説明

排気ガス浄化システム

【課題】白金族元素を使用しない又は白金族元素の使用量を大幅に削減した場合であっても、リッチ雰囲気での一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムを提供する。
【解決手段】排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムであって、該コート層に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒とを含み、該炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料から脱離又は改質された炭化水素及び/又はその改質ガスと、窒素酸化物とを該遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒上で反応させて浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化システムに関する。更に詳細には、本発明は、白金族元素を使用しない又は白金族元素の使用量を大幅に削減した場合であっても、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、十分な活性を示さなかったリーン雰囲気下におけるNOx浄化性能を向上させることができ、かつ耐久後においても三元触媒としての機能を十分に発現させることを目的とした排気ガス浄化用触媒が提案されている。
この触媒は、耐火性無機担体上に、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから成る群より選ばれた少なくとも一種の遷移金属と、バリウムと、ランタンとを含む複合酸化物を含有する触媒内層と、白金、パラジウム及びロジウムから成る群から選ばれた少なくとも一種の貴金属とを含み、上記複合酸化物を含まないシリカアルミナを含有する触媒表層とから構成される(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−220470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の排気ガス浄化用触媒にあっては、白金族元素である白金、パラジウム又はロジウムを必須成分とするものである。
そして、我々の検討において白金族元素を使用しない又は白金族元素の使用量を大幅に削減した場合には、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能が十分ではないという改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。
そして、その目的とするところは、白金族元素を使用しない又は白金族元素の使用量を大幅に削減した場合であっても、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。
そして、その結果、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒との配置を適切なものとすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムである。
そして、このシステムは、上記コート層に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒とを含む。
また、このシステムにおいては、上記炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料から脱離又は改質された炭化水素及び/又は炭化水素の改質ガスと、窒素酸化物とを上記遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒上で反応させて浄化する。
【0008】
また、本発明の第1の好適形態である排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムである。
そして、このシステムは、上記排気ガス流路の上流側のコート層に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料を含み、該排気ガス流路の下流側のコート層に遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒を含む。
【0009】
更に、本発明の第2の好適形態である排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムである。
そして、このシステムは、上記担体に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料を含む内層と遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒を含む表層とがこの順で積層形成されている。
【0010】
更にまた、本発明の第3の好適形態である排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムである。
そして、上記担体に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒とを含む組成物からなるコート層が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒との配置を適切なものとした。
そのため、白金族元素を使用しない又は白金族元素の使用量を大幅に削減した場合であっても、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】第1の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の他の例を模式的に示す説明図である。
【図3】第2の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】第2の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の他の例を模式的に示す説明図である。
【図5】第3の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図6】Pr0.8Sr0.2Fe0.95Cu0.05粉末のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の排気ガス浄化システムについて詳細に説明する。なお、本明細書においては、「炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料」を単に「材料A」、「遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒」を単に「触媒B」と表記することがある。
本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムである。
そして、このシステムは、コート層に炭化水素を吸着・脱離及び改質のいずれか一方又は双方をする材料(材料A)と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒(触媒B)とを含む。
また、このシステムにおいては、材料Aから脱離又は改質された炭化水素及び炭化水素の改質ガスのいずれか一方又は双方と、窒素酸化物とを触媒B上で反応させて浄化する。
このような構成とすることにより、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気における低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムとなる。
