排気冷却用アダプタ
【課題】排気流路の湾曲部分にて排気流に剥離を生じさせないことにより内燃機関からの排気の冷却効率を向上させることができる排気冷却用アダプタの実現。
【解決手段】内周面16bに形成された複数の凹部24aからなる剥離抑制部24により、排気流Geは、凹部24a内の流れと凹部24a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより湾曲内側の排気流路16の下流側において排気流Geの剥離が防止され、内周面16bに接触する排気流量を十分に維持することができる。したがって湾曲内側の領域においても内周面16bから排気流路壁16aへの伝熱性を十分に高めることができる。しかも排気流路16の湾曲内側の領域においてはアダプタ壁2a内にウォータジャケット18が形成されていることから、アダプタ壁2a内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて排気の冷却効率が高まる。こうして課題が達成される。
【解決手段】内周面16bに形成された複数の凹部24aからなる剥離抑制部24により、排気流Geは、凹部24a内の流れと凹部24a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより湾曲内側の排気流路16の下流側において排気流Geの剥離が防止され、内周面16bに接触する排気流量を十分に維持することができる。したがって湾曲内側の領域においても内周面16bから排気流路壁16aへの伝熱性を十分に高めることができる。しかも排気流路16の湾曲内側の領域においてはアダプタ壁2a内にウォータジャケット18が形成されていることから、アダプタ壁2a内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて排気の冷却効率が高まる。こうして課題が達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関排気系での熱害を防止するために排気を冷却する技術が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
特許文献1では、 燃料成分含有ガスが流れる通路の壁面上に燃料成分が堆積するのを阻止するために、燃料成分が堆積しやすい部分に凹部が形成されたものである。ここで燃料成分が堆積しやすい部分とは、例えば通路の断面積が広くガスの流れが比較的小さい部分や、ガスの流れが比較的弱い屈曲した通路の内側の壁面等であるとしている。
【0003】
特許文献2では、ディーゼル式のエンジン用排気冷却装置のボンネットの内壁に凹凸状のディンプルを設けている。このことによりボンネットの内壁面近傍を流れる排気がボンネットの内壁から剥離することなく、中心部より外側にずれた部位にて排気流れが滞留してしまうことを防止でき、PMが付着堆積していくことを防止できるとしている。
【0004】
特許文献3では、排気ガス熱交換部のチューブの表面にインナーフィンやディンプルが形成されている。このインナーフィンやディンプルによりEGRガスに対する乱流効果を得ることができ、EGRガス側の熱伝達率を向上させて、熱交換性能を向上することができるとしている。
【0005】
特許文献4では、排気ポートの少なくとも一部の内壁面を、排気ガスの流れ方向に沿う形態になるように形成することにより、更にフィンを排気ガスの流れ方向に沿って形成することにより内燃機関の負荷を過大に上昇させずとも冷却水が回収する発熱量が増大するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−291437号公報(第4頁、図2,3)
【特許文献2】特開2003−227695号公報(第3,4頁、図2,6)
【特許文献3】特開2010−190064号公報(第12頁、図1)
【特許文献4】特開平10−317995号公報(第4頁、図5〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載用の内燃機関のように省スペース性が要求される用途では、内燃機関の排気ポートに接続される排気冷却用アダプタはその冷却性能を確保するために、内部の排気通路を湾曲させることが必要である。
【0008】
しかしこのように排気通路を湾曲させると、特に高速ガス流速域では湾曲内側にて排気通路内面から排気流の剥離が生じて冷却効率が低下してしまうおそれがある。
特許文献1では壁面上に凹部を形成することによりガス流に乱流を生じさせて、煤の堆積を防止するものである。したがって流れの剥離については開示されておらず、しかも熱交換とは無関係である。
【0009】
特許文献2では熱交換部分へ排気を送り出すために拡径するテーパー面状のボンネットに設けられた凹凸状のディンプルである。したがって熱交換部分が湾曲している部分に対するものではなく、熱交換部分が湾曲した場合にどのように対処するかは開示されていない。
【0010】
特許文献3では直管状のチューブ内部にインナーフィンやディンプルが存在するが、チューブの湾曲部分の流れの剥離に対するものではなく、チューブの湾曲に対してどのように対処するかは開示されていない。
【0011】
特許文献4では流れに沿ったフィンが形成されているが、排気ポートの湾曲部での流れの剥離に対しては対処できない。
本発明は、排気流路の湾曲部分にて排気流に剥離を生じさせないことにより内燃機関からの排気の冷却効率を向上させることができる排気冷却用アダプタを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の排気冷却用アダプタは、内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタであって、前記排気流路には湾曲部分が存在すると共に、この湾曲部分における排気流路中心線よりも湾曲内側の領域における前記排気流路の内周面には剥離抑制部が形成され、同領域におけるアダプタ壁内には前記冷却水流路が形成されていることを特徴とする。
【0013】
排気流路の湾曲部分には、排気流路中心線よりも湾曲内側の領域において、その内周面に剥離抑制部が形成されている。このために排気流路を流れる排気流は、湾曲内側の内周面から剥離しにくくなり、排気流路の内周面に接触する排気流量を十分に維持することができる。このことにより湾曲内側の領域においても排気流路の内周面からアダプタ壁内への伝熱性を十分に高めることができる。
【0014】
しかも、湾曲内側の領域においてはアダプタ壁内に冷却水流路が形成されていることから、アダプタ壁内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて、排気の冷却効率が高まる。
【0015】
このようにして排気冷却用アダプタにおける排気流路の湾曲部分にて排気流が剥離を生じることなく排気の冷却効率を向上させることができる。
請求項2に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での複数の凹部として形成されていることを特徴とする。
【0016】
剥離抑制部としては、複数の凹部を排気流路の内周面に形成した構成が挙げられる。凹部により排気流が乱されて乱流が発生し、このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0017】
特に排気流路の内周面において、剥離抑制部は凸部でなく凹部として形成されていることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させることがない。
【0018】
更に凹部であることにより伝熱面積が増加すると共に、凹部底面がアダプタ壁内の冷却水流路に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
請求項3に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項2に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、前記凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大していることを特徴とする。
【0019】
湾曲部分の曲がり程度、例えば、排気流路の入口中心線や出口中心線との間の中心線間の角度や曲率などが大きいほど、湾曲内側の領域において排気流が内周面よりも剥離しやすくなる。
【0020】
凹部の深さ、分布密度、あるいは開口面積を増大すると排気流に対する剥離抑制効果が高まる。したがって湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大することで、排気流の剥離しやすさに対応して、より適切な剥離抑制が可能となる。
【0021】
しかも湾曲部分の曲がり程度が小さい位置では、凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数が減少している。このため凹部により排気流の流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部への凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0022】
請求項4に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での凹部として形成されて、この凹部の内部領域には、突起が複数形成されていると共に、これらの突起の高さは、前記凹部が存在しないものとして前記凹部上に前記排気流路の内周面を仮想した場合に、この仮想した内周面の高さ以下であることを特徴とする。
【0023】
剥離抑制部としては、凹部の内部領域に仮想した内周面の高さ以下である突起が複数形成されている構成を挙げることができる。したがって凹部が例え1つであっても内部の突起により排気流の乱流を十分に生じさせることができる。このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0024】
特に凹部内における突起はその高さが仮想した内周面の高さ以下であることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0025】
更に凹部内の突起により伝熱面積が増加すると共に、凹部底面がアダプタ壁内の冷却水流路に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
