説明

排ガス再循環及び再熱を有するタービンシステム

【課題】ガスタービンから排出されるNOxを減少させる。
【解決手段】タービンシステム2は、気体を圧縮するように構成される第1の圧縮機6と、圧縮された気体9を燃料12と混合し、この混合気を燃焼させる第1の燃焼器10と、第1の燃焼器10の燃焼ガス14により駆動するよう構成される第1のタービン16と、第1のタービン16の排気ガス18を燃料22と混合し、この混合気を燃焼させる第2の燃焼器20と、第2の燃焼器20の燃焼ガス24により駆動するよう構成される第2のタービン26と、圧縮機6を駆動させるように構成される発電機4とを有する。第2のタービン26の排気ガス28の第1の部分32は、再循環し、第1の燃焼器10内で混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルNOxを減少させる再熱燃焼システムと排ガス再循環(EGR)システムとを備えたガスタービンを有するタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業排出物の環境影響に対する懸念が高まるにつれて、許容排出量に関する規制も増加した。大型のガスタービンシステムは、電力需要を満たすために、膨大な量の燃料が必要とされることから、特に重要である。ほとんどの商業システムで現在用いられている高温のタービン入口温度の結果として生じる排出物を減らすために、数多くの燃焼方式が開発された。これらの燃焼方式のいくつかには、予混合燃焼、多段燃焼、噴霧液体燃料、さまざまな希釈剤の噴射、触媒燃焼、排ガス再循環(EGR)及び再熱燃焼が含まれる。
【0003】
一般的な再熱タービンシステムにおいて、再熱燃焼器は、一次燃焼器の下流に配置されるとともに、一般により高い効率とより低い排出量とをもたらす。EGRは、排気ガスを入口又は燃焼室等のタービンセクション内に再導入して、高温ガスポケットにおいて温度を低下させ、かつさらにまた酸素濃度を低下させることにより、排気ガスの利点を十分に活用するためにしばしば用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、タービンシステムは、気体を圧縮するように構成される第1の圧縮機と、圧縮された気体を燃料と混合するとともに該混合気を燃焼させるように構成される第1の燃焼器と、第1の燃焼器からの燃焼ガスによって駆動するように構成される第1のタービンと、第1のタービンの排気ガスを燃料と混合するとともに該混合気を燃焼させるように構成される第2の燃焼器と、第2の燃焼器からの燃焼ガスによって駆動するように構成される第2のタービンと、タービンシステムにより駆動するように構成される発電機とからなる。第2のタービンの排気ガスの第1の部分は再循環して、第1の燃焼器内において混合する。
【0005】
別の実施形態では、タービンシステムの運転方法は、第1の圧縮機を用いて気体を圧縮するステップと、圧縮された気体を燃料と混合して第1の混合気を形成させるとともに該第1の混合気を燃焼させるステップと、第1の混合気の燃焼によって得られる燃焼ガスを用いて第1のタービンを駆動するステップと、第1のタービンの排気ガスを燃料と混合して第2の混合気を形成させるとともに該第2の混合気を燃焼させるステップと、第2の混合気の燃焼によって得られる燃焼ガスを用いて第2のタービンを駆動するステップと、第2のタービンの排気ガスの第1の部分を第1の混合気中へと再循環させるステップとからなる。
【0006】
さらに別の実施形態では、タービンシステムは、各々の圧縮機が気体を圧縮するように構成される複数の圧縮機と、各々の燃焼器が圧縮された気体を燃料と混合するとともに該混合気を燃焼させるように構成される複数の燃焼器と、各々のタービンが複数の燃焼器の少なくとも1個の燃焼ガスによって駆動するように構成される複数のタービンと、タービンシステムによって駆動するように構成される発電機とからなる。少なくともいくつかのタービンの排気ガスの一部分は再循環するとともに、少なくともいくつかの圧縮機内に導入される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】単一の軸を有する再熱タービンシステムの実施形態の略図である。
【図2】単一の軸を有する再熱タービンシステムの別の実施形態の略図である。
【図3】単一の軸を有する再熱タービンシステムの別の実施形態の略図である。
【図4】二軸構成を有する再熱タービンシステムの実施形態の略図である。
【図5】同心の二軸を有する再熱タービンシステムの別の実施形態の略図である。
【図6】同心軸構成を有する再熱タービンシステムの別の実施形態の略図である。
【図7】同心軸構成を有する再熱タービンシステムの実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、実施形態によるタービンシステム2は、軸36により圧縮機6に作用可能に接続される発電機4を含む。圧縮機6は、吸気8の量が一定に保たれるように、一定の回転速度で動作することができる。圧縮空気は、一次燃焼室、すなわち燃焼器10に供給され、そこで燃料12と混合する。燃料12の調整は、例えば石炭ガス化システムによって達成される。
【0009】
圧縮機6により一次燃焼器10に供給される空気の量は、燃料12を燃焼させるために必要な空気の量を上回る。一次燃焼器10からの、過剰空気を含む燃焼ガス14は、軸36により圧縮機に接続される高圧タービン16に供給される。高圧タービンの排気ガス18は、二次又は再熱燃焼器20に供給されるとともに、燃料22と混合する。二次燃焼器20からの燃焼ガス24は、高圧タービン16と圧縮機6と発電機4とに軸36により接続される低圧タービン26に供給される。発電機4と圧縮機6と高圧タービン16と低圧タービン26との接続は、これらの構成要素を同じ速度で作動させることを可能にする。
