説明

排水処理方法および排水処理システム

【課題】生物脱リン法のリン除去性能を回復または維持することが容易な排水処理方法および排水処理システムを提供する。
【解決手段】リン含有排水I1を第1嫌気槽11に導入した後第1好気槽12に導入し、活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程と、リン含有排水I2を第2好気槽22に導入し、活性汚泥処理を行う第2活性汚泥処理工程と、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給する汚泥供給工程とを有する排水処理方法。第1嫌気槽11と第1好気槽12とを有する第1活性汚泥処理装置と、第2好気槽22を有する第2活性汚泥処理装置と、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給する汚泥供給手段31とを有する排水処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン含有排水の処理方法および処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リン含有排水の処理方法として、従来、嫌気下と好気下で活性汚泥処理を行うことにより排水中のリンを除去する、いわゆる生物脱リン法が知られている。例えば特許文献1には、近年普及が広がりつつある膜分離活性汚泥法に生物脱リン法を組み合わせて処理する方法が開示されている。
【0003】
ところで、生物脱リン法では、処理を継続しているとリン除去性能が低下してくる場合がある。このような場合の対処方法として、従来、硫酸アルミニウムや塩化アルミニウム等のアルミニウム系薬剤や塩化第二鉄や硫酸第二鉄等の鉄系薬剤を添加して、排水中の溶解性リンを不溶化して除去する方法が知られている。しかし、アルミニウム系薬剤や鉄系薬剤の添加により溶解性リンを除去する方法は、生物脱リン法によるリン除去性能を回復させる措置とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−086864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生物脱リン法のリン除去性能を回復または維持することが容易な排水処理方法および排水処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することができた本発明の排水処理方法とは、リン含有排水を第1嫌気槽に導入した後第1好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程と、リン含有排水を第2好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第2活性汚泥処理工程と、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、第1嫌気槽または/および第1好気槽に供給する汚泥供給工程とを有するところに特徴を有する。本発明の処理方法は汚泥供給工程を有することにより、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能を維持することが容易になったり、リン除去性能が低下した第1活性汚泥処理工程のリン除去性能を回復することが容易にできるようになる。
【0007】
第1活性汚泥処理工程では、膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得ることが好ましい。第1活性汚泥処理工程で膜分離手段を用いる場合、汚泥滞留時間(SRT)が長くなって活性汚泥中の有機分が自己消化することにより、活性汚泥が変質したり、活性汚泥中に含まれる微生物量が減るおそれがある。この場合、第1活性汚泥処理工程におけるリン除去性能が意図せず低下する場合が起こりやすくなる。従って、第1活性汚泥処理工程で膜分離手段を用いる場合は、本発明による効果を享受しやすくなる。
【0008】
本発明の排水処理方法においては、リン含有排水の一部を第1活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行い、当該リン含有排水の残部の一部または全部を第2活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行うことが好ましい。このように第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程の活性汚泥処理を行うと、汚泥供給工程により、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥処理性能を速やかに回復させたり、良好に維持することが容易になる。
【0009】
本発明はまた、本発明の排水処理方法を行うための排水処理システムであって、第1嫌気槽と第1好気槽とを有する第1活性汚泥処理装置と、第2好気槽を有する第2活性汚泥処理装置と、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を、第1嫌気槽または/および第1好気槽に供給する汚泥供給手段とを有する排水処理システムを提供する。このような排水処理システムを用いることにより、本発明の排水処理方法を好適に行いやすくなる。
【0010】
