を介して固定部9に接続されている。
そして、この弾性部材により、振動体の2つの突起を結んだ線と移動体接触面が平行になり電磁石21から得られる加圧接触力が均等に移動体4と振動体の2つの突起間に加えられるような構成になっている。
23は加圧制御手段であり電磁石21へ与える電流値を必要な加圧接触力に応じて決定させる演算部分と電流発生器から構成されている。この21と23により加圧設定部24が構成されている。
22は上記加圧制御手段23をコントロールし、加圧接触力を変化させるコントローラ部である。
【0017】
図6に、本実施例における加圧制御手段23で発生させる電流と電磁石21により発生する振動体と移動体の加圧接触力の関係を示す。
図6に示されるように、発生電流と加圧接触力が比例関係になっており、加圧を大きくしたいときは電流を増加させ、加圧を小さくしたいときは電流を減少させることで 必要とする加圧接触力に設定することが可能に構成される。
【0018】
図7を用いて、本実施例の振動型駆動装置における振動体部を4ヶ所に設けた制御回路ブロックの構成例について説明する。
加圧設定部24(a)〜24(d)も、振動体部11(a)〜11(d)にそれぞれ設けられており、それぞれの加圧接触力がコントローラ部22によってそれぞれ制御可能な構成になっている。
コントローラ部22はマイクロコンピュータなどの演算処理部であり、実際には加圧制御手段だけでなく装置全体の制御を行なう部分である。
61は発振器部、62、63、64、65は該発振器61に対しそれぞれ位相が異なる信号を出すための位相シフタである。66〜69は図4の回路で構成されたスイッチング回路部であり図1の11(a)〜11(d)の振動体部に接続される。
13(a)〜13(c)は上記X、Y方向の移動位置を検出するセンサである。例えば、センサ13(a)だと、図1(b)に示したスケール部14(a)が矢印に示した方向に移動することで移動量に応じた位置信号が得られる。
同様にセンサ13(b)はスケール部14(b)が、センサ13(c)はスケール部14(c)が矢印方向に移動することで移動量に応じた位置信号を出力する。
コントローラ部(演算処理部)22は、これらの13(a)〜13(c)のセンサから得られる位置信号を演算することで移動体4の移動位置が検出できるように構成されている。
この演算処理部22の結果から目標位置に対して現在位置がどの状態になっているかを判別し、目標位置に達するように61で発振周波数を決める。
そして、それぞれの振動アクチュエータに、用意された62〜65の位相シフタを介してドライバ回路66〜69に図4に示したA相パルス、/A相パルス、B相パルス、/B相パルス入力という形でそれぞれのドライバへ入力させる。
【0019】
図7において、振動体部11(a)を含む駆動部をMa、振動体部11(b)を含む駆動部をMb、振動体部11(c)を含む駆動部をMc、振動体部11(d)を含む駆動部をMdと称す。
図7のドライバ部66から振動体部11(a)には、つぎの4相の信号
Ma_A、Ma_/A、Ma_B、Ma_/Bが出力される。
また、ドライバ部67から振動体部11(b)には、
Mb_A、Mb_/A、Mb_B、Mb_/Bが出力される。
また、ドライバ部68から振動体部11(c)には、
Mc_A、Mc_/A、Mc_B、Mc_/Bが出力される。
また、ドライバ部69から振動体部11(d)には、
Md_A、Md_/A、Md_B、Md_/Bが出力される。
ここで、速度を変化させるパラメータとしてはそれぞれのモータに加える駆動周波数、駆動電圧、ABパルスの位相差、ABパルスのパルス幅などが選択できる。
24(a)〜24(d)が駆動部Ma〜Mdそれぞれに設けられた加圧制御手段であり、コントローラ部22から与えられた指令値によって電流値をコントロールし、移動体と振動体の接触部材との間の加圧接触力を変更させる。
【0020】
図8を用いて、本実施例における加圧制御手段に与える電流の動作タイミングについて説明する。
図8には、移動体の駆動方向における各加圧設定部の加圧制御手段に与える電流の関係が示されている。
横軸が時間で縦軸が電流値となっており、以下に示す動作によりt1〜t4区間のように電流値(加圧接触力)が増減されている。
ここで、本実施例における移動体部4を図1(a)のX方向に駆動するときの動作を説明する。
振動体部11(a)は矢印Fa方向の駆動力を発生し、振動体部11(c)は矢印Fc方向の駆動力を発生させる。
このとき、振動体部11(b)及び振動体部11(d)は駆動方向には力を発生できないので振動体部の接触部材と移動体部との間の接触力を弱め、接触による負荷が低減されるように加圧制御手段を操作する。
このように駆動に寄与しない振動体部の加圧を減らすことで振動体部11(a)と11(c)の駆動力が無駄なく前記移動体部4に伝わりX方向に駆動される。この状態が図8のt1区間で示されている。