【0014】
以下、本発明の若干の実施形態に係る排気ガス浄化システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の一例を模式的に示す説明図である。同図(a)に示すように、本実施形態の排気ガス浄化システム1は、内燃機関100の排気ガス流路100aの上流側に担体10a、下流側に担体10bが配置されている。そして、同図(a)の拡大図である同図(b)(i)及び(ii)に示すように、担体10a、10bにはそれぞれコート層12A、12Bが形成されている。コート層12Aは炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aを含み、コート層12Bは遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bを含む。
【0016】
また、図2は、第1の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の他の例を模式的に示す説明図である。本実施形態においては、上流側のコート層と下流側のコート層との間のコート層に炭化水素改質触媒を含む構成であることが好ましい。同図(a)に示すように、本実施形態の排気ガス浄化システム1’は、内燃機関100の排気ガス流路100aの上流側に担体10a、下流側に担体10b、これらの間に担体10cが配置されている。そして、同図(a)の拡大図である同図(b)(i)〜(iii)に示すように、担体10a、10b及び10cにはそれぞれコート層12A、12B及び12Cが形成されている。コート層12Aは炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aを含み、コート層12Bは遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bを含む。また、コート層12Cは炭化水素改質触媒を含む。
【0017】
更に、図3は、第2の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の一例を模式的に示す説明図である。同図(a)に示すように、本実施形態の排気ガス浄化システム1’’は、内燃機関100の排気ガス流路100aに担体10が配置されている。そして、同図(a)の拡大図である同図(b)に示すように、担体10に内層14A、表層14Bがこの順で積層形成されている。内層14Aは、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aを含み、表層14Bは遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bを含む。
【0018】
また、図4は、第2の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成の他の例を模式的に示す説明図である。本実施形態においては、内層と表層との間の中間層が積層形成されており、この中間層が炭化水素改質触媒を含む構成であることが好ましい。同図(a)に示すように、本実施形態の排気ガス浄化システム1’’’は、内燃機関100の排気ガス流路100aに担体10が配置されている。そして、同図(a)の拡大図である同図(b)に示すように、担体10に内層14A、中間層14C、表層14Bがこの順で積層形成されている。内層14Aは、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aを含み、表層14Bは遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bを含む。また、中間層14Cは炭化水素改質触媒を含む。
【0019】
更に、図5は、第3の実施形態に係る排気ガス浄化システムの構成を模式的に示す説明図である。同図(a)に示すように、本実施形態の排気ガス浄化システム1’’’’は、内燃機関100の排気ガス流路100aに担体10が配置されている。そして、同図(a)の拡大図である同図(b)に示すように、担体10に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aと、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bとを含む組成物からなるコート層16が形成されている。また、組成物は炭化水素改質触媒を含んでいることが好ましい。
【0020】
これらのような構成とすることにより、リッチ雰囲気における一酸化炭素や炭化水素などの浄化性能及びストイキ雰囲気における低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能に優れた排気ガス浄化システムとなる。
【0021】
現時点においては、以下のようなメカニズムにより、その効果が得られていると考えている。
まず、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aが、(1)炭化水素の吸着・脱離、(2)炭化水素の吸着・脱離及び改質、(3)炭化水素の改質のいずれかをする。材料Aが炭化水素の吸着・脱離機能を発揮する場合は、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bが活性温度に達したときに供給されるHC量(還元剤量)を増やすため、触媒Bでの反応が進行し易く、NOx転化率が向上する。また、材料Aが炭化水素の改質機能を発揮する場合は、触媒Bにおいて反応し易いガスに改質(クラッキング、部分酸化、水蒸気改質等)されるため、触媒Bでの反応が進行し易く、NOx転化率が向上する。
なお、炭化水素の吸着・脱離は一般的に低温域から進行し、炭化水素の改質は一般的に低温域から高温域で進行する傾向がある。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、上述した材料Aでの吸着・脱離や改質から触媒Bでの反応への順序とガス流れ方向とが同じであるため、この浄化反応がスムーズに進行し易く、優れた浄化性能が発揮されると考えられる。更に、上記第3の実施形態においては、材料Aと触媒Bとの距離が近いため、材料Aでの吸着・脱離や改質後、すぐ近傍の触媒Bでの反応がスムーズに進行し易く、優れた浄化性能が発揮されると考えられる。
更に、炭素水素改質触媒を上記所定の位置に配置すると、炭化水素の改質がより促進され、触媒Bでの反応が更に進行し易くなるため好ましい。
但し、上記のメカニズムはあくまでも推測に基づくものである。従って、上記のメカニズム以外のメカニズムにより上述のような効果が得られていたとしても、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0022】
遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒、すなわち触媒Bとしては、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)若しくは銅(Cu)を含有する酸化物又はこれらの2種以上を含有する酸化物を挙げることができる。これらの酸化物を用いると、優れたNOx浄化性能を発揮することができる。
また、触媒Bとしては、上述の遷移金属元素を含有し、ペロブスカイト型構造を有する酸化物であることが望ましい。ペロブスカイト型構造を有する遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒は、排気ガスの雰囲気変動や熱による構造変化を抑制することができ、優れた浄化性能を発揮することができる。
ここで、遷移金属元素は、長周期周期律表における第3族元素から第11族元素をいう。また、白金族元素は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)をいう。