本発明の排水処理システムは、第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得るための膜分離手段を有することが好ましい。さらに、本発明の排水処理システムは、第1活性汚泥処理装置から得られる処理水のリン濃度を測定するリン濃度測定手段と、リン濃度測定手段により測定されるリン濃度の値に基づき、汚泥供給手段による第2活性汚泥処理装置の活性汚泥の供給量を制御する制御手段とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の排水処理方法および排水処理システムは、生物脱リン法のリン除去性能を容易に回復または維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の排水処理方法に好適に使用される排水処理システムの一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の排水処理方法は、リン含有排水を第1嫌気槽に導入した後第1好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程と、リン含有排水を第2好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第2活性汚泥処理工程とを有している。
【0014】
本発明の処理方法において、処理対象となるリン含有排水は、嫌気処理と好気処理とを組み合わせた活性汚泥処理により除去可能なリンを含む排水であれば特に限定されず、リン酸態リンのような溶解性リンを含むことが好ましく、さらに生物学的酸素要求量(BOD)を含むことが好ましい。本発明の処理方法の対象となるリン含有排水としては、下水、し尿、下水処理やし尿処理に伴い発生するプロセス排水、食品工場や紙パルプ工場、化学工場等から発生する工場排水、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理により発生する排水等が挙げられる。
【0015】
第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程に導入されるリン含有排水は同一であっても異なっていてもよい。また、第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程に導入されるリン含有排水が同一の原水に由来し、この原水が異なる処理をされたものであってもよい。
【0016】
第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程は、例えば、同一下水処理場の異なる処理系列に相当するものであってもよく、異なる下水処理場の処理系列に相当するものであってもよく、一方が下水処理で他方がし尿処理に関するものであってもよく、一方が下水処理場の流入下水処理に相当し他方が下水処理場のプロセス排水(返流水)処理に相当するものであってもよい。
【0017】
第2活性汚泥処理工程について説明する。第2活性汚泥処理工程では、リン含有排水が第2好気槽に導入され、活性汚泥処理される。
【0018】
本発明に用いられる活性汚泥としては、排水処理で一般に用いられる活性汚泥であれば特に限定されない。活性汚泥中には、例えば原生動物や小動物等の微生物が存在する。
【0019】
好気槽では、空気等の気体状酸素(O2)を含むガスが活性汚泥に供給されることにより、活性汚泥が散気(曝気)される。好気槽は、散気装置が備えられることが好ましい。散気装置としては、水処理に一般に用いられる公知の散気装置を用いればよい。散気装置としては、例えば、樹脂製メンブレンに設けたスリットから散気を行うメンブレン型散気装置、セラミックや金属製の多孔質体を通じて散気を行うディフューザー型散気装置、樹脂や金属製の管体または板体に設けた孔から散気を行う多孔型散気装置等が示される。このような散気装置の形状は特に限定されず、例えば、チューブ型、パネル型、ディスク型等が示される。また、散気装置として、撹拌羽根と散気管とが組み合わされ、供給された空気等が回転する撹拌羽根に剪断されることにより散気が行われるような機械式(水中撹拌式)散気装置を用いてもよい。
【0020】
第2活性汚泥処理工程では、嫌気槽は設けられない。第2好気槽は、1つのみ設けられても、複数設けられてもよい。第2活性汚泥処理工程の具体例としては、標準活性汚泥法、ステップ・エアレーション法、擬似嫌気好気法等が挙げられる。なお、擬似嫌気好気法とは標準活性汚泥法の変法であり、好気槽の流入側の散気量を減らして低酸素状態にすることで、若干のリン除去が可能となる処理法である。
【0021】
第2活性汚泥処理工程は嫌気槽が設けられていないため、活性汚泥に含まれる微生物のリン摂取能力が低くなり、第1活性汚泥処理工程よりもリン除去性能が低くなる。第2活性汚泥処理工程では、活性汚泥中の固形分当たりのリン含有率は、例えば2.0質量%以上3.0質量%以下となる。なお、本発明において、活性汚泥中の固形分とは活性汚泥中の浮遊物質(SS:Suspended Solid)を意味する。
【0022】
第2活性汚泥処理工程では、第2好気槽における水理学的滞留時間(HRT)を、例えば4時間〜12時間程度とすることが好ましい。なお、水理学的滞留時間(HRT)は、(槽の有効容積)/(時間当たりの槽への流入水量)により求められる。
【0023】
第1活性汚泥処理工程では、リン含有排水が第1嫌気槽に導入された後に第1好気槽に導入され、活性汚泥処理される。つまり、リン含有排水は、第1嫌気槽にて活性汚泥により処理された後、第1好気槽にて活性汚泥により処理される。
【0024】
