説明

排気浄化装置

【課題】パティキュレートフィルタの上流側の圧力を差圧センサに導入する圧力導入管(上流側配管)の詰まりを簡単な構成で防止する。
【解決手段】排気ガス中の排気微粒子等を捕集するパティキュレートフィルタ(DPNR触媒)3と、パティキュレートフィルタ3の上流側3aと下流側3bとの差圧を検出する差圧センサ10を備えた排気浄化装置1において、差圧センサ10に圧力を導入する配管のうち、パティキュレートフィルタ3の上流側の圧力を差圧センサ10に導入する上流側配管5については、パティキュレートフィルタ5に近い側に、差圧センサ10側の部分に比べて内径が大きな拡管部50を設けることで、上流側配管5内部への排気微粒子、SOOT、SOFの堆積を抑制して上流側配管5の詰まりを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気を浄化する装置に関し、特に、ディーゼルエンジンの排気をパティキュレートフィルタを用いて浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を駆動したときに排出される排気ガス中には、そのまま大気に排出することが好ましくない物質が含まれている。特に、ディーゼルエンジンの排気ガス中には、カーボンを主成分とするパティキュレート(PM:Particulate Matter)、SOOT(煤)、SOF(可溶性有機成分:Soluble Organic Fraction)などが含まれており、大気汚染の原因になる。
【0003】
排気ガス中に含まれるパティキュレート(以下、排気微粒子という)を浄化する装置としては、パティキュレートフィルタをディーゼルエンジンの排気通路に配置し、排気通路を通過する排気ガス中に含まれる排気微粒子を捕集することによって、大気中に放出されるエミッションの量を低減する排気浄化装置が知られている。パティキュレートフィルタとしては、例えばDPF(Diesel Particulate Filter)や、DPNR(Diesel Particulate−NOx Reduction system)触媒が用いられている。
【0004】
ところで、パティキュレートフィルタを用いて排気微粒子の捕集を行う場合、捕集した排気微粒子の堆積量が多くなるとパティキュレートフィルタの詰まりが生じる。このようなフィルタの詰まりが生じると、パティキュレートフィルタを通過する排気の圧力損失が増大し、これに伴うエンジンの排気背圧増大によってエンジン出力低下や燃費の低下が発生する。
【0005】
このような問題を解消するため、従来、パティキュレートフィルタに捕集された排気微粒子の捕集量(堆積量)を検出し、捕集量がある程度の量に到達したときに排気温度を上昇させる等の方法によって、パティキュレートフィルタ上の排気微粒子を燃焼・除去することにより、パティキュレートフィルタの再生を行っている。また、パティキュレートフィルタの再生時期を決定する方法として、パティキュレートフィルタの上流側圧力と下流側圧力との差圧を差圧センサ等にて検出し、その検出差圧(堆積量の推定値)が所定値を超えた時点を再生時期と判定するという方法が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平07−224636号公報
【特許文献2】特開2004−019523号公報
【特許文献3】特開2004−285882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3に記載の排気浄化装置においては、パティキュレートフィルタの上流側と下流側にそれぞれ連通する上流側配管と下流側配管とを設け、これら上流側配管と下流側配管を通じてパティキュレートフィルタの上流側と下流側の圧力を差圧センサ等に導入するという構成を採用している。
【0007】
しかし、このような構成では、排気ガス中の排気微粒子(PM)、SOOT、SOFが上流側配管(圧力導入管)内部に侵入・堆積して配管が詰まるという問題がある。特に、
SOOTは排気ガス中の未燃燃料であるHC(ハイドロカーボン)をバインダとしてデポジットとなる。さらに、排気の圧力は脈動しているため、上流側配管の圧力導入口から差圧センサ側に向けて排気ガスが繰り返して押し込まれるので、圧力導入口付近の曲り部が特に詰まりやすくなる。
【0008】
ここで、特許文献1には、パティキュレートフィルタの上流側の圧力を差圧計に導入する圧力導入管(上流側配管)が詰まることを防止する方法として、圧力導入管を脈動吸収室を介して排気管に接続することにより、排気脈動による排気微粒子の圧力導入管内への侵入を防ぐという方法が開示されている。しかし、この方法では、複雑な構造の脈動吸収室が必要であるので、量産が困難であり、生産コストが高くつく。また、特許文献1には、差圧計への圧力導入管の先端部分を排気管に挿入し、圧力導入管の先端開口付近や挿入部分を排気ガスの熱を利用して高温に保持することにより、排気微粒子の付着・堆積を防ぐ方法が開示されているが、この方法でも、排気管への圧力導入管の接続構造が複雑になるので生産性・コスト上の問題がある。
