説明

振動装置、噴流発生装置、電子機器及び振動装置の製造方法

【課題】振動体に効率的な振動を発生させ、効果的に気体に振動を与えることができる振動装置、この振動装置を搭載した噴流発生装置、及びこの噴流発生装置を搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】噴流発生装置10は、フレーム4と、フレーム4に装着されたアクチュエータ5と、弾性支持部材6によってフレーム4に支持された振動体3とを有する振動装置15を備えている。振動体3は、例えば円形状の振動板3aの周縁部に側板3bが形成されて構成されている。振動体3が振動することにより、チャンバ11a及び11b内の空気に振動を与え、ノズル2a及び2bを介して交互に気体を吐出させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の噴流を発生させるために気体に振動を与えるための振動装置、この振動装置を搭載した噴流発生装置、この噴流発生装置を搭載した電子機器及び振動装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PC(Personal Computer)の高性能化に伴うIC(Integrated Circuit)等の発熱体からの発熱量の増大が問題となっており、様々な放熱の技術が提案され、あるいは製品化されている。その放熱方法として、例えばICにアルミなどの金属でなる放熱用のフィンを接触させて、ICからの熱をフィンに伝導させて放熱する方法がある。また、ファンを用いることにより、例えばPCの筐体内の温まった空気を強制的に排除し、周囲の低温の空気を発熱体周辺に導入することで放熱する方法もある。あるいは放熱フィンとファンとを併用することにより、放熱フィンで発熱体と空気の接触面積を大きくしつつ、ファンにより放熱フィンの周囲の暖まった空気を強制的に排除する方法もある。
【0003】
しかしながら、このようなファンによる空気の強制対流では、放熱フィンの下流側でフィン表面の温度境界層が生起され、放熱フィンからの熱を効率的に奪えないという問題がある。このような問題を解決するためには、例えばファンの風速を上げて温度境界層を薄くすることが挙げられる。しかし、風速を上げるためにファンの回転数を増加させることにより、ファンの軸受け部分からの騒音や、ファンからの風が引き起こす風切り音などによる騒音が発生するという問題がある。
【0004】
一方、送風手段としてファンを用いずに、上記温度境界層を破壊し、放熱フィンからの熱を効率よく外気に逃がす方法として、周期的に往復運動する振動板を用いる方法がある(例えば特許文献1、2、3、4参照)。これらの装置のうち、特に特許文献3及び4の装置は、チャンバ内を空間的に概略二分する振動板と、振動板を支持しチャンバに設けられた弾性体と、振動板を振動させる手段とを備えている。これらの装置では、例えば振動板が上方向に変位したときには、チャンバの上部空間の体積が減少するため、上部空間の圧力が上昇する。上部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、上部空間の圧力上昇によって、その内部の空気の一部が外気中に放出される。一方このとき、振動板を挟んで上部空間と反対側にある下部空間の体積は逆に増加するため、下部空間の圧力が下降する。下部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、下部空間の圧力減少によって、吸排気口近傍にある外気の一部が下部空間内部に引き込まれる。これとは逆に、振動板が下方向に変位したときには、チャンバの上部空間の体積が増加するため、上部空間の圧力が下降する。上部空間は吸排気口を通じて外気と連通しているため、上部空間の圧力下降によって、吸排気口近傍にある外気の一部が上部空間内部に引き込まれる。一方このとき、振動板を挟んで上部空間と反対側にある下部空間の体積は逆に減少するため、下部空間の圧力は上昇する。下部空間の圧力上昇によって、その内部の空気の一部が外気中に放出される。振動板の駆動は例えば電磁駆動方式が用いられる。このように、振動板を往復運動させることによって、チャンバ内の空気が外気に排出される動作と、外気がチャンバ内に吸気される動作が周期的に繰り返される。このような、振動板の周期的な往復運動によって誘起される空気の脈流が放熱フィン(ヒートシンク)等の発熱体に吹き付けられることにより、放熱フィンの表面にある温度境界層が効率よく破壊され、結果的に放熱フィンが効率良く冷却される。
【特許文献1】特開2000−223871号公報(図2)
【特許文献2】特開2000−114760号公報(図1)
【特許文献3】特開平2−213200号公報(第1図、第3図)
【特許文献4】特開平3−116961号公報(第3図、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発熱体の発熱量が多い場合には、さらに冷却能力の高い、つまり、気体の噴出量の多いデバイスが要求される。特に、CPU(Central Processing Unit)の発熱量は年々増え続けているので、これを効率良く冷却する必要がある。一方、気体噴出量を多くするためには、振動板の振幅を大きくすればよい。しかし、振幅を大きくすると、振動板に撓みが発生し、効果的に気体に振動を与えることができない上、余分なノイズが発生して騒音の原因になるおそれがある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、振動体に効率的な振動を発生させ、効果的に気体に振動を与えることができる振動装置、この振動装置を搭載した噴流発生装置、及びこの噴流発生装置を搭載した電子機器を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、薄型化または小型化を実現することができる振動装置、噴流発生装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る振動装置は、筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置であって、フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、前記振動体を駆動する駆動部とを具備する。
【0009】
駆動部の駆動方式としては、例えば電磁作用、圧電作用または静電作用を利用することができる。
【0010】
気体は、例えば空気が挙げられるが、これに限らず、窒素、ヘリウムガス、あるいはアルゴンガス、その他の気体であってもよい。
【0011】
本発明において、前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有する。これにより、振動体の剛性が高まり、振動板の撓みを抑制して効果的に気体に振動を与えることができる。また、振動板自体を高剛性にするのではなく、側板が形成されることで振動体全体で高剛性を達成し、振動体の重量は重くならない。
【0012】
側板は、後述するように振動板の面に対しほぼ垂直に設けられていてもよいし、あるいは垂直でなくてもよい。側板は、例えば連続的または断続的に振動板に接続されるように設けられていればよい。すなわち、断続的な場合、側板は複数設けられることになる。側板は、振動板の周囲、またはそれより内側に設けることができる。
【0013】
本発明において、前記振動体は、前記側板に穴を有する。これにより、振動体の剛性を維持しつつ振動体を軽量化することができる。これにより、低消費電力化が図れる。
【0014】
本発明において、前記振動体は、前記振動板と前記側板との間に接続されるリブ部材を有する。これにより、さらに振動体の剛性を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記振動体は、前記リブ部材に穴を有する。これにより、振動体の剛性を維持しつつ振動体を軽量化することができる。
【0016】
本発明において、前記振動体は、樹脂、紙、または金属でなる。特に、振動体が紙でなることにより、非常に軽量化される。軽量化しても振動体は側板を有して高剛性であるので問題ない。
【0017】
本発明において、例えば前記面は、円形、楕円形、多角形、または角円形でなる。角円形とは、直線と曲線とで囲まれた領域の形であり、例えば角が円形の多角形等が挙げられる。
【0018】
本発明において、前記側板は、前記振動板の前記振動方向の一側に立設され、前記駆動部は、前記振動体を振動させるための前記一側に配置されたアクチュエータを有する。これにより、アクチュエータは側板に囲まれるように配置されるので、振動装置を薄型化することができる。
【0019】
本発明において、前記振動板は、該振動板の前記振動方向の一側に向けて徐々に径が広がるコーン形状でなり、前記駆動部は、前記振動体を振動させるための前記一側に配置されたアクチュエータを有する。これにより、コーン形状の内側にアクチュエータが配置されるので、振動装置を薄型化することができる。この場合、前記振動体は、前記一側とは反対側に向けて立設された側板を有していれば、当該一側に立設されている場合に比べ振動装置の薄型化に寄与する。
【0020】
本発明において、前記フレームは、前記側板を摺動可能に支持する。このように、側板があることで、フレームがシリンダ、振動体がピストンであるかのように構成することができる。また、側板がフレームに摺動して接することにより、振動体の横振れ等を抑制し安定して振動させることができる。例えば摺動可能となるようにフレームと側板との接触部分に表面処理を施すことができる。
【0021】
本発明において、前記フレームは、前記フレームと側板との間に設けられた隙間または潤滑剤により前記側板を摺動可能に支持する。これにより、振動体がスムーズに振動できるようなる。
【0022】
本発明において、前記振動体は、前記フレームにより摺動可能に支持される前記振動板の周縁部と、前記フレームにより摺動可能に支持され、前記側板から突出する突出部とを有する。これにより、側板全体がフレームに接する場合に比べ、摩擦抵抗を小さくでき消費電力を低下させ、騒音も抑制することができる。
【0023】
本発明において、当該振動装置は、前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第1の弾性支持部材と、ほぼ前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第2の弾性支持部材とをさらに具備する。このように振動の方向に配列された第1及び第2の弾性支持部材とによって側板が支持されることにより、振動体の横振れを防止して安定した振動を得ることができる。第2の弾性支持部材は、振動板の振動方向の一側からその反対側へ気体が流通しないような機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0024】
特に、前記側板は、前記第1の弾性支持部材が接続された第1の端部と、前記第1の端部と前記振動方向で反対側に設けられ、前記第2の弾性支持部材が接続された前記第2の端部とを有していればよい。つまり、第1と第2の弾性支持部材間の距離を極力大きくすれば、より安定した振動が得られる。
【0025】
本発明において、前記第2の弾性支持部材は、複数の板バネである。または複数のワイヤである。このような比較的細い部材で第2の弾性支持部材が構成されることにより、振動体の横振れを防止しつつ、振動方向の本来の振れの抵抗を小さくすることができる。
【0026】
本発明において、前記第1及び第2の弾性支持部材は、同じ材料でなる。第1及び第2の弾性支持部材は、材料だけではなく形状がほぼ同じであってもよい。
【0027】
本発明において、当該振動装置は、前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記振動体との間に配置され、前記振動体を支持するベローズ状の第1の弾性支持部材をさらに具備する。ベローズ状の弾性支持部材の山部と谷部はそれぞれ複数設けられていてもよい。
【0028】
本発明において、前記振動体は、前記振動板に設けられ、前記第1の弾性支持部材が接続された側板を有し、当該振動装置は、前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように、かつ、前記第1の弾性支持部材とは前記振動体の振動方向でほぼ対称形状となるように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持するベローズ状の第2の弾性支持部材をさらに具備する。特に、弾性支持部材がベローズ状でなる場合、各弾性支持部材の山部と山部とを対面させ、谷部と谷部とを対面させる場合、つまり対称形状でない場合、振動体の中立点からの両側の振幅が異なり、効率的な振動が得られないおそれがある。すなわち、各弾性支持部材が対称形状に配置されることにより、振動体が振動していないときの振動体の中立点からの両側の振幅が同じになり、効率的な振動が得られる。
【0029】
本発明において、前記第1の弾性支持部材は、前記振動体側に配置された1つの谷部と、前記フレーム側に配置された1つの山部とで構成され、前記駆動部は、前記振動体を振動させるためのアクチュエータと、前記第1の弾性支持部材の近傍の空中を通過するように前記アクチュエータに接続された給電線とを有する。第1の弾性支持部材は、外側であるフレーム側の方が振幅が小さく、内側である振動体側の方が振幅が大きくなる。したがって、振幅が大きい振動体側に谷部が配置されることにより、振動に伴って給電線が動くスペースが広くなり、つまり給電線の動きの自由度が高まり断線を防止できる。
【0030】
本発明において、前記振動板の前記面の面積は、該振動板の前記面にほぼ平行な面内の部分であって前記第1の弾性支持部材が前記フレームに接する箇所で囲まれる部分の面積の70パーセント以下である。70パーセントを超えると、振動体の振動の抵抗が大きくなり、また、騒音が大きくなる可能性がある。好ましくは、60パーセント以下がよい。
【0031】
本発明において、前記振動体は、該振動板と同じ材料でなり、前記振動板の周囲であって前記フレームに装着されることで該振動板を支持する弾性支持部を有する。弾性支持部が振動体に一体成型されることにより、振動体の製造が容易になる。
【0032】
本発明において、前記駆動部は、マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し、前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有する。つまり、駆動部はボイスコイルを有する。本発明では、ボビンが動くことにより、ボビンとマグネットとの間の空間の体積が変化する。ボビンに流通口がない場合、ボビンの内部空間の気圧変化が振動体の振動抵抗になる。しかし、本発明によれば、内部空間にある気体がその流通口を介してボビンの外側に逃げることができるので、効率よく振動させることができる。
【0033】
本発明において、前記振動板は、そのほぼ中央に前記振動方向で貫通する穴部を有し、前記駆動部は、前記穴部に装着されたコイルと、前記コイルに囲まれるように前記穴部付近に配置された平板状のヨークと、前記前記ヨークを挟み込むように設けられた少なくとも2つのマグネットとを有する。このような構成によれば、マグネットを比較的大きいものを用いることができる。したがって磁力を大きくすることができ、振動を大きくすることができる。このような作用効果を考えると、前記振動板は、そのほぼ中央に前記振動方向で貫通する穴部を有し、前記駆動部は、前記穴部に装着されたコイルと、前記コイルに囲まれるように前記穴部付近に配置された平板状のヨークと、前記前記ヨークを挟み込むように設けられた少なくとも2つのマグネットとを有していてもよい。
【0034】
本発明において、前記駆動部は、残留磁束密度が0.3〜3.0Tのマグネットを有するアクチュエータを有する。0.3T以上としたのは、例えば振動装置を小型化し、マグネットも小型化した場合であっても、所望の磁束密度を得るためである。また、3.0T以上となると高価になるからである。例えば前記マグネットは、ネオジウム磁石である。
【0035】
本発明において、前記駆動部は、前記フレームに装着された端子台と、前記コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータと、前記端子台と前記コイルとの間に接続された給電線とを有する。フレームに端子台があることにより、断線を予防するとともに、振動装置を搭載する噴流発生装置の製造時の配線が容易になる。
【0036】
本発明において、給電線は、その最小曲げ半径が、当該給電線の太さのほぼ5倍でなる。これにより、振動体の振動による給電線の断線を防止することができる。5倍より小さいと、その曲げ部に応力が集中して断線しやすくなるからである。「最小曲げ半径」とは、その給電線の中で曲げ半径が最小となる部分の、当該曲げ半径である。
【0037】
本発明において、前記給電線は、縒りがかけられている。これにより、断線を防止することができる。このような給電線として、例えばロボットケーブル等が用いられる。
【0038】
本発明において、前記アクチュエータは、前記振動板の前記振動方向の一側に配置され、前記給電線は、前記振動板の前記一側の反対側に延びている。上記のように、曲げ半径を有する給電線の場合、本発明のように配線すれば、緩やかなカーブで配線することができる。また、アクチュエータの反対側には、チャンバの空間があるだけなので、配線しやすいというメリットがある。
【0039】
本発明において、前記振動体は、貫通孔を有する側板を有し、当該振動装置は、前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第1の弾性支持部材と、ほぼ前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第2の弾性支持部材とをさらに具備し、前記給電線は、前記貫通孔に挿通されるとともに前記第1及び第2の弾性支持部材の間を通過するように配置されている。これにより、薄型化を実現することができる。
【0040】
本発明において、前記給電線の太さは0.4mm以上である。これにより、断線を防止することができる。断線を防止する観点から、給電線の太さに上限はないが、振動装置の大きさに対応して常識的な範囲内である。例えば上限は3mm以下、あるいは5mm以下である。
【0041】
本発明において、前記給電線の長手方向に垂直な断面が扁平状ある。振動体により発生するチャンバ内の気流を考慮して適切な配線をすれば、給電線があることによる乱気流を防止でき、風切り音による騒音を抑制することができる。
【0042】
本発明において、前記駆動部は、前記フレームに装着された端子台と、コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータとを有し、前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有し、当該振動装置は、前記アクチュエータに給電可能な導電性材料でなり、前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する弾性支持部材をさらに具備する。これにより、極力給電線を用いずに製造することができ、断線の懸念がなくなる。
【0043】
本発明において、前記フレームは、前記気体を流通させるための流通口を有する。これにより、フレームの内側から外側へ、振動体の振動による適切な気流を発生させることができる。
【0044】
本発明において、前記振動体は、前記側板の前記振動方向の両端に接続された第1及び第2の振動板を有する筒状でなり、前記駆動部は、前記振動体を振動させるためのアクチュエータを前記筒状の振動体の内部に有する。例えば、当該振動装置が搭載される噴流発生装置の筐体に固定された部分にアクチュエータを取り付ければ、振動体の外側はチャンバ空間があるだけである。これにより、振動体外側の筐体内の気体をスムーズかつ効率的に筐体外に噴出することができる。また、これに伴い、騒音も低減できる。あるいは、前記駆動部は、前記振動体を振動させるためのアクチュエータを有し、前記振動体は、前記アクチュエータに接続された第1の振動板と、ほぼ前記振動方向で前記第1の振動板と配列され、前記アクチュエータの駆動により前記第1の振動板が振動するときに発生する前記気体の圧力変化により、前記第1の振動板と同期して振動する第2の振動板とを有する。
