説明

排気溝形成方法、及び排気溝形成装置

【課題】高速運転、低速運転においても、排気溝を安定して形成でき、ゴムストリップ切れやエアー残りによる品質の低下を防止する。
【解決手段】 ゴム押出機により連続的に形成されかつ長さ方向に搬送されるゴムストリップの一面に、排気溝14を形成する。回転自在に枢支されかつ外周面に、周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブ20を突設した型付けローラ15を、ゴムストリップGに押し付けることにより排気溝14を形成するローラ押し付け工程を具える。前記ローラ押し付け工程は、ゴムストリップGの搬送速度Vが高速の時、型付けローラ15の押付け力Fを大に、かつ搬送速度Vが低速の時、前記押付け力Fを小に切り替える押付け力切り替えステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム押出機からの未加硫のゴムストリップの一面に、排気溝を形成する排気溝形成方法、及び排気溝形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤでは、近年、小型のゴム押出機により押出し成形された長尺帯状のゴムストリップを、成形ドラム上で、周方向に螺旋に巻き付けることにより、所望の断面形状に近いストリップ巻付け体をタイヤ用ゴム部材として成形ドラム上に直接形成する所謂ストリップワインド方式が提案されている。しかし、このストリップワインド方式の場合、巻き付けたゴムストリップ間やゴムストリップと成形ドラムとの間に隙間が形成されるため、加硫成形後に、この隙間内にエアー残りが発生し、ユニフォミティ等のタイヤ品質の低下を招く等の問題がある。
【0003】
そこで本出願人は、下記の特許文献1において、外周面に溝形成リブを突出させた型付けローラを、ゴムストリップに押し付けることにより、このゴムストリップの一面に排気溝を形成してエアー残りを防止する排気溝の形成方法及び装置を提案している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−051711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、ストリップワインド方式では、他のタイヤ部材の形成工程時間とのタイミングを合わせるために、ゴム押出機から成形ドラムに至る間のゴムストリップの搬送速度を高速と低速とに切り替えすることが行われる。しかし、本発明者の研究の結果、前記型付けローラを一定の押付け力にてゴムストリップに押し付けした場合、例えば低速運転時、形成される排気溝の溝深さが過大となってゴムストリップ切れを招いたり、又高速運転時、排気溝の溝深さが過小となって排気効果が充分発揮されず、エアー残りを発生させるなどの問題を招くことが判明した。
【0006】
そこで本発明は、ローラ押し付け工程において、ゴムストリップの搬送速度が高速の時、型付けローラの押付け力を大に、かつ搬送速度が低速の時、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替えステップを含ませることを基本として、高速運転、低速運転においても、排気溝を安定して形成でき、ゴムストリップ切れによる生産性の低下や、エアー残りによるタイヤ品質の低下を防止しうる排気溝形成方法、及び排気溝形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、ゴム押出機により連続的に形成されかつ長さ方向に搬送される長尺帯状の未加硫のゴムストリップの一面に、前記長さ方向と交わる向きにのびる排気溝を形成する排気溝形成方法であって、
回転自在に枢支されかつ外周面に、周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブを突設した型付けローラを、前記ゴムストリップに押し付けることにより前記排気溝を形成するローラ押し付け工程を具えるとともに、
前記ローラ押し付け工程は、前記ゴムストリップの搬送速度が高速の時、前記型付けローラのゴムストリップへの押付け力を大に、かつ搬送速度が低速の時、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替えステップを有することを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明は、ゴム押出機により連続的に形成されかつ長さ方向に搬送される長尺帯状の未加硫のゴムストリップの一面に、前記長さ方向と交わる向きにのびる排気溝を形成する排気溝形成装置であって、
回転自在に枢支されかつ外周面に、周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブを突設した型付けローラと、