【0023】
炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料、すなわち材料Aとしては、ゼオライト構造を有する材料を挙げることができる。ゼオライト構造としては、FER構造、MFI構造、BEA構造、MOR構造及びFAU構造を挙げることができる。これらは単独で含まれていても組み合わされて含まれていてもよい。
このような構造を有するゼオライトは、その細孔径の大きさと排気ガス中に含まれる炭化水素の分子の大きさとが同程度であるため、吸着能が優れており、改質にも適している。
【0024】
また、材料Aが、遷移金属元素(白金族元素を除く。)、アルカリ金属元素若しくはアルカリ土類金属元素を含むようにしてもよい。このとき、単独で又は組み合わされて含まれていてもよい。これらを含むゼオライトは、酸点の状態が変化し、炭化水素の吸着能が高温まで維持されるようになる。また、ゼオライトにおける低温域から高温域での改質能が高まる。
【0025】
炭化水素改質触媒としては、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち少なくとも1種を含むアルミネートを挙げることができる。これらは1種を単独で2種以上を混合して用いることもできる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
東ソー株式会社製H型FERゼオライト(SiO/Al=102(モル比))(以下「H型FER」と表記する。)100g、シリカゾル(固形分20質量%)65g、水65gを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、H型FERスラリを作製した(スラリA)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリAをコーティングし、乾燥、焼成して、150g/Lコーティングした(触媒1A)。
次に、セリウムジルコニウム複合酸化物(CeO:ZrO=78:22(酸化物換算質量比))粒子に硝酸鉄水溶液を含浸、乾燥、焼成して、酸化鉄(Fe)を20質量%担持したセリウムジルコニウム複合酸化物を作製した(粉末B)。
この粉末Bを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、Fe担持セリウムジルコニウム複合酸化物(以下「Fe/CZ」と表記する。)スラリを作製した(スラリB)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(触媒1B)。
触媒1Aを上流側、触媒1Bを下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0028】
(実施例2)
実施例1のH型FERを東ソー株式会社製H型βゼオライト(SiO/Al=38.9(モル比))(以下「H型BEA」と表記する。)に代えて、(触媒2A)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0029】
(実施例3)
実施例1のH型FERを、Agイオン交換型FERゼオライト(Ag担持量2.2質量%)(以下「Ag交換FER」と表記する。)に代えて、(触媒3A)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0030】
(実施例4)
実施例1のH型FERを、Csイオン交換型βゼオライト(CsO/Al=1.0(モル比))(以下「Cs交換BEA」と表記する。)に代えて、(触媒4A)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0031】
(実施例5)
Pr0.8Sr0.2Fe0.95Cu0.05を仕込み組成として、酸化プラセオジム(Pr11)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化銅(CuO)及び酸化鉄(Fe)粉末を秤量し、メノウ乳鉢を用いて混合した後、1200℃で24時間仮焼成した。この試料を再度混合し、1450℃で20時間本焼成した。得られた焼結体を粉砕し粉末試料を得た(粉末C)。この粉末のX線回折スペクトルを図6に示す。図6からペロブスカイト型構造を有することが分かる。
この粉末Cを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、Pr0.8Sr0.2Fe0.95Cu0.05スラリを作製した(スラリC)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリCをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(触媒5)。
実施例3の触媒3Aを上流側、得られた触媒5を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0032】
(実施例6)
実施例1のH型FERを、Agイオン交換型βゼオライト(SiO/Al=37(モル比))(Ag担持量2.2質量%)(以下「Ag交換BEA」と表記する。)に代えて、(触媒6A)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0033】
(実施例7)
実施例6で得られた触媒6Aを上流側、実施例5で得られた触媒5を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0034】
(実施例8)
La1.5Sr1.5Mn1.95Cu0.05を仕込み組成として、酸化ランタン(La)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化マンガン(Mn)及び酸化銅(CuO)粉末を秤量し、メノウ乳鉢を用いて混合した後、1200℃で24時間仮焼成した。この試料を再度混合し、1450℃で20時間本焼成した。得られた焼結体を粉砕し粉末試料を得た(粉末D)。この粉末もX線回折スペクトル測定によりペロブスカイト型構造を有することを確認した。
この粉末Dを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、La1.5Sr1.5Mn1.95Cu0.05スラリを作製した(スラリD)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリDをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(触媒8)。
実施例6で得られた触媒6Aを上流側、得られた触媒8を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0035】
(実施例9)
実施例1のH型FERを、Feイオン交換型βゼオライト(SiO/Al=29(モル比))(Fe担持量1.9質量%)(以下「Fe交換BEA」と表記する。)に代えて、(触媒9A)としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0036】
(実施例10)
実施例9で得られた触媒9Aを上流側、実施例5で得られた触媒5を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0037】
(実施例11)
実施例9で得られた触媒9Aを上流側、実施例8で得られた触媒8を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0038】
(実施例12)
ランタン及びストロンチウムを含む有機酸溶液と、鉄を含む有機酸溶液とを、セリウムジルコニウム複合酸化物粒子に含浸させ、次いで、乾燥、焼成して、La0.85Sr0.15FeOを15質量%担持したセリウムジルコニウム複合酸化物を作製した(粉末a)。
