説明

排ガス浄化用触媒、内燃機関の排気浄化装置

【課題】PM除去性能、HC浄化特性を有する排ガス浄化用触媒及びそれを備えた内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る排ガス浄化用触媒13Aは、ロジウムからなるロジウム層15と、酸化チタンからなる酸化チタン層16Aと、白金からなる白金層17を有し、TiO2層16AがPt層17の上側に配置されている。これら各々の触媒による相乗効果によって、CO、NOxの浄化に加え、HC浄化率を向上させると共に、PM除去性能を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物を分解すると共に、PMを除去する排ガス浄化用触媒及びそれを備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガス中には、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)等の有害成分が含まれており、これら有害成分を除去する必要がある。このため、従来の内燃機関の排気浄化装置では、排気系に排ガス浄化触媒として、理論空燃比(ストイキ)において排ガス中のCO及びHCの酸化とNOxの還元とを同時に行って浄化する三元触媒が用いられている。このような三元触媒として、例えばコーディエライトなどからなる耐熱性基材にγ−アルミナからなる多孔質担体層を形成し、その多孔質担体層に白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの貴金属触媒を担持させたものなどが用いられている。
【0003】
そして、排気系には有害成分を浄化する排ガス浄化触媒の他に排気ガス中のPMを除去するため例えばDPF(Diesel Particulate Filter)のようなPM捕集装置が設けられている。このDPFには、NOX吸蔵還元型触媒を担持させたものやNOX吸蔵還元型触媒を担持させないものがある。このPM捕集装置を用いて排気ガス中のPMを除去するようにしている。
【0004】
また、排ガス浄化触媒として、Pt、Rhなどの触媒貴金属に代えて光触媒を用いる方法が考えられている。TiO2など光触媒は光の照射によって正孔と電子が発生し、正孔が雰囲気中に存在する酸素分子を還元してスーパーオキシドアニオン(O2)を生成する。このO2は反応性が高く、HCなどを酸化する。この反応メカニズムは光が駆動力となるので、低温においてもO2が生成する。そのため、排ガス浄化触媒としてTiO2を用いることでHCなどの排気ガス中の有害成分を浄化することができる(特許文献1、2)。
【0005】
また、排ガス浄化触媒のNOx浄化性能を維持するために更に排ガス浄化触媒の他に光触媒を設ける方法も検討されている(特許文献3、4)。
【0006】
【特許文献1】特表2004−511693号公報
【特許文献2】特開2001−29746号公報
【特許文献3】特開2004−209403号公報
【特許文献4】特開2001−149787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のように排ガス浄化用触媒とDPFを併用したり、TiO2のような光触媒を排ガス浄化用触媒として用いてもHC浄化率、PM除去能力が不十分であり、排気ガス中の有害成分を浄化することができない。このため、更に厳しくなるPM規制、排気ガス規制SULEV(Super Ultra Low Emission Vehicle)の非メタン炭化水素(NMHC)を満足することが困難である、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、PM除去性能、HC浄化特性を有する排ガス浄化用触媒及びそれを備えた内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る排ガス浄化用触媒は、排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒において、該排ガス浄化用触媒が、NOx浄化触媒からなるNOx浄化触媒層と、光触媒からなる光触媒層とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記排ガス浄化用触媒が酸化貴金属からなる酸化貴金属層を有し、前記光触媒層が、前記酸化貴金属層の上層、又は前記酸化貴金属層と前記NOx浄化触媒層との間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記光触媒が、酸化チタンであることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記NOx浄化触媒が、白金、パラジウムの何れか一方又は両方を含むものであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る内燃機関の排ガス浄化用触媒においては、前記酸化貴金属が、ロジウム、白金、パラジウムの何れか一方又は両方を含むものであることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記光触媒層に、窒素、硫黄、鉄の少なくとも何れか一つ以上がドープされていