説明

排気ガス処理のためのローラシーム溶接体

この発明は、複数の金属層(2)を備える排気処理のための本体(1)を作製するための方法に関する。この発明の方法に従うと、層(2)はアセンブリ領域(3)で互いと接し、気体流が通過することができるチャネル(4)を層(2)が形成するように、ローラシーム溶接方法を用いて接合部が作製される。この発明は、自動車産業でフィルタまたは触媒担体として特に用いられ得る、排気処理のための対応の本体(1)にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体流が流れることができる通路を形成する複数の金属層を有する、排気ガス処理体を作製するための方法に関する。このタイプの本体は、火花点火式またはディーゼルエンジンなどの自動車の内燃機関からの排気ガスを浄化するのに特に用いられる。この文脈での主要な適用分野は、乗用車ならびにトラックおよびバイクである。たとえば動力鋸、芝刈り機などの、持ち運びが可能な手持ち器具の排気システムでこれらの本体を用いることも公知である。
【背景技術】
【0002】
このタイプの本体は多数の異なる機能を有する。たとえば、それらは、触媒支持担体、吸着体、フィルタ、フローミキサまたはマフラーとして用いられる。本体は通常、好ましい表面積対体積比によって区別される。すなわち、本体は比較的大きな表面積を有し、したがって本体の中を流れる気体流に集中的に接することが確実になる。
【0003】
触媒支持担体については、この表面または本体には、好ましくは薄め塗膜を含む触媒活性コーティングが施される。薄め塗膜は特に亀裂が入った表面を有するので、表面積対体積比はさらに向上し得る。薄め塗膜は、たとえばプラチナ、ロジウムなどのさまざまな触媒で含浸される。
【0004】
吸着体は、触媒支持担体として用いられる本体に選択されるのと同様の基本的構造を有する。しかしながら、コーティングについては異なる目的を追求して、結果的に異なるコーティングが用いられる。吸着体の目的は、たとえば、排気ガスの窒素酸化物ができるだけ完全に変換されるように、好適な反応相手および/または温度が存在するようになるまで窒素酸化物を保持することである。
【0005】
フローミキサは、これらの本体が互いに連通する複数の通路を有することによって区別される。同時に、本体または通路の内部に、一部の気体流が分岐できるようにするガイド面が設けられる。これにより、気体流は、その汚染物質濃度、その流動特性、その温度などの点でさらに均一になる。
【0006】
触媒支持担体、吸着体、マフラーおよびフローミキサとしての上記本体のための広範な異なる構造形態が公知である。これらの形態は、たとえば、少なくとも部分的に構造化されたシート状金属箔を含むハニカム体を含む。セラミック材料から作られる公知の本体と比較して、金属ハニカム体は、意図される使用という観点でかなりより大きな柔軟性を有するとともに、より大きな設計自由度を可能にする。良好な熱伝導および極めて低い比表面積熱容量(oberflaechenspezifischen Waermekapazitaet)により、汚染物質濃度に関して特に効果的な変換方法が保証されることにも留意すべきである。
【0007】
特に金属ハニカム体の2つの典型的な設計を区別する。DE2902779A1が典型的な例を示す初期設計は、螺旋状の設計である。ここでは、実質的に1つの平滑なシート状金属層および1つの波形シート状金属層が互いの上に配置されて、螺旋状に巻かれる。別の設計では、ハニカム体は、交互に配置された複数の平滑なシート状金属層および波形シート状金属層または異なる波形のシート状金属層から構成され、シート状金属層はまず1つ以上の積層体を形成し、次に絡み合わされる。この場合、すべてのシート状金属層の端を外側にもってきてハウジングまたは管状ケーシングに接続し、多数の接続部を作製することによりハニカム体の耐久性を高めることができる。これらの設計の典型的な例は、EP0245737B1またはWO90/03220に記載される。シート状金属層に付
加的な構造を設けて流れに影響を及ぼしたり、および/または個々の流路の間の交差混合(Quervermischung)を生じさせたりすることも以前から公知である。これらの構成の典型的な例は、WO91/01178、WO91/01807およびWO90/08249を含む。最後に、円錐状のハニカム体も存在し、これは流れに影響を及ぼすためのさらに付加的な構造をオプションで備える。このタイプのハニカム体は、たとえばWO97/49905に記載される。さらに、特にラムダセンサを収容するために、ハニカム体にセンサ用の切込部を残しておくことも公知である。1つのそのような例はDE8816154U1に記載される。
【0008】
