説明

捕捉材料及びその製造方法並びに固相抽出用カートリッジ

【課題】捕捉対象物を捕捉する捕捉効率が高く、高速処理が可能であると共に、膨潤度が小さく、強度を保持することができる捕捉材料及びその製造方法並びに固相抽出用カートリッジを提供する。
【解決手段】捕捉材料は、連通孔を有する多孔質体よりなる基材11の表面部12には捕捉対象物を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト高分子鎖が結合されると共に、基材11の内部には前記グラフト高分子鎖が非結合されて2層構造で構成されている。前記基材11は、厚さが1〜10mm、連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることが好ましい。捕捉用官能基は、例えばエポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基又はイオン交換基で置換されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属イオン、タンパク質などの成分を捕捉するために用いられる捕捉材料及びその製造方法並びに固相抽出用カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境試料中に含まれる金属イオン、有機物、タンパク質などの定量のためには、測定の前処理としてこれらのイオンや分子の分離精製を行う必要がある。これまで、抽出試薬を用いる溶媒抽出法(例えば、非特許文献1を参照)やイオン交換樹脂を用いるイオン交換法(例えば、非特許文献2を参照)による分離精製が行われてきた。しかしながら、上記従来の溶媒抽出法では有害な有機廃液が多量に発生し、イオン交換法では特定の金属イオンに対する選択性が低いという問題があった。
【0003】
ところで、イオンや分子を捕捉できる官能基を共有結合を介して固体に導入すること、或いは抽出試薬を疎水性相互作用を利用して固体に担持することによって得られる材料は、固相抽出(SPE、solid phase extraction)材料と呼ばれている。この固相抽出材料では、測定捕捉対象物であるイオンや分子を含む大量の試料液を固相抽出材料に接触させ、イオンや分子を確実に捕捉することができる。その後少量の酸や塩溶液を使って、捕捉されたイオンや分子を全て溶出させるという操作によって分離精製が達成される。
【0004】
固相抽出材料は高分子や無機化合物からなるビーズ状の材料である。そのビーズが円筒型カートリッジに充填されて使用される。また、試料液を高速で流通させるためにビーズを繊維内に包摂し、その繊維をシート状にして円筒型カートリッジに充填した固相抽出カートリッジが市販されている。ビーズの直径が大きくなると、試料液を流しやすくなる一方、イオンや分子がビーズ内部の官能基や抽出試薬まで移動するのに時間がかかるようになる。言い換えると、試料液の流通抵抗とイオンや分子の捕捉効率とを両立できないという欠点をもつ。
【0005】
この種の固相抽出材料として、例えばポリオレフィン等の3次元網目構造を有する多孔性基材膜の膜孔表面に、所定の官能基を有する側鎖が化学的に結合されている選択吸着性多孔膜が知られている(例えば、特許文献1を参照)。係る選択吸着性多孔膜は、多孔性基材膜に電離性放射線を照射した後、エポキシ基を有するビニルモノマーをグラフト重合させ、その後アルカリ性下でアルコール類等と反応させることにより製造される。
【非特許文献1】赤岩英夫「抽出分離分析法」(第4版)、講談社、1976年発行(第110頁〜第115頁)
【非特許文献2】三菱化学株式会社製、イオン交換樹脂部「イオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアル 応用編」(第4版)、三菱化学株式会社製、1995年発行(第11頁〜第25頁)
【特許文献1】特開平8−141392号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された選択吸着性多孔膜は、官能基としてヒドロキシル基の含有量を特定すると共に、疎水性を高めることでタンパク質を迅速に吸着(捕捉)することができる。ところが、特許文献1に記載の多孔性基材膜は薄いものであるため、グラフト重合を行って側鎖を多孔性基材膜に結合させたとき、グラフト重合体が多孔性基材膜の厚さ方向全体に渡って形成される。グラフト重合体が多孔性基材膜内に形成されると、その部分は基材の組織が分断されて緻密性に欠け、多孔性基材膜の剛性が低下する。そのため、得られる選択吸着性多孔膜は溶媒に対する膨潤度が大きくなると共に、その強度を保持することができなくなる。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、捕捉対象物を捕捉する捕捉効率が高く、高速処理が可能であると共に、膨潤度が小さく、強度を保持することができる捕捉材料及びその製造方法並びに固相抽出用カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、これまで基材として、フィルム、中空糸膜、不織布といった形状の高分子材料にグラフト高分子鎖を結合し、その後用途に応じた官能基を導入することによって様々な機能材料を作製してきた。市販されている固相抽出用カートリッジの構造を知り、またその操作上の欠点の解決策を考えた。適度な厚さをもつ連通多孔質体を基材にしてグラフト高分子鎖を付与することを思いついた。
