説明

振動検出装置

【課題】外力が加わった場合に、どのような行為による外力か判別できる振動検出装置供する。
【解決手段】物体に加えられた圧力の変化を電圧に変換して出力する検出部20と、検出部20より出力された電圧が計測される計測部30とからなる振動検出装置1であって、計測部30は、複数の周波数帯域の電圧を別々に通過させるフィルタ手段34(例えば2種類のデジタルバンドパスフィルタ)を備え、フィルタ手段34を通過した複数の周波数帯域の電圧を別々の信号として出力することによって外力の種類が判別可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体に加えられた圧力を電気信号に変換して出力するセンサが知られている。例えば、特許文献1には窓用防犯装置に用いられる振動検出装置として、圧電素子によって加えられた圧力を電圧に変換し、該電圧を増幅回路によって増幅し、雑振動ノイズ成分をフィルタ回路によって減衰させるものがある。
【0003】
このような振動検出装置によれば外力の変化を単純な電圧値の変化として検知することができ、例えばガラス板に取り付けた場合には、雑振動ノイズを減衰しているため雑振動による誤作動が防止され、ガラス板の開閉、破壊、打撃等による振動が閾値以上のときに異常として検出することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第2620211号公報(段落0008〜0011)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、圧電素子の電圧の大きさは振動の「大きさ」のみに比例し、その種類(衝撃、歪み等)とは関係がないため、上記のように外力を単純に電圧に変換するのみでは、振動検出装置を取り付けた物体に一定以上の外力が加わったことは検知できても、その外力がどのような事象に起因するものか区別することはできなかった。
【0006】
そのため、窓の開閉による比較的小さな振動の大きさを基準にして閾値を設定すると、ガラスを軽く叩いたときに生じる小さな衝撃でも異常として検知してしまう虞が生じる。また、窓の破壊等による比較的大きな振動の大きさを基準にして閾値を設定すると、窓の開閉のような小さな振動を異常として検知できない虞が生じる。
【0007】
本発明は上記背景より、外力が加わった場合に、どのような行為による外力か判別できる振動検出装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による振動検出装置は、物体に加えられた圧力の変化を電圧に変換して出力する検出部と、該検出部より出力された電圧が計測される計測部とからなり、前記計測部は、前記検出部より出力された電圧から、少なくとも前記物体に徐々に加えられた圧力に対応する第1の周波数帯域の電圧と、前記物体に急速に加えられた圧力に対応する第2の周波数帯域の電圧とを別々に通過させるフィルタ手段と、前記第1の周波数帯域の電圧及び前記第2の周波数帯域の電圧と、前記周波数帯域毎に設定された標準的な閾値とを比較する比較手段と、前記電圧が前記閾値以上であるとき、異常検知信号を出力する出力手段とを備え、前記比較手段は、前記第1の周波数帯域の電圧が前記第1の周波数帯域に対応する前記標準的な閾値を超えたことを契機に、前記第1の周波数帯域の電圧を前記第1の周波数帯域に対応する標準的な閾値より低い閾値で比較することを特徴とする。
また、前記検出部はユニモルフ圧電素子またはバイモルフ圧電素子によって構成されることを特徴とする。
【0009】
圧電素子等の検出部に外力が加わった場合、その外力の種類(加わり方)によって検出部の振動が異なり発生する電圧の周波数特性が変化する。例えば、打撃のように外力を急速に加えた場合には比較的高い第2の周波数帯域の電圧が発生するし、じわじわと歪ませるように徐々に外力を加えた場合には比較的低い第1の周波数帯域の電圧が発生する。
【0010】
そこで、計測部においてフィルタ手段を用いて圧電素子から発生する電圧を外力の種類に対応する周波数帯域ごとに取り出すことによって外力の種類が判別可能となる。例えば、高い周波数の電圧が計測されれば打撃等が与えられたと判別でき、低い周波数の電圧が計測されれば歪み等の外力が与えられたと判別できる。これにより周波数帯域ごとに異なる電圧の閾値を設けておけば、外力の種類を検出することが可能となる。これは、周波数帯域によって外力の種類を検出することができても、閾値を設けていなければ検出対象となる外力と同等の周波数帯域からなる余計な外力(ぶつかったりして偶然発生した弱い衝撃等)をも検出してしまい、外力の種類によって外力の大きさ、換言すれば外力に起因する電圧を比較するための適切な閾値も異なるからである。つまり、検出したい目標外力以外の余計な外力を除去すべく、周波数帯域毎に(外力の種類ごとに)閾値が設けられる。例えば、打撃等の急速に加えられる外力の標準的な閾値は、ドライバの挿入等の徐々に加えられる外力の標準的な閾値より低い。
【0011】
さらに、比較手段は、第1の周波数帯域の電圧が第1の周波数帯域に対応する標準的な閾値(実施の形態において高閾値)を超えたことを契機に、第1の周波数帯域の電圧を第1の周波数帯域に対応する標準的な閾値より低い閾値(実施の形態において低閾値)で比較することによって、検出できる歪み等の徐々に加えられる外力の大きさの範囲が拡大される。すなわち、相対的に大きな歪み等の外力(例えば、故意のドライバの挿入等)をトリガとして、相対的に小さな歪み等の外力を検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
検出部によって外力を電圧に変換し、該電圧が計測部によって複数の周波数帯域ごとの信号として出力されるので、各周波数帯域に対応した外力(例えば急速に与えられる外力や徐々に与えられる外力)がどの程度加えられているかが認識できる。さらに、周波数の低い第1の周波数帯域の電圧が第1の周波数帯域に対応する標準的な閾値を超えると、閾値は低くなるので、歪み等によって対象物が中長期的に減衰しながら変形している場合でも、追従して外力が与えられていることを認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。便宜上、特に断りがない限り同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図1(a)に振動検出装置1における検出部20の平面図を、(b)に側面図を示す。振動検出装置1に用いられる圧電素子10は、ユニモルフ圧電素子であり、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミック10aの両面に電極10b,10cが形成された構造を有し、本実施例においては、圧電セラミック10aは直径が約9mm、厚さが約0.1mmの円板状であり、電極10b,10cは直径が約8mmの円形である。上記圧電素子10は一方の面(電極10c側)が黄銅、ステンレス等の金属板12に接着されており、これによって振動を検出する検出部20が構成される。なお、本実施例において、金属板12は直径が約12mmの円形であり厚さが約0.1mmである。
【0014】
検出部20は、金属板12が図2(a)に示す方向に屈曲し圧電素子10が径方向に伸びたときと、金属板12が図2(b)に示す方向に屈曲し圧電素子10が縮んだときとで発生する電圧の印加方向が逆になるため、検出部20が振動することによって金属板12が図2(a)の状態の変形と図2(b)の状態の変形とを交互に繰り返すと振動に応じた周波数の電圧を発生する。そのため、検出部20で発生する電圧を計測することで、検出部20がどのように変形又は振動しているかが判別できる。変形又は振動は、何らかの外力によって発生するので、変形等を判別するということは、検出部20にどのような外力が加えられたかを判別すると捉えることもできる。したがって、例えば、金属板12に外力が徐々に加えられると、周波数の低い電圧が発生し、外力が急速に加えられると周波数の高い電圧が発生する(図5、図6参照)。ここで、徐々に加えられる外力と急速に加えられる外力とが同時に発生すると、周波数の低い電圧と周波数の高い電圧とが合成された電圧が計測される。
【0015】
検出部20は、金属板12側がガラスエポキシ基板等の回路基板14に接着される(図4参照)。該回路基板14には検出部20において発生した電圧からノイズ成分をカットするためのフィルタ回路22、該フィルタ回路22を通過した電圧信号を増幅させる増幅回路24、該増幅回路24によって増幅された電圧信号の電圧値から予め設定された複数の周波数帯域毎の電圧値を計測すると共に、周波数帯域毎に所定の大きさの変形の有無を判定することで正常異常を検知する計測部30及び計測部30から検知結果を示す信号を出力する出力コネクタ28が設けられる(図3参照)。このように同一の回路基板14に検出部20、フィルタ回路22、増幅回路24及び計測部30を一体的に設けることによって、配線等によるノイズが少なく、高い精度のセンシングができる。また、コンパクトな振動検出装置となり、ユニット化が容易となる。また、検出部20が回路基板14に実装されることにより、振動検出装置1がセンシングの対象物に装着された際に、検出部20を対象物に直接装着するよりも対象物の固有振動による影響を受け難くなる。
【0016】
検出部20の表面側の電極10bと金属板12とにそれぞれリード線(図示省略)が付けられ、該リード線はフィルタ回路22に入力されるように連結される。検出部20の接着にはエポキシ系の接着剤のように接着後の硬度が高いものを使用することにより、接着剤によって振動が吸収されてしまうことを抑えることができる。また、回路基板14上に検出部20,フィルタ回路22,増幅回路24及び計測部30を実装する際に、検出部20の周囲2mm以内に他の回路等(フィルタ回路22,増幅回路24及び計測部30)を配置しないことが好ましい。これは、他の回路等を配置することによって余計なノイズが発生するのを抑制するためである。
【0017】