【0009】
本発明はそのような問題を解消するためになされたもので、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧を検出してパティキュレートフィルタの再生時期を判定する、またはOBDシステムで機能確認をするにあたり、圧力導入管(上流側配管)の詰まりを簡単な構成で防止することが可能な排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、排気通路に設けられ排気ガス中の排気微粒子を捕集するパティキュレートフィルタと、前記パティキュレートフィルタの上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧検出手段とを備えた排気浄化装置において、前記差圧検出手段に圧力を導入する配管のうち、前記パティキュレートフィルタの上流側の圧力を前記差圧検出手段に導入する上流側配管には、前記パティキュレートフィルタに近い側の一部に、前記差圧検出手段側の部分よりも内径が大きな拡管部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、上流側配管の圧力導入側に拡管部を設けて、その拡管部による体積と圧力検出手段側の一般径の部分までの距離とをかせいでいるので、排気ガスが配管内に入り脈動により繰り返し押し込まれても、排気ガスの侵入を拡管部内に止めることが可能となり、圧力検出手段側の一般径の部分(例えば図2のパイプ52)に排出ガスが侵入することを抑制することができる。これにより、上流側配管内部に、排気微粒子、SOOT、SOF(以下、「排気微粒子、SOOT、SOF」を総称して「排気微粒子等」という)が堆積することを抑制することができ、上流側配管の詰まりを防止することができる。しかも、圧力導入側に拡管部を設けることにより、排気ガスの侵入距離を短くすることができるので、上流側配管の全体の長さを短くすることが可能となり、エンジンコンパートメント内の配管スペースの占有率を小さくすることができる。また、耐熱性及び耐久性が要求されるエキゾーストマニホールドや排気管の圧力取出部に、脈動吸収室などの複雑な構造を設けることなく、簡単な構成のもとに上流側配管の詰まりを防止することができる。
【0012】
本発明において、上流側配管の拡管部に曲り部を設けておくと、その拡管部の曲り部の先(圧力検出手段側)に排気微粒子等が侵入しにくい構造とすることができる。
【0013】
また、上流側配管のパティキュレートフィルタ側の圧力導入口から差圧検出手段に向かう圧力導入経路において第1番目に位置する曲り部、つまり、排気微粒子等が最も堆積しやすい曲り部を拡管部に設けておくと、排気微粒子等の堆積をより効果的に抑制することができる。さらに、曲り部の曲げ角度を90°以上とすると、曲げ部から先への排気微粒子等の侵入を更に効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、差圧検出手段に圧力を導入する配管のうち、パティキュレートフィルタの上流側の圧力を差圧検出手段に導入する上流側配管については、パティキュレートフィルタに近い側に、差圧検出手段側の部分よりも内径が大きな拡管部を設けているので、上流側配管内部への排気微粒子等の堆積を抑えることができ、上流側配管の詰まりを防止することができる。これにより、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧を正確に検出することが可能となり、パティキュレートフィルタの再生時期を的確に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の排気浄化装置をディーゼルエンジンに適用した例を模式的に示す構成図である。
【0017】
−エンジン−
まず、ディーゼルエンジンの概略構成を図1を参照しながら説明する。
【0018】
この例のディーゼルエンジン101(以下、「エンジン101」という)は、例えば4気筒直噴エンジンであって、エンジン本体102の各気筒102a・・102aの燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)103・・103を備えている。インジェクタ103・・103にはコモンレール(蓄圧室)104が接続されており、このコモンレール104に高圧燃料ポンプ(図示せず)から燃料を供給し、各インジェクタ103・・103を所定のタイミングで開弁することにより、エンジン本体102の各気筒102a・・102aの燃焼室内に燃料が噴射される。この噴射された燃料は燃焼室内で燃焼され排気ガスとなって排気される。なお、エンジン101には、エンジン水温(冷却水温)を検出する水温センサ(図示せず)が配置されている。
【0019】