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記光触媒層と前記酸化貴金属層との膜厚は、上層側に配置される触媒層の方が下層側に配置される触媒層より薄いことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記酸化貴金属層の膜厚が、10〜35μmであり、前記光触媒層の膜厚が、5〜30μmであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る排ガス浄化用触媒においては、前記光触媒層が多孔質構造であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気経路に設けられ、前記排気経路を流れる排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、請求項1乃至9の何れか一つの排ガス浄化用触媒が収容されている排気ガス触媒装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒が光触媒からなる光触媒層を有しているため、HC浄化率を向上させると共に、PM除去性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
[実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を簡略に示す概略構成図であり、図2は、排気ガス触媒装置に収容されている排ガス浄化用触媒の構成を簡略に示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置10は、内燃機関(エンジン)11の排気経路12に設けられ、排気経路12を流れる排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒13Aが収容されている排気ガス触媒装置14を有するものである。
【0022】
排ガス浄化用触媒13Aは、図2に示すように、NOx浄化触媒としてロジウム(Rh)からなるロジウム(Rh)層15と、酸化チタン(TiO2)からなる酸化チタン(TiO2)層16Aとを有するものである。
【0023】
また、排ガス浄化用触媒13Aが酸化貴金属として白金(Pt)からなる白金(Pt)層17を有し、TiO2層16AがPt層17の上側に配置されている。
即ち、排ガス浄化用触媒13Aは、Pt層16とRh層15の2層からなり、TiO2層16AがPt層17の上側に配置されている。
【0024】
排ガス浄化用触媒13AのPt層17の上層側にTiO2層16Aを設けることで、TiO2層16AのTiO2の光触媒機能によりPM除去性能を向上させることができる。
【0025】
光触媒は、反応の活性化エネルギーを低下させ、更に熱力学的に起こり得なかった反応を可能とする働きがある。そのため、HCの酸化除去とNOx還元とを同時に行って浄化すると共に、PMの除去も同時に行うことができる。
【0026】
TiO2層16AのTiO2に窒素(N)、硫黄(S)、鉄(Fe)、炭素(C)、リン(P)、ホウ素(B)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)の何れか一つ又はこれらを組み合わせたものがドープされたものを用いるようにしてもよい。これは、TiO2のみでは反応性が低く紫外線等の強いエネルギーが必要となるが、TiO2にN、S、Feなどをドープし、TiO2の酸素原子の一部をN、S、Feなどで結合させることで、TiO2を不安定化して反応性を向上させることで光触媒としての反応特性を向上させることができる。
【0027】
Rh、Pt、TiO2の担持される担体としては、アルミナ(Al23)、シリカ(Si)、ジルコニア(Zr)、チタニア(TiO2)、セリア(CeO2)、ゼオライト、ペロブスカイト構造などの多孔質酸化物あるいはこれらから選ばれる複合酸化物を用いることができる。
【0028】
また、Pt層17、Rh層15に用いられるPt、Rhは、HC、CO及びNOXの3つの物質を酸化・還元反応によって同時に除去することができる三元触媒である。即ち、排気ガス中の有害なHC、CO及びNOXを無害なH2O、CO2、N2へと還元又は酸化させている。即ち、排気ガスの空燃比(A/F)が理論空燃比(ストイキ)のときに排気ガス中に含まれるHC、CO、NOXを酸化還元反応によりH2O、CO2、N2へと同時に浄化処理すると共に、排気ガスの空燃比(A/F)がリーンのときに排気ガス中に含まれるNOXを一旦吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下したリッチ燃焼領域にあるときに、吸蔵したNOXを放出し、添加した還元剤としての燃料によりNOXを還元する。
【0029】
また、担体に担持されるRh、Pt、TiO2の担持量は、HC、CO及びNOxの浄化率を維持すると共に、効果が飽和することのない範囲でコスト高を抑えられる範囲の量とするのが好ましい。なお、Rh、Pt、TiO2を担体に担持させるには、その塩化物や硝酸塩等を用いて、含浸法、噴霧法、スラリー混合法などを利用して担持させることができる。
【0030】
