説明

排気マニホールド

【課題】集合部の排気通路を閉塞及び開放のいずれかに切り換えて、排気ガスの排出経路をフロント触媒が備えられるバイパス通路を経由させるか否かを切り換える開閉弁を備え、開閉弁の全閉時における排気ガスの流れを良好として、排気干渉や排気熱の損失を低減することができる排気マニホールドを提供する。
【解決手段】冷間始動時に排気ガスをフロント触媒側に導くよう開閉弁15を閉塞した場合、各ブランチパイプ3毎に集合部4内の開閉弁15の上流側の排気通路を独立した通路とすべく、パイプ装着部材11に仕切壁12が設けられる。そのため、開閉弁15の閉塞時には、各ブランチパイプ3の下流側が集合部4内において連通しないので、この部分での空気の流通が防止され、排気干渉や排気熱の損失が低減されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気マニホールドに係り、詳しくは、各気筒のブランチパイプと各ブランチパイプを1つに集合させる集合部との取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排気系において、例えば4気筒エンジンである場合、各気筒に対応する4つのブランチを1つにまとめる排気マニホールドが備えられている。排気マニホールドは、各気筒の排気ポートに対応する開口を有するヘッドフランジ部と、該フランジ部の各開口部分に連通する4つのブランチと、各ブランチの下流側を1つにまとめて排気ガス浄化のための触媒へと導く集合部とから形成されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、近年の排気マニホールドには、上記文献1のように、集合部の排気通路を閉塞及び開放のいずれかに切り換える開閉弁が設けられているものがある。このような排気マニホールドには、各ブランチの上流側端部と、開閉弁及び該開閉弁下流に設けられるメイン触媒(リア触媒)の中間部との間にバイパス通路が設けられ、該バイパス通路中にプレ触媒(フロント触媒)が配置されている。
【0004】
そして、冷間始動時には開閉弁が閉塞状態となり、排気ガスがバイパス通路からプレ触媒を経てメイン触媒に流れるようにする。これにより、プレ触媒はメイン触媒よりも早期に好適な活性化温度となり、排気ガスの浄化が効果的に行われる。一方、メイン触媒が好適な触媒活性化温度まで上昇してくると開閉弁が開放状態に切り換えられ、排気ガスが直接メイン触媒に流れるように切り換えられる。つまり、バイパス通路(プレ触媒)を経由して排気ガスを排出すると、排気抵抗が大きくエンジン出力に影響を与える。そのため、メイン触媒が好適な活性化温度まで上昇すると開閉弁が開放され、排気抵抗の小さいメイン通路(メイン触媒)へと排気ガスの流路が切り換えられるようになっている。
【0005】
ところで、上記文献1では、各ブランチを集合させる集合部において、開閉弁の上流側で排気通路が1つになっている。従って、冷間始動時に開閉弁が閉塞状態となっていても、各ブランチは集合部の開閉弁前の空間において互いに連通した状態となってしまう。これにより、各ブランチと集合部との間の空気の流通が積極的となる。
【0006】
そのため、各ブランチの集合部での連通により排気脈動による他気筒への排気干渉が大きくなるため、エンジン性能が低下してしまう。また、各ブランチ間の空気の流通が積極的となることから、この間の空気全体を排気ガスにて暖めることになってしまう。そのため、排気ガスの排気熱が奪われてしまい、プレ触媒を暖機するための熱量が低減してしまう。これにより、プレ触媒の温度の立ち上がりが緩やかとなり、プレ触媒が好適な活性化温度となるまでに時間を要してしまう。
【特許文献1】実開平7−22016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、集合部の排気通路を閉塞及び開放のいずれかに切り換えて、排気ガスの排出経路をフロント触媒が備えられるバイパス通路を経由させるか否かを切り換える開閉弁を備え、開閉弁の全閉時における排気ガスの流れを良好として、排気干渉や排気熱の損失を低減することができる排気マニホールドを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、多気筒内燃機関の各気筒に対応するブランチパイプと、前記各ブランチパイプの下流側端部を集合させてリア触媒へと導く集合部と、前記集合部の上流側と下流側とを繋ぐと共に途中にフロント触媒を介在させるためのバイパス通路と、前記集合部内の排気通路を閉塞して内燃機関からの排気ガスを前記フロント触媒側に導く一方、該排気通路を開放することで前記排気ガスを前記リア触媒側に導く開閉弁とを備えた排気マニホールドであって、
