説明

排ガス浄化方法及び排ガス浄化装置

【課題】比較的低温の温度域から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化する。
【解決手段】内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒を備える排ガス浄化装置を用いて排ガス中の粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化方法であって、前記酸化触媒が、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備えるものであり、且つ、前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して(ステップ5,6)前記粒子状物質を酸化すること、を特徴とする排ガス浄化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化方法及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排ガスには、燃焼により生じた煤及びその他の炭素粒子状物質等を含む粒子状物質(PM)が含まれている。このような粒子状物質は動植物に悪影響を及ぼす大気汚染物質として知られている。そのため、排出される粒子状物質を低減させるために様々な排ガス浄化装置や排ガス浄化方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、特開平6−159037号公報(特許文献1)においては、流入排気の空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入排気の酸素濃度が低下したときに吸収したNOxを放出するNOx吸収剤をディーゼルエンジンの排気通路に配置して排気中のNOxを吸収させ、その後前記NOx吸収剤に還元剤を供給して吸収したNOxを前記NOx吸収剤から放出させるとともに放出されたNOxを還元浄化する排気浄化装置において、前記NOx吸収剤と排気中の微粒子を捕集するパティキュレートフィルタとを相互に熱伝達可能な位置に配置し、前記NOx吸収剤に還元剤を供給して前記NOxの放出と還元浄化を行った後に前記パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートを燃焼させるようにした排ガス浄化装置と、その排ガス浄化装置を用いた排ガス浄化方法が開示されている。また、特開2006−177346号公報(特許文献2)においては、内燃機関から排出される粒子状物質を捕集可能な基材と、前記基材に含まれ又は前記基材上に存在する、酸性化合物を吸着する酸性化合物吸着手段と、前記酸性化合物吸着手段に吸着した酸性化合物を脱離させる酸性化合物脱離手段とからなり、前記酸性化合物吸着手段がCeとAgを含む組成物である排ガス浄化装置、並びに、前記排ガス浄化装置を用いて、排ガスの空燃比がリーンとなる条件で粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化方法が開示されている。しかしながら、特許文献1〜2に記載のような従来の排ガス浄化装置及びその装置を用いた排ガス浄化方法においては、排ガスの温度が400℃以下程度の低温域にある場合に粒子状物質を必ずしも十分に浄化することができなかった。
【特許文献1】特開平6−159037号公報
【特許文献2】特開2006−177346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、比較的低温の温度域から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することが可能な排ガス浄化方法及び十分に高度な粒子状物質浄化活性を有し、前記排ガス浄化方法に好適に用いることが可能な排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備える酸化触媒を用い、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化することにより、比較的低温の温度域(例えば400℃以下程度)から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の排ガス浄化方法は、内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒を備える排ガス浄化装置を用いて排ガス中の粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化方法であって、
前記酸化触媒が、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備えるものであり、且つ、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化すること、
を特徴とする方法である。
【0007】
上記本発明の排ガス浄化方法においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施することにより前記粒子状物質を酸化することが好ましい。
【0008】
また、上記本発明の排ガス浄化方法においては、前記金属粒子担体がAgの粒子であることが好ましい。
【0009】
また、上記本発明の排ガス浄化方法においては、前記第二の金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物であり且つLa、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種を添加金属として含有していることが好ましい。
【0010】
さらに、上記本発明の排ガス浄化方法においては、前記酸化触媒が、平均細孔径が1〜300μmの細孔を有する基材と、該基材に形成された前記凝集体のコート層とを備えることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明の排ガス浄化方法においては、前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間が、前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間の5〜100倍の時間であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の排ガス浄化装置は、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化装置であって、
Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備え且つ前記排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒と、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記制御手段が、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施するように制御する制御手段であることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記金属粒子担体がAgの粒子であることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記第二の金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物であり且つLa、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種を添加金属として含有していることが好ましい。
【0016】
さらに、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記酸化触媒が、平均細孔径が1〜300μmの細孔を有する基材と、該基材に形成された前記凝集体のコート層とを備えることが好ましい。
【0017】
なお、本発明の排ガス浄化方法によって比較的低温の温度域から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。先ず、本発明に用いられる酸化触媒においては、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属からなる前記金属粒子担体を備えている。このような第一の金属は、解離吸着する酸素の割合を適度に調整することが可能なものであるため分子状で吸着する酸素活性種(例えばO、O2−等)を十分に生成することが可能なものである。また、前記酸化触媒においては、価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる微粒子が、前記金属粒子担体の周囲を覆うように配置された凝集体を備える。このような価数変動が可能な第二の金属の酸化物は、その表面及び内部(格子酸素)において酸素活性種を移動させることが可能なものであるとともに、酸素活性種を十分に貯蔵することが可能なものである。また、このような凝集体中の金属酸化物微粒子は、平均一次粒径が1〜100nmのものであるため、前記凝集体には酸素活性種との接触点となる金属−金属酸化物界面が十分に存在する。そのため、このような第二の金属の酸化物からなる金属酸化物微粒子を備える凝集体によれば、酸素活性種が効率よく生成される。
【0018】