この型付けローラを前記ゴムストリップに押し付けることにより前記排気溝を形成する押し付け手段とを具えるとともに、
前記押し付け手段は、前記ゴムストリップの搬送速度が高速の時、前記型付けローラのゴムストリップへの押付け力を大に、かつ搬送速度が低速の時、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替え具を含むことを特徴としている。
【0009】
又請求項3の発明では、前記押し付け手段は、前記型付けローラをゴムストリップに向かって前方に付勢するバネ付勢具を有し、かつ前記押付け力切り替え具は、前記バネ付勢具を前後に位置替えでき、この前方への位置替えにより押付け力を大に、かつ後方への位置替えにより押付け力を小に切り替えることを特徴としている。
【0010】
又請求項4の発明では、前記押付け力切り替え具は、シリンダを有し、かつ該シリンダのロッドの伸縮により前記バネ付勢具を前後に位置替えすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
叙上の如く、請求項1の方法発明では、型付けローラをゴムストリップに押し付けるローラ押し付け工程において、押付け力切り替えステップを設けている。請求項2の装置発明では、型付けローラをゴムストリップに押し付ける押し付け手段において、押付け力切り替え具を設けている。従って、高速運転時には、型付けローラの押付け力を大に、かつ低速運転時には、押付け力を小に自在に切り替えることができる。その結果、高速運転及び低速運転においても、排気溝を安定して形成でき、ゴムストリップ切れによる生産性の低下や、エアー残りによるタイヤ品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明の排気溝形成方法を実施するための排気溝形成装置1が、ゴムストリップを形成しかつ成形ドラムまで搬送するストリップ製造・搬送装置2に組み込まれた場合を概念的に示す側面図である。
【0013】
図1、2において、ストリップ製造・搬送装置(以下に製造・搬送装置という)2は、長尺帯状の未加硫のゴムストリップGを連続的に形成するゴム押出機3と、このゴム押出機3からのゴムストリップGを受け取り位置P1で受け取って成形ドラムDまで搬送する搬送コンベヤ4とを含む。そして、前記受け取り位置P1に排気溝形成装置1が配置され、図6に示す如く、ゴムストリップGの一面に、その長さ方向と交わる向きにのびる複数の排気溝14を形成する。
【0014】
前記ゴム押出機3は、所謂ローラヘッドゴム押出機であって、吐出口5Aからゴムを予備成形しながら連続的に吐出するゴム押出機本体5と、前記吐出口5Aからのゴムを圧延成形して所定断面形状のゴムストリップGを形成する上下のカレンダロール6U、6Lを有するローラヘッド6とを具える。
【0015】
又前記搬送コンベヤ4は、複数の案内ローラ30により周回運動可能に案内される非伸長性の搬送テープ31を具え、その一面に前記ゴムストリップGを粘着して保持させることにより、ゴムストリップGを前記受け取り位置P1から成形ドラムDへの送り出し位置P2まで搬送しうる。なお前記「保持」には、未加硫ゴムが有するゴム粘着性が利用される。従って、前記搬送テープ31としては、有機繊維を用いた非伸張性の補強用芯材の周囲を、未加硫ゴムとの粘着性に優れるポリエステル樹脂の表面層で被覆したものが好適に採用される。
【0016】
この搬送コンベヤ4には、前記受け取り位置P1と送り出し位置P2との間に、前記受け取り位置P1にて連続的に受け取るゴムストリップGを一時的に貯留する往路用のアキュムレータ手段8と、ゴムストリップGを送り出した後の搬送テープ31のみを一時的に貯留する帰路用のアキュムレータ手段9とが設けられる。なお前記往路用のアキュムレータ手段8の上流側には、帰路用のアキュムレータ手段9に貯留されている搬送テープ31を引き出す連続運転の駆動ローラ10が配されている。又前記往路用のアキュムレータ手段8の下流側には、前記往路用のアキュムレータ手段8に貯留されるゴムストリップ付きの搬送テープ31を、成形ドラムDと同期して間欠的に引き出す間欠運転の駆動ローラ11が配されている。
【0017】
各前記アキュムレータ手段8、9は、水平な横の固定枠12に横一列に配される回転自在な複数個の上の案内ローラ30Uと、前記横の固定枠12の下方にて昇降自在に支持される横の昇降枠13に横一列に配される回転自在な複数個の下の案内ローラ30Lとを具える。そして前記搬送テープ31は、上下で向き合う前記上の案内ローラ30Uと下の案内ローラ30Lとの間を交互に折り返しながらジグザグ状に巻装される。このとき搬送テープ31は、図5に示すように、案内ローラ30U、30L間において、その一面S1と他面S2とを180°捻った捻りJを加えて巻装される。これにより搬送テープ31は、ゴムストリップGを粘着保持しない他面S2のみにて案内ローラ30U、30Lと接触することができ、安定した周回移動、及びゴムストリップGの変形などを防止しうる。
