説明

排ガス処理装置及びボイラシステム

【課題】 排ガス以外の燃焼物も燃焼させることができるようにして燃焼物の処理の汎用性を増加させるとともに、処理ガスの分解効率の向上を図る。
【解決手段】 処理室3内にバーナ7から火炎を噴射して供給口4から供給された排ガスを熱分解し該熱分解させられた処理ガスを排出口8から排出する処理搭1を備え、処理搭2の処理室3の排出口8に連通し燃焼物を燃焼させることのできる燃焼室11と、燃焼室11内に燃焼物を投入する開閉可能な投入口20と、燃焼室11で生じた二次排ガスを排気する煙突24とを有した燃焼塔10を備え、更に、水が収容される水槽31及びこれに内装され燃焼室11からの二次排ガスが通される煙管を有しこの煙管を通る二次排ガスと水との間で熱交換を行なう熱交換部30を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未燃成分や悪臭などの有害悪臭成分を含む排ガスを熱分解させて無害化・無臭化処理する排ガス処理装置及びこの排ガス処理装置を用いたボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、家畜としての鶏を飼育する鶏舎においては、鶏舎内を一定の温度に保持するためにボイラシステムを備えている(例えば、特開2004−257681号公報参照)。このボイラシステムとしては、例えば、鶏舎で生成される鶏糞を利用するもので、鶏舎から排出される鶏糞を焼却炉で焼却するとともに、ボイラにより焼却炉で生じる燃焼熱により湯を生成するものがある(例えば、特開平8−285258号公報参照)。
ところで、このようなボイラシステムにおいては、鶏糞を焼却炉で焼却しているので、この焼却炉から排出される排ガスは、未燃成分や悪臭などの有害悪臭成分を含み、そのため、この排ガスを無害化・無臭化処理する排ガス処理装置を備えることを行なっている。
【0003】
従来、この種の排ガス処理装置としては、例えば、図9に示すように、処理室100内にバーナ101から火炎を噴射して供給口102から供給された排ガスを熱分解し、この熱分解させられた処理ガスを排出口(図示せず)から排出するものが知られている(例えば、特開2001−116236号公報掲載)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−257681号公報
【特許文献2】特開平8−285258号公報
【特許文献3】特開2001−116236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記鶏舎のボイラシステムにおいては、焼却炉が鶏糞用のものなので、例えば、鶏の死骸等の鶏糞以外の廃棄物が生じた場合に、これを焼却処理することができない。また、上記従来の排ガス処理装置を据付けても、排ガス処理装置の処理室100は排ガス専用なので、同様にこれらの廃棄物を焼却処理することができないという問題があった。
また、上記従来の排ガス処理装置にあっては、熱分解させられた処理ガスを排出口から排出するが、処理ガスの分解効率をより一層向上させることも望まれる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、排ガス以外の燃焼物も燃焼させることができるようにして燃焼物の処理の汎用性を増加させるとともに、処理ガスの分解効率の向上を図った排ガス処理装置およびボイラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため本発明の排ガス処理装置は、処理室内にバーナから火炎を噴射して供給口から供給された排ガスを熱分解し該熱分解させられた処理ガスを排出口から排出する処理搭を備えた排ガス処理装置において、上記処理搭の処理室の排出口に連通し燃焼物を燃焼させることのできる燃焼室と、該燃焼室内に燃焼物を投入する投入口と、上記燃焼室で生じた二次排ガスを排気する煙突とを有した燃焼塔を備えた構成としている。
【0008】