当然ながら、上述の設計はフィルタ本体の形成にも好適である。原則的に、これらまたはその他のフィルタ本体のための2つの異なる原則が公知である。1つの原則は、「閉止粒子フィルタ」として公知のものに関し、これは本体によって形成された通路が交互の側で閉止され、したがって強制的に気体流がフィルタ材料を含む通路壁を通るようにするものである。これにより、気体流の中に含まれる粒子または固体が蓄積されて、連続的にまたは予め定められる間隔で燃焼および/または酸化される。代替的な公知の設計は「開放粒子フィルタ」であり、これは交互の側で閉止されるのではなく、むしろ通路の内部に流れ分起点を有し、これにより、少なくとも部分的な気体流の80%が好ましくは何度もフィルタ壁を通過するように一部の気体流を旋回させる。「開放粒子フィルタ」の主な利点は、粒子の過剰な蓄積によって生じるフィルタ材料の目詰まりが回避されることである。粒子フィルタは、実際にフィルタで除去される粒子よりもかなり大きな粒子を特に含む粒子が基本的に完全に通り抜けることができる場合に「開放」とされる。その結果、このタイプのフィルタは、動作している間に粒子が凝集しても目詰まりを起こし得ない。粒子フィルタの開放度を測定するための好適な方法は、たとえば、どの程度の球体粒子までがこのタイプのフィルタを依然として流れることができるかについての径のテストである。この適用例では、0.1mm以上の径の球体、好ましくは0.2mmを超える径の球体が依然として通り抜けることができれば、フィルタは特に開放している。1つのそのような例がDE2011783U1に与えられ、説明の目的のためにその全体を援用する。
【0009】
巻かれたまたは絡み合わされた層を備えるこれらの本体に加えて、プレートフィルタとして公知のものを用いることも公知である。プレートフィルタは、互いから距離をあけて配置される、特にシート状のまたは実質的に平らな複数のフィルタプレートを含む。このタイプのプレートフィルタは通常、交互の側が閉止された通路の原則に従っても構成されるが、原則的に「開放粒子フィルタ」を実現することも可能である。
【0010】
このタイプの巻かれた設計およびプレート状の設計においては、気体流がそれらの中を実質的に軸方向に流れるが、気体流が径方向に流れる本体またはフィルタ本体も公知である。そのような本体は通常、内部流路と、内部流路に対してほぼ同軸に配置されかつ形態が環状の外側流路とを有する。内部流路は一般的に、浄化すべき気体流が通過する開口を備える内側チューブによって境界を定められる。フィルタ材料の層はこの内側チューブの周りに配置される。この点で実質的に2つの異なる概念が公知である。第1の概念は「星形」に基づいて説明することができる。すなわちこれは、フィルタプレートを内側チューブの方向または内側チューブに対して垂直な断面で見たときに実現される。換言すると、これは、フィルタプレートが内側チューブの軸方向の延在に対して実質的に平行に延びる折り曲げ部(Falten)を形成することを意味する。別の公知の概念は、周方向への折り曲げ部の形成に係り、この場合、複数のこれらの折り曲げ部は、軸方向に互いから間隔をあけて内側チューブ上に位置決めされる。流れのルーティングに従い、浄化すべき気体流は内側から(または外側から)フィルタ材料に供給され、このフィルタ材料を貫通し、反対側から再び排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の本体は一般的に、ある場合には異なる材料から作られる複数のまたは多数の異なる構成要素を備える。自動車の内燃機関の排気系における高い熱応力および動応力を考慮すると、これらの個別の構成要素は永久的に互いと接続しなければならない。この目的のため、たとえばろう付けおよび/または溶接などの数多くの異なる接続技術が公知である。これらの接続技術については、少なくとも中規模の連続作製に好適でなければならないことに留意すべきである。この点で、サイクルレート(Taktraten)、接続品質、方法の信頼度などの費用的局面も重要な役割を果たす。(特にフィルタ表面および/または層を含む構造において)接合によって接続部を形成するのに用いられる公知の方法は、たとえばろう付けおよび溶接充填剤などの付加的な材料を必要とする。この場合、その後に接合部を作製すべき場所に正確に充填剤を塗布することは特に困難である。さらに、より一層壁の薄い材料を用いる必要があることにも留意すべきである。なぜならそのような材料は排気ガスの温度に迅速に適合し、したがって非常に動的な反応特性を有するからである。しかしながら、これらの本体の長期にわたる機能性を保証するためには、空間的に厳密に境界を定めて熱を導入して、接合によって接続部を形成することが必要である。これまでは、満足のいく程度にこれを達成することができず、実際に、ろう付けは一般的に高温真空炉中での本体全体の加熱を必要とするとともに、これまでは溶接は通常外側ハウジングを通して行なう必要があり、結果的にこの場合も本体の大部分にわたってかなりの温度勾配ができてしまっていた。
【0012】