【0018】
ここで、ゴムストリップGを非伸長性の搬送テープ31に粘着保持させて搬送した場合、搬送途中におけるゴムストリップGの切断や変形等の発生を抑制でき、生ゴム製品を効率よく安定して形成しうるという利点を有する。しかしこのものは、搬送の間、ゴムストリップGが搬送テープ31に粘着されて拘束されるため、押出し後のゴムストリップGの収縮は、生ゴム製品形成後に発生する。その結果、生ゴム製品がゴム収縮によってしだいに変形し、寸法変化や形状変化を招く傾向がある。
【0019】
そこで本例では、前記ゴム押出機3と搬送コンベヤ4との間に、前記ゴムストリップGが拘束されずにU字状に弛んで自由に垂下するシュリンク領域Yを形成している。このシュリンク領域Yでは、ゴムストリップGが、拘束されずにフリーとなるため、自由にゴム収縮できる。従って、搬送テープ31による搬送に先駆け、前記ゴムストリップGに、該ゴムストリップGが要求する最大限のゴム収縮を自由に与えることが可能となり、搬送後のゴム収縮を抑え、生ゴム製品の寸法変化や形状変化を抑制しうる。
【0020】
次に、本実施形態の製造・搬送装置2では、前記受け取り位置P1に、排気溝形成装置1が配される。なお受け取り位置P1には、搬送テープ31を案内する案内ローラ30、本例では前記駆動ローラ10が設けられ前記搬送テープ31を所定の搬送速度Vで駆動する。
【0021】
又前記排気溝形成装置1は、図3に示すように、回転自在に枢支される型付けローラ15と、この型付けローラ15を前記ゴムストリップGに押し付けることにより排気溝14を形成する押し付け手段16とを具えるとともに、前記押し付け手段16は、前記ゴムストリップGの搬送速度Vが高速V1の時、前記型付けローラ15のゴムストリップGへの押付け力を大に、かつ搬送速度Vが低速V2の時(図4に示す)、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替え具17を含んで構成される。
【0022】
具体的には、前記型付けローラ15は、ローラホルダ18に回転自在に枢支される円柱状のローラ本体19と、このローラ本体19の外周面に突設されかつ周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブ20とを具える。図6(A)に示すように、前記溝形成リブ20の周方向に対する角度θ、即ちゴムストリップGに形成する排気溝14の、ゴムストリップGの長さ方向に対する角度θは、特に規制されないが、前記角度θが小さすぎると、排気流路の長さが過大となって排気効率を損ねるとともに、この排気流路内にエアーが残留する恐れが生じる。しかし前記角度θが大きすぎると長さ方向に対する強度が低下し、成形ドラムDに巻き付ける際のテンション力によってゴムストリップGが破断する恐れを招く。従って前記角度θの下限は20°以上、さらには30°以上が好ましく、又上限は80°以下、さらには70°以下さらには60°以下が好ましい。
【0023】
又前記排気溝14を、前記溝形成リブ20の押し込みによって形成するためには、溝形成リブ20の断面形状は、図6(B)の如く矩形形状とするのが好ましく、又そのコーナはエッジであることが好ましい。又排気効果とゴムストリップGの強度との観点から、前記溝形成リブ20の高さhは、1.0mm以上、かつ巾wは1.0〜1.5mmの範囲が好ましい。なお前記ローラ本体19の外周面は、ゴムストリップGと接触する必要はない。
【0024】
又前記押し付け手段16は、前記型付けローラ15をゴムストリップGに向かって前方に付勢するバネ付勢具21と、該バネ付勢具21を前後に位置替えしうる押付け力切り替え具17とを具える。前記バネ付勢具21は、基台22から前方に立ち上がる例えば2本の案内軸23を有し、該案内軸23は、前記ローラホルダ18に設ける摺動孔18Aを通ることにより、前記ローラホルダ18を前後に案内する。又前記案内軸23には、前記ローラホルダ18を前方に付勢する例えばコールバネであるバネ片24が配される。
【0025】
又押付け力切り替え具17は、本例では、ガイド軸25Aを内蔵したシリンダ25であって、そのロッド25Bを前方に向けてフレーム等に支持されるとともに、前記ロッド25Bの前端には、前記バネ付勢具21の基台22が取り付けられる。従って、押付け力切り替え具17は、ポートpaからの作動空気の充填により、本例では、前記ガイド軸25Aの後端に設けるストッパー26が、前記シリンダ25の後端と当接するまで前記ロッド25Bを伸張でき、これによりバネ付勢具21を前進位置Q1まで位置替えできる。なお前進位置Q1は、例えば前記ストッパー26の位置を調整することにより、自在に設定しうる。又押付け力切り替え具17は、ポートpbからの作動空気の充填により、本例ではシリンダ25の前端とバネ付勢具21とが当接するまで前記ロッド25Bを縮小でき、これによりバネ付勢具21を、前記前進位置Q1から後退位置Q2(図4に示す)まで位置替えできる。