第1活性汚泥処理工程では、活性汚泥が第1嫌気槽と第1好気槽とを循環していることが好ましく、その結果、リン蓄積能力の高い微生物が増殖しやすくなる。つまり、活性汚泥が嫌気下と好気下に交互に置かれることで、リン蓄積能力の高い微生物が優先的に増殖しやすくなる。また、そのような微生物を嫌気下に置いた後に好気下に置くことで、排水中の溶解性リンが微生物により除去される。従って、第1活性汚泥処理工程は、活性汚泥に含まれる微生物によるリン除去能力が、第2活性汚泥処理工程よりも高くなる。第1好気槽の活性汚泥中の固形分当たりのリン含有率は、例えば3.0質量%超6.0質量%以下となる。
【0025】
嫌気槽では、好気槽とは異なり、活性汚泥に空気等の気体状酸素(O2)を含むガスが供給されない。なお、嫌気槽の槽内水(活性汚泥)には、硝酸、亜硝酸等のオキソ酸化合物が含まれていてもよい。すなわち、本発明においては、嫌気槽にはいわゆる無酸素槽も含まれることとする。しかし、第1活性汚泥処理工程でのリン除去性能を高めるためには、硝酸や亜硝酸の濃度は低い方が好ましい。例えば、第1活性汚泥処理工程には、硝酸や亜硝酸の濃度が低い嫌気槽(例えば、硝酸性および亜硝酸性窒素濃度として3mg−N/L以下)が少なくとも1つ存在することが好ましい。嫌気槽は、活性汚泥を撹拌するための撹拌装置を備えていることが好ましい。
【0026】
第1嫌気槽は、1つのみ設けられても、複数設けられてもよい。第1好気槽も、1つのみ設けられても、複数設けられてもよい。第1活性汚泥処理工程の具体例としては、嫌気好気法、嫌気−無酸素−好気法(この場合、第1嫌気槽が複数設けられることに相当する)等が示される。
【0027】
第1活性汚泥処理工程では、例えば嫌気好気法で処理を行う場合は、第1嫌気槽と第1好気槽の水理学的滞留時間(HRT)が各々0.5時間〜2時間、2時間〜5時間の範囲にあることが好ましい。例えば嫌気−無酸素−好気法で処理を行う場合は、嫌気槽に相当する第1嫌気槽、無酸素槽に相当する第1嫌気槽、好気槽の水理学的滞留時間(HRT)が各々0.5時間〜2時間、1時間〜3時間、2時間〜5時間の範囲にあることが好ましい。このような条件で第1活性汚泥処理工程を行うことにより、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能を高めることが容易になる。
【0028】
ところで、嫌気槽と好気槽とで活性汚泥処理を行うことにより排水中のリンを除去する、いわゆる生物脱リン法では、処理を継続しているとリン除去性能が低下してくる場合がある。生物脱リン法では、雨天時など流入水質の大きな変動によりリン除去性能が低下する場合があるが、原因が不明な場合もある。生物脱リン法によりリン除去性能が低下した場合の対処方法として、一般に、硫酸アルミニウムや塩化アルミニウム等のアルミニウム系薬剤や塩化第二鉄や硫酸第二鉄等の鉄系薬剤を添加する方法が行われている。しかし、アルミニウム系薬剤や鉄系薬剤の添加により溶解性リンを除去する方法は、汚泥の発生を伴うため、あまり好ましくない。また、アルミニウム系薬剤や鉄系薬剤の添加は、直接的には生物脱リン法によるリン除去性能を回復させるものではない。
【0029】
しかし本発明によれば、好気槽で活性汚泥処理する第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、嫌気槽と好気槽とで活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程に供給することにより、リン除去性能が低下した生物脱リン法について、リン除去性能を回復できることが見出された。つまり、本発明の排水処理方法は、第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程に加え、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、第1嫌気槽または/および第1好気槽に供給する汚泥供給工程を有する。
【0030】
第2活性汚泥処理工程の活性汚泥としては、第2好気槽内の活性汚泥を用いてもよいし、第2好気槽内の活性汚泥を任意の固液分離手段により濃縮した汚泥を用いてもよい。任意の固液分離手段としては、第2好気槽の後段に沈殿槽や沈殿池等を設ける態様が挙げられ、この場合、沈殿槽や沈殿池等で得られた濃縮された活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給する。なお、沈殿槽や沈殿池を設ける態様は第2好気槽の後段に設ける場合に限定されず、第1好気槽の後段にこれらが設けられてもよい。固液分離手段としては、膜分離手段を用いてもよい。膜分離手段については、後で詳述する。なお、固液分離手段により、濃縮された活性汚泥とともに、別途処理水を得ることが好ましい。
【0031】
第2好気槽内の活性汚泥を第1嫌気槽または/および第1好気槽に供給する場合は、例えば、一方端が第2好気槽に連通し、他方端が第1嫌気槽または第1好気槽に連通した汚泥供給路を設け、この汚泥供給路を通じて第2好気槽内の活性汚泥を移送すればよい。汚泥供給路としては管路や開渠等が挙げられ、必要に応じて汚泥供給路にポンプ等の移送手段を設けてもよい。第2好気槽内の活性汚泥を任意の分離手段により濃縮した汚泥を第1嫌気槽または/および第1好気槽に供給する場合も、例えば、汚泥供給路を通じて濃縮した汚泥を第1嫌気槽または/および第1好気槽に移送すればよい。
【0032】