また、このような酸化触媒においては、以下に示す酸化過程(第1〜3のステップ)を経て粒子状物質が酸化されるものと推察される。すなわち、先ず、第一の金属からなる金属粒子担体上に気相中の酸素が吸着され、例えばO、O2−等の酸素活性種が生成される(第1ステップ)。次に、前記酸素活性種は前記金属粒子担体から第二の金属からなる金属酸化物微粒子へ移動し、前記金属酸化物微粒子上に貯蔵される(第2ステップ)。次いで、粒子状物質(PM)と前記金属酸化物微粒子との接触面を介して、酸素活性種が前記金属酸化物微粒子からPMへ移動し、PMが酸化される(第3ステップ)。
【0019】
また、本発明においては、前記酸化触媒を備える排ガス浄化装置を用いて粒子状物質の酸化する際に、前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施する。このようにして前記酸化触媒に対してリーン雰囲気の排ガスを接触させた後に酸素濃度が低下されたリッチ雰囲気の排ガスを接触させることによって、前記金属粒子担体の酸素活性種の吸着力を一時的に低下させ、前記金属酸化物微粒子への移動を促進させてPMを効率よく酸化することを可能とする。すなわち、前記酸化触媒中の前記金属粒子担体は排ガスの空燃比がリーン雰囲気となる条件下では酸素活性種を強く吸着する傾向にある。そのため、空燃比がリーン雰囲気となる条件下では、酸素活性種が前記金属粒子担体上で生成されても前記金属酸化物微粒子へ移動し難くなり、前記金属酸化物微粒子上で酸素活性種が不足すると同時に連続的な酸素活性種の生成が阻害される傾向にある。そのため、本発明においては、上記各工程を順に実施することで、先ず、リーン雰囲気下において気相中の酸素を前記金属粒子担体に吸着させて十分に酸化活性種を生成させ、次いで、排ガスの雰囲気をリッチ雰囲気として前記金属粒子担体に吸着されている酸化活性種を効率よく金属酸化物微粒子へ移動させる。これにより前記金属酸化物微粒子上に酸化活性種が多く存在する状態が形成されるため、酸化触媒の近傍に存在するPMを効率よく酸化することが可能となるものと推察される。また、上記各工程を交互に複数回実施した場合には、前記金属粒子担体上において酸素活性種が連続的に生成されるようになるため、より高いPM酸化性能が得られる傾向にある。また、前述の粒子状物質の酸化過程(第1〜3ステップ)においては、第2ステップが律速段階であると考えられる。本発明においては、上記各工程を順に実施することで前記第2ステップを効率よく進行させることが可能である。そのため、本発明によれば、酸素活性種が十分に生成されるとともに酸素活性種の活性点への移動が促進され、排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することができるものと本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較的低温の温度域から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することが可能な排ガス浄化方法及び十分に高度な粒子状物質浄化活性を有し、前記排ガス浄化方法に好適に用いることが可能な排ガス浄化装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0022】
先ず、本発明の排ガス浄化装置について説明する。本発明の排ガス浄化装置は、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化装置であって、
Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備え且つ前記排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒と、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0023】
このような酸化触媒中の金属粒子担体を構成する第一の金属は、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種である。このような第一の金属を用いることで、含酸素物質から酸素を遊離させ酸素活性種を効率良く生成することが可能となる。また、このような第一の金属としては、前記金属粒子担体と前記金属酸化物微粒子との界面に効率的に電子を供給することができ、酸素活性種をより効率よく生成できるという観点から電気伝導度がより高い金属を用いることが好ましく、このような観点からAgを含有しているものがより好ましく、Agが特に好ましい。なお、前記第一の金属は、前述の金属を単独で用いたものであってもよいが、二種以上の金属からなる合金であってもよい。また、前記第一の金属がAgを含有しているものである場合、Agの含有率が0.3質量%以上であることが好ましい。
【0024】
このような金属粒子担体は、第一の金属からなる粒子状の担体であればよく特に制限されないが、第一の金属の電子状態がメタルとしての性質(例えば酸化物になっていないこと)を維持できるようにその大きさがある程度大きいものが好ましい。また、イオン化傾向が小さい金属ほど、金属が小さくてもメタルとしての性質を維持しやすい傾向にある。このように第一の金属がメタルとしての性質を維持することにより、酸素活性種をより効率的に生成することが可能となる傾向にある。
【0025】
また、前記第一の金属からなる金属粒子担体としては、メタルとしての性質を維持するという観点から、その平均一次粒径が7nm以上であることが好ましく、更にコスト低減の観点から7〜1000nmであることがより好ましい。なお、このような金属粒子担体の平均粒子径は、X線回折装置を用いて測定することができる。
【0026】
さらに、第一の金属からなる前記金属粒子担体の平均一次粒径としては特に限定されないが、大気中500℃で5時間焼成した後の平均粒径が10〜100nm(より好ましくは10〜50nm)であることが好ましく、また、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後の平均粒径が10〜400nm(より好ましくは10〜80nm)であることが好ましい。第一の金属からなる粒子状の担体の平均粒径が上記下限未満では生成された酸素活性種の金属酸化物微粒子への受け渡しが阻害される傾向にあり、他方、上記上限を超えると金属粒子担体が前記金属酸化物微粒子によって覆われにくくなる傾向にある。
【0027】
また、前記酸化触媒中の金属酸化物微粒子を構成する第二の金属としては、前記酸素活性種を移動及び/又は貯蔵することが可能なもの(酸素活性種移動材)であることが好ましく、このような観点から価数変動可能な金属が用いられる。このような酸素活性種移動材は、例えば、その材料自身の価数変化等を通じて酸素活性種を移動することのできる材料であり、このような材料を用いることによって前記酸素遊離材から酸素活性種を受け取ると、酸素活性種は酸素活性種移動材を移動して粒子状物質に到達させることが可能となる。このような酸素活性種が移動する経路は、酸素活性種移動材のバルク内部を通る必要はなく、例えば、酸素活性種移動材の表面を移動できればよい。また、粒子状物質を酸化する場合においては、酸素活性種の酸化力が強過ぎると、粒子状物質と酸素活性種移動材との間の接触部分が優先的に酸化され、両者の間の接触状態が失われ、空隙が生じるため、粒子状物質を完全に酸化することが困難となることから、酸素活性種は適度の酸化力(粒子状物質と酸素活性種が直ちに反応せず、酸素活性種が粒子状物質上を移動できる程度)を有することが好ましい。
【0028】
このような第二の金属の酸化物としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Zr、Fe、Ti、Al、Mg、Co、Ni、Mn、Cr、Mo、W及びVの酸化物、これらの固溶体、並びにこれらの複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、CeO、Fe、ZrO、Y、TiO、Al、MgO、Co、Pr、Nd、これらの固溶体、及びこれらの複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましく、中でもCeO又はCeを含む複合酸化物が特に好ましい。また、第二の金属の酸化物においては、酸素活性種を移動させるためにある程度の欠陥を有するものが好ましい。
【0029】
さらに、第二の金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物である場合には、酸素活性種の移動度を高めると共にCeO粒子又はCeを含む複合酸化物粒子の粗大化をより確実に防止するという観点から、第二の金属の酸化物がLa、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種(特に好ましくはLa及び/又はNd)を添加金属として更に含有していることがより好ましい。このようなCeO又はCeを含む複合酸化物が前記添加成分を含有する場合においては、複合酸化物中のCeと添加成分の合計量(金属モル数換算)に対する添加成分の含有量が1〜30mol%であることが好ましく、5〜20mol%であることがより好ましい。
【0030】
また、このような第二の金属の酸化物からなる金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、1〜100nm(より好ましくは1〜50nm)である。このような金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1nm未満では、微粒子の空隙を含酸素物質が通過し難くなり、金属粒子担体における活性酸素種の生成が阻害される。他方、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nmを超えると、微粒子の空隙を粒子状物質が通過し易くなり、金属酸化物微粒子と粒子状物質との接触性が低下し、活性酸素種の粒子状物質への供給が阻害される。なお、このような金属酸化物微粒子の平均粒子径は、X線回折装置を用いて測定することができる。