フィルタ回路22は計測に必要のない周波数成分(ノイズ)をカットし、計測に必要な周波数成分のみを濾波するためのものである。本実施例においてはハイパスフィルタとローパスフィルタとからなり、これによって検出部20で発生した電圧から計測に必要ない成分をカットしている。なお、フィルタ回路22は、例えばコンデンサ及び抵抗によって構成される。
【0018】
増幅回路24の電圧増幅率は適宜変更可能であり、取付対象や取付位置により検出部で発生する電圧が高い場合には電圧増幅率がそれほど大きくない倍率、例えば3〜5倍程度とし、検出部で発生する電圧が低い場合には電圧増幅率を例えば20倍程度と大きくすることができる。なお、増幅回路24は、例えばオペアンプ及び抵抗を用いて構成される。
【0019】
計測部30は入力された電圧から複数種類の周波数帯域の電圧値を計測し、それぞれの計測値が各周波数に対応した閾値を超えているか否かを判定する。
計測部30は、入力されるアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換するA/D変換手段32、A/D変換手段32によって変換された電圧信号から計測対象となる周波数帯域の電圧信号を濾波し、デジタルフィルタで構成されるフィルタ手段34及び該フィルタ手段34が濾波した電圧信号に係る電圧値を閾値と比較し比較結果を出力する比較手段36からなる。
【0020】
また、計測部30は、例えばフィルタ手段34及び比較手段36の機能を実現するプログラムを記憶するROM30a、ROM30aに記憶されたプログラムに基づいて演算処理を実行するCPU30b及びCPU30bの演算処理におけるデータのワークエリアとして機能するRAM30cを備えたワンチップマイコン等によって構成される。ROM30aには、後述するように、第1の検知処理を実行する第1の検知処理プログラムP1及び第2の検知処理を実行する第2の検知処理プログラムP2が記憶されている。また、RAM30cは、後述するように、第1の閾値変更フラグを記憶する第1の閾値変更フラグ記憶領域及び第2の閾値変更フラグを記憶する第2の閾値変更フラグ記憶領域を有する。
【0021】
例えば、2種類の周波数帯域について計測を行う場合、計測部30に入力されA/D変換された電圧信号に基づいて、第1のデジタルフィルタ34aが第1の周波数帯域の電圧信号を濾波してその電圧値を計測し、第2のデジタルフィルタ34bが第2の周波数帯域の電圧信号を濾波してその電圧値を計測する。そして、第1の比較手段36aが第1のデジタルフィルタ34aによって濾波された第1の周波数帯域の電圧信号に係る電圧値を監視しながら、第1の周波数帯域に対応し、予め設定された第1の閾値と比較する。一方、第2の比較手段36bが第2のデジタルフィルタ34bによって濾波された第2の周波数帯域の電圧信号に係る電圧値を監視しながら、第2の周波数帯域に対応し、予め設定された第2の閾値と比較する。ここで、各比較手段36a、36bが電圧値と閾値とを比較した結果、電圧値が閾値を超えるということは、各比較手段36a、36bが閾値に対応した変形量(振幅)の変形(振動)を検知したことを意味する。
【0022】
そして、これらの比較した結果に応じて信号が出力される。例えば、計測された電圧値が閾値を超えた場合にはその旨を示す、すなわち、閾値を超える程度の変形(所定の変形)が検知されたことを示す異常検知信号が出力される。つまり、この異常検知信号が出力されることによって、電圧値が閾値を超える程度の変形が発生したことが出力先に報知される。
一方、計測された電圧値が閾値を超えない場合にはその旨を示す信号、すなわち、閾値を超える程度の変形はなかったことを示す正常検知信号が出力される。このため、振動検出装置1からの出力線を断線する等の不正が行われた場合には、振動検出装置1の出力先において、一切の信号が受信できないことをもって断線等を検知することができる。なお、閾値との比較結果に関係なく常に一定のパルス信号を出力する構成としても良い。
【0023】
図5及び図6は、それぞれ振動検出装置1に外力を加えたときに検出部20において発生する電圧の時間変化を示すものである。図5がじわじわと歪ませるように外力を徐々に加えた場合(歪み)であり、図6が打撃のように外力を急速に加えた場合(叩き)である。ここで、歪みの場合には比較的低い周波数である0.1Hz〜10Hzの周波数帯域の電圧信号、特に1Hz〜5Hzにおいて特徴的に電圧信号が発生する。また、叩きの場合には比較的高い周波数である10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号、特に20Hz〜40Hzにおいて特徴的に電圧信号が発生する。
【0024】
したがって、例えば、歪みと叩きとを計測する場合には、第1のデジタルフィルタ34aが濾波する第1の周波数帯域を0.1Hz〜10Hzとし、第2のデジタルフィルタ34bが濾波する第2の周波数帯域を10Hz〜40Hzと設定することができる。また、さらに高精度で歪みと叩きとを判別したい場合には、第1のデジタルフィルタ34aが濾波する第1の周波数帯域を1Hz〜5Hzとし、第2のデジタルフィルタ34bが濾波する第2の周波数帯域を20Hz〜40Hzと設定すればよい。
【0025】
ここで、歪みと叩きとで、すなわち、相対的に周波数の低い第1の周波数帯域の電圧信号と相対的に周波数の高い第2の周波数帯域の電圧信号とで、歪み又は叩きが発生したことを判断するための基準的な電圧値が異なる場合は、周波数帯域毎に閾値を設定することで、歪みや叩き等の周波数帯域によって分けられた振動要因を検知することができる。すなわち、一つの振動検出装置1によって、複数の外力の発生を同時に検知することができる。
【0026】
また、本実施の形態において、第1の比較手段36a及び第2の比較手段36bは、所定条件が成立すれば、電圧値を比較するための閾値を変更する。すなわち、閾値(第1の閾値及び第2の閾値)は、通常時に用いられる標準的な高閾値(第1の高閾値及び第2の高閾値)と、各比較手段36a、36bによって高閾値と比較された結果、計測された電圧値が高閾値を超えたと判定されたことを条件に所定期間用いられる、低閾値(第1の低閾値及び第2の低閾値)とで構成される。
【0027】
ここで、低閾値は高閾値より低く設定されている。これは、例えば対象物に外力が付加される場合、最初は大きく変形(振動)しても、外力が除去された後はその変形量(振幅)は時間の経過と共に小さくなり、計測される電圧値の絶対値も全体的に時間の経過と共に低くなっていくので、1回目の変形を検知することができても、2回目以降の変形まで検知することができないことがあるからである。高閾値から低閾値に変更して閾値を下げることによって2回目以降の変形をも追従することで、変形による異常の検知及び報知を正確に行うことができる。
【0028】
また、出力先にセンシング対象の所定の変形を検知する目的が不正行為の報知である場合、不正行為者は、不正行為が行われたことが一度報知されれば、不正行為の報知を回避するためにその不正行為の程度を弱める。具体的には、例えば、不正行為が叩きであれば、一度報知された後には叩く度合い(対象物に与える外力)を弱める。したがって、叩きに対応する所望の変形が発生した一度判定されれば、閾値を下げることによって、二次的な不正行為も報知することができる。本実施の形態では、比較手段36a、36bは二次的な不正行為までを対象としているが、三次的、四次的な不正行為まで追従できように設定しても良い。
【0029】
次に、計測部30による処理手順を説明する。最初に、A/D変換器32で変換されたデジタル電圧信号を予め設定された所定の時間間隔でRAM30cの所定領域に記憶し、つまり、電圧信号の電圧値を時間に対応付けて記憶する。このデータに基づいて、第1の周波数帯域の電圧信号に対応した所定の変形の有無を判定する第1の検知処理、及び第2の周波数帯域の電圧信号に対応した所定の変形の有無を判定する第2の検知判定処理を実行する。
【0030】
(第1の検知処理)
計測部30のCPU30bは、まず、ROM30aから第1の検知処理プログラムP1を読み出して、図7に示す第1の検知処理を行う。
【0031】
(ステップS101)
最初に、RAM30cに記憶したデータに基づいて所定の解析を行うことによって、複数の周波数帯域で合成された電圧信号から第1の周波数帯域の電圧信号のみを濾波すると共に、この電圧信号の電圧値を時間に対応付けてRAM30c等の所定の記憶領域に記憶する。
【0032】
(ステップS102)
次に第1の閾値変更フラグがONされているか否かを判定する。第1の閾値変更フラグは、後述するように、第1の周波数帯域の電圧信号に係る電圧値(以下、第1の電圧値という)が第1の高閾値を超えたことを条件に第1の閾値変更フラグ記憶領域に記憶される。
【0033】
(ステップS103)(ステップS110)
ステップS102で第1の閾値変更フラグがONされていないと判断された場合、第1の電圧値が第1の高閾値を超えているか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、第1の高閾値を超えていないと判定された場合、第1の正常検知信号を出力して(ステップS110)、当該処理を終了する。
【0034】
(ステップS104)(ステップS105)(ステップS106)
ステップS103で第1の高閾値を超えていると判定された場合、第1の閾値変更フラグを第1の閾値変更フラグ記憶領域にON(記億)する(ステップS104)。続いて、例えばタイマ機能を作動させて、第1の閾値変更フラグをONする期間(図ではフラグON期間)の計測を開始する(ステップS105)。続いて、第1の異常検知信号を出力する(ステップS106)。
【0035】
(ステップS107)(ステップS108)
ステップS102で第1の閾値変更フラグがONされていると判定された場合、上記のフラグON時間が終了したか否かを判定する(ステップS107)。
フラグON時間が終了したと判定されれば、第1の閾値変更フラグをOFFして(ステップS108)、ステップS109へ進む。
フラグON時間が終了していないと判定されれば、そのままステップS109へ進む。
【0036】
(ステップS109)
ここでは、第1の電圧値が第1の低閾値を超えているか否かを判定する。