前記開閉弁の閉塞時において、集合させる前記各ブランチパイプ毎に前記集合部内の前記開閉弁の上流側の排気通路を独立させた通路構造をなしていることを特徴とする排気マニホールド。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、冷間始動時に排気ガスをフロント触媒側に導くよう開閉弁を閉塞した場合、集合させる各ブランチパイプ毎に集合部内の開閉弁の上流側の排気通路が独立した通路となる。そのため、各ブランチパイプの下流側が集合部内において連通しないので、この部分での空気の流通が防止される。これにより、集合部部分での排気脈動による他気筒への排気干渉が生じないので、エンジン性能の低下が抑制される。しかも、各ブランチパイプ毎に独立した排気通路におけるバイパス通路の下流側から開閉弁までの排気通路内の空気流動が小さくなるので、この間の空気全体を積極的に暖めなくて済み、排気ガスの排気熱の損失が小さく抑えられる。従って、フロント触媒が早期に暖気される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、多気筒内燃機関の各気筒に対応するブランチパイプと、前記各ブランチパイプの下流側端部を集合させてリア触媒へと導く集合部と、前記集合部の上流側と下流側とを繋ぐと共に途中にフロント触媒を介在させるためのバイパス通路と、前記集合部内の排気通路を閉塞して内燃機関からの排気ガスを前記フロント触媒側に導く一方、該排気通路を開放することで前記排気ガスを前記リア触媒側に導く開閉弁とを備えた排気マニホールドであって、
前記開閉弁の閉塞時において、集合させる前記各ブランチパイプ毎に前記集合部内の前記開閉弁の上流側の排気通路を独立させた通路とする仕切壁が設けられていることを特徴とする排気マニホールド。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、冷間始動時に排気ガスをフロント触媒側に導くよう開閉弁を閉塞した場合、仕切壁を設けたことにより、集合させる各ブランチパイプ毎に集合部内の開閉弁の上流側の排気通路が独立した通路となる。このようにしても、上記請求項1と同様となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記集合部の少なくとも前記ブランチパイプを集合させる部分の外形を円形状とし、
前記集合部内の各ブランチパイプ毎の排気通路断面形状を、そのブランチパイプを集合させる数に対応した等角度間隔の扇状としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気マニホールド。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、集合部の少なくともブランチパイプを集合させる部分の外形が円形状とされ、集合部内の各ブランチパイプ毎の排気通路断面形状が、そのブランチパイプを集合させる数に対応した等角度間隔の扇状とされる。つまり、集合部においてブランチパイプ毎の排気通路の断面積を極力稼ぎながらも、集合部のブランチパイプを集合させる部分の外形を極力小さくすることができ、集合部の小型化が可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記集合部には、前記各ブランチパイプ毎に対応したポート孔を有するパイプ装着部材が備えられ、集合させる前記各ブランチパイプの下流側端部が前記ポート孔にそれぞれ嵌挿して装着されると共に、前記各ブランチパイプの反挿入側の各ポート孔が前記開閉弁にて閉塞又は開放されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排気マニホールド。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、各ブランチパイプ毎に対応したポート孔を有するパイプ装着部材が備えられ、集合させる各ブランチパイプの下流側端部がポート孔にそれぞれ嵌挿されて装着される。パイプ装着部材における各ブランチパイプの反挿入側の各ポート孔が開閉弁にて閉塞又は開放される。