【0031】
また、第二の金属の酸化物からなる金属酸化物微粒子は、大気中500℃で5時間焼成した後の平均粒径が10〜100nm(より好ましくは10〜50nm)であることが好ましく、また、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後の平均粒径が10〜400nm(より好ましくは10〜80nm)であることが好ましい。前記金属酸化物微粒子の上記平均粒径が上記下限未満ではスート等の粒子状物質との接触が阻害される傾向にあり、他方、上記上限を超えると微粒子の空隙を粒子状物質が通過し易くなり、金属酸化物微粒子と粒子状物質の接触性が低下し、活性酸素種の粒子状物質への供給が阻害される傾向にある。
【0032】
また、前記凝集体は、核となる前記金属粒子担体の周囲が上記金属酸化物微粒子により覆われてなるものである。なお、本発明においては、金属粒子担体及び金属酸化物微粒子そのものは一次粒子であり、前者が後者により覆われてなる二次粒子を「凝集体(又は一次凝集体)」、さらにそのような凝集体が集合してなる三次粒子を「集合体(又は高次凝集体)」と称する。
【0033】
このような凝集体においては、金属粒子担体と金属酸化物微粒子との比率は特に限定されないが、前記金属粒子担体を構成する主たる金属と金属酸化物微粒子を構成する主たる金属との比率(モル比)が10:90〜80:20であることが好ましく、30:70〜60:40であることがより好ましく、35:65〜60:40であることが特に好ましい。前記金属粒子担体の量が上記下限より少ないと、気相から遊離される酸素活性種の量が低下して粒子状物質を酸化する能力が低下する傾向にあり、他方、前記金属酸化物微粒子の量が上記下限より少ないと、粒子状物質に移動できる酸素活性種の量が低下して粒子状物質を酸化する能力が低下する傾向にある。また、上記の比率が35:65〜60:40である場合には、前記金属粒子担体の周囲を金属酸化物微粒子が覆い易く、且つ、それらの凝集体を形成しない両成分の割合が低下し、より高度な粒子状物質の酸化性能が得られる傾向にある。
【0034】
このような凝集体の平均粒径は特に制限されないが、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.07〜0.2μmであることがより好ましい。前記平均粒径が上記下限未満では含酸素物質と金属粒子担体との接触が阻害される傾向にあり、他方、上記上限を超えると金属酸化物微粒子と粒子状物質との接触が阻害される傾向にある。
【0035】
また、このような凝集体は均一性が高いことが好ましく、全凝集体のうちの60容量%以上のものが前記平均粒径±50%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。前記凝集体の均一性が前記条件を満たす場合には、粒子状物質を酸化する能力がより向上すると共に、DPF等の担体により均一に担持させることが可能となる傾向にある。このような凝集体の分散性は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、MT3300EX)を用いて粒度分布を測定することにより測定することができる。
【0036】
また、このような凝集体においては、大気中500℃で5時間焼成した後、並びに、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後のいずれにおいても、前記金属粒子担体の平均粒径が前記金属酸化物微粒子の平均粒径の1.3倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましい。このような条件を満たさないと、金属粒子担体の周囲が十分に金属酸化物微粒子により覆われず、粒子状物質を酸化する能力が低下する傾向にある。
【0037】
さらに、前記凝集体においては、前記金属酸化物微粒子からなる層が、微粒子の空隙をO等の含酸素物質が通過して金属粒子担体に到達可能な構造であることが必要である。このような構造になっているか否かは、電子顕微鏡により確認できるほか、前記金属粒子単体に対する露出金属量測定(O及びHによる酸化還元滴定)によっても確認可能である。
【0038】
また、前記凝集体の平均細孔径としては特に制限されないが、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.07〜0.2μmであることがより好ましい。このような凝集体の平均細孔径が前記下限未満では、粒子状物質との三次元的な接触点が減少して十分な接触性が達成されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えても粒子状物質との三次元的な接触点が減少して十分な接触性が達成されなくなる傾向にある。
【0039】
さらに、前記凝集体の細孔の平均容量としては特に制限されないが、0.05〜1.0cc/gであることが好ましく、0.1〜0.5cc/gであることがより好ましい。このような凝集体の細孔の平均容量が前記下限未満では、粒子状物質との接触点が減少して十分な接触性が達成されなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子状物質がすり抜け易くなるため十分な接触性が達成されなくなる傾向にある。このような凝集体の平均細孔径及び細孔の平均容量は水銀ポロシメータにより測定することができる。
【0040】
また、このような凝集体においては、前記金属酸化物微粒子の表面に担持されている第三の金属からなる金属超微粒子を更に備えていてもよい。このような第三の金属の金属超微粒子が存在すると、価数変動可能な金属と酸素活性種と金属超微粒子との間での電荷のやり取りにより、さらに効率よく酸素活性種が生成され、さらに被酸化物への酸素活性種の供給が容易になる傾向にある。
【0041】
このような第三の金属としては、水素(H)のイオン化傾向より小さいイオン化傾向を有するもの(例えば、Au,Pt,Pd,Rh,Ru,Ag,Hg,Cu,Bi,Sb,Ir,Os)が好ましく、Agのイオン化傾向以下のイオン化傾向を有するもの(貴金属:例えば、Au,Ag,Cu,Pt,Pd,Rh,Ru,Ir,Os)がより好ましく、前記第一の金属と同一のものであることが特に好ましい。また、このような第三の金属の金属超微粒子は、1〜1000個の原子からなるものであることがより好ましい。
【0042】
このような金属超微粒子としては、FE−TEM観察によっても粒子として観察できないものが好ましく、Agの場合には孤立して存在し、価数変動可能な金属との間で電荷をやり取りしてAg2+として検出されるものが例示される。
【0043】
また、前記酸化触媒においては、HC、CO及びNOの酸化との両立を目的として、通常の含浸法等により前記凝集体にPt、Rh、Pd等の貴金属を更に担持していてもよい。
【0044】
また、このような酸化触媒は前記凝集体を備えるものであればよく、その形態は特に制限されず、前記凝集体を基材に担持したハニカム形状のモノリス触媒や、ペレット形状のペレット触媒の形態等としてもよい。ここで用いられる基材も特に制限されず、例えば、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ハニカム状基材、ペレット状基材、プレート状基材、発泡状セラミック基材等が挙げられる。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コージエライト、炭化ケイ素、ムライト、チタン酸アルミニウム等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。
【0045】
また、このような酸化触媒としては、平均細孔径が1〜300μmの細孔を有する基材と、該基材に形成された前記凝集体のコート層とを備えるものが好ましい。このような平均細孔径を有する基材を用いることで、より効率よく粒子状物質を酸化して浄化することが可能となる。また、このような凝集体のコート層を基材上に備える場合には、前記コート層の厚みは0.025〜25μmであることが好ましく、0.035〜10μmであることがより好ましい。前記コート層の厚みが前記下限未満では、凝集体が基材の表面を十分に被覆できず、凝集体と接触できない粒子状物質が多くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子状物質の酸化に関与しない凝集体が多くなるとともに、凝集体により基材の細孔が閉塞され、排ガスの圧力損失が増大してエンジン効率が低下する傾向にある。
【0046】
また、このような酸化触媒が、前記凝集体を基材に担持した形態のものである場合には、前記基材に付与する前記凝集体の量は特に制限されず、対象とする内燃機関等に応じてその量を適宜調整することができるが、基材体積1リットルに対して前記凝集体の量が10〜300g程度となる量が好ましい。
【0047】
また、このような基材は、気孔率が30〜70%(より好ましくは40〜65%)であるものが好ましい。ここにいう「気孔率」とは、基材内部の空洞部分の体積率をいう。また、このような気孔率が前記下限未満では、排ガス中の粒子状物質により細孔が閉塞し易くなるとともに前記酸化触媒のコート層を形成しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、排ガス中の粒子状物質を捕集しにくくなるとともに基材の強度が低下する傾向にある。