これにより、排ガスを処理するときは、処理室内に排ガスを供給し、バーナを点火して排ガスを燃焼させ、熱分解を行なう。燃焼が定常になれば、適宜にバーナを停止させ、排ガスのみの自燃により処理することもできるようになる。そして、処理された処理ガスは、排出口から燃焼搭の燃焼室に排出され、この燃焼室においても、二次燃焼させて、更に熱分解させることができるようになる。この燃焼室で生じた二次排ガスは、煙突から排気されていく。この場合、処理ガスは燃焼搭の燃焼室においても、二次燃焼させて、更に熱分解させることができるようになるので、処理ガスの熱分解効率が向上させられる。その結果、排ガスの無害化・無臭化処理が確実に行なわれる。
また、排ガス以外の燃焼物を燃焼させたい場合には、燃焼搭の投入口から燃焼室内に燃焼物を投入し、この燃焼室内において、上記の処理ガスとともに燃焼を行なわせる。そのため、排ガス以外の燃焼物の処理を同時に行なうことができるので、汎用性が増加させられる。
【0009】
そして、必要に応じ、上記燃焼塔を、耐火部材で構成され内部に燃焼室を形成する内壁と、該内壁を間隔を隔てて囲繞する外壁とを備えて構成し、上記内壁周囲に燃焼室に連通する複数の空気吹出口を設け、該内壁と外壁との間の空間を外部から空気が供給される空気室として構成している。これにより、外部からの空気は、一度空気室に入って停留するので、内壁の熱により加温させられることになり、そのため、燃焼室内には空気吹出口からある程度加温された空気が供給されることから、それだけ、燃焼効率が向上させられる。
【0010】
また、必要に応じ、上記燃焼搭の空気室から上記処理搭の処理室に開度調整されて空気を供給可能な空気供給管を設けた構成としている。排ガスを処理するときは、処理室内に排ガスが供給され、同時に、空気供給管から空気が供給され、排ガスが燃焼させられるが、空気供給管からの空気が燃焼用空気としてその供給量が調整されて供給されるので、最適な燃焼を行なわせることができる。この場合、空気は、燃焼搭の空気室に一度入って停留するので、内壁の熱により加温させられることになり、そのため、処理室内にはある程度加温された空気が供給されることから、外気をそのまま供給する場合に比較して、温度低下が防止され、それだけ、燃焼効率が向上させられ、処理ガスの熱分解効率が向上させられる。
【0011】
この場合、上記空気供給管の上記処理室側の出口を該処理室の排ガスの供給口に臨ませ、排ガスの供給により上記燃焼搭の空気室から上記処理搭の処理室に空気を吸引して供給可能にしたことが有効である。排ガスの供給により空気を吸引して供給するので、空気供給を自動的に行なわせることができる。
【0012】
また、必要に応じ、上記燃焼搭の空気室に空気を供給する送風機を備えた構成としている。強制的に空気を供給できるので、燃焼室内の燃焼を確実に行なわせることができる。
【0013】
そして、必要に応じ、上記内壁と外壁との間を仕切りを介して下側空気室と上側空気室とに区画し、上記下側空気室に上記送風機からの空気を送給する下側空気送給管を配管し、上記上側空気室に送風機からの空気を送給する上側空気送給管を配管し、上記下側空気送給管に開度調整されて該下側空気送給管の空気の送給量を可変にする下側ダンパを設け、上記上側空気送給管に開度調整されて該上側空気送給管の空気の送給量を可変にする上側ダンパを設けた構成としている。
【0014】
これにより、燃焼室においては、下側ダンパと上側ダンパとの開度調整により、上下で空気量の調整をすることができ、そのため、内部の燃焼具合に応じて、空気供給形態を種々に変えうるようにでき、安定した燃焼を行なうことができるとともに、燃焼が安定する分、バーナの依存度をできるだけ少なくすることができ、燃焼効率の向上を図ることができる。
【0015】
また、必要に応じ、上記燃焼室の温度を検知する燃焼センサと、上記燃焼センサの検知温度に基づいて上記バーナのオン,オフ制御を行なうバーナ制御手段を備えた制御部とを備えた構成としている。これにより、燃焼室の燃焼状態に応じて制御部による処理室の排ガスの燃焼制御が行われるので、より一層、安定した排ガスの燃焼を行なうことができる。
【0016】
更に、必要に応じ、上記処理搭に、上記制御部のバーナ制御手段で制御されるバーナを複数備えた構成としている。各バーナのオン,オフ調整により、バーナの火力の調整幅が広がり、調整の自由度が増す。
【0017】