本発明の処理方法では、汚泥供給工程を設けることにより、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能を維持することが容易になったり、リン除去性能が低下した第1活性汚泥処理工程のリン除去性能を高くすることが容易にできるようになる。さらに、余剰汚泥として引き抜く第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給することで、第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程からの余剰汚泥量の総和を大きく増やさないようにできる。
【0033】
本発明の処理方法がこのような効果が得られる理由は明確ではないが、次の仮説が考えられる。すなわち、第1活性汚泥処理工程では活性汚泥のリン除去能力が最大限利用されているのに対し、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥はリン除去能力に余力があるため、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給することにより、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥のリン除去能力に余力が生じ、第1活性汚泥処理工程におけるリン除去性能が改善する。なお、本発明は、この仮説に基づき限定解釈されるものではない。
【0034】
汚泥供給工程は、連続的に行われてもよく、断続的に行われてもよい。しかし、汚泥供給工程を行う場合、例えば、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に移送するためのポンプ動力費がかかったり、さらに第1活性汚泥処理工程からの引き抜き汚泥量が増える可能性があることから、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥を引き抜いて移送するためのポンプ動力費も増える可能性がある。また、第1活性汚泥処理工程におけるリン除去性能は、汚泥供給工程を常時行わなくても、所望程度に維持することが可能である。従って、排水処理コストを低減する点から、汚泥供給工程は断続的に行うことが好ましい。
【0035】
汚泥供給工程では、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能が低下した場合、あるいは低下しそうな場合に、第2活性汚泥処理工程からの活性汚泥の供給量を増やすことが好ましい。あるいは、汚泥供給工程は、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能が低下した場合、あるいは低下しそうな場合に、行うことが好ましい。第1活性汚泥処理工程のリン除去性能の指標としては、例えば、第1活性汚泥処理工程から得られる処理水のリン濃度や、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率等を採用すればよい。なお、第1活性汚泥処理工程から得られる処理水とは、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥を任意の固液分離手段により分離することにより得られ、活性汚泥よりも固形分濃度が低減された分離成分を意味する。固液分離手段としては、前記説明した第2好気槽の活性汚泥の濃縮に使用可能な固液分離手段を採用すればよい。
【0036】
第1活性汚泥処理工程から得られる処理水のリン濃度を指標として第1活性汚泥処理工程を行う場合について説明する。この場合、処理水のリン濃度を測定するためのリン濃度測定手段を設け、リン濃度測定手段により測定されるリン濃度の値に基づき、汚泥供給工程の汚泥供給量を制御することが好ましい。より簡便には、第1活性汚泥処理工程から得られる処理水のリン濃度が所定値以上の場合に、汚泥供給工程を行うことが好ましい。本発明の排水処理方法が下水を対象とする場合は、第1活性汚泥処理工程から得られる処理水のリン濃度が、例えば1.0mg−P/L以上(より好ましくは、0.5mg−P/L以上)の場合に、汚泥供給工程を行うことが好ましい。
【0037】
リン濃度測定手段としては、リン濃度計を用いたり、オートサンプラーにより定期的に処理水を採取して、自動または手動でリン濃度を測定してもよい。リン濃度計としては、例えば、笠原理化工業株式会社製の全リン測定器TPO−3Z、株式会社三菱化学アナリテック製の全リン分析装置FI−P50を用いることができる。また、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能の指標として用いる処理水のリン濃度は、溶解性リン(リン酸態リン)濃度を採用することが好ましい。
【0038】
第1活性汚泥処理工程の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率を指標として第1活性汚泥処理工程を行う場合について説明する。この場合、活性汚泥としては、微生物によるリン摂取が行われる第1好気槽の活性汚泥を用いることが好ましい。第1好気槽の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率が高くなれば、活性汚泥のリン除去能力の余力が少ない状態と判断され、汚泥供給工程の汚泥供給量を増やすことが好ましい。より簡便には、第1好気槽の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率が所定値以上の場合に、汚泥供給工程を行うことが好ましい。本発明の排水処理方法が下水を対象とする場合は、第1好気槽の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率が、例えば5.0質量%以上(より厳しい基準に基づけば4.0質量%以上)の場合に、汚泥供給工程を行うことが好ましい。第1好気槽の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率を測定することで、第1活性汚泥処理工程のリン除去性能が低下しそうな状況を予測することが可能となる。