この粉末aを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、LaSrFeO担持セリウムジルコニウム複合酸化物(以下「LaSrFeO/CZ」と表記する。)スラリを作製した(スラリa)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリaをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(触媒12)。
実施例3で得られた触媒3Aを上流側、得られた触媒12を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0039】
(実施例13)
実施例6で得られた触媒6Aを上流側、実施例12で得られた触媒12を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0040】
(実施例14)
La0.7Sr0.3AlOを仕込み組成として、酸化ランタン(La)、炭酸ストロンチウム(SrCO)及び酸化アルミニウム(Al)粉末を秤量し、メノウ乳鉢を用いて混合した後、1200℃で24時間仮焼成した。この試料を再度混合し、1450℃で20時間本焼成した。得られた焼結体を粉砕し、ランタンストロンチウムアルミネートの粉末を得た(粉末b)。
次に、この粉末bに硝酸ニッケル水溶液を含浸、乾燥、焼成して、ニッケル酸化物(NiO)を10質量%担持したランタンストロンチウムアルミネートを作製した(粉末c)。
この粉末cを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、NiO/La0.7Sr0.3AlOスラリを作製した(スラリc)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリcをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(触媒14)。
実施例9で得られた触媒9Aを上流側、実施例12で得られた触媒12を下流側、得られた触媒14をこれらの間に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0041】
(実施例15)
実施例3で得られた触媒3Aを上流側、実施例12で得られた触媒12を下流側、実施例14で得られた触媒14をこれらの間に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0042】
(実施例16)
実施例6で得られた触媒6Aを上流側、実施例12で得られた触媒12を下流側、実施例14で得られた触媒14をこれらの間に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0043】
(実施例17)
実施例1で得た触媒1Aの表層にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒17)。
【0044】
(実施例18)
実施例2で得た触媒2Aの表層にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒18)。
【0045】
(実施例19)
実施例3で得た触媒3Aの表層にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒19)。
【0046】
(実施例20)
実施例4で得た触媒4Aの表層にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒20)。
【0047】
(実施例21)
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリBをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒21)。
【0048】
(実施例22)
実施例3で得た触媒3Aの表層にスラリCをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒22)。
【0049】
(実施例23)
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリCをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒23)。
【0050】
(実施例24)
ランタン及びストロンチウムを含む有機酸溶液と、鉄を含む有機酸溶液とを、セリウムジルコニウム複合酸化物粒子に含浸させ、次いで、乾燥、焼成して、La0.85Sr0.15FeOを15質量%担持したセリウムジルコニウム複合酸化物を作製した(粉末E)。
この粉末Eを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、LaSrFeO担持セリウムジルコニウム複合酸化物(以下「LaSrFeO/CZ」と表記する。)スラリを作製した(スラリE)。
実施例6で得た触媒6Aの表層にスラリEをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒24)。
【0051】
(実施例25)
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリEをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒25)。
【0052】
(実施例26)
実施例2で得た触媒2Aの表層にスラリEをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒26)。
【0053】
(実施例27)
Agイオン交換型ZSM5(SiO/Al=40(モル比))(以下「Ag交換ZSM5」と表記する。)100g、シリカゾル(固形分20質量%)65g、水65gを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、Ag交換ZSM5スラリを作製した(スラリF)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリFをコーティングし、乾燥、焼成して、150g/Lコーティングした(触媒27A)。
触媒27Aの表層にスラリEをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒27)。
【0054】
(実施例28)
硝酸鉄水溶液を、ジルコニウム酸化物粒子に含浸させ、次いで、乾燥、焼成して、酸化鉄(Fe)を20質量%担持したジルコニウム酸化物を作製した(粉末G)。
この粉末Gを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、Fe担持ジルコニウム酸化物(以下「Fe/ZrO」と表記する。)スラリを作製した(スラリG)。
実施例6で得た触媒6Aの表層にスラリGをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒28)。
【0055】
(実施例29)
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリGをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒29)。
【0056】
(実施例30)
実施例27で得た触媒27Aの表層にスラリGをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒30)。
【0057】
(実施例31)
実施例6で得た触媒6Aの表層にスラリcをコーティングし、乾燥、焼成し、次いで、スラリaをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒31)。