【0009】
そして、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、シート状連通多孔質体に結合したグラフト高分子鎖に金属イオンやタンパク質を捕捉する官能基の導入又は抽出試薬を担持し、さらにそれを使って固相抽出用カートリッジを製作し、イオンや分子を効率よく分離精製できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明の捕捉材料は、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部には捕捉対象物を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト高分子鎖が結合されると共に、前記基材の内部には前記グラフト高分子鎖が非結合されて2層構造で構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明の捕捉材料は、請求項1に係る発明において、前記多孔質体よりなる基材は、厚さが1〜10mm、連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明の捕捉材料は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記捕捉用官能基は、エポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基又はイオン交換基で置換されたものであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明の捕捉材料は、請求項1から請求項3に係る発明において、前記グラフト高分子鎖は、多孔質体の連通孔内に結合されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の発明の捕捉材料は、請求項1から請求項4に係る発明において、前記基材は、連通孔を有するポリオレフィンの多孔質体より構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明の捕捉材料の製造方法は、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部に電離放射線を照射した後、官能基を有する重合性単量体を基材の表面部でグラフト重合させた後、前記官能基の少なくとも一部を捕捉用官能基に変換することを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明の固相抽出用カートリッジは、請求項1から請求項5のいずれかに一項に記載の捕捉材料をカートリッジに充填して構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の捕捉材料においては、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部には捕捉対象物(捕捉成分)を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト高分子鎖が結合されている。このため、基材の表面部から外方(連通孔内)へ伸びるグラフト高分子鎖の捕捉用官能基がそれに接触する捕捉対象物を容易に捕捉することができる。従って、捕捉対象物を捕捉する捕捉効率が高く、高速処理が可能である。
【0018】
その一方、基材の内部は前記グラフト高分子鎖が非結合の状態であることから、基材の内部が緻密な構造を有している。従って、捕捉材料は、溶媒に対する膨潤度が小さく、また強度を保持することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明の捕捉材料では、多孔質体よりなる基材の連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%であって、微細な連通孔が多数含まれている。そのため、微細な連通孔を含む基材の表面部に位置するグラフト高分子鎖の捕捉用官能基がその機能を十分に発揮することができる。さらに、基材は厚さが1〜10mmのシート状のものであり、従来の選択吸着性多孔膜等に比べて厚く形成されているため、基材の表面部にグラフト高分子鎖を結合し、基材の内部にグラフト高分子鎖を非結合とする構成を容易に設定することができる。従って、請求項1に係る発明の効果を向上させることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明の捕捉材料においては、捕捉用官能基は、エポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基又はイオン交換基で置換されたものである。