この点に対処して、この発明の目的は、先行技術の上記技術的問題を解消することである。特に、排気ガス浄化のためのこのタイプの金属本体を作製するための安価で、単純で、効果的かつ信頼性の高い方法を提供することが意図される。さらに、方法は、特に長い寿命によって区別される、接合による接続部の作製および自動化にできる限り好適でなければならない。さらに、さまざまに構成可能でかつ多用途であり得る排気ガス処理のための対応の本体を提供することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、特許請求項1の特徴を有する方法および特許クレーム18の特徴を有する本体によって達成される。さらなる有利な構成は、いかなる所望の態様でも互いと組合せることができるそれぞれの従属特許請求項に記載される。
【0014】
複数の金属層を有する排気ガス処理のための本体を作製するためのこの発明に従う方法は、接続領域で層が互いと接し、気体流が少なくとも部分的に流れることができる通路を層が形成するように連続抵抗溶接工程によって接続部を作製することを特徴とする。換言すると、これは特に、互いに隣接して配置される層の間の接続が連続抵抗溶接工程によって実現されることを意味する。
【0015】
この文脈で、「連続」という用語は、溶接が1つの溶接軌道(Schweissbahn)に沿って行なわれ、その場合に、生成される溶接シームが中断しないことを意味し得ることに留意すべきである。しかしながら、これが必ずしもそのようになっている必要はなく、たとえば、間隔をあけられた複数の溶接シームを溶接軌道に沿って設けることも可能である。この場合、溶接シームが溶接軌道に沿って存在する比率が、中断によって形成される比率よりもはるかに大きいことが有利である。溶接軌道に基づき溶接シームによって形成される比率は、少なくとも80%、特に90%を超えることが特に好ましい。
【0016】
「通路」について、これらの通路は必ずしもチューブ状の構造を有する必要がないことにも留意すべきである。むしろ、この用語は、空間的な境界を有する限られた流路を意味すると理解すべきである。この場合、境界は一般的に、周の少なくとも60%(特に80%)にわたって流路を囲み、流路の長さが有利には周よりも大きいように構成される。
【0017】
上述の本体をフィルタとしても構成し得ることに鑑みて、通路は必ずしも気密通路壁を有する必要はない、すなわち層が少なくとも部分的に気体透過性であるように構成されることも著しく可能であることが明らかであろう。特にこの場合、気体流は完全に通路を通って流れるわけではない。この場合、通路は好適な断面を有するが、それにもかかわらず気体流は異なるルートを用いる。したがって、特に端の側が開いていて、少なくとも部分的に気体流が通路を通って流れるというオプションを与えれば十分と考えられる。
【0018】
この方法の有利な構成に従うと、連続抵抗溶接工程は、ローラシーム溶接および/または突合せシーム溶接を含む。
【0019】
ローラシーム溶接および突合せシーム溶接工程は、圧接接合工程、特に抵抗圧接または導電圧接に属する。抵抗圧接工程では、溶接場所での加熱は、電流が流れるときの、および導電体を用いたジュール抵抗加熱の結果、発生する。電流は、凸状のまたは平らな加工面を備える電極を介して供給される。2つのローラ状の(駆動)電極をローラシーム溶接に用いる。溶接すべき金属シートは、この場合、大部分が重なるように配置される。実際に、ローラシーム溶接は連続スポット溶接であるが、ローラ状の電極を用いる。抵抗スポット溶接を用いる場合とは異なり、電極は第1の溶接スポットが作製された後にも接触したままであり、次に連続して圧延する。溶接スポットを形成すべき場所にさらに電流が流される。電極の送り速度(Vorschubgeschwindigkeit)および溶接電流の周波数に依存して、溶接ビードまたは溶接スポットが重なったスポットシームまたは封止シームが作製される。永久直流は同様に封止シームを作製する。
【0020】
この作製方法を用いた層の接続は、特にこれらの本体の連続作製に鑑みて、特に有利であることがわかった。互いに隣接するまたは互いの上に重なる2つの層が回転する電極の間を通される方法は、たとえば自動車の排気系などの高い熱応力および動応力に驚くほどよく耐えることができる。このように互いと接続される非常に薄い金属箔の場合ですら、非常に短い加工サイクルで封止溶接シームを作製できることも確立された。その結果、2つの層の間の重なりに必要な付加的な材料に鑑みて、予測しなかった費用上の利点を特に達成することができる。ローラシーム溶接はある長さを有する、すなわち予め定められた部分にわたって延在する接続領域に特に好適である。これは一般的に、少なくとも5センチ、特に少なくとも15センチになり、加工は25センチの長さを超えると特に低コストで行なうことができる。ローラシーム溶接は充填剤なしで済む。さらに、多くの場合、層を洗浄するステップなしで済ますこともできる。なぜなら、電極の力を導入することにより、電流の流れおよび溶接スポットの形成に十分な電極および/または層の間の接触が既にかなりの程度まで保証されることが確実だからである。さらに、溶接ビードに隣接する層の微細構造のわずかな変化のみを確立することができる。したがって、この製造方法の使用は数多くの利点を与え、同時に冒頭部に列記されたすべての技術的問題を即座に解消する。さらに、この方法は、冒頭部で言及される各タイプの本体にも適用することができる。
