説明

捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法並びにコンピュータプログラム

【課題】航空機から捜索した起伏の多い地表面の目標物を精度良く測定し、位置特定の精度を向上させることを可能にすること。
【解決手段】目標物3の位置を水平面に投影した位置は、捜索目標物3が水平面から高さHの位置に有るので、カメラ2から見て捜索目標物3の方向に延ばした直線L1と、水平面との交点からR1だけずれた位置となる。しかし、実際には、地表面4は高度情報を含む3次元地勢データのメッシュで区切られた階段状の高度7であるため、この位置は符号R1' で示す位置となり、誤差が生じている。そこで、捜索目標物3に近接する既知の位置情報を有するランドマーク5とランドマーク6との間のカメラ2から見た方向角を計測することにより、ランドマーク5及びランドマーク6の高度を各々計測し、この高度情報を用いて目標物3の高度情報を算出し、捜索目標物3の方向に延ばした直線との交点を求めて捜索目標物3の位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法並びにコンピュータプログラムに係り、特に、捜索目標が起伏に富んだ地勢に存在する場合にあっても、3次元地勢データと、ランドマーク位置高度情報とを使用して、航空機等から捜索標定した目標位置を正確に特定することができる捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等から捜索標定した目標位置を正確に特定する捜索目標位置特定装置として、例えば、特願平7−84350号を既に特許出願している。
この先行出願特許(特願平7−84350号)の方法では、空中から地表面の目標物を撮影し、空中における撮影位置を3次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、該地表面と、撮影位置とから目標物の方向に延びる直線との交点位置として目標物の位置を特定している。
【0003】
また、この先行出願特許(特願平7−84350号)の方法では、特定した捜索目標位置を地名等が明示されている2次元地図上に表示する。さらに、目標物を撮影する際の視野を2次元地図上に表示する。より具体的には、空中移動可能な機体と、機体位置を特定する機体位置特定手段と、機体に搭載された地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、機体に対して撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、地表面の起伏についての高度情報を含む3次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、機体位置特定手段と、撮影手段と、を備え、方向検出手段及び地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理方法、目標物の位置、及び目標物を撮影する視野を、地名等を明示した2次元地図上に表示している。
【0004】
この分野の他の先行技術として、例えば、特許文献1には、撮影範囲の地表面の高度を、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データを使用して取得し、撮影地点の高度を、機体の絶対高度から地表面の高度を減算した相対高度として計算し、その撮影範囲に合わせて、撮影映像を変形して地理情報システムの地図上に重ね合わせて表示する方法を開示している。
また、例えば、特許文献2には、地形データ1の各点と検索された基準線2上の点4の高さとの差である高度差を算出し、この算出結果を用いて補正量算出手段である補正量算出装置7において高さ(高度)の補正量を決定する方法を開示している。
【0005】
さらに、例えば、特許文献3には、地図処理手段で、まず空中における撮影位置を3次元的に特定し、カメラと機体の地表面に対する姿勢に基づいて、撮影した地表面の撮影範囲(=撮影画枠)を計算により求める画枠計算を行い、次に、ランドマーク抽出を行い、ランドマーク照合結果に基づいて映像変形・補正を行って、撮影映像の地図上への重畳表示位置を補正するものとし、映像からも対応するランドマークが抽出された場合は、得られているランドマークを照合し、映像上のランドマーク2点間の距離とGIS地図上のランドマーク2点間の距離が同じになるように、機体高度を補正する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−316259号公報
【特許文献2】特開2007−298332号公報
【特許文献3】再特WO2004−113836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記背景技術で述べた従来の捜索目標位置特定方法にあっては、例えば、先行出願特許(特願平7−84350)の方法の場合、前述のとおり、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データから目標物の存在する地表面を求める時に、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として目標物の位置を特定するものであるが、捜索目標位置特定の際の基準となる高度情報を含む3次元地勢データの高度情報の分解能により、位置誤差が大きくなるといった問題点が有った。
【0008】
一般に使用されるであろう3次元地勢データは、国土地理院発行の地図数値データであるが、通常、その分解能は、50mメッシュ等の単位で分割された高度情報が提供されている程度のものである。このため、先行出願特許(特願平7−84350)の図3に示すように3次元地勢データの目標物の地表面位置の高度情報22(H' )が実際の高度(H)より高い場合には、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置が手前にずれてしまい、位置特定の誤差となる。
また、先行出願特許(特願平7−84350)の方法の場合、機体情報及びカメラ等の指向方向は、誤差を含むため航空機の高度が低いほど地上目標物の位置の誤差が大きくなるといった問題点があった。
【0009】
なお、本発明の骨子は、
(1)予め作成されている高度情報を含む3次元地勢データを参照し、
(2)予め設定したランドマークの高度情報を参照し、