【0048】
また、前記凝集体を製造する方法としては特に制限されないが、以下に示すような方法を好適に採用することができる。すなわち、前記凝集体を製造する好適な方法としては、第一の金属塩と第二の金属塩とを含有する溶液から、第一の金属塩に由来する金属粒子が第二の金属塩に由来する金属化合物微粒子により覆われている凝集体前駆体を生成せしめる工程と、
得られた凝集体前駆体を焼成することによって、核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を得る工程と、
を含む方法が挙げられる。
【0049】
前記第一の金属塩は、前記第一の金属の塩であればよく特に制限されず、例えば、上記第一の金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等の水溶性の塩が挙げられ、中でも硝酸塩(例えば、硝酸銀)が好適に用いられる。また、第二の金属塩は、前記第二の金属の塩であればよく特に制限されず、例えば、上記第二の金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等の水溶性の塩が挙げられ、中でも硝酸塩(例えば、硝酸セリウム)が好適に用いられる。
【0050】
さらに、第一の金属塩と第二の金属塩とを含有する溶液を調製するための溶媒としては、特に制限されず、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の単独又は混合系溶媒)等の各種溶媒が挙げられ、水が特に好ましい。
【0051】
なお、第一の金属塩と第二の金属塩との配合量(仕込み量)は、得られる第一の金属粒子と金属酸化物微粒子との比率と完全には一致する必要はなく、得ようとする凝集体中の第一の金属粒子と金属酸化物微粒子との組み合わせや比率の好適条件に応じて第一の金属塩と第二の金属塩との組み合わせや配合量の条件が適宜設定される。また、第二の金属塩に対して第一の金属塩が過剰に存在するようにすると、溶液中に生成する金属酸化物微粒子を全て凝集体の一部とさせ易くなる傾向にあり、凝集体以外の成分が溶液中に生成しないので好ましい。
【0052】
また、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、pH調整剤の存在下で前記第二の金属化合物微粒子を生成せしめ、前記第二の金属化合物微粒子の還元作用によって前記第一の金属粒子を析出させることによって前記凝集体前駆体を生成せしめることが好ましい。酸化還元反応が起きるための要件は用いる第一の金属と第二の金属との電位で説明することができるが、電位はpH依存性がある。一般的に、pHが大きくなるほど電位は低下する。したがって、このような凝集体の製造方法においては、適宜pH調整剤を添加して酸化還元反応を制御することが好ましい。また、pH調整剤を添加することによって、活性化エネルギーも変化することから、酸化還元反応を最適条件にすることが可能である。このようなpH調製剤としては、NaOH、KOH、NH、HNO、HSOが例示されるが、一般的な酸やアルカリを用いれば足りる。
【0053】
なお、例えば、第一の金属がAgの場合には、酸性側では電位が高いため、反応が早く進行し過ぎるため、粗大なAgが析出し易くなる傾向があることから、塩基の存在下でアルカリ性とすることが好ましい。その際、pH調整剤としてNaOHを用いると沈殿が生じてしまうことから、アンモニアでアルカリ性とすることが好ましい。この場合には、アンモニアは後述する錯化剤としても機能している。また、このような塩基の濃度は特に限定されないが、塩基としてアンモニアを用いる場合には一般的には1〜50%程度のアンモニア濃度を有する溶液を用いることが好ましい。さらに、この場合における第二の金属化合物微粒子は、第二の金属の水酸化物であると考えられる。
【0054】
また、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、錯化剤の存在下で前記第一の金属塩に由来する第一の金属化合物を生成せしめ、前記第二の金属化合物微粒子の還元作用によって前記第一の金属化合物を還元して前記第一の金属粒子を析出させることがより好ましい。
【0055】
酸化還元反応を最適な条件にするためには、上記のようにpH調整剤を添加することが好ましいが、その場合、特に金属塩はpHによっては沈殿物を生じることがある。そこで、錯化剤を用いない場合に沈殿物が生成する条件であっても、錯化剤を添加することにより、金属塩の状態とすることができる。このようにすることにより、電位や活性化エネルギーも変化するため、適宜条件を合わせることが可能となる。例えば、CeO−Ag系の場合には、Agを[Ag(NHとすることが好ましい。このような錯化剤としては、アンモニア、有機酸(グリコール酸、クエン酸、酒石酸等)のアルカリ塩、チオグリコール酸、ヒドラジン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、グリシン、ピリジン、シアン化物が例示される。
【0056】
さらに、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、温度調整することが好ましい。反応溶液の温度条件は、酸化還元反応を支配する重要な因子である。溶媒が液体として機能している範囲で溶液の温度を適宜調整することが好ましい。例えば、CeO−Ag系の場合には、30℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。後述する実施例のように、1〜3気圧、100〜150℃程度の条件とすると確実に反応を起こすことができる傾向にあり、また反応時間を短縮できることから生成効率の観点からも好ましい。
【0057】
なお、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、上記の金属塩溶液にpH調整剤含有溶液(例えば塩基性溶液)を添加・混合するいわゆる「沈殿法」であっても、pH調整剤含有溶液(例えば塩基性溶液)に上記の金属塩溶液を添加・混合するいわゆる「逆沈殿法」であってもよい。この場合において、第一の金属塩、第二の金属塩の順、又はその逆の順序で逐次添加・混合してもよい。また、反応時間は特に限定されないが、好ましくは0.1〜24時間程度、より好ましくは0.1〜3時間程度かけて凝集させることが好ましい。また、錯化剤を用いる場合には、予め錯化剤により金属塩としてから上記操作を行ってもよい。
【0058】
また、このような前記凝集体前駆体を生成せしめる工程における反応溶液中の固形分濃度は特に制限されないが、1質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。固形分濃度が前記下限未満では、凝集処理の促進効果が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると第一の金属粒子を核とした凝集体を得ることが困難となる傾向にある。
【0059】
このように凝集処理を行うことで、前述のように第一の金属粒子が第二の金属化合物微粒子により覆われている凝集体前駆体が効率良く且つ確実に得られるようになる。
【0060】
さらに、このような凝集体前駆体の平均粒径は特に制限されないが、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.07〜0.2μmであることがより好ましい。また、かかる凝集体前駆体の均一性が高いことが好ましく、全凝集体前駆体のうちの60容量%以上のものが前記平均粒径±50%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。凝集体前駆体の均一性がこのように高いと、得られる本発明の複合材料の均一性が高くなり、DPF等の担体により均一に担持させることが可能となる傾向にある。
【0061】
そして、このような凝集処理によって得られた凝集体前駆体を、必要に応じて洗浄した後に、焼成することによって、前述の凝集体を得ることができる。かかる焼成の際の条件は特に限定されないが、一般的には酸化雰囲気(例えば、空気)中において300〜600℃で1〜5時間程度かけて焼成することが好ましい。
【0062】
このような凝集体を基材上に配置する方法は特に限定されず、例えば、以下に説明する第一の凝集体分散液又は第二の凝集体分散液を基材に接触させた後に焼成する方法が好適に挙げられる。
【0063】
第一の凝集体分散液は、前記凝集体と、分散媒とを含有するものである。このような第一の凝集体分散液は、バインダーを更に含有していることが好ましい。ここで用いるバインダーとしては特に制限されず、例えばセリアゾル等が好適に用いられる。また、凝集体とバインダーとの混合比率も特に制限されず、凝集体とバインダーとの混合比率が重量比で99:1〜80:20程度であることが好ましい。例えば、バインダーを用いた場合であっても超音波処理により容易に分散性の高い分散液(スラリー)を得ることができる。
【0064】
また、第二の凝集体分散液は、上記凝集体の製造方法の過程で得られた凝集体前駆体と、分散媒とを含有するものである。このような第二の凝集体分散液においては、上述の凝集体の製造過程で得られた凝集体前駆体を含有する溶液から、系中の残存イオンを50〜99.9%分離して得られた凝集体前駆体を含有していることが好ましい。凝集する段階でもある程度の分散性はあるが、塩や錯化剤に起因する残存イオンを除去することにより非常に分散性の高い分散液を得ることができるようになる。
【0065】