第1の低閾値を超えていないと判定された場合、第1の正常検知信号を出力して(ステップS110)、当該処理を終了する。
第1の低閾値を超えていると判定された場合、第1の異常検知信号を出力して(ステップS106)、当該処理を終了する。
【0037】
(第2の検知処理)
計測部30のCPU30bは、次にROM30aから第2の検知処理プログラムP2を読み出して、図8に示す第2の検知処理を行う。
【0038】
(ステップS201)
最初に、RAM30cに記憶したデータに基づいて所定の解析を行うことによって、複数の周波数帯域で合成された電圧信号から第2の周波数帯域の電圧信号のみを濾波すると共に、この電圧信号の電圧値を時間に対応付けてRAM30c等の所定の記憶領域に記憶する。
【0039】
(ステップS202)
次に第2の閾値変更フラグがONされているか否かを判定する。第2の閾値変更フラグは、後述するように、第2の周波数帯域の電圧信号に係る電圧値(以下、第2の電圧値という)が第2の高閾値を超えたことを条件に第2の閾値変更フラグ記憶領域に記憶される。
【0040】
(ステップS203)(ステップS210)
ステップS202で第2の閾値変更フラグがONされていないと判断された場合、第2の電圧値が第2の高閾値を超えているか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、第2の高閾値を超えていないと判定された場合、第2の正常検知信号を出力して(ステップS210)、当該処理を終了する。
【0041】
(ステップS204)(ステップS205)(ステップS206)
ステップS203で第2の高閾値を超えていると判定された場合、第2の閾値変更フラグを第2の閾値変更フラグ記憶領域にON(記億)する(ステップS204)。続いて、例えばタイマ機能を作動させて、第2の閾値変更フラグをONする期間(図8ではフラグON期間)の計測を開始する(ステップS205)。続いて、第2の異常検知信号を出力する(ステップS206)。
【0042】
(ステップS207)(ステップS208)
ステップS202で第2の閾値変更フラグがONされていると判定された場合、上記のフラグON時間が終了したか否かを判定する(ステップS207)。
フラグON時間が終了したと判定されれば、第2の閾値変更フラグをOFFして(ステップS208)、ステップS209へ進む。
フラグON時間が終了していないと判定されれば、そのままステップS209へ進む。
【0043】
(ステップS209)
ここでは、第2の電圧値が第2の低閾値を超えているか否かを判定する。
第2の低閾値を超えていないと判定された場合、第2の正常検知信号を出力して(ステップS210)、当該処理を終了する。
第2の低閾値を超えていると判定された場合、第2の異常検知信号を出力して(ステップS206)、当該処理を終了する。
【0044】
なお、第1のデジタルフィルタ34a及び第2のデジタルフィルタ34bを濾波した電圧信号をそのまま(又はD/A変換して)別々に出力し、出力先に設けられた比較手段によって閾値を超えたか判定しても良い。この場合、ノイズ等の何らかの電圧が常に出力されているため、上記のように常に一定の信号を出力することは必ずしも必要ではない。
【0045】
また、計測部30にフィルタ手段34を設ける方法を示したが、他の方法として、検出部20によって発生した電圧を分岐させ、一方に対して第1のフィルタ回路(バンドパスフィルタ)を、他方に対して第2のフィルタ回路(バンドパスフィルタ)を通過させ2種類の周波数帯域の電圧を別々に得て、それぞれに対して比較手段36a、36bを設けて閾値を超えたか判定しても構わない。
【0046】
検出部20、フィルタ回路22、増幅回路24及び計測部30が固定された回路基板14は例えば、プラスチック等を凹状に形成した箱部41と該箱部41に嵌合する蓋部45とからなるケース40で覆われる(図4参照)。回路基板14の対角線上の隅部にはそれぞれ貫通孔14a,14bが設けられており、箱部41及び蓋部45にも回路基板14の貫通孔14a,14bに対応した部分に貫通孔41a,41b,45a,45bが設けられる。箱部41側の貫通孔41a,41bは箱部41の底面から上側に突設する柱状部42a,42bの中央に穿設され、蓋部45側の貫通孔45a,45bは蓋部45の裏側から下側に突設する柱状部46a,46bの中央に穿設される。これにより回路基板14がケース40に覆われた場合には、回路基板14は箱部41の柱状部42a,42bと蓋部45の柱状部46a,46bとによって挟持される。また、貫通孔45a,14a,41aが貫通し、貫通孔45b,14b,41bが貫通するため、2本のネジによってケース40と回路基板14とを対角線上で固定することができる。なお、箱部41には回路基板14に設けられた出力コネクタ28に相当する位置に貫通孔47が設けられる。該貫通孔47は箱部41に回路基板14が納められた状態で出力コネクタ28によって塞がれる。
【0047】
このように回路基板14をケース40で覆うことによって、検出部20がケース40によって外部から遮断されるため、外部の空気が検出部20に対して影響を及ぼさない。なお、ケース40を用いない場合には、空気による影響を受けないようにするために、検出部20をエポキシ樹脂等によって被覆することが好ましい。なお、被覆したものをケース40で覆っても良いし、ケース40内に回路基板14を収納した状態でエポキシ樹脂等を充填しても良く、この場合、ケース内の空気とも遮断されるため空気による影響を受けなくなる。なお、被覆及び充填のための材料は適宜変更可能である。
【0048】
ケース40に覆われた振動検出装置1の対象物への取り付けは、ケース40と対象物とを接着しても構わないが、ケース40及び回路基板14に設けられた貫通孔によってネジ留めすることが好ましい。回路基板14が箱部41及び蓋部45に挟持されることで対象物の振動や歪みはケース40を介して回路基板14に伝導するが、ネジ留めすることによって対象物の歪みや振動がネジから回路基板14に直接伝導することになり、検出の精度が高くなる。また、ネジ留めのための貫通孔が対角線上に設けられているため回路基板14に振動が伝わりやすい。
【0049】
2種類の周波数帯域について計測を行う場合を示したが、これに限られず、3種類以上の周波数帯域について計測することができる。この場合、例えばデジタルフィルタ及び判定手段の数を増加させることで実現できる。
【0050】
圧電素子10としてユニモルフ圧電素子を例に挙げて説明したが、これに限られず、バイモルフ圧電素子を用いることも可能である。バイモルフ圧電素子は、金属板の両面に圧電素子をそれぞれ接着した構造であり、ユニモルフ圧電素子と同様に振動等による外力の変化に応じて電圧を出力する。
【0051】
(実施例1)
振動検出装置1をパチンコ機の不正防止に利用した例を示す。図9乃至図11にパチンコ機の構成を示す。パチンコ機100の遊技盤101の外周部分には遊技領域103の周囲を囲む形状で、遊技盤101から遊技者側に突出する形状の枠部材(ガラス枠)110が配置される。該枠部材110は、遊技領域の前方に位置するように中央部にガラス板を支持し、上側と下側には複数のライト112を備えた演出ライト111(ランプユニット)が設置される。各ライト112はパチンコ機100の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、演出ライト111内のモータ(図示省略)による駆動によって光の照射方向が上下方向に変更自在になっている。各ライト112は演出ライト111内の別のモータにより、照射位置がパチンコ機100を基準にして円をなしてパチンコ機の周囲を照射可能なように光の照射方向が回転自在にもなっている。
【0052】
枠部材110の下方位置には、発射部292を備える操作ハンドル113が配置され、発射部292の駆動によって発射された遊技球がレール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、遊技球を不特定の方向に向けて落下させるための図示しない複数の釘に加え、遊技球の落下方向を変化させる風車や入球口が配置されている。
【0053】
遊技領域103の中央部分には例えば液晶表示器(LCD)を用いた図柄表示部104が配置される。図柄表示部104の下方には遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置され、第1始動口105の下方には一対の可動片を有する第2始動口120が配置される。第2始動口120は一対の可動片が閉状態のときに遊技球の受入れを困難にし、開状態のときに第1始動口105よりも遊技球の受入れを容易にする。
【0054】
図柄表示部104の左側には、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うための入賞ゲート106が配置される。入賞ゲート106の下方位置等には、遊技球が入球したときに所定数(例えば10個)の賞球払い出しの権利を獲得する普通入賞口107が配置される。遊技領域103の最下部にはどの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が配置される。
【0055】
図柄表示部104は第1始動口105、または第2始動口120に遊技球が入球したときに複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間経過後に当該装飾図柄の変動を停止させる。停止時に特定図柄(例えば「777」)が揃えば、大当たり遊技(長当たり遊技)を実行する権利を獲得したこととなり、その後、大当たり遊技(長当たり遊技)が開始される。大当たり遊技(長当たり遊技)が開始されると、遊技領域103の下方に位置する大入賞口ユニット109における開閉扉109aが一定時間、開放する動作を所定回数(例えば15回)繰り返し、入球した遊技球に対応する賞球が払い出される。
【0056】
枠部材110の下側には、図示しない貸し玉装置から貸し出される遊技球が供給される受け皿ユニット119が設置される他、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は遊技盤101から遊技者側へ突出し、上記発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に遊技者によって操作される。
