採血管用使い捨て開栓ブロックとそれを使用した開栓装置
【課題】フィルムシールタイプの栓体を有する採血管を開栓するに際し、血液の飛散による二次感染を抑制するだけでなく、先の検体による次の検体への汚染を防止するため、開栓された栓体部分もその開栓器具に保持するようにして、一度開栓に使用した開栓器具はそのまま廃棄する開栓器具を提供するものである。
【解決手段】採血管の栓体を打ち抜き、打ち抜かれた開栓部分を保持する機構を開栓ブロックに設け、一の採血管ごとに開栓ブロックを用いて開栓し、その使用した開栓ブロックはその都度廃棄して、検体間の汚染や二次感染を防止する。
【解決手段】採血管の栓体を打ち抜き、打ち抜かれた開栓部分を保持する機構を開栓ブロックに設け、一の採血管ごとに開栓ブロックを用いて開栓し、その使用した開栓ブロックはその都度廃棄して、検体間の汚染や二次感染を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体である血液の飛散等による二次感染や、検体間の汚染を防止させるための、採血管の開栓に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
臨床検査における採血では、種々の採血管が使用されている。最近ではガラス製より軽く、落下しても破損しない樹脂製の採血管が主に使用されている。
【0003】
採血管とその栓体を図1及び図2を使って説明する。樹脂製採血管1は、円形の開口部13の外周にフランジ部12を有する樹脂製有底管11と、アルミ箔等の金属箔に樹脂をコーティングし、その中央部に採血針41(図3)を刺し通すためのゴム部材21の接着等をし、樹脂コーティングの外周の一部にタブ22を設けた栓体2とからなっている。タブ22は、手作業で開栓するときの摘み部分となるものである。前記採血管1は、内圧を減圧した状態で、樹脂有底管11の開口部13に熱溶着等の方法で栓体2が接着され、真空採血管と呼ばれている。ここでは、樹脂製採血管や減圧された真空採血管も採血管1に含まれるものとし、金属箔を樹脂がコーティングしているかどうかを問わず、樹脂製のフィルムを使用し、中央にゴム部材21を有する栓体をフィルムシールタイプの栓体2というものとする。以下特に断りがない限り、栓体とした場合には上記フィルムシールタイプの栓体2をいうものとする。
【0004】
採血ホルダーについて図3を用いて説明する。採血管1は前述のように減圧状態とされた真空採血管1として使用されている。図3に示すように、採血時には、採血ホルダー4に採血針41としての注射針を取り付け、採血針41の先端部42を血管内(図示しない)に刺した後、真空採血管1を採血管ホルダー4内に差し込み、採血針41の後端部43が真空採血管1の開口部13に接着された栓体2を刺し抜くことにより、血管内と真空採血管1を連絡させる。真空採血管1内は減圧されているため、血液3は真空採血管1内に流入し採血が行われる。真空採血管1を採血管ホルダー4内から後退させ、採血針41の後端部43を栓体2から引き抜くことにより採血は終了する。栓体2は空気非透過性でありゴム部材21により採血針41が刺通可能に、かつ採血針41が抜けた後も気密性が維持できるように構成されている。採血管1には、開口部13の直径や有底管11の長さが異なるものがあるが、有底管11の開口部13のフランジ12の大きさとゴム部材21の大きさは共通となっていて、採血作業の安定化のため1種類の採血ホルダー4にて採血できるようにされている。
【0005】
血液検査作業において、実験室レベルでは、作業者が手作業で栓体2のタブ22を摘んで開栓するが、採血管1内は採血されていても、減圧した状態にあり、栓体2のフィルムを剥がすとき瞬間的に減圧が解かれ、血液が外部に飛散したり、あるいは手作業によるため、血液による他の検体への汚染や作業者への二次感染の危険性がある。以下検体という場合には、特に断りがない限り血液を意味するものとする。
【0006】
こうした手作業による作業環境への汚染や二次感染の危険性を解消し、さらに血液検査の効率化のため採血管開栓作業の自動化が提案されている。
採血管の栓体を中空の打ち抜きパンチにより開栓し、打ち抜かれた打ち抜き片を減圧空間に把持させて処理する方法(特許文献1)、採血管の栓体表面に接着テープの接着面を接着させその接着テープを引っ張ることにより採血管開口部を封口している栓体を剥離して開栓する方法(特許文献2)、採血管の栓を除去する自動開栓装置において、栓の存在を感知する検出器を備えたもの(特許文献3)等がある。