ここで、前記第一及び第二の凝集体分散液を基材に接触させる方法は特に制限されないが、例えばDPF等のフィルタ基材の細孔内に入り込ませる際には超音波をかけながら接触させることが好ましい。また、この場合の焼成条件は、前述の焼成条件と同様の条件が好ましい。なお、第二の凝集体分散液を用いた方法によれば、粒子状物質を酸化できる成分が凝集体自身であるゆえ、それ自身がバインダーの役割を果たし、より効果的な酸化触媒を提供できる傾向にある。
【0066】
また、本発明の排ガス浄化装置は、前記酸化触媒が内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路内に配置されており且つ、前記酸化触媒とともに、前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施するように制御する制御手段を備えたものである。
【0067】
このような制御手段としては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施するように制御できるものを用いることが好ましい。更に、このような制御手段としては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間が、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間の5〜100倍(より好ましくは7〜50倍)の時間となるようにすることが可能なものを用いることが好ましい。
【0068】
このような制御手段においては、前記排ガス中の燃料と酸素との比(空燃比)を実施する工程に応じてリッチ雰囲気又はリーン雰囲気にして排ガスを酸化触媒に接触させるように制御する。このような制御手段により空燃比を特定の雰囲気にした排ガスを酸化触媒に接触させる方法としては特に制限されないが、例えば、エンジン回転数、アクセル開度、スロットル開度、トルク、吸気流量、燃料噴射量等のデータと排ガスの空燃比との関係のマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて内燃機関の運転状況を変化させることにより、排ガスの空燃比を特定の雰囲気にして、その排ガスを特定の時間、酸化触媒に接触させるようにする方法等を採用してもよい。なお、ここにいう「リッチ雰囲気」とは、排ガス中の燃料と酸素の当量比(燃料/酸素)が1を超えるような雰囲気(より好ましくは前記当量比が1.05〜1.5となる雰囲気)であることが好ましい。
【0069】
さらに、このような制御手段においては、粒子状物質の堆積による圧力損失を効率よく防止するという観点から、粒子状物質の堆積量が所定の値以上となっていると判断される場合に、前記各工程を順に実施するように制御することが可能なものを用いることが好ましい。前記制御手段による粒子状物質の堆積量を算出する方法としては、例えば、内燃機関の運転状況及び排ガス浄化装置の使用履歴等と粒子状物質の堆積量とに関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて粒子状物質の堆積量を算出する方法、前記酸化触媒を排ガス管等に配置した場合には前記酸化触媒を配置した位置の前後の位置の排ガスの圧力差と粒子状物質の堆積量とに関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて圧力差を測定して粒子状物質の堆積量を算出する方法、圧力差を吸入空気量で補正することにより粒子状物質堆積量を算出する方法、及び、それらの方法をすべて採用する方法等を適宜採用してもよい。また、本発明の排ガス浄化装置においては粒子状物質の堆積量を算出に必要な各種センサーを適宜用いてもよい。
【0070】
また、このような制御手段においては、酸化触媒の種類やその温度等によって前記各工程の最適な実施時間や複数回実施する際の最適な回数(繰り返し回数)等が異なるため、酸化触媒の温度に応じて各工程の実施時間や繰り返し回数等を変更して前記各工程を実施するように制御することが好ましい。なお、このような実施時間や繰り返し回数を求める方法は特に制限されないが、酸化触媒の温度と前記各工程を実施する時間や実施する回数の変化による粒子状物質の浄化効率の変化との関係のマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて求める方法等を採用してもよい。
【0071】
また、このような制御手段としては、前述のような制御を可能とするものであればよく、特に制限されず、例えば、内燃機関に接続されたエンジンコントロールユニット(ECU)を利用することが挙げられる。このようなECUは、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なROM、RAM等の周辺装置を組み合わせたコンピュータとして構成されたものである。また、本発明の排ガス浄化装置においては、前記制御手段による前記制御を可能とするために、触媒の温度、酸化触媒に接触する前後の排ガスの圧力差、車速、エンジンの回転数、トルク等を検出するための手段を更に備えていてもよく、このような検出手段としては公知のものを適宜用いることができる。また、前記内燃機関としては特に制限されず、公知の内燃機関を適宜用いることができ、例えば、自動車のエンジン(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)であってもよい。
【0072】
以上、本発明の排ガス浄化装置について説明したが、以下、本発明の排ガス浄化方法について説明する。
【0073】
本発明の排ガス浄化方法は、内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒を備える排ガス浄化装置を用いて排ガス中の粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化方法であって、
前記酸化触媒が、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備えるものであり、且つ、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化すること、
を特徴とする方法である。
【0074】
本発明の排ガス浄化方法に用いられる酸化触媒は、前記本発明の排ガス浄化装置において説明したものと同様なものである。また、本発明の排ガス浄化方法に用いられる排ガス浄化装置は、前記酸化触媒を備えるものであればよく特に制限されないが、前記各工程を実施するために、前記本発明の排ガス浄化装置において説明した制御手段を備えていることが好ましい。従って、本発明の排ガス浄化方法に用いられる排ガス浄化装置としては、上記本発明の排ガス浄化装置が好ましい。
【0075】
また、本発明においては、前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化する。これらの工程を順に実施することで、先ず、リーン雰囲気下において気相中の酸素を前記金属粒子担体に吸着させて十分に酸化活性種を生成させ、次いで、排ガスの雰囲気をリッチ雰囲気として前記金属粒子担体に吸着されている酸化活性種を効率よく金属酸化物微粒子へ移動させることが可能となるため、前記粒子状物質を酸化するために必要な酸化活性種が前記金属酸化物微粒子上に多く存在する状態が形成されるため、粒子状物質を効率よく酸化することが可能となる。
【0076】
また、本発明の排ガス浄化方法においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施することにより前記粒子状物質を酸化することが好ましい。このように前記各工程を複数回実施することにより、前記酸化触媒中の金属粒子担体上において酸素活性種を連続的に生成させることが可能となるため、より高い粒子状物質に対する酸化性能が得られる傾向にある。
【0077】
また、本発明の排ガス浄化方法においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間が、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間の5〜100倍(より好ましくは7〜50倍)の時間となるようにして前記各工程を実施することが好ましい。このような時間の比率(倍率)が前記下限未満では、酸素活性種を十分に生成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素活性種を前記金属粒子担体から前記金属酸化物粒子へ移動させることが困難となる傾向にある。なお、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間は、酸化触媒の設計や内燃機関の種類等によっても異なるものであるため一概には言えないが、1〜10秒程度であることが好ましい。
【0078】
また、本発明の排ガス浄化方法においては、前記酸化触媒の温度が350℃を越えている場合に前記各工程を実施し、前記温度未満の場合には触媒の温度を昇温する処理を実施することが好ましい。このような酸化触媒の温度が前記下限未満では、粒子状物質を十分に酸化させることが困難となる傾向にある。このような昇温処理としては特に制限されないが、制御手段(例えばECU)を用いて内燃機関の運転条件を変更することにより排ガス温度を昇温させて酸化触媒の温度を上昇させる方法等を採用してもよい。
【0079】
さらに、本発明の排ガス浄化方法においては、粒子状物質の堆積による圧力損失を効率よく防止するという観点から、粒子状物質の予想堆積量が所定の値以上となっていると判断される場合に、前記各工程を実施することが好ましい。
【0080】
また、このような排ガス浄化方法においては、酸化触媒の種類やその温度等によって前記各工程の最適な実施時間や前記各工程を交互に複数回実施する際の最適な回数(繰り返し回数)等が異なる。そのため、酸化触媒の温度に応じて各工程の最適な実施時間や繰り返し回数等を適宜変更することが好ましい。