【0057】
操作ハンドル113は上記発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は操作ハンドル113の外周部に、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられ、遊技者によって直接操作されているときに発射部に遊技球発射の指示を与える。
【0058】
図柄表示部104の上側及び側方には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115、116が配置される。演出役物115は例えばソレノイドによって駆動され、演出役物116はモータによって駆動される。同様の演出役物115、116を異なる種類の駆動源によって駆動することにより、演出役物115、116それぞれに独自の動きを生じさせることができ、演出効果が高められている。
【0059】
枠部材110の下側にはまた、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が配置される。チャンスボタン117の操作は例えば遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
【0060】
枠部材110は、その一端側(正面からみて左端側)が連結部材122によって回動可能に外枠123と連結され外枠123に対して開閉可能となっており、他端側には枠部材110と外枠123とを固定するためのロック機構124が設けられる。該ロック機構による固定は専用のカギによって解除可能となっている。枠部材110の裏側はガラス板固定フック125が設けられており、ガラス板126が着脱可能となっている。枠部材110の裏側上部には左右にわたって板状に形成された鉄板127が設けられており、枠部材110の強度を補強している。
【0061】
パチンコ機100の外枠123の内周面には遊技盤保持枠128が当接して設けられ、該遊技盤保持枠128には遊技盤101を保持するための遊技盤固定フック128a及び遊技盤保持爪128bが設けられる。枠部材110が閉じた状態において、外枠123及び枠部材110は遊技盤101を囲繞し当接しているため、ドライバ、針金等が不正に外枠123と枠部材110との間に挿入されることが防止される。外枠123は例えばアルミニウム等の金属材料によって形成され、遊技盤保持枠128は木材等によって形成される。なお、外枠123及び遊技盤保持枠128の材料は上記に限られず、金属、木材、プラスチック等を単一又は組み合わせて用いることができる。
【0062】
外枠123には、演出効果音、または不正を知らしめる音声を出力するスピーカ277が組み込まれている。スピーカ277は高音・中音・低音の領域を出力できる機能を有し、通常演出時は高音・中音・低音をバランス良く出力するが、特別演出時、または不正等があった場合には周りに良く聞こえるように高音領域を高く出力するように制御される。さらに、外枠123には外部端子接続用の基板、払出制御基板、電源基板が取り付けられており、これらは外部からの不正な操作を防止するために、それぞれ、外端ケース(図示省略)、払出制御基板ケース131、電源基板カバー132によって覆われる。
【0063】
遊技盤101の裏面には、主制御基板、副制御基板、賞球制御基板、ランプ制御基板を含む制御手段200を構成する基板ユニットが設けられる(図示省略)。該基板ユニットは基板ケース(図示省略)によって被われることで、外部からの不正な操作を防止している。さらに基板ケースは保護ケース135に覆われており、セキュリティを高めている。
【0064】
図12に示すように、主制御基板201はパチンコ機100の遊技に関する基本動作を制御し、ROM201bに記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU201aと、CPU201aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201c等を備える。主制御基板201は第1始動口105、もしくは第2始動口120への遊技球の入球を契機として、大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に基づいてROM201bに記憶されている演出に係わるコマンドの選択を行う。
【0065】
主制御基板201の入力側には、中継基板204、第1始動口105に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出部221と、第2始動口120に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出部225と、入賞ゲート106を遊技球が通過したことを検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入球した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口装置9に入球した遊技球を検出する大入賞口検出部224とが接続されている。
【0066】
主制御基板201の出力側には大入賞口開閉部231が接続されている。本実施形態においては上記大入賞口開閉部231を、開閉扉109aを開閉させる大入賞口開閉ソレノイド(駆動装置)と、第2始動口120を開閉させる第2始動口開閉ソレノイドとによって構成している。大入賞口開閉ソレノイドは本発明の開閉扉開閉装置の駆動装置に該当する。
【0067】
大入賞口開閉部231は主制御基板201によって制御され、大当たり遊技(長当たり遊技、短当たり遊技)時に大入賞口開閉ソレノイドに通電して開閉扉109aを開放させ、また上記普通図柄の当選によって第2始動口開閉ソレノイド120bに通電して第2始動口120を開閉する。
【0068】
副制御基板202の入力側には中継基板204及び上記のチャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。この副制御基板202は主に遊技中における演出を制御し、主制御基板201より送信されるコマンドに基づいて演出の抽選及び演出処理を実行するCPU202aと、プログラム及び過去の演出パターンを記憶するROM202bと、CPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM202c等を備えている。
【0069】
副制御基板202は主制御基板201より送信される演出に係るコマンドを受信すると、このコマンドに基づいて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクター等の演出を確定すると共に、当該確定した演出の制御を行う。副制御基板202の出力側には図柄表示部104が接続され、抽選によって決定された内容の通りに図柄表示部104において装飾図柄演出を展開する。副制御基板202には図柄表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM202dも備えられている。
【0070】
通常時には、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM202bから読み出してVRAM202dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は表示画面上において図柄表示部104に重畳表示される。すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法等、周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM202dに記憶させる。
【0071】
副制御基板202の出力側にはスピーカ277が接続され、副制御基板202において確定した通りに音声を出力する。副制御基板202の出力側にはまた、ランプ262、演出ライト111、及び演出役物作動装置254を制御するランプ制御基板206が接続されている。演出役物作動装置254は演出役物115,116等の、演出用の役物を作動させるモータやソレノイド等によって構成されている。ランプ制御基板206は副制御基板202より送信されたコマンドに基づき、プログラムを作動させて演出処理を実行するCPU206aと、各種演出パターンデータを記憶するROM206bと、CPU206aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206c等を備えている。
【0072】
ランプ制御基板206は遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行う他、演出ライト111における複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。ランプ制御基板206はまた、副制御基板202より送信されたコマンドに基づき、演出役物115を動作させるソレノイドに対する駆動制御等を行い、演出役物116を動作させるモータに対する駆動制御等を行う。
【0073】
主制御基板201には賞球制御基板203が双方向に送信可能に接続されている。賞球制御基板203はROM203bに記憶されたプログラムを作動させて賞球制御の処理を実行するCPU203aと、CPU203aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203c等を備え、ROM203bに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。
【0074】
賞球制御基板203は接続される払出部291に対して入球時の賞球数を払い出す制御を行う。また発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
【0075】