【0021】
この方法の1つの洗練例に従うと、少なくとも溶接スポットが重なって存在する溶接シームを少なくとも部分的に形成することが提案される。これは、層の端または端縁領域が互いに固定される場合に特に適用される。これらの端縁領域または端縁は、たとえば、流路を閉止し、これにより浄化すべき排気ガスに強制的にフィルタ材料を通過させる。「閉止粒子フィルタ」の原則を確実にするため、少なくとも部分的に封止シームが存在しなければならない。これは、溶接電流パルスが非常に短い時間間隔で連続して発生することにより、それぞれに隣接する溶接スポットまたは溶接ビードが互いとくっつく、すなわち隣接する溶接スポット間に層上の未接続場所が存在しないことを意味すると理解されるべきである。既に上述のように、このタイプの封止シームは、比較的短くなるように選択され
る電流パルスの周波数、比較的低い送り速度または直流の存在、すなわち送りの間は電極間を連続して流れる電流、によって達成される。
【0022】
この方法の洗練例に従うと、ローラシーム溶接の間に、0.5cm/sから30m/sの範囲、特に0.5m/分から30m/分の範囲の送り速度を用いることも提案される。
【0023】
この送り速度は、0.03から0.1mmの厚みを有する金属箔材料を接続する際に特に用いられる。この場合、接続すべき材料は好ましくは以下の要素を含む。すなわち、0.1から7.5重量%のアルミニウムおよび17から25重量%のクロムである。別の好ましい材料は、12から32重量%のニッケルを含む。
【0024】
さらに、溶接作業の間、電極は、10Nから29kN、特に200Nから6kNの力を層に加えることも提案される。このことは、たとえば、層に付着するいずれの圧延油または同様の不純物も溶接場所から確実に排除されるようにする。その結果、互いに接続されるべき構成要素間および構成要素と電極との間の強力な接触が得られる。同時に、これは、材料が加熱された際に、加熱されたまたは溶融した材料が均質に混合されて永久的な接続を達成することを確実にする。
【0025】
この方法のさらなる構成に従うと、少なくとも端縁領域で、層は互いの上に重ねられ、この端縁領域で少なくともある部分にわたって溶接され、次に変形されて通路を形成する。換言すると、このことは、溶接シームが、少なくとも部分的に排気ガスが流れることができる通路の境界を定めることも意味する。この部分の長さの好ましい大きさについては上述の記載を参照されたい。しかしながら、原則的に、端縁領域全体が互いと接続されるのは通常のことである、すなわち、したがってこの部分は端縁領域の最も長い範囲に対応することにも留意すべきである。
【0026】
特に、層は、耐高温および耐食材料から作られ、かつ好ましくは少なくとも部分的に構造化され、および/または少なくとも領域によっては(bereichsweise)流体がその中を通って流れることを許す、少なくとも1つの金属箔によって形成されることが提案される。金属箔の材料については、この点で上に列記された組成を参照されたい。しかしながら、さらに、当業者は自動車の排気ガスシステムで用いるのに好適な多数のさらなる材料を認めるであろう。この場合、公知の先行技術に与えられる多数の異なる材料を参照されたい。選択にあたっては、一般的にこの材料は抵抗溶接に好適でなければならない、すなわち特に電流を通さなければならないことにも留意されたい。
【0027】
構造またはアパーチャ、細孔、孔などを備える金属箔の好ましい構成は、この場合、ローラシーム溶接による接続に用いられる端縁領域の外側に主に位置する。好適な構造の例は、波形、ガイドベーン、型押し(Praegungen)またはその他の構造を含む。それらは通常、金属箔に沿って流れる排気ガスを導くまたは旋回させるのに用いられ、これにより本体の表面とのぴったりとした接触を確実にする。さらに、これらの構造を用いて、予め定められた距離を層同士の間に確実にあけるようにすることもできる。この場合、構造は一種のスペーサとなる。少なくともある領域で媒体がその中を通って流れることができるように構成される箔の効果は、金属箔を通して気体の交換がなされ得ることである。このことは、通常、分流ベーン、封止材料などによってまたは各々の場合金属箔によって部分的に境界を定められる隣接する通路の圧力差によって課される強制的な流れに依存する。
【0028】
この方法の有利な洗練例に従うと、フィルタフリース(Filtervlies)またはフィルタ材料を含む支持構造によって層を形成することが提案される。フィルタフリースは、特に編んだ布、織った布または互いに接着されるチップ、繊維もしくは他の粒子の同様の構成を含む。これらは、たとえば焼結接続、ろう付け接続、溶接接続またはその組合せによっ