(3)地上の捜索目標物の位置データを含む撮影データと、(1)の参照データとにより、一旦、空中からの該目標物の位置を特定し、さらに、(2)の参照データにより、前記3次元地勢データを補正した上で、空中からの地上の捜索目標物の位置を特定し直すことにあるが、前述の特許文献1,3の方法は、構成用件(1),(2),(3)を全て満たすものではない。また、前述の特許文献3の方法では、3次元情報を空中における撮影位置を3次元的に特定するために使用しているが、本発明の方法では、空中からの地上の捜索目標物の位置を特定するために用いており、本発明とは手段が異なる。なお、本発明では、航空機の位置(座標)は、機体が備えるGPS(Global Positioning System)機能を使用して特定する。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、航空機から捜索した起伏の多い地表面の目標物を精度良く測定し、位置特定の精度を向上させることを可能にする捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る捜索目標位置特定装置は、高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報を予め記憶しておく手段と、目標物を高所に設置したカメラで撮影すると共に、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を検出する撮影手段と、前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定する手段と、前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定する手段と、前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定手段と、地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る捜索目標位置特定方法は、高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報を予め記憶しておくステップと、目標物を高所に設置したカメラで撮影すると共に、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を検出する撮影ステップと、前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定するステップと、前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定する手段と、前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定ステップと、地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、捜索目標位置特定装置の演算制御をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報が予め記録された3次元地図情報をデータベースから読み出すステップと、目標物を高所に設置したカメラで撮影した際に取得された、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を一時記憶する撮影データ記憶ステップと、前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定するステップと、前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定するステップと、前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定ステップと、地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の捜索目標位置特定装置によれば、高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報を予め記憶しておき、起伏に富んだ地表面に存在する目標物を航空機等の高所に設置したカメラで撮影すると共に、目標物の撮像情報、目標物の方位情報、及び目標物へのカメラから見た視野角を示す角度情報を検出し、カメラが設置されている位置の座標情報をGPSを使用して特定し、さらに、カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定し、座標情報と高度情報とに基づいてカメラの位置情報を取得し、これにより、地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、目標物の撮像情報と、目標物の方位情報及び目標物の角度情報と、カメラの位置情報とに基づいて目標物の位置を示す位置情報を算出するので、目標物が起伏に富んだ地表面に存在する場合であっても、該目標物の位置の特定を高い精度で実施できる捜索目標位置特定装置を提供することができる効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の1実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、航空機から捜索した地表面の目標物を高精度で測定し、位置特定の精度を向上させることを実現する。このため、航空機の位置(座標)を機体が備えるGPS等を使用して特定する機能を備える。また、他の機能として、航空機の高度情報を高度計を使用して特定し、目標物を撮影する撮影機能、これらを安定に保持するジンバル機能、カメラの指向方向(方位、伏角)を計測/ 制御する制御機能、目標物又は予め設定したランドマークに向け向ける制御を行う制御機能、高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録する3次元地図情報記憶機能、機体情報とカメラ及び測距部の指向情報と3次元地図情報から目標物の位置を検出する演算機能、及びデータ処理機能(目標物の特定結果を表示処理及びカメラ表示画面上にて目標を指定した上、カメラの方向及び撮影視野角情報に基づき指定目標の方向を算出する機能)を具備する。
【0017】
目標物の位置を特定するための具体的な特定手段としては、まず、カメラを目標物に指向して撮影を行ない、次に、同一撮影画面内の予め記録してある単数又は複数のランドマークを選択し、カメラの視野角と表示画像の位置情報とからランドマークの航空機からの方向を算出し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データから捜索目標物の位置を特定する。次に、この捜索目標物の位置と、予め記録されているランドマークの位置との相関をとり、その偏差を求める。これらのデータを用いて目標物の位置する区域の3次元地勢データの補正を行う。