賞球制御基板203はこの払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、大入賞口孔109)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。発射部292は遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示省略)と、遊技球を発射させる図示しないソレノイド等を備え、遊技のための遊技球を発射する。賞球制御基板203は発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
【0076】
振動検出装置1はケース40に封入された状態で、枠部材110の裏側において左右にわたって設けられた板状の鉄板127の中央部(図10のAに示す部分)にネジ留めされる。このように広範囲にわたって設けられる硬質の板状部材に振動検出装置1を固定することによりパチンコ機100に生ずる振動が振動検出装置1に伝わりやすくなる。振動検出装置1の出力側には中継基板204が接続され、中継基板204は主制御基板201及び副制御基板202が接続され、振動検出装置1からの信号に応じて不正行為に対する処理を行う。
【0077】
本実施例においては、振動検出装置1によって、遊技者が枠部材110を歪ませて遊技盤101内にピアノ線や針金を侵入させて釘を曲げる等の不正(いわゆるハリガネゴト)とパチンコ機100を叩くことで遊技球の挙動を変化させる不正(いわゆるドツキ、台叩き)とを同時に検出するものである。ここで、ハリガネゴトによる歪み等の経時的な外力が加わった場合には検出部20において0.1Hz〜10Hzの周波数帯域をもった電圧、特に1Hz〜5Hzの電圧が特徴的に発生する。また、ドツキによる叩き等の瞬間的な衝撃が加わった場合には検出部20において10Hz〜40Hzの周波数帯域をもった電圧、特に20Hz〜40Hzの電圧が特徴的に生じる。なお、遊技を行っている際に生じる遊技球の振動、発射部の振動、可変入賞装置(開閉扉109a)の振動、演出役物115,116の振動によって検出部20から発生する電圧の周波数は、いずれも数kHzにおいて特徴的に現れる。
【0078】
フィルタ回路22は0.1Hz以上の周波数をもった電圧を濾波するハイパスフィルタと50Hz以下の周波数をもった電圧を濾波するローパスフィルタとによって構成される。これにより検出部20で出力された電圧から歪み等を検知するための周波数帯域(0.1Hz〜10Hz)及び叩き等を検知するための周波数帯域(10Hz〜40Hz)を含んだ0.1Hzから50Hzの周波数帯域のみを濾波することができ、遊技球等の振動によって生ずる電圧を含むその他のノイズ成分をカットすることができる。また、増幅回路24は入力電圧を約3倍に増幅する回路となっている。これによりフィルタ回路22でノイズが除去された電圧が増幅され計測部30に入力される。
【0079】
計測部30において、入力された0.1Hzから50Hzの周波数帯域の電圧は、まずアナログの電圧からデジタルの電圧信号にA/D変換される。次いで、10Hz以下の周波数をもった電圧信号のみを濾波する第1のフィルタ34aであるデジタルローパスフィルタを通過した第1の計測電圧(0.1Hz〜10Hzの周波数帯域)及び10Hz〜40Hzの周波数をもった電圧信号のみを濾波する第2のフィルタ34bであるデジタルバンドパスフィルタを通過した第2の計測電圧(10Hz〜40Hzの周波数帯域)がそれぞれ第1の比較手段36a及び第2の比較手段36bによって比較処理される。なお、第1のフィルタ34aとして1Hz〜5Hzの周波数帯域の電圧信号を濾波するデジタルバンドパスフィルタ、第2のフィルタ34bとして20Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号を濾波するデジタルバンドパスフィルタを用いれば、より高精度に波形解析の処理が行える。
【0080】
第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって予め設定されている歪み用閾値(第1の閾値)以上であるか比較され、歪み用閾値以上のときにその旨を示す歪み検出信号が中継基板204に出力される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって予め設定されている叩き用閾値(第2の閾値)以上であるか比較され、叩き用閾値以上のときにその旨を示す叩き検出信号が中継基板204に出力される。なお、不正行為に起因する歪み等によって発生する電圧は、叩き等によって発生する電圧より小さいため、例えば歪み用閾値は100mV、叩き用閾値は500mVのように歪み用閾値のほうが小さく設定される。また、正常時には計測部30から一定のパルス信号である正常検知信号が出力されている。このため、振動検出装置1からの出力線を断線する等の不正が行われた場合には、例えば主制御基板201において正常検知信号が受信できないことによって検知することができる。
【0081】
振動検出装置1の動作例を示す。遊技者が、パチンコ機100の枠部材110と外枠123との間にドライバ等を挿入すると、振動検出装置1が固設された枠部材110(鉄板)に歪みが生じる。これによって、振動検出装置1内の検出部20から、歪みに対して特徴的に生ずる周波数である0.1Hz〜10Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0082】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、デジタルローパスフィルタによって10Hz以下の周波数帯域である0.1Hz〜10Hzの電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、デジタルバンドパスフィルタによって10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0083】
閾値変更フラグがONされていない場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段によって電圧値が500mV以上であるかが判定される。一方、閾値変更フラグがONされている場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が50mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が300mV以上であるかが判定される。ドライバの挿入によって歪みが生じて第1の計測電圧が発生しているので、第2の比較手段36bによって500mV以上の電圧値が計測されることはないが、第1の比較手段36aによって100mV以上の電圧が計測されると、中継基板204に対して歪み検出信号が送信される。そして、後述するように一度歪み検出信号が送信されることによって、不正行為の報知が行われるが、不正行為者がドライバを挿入した状態を維持させていれば、電圧値は低下する。この結果、高閾値しか設定されていなければ、ドライバが挿入されているにも関わらず、不正行為が報知されないという状況が訪れる虞がある。したがって、一度の報知で店員等に気付かれなければ不正行為は継続される。しかしながら、本実施例では低閾値が設けられているので、歪みに起因する第1の計測電圧が100mv以下であっても、50mv以上であれば、歪み検出信号が出力され、再び不正行為の報知が行われる。
【0084】
また、遊技者がパチンコ機100を強く叩く等のドツキ行為を行うと、振動検出装置1が固設された鉄板127にその振動が伝導する。これによって、振動検出装置1内の検出部から、叩きに対して特徴的に生ずる周波数である10Hz〜40Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0085】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、第1のフィルタ手段34aであるデジタルローパスフィルタによって10Hz以下の周波数帯域である0.1Hz〜10Hzの電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、第2のフィルタ手段34bであるデジタルバンドパスフィルタによって10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0086】
閾値変更フラグがONされていない場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が500mV以上であるかが判定される。一方、閾値変更フラグがONされている場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が50mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が300mV以上であるかが判定される。パチンコ機100を強く叩くことによって振動が生じているので、第1の比較手段36aによって100mV以上の電圧値は計測されないが、第2の比較手段36bによって500mV以上の電圧が計測されるため、主制御基板201に対して叩き検出信号が送信される。そして、後述するように一度叩き検出信号が送信されることによって、不正行為の報知が行われると不正行為者は、叩く強さを弱める。このとき、叩きに起因する第2の計測電圧が500mv以下であっても、300mv以上であれば、叩き検出信号が出力されるので、再び不正行為の報知が行われる。
【0087】
不正行為に対する主制御基板201による処理について図13に従って説明する。まず主制御基板201は中継基板204を経由した振動検出装置1からの入力信号があるかの検知をする(ステップS101)。振動検出装置1から主制御基板201に対して、不正行為が行われていない場合(歪み検出信号及び叩き検出信号が送信されない場合)には正常検出信号が出力されているため、主制御基板201において振動検出装置1から一切の信号が検知されない場合には、エラー検出処理が行われ管理装置(例えばホールコンピュータ)にエラーメッセージが送信される(ステップS107)。これによって、ホール店員による断線等の確認が可能となる。