【0045】
本発明において、前記駆動部は、コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、前記フレームの一部が、前記アクチュエータの磁気回路を構成するための磁性体でなる。これにより、フレームの少なくとも一部が、磁気回路の機能を兼ねるので磁束密度を高めることができる。
【0046】
本発明において、当該振動装置は、前記振動体を支持する弾性支持部材をさらに具備し、前記フレームは、前記弾性支持部材が装着され、前記面内で平板状の外形を有する。このような薄型のフレームが設けられることにより、振動装置及び噴流発生装置の薄型化を実現することができる。「平板状の外形」には、フレームが平板状で、かつ、その平板に振動体が取り付けられるための穴や溝等が設けられたような形状も含まれる。
【0047】
本発明において、前記筐体は樹脂でなり、前記フレームは、前記筐体より剛性の高い材料でなる前記フレームは、前記筐体より剛性の高い材料でなる。これにより、フレームの厚さが筐体の肉厚より薄くても、必要な剛性を保つことができる。特に、フレームが金属でなる場合、十分な剛性を保つことができる。
【0048】
本発明において、当該振動装置は、前記筐体に装着されるとともに前記フレームを覆うように形成され、前記振動体を振動可能に支持する弾性支持部材をさらに具備する。弾性支持部材とフレームとを一体成型で形成することができる。一体成型により、製造工程が少なくなることはもちろん、弾性支持部材とフレームとの位置精度、ひいては弾性支持部材と筐体との位置精度が位置精度が著しく向上する。
【0049】
本発明において、当該振動装置は、前記フレームに装着されるとともに前記振動体を覆うように形成され、前記振動体を振動可能に支持する弾性支持部材をさらに具備する。振動体と弾性支持部材とを一体成型で形成することができる。一体成型により、製造工程が少なくなることはもちろん、弾性支持部材と振動体との位置精度が著しく向上する。この場合、前記弾性支持部材は、上述のように前記フレームを覆うように形成されていてもよい。
【0050】
本発明において、前記駆動部は、コイルを有する電磁駆動型のアクチュエータと、長手方向にほぼ垂直な断面が多角形でなる電線を有し、前記電線が巻回されて構成されたコイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有する。これにより、長手方向にほぼ垂直な断面が円形の電線に比べ、その断面積の単位当りのコイルの密度を大きくすることができる。すなわち、同じ体積に多くの電線を巻くことが可能となる。これにより、同じ巻き数でも巻き高さ(コイル全体の厚さ)が減るので、コイルの薄型化を達成できる。「多角形」とは、3角形以上の角数を持つ形状を意味する。
【0051】
本発明において、前記コイルは、偶数の層に巻回されてなる。これにより、コイルの巻き始めと巻き終わりとが同じ側にされる場合に有効である。すなわち、その場合、奇数層の場合、コイル一本分の厚さ(1層分の厚さ)が無駄になるが、偶数層であれば、そのスペースの無駄がなくなり、小型化、薄型化に寄与する。
【0052】
本発明において、前記駆動部は、前記振動体に装着されたマグネットと、通電により磁界を発生することで、前記マグネットが装着された前記振動体を振動させるコイルとを有する。これにより、振動装置、ひいては噴流発生装置の薄型化を実現することができる。
【0053】
本発明において、前記コイルは、前記筐体外に配置されている。コイルが筐体外に配置されることにより、振動体とコイルとが干渉することはなく、振動体の振幅を大きくすることができる。したがって気体の吐出量を増やすことができる。また、筐体内で発生する気流の抵抗が少なくなり、騒音が抑制される。コイルは筐体に装着されていてもよいし、装着されていなくてもよい。
【0054】
本発明において、前記駆動部は、前記振動体を前記面内で回転させるための動力を、前記振動体に与える動力源と、前記振動体を前記振動方向に振動させるように、前記動力源により回転する前記振動体の動きを変換する変換機構とを有する。前記動力源は、例えば、コイルと、前記振動体に装着されたマグネットとを有する。その場合、上述したように、コイルが筐体外に配置されてもよい。前記変換機構はラック機構またはカム機構でなるが、他の機構であってもよい。
【0055】
本発明において、前記振動体は、バイモルフ型の圧電アクチュエータである。これにより、薄型の圧電アクチュエータを実現することができる。
【0056】
本発明において、前記振動体は、前記面内における端部を有し、前記駆動部は、前記振動体の前記端部に装着されたコイルと、前記コイルに駆動力を与えるための磁気回路を構成する複数の磁気回路構成部材とを有する。コイルの外周に磁気回路構成部材があれば、薄型化を実現することができる。例えば、前記磁気回路構成部材は、前記振動方向に立設され、前記コイルが周囲に配置された第1の壁と、前記第1の壁に対面する第2の壁とを有する第1のヨークと、前記第1の壁と前記第2の壁との間で、前記第1及び第2の壁の両方に対面するように配置された板状の第2のヨークと、前記第1の壁と前記第2のヨークとの間に挟まれ、前記第1の壁から前記第2のヨークへ向かう方向に着磁されたマグネットとを有する。
【0057】
本発明に他の観点に係る振動装置は、筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置であって、フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有する駆動部とを具備する。
【0058】
本発明によれば、内部空間にある気体がその流通口を介してボビンの外側に逃げることができるので、ボビンの内部空間の気圧変化が振動体の振動抵抗になることはなく、振動体に効率的な振動を発生させることができる。
【0059】
本発明に係る噴流発生装置は、フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。例えば、振動体が側板を有していれば、振動体の剛性が高まり、振動板の撓みを抑制して効果的に気体に振動を与えることができる。
【0060】
本発明において、前記筐体は、前記開口を少なくとも2つ有するとともに、前記振動板の前記振動方向の一側とその反対側で前記各開口にそれぞれ連通するように設けられた少なくとも2つのチャンバを内部に有する。これにより、各開口から交互に気体が吐出されるので、各開口から吐出されるときの各音が逆位相となり弱め合うので騒音を抑制することができる。少なくとも2つのチャンバは容積が同じである場合、振動方向での装置の対称性が増すため、より静音性を向上させることができる。しかし、必ずしも当該2つのチャンバが同じである必要はない。
【0061】
この噴流発生装置において、フレームがない場合、当該噴流発生装置は、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有する振動体と、開口を有し、前記振動体を振動可能に支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。つまり、本発明は、フレーム自体が筐体で構成されている。
【0062】
本発明において、前記駆動部は、コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、前記筐体の少なくとも一部が、前記アクチュエータの磁気回路を構成するための磁性体でなる。これにより、筐体の少なくとも一部が、磁気回路の機能を兼ねるので磁束密度を高めることができる。
【0063】
本発明において、当該噴流発生装置は、前記開口に連通する前記気体の流路を有し、前記筐体に装着されたノズル体をさらに具備する。これにより、筐体が作られてからノズル体が筐体に装着されるようにすることにより、噴流発生装置の製造が容易になる。
【0064】
本発明において、前記駆動部は、電磁駆動を用いたアクチュエータと、前記筐体に取り付けられ、前記アクチュエータを動かすための電気信号を生成する回路基板とを有する。これにより、端子台等による中間の電気的な接続手段が不要なる上、構造も単純となる。
【0065】
本発明において、前記筐体は、前記面とは異なる角度の面を有し、前記回路基板は、前記異なる角度の面に取り付けられている。これにより、噴流発生装置の薄型化に寄与する。
【0066】
本発明において、前記回路基板は、前記筐体の一部を構成する。これにより、噴流発生装置の小型化に寄与する。
【0067】
本発明において、前記筐体は、前記筐体内で前記振動体の振動方向に該振動体により分離され、前記気体が含まれる第1及び第2のチャンバと、前記第1及び第2のチャンバのうち少なくとも一方側に配置され、前記筐体の一部を構成する磁性体でなる板とを有する。これにより、例えば駆動部が電磁式のモータでなる場合であって、振動体が筐体内にある場合、その金属板によって漏れ磁界を抑えることができる。この場合、磁気シールド効果を発揮させるために透磁率の高いものが用いられることが好ましい。例えば、前記板が、金属でなることにより、樹脂等に比べ強度が高いので筐体を薄くすることができる。
【0068】
本発明において、前記筐体は、作業用の開口と、前記作業用の開口に装着された蓋とを有する。「作業」とは、噴流発生装置の製造過程において、試験、検査、あるいは製造作業等の意味である。この場合、蓋の代わりに、前記筐体は、その一部が可視光を透過する材料でなる。あるいは、上記蓋が可視光を透過する材料であってもよい。
【0069】
本発明において、当該噴流発生装置は、前記噴流発生装置が電子機器に固定されるための固定機構をさらに具備する。これにより、作業者が噴流発生装置を電子機器に組み込むときの作業が容易となる。
【0070】
本発明において、前記筐体は、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間をつなぐ曲面とを有する外面を有する。これにより、噴流発生装置が電子機器に搭載される場合のスペースの無駄をなくすことができる。
【0071】
本発明において、前記筐体は、前記開口を複数有するとともに、前記各開口のうち第1の開口面を有する第1の開口と、前記第1の開口の開口面とは異なる角度の第2の開口面を有する第2の開口とを有する。これにより、異なる方向に噴流が送られる。例えば第1の開口面と第2の開口面の位置を電子機器の形態に併せて設計することができる。前記第1の開口面及び前記第2の開口面は、ほぼ直交するように、または、ほぼ平行に配置されてもよい。
【0072】
本発明のさらに別の観点に係る噴流発生装置は、すべてがほぼ同じ方向に振動する複数の振動体と、複数の開口と、前記各振動体がそれぞれ配置されるとともに前記振動体の振動方向ほぼ垂直な面内で並ぶように配置され前記各開口にそれぞれ連通する複数のチャンバとを有し、前記各チャンバに気体が含まれた筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記各開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。
【0073】
本発明では、平面的に並んだ複数のチャンバごとに振動体が設けられ、各チャンバと連通する開口からそれぞれ気体を吐出させることにより、噴流発生装置を薄型にすることができる上、気体の吐出量を増大させることができる。また、例えばある振動体がある一方向に動くタイミングで、別の振動体がその反対方向に動くように、その2つの振動体が振動すれば、装置全体でモーメントは発生するが、その2つ分の振動体の振動がキャンセルされる。これにより、噴流発生装置が搭載される電子機器に与える振動を抑制することができる。
【0074】
本発明いう振動の方向である「同じ方向」とは、ある側に向かう方向とその反対側に向かう方向の両方を含む意味である。すなわち、複数の振動体が同じタイミングですべて上方向、あるいは、同じタイミングですべて下方向に振動しなければならない、という意味ではない。振動のタイミングに関係なく、振動体の振動全体の方向がほぼ同じであればよい。
【0075】
本発明において、当該噴流発生装置は、前記各開口にそれぞれ連通する複数の前記気体の流路を有し、前記各流路を一体的に形成するノズル体をさらに具備する。これにより、筐体1つにノズル1つがセットになり、製造が容易となる。
【0076】
本発明において、前記筐体は、毛細管現象を用いて作動流体の相変化により熱を輸送する熱輸送デバイスが嵌め込まれる穴を有する。あるいは、前記筐体は、上記熱輸送デバイスが当接する段差、溝、または凹部を有する。これにより、熱輸送デバイスが噴流発生装置に取り付けられるときの取り付け位置が作業者にとって容易に判別され、製造が容易となる。また、噴流発生装置と熱輸送デバイスと組み合わせたデバイスの小型化または薄型化に寄与する。
【0077】
本発明において、前記駆動部は、磁気回路を構成する磁気回路構成部材を有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、前記磁気回路構成部材は、前記筐体から前記振動方向へ該筐体の外部に突出するように設けられている。磁気回路構成部材の大きさは、他のアクチュエータの部品と比べて大きくなる場合が多いので、磁気回路構成部材以外を筐体外に突出させる。すなわち、これにより筐体を極力小さくすることができ、無駄なスペースをなくすことができる。
【0078】
本発明の他の観点に係る噴流発生装置は、フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有し、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。
【0079】
この噴流発生装置において、フレームがない場合、当該噴流発生装置は、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有する振動体と、開口を有し、前記振動体を振動可能に支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有し、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。
【0080】
本発明に係る電子機器は、発熱体と、フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた第1の筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記発熱体に向けて前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを有する噴流発生装置と、前記発熱体と前記噴流発生装置を保持可能な第2の筐体とを具備する。
【0081】
第2の筐体が、前記発熱体と前記噴流発生装置を「保持可能」とは、発熱体や噴流発生装置が必ずしも「収容」されなくてもよく、例えば発熱体等の一部分が第2の筐体の外部へ露出等していてもよいことを含む意味である。
【0082】
発熱体としては、例えばICや抵抗等の電子部品、あるいは放熱フィン(ヒートシンク)等が挙げられるが、これらに限られず発熱するものなら何でもよい。
【0083】
この電子機器において、フレームがない場合、当該電子機器は、発熱体と、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有する振動体と、開口を有し、前記振動体を振動可能に支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記発熱体に向けて前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを具備する。
【0084】
電子機器としては、電子機器としては、コンピュータ(パーソナルコンピュータの場合、ラップトップ型であっても、デスクトップ型であってもよい。)、PDA(Personal Digital Assistance)、電子辞書、カメラ、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、携帯電話、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。以下の「電子機器」についても同様である。
【0085】
本発明において、当該電子機器は、前記発熱体を収容する第2の筐体をさらに具備し、前記第2の筐体の一部は、前記第1の筐体の一部で構成される。これにより、電子機器の小型化または薄型化を実現することができる。
【0086】
本発明の他の観点に係る電子機器は、第1の発熱体と、前記第1の発熱体に向けて第1の方向に第1の気体を脈流として吐出する第1の噴流発生器と、第2の発熱体と、前記第2の発熱体に向けて第1の方向とは異なる第2の方向に第2の気体を脈流として吐出する第2の噴流発生器とを具備する。
【0087】
本発明では、発熱体が2つ以上、離れた位置に配置される場合にそれらの発熱体を効率よく冷却することができる。また、第1の方向と第2の方向とが異なるので、例えば第1及び第2の発熱体のそれぞれの放熱後に、異なる方向にその熱を含む気体を排出することができる。
【0088】
「第1の気体」及び「第2の気体」の気体の種類は同じでよい。しかし、必ずしも同じでなくても異なっていてもよい。
【0089】
例えば、前記第1の方向と前記第2の方向とはほぼ90度異なる。例えば前記第1及び第2の発熱体は同じ構造を有していてもよいし、前記第1及び第2の噴流発生器は同じ構造を有していてもよい。「構造」とは、形状及び大きさの概念も含まれる。「同じ構造」とは、実質的に同じ製造物が作られる場合の当該製造物を意味し、物理的に全く同じという意味ではない。
【0090】
本発明において、前記第1の方向における前記第1の発熱体の長さと、前記第1の方向における前記第1の噴流発生器の長さとを足した長さが、前記第2の噴流発生器の第1の方向における長さとほぼ等しい。前記第1の方向と前記第2の方向とはほぼ90度異なる場合、本発明のこのような構成により、無駄なスペースをなくすことができる。
【0091】
本発明に係る振動装置の製造方法は、筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置の製造方法であって、前記筐体に取り付けられるフレームを所定の位置に配置する工程と、前記所定の位置に配置されたフレームと、前記気体を振動させる振動体を支持するための弾性支持部材とを一体成型する工程とを具備する。
【0092】
本発明では、フレームと弾性支持部材とが一体成型されるので、製造工程が減り、コスト削減にもなる。また、弾性支持部材とフレームとの位置精度、ひいては弾性支持部材と筐体との位置精度が位置精度が著しく向上する。
【0093】
本発明において、前記振動体と前記弾性支持部材とを一体成型する工程をさらに具備する。本発明でも、製造工程が減り、コストが削減され、振動体と弾性支持部材との位置精度、ひいては振動体と筐体との位置精度が著しく向上する。
【0094】
本発明の他の観点に係る振動装置の製造方法は、筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置の製造方法であって、前記気体を振動させる振動体を所定の位置に配置する工程と、前記所定の位置に配置された振動体と、前記振動体を支持するための弾性支持部材とを一体成型する工程とを具備する。
【発明の効果】
【0095】
以上のように、本発明によれば、振動体に効率的な振動を発生させ、効果的に気体に振動を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0097】
図1は、本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す噴流発生装置の断面図である。
【0098】
噴流発生装置10は、後部が円筒状をなす筐体1と、筐体1内に配置された振動装置15とを備えている。筐体1の前面1aには、ノズル2a及び2bがそれぞれ複数配列されている。図2に示すように、筐体1の内部は、振動装置15と、この振動装置15が取り付けられる取付部7によって、上部チャンバ11a及び下部チャンバ11bに分離されている。ノズル2a及び2bが取り付けられている筐体1の前面1aには、ノズル2a及び2bに対応する位置に開口12a及び12bが形成されている。これにより、上部チャンバ11a及び下部チャンバ11bは筐体1の外部の大気にそれぞれ連通している。各チャンバ11aと11bとは、容積がほぼ同じとなっている。すなわち、振動装置15が上部チャンバ11aに配置される分、下部チャンバ11bより上部チャンバ11aの方が図2中の上下方向(厚さ方向)で厚くなっている。これにより、後述するようにノズル2a及び2bから交互に吐出される気体量を同じにすることができ、静音性が向上する。