どの方向にも駆動しないときは重力や外からの力によって移動体と振動体部との位置がずれないように摩擦力で保持されている状態が望ましい。
よって、このときの加圧制御手段23が電磁石21に与える電流はゼロではなく上記重力や外からの力が加えられても移動しない適度な加圧接触力が発生している状態の電流値が良い。この状態が図8のt2区間に示されている。
【0021】
次に、Y方向に駆動させたいときは逆に振動体部11(b)と11(d)とに駆動力を発生させるように加圧接触力を上げ、振動体部11(a)と11(c)は加圧を減らすもしくはゼロにすることでX方向駆動と同様に効率良く駆動することが可能である。この状態が図8のt3区間で示されている。
t4区間は上記t2と同じ停止状態を示している。
このように 駆動方向に応じて加圧接触力の大きさをコントロールすることで常に効率の良い駆動が実現できる。
また、X、Y方向とずれた斜め方向に駆動するときは振動体部11(a)と振動体部11(c)の駆動力の合成を力のベクトルFxとし、同様に振動体部11(b)と振動体部11(d)の駆動力の合成を力のベクトルFyとする。
これにより、各力のベクトルFxとFyとの合成により被駆動部4を任意の方向に駆動させることが可能となる。
ここで 加圧変更手段は駆動力が大きい方の加圧接触力を大きく、駆動力が小さい方の加圧接触力を小さくするように動作させることでそれぞれの振動体群に適切な駆動力や負荷を与えている。
図1(a)のX方向を0°、Y方向を90°としたとき、45度方向に駆動する場合は上記FxとFyの比が等しくなるように設定される。
このときの11(a)〜11(d)は4つで同じ力で駆動されるのでそれぞれの加圧接触力も同じに設定される。
60度方向に駆動するときにはX方向駆動とY方向駆動の駆動力が1:√3倍になるように加圧制御手段も設定される。
このときX方向駆動に使われる振動体部11(a)と11(c)の加圧はY方向駆動に使われる振動体11(b)と11(d)が出せる出力の1/√3のときに適した加圧接触力に設定する。
これにより振動体部11(a)と11(c)は必要な出力を出しつつ加圧が低く設定されていることにより振動体11(b)と11(d)の駆動を妨げないような負荷になっており、本駆動装置として効率良く斜め方向に駆動することが可能となる。
【0022】
ここで、出力とそのときに適する加圧接触力の関係は事前に測定されているなどして、各角度についてX方向駆動とY方向駆動の最適な加圧接触力が決められている。この加圧接触力を設定することで各駆動方向それぞれに適した駆動制御を実現することが可能である。
また、本実施例のように同じ駆動方向に複数の振動体群が設けられている場合、同じ方向の振動体部11(a)と11(c)および11(b)と11(d)を出力と加圧の関係がほぼ等しい振動体を用い同じ加圧設定にする。
これにより、4つそれぞれに出力と加圧の関係のテーブルを参照する制御に対し、11(a)と11(c)の群と11(b)と11(d)の群で同じ出力と加圧の関係のテーブルを用いて共有することで、制御アルゴリズムを簡略化することも可能となる。
また、本実施例は4振動体を用いた例を示しているが 従来例にあったような3振動体を用いた構成においても同様な加圧接触力調整手段を設けることで、負荷になる振動体の負荷量を減らすことが可能となる。
【0023】
[実施例2]
実施例2として、駆動電圧により伸縮する積層圧電素子による長さ制御部を備え、該長さ制御部による長さの増減に応じて加圧接触力を制御する加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例について、図9を用いて説明する。
実施例1では電磁石21に与える電流によって加圧接触力をコントロールしていたが、本実施例では加圧手段として積層圧電素子27を用いている。
ここで、図9に示される加圧制御手段の構成について説明する。
積層圧電素子27はベース部9に設けられており、電圧を印加することにより伸びる方向に力を発生する。
28は積層圧電素子27の伸び縮みによりストロークが変わることにより加圧接触力を変更し、かつ移動体4の接触面に振動体100における接触部材を構成する2つの突起が平行に当たるように、倣わせるためのバネ部材である。
29は上記圧電素子27に延び縮みさせるための電圧を供給する可変電圧電源である。
この電源から発生する電圧値はコントローラ部22から指令される。
30は移動体4の加圧接触力を受ける固定部材、31は加圧接触力を受けつつ移動方向には自由に動けるようにするためのボール部材である。
24’は上記積層圧電素子を用いた加圧機構部となっている。
このような構成において、圧電素子は電圧に応じて延びる方向に力を発生する特性を示し振動体100および保持部材20は移動体4に対し加圧接触力が発生する。このときの加圧接触力はあらかじめ測定された積層圧電素子27への印加電圧によって決まる。