従って、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、金属イオンをキレート化によって捕捉したり、タンパク質をイオン交換によって捕捉したりすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明の捕捉材料では、グラフト高分子鎖が多孔質体の連通孔内に結合され、多数の連通孔内に結合されているグラフト高分子鎖の捕捉用官能基が捕捉対象物を捕捉するように機能することから、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を一層向上させることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明の捕捉材料では、基材が連通孔を有するポリオレフィンの多孔質体より構成され、基材自体の反応性が低いため、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、グラフト高分子鎖の捕捉用官能基による選択的な捕捉を行なうことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明の捕捉材料の製造方法においては、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部に電離放射線を照射した後、官能基を有する重合性単量体を基材の表面部でグラフト重合させた後、前記官能基の少なくとも一部を捕捉用官能基に変換するものである。このため、グラフト重合を基材の表面部において効果的に行うことができ、表面部に捕捉用官能基を有するグラフト高分子鎖が結合され、内部にグラフト高分子鎖が非結合の捕捉材料を容易に製造することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明の固相抽出用カートリッジにおいては、請求項1から請求項5のいずれかに係る捕捉材料をカートリッジに充填して構成されている。従って、固相抽出用カートリッジは、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の捕捉材料の効果を発現することができると共に、カートリッジへの捕捉材料の充填が容易で、捕捉対象物の捕捉を安定した状態で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の捕捉材料は、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部には捕捉対象物を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト(接ぎ木)高分子鎖が結合されると共に、前記基材の内部には前記グラフト高分子鎖が非結合されて2層構造で構成されている。すなわち、捕捉材料は、グラフト高分子鎖を有する表面部と、グラフト高分子鎖を有しない内部との2層構造をなしている。そして、表面部ではグラフト高分子鎖の捕捉用官能基が捕捉対象物を捕捉する機能を発揮し、内部では基材が変性されることなく緻密な構造が維持されて捕捉材料の物理的(機械的)機能を発揮する。グラフト高分子鎖は非架橋高分子構造であるため、官能基を高密度に導入しやすく、或いは抽出試薬を高密度に担持しやすい。
【0026】
前記多孔質体よりなる基材は、厚さが1〜10mm、連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることが好ましい。基材の厚さが1mm未満の場合には、厚さが薄くなり過ぎて捕捉材料を前記2層構造に形成することが困難になる。その一方、厚さが10mmを越える場合には、例えば捕捉材料をカートリッジに充填して固相抽出用カートリッジを構成するときにカートリッジへの充填性などの取扱いが難しくなる。
【0027】
また、連通孔の平均孔径が0.5μm未満の場合には、連通孔が微細になり過ぎて連通孔内における捕捉機能が十分に果たされなくなる傾向を示す。一方、連通孔の平均孔径が5μmを越える場合には、基材表面における連通孔の数が少なくなって捕捉機能が低下する。さらに、連通孔の体積分率が70%未満の場合には、連通孔の割合が少なくなり捕捉効率が低下する傾向を示す。一方、体積分率が85%を越える場合には、連通孔が過剰となって捕捉材料の強度が低下する。前記グラフト高分子鎖は、多孔質体の表面部に存在する多数の微細な連通孔を利用して捕捉効率を高めるため、連通孔内に結合されていることが好ましい。
【0028】
続いて、前記捕捉用官能基は、金属イオン、タンパク質等の捕捉対象物をキレート(配位)結合、イオン結合等によって捕捉するための官能基である。そのような捕捉用官能基としては、キレート形成基、イオン交換基(カチオン交換基、アニオン交換基)、疎水性基、親水性基又はそれらの複数を組合せて用いることができる。キレート形成基としては、例えばイミノジ酢酸基、イミノジエタノール基等が挙げられる。カチオン交換基としては、例えばスルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等が挙げられる。アニオン交換基としては、例えば1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、4級アンモニウム塩基等が挙げられる。疎水性基としては、例えばアルキル基、アルキルアミノ基、エポキシ基、フェニル基等が挙げられる。親水基としては、例えばジオール基等が挙げられる。係る捕捉用官能基は、例えばグラフト高分子の側鎖に結合されたエポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基、イオン(例えばカチオン)交換基等の捕捉用官能基で置換されて構成される。