請求項5に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲内側の領域においてアダプタ壁内に形成された前記冷却水流路における冷却水の流量あるいは流速は、前記排気流路の上流側よりも下流側で大きくしたことを特徴とする。
【0026】
湾曲内側の領域における排気流路の内周面では、排気流の剥離が生じにくくされていることから、排気流から多量の伝熱がなされることになる。しかも、排気流路は上流側である内燃機関の排気ポート側よりも、下流側であるエキゾースト側の方が高温化しやすい。
【0027】
したがって剥離抑制部の形成により、伝熱が高まる湾曲内側の領域でも下流側で冷却水流路の冷却水の流量あるいは流速を大きくすることで、効果的に排気を冷却できる。
請求項6に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、前記排気流路中心線側へ持ち上げた形状としたものであることを特徴とする。
【0028】
剥離抑制部としては、湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、排気流路中心線側へ持ち上げた形状としても良い。このことにより持ち上げていなければ剥離領域となっている内周面が、持ち上げにより湾曲外側へ移動して排気流に接触させることができる。このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0029】
内周面を持ち上げて流路断面積を小さくしても、流量に影響しない部分(剥離部分)が消失するのみであることから、内燃機関の背圧が高まることはない。このため内燃機関の燃費を悪化させない。
【0030】
更に湾曲内側全体が平滑面を維持できるので凝縮水や煤等が堆積しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態1の排気冷却用アダプタを仰視した状態での斜視図。
【図2】実施の形態1の排気冷却用アダプタの正面図。
【図3】実施の形態1の排気冷却用アダプタの平面図。
【図4】実施の形態1の排気冷却用アダプタの底面図。
【図5】実施の形態1の排気冷却用アダプタの背面図。
【図6】実施の形態1の排気冷却用アダプタの右側面図。
【図7】実施の形態1の排気冷却用アダプタの左側面図。
【図8】実施の形態1の排気冷却用アダプタを俯瞰した状態の斜視図。
【図9】実施の形態1の排気冷却用アダプタを背面側から俯瞰した状態の斜視図。
【図10】実施の形態1の排気冷却用アダプタの部分破断斜視図。
【図11】実施の形態1の排気冷却用アダプタの縦断斜視図。
【図12】実施の形態1の排気冷却用アダプタの縦断面図及びその一部拡大図。
【図13】実施の形態2の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図14】実施の形態2にて排気流路の曲がり角度と凹部深さ設定との関係を示すグラフ。
【図15】実施の形態3の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図16】実施の形態3にて排気流路の曲がり角度と凹部分布密度設定との関係を示すグラフ。
【図17】実施の形態4の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断斜視図。
【図18】実施の形態5の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図19】(X),(Y)図18におけるX−X線及びY−Y線断面図。
【図20】(X),(Y)他の実施の形態における排気流路の形状を示す断面図。
【図21】(X),(Y)他の実施の形態における排気流路の形状を示す断面図。
【図22】他の実施の形態における凹部形状とセンサとの配置関係を示す断面図。
【図23】(a),(b)他の実施の形態における凹部形状を示す縦断斜視図。
【図24】他の実施の形態における凹部形状を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施の形態1]
〈構成〉図1〜9に上述した発明が適用された排気冷却用アダプタ2の外形を表す。
この排気冷却用アダプタ2は、図6,7に破線で示すごとく、内燃機関のシリンダヘッド4に開口する排気ポート4aとエキゾーストマニホールド6との間に配置されて、排気ポート4aから排出される排気を冷却してエキゾーストマニホールド6側へ排出するものである。
【0033】
本実施の形態では内燃機関はV型6気筒エンジンにおける各バンクに適用される排気冷却用アダプタ2を示している。これ以外に排気流路の数を変更することにより他の種類の内燃機関、例えば直列4気筒エンジンやV型8気筒エンジンにも適用できる。
【0034】
このような排気冷却用アダプタ2は、例えばアルミニウム合金や鉄合金などの金属材料により鋳造されたものであり、排気上流側に排気導入口8が開口するシリンダヘッド側接続面10を形成している。排気導入口8は、シリンダヘッド4における排気ポート4aの配置と数とに対応して、ここでは3つが直線状に配列して設けられている。
【0035】
排気下流側は、排気排出口12が開口するエキゾーストマニホールド側接続面14を形成している。排気排出口12はエキゾーストマニホールド6の排気流路6bに対応して3つが直線状に配列して設けられている。
【0036】
エキゾーストマニホールド側接続面14はシリンダヘッド側接続面10に対して略直交している。そしてシリンダヘッド側接続面10に設けられた排気導入口8と、エキゾーストマニホールド側接続面14に設けられた排気排出口12とはそれぞれ排気冷却用アダプタ2内に形成された3つの排気流路16にて接続されている。
【0037】
排気冷却用アダプタ2には、排気冷却用アダプタ2自身をシリンダヘッド4側のアダプタ接続面4bにボルト締結するためのボルト締結部10aが形成されている。このボルト締結部10aに形成されているボルト挿通孔10bはシリンダヘッド側接続面10に開口している。このボルト挿通孔10bにボルトを挿通し、シリンダヘッド4側のアダプタ接続面4bに開口している螺合孔にボルトを螺合することにより、排気冷却用アダプタ2をシリンダヘッド4に固定できる。このことによりシリンダヘッド4側の排気ポート4aと排気冷却用アダプタ2側の排気流路16とを接続できる。
【0038】
更に排気冷却用アダプタ2には、エキゾーストマニホールド6をボルト締結するためのボルト締結部14aが、エキゾーストマニホールド側接続面14の周辺部に形成されている。このボルト締結部14aには、エキゾーストマニホールド側接続面14に開口する螺合孔14bが形成されている。この螺合孔14bに対してエキゾーストマニホールド6のフランジ6aに形成された挿通孔を介してボルトが螺合されることで、排気冷却用アダプタ2にエキゾーストマニホールド6が接続される。このことにより排気冷却用アダプタ2の排気流路16とエキゾーストマニホールド6の排気流路6bとを接続できる。
【0039】
このように排気冷却用アダプタ2がシリンダヘッド4とエキゾーストマニホールド6とを仲介して接続することにより、排気ポート4aから排出される排気を冷却してエキゾーストマニホールド6側へ排出できる構成となる。
【0040】
図10,11に、排気冷却用アダプタ2を形成しているアダプタ壁2aを破断して内部を示す。アダプタ壁2a内には、排気流路16と共に、冷却水流路としてウォータジャケット18が形成されているウォータジャケット18内には冷却水導入口20から冷却水が導入され、ウォータジャケット18内を流れた後に冷却水排出口22から排出される。この冷却水により、排気流路16の周囲のアダプタ壁2aである排気流路壁16aを介して排気流路16内を流れる排気が冷却される。
【0041】
図12に示すごとく排気流路16は、略直交しているシリンダヘッド側接続面10とエキゾーストマニホールド側接続面14とを接続することから、全体が湾曲部分を形成している。この全体が湾曲状態の排気流路16の内周面16bには剥離抑制部24が形成されている。
【0042】
剥離抑制部24は湾曲部分における排気流路中心線16cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ここで剥離抑制部24は、湾曲内側の領域において、特に排気流Geが内周面16bから剥がれやすい位置、ここでは湾曲部分の曲がり程度が大きい位置に設けられている。
【0043】
剥離抑制部24は、半球状の複数の凹部24aを、排気流路壁16aの内周面16bに分布した構成とされている。
前述したウォータジャケット18へ冷却水を導入する冷却水導入口20は、排気流路16の湾曲内側に存在するウォータジャケット18の部分へ冷却水の流れを向けている。更に冷却水排出口22は排気流路16の湾曲内側に存在するウォータジャケット18の部分から冷却水を排出している。
【0044】
したがって剥離抑制部24が存在する側である湾曲内側の領域における排気流路壁16aの外面側にて、特に冷却水の流量及び流速が大きくされている。しかもこのような湾曲内側の領域にても、冷却水導入口20及び冷却水排出口22は、特に剥離抑制部24の位置、すなわち排気流路16の上流側よりも下流側にて冷却水流が強くなるように配置されている。
【0045】
尚、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、ボルト締結部14aが、シリンダヘッド側接続面10側から、すなわち排気流路16の上流側から、ウォータジャケット18の内部へ、排気流路16間の2ヶ所で突出している。このことにより、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、部分的に水路断面積が排気流路16の下流側よりも上流側の方が小さい状態となっている。
〈作用〉内周面16bに形成された複数の凹部24aからなる剥離抑制部24により、排気流Geは、半球状の複数の凹部24a内の流れと凹部24a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより特に排気流Geが内周面16bから剥離しやすい湾曲内側の下流側において、その剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁16aの内周面16b全体に接触した流れを維持する。