【0018】
最後に、カメラの指向方向及び撮影位置に対する目標物の方向を計測し、前記補正した地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データから、目標物の存在する地表面を求め、該地表面と、撮影位置とから目標物の方向に延びる直線との交点位置として目標物の位置を特定する。これにより、計測誤差の軽減を可能にしている。
【0019】
以下、本発明の捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法並びにコンピュータプログラムの具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の全体構成を示す構成図である。
同図に示す捜索目標位置特定装置は、機体に搭載したカメラ部2と、カメラ部2の後段の、ビデオ処理部10及び表示部11と、カメラユニット制御部12と、を備える。
また、機体に搭載したGPS13及び高度検出部14と、GPS13及び高度検出部14から情報を入力する機体位置検出部15と、機体位置検出部15の後段の目標位置検出演算部16と、目標位置検出演算部16に接続されたデータ処理部17及び3次元地図情報記憶部18と、を備える。
【0020】
なお、カメラ部2は、カメラ2' と、カメラ2' の後段のジンバルユニット8と、ジンバルユニット8に接続された方位/角度検出部9と、を備える。
以下、本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の機能を構成要素に基づいて説明する。
カメラ部2は、計測(即ち、捜索目標の位置の特定)を実施する航空機1(図2参照)に搭載されているカメラモジュールである。
カメラ部2の、カメラ2' は、捜索目標物等の撮影を行うためのカメラである。また、ジンバルユニット8は、カメラ2' の指向方向及び機体情報に基づいて安定を確保する機能を備えたユニットである。さらに、方位/角度検出部9は、カメラ2' の指向方向を検出する機能を備えた機構部である。
ビデオ処理部10は、カメラ2' の撮像を表示用に変換するための回路モジュールである。
【0021】
表示部11は、カメラ2' の撮像の表示を行うための表示装置である。
カメラユニット制御部12は、表示部11からの操作により、カメラの指向方向を制御する機能を備えた制御ユニットである。
GPS13は、GPS(Global Positioning System)機能を備え、ここでは航空機1(図2参照)の位置を計測するために使用される。
高度検出部14は、高度計であり、航空機1の高度を計測するために使用される。
機体位置検出部15は、GPS13及び高度検出部14からの情報に基づいて機体位置(即ち撮影位置)を検出する機能を備える。
目標位置検出演算部16は、カメラ方向、機体位置、3次元地図情報、及びランドマーク位置情報に基づいて捜索目標の位置を算出する機能を備える。
【0022】
データ処理部17は、後述する目標物3(図2参照)の方向を中心とするカメラ2' が撮像表示中のランドマークを指定した位置と、カメラ2' の視野角とからランドマーク方向を演算検出する機能を備える。
3次元地図情報記憶部18は、国土地理院の地図数値データ等の高度情報を含む3次元地勢データ及び既知のランドマークの位置及び高度情報を記録格納している。
【0023】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の機能を実施例に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る捜索目標位置特定装置の1実施例を示す説明図である。
同図において、符号Hは目標物の高度、符号H' は3次元地勢データ高度情報による目標物位置の高度、符号R1は目標部カメラ方向の延長線と水平面交点及び地表面交点の差異距離、符号R1' は目標部カメラ方向の延長線と水平面交点及び3次元地勢データ高度交点の差異距離、符合3' は誤差により検出される捜索目標物を、それぞれ示している。
図2は、空中を飛行する航空機1と、機体に取り付けたカメラ2とを使用して、目標物3を撮影する場合の本装置の1実施例を示している。
捜索目標物3は、起伏のある地表面4に位置する。また、予め位置情報が判明しているランドマーク5及び6が値表面上4に位置する。
【0024】
この実施例では、航空機1の座標位置を航空機搭載のGPS等の航法装置等の機体情報から測定し、カメラ2から捜索目標物3位置の方向に延ばした直線L1と、地表面4との交点として、捜索目標物3の位置を特定している。
目標物3の位置を水平面に投影した位置は、ここでは捜索目標物3が水平面から高さHの位置に有るので、カメラ2から見て捜索目標物3の方向に延ばした直線L1と、水平面との交点からR1だけずれた位置となる。しかし、実際には、地表面4は高度情報を含む3次元地勢データのメッシュで区切られた階段状の高度7であるため、この位置は符号R1' で示す位置となり、誤差が生じている。
【0025】
そこで、この実施例では、捜索目標物3に近接する既知の位置情報を有するランドマーク5とランドマーク6との間のカメラ2から見た方向角を計測することにより、ランドマーク5及びランドマーク6の高度を各々計測し、この高度情報を用いて目標物3の高度情報を算出し、捜索目標物3の方向に延ばした直線との交点を求めて捜索目標物3の位置を特定する。これにより、誤差を軽減した計測を可能にしている。
【0026】
(他の実施形態)
本実施の形態に係る捜索目標位置特定装置及び捜索目標位置特定方法では、前述のとおり、位置の特定対象を捜索目標物3としたが、本発明は、一般に、位置の特定対象が地表面上に存在しさえすれば適用が可能であり、例えば、良く知られている建物や山などであってもよい。
また、本実施の形態では、航空機1に捜索目標位置特定装置を搭載したが、本発明は、一般に、捜索目標位置特定装置を設置する場所は必ずしも航空機に限定されるものではなく、周囲よりも十分に高い建物や塔であっても良く、また、山上であっても良い。
さらに、本実施の形態では、捜索目標位置特定装置2を、全ての構成要素が一体であるものとして構成したが、カメラ部2と、カメラ部2以外の構成要素とを空間的に分離し、両者を無線回線で接続する構成とすることも可能である。また、カメラ部2以外の構成要素についても、適当に分散配置し、その間を無線回線で接続する構成にすることも可能である。
【0027】
なお、本実施の形態に係る捜索目標位置特定装置、特に、目標位置検出演算部16の機能を、コンピュータ及びコンピュータプログラムを用いて処理するようにしても良い。