【0039】
第1活性汚泥処理工程の活性汚泥の固形分当たりのリン含有率は、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥あるいは第1活性汚泥処理工程から排出される(活性)汚泥を採取し、汚泥固形分当たりのリン含有率を測定してもよい。また、(活性)汚泥の分析を行う代わりに、第1活性汚泥処理工程へ導入するリン含有排水のリン濃度とその流量、第1活性汚泥処理工程から排出される処理水のリン濃度とその流量、第1活性汚泥処理工程から排出される(活性)汚泥の流量、および(活性)汚泥固形分濃度を測定し、第1活性汚泥処理工程の入と出のリン収支を計算することで、活性汚泥の固形分当たりのリン含有率を求めてもよい。
【0040】
汚泥供給工程における活性汚泥の供給量は、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥の量に基づき調整することが好ましい。具体的には、汚泥供給工程における活性汚泥の固形分としての供給量は、一日当たり、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥(第1嫌気槽と第1好気槽内の活性汚泥)の固形分量の5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。このように規定することで、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥を入れ替えながら、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥処理性能を維持することが容易になる。
【0041】
活性汚泥処理では一般に、処理に伴い汚泥が発生し、すなわち活性汚泥量が増加し、それを余剰汚泥として槽から引き抜く。汚泥供給工程により第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給する場合、第1活性汚泥処理工程からは、第1活性汚泥処理工程から常時排出される余剰汚泥の汚泥量に加え、汚泥供給工程により供給された汚泥量に相当する量を、余剰汚泥として引き抜くことが好ましい。このようにして第1嫌気槽と第1好気槽内の活性汚泥固形分量または活性汚泥濃度を一定範囲に保つことが、処理性能を安定化させる上で好ましい。
【0042】
汚泥供給工程を行っている際に第1活性汚泥処理工程から引き抜いた余剰汚泥は、一部または全部を第2活性汚泥処理工程に供給してもよい。このようにすることで、第2活性汚泥処理工程から活性汚泥を大量に第1活性汚泥処理工程に供給しても、第2好気槽内の活性汚泥固形分量または活性汚泥濃度を一定範囲に保つことが容易になる。
【0043】
汚泥供給工程により第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給する場合、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥が第1活性汚泥処理工程の活性汚泥と大きく性状が異なると、汚泥供給工程により第1活性汚泥処理工程の活性汚泥処理性能が一時的に大きく低下するおそれがある。従って、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥と第1活性汚泥処理工程の活性汚泥は、同一原水に由来する排水により馴養されたものであることが好ましい。同一原水に由来する排水としては、少なくとも溶解性成分がほぼ同一であるものが好ましい。溶解性成分がほぼ同一であれば、排水中の溶解性成分を活性汚泥中の微生物が資化して、類似の微生物が増殖しやすくなる。従って、この場合、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を第1活性汚泥処理工程に供給することにより、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥処理性能を速やかに回復させたり、良好に維持することが容易になる。
【0044】
少なくとも溶解性成分がほぼ同一の排水により第1活性汚泥処理工程と第2活性汚泥処理工程のそれぞれで活性汚泥処理を行うためには、リン含有排水の一部を第1活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行い、当該リン含有排水の残部の一部または全部を第2活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行うようにすればよい。この際、第1嫌気槽の前段に沈殿槽や沈殿池等の固液分離手段を設け、第1嫌気槽に導入されるリン含有排水の固形分の一部または全部を除去してもよい。同様に、第2好気槽の前段に沈殿槽や沈殿池等の固液分離手段を設け、第2好気槽に導入されるリン含有排水の固形分の一部または全部を除去してもよい。第1嫌気槽の前段に設けられる固液分離手段と第2好気槽の前段に設けられる固液分離手段の固液分離性能は同一であっても異なっていてもよい。
【0045】