【0099】
振動装置15は、例えばスピーカに類似した構成を有している。振動装置15は、フレーム4と、フレーム4に装着されたアクチュエータ5と、弾性支持部材6によってフレーム4に支持された振動体3とを有している。図3は、振動体3を示す斜視図である。振動体3は、円形状の振動板3aの周縁部に側板3bが形成されて構成されている。側板3bは、振動板3aの表面3a−1及び裏面3a−2のうち、例えば裏面3a−2側に立設されている。フレーム4には、フレーム4の内外で筐体1内に含まれた空気を流通させるための流通口4aが形成されている。
【0100】
振動体3は、例えば樹脂、紙、または金属でなる。特に、振動体3が紙でなることにより、非常に軽量化される。紙は、樹脂ほど任意な形状に作製しにくいが、軽量化では有利である。軽量化しても振動体3は側板3bを有し高剛性であるので問題ない。振動体3が樹脂の場合、成形により任意の形状に作製しやすい。一方、振動体3が金属の場合、マグネシウムのような軽量で射出成形が可能な材料があるので、場合に応じて使用できる。
【0101】
図4は、アクチュエータ5を示す拡大断面図である。円筒状のヨーク8の内側に、振動板3aの振動方向Rに着磁されたマグネット14が内蔵され、マグネット14には、例えば円板状のヨーク18が取り付けられている。このマグネット14、ヨーク8及び18により図5に示すような磁界が発生し、磁気回路が構成される。マグネット14とヨーク8との間の空間には、コイル17が巻回されたコイルボビン9が出入りするようになっている。すなわち、アクチュエータ5はボイスコイルモータでなる。アクチュエータ5には、給電線16により、例えば図示しない駆動用のICから電気信号が供給される。ヨーク8はフレーム4の内側中央に固定され、コイルボビン9は振動板3aの表面3a−1に固定されている。平板状のヨーク18は、上述のように例えば円板形である。しかし、円でなくても楕円や、矩形状でもよい。振動板3aの面3a−1(または3a−2)と相似な形が合理的とも考えられる。このようなアクチュエータ5により、振動体3を矢印Rの方向に振動させることができる。
【0102】
筐体1は、例えば、樹脂、ゴム、または金属でなる。樹脂やゴムは成形で作製しやすく量産向きである。また、筐体1が樹脂やゴムの場合、アクチュエータ5の駆動により発生する音、あるいは振動板3aが振動することにより発生する空気の気流音等を抑制することができる。つまり、筐体1が樹脂やゴムの場合、それらの音の減衰率も高くなり、騒音を抑制することができる。さらに、軽量化に対応でき、低コストとなる。樹脂等の射出成形で筐体1が作製される場合は、ノズル2a及び2bと一体で成形することが可能である。筐体1が熱伝導性の高い材料、例えば金属でなる場合、アクチュエータ5から発せられる熱を筐体1に逃がして筐体1の外部に放熱することができる。金属としては、アルミや銅が挙げられる。熱伝導性を考慮する場合、金属に限らず、カーボンであってもよい。金属としては、射出成形が可能なマグネシウム等も用いることができる。アクチュエータ5の磁気回路からの漏れ磁界が機器の他のデバイスに影響する場合は、漏れ磁界を無くす工夫が必要である。その一つが、筐体1を磁性材料、例えば鉄等にすることである。これにより、漏れ磁界はかなりのレベルで低減される。さらに、高温での使用や、特殊用途ではセラミックスの筐体であってもよい。
【0103】
上述したように、放熱のために筐体1に高熱伝導材料が用いられる場合、フレーム4も熱伝導性の高い材料を用いることが好ましい。この場合、フレーム4も金属やカーボンが用いられる。しかし、熱伝導をあまり考慮しない場合、フレーム4は、例えば樹脂が用いられる。樹脂であれば、安価で軽量なフレームを射出成形で作製することができる。フレーム4の一部を磁性体とすることもできる。これにより、その磁性体でアクチュエータ5のヨークを構成することができ、磁束密度を高めることも可能である。
【0104】
弾性支持部材6は、例えばゴムや樹脂等でなる。弾性支持部材6はベローズ状をなし、上面から見る場合、円環形状をなしている。振動体3は、主にアクチュエータ5により支持されるが、振動体3の振動方向Rとは垂直方向の振れである横振れを防止するために、弾性支持部材6は振動体3を支持する機能を有している。また、弾性支持部材6は、上記したように、チャンバ11a及び11bを分離し、振動体3が振動するときに、チャンバ11a及び11b間での気体の流通を阻止する。弾性支持部材6は、ベローズ状をなしているが、その山部と谷部の個数は、図2に示すようにそれぞれ1つずつが好ましい。以下、これを2ロールと呼ぶ。1つの谷部、または1つの山部だけの場合、図2中の上下方向の高さが高くなり、薄型化に反し、山部及び谷部が複数ある場合、振動体3が振動するときに振動方向R以外の複雑な動きが発生し、効率が落ちる可能性があるからである。
【0105】
なお、筐体1にはノズル2a及び2bが設けられる構成としたが、ノズルではなく、筐体1に単に開口が設けられている構成であってもかまわない。
【0106】
以上のように構成された噴流発生装置10の動作について説明する。
【0107】
アクチュエータ5に例えば正弦波の交流電圧が印加されると、振動体3は正弦波振動を行う。これにより、チャンバ11a及び11b内の容積が増減する。チャンバ11a及び11bの容積変化に伴い、それらチャンバ11a及び11bの圧力が変化し、これに伴い、それぞれノズル12a及び12bを介して空気の流れが脈流として発生する。例えば、振動体3がチャンバ11aの容積を増加させる方向に変位すると、チャンバ11aの圧力は減少し、チャンバ11bの圧力は増加する。これによりノズル12aを介して筐体1の外部の空気がチャンバ11a内に流れ込み、チャンバ11bにある空気がノズル12bを介して外部に噴出される。逆に、振動体3がチャンバ11aの容積を減少させる方向に変位すると、チャンバ11aの圧力は増加し、チャンバ11bの圧力は減少する。これによりチャンバ11aにある空気がノズル12aを介して外部に噴出され、ノズル12bを介して外部の空気がチャンバ11b内に流れ込む。ノズル12a及び12bから空気が噴出されるときにノズル12a及び12bの周囲の気圧が低下することにより、当該周囲の空気が各ノズルから噴出される空気に巻き込まれる。すなわち、これが合成噴流である。このような合成噴流が、発熱体や高熱部に吹き付けられることにより、当該発熱体や高熱部を冷却することができる。
【0108】
一方、ノズル12a及び12bから空気が噴出されるときに、各ノズル12a及びノズル12bから独立して騒音が発生する。しかしながら、各ノズル12a及びノズル12bとで発生する各音波は逆位相の音波であるため互いに弱められる。これにより、騒音が抑制され、静音化を図ることができる。
【0109】
本実施の形態によれば、振動体3が側板3bを有するので振動体3全体の剛性が高まり、振動板3aの撓みを抑制して効果的に気体に振動を与えることができる。また、振動板3a自体を厚くしたりして高剛性にするのではなく、側板3bが形成されることで振動体3全体で高剛性を達成し、振動体3の重量は重くならない。
【0110】
図6は、振動体の他の形態を示す斜視図である。以下に説明する実施の形態において、上記図1〜図4に示した形態に係る部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。また、各部材の材質等についても、基本的には上記した材質で作製することができる。振動体13は、図2に示す状態と同様に、振動装置15に組み込まれる。振動体13は、側板13bに複数の穴13dが設けられている。穴13dは、必ずしも複数でなくてもよく1つであってもよい。これにより、振動体13の剛性を維持しつつ振動体を軽量化することができ、低消費電力化が図れる。
【0111】
図7は、振動体のさらに別の形態を示す斜視図である。この振動体23は、図6に示す振動体13と同様に側板23bに穴23dが複数設けられている。さらに振動板23aと側板23bを繋ぐようにリブ23eが設けられている。これにより、さらに振動体23の剛性が高められる。
【0112】
図8に示すさらに別の形態の振動体33のように、リブ33eにも穴33e−1が設けられても、軽量化が図れる。図6〜図8のような振動体13、23及び33が例えば樹脂でなる場合、これらの振動体13、23及び33のような形状でも樹脂を射出成形することにより作製することができる。
【0113】
図9は、上記振動体3、13、その他の振動体の振動板3a等の形状の他の形態を示す平面図である。図9(A)に示すように楕円であってもよいし、図9(B)に示すように長円であってもよい。図9(C)〜(E)に示す形状は、それぞれ正方形、長方形、角が曲線の長方形である。これらのように振動板3a等の平面形状は任意形状でよいが、円の場合、金型なども含めて作製が容易である。上記図9(C)〜(E)に示した振動板を有する振動装置が上記筐体1に搭載される場合、筐体1の平面形状も振動板の形状に合わせて矩形であることが望ましい。例えば、軸流ファン等は回転して送風するため、平面形状は円形である。これに対し、噴流発生装置10の振動板は、必ずしも円である必要はなく、図9(A)〜(E)に示すようにフレキシブルな形状を実現できる。このように形状がフレキシブルに対応できることにより、例えばPC等の電子機器に噴流発生装置10が搭載される場合に、その配置や形状の自由度が高まる。
【0114】
また、噴流発生装置10の筐体1の上面や下面が、図7に示したようなあらゆる形状の振動板の面に相似形とすることも可能である。これにより、振動板の形状に最適で、効率のよい気流を筐体1の内部で発生させることができる。
【0115】
図10は、振動装置の他の形態を示す断面図である。図11はその斜視図である。振動装置25は、円筒状のフレーム24に、弾性支持部材6を介して振動体3が取り付けられている。フレーム24は、180°に近い長い空気の流通口24aが、例えばその側面に2つ設けられている。振動体3は、側板3bが立設される側の面3a−2にアクチュエータ5が配置されている。つまり、振動体3の向きが図2に示す状態と振動方向Rで逆向きとなっている。これにより、振動装置25全体を薄型化することができる。
【0116】
図12は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置45の弾性支持部材36は、ベローズ状ではなく、断面が直線状でなっている。図13に示す振動装置55の弾性支持部材46は、1つの谷部のみで構成されている。これらのような弾性支持部材によっても、振動体3の表面と裏面側での空気の流通を阻止することができる。
【0117】
図14は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置95の弾性支持部材76は、山部が1つ、谷部が2つでなる。このように2ロール以上のベローズとしてもよい。
【0118】
図15は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置35の振動体3の側板3bとフレーム4との間には、第1の弾性支持部材6(以下、エッジ部材という。)とは別に、第2の弾性支持部材26(以下、ダンパという。)が装着されている。ダンパ26は、例えば円環状をなしている。エッジ部材6とダンパ26とは、側板3bにおける振動方向の両端に接続されている。このように、振動方向Rの2つの位置で側板3bが支持されることにより、振動体3の横振れを防止して安定した振動を得ることができる。
【0119】
図16は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。図17は、図16におけるA−A線断面図である。この振動装置65のダンパ56は、例えば板バネ状でなる。また、図18に示すように、ダンパ66をワイヤ状としてもよい。このような比較的細い部材でダンパ56、66が構成されることにより、振動体3の横振れを防止しつつ、振動方向の本来の振れの抵抗を小さくすることができる。
【0120】
図19に示す振動装置105のエッジ部材6aとダンパ6bとは同じ形状を有し、また同じ材料でなる。このような構成によっても振動体3の振動を安定させることができる。また、エッジ部材6aとダンパ6bとが同じものであるので、量産に適し、安価である。
【0121】
図20に示す振動装置115のエッジ部材6aとダンパ6bとは同じものを用いているが、振動体3の振動方向で対称形状をなしている。このような構成により、振動体3が振動していないときの振動体3の中立点からの両側の振幅が同じになり、効率的な振動が得られる。また、図20に示すように給電線16が配線される場合、給電線16に近い側の弾性支持部材であるダンパ6bは、フレーム4側(外側)が山部で、振動体3側(内側)が谷部となるように配置されている。通常、これらエッジ部材6aやダンパ6bは、外側のフレーム4側より内側の振動体3の方が振幅が大きくなる。したがって、振幅が大きい振動体3側に谷部が配置されることにより、振動に伴って給電線16が動くスペースが広くなり、つまり給電線16の動きの自由度が高まり断線を防止できる。
【0122】
図21は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置85は、図10と同様に円筒状のフレーム34を有している。振動体33の振動板33aはコーン形状でなり、そのコーン形状の振動板33aの内側の面33a−2にアクチュエータ5が配置されている。振動体33の側板33bは上記面33a−2の反対側の面33a−1側に立設されている。この側板33bとフレーム34との間には、エッジ部材6aとダンパ6bとが対称形状となるように配置されている。このような構成により、振動装置85を非常に薄型化することができる。
【0123】
図22は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置125は、円筒状のフレーム44の内側で摺動する振動体43を備えている。振動体43は、振動板43aの周縁部に振動方向Rの両側に立設する側板43bが設けられて構成されている。この側板43bとフレーム44の内側とがいわばピストンとシリンダのような関係になっている。このような構成によっても、振動体43の横振れ等を抑制し安定して振動させることができる。この場合、側板43bのフレーム44に対する摩擦抵抗を小さくするために、例えば潤滑油のような流体47等が塗られていることが好ましい。あるいは、フレーム44の内側及び側板43bの接触面のうち少なくとも一方に摩擦抵抗を小さくするような表面処理がなされていてもよい。この表面処理としては、例えばテフロン(登録商標)加工が挙げられる。
【0124】
図23に示す振動装置135は、図22に示す振動装置125の変形例である。振動板53aの周縁部と、側板53bから径方向に突出するフランジのような突出部53cの周縁部とがフレーム44の内側に接している。これにより、振動体53とフレーム44との接触面積を極力小さくすることができ、摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0125】
図22に示す振動装置125において、側板43bとフレーム44とは必ずしも接していなくてもよく、それらの間に隙間が設けられているだけであってもよい。この隙間は、実質的に振動体43の表面43a−1側と裏面43a−2側との間で空気の流通がほとんどなくなるような十分に狭い間隔であればよい。図23に示す振動装置135についても同様のことが言える。
【0126】
図24は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置145の振動体63は、コーン形状の振動板63aの周縁部にエッジ部63bが一体的に設けられている。例えば振動体63は、例えば樹脂でなる場合、射出成型で作製することができ、部品点数も減るので、コスト的に有利となる。振動体63は、例えば金属であっても金型で一体成型することができる。
【0127】
図25は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置155の振動体73は、コーン形状の振動板でなる。振動体73の周縁部とフレーム54との間に隙間52が設けられている。この隙間52は、実質的に振動体73の表面73a−1側と裏面73a−2側との間で空気の流通がほとんどなくなるような間隔であればよい。
【0128】
図26は、図25に示す振動装置155の変形例である。この振動装置165は、図2等で示したような側板3bを有する振動体3を備え、側板3bとフレーム54との間に十分に狭い隙間52が設けられている。
【0129】
図27は、これまで説明した各振動装置15、25、35等をフレーム4の開口端側(下部側)から見た平面図である。例えば振動体3の振動板3aの振動方向に垂直な面3a−1または3a−2の面積Aと、その面にほぼ平行な面内の部分であってエッジ部材6が囲む面積Bとする。そうすると、面積Bが面積Aの70パーセント以下となることが好ましい。70パーセントを超えると、振動体の振動の抵抗が大きくなり、また、騒音が大きくなる可能性がある。本発明者らの実験によると、70パーセントを超えると、人間が、その騒音が気になる程度に大きくなり始めた。好ましくは、60パーセント以下がよい。
【0130】
図28は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置195の振動体83の中央に穴部83cが形成されている。アクチュエータ191は、2つのマグネット14と、これらに挟み込まれた平板状のヨーク18と、上記穴部83cに装着された円筒状のコイルボビン32に巻回されたコイル39とで構成される。図29は、このアクチュエータ191のマグネット14及びヨーク18で発生する磁力線の様子を示す。このような解放磁界を利用することにより、これまで説明したような閉じた磁気回路に比して効率は落ちるが、振動板83aに対して振動方向Rでアクチュエータ191が対称構造にすることができる。対称構造では、振動板83aの前と後からの音のレベルを極力同じにすることができるので、逆位相で音の打ち消し合いが効率よく行われる。また、薄型化にも有利である。磁気回路が閉じた系か解放系かは、アプリケーションにより選択するとよい。
【0131】
例えば図28に示すようなアクチュエータ191では、マグネット14がボイスコイル(コイル39及びコイルボビン32)の内側に配置されることにより、アクチュエータ5の配置スペースが小さくなり有利である。このことは、図4等に示したアクチュエータ5についても同様のことが言える。しかし、これらのようなアクチュエータ5、191では、一般にマグネット14が小さく設計される。マグネット14が小さいと、ボイスコイルを横切る磁束密度が小さくなる。そこで、マグネットの径が小さくてもボイスコイルでの磁束密度を高めるためには、残留磁束密度の高いマグネットを使う必要がある。残留磁束密度が0.3T(テスラ)以上のマグネットがよい。さらに、ギャップでの磁束密度をより高くしたい場合は、1T〜3T、あるいはそれ以上の残留磁束密度を持つマグネットが推奨される。1T以上のマグネットであれば、回転軸流ファンと同程度の冷却能力を有し、大きさも比較しうる噴流発生装置を実現できる。例えば、ネオジ鉄は、残留磁束密度は1.1Tであり、上述の要求を満足するマグネットと言える。
【0132】
図30は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置205のアクチュエータ301は、中央の穴114aにフレーム44が嵌着された2つのマグネット114に、穴28aが形成された平板状のヨーク28が挟み込まれるように配置されて構成されている。ヨーク28の穴28aの径は、マグネット114の径より小さく形成されている。ヨーク28の穴28a付近には、振動体43が配置され、振動体43の側板43bの外周面にコイル39が巻回されている。このような構成によれば、マグネット114を比較的大きいものが用いられる。したがって磁力を大きくすることができ、振動を大きくすることができる。また、振動板43aに対して対称構造とすることができる。また、薄型化にも寄与する。
【0133】