そしてまた、必要に応じ、上記燃焼搭に、水が収容される水槽及び該水槽に内装され上記燃焼室から上記煙突に至る二次排ガスが通される煙管を有し該煙管を通る二次排ガスと水との間で熱交換を行なう熱交換部を備えた構成としている。これにより、二次排ガスの熱を利用して、湯を得ることができる。そのため、排ガスの処理室での燃焼熱を無駄なく利用することができるとともに、燃焼室での燃焼物の燃焼熱を無駄なく利用することができるようになる。
【0018】
この場合、上記燃焼室で生じた二次排ガスを吸引して上記煙突側に導く吸引ブロアを設けたことが有効である。二次排ガスを煙管内に確実に導いて熱交換を行なわせることができるとともに、二次排ガスの排気を確実に行なわせることができる。
【0019】
また、上記課題を解決するための本発明のボイラシステムは、家畜の糞を焼却する焼却炉を有し該焼却炉で生じる燃焼熱により湯を生成するボイラを備えたボイラシステムにおいて、上記に記載の排ガス処理装置により、上記ボイラの焼却炉からの排ガスを処理する構成としている。これにより、上記と同様の作用,効果が得られる。
【0020】
そしてまた、上記課題を解決するための本発明のボイラシステムは、家畜の糞を焼却する焼却炉を有し該焼却炉で生じる燃焼熱により湯を生成するボイラを備えるとともに、該ボイラの湯の熱源を用いて暖房を行なうボイラシステムにおいて、上記熱交換部を備えた排ガス処理装置により、上記ボイラの焼却炉からの排ガスを処理するとともに、上記ボイラの湯の熱源の他に上記排ガス処理装置の熱交換部で生成された湯の熱源も用いて暖房を行なう構成としている。これにより、上記と同様の作用,効果が得られる。また、ボイラの湯の熱源の他に排ガス処理装置の熱交換部で生成された湯の熱源も用いて暖房を行なうので、暖房における熱源の選択の自由度を増すことができ、できるだけ省力化を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、処理搭の処理室内で燃焼させられて熱分解された処理ガスを、燃焼搭の燃焼室においても、二次燃焼させて、更に熱分解させることができるので、処理ガスの熱分解効率を向上させることができ、その結果、排ガスの無害化・無臭化処理を確実に行なわせることができる。また、排ガス以外の燃焼物を燃焼させたい場合には、燃焼搭の投入口から燃焼室内に燃焼物を投入し、この燃焼室内において、上記の処理ガスとともに燃焼を行なわせることができる。そのため、排ガス以外の燃焼物の処理を同時に行なうことができるので、極めて便利になり、汎用性を増加させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置及びこれを用いたボイラシステムについて詳細に説明する。
先ず、本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置について説明する。図1乃至図6に示すように、この排ガス処理装置Hは、後述するボイラシステムS(図6)が有する鶏糞を焼却する焼却炉70からの排ガスを処理するものであり、その基本的構成は、処理搭1と燃焼搭10とを備えて構成されている。
【0023】
処理搭1は、耐火蓄熱材を断熱材で覆った円筒状の壁部2を有しており、軸線を水平にして脚部2aに支持されて設置されている。壁部2内は排ガスの処理室3として構成されている。壁部2の一端側には、排ガスの供給口4が形成されており、この供給口4には排ガス導入ダクト5が接続されており、後述のボイラシステムSの焼却炉70から排ガスが供給される。壁部2の一端は、開閉可能な端部壁6で閉止されており、この端部壁6に、処理室3内に火炎を噴射して供給口4から供給された排ガスを燃焼させて熱分解するバーナ7が設けられている。バーナ7は複数(実施の形態では2機)設けられており、火炎の噴射方向が円筒状の壁部2の軸線上の一点に指向するように設けられている。また、壁部2の他端は燃焼搭10の後述の燃焼室11に連通し熱分解させられた処理ガスを排出する排出口8として構成されている。図6において、9はバーナ7に燃料を供給する燃料供給経路である。
【0024】