〈効果〉(1)このように排気流路16を流れる排気流Geは、湾曲内側の内周面16bから剥離しにくくなり、内周面16bに接触する排気流量を十分に維持することができる。このことにより湾曲内側の領域においても内周面16bからアダプタ壁2aの一部である排気流路壁16aへの伝熱性を十分に高めることができる。
【0046】
しかも排気流路16の湾曲内側の領域においてはアダプタ壁2a内にウォータジャケット18が形成されていることから、アダプタ壁2a内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて、排気の冷却効率が高まる。
【0047】
例えば、湾曲がない排気流路に比較して、本実施の形態のごとく90°湾曲した排気流路では、剥離抑制部24が存在しないと冷却効率が約50%に低下する。これに対して、剥離抑制部24を設けた本実施の形態の排気流路16では、剥離抑制部24が存在しないものに比較して最低(湾曲内側の排気流Geが湾曲外側での流速と同等の場合)で約3%、最高(湾曲内側で排気流Ge流速が維持されている場合)で約11%の冷却効率の向上となった。
【0048】
このようにして排気冷却用アダプタ2における排気流路16の湾曲部分にて排気流Geが剥離を生じることなく排気の冷却効率を向上させることができる。
(2)特に排気流路16の内周面16bにおいて剥離抑制部24は凸部でなく凹部24aとして形成されていることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0049】
更に凹部24aであることにより伝熱面積が増加すると共に、凹部24aの底面がアダプタ壁2a内のウォータジャケット18に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
(3)冷却水導入口20及び冷却水排出口22が前述したごとく配置されていることにより、湾曲内側の領域で、排気流路16の上流側よりも、剥離抑制部24の配置位置である下流側で、冷却水流が強くなるようにされている。
【0050】
更にウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、図12に示したごとくボルト締結部14aにより、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、部分的に水路断面積が排気流路16の下流側よりも上流側の方が小さい状態となっている。このことにより排気流路16の上流側よりも下流側で、冷却水の流速がより高くなり、かつその流量も大きくなる。
【0051】
このことから、排気流路中心線16cの湾曲内側にて高速に流れる排気に対する冷却効率を十分に高めることができる。
[実施の形態2]
〈構成〉本実施の形態の排気冷却用アダプタ102における排気流路中心線116cよりも湾曲内側の構成を図13に示す。この排気冷却用アダプタ102は、排気流路116以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0052】
排気冷却用アダプタ102の剥離抑制部124は、前記実施の形態1と同じく、排気流路116において、湾曲部分における排気流路中心線116cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ただし排気流路116の曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)が大きい位置ほど、半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積の両方が増大する形状とされている。
【0053】
曲がり角度θi,θjに対して凹部124aの深さ(mm)は図14に示すごとく設定されている。尚、凹部124aは半球形であるので、開口面積(mm2)については、深さ(mm)の二乗に比例している。
【0054】
ここで曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)は、シリンダヘッド側接続面110に開口する排気導入口108側(領域I)では、内周面116bの内で最も湾曲内側にある位置と、排気導入口108の中心線108aと平行な線108bとのなす角度である曲がり角度θiにより決定される。エキゾーストマニホールド側接続面114に開口する排気排出口112側(領域J)では、内周面116bの内で最も湾曲内側にある位置と、排気排出口112の中心線112aと平行な線112bとのなす角度である曲がり角度θjにより決定される。
【0055】
したがって線108b,112b同士が交叉する位置で凹部124aの深さ及び開口面積が最大となっている。
〈作用〉曲がり角度θi,θjが大きい位置ほど、排気流路116の湾曲内側の領域で、内周面116bからの排気流Geの剥離が起こりやすくなる。本実施の形態では、このことに対応させて半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積の両方を増大している。
【0056】
このように半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積が増大することにより、排気流Geの剥離が起こりやすい位置ほど、前記実施の形態1にて述べた乱流を強く生じさせることで、剥離を抑制する作用を強めている。
〈効果〉前記実施の形態1の効果と共に、更に曲がり角度θi,θjによる排気流Geの剥離のしやすさに対応させて、凹部124aによる乱流を強めて剥離の抑制力を強めていることから、より適切な剥離抑制が可能となる。しかも曲がり角度θi,θjが小さい部分では、凹部124aを形成しない場合も含めて、凹部124aの深さ及び開口面積の両方を減少している。したがって凹部124aにより排気流Geの流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部124aへの凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0057】
[実施の形態3]
〈構成〉本実施の形態の排気冷却用アダプタ202における排気流路中心線216cよりも湾曲内側の構成を図15に示す。この排気冷却用アダプタ202は、排気流路216以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0058】
排気冷却用アダプタ202の剥離抑制部224は、前記実施の形態1と同じく、排気流路216において湾曲部分における排気流路中心線216cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ただし、排気流路216の曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)が大きい位置ほど、半球形状の凹部224aの分布密度が増大されている。
【0059】
曲がり角度θi,θjに対して凹部224aの分布密度(個/mm2)は図16に示すごとく設定されている。凹部224aの大きさは変化していない。
曲がり角度θi,θj、シリンダヘッド側接続面210に開口する排気導入口208側の領域I、及びエキゾーストマニホールド側接続面214に開口する排気排出口212側の領域Jについては、前記実施の形態2にて説明したごとくである。
【0060】
したがって前記実施の形態2にて説明したごとく、排気導入口208及び排気排出口212の中心線208a,212aに平行な線208b,212b同士が交叉する位置で凹部224aの分布密度が最大となっている。
〈作用〉曲がり角度θi,θjが大きい位置ほど、排気流路216の湾曲内側の領域で、内周面216bから排気流Geの剥離が起こりやすくなる。本実施の形態では、このことに対応させて半球形状の凹部224aの分布密度を増大している。
【0061】
このように半球形状の凹部224aの分布密度が増大することにより、排気流Geの剥離が起こりやすい位置ほど、前記実施の形態1にて述べた乱流を強く生じさせることで、剥離を抑制する作用を強めている。
〈効果〉前記実施の形態1の効果と共に、曲がり角度θi,θjによる排気流Geの剥離のしやすさに対応させて、凹部224aによる乱流を強めて剥離の抑制力を強めている。このことから、より適切な剥離抑制が可能となる。しかも曲がり角度θi,θjが小さい部分では、凹部224aを形成しない場合も含めて、凹部224aの分布密度を減少している。したがって凹部224aにより排気流Geの流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部224aへの凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0062】
[実施の形態4]
〈構成〉図17に本実施の形態の排気冷却用アダプタ302における排気流路316の構成を示す。この排気冷却用アダプタ302は、排気流路316以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0063】
排気流路壁316aの内周面316bにおいて排気流路中心線316cよりも湾曲内側に設けられた剥離抑制部324は、全体が1つの凹部324aとして形成されている。そしてこの凹部324aの内部領域には、突起324bが複数形成されている。これらの突起324bは高さが凹部324aの深さ以内である。
【0064】
すなわち凹部324aが存在しないものとして、凹部324a上に内周面316bを仮想した場合に、これらの突起324bの高さは、仮想した内周面316bの高さ以下となるように形成されている。
【0065】
したがって突起324bの先端は凹部324a内にあり、排気流路316に飛び出してはいない。
〈作用〉内周面316bに形成された複数の突起324bを収納している剥離抑制部324により、排気流Geは、凹部324a内で突起324bにより乱されて凹部324aから飛び出す流れと凹部324a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより排気流Geが剥離しやすい湾曲内側の下流側においてもその剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁316aの内周面316bに接触した流れを維持する。
〈効果〉このように1つの凹部324aの内部領域に複数の突起324bを収納した剥離抑制部324でも、前記実施の形態1と同様な効果を生じる。
【0066】
[実施の形態5]