エンジン本体102には、インテークマニホールド105とエキゾーストマニホールド106とが接続されている。インテークマニホールド105には吸気管110が接続されており、エキゾーストマニホールド106には排気管120が接続されている。なお、エキゾーストマニホールド106には排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ(図示せ
ず)が配置される場合もある。
【0020】
吸気管110には、エアクリーナ111、熱線式のエアフローメータ112(吸気温センサ内蔵)、及び、エンジン101の吸入空気量を調整するための電子制御式のスロットルバルブ113が配置されている。また、エンジン101の排気管120には、本発明の実施形態である排気浄化装置1が配置されている。
【0021】
エンジン101には、排気圧を利用して吸入空気を過給するターボチャージャ(過給機)130が設けられている。ターボチャージャ130は、排気管120に配置されたタービン131と、吸気管110に配置されたコンプレッサ132によって構成されており、排気管120に配置のタービン131が排気のエネルギによって回転し、これに伴って吸気管110に配置のコンプレッサ132が回転する。そして、コンプレッサ132の回転により吸入空気が過給され、エンジン101の各気筒(燃焼室)102a・・102aに過給空気が強制的に送り込まれる。なお、吸気管110にはコンプレッサ132とスロットルバルブ113との間に、コンプレッサ132にて圧縮されて高温となった吸入空気を冷却するためのインタークーラ133が設けられている。
【0022】
また、エンジン101にはEGR装置140が設けられている。EGR装置140は、
吸入空気に排気ガスの一部を導入することで気筒内の燃焼温度を低下させてNOxの発生量を低減させる装置であって、吸気管110と排気管120とを連通するEGR通路141、このEGR通路141に設けられたEGRクーラ142及びEGR弁143等によって構成されており、EGR弁143の開度を調整することにより、エキゾーストマニホールド106からインテークマニホールド105に導入されるEGR量(排気還流量)を調整することができる。
【0023】
−排気浄化装置−
排気浄化装置1は、前段触媒2とDPNR触媒(パティキュレートフィルタ)3とを備えている。DPNR触媒3の上流側に配置された前段触媒2は、DPNR触媒3よりも容量が小さくて、エンジン始動時であっても排気ガスの熱により速やかに温度が上昇され活性状態となる。なお、前段触媒2は、酸化能力を有する触媒であればよく、例えば吸蔵還元型NOx触媒あるいは酸化触媒や三元触媒などが挙げられる。
【0024】
DPNR触媒3は、例えば多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気ガス中の排気微粒子は多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxは、NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると吸蔵したNOxは還元・放出される。さらに、DPNR触媒3には、捕集した排気微粒子を酸化・燃焼する触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
【0025】
前段触媒2とDPNR触媒3とは同一のケーシング4内に所定の間隔をあけて配置されている。ケーシング4には、DPNR触媒3の上流側3aに連通する圧力取出口4a及びフレア管継手7が設けられている。この上流側のフレア管継手7の継手本体71はケーシング4に固着されている。また、ケーシング4には、DPNR触媒3の下流側3bに連通する圧力取出口4b及びフレア管継手8が設けられている。この下流側3bのフレア管継手8の継手本体81はケーシング4に一体形成されている。
【0026】
これらフレア管継手7,8に、それぞれ、圧力導入用の上流側配管5と下流側配管6とが接続されており、その各接続状態で、上流側配管5がDPNR触媒3の上流側3aに連通し、下流側配管6がDPNR触媒3の下流側3bに連通する。なお、上流側配管5及び下流側配管6の詳細は後述する。
【0027】
上流側配管5のフレア管継手7への接続は、上流側配管5の端部(圧力導入口5a側の端部)に加工されたフレア51aを継手本体71内に配置した状態で、フレアナット72を継手本体71にねじ込むことによって行われる。また、下流側配管6についても、同様に、下流側配管6の端部(圧力導入口6a側の端部)に加工されたフレア61aを継手本体81内に配置した状態で、フレアナット82を継手本体81にねじ込むことによってフレア管継手8に接続される。
【0028】
上流側配管5及び下流側配管6の先端部(センサ側の端部)は、それぞれ、スリーブ状の管継手9、9を介して差圧センサ10に接続されている。差圧センサ10は、上流側配管5を通じて導入される圧力と下流側配管6を通じて導入される圧力との差圧を検出するセンサで、その検出信号はECU(電子制御ユニット)100に入力される。
【0029】
−ECU−