【0029】
また、捕捉対象物を抽出するための抽出試薬の担持に適した捕捉用官能基を導入することができる。抽出試薬とその担持機能を有する捕捉用官能基の組合せとして、ビス(2−エチルへキシル)ホスフェイトとオクタデシルアミノ基との組合せ、ビス(2−エチルへキシル)ホスフェイトとドデシルアミノ基との組合せ、ビス(2、4、4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸とオクタデシルアミノ基の組合せ、及びビス(2、4、4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸とドデシルアミノ基の組合せ等が挙げられる。
【0030】
前述の基材としては、基材自体の反応性が低く、グラフト高分子鎖の捕捉用官能基による選択的な捕捉を行なうために、ポリオレフィンの多孔質体より構成されることが好ましい。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。その他、多孔質体を形成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂又はそれらの樹脂の組合せ(混合体や共重合体)を使用することができる。
【0031】
次に、捕捉材料の製造方法は、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部に電離放射線を照射した後、官能基を有する重合性単量体を基材の表面部でグラフト重合させた後、前記官能基の少なくとも一部を捕捉用官能基に変換するものである。この製造方法を模式的に示す図1に基づいて説明する。
【0032】
同図に示すように、基材11の表面部12に電離放射線としての電子線を照射することにより、基材11の表面部12にラジカル13が生成する。その状態で、エポキシ基を有する重合性単量体として例えばグリシジルメタクリレートを作用させ、基材11の表面部12でグラフト重合を行う。このようなグラフト重合により、基材11の表面部12からグラフト高分子の側鎖が伸び、その側鎖には複数のエポキシ基が結合される。
【0033】
重合性単量体は、導入される捕捉用官能基に応じて、様々の重合性単量体を用いることができる。重合性単量体として、例えばエポキシ基を有する重合性単量体、親水性基を有する重合性単量体、疎水性基を有する重合性単量体等が挙げられる。エポキシ基を有する重合性単量体として特に有用なものには、グリシジルメタクリレート(GMA)、グリシジルアクリレート等が挙げられる。親水性基を有する重合性単量体として、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。疎水性基を有する重合性単量体として、例えばアルキルメタクリレート、アルキルアクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は、単独で、又は任意の割合で混合して使用することができる。
【0034】
また、重合性単量体のグラフト重合法としては、電離性放射線を用いる重合法のほか、例えば重合開始剤を用いる重合法も採用される。この場合、重合開始剤は基材の表面部のみに含浸される。いずれのグラフト重合法であっても、重合条件を適宜制御することによって、目的とする重合度をもつグラフト高分子(グラフト重合体)を得ることができる。電離性放射線を用いる場合には、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線等を使用することができる。
【0035】
グラフト重合におけるグラフト率(グラフト高分子鎖による増加率)は、グラフト重合前の基材の質量に対するグラフト重合後の基材の質量の増加率で定義した場合、100〜200%程度であることが好ましい。グラフト率が100%未満の場合には、グラフト率が低く、捕捉用官能基の割合も少なくなって好ましくない。その一方、グラフト率が200%を越える場合には、捕捉材料の全体にグラフト高分子が結合される傾向を示して好ましくない。
【0036】
その後、エポキシ基の一部を例えば捕捉用官能基としてイミノジ酢酸基に変換するために、イミノジ酢酸を水の存在下に作用させることにより、エポキシ基が開環してイミノジ酢酸基に変換される。このイミノジ酢酸基により、銅イオン等の金属イオンがキレート化されて捕捉される。また、エポキシ基の一部を例えば捕捉用官能基としてスルホン酸基に変換するために、亜硫酸を水の存在下に作用させることにより、エポキシ基が開環してスルホン酸基に変換される。このスルホン酸基により、タンパク質等がイオン(カチオン)交換されて捕捉される。このような操作により、目的とする捕捉材料が製造される。
【0037】