燃焼搭10は、処理搭1に隣接して設けられており、耐火部材で構成され内部に処理搭1の処理室3の排出口8に連通し燃焼物を燃焼させることのできる燃焼室11を形成する有底の円筒状の内壁12と、内壁12を間隔を隔てて囲繞する直方体状の金属製の外壁13とを備えて構成されている。内壁12の周囲には、燃焼室11に連通する複数の空気吹出口14が行列状に設けられている。空気吹出口14は、図5(a)に示すように、燃焼室11に空気の旋回流を生じさせるように内壁12の直径方向に対して所定角度傾斜形成されている。また、内壁12と外壁13との間の空間は、外部から空気が供給される空気室15として構成されている。詳しくは、図5(b)に示すように、内壁12と外壁13との間は、その中間の仕切り16を介して下側空気室15Aと上側空気室15Bとに区画されている。
【0025】
更に、本装置には、燃焼室11に空気を供給する送風機17が設けられている。送風機17には送風機17からの空気を燃焼塔10の下側空気室15Aに送給する下側空気送給管18Aが配管されるとともに、上側空気室15Bに送給する上側空気送給管18Bが配管されている。下側空気送給管18Aには、開度調整されて下側空気送給管18Aの空気の送給量を可変にする手動の下側ダンパ19Aが設けられている。一方、上側空気送給管18Bには、開度調整されて上側空気送給管18Bの空気の送給量を可変にする手動の上側ダンパ19Bが設けられている。尚、空気室15には、送風機17が停止していても、外壁13の隙間から外気が流入できるようになっている。
【0026】
更にまた、燃焼塔10には、燃焼室11に燃焼物を投入することのできる開閉可能な投入口20が設けられている。21は投入口の開閉扉である。この開閉扉21は、耐火ガラスで覆われたのぞき窓22が設けられている。燃焼搭10の下側には、灰を取り除くための開閉可能な下部開口23が設けられている。また、燃焼搭10は、燃焼室11で生じた二次排ガスを排気する煙突24を備えている。
【0027】
また、燃焼搭10の燃焼室11の上には、熱交換部30が設けられている。熱交換部30は、水が収容される水槽31と、この水槽31に内装され燃焼室11から煙突24に至る二次排ガスが通される煙管32とを有し、この煙管32を通る二次排ガスと水との間で熱交換を行なうものである。また、煙管32の後流側には、燃焼室11で生じた二次排ガスを吸引して煙突24側に導く吸引ブロア33が設けられている。
詳しくは、水槽31には煙管32が複数本設けられており、これらの煙管32の一端は燃焼室11に開放し、他端は水槽31の上部に設けた室34に開放している。煙管32は行列状に所定間隔で設けられている。室34には、吸引ブロア33の吸引口33aが接続され、吸引ブロア33の排出口33bは煙突24に接続されている。また、水槽31には、新たな水を給水する給水口(図示せず)が設けられており、給水口からの給水により、常時、水位が一定に保持されている。
【0028】
熱交換部30の水槽31内で生成された湯は、図2,図4及び図7に示すように、水槽31に設けた出口31a及び入口31bに接続された循環パイプ35内をポンプ39により循環させられる。循環パイプ35の経路の途中には、熱交換器36が設けられており、熱交換器36は、他のパイプ37を流れる水に熱を伝達する。後述のボイラシステムにおいては、熱交換器36の他のパイプ37を流れる湯は、畜舎の加温用に供される。
【0029】
また、本装置においては、図2及び図4に示すように、燃焼搭10の空気室15から処理搭1の処理室3に空気をその供給量を調整可能に供給可能な空気供給管40が設けられている。空気供給管40の燃焼室11側の入口41は、下側空気室15A及び上側空気室15Bに開口している。空気供給管40の処理室3側の出口42は、処理室3の排ガスの供給口4に臨み、排ガスの供給により燃焼搭10の空気室15から処理搭1の処理室3に空気を吸引して供給可能にしてある。供給量調整は、空気供給管40の途中に設けた手動の開閉バルブ43により行なわれる。
【0030】
次に、本実施の形態に係る排ガス処理装置Hの制御系について説明する。図1に示すように、燃焼塔10の燃焼室11には、燃焼室11内の温度を検知する熱電対型の燃焼センサ51が設けられている。熱交換部30の水槽31には水槽31内の水の温度を検知する水温センサ52(図7)が設けられている。そして、処理搭1の処理室3の燃焼は、制御部50により制御される。