ECU100は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果
や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン101の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。そして、ECU100は、前記したエアフローメータ112、吸気温センサ、水温センサ、O2センサなどの各種センサの検出信号に基づいて、ディーゼルエンジン101
の各種制御を実行する。
【0030】
また、ECU100は、差圧センサ10にて検出される圧力差に基づいて、DPNR触媒3に捕集された排気微粒子の堆積量を推定し、その推定量が所定の基準値(限界堆積)以上となったときにDPNR触媒3の再生時期であると判定し、DPNR触媒3の再生処理を実行したり、差圧が正常であるか否かの判定を行う。
【0031】
なお、DPNR触媒3の再生処理としては、例えば、DPNR触媒3に堆積した排気微粒子が燃焼する温度領域まで排気温度を高める方法や、DPNR触媒3に加熱ヒータを設け、その加熱ヒータにより排気微粒子が燃焼する温度領域まで加熱する方法などが挙げられる。また、DPNR触媒3の再生時期を判定する基準値(限界堆積)は、予め計算もしくは実験等により求めた値を用いる。
【0032】
−上流側配管及び下流側配管−
次に、排気浄化装置1の上流側配管5及び下流側配管6について説明する。
【0033】
まず、下流側配管6は、図1に示すように、圧力導入口6aから出口6bまでの内径が一定のパイプ(例えばステンレス製パイプ)61によって構成されており、圧力導入口6
a側の端部にフレア61aが加工されている。また、パイプ61の出口6b側の端部には管継手9への接続用のスプール61bが加工されている。
【0034】
一方、上流側配管5は、図1及び図2に示すように、下流側配管6のパイプ61と内径が同じ一般径のセンサ側パイプ(例えばステンレス製パイプ)52と、このセンサ側パイプ52よりも内径が大きなフィルタ側パイプ(例えばステンレス製パイプ)51によって構成されている。これらセンサ側パイプ52とフィルタ側パイプ51とは、センサ側パイプ52の端部をフィルタ側パイプ51の端部内に挿し込んでろう付けすることにより接合されている。なお、フィルタ側パイプ51は、その内径が、センサ側パイプ52の外径と略等しいパイプが用いられている。
【0035】
そして、フィルタ側パイプ51の一端にはフレア51aが加工されており、フィルタ側パイプ51をDPNR触媒3の上流側3aのフレア管継手7に接続することにより、DPNR触媒3側に近い部分(圧力導入口5a付近)に拡管部50を設けることができる。
【0036】
さらに、この例の上流側配管5においては、DPNR触媒3側の圧力導入口5aから差圧センサ10に向かう圧力導入経路において第1番目に位置する曲り部51cが拡管部50に設けられており、その曲り部51cの曲げ角度を90°以上としている点に特徴がある。なお、センサ側パイプ52の端部(出口5b側の端部)には管継手9への接続用のスプール52bが加工されている。
【0037】
以上の構造の上流側配管5によれば、圧力導入口5a付近のみに拡管部50を設けているので、排気ガスが侵入する距離を短くすることができる。その理由を以下に説明する。
【0038】
図3(A)に示すように、上流側配管305の全体の内径を拡大した場合の圧力導入口305aから差圧センサ10までの圧力導入系の体積VaをVa=Va1+Va2+V3とし、上流側配管5の圧力導入口5a付近のみの内径を拡大した場合(図3(B))の体積VbをVb=Vb1+Vb2+V3とすると、図3から明らかなように、Va>Vb(
Va1>Vb1、Va2>Vb2)となる。従って、両者に同じ圧力ΔP(脈動)が作用した場合、全体の内径を拡大した上流側配管305の方がΔPによる圧縮量が大きくなるので、図3(A)に示すように、全体の内径を拡大した上流側配管305では排気ガスが距離Laまで侵入するのに対し、圧力導入口5a付近のみの内径を拡大した上流側配管5では、図3(B)に示すように、排気ガスは距離Lb(Lb<La)までしか侵入しなくなる。
【0039】
このように、上流側配管5の圧力導入口5a付近のみの内径を拡大することで、排気ガスの侵入距離を短くすることができる。これにより配管全体の長さを短くすることが可能となるので、詰まりが生じやすい曲げ部の数を少なくすることができるとともに、エンジンコンパートメント内の配管スペースの占有率を小さくすることができる。
【0040】
また、この例の上流側配管5では、DPNR触媒3側の圧力導入口5aから差圧センサ10に向かう圧力導入経路において排気微粒子等が最も堆積しやすい曲り部、つまり、DPNR触媒3に最も近い第1番目の曲り部51cを拡管部50に設けているので、曲り部51cから先(差圧センサ10側)に排気微粒子等が侵入することを抑えることができ、排気微粒子等が侵入する距離を短くすることができる。さらに、曲り部51cの曲げ角度を90°以上としているので、曲げ部51cから先への排気微粒子等の侵入を更に効果的に抑制することができる。