てともに保持される。フィルタフリースは金属またはセラミック材料からなり得る。さらに、支持構造を設けてその上にまたはその中にフィルタ材料を設けることも可能である。好適な支持構造は、ここでも、織った布、編んだ布、エキスパンドメタルなど、特にその空洞の中にフィルタ材料を設けた粗いメッシュの形成体である。この文脈では、支持構造は金属の形態であることが特に有利である。この場合、セラミック材料および金属材料の両者をフィルタ材料として用いることができる。フィルタ材料は、焼結接続、適切な場合は充填材料も用いる拡散接合、またはこれらの接続技術の組合せによって支持構造に接続される。連続抵抗溶接シームを用いたこの発明に従う層間の接続は、特にもっぱら支持構造を介して互いに溶接される層により、この支持構造を組み入れるように行なうこともできる。
【0029】
フィルタ材料自体は、多数の細孔、開口、流路および空洞を備える極めて高い表面積を形成する。気体流はフィルタ材料を通って流れるので、所望されない粒子は表面にくっつき、排気ガスに含まれる熱および/または反応相手が供給されると気体成分に変換される。
【0030】
この発明のさらなる構成に従うと、層は複数部品構造である。すなわち、層は接続領域に金属箔を設け、これにより互いに隣接して配置される層の金属箔がローラシーム溶接によって接続される。これは特に、箔が層の端縁領域にのみ設けられることを意味する。この場合、箔は、フィルタ材料または支持構造のために、ローラシーム溶接に好適な構造を好ましくは形成する。これにより、通常はそのような工程で接続することができない本体の構成要素をローラシーム溶接の要件に適合させることができる。
【0031】
この文脈では、層がフィルタフリースを含む場合に特に有利である。フィルタフリースは、後に接続領域を形成する端縁領域で、各々の場合に1つの金属箔で囲まれ、好ましくはフランジも付けられ、このように作製された複数の層は最終的に互いに溶接される。この場合、DE10153284およびDE10153283が提案するように、層は特にフィルタ複合体またはフィルタ層として構成される。このタイプのフィルタ層またはフィルタ複合体の構造については上記公報の全体が参照され、その結果、そこに与えられる記載がこの状況の説明に用いられる。
【0032】
本体の作製についての異なる上記方法について、フランジ付けとローラシーム溶接とが同時に行なわれれば特に有利である。例示として、この目的のために構造化された圧延電極が用いられる。これは、一方では金属箔がフィルタフリースに掛かるようにし、同時に、電流の流れにより、密着接合による接続を可能にする。この場合、溶接工程は、フランジ付けされた接続部と溶接された接続部とが溶接方向に交互になるように行なうこともできる。この文脈で、フランジ付けという用語は、特に、シート状金属部品の端縁を手作業でまたは機械的に折り返して端縁の鋭利さを排除しおよび/またはワークピースを強化することを意味するものとして理解すべきである。
【0033】
この方法のさらに別の構成に従うと、層は、各々の場合に交互の側の端縁領域で隣接する層に接続され、各々の場合に折り曲げ部を形成するようにともに溶接されることが提案される。本明細書中に記載される本体の作製のための手順は、特にフィルタ本体を作製するのに好適である。この場合、好ましくはフィルタフリースまたはフィルタ材料も含む層はそれらの端縁領域で互いに接続されて「閉止粒子フィルタ」の原則を実現する。2つの隣接する層がともに溶接された後、開放するように層を折り曲げることにより、層が端縁領域で互いに対してある角度を形成することができる。層間に形成される中間空間は折り曲げ部と称される。これは、特に半径流粒子フィルタの場合の流路または通路を表わす。
【0034】
さらに、層は、好ましくは通路および/または折り曲げ部に配置される支持手段を備え
て設計されることが提案される。支持手段という用語は、自動車の内燃機関の排気系におけるその後の使用の間ですら互いに対する層の予め定められた位置が保持されることを確実にするスペーサ、強化構造、スペーサ部分または同様の手段を意味するものとして特に理解されるべきである。
【0035】
この文脈では、支持手段は、層が互いに接続されるのと好ましくは同時にローラシーム溶接製造工程によって層に接続されれば特に有利である。例示として、支持手段は、金属箔の構造として形成されて、したがって隣接する層の領域を支え、かつ互いから間隔をあけられた層同士の間隔取りまたは開口角を確実にし得る。連続抵抗溶接シームを用いるこの発明に従う層の接続は、これらの支持手段を組入れて行なわれ得る;ある状況では、層はもっぱら支持手段を介して互いに溶接すらされる。
【0036】
さらに、好ましくは溶接またはろう付けによって溶接層が少なくとも1つのハウジングに接続されることも提案される。軸流本体の場合、外側に位置するハウジングへの層の直接接続が好ましい。この目的のために公知のろう付けまたは溶接技術を用いることができる。本体が半径流設計を実現する場合、外側ハウジングへの接続は一般的に間接的にのみ、すなわち付加的な要素を介して実現される。このタイプの設計では、層に直接に接続され、本体の外周に配置されるハウジングは通常は回避される。なぜなら、この環状空間は通常、気体の流れの入来するおよび/または外に出て行く流れのために必要であるからである。次に外側ハウジングは、スペーサ、カバープレート、鍔などのいずれの付加的な構成要素を介しても固定される。