また、TiO2層16Aは、5〜30μmとするのが好ましい。これは、TiO2層16Aが30μm以上となると、TiO2層16Aの下層に位置するPt層17、Rh層15に熱が伝わり難くなり、Pt層17、Rh層15の触媒効果を高めることができないためである。また、TiO2層16Aが5μm以下では、TiO2層16AのTiO2の含有量が少なくなり、光触媒機能が十分発揮されないため、TiO2層16AのPM除去性能を高めることができないためである。
【0031】
また、Pt層17は、10〜35μmとするのが好ましい。これは、Pt層17が35μm以上となると、Pt層17の下層に位置するRh層15に熱が伝わり難くなり、Rh層15の触媒効果を高めることができないためである。また、Pt層17が10μm以下では、Pt層17のPt含有量が少なくなるため、Pt層17の触媒効果を高めることができないためである。
【0032】
また、TiO2層16AとPt層17との膜厚は、40μm程度とするのが好ましい。これは、TiO2層16A及びPt層17の下層側に位置するRh層15に熱が伝わるようにして、Rh層15の触媒効果を維持するようにするためである。
【0033】
また、TiO2層16Aの膜厚はPt層17の膜厚よりも薄くなるようにしている。これは、上層側に位置するTiO2層16Aの触媒機能を維持しつつ、下層側に位置するPt層17、Rh層15の触媒機能を維持するようにするためである。
【0034】
このように、本実施の形態に係る排ガス浄化用触媒13Aを用いれば、Rh層15と、TiO2層16Aと、Pt層17とを有し、Pt層17の上層側にTiO2層16Aを設けているため、これら各々の触媒による相乗効果によって、CO、NOxの浄化に加え、HC浄化率を向上させると共に、TiO2の光触媒機能によりPM除去性能を向上させることができる。
【0035】
また、排気ガス触媒装置14に収容されている排ガス浄化用触媒13Aの構成は、上層側から順にTiO2層16A、Pt層17、Rh層15の順に限定されるものではなく、TiO2層16AをPt層17とRh層15との間に配置するようにしてもよい。例えば、図3に示すように、排ガス浄化用触媒13Bは、上層側から順にPt層17、TiO2層16A、Rh層15の順に配置する。このように触媒層を配置することで、上層のPt層17でNOx浄化を行い、中間層のTiO2層16AでPM除去を行うことができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、酸化貴金属からなる酸化貴金属層としてPtが担持されてなるPt層17を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)の少なくとも一つ以上からなる触媒を用いるようにしてもよい。例えば、図4に示すように、排ガス浄化用触媒13Cでは、図2のPt層17に代えてPdからなるパラジウム(Pd)層18を設けるようにしている。図5に示すように、排ガス浄化用触媒13Dでは、図2のPt層17に代えてPtとPdとからなるPt−Pd層19を設けるようにしている。酸化貴金属層としてPd層18、Pt−Pd層19を用いてもPt層17と同様に、排気ガス中の有害なHC、CO及びNOXを無害なH2O、CO2、N2へと還元又は酸化することができる。
【0037】
また、本実施の形態においては、排気ガス触媒装置14に収容されている排ガス浄化用触媒13Aは、上層側から順にTiO2層16A、Pt層17、Rh層15の三層構造としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、NOx浄化触媒からなるNOx浄化触媒層と、光触媒からなる光触媒層との2層構造としてもよい。例えば、図6に示すように、排ガス浄化用触媒13Eは、図2のPt層17とRh層15とに代えてNOx浄化触媒としてPtとPdとRhとからなる複数の貴金属を含有するPt/Pd/Rh層20を設けるようにしている。このように触媒層を配置することで、上層のTiO2層16AでPM除去を行い、中間層のPt/Pd/Rh層20でNOx浄化を行うことができる。
【0038】
また、本実施の形態においては、TiO2層16AはTiO2の粉末を例えばペレット状に成形されたものを用いてコートし、触媒層を形成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、多孔質構造としてもよい。多孔質層を形成する際、TiO2の粉末を含むスラリーをハニカム基材にコートし、乾燥・焼成することによりポーラス化し、多孔質構造からなる触媒層を形成する。尚、ポーラス化した担体にTiO2を担持させる際、ポーラス化した担体上にTiO2を担持させてもよく、あるいはハニカム基材上にTiO2を担持させた後、このTiO2上に担体を形成するようにしてもよい。
【0039】
図7は、TiO2層を多孔質構造とした排ガス浄化用触媒の構成を簡略に示す概略構成図である。図7に示すように、排ガス浄化用触媒13Fは、図2に示す排ガス浄化用触媒13AのTiO2層16Aに代えてポーラス化したTiO2層16Bを配置したものであり、触媒層に複数の細孔21が形成されている。排ガス浄化用触媒13Fのように、ポーラス化したTiO2層16Bを用いることで、排気ガス中のPMを触媒層に複数の細孔21内に吸着させ、TiO2の光触媒効果により燃焼させることにより、PMを効果的に浄化することができる。
【0040】