図31は、図30に示す振動装置205の変形例を示す断面図である。この振動装置215の振動体143は、図23で示した振動体53と同様なフランジ状の突出部143cを有する。この突出部143cの周縁部がフレーム44の内側に摺接する。または、隙間52をあけて、あるいは隙間52に潤滑材が塗布されている。このような構成によっても、図23及び図31に示す振動装置と同様の効果を得ることができる。
【0134】
図32は、さらに別の実施の形態に係る振動装置225を備えた噴流発生装置を示す断面図である。この振動装置225では、コイル17が巻回された円筒状のコイルボビン37には、当該コイルボビン37の内側と外側との間で空気を流通させるための複数の流通口37aが設けられている。コイルボビン37が動くことにより、コイルボビン37とマグネット14との間の空間(コイルボビン37の内側の空間)の体積が変化する。コイルボビン37に流通口37aがない場合、コイルボビン37の内部空間の気圧変化が振動体93の振動抵抗になる。また、流通口37aがない場合に、マグネット14とコイルボビン38との間の狭い隙間を通って空気が逃げるので、そのときに音が発生するおそれがある。しかしながら、図32のような構成であれば、コイルボビン37の内部空間にある空気が流通口37aを介してコイルボビン37の外側に逃げることができるので、効率よく振動させることができる。また、騒音も低減することができる。流通口37aの個数は、1つであってもよい。流通口37aの形状は、図33に示すように円形であってもよいし、あるいは長穴状であってもよい。
【0135】
なお、図32及び図33では、振動体93は平板状の振動板で構成されているが、上記各実施の形態のように側板が設けられる構成であってももちろんかまわない。
【0136】
図34は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。図35は、図34におけるB−B線断面図である。この振動装置175のアクチュエータは、円筒状のフレーム44の内側のほぼ中央に取り付けられたマグネット14と、マグネット14の対面するように振動体3の振動板3aに配置された平面コイル19とで構成される。コイル19には給電線16が接続されている。振動体3は、樹脂、ゴム、または紙等の絶縁材料であることが好ましい。あるいは、振動体3が導電性の材料であっても、例えば振動板3aとコイル19との間に図示しない絶縁性のシートが貼り付けられていてもよい。コイル19に例えば交流電圧が印加されることにより、マグネット14により生成される解放磁界によって振動体3が振動方向Rに振動する。本実施の形態では、解放磁界であるので、磁束密度は落ちるが、薄型化、対称形状化には有利となる。
【0137】
図36は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。図37は、その振動体を示す平面図である。この振動装置185のアクチュエータは、フレーム64内に複数配列されたマグネット14と、各マグネット14に対面するように平板状の振動体83にそれぞれ配置された複数の平面コイル29とを有する。この例では、コイル29及びマグネット14がそれぞれ6つずつ設けられている。このようなアクチュエータも、上記と同様に解放磁界により振動体83を振動方向Rに振動させることができる。このような構成によれば、コイル29及びマグネット14の個数を適宜選択することにより、振動体83の大きさを、振動方向Rにほぼ垂直な面内で所望の大きさに設定することができる。
【0138】
図38は、さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。この振動装置245のアクチュエータ5に接続された給電線16は、例えば図中、破線で囲んだ部分のように緩やかに曲げられている。このように給電線が緩やかに曲げられることにより、例えば図39の破線で示す給電線の急激な曲げに比べ、断線の可能性を小さくすることができる。例えば、図41(A)に示したように、給電線16の最小曲げ半径がその太さdの3倍ぐらいである場合、その曲げ部に応力が集中して断線が起こりやすくなる。しかし、図41(B)のように5倍以上とすることにより、断線が少なくなる。
【0139】
給電線16は振動するため、振動装置245等の寿命まで断線に耐えなければならない。噴流発生装置では、数万時間の寿命が要求され、総振動数は数十億回となる。そのために、給電線16は、コイルボビン9側に取り付けられる箇所と、フレーム44側に取り付けられる箇所とで固定されていることが望ましい。そこで、振動装置245では、フレーム44に端子22が設けられた端子台21が固定され、この端子台21に給電線16が接続固定されている。これにより、断線を予防するとともに、振動装置245を搭載する噴流発生装置の製造時の配線が容易になる。
【0140】
また、給電線16の断線を防止するために、例えば図40で示したように、給電線16に縒りをかけた錦糸線等を用いることができる。また、細い導線を絶縁膜で被い、それを束ねたロボットケーブルなども屈曲に強く、給電線としては適している。
【0141】
図40に示したよな給電線が用いられる場合、その太さdは0.4mm以上であることが望ましい。一般的なスピーカでは、振幅が5mm程度のものはいわゆるウーハと呼ばれるもので、本発明者らの試作でも、0.3mmのツイータ用の錦糸線を使ったところ、その寿命は極端に短かったが、0.4mmのものに代えたところ、著しく寿命が伸びた。連続試験で14000時間経過したが、未だに断線していない。
【0142】
給電線16は以上のように特殊な構成である。したがって、電力を送る部分から振動装置までの配線、または電力を送る部分から噴流発生装置までの配線には、上記構成の給電線16とは別の通常の導線を用いるのが合理的である。このため、上記端子台21が設けられていると非常に有利となる。端子台21の取り付け位置は、図38のような振動装置245のフレーム44でよい。あるいは、後に説明する図42等のように、噴流発生装置130の筐体131に取り付けられていてもよい。
【0143】
図42は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置130に搭載された振動装置255のフレーム144の一部は、噴流発生装置130の筐体131の機能を兼ねている。つまり、筐体131の一部が切り欠かれていて、その切り欠き部に振動装置255が取り付けられている。筐体131の前面131a付近におけるフレーム144の側面には空気の流通口144aが形成されている。このように筐体131の一部がフレーム144で構成されることにより、噴流発生装置130を薄型化、小型化することができる。
【0144】
この場合、筐体131及びフレーム144は、熱伝導性の良い材料でなると、アクチュエータ5等の放熱に効果的である。高熱伝導性の材料としては、例えば銅、アルミ等の金属、あるいはカーボン樹脂等が挙げられる。
【0145】
さらにこの噴流発生装置130の給電線16は、振動板3aに対してアクチュエータ5のある側とは反対側に延びている。また、アクチュエータ5の反対側のスペースには、筐体131で形成されたチャンバ111bによる空間があるだけで配線が容易になるとともに、上記のように給電線16の曲げ半径を大きくすることができる。
【0146】
なお、上記で説明した図10、図21、図22、図23等に示す筒状のフレームを有する振動装置25等についても、図42に示したように、噴流発生装置の筐体131の機能を兼ねるように、噴流発生装置に搭載することができる。
【0147】
また、噴流発生装置130では、端子台21は、筐体131の側面に取り付けられることが望ましい。側面でなく上面や下面だと、噴流発生装置130が図示しない電子機器に搭載される場合、電力を供給する部分から端子台21までの導線の配線の都合上、当該上面や下面付近にスペースを設けなければならず、搭載の際の制約が生じる。また、薄型化等に反する。したがって、上面や下面より側面がよい。しかし、もちろん、電子機器側の設計によってはそのようなスペースが設けられても問題ない場合もある。
【0148】
図42に示した噴流発生装置130では、アクチュエータ5側もそれほど複雑な形状ではない。しかし、噴流発生装置を薄型化したい場合等には、図43に示すように振動装置265のように、振動体3の側板3bが立設された側にアクチュエータ5が配置されていればよい。この場合、アクチュエータ5が配置される側の構造は複雑となり、給電線16は、ヨーク8及び側板3bを避けて端子台21まで配線され、その曲げ半径が小さくなってしまう。特に、図43に示す噴流発生装置140のような構成で、アクチュエータ5の磁気回路の効率を上げようとした場合、ボイスコイル部の磁束密度を上げるとよい。そのためにマグネット14を大きくすればよいが、その場合、ヨーク8と側板3bとの間隔が近くなり、給電線16が通るスペースが狭くなる。つまり、アクチュエータ5側に給電線16があると、アクチュエータ5の効率向上のためにも不利となる。
【0149】
そこで、図44に示すように、振動体3の振動板3aのアクチュエータ5が配置される側と反対側に給電線16を出して配線すると、前述のような問題はない。この場合、端子台21も振動板3aより下方側に配置される。
【0150】
図45は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置160では、振動体3の側板3bに給電線16が通る穴3b−1が設けられている。給電線16は、2つの弾性支持部材6の間を通り、端子台21に接続されている。このような構成により、前述のような複雑な構造の中を給電線16を配線するということを回避することができ、製造が容易となる。穴3b−1は、複数設けられていてもよいし、長穴状であってもよい。そうすることで、振動装置285の製造時に、振動体3の取り付け角度方向(振動体3の振動方向Rにほぼ垂直な面での振動体3自体の回転角度方向)の制限を緩くできるか、あるいはなくすことができる。つまり、穴3b−1が1つの場合、当該穴3b−1を端子台21に対面させるように振動体3を配置させなければならないからである。
【0151】
図46は、図45に示す噴流発生装置160の変形例である。この噴流発生装置170の振動装置295のフレーム44には、流通口44aとは別の流通口44aが開口されている。この流通口44bにより、振動体3の振動時に、フレーム44内部の空気が、流通口44a及び44bを介して逃げるので、より空気の流れがスムーズになる。また、これにより騒音も低減される。すなわち、気流が発生するときの空気抵抗をフレーム44内部で極力小さくするために、フレーム44に形成される流通口の開口面積は大きいほどよい。本発明者らの実験では、流通口44bがある場合、それがない場合に比べて騒音レベルは3dB程度下がったことが確認されている。
【0152】
図47は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置180は、これでまで説明したような振動装置のフレームがないことが特徴である。つまり当該フレームが噴流発生装置180の筐体181と一体となっている。このような構成により、噴流発生装置180のさらなる薄型化を実現でき、部品数も減らすことができるとともに、筐体の一体成型により製造が容易になり、量産化に有利である。
【0153】
以上説明したような給電線16の断面形状は、図48に示すように円形にすることができるが、振動体3が振動したときに、図示するように給電線16の後ろ側で乱気流が発生するおそれがある。しかし、図49に示すように扁平状とすれば気流をスムーズに制御することができる。図49の場合、なお、図49に示すような向きに気流が発生するように、配線時に給電線16の断面形状の向きを考慮する必要がある。
【0154】
なお、上述のような給電線を用いずに、振動体3や弾性支持部材6を導電性部材として給電することも可能である。
【0155】
図50は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置190では、図47等に示す噴流発生装置180の筐体181の下面に透明な覗き窓(蓋)27が設けられている。覗き窓27は、樹脂やガラス等でなる。このような構成によれば、噴流発生装置190を製造する者が、筐体231の内部を目視することができ、不良時の判定が容易である。覗き窓27の透明度は、可視光が透過するような透明度でよく、その場合の可視光の透過率は、80%以上の透過率があってもよいが、もちろんそれより低くても構わない。
【0156】
そのほかにも、図51に示すように、レーザ変位計48等を用いて、振動体3の振幅や周波数、振動波形等を観察でき、特にデバッグ時には大変に便利である。また、覗き窓27の両面に図示しなし反射防止膜等がついていると、破線で示す矢印のような不要な反射が少なくなり、レーザ変位計48での測定誤差が小さくなる。このような測定時には振動体3に光の反射を促進する部材49を貼り付けたりしておくと便利である。なお、覗き窓27はなくてもよく、単に筐体231に覗き穴が形成される構成であってもよい。
【0157】
図52は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置200の振動体103は円筒状をなし、その内部にアクチュエータ5が配置されている。振動体103の上板103aと下板103bとがそれぞれ振動板の機能を有し、側板103cが備えられている。アクチュエータ5は、筐体201の内部に配置された、当該201に固定の仕切り板204に装着されている。具体的には、マグネット14を内蔵したヨーク8及び18がその仕切り板204に固定され、コイルボビン9は、振動体103の内面に固定されている。仕切り板204には、振動体103の側板103cを通すための環状の開口204aが設けられている。振動体103の外側はチャンバ101a及び101bの空間があるだけである。振動体103の内部の空間101cと、チャンバ101a及びチャンバ101bとは隔離している。したがって、振動体103外側の筐体201内の気体を、ノズル102a及び102bを介してスムーズに効率的に筐体201外に噴出することができる。
【0158】
また、気流がスムーズになる結果、騒音も低減できる。実際、例えば図47のような構造では、アクチュエータ5がある側のノズルから出る騒音レベルと、無い側から出る騒音レベルとでは差があった。本発明者らの試作では、アクチュエータが無い側の騒音が有る側よりも騒音スペクトルのピークで10dB程度小さいものとなった。図52に示す噴流発生装置200では、ノズル102a及び102bとそれぞれ連通するチャンバ101a及び101bにはアクチュエータ5がないので騒音が抑制される。
【0159】
図53は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この噴流発生装置210は、側板3bを有する振動体3と、振動板113とを備えている。筐体211に固定の仕切り板214には、環状の開口214aが設けられている。開口214aは、必ずしも環状でなくてもよく、複数に分けられていてもよい。仕切り板214には、図52に示す装置と同様にアクチュエータ5が設置されている。チャンバ121a、121b、121cは互いに隔離されている。この噴流発生装置210では、振動体3が振動することで、チャンバ121c内の空気の圧力変化により振動体3と同期して振動板113が振動する。これにより、チャンバ121a及び121bは交互に圧力が増減し、ノズル122a及び122bを介して空気が交互に噴出される。本実施の形態によっても、図52に示す噴流発生装置200と同様の効果が得られる。
【0160】
図54は、一実施の形態に係る電子機器の一部を示す断面図である。電子機器250は、例えばPCである。この例では、噴流発生装置220の筐体の一部が、電子機器250の筐体251と一体になっている。具体的には、噴流発生装置220の下部側のチャンバ221bを構成する筐体が筐体251と一体になっている。このような構成によれば、図47に示した噴流発生装置180が同じような電子機器に搭載される場合に比べ、噴流発生装置180の筐体181の厚み分だけ電子機器250を薄型化することができる。噴流発生装置220は、ヒートシンク84に向けて空気を噴出し、筐体251に開口された通気口251aから排熱される。
【0161】
なお、上記で説明した噴流発生装置、振動装置が電子機器に搭載される場合に、図54のように必ず電子機器の筐体と噴流発生装置の筐体とが一体でなければならないわけではない。
【0162】
図55は、例えば図1に示した噴流発生装置10を、ラップトップ型のPCに搭載したときの一部を破断した斜視図である。このように、PC300には、ヒートシンク84と、これに向けて空気を噴出する噴流発生装置230が搭載されている。
【0163】
図56は、上記各噴流発生装置10等から吐出される空気が当てられるヒートシンクを示す斜視図である。このヒートシンク97には複数の空気の流通穴96が開けられている。図示しない噴流発生装置からの空気がこの流通穴96を通ることで、ヒートシンク97は冷却される。図57は、例えば噴流発生装置10及びヒートシンク97の組み合わせを示す。
【0164】
図58は、噴流発生装置及びヒートシンクの組み合わせの他の形態を示す斜視図である。この例では、図57に示す噴流発生装置10が2つ組み合わされ、これらがヒートシンク97に向けて空気を送る。放熱する熱量に合わせて、ヒートシンク97の大きさ等が決まるが、その大きさに合わせて、噴流発生装置の大きさもこのように任意に決めることができる。噴流発生装置自体を大きくすることも可能であるが、図58に示すように横に2個並列に並べる事で、同じ噴流発生装置で大きさ(幅)の違うヒートシンク97に対応することができる。図58に示す状態から、さらに噴流発生装置を追加して2つの振動板の動きを逆位相にすると、メカ的な振動を減衰することも可能である。
【0165】
図59は、ヒートシンク及び噴流発生装置の他の実施の形態を示す斜視図である。この噴流発生装置320の筐体は矩形でなる。このように、噴流発生装置320は軸流ファンと違い、丸型にとらわれる必要はなく、ある程度任意形状にすることができる。これは、機器のスペースの有効利用に寄与する。
【0166】
図60は、噴流発生装置180を電子機器の筐体351に搭載したときの気流を示す図である。筐体351にはその上部351c及び底部351dに導入口351aがそれぞれ設けられている。ヒートシンク97の背面側には複数の排気口351bが設けられている。導入口351aは、噴流発生装置180のノズルの開口182付近に配置されている。これにより、噴流発生装置180が動作するときに合成噴流を作りやすくなり、ヒートシンク97に吹き付けられる空気量を多くすることができる。底部351dには、地面233との間に隙間をあけて導入口351aから外部の空気を導入しやすくするためのスペーサ354が設けられている。スペーサ354は、筐体351と同じ材料で一体成型されてもよい。
【0167】
電子機器がラップトップ型のPCである場合、オペレータがPCの前面近くに位置することがほとんどである。したがって、その場合、熱風が前方向に出てくることは望ましくない。それ故、排気口351bは背面かまたは側面に設けられることが好ましい。噴流発生装置180が動作したときに、上述した合成噴流を作るために導入口351aから空気が流入し、噴流発生装置180によって形成された合成噴流はヒートシンク97を通って、排気口351bから排気される。図61に示すように、電子機器の筐体351の導入口351aは底部351d側のみに設けられていてもよい。
【0168】
図62は、図58に示した2連の噴流発生装置及びヒートシンク97がPC400に搭載された形態を示している。図63は、噴流発生装置320が、電子機器としてディスプレイ機器450に搭載された形態を示している。この場合、排気口は上方向に配置されている。ディスプレイに搭載される場合は、後方や上方あるいは側面への排気が望ましい。図64は、噴流発生装置330が電子機器としてプロジェクタ500に搭載された形態を示している。
【0169】
図65は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。図66は、図65におけるC−C線断面図である。
【0170】