【0037】
半径流という概念の文脈では特に、ハウジングは中心軸を有する内側チューブであり、内側チューブの外側面に層が固定されることが提案される。この目的のため、内側チューブには、高い流動抵抗を生じずに排気ガスが内側チューブを通って流れることができるようにする孔または流路が設けられる。これにより、管状ケーシングの内部に配置される空洞を外側に配置される層で形成された折り曲げ部に接続することが容易になる。内側チューブへの層の接続は、機械的接続手段または熱的接合によって実現され得る。特に、機械的固定手段を用いた固定に鑑みて、内側チューブは好ましくは複数部品構造であると仮定される。気体流をフィルタ表面に向けて分岐させるため、内側チューブは通常は閉止端を備える。
【0038】
有利な構成に従うと、層は、接続領域または層によって形成される折り曲げ部もしくは通路が中心軸方向に走るように配置される。「中心軸方向に」という用語について、明確化のため、このことは、いずれの特定の精度を必要とするものではなく、むしろある状況のもとでは比較的大きな公差が許されることを指摘しておく。したがって、この場合、周方向に互いに隣接して配置され、好ましくは内側チューブの大部分にわたって延在する複数の折り曲げ部が存在する。個々の層の間および層と内側チューブとの間の接続領域は、この場合、中心軸と平行な軸方向に走る。
【0039】
代替的な構成では、層は、接続領域および/または層によって形成される折り曲げ部もしくは通路が中心軸に垂直に走るように配置される。「中心軸に垂直」という用語について、明確化のため、これはいずれの特定の精度を必要とするものではなく、むしろある状況のもとでは比較的大きな公差が許されることを指摘しておく。この特徴は、折り曲げ部が周方向に延びる環状の通路として設計されることを特に意味する。複数のこれらの環状折り曲げ部は、(中心軸方向に見られるように)互いから間隔をあけて配置される。個々の層の間および層と内側チューブとの間の接続領域は周方向に走る。
【0040】
この発明の別の局面は、上で説明された方法のうち1つによって特に作製される、自動車の内燃機関からの排気ガスを処理するための本体を提案する。この本体は複数の金属層
を有し、層は接続領域で互いと接し、層の少なくともいくつかの間にローラシーム溶接接続部が設けられて、これにより流体が流れることができる通路を層が形成する。このタイプの本体は、触媒支持担体、吸着体、フローミキサのフィルタ本体として用いるのに好適である。たとえば異なるゾーンに異なるコーティングを有することによって異なる機能を備えたゾーンが形成されるように本体を構成することも可能である。気体の透過性および/またはこれらのゾーンの構造化について、異なるように層を設計して、流れの方向に順次異なる排気ガス浄化ステップを行なうことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
この発明およびその技術的背景が図面を参照してより詳細に説明される。図面は特に好ましい例示的な実施例を示すが、この発明はそれら実施例に限定されるものではない。むしろ、排気ガス浄化のための本体の数多くの異なる設計にローラシーム溶接の作製方法用いることができ、特にこれらの製造工程を用いて、流路を形成する層の間の接続部を作製する。
【0042】
図1は、排気ガス処理のための本体を作製するのにここで用いられる、ローラシーム溶接の作製方法に係る順序を概略的に示す。図1は、互いに接する2つの金属箔12を図示する。互いの上に載る箔12は、2つの回転電極8の間を送り速度7で通過する。この方法では、2つの電極8は力9によって箔12の表面に対して押付けられる。2つの電極8は電流源26を介して互いに接続され、電流は、予め定められた周波数で電極8の間を流れ、したがって箔12も局所的に通る。電流は箔12を加熱し、これにより箔は少なくとも部分的に溶融する。箔12は、この場合、たとえば0.02から0.1mmの範囲の厚み22を有する。ジュール抵抗加熱の結果、好ましくは互いと合体して封止シーム5を形成する複数の溶接スポット6が2つの箔12の間の接触領域に形成される。
【0043】
図2は、2つの隣接する層2の間に形成される接続領域3の詳細図を概略的に示す。層2は、フランジを付けられた箔12を端縁領域10の近くに有するフィルタフリース13を備えて形成される。箔12はフィルタフリース13を越えて突出し、端縁領域10を形成し、これは回転電極8を通って最終的に押し出されて、2つの箔12の間にローラシーム溶接接続が作製される。フィルタフリース13は破線矢印で示されるように気体を透過する設計であるが、箔12自体はこの場合気体を透過しない。この場合、箔12は支持手段12を固定するように同時に働き、互いに対する層2の規定された位置を確実にするので、折り曲げ部16は常に所望の形状にある。