つまり、このようなパイプ装着部材を用いるだけで、各ブランチパイプの装着が容易となると共に、開閉弁の閉塞時において各ブランチパイプ毎に独立した通路とするその切り換えが容易となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ブランチパイプの下流側端部の外形形状が前記ポート孔の形状と異なる場合、前記ブランチパイプの下流側端部の外形形状を前記ポート孔の形状に合わせて変形させて嵌挿可能としたことを特徴とする請求項4に記載の排気マニホールド。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、ブランチパイプの下流側端部の外形形状がパイプ装着部材のポート孔の形状と異なる場合、ブランチパイプの下流側端部の外形形状がポート孔の形状に合わせて変形されて嵌挿可能とされる。従って、ポート孔を形成する内壁面とブランチパイプとの間の隙間を小さくすることができ、パイプ装着部材に対するブランチパイプの装着が容易かつ確実となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記開閉弁は、アームの先端部に前記集合部内の排気通路を閉塞可能な弁体を設けてなり、該アームの基端部を回動させることで、前記集合部内の排気通路を閉塞又は開放するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排気マニホールド。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、アームの基端部を回動させることで該アームの先端部の弁体が集合部内の排気通路を閉塞又は開放する開閉弁としている。このような揺動型の開閉弁を用いることで、例えばバタフライ弁やスライド弁と比べて、開閉弁の閉塞時において各ブランチパイプ毎に独立した通路とするその切り換えが容易となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,2の発明によれば、開閉弁の全閉時における排気ガスの流れが良好となり、排気干渉や排気熱の損失を低減することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、集合部の小型化に貢献することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、各ブランチパイプの装着が容易となると共に、開閉弁の閉塞時において各ブランチパイプ毎に独立した通路とするその切り換えを容易に行うことができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、パイプ装着部材に対するブランチパイプの装着を容易かつ確実に行うことができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、開閉弁の閉塞時において各ブランチパイプ毎に独立した通路とするその切り換えを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態は、4気筒エンジンに適用される排気マニホールドである。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の排気マニホールド1は、ヘッドフランジ2、4つのブランチパイプ3、集合部4、メイン排気管5及びバイパス管6,7を備えている。
【0027】
ヘッドフランジ2は、各気筒の排気ポートに対応する4つの円形状の開口(図示略)を有する鉄製の横長板状をなしており、エンジンにガスケット(共に図示略)を介して固定される。ヘッドフランジ2の各開口周縁部には、各ブランチパイプ3の上流側端部が溶接により接合されている。各ブランチパイプ3は、ステンレス製の円筒パイプを所定形状に屈曲(各気筒の排気ポートから集合部4までの管長がそれぞれ同等となるように屈曲)して形成されている。各ブランチパイプ3は、下流側の集合部4にて排気通路が1つにまとめられる。
【0028】
図2に示すように、集合部4はステンレス製のハウジング10を有しており、該ハウジング10の上流部には、同じくステンレス製のパイプ装着部材11が固着されている。パイプ装着部材11は、図3に示すように外形が円形状をなしており、内側には断面円形状の空間が十字状の仕切壁12によって4つの空間に仕切られてなるポート孔13が設けられている。各ポート孔13は、それぞれ中心角が90°の扇状をなす断面形状をなしており、それぞれ等角度間隔に配置されている。また、仕切壁12は、パイプ装着部材11の上流側端面11aから下流側端面11bまで延びている。