噴流発生装置340は、ノズル体322と、筐体321とが別部品で構成されている。例えば、筐体321とノズル体322とが別々に製造され、筐体321にノズル体322が装着されれば、噴流発生装置340の組み立てが容易になる。また、筐体321とノズル体322とをそれぞれ一体成型で製造することも可能となる。ノズル体322は、複数のノズル322a及び複数のノズル322bを有している。すなわち、ノズル体322は、内部に気体の流路を複数有する。筐体321の前面、つまり、筐体321の、ノズル体322が配置される側には開口が形成され、チャンバ321aがノズル体322の内部の領域326aに連通し、チャンバ321bは領域326bに連通している。ノズル体322は、例えば樹脂でなるが、金属でもよい。
【0171】
図66に示すように、チャンバ321aとチャンバ321bとは、前面側(図中左側)では、弾性支持部材6が装着される仕切り部材324によって分割されている。給電線16は、筐体321の背面側に取り付けられた回路基板323に接続されている。回路基板323は、振動体(振動板)303を振動させるための駆動信号を生成するIC等を搭載し、生成した駆動信号をアクチュエータ5に供給する。このように回路基板323が噴流発生装置340に搭載されることにより、上述した端子台のような中間の電気的な接続手段が不要なる上、構造も単純となる。
【0172】
また、回路基板323が、振動板303の振動方向にほぼ垂直な面とは角度の異なる面、例えば筐体321の側面321cに取り付けられることにより、噴流発生装置340の厚さを薄くすることができる。この形態の場合、側面321cは、振動板303の振動方向にほぼ垂直な面とはほぼ90度異なる。このように、噴流発生装置340の厚さを薄くするという趣旨から、図67に示すように、筐体327の外面に斜面327d(または327e)が形成され、その斜面327d(または327e)に回路基板323が取り付けられる形態も考えられる。
【0173】
さらに、回路基板323が、ノズル体322が装着される側とは反対側に配置されることにより、例えば噴流発生装置340の製造工程において、給電線16の配線等が楽になる。
【0174】
なお、上で説明した図38、図39、図42等、あるいはそれら以降の図で示したすべての端子台21の代わりに、回路基板323が取り付けられてもよい。
【0175】
図68は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。この形態に係る噴流発生装置360の回路基板323は、筐体341の一部を構成している。すなわち、筐体341が開口され、回路基板323はその開口を塞ぐようにその開口に回路基板323が嵌め込まれている。このような形態によれば、噴流発生装置360の図68中の横幅を小さくすることができ、小型化に寄与する。
【0176】
図69は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。図70は、図69におけるD−D線断面図である。
【0177】
この噴流発生装置350には、振動体(振動板)333及び弾性支持部材329を支持する平板状のフレーム328が設けられている。具体的には、図71に示すように、フレーム328は、穴328aを有し、平板状の外形を有する。弾性支持部材329には振動板333が装着されている。弾性支持部材329は、フレーム328の穴328aを塞ぐように、その外周に設けられた取り付け部(外周部)329aにおいてフレーム328に取り付けられる。このように、フレーム328が平板状であることにより、組み立てが容易、すなわち製造が容易となる。
【0178】
フレーム328と弾性支持部材329とは、一体成型により作製されても構わない。すなわち、予め用意されたフレーム328が、例えば弾性支持部材329の成型用の型内に配置された状態で、ゴムや樹脂等でなる弾性支持部材329が成型される。一体成型の手法としては、例えば、コンプレッション法、トランスファ法、インジェクション法、あるいはその他の公知の方法が用いられる。一体成型により、製造工程が少なくなることはもちろん、弾性支持部材334とフレーム335との位置精度、ひいては弾性支持部材334と筐体との位置精度が位置精度が著しく向上する。
【0179】
弾性支持部材334と振動板333とが一体成型されてもよい。この場合、フレーム328の場合と同様に、予め用意された振動板333が、弾性支持部材329の成型用の型内に配置された状態で、弾性支持部材329が成型される。
【0180】
例えば筐体331が樹脂等である場合、フレーム328は、その樹脂より剛性の高い材料でなる。その材料としては、アルミ、ステンレス、銅、鉄、SPCC(冷間圧延鋼板)等の金属が挙げられる。フレーム328の材料は、金属に限らず、剛性の高いものであればよい。あるいは、筐体331が金属の場合、フレーム328の材料は、その筐体331の材料と同じ種類の金属でもよいし、異なる種類の金属でもよい。
【0181】
例えば、図65に示したような、仕切り部材324を有する筐体321が一体成型品である場合、仕切り部材324を薄く形成しすぎると、平面度を保つことが難しくなる。仕切り部材324の厚さを1mm程度とすると、弾性支持部材6の、仕切り部材324への装着面が平面とならず、振動板の動きが直線的な動きにならず、余分な動きが含まれてしまうおそれがある。また、これにより、騒音が増えるおそれもある。しかしながら、図70等に示すフレーム328が剛性の高い材料でなる場合、その厚さが0.5〜1mm程度でも十分な剛性を保つことができる。これにより、噴流発生装置350の薄型化を実現することができる。
【0182】
なお、フレーム328の平面で見た形状(振動板333の振動方向にほぼ垂直な面内の形状)は、図71で示した形状に限らず、様々な形状が考えられる。
【0183】
図72は、フレームと弾性支持部材が一体成型された他の例を示す断面図であり、フレームと弾性支持部材の一部を示している。図70、図71等では、フレーム328は、弾性支持部材329の取り付け部329aに接合されて、フレーム328が露出するような形態であった。図72では、弾性支持部材334の外周部334bに設けられた被覆部334aがフレーム335を覆っている。図72に示す形態でも、弾性支持部材334とフレーム335が一体成型により作製される。フレーム335や弾性支持部材334の全体形状は、図71で示したような形状でよいが、その形状に限られず、振動板の振動方向にほぼ垂直な面内で、円形、楕円、多角形等、何でもよい。
【0184】
このように一体成型された後、この被覆部334aまたは外周部334bが図示しない噴流発生装置の筐体に接合されることで、弾性支持部材334が当該筐体に装着される。本実施の形態では、一体成型により、製造工程が少なくなることはもちろん、弾性支持部材334とフレーム335との位置精度、ひいては弾性支持部材334と筐体との位置精度が位置精度が著しく向上する。
【0185】
図73では、弾性支持部材336が、そのフレーム被覆部336aによりフレーム335を被覆し、かつ、振動板被覆部338aにより振動板338を被覆している。このような弾性支持部材336も一体成型により形成される。具体的には、弾性支持部材336を成型する型内にフレーム335及び振動板338が配置された状態で、弾性支持部材336が成型される。振動板338が金属であれば、薄型化に寄与する。もちろん、金属に限らず、樹脂、あるいはゴム等でもよい。これにより、弾性支持部材336、フレーム335、振動板338の組み付け工程が省略されるとともに、弾性支持部材336、フレーム335、振動板338のそれぞれの位置精度が著しく向上する。
【0186】
図74は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【0187】
噴流発生装置370は、これまで説明した噴流発生装置とは上下が逆に示されている。このように上下逆に示したのは、例えば、この噴流発生装置370が、図示しないPC等の電子機器の筐体に組み込まれる場合、アクチュエータ5が配置される側のチャンバ341bが下になり、チャンバ341aが上になるように、噴流発生装置370が配置される場合があることを示すためである。しかし、電子機器に噴流発生装置370が電子機器に組み込まれる場合、必ずしも、このように上下逆に配置されるとは限らない。
【0188】
噴流発生装置370の筐体341の天板343は、例えば金属でなる。これにより、樹脂等に比べ強度が増し、その分金属板343を薄くすることができるので、噴流発生装置370の薄型化を実現できる。例えば、この場合、金属板343が0.5mm程度の薄さでも十分な剛性を得ることができる。樹脂の場合、厚さが0.5mm程度であると、すぐに曲がったり、折れたりしてしまい、形状を維持することができない。
【0189】
さらに、金属板343が磁性体の場合、アクチュエータ5のマグネット14、ヨーク8及び18で構成される磁気回路の磁界が、金属板343から上方に漏れることを防止することができる。磁性材料としては、鉄、パーマロイ、ケイ素鋼板、あるいはSPCC(冷間圧延鋼板)等が挙げられる。図75(A)は金属板343がない場合、図75(B)は金属板343がある場合のマグネット14、ヨーク8及び18によって形成される磁界をシミュレーションした図である。これらの図から分かるように、金属板343から上方に磁界が漏れることを防止できる。なお、このシミュレーションでは、金属板343の材料は鉄である。
【0190】
例えば、この噴流発生装置370が、図示しないPC等の電子機器の筐体に組み込まれる場合、金属板343の上に、図示しない様々な電子部品が配置されることが考えられる。その場合に、金属板343の磁気シールド効果により、電子部品へ悪影響が及ぶという懸念が少なくなる。
【0191】
また、金属板343が設けられることにより、筐体341内にこもる熱を放出するための放熱板としてこの金属板343を利用することもできる。
【0192】
なお、図74では、金属板343がチャンバ341a側のみに設けられる構成としたが、チャンバ341b側にもさらに設けられる構成としてもよい。この場合において、ヨーク8の磁気を筐体341外部に漏らさないようにするためには、ヨーク8は、筐体341の外部に露出させずに、筐体341内に収容される構成とすればよい。あるいは、そのような磁気シールド効果を発揮させず、噴流発生装置の厚さを薄くしたいだけの場合、図74に示すように、ヨーク8を露出させて筐体の一部を構成させ、チャンバ341b側に設けられる金属板は非磁性体とすることが望ましい。ヨーク8からの磁束がその金属板に流れないようにするためである。
【0193】
図76は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【0194】
噴流発生装置380は、その筐体381に作業用の開口381aが設けられ、蓋382がその開口381aを塞ぐように筐体381に装着されて構成される。このような構成により、噴流発生装置380の製造工程(あるいは検査工程も含まれる。)において、開口381aを介して作業者が作業をしやすくなる。具体的には、開口381aがない場合、ノズル体322が筐体381に取り付けられる前において、作業者は、そのノズル体322が取り付けられる部分の筐体381の開口381bからピンセット等を用いて給電線16の配線等を行う必要があり、これは難しい作業となる。しかし、開口381aがあることにより、開口381aが給電線16に近い位置にある場合、配線作業が容易となる。配線作業が終了した後に蓋382で開口381aが塞がれる。蓋382は、後に接着剤や溶着、その他の方法で筐体381に固定されればよい。この蓋382は、図50で説明した趣旨と同様に、可視光を透過するようなガラスまたは樹脂等であってもよい。これにより、作業者は、筐体381内の様子を観察等することができる。
【0195】
図77は、例えば図4等に示したコイルボビン9に巻回されたコイル17の他の実施の形態を示す断面図である。この形態では、コイルボビン9に巻回されたコイル57は、断面が矩形の導線57aで構成される。この「断面」とは、その導線57aの長手方向にほぼ垂直な断面である。コイル57は例えば3層に巻回されているが、これは一例であり、何層でもよい。このような構成により、例えば図78に示す断面が円形の導線58aでなるコイル58に比べ、その断面積の単位当りのコイル57の密度を大きくすることができる。すなわち、同じ体積に多くの導線を巻くことが可能となる。また、導体が占める密度が同じであって同じ巻き数であっても、巻き高さ(コイル全体の厚さ)が減るので、コイル57の薄型化を達成できる。図77では、導線57aの断面は四角形であったが、3角形でもよいし、5角形以上でもよい。
【0196】
図79は、図示しないコイルボビンに巻回されるコイルの他の実施形態を示す断面図である。図79に示すコイル59は、導線59aが偶数層、例えば4層に巻回されて構成されている。このように偶数層とすることにより、矢印で示すように導線59aの巻き始めと巻き終わりとが同じ側(図79中、上側)にされる場合に有効である。すなわち、その場合、図80に示すように奇数層のコイル60の場合、図80中、右側に示す導線60aの1本分の厚さ(1層分の厚さ)が無駄になる。しかし、偶数層であれば、そのスペースの無駄がなくなり、小型化に寄与する。
【0197】
なお、図79ではコイル59は4層でなるが、2層、または6層以上の偶数層でもよい。導線59aは断面が円形であるが、円形に限らず図77に示すように矩形であってもよい。
【0198】
図81は、本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す平面図である。図82は、図81におけるD−D線断面図である。
【0199】
噴流発生装置390は、2つの筐体61及び62が一体化された2連式の噴流発生器40を備えている。以下、一体化された筐体61及び62をすべて含めた1つの筐体を「筐体70」という。筐体70は、例えば型等により一体成型が可能である。筐体70は、チャンバ391a及び391bを有し、これらのチャンバ391a及び391bごとに、アクチュエータ5、振動板303等をそれぞれ備えている。チャンバ391a及び391bは、振動板303の振動方向Rに垂直な面内(図82中、横方向)で並ぶように配置されている。筐体70の前面には、複数のノズル322aを有するノズル体322が装着されており、各ノズル322a内の流路は、チャンバ391aまたは391bに連通している。このノズル体322は、図65で示したノズル体322と同様な構成である。筐体70の背面70bには、回路基板323が固定されている。回路基板323でなくても、単なる端子台でもよい。回路基板323は、図68に示したように筐体341の一部を構成してもよい。
【0200】
このように、平面的に並んだ2つのチャンバ391a及び391bごとに振動板303が設けられ、ノズル体322から空気を噴出させることにより、噴流発生装置390を薄型にすることができる上、空気の吐出量を増大させることができる。また、例えば一方の振動板303がある一方向に動くタイミングで、他方の振動板303がその反対方向に動くように、その2つの振動板303が振動すれば、装置全体のモーメントは発生するが、その2つの振動板303の振動がキャンセルされる。これにより、噴流発生装置390が搭載される電子機器に与える振動を抑制することができる。
【0201】
図83は、図81に示した2連式の噴流発生装置に、毛細管現象を用いて作動流体の相変化により熱を輸送する熱輸送デバイスが設置された状態を示す平面図である。図84は、その噴流発生装置の背面図である。
【0202】
上記熱輸送デバイスは、例えば2本のヒートパイプ141及び241で構成される。図84に示すように、噴流発生装置510の、2つの筐体161及び162が一体的に設けられて構成された筐体270の両側部には、段差270a及び270bがそれぞれ形成されている。これら段差270a及び270bには、ヒートスプレッダ129及び229にそれぞれ熱的に接続されたヒートパイプ141及び241がそれぞれ通っている。このように、筐体202の両端部に段差270a及び270bがあっても構造的に問題はない。厚さ方向(図84中、縦方向)で制限される箇所は、アクチュエータ5がある部分であり、この部分以外であれば段差が設けられても問題ない。なお、段差の代わりとして、凹部または溝でもよい。また、ヒートパイプ141等が挿通されるような穴が筐体270に形成されていてもよい。
【0203】
ヒートスプレッダ129及び229には、図示しない発熱源が熱的に接続される。この場合、発熱源はCPUやグラフィックチップ等であるが、これらに限られない。なお、「熱的に接続される」とは、直接的に接しているか、または、熱伝導性の部材や熱伝導性のシート状の部材を介して接続されていることを意味し、気体や液体等の流体によって熱伝導する場合は含まれないものとする。ヒートパイプ141及び241の各吸熱側141a及び241aが各ヒートスプレッダ129及び229にそれぞれ熱的に接続され、放熱側141b及び241bが各ヒートシンク235にそれぞれ熱的に接続されている。これにより、図示しない2つの発熱源からの熱がヒートシンク235に伝達され、噴流発生装置510から発生する合成噴流により、ヒートシンク235から熱が放出される。
【0204】
本実施の形態では、筐体270の段差270a及び270bに、それぞれヒートパイプ141及び241が配置されているので、ヒートパイプ141及び241を含めた噴流発生装置510の厚さを薄くすることができる。
【0205】
図85は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【0206】
噴流発生装置520のアクチュエータ5は、筐体311から突出するように設けられている。具体的には、アクチュエータ5の一部であるヨーク8が筐体311の下面311aから突出している。すなわち、例えばアクチュエータ5の厚さ(図85中、縦方向の厚さ)が、これまで説明したアクチュエータ5と同じ厚さを有する場合、筐体311の厚さが薄く構成される。ノズル体222は、その筐体311の厚さに合わせてその厚さが設計されている。
【0207】
すなわち、このような構成により筐体311を極力小さくすることができ、無駄なスペースをなくすことができる。例えば、上述したヒートパイプ141等が、ヨーク8の周囲であって筐体311の下面311aに設置される。また、ヒートパイプ141等に限らず、例えば、噴流発生装置520が電子機器に搭載される場合に、電子機器の部品等も下面311aあるいは、下面311aの近傍に配置することができる。これにより電子機器の薄型化を実現することができる。
【0208】
図86は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す平面図である。
【0209】
噴流発生装置410は、例えば上述した2連式の噴流発生装置であり、その筐体401に、固定機構としてネジ止めのためのネジ穴401aが設けられている。また、アクチュエータ5のヨーク8にもネジ穴8aが設けられてもよい。例えば、噴流発生装置410が電子機器に組み込まれる場合に、電子機器の筐体にもネジ穴(図示せず)が形成され、そのネジ穴と、噴流発生装置410の筐体401のネジ穴401aとを対応させてネジ止めすることができる。これにより、噴流発生装置410が電子機器に組み込まれるときの作業が容易となる。
【0210】
固定機構としては、ネジ止め機構に限らず、例えば係合突起と係合溝とでなる係合機構でもよい。その場合、係合突起(または係合溝)が、筐体401に設けられていてもよいし、電子機器側に設けられていてもよい。また、それら係合突起や係合溝の形状は、様々な形状が考えられ、例えばフック状、あるいはレール状でもよい。
【0211】
ネジ穴401a、8aは、このような2連式の噴流発生装置410に設けられる形態に限らず、もちろん上記したすべての噴流発生装置の筐体にも設けられてもよい。
【0212】
また、筐体401は、その側面401cと背面401dとをつなぐ曲面401bを有する。すなわち、筐体401には側面401cから背面401dにかけてRが付いている。Rが付いている分、筐体401のフットプリントを小さくすることができる。これにより、噴流発生装置410が電子機器に搭載される場合に、スペースの無駄をなくし、電子機器の部品を多く搭載することができ有利である。ちなみに、図1等に示した噴流発生装置10の筐体1も後ろ側にRが付いている。
【0213】
図87は、さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置と、電子機器の筐体の一部を示す平面図である。
【0214】