【特許文献1】特許公開平6−64688
【特許文献2】特許公開平9−24038
【特許文献3】特許公開平6−8995
【0007】
また近年、分析機器等が高性能化され、分析精度が向上し、検体である血液に微量でも他の物質、例えばその検体以外の他の検体が少しでも混入すれば、その検査結果は実体とは異なるものとなり、誤診につながる恐れもある。
採血管を開栓したカッター等の器具をさらに次の採血管の開栓に使用する場合、該治具に先の採血管を開栓したときの検体が付着し、次の採血管の開栓時にこの採血管内にある検体を汚染するいわゆる検体間での汚染の可能性もある。上記特許文献1〜3では、採血管を開栓させた器具が次の採血管にも使用され検体間での汚染の可能性もある。また採血管毎に開栓する器具を使い捨てとして、採血管毎に開栓する器具を新しいものに更新していくというものではない。
【0008】
検体の汚染をより抑制できる採血管の開栓機構として、栓体を打ち抜く開栓カッターを採血管毎に交換する方法がある(特許文献4)。その出願によれば、栓体である蓋部を打ち抜く開栓カッターとカッター保持具を装備し、開栓カッター保持具に開栓カッターを装着し栓体を打ち抜き、打ち抜かれ栓体部分を開栓カッター保持具に別に設けられたニードルに保持させ、ニードルを進退運動させて打ち抜かれた栓体部分を廃棄し、さらに開栓カッターも開栓カッター保持具より離脱させて、開栓カッターを新たなものに交換していく機構としている。本法により検体の汚染は、より抑制することが可能である。
【特許文献4】特許公開2005−206180
【0009】
しかし前記発明では、打ち抜かれた栓体部分を保持するニードルが採血管毎に交換されていないため、採血管の栓体を刺し抜いたニードルに検体が付着し、次の採血管の開栓時に、先の検体が付着したニードルが栓体を刺し抜いて、後の検体に触れその検体を汚染する、検体間での汚染の恐れがある。すなわち採血管の開栓に携わった器具のすべてを廃棄し、その採血管の開栓に携わる器具をすべて更新するものではない。なお、以下ニードルに替え保持手段または保持ピンと称することとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、採血管の検体間の汚染をより抑制するため、採血管毎に、開栓に携わった器具を廃棄処分とし、採血管毎に開栓に携わる器具を更新する開栓装置及びその開栓器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、前記課題を解決するため、開栓ブロックに採血管の栓体を開栓する開栓手段と、開栓された栓体部分を保持する保持手段とを設け、1本の採血管毎に1個の開栓ブロックを更新して開栓し、開栓に使用した開栓ブロックは栓体部分と共に廃棄して、検体間の汚染を抑制するものである。
【0012】
すなわち、第1発明は、フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新する使い捨て用開栓ブロックを用いることを特徴とする開栓装置である。
【0013】
開栓ブロックには、採血管の栓体を開栓する手段と、開栓された栓体部分を保持する手段が設けられている。さらに開栓ブロックは、採血管の開栓時等に検体が周囲に飛散することを防ぐため、採血管の開口部を覆う機能も有している。ここで、採血管の開口部を覆い、採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を保持する開栓部分と、移動のため開閉チャックにより把持される把持部分を有し、部品として扱うことができるものであれば、その形状を問わず、開栓ブロックというものとする。
【0014】
「開栓された栓体部分」としたのは、有底管を封口している栓体のすべてを剥離して開栓するのではなく、栓体の一部を切断等して開栓し、その切断された栓体の一部を開栓ブロックが保持するためである。
【0015】