【0029】
ここで、各ブランチパイプ3の下流側端部には、円筒状から各ポート孔13の断面形状に対応する外形形状(扇状)に変形された挿入部3aが形成されている。そして、パイプ装着部材11の各ポート孔13の上流側から各ブランチパイプ3の挿入部3aが嵌挿され、該挿入部3aの外周面とポート孔13を形成する内壁面との間が全周に亘って溶接により接合した接合部14が形成される。
【0030】
ハウジング10内には、パイプ装着部材11の下流側(ブランチパイプ3の反挿入側)に開閉弁15が設けられている。開閉弁15は、外部に設けられるアクチュエータ(図示略)にて回動される回動軸16と、該回動軸16に基端部が固定されるアーム17と、該アーム17の先端部に装着される弁体18とを備えている。この弁体18は、前記ポート孔13全体を覆う大きさで円盤状をなしている。開閉弁15は、アクチュエータにより回動軸16が回動されると、その回動に伴ってアーム17が揺動し、弁体18がパイプ装着部材11の下流側端面11bに当接(この場合、仕切壁12の下流側端面にも当接)して全部のポート孔13を閉塞、若しくは弁体18がパイプ装着部材11の下流側端面11bから離間して各ポート孔13を開放する。
【0031】
集合部4の下流側にはメイン排気管5が連結され、ハウジング10内の空間はメイン排気管5と連通している。メイン排気管5の下流側には、排気ガスの浄化を行うメイン触媒(リア触媒)20が取り付けられる。
【0032】
また、メイン排気管5の途中には下流側のバイパス管7が連結され、メイン排気管5はバイパス管7と連通している。また、前記各ブランチパイプ3の上流側所定部位には、上流側のバイパス管6が連結され、各ブランチパイプ3はバイパス管6と連通している。ちなみに、バイパス管6の通路断面積は、各ブランチパイプ3の通路断面積よりも小さく設定されている。これらバイパス管6,7の間には、プレ触媒(フロント触媒)21が取り付けられる。プレ触媒21は、前記メイン触媒20よりも熱容量が小さく温度の立ち上がりが早くなるように構成されているので、主にエンジンの冷間始動時に使用される。
【0033】
本実施の形態では、上記したメイン触媒20に温度センサ(図示略)が取り付けられており、該温度センサにてメイン触媒20が好適な触媒活性化温度に未達である検出状態では、開閉弁15は閉塞状態とされる。そのため、エンジンの排気ポートから排出される排気ガスは、バイパス管6、プレ触媒21、バイパス管7及びメイン排気管5を介してメイン触媒20に流れる。プレ触媒21は温度の立ち上がりが早いので、該プレ触媒21により比較的早い段階から排気ガスの浄化が良好に行われる。
【0034】
また、開閉弁15が各ポート孔13を閉塞した状態では、仕切壁12にて各ブランチパイプ3の下流側が集合部4内において連通しないので、この部分での空気の流通が防止される。これにより、集合部4部分での排気脈動による他気筒への排気干渉が生じないので、エンジン性能の低下が抑制される。しかも、各ブランチパイプ3におけるバイパス管6の下流側から開閉弁15までの空気流動が小さくなるので、この間の空気全体を積極的に暖めなくて済み、排気ガスの排気熱の損失が小さく抑えられる。従って、排気ガスの熱量が極力低減しないようにして該排気ガスをプレ触媒21に供給できる。
【0035】
やがて、温度センサにてメイン触媒20が好適な触媒活性化温度に達したことが検出されると、開閉弁15は閉塞状態から開放状態に切り換えられる。そのため、エンジンの排気ポートから排出される排気ガスは、各ブランチパイプ3から集合部4及びメイン排気管5を介してメイン触媒20に流れるようになる。つまり、メイン触媒20が好適な活性化温度に達すれば排気抵抗の大きいプレ触媒21を使用する必要がないので、開閉弁15が開放されて排気抵抗が小さくなるように切り換えられる。
【0036】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0037】
本実施の形態では、冷間始動時に排気ガスをプレ触媒21側に導くよう開閉弁15を閉塞した場合、パイプ装着部材11に仕切壁12を設けたことにより、各ブランチパイプ3毎に集合部4内の開閉弁15の上流側の排気通路が独立した通路とされる。そのため、各ブランチパイプ3の下流側が集合部4内において連通しないので、この部分での空気の流通が防止される。これにより、開閉弁15の閉塞持において、集合部4部分での排気脈動による他気筒への排気干渉が生じないので、エンジン性能の低下を抑制できる。しかも、各ブランチパイプ3におけるバイパス管6の下流側から開閉弁15までの空気流動が小さくなるので、この間の空気全体を積極的に暖めなくて済み、排気ガスの排気熱の損失が小さく抑えられる。従って、プレ触媒21の早期暖気を図ることができる。