噴流発生装置420は、例えば直方体形状の筐体421を有する。図88は、その筐体421を示す斜視図である。筐体421の第1の側面421a及び第2の側面421bには、それぞれ第1の開口423a及び第2の開口423bが形成されている。筐体421は、直方体状に形成されているので、これら開口423a及び423bの開口面は、異なる角度、すなわちほぼ90度異なる。図87に示すように、筐体421の第1の側面421aにはノズル体74が装着されている。また、第2の側面421bには、ノズル体75が装着されている。ノズル体74及び75はほぼ同じ構造を有し、図65に示したノズル体322とほぼ同様の構造を有する。筐体421のさらに別の側面421cには、アクチュエータ5を駆動するための回路基板67が設置されている。
【0215】
ノズル体74及び75から吐出される空気は合成噴流となって、第1及び第2の発熱体としてのヒートシンク71及び72にそれぞれ供給される。本実施の形態は、特に、電子機器の筐体68の隅付近に噴流発生装置421、ヒートシンク71及び72が配置される場合に有効である。具体的には、筐体68の第1の側面68aに形成された第1の排気口68cの近傍にヒートシンク71が配置され、第2の側面68bに形成された第2の排気口68dの近傍にヒートシンク72が配置される。このような構成によれば、ヒートシンク71及び72から流出する熱を持つ空気が、両排気口68c及び69dから排出され、効率的に放熱することができる。
【0216】
なお、第1及び第2の発熱体はヒートシンクに限らず、モータ、集積回路、その他の電子部品等、発熱するものなら何でもよい。
【0217】
図89は、図87に示した形態の変形例を示す。この噴流発生装置430は、その筐体431の第1の側面431a及び第2の側面431bには、ノズル体77及び78がそれぞれ装着されている。筐体431は、図87で示した形態と同様に、図示しない第1の開口面が第1の側面431aに設けられ、第2の開口面が第2の側面431bに設けられている。このように、第1及び第2の開口面がほぼ平行になっていてもよい。
【0218】
なお、図87及び図89で示した噴流発生装置の筐体421等は直方体形状であったが、円柱、楕円柱、多角形柱、あるいはこれらのうち少なくとも2つが組み合わせられた形状でもよい。その場合、筐体の、異なる角度の複数の側面にノズル体がそれぞれ装着されればよい。
【0219】
図90は、噴流発生装置が複数内蔵された電子機器の内部の一部を示す平面図である。
【0220】
この例では、電子機器の筐体68内に、同じ構造の噴流発生装置340a及び340bが異なる向きに配置されている。噴流発生装置340aにより発生する合成噴流がヒートシンク71に供給され、熱を持つ空気が排気口68cを介して排出される。また、噴流発生装置340bにより発生する合成噴流がヒートシンク72に供給され、熱を持つ空気が排気口68dを介して排出される。このように、電子機器の筐体68の形状や、筐体68内の図示しない電子部品等の配置に合わせて、異なる向きに空気が吐出されるように複数の噴流発生装置が配置される。
【0221】
図91は、図90に示した形態の変形例を示す。
【0222】
噴流発生装置440a及び440bは同じ構造でなり、それら筐体441a及び441bの平面形状は長方形でなる。電子機器の筐体86の排気口86c及び86d付近にヒートシンク71及び72がそれぞれ配置されている。ヒートシンク71及び72も同じ構造でなる。ヒートシンク71の長さ及び噴流発生装置440aのそれぞれのY方向の長さを足した長さd1、ヒートシンク72の長さ及び噴流発生装置440bのそれぞれのX方向の長さを足した長さd2は、ほぼ等しく設計されている。このように、ヒートシンク71及び噴流発生装置440aの両者全体の平面形状がほぼ正方形であることにより、図90に示したように、電子機器の筐体68の隅にある無駄なスペースをなくすことができる。
【0223】
図92は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【0224】
噴流発生装置530は、マグネット91を有する振動板80を備える。振動板80は、筐体451に弾性支持部材6により支持され、筐体451内の底にはコイル81が配置されている。振動板80は、例えば金属や樹脂でなる環状の部材92に板状のマグネット91が装着されて構成される。その場合、金属は非磁性体がよいが、必ずしも非磁性体に限らず磁性体でもよい。マグネット91は、例えば振動の方向であるR方向に着磁されている。また、筐体451には、空気を吐出するノズル79a及び79bが設けられている。コイル81は、例えば1本の導線が巻かれて構成され、例えば図37で示したような平面コイル29が用いられる。
【0225】
コイル81に流す電流の向きを変化させることにより、コイル81が発生する磁界の向きが変化する。コイル81が発生する磁界の向きが変化すると、マグネット91の磁界に対して反発及び吸引を繰り返すことにより振動板80が振動する。このような構成によれば、振動して動く部分が振動板80だけであり、つまり、アクチュエータを薄くすることができるので、噴流発生装置530の薄型化を実現することができる。
【0226】
図92ではコイル81は1つしか設けられていないが、複数設けられていてもよい。また、その場合、複数のコイル81に対応してマグネットが複数あってもよい。
【0227】
図93は、さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【0228】
噴流発生装置460は、マグネット87を有する振動板82を有する。振動板82は、例えば中央に金属や樹脂でなる板98の周囲にマグネット87が装着されている。マグネット87は、例えば環状でなり、振動方向Rに着磁されている。
【0229】
図93に示すように、筐体461の外周にはコイル88が装着されている。具体的には、例えば図94に示すように、複数のコイル88が筐体461の外周の側面に装着されている。コイル88の個数は適宜設定可能である。コイル88はこのような形態に限らず、1本の導線が、振動板82の振動方向Rを軸として筐体461の外周に巻回されて1つのコイルが構成されてもよい。本実施の形態では、例えば、コイル88に流れる交流電流が整流等されることで、振動板82は周期的に上下いずれか一方向に吸引され、または反発されて振動する。
【0230】
このようにコイル88が筐体461外に配置されることにより、振動板82とコイル88とが干渉することはなく、振動板82の振幅を大きくすることができる。したがって気体の吐出量を増やすことができる。また、振動で動く部分がコイルではなく、マグネットであるので、コイルが動く場合における給電線が不要となり、噴流発生装置が長年使用されて断線する等の懸念も解消される。さらに、筐体461内で発生する気流の抵抗が少なくなり、騒音が抑制される。
【0231】
図95は、さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【0232】
噴流発生装置470は、圧電体を有する振動板94が筐体471内に配置されて構成されている。振動板94は、すなわちピエゾ素子である。ピエゾ素子としては、例えば、電極板と圧電体とが積層されて構成される積層型、あるいはバイモルフやユニモルフ型等がある。ピエゾ素子に交流電圧が印加されることにより、振動板94は振動する。これにより、噴流発生装置470の薄型化を実現することができる。
【0233】
図96は、さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【0234】
噴流発生装置480は、マグネット107を有する振動板106を備えている。筐体481の外周にはコイル110が装着されている。図97は、振動板106を示す平面図である。振動板106は、金属または樹脂等でなる板112の外周に環状のマグネット107が装着されて構成されている。マグネット107の着磁方向は周方向である。振動板106は円形に限られないことは、上述したとおりである。
【0235】
この振動板106の外周と筐体481の内壁481aとの間には、ネジ機構109が備えられている。ネジ機構109は、例えばマグネット107の外周にネジ山(またはネジ溝)が形成され、筐体481の内壁481aにネジ溝(またはネジ山)が形成されて構成される。
【0236】
なお、ネジ機構は、マグネット107や内壁481aに形成されるのではなく、図示しない、ネジ山が形成されたリング状の部材及びネジ溝が形成されたリング状の部材により構成され、それらがマグネット107の外周や内壁481aに固定されるような形態も考えられる。
【0237】
コイル110に交流電流が印加されることにより、マグネット107は、電磁誘導によりその平面内で回転するような回転力が与えられる。マグネット107に回転力が与えられると、ネジ機構109は、その回転力を上下方向の力に変換し、これにより、振動板106を振動方向Rで振動させる。このような構成によっても噴流発生装置480の薄型化を達成することができる。
【0238】
図98は、さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【0239】
この形態に係る噴流発生装置490には、図96で示したネジ機構109の代わりに、カム機構118が備えられている。図99は、噴流発生装置490の筐体491の内壁の一部を示す図であり、図100は、振動板106を示す平面図である。筐体491の内壁491aのほぼ全周にはカム溝116が形成されている。カム溝116は、例えば波状に形成されている。振動板106の外周には、カム溝116に係合する突起117が複数設けられている。突起117の数、形状、または大きさは図100で示す2つに限定されず、振動板106がスムーズに振動するような数、形状、または大きさであればよい。
【0240】
カム機構118によれば、マグネット107の回転運動が振動板106のR方向の振動の運動に変換される。このような構成によっても噴流発生装置490の薄型化を達成することができる。
【0241】
図101は、さらに別の形態に係る振動装置を示す斜視図である。
【0242】
この振動装置120では、振動板119の周囲にアクチュエータ142が配置されている。振動板119の平面形状は例えば矩形でなり、アクチュエータ142は例えば3つ設けられ、それらは振動板119の4辺のうち3辺にそれぞれ設けられている。図102は、アクチュエータ142の構成を示す断面図である。アクチュエータ142は、溝を有する長尺状の外ヨーク146、その外ヨーク146の溝内に配置された長尺状で板状の内ヨーク149、これらの外ヨーク146及び内ヨーク149の間に配置されたマグネット147及び振動板119の周囲に装着されたコイル148を有する。マグネット147は、外ヨーク146の外側の壁146aに設置され、コイル148はその外側の壁146aに対面する内側の壁146b側に配置されている。マグネット147は、振動板119の振動方向Rにほぼ垂直な面に沿って、この振動板119の中央から外周側へ向かう方向に着磁されている。
【0243】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ142は3つ設けられているが、外ヨーク146の外側の壁146a及び内ヨーク147は、振動板119の全周にわたって切れ目なく連続的に設けられる構成であってもよい。アクチュエータ142の数も3つに限定されず、2つでもよいし、または4つ以上でもよい。振動板の平面形状によっても、その振動板の辺の数が変わるので、その辺の数に対応してアクチュエータ142の数を適宜変更することができる。
【0244】
このような構成では、内ヨーク149から、外ヨーク146にかけて磁界が発生する。コイル148に交流電流が印加されることで、振動板119はR方向に振動する。本実施の形態では、振動板119の周囲にアクチュエータ146が配置されているので、振動装置120の薄型化を実現することができる。
【0245】
図103は、さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。この図103は、中心線fより右側だけ図示している。
【0246】
噴流発生装置540の筐体501は、磁性体でなる。筐体501内の底部にはマグネット14が設置され、マグネット14にはプレート状のヨーク18が固定されている。筐体501の上部には磁性体でなる壁138が立設し、この壁138もヨークの一部となる。プレート状ヨーク18から壁138にかけて形成される磁界を横切るように配置されたコイル137が、筒状のコイルボビン216に巻かれている。このコイルボビン216に振動板136が装着され、振動板136は弾性支持部材6によって支持されている。このように、プレート状ヨーク18、壁138及び筐体501によりヨークが構成されることで、アクチュエータ及び噴流発生装置540の薄型化を実現することができる。
【0247】
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0248】
例えば、上記各図で示した噴流発生装置、あるいは上記各図で示した振動装置を搭載した噴流発生装置は、燃料電池の燃料を供給する手段として用いることもできる。具体的には、燃料電池本体の酸素(空気)吸入口と、噴流発生装置のノズルとを対向させるように配置すればよい。このようにすれば、噴流発生装置から吐出された噴流の空気が当該吸入口から酸素燃料として吸入される。
【0249】
また、上記各実施の形態で示した振動装置のうち、少なくとも2つの振動装置の特徴部分を適宜組み合わせることも可能である。噴流発生装置についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】本発明の一実施の形態に係る噴流発生装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す噴流発生装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る振動体を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るアクチュエータ5を示す拡大断面図である。
【図5】図4に示したアクチュエータにより発生する磁界の様子を示す図である。
【図6】他の実施の形態に係る振動体を示す斜視図である。
【図7】さらに別の実施の形態に係る振動体を示す斜視図である。
【図8】さらに別の実施の形態に係る振動体を示す斜視図である。
【図9】さらに別の実施の形態に係る振動板を示す平面図である。
【図10】他の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図11】図10に示す振動装置の斜視図である。
【図12】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図13】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図14】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図15】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図16】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図17】図16におけるA−A線断面図である。
【図18】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図19】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図20】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図21】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図22】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図23】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図24】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図25】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図26】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図27】図2に示す振動装置等をフレームの開口端側(下部側)から見た平面図である。
【図28】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図29】図28に示すアクチュエータのマグネット及びヨークで発生する磁力線の様子を示す。
【図30】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図31】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図32】さらに別の実施の形態に係る振動装置を備えた噴流発生装置を示す断面図である。
【図33】図32に示す噴流発生装置の変形例を示す断面図である。
【図34】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図35】図34におけるB−B線断面図である。
【図36】さらに別の実施の形態に係る振動装置を示す断面図である。
【図37】図36に示す振動体の平面図である。
【図38】さらに別の実施の形態に係る振動装置(屈曲した給電線が配線された振動装置)を示す断面図である。
【図39】曲げ半径が小さい給電線が配線された振動装置を示す断面図である。
【図40】縒りがかけられた給電線を示す拡大図である。
【図41】給電線の曲げ部分を示す拡大図である。
【図42】他の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図43】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図44】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図45】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図46】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図47】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図48】給電線の断面が円形状の場合の気流を示す図である。
【図49】給電線の断面が扁平形状の場合の気流を示す図である。
【図50】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図51】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図52】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図53】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図54】本発明の一実施の形態に係る電子機器の一部を示す断面図である。
【図55】図1に示した噴流発生装置を、ラップトップ型のPCに搭載したときの一部を破断した斜視図である。
【図56】噴流発生装置からの空気が当てられるヒートシンクを示す斜視図である。
【図57】噴流発生装置及びヒートシンクの組み合わせを示す斜視図である。
【図58】噴流発生装置及びヒートシンクの組み合わせの他の形態を示す斜視図である。
【図59】ヒートシンク及び噴流発生装置のさらに別の形態を示す斜視図である。
【図60】噴流発生装置を電子機器の筐体に搭載したときの気流を示す図である。
【図61】気流の他の形態を示す図である。
【図62】図58に示した2連の噴流発生装置及びヒートシンクがPCに搭載された形態を示す当該PCの一部破断斜視図である。
【図63】噴流発生装置がディスプレイ機器に搭載された形態を示す当該ディスプレイ機器の一部破断斜視図である。
【図64】噴流発生装置がプロジェクタに搭載された形態を示す当該プロジェクタの一部破断斜視図である。
【図65】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図66】図65におけるC−C線断面図である。