グラフト高分子鎖中の官能基(例えばエポキシ基)から捕捉用官能基(例えばイミノジ酢酸基)への置換率(転化率)は、例えば5〜90%に設定される。この転化率が5%未満の場合には、捕捉用官能基の割合が少なく、捕捉対象物の捕捉を十分に行うことができなくなる。一方、90%を越える場合には、転化のための反応条件が厳しくなったりして好ましくない。
【0038】
捕捉材料によって捕捉された捕捉対象物を脱離させる場合、イミノジ酢酸基に捕捉された銅イオンのときには塩酸、スルホン酸基に捕捉されたタンパク質のときには塩化ナトリウムが用いられる。
【0039】
捕捉材料は、前記のようにグラフト高分子鎖を有する表面部と、グラフト高分子鎖を有しない内部との2層構造をなしているが、グラフト高分子鎖を有する表面部(両面の場合にはその合計)の割合がその厚さとして捕捉材料の厚さの40〜60%、従ってグラフト高分子鎖を有しない内部の割合が60〜40%であることが好ましい。このような割合に設定することで、捕捉対象物を捕捉する捕捉効率と、膨潤度及び強度(変形耐性を含む)とのバランスを良好に保つことができる。捕捉材料の表面部と内部とをこのような割合に設定するため、グラフト重合における重合性単量体の濃度、溶媒の種類、反応温度、反応時間等の条件が適宜制御される。例えば、基材を構成する多孔質体としてポリエチレンの発泡体を使用した場合、ポリエチレンになじみにくい溶媒を用いたり、反応時間を短く設定することにより、グラフト高分子鎖を有する表面部の割合を小さくすることができる。
【0040】
以上のようにして得られた捕捉材料を用いることにより、種々の機能性材料が提供される。機能性材料は、使用の目的や用途に応じて、その形態を適宜変更することができる。その例として、固相抽出用カートリッジ、固相抽出用キット等が挙げられる。固相抽出用カートリッジは、捕捉材料をカートリッジに充填して構成されている。係る固相抽出用カートリッジは簡単に製作され、様々な液体から高効率でイオンや分子を分離精製することが可能である。
【0041】
さて、本実施形態の作用について説明すると、捕捉材料を製造する際には、まず連通孔を有するポリエチレン発泡体よりなる基材の表面部に電子線を照射してラジカルを生成した後、グリシジルメタクリレートを基材の表面部でグラフト重合させる。得られたグラフト高分子にイミノジ酢酸を作用させ、エポキシ基の一部をイミノジ酢酸基に変換することによって捕捉材料が得られる。
【0042】
得られた捕捉材料においては、基材の連通孔を含む表面部には捕捉対象物としての銅イオンを捕捉するためのイミノジ酢酸基をもつグラフト高分子鎖が結合されている。このため、基材の表面部から連通孔内へ伸びるグラフト高分子鎖のイミノジ酢酸基がそれに接触する銅イオンをキレート作用により容易に捕捉することができる。
【0043】
その一方、基材の内部はグラフト高分子鎖が非結合の状態であることから、基材の内部が緻密な構造を有している。従って、捕捉材料は、その使用過程で溶媒に対して膨潤や収縮を起こし難く、また強度を保持することができ、変形が抑えられる。
【0044】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の捕捉材料においては、基材の表面部には捕捉対象物を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト高分子鎖が結合されているため、捕捉対象物を捕捉する捕捉効率が高く、高速処理が可能である。また、基材の内部はグラフト高分子鎖が非結合の状態であり、基材の内部が緻密な構造を有しているため、捕捉材料は溶媒に対する膨潤度が小さく、また強度を保持することができる。
【0045】
・ 前記基材の連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%であって、微細な連通孔が多数含まれていることにより、微細な連通孔を含む基材の表面部に位置するグラフト高分子鎖の捕捉用官能基がその機能を十分に発揮することができる。さらに、基材は厚さが1〜10mmのシート状のものであり、従来の選択吸着性多孔膜等に比べて厚く形成されていることにより、基材の表面部にグラフト高分子鎖を結合し、基材の内部にグラフト高分子鎖を非結合とする構成を容易に設定することができる。
【0046】
・ 前記捕捉用官能基が、エポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基又はイオン交換基で置換されたものであることにより、金属イオンをキレート化によって捕捉したり、タンパク質をイオン交換によって捕捉したりすることができる。
【0047】
・ 前記グラフト高分子鎖が多孔質体の連通孔内に結合されていることにより、多数の連通孔内に結合されているグラフト高分子鎖の捕捉用官能基が捕捉対象物を容易に捕捉することができる。
【0048】
・ 基材が連通孔を有するポリオレフィンの多孔質体より構成されることにより、基材自体の反応性が低いため、グラフト高分子鎖の捕捉用官能基による選択的な捕捉を行なうことができる。
【0049】