〈構成〉図18に本実施の形態の排気冷却用アダプタ402における排気流路416の構成を示す。この排気冷却用アダプタ402は、排気流路416以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0067】
排気流路壁416aの内周面416bにおいて排気流路中心線416cよりも湾曲内側に設けられた剥離抑制部424は、破線で示すごとく全長が断面円形状の排気流路である場合の位置から、内周面416bが排気流路中心線416c側へ持ち上げられた形状をなしている。この持ち上げ量は、湾曲部分による排気流Geの剥離の程度に対応させて、排気流路416の上流側から次第に大きくされている。
【0068】
このことにより図19の(X)に示すごとく、剥離抑制部424が形成されていない上流側の排気流路416の断面は円形であるが、図19の(Y)に示すごとく、剥離抑制部424が形成されている下流側の排気流路416の断面は、湾曲内側の内周面416bが平面状となって排気流路中心線416cに距離D分近づいている。
〈作用〉湾曲内側の内周面416bの距離D分の持ち上げは、湾曲内側で内周面416bから剥離する排気流Geの剥離距離に相当する。
【0069】
このことにより剥離抑制部424の領域に相当する内周面416bを、実際に高速に流れている排気流Geに接触させることができる。このことにより排気流Geが剥離しやすい湾曲内側の下流側においてもその剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁416aの内周面416bに接触した流れを維持する。
〈効果〉(1)このように滑らかな内周面416bであっても、湾曲部分での排気流Geの剥離を抑制でき、排気の冷却効率を向上させることができる。
【0070】
(2)特に剥離抑制部424は滑らかな面で構成されていると共に、排気流Geが剥離により停滞する位置を占めているのみであることから、排気流Geの流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0071】
(3)前記実施の形態1の(3)と同様な効果を生じる。
(4)湾曲内側全体が平滑面を維持できるので凝縮水や煤等が堆積しにくい。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態2において、凹部の深さと開口面積とを曲がり角度θi,θjに応じて変更していたが、曲がり角度θi,θjに応じて凹部の深さのみ変更しても良く、あるいは開口面積のみ変更しても良い。更にこれらに対して前記実施の形態3のごとく凹部の分布密度を組み合わせても良い。
【0072】
・前記実施の形態5においては剥離抑制部は平面状に内周面を持ち上げた形状であったが、これ以外に、図20,21の排気流路516,616で示すごとく平面に近づいた形状、すなわち大径の円周面形状とすることで、内周面を持ち上げた形状に剥離抑制部524,624を形成しても良い。
【0073】
図20の(X)は剥離抑制部524が形成されていない上流側の排気流路壁516aの内周面516b形状が真円であるものを示している。図20の(Y)は剥離抑制部524が形成されている下流側の排気流路壁516aの内周面516b形状を示している。図示するごとく排気流路中心線516cより湾曲内側に形成されている剥離抑制部524は大径の円周面形状となっている。このことにより剥離抑制部524の内周面516bは排気流路中心線516cに距離E分、持ち上げられて近づいている。
【0074】
図21の(X)は剥離抑制部624が形成されていない上流側の排気流路壁616aの内周面616b形状が楕円形であるものを示している。図21の(Y)は剥離抑制部624が形成されている下流側の排気流路壁616aの内周面616b形状を示している。図示するごとく排気流路中心線616cより湾曲内側に形成されている剥離抑制部624は、(X)では長径側の先端形部分が、真円の円周面形状となっている。このことにより剥離抑制部624の内周面616bは排気流路中心線616cに距離F分、持ち上げられて近づいている。
【0075】
・図22に示すごとく排気冷却用アダプタ802に下流側で接続するエキゾーストマニホールド806に空燃比センサなどのセンサ810を配置する場合がある。
排気冷却用アダプタ802では内燃機関の始動直後に、一時的に凝縮水が排気流路816を形成する排気流路壁816aの内周面816bに生成することがある。この凝縮水が内周面816bを流れて剥離抑制部824の凹部824a内に流れ込むと、凹部824aの縁から排気流Geに吹き飛ばされる。この場合、凝縮水の飛散方向は凹部824a内面の接線S方向となる。この接線S方向にセンサ810の先端部810aが存在すると、先端部810aに存在する検出機構を凝縮水が覆ってセンサ810の検出精度に影響するおそれがある。
【0076】
したがって図示のごとく接線Sとエキゾーストマニホールド806の内周面806aとの間の角度θ内の領域に、センサ810の先端部810aを配置する。このことにより凹部824a内の凝縮水が飛散することに対するセンサ810の検出精度への影響を防止できる。
【0077】
尚、図示したごとく接線Sから所定角度θs分、更にエキゾーストマニホールド806の内周面806aに近づけた角度位置と、エキゾーストマニホールド806の内周面806aとの間の領域に、センサ810の先端部810aを配置して、飛散水の影響防止をより確実なものとしても良い。
【0078】
・前記実施の形態1〜3の剥離抑制部は半球形の凹部により構成されていたが、他の形状の凹部でも良い。例えば図23の(a)に示すごとく排気流Geの流動方向に長い溝状の凹部924aを複数配列することにより構成された剥離抑制部924を、排気流路916の内周面916aに形成しても良い。あるいは図23の(b)に示すごとく排気流Geの流動方向とは直交する方向の長い溝状の凹部974aを複数配列することにより構成された剥離抑制部974を、排気流路966の内周面966aに形成しても良い。この他、凹部を回転楕円体の半分の形状としても良い。
【0079】
・前記各実施の形態では凹部の開口部は凹部内部空間よりも広いか、あるいは開口部と凹部内部空間とは同一の広さであった。この代わりに図24に示すごとく、開口部984aよりも凹部内部空間984bを拡大した凹部984cを複数配置して、剥離抑制部984としても良い。このことにより内燃機関の冷間始動時などのように低排気流速時は凹部内部空間984b内に排気流が入りにくいので、冷間始動時の熱損失を低減することができ、排気浄化触媒を早期に活性化できる。
【0080】
・前記各実施の形態では、図6,7,12に示したごとく、冷却水導入口20及び冷却水排出口22の配置状態や、排気流路16の上流側からのボルト締結部14aの突出状態により、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、排気流路16の上流側よりも下流側での冷却水流の流量及び流速が大きくなるようにされていた。この代わりに、冷却水流の流量及び流速のいずれか1つが排気流路16の上流側よりも下流側で大きくされていても良い。
【符号の説明】
【0081】
2…排気冷却用アダプタ、2a…アダプタ壁、4…シリンダヘッド、4a…排気ポート、4b…アダプタ接続面、6…エキゾーストマニホールド、6a…フランジ、6b…排気流路、8…排気導入口、10…シリンダヘッド側接続面、10a…ボルト締結部、10b…ボルト挿通孔、12…排気排出口、14…エキゾーストマニホールド側接続面、14a…ボルト締結部、14b…螺合孔、16…排気流路、16a…排気流路壁、16b…内周面、16c…排気流路中心線、18…ウォータジャケット、20…冷却水導入口、22…冷却水排出口、24…剥離抑制部、24a…凹部、102…排気冷却用アダプタ、108…排気導入口、108a…中心線、108b…線、110…シリンダヘッド側接続面、112…排気排出口、112a…中心線、112b…線、114…エキゾーストマニホールド側接続面、116…排気流路、116b…内周面、116c…排気流路中心線、124…剥離抑制部、124a…凹部、202…排気冷却用アダプタ、208…排気導入口、208a…中心線、208b…線、210…シリンダヘッド側接続面、212…排気排出口、212a…中心線、212b…線、214…エキゾーストマニホールド側接続面、216…排気流路、216b…内周面、216c…排気流路中心線、224…剥離抑制部、224a…凹部、302…排気冷却用アダプタ、316…排気流路、316a…排気流路壁、316b…内周面、316c…排気流路中心線、324…剥離抑制部、324a…凹部、324b…突起、402…排気冷却用アダプタ、416…排気流路、416a…排気流路壁、416b…内周面、416c…排気流路中心線、424…剥離抑制部、516…排気流路、516a…排気流路壁、516b…内周面、516c…排気流路中心線、524…剥離抑制部、616…排気流路、616a…排気流路壁、616b…内周面、616c…排気流路中心線、624…剥離抑制部、802…排気冷却用アダプタ、806…エキゾーストマニホールド、806a…内周面、810…センサ、810a…先端部、816…排気流路、816a…排気流路壁、816b…内周面、824…剥離抑制部、824a…凹部、916…排気流路、916a…内周面、924…剥離抑制部、924a…凹部、966…排気流路、966a…内周面、974…剥離抑制部、974a…凹部、984…剥離抑制部、984a…開口部、984b…凹部内部空間、984c…凹部、Ge…排気流、I,J…領域、S…接線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関排気系での熱害を防止するために排気を冷却する技術が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
特許文献1では、 燃料成分含有ガスが流れる通路の壁面上に燃料成分が堆積するのを阻止するために、燃料成分が堆積しやすい部分に凹部が形成されたものである。ここで燃料成分が堆積しやすい部分とは、例えば通路の断面積が広くガスの流れが比較的小さい部分や、ガスの流れが比較的弱い屈曲した通路の内側の壁面等であるとしている。
【0003】
特許文献2では、ディーゼル式のエンジン用排気冷却装置のボンネットの内壁に凹凸状のディンプルを設けている。このことによりボンネットの内壁面近傍を流れる排気がボンネットの内壁から剥離することなく、中心部より外側にずれた部位にて排気流れが滞留してしまうことを防止でき、PMが付着堆積していくことを防止できるとしている。
【0004】