【0026】
従って、前記前進位置Q1と後退位置Q2との間の位置替え量をL、前記バネ付勢具21全体のバネ定数をKとしたとき、前記位置替えにより、型付けローラ15の押付け力Fを、ΔFだけ増減することができる。
ΔF=L×K
【0027】
なお作動空気による前記ロッド25Bの前方への付勢力は、型付けローラ15の押付け力Fよりも充分に大であり、従って前進位置Q1は前記押付けによる反力によって変化しない。又前記ポートpa、Pbへの作動空気の切り替えは、例えば電磁弁によって行うことができる。なお前記バネ付勢具21の位置替えは、ポートpaへの作動空気の入り/切りのみによって行うこともできる。
【0028】
又本実施形態の製造・搬送装置2は、前記搬送コンベヤ4と、押付け力切り替え具17と、ゴム押出機3とを制御する制御手段を具える。この制御手段は、前記搬送テープ31の搬送速度Vが高速V1の時、前記電磁弁を切り替え、押付け力切り替え具17によって前記バネ付勢具21を後退位置Q2から前進位置Q1まで位置替えさせる。これにより型付けローラ15の押付け力Fを小から大に切り替えしうる。又これと同時に、前記制御装置は、ゴム押出機3の運転速度、即ちゴムストリップGの押出速度を低速V2から高速V1に切り替えうる。逆に、前記制御手段は、前記搬送テープ31の搬送速度Vが低速V2の時、前記電磁弁を切り替え、押付け力切り替え具17によって前記バネ付勢具21を前進位置Q1から後退位置Q2まで位置替えさせる。これにより型付けローラ15の押付け力Fを大から小に切り替えしうる。又前記制御装置は、ゴム押出機3の運転速度、即ちゴムストリップGの押出速度を高速から低速に切り替える。
【0029】
前記排気溝形成装置1を用いた、排気溝形成方法では、前記型付けローラ15を、ゴムストリップGに押し付けることにより排気溝14を形成するローラ押し付け工程(図6(A))を具える。そして、このローラ押し付け工程では、前記押付け力切り替え具17を用いて押付け力切り替えステップ(図3,4)を行い、前記搬送速度Vが高速V1の時には、型付けローラ15の押付け力Fを大に、かつ搬送速度Vが低速V1の時には、前記押付け力Fを小に切り替える。
【0030】
このように、前記排気溝形成装置1、及び排気溝形成方法は、ゴムストリップGの搬送速度Vが高速V1の時には、型付けローラ15の押付け力Fを大に、かつ低速V2の時には、押付け力Fを小に切り替えるため、高速時及び低速時においても、ゴムストリップGに排気溝14を精度良く安定して形成することができる。従って、ゴムストリップ切れによる生産性の低下や、エアー残りによるタイヤ品質の低下等を効果的に防止しうる。
【0031】
又前記製造・搬送装置2では、型付けローラ15の押付け力FによってゴムストリップGを搬送テープ31に粘着保持させるが、搬送速度Vが高速V1の場合、粘着が不充分となって、搬送途中で、ゴムストリップGが搬送テープ31から剥離する傾向がある。逆に、低速V2の場合には、ゴムストリップGが型付けローラ15に巻き付いてしまう傾向がある。しかし本発明では、高速/低速に応じて型付けローラ15の押付け力Fを大/小に切り替えするため、ゴムストリップGの搬送テープ31からの剥離、及び型付けローラ15への巻き付けをも同時に防止することができる。
【0032】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0033】
本発明の効果を確認するため、図1に示す構造のゴムストリップ製造・搬送装置を用い、一面に排水溝を形成したゴムストリップGを成形ドラムD上に巻き付けてトレッドゴムを形成した。そして、このトレッドゴムを形成したときの下記の問題を、比較した。
(1) 前記受け取り位置P1から送り出し位置P2まで、ゴムストリップGを搬送テープ31にて搬送する際に、ゴムストリップGが搬送テープ31から剥離してしまう剥離発生率を、トレッドゴムの形成数100個に対して測定した(トレッドゴムを1つ形成する際に、複数回剥離が発生する場合がある。)。
(2) 型付けローラ15を用いてゴムストリップGを搬送テープ31に粘着させる際に、ゴムストリップが送り出し位置P2にて剥がれず、アキュムレータ手段9側に戻ってしまう発生率を、トレッドゴムの形成数100個に対して測定した。(トレッドゴムを1つ形成する際に、複数回巻付きが発生する場合がある。)。