【0058】
(実施例32)
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリcをコーティングし、乾燥、焼成し、次いで、スラリaをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒32)。
【0059】
(実施例33)
粉末bに硝酸コバルト水溶液を含浸、乾燥、焼成して、コバルト酸化物(CoOx)を10質量%担持したランタンストロンチウムアルミネートを作製した(粉末d)。
この粉末dを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、CoOx/La0.7Sr0.3AlOスラリを作製した(スラリd)。
実施例6で得た触媒6Aの表層にスラリdをコーティングし、乾燥、焼成し、次いで、スラリaをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒33)。
【0060】
(実施例34)
粉末bに硝酸銅水溶液を含浸、乾燥、焼成して、銅酸化物(CuO)を10質量%担持したランタンストロンチウムアルミネートを作製した(粉末d’)。
この粉末d’を159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、CuO/La0.7Sr0.3AlOスラリを作製した(スラリd’)。
実施例9で得た触媒9Aの表層にスラリd’をコーティングし、乾燥、焼成し、次いで、スラリaをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒34)。
【0061】
(実施例35)
Ag交換FERを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Bを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末B/Ag交換FER組成物スラリを作製した(スラリH)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリHをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒35)。
【0062】
(実施例36)
Ag交換ZSM5を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Gを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末G/Ag交換ZSM5組成物スラリを作製した(スラリI)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリIをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒36)。
【0063】
(実施例37)
H型ZSM5を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Gを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末G/H型ZSM5組成物スラリを作製した(スラリJ)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリJをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒37)。
【0064】
(実施例38)
Ag交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Gを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末G/Ag交換BEA組成物スラリを作製した(スラリK)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリKをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒38)。
【0065】
(実施例39)
H型BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Gを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末G/H型BEA組成物スラリを作製した(スラリL)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリLをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒39)。
【0066】
(実施例40)
Fe交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Gを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末G/Fe交換BEA組成物スラリを作製した(スラリM)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリMをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒40)。
【0067】
(実施例41)
Ag交換ZSM5を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/Ag交換ZSM5組成物スラリを作製した(スラリN)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリNをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒41)。
【0068】
(実施例42)
Fe交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/Fe交換BEA組成物スラリを作製した(スラリO)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリOをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒42)。
【0069】
(実施例43)
Ag交換ZSM5を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/Ag交換ZSM5組成物スラリを作製した(スラリP)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリPをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒43)。
【0070】
(実施例44)
Ag交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/Ag交換BEA組成物スラリを作製した(スラリQ)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリQをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒44)。
【0071】
(実施例45)
H型BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/H型BEA組成物スラリを作製した(スラリR)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリRをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒45)。