【0088】
振動検出装置1からの信号が入力された場合において、信号が正常検知信号であると判定されたときは、以降の処理は行わず再び入力信号があるか検知が行われる(ステップS102)。振動検出装置1からの信号が正常検知信号ではないと判定された場合には、次に歪み検出信号であるかが判定される(ステップS103)。ここで、歪み検出信号であると判定されると、歪み検出処理が行われる(ステップS104)。
【0089】
歪み検出処理によれば、主制御基板201から賞球制御基板203へ歪み報知コマンドが送られると、発射停止処理が行われて遊技球の発射ができなくなるとともに、払出停止処理が行われて遊技球の払出が行われなくなる。主制御基板201は、歪み報知コマンドを送信した後は、基本動作を停止して各検出部からの信号が入力されないようにしても良い。この場合、係員による復旧処理によって復旧する構成にしておけば、不正がさらに予防される。また、中継基板204から副制御基板202へ歪み報知コマンドが送られ警報音の出力とともに「扉が開放している」という趣旨の表示及び音声報知を行ったり、ランプ制御基板206による演出ライト111の点滅等による不正行為の報知を行ったりすることができる。これにより、遊技場の係員にパチンコ機100に対して過度の歪みが加えられたことを報知し、係員がそのパチンコ機100に赴いて必要な処置を行うようにすることができる。
【0090】
ステップS103において歪み検出信号ではないと判定されると、叩き検出信号か否かが判定される(ステップS105)。ここで、叩き検出信号であると判定されると、叩き検出処理が行われる(ステップS106)。
【0091】
叩き検出処理によれば、主制御基板201から賞球制御基板203へ叩き報知コマンドが送られると、発射停止処理が行われて遊技球の発射ができなくなるとともに、払出停止処理が行われて遊技球の払出が行われなくなる。主制御基板201は、叩き報知コマンドを送信した後は、基本動作を停止して各検出部からの信号が入力されないようにしても良い。この場合、係員による復旧処理によって復旧する構成にしておけば、不正がさらに予防される。また、中継基板204から副制御基板202へ叩き報知コマンドが送られ警報音の出力とともに扉を叩かないように指示する旨の表示報知を行ったり、ランプ制御基板206による演出ライト111の点滅等による報知を行ったりすることができる。これにより、遊技場の係員にパチンコ機100に対して過度の衝撃が加えられたことを報知し、係員がそのパチンコ機100に赴いて必要な処置を行うようにすることができる。
【0092】
なお、歪み検出処理及び叩き検出処理によって遊技の一部または全部の機能を停止する処理を行う場合には、主制御基板201に歪み検出信号及び叩き検出信号が入力される直前の遊技状態が記憶される構成することが好ましい。これにより、係員の確認によって不正行為でないと判断され遊技が復旧される際には、遊技状態を元に戻すことが可能となる。
【0093】
ステップS105において叩き検出信号でないと判定された場合には、正常検知信号、歪み検出信号及び叩き検出信号以外の不明な信号が入力されていると考えられ、このときはエラー検出処理が行われ管理装置(例えばホールコンピュータ)にエラーメッセージが送信される。これによって、ホール店員によって振動検出装置1の故障、誤作動等が確認される。なお、振動検出装置1からの信号が入力されない場合と、不明な信号が入力された場合とで同じエラー検出処理を行う構成を示したが、それぞれ別のエラー処理としてもよい。
【0094】
なお、歪み検出信号が出力された場合にパチンコホールの管理装置のみに対して報知を行うようにしても良い。歪み検出信号の対象であるハリガネゴトは、叩き検出信号の対象であるドツキと異なり、ゴト行為が長時間継続して行われる傾向が強いためホールコンピュータのような管理装置のみに対して報知を行うことでゴト行為中に警備員等による取締りが可能となる。
【0095】
(実施例2)
振動検出装置1をスロットマシンに使用した例を示す。図14及び図15にスロットマシンの構成を示す。スロットマシン1001は、正面にフロントマスクが形成された前扉1003が、略矩形状の箱体である筐体1002の開口に対し回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられている。フロントマスクは、上から上パネル部1100、中パネル部1200、下パネル部1300に概ね分けられ、これらは化粧板として視覚効果を高めてデザインされた硬質プラスチックにより一体的に形成されている。また、下パネル部1300の下方には、メダルを貯留するための受け皿1004aが形成された受け皿部材1004が設けられている。
【0096】
上パネル部1100には、高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される上部ランプやコーナランプ等の視覚効果ランプ(フィーバーランプ)が内蔵され、リーチや大当たり等の際に点灯または点滅して遊技者の視覚に訴える演出を行っている。また、上パネル部1100の左右位置には、それぞれスピーカが内蔵され、効果音や楽音等によるゲームの演出を行っている。更に、左右のスピーカに挟まれる中央位置には、液晶表示装置(図示省略)が内蔵されている。
【0097】
液晶表示装置は、ゲームの進行に応じて適宜選択される動画像を表示して当該ゲームにストーリー性を与えたり、また、ボーナスゲーム等の大当たりの際には、よりダイナミックな画像が表示されて、遊技者に高配当の期待感を引き起こしたりする等の演出を行う。
【0098】
中段の中パネル部1200には、長方形の透明な表示窓1008aが形成されたアクリル製の中パネル1008が取り付けられる。そして、この表示窓1008aを通して、筐体1002内に設けられる3個のリール1010a、1010b、1010cを遊技者が目視できるように構成される。中パネル1008の下方には、前方に若干突出した卓状部が形成され、メダル投入口を有するメダル投入部1011と、ベットボタン1012と、スタートレバー1013と、3個のストップボタン1014a、1014b、1014c等が配設されている。
【0099】
遊技者がメダル投入部1011よりメダルを投入することで、スロットマシン1001内部にメダルを最大枚数まで内部貯留(クレジット)することができる。ベットボタン1012は、ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するための押圧式のボタンスイッチである。スタートレバー1013は、リール1010a、1010b、1010cを一斉に回転させる指示をするためのレバースイッチであり、傾倒操作するとオン作動する。ストップボタン1014a、1014b、1014cは、各リール1010a、1010b、1010cの回転停止を個別に指示するための押圧式のボタンスイッチであり、各リールの配列に対応してそれぞれ並設されている。
【0100】
フロントマスクの下パネル部1300を構成する下パネル1015には、スロットマシン1001のモデルタイプ等を遊技者へ認識させるための、例えば登場キャラクターの絵柄(図示省略)などが印刷されて表示されている。前扉1003の最下部に設けられた受け皿部材1004には、入賞配当等によりメダルを払い出すメダル払出口1016と、ゲームの進行に応じて演出効果音を発生させるスピーカが内蔵される。
【0101】
筐体1002の内部においては、その上部位置に、スロットマシン1001の全体動作を統括制御する制御手段である主制御基板1021が取り付けられている。主制御基板1021は、CPU、ROM、RAM、その他周辺機器と通信する際の整合機能を有するインタフェース回路等の電子部品を実装するマイコンベースの制御回路基板であり、透明な基板ケースに収容されて筐体1002内に離脱不能に固定されている。
【0102】
筐体1002内のほぼ中央には、3個のリール1010a、1010b、1010cを軸方向に並設してユニット化したリールユニット1010が、前扉3側に形成される上述の表示窓1008aに対向してフレーム1022に固定されている。なお、リールユニット1010の上部には図示しない回胴装置基板が取り付けられている。回胴装置基板は、主制御基板1021からのパルスデータに基づいて電流増幅した駆動パルス信号を各リール1010a、1010b、1010cのステッピングモータに出力することで、それぞれのリールの回転及び停止の駆動制御を行っている。
【0103】
リールユニット1010の下方のスペースには、入賞配当などの際にメダルを放出するメダル払出装置1023が設置されている。メダル払出装置1023は、メダル投入部1011に投入されたメダルをホッパ部1023aに貯留し、主制御基板1021からメダルの払い出しを指令する払出指令信号を受けると、ホッパ部1023aに貯留したメダルを放出スリット1023bを介して外部に放出する。放出スリット1023bには払出センサ1063が設けられ、放出されるメダルを1枚ずつ検出して主制御基板1021へ出力する。これにより、主制御基板1021は、放出されたメダルをカウントしながら払出指令信号に基づく所要の払出枚数(指令払出量)だけ払い出す制御を行うことが可能となる。
【0104】
メダル払出装置1023の側方には、ホッパ部1023aから溢れ落ちたメダルを収容するためのオーバーフロータンク1024と、スロットマシン1001に内蔵される各機器へ所要の電力を配電する主電源装置1025とが設置されている。
【0105】
更に、主制御基板1021に隣接する側板には、当該スロットマシン1001における例えば大当たり等の遊技状態及びメダルの投入・払い出し等の稼働状態を示す信号を外部の管理装置(例えばホールコンピュータ)へ送信するための外部集中端子板1026が取り付けられている。
【0106】