【0041】
次に、上流側配管の他の例を図4及び図5を参照しながら説明する。
【0042】
図4に示す上流側配管150は、図2に示した上流側配管5において、フィルタ側パイプ151の端部に、下流側配管6(図1参照)と内径が同じ短管153を接合し、その短管153の端部にフレア153aを加工している点に特徴がある。このような構成を採用すると、図1に示す上流側のフレア管継手7と下流側のフレア管継手8とを同じものを使用することが可能となり、そのフレア管継手の共通化によりコストの低減化をはかることができる。
【0043】
図5に示す上流側配管250は、大径のフィルタ側パイプ251から一般径のセンサ側パイプ252への径変化部分Rを円すいテーパ形状とした点に特徴がある。このような構成を採用すると、フィルタ側パイプ251とセンサ側パイプ252との間の径変化部分Rの内面の段差を無くすことができるので、径変化部分Rに排気微粒子等が堆積しにくくなる。
【0044】
なお、以上の実施形態では、パティキュレートフィルタとしてDPNR触媒を用いているが、本発明はこれに限られることなく、DPFを用いた排気浄化装置にも適用することができる。
【0045】
また、以上の実施形態では、本発明の排気浄化装置を筒内直噴4気筒ディーゼルエンジンに適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、例えば筒内直噴6気筒ディーゼルエンジンなど他の任意の気筒数のディーゼルエンジンにも適用できる。また、筒内直噴ディーゼルエンジンに限られることなく、他のタイプのディーゼルエンジンにも本発明を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧を検出してパティキュレートフィルタの再生時期を判定するにあたり、圧力導入管(上流側配管)の詰まりを抑制するのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の排気浄化装置をディーゼルエンジンに適用した例を模式的に示す構成図である。
【図2】図1の排気浄化装置の上流側配管のみを抽出して示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態の作用説明図である。
【図4】上流側配管の他の例を示す断面図である。
【図5】上流側配管の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 排気浄化装置
2 前段触媒
3 DPNR触媒(パティキュレートフィルタ)
3a DPNR触媒の上流側
3b DPNR触媒の下流側
4 ケーシング
4a 圧力取出口(上流側)
4b 圧力取出口(下流側)
5 上流側配管
5a 圧力導入口
5b 出口
50 拡管部
51 フィルタ側パイプ
52 センサ側パイプ
6 下流側配管
6a 圧力導入口
6b 出口
7、8 フレア管継手
9 スリーブ状の管継手
10 差圧センサ
100 ECU
101 ディーゼルエンジン
102 エンジン本体
105 インテークマニホールド
106 エキゾーストマニホールド
110 吸気管
120 排気管(排気通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路に設けられ排気ガス中の排気微粒子を捕集するパティキュレートフィルタと、前記パティキュレートフィルタの上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧検出手段とを備えた排気浄化装置において、
前記差圧検出手段に圧力を導入する配管のうち、前記パティキュレートフィルタの上流側の圧力を前記差圧検出手段に導入する上流側配管には、前記パティキュレートフィルタに近い側の一部に、前記差圧検出手段側の部分よりも内径が大きな拡管部が設けられていることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記上流側配管の拡管部に曲り部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記上流側配管の前記パティキュレートフィルタ側の圧力導入口から前記差圧検出手段に向かう圧力導入経路において第1番目に位置する曲り部が前記拡管部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記曲り部の曲げ角度が90°以上であることを特徴とする請求項2または3記載の排気浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−161572(P2006−161572A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350061(P2004−350061)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】