第1活性汚泥処理工程について、好ましい実施態様を説明する。第1活性汚泥処理工程では、膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得ることが好ましい。第1好気槽の槽内水を膜分離手段により固液分離することにより、第1好気槽の活性汚泥濃度を高く保つことが容易になり、第1好気槽の容積当たりの処理負荷を高めることが可能となる。また、浮遊物質濃度(SS濃度)の低い処理水を得ることが容易になる。
【0046】
膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得る方法としては、例えば、第1好気槽に浸漬した膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離してもよく、第1好気槽の槽内水を第1好気槽の槽外に設置した膜分離手段により固液分離してもよい。第1好気槽の活性汚泥濃度を高く保ちつつ、膜分離手段により安定した固液分離を容易に実現する点からは、前者の方法を採用することが好ましい。すなわち、第1活性汚泥処理工程では、第1好気槽に浸漬した膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得る、いわゆる膜分離活性汚泥法による処理がなされることが好ましい。
【0047】
第1活性汚泥処理工程で膜分離手段を用いる場合、浮遊物質濃度(SS濃度)の低い処理水を得ながら、第1活性汚泥処理工程の汚泥滞留時間(SRT)を長くして、第1活性汚泥処理工程の活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)を高めることが容易となる。しかし、汚泥滞留時間が長くなると、活性汚泥中の有機分が自己消化することにより、活性汚泥が変質したり、活性汚泥中に含まれる微生物量が減るおそれがある。この場合、第1活性汚泥処理工程におけるリン除去性能が意図せず低下する場合が、より起こりやすくなる。従って、第1活性汚泥処理工程で膜分離手段を用いる場合は、本発明による効果をより享受しやすくなる。
【0048】
膜分離手段としては、0.05μm〜10μmの孔径を有する膜を用いることが好ましい。このような孔径を有する膜を用いれば、適度な膜透過流速を確保しつつ、浮遊物質濃度(SS濃度)が実質的にない膜ろ過水(処理水)が得やすくなる。膜の孔径は、好ましくは0.05μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上であり、また5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0049】
膜分離手段に使用される膜としては、中空糸膜、管状膜、平板状膜、モノリス膜等が挙げられる。膜の素材としては、酢酸セルロース、ポリスルフォン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等の有機膜;アルミナやジルコニア等の無機膜等、素材は限定されない。
【0050】
第1好気槽の活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)を比較的高く維持し、第1好気槽の容積当たりの処理負荷を高めるためには、膜分離手段に使用される膜としては、平板状膜を採用することが好ましい。また、取り扱いの容易さから、膜の素材としては有機膜を用いることが好ましい。さらに、ろ過方式としては、高濁度の水を安定して処理しやすい方式として、クロスフロー方式を採用することが好ましい。この場合、膜分離手段を第1好気槽の散気装置の上方に設け、散気装置から供給される空気等により膜面が洗浄されるようにすることが好ましい。
【0051】
第1好気槽で膜分離活性汚泥法を行う場合、第1好気槽の槽内水(活性汚泥)を余剰汚泥として適宜排出することが好ましい。また、第1好気槽から排出する汚泥は、一部を第1嫌気槽に返送してもよい。
【0052】
第1好気槽で膜分離活性汚泥法を行う場合、第1好気槽の活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)は8,000mg/L以上とすることが好ましく、30,000mg/L以下とすることが好ましく、15,000mg/L以下とすることがより好ましい。活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)を8,000mg/L〜30,000mg/Lの範囲に制御することで、第1好気槽における活性汚泥処理および膜分離手段による固液分離を良好に行いやすくなる。なお、本発明の処理方法において、好気槽または嫌気槽に膜分離手段が設けられない場合は、槽内の活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)は1,000mg/L〜7,500mg/L程度とすることが好ましい。
【0053】
本発明の排水処理方法に好適に使用される排水処理システムについて、図1を参照して説明する。なお、本発明の範囲は、下記実施態様に限定されるものではない。
【0054】
本発明の排水処理システムは、第1嫌気槽11と第1好気槽12とを有する第1活性汚泥処理装置と、第2好気槽22を有する第2活性汚泥処理装置とを有する。第1好気槽12と第2好気槽22には、それぞれ散気装置13,23が備えられている。
【0055】