前扉1003は、比較的硬質のプラスチックで一体成形されたフロントマスクをメインフレームとし、裏面側で上端部及び左右の両端部に、それぞれ長尺状の板金部材である横フレーム1311と縦フレーム1312、1313がネジ止め固定されている。前扉1003の裏面側上部には、上述した上部ランプ及びコーナランプ等の光源である発光ダイオード(LED)を実装するLED基板、スピーカ及び液晶表示装置等を組み込んだ上部パネルアセンブリ1032が取り付けられている。また、上部パネルアセンブリを駆動して、主にゲームの演出に係る制御を行うための副制御基板1033が取り付けられている。
【0107】
副制御基板1033の下方には、透明な表示窓1008aが形成された中パネル1008を前面に設け、リール1010a、1010b、1010cの外周面を照射する冷陰極蛍光管1034と、中パネル1008の絵柄を照明表示する複数のランプ1035、1035と、スタートレバー1013やストップボタン1014a、1014b、1014c等のスイッチの出力を主制御基板1021へ中継する中央表示基板1036等を組み付けてユニット化したランプハウスユニット1037が取り付けられている。
【0108】
ランプハウスユニット1037の下方には、メダルセレクタ1038が取り付けられている。このメダルセレクタ1038は、前面のメダル投入部1011に投入されたメダルの正否の判定と、投入された正規のメダルの枚数を計数するために設けられている。すなわち、メダルセレクタ1038は、投入されたメダルが正規のものであると判定するとメダル貯留ガイド1039側にメダルを通過させるとともに、光センサであるメダルセンサがメダルを検出して、主制御基板1021へその投入信号を出力する。そのため、メダルセレクタが不正操作されると、不当なメダルの払出が行われてしまう虞がある。メダル貯留ガイド1039は、メダルセレクタ1038が通過させた正規のメダルを筐体1002側のメダル払出装置1023のホッパ部1023aに案内して貯留させる。
【0109】
メダルセレクタ1038の下方には、下パネル1015等をユニット化した下パネルユニット1040が取り付けられている。また、前扉1003のメダル払出口1016に連通し、メダルセレクタ1038が不適と判定し排除したメダルや異物を前面の受け皿1004aへ案内するキャンセルシュート1041と、同じくメダル払出口1016に連通し、メダル払出装置1023が放出するメダルを案内して受け皿1004aへ払い出す払出シュート1042とが、下パネルユニット1040の背面側に設けられている。また、下パネルユニット1040の下方には、前面の放音部1017a、1017bに対向するスピーカ1044a、1044bが取り付けられている。
【0110】
振動検出装置1はケース40に封入された状態で、前扉1003の裏面側に設けられた横フレーム1311の中央部(図13のBに示す部分)にネジ留めされる。このように広範囲にわたって設けられる硬質の板状部材に振動検出装置1を固定することによりスロットマシン1001に生ずる振動が振動検出装置1に伝わりやすくなる。振動検出装置1の出力側には主制御基板1021及び副制御基板1033に接続された中継基板204に接続され、振動検出装置1からの信号に応じて不正行為に対する処理を行う。
【0111】
本実施例においては、振動検出装置1によって、遊技者が前扉1003をこじ開けてメダルセレクタを不正に操作する行為(不正行為)とスロットマシン1001を強く叩いて破損させてしまう虞のある行為(破損行為)とを同時に検出するものである。ここで、不正行為による歪み等の外力が徐々に加わった場合には検出部20において0.1Hz〜10Hzの周波数帯域をもった電圧、特に1Hz〜5Hzの電圧が特徴的に発生する。また、破損行為による叩き等の衝撃が急速に加わった場合には検出部20において10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧、特に20Hz〜40Hzの電圧が特徴的に生じる。なお、遊技を行っている際に生じるリールの振動等によって検出20部から発生する電圧の周波数は、いずれも数kHzにおいて特徴的に現れる。
【0112】
フィルタ回路22及び増幅回路24の構成は実施例1と同様であるため省略する。計測部30においては、閾値変更フラグがONされていなければ歪み用高閾値が200mV、叩き用高閾値が800mVとなっており、閾値変更フラグがONされていれば歪み用低閾値が100mV、叩き用低閾値が400mVとなっている。パチンコ機1に対する設定より大きくなっている。これは、スロットマシン1001ではリールを停止させるためにスロットボタン1014を叩く等、叩くという行為は日常的に行われるものであり、これによって生じる振動を検知してしまうと通常の遊技に対して支障が生じるため叩き用閾値が大きく設定してある。また、前扉1003をこじ開ける際に生じる電圧が、パチンコ機1の枠部材110を歪ませる際に生じる電圧より大きいため歪み用閾値が大きく設定されている。計測部30に関し、これ以外の構成は実施例1と同様であるため省略する。
【0113】
振動検出装置1の動作例を示す。遊技者が、スロットマシン1001の前扉1003をこじ開けようとすると、振動検出装置1が固設された横フレーム1311に歪みが生じる。これによって、振動検出装置1内の検出部から、歪みに対して特徴的に生ずる周波数である0.1Hz〜10Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0114】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、第1のフィルタ手段34aであるデジタルローパスフィルタによって10Hz以下の周波数帯域である0.1Hz〜10Hzの電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、第2のフィルタ手段34bであるデジタルバンドパスフィルタによって10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0115】
閾値変更フラグがONされていない場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が200mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が800mV以上であるかが判定される。一方、閾値変更フラグがONされている場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるかが判定される。スロットマシン1001が大きく歪んでいるので、第1の計測手段によって200mV以上の電圧が計測されるため、主制御基板1021に対して歪み検出信号が送信される。
【0116】
また、遊技者によってスロットマシン1001が強く叩かれると、振動検出装置1が固設された横フレーム1311にその振動が伝導する。これによって、振動検出装置1内の検出部から、叩きに対して特徴的に生ずる周波数である10Hz〜40Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0117】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、デジタルローパスフィルタによって10Hz以下の周波数帯域である0.1Hz〜10Hzの電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、デジタルバンドパスフィルタによって10Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0118】
閾値変更フラグがONされていない場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が200mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が800mV以上であるかが判定される。一方、閾値変更フラグがONされている場合、第1の計測電圧は第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定される。また、第2の計測電圧は第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるかが判定される。スロットマシン1001を強く叩くことによって振動が生じているので、第2の比較手段36bによって800mV以上の電圧が計測されるため、主制御基板に対して叩き検出信号が送信される。
【0119】
不正行為に対する主制御基板1021による処理については実施例1と同様であり、遊技者に対する報知、係員に対する報知が検出された種類(不正行為、破損行為)に応じてランプ、スピーカ、液晶表示器等によって適宜行われる。
【0120】
(実施例3)
振動検出装置1を自動販売機に使用した例を示す。図16に自動販売機の構成を示す。自動販売機2001は、前面が開口した略矩形状の断熱体である本体キャビネット2010と、その前面に設けられたメインドア2020および内扉2030と、本体キャビネット2010の内部を上下2段に底板2011にて区画形成し、上部を例えば2つの断熱仕切板2041によって仕切られた、商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのサーペンラック2040と、下部にサーペンラック2040を冷却する熱交換器を有する凝縮器2045が設けられる。
【0121】
メインドア2020は、本体キャビネット2010の前面開口を開閉するためのものであり、外側には、商品見本が展示される商品展示室、販売する商品を選択するための選択ボタン、貨幣を投入するための貨幣投入口、払い出された商品を取り出すための商品取出口等が配置してある。また、内側には、紙幣を管理するビルバリデータ2022、コインを管理するコインメカニズム2023、コインメカニズム2023から溢れたコインを収容するためのキャッシュボックス2025、全体を制御する基板類が納められた主制御基板ケース2050が設けられる。
【0122】
内扉2030は、サーペンラック2040の前面を開閉し、内部の商品を保温するものであり、内部に断熱体を有する箱型形状の構造体である。そのサーペンラック2040には、それぞれ、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納し、販売信号により1個ずつ商品を外扉の販売口2021へ排出するための商品シュート2042を有している。