加圧接触力の制御方法に関しては実施例1と同様であるので、説明は省略する。このように積層圧電素子で加圧機構を構成することにより、電磁石を使う必要が無くなるので、磁力の影響を受けると問題になる環境下でも加圧調整機構を用いることが可能となる。
【0024】
[実施例3]
実施例3として、加圧制御手段を含む振動型駆動装置の構成例について、図10を用いて説明する。
実施例1では、コントローラ部22は加圧制御手段23への加圧指令値をコントロールすることで加圧設定を実施しているが、それ以外にも振動波アクチュエータの速度制御などの駆動制御も同時に実施していた。
例えば、振動体部が4つある場合には振動体の駆動制御を実施する制御ブロック4つと加圧制御手段をコントロールするブロック4つが必要となっていた。
本実施例では、振動体それぞれに行なわれていた加圧制御手段の制御を、振動波アクチュエータの駆動電流を指令値として使うことにより省略するように構成されている。
【0025】
図11は、本実施例で用いられているアクチュエータ(振動体部)の速度などの出力と駆動回路に流れる駆動電流の関係を示したものである。
図1で示したように、移動体4をX方向に駆動するときは振動体11(a)、11(c)に大きな駆動力を発生させる必要がある。
このとき、振動体部には図11のf1の周波数の駆動電圧が加えられるが、この振動体部のインピーダンス変化により駆動電流も大きな値となる。
ここで 振動波アクチュエータを駆動する駆動電流は図10に示すように電源部32から加圧制御手段23を介して駆動回路25へと流れていく。
そして、最終的にはフレキシブル基板26などを介し振動体100へと与えられ振動体に駆動力が発生する。
加圧制御手段23では流れた電流値に比例して加圧接触力が増加するような構成になっている。
したがって、f1の周波数では流れる電流値が大きいので、加圧接触力も大きな値を示すようになっている。
【0026】
振動体11(b)、11(d)は逆に駆動方向となす角が90°なので、小さな駆動力を発生させるのみで良い。
よって、このとき振動体部にはf2の周波数の駆動電圧が加えられ、11(b)、11(d)駆動電流は駆動周波数がf1のときよりも小さな値になる。
そのとき、加圧制御手段23には小さな電流が流れ、電流値に比例して加圧接触力が増加するような構成になっているので加圧接触力は小さな値を示すようになっている。
このように、電源から加圧制御手段23を介して駆動回路への電流を供給する構成にすることで、自動的に加圧接触力が最適な値に設定でき コントローラ部22がわざわざ加圧制御手段へ指令を送る必要が無く、コントローラ部22の負担を大きく削減することが可能となる。
【0027】
[実施例4]
実施例4として、本発明における振動型駆動装置の構成例を、図12、図13を用いて説明する。
図12に実施例4の移動体4を斜め方向に駆動するときの駆動イメージを示す。図13に実施例4のときの4つの加圧制御手段へ与える電流値とそのタイミングを示す。
実施例1では斜め方向に駆動するとき振動体部11(a)と振動体部11(c)の駆動力の合成を力のベクトルFx、同様に振動体部11(b)と振動体部11(d)の駆動力の合成を力のベクトルFyとする。各力のベクトルFxとFyとの合成により被駆動部4を任意の方向に駆動させるという駆動方法を実施していた。
しかしながら、このような駆動方法では各振動体部の駆動方向と移動体4の移動方向とのなす角が0°に対し大きくなるため各振動体部の接触面ではすべることによる摩擦損失が生じ駆動効率が低下してしまう問題も生じている。
本実施例は、このような問題を解決するために、X方向駆動とY方向駆動の駆動タイミングをコントロールすることで、振動体部の駆動方向になす角が0°に近い振動体のみ駆動力を発生させ、なす角が90°に近い振動体の加圧接触力を下げる。
これにより、摩擦負荷を減らした状態の駆動をし、斜め方向駆動、すなわちすべりが発生する駆動をさせないようにするものである。
【0028】
つぎに、図12、図13を用いて、本実施例における電流の大きさを変更できる電流制御部を備え、該電流制御部による電流の大きさに応じて加圧接触力を制御するようにした構成例について説明する。
図13において縦軸は加圧制御手段へ与える電流値となり大きい程、加圧接触力が大きくなることを意味している。
逆に、電流値がゼロのところは加圧接触力がゼロになっているところである。
図12に示されるように移動体4をX方向とY方向のちょうど中間の45度方向に駆動させるとき、まずY方向にある位置分移動させる(t11)。
このとき、振動体部11(b)と振動体部11(d)には駆動させるための電圧が印加され同時に加圧接触力も大きくするように加圧制御手段の電流を大きくする。
【0029】
アクチュエータを駆動する電圧は図示していないが、図4で示したドライバ回路により4相駆動電圧が駆動力を必要とするそれぞれの振動体部に入力されている。