・ 捕捉材料を製造する場合には、連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部に電離放射線を照射した後、官能基を有する重合性単量体を基材の表面部でグラフト重合させた後、前記官能基の少なくとも一部を捕捉用官能基に変換する方法が採られる。この製造方法によれば、グラフト重合を基材の表面部において効果的に行うことができ、表面部に捕捉用官能基を有するグラフト高分子鎖が結合され、内部にグラフト高分子鎖が非結合の捕捉材料を容易に製造することができる。
【0050】
・ 固相抽出用カートリッジにおいては、前記捕捉材料をカートリッジに充填して構成されている。この場合、捕捉材料を適度なサイズに裁断し充填すると、固相抽出用カートリッジを簡便に製作できる。従って、固相抽出用カートリッジは、カートリッジへの捕捉材料の充填が容易で、捕捉対象物の捕捉を安定した状態で行うことができる。従って、工場排水中に含まれる金属イオンの除去、河川の水に含まれる農薬の除去等の用途に有益である。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
シート状基材として、連通孔を有するポリエチレン発泡体を使用した。そして、前記図1に示した手順で捕捉材料を調製した。実施例1では、ポリエチレン発泡体に結合したグラフト高分子鎖に導入される捕捉用官能基として、代表的なキレート形成基であるイミノジ酢酸基を選択した。シート状基材(厚さ2.0mm、平均細孔径1μm、空孔率75%)に電子線を常温、窒素雰囲気下で200KGy照射し、基材の表面部にラジカルを生成させた。続いて、電子線が照射された基材をグリシジルメタクリレートの5体積%メタノール溶液に40℃で60分間浸漬することにより、グリシジルメタクリレートをグラフト重合させた。このとき、質量増加率で定義されるグラフト率は130%であった。得られた基材をグラフト化基材と呼ぶ。
【0052】
このとき、グラフト重合によって基材の厚さは2.8mmにまで膨潤した。従って、見掛けの線膨張率は40%であった〔(2.8−2.0)×100/2.0〕。なお、グラフト重合によって基材全体にグラフト高分子が結合された場合には、基材の厚さが2倍になり、見掛けの線膨張率は100%であった。
【0053】
また、グラフト化基材の両面からそれぞれ約0.7mmの深さまでグラフト高分子鎖が侵入し、結合していた。残りの厚さ1.4mmに相当する内部(中央部)は基材のままであり、グラフト高分子鎖が非結合の状態であった。この厚さは、後述する捕捉材料による銅イオンの捕捉に際して銅イオンが捕捉される表面部では青色になり、銅イオンが捕捉されない内部は白色のままであり、それらの厚さを測定して得たものである。このように基材の内部をグラフト化せず、そのまま残すことによってグラフト化基材の強度が保持され、固相抽出用キット又は固相抽出用カートリッジへのグラフト化基材の充填が容易になる。
【0054】
その後、グラフト化基材を、0.43Mイミノジ酢酸ナトリウム溶液に80℃で所定時間、浸漬した。この反応によってグラフト高分子鎖中のエポキシ基の一部をイミノジ酢酸基へ転化して捕捉材料を得た。グラフト高分子鎖中のエポキシ基からイミノジ酢酸基への転化率を、反応に伴うグラフト化基材の質量増加量から次式に従い算出した。
【0055】
転化率(%)=100×[(W2−Wl)/176]/[(Wl−W0/142]
ここで、W0、Wl、及びW2は、それぞれ基材、グラフト化基材、及び捕捉材料の質量である。ここで、142及び176はそれぞれグリシジルメタクリレート及びイミノジ酢酸ナトリウムの分子量である。反応時間(h)と転化率(%)との関係を図2に示した。その図2に示したように、反応時間の増加とともに転化率は増加し、反応時間50時間で転化率80%に達した。
【0056】
捕捉材料の中心部までグラフト高分子鎖を付与し、その後に官能基を導入した場合には、その捕捉材料を充填した固相抽出用キット又は固相抽出用カートリッジに捕捉対象物を含む液を流通させると、捕捉材料の寸法安定性を確保できなくなる。すなわち、捕捉対象物を捕捉するときと、その後に溶出させるときとでは、液のpHやイオン強度などが異なるので、捕捉材料が膨潤して容器内で反ったり、逆に収縮して容器内に隙間ができたりする。こういう状況では捕捉対象物を含んだ溶液が容器内で偏流を起こす。その結果、溶液を効率よく流通させることができなくなる。
【0057】
連通孔をもつ多孔質体を有する捕捉材料中に金属イオンやタンパク質を含む溶液を透過させることが金属イオンやタンパク質の捕捉速度を高めるために有効である。そこで、図3に示す装置を使用して金属イオンやタンパク質の捕捉を行った。その装置について説明すると、同図に示すように、円筒状をなすカートリッジ15の底部には捕捉対象物の供給配管16の一端が接続され、その他端がシリンジポンプ17のシリンダ18に接続されている。シリンダ18内には捕捉対象物としての塩化第二銅の水溶液19が満たされ、ピストン20の作動によって塩化第二銅の水溶液19が供給配管16を介してカートリッジ15へ供給されるようになっている。供給配管16の途中には圧力計21が設けられ、供給配管16内の塩化第二銅の水溶液19の圧力を測定し、供給配管16内の圧力が高くなり過ぎないようにすると共に、カートリッジ15への塩化第二銅の水溶液19の供給量を適正に設定できるようになっている。