また、ポーラス化したTiO2層16Bの膜厚をPt層17の膜厚よりも薄くする。上層側の触媒層の膜厚を下側の触媒層の膜厚よりも薄くすることで、TiO2層16Aの下層側のPt層17、Rh層15に排気ガスを拡散し易くすることができる。
【0041】
また、TiO2層を多孔質構造とした排ガス浄化用触媒の他の構成として、例えば図8に示す排ガス浄化用触媒13Gのように、図3に示す排ガス浄化用触媒13BのTiO2層16Aに代えてポーラス化したTiO2層16Bを配置するようにしてもよい。また、図9に示す排ガス浄化用触媒13Hのように、図6に示す排ガス浄化用触媒13EのTiO2層16Aに代えてポーラス化したTiO2層16Bを配置するようにしてもよい。更に、TiO2層の他に、Pt層17、Rh層15も同様に多孔質構造としてもよい。
【0042】
<TiO2層を含む排ガス浄化用触媒の作製法>
ここで、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置に用いる排ガス浄化用触媒の作成法について説明する。
ここでは、図3に示すような排ガス浄化用触媒13BのようにPt層17とRh層15との間にTiO2層16Aを形成する触媒の作成方法について説明する。
【0043】
Rh層15の作成にはRhを含むスラリーを用いて行う。
まず、活性アルミナなどの担体にRh溶液を含浸し焼成して、Rhを担持した担体粉末を得た。Rh溶液は硝酸塩、酢酸塩の何れのものであってもよい。そして、Rhを担持した担体粉末と、ZrO2−Al23−TiO2基材と、硝酸水溶液とを例えば磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してRhを含むスラリー液を得た。このスラリー液の粘度は30%前後となるように調整する。また、Rhを担持する担体として、Zr基材、Al23基材、CeO2基材、ZrO2−Al23基材などを用いてもよい。そして、Rhを含むスラリー液をコートする。この時、コート層の重量は、50g/L〜200g/Lの間とする。その後、200℃程度で約2時間乾燥させ、約400℃程度で約4時間焼成する。これにより、硝酸塩を完全に放出させ、Rh層15を形成する。
【0044】
次に、Rh層15の上に中間層としてコージェライト担体にTiO2粉末を含浸させTiO2層16Aを形成する。ここで、光触媒としてTiO2を用いるが、TiO2の他にN、S、Feなどをドープしたものを用いてもよい。また、ゼオライトなどの多孔質をコートしてもよい。ゼオライトを上述と同様に混合粉砕してスラリー液を得た。ゼオライトの種類としてY型、β型、ZSM−5型などを用いても良く、状況に応じて使い分ける。そして、このスラリー液をコージェライト担体に浸漬し、ゼオライトをコージェライト担体にコートした後、光触媒粉末を含浸させる。
【0045】
次に、TiO2層16Aの上に上層としてPt層17を形成する。
Pt層17の作成にはPtを含むスラリーを用いて行う。
活性アルミナなどの担体にPt溶液を含浸し焼成して、Ptを担持した担体粉末を得た。Pt溶液はテトラクロロ白金塩、ジニトロ白金塩などを用いることができる。そして、Ptを担持した担体粉末と、Al23−CeO2基材と、硝酸水溶液とを上述と同様に混合粉砕してPtを含むスラリー液を得た。このスラリー液の粘度は30%前後となるように調整する。また、Ptを担持する担体として、Zr基材、Al23基材、CeO2基材、ZrO2−Al23基材、ZrO2−Al23−TiO2基材などを用いてもよい。そして、Ptを含むスラリー液をコートする。この時、コート層の重量は、50g/L〜200g/Lの間とする。或いは、担体として用いる基材にスラリーコートした後、Pt水溶液(テトラクロロPt塩、ジニトロPt塩)を含浸担持させてもよい。その後、200℃程度で約2時間乾燥させ、約400℃程度で約4時間焼成する。これにより、ニトロ塩を完全に放出させる。これにより、Pt層17を形成する。
【0046】
図4に示すような排ガス浄化用触媒13CのようにPt層17に代えてPd層18を形成する場合においても前述したPt層17を形成する場合と同様の方法で行う。
即ち、Pd層18にはPdを含むスラリーを用いる。
活性アルミナなどの担体にPd溶液を含浸し焼成して、Pdを担持した担体粉末を得た。Pd溶液は硝酸塩、酢酸塩の何れのものであってもよい。そして、Pdを担持した担体粉末と、Al23−CeO2基材と、硝酸水溶液とを上述と同様に、混合粉砕してPdを含むスラリー液を得た。このスラリー液の粘度は30%前後となるように調整する。また、Pdを担持する担体として、Ptを担持する担体と同様に、Zr基材、Al23基材、CeO2基材、ZrO2−Al23基材、ZrO2−Al23−TiO2基材などを用いてもよい。そして、Pdを含むスラリー液をコートする。この時、コート層の重量は、50g/L〜200g/Lの間とする。或いは、担体として用いる基材にスラリーコートした後、Pd水溶液を含浸担持させてもよい。その後、200℃程度で約2時間乾燥させ、約400℃程度で約4時間焼成する。これにより、ニトロ化合物、酢酸化合物を完全に放出させる。これにより、Pd層18を形成する。
【0047】