特許文献3では、排気ガス熱交換部のチューブの表面にインナーフィンやディンプルが形成されている。このインナーフィンやディンプルによりEGRガスに対する乱流効果を得ることができ、EGRガス側の熱伝達率を向上させて、熱交換性能を向上することができるとしている。
【0005】
特許文献4では、排気ポートの少なくとも一部の内壁面を、排気ガスの流れ方向に沿う形態になるように形成することにより、更にフィンを排気ガスの流れ方向に沿って形成することにより内燃機関の負荷を過大に上昇させずとも冷却水が回収する発熱量が増大するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−291437号公報(第4頁、図2,3)
【特許文献2】特開2003−227695号公報(第3,4頁、図2,6)
【特許文献3】特開2010−190064号公報(第12頁、図1)
【特許文献4】特開平10−317995号公報(第4頁、図5〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載用の内燃機関のように省スペース性が要求される用途では、内燃機関の排気ポートに接続される排気冷却用アダプタはその冷却性能を確保するために、内部の排気通路を湾曲させることが必要である。
【0008】
しかしこのように排気通路を湾曲させると、特に高速ガス流速域では湾曲内側にて排気通路内面から排気流の剥離が生じて冷却効率が低下してしまうおそれがある。
特許文献1では壁面上に凹部を形成することによりガス流に乱流を生じさせて、煤の堆積を防止するものである。したがって流れの剥離については開示されておらず、しかも熱交換とは無関係である。
【0009】
特許文献2では熱交換部分へ排気を送り出すために拡径するテーパー面状のボンネットに設けられた凹凸状のディンプルである。したがって熱交換部分が湾曲している部分に対するものではなく、熱交換部分が湾曲した場合にどのように対処するかは開示されていない。
【0010】
特許文献3では直管状のチューブ内部にインナーフィンやディンプルが存在するが、チューブの湾曲部分の流れの剥離に対するものではなく、チューブの湾曲に対してどのように対処するかは開示されていない。
【0011】
特許文献4では流れに沿ったフィンが形成されているが、排気ポートの湾曲部での流れの剥離に対しては対処できない。
本発明は、排気流路の湾曲部分にて排気流に剥離を生じさせないことにより内燃機関からの排気の冷却効率を向上させることができる排気冷却用アダプタを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の排気冷却用アダプタは、内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタであって、前記排気流路には湾曲部分が存在すると共に、この湾曲部分における排気流路中心線よりも湾曲内側の領域における前記排気流路の内周面には剥離抑制部が形成され、同領域におけるアダプタ壁内には前記冷却水流路が形成されていることを特徴とする。
【0013】
排気流路の湾曲部分には、排気流路中心線よりも湾曲内側の領域において、その内周面に剥離抑制部が形成されている。このために排気流路を流れる排気流は、湾曲内側の内周面から剥離しにくくなり、排気流路の内周面に接触する排気流量を十分に維持することができる。このことにより湾曲内側の領域においても排気流路の内周面からアダプタ壁内への伝熱性を十分に高めることができる。
【0014】
しかも、湾曲内側の領域においてはアダプタ壁内に冷却水流路が形成されていることから、アダプタ壁内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて、排気の冷却効率が高まる。
【0015】
このようにして排気冷却用アダプタにおける排気流路の湾曲部分にて排気流が剥離を生じることなく排気の冷却効率を向上させることができる。
請求項2に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での複数の凹部として形成されていることを特徴とする。
【0016】
剥離抑制部としては、複数の凹部を排気流路の内周面に形成した構成が挙げられる。凹部により排気流が乱されて乱流が発生し、このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0017】
特に排気流路の内周面において、剥離抑制部は凸部でなく凹部として形成されていることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させることがない。
【0018】
更に凹部であることにより伝熱面積が増加すると共に、凹部底面がアダプタ壁内の冷却水流路に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
請求項3に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項2に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、前記凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大していることを特徴とする。
【0019】
湾曲部分の曲がり程度、例えば、排気流路の入口中心線や出口中心線との間の中心線間の角度や曲率などが大きいほど、湾曲内側の領域において排気流が内周面よりも剥離しやすくなる。
【0020】
凹部の深さ、分布密度、あるいは開口面積を増大すると排気流に対する剥離抑制効果が高まる。したがって湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大することで、排気流の剥離しやすさに対応して、より適切な剥離抑制が可能となる。
【0021】
しかも湾曲部分の曲がり程度が小さい位置では、凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数が減少している。このため凹部により排気流の流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部への凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0022】
請求項4に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での凹部として形成されて、この凹部の内部領域には、突起が複数形成されていると共に、これらの突起の高さは、前記凹部が存在しないものとして前記凹部上に前記排気流路の内周面を仮想した場合に、この仮想した内周面の高さ以下であることを特徴とする。
【0023】
剥離抑制部としては、凹部の内部領域に仮想した内周面の高さ以下である突起が複数形成されている構成を挙げることができる。したがって凹部が例え1つであっても内部の突起により排気流の乱流を十分に生じさせることができる。このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0024】
特に凹部内における突起はその高さが仮想した内周面の高さ以下であることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0025】
更に凹部内の突起により伝熱面積が増加すると共に、凹部底面がアダプタ壁内の冷却水流路に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
請求項5に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲内側の領域においてアダプタ壁内に形成された前記冷却水流路における冷却水の流量あるいは流速は、前記排気流路の上流側よりも下流側で大きくしたことを特徴とする。
【0026】
湾曲内側の領域における排気流路の内周面では、排気流の剥離が生じにくくされていることから、排気流から多量の伝熱がなされることになる。しかも、排気流路は上流側である内燃機関の排気ポート側よりも、下流側であるエキゾースト側の方が高温化しやすい。
【0027】
したがって剥離抑制部の形成により、伝熱が高まる湾曲内側の領域でも下流側で冷却水流路の冷却水の流量あるいは流速を大きくすることで、効果的に排気を冷却できる。
請求項6に記載の排気冷却用アダプタでは、請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、前記排気流路中心線側へ持ち上げた形状としたものであることを特徴とする。
【0028】
剥離抑制部としては、湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、排気流路中心線側へ持ち上げた形状としても良い。このことにより持ち上げていなければ剥離領域となっている内周面が、持ち上げにより湾曲外側へ移動して排気流に接触させることができる。このことにより湾曲内側の領域における排気流路の内周面から排気流が剥離しにくくなる。
【0029】
内周面を持ち上げて流路断面積を小さくしても、流量に影響しない部分(剥離部分)が消失するのみであることから、内燃機関の背圧が高まることはない。このため内燃機関の燃費を悪化させない。
【0030】
更に湾曲内側全体が平滑面を維持できるので凝縮水や煤等が堆積しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態1の排気冷却用アダプタを仰視した状態での斜視図。
【図2】実施の形態1の排気冷却用アダプタの正面図。
【図3】実施の形態1の排気冷却用アダプタの平面図。
【図4】実施の形態1の排気冷却用アダプタの底面図。
【図5】実施の形態1の排気冷却用アダプタの背面図。
【図6】実施の形態1の排気冷却用アダプタの右側面図。
【図7】実施の形態1の排気冷却用アダプタの左側面図。
【図8】実施の形態1の排気冷却用アダプタを俯瞰した状態の斜視図。
【図9】実施の形態1の排気冷却用アダプタを背面側から俯瞰した状態の斜視図。
【図10】実施の形態1の排気冷却用アダプタの部分破断斜視図。
【図11】実施の形態1の排気冷却用アダプタの縦断斜視図。
【図12】実施の形態1の排気冷却用アダプタの縦断面図及びその一部拡大図。
【図13】実施の形態2の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図14】実施の形態2にて排気流路の曲がり角度と凹部深さ設定との関係を示すグラフ。