【0058】
カートリッジ15内には、前記捕捉材料22が直径13mm、厚さ3mmに裁断された状態で支持体15a上に支持されている。カートリッジ15内では、塩化第二銅の水溶液19が下部から上部へ一定流量で流通するように構成されている。カートリッジ15の頂部には流出配管23の一端が接続され、その他端は貯留瓶24の上方位置で開放され、流出液が流出配管23から貯留瓶24に収容されるようになっている。
【0059】
上記塩化第二銅の水溶液19は、酢酸緩衝液(pH4)に溶かして調製された濃度200mg-銅/Lのものである。塩化第二銅の水溶液19の流量は、150及び1500ml/hとした。そして、流出配管23からの流出液を連続的に採取し、流出液中の銅イオンを定量した。流出液中の銅イオン濃度が供給液中の銅イオン濃度と一致するまで塩化第二銅の水溶液19の流通を続けた。この実験により得られた、流出液量と流出液中の銅イオン濃度との関係、すなわち破過曲線を図4に示した。破過曲線の横軸は流出液体積(mL)、縦軸は流出液中の銅イオン濃度を供給液中のそれで割った値である。図4において、○は塩化第二銅水溶液の流量が150mL/hの場合、△は塩化第二銅水溶液の流量が1500mL/hの場合を示している。また、前記グラフト率は130%、転化率は67%である。
【0060】
図4に示したように、破過曲線は、塩化第二銅水溶液の流量を150から1500mL/hという10倍の速度にしても重なる結果であった。これは、銅イオンが、捕捉材料の連通孔からグラフト高分子鎖に導入されたキレート形成基まで瞬時に移動して捕捉されるということを示している。このことは、塩化第二銅水溶液を高速処理できるという点から固相抽出操作において有利である。
【0061】
また、図4の破過曲線から、供給液中の銅イオン濃度に対する捕捉材料の銅イオン平衡捕捉容量を算出した。銅イオン平衡捕捉容量は1.1mol/kgであった。この実験のpHでは、銅イオンとイミノジ酢酸基とが、理論的には1:2のモル比で結合する。本実施例1ではイミノジ酢酸基量が2.0mol/kgに対して銅イオンの捕捉量が1.1mol/kgであったことから、導入されたイミノジ酢酸基のほぼ全てが銅イオンの捕捉に寄与していることがわかった。さらに、捕捉材料に捕捉された銅イオンは、2M塩酸(HCl)をカートリッジに流通させることによって全て溶出された。
(実施例2)
捕捉材料に結合されたグラフト高分子鎖に導入する捕捉用官能基の一つとして、実施例1ではキレート形成基であるイミノジ酢酸基により金属(銅)イオンを高速捕捉できることを示した。実施例2では、グラフト高分子鎖に捕捉用官能基としてカチオン交換基であるスルホン酸基を導入して得られる捕捉材料が、タンパク質を高速捕捉できることを示す。
【0062】
前記実施例1のグラフト化基材を、10%亜硫酸ナトリウム水溶液に80℃で浸漬した。この反応によってグラフト高分子鎖中のエポキシ基の一部をスルホン酸基へ転化した。グラフト高分子鎖中のエポキシ基からスルホン酸基への転化率を、反応に伴うグラフト化基材の質量増加量から次式に従い算出した。
【0063】
転化率(%)=100×[(W2−Wl)/103]/[(Wl−W0/142]
ここで、W0、Wl、及びW2は、それぞれ基材、グラフト化基材、及び捕捉材料の質量である。ここで、142及び103はそれぞれグリシジルメタクリレート及び亜硫酸ナトリウム(NaSO)の分子量である。反応時間(h)と転化率(%)との関係を図5に示す。反応時間の増加とともに転化率は増加し、8時間で84%に達した。
【0064】
そして、捕捉材料22を直径13mm、厚さ3mmに裁断し、図3に示す装置のカートリッジ15に充填すると共に、シリンジポンプ17のシリンダ18に捕捉対象物としてのリゾチーム(酵素)溶液を充填した。リゾチーム溶液は、炭酸緩衝液(pH9.0)に溶かして調製された濃度0.5g/Lの溶液である。リゾチーム溶液の流量は、150及び1500mL/hとした。以上の条件で得られた破過曲線を図6に示した。図6で○はリゾチーム溶液の流量が150mL/hの場合、△はリゾチーム溶液の流量が1500mL/hの場合を示している。また、前記グラフト率は150%、転化率は25%である。
【0065】
破過曲線は、リゾチーム溶液の流量を150から1500mL/hという10倍の速度にしても重なる結果であった。これは、リゾチームが、捕捉材料の連通孔からグラフト高分子鎖に導入されたカチオン交換基まで瞬時に移動して捕捉されるということを示している。このことは、リゾチーム溶液を高速処理できるという点から固相抽出操作において有利である。また、捕捉材料に捕捉されたリゾチームは、1M塩化ナトリウム(NaCl)水溶液をカートリッジに流通させることによって全て溶出された。
【0066】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記基材の形状を、シート状以外の円板状、四角板状等に形成することもできる。
・ 捕捉材料を使用する場合、収容容器内に所定量の捕捉材料を収容し、その中へ捕捉対象物の溶液を注入し、撹拌するなどして捕捉対象物を捕捉材料に捕捉させることもできる。
【0067】