このように本実施例の排ガス浄化用触媒によれば、Rh層15とPt層17に加え、TiO2からなるTiO2層を有しているため、これら各々の触媒による相乗効果によって、三元触媒、酸化触媒などのような従来の排ガス浄化用触媒のCO、NOxの浄化に加え、HC浄化率を向上させると共に、PM除去性能を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本実施例の排ガス浄化用触媒は、NOx浄化触媒と光触媒とを有しているため、CO、NOxの浄化に加え、HC浄化率を向上させると共に、PM除去性能の向上を図るものであり、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなど自動車に搭載される内燃機関、あるいはボイラーなどから排出される排ガスの浄化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図2】排気ガス触媒装置に収容されている排ガス浄化用触媒の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図3】排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図4】排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図5】排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図6】排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図7】酸化触媒層を多孔質構造とした排ガス浄化用触媒の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図8】酸化触媒層を多孔質構造とした排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【図9】酸化触媒層を多孔質構造とした排ガス浄化用触媒の他の構成を簡略に示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0050】
10 排気浄化装置
11 内燃機関(エンジン)
12 排気経路
13A〜13H 排ガス浄化用触媒
14 排気ガス触媒装置
15 ロジウム(Rh)層
16A 酸化チタン(TiO2)層
16B ポーラス化したTiO2
17 白金(Pt)層
18 パラジウム(Pd)層
19 Pt−Pd層
20 Pt/Pd/Rh層
21 細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒において、
該排ガス浄化用触媒が、NOx浄化触媒からなるNOx浄化触媒層と、
光触媒からなる光触媒層とを有することを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
請求項1において、
前記排ガス浄化用触媒が酸化貴金属からなる酸化貴金属層を有し、
前記光触媒層が、前記酸化貴金属層の上層、又は前記酸化貴金属層と前記NOx浄化触媒層との間に配置されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記光触媒が、酸化チタンであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記NOx浄化触媒が、白金、パラジウムの何れか一方又は両方を含むものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
前記酸化貴金属が、ロジウム、白金、パラジウムの何れか一方又は両方を含むものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一つにおいて、
前記光触媒層に、窒素、硫黄、鉄の少なくとも何れか一つ以上がドープされていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか一つにおいて、
前記光触媒層と前記酸化貴金属層との膜厚は、上層側に配置される触媒層の方が下層側に配置される触媒層より薄いことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れか一つにおいて、
前記酸化貴金属層の膜厚が、10〜35μmであり、
前記光触媒層の膜厚が、5〜30μmであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つにおいて、
前記光触媒層が多孔質構造であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【請求項10】
内燃機関の排気経路に設けられ、前記排気経路を流れる排気ガスを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、
請求項1乃至9の何れか一つの排ガス浄化用触媒が収容されている排気ガス触媒装置を有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−172501(P2009−172501A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12685(P2008−12685)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】