【0072】
(実施例46)
Ag交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末cを159.1gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/粉末c/Ag交換BEA組成物スラリを作製した(スラリe)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリeをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒46)。
【0073】
(実施例47)
Fe交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末cを159.1gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/粉末c/Fe交換BEA組成物スラリを作製した(スラリf)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリfをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒47)。
【0074】
(実施例48)
Ag交換ZSM5を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末cを159.1gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/粉末c/Ag交換ZSM5組成物スラリを作製した(スラリg)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリgをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒48)。
【0075】
(実施例49)
Fe交換BEAを100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末dを159.1gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/粉末d/Fe交換BEA組成物スラリを作製した(スラリh)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリhをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(触媒49)。
【0076】
(比較例1)
セリウムジルコニウム複合酸化物(CeO:ZrO=78:22(酸化物換算質量比))粒子にジニトロジアミンPt溶液を含浸し、Ptを0.1質量%担持した粉末Uを作製した。
この粉末Uを159.1gとベーマイトアルミナ15.9gと水307.5gと10質量%硝酸水溶液17.5gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、スラリを作製した(スラリU)。
直径36φ、600セル4ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリUをコーティングし、乾燥、焼成して、180g/Lコーティングした(比較触媒1)。
触媒3Aを上流側、比較触媒1を下流側に配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0077】
(比較例2)
触媒3Aのみを配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0078】
(比較例3)
触媒9Aのみを配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0079】
(比較例4、5)
触媒1Bのみを配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0080】
(比較例6、7)
触媒5のみを配置して、本例の排気ガス浄化システムを得た。
【0081】
(比較例8)
硝酸鉄水溶液を、ジルコニウム酸化物粒子に含浸させ、次いで、乾燥、焼成して、酸化鉄(Fe)を20質量%担持したジルコニウム酸化物を作製した(粉末i)。
活性アルミナ(比表面積:200m/g)を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末iを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末i/アルミナ組成物スラリを作製した(スラリi)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリiをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(比較触媒2)。
【0082】
(比較例9、10)
活性アルミナ(比表面積:200m/g)を100gと、ベーマイトアルミナ30gと、粉末Eを159.1gと、水450gと、10質量%硝酸水溶液30gとを磁器ポットに仕込み、ボールミル装置で6.5時間混合粉砕して、粉末E/アルミナ組成物スラリを作製した(スラリV)。
直径36φ、400セル6ミルのハニカム担体(容量:0.04L)にスラリVをコーティングし、乾燥、焼成して、トータル330g/Lコーティングして、本例の排気ガス浄化システムを得た(比較触媒3)。
各例の仕様の一部を表1〜表4に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
[性能評価]
(NOx5%転化温度、NOx転化率(450℃、590℃)、CO転化率(350℃)、HC転化率(350℃))
上記各例の排気ガス浄化システムを、模擬排ガス流通装置に組込み、表5又は表6に示す組成である反応ガス(ストイキ雰囲気:Z=1)を模擬排ガス流通装置に流通させて、触媒温度を30℃/minの昇温速度で600℃まで昇温させながら、NOxの転化率が5%となる温度(T5)、450℃及び590℃でのNOx転化率、350℃でのCO転化率並びに350℃でのHC転化率を測定した。なお、NOx5%転化温度以外は、一部について測定している。
得られた結果を表1〜4に併記する。
【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【0090】
(リッチCO転化率)
上記実施例3、実施例19、実施例35、比較例1、比較例8の排気ガス浄化システムを、模擬排ガス流通装置に組込み、表7に示す組成である反応ガス(リッチ雰囲気:Z=0.85)を模擬排ガス流通装置に流通させて、触媒温度600℃でのCO転化率を測定した。
得られた結果を表1〜表4に併記する。
【0091】
【表7】

【0092】
表1〜表4より、本発明の範囲に属する実施例3、実施例19及び実施例35と本発明の範囲外である比較例1とを比較すると、実施例3、実施例19及び実施例35は、白金族元素を使用しない場合であっても、リッチ雰囲気における一酸化炭素の浄化性能が優れていることが分かる。一方、本発明の範囲に属する実施例3、実施例19及び実施例35と本発明の範囲外である比較例8とを比較すると、実施例3、実施例19及び実施例35は、白金族元素を使用しない場合であっても、ストイキ雰囲気におけるNOx5%転化温度が低いことや450℃NOxの浄化性能が優れていることが分かる。
また、実施例1〜34は比較例2〜7と比べると、本発明の排気ガス浄化システムを用いることにより、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と遷移金属元素含有触媒でNOxを浄化していることが分かる。