【0010】
低圧タービンの排気ガス28は、環境排気ガス30と再循環排気ガス32とに分割される。環境排気ガス30は、例えば任意の熱交換器(図示せず)を介して、環境へと排出される。
【0011】
再循環排気ガス32は、熱交換器34を介して供給され、冷却された圧縮前の再循環排気ガス33は、その後、吸気8とともに圧縮機6内に供給される。熱交換器34により再循環排気ガス32から取り除かれた熱を用いて、例えば、蒸気タービン装置を動作させて、システムを複合サイクルのシステムにすることができるようにしてもよい。
【0012】
図2を参照すると、タービンシステム2の別の実施形態では、再循環排気ガス32は、熱交換器34を介して送られ、冷却された圧縮前の再循環排気ガス33は、モータ38又はその他の装置によって駆動する圧縮機40に供給される。圧縮後の冷却された再循環排気ガス42は、圧縮機6から一次燃焼器10へと至る管路に供給される。圧縮された再循環排気ガス42は、このようにして、圧縮された吸気8と混合し、その結果として得られる圧縮された空気及びガス9は、一次燃焼器10に供給される。
【0013】
図3に示すように、タービンシステム2の別の実施形態によれば、部分的に冷却された圧縮前の再循環排気ガス47は、熱交換器34から、第2のモータ44によって作動する第2の圧縮機46へと供給される。圧縮後の部分的に冷却された再循環排気ガス48は、圧縮機46から、高圧タービン16から二次燃焼器20へと至る管路に供給されて、高圧タービンの排気ガス18と混合する。
【0014】
低圧タービンの排気ガス28の第2の部分35は、HRSG(排熱回収ボイラ)80へと送られてよい。HRSG80は、蒸気を発生させて蒸気タービン82を動作させ、システムを複合サイクル構成にすることができる。なお、本明細書に記載のいずれの実施形態も、HRSGと蒸気タービンとを具備させて、複合サイクル構成にすることができる。
【0015】
図4を参照すると、別の実施形態によるタービンシステム2であり、二軸50、52を含む。圧縮機6と高圧タービン16とは、第1の軸50によって接続され、低圧タービン26と発電機4とは、第2の軸52によって接続される。第1の軸50により、圧縮機6と高圧タービン16とが同じ速度で回転でき、第2の軸52により、低圧タービン26と発電機4とが同じ速度で回転できるようになる。
【0016】
図5を参照すると、熱交換器34が配設されて、低圧タービンの排気ガス28を直接受ける。低圧タービンの排気ガス28は、熱交換器34を通過した後に、環境へと排出される冷却された環境排気ガス31に分割され、冷却された圧縮前の再循環排気ガス33は、低圧圧縮機54内に導入される吸気8と組み合わされる。低圧圧縮機54は、圧縮された空気及びガスを一次燃焼器10に供給して燃料12と混合する高圧圧縮機56に接続される。
【0017】
低圧圧縮機54と低圧タービン26と発電機4とは、共通の軸58によって支持される。第2の軸60は、高圧圧縮機56と高圧タービン16とを接続して、高圧圧縮機56と高圧タービン16とが同じ速度で回転できるようになる。
【0018】
図6に示すように、タービンシステム2の別の実施形態によれば、低圧タービンの排気ガス28は、例えば任意の熱交換器(図示せず)を介して環境へと排出される環境排気ガス30と、熱交換器34を通過する圧縮前の冷却されていない再循環排気ガス62からなる第1の部分とに分割される。低圧タービンの排気ガス28はまた、再循環排気ガス圧縮機68によって圧縮される再循環排気ガス32に分割される。圧縮後の冷却されていない再循環排気ガス43も熱交換器34を通過し、圧縮後の冷却された再循環排気ガス42は、圧縮機6から一次燃焼器10へと至る管路に供給されて、圧縮された吸気9に加えられる。熱交換器34から出る冷却された圧縮前の再循環排気ガス63は、吸気8と組み合わされて、この組み合わされた空気及びガスは、その後、圧縮機6に供給される。
【0019】
圧縮機6と高圧タービン16と再循環排気ガス圧縮機68とは、第1の軸64により接続される。低圧タービン26と発電機4は第2の軸66によって接続され、第2の軸66により、低圧タービン26と発電機4とが同じ速度で回転できるようになる。
【0020】
図7を参照すると、中圧タービン70が、高圧タービン16と低圧タービン26との間に配設されている。圧縮後の冷却された再循環排気ガス42は、圧縮機6から一次燃焼器10へと至る管路に供給されて、圧縮された吸気9に加えられる。圧縮前の冷却されていない再循環排気ガス62の第2の部分は、熱交換器34を通過し、冷却された圧縮前の再循環排気ガス63の第2の部分は、圧縮機6に導入される吸気8に加えられる。圧縮後の部分的に冷却された再循環排気ガス48は、熱交換器34から、中圧タービン70と二次燃焼器20との間の管路に供給されて、中圧タービンの排気ガス72に加えられる。
【0021】
圧縮機6と高圧タービン16は、第1の軸74によって接続され、一次圧縮機が高圧タービン16によって動力駆動できるようになる。中圧タービン70と再循環排気ガス圧縮機68は、第2の軸76によって支持される。低圧タービン26と発電機4とは、これらの2個の構成要素を同じ速度で回転させる第3の軸78によって接続される。
【0022】