・ 基材を構成する多孔質体として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン等を使用することができる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0068】
・ 前記グラフト高分子鎖が結合される基材の表面部は、基材の厚さの40〜60%であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の捕捉材料。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、捕捉効率と、膨潤度及び強度とのバランスを高く維持することができる。
【0069】
・ 前記グラフト高分子鎖による増加率は、グラフト重合前の基材の質量に対するグラフト重合後の基材の質量の増加率で定義した場合、100〜200%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の捕捉材料。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、グラフト化率を適正に保ち、捕捉効率と、膨潤度及び強度とのバランスを高く維持することができる。
【0070】
・ 前記グラフト高分子鎖中のエポキシ基からキレート形成基又はイオン交換基への置換率は、5〜90%であることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の捕捉材料。このように構成した場合、請求項3から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、捕捉用官能基の割合を適正に保持し、捕捉効率を良好に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の捕捉材料の製造工程を模式的に示す説明図。
【図2】ポリエチレン発泡体よりなる基材の表面部に結合されたグラフト高分子鎖中のエポキシ基にイミノジ酢酸基を導入する反応における、反応時間と転化率との関係を示すグラフ。
【図3】捕捉材料が充填された円筒型カートリッジへ捕捉対象物を流通させ、捕捉材料に捕捉対象物を捕捉するための装置を示す概略説明図。
【図4】イミノジ酢酸基を有する捕捉材料が充填された円筒型カートリッジに銅イオン溶液を流通させて得られた破過曲線を示すグラフ。
【図5】ポリエチレン発泡体よりなる基材の表面部に結合されたグラフト高分子鎖中のエポキシ基にスルホン酸基を導入する反応における、反応時間と転化率との関係を示すグラフ。
【図6】スルホン酸基を有する捕捉材料が充填された円筒型カートリッジにリゾチーム溶液を流通させて得られた破過曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
【0072】
11…基材、12…表面部、15…カートリッジ、19…捕捉対象物を含む液としての塩化第二銅の水溶液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部には捕捉対象物を捕捉するための捕捉用官能基が導入されたグラフト高分子鎖が結合されると共に、前記基材の内部には前記グラフト高分子鎖が非結合されて2層構造で構成されていることを特徴とする捕捉材料。
【請求項2】
前記多孔質体よりなる基材は、厚さが1〜10mm、連通孔の平均孔径が0.5〜5μm及び連通孔の体積分率が70〜85%のシート状のものであることを特徴とする請求項1に記載の捕捉材料。
【請求項3】
前記捕捉用官能基は、エポキシ基の少なくとも一部がキレート形成基又はイオン交換基で置換されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捕捉材料。
【請求項4】
前記グラフト高分子鎖は、多孔質体の連通孔内に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに一項に記載の捕捉材料。
【請求項5】
前記基材は、連通孔を有するポリオレフィンの多孔質体より構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに一項に記載の捕捉材料。
【請求項6】
連通孔を有する多孔質体よりなる基材の表面部に電離放射線を照射した後、官能基を有する重合性単量体を基材の表面部でグラフト重合させた後、前記官能基の少なくとも一部を捕捉用官能基に変換することを特徴とする捕捉材料の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに一項に記載の捕捉材料をカートリッジに充填して構成されていることを特徴とする固相抽出用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−313391(P2007−313391A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143228(P2006−143228)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】