【0081】
以下、図面を参照しながら、上記本発明の排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法の好適な一実施形態について説明する。
【0082】
図1は、内燃機関に接続された本発明の排ガス浄化装置の好適な一実施形態を示す概略縦断面図である。本実施形態は、基本的には、内燃機関10と、内燃機関に接続された排ガス管11と、排ガス管内のガス流路内に配置された酸化触媒12と、内燃機関と接続された制御手段13とを備える。また、本実施形態においては、前記排ガス管11内に、酸化触媒12の温度を測定することが可能な温度センサー14と、酸化触媒12に接触する前後の排ガスの圧力を測定することが可能な圧力センサー15とがそれぞれ配置されている。また、このような温度センサー14及び圧力センサー15はそれぞれ制御手段13に接続され、制御手段13に測定データを入力することが可能な構成となっている。
【0083】
本実施形態においては、酸化触媒12として、DPFフィルター基材に前記凝集体のコート層が積層されたものを用いている。また、制御手段13としてエンジンコントロールユニット(ECU)を利用している。また、このような制御手段13においては、内燃機関10のエンジン回転数、アクセル開度、スロットル開度、トルク、吸気流量、燃料噴射量等のデータと排ガスの空燃比との関係のマップに基づいて、酸化触媒に接触させる排ガスの空燃比の雰囲気を、内燃機関10への燃料の添加量やエンジン回転数、トルク等を変更させることで制御する。また、このような制御手段13においては、内燃機関の運転状況(回転数やトルク等)の履歴と粒子状物質の堆積量とに関するマップ(予め作成されたもの)に基づいて粒子状物質の堆積量を算出する。さらに、温度センサー14及び圧力センサー15としては市販の機器を用いた。なお、図1中の矢印Aはガス流を概念的に表したものである。
【0084】
次に、このような装置に用いて排ガスを浄化する際の制御の好適な例を、フローチャートを参照しながら説明する。図2は、このような制御の好適な一実施形態を示すフローチャートである。すなわち、先ず、ステップ1では、制御手段13において粒子状物質の予想堆積量Mを算出し、その粒子状物質の堆積量が基準値M1を超えているか否かを判断する。そして、粒子状物質の堆積量Mが基準値M1を超えていればステップ2へ進み、粒子状物質の堆積量Mが基準値M1以下であればスタートに戻る。また、ステップ2では、制御手段13において温度センサー14から入力されたデータに基づいて酸化触媒12の温度Tを算出し、酸化触媒12の温度Tが基準温度T1を超えているか否かを判断する。そして、酸化触媒12の温度Tが基準温度T1を超えていればステップ3へ進み、酸化触媒12の温度Tが基準温度T1以下であれば、ステップ4に進む。このようなステップ4では、酸化触媒12の昇温操作が行われ、その後、スタートに戻る。なお、ステップ4で実施される昇温操作としては、内燃機関の運転状況を変化させて排ガス温度を上昇させる方法を採用している。また、ステップ3では、制御手段13において酸化触媒12の温度Tが基準温度T2を超えているか否かを判断する。そして、酸化触媒12の温度が基準温度T2を超えている場合にはステップ5へ進み、酸化触媒12の温度が基準温度T2以下であればステップ6へ進む。ステップ5では、酸化触媒12に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスをt1時間接触させる工程(リーン運転)と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスをt2時間接触させる工程(リッチ運転)とを交互に繰り返し実施する運転をn回実施し、排ガス中の粒子状物質を酸化してステップ7に進む。一方、ステップ6では、酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスをt3時間接触させる工程(リーン運転)と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスをt4時間接触させる工程(リッチ運転)とを交互に繰り返し実施する運転をm回実施し、排ガス中の粒子状物質を酸化してステップ7に進む。なお、このようなステップ5及びステップ6において特定の雰囲気(リーン又はリッチ)の排ガスを接触させる各工程においては、制御手段13により内燃機関の運転状況を適宜変更することで排ガスの雰囲気の変更及び維持を達成している。また、ステップ7では、制御手段13において圧力センサー15から入力されたデータに基づいて酸化触媒12に接触する前後の排ガスの圧力の差P(差圧P)がP1未満であるか否かを判断する。そして、差圧PがP1未満である場合には、ステップ8に進み、差圧PがP1以上である場合にはスタートに戻る。また、ステップ8では、制御手段13において算出される粒子状物質の予想堆積量Mが0となるようにリセットし、その後、スタートに戻る。
【0085】
なお、前記ステップ5及び6におけるt1〜t4、n、mの値は、酸化触媒の温度TがT1<T≦T2の場合又はT2<Tの場合に各工程を実施するための最適な時間と各工程を交互に実施する際の最適な回数を粒子状物質の浄化効率の観点から予め求めて決定した値である。本実施形態においては、前記温度T1は400℃に設定し、前記温度T2は600℃に設定している。このような温度T1やT2は用いる酸化触媒の種類等の排ガス浄化装置の設計に応じて適宜その設定を変更することができる。
【0086】
以上、本発明の排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法の好適な一実施形態について説明したが、本発明の排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図1〜2に示す実施形態においては制御手段13により予め作成されたマップに基づいて粒子状物質の堆積量を算出しているが、粒子状物質の堆積量の算出方法は特に制限されず、前述の粒子状物質の堆積量を算出する方法を適宜採用してもよく、例えば、圧力センサー15から入力されたデータに基づいて算出される圧力差(差圧)が所定値を超えるか否かにより粒子状物質の堆積量を算出してもよい。
【0087】
また、図1〜2に示す実施形態においては、酸化触媒12として、DPFフィルター基材に前記凝集体のコート層が積層されたものを用いているが、本発明においては、酸化触媒は前記凝集体を備えるものであればよく特にその形態は制限されない。更に、図1〜2に示す実施形態においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回(n回又はm回)連続で実施することにより前記粒子状物質を酸化しているが、本発明においては、前記各工程を順に実施していればよく、上記のように繰り返して実施しなくてもよい。なお、粒子状物質の浄化効率の観点からは、前記各工程を複数回実施することが好ましい。
【0088】
また、図1〜2に示す実施形態においては、上記制御の際に、酸化触媒の温度TがT1<T≦T2の場合又はT2<Tの場合で処理方法(実施する工程の時間や繰り返しの回数)を変更しているが、本発明においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とが順に実施されていればよく、酸化触媒の温度によって処理方法を特に変更しなくてもよい。すなわち、本発明においては、例えば、制御装置13により前記ステップ1において基準値M1を超えていると判断される場合に直接前記ステップ5に進ませるように制御してもよく、制御装置13により前記ステップ2において酸化触媒12の温度が基準温度T1を超えていると判断される場合に直接前記ステップ5に進ませるように制御してもよい。
【0089】
また、図1〜2に示す実施形態においては、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とにおいて、内燃機関10の運転状況を変更させることで酸化触媒に接触させる排ガスの空燃比の雰囲気を制御しているが、本発明においては、酸化触媒に接触させる排ガスの空燃比の雰囲気を制御する方法は特に制限されず、例えば、内燃機関10と排ガス管11との間の領域において排ガス中の酸素濃度を測定できる空燃比センサーや、燃料供給手段(例えばスプレー式の燃料添加装置)又は空気ポンプ等を排ガス管11に接続し、これらを用いて排ガスの空燃比を測定して空燃比の状態を判断しながら、その空燃比の状態に応じて酸化触媒12に接触する排ガス中に燃料又は空気を導入させるようにして酸化触媒に接触させる排ガスの空燃比の雰囲気を制御する方法等を採用してもよい。
【実施例】
【0090】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
<酸化触媒の調製>
以下のようにして凝集体(La添加CeO−Ag)のコート層を備えたDPFからなる酸化触媒を得た。すなわち、先ず、50.46gのCe(NO・6HOと、5.59gのLa(NOと、29.62gのAgNOとを120mLの水で溶解せしめた硝酸塩溶液([仕込み量の比(モル比)]Ce:Ag:La=90:135:10,Ce:Ag=40:60,Ce:La=90:10)を調製した。次に、25質量%のアンモニア水38.21gを水100gに希釈したアンモニア水を調製した。その後、上記アンモニア水に対して撹拌しながら前記硝酸塩溶液を投入し(逆沈殿)、10分間撹拌を継続した後、水の存在下、閉鎖系において2気圧の条件下にて120℃に加熱して2時間の凝集処理を行い、凝集体前駆体(La添加CeO−Ag前駆体)を調製した。