(3) 排水溝が形成不良となってエアー残りが発生し、トレッドゴムが不良品となってしまうエアー残りの不良品発生率を、トレッドゴムの形成数100個に対して測定した。
(4) 排水溝が形成不良となってゴムストリップGの強度が低下し、ゴムストリップGが搬送テープ31から剥がれなくなって切断してしまう切断発生率を、トレッドゴムの形成数100個に対して測定した。
(トレッドゴムを1つ形成する際に、複数回ゴムストリップの切断が発生する場合がある。)。
【0034】
なお型付けローラ15は、ローラ本体19の直径が80mm、巾が40mm、溝形成リブ20の形成数が16本(周方向に等間隔)、形成角度θが45°、リブ高さhが1.5mm、リブ巾wが1.0mmである。又バネ付勢具21全体のバネ定数Kは75g/mm、前進位置Q1と後退位置Q2との間の位置替え量Lは5mmである。又ゴムストリップGの高速時の搬送速度は1400mm/sec、低速時の搬送速度は50mm/secである。
【0035】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の排気溝形成方法を実施するための排気溝形成装置が、ゴムストリップを形成しかつ成形ドラムまで搬送するストリップ製造・搬送装置に組み込まれた場合を概念的に示す側面図である。
【図2】その一部を拡大して示す側面図である。
【図3】前方への位置替え状態における排気溝形成装置を示す側面図である。
【図4】後方への位置替え状態における排気溝形成装置を示す側面図である。
【図5】搬送テープの捻れを示す斜視図である。
【図6】(A)は型付けローラによるローラ押し付け工程を示す斜視図、(B)は溝形成リブの断面形状を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 排気溝形成装置
3 ゴム押出機
14 排気溝
15 型付けローラ
16 押し付け手段
17 押付け力切り替え具
20 溝形成リブ
21 バネ付勢具
25 シリンダ
25A ロッド
G ゴムストリップ
V 搬送速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム押出機により連続的に形成されかつ長さ方向に搬送される長尺帯状の未加硫のゴムストリップの一面に、前記長さ方向と交わる向きにのびる排気溝を形成する排気溝形成方法であって、
回転自在に枢支されかつ外周面に、周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブを突設した型付けローラを、前記ゴムストリップに押し付けることにより前記排気溝を形成するローラ押し付け工程を具えるとともに、
前記ローラ押し付け工程は、前記ゴムストリップの搬送速度が高速の時、前記型付けローラのゴムストリップへの押付け力を大に、かつ搬送速度が低速の時、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替えステップを有することを特徴とする排気溝形成方法。
【請求項2】
ゴム押出機により連続的に形成されかつ長さ方向に搬送される長尺帯状の未加硫のゴムストリップの一面に、前記長さ方向と交わる向きにのびる排気溝を形成する排気溝形成装置であって、
回転自在に枢支されかつ外周面に、周方向と交わる向きにのびる排気溝形成用の溝形成リブを突設した型付けローラと、
この型付けローラを前記ゴムストリップに押し付けることにより前記排気溝を形成する押し付け手段とを具えるとともに、
前記押し付け手段は、前記ゴムストリップの搬送速度が高速の時、前記型付けローラのゴムストリップへの押付け力を大に、かつ搬送速度が低速の時、前記押付け力を小に切り替える押付け力切り替え具を含むことを特徴とする排気溝形成装置。
【請求項3】
前記押し付け手段は、前記型付けローラをゴムストリップに向かって前方に付勢するバネ付勢具を有し、かつ前記押付け力切り替え具は、前記バネ付勢具を前後に位置替えでき、この前方への位置替えにより押付け力を大に、かつ後方への位置替えにより押付け力を小に切り替えることを特徴とする請求項2記載の排気溝形成装置。
【請求項4】
前記押付け力切り替え具は、シリンダを有し、かつ該シリンダのロッドの伸縮により前記バネ付勢具を前後に位置替えすることを特徴とする請求項3記載の排気溝形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−125699(P2010−125699A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302870(P2008−302870)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】