【0123】
振動検出装置1はケース40に封入された状態で、メインドア2020の裏面側に設けられたビルバリデータ2022付近(図16のCに示す部分)にネジ留めされる。振動検出装置1の出力側には主制御基板ケース2050内の主制御基板(図示省略)が接続され、振動検出装置1からの信号に応じて不正行為に対する処理を行う。
【0124】
本実施例においては、振動検出装置1によって、使用者がメインドア2020をこじ開けて金銭を盗む行為(窃盗行為)と自動販売機2001を強く叩いて破損させてしまう虞のある行為(破損行為)とを同時に検出するものである。ここで、窃盗行為による歪み等の外力が加わった場合には検出部において0.1Hz〜10Hzの周波数帯域をもった電圧、特に1Hz〜5Hzの電圧が特徴的に発生する。また、破損行為による叩き等の瞬間的な衝撃が加わった場合には検出部において10Hz〜40Hzの周波数帯域をもった電圧、特に20Hz〜40Hzの電圧が特徴的に生じる。
【0125】
フィルタ回路22及び増幅回路24の構成は実施例1と同様であるため省略する。計測部30においては、第1のフィルタ手段34aとして1Hz〜5Hzの周波数帯域の電圧信号を濾波するデジタルバンドパスフィルタ、第2のフィルタ手段34bとして20Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号を濾波するデジタルバンドパスフィルタを用いる。このとき、歪み用高閾値が200mV、叩き用高閾値は400mvと800mVであり、歪み用低閾値が100mv、叩き用低閾値は400mvである。
【0126】
自動販売機2001は設置場所が様々であり、特に屋外に設置されている場合には多様な振動の影響を受ける。そのため、歪み、あるいは叩きに起因する振動であることを精度良く検出できなければ誤作動が多くなってしまう。そのため、パチンコ機の場合より狭い周波数帯域で電圧を計測する。
【0127】
また、自動販売機2001は管理者が設置場所から離れた場所にいることが多く、使用者が叩く等のいたずらを行うことが多い。そのため、破損を招かない程度の衝撃に対して報知等を行っていると通常の動作に支障が生じる。しかしながら、破損を招かない程度の衝撃であっても、これを予防することによりいたずらが減少することが期待できる。そのため、叩き用高閾値が2種類設定してあり、叩きかたの大きさに応じた処理が行える構成とした。計測部30に関し、これ以外の構成は実施例1と同様であるため省略する。
【0128】
振動検出装置1の動作例を示す。使用者が自動販売機2001のメインドア2020をこじ開けようとすると、振動検出装置1が固設されたメインドア2020に歪みが生じる。これによって、振動検出装置1内の検出部20から、歪みに対して特徴的に生ずる周波数である0.1Hz〜10Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0129】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、第1のフィルタ手段34aであるデジタルバンドパスフィルタによって1Hz〜5Hzの周波数帯域の電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、第2のフィルタ手段34bであるデジタルバンドパスフィルタによって20Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0130】
閾値変更フラグがONされていなければ、第1の比較手段36aによって電圧値が200mV以上であるか判定され、第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるか又は800mV以上であるかが判定される。一方、閾値変更フラグがONされていれば、第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定され、第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるかが判定される。メインドア2020が大きく歪み、第1の計測手段によって200mV以上の電圧が計測される場合、中継基板204に対して歪み検出信号が送信される。
【0131】
また、使用者によってメインドア2020が強く叩かれると、振動検出装置1が固設されたメインドア2020にその振動が伝導する。これによって、振動検出装置1内の検出部20から、叩きに対して特徴的に生ずる周波数である10Hz〜40Hzの周波数帯域を含んだ電圧が発生する。該電圧はフィルタ回路22によって、0.1Hz〜50Hz以外の周波数がカットされた後、増幅回路24によって約3倍に増幅されて計測部30に入力される。
【0132】
計測部30に入力された電圧は、A/D変換手段32によってデジタルの電圧信号に変換され、第1のフィルタ手段34aであるデジタルバンドパスフィルタによって1Hz〜5Hzの周波数帯域の電圧信号(第1の計測電圧)が抜き出される。また、第2のフィルタ手段34bであるデジタルバンドパスフィルタによって20Hz〜40Hzの周波数帯域の電圧信号(第2の計測電圧)が抜き出される。
【0133】
上記の閾値変更フラグがONされていない場合は、第1の比較手段36aによって電圧値が200mV以上であるか判定され、第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるか又は800mV以上であるかが判定される。一方、上記の閾値変更フラグがONされている場合は、第1の比較手段36aによって電圧値が100mV以上であるか判定され、第2の比較手段36bによって電圧値が400mV以上であるかが判定される。これにより、第2の比較手段36bによって閾値を超えたと判断された場合には叩き検出信号が中継基板204に送信される。
【0134】
不正行為に対する処理について説明する。主制御基板201に対し歪み検出信号又は叩き検出信号が入力された場合には犯罪性が高いため、副制御基板202による音声、ライト等による警告がなされると共に、警備会社等に通報される。
【0135】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】(a)は振動検出装置における検出部の構成を模式的に示す平面図である。(b)は振動検出装置における検出部の構成を模式的に示す側面図である。
【図2】振動検出装置における検出部の屈曲の向きと電圧の印加方向を示す模式図である。
【図3】振動検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】振動検出装置とケースとの関係を示す斜視図である。
【図5】振動検出装置の検出部で生じる電圧の波形を示すグラフである。
【図6】振動検出装置の検出部で生じる電圧の波形を示すグラフである。
【図7】第1の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】第2の検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】パチンコ機の前面の構成例を示す正面図である。
【図10】パチンコ機の内部構造の構成例を示す斜視図である。
【図11】パチンコ機の背面の構成例を示す斜視図である。
【図12】パチンコ機の制御手段を示すブロック図である。
【図13】振動検出装置からの信号処理を実行する際の主制御基板の処理を示すフローチャートである。
【図14】スロットマシンの前面の構成例を示す斜視図である。
【図15】スロットマシンの内部構造の構成例を示す正面図である。
【図16】自動販売機の内部構造の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0137】
1…振動検出装置、10…圧電素子、10a…圧電セラミック、10b,10c…電極、12…金属板、14…回路基板、14a,14b…貫通孔、20…検出部、22…フィルタ回路、24…増幅回路、28…出力コネクタ、30…計測部、32…A/D変換手段、34…フィルタ手段、34a…第1のフィルタ手段、34b…第2のフィルタ手段、36…比較手段、36a…第1の比較手段、36b…第2の比較手段、40…ケース、41…箱部、41a,41b…貫通孔、42a,42b…柱状部、45…蓋部、45a,45b…貫通孔、46a,46b…柱状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に加えられた圧力の変化を電圧に変換して出力する検出部と、
該検出部より出力された電圧が計測される計測部とからなり、
前記計測部は、前記検出部より出力された電圧から、少なくとも前記物体に徐々に加えられた圧力に対応する第1の周波数帯域の電圧と、前記物体に急速に加えられた圧力に対応する第2の周波数帯域の電圧とを別々に通過させるフィルタ手段と、
前記第1の周波数帯域の電圧及び前記第2の周波数帯域の電圧と、前記周波数帯域毎に設定された標準的な閾値とを比較する比較手段と、
前記電圧が前記閾値以上であるとき、異常検知信号を出力する出力手段とを備え、
前記比較手段は、前記第1の周波数帯域の電圧が前記第1の周波数帯域に対応する前記標準的な閾値を超えたことを契機に、前記第1の周波数帯域の電圧を前記第1の周波数帯域に対応する標準的な閾値より低い閾値で比較することを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
前記検出部はユニモルフ圧電素子またはバイモルフ圧電素子によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−107481(P2010−107481A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282391(P2008−282391)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】