【図15】実施の形態3の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図16】実施の形態3にて排気流路の曲がり角度と凹部分布密度設定との関係を示すグラフ。
【図17】実施の形態4の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断斜視図。
【図18】実施の形態5の排気冷却用アダプタの要部拡大縦断面図。
【図19】(X),(Y)図18におけるX−X線及びY−Y線断面図。
【図20】(X),(Y)他の実施の形態における排気流路の形状を示す断面図。
【図21】(X),(Y)他の実施の形態における排気流路の形状を示す断面図。
【図22】他の実施の形態における凹部形状とセンサとの配置関係を示す断面図。
【図23】(a),(b)他の実施の形態における凹部形状を示す縦断斜視図。
【図24】他の実施の形態における凹部形状を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施の形態1]
〈構成〉図1〜9に上述した発明が適用された排気冷却用アダプタ2の外形を表す。
この排気冷却用アダプタ2は、図6,7に破線で示すごとく、内燃機関のシリンダヘッド4に開口する排気ポート4aとエキゾーストマニホールド6との間に配置されて、排気ポート4aから排出される排気を冷却してエキゾーストマニホールド6側へ排出するものである。
【0033】
本実施の形態では内燃機関はV型6気筒エンジンにおける各バンクに適用される排気冷却用アダプタ2を示している。これ以外に排気流路の数を変更することにより他の種類の内燃機関、例えば直列4気筒エンジンやV型8気筒エンジンにも適用できる。
【0034】
このような排気冷却用アダプタ2は、例えばアルミニウム合金や鉄合金などの金属材料により鋳造されたものであり、排気上流側に排気導入口8が開口するシリンダヘッド側接続面10を形成している。排気導入口8は、シリンダヘッド4における排気ポート4aの配置と数とに対応して、ここでは3つが直線状に配列して設けられている。
【0035】
排気下流側は、排気排出口12が開口するエキゾーストマニホールド側接続面14を形成している。排気排出口12はエキゾーストマニホールド6の排気流路6bに対応して3つが直線状に配列して設けられている。
【0036】
エキゾーストマニホールド側接続面14はシリンダヘッド側接続面10に対して略直交している。そしてシリンダヘッド側接続面10に設けられた排気導入口8と、エキゾーストマニホールド側接続面14に設けられた排気排出口12とはそれぞれ排気冷却用アダプタ2内に形成された3つの排気流路16にて接続されている。
【0037】
排気冷却用アダプタ2には、排気冷却用アダプタ2自身をシリンダヘッド4側のアダプタ接続面4bにボルト締結するためのボルト締結部10aが形成されている。このボルト締結部10aに形成されているボルト挿通孔10bはシリンダヘッド側接続面10に開口している。このボルト挿通孔10bにボルトを挿通し、シリンダヘッド4側のアダプタ接続面4bに開口している螺合孔にボルトを螺合することにより、排気冷却用アダプタ2をシリンダヘッド4に固定できる。このことによりシリンダヘッド4側の排気ポート4aと排気冷却用アダプタ2側の排気流路16とを接続できる。
【0038】
更に排気冷却用アダプタ2には、エキゾーストマニホールド6をボルト締結するためのボルト締結部14aが、エキゾーストマニホールド側接続面14の周辺部に形成されている。このボルト締結部14aには、エキゾーストマニホールド側接続面14に開口する螺合孔14bが形成されている。この螺合孔14bに対してエキゾーストマニホールド6のフランジ6aに形成された挿通孔を介してボルトが螺合されることで、排気冷却用アダプタ2にエキゾーストマニホールド6が接続される。このことにより排気冷却用アダプタ2の排気流路16とエキゾーストマニホールド6の排気流路6bとを接続できる。
【0039】
このように排気冷却用アダプタ2がシリンダヘッド4とエキゾーストマニホールド6とを仲介して接続することにより、排気ポート4aから排出される排気を冷却してエキゾーストマニホールド6側へ排出できる構成となる。
【0040】
図10,11に、排気冷却用アダプタ2を形成しているアダプタ壁2aを破断して内部を示す。アダプタ壁2a内には、排気流路16と共に、冷却水流路としてウォータジャケット18が形成されているウォータジャケット18内には冷却水導入口20から冷却水が導入され、ウォータジャケット18内を流れた後に冷却水排出口22から排出される。この冷却水により、排気流路16の周囲のアダプタ壁2aである排気流路壁16aを介して排気流路16内を流れる排気が冷却される。
【0041】
図12に示すごとく排気流路16は、略直交しているシリンダヘッド側接続面10とエキゾーストマニホールド側接続面14とを接続することから、全体が湾曲部分を形成している。この全体が湾曲状態の排気流路16の内周面16bには剥離抑制部24が形成されている。
【0042】
剥離抑制部24は湾曲部分における排気流路中心線16cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ここで剥離抑制部24は、湾曲内側の領域において、特に排気流Geが内周面16bから剥がれやすい位置、ここでは湾曲部分の曲がり程度が大きい位置に設けられている。
【0043】
剥離抑制部24は、半球状の複数の凹部24aを、排気流路壁16aの内周面16bに分布した構成とされている。
前述したウォータジャケット18へ冷却水を導入する冷却水導入口20は、排気流路16の湾曲内側に存在するウォータジャケット18の部分へ冷却水の流れを向けている。更に冷却水排出口22は排気流路16の湾曲内側に存在するウォータジャケット18の部分から冷却水を排出している。
【0044】
したがって剥離抑制部24が存在する側である湾曲内側の領域における排気流路壁16aの外面側にて、特に冷却水の流量及び流速が大きくされている。しかもこのような湾曲内側の領域にても、冷却水導入口20及び冷却水排出口22は、特に剥離抑制部24の位置、すなわち排気流路16の上流側よりも下流側にて冷却水流が強くなるように配置されている。
【0045】
尚、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、ボルト締結部14aが、シリンダヘッド側接続面10側から、すなわち排気流路16の上流側から、ウォータジャケット18の内部へ、排気流路16間の2ヶ所で突出している。このことにより、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、部分的に水路断面積が排気流路16の下流側よりも上流側の方が小さい状態となっている。
〈作用〉内周面16bに形成された複数の凹部24aからなる剥離抑制部24により、排気流Geは、半球状の複数の凹部24a内の流れと凹部24a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより特に排気流Geが内周面16bから剥離しやすい湾曲内側の下流側において、その剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁16aの内周面16b全体に接触した流れを維持する。
〈効果〉(1)このように排気流路16を流れる排気流Geは、湾曲内側の内周面16bから剥離しにくくなり、内周面16bに接触する排気流量を十分に維持することができる。このことにより湾曲内側の領域においても内周面16bからアダプタ壁2aの一部である排気流路壁16aへの伝熱性を十分に高めることができる。
【0046】
しかも排気流路16の湾曲内側の領域においてはアダプタ壁2a内にウォータジャケット18が形成されていることから、アダプタ壁2a内へ伝達された熱量は迅速に冷却水に吸収されて、排気の冷却効率が高まる。
【0047】
例えば、湾曲がない排気流路に比較して、本実施の形態のごとく90°湾曲した排気流路では、剥離抑制部24が存在しないと冷却効率が約50%に低下する。これに対して、剥離抑制部24を設けた本実施の形態の排気流路16では、剥離抑制部24が存在しないものに比較して最低(湾曲内側の排気流Geが湾曲外側での流速と同等の場合)で約3%、最高(湾曲内側で排気流Ge流速が維持されている場合)で約11%の冷却効率の向上となった。
【0048】
このようにして排気冷却用アダプタ2における排気流路16の湾曲部分にて排気流Geが剥離を生じることなく排気の冷却効率を向上させることができる。
(2)特に排気流路16の内周面16bにおいて剥離抑制部24は凸部でなく凹部24aとして形成されていることから、流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0049】
更に凹部24aであることにより伝熱面積が増加すると共に、凹部24aの底面がアダプタ壁2a内のウォータジャケット18に近づくため、排気の冷却効率が更に高まる。
(3)冷却水導入口20及び冷却水排出口22が前述したごとく配置されていることにより、湾曲内側の領域で、排気流路16の上流側よりも、剥離抑制部24の配置位置である下流側で、冷却水流が強くなるようにされている。
【0050】
更にウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、図12に示したごとくボルト締結部14aにより、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、部分的に水路断面積が排気流路16の下流側よりも上流側の方が小さい状態となっている。このことにより排気流路16の上流側よりも下流側で、冷却水の流速がより高くなり、かつその流量も大きくなる。
【0051】
このことから、排気流路中心線16cの湾曲内側にて高速に流れる排気に対する冷却効率を十分に高めることができる。
[実施の形態2]
〈構成〉本実施の形態の排気冷却用アダプタ102における排気流路中心線116cよりも湾曲内側の構成を図13に示す。この排気冷却用アダプタ102は、排気流路116以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0052】