ここで、振動体部11(a)と振動体部11(c)は駆動力を必要とせず加圧の設定も小さくて良いので加圧制御手段の電流も小さな値となる。
次に、X方向にある位置分移動させる(t12)。
このとき振動体部11(a)と振動体部11(c)に駆動させるための電圧が印加され同時に加圧接触力も大きくするように加圧制御手段の電流を大きくする。振動体部11(b)と振動体部11(d)は駆動力を必要とせず加圧の設定も小さくなっている。
図12のt13〜t15のタイミングでは、上記t1、t2の動作を交互に繰り返して斜め方向の駆動を実現している。
t16は停止状態で移動体と振動体部との摩擦力で保持されている状態となっている。
したがって、このときの加圧制御手段に与える電流はゼロではなく振動体部と移動体を保持する適度な加圧接触力が発生している状態の電流値に設定されている。
【0030】
本実施例の説明では45度方向に駆動する例を示したのでX方向とY方向の駆動タイミングが1:1であった。
例えば、60度方向に駆動するときにはX方向駆動とY方向駆動の駆動時間を1:√3にすることで同じような効果を得ることができる。
また、他の角度についても同様にしてX方向駆動とY方向駆動の駆動時間の比と駆動方向を制御することで実現することが可能である。
【0031】
[実施例5]
実施例5として、本発明における複数の振動体中から加圧接触するものを選択し駆動させる構成を備え、移動体の位置に応じて加圧接触する振動体を選択して駆動させる振動型駆動装置の構成例を、図14を用いて説明する。
本実施例では、振動体部が縦横に等間隔で多数個配置されている。
このような構成にすることで移動体がXY平面上に大きく移動することが可能になる。
つぎに、本実施例における移動体を点p→q→rという順に移動させる動作について説明する。
ここで、振動体部の個々の名称は縦と横のライン名の重なったところにあるものを、その振動体の名称としている。
例えば、記号Pの位置にある振動体部を1Bと称す。
点p→点qに移動する動作では、つぎの動作1から動作5のように駆動する。
[動作1]:2A、2Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので加圧接触力大にして駆動させる。
1B、3Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作2]:2A、2C、4A、4Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
3Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作3]:4A、4Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので加圧接触力大にして駆動させる。
3B、5Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作4]:4A、4C、6A、6Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
5Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
[動作5]:6A、6Cが移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角がゼロなので、加圧接触力大にして駆動させる。
5B、7Bは移動体と接触し、かつ駆動方向と振動体の駆動する方向とのなす角が90°になるので、加圧接触力を小さくして駆動を妨げないようにする。
という順に駆動力および加圧接触力がコントロールされるように駆動する。
【0032】
点q→点rに移動する動作では、同様に考えて、つぎの動作6から動作10のように駆動する。
[動作6]:5B、7Bを加圧接触力大で駆動し、駆動6A、6Cを加圧接触力小で駆動する。
[動作7]:5B、7B、5D、7Dを加圧接触力大で駆動し、6Cを加圧接触力小で駆動する。
[動作8]:5D、7Dを加圧接触力大で駆動し、6C、6Eを加圧接触力小で駆動する。
[動作9]:5D、7D、5F、7Fを加圧接触力大で駆動し、6Eを加圧接触力小で駆動する。
[動作10]:5F、7Fを加圧接触力大で駆動し、6E、6Gを加圧接触力小で駆動する。
【0033】
このように、振動体部を多数配置し、駆動力を発生させかつ加圧接触力を大きくした駆動に用いる振動体部と加圧接触力を下げ駆動の負荷にならないようにした振動体部を選択する。
そして、これらを動作させることにより、多数の振動体部を配置した領域で移動体を自由な位置へ移動することが可能となる。
本実施例では 平行移動の動作を説明したが、ベクトルの合成もしくは実施例4に示したようにX駆動とY駆動を切り替える動作をさせることで斜め方向に大きな動作範囲で移動体を移動させることも可能である。