【0044】
図3は、実質的に互いに平行に配置された層2を備えるプレート状構造の本体を示す。図示される実施例のプレート状層2は、フィルタ材料15を含浸した支持構造14を含む。各々の場合、接続領域3は層2の交互の側の端縁領域に形成される。接続領域3は、ここでもローラシーム溶接接続を含む。接続領域3は、ハウジング18を直接に支え、接合するようにハウジング18に接続される。層2の間に配置される支持手段17は、たとえば、層2が直接に平らに互いを支えるのを防止する、構造化された金属箔または層2それ自体の構造である。図示された本体1については、隣接する通路4に閉鎖部24が設けられ、これにより、気体流が流れ23の方向に層2を通らなければならない「閉止粒子フィルタ」の原則が実現されることもわかる。
【0045】
図4は、特にフィルタとして用いられる排気ガス処理のための本体1の別の変形実施例を示す。この図は、浄化されるべき気体流がまずカバープレート25を通って中心軸21の方向へ内部領域に入る半径流概念を示す。裏側カバープレート25は内側流路を閉止し、したがって強制的に排気ガスが、折り曲げ部16を形成する層2を通るようにする。図示される本体1はここでも、気体の流れに圧力変動が発生しても互いに対する層2の位置を確実にする支持手段17を有する。例示的な図示される実施例では、層2は、接続領域
3および層2によって形成される折り曲げ部16が中心軸21の方向に走るように配置される。接続領域3は、各々の場合に、部分11にわたって形成される。
【0046】
図5は、特にフィルタ本体である本体1のさらなる変形実施例を示す。この場合、折り曲げ部16は、中心軸21に対して実質的に同軸に走る。層2は、少なくとも部分的に排気ガスがそれを通って流れるのを許すカバープレート25の端側上に装着される。互いに隣接して配置される層2の接続領域3は中心軸21と実質的に同軸に配置されて、ここでも「閉止粒子フィルタ」の原則を実現する。この場合、層2は、付加的にフィルタ材料15が設けられた支持構造14を含む。
【0047】
図6は、接続領域3および層2によって形成された折り曲げ部16が中心軸21に実質的に垂直に走るように層2が配置される本体1を示す。層2は、内側チューブ19の外側面20に固定される。内側チューブ19は、流れ23の方向の矢印が示すように気体流が径方向に内側に入ることができる開口を有する。点の形態で図示される折り曲げ部16外側の層2の間に付加的な支持手段17が配置される。この場合、これらの支持手段17は、一方側では内側チューブ19に、および他方側では層2に接続される。さらに、層2から間隔をあけたハウジング18によって構成全体が囲まれる。ローラシーム溶接工程を用いて生成された接続領域3は、層2の外周および内周上に形成される。それらは、各々の場合に、互いに隣接して配置される層2の間の接続部を作製する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】排気ガス処理のための本体を作製するための方法の構成の順序を概略的に示す図である。
【図2】排気ガス処理のための本体の変形実施例の詳細図である。
【図3】本体の例示的な実施例のさらなる概略図である。
【図4】長手方向の折り曲げ部を備える本体の例示的な実施例の図である。
【図5】同軸方向の折り曲げ部を備える本体のさらなる構成の図である。
【図6】周方向の折り曲げ部を備える本体のさらなる例示的な実施例の図である。
【符号の説明】
【0049】
1 本体、2 層、3 接続領域、4 通路、5 封止シーム、6 溶接スポット、7
送り速度、8 電極、9 力、10 端縁領域、11 部分、12 箔、13 フィルタフリース、14 支持構造、15 フィルタ材料、16 折り曲げ部、17 支持手段、18 ハウジング、19 内側チューブ、20 外側面、21 中心軸、22 厚み、23 流れの方向、24 閉鎖部、25 カバープレート、26 電流源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属層(2)を有する排気ガス処理のための本体(1)を作製するための方法であって、
層(2)は接続領域(3)で互いと接し、接続部は、気体流が少なくとも部分的に流れることができる通路(4)を層(2)が形成するように連続抵抗溶接工程によって作製される、方法。
【請求項2】
連続抵抗溶接工程は、ローラシーム溶接および/または突合せシーム溶接を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶接スポット(6)が重なって存在する封止シーム(5)が少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ローラシーム溶接において、0.5cm/sから30m/sの範囲、特に0.5m/分から30m/分の範囲の送り速度(7)を用いる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