更に、実施例35〜49は、比較例8〜10と比べると、本発明の排気ガス浄化システムを用いることにより、炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と遷移金属元素含有触媒でNOxを浄化していることが分かる。特に、実施例35〜49は、他の実施例と比較して、390〜540℃でのNOx浄化性能に優れており、CO転化率やHC転化率は250℃からグラフの立ち上がりが観察され、低温活性が優れていることが分かった。
これらは炭化水素の脱離温度域で一時的に炭化水素濃度が上昇し、遷移金属元素含有触媒のNOx浄化性能が向上したと考えられる。特に、ニッケルやコバルト、銅などを含むアルミネートからなる炭化水素改質触媒を所定の位置に配置した実施例14〜16や実施例31〜34は、NOx浄化性能が向上している。これは、炭化水素がNOx浄化を促進し易いものに改質されたためと考えられる。
また、実施例35〜49は、ゼオライト材と遷移金属含有触媒とが密に接していることから改質されたHCとNOxとが反応しやすい構造であり、NOx浄化性能が向上したとも考えられる。特に、ニッケルやコバルト、銅などを含むアルミネートからなる炭化水素改質触媒を所定の位置に配置した実施例46〜49は、NOx浄化性能が向上している。これは、炭化水素がNOx浄化を促進し易いものに改質されたためと考えられる。
更に、リッチ雰囲気におけるCOの浄化性能が向上するのは、白金族でない遷移金属を含む酸化物を触媒として用いた場合、触媒及び触媒基材のいずれか一方又は双方からの酸素放出能が向上したためと解される。
また、表1の実施例1と実施例3や実施例2と実施例4とを比較すると、ゼオライト構造を有する材料が、遷移金属元素や、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素を含むことは、ストイキ雰囲気での低温域から高温域における窒素酸化物の浄化性能の向上という観点から好ましいことが分かる。
【0093】
以上、本発明を若干の実施形態、実施例などにより説明したが、本発明は、これら実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1,1’,1’’,1’’’,1’’’’ 排気ガス浄化システム
10,10a,10b,10c 担体
12A,12B,12C,16 コート層
14A コート層(内層)
14B コート層(表層)
14C コート層(中間層)
100 内燃機関
100a 排気ガス流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムであって、
上記コート層に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒とを含み、
上記炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料から脱離又は改質された炭化水素及び/又はその改質ガスと、窒素酸化物とを上記遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒上で反応させて浄化する、ことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項2】
内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムであって、
上記排気ガス流路の上流側のコート層に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料を含み、
上記排気ガス流路の下流側のコート層に遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒を含む、
ことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項3】
上記排気ガス流路の上流側のコート層と上記排気ガス流路の下流側のコート層との間のコート層に炭化水素改質触媒を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項4】
内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムであって、
上記担体に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料を含む内層と遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒を含む表層とがこの順で積層形成されている、
ことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項5】
上記内層と上記表層との間の中間層に積層形成されており、この中間層が炭化水素改質触媒を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項6】
内燃機関の排気ガス流路に配置された担体にコート層が形成された排気ガス浄化システムであって、
上記担体に炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料と、遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒とを含む組成物からなるコート層が形成されている、
ことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項7】
上記組成物が炭化水素改質触媒を含むことを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項8】
上記遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒が、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項9】
上記炭化水素を吸着・脱離及び/又は改質する材料がゼオライト構造を有する材料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項10】
上記ゼオライト構造を有する材料が、FER、MFI、BEA、MOR及びFAU構造を有する材料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項11】
上記炭化水素改質触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むアルミネートであることを特徴とする請求項3、5、7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項12】
上記ゼオライト構造を有する材料が、遷移金属元素(白金族元素を除く。)、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項13】
上記遷移金属元素(白金族元素を除く。)含有触媒が、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、ペロブスカイト型構造を有する酸化物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−34985(P2013−34985A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12370(P2012−12370)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、希少金属代替材料開発プロジェクト/排ガス浄化向け白金族使用量低減技術開発及び代替材料開発/遷移元素による白金族代替技術及び白金族の凝集抑制技術を活用した白金族低減技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】