また、上記各実施例における移動体を、レンズを含む構造体で構成し、レンズの光軸に垂直な平面上を移動するように構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
4:移動体部
8:弾性部材
9:固定部
11(a)〜11(d):振動体部
12:ボール
13(a)〜13(c):位置検出センサ
14(a)〜14(c):スケール部
15(a)〜15(d):摩擦部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と接触部とを含む弾性体を有し、前記接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備え、
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、該異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
前記複数の振動体における接触部材と、移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
前記加圧制御手段は、
前記移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせる振動体に対する前記加圧接触力を、
前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する前記加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御可能に構成されていることを特徴とする振動型駆動装置。
【請求項2】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が、90°に近づくほど前記加圧接触力を小さい加圧接触力に制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項3】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が、0°に近づくほど前記加圧接触力を大きい加圧接触力に制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項4】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が等しいものには同じ加圧接触力で加圧制御することを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項5】
前記加圧制御手段は、電流による磁力の変更ができる磁力制御部を備え、該磁力制御部による磁力の増減に応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項6】
前記加圧制御手段は、駆動電圧により伸縮する積層圧電素子による長さ制御部を備え、該長さ制御部による長さの増減に応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項7】
前記加圧制御手段は、電流の大きさを変更できる電流制御部を備え、該電流制御部による電流の大きさに応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項8】
前記複数の振動体中から加圧接触するものを選択し駆動させる構成を備え、移動体の位置に応じて加圧接触する振動体を選択して駆動させることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項9】
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が平行な2つの振動体で構成されている第1の振動体群と、
前記第1の振動体群と発生する力の方向が直行する方向の位置に平行に配置された、2つの振動体で構成されている第2の振動体群と、
を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項10】
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向がそれぞれ異なる位置に配置された、第1の振動体と第2の振動体と第3の振動体による3つの振動体を備え、
前記第1の振動体と前記第2の振動体とは、それぞれの楕円運動によって発生する力の方向のなす角度が120°となる位置に配置され、
前記第2の振動体と前記第3の振動体とは、それぞれの楕円運動によって発生する力の方向のなす角度が120°となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1、5から8のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項11】