【0038】
本実施の形態では、集合部4の少なくともブランチパイプ3を集合させる部分、すなわちパイプ装着部材11の外形が円形状とされ、集合部4内の各ブランチパイプ3毎の排気通路であるポート孔13の断面形状が、そのブランチパイプ3を集合させる数(4つ)に対応した90°等角度間隔の扇状とされる。つまり、集合部4においてブランチパイプ3毎の排気通路の断面積を極力稼ぎながらも、集合部4のブランチパイプ3を集合させるパイプ装着部材11の外形を極力小さくすることができ、集合部4の小型化に貢献することができる。
【0039】
本実施の形態では、仕切壁12により仕切られてなり各ブランチパイプ3毎に対応したポート孔13を有するパイプ装着部材11が備えられ、各ブランチパイプ3の下流側端部に設けた挿入部3aがポート孔13にそれぞれ嵌挿されて装着されている。パイプ装着部材11における各ブランチパイプ3の反挿入側(下流側端面11b)の各ポート孔13が開閉弁15にて閉塞又は開放される。つまり、このようなパイプ装着部材11を用いるだけで、各ブランチパイプ3の装着が容易となると共に、開閉弁15の閉塞時において各ブランチパイプ3毎に独立した通路とするその切り換えを容易に行うことができる。
【0040】
本実施の形態では、ブランチパイプ3の挿入部3aの外形形状がパイプ装着部材11のポート孔13の形状に合わせて変形されて嵌挿可能とされている。従って、ポート孔13を形成する内壁面とブランチパイプ3との間の隙間を小さくすることができ、パイプ装着部材11に対するブランチパイプ3の装着を容易かつ確実に行うことができる。
【0041】
本実施の形態では、アーム17の基端部を回動させることで該アーム17の先端部の弁体18が集合部4内の排気通路を閉塞又は開放する開閉弁15としている。このような揺動型の開閉弁15を用いることで、例えばバタフライ弁やスライド弁と比べて、開閉弁15の閉塞時において各ブランチパイプ3毎に独立した通路とするその切り換えを容易に行うことができる。
【0042】
本実施の形態では、開閉弁15の弁体18が円盤状をなしており、パイプ装着部材11の下流側端面11bに面的に当接可能に構成されているため、従来例(前記特許文献1)に開示された、排気通路内に設けられるバタフライ弁に比べて排気ガスのシール性を高めることができる。
【0043】
本実施の形態の排気マニホールド1では、従来例(前記特許文献1)に開示された排気マニホールドと異なり、開閉弁15が開放された場合においても、各気筒の排気ポートから排出された排気ガスを各ブランチパイプ3によって集合部4まで独立して案内するようにしているので、排気干渉が生じにくく、エンジン性能の低下を抑制できる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0045】
上記実施の形態では、各ブランチパイプ3の装着、及び各ブランチパイプ3の下流側の閉塞開放を行うべく開閉弁15が当接・離間するパイプ装着部材11を用いたが、例えば各ブランチパイプ3の下流側端面を直接、開閉弁15が当接・離間するようにしても良い。この場合、パイプ装着部材11を省略できる。
【0046】
上記実施の形態では、パイプ装着部材11のポート孔13を扇状としたが、形状はこれに限定されるものではなく、例えばブランチパイプ3の下流側端部(挿入部3a)をそのまま円筒状とし、パイプ装着部材11のポート孔13もそれに合わせて円形状としても良い。このようにすれば、ブランチパイプ3の挿入部3の加工を省略することができる。
【0047】
上記実施の形態では、4気筒エンジンに実施したが、4気筒以外の多気筒エンジンに実施しても良い。例えば、6気筒エンジンに実施した場合、ブランチパイプ3の数は6つとなる。この場合、6つのブランチパイプ3を1つの集合部4に集合させる態様と、6つのブランチパイプ3を3つで1組とし、各組に1つずつの集合部4を設ける態様がある。前者の態様では、パイプ装着部材11のポート孔13を、中心角が60°等角度間隔の扇形とするのが望ましい。後者の態様では、パイプ装着部材11のポート孔13を、中心角が120°等角度間隔の扇形とするのが望ましい。つまり、パイプ装着部材11のポート孔13の形状を、ブランチパイプを集合させる数に対応した等角度間隔の扇状にする。