【図67】筐体の外面に斜面が形成され、その斜面に回路基板が取り付けられる形態を示す図である。
【図68】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図69】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図70】図69におけるD−D線断面図である。
【図71】フレーム、弾性支持部材及び振動板を示す斜視図である。
【図72】フレームと弾性支持部材が一体成型された他の例を示す断面図であり、フレームと弾性支持部材の一部を示す図である。
【図73】弾性支持部材が、そのフレーム被覆部によりフレームを被覆し、かつ、振動板被覆部により振動板を被覆している状態の断面図である。
【図74】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図75】図75(A)は金属板がない場合、図75(B)は金属板がある場合の磁気回路によって形成される磁界をシミュレーションした図である。
【図76】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図77】図4等に示したコイルボビンに巻回されたコイルの他の実施の形態を示す断面図である。
【図78】断面が円形の導線でなるコイルを示す断面図である。
【図79】コイルボビンに巻回されるコイルの他の実施形態を示す断面図である。
【図80】奇数層のコイルを示す断面図である。
【図81】本発明のさらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す平面図である。
【図82】図81に示す噴流発生装置の断面図である。
【図83】図81に示した2連式の噴流発生装置に、毛細管現象を用いて作動流体の相変化により熱を輸送する熱輸送デバイスが設置された状態を示す平面図である。
【図84】図83に示した噴流発生装置の背面図である。
【図85】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図86】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置を示す平面図である。
【図87】さらに別の実施の形態に係る噴流発生装置と、電子機器の筐体の一部を示す平面図である。
【図88】図87に示す筐体の斜視図である。
【図89】図87に示した形態の変形例を示す図である。
【図90】噴流発生装置が複数内蔵された電子機器の内部の一部を示す平面図である。
【図91】図90に示した形態の変形例を示す図である。
【図92】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図93】さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【図94】図93に示す噴流発生装置の側面図である。
【図95】さらに別の形態に係る噴流発生装置を示す断面図である。
【図96】さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【図97】図96に示す振動板の平面図である。
【図98】さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【図99】図98に示す噴流発生装置の筐体の内壁の一部を示す図である。
【図100】図98に示す噴流発生装置の振動板を示す平面図である。
【図101】さらに別の形態に係る振動装置を示す斜視図である。
【図102】図101に示すアクチュエータの構成を示す断面図である。
【図103】さらに別の形態に係る噴流発生装置の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0251】
R…振動方向
1、131…筐体
3、13…振動体
3a…振動板
3b、13b…側板
3a−1…表面
3a−2…裏面
3b−1…穴
4、44…フレーム
4a…流通口
5、191…アクチュエータ
6、56…弾性支持部材
8、18…ヨーク
9、37…コイルボビン
10、130…噴流発生装置
12a、12b…開口
12a、12b…ノズル
12b…ノズル
13…振動体
14…マグネット
15、25…振動装置
16…給電線
17…コイル
17…コイルボビン
21…端子台
23e…リブ
24…フレーム
24a…流通口
52…隙間
53c、143c…突出部
84、97…ヒートシンク
250、300…電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置であって、
フレームと、
振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、
前記振動体を駆動する駆動部と
を具備することを特徴とする振動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有することを特徴とする振動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記側板に穴を有することを特徴とする振動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記振動板と前記側板との間に接続されるリブ部材を有することを特徴とする振動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記リブ部材に穴を有することを特徴とする振動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、樹脂、紙、または金属でなることを特徴とする振動装置。
【請求項7】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記面は、円形、楕円形、多角形、または角円形でなることを特徴とする振動装置。
【請求項8】
請求項2に記載の振動装置であって、
前記側板は、前記振動板の前記振動方向の一側に立設され、
前記駆動部は、前記振動体を振動させるための前記一側に配置されたアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項9】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動板は、該振動板の前記振動方向の一側に向けて徐々に径が広がるコーン形状でなり、
前記駆動部は、前記振動体を振動させるための前記一側に配置されたアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項10】
請求項9に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記一側とは反対側に向けて立設された側板を有することを特徴とする振動装置。
【請求項11】
請求項2に記載の振動装置であって、
前記フレームは、前記側板を摺動可能に支持することを特徴とする振動装置。
【請求項12】
請求項11に記載の振動装置であって、
前記フレームは、前記フレームと側板との間に設けられた隙間または潤滑剤により前記側板を摺動可能に支持することを特徴とする振動装置。
【請求項13】
請求項2に記載の振動装置であって、
前記振動体は、
前記フレームにより摺動可能に支持される前記振動板の周縁部と、
前記フレームにより摺動可能に支持され、前記側板から突出する突出部と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項14】
請求項2に記載の振動装置であって、
前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第1の弾性支持部材と、
ほぼ前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第2の弾性支持部材と
をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項15】
請求項14に記載の振動装置であって、
前記側板は、
前記第1の弾性支持部材が接続された第1の端部と、
前記第1の端部と前記振動方向で反対側に設けられ、前記第2の弾性支持部材が接続された前記第2の端部とを有することを特徴とする振動装置。
【請求項16】
請求項14に記載の振動装置であって、
前記第2の弾性支持部材は、複数の板バネ、または複数のワイヤであることを特徴とする振動装置。
【請求項17】
請求項14に記載の振動装置であって、
前記第1及び第2の弾性支持部材は、同じ材料でなることを特徴とする振動装置。
【請求項18】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記振動体との間に配置され、前記振動体を支持するベローズ状の第1の弾性支持部材をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項19】
請求項18に記載の振動装置であって、
前記振動体は、
前記振動板に設けられ、前記第1の弾性支持部材が接続された側板を有し、
当該振動装置は、
前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように、かつ、前記第1の弾性支持部材とは前記振動体の振動方向でほぼ対称形状となるように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持するベローズ状の第2の弾性支持部材をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項20】
請求項19に記載の振動装置であって、
前記振動板は、該振動板の振動方向の一側に向かうにしたがって径が広がるコーン形状でなり、
前記駆動部は、前記振動体を振動させるための前記一側に配置されたアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項21】
請求項18に記載の振動装置であって、
前記第1の弾性支持部材は、
前記振動体側に配置された1つの谷部と、
前記フレーム側に配置された1つの山部とで構成され、
前記駆動部は、
前記振動体を振動させるためのアクチュエータと、
前記第1の弾性支持部材の近傍の空中を通過するように前記アクチュエータに接続された給電線と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項22】
請求項18に記載の振動装置であって、
前記振動板の前記面の面積は、該振動板の前記面にほぼ平行な面内の部分であって前記第1の弾性支持部材が前記フレームに接する箇所で囲まれる部分の面積の70パーセント以下であることを特徴とする振動装置。
【請求項23】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、
該振動板と同じ材料でなり、前記振動板の周囲であって前記フレームに装着されることで該振動板を支持する弾性支持部を有することを特徴とする振動装置。
【請求項24】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
マグネットと、
前記気体を流通させるための流通口を有し、前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、
前記ボビンに巻回されたコイルと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項25】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動板は、そのほぼ中央に前記振動方向で貫通する穴部を有し、
前記駆動部は、
前記穴部に装着されたコイルと、
前記コイルに囲まれるように前記穴部付近に配置された平板状のヨークと、
前記ヨークを挟み込むように設けられた少なくとも2つのマグネットと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項26】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記振動体の周縁部に巻回されたコイルと、
前記振動方向で貫通し前記コイルを囲むように設けられた穴部を有する平板状のヨークと、
前記フレームの外側に設けられ、前記ヨークを挟み込むように設けられた少なくとも2つのマグネットと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項27】
請求項26に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有し、
当該振動装置は、
前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第1の弾性支持部材と、
前記振動板の振動方向で前記第1の弾性支持部材と対称形状をなす第2の弾性支持部材であって、前記ヨークが前記第1及び第2の弾性支持部材の間に配置されるように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第2の弾性支持部材と
をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項28】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記振動板に装着された複数の平面コイルと、
前記平面コイルごとに対面するように前記フレームに装着された複数のマグネットと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項29】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、残留磁束密度が0.3〜3.0Tのマグネットを有するアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項30】
請求項28に記載の振動装置であって、
前記マグネットは、ネオジウム磁石であることを特徴とする振動装置。
【請求項31】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記フレームに装着された端子台と、
コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータと、
前記端子台と前記コイルとの間に接続された給電線と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項32】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記給電線は、その最小曲げ半径が、当該給電線の太さのほぼ5倍でなることを特徴とする振動装置。
【請求項33】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記給電線は、縒りがかけられていることを特徴とする振動装置。
【請求項34】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記アクチュエータは、前記振動板の前記振動方向の一側に配置され、
前記給電線は、前記振動板の前記一側の反対側に延びていることを特徴とする振動装置。
【請求項35】
請求項34に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記一側に立設された側板を有することを特徴とする振動装置。
【請求項36】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記振動体は、貫通孔を有する側板を有し、
当該振動装置は、
前記振動板の前記振動方向の一側からその反対側へ前記気体が流通しないように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第1の弾性支持部材と、
ほぼ前記振動方向で前記第1の弾性支持部材と並ぶように前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する第2の弾性支持部材とをさらに具備し、
前記給電線は、前記貫通孔に挿通されるとともに前記第1及び第2の弾性支持部材の間を通過するように配置されていることを特徴とする振動装置。
【請求項37】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記給電線の太さは0.4mm以上であることを特徴とする振動装置。
【請求項38】
請求項31に記載の振動装置であって、
前記給電線の長手方向に垂直な断面が扁平状あることを特徴とする振動装置。
【請求項39】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記フレームに装着された端子台と、
コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータとを有し、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有し、
当該振動装置は、
前記アクチュエータに給電可能な導電性材料でなり、前記フレームと前記側板との間に配置され、前記振動体を支持する弾性支持部材をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項40】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータと、
前記コイルに接続され、最小曲げ半径が当該給電線の太さのほぼ5倍でなる給電線と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項41】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記フレームは、前記気体を流通させるための流通口を有することを特徴とする振動装置。
【請求項42】
請求項2に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記側板の前記振動方向の両端に接続された第1及び第2の振動板を有する筒状でなり、
前記駆動部は、前記振動体を振動させるためのアクチュエータを前記筒状の振動体の内部に有することを特徴とする振動装置。
【請求項43】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、前記振動体を振動させるためのアクチュエータを有し、
前記振動体は、
前記アクチュエータに接続された第1の振動板と、
ほぼ前記振動方向で前記第1の振動板と配列され、前記アクチュエータの駆動により前記第1の振動板が振動するときに発生する前記気体の圧力変化により、前記第1の振動板と同期して振動する第2の振動板と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項44】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、
前記フレームの少なくとも一部が、前記アクチュエータの磁気回路を構成するための磁性体でなることを特徴とする振動装置。
【請求項45】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体を支持する弾性支持部材をさらに具備し、
前記フレームは、前記弾性支持部材が装着され、前記面内で平板状の外形を有することを特徴とする振動装置。
【請求項46】
請求項45に記載の振動装置であって、
前記筐体は樹脂でなり、
前記フレームは、前記筐体より剛性の高い材料でなることを特徴とする振動装置。
【請求項47】
請求項45に記載の振動装置であって、
前記フレームは金属でなることを特徴とする振動装置。
【請求項48】
請求項45に記載の振動装置であって、
前記筐体に装着されるとともに前記フレームを覆うように形成され、前記振動体を振動可能に支持する弾性支持部材をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項49】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記フレームに装着されるとともに前記振動体を覆うように形成され、前記振動体を振動可能に支持する弾性支持部材をさらに具備することを特徴とする振動装置。