【0092】
次に、得られた凝集体前駆体を、テストピースサイズ(35ml)のDPF(コージェライト製、気孔率65%、平均細孔径30μm)に以下のコート方法で被覆せしめた。すなわち、先ず、上述のような逆沈殿、凝集処理後の沈殿(凝集体前駆体)を遠心分離により回収した後、回収された凝集体に対して水を加えることによって15質量%濃度のスラリーを調製した。なお、このようなスラリーの粒度分布を測定したところ、平均粒子径が0.1μmの凝集体が安定に分散していたことから、DPFへの被覆が容易であることが確認された。次いで、前記スラリーをDPFの細孔内に入り込むように接触させた状態で吸引した後に大気中500℃で1時間の焼成を施すコート工程を、前記DPFの容量1Lあたりの凝集体の担持量(被覆量)が75g/Lとなるまで繰り返し、凝集体(La添加CeO−Ag)のコート層を備えたDPFからなる酸化触媒を得た。なお、このようなコート方法を採用するメリットは、焼成時に沈殿自身が焼結してバインダーの役割を果たすため、DPF上にスート酸化に有効な成分のみからなる被覆(コート層)を形成することができる点にある。
【0093】
<排ガス浄化装置の製造>
制御手段が接続されたガス供給装置(模擬内燃機関)に接続されている排ガス管のガス流路中に前記酸化触媒を配置して排ガス浄化装置を製造した。なお、このような制御手段は、前記模擬内燃機関の運転を制御して、酸化触媒に対して下記表1に示す組成のガスA(空燃比がリーン雰囲気にある排ガスに相当するガス)とガスB(空燃比がリッチ雰囲気にある排ガスに相当するガス)を交互に30L/分の流量でガスAの供給時間が60秒、ガスBの供給時間が6秒となるようにして供給するように制御することが可能なものである。
【0094】
【表1】

【0095】
[実施例1で得られた凝集体の特性の評価]
〈TEM観察〉
実施例1で得られた凝集体(La添加CeO−Ag)を透過電子顕微鏡(TEM)により観察した。このようなTEM観察の結果から、かかる凝集体(La添加CeO−Ag)はAg粒子の周囲にCeO(La)粒子が覆うようにして担持された形態のものであることが確認された。
【0096】
〈SEM観察〉
実施例1で得られた凝集体(La添加CeO−Ag)の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。このようなSEM観察の結果から、約100nmオーダーで観察される凝集体はCeO粒子及びAg粒子が一次凝集したものであり、その凝集体は更に二次凝集して集合体(高次凝集体)を形成していることが確認された。
【0097】
〈Ag含有率の測定〉
実施例1で得られた凝集体(La添加CeO−Ag)中のAgの含有率をICP発光分析法により分析した。このような分析の結果、Agの含有率は、凝集体中の前金属(Ce+Ag+La)に対するAgの含有量が47.82mol%であり、凝集体中のCe及びAgの合計量(Ce+Ag)に対するAgの含有量が49.96mol%であった。
【0098】
〈CeO粒子及びAg粒子の平均粒子径の測定〉
実施例1で得られた凝集体(La添加CeO−Ag)のCeOの平均一次粒径及びAgの平均一次粒径をXRDにより測定した。このような測定の結果、CeO粒子径は11.7nm、Ag粒子径は28.0nmであった。
【0099】
〈凝集体の粒度分布の測定〉
実施例1で得られた凝集体(La添加CeO−Ag)について、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(日機装社製、MT3300EX)を用いて粒度分布を測定した。このような測定の結果、得られた凝集体の平均粒径は約0.1μmであり、0.1μm±50%以内である0.05〜0.15μmに約80容量%の粒子が入ることが確認された。
【0100】
(比較例1)
制御手段を変更した以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化装置を製造した。このような排ガス浄化装置中の制御手段としては、上記表1中のガスAのみが30L/分の流量で供給されるように制御するものとした。
【0101】
(比較例2)
<比較のための酸化触媒の調製>
先ず、実施例1で用いたDPFと同様のDPFを準備した。次に、市販のCeOゾル(多木化学社製の商品名「ニードラールU−15」)を前記DPFの細孔内に入り込むように接触させた状態で吸引した後に大気中500℃で1時間の焼成を施す工程を、前記DPFの容量1LあたりのCeOの担持量(被覆量)が64g/Lとなるまで繰り返し、DPFにCeOが担持されたCeO担持担体を得た。次に、前記CeO担持担体をAgNO水溶液に含浸させて500℃で3時間焼成することにより、前記DPFの容量1LあたりのAgの担持量が11g/Lとなるようにして前記CeO担持担体にAgを担持し、比較のための酸化触媒(A)を得た。
【0102】
<比較のための排ガス浄化装置の製造>
酸化触媒を前述のようにして得られた比較のための酸化触媒(A)とした以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化装置を製造した。
【0103】
(比較例3)
酸化触媒を比較例2で得られた比較のための酸化触媒(A)とした以外は、比較例1と同様にして比較のための排ガス浄化装置を製造した。
【0104】
(比較例4)
<比較のための酸化触媒の調製>
先ず、実施例1で用いたDPFと同様のDPFを準備した。次に、通常のコーティング装置を用いて、γ-アルミナ粉末(比表面積220m/g)、チタニアジルコニア固溶体粉末(比表面積100m/g)およびセリア粉末(比表面積120m/g)を含有し、粘度を100cps以下に調整したスラリーを前記DPFにコートし、前記DPFにγ−アルミナ70g、チタニアジルコニア固溶体70g及びセリア12gを担持した担体を得た。次に、前記担体をPt(NO(NH水溶液に含浸させ、300℃で3時間焼成することにより、前記DPFの容量1LあたりのPt担持量が1.5g/Lとなるようにして前記担体にPtを担持し、Pt担持担体を得た。次いで、前記Pt担持担体を酢酸リチウム、酢酸バリウム及び酢酸カリウムの混合水溶液に含浸させ、300℃で3時間焼成することにより、前記DPFの容量1LあたりのLi、Ba及びKの担持量がそれぞれ0.3mol/L、0.05mol/L及び0.025mol/Lとなるようにして前記Pt担持担体にLi、BaおよびKを担持し、比較のための酸化触媒(B)を得た。
【0105】
<排ガス浄化装置の製造>
酸化触媒を前述のようにして得られた比較のための酸化触媒(B)とした以外は、実施例1と同様にして比較のための排ガス浄化装置を製造した。
【0106】
(比較例5)
酸化触媒を比較例4で得られた比較のための酸化触媒(B)とした以外は、比較例1と同様にして比較のための排ガス浄化装置を製造した。
【0107】
[実施例1及び比較例1〜5で得られた排ガス浄化装置の特性の評価]
〈PM酸化性能試験〉
実施例1及び比較例1〜5で得られた排ガス浄化装置を用いて粒子状物質(PM)の酸化性能を評価するための試験(PM酸化性能試験)を行った。なお、このような試験を行うために、各排ガス浄化装置中に配置された酸化触媒には、予め以下に示す模擬PM付着処理を行った。
【0108】
このような模擬PM付着処理においては、先ず、模擬PMであるカーボン粉末(デグサ製、Printex−U)0.10gを特級エタノール50mlに混合し、超音波洗浄機を用いて十分に分散させた分散液を調製した。次に、実施例1及び比較例1〜5で得られた各酸化触媒の上流側を上方にして、各酸化触媒に対してそれぞれ前記分散液を流し込み、通過した分散液を回収する工程を、前記分散液がほぼ透明になるまで(ほぼ全量のカーボン粉末が酸化触媒に濾過されて付着するまで)何度も繰り返し、各酸化触媒に対してカーボン粉末を付着させた。なお、各酸化触媒に対するカーボン付着量は、DPFの容量1Lあたり2.8g/Lとした。
【0109】
また、PM酸化性能試験においては、先ず、前記酸化触媒に対してNガスを30L/分で供給しながら触媒入ガス温度が400℃になるまで昇温する前処理を行った。次に、
触媒入ガス温度が400℃で一定になった後に、各排ガス浄化装置の制御手段を利用して供給ガスの量、種類及び供給時間を制御しながら表1に示すガスを各排ガス浄化装置中の酸化触媒に対してそれぞれ供給した(なお、供給ガスの温度は400℃一定とした。)。すなわち、実施例1、比較例2及び比較例4で得られた排ガス装置を用いた試験においては、前記制御手段により模擬内燃機関の運転を制御して、酸化触媒に対して上記表1に示す組成のガスA(空燃比がリーン雰囲気にある排ガスに相当するガス)とガスB(空燃比がリッチ雰囲気にある排ガスに相当するガス)を交互に30L/分の流量で、ガスAの供給時間が60秒、ガスBの供給時間が6秒となるようにして供給した。他方、比較例1、比較例3及び比較例5で得られた排ガス浄化装置を用いた試験においては、前記制御手段により模擬内燃機関の運転を制御して、前記酸化触媒に対して上記表1中のガスAのみを30L/分の流量で供給した。そして、前記酸化触媒に接触した後の出ガス中のCO濃度をガスの供給を開始後10分間測定し、各排ガス浄化装置中の酸化触媒1Lあたり1時間のカーボン(C)の酸化量を算出することによりPM酸化速度(単位:g/L・hr)を算出した。結果を図3に示す。
【0110】