図1では、第1嫌気槽11として、嫌気状態が比較的強い槽11aと嫌気状態が比較的弱い(いわゆる無酸素状態である)槽11bとが設けられている。一般的には、槽11aを嫌気槽、槽11bを無酸素槽と呼ぶことが多い。また図1では、第1好気槽12の活性汚泥を第1嫌気槽11bに返送する汚泥返送手段15bと、第1嫌気槽11bの活性汚泥を第1嫌気槽11aに返送する汚泥返送手段15aとが設けられている。汚泥返送手段としては管路や開渠等の汚泥供給路を採用すればよく、必要に応じてポンプ等の移送手段を設ければよい。図1に示すように、第1活性汚泥処理装置には複数の第1嫌気槽が設けられてもよい。また、第1好気槽の活性汚泥を第1嫌気槽に返送する汚泥供給手段が設けられることが好ましい。図1に示す第1活性汚泥処理装置によれば、排水中のリンとともに窒素の除去も行いやすくなる。
【0056】
図1では、第1嫌気槽11の前段に固液分離手段として最初沈殿池16が設けられている。同様に、第2好気槽22の前段に固液分離手段として最初沈殿池26が設けられている。さらに、第2好気槽22の後段にも固液分離手段として最終沈殿池27が設けられている。第2活性汚泥処理装置の活性汚泥は固液分離手段27により濃縮され、返送汚泥または余剰汚泥S2として引き抜かれるとともに、上澄みが処理水O2として得られる。最初沈殿池16,26や最終沈殿池27のような固液分離手段は、必要に応じて適宜設ければよい。
【0057】
排水処理システムは、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給する汚泥供給手段31を有する。汚泥供給手段31により、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥が、第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給される。図1では、汚泥供給手段31は一方端が固液分離手段27に連通しているが、固液分離手段27の代わりに第2好気槽22に連通していてもよい。汚泥供給手段31の他方端は、第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に連通していればよい。汚泥供給手段31としては管路や開渠等の汚泥供給路を採用すればよく、ポンプ32等の移送手段が設けられていてもよい。
【0058】
排水処理システムは、図1に示すように、第1好気槽の12の槽内水(活性汚泥)を固液分離して処理水を得るための膜分離手段14を有することが好ましい。図1では、膜分離手段14は、散気装置13の上方に位置するように、第1好気槽12に浸漬されて設けられている。このように膜分離手段14が設けられることにより、第1好気槽12の活性汚泥濃度を高く保ちつつ、膜分離手段14により安定して固液分離することが容易になる。膜分離手段14による固液分離の結果、処理水O1が得られる。膜分離手段14を設ける場合は、第1好気槽12から槽内水(活性汚泥)を余剰汚泥S1として適宜引き抜くことが好ましい。なお、第1好気槽12の槽内水を膜分離手段14により固液分離しない場合は、例えば、第1好気槽12の後段に最終沈殿池のような固液分離手段を設ければよい。
【0059】
なお、図1には示されていないが、排水処理システムには、第1活性汚泥処理装置の活性汚泥を第2好気槽22に供給する第2汚泥供給手段が設けられていてもよい。汚泥供給手段31により第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給する際、第2汚泥供給手段により第1活性汚泥処理装置の活性汚泥を第2好気槽22に供給することにより、第1嫌気槽11、第1好気槽12、第2好気槽22の活性汚泥固形分量または活性汚泥濃度を一定範囲に保つことが容易になり、各槽での活性汚泥処理を好適に行うことが容易になる。第2汚泥供給手段としては管路や開渠等の汚泥供給路を採用すればよく、ポンプ等の移送手段が設けられていてもよい。
【0060】
排水処理システムはさらに、第1活性汚泥処理装置から得られる処理水O1のリン濃度を測定するリン濃度測定手段18と、リン濃度測定手段18により測定されるリン濃度の値に基づき、汚泥供給手段31による第2活性汚泥処理装置の活性汚泥の供給量を制御する制御手段33とを有することが好ましい。図1では、制御手段33は、汚泥供給手段31に設けられたポンプ32の稼働と停止を制御、またはポンプ32の回転数等を制御しているが、制御手段33として汚泥供給手段31にバルブ等を設けてもよい。
【0061】
図1に示したような排水処理システムを用いれば、リン含有排水I1を第1嫌気槽11に導入した後第1好気槽12に導入し、活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程と、リン含有排水I2を第2好気槽22に導入し、活性汚泥処理を行う第2活性汚泥処理工程と、第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、第1嫌気槽11または/および第1好気槽12に供給する汚泥供給工程を有する本発明の排水処理方法を好適に行うことができる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0063】
嫌気槽と無酸素槽と好気槽とを有し、好気槽に膜分離手段(公称平均孔径0.2μm、塩素化ポリエチレン製平板状膜)を設けた第1活性汚泥処理装置と、好気槽を有する第2活性汚泥処理装置により、下水を活性汚泥処理した。第1活性汚泥処理装置および第2活性汚泥処理装置には、同一の下水を最初沈殿池により固液分離処理した上澄みを、流入水として導入した。第1活性汚泥処理装置の前段に設けられる最初沈殿池と第2活性汚泥処理装置の前段に設けられる最初沈殿池では、各処理装置で好適に活性汚泥処理が行われるように、適宜汚泥除去率を変更した。
【0064】