複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、1つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管のある開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロックを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。開閉チャックの制御手段は開閉チャックの移動だけではなく、開栓ブロックの把持及び離脱等も制御するものである。供給ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを把持する位置、開栓ポジションとは、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓する位置、廃棄ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを離脱させる位置をいう。各ポジションの位置は同一平面上にあるとは限らない。開閉チャックが開栓ブロックを把持する方法としては、開栓ブロックの把持部分である円筒の内壁、あるいは外壁を把持する方法等があるが、把持する方法については問わない。1本の採血管に対し1個の開栓ブロックを使用して開栓し、1度使用した後は、開栓された栓体部分と共に廃棄する開栓ブロックを使用することを特徴とする開栓装置である。なお、本開栓装置は、コンピューター制御により操作されるか否かは問わない。また、本開栓装置は、採血管の分類、開栓、分注、分析それに伴う搬送等を自動的に行う採血管の自動分析設備の中に組み込まれて使用することができるが、その設備には、第1発明が含まれることになる。
【0016】
第2発明は、第1発明の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に同心円上に配置される栓体を開栓する開栓カッターと、さらに、開栓カッターの内側に同心円上に配置される開栓された栓体部分を保持する保持ピンとを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロックである。
【0017】
円筒内に隔壁を設け、一方の円筒部を開栓部分とし、他の円筒部を把持部分としたものである。円筒の軸芯と垂直な隔壁は、その中央部に開栓部分と把持部分を貫通する孔がある場合もあるし、孔がない場合もある。開栓カッターは、隔壁に対し略垂直に付けられているが、円筒の軸芯に向いて付けられている場合もある。開栓カッターの内側に配置される保持ピンも隔壁に対し略垂直に付けられているが、円筒の軸芯に向いて付けられている場合もあることは開栓カッターと同じである。保持ピンを開栓カッターの内側に配置したのは、開栓された栓体部分を保持するには、開栓カッターの内側に配置しなければ、開栓された栓体部分を保持できないからである。又保持ピンは、円筒の同心円上に90度あるいは60度の等間隔で取り付けられるが、配置角度や保持ピンの数は問わない。なお、内側とは、円筒の軸芯に向かう方向をいうものとする。開栓カッターの最長部の長さ、すなわち隔壁から開栓カッターの先端部までの長さは、開栓部分の円筒の長さより短くして、開栓カッターの最長部が、開栓部分の円筒内に入っていることが好ましい。採血管の栓体を開栓する前に、採血管の先端部を開栓ブロックの開栓部分が覆い、その後に開栓カッターにより開栓して検体の飛散を防ぐためである。
【0018】
第3発明は、第2発明の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の開栓カッターは、のこぎり刃状とし、保持ピンは、隔壁からの長さが開栓カッターの最長部より長くし、その先端を鋭角とし、さらに開栓された栓体部分を保持するため、その先端部の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持ピンとする開栓ブロックである。
【0019】
開栓カッターをのこぎり刃状としたのは、栓体はフィルムシールタイプのものであり、先端をのこぎり刃状にすることにより、栓体を打ち抜いて開栓するためである。隔壁からの保持ピンの長さを開栓カッターの最長部すなわち隔壁からのこぎり刃の先端までの長さより長くしたのは、開栓カッターが栓体に接触する前に保持ピンが栓体を貫通させ、開栓カッターにより開栓された栓体部分を保持しやすくするためである。保持ピンと円筒の長さは任意であるが、円筒の長さは、保持ピンと同じか、それより長くてもよい。ここで長さとは隔壁からの距離をいう。開栓ポジションにて、開栓ブロックは所定の高さに降下して、まず開栓部分の保持ピンが栓体を貫通し、次に開栓カッターが栓体を打ち抜き、開栓させる。次に開栓ブロックが上昇するとき、打ち抜かれて開栓された栓体部分を保持ピンの留部が保持し、その開栓ブロックは廃棄ポジションに移動して、開栓された栓体部分とともに廃棄するものである。