制御部50は、燃焼センサ51の検知温度に基づいて複数のバーナ7のオン,オフ制御を行なうバーナ制御手段を備えている。制御部50のバーナ制御手段は、例えば、燃焼センサ51が検知した温度が予め設定した設定温度未満のときバーナ7をオンにし、燃焼センサが検知した温度が予め設定した設定温度以上のときバーナ7をオフにする機能を備えて構成されている。
53は制御部50が設けられた制御盤53であり、バーナ7,送風機17を始動及び停止させるスイッチ等が備えられている。また、制御盤53には、燃焼室11,水槽31,処理室3の温度を目視できる温度計が設けられている。
【0031】
従って、本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置Hによれば、以下のように作用をする。送風機17は、作動させても、停止させておいても良く、適宜に選択できる。そして、ボイラシステムSが有する鶏糞を焼却する焼却炉70から、処理搭1の処理室3内に排ガスが供給されると、バーナ7を点火する。また、処理室3には空気供給管40を介して燃焼搭10の空気室15から空気が供給される。この場合、空気供給管40の処理室3側の出口42が処理室3の排ガスの供給口4に臨み、排ガスの供給により燃焼搭10の空気室15から処理搭1の処理室3に空気が吸引して供給されるので、空気供給が自動的に行なわれる。これにより、処理室3内では排ガスが燃焼させられ、熱分解が行なわれる。そして、処理された処理ガスは、排出口8から燃焼搭10の燃焼室11に排出される。この燃焼室11においても、内壁12の空気吹出口14から空気が流入するので、処理ガスは、二次燃焼させられ、更に熱分解させられる。この燃焼室11で生じた二次排ガスは、煙突24から排気されていく。この場合、処理ガスは燃焼搭10の燃焼室11においても、二次燃焼させて、更に熱分解させることができるようになるので、処理ガスの熱分解効率が向上させられる。その結果、排ガスの無害化・無臭化処理が確実に行なわれる。
【0032】
この場合、燃焼室11においては、送風機17が作動する場合には、下側ダンパ19Aと上側ダンパ19Bとの開度調整により、上下で空気量の調整をすることができ、そのため、処理ガスの燃焼具合に応じて、空気供給形態を種々に変えうるようにでき、安定した燃焼を行なうことができるとともに、燃焼が安定する分、バーナ7の依存度をできるだけ少なくすることができ、燃焼効率の向上を図ることができる。また、燃焼室11においては、外部からの空気は、一度空気室15に入って停留するので、内壁12の熱により加温させられることになり、そのため、燃焼室11内には空気吹出口14からある程度加温された空気が供給されることから、それだけ、燃焼効率が向上させられる。
また、処理室3においては、空気供給管40からの空気が燃焼用空気としてその供給量が調整されて供給されるので、最適な燃焼を行なわせることができる。この場合、空気は、燃焼搭10の空気室15に一度入って停留するので、内壁12の熱により加温させられることになり、そのため、処理室3内にはある程度加温された空気が供給されることから、外気をそのまま供給する場合に比較して、温度低下が防止され、それだけ、燃焼効率が向上させられ、処理ガスの熱分解効率が向上させられる。
【0033】
制御部50は、燃焼センサ51により燃焼室11の温度を検知しており、この燃焼センサ51の検知温度に基づいてバーナ7のオン,オフ制御を行なう。これにより、燃焼室11の燃焼状態に応じて制御部50による処理室3の排ガスの燃焼制御が行われるので、より一層、安定した排ガスの燃焼を行なうことができる。この場合、制御部50のバーナ制御手段で制御されるバーナ7が複数備えられているので、各バーナ7のオン,オフ調整により、バーナ7の火力の調整幅が広がり、調整の自由度が増す。制御部50は、排ガスの燃焼が定常になれば、バーナ7を停止させ、排ガスのみの自燃により処理することもできるようになる。
【0034】