溶接作業の間、電極(8)は、10Nから29kN、特に200Nから6kNの力(9)を層(2)に加える、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
層(2)は、少なくとも端縁領域(10)で、互いの上に重ねられ、この端縁領域で少なくとも部分(11)にわたって溶接され、次に変形されて、通路(4)を形成する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
層(2)は、耐高温および耐食材料から作られ、かつ好ましくは少なくとも部分的に構造化されおよび/または少なくともある領域で流体がその中を通って流れることができる、少なくとも1つの金属箔(12)によって形成される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
層(2)は、フィルタファブリック(13)またはフィルタ材料(15)を含む支持構造(14)によって形成される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
層(2)は複数部分構造であり、層(2)は接続領域(3)に金属箔(12)を設け、互いに隣接して配置される層(2)の金属箔(12)はローラシーム溶接によって接続される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
層(2)はフィルタファブリック(13)を含み、その後に接続領域(3)を形成する端縁領域(10)で、フィルタファブリック(13)は、各々の場合に1つの金属箔(12)で囲まれ、かつ好ましくはフランジ付けもされ、このように作製された複数の層(2)は最終的に互いに溶接される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
フランジ付けおよびローラシーム溶接は同時に行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
層(2)は、交互の側の端縁領域(10)で各々の場合に隣接する層(2)に接続され、各々の場合に折り曲げ部(16)を形成する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
層(2)は、好ましくは通路(4)および/または折り曲げ部(16)に配置される支持手段(17)を備えて設計される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
支持手段(17)は、層(2)が互いに接続されるのと好ましくは同時にローラシーム溶接製造工程によって層(2)に接続される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
溶接された層(2)は、好ましくは溶接またはろう付けによって少なくとも1つのハウジング(18)に接続される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
ハウジング(18)は、中心軸(21)を有する内側チューブ(19)であり、内側チューブの外側面(20)に層(2)が固定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
層(2)は、接続領域(3)および/または層(2)によって形成される折り曲げ部(16)もしくは通路(4)が中心軸(21)の方向に走るように配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
層(2)は、接続領域(3)および/または層(2)によって形成される折り曲げ部(16)もしくは通路(4)が中心軸(21)に実質的に垂直に走るように配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の方法によって特に作製される、自動車の内燃機関からの排気ガスを処理するための本体(1)であって、複数の金属層(2)を有し、層(2)は接続領域(3)で互いと接し、
層(2)の少なくともいくつかの間にローラシーム溶接接合が設けられて、これにより層(2)は流体が流れることができる通路(4)を形成することを特徴とする、本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−501696(P2007−501696A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522936(P2006−522936)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008560
【国際公開番号】WO2005/019617
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【Fターム(参考)】