排気冷却用アダプタ102の剥離抑制部124は、前記実施の形態1と同じく、排気流路116において、湾曲部分における排気流路中心線116cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ただし排気流路116の曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)が大きい位置ほど、半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積の両方が増大する形状とされている。
【0053】
曲がり角度θi,θjに対して凹部124aの深さ(mm)は図14に示すごとく設定されている。尚、凹部124aは半球形であるので、開口面積(mm2)については、深さ(mm)の二乗に比例している。
【0054】
ここで曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)は、シリンダヘッド側接続面110に開口する排気導入口108側(領域I)では、内周面116bの内で最も湾曲内側にある位置と、排気導入口108の中心線108aと平行な線108bとのなす角度である曲がり角度θiにより決定される。エキゾーストマニホールド側接続面114に開口する排気排出口112側(領域J)では、内周面116bの内で最も湾曲内側にある位置と、排気排出口112の中心線112aと平行な線112bとのなす角度である曲がり角度θjにより決定される。
【0055】
したがって線108b,112b同士が交叉する位置で凹部124aの深さ及び開口面積が最大となっている。
〈作用〉曲がり角度θi,θjが大きい位置ほど、排気流路116の湾曲内側の領域で、内周面116bからの排気流Geの剥離が起こりやすくなる。本実施の形態では、このことに対応させて半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積の両方を増大している。
【0056】
このように半球形状の凹部124aの深さ及び開口面積が増大することにより、排気流Geの剥離が起こりやすい位置ほど、前記実施の形態1にて述べた乱流を強く生じさせることで、剥離を抑制する作用を強めている。
〈効果〉前記実施の形態1の効果と共に、更に曲がり角度θi,θjによる排気流Geの剥離のしやすさに対応させて、凹部124aによる乱流を強めて剥離の抑制力を強めていることから、より適切な剥離抑制が可能となる。しかも曲がり角度θi,θjが小さい部分では、凹部124aを形成しない場合も含めて、凹部124aの深さ及び開口面積の両方を減少している。したがって凹部124aにより排気流Geの流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部124aへの凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0057】
[実施の形態3]
〈構成〉本実施の形態の排気冷却用アダプタ202における排気流路中心線216cよりも湾曲内側の構成を図15に示す。この排気冷却用アダプタ202は、排気流路216以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0058】
排気冷却用アダプタ202の剥離抑制部224は、前記実施の形態1と同じく、排気流路216において湾曲部分における排気流路中心線216cよりも湾曲内側の領域に形成されている。ただし、排気流路216の曲がりの程度(曲がり角度θi,θj)が大きい位置ほど、半球形状の凹部224aの分布密度が増大されている。
【0059】
曲がり角度θi,θjに対して凹部224aの分布密度(個/mm2)は図16に示すごとく設定されている。凹部224aの大きさは変化していない。
曲がり角度θi,θj、シリンダヘッド側接続面210に開口する排気導入口208側の領域I、及びエキゾーストマニホールド側接続面214に開口する排気排出口212側の領域Jについては、前記実施の形態2にて説明したごとくである。
【0060】
したがって前記実施の形態2にて説明したごとく、排気導入口208及び排気排出口212の中心線208a,212aに平行な線208b,212b同士が交叉する位置で凹部224aの分布密度が最大となっている。
〈作用〉曲がり角度θi,θjが大きい位置ほど、排気流路216の湾曲内側の領域で、内周面216bから排気流Geの剥離が起こりやすくなる。本実施の形態では、このことに対応させて半球形状の凹部224aの分布密度を増大している。
【0061】
このように半球形状の凹部224aの分布密度が増大することにより、排気流Geの剥離が起こりやすい位置ほど、前記実施の形態1にて述べた乱流を強く生じさせることで、剥離を抑制する作用を強めている。
〈効果〉前記実施の形態1の効果と共に、曲がり角度θi,θjによる排気流Geの剥離のしやすさに対応させて、凹部224aによる乱流を強めて剥離の抑制力を強めている。このことから、より適切な剥離抑制が可能となる。しかも曲がり角度θi,θjが小さい部分では、凹部224aを形成しない場合も含めて、凹部224aの分布密度を減少している。したがって凹部224aにより排気流Geの流速低下が生じたとしても、それを最小限に止めることができ、内燃機関の背圧上昇を防止できる。更に凹部224aへの凝縮水の蓄積量も低減できる。
【0062】
[実施の形態4]
〈構成〉図17に本実施の形態の排気冷却用アダプタ302における排気流路316の構成を示す。この排気冷却用アダプタ302は、排気流路316以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0063】
排気流路壁316aの内周面316bにおいて排気流路中心線316cよりも湾曲内側に設けられた剥離抑制部324は、全体が1つの凹部324aとして形成されている。そしてこの凹部324aの内部領域には、突起324bが複数形成されている。これらの突起324bは高さが凹部324aの深さ以内である。
【0064】
すなわち凹部324aが存在しないものとして、凹部324a上に内周面316bを仮想した場合に、これらの突起324bの高さは、仮想した内周面316bの高さ以下となるように形成されている。
【0065】
したがって突起324bの先端は凹部324a内にあり、排気流路316に飛び出してはいない。
〈作用〉内周面316bに形成された複数の突起324bを収納している剥離抑制部324により、排気流Geは、凹部324a内で突起324bにより乱されて凹部324aから飛び出す流れと凹部324a外の流れとが衝突することにより、流れに乱れが生じる。このことにより排気流Geが剥離しやすい湾曲内側の下流側においてもその剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁316aの内周面316bに接触した流れを維持する。
〈効果〉このように1つの凹部324aの内部領域に複数の突起324bを収納した剥離抑制部324でも、前記実施の形態1と同様な効果を生じる。
【0066】
[実施の形態5]
〈構成〉図18に本実施の形態の排気冷却用アダプタ402における排気流路416の構成を示す。この排気冷却用アダプタ402は、排気流路416以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
【0067】
排気流路壁416aの内周面416bにおいて排気流路中心線416cよりも湾曲内側に設けられた剥離抑制部424は、破線で示すごとく全長が断面円形状の排気流路である場合の位置から、内周面416bが排気流路中心線416c側へ持ち上げられた形状をなしている。この持ち上げ量は、湾曲部分による排気流Geの剥離の程度に対応させて、排気流路416の上流側から次第に大きくされている。
【0068】
このことにより図19の(X)に示すごとく、剥離抑制部424が形成されていない上流側の排気流路416の断面は円形であるが、図19の(Y)に示すごとく、剥離抑制部424が形成されている下流側の排気流路416の断面は、湾曲内側の内周面416bが平面状となって排気流路中心線416cに距離D分近づいている。
〈作用〉湾曲内側の内周面416bの距離D分の持ち上げは、湾曲内側で内周面416bから剥離する排気流Geの剥離距離に相当する。
【0069】
このことにより剥離抑制部424の領域に相当する内周面416bを、実際に高速に流れている排気流Geに接触させることができる。このことにより排気流Geが剥離しやすい湾曲内側の下流側においてもその剥離が防止される。したがって内燃機関の高速運転時においても排気流Geは十分に排気流路壁416aの内周面416bに接触した流れを維持する。
〈効果〉(1)このように滑らかな内周面416bであっても、湾曲部分での排気流Geの剥離を抑制でき、排気の冷却効率を向上させることができる。
【0070】
(2)特に剥離抑制部424は滑らかな面で構成されていると共に、排気流Geが剥離により停滞する位置を占めているのみであることから、排気流Geの流動抵抗になりにくく内燃機関の背圧を高めることがないので、内燃機関の燃費を悪化させない。
【0071】
(3)前記実施の形態1の(3)と同様な効果を生じる。
(4)湾曲内側全体が平滑面を維持できるので凝縮水や煤等が堆積しにくい。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態2において、凹部の深さと開口面積とを曲がり角度θi,θjに応じて変更していたが、曲がり角度θi,θjに応じて凹部の深さのみ変更しても良く、あるいは開口面積のみ変更しても良い。更にこれらに対して前記実施の形態3のごとく凹部の分布密度を組み合わせても良い。
【0072】
・前記実施の形態5においては剥離抑制部は平面状に内周面を持ち上げた形状であったが、これ以外に、図20,21の排気流路516,616で示すごとく平面に近づいた形状、すなわち大径の円周面形状とすることで、内周面を持ち上げた形状に剥離抑制部524,624を形成しても良い。
【0073】
図20の(X)は剥離抑制部524が形成されていない上流側の排気流路壁516aの内周面516b形状が真円であるものを示している。図20の(Y)は剥離抑制部524が形成されている下流側の排気流路壁516aの内周面516b形状を示している。図示するごとく排気流路中心線516cより湾曲内側に形成されている剥離抑制部524は大径の円周面形状となっている。このことにより剥離抑制部524の内周面516bは排気流路中心線516cに距離E分、持ち上げられて近づいている。
【0074】