この状態において、排ガス以外の燃焼物、例えば、鶏の死骸等の廃棄物を燃焼させたい場合には、燃焼搭10の投入口20から燃焼室11内に燃焼物を投入し、この燃焼室11内において、処理ガスとともに燃焼を行なわせる。この際は、送風機17を作動させることが望ましい。これにより、排ガス以外の燃焼物の処理を同時に行なうことができるので、汎用性が増加させられる。この場合も、燃焼室11においては、下側ダンパ19Aと上側ダンパ19Bとの開度調整により、上下で空気量の調整をすることができ、そのため、内部の燃焼具合に応じて、空気供給形態を種々に変えうるようにでき、安定した燃焼を行なうことができるとともに、燃焼が安定する分、バーナ7の依存度をできるだけ少なくすることができ、燃焼効率の向上を図ることができる。また、燃焼室11においては、外部からの空気は、一度空気室15に入って停留するので、内壁12の熱により加温させられることになり、そのため、燃焼室11内には空気吹出口14からある程度加温された空気が供給されることから、それだけ、燃焼効率が向上させられる。
【0035】
そして、燃焼室11で生じた二次排ガスは、吸引ブロア33により吸引されて煙突24から排気されていく。この過程において、熱交換部30においては、煙管32を二次排ガスが通るので、煙管32を通る二次排ガスと水との間で熱交換が行なわれ、湯が生成される。このため、二次排ガスの熱を利用して、湯を得ることができ、排ガスの処理室3での燃焼熱を無駄なく利用することができるとともに、燃焼室11での燃焼物の燃焼熱を無駄なく利用することができるようになる。吸引ブロア33により二次排ガスを吸引して煙突24側に導くので、二次排ガスを煙管32内に確実に導いて熱交換を行なわせることができるとともに、二次排ガスの排気を確実に行なわせることができる。
【0036】
次に、本発明の実施の形態に係るボイラシステムについて説明する。図6に示すように、このボイラシステムSは、例えば、家畜としての鶏を飼育する鶏舎において、鶏舎内を一定の温度に保持するためのものであり、家畜としての鶏の鶏糞を焼却する焼却炉70を有し、この焼却炉70で生じる燃焼熱により湯を生成するボイラ71を備え、このボイラ71の湯の熱源を用いて暖房を行なう。このボイラシステムSでは、上記の排ガス処理装置Hにより、ボイラの焼却炉70からの排ガスを処理するとともに、ボイラ71の湯の熱源の他に、排ガス処理装置Hの熱交換部30で生成された湯の熱源も用いて暖房を行なう。
【0037】
図6に示すように、72は複数の鶏舎に夫々湯を供給するヘッダであり、送給用ヘッダ72Aと、戻り用ヘッダ72Bとを備える。ボイラ71の熱交換器(図示せず)の送給側パイプ71aは送給用ヘッダ72Aに接続され、戻り用パイプ71bは戻り用ヘッダ72Bに接続されている。74はバックアップ用の2つのボイラであり、同様に、熱交換器(図示せず)を介して湯を畜舎に供給する。各バックアップ用のボイラ74において、熱交換器の送給側パイプ74aは送給用ヘッダ72Aに接続され、戻り用パイプ74bは戻り用ヘッダ72Bに接続されている。そして、図7に示すように、上記の排ガス処理装置Hに設けた熱交換器36の他のパイプ37も、その送給側パイプ37aは送給用ヘッダ72Aに接続され、戻り用パイプ37bは戻り用ヘッダ72Bに接続されている。図7に示すように、排ガス処理装置Hに設けた熱交換器36において、送給側パイプ37aには、水量を制御する電動の水量制御弁75が介装されているとともに、異常温度を検知する異常温度検知センサ76,水量を検知する水量センサ77が設けられている。
【0038】
このボイラシステムSの制御は、上記の制御部50により行なわれる。そして、制御部50は、水温センサ52の検知温度,異常温度検知センサ76の検知温度,水量センサ77の検知水量に基づいて、熱交換器36に接続された送給側パイプ37aの水量制御弁75を制御する。その制御は、図8に示すように、水温センサ52の検知温度が所定温度(実施の形態では、60℃)を維持するように、水量制御弁の開度を調整して水量制御を行なう。また、異常温度(例えば65℃)を超えるとき、あるいは、所定温度に満たないときは、水量制御弁75を閉じる。水量制御弁75を閉じたときは、ポンプ39を停止し、バックアップ用のボイラ74を駆動するようにしている。
【0039】
従って、この実施の形態に係るボイラシステムSによれば、焼却炉70において鶏糞を焼却し、ボイラ71により焼却炉70で生じる燃焼熱により湯を生成して熱交換器(図示せず)を介して湯を畜舎に供給する。また、排ガス処理装置Hを作動させて、これに設けた上記の熱交換器36により湯を図示外のポンプを作動させて畜舎に供給する。