【0020】
保持ピンの先端部の両側と内側、あるいは内側の段差状の留部とは、開栓された栓体部分を保持するためであり、栓体を開栓し、開栓ブロックが上昇するとき、保持ピンの先端部の両側と内側あるいは内側に段差を設け、この留部に開栓された栓体部分を保持して、開栓ブロックとともに廃棄するものである。保持ピンの先端部の両側とは円筒の軸芯に向かいその左右をいい、内側とは円筒の軸芯に向かう方向をいう。
【0021】
第4発明は、第1発明の開栓ブロックについて、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に、同心円状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する保持用開栓カッターを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロックである。
【0022】
第4発明は、第2発明とは異なり、開栓カッターに栓体の開栓機能と開栓された栓体部分の保持機能の二つの機能を持たせる保持用開栓カッターを開栓ブロックの開栓部分に付けたものである。開栓機能だけの開栓カッターと区別するため保持用開栓カッターとした。第3発明と同様に、保持用開栓カッターの最長部の長さ、すなわち隔壁から開栓カッターの先端部までの長さを、開栓部分の円筒の長さより短くして、保持用開栓カッターの最長部が、開栓部分の円筒内に入っていることが好ましい。採血管の栓体を開栓する前に、採血管の先端部を開栓ブロックの開栓部分が覆い、その後に保持用開栓カッターにより開栓して検体の飛散を防ぐためである。
【0023】
第5発明は、第4発明の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の保持用開栓カッターは、のこぎり刃状とし、かつ、開栓された栓体部分を保持するため、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持用開栓カッターとする開栓ブロックである。
【0024】
第3発明と同様に、保持用開栓カッターをのこぎり刃状としたのは、栓体はフィルムシールタイプのものであり、先端をのこぎり刃状にすることにより、栓体を打ち抜いて開栓するためである。のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部を付けるのは、開栓された栓体部分を保持するためであり、第3発明の保持ピンと同じである。前述のように、開栓部分の円筒の長さは、検体の飛散を防ぐため保持用開栓カッターの長さ、すなわち隔壁からのこぎり刃の先端部までの長さより長くすることが好ましい。内側とは、円筒の軸芯に向かう方向をいい、両側とは円筒の軸芯に向かいその左右をいう。
【0025】
さらに、第6発明は、開栓ブロックの開栓部分の先端部は、採血管開口部を覆うようにした請求項2から請求項5のいずれかの開栓ブロックである。
【0026】
採血管の開口部は、一般的には図1に示すように、周囲にフランジ部が付けられている。検体の入った採血管は減圧状態になっている。この採血管を開栓するとき、減圧状態が解かれるため、検体が飛散する場合もある。そこで開栓部分の円筒の先端部が採血管の外壁を覆うように、すなわち採血管の開口部が開栓部分の円筒の先端部に挿入できるようにして、検体が採血管の周囲へ飛散することを防ぐためである。
【0027】
さらに第7発明は、開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブをつけた請求項2から請求項6のいずれかの開栓ブロック。
【0028】
開栓ブロックは、その把持部分が開閉チャックにより把持されて各ポジションへ移動する。移動とは各ポジションへの水平及び上下方向への動きをいうが、その移動途中で開栓ブロックが開閉チャックより離脱しないようにすることが必要である。把持部分である円筒の内周または外周にリブを設けることにより、このリブが滑り止めの役割を果たし、開栓ブロックが開閉チャックより離脱することを防ぐものである。またリブを付けることにより開栓ブロックが補強される。
【0029】
さらに、第8発明は、第2発明から第7発明のいずれかの開栓ブロックを使用した第1発明の開栓装置である。