図3に示す結果からも明らかなように、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)が最も高いPM酸化性能を示し、Ag粒子とその周囲を覆っているCeO微粒子とからなる凝集体を備える酸化触媒を排ガス流路に配置し、前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化する本発明の排ガス浄化方法を採用することによって、400℃の温度条件下においても十分に高いPM酸化性能が得られることがわかった。また、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)を用いた場合と比較例1で得られた排ガス浄化装置を用いた場合とを比較すると、実施例1及び比較例1で用いられている酸化触媒は、リーン雰囲気のガスのみを供給するよりも、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給した場合に十分なPM酸化性能が得られることが確認された。一方、比較例2及び3で得られた排ガス浄化装置に用いられる酸化触媒(A)においては、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給した場合にPM酸化活性が低下していた。このような結果は、比較のための酸化触媒(A)では、酸素濃度を低下させるとPMと酸素との反応が遅くなるために生じたものと推察される。また、比較例4と5とを比較すると、比較例4及び比較例5で用いられている酸化触媒(B)では、リーン雰囲気のガスのみを供給する場合と、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給する場合とでPM酸化性能に特に変化はなかった。このような結果は、比較のための酸化触媒(B)では、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給する場合に触媒床温度が高くなるというプラス効果と酸素濃度が低くなるというマイナス効果とが働き、これらの効果が相殺し合うと考えられ、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給する場合とリーン雰囲気のガスのみを供給する場合とでPM酸化性能が同程度になったものと推察される。
【0111】
〈触媒床温度の測定〉
空燃比リーンに相当するガスと空燃比リッチに相当するガスとを交互に供給する場合と空燃比リーンに相当するリーン混合ガスのみを供給する場合とで触媒床温度が変わり、この触媒床温度の相違がPM酸化性能に影響を与える可能性があることから、前述のPM酸化性能試験時に各排ガス浄化装置中の酸化触媒の触媒床(触媒中心部)の温度を測定した。ガス供給後10分間における触媒床温度の平均値を表2に示す。
【0112】
【表2】

【0113】
表2に示す結果からも明らかなように、比較例2〜3で用いた酸化触媒の触媒床温度の結果又は比較例4〜5で用いた酸化触媒の触媒床温度の結果を比較すると、リーン雰囲気のガスとリッチ雰囲気のガスとを順に供給する場合に、リーン雰囲気のガスのみを供給する場合よりも3℃〜4℃触媒床温度が高くなることが分かった。このような結果は、リッチ雰囲気のガス(ガスB)中に存在する還元性ガスHとOとが反応して反応熱を発するために生じるものである。一方、実施例1及び比較例1で用いた酸化触媒の触媒床温度を比較しても触媒床温度はほとんど変わらなかった。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上説明したように、本発明によれば、比較的低温の温度域から排ガス中の粒子状物質を十分に酸化して浄化することが可能な排ガス浄化方法及び十分に高度な粒子状物質浄化活性を有し、前記排ガス浄化方法に好適に用いることが可能な排ガス浄化装置を提供することが可能となる。
【0115】
したがって、本発明の排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法は、例えばディーゼルエンジンからの排ガスを浄化するための装置又は方法として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】内燃機関に接続された本発明の排ガス浄化装置の好適な一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明にかかる制御手段によって行われる制御の好適な一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】実施例1及び比較例1〜5で得られた排ガス浄化装置のPM酸化速度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0117】
10…内燃機関、11…排ガス管、12…酸化触媒、13…制御手段、14…温度センサー、15…圧力センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関からの排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒を備える排ガス浄化装置を用いて排ガス中の粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化方法であって、
前記酸化触媒が、Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備えるものであり、且つ、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施して前記粒子状物質を酸化すること、
を特徴とする排ガス浄化方法。
【請求項2】
前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施することにより前記粒子状物質を酸化することを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項3】
前記金属粒子担体がAgの粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化方法。
【請求項4】
前記第二の金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物であり且つLa、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種を添加金属として含有していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化方法。
【請求項5】
前記酸化触媒が、平均細孔径が1〜300μmの細孔を有する基材と、該基材に形成された前記凝集体のコート層とを備えることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化方法。
【請求項6】
前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間が、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程を実施する時間の5〜100倍の時間であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化方法。
【請求項7】
内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質を酸化して浄化する排ガス浄化装置であって、
Ag、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の第一の金属を含有し且つ核となる金属粒子担体と、前記金属粒子担体の周囲を覆っている価数変動可能な第二の金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体を備え且つ前記排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸化触媒と、
前記酸化触媒に対して空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを順に実施するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項8】
前記制御手段が、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリーン雰囲気となる排ガスを接触させる工程と、前記酸化触媒に対して前記空燃比がリッチ雰囲気となる排ガスを接触させる工程とを交互に複数回実施するように制御する制御手段であることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化装置。
【請求項9】
前記金属粒子担体がAgの粒子であることを特徴とする請求項7又は8に記載の排ガス浄化装置。
【請求項10】
前記第二の金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物であり且つLa、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種を添加金属として含有していることを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項11】
前記酸化触媒が、平均細孔径が1〜300μmの細孔を有する基材と、該基材に形成された前記凝集体のコート層とを備えることを特徴とする請求項7〜10のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−299521(P2009−299521A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152761(P2008−152761)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】