制御部50においては、図8に示すように、水温センサ52の検知温度が所定温度(実施の形態では、60℃)を維持するように、水量制御弁75の開度を調整して水量制御を行なう。このため、ボイラ71の湯の熱源の他に排ガス処理装置Hの熱交換部30で生成された湯の熱源も用いて暖房を行なうので、暖房における熱源の選択の自由度を増すことができ、それだけ省力化が図られる。即ち、普段は、バックアップ用のボイラ74を駆動しなくても、排ガス処理装置Hで生じた熱源により、システムを稼動できるので、それだけ省力化が図られるのである。
図8に示すように、もし、異常温度(例えば65℃)を超えるとき、あるいは、所定温度に満たないときは、水量制御弁75を閉じ、図示外のポンプを停止する。水量制御弁75を閉じたときは、バックアップ用のボイラ74を駆動するようにしている。
【0040】
尚、上記実施の形態に係る排ガス処理装置Hにおいては、鶏糞の焼却炉70での焼却による排ガスを処理したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、どのような排ガスを処理するものであっても良い。また、上記実施の形態において燃焼できる燃焼物は、鶏の死骸に限定されるものではなく、木材,紙,段ボールやウエス等発熱エネルギー(発熱カロリー)の比較的低い燃焼物、あるいは、プラスチック,ゴム,タイヤ等発熱エネルギー(発熱カロリー)の比較的高い燃焼物等、どのような燃焼物でも良く、適宜選択してよい。本装置においては、焼却する燃焼物に応じて、上側ダンパ19B及び下側ダンパ19Aの開閉具合を調整することにより、広範囲に対応が可能になる。尚また、実施の形態に係る排ガス処理装置Hは、上記のボイラシステムSに限らず、種々のシステムに用いてよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置を示す背面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置の燃焼搭を示す要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置が用いられた本発明の実施の形態に係るボイラシステムを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るボイラシステムにおいて本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置との配管関係を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るボイラシステムの制御を示す図である。
【図9】従来の排ガス処理装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
H 排ガス処理装置
S ボイラシステム
1 処理搭
2 壁部
3 処理室
4 供給口
5 排ガス導入ダクト
7 バーナ
8 排出口
10 燃焼搭
11 燃焼室
12 内壁
13 外壁
14 空気吹出口
15 空気室
15A 下側空気室
15B 上側空気室
16 仕切り
17 送風機
18A 下側空気送給管
18B 上側空気送給管
19A 下側ダンパ
19B 上側ダンパ
20 投入口
21 開閉扉
24 煙突
30 熱交換部
31 水槽
32 煙管
33 吸引ブロア
34 室
35 循環パイプ
36 熱交換器
40 空気供給管
41 入口
42 出口
43 開閉バルブ
50 制御部
51 燃焼センサ
52 水温センサ
53 制御盤
70 焼却炉
71 ボイラ
72 ヘッダ
72A 送給用ヘッダ
72B 戻り用ヘッダ
75 水量制御弁
76 異常温度検知センサ
77 水量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内にバーナから火炎を噴射して供給口から供給された排ガスを熱分解し該熱分解させられた処理ガスを排出口から排出する処理搭を備えた排ガス処理装置において、
上記処理搭の処理室の排出口に連通し燃焼物を燃焼させることのできる燃焼室と、該燃焼室内に燃焼物を投入する投入口と、上記燃焼室で生じた二次排ガスを排気する煙突とを有した燃焼塔を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