【請求項50】
請求項49に記載の振動装置であって、
前記弾性支持部材は、前記フレームを覆うように形成されていることを特徴とする振動装置。
【請求項51】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
長手方向にほぼ垂直な断面が多角形でなる電線を有し、前記電線が巻回されて構成されたコイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項52】
請求項51に記載の振動装置であって、
前記コイルは、偶数の層に巻回されてなることを特徴とする振動装置。
【請求項53】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、偶数の層に巻回されてなるコイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有することを特徴とする振動装置。
【請求項54】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記振動体に装着されたマグネットと、
通電により磁界を発生することで、前記マグネットが装着された前記振動体を振動させるコイルと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項55】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記コイルは、前記筐体外に配置されていることを特徴とする振動装置。
【請求項56】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記駆動部は、
前記振動体を前記面内で回転させるための動力を、前記振動体に与える動力源と、
前記振動体を前記振動方向に振動させるように、前記動力源により回転する前記振動体の動きを変換する変換機構と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項57】
請求項56に記載の振動装置であって、
前記動力源は、
コイルと、
前記振動体に装着されたマグネットと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項58】
請求項56に記載の振動装置であって、
前記変換機構はネジ機構またはカム機構でなることを特徴とする振動装置。
【請求項59】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、バイモルフ型の圧電アクチュエータであることを特徴とする振動装置。
【請求項60】
請求項1に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記面内における端部を有し、
前記駆動部は、
前記振動体の前記端部に装着されたコイルと、
前記コイルに駆動力を与えるための磁気回路を構成する複数の磁気回路構成部材と
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項61】
請求項60に記載の振動装置であって、
前記磁気回路構成部材は、
前記振動方向に立設され、前記コイルが周囲に配置された第1の壁と、前記第1の壁に対面する第2の壁とを有する第1のヨークと、
前記第1の壁と前記第2の壁との間で、前記第1及び第2の壁の両方に対面するように配置された板状の第2のヨークと、
前記第1の壁と前記第2のヨークとの間に挟まれ、前記第1の壁から前記第2のヨークへ向かう方向に着磁されたマグネットと
を有することを特徴とする振動装置。
【請求項62】
フレームと、
振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、
開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、
前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項63】
請求項62に記載の振動装置であって、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有することを特徴とする振動装置。
【請求項64】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体の一部は、前記フレームで構成されることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項65】
請求項64に記載の噴流発生装置であって、
前記フレームは金属でなることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項66】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、樹脂、ゴム、金属、磁性材料またはセラミックスでなることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項67】
請求項62に記載の振動装置であって、
前記筐体は、前記振動板の前記面とほぼ平行であって、当該面と相似形の面を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項68】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記駆動部は、
前記筐体に装着された端子台と、
コイルを有する電磁駆動を用いたアクチュエータと、
前記端子台と前記コイルとの間に接続された給電線と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項69】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記フレームは、前記開口に対面する前記気体を流通させるための流通口を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項70】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、前記開口を少なくとも2つ有するとともに、前記振動板の前記振動方向の一側とその反対側で前記各開口にそれぞれ連通するように設けられた少なくとも2つのチャンバを内部に有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項71】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記開口に連通する前記気体の流路を有し、前記筐体に装着されたノズル体をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項72】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記駆動部は、
電磁駆動を用いたアクチュエータと、
前記筐体に取り付けられ、前記アクチュエータを動かすための電気信号を生成する回路基板と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項73】
請求項72に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、前記面とは異なる角度の面を有し、
前記回路基板は、前記異なる角度の面に取り付けられていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項74】
請求項72に記載の噴流発生装置であって、
前記回路基板は、前記筐体の一部を構成することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項75】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、
前記筐体内で前記振動体の振動方向に該振動体により分離され、前記気体が含まれる第1及び第2のチャンバと、
前記第1及び第2のチャンバのうち少なくとも一方側に配置された磁性体でなる板と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項76】
請求項75に記載の噴流発生装置であって、
前記板は、金属でなり、前記筐体の一部を構成することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項77】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、
作業用の開口と、
前記作業用の開口に装着された蓋と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項78】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、その一部が可視光を透過する材料でなることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項79】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記噴流発生装置が電子機器に固定されるための固定機構をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項80】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間をつなぐ曲面とを有する外面を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項81】
請求項62に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、前記開口を複数有するとともに、
前記各開口のうち第1の開口面を有する第1の開口と、
前記第1の開口面とは異なる角度の第2の開口面を有する第2の開口と
を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項82】
請求項81に記載の噴流発生装置であって、
前記第1の開口面及び前記第2の開口面は、ほぼ直交するように配置されていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項83】
請求項81に記載の噴流発生装置であって、
前記第1の開口面及び前記第2の開口面は、ほぼ平行に配置されていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項84】
すべてがほぼ同じ方向に振動する複数の振動体と、
複数の開口と、前記各振動体がそれぞれ配置されるとともに前記振動体の振動方向ほぼ垂直な面内で並ぶように配置され前記各開口にそれぞれ連通する複数のチャンバとを有し、前記各チャンバに気体が含まれた筐体と、
前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記各開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項85】
請求項84に記載の噴流発生装置であって、
前記各開口にそれぞれ連通する複数の前記気体の流路を有し、前記各流路を一体的に形成するノズル体をさらに具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項86】
請求項84に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、毛細管現象を用いて作動流体の相変化により熱を輸送する熱輸送デバイスが嵌め込まれる穴を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項87】
請求項84に記載の噴流発生装置であって、
前記筐体は、毛細管現象を用いて作動流体の相変化により熱を輸送する熱輸送デバイスが当接する段差、溝、または凹部を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項88】
請求項84に記載の噴流発生装置であって、
前記駆動部は、磁気回路を構成する磁気回路構成部材を有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、
前記磁気回路構成部材は、前記筐体から前記振動方向へ該筐体の外部に突出するように設けられていることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項89】
振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有する振動体と、
開口を有し、前記振動体を振動可能に支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、
前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項90】
請求項89に記載の噴流発生装置であって、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項91】
請求項89に記載の噴流発生装置であって、
前記駆動部は、磁気回路を有する電磁駆動を用いたアクチュエータを有し、
前記筐体の少なくとも一部が、前記磁気回路を構成するための磁性体でなることを特徴とする噴流発生装置。
【請求項92】
フレームと、
振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、
開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた筐体と、
マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有し、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記気体を脈流として吐出させるための駆動部と
を具備することを特徴とする噴流発生装置。
【請求項93】
発熱体と、
フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた第1の筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記発熱体に向けて前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを有する噴流発生装置と、
前記発熱体と前記噴流発生装置を保持可能な第2の筐体と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項94】
請求項93に記載の電子機器であって、
前記振動体は、前記振動板に設けられた側板を有することを特徴とする電子機器。
【請求項95】
請求項93に記載の電子機器であって、
前記第2の筐体の一部は、前記第1の筐体の一部で構成されることを特徴とする電子機器。
【請求項96】
請求項93に記載の電子機器であって、
前記第2の筐体は、前記開口を介して前記気体が吐出されるときに、外部の気体を導入する導入口を有することを特徴とする電子機器。
【請求項97】
請求項96に記載の電子機器であって、
前記第2の筐体は、
前記第1の筐体が載置され、前記開口付近に前記導入口が配置される底部を有することを特徴とする電子機器。
【請求項98】
請求項97に記載の電子機器であって、
前記第2の筐体の外部であって前記底部に設けられたスペーサをさらに具備することを特徴とする電子機器。
【請求項99】
請求項96に記載の電子機器であって、
前記第2の筐体は、
前記発熱体の、前記第1の筐体の前記開口が配置される反対側に配置され、前記導入口から導入されるとともに前記開口を介して吐出された気体と合成された気体を、前記発熱体を通過させて排出する排出口を有することを特徴とする電子機器。
【請求項100】
請求項93に記載の電子機器であって、
前記噴流発生装置を複数備えることを特徴とする電子機器。
【請求項101】
請求項100に記載の電子機器であって、
前記噴流発生装置は、前記各振動板の振動方向がほぼ揃うように、かつ、該振動方向にほぼ垂直な面内で並列されていることを特徴とする電子機器。
【請求項102】
発熱体と、
振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有する振動体と、開口を有し、前記振動体を振動可能に支持するとともに内部に気体が含まれた第1の筐体と、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記発熱体に向けて前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを有する噴流発生装置と、
前記発熱体と前記噴流発生装置とを保持可能な第2の筐体と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項103】
発熱体と、
フレームと、振動方向にほぼ垂直な面を有する振動板を有し、振動可能に前記フレームに支持された振動体と、開口を有し、前記フレームを支持するとともに内部に気体が含まれた第1の筐体と、マグネットと、前記気体を流通させるための流通口を有し前記振動体に装着されるとともに前記マグネットを囲うように設けられたボビンと、前記ボビンに巻回されたコイルとを有し、前記振動体を駆動して前記気体に振動を与えることで、前記開口を介して前記発熱体に向けて前記気体を脈流として吐出させるための駆動部とを有する噴流発生装置と、
前記発熱体と前記噴流発生装置とを保持可能な第2の筐体と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項104】
第1の発熱体と、
前記第1の発熱体に向けて第1の方向に第1の気体を脈流として吐出する第1の噴流発生器と、
第2の発熱体と、
前記第2の発熱体に向けて第1の方向とは異なる第2の方向に第2の気体を脈流として吐出する第2の噴流発生器と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項105】
請求項104に記載の電子機器であって、
前記第1の方向と前記第2の方向とはほぼ90度異なることを特徴とする電子機器。
【請求項106】
請求項105に記載の電子機器であって、
前記第1及び第2の発熱体は同じ構造を有することを特徴とする電子機器。
【請求項107】
請求項105に記載の電子機器であって、
前記第1及び第2の噴流発生器は同じ構造を有することを特徴とする電子機器。
【請求項108】
請求項105に記載の電子機器であって、
前記第1の方向における前記第1の発熱体の長さと、前記第1の方向における前記第1の噴流発生器の長さとを足した長さが、前記第2の噴流発生器の第1の方向における長さとほぼ等しいことを特徴とする電子機器。
【請求項109】
筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置の製造方法であって、
前記筐体に取り付けられるフレームを所定の位置に配置する工程と、
前記所定の位置に配置されたフレームと、前記気体を振動させる振動体を支持するための弾性支持部材とを一体成型する工程と
を具備することを特徴とする振動装置の製造方法。
【請求項110】
請求項109に記載の電子機器であって、
前記振動体と前記弾性支持部材とを一体成型する工程をさらに具備することを特徴とする振動装置の製造方法。
【請求項111】
筐体に含まれた気体を、前記筐体が有する開口を介して脈流として吐出させるために前記気体を振動させる振動装置の製造方法であって、
前記気体を振動させる振動体を所定の位置に配置する工程と、
前記所定の位置に配置された振動体と、前記振動体を支持するための弾性支持部材とを一体成型する工程と
を具備することを特徴とする振動装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【公開番号】特開2006−320887(P2006−320887A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336603(P2005−336603)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】