第1活性汚泥処理装置の標準的な運転条件としては、第1活性汚泥処理装置(嫌気槽)への流入水量が約50m3/日、処理水量(膜分離手段により得られる膜ろ過水量)が約50m3/日、好気槽からの余剰汚泥引き抜き量が0.3m3/日、嫌気槽、無酸素槽、好気槽の活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)が各々約5,000mg/L、約8,000mg/L、約10,000mg/L、水理学的滞留時間(HRT)が各々約1時間、約2時間、約3時間、汚泥滞留時間(SRT)が約40日であった。
【0065】
第2活性汚泥処理装置の標準的な運転条件としては、第2活性汚泥処理装置への流入水量と処理水量が約150,000m3/日、活性汚泥浮遊物質濃度(MLSS濃度)が約1,500mg/L、水理学的滞留時間(HRT)が約7時間、汚泥滞留時間(SRT)が約4日であった。
【0066】
このような条件のもと、第1活性汚泥処理装置で活性汚泥処理を行った結果を表1に示す。表1に示した各分析項目は、下水試験方法に従い分析を行った。流入水は最初沈殿池により固液分離処理されたものであるため、T−P濃度(全リン濃度)の5〜8割がPO4−P濃度(リン酸態リン濃度)に相当すると見なせる。活性汚泥のリン含有率は、活性汚泥固形分当たりのリン含有率を表す。処理水は膜分離手段により得られたものであるため、T−P濃度はPO4−P濃度にほぼ等しいと見なせる。
【0067】
処理開始後10日程度は、第1活性汚泥処理装置で良好に流入水(リン含有排水)のリン除去が行われていた。しかし、処理開始から15日を過ぎた辺りから、第1活性汚泥処理装置から得られる処理水のリン濃度が上昇し始めた。そこで、処理開始後21日目〜23日目にかけての3日間、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を合計12m3(固形分量として約60kg)、第1活性汚泥処理装置の嫌気槽に加えた。この間、第1活性汚泥処理装置の好気槽からの余剰汚泥引き抜き量は、平均2.5m3/日(固形分量として約2.5kg/日)に増やし、この余剰汚泥を第2活性汚泥処理装置の好気槽に返送した。その結果、第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を第1活性汚泥処理装置に加える間に第1活性汚泥処理装置のリン除去性能が回復し、以降安定した処理性能が維持された。
【0068】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、下水処理、し尿処理、食品工場や紙パルプ工場、化学工場等から発生する工場排水の処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理等により発生する排水の処理に用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
11: 嫌気槽
12,22: 好気槽
13,23: 散気装置
14: 膜分離手段
31: 汚泥供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン含有排水を第1嫌気槽に導入した後第1好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第1活性汚泥処理工程と、
リン含有排水を第2好気槽に導入し、活性汚泥処理を行う第2活性汚泥処理工程と、
前記第2活性汚泥処理工程の活性汚泥を、前記第1嫌気槽または/および前記第1好気槽に供給する汚泥供給工程とを有することを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
前記第1活性汚泥処理工程において、膜分離手段により第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得る請求項1に記載の排水処理方法。
【請求項3】
リン含有排水の一部を前記第1活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行い、当該リン含有排水の残部の一部または全部を前記第2活性汚泥処理工程で活性汚泥処理を行う請求項1または2に記載の排水処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排水処理方法を行うための排水処理システムであって、
前記第1嫌気槽と前記第1好気槽とを有する第1活性汚泥処理装置と、
前記第2好気槽を有する第2活性汚泥処理装置と、
前記第2活性汚泥処理装置の活性汚泥を、前記第1嫌気槽または/および前記第1好気槽に供給する汚泥供給手段とを有することを特徴とする排水処理システム。
【請求項5】
前記第1好気槽の槽内水を固液分離して処理水を得るための膜分離手段を有する請求項4に記載の排水処理システム。
【請求項6】
前記第1活性汚泥処理装置から得られる処理水のリン濃度を測定するリン濃度測定手段と、
前記リン濃度測定手段により測定されるリン濃度の値に基づき、前記汚泥供給手段による前記第2活性汚泥処理装置の活性汚泥の供給量を制御する制御手段とを有する請求項4または5に記載の排水処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−200767(P2011−200767A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68897(P2010−68897)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】