上記燃焼塔を、耐火部材で構成され内部に燃焼室を形成する内壁と、該内壁を間隔を隔てて囲繞する外壁とを備えて構成し、上記内壁周囲に燃焼室に連通する複数の空気吹出口を設け、該内壁と外壁との間の空間を外部から空気が供給される空気室として構成したことを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
上記燃焼搭の空気室から上記処理搭の処理室に空気をその供給量を調整可能に供給可能な空気供給管を設けたことを特徴とする請求項2記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
上記空気供給管の上記処理室側の出口を該処理室の排ガスの供給口に臨ませ、排ガスの供給により上記燃焼搭の空気室から上記処理搭の処理室に空気を吸引して供給可能にしたことを特徴とする請求項3記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
上記燃焼搭の空気室に空気を供給する送風機を備えたことを特徴とする請求項2乃至4何れかに記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
上記内壁と外壁との間を仕切りを介して下側空気室と上側空気室とに区画し、上記下側空気室に上記送風機からの空気を送給する下側空気送給管を配管し、上記上側空気室に送風機からの空気を送給する上側空気送給管を配管し、上記下側空気送給管に開度調整されて該下側空気送給管の空気の送給量を可変にする下側ダンパを設け、上記上側空気送給管に開度調整されて該上側空気送給管の空気の送給量を可変にする上側ダンパを設けたことを特徴とする請求項5記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
上記燃焼室の温度を検知する燃焼センサと、上記燃焼センサの検知温度に基づいて上記バーナのオン,オフ制御を行なうバーナ制御手段を備えた制御部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
上記処理搭に、上記制御部のバーナ制御手段で制御されるバーナを複数備えたことを特徴とする請求項7記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
上記燃焼搭に、水が収容される水槽及び該水槽に内装され上記燃焼室から上記煙突に至る二次排ガスが通される煙管を有し該煙管を通る二次排ガスと水との間で熱交換を行なう熱交換部を備えたことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
上記煙管の後流側に設けられ上記燃焼室で生じた二次排ガスを吸引して上記煙突側に導く吸引ブロアを設けたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
家畜の糞を焼却する焼却炉を有し該焼却炉で生じる燃焼熱により湯を生成するボイラを備えたボイラシステムにおいて、
上記請求項1乃至10何れかに記載の排ガス処理装置により、上記ボイラの焼却炉からの排ガスを処理することを特徴とするボイラシステム。
【請求項12】
家畜の糞を焼却する焼却炉を有し該焼却炉で生じる燃焼熱により湯を生成するボイラを備えるとともに、該ボイラの湯の熱源を用いて暖房を行なうボイラシステムにおいて、
上記請求項9または10記載の排ガス処理装置により、上記ボイラの焼却炉からの排ガスを処理するとともに、上記ボイラの湯の熱源の他に上記排ガス処理装置の熱交換部で生成された湯の熱源も用いて暖房を行なうことを特徴とするボイラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−52845(P2009−52845A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221324(P2007−221324)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(505231730)
【出願人】(507290168)株式会社 オヤマ (1)
【Fターム(参考)】