【0030】
採血管の開栓装置についての先行技術は多く存在する。しかし、採血管毎に開栓に使用する開栓ブロックを更新し、使い捨てるとする開栓装置は見出だされていない。第8発明は、使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した採血管の開栓装置を対象とするものである。
【0031】
さらに、第9発明は、前記開閉チャックを複数連とし、一度に複数の採血管を開栓できるようにした第1発明または第8発明の開栓装置である。
【0032】
開栓装置では、複数の採血管が採血管用ラックに載せられ、採血管用ラックごとに移動されている。開閉チャックを複数連結させておき、それぞれの開閉チャックに開栓ブロックを把持させて、採血管用ラックに載っている複数の採血管を同時に開栓させるためである。開栓ブロックを開閉チャックに合わせて複数連とするか、複数連の開閉チャックに個々に開栓ブロックを把持させるかは自由である。ここで複数連とは、開閉チャックや開栓ブロックが複数連結され、同時に作用できるものをいう。
【0033】
続いて第10発明は、 第1発明、第8発明、または第9発明のいずれかに記載の開栓装置において、連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システムである。
【0034】
使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した開栓装置において、複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、1つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管のある開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開閉チャックに保持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロックを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。かかる一連の動作及び開閉チャックの開栓ブロックの把持及び離脱等の制御するプログラムを伴う開栓システムである。
【発明の効果】
【0035】
第1発明は、採血管の開栓装置において、採血管毎に開栓器具である開栓ブロックを更新して開栓するため、先の採血管を開栓した開栓ブロックに付着した検体により、後に開栓される採血管の検体が汚染される恐れがなくなり、検体間での汚染が防止できる。
【0036】
第2発明は、開栓ブロックは開栓部分と把持部分より構成され、開栓部分の開栓カッターが栓体を開栓するだけでなく、開栓された栓体部分を保持ピンが保持するため、開栓された栓体部分を確保することができ、他の採血管内の検体や周囲への汚染、あるいは二次感染を防止することができる。
【0037】
第3発明は、開栓ブロックの開栓部分の保持ピンを開栓カッターの最長部より長くして、保持ピンの先端部が開栓を貫通し、次に開栓カッターをのこぎり刃状の開栓カッターが栓体を打ち抜いて開栓する。この開栓された栓体部分を留部を有する保持ピンが保持することができるようになる。
【0038】
第4発明は、開栓ブロックの開栓部分に開栓と開栓された開栓部分の保持との二つの機能を有する保持用開栓カッターを付けることにより、開栓部分の構造が第2発明と比較し、構造が簡単になり、開栓ブロックの製造コストが低減される。
【0039】
第5発明は、保持用開栓カッターをのこぎり刃状として栓体を打ち抜き、さらに留部を設けた保持用開栓カッターにより、開栓された栓体部分を保持しやすくすることができる。
【0040】
第6発明は、開栓ブロックの開栓部分の円筒の先端部が採血管のフランジ部を覆うようにして、開栓時等での検体の周囲への飛散を防止するものである。
【0041】
第7発明は、開栓ブロックは開閉チャックにより把持されて移動するが、開栓ブロックの把持部にリブを付けて開閉チャックにより把持されやすくし、移動途中で離脱することを防ぐためである。
【0042】
第8発明は、使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した採血管用開栓装置に限定したものであり、本発明の外延を明らかにするものである。
【0043】