本実施の形態に係る捜索目標位置特定装置によれば、空中からの地上の捜索目標物の位置を、予め作成されている高度情報を含む3次元地勢データと、登録した既知のランドマーク位置高度情報とを使用することにより、3次元地勢データが精度が十分ではない(例えば、50mメッシュ等の単位で分割された高度情報が提供されている程度のもの)である場合にも、迅速、かつ正確に捜索目標の位置を特定することが可能となる効果がある。
【0028】
また、撮影映像表示画面上において、ランドマークの方向を、ポインティングデバイス等を用いて指定した位置情報と、カメラ視野角情報とに基づいて検出すると共に、航空機の位置及び目標物指向時方向情報を記録しておくことにより、航空機1が通過又は着陸した後でも上記計測機能を可能にする効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は捜索目標位置特定装置の構築に適用可能であり、特に、捜索目標が起伏に富んだ地勢に存在する場合にあっても、3次元地勢データと、ランドマーク位置高度情報とを使用して、航空機等から捜索標定した目標位置を正確に特定することができる捜索目標位置特定装置の構築に好適である。
【符号の説明】
【0030】
1 航空機
2 カメラ部
3 捜索目標物
3' 誤差により検出される捜索目標物
4 地表面
5 既知ランドマーク
6 既知ランドマーク
7 3次元地勢データの高度情報に基づく地表面
8 ジンバルユニット
9 方位/角度検出部
10 ビデオ処理部
11 表示部1
12 カメラユニット制御部
13 GPS
14 高度検出部
15 機体位置検出部
16 目標位置検出演算部
17 データ処理部
18 3次元地図情報記憶部
H 目標物の高度
H' 3次元地勢データ高度情報による目標物位置の高度
R1 目標部カメラ方向の延長線と水平面交点及び地表面交点の差異距離
R1' 目標部カメラ方向の延長線と水平面交点及び3次元地勢データ高度交点の差異距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報を予め記憶しておく手段と、
目標物を高所に設置したカメラで撮影すると共に、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を検出する撮影手段と、
前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定する手段と、
前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定する手段と、
前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定手段と、
地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算手段と、
を備えたことを特徴とする捜索目標位置特定装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記目標物の位置を示す位置情報を一旦算出した後、前記撮像と同一撮影画面内の複数のランドマークを選択し、前記撮影画面内での前記複数のランドマークの位置と前記目標物の位置との偏差に基づいて、前記3次元地勢データを補正し、最終的に、前記補正された3次元地勢データを使用して前記位置情報を再度算出することを特徴とする請求項1記載の捜索目標位置特定装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記撮像を安定に維持するためのジンバル機能を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の捜索目標位置特定装置。
【請求項4】
前記3次元地勢データとして、国土地理院発行の地図数値データを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の捜索目標位置特定装置。
【請求項5】
少なくとも前記カメラを航空機に搭載したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の捜索目標位置特定装置。
【請求項6】
高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報を予め記憶しておくステップと、
目標物を高所に設置したカメラで撮影すると共に、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を検出する撮影ステップと、
前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定するステップと、
前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定する手段と、
前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定ステップと、
地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算ステップと、
を備えたことを特徴とする捜索目標位置特定方法。
【請求項7】
捜索目標位置特定装置の演算制御をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報が予め記録された3次元地図情報をデータベースから読み出すステップと、
目標物を高所に設置したカメラで撮影した際に取得された、該目標物の撮像情報、該目標物の方位情報、及び該目標物への前記カメラから見た視野角を示す角度情報を一時記憶する撮影データ記憶ステップと、
前記カメラが設置されている位置の座標情報をGPS(Global Positioning System)を使用して特定するステップと、
前記カメラが設置されている位置の高度情報を高度計を使用して特定するステップと、
前記座標情報と前記高度情報とに基づいて前記カメラの位置情報を取得する撮影位置特定ステップと、
地表面の起伏についての高度情報を含む3次元地勢データ及び予め設定したランドマークの高度情報を記録した3次元地図情報と、前記目標物の撮像情報と、前記目標物の方位情報及び前記目標物の角度情報と、前記カメラの位置情報とに基づいて前記目標物の位置を示す位置情報を算出する演算ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−112556(P2011−112556A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270399(P2009−270399)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】