【0048】
上記実施の形態では、開閉弁15においてアーム17と弁体18とを別体とし、該アーム17に弁体18を装着する構成であったが、アーム17と弁体18とを一体に形成しても良い。また、1つの弁体18にて全部のポート孔13を閉塞可能に該弁体18を形成したが、例えば各ポート孔13のそれぞれに対応した弁体としても良い。また、この開閉弁15は揺動型の開閉弁であったが、バタフライ弁やスライド弁等、その他の開閉弁を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】発明の実施の形態における排気マニホールドの正面図である。
【図2】集合部の上流側を示す断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0050】
3…ブランチパイプ、3a…挿入部(下流側端部)、4…集合部、6,7…バイパス管(バイパス通路)、11…パイプ装着部材、12…仕切壁、13…ポート孔(集合部内の排気通路)、15…開閉弁、17…アーム、18…弁体、20…メイン触媒(リア触媒)、21…プレ触媒(フロント触媒)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒内燃機関の各気筒に対応するブランチパイプと、前記各ブランチパイプの下流側端部を集合させてリア触媒へと導く集合部と、前記集合部の上流側と下流側とを繋ぐと共に途中にフロント触媒を介在させるためのバイパス通路と、前記集合部内の排気通路を閉塞して内燃機関からの排気ガスを前記フロント触媒側に導く一方、該排気通路を開放することで前記排気ガスを前記リア触媒側に導く開閉弁とを備えた排気マニホールドであって、
前記開閉弁の閉塞時において、集合させる前記各ブランチパイプ毎に前記集合部内の前記開閉弁の上流側の排気通路を独立させた通路構造をなしていることを特徴とする排気マニホールド。
【請求項2】
多気筒内燃機関の各気筒に対応するブランチパイプと、前記各ブランチパイプの下流側端部を集合させてリア触媒へと導く集合部と、前記集合部の上流側と下流側とを繋ぐと共に途中にフロント触媒を介在させるためのバイパス通路と、前記集合部内の排気通路を閉塞して内燃機関からの排気ガスを前記フロント触媒側に導く一方、該排気通路を開放することで前記排気ガスを前記リア触媒側に導く開閉弁とを備えた排気マニホールドであって、
前記開閉弁の閉塞時において、集合させる前記各ブランチパイプ毎に前記集合部内の前記開閉弁の上流側の排気通路を独立させた通路とする仕切壁が設けられていることを特徴とする排気マニホールド。
【請求項3】
前記集合部の少なくとも前記ブランチパイプを集合させる部分の外形を円形状とし、
前記集合部内の各ブランチパイプ毎の排気通路断面形状を、そのブランチパイプを集合させる数に対応した等角度間隔の扇状としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気マニホールド。
【請求項4】
前記集合部には、前記各ブランチパイプ毎に対応したポート孔を有するパイプ装着部材が備えられ、集合させる前記各ブランチパイプの下流側端部が前記ポート孔にそれぞれ嵌挿して装着されると共に、前記各ブランチパイプの反挿入側の各ポート孔が前記開閉弁にて閉塞又は開放されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排気マニホールド。
【請求項5】
前記ブランチパイプの下流側端部の外形形状が前記ポート孔の形状と異なる場合、前記ブランチパイプの下流側端部の外形形状を前記ポート孔の形状に合わせて変形させて嵌挿可能としたことを特徴とする請求項4に記載の排気マニホールド。
【請求項6】
前記開閉弁は、アームの先端部に前記集合部内の排気通路を閉塞可能な弁体を設けてなり、該アームの基端部を回動させることで、前記集合部内の排気通路を閉塞又は開放するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排気マニホールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−226175(P2006−226175A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40172(P2005−40172)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】