本発明を、現時点で最も実用的かつ好ましいと思料される実施形態に関して説明してきたが、本発明は開示の実施形態にとどまらず、様々な改変及び均等な構成も特許請求の範囲の技術的思想及び技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム(2)であって、当該タービンシステム(2)が、
気体(8)を圧縮するように構成される第1の圧縮機(6)と、
前記圧縮された気体(9)を燃料(12)と混合するとともに、該混合気を燃焼させる第1の燃焼器(10)と、
第1の燃焼器(10)の燃焼ガス(14)により駆動するように構成される第1のタービン(16)と、
第1のタービン(16)の排気ガス(18)を燃料(22)と混合するとともに、該混合気を燃焼させる第2の燃焼器(20)と、
第2の燃焼器(20)の燃焼ガス(24)により駆動するように構成される第2のタービン(26)と、
タービンシステム(2)により駆動するように構成される発電機(4)と
を備えており、第2のタービン(26)の排気ガス(28)の第1の部分(32)を再循環して第1の燃焼器(10)内において混合する、タービンシステム。
【請求項2】
第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)は、再循環して、第1の圧縮機(6)内に導入される、請求項1記載のタービンシステム。
【請求項3】
第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)を圧縮するように構成される第2の圧縮機(40)をさらに含み、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の前記圧縮された第1の部分(42)は、第1の圧縮機(6)からの圧縮空気(8)と混合した後に第1の燃焼器(10)に送られる、請求項1又は請求項2記載のタービンシステム。
【請求項4】
第2の圧縮機(40)は、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)が熱交換器(34)により冷却される前又は後に、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)を圧縮するように構成される、請求項3記載のタービンシステム。
【請求項5】
熱交換器(34)により部分的に冷却された、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第2の部分(47)を圧縮するように構成される第3の圧縮機(46)をさらに含み、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の前記圧縮された第2の部分(48)は、第1のタービン(16)の前記排気ガス(18)と混合した後に第2の燃焼器(20)に送られる、請求項3又は請求項4記載のタービンシステム。
【請求項6】
蒸気を発生するように構成される蒸気発生器(80)と、
前記蒸気発生器により発生する蒸気によって駆動するように構成される蒸気タービン(82)であって、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第2の部分(35)は、前記蒸気発生器(80)に送られて前記蒸気が発生する蒸気タービン(82)とをさらに含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のタービンシステム。
【請求項7】
タービンシステム(2)の運転方法であって、
第1の圧縮機(6)を用いて気体(8)を圧縮するステップと、
前記圧縮された気体(9)を燃料(12)と混合して、第1の混合気を形成させるとともに、第1の混合気を燃焼させるステップと、
第1の混合気の燃焼による燃焼ガス(14)を用いて第1のタービン(16)を駆動するステップと、
第1のタービン(16)の排気ガス(18)を燃料(22)と混合して、第2の混合気を形成させるとともに、第2の混合気を燃焼させるステップと、
第2の混合気の燃焼による燃焼ガス(24)を用いて第2のタービン(26)を駆動するステップと、
第2のタービン(26)の排気ガス(28)の第1の部分(32)を第1の混合気中に再循環させるステップと
を含む方法。
【請求項8】
第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)を冷却するステップと、
前記排気ガスの前記冷却された第1の部分(33)を第1の圧縮機(6)に導入するステップと、
前記排気ガスの前記冷却された第1の部分(33)を吸気(8)と組み合わせるステップとをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)を冷却する前又は後に、第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第1の部分(32)を圧縮するステップをさらに含む、請求項7又は請求項8記載の方法。
【請求項10】
第2のタービン(26)の前記排気ガス(28)の第2の部分(35)を蒸気発生器(80)に送って蒸気を発生するステップと、
前記蒸気発生器(80)からの前記蒸気を用いて蒸気タービン(82)を運転するステップとをさらに含む、請求項7乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−293618(P2009−293618A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132635(P2009−132635)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】