前記移動体は、レンズを含む構造体で構成され、該レンズの光軸に垂直な平面上を移動することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項1】
少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と接触部とを含む弾性体を有し、前記接触部材に楕円運動が生成可能に構成された振動体を複数備え、
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が異なる位置に配置され、該異なる方向の力が合成された所定の移動方向に、該振動体の接触部材を介して接触している移動体を移動させる振動型駆動装置であって、
前記複数の振動体における接触部材と、移動体との間の加圧接触力を制御する加圧制御手段を備え、
前記加圧制御手段は、
前記移動体を移動させる方向とのなす角が、所定の角度より大きい方向に駆動力を生じさせる振動体に対する前記加圧接触力を、
前記移動体を移動させる方向に駆動力を生じさせている振動体に対する前記加圧接触力よりも小さい加圧接触力で制御可能に構成されていることを特徴とする振動型駆動装置。
【請求項2】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が、90°に近づくほど前記加圧接触力を小さい加圧接触力に制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項3】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が、0°に近づくほど前記加圧接触力を大きい加圧接触力に制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項4】
前記加圧制御手段は、前記移動体を移動させる方向とのなす角が等しいものには同じ加圧接触力で加圧制御することを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項5】
前記加圧制御手段は、電流による磁力の変更ができる磁力制御部を備え、該磁力制御部による磁力の増減に応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項6】
前記加圧制御手段は、駆動電圧により伸縮する積層圧電素子による長さ制御部を備え、該長さ制御部による長さの増減に応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項7】
前記加圧制御手段は、電流の大きさを変更できる電流制御部を備え、該電流制御部による電流の大きさに応じて前記加圧接触力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項8】
前記複数の振動体中から加圧接触するものを選択し駆動させる構成を備え、移動体の位置に応じて加圧接触する振動体を選択して駆動させることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
【請求項9】
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向が平行な2つの振動体で構成されている第1の振動体群と、
前記第1の振動体群と発生する力の方向が直行する方向の位置に平行に配置された、2つの振動体で構成されている第2の振動体群と、
を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項10】
前記複数の振動体は、前記楕円運動によって発生する力の方向がそれぞれ異なる位置に配置された、第1の振動体と第2の振動体と第3の振動体による3つの振動体を備え、
前記第1の振動体と前記第2の振動体とは、それぞれの楕円運動によって発生する力の方向のなす角度が120°となる位置に配置され、
前記第2の振動体と前記第3の振動体とは、それぞれの楕円運動によって発生する力の方向のなす角度が120°となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1、5から8のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【請求項11】
前記移動体は、レンズを含む構造体で構成され、該レンズの光軸に垂直な平面上を移動することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−221308(P2011−221308A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90903(P2010−90903)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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