図21の(X)は剥離抑制部624が形成されていない上流側の排気流路壁616aの内周面616b形状が楕円形であるものを示している。図21の(Y)は剥離抑制部624が形成されている下流側の排気流路壁616aの内周面616b形状を示している。図示するごとく排気流路中心線616cより湾曲内側に形成されている剥離抑制部624は、(X)では長径側の先端形部分が、真円の円周面形状となっている。このことにより剥離抑制部624の内周面616bは排気流路中心線616cに距離F分、持ち上げられて近づいている。
【0075】
・図22に示すごとく排気冷却用アダプタ802に下流側で接続するエキゾーストマニホールド806に空燃比センサなどのセンサ810を配置する場合がある。
排気冷却用アダプタ802では内燃機関の始動直後に、一時的に凝縮水が排気流路816を形成する排気流路壁816aの内周面816bに生成することがある。この凝縮水が内周面816bを流れて剥離抑制部824の凹部824a内に流れ込むと、凹部824aの縁から排気流Geに吹き飛ばされる。この場合、凝縮水の飛散方向は凹部824a内面の接線S方向となる。この接線S方向にセンサ810の先端部810aが存在すると、先端部810aに存在する検出機構を凝縮水が覆ってセンサ810の検出精度に影響するおそれがある。
【0076】
したがって図示のごとく接線Sとエキゾーストマニホールド806の内周面806aとの間の角度θ内の領域に、センサ810の先端部810aを配置する。このことにより凹部824a内の凝縮水が飛散することに対するセンサ810の検出精度への影響を防止できる。
【0077】
尚、図示したごとく接線Sから所定角度θs分、更にエキゾーストマニホールド806の内周面806aに近づけた角度位置と、エキゾーストマニホールド806の内周面806aとの間の領域に、センサ810の先端部810aを配置して、飛散水の影響防止をより確実なものとしても良い。
【0078】
・前記実施の形態1〜3の剥離抑制部は半球形の凹部により構成されていたが、他の形状の凹部でも良い。例えば図23の(a)に示すごとく排気流Geの流動方向に長い溝状の凹部924aを複数配列することにより構成された剥離抑制部924を、排気流路916の内周面916aに形成しても良い。あるいは図23の(b)に示すごとく排気流Geの流動方向とは直交する方向の長い溝状の凹部974aを複数配列することにより構成された剥離抑制部974を、排気流路966の内周面966aに形成しても良い。この他、凹部を回転楕円体の半分の形状としても良い。
【0079】
・前記各実施の形態では凹部の開口部は凹部内部空間よりも広いか、あるいは開口部と凹部内部空間とは同一の広さであった。この代わりに図24に示すごとく、開口部984aよりも凹部内部空間984bを拡大した凹部984cを複数配置して、剥離抑制部984としても良い。このことにより内燃機関の冷間始動時などのように低排気流速時は凹部内部空間984b内に排気流が入りにくいので、冷間始動時の熱損失を低減することができ、排気浄化触媒を早期に活性化できる。
【0080】
・前記各実施の形態では、図6,7,12に示したごとく、冷却水導入口20及び冷却水排出口22の配置状態や、排気流路16の上流側からのボルト締結部14aの突出状態により、ウォータジャケット18の湾曲内側の部分では、排気流路16の上流側よりも下流側での冷却水流の流量及び流速が大きくなるようにされていた。この代わりに、冷却水流の流量及び流速のいずれか1つが排気流路16の上流側よりも下流側で大きくされていても良い。
【符号の説明】
【0081】
2…排気冷却用アダプタ、2a…アダプタ壁、4…シリンダヘッド、4a…排気ポート、4b…アダプタ接続面、6…エキゾーストマニホールド、6a…フランジ、6b…排気流路、8…排気導入口、10…シリンダヘッド側接続面、10a…ボルト締結部、10b…ボルト挿通孔、12…排気排出口、14…エキゾーストマニホールド側接続面、14a…ボルト締結部、14b…螺合孔、16…排気流路、16a…排気流路壁、16b…内周面、16c…排気流路中心線、18…ウォータジャケット、20…冷却水導入口、22…冷却水排出口、24…剥離抑制部、24a…凹部、102…排気冷却用アダプタ、108…排気導入口、108a…中心線、108b…線、110…シリンダヘッド側接続面、112…排気排出口、112a…中心線、112b…線、114…エキゾーストマニホールド側接続面、116…排気流路、116b…内周面、116c…排気流路中心線、124…剥離抑制部、124a…凹部、202…排気冷却用アダプタ、208…排気導入口、208a…中心線、208b…線、210…シリンダヘッド側接続面、212…排気排出口、212a…中心線、212b…線、214…エキゾーストマニホールド側接続面、216…排気流路、216b…内周面、216c…排気流路中心線、224…剥離抑制部、224a…凹部、302…排気冷却用アダプタ、316…排気流路、316a…排気流路壁、316b…内周面、316c…排気流路中心線、324…剥離抑制部、324a…凹部、324b…突起、402…排気冷却用アダプタ、416…排気流路、416a…排気流路壁、416b…内周面、416c…排気流路中心線、424…剥離抑制部、516…排気流路、516a…排気流路壁、516b…内周面、516c…排気流路中心線、524…剥離抑制部、616…排気流路、616a…排気流路壁、616b…内周面、616c…排気流路中心線、624…剥離抑制部、802…排気冷却用アダプタ、806…エキゾーストマニホールド、806a…内周面、810…センサ、810a…先端部、816…排気流路、816a…排気流路壁、816b…内周面、824…剥離抑制部、824a…凹部、916…排気流路、916a…内周面、924…剥離抑制部、924a…凹部、966…排気流路、966a…内周面、974…剥離抑制部、974a…凹部、984…剥離抑制部、984a…開口部、984b…凹部内部空間、984c…凹部、Ge…排気流、I,J…領域、S…接線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタであって、
前記排気流路には湾曲部分が存在すると共に、この湾曲部分における排気流路中心線よりも湾曲内側の領域における前記排気流路の内周面には剥離抑制部が形成され、同領域におけるアダプタ壁内には前記冷却水流路が形成されていることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での複数の凹部として形成されていることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、前記凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大していることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項4】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での凹部として形成されて、この凹部の内部領域には、突起が複数形成されていると共に、これらの突起の高さは、前記凹部が存在しないものとして前記凹部上に前記排気流路の内周面を仮想した場合に、この仮想した内周面の高さ以下であることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲内側の領域においてアダプタ壁内に形成された前記冷却水流路における冷却水の流量あるいは流速は、前記排気流路の上流側よりも下流側で大きくしたことを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項6】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、前記排気流路中心線側へ持ち上げた形状としたものであることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドに開口する排気ポートとエキゾーストマニホールドとの間に配置され、内部に、排気ポートからの排気をエキゾーストマニホールドへ流す排気流路と、この排気流路を囲むアダプタ壁内に排気流路を流れる排気を冷却する冷却水流路とを形成した排気冷却用アダプタであって、
前記排気流路には湾曲部分が存在すると共に、この湾曲部分における排気流路中心線よりも湾曲内側の領域における前記排気流路の内周面には剥離抑制部が形成され、同領域におけるアダプタ壁内には前記冷却水流路が形成されていることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での複数の凹部として形成されていることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲部分の曲がり程度が大きい位置ほど、前記凹部の深さ、分布密度及び開口面積のいずれか1つ又は複数を増大していることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項4】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記排気流路の内周面での凹部として形成されて、この凹部の内部領域には、突起が複数形成されていると共に、これらの突起の高さは、前記凹部が存在しないものとして前記凹部上に前記排気流路の内周面を仮想した場合に、この仮想した内周面の高さ以下であることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記湾曲内側の領域においてアダプタ壁内に形成された前記冷却水流路における冷却水の流量あるいは流速は、前記排気流路の上流側よりも下流側で大きくしたことを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【請求項6】
請求項1に記載の排気冷却用アダプタにおいて、前記剥離抑制部は、前記湾曲内側の領域における排気流路の内周面を、前記排気流路中心線側へ持ち上げた形状としたものであることを特徴とする排気冷却用アダプタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−163070(P2012−163070A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25124(P2011−25124)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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