第9発明は、開閉チャックを複数連とすることにより、開栓作業をより効率的にするためである。
【0044】
第10発明は、開栓ブロックを使用した開栓装置を制御する開栓システムを権利範囲とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0046】
図4は、保持ピン付き開栓ブロック5の断面図及び底面図である。円筒59の略中央部に円筒の軸芯に垂直に隔壁58が設けられ、その中央部は孔581が空けられている。隔壁58を挟んで、一方側の開栓部分51には、円筒の内部に円筒59と同心円上にのこぎり刃状の開栓カッター53が隔壁58と略垂直に付けられ、さらに開栓カッター53の内側に円筒59と同心円上に保持ピン54が90度ごとに4本隔壁58に略垂直に付けられている。開栓カッター53は、連続的な環状になっていて、のこぎり刃状の先端部が4つ形成されている。保持ピン54は、開栓された栓体部分を保持しやすくするため、のこぎり刃状先端部の内側方向すなわち円筒の軸芯方向に付けられている。隔壁58を挟んで他の一方側は把持部52となっていて、その上端の外周にリブ56が設けられている。リブ56は外周だけでなく内周にも付けることができる。
【0047】
開栓カッターは、4つの先端を有する、のこぎり刃状となっているが、この数に限るものではなく、また、保持ピンも4本としているが、これに限るものではない。隔壁の孔581は射出成形の作業等のため付けられたものであるが、空気がこの孔を通り、開栓時に採血管に空気が入りやすくなるという長所もある。ただし孔の有無は問わない。
【0048】
図5は、保持ピン54の正面図と左右側面図等である。(1)は、保持ピン先端部の両側と内側に段差状の留部541・542を付けた保持ピン54であり、(2)は内側にだけ段差状の留部542を付けた保持ピン54である。保持ピン先端部の左右(両側)の勾配角度R1は、(1)が約60°、(2)が約30°となっているがこれに限るものではなく、保持ピン54の内側への勾配角度R2は約30°となっているが、これに限るものではない。さらに両側の留部541と保持ピン54の軸との角度R3は(1)では略直角になっているが、(3)のようにR3を鋭角とすることもできる。また、内側の留部542と保持ピン54の軸との角度R4も直角だけではなく、(4)のように鋭角とすることもできる。
【0049】
本開栓ブロックは、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、製造方法や材料は問わない。
【0050】
図6は、開栓カッター53と保持ピン54が付いた開栓ブロックが、採血管1の栓体2を打ち抜き、保持ピン54が開栓された栓体部分23を保持している図である。開閉チャック6により把持された開栓ブロック5は、開栓ポジションに移動し、採血管へ下降し、保持ピン54が採血管の栓体を貫通し、続いて開栓カッターが栓体を打ち抜き開栓する。次に開栓ブロック5は上昇するが、そのとき開栓された栓体部分23を保持ピン54が保持する。こうして開栓された栓体部分23は開栓ブロック5と共に廃棄ポジションに移動して廃棄される。なお、移動とは各ポジションへの水平及び上下方向への動きをいうが、ここでは開栓ブロック5の動きを説明するため、移動及び下降・上昇なる言葉を用いた。以下同様に必要に応じ使用する。
【実施例2】
【0051】
図7は、保持用開栓カッター55が付いた開栓ブロック5である。保持用開栓カッター55は、のこぎり刃状の連続的な環状となっている。のこぎり刃状の先端には、開栓された栓体部分23を保持する留部551・552が形成されている。のこぎり刃状の先端部は4つ形成されているが、この数に限るものではない。
【0052】
図8は、保持用開栓カッターの先端部の正面図、左右側面図等である。(1)は、のこぎり刃状の両側と内側に段差状の留部551・552を付けたものであり、(2)は内側にのみ段差状の留部552を付けたものである。保持用開栓カッターの左右(両側)の勾配角度R5は、(1)が約60度、(2)が約30度となっているがこれに限るものではない。保持用開栓カッター55の軸と内側の勾配角度R6は、約30度であるがこれに限定するものではない。さらに両側の留部551と保持用開栓カッター55の軸との角度R7は(1)では略直角になっているが、(3)のようにR7を鋭角とすることもできる。また、内側の留部552と保持用開栓カッター55の軸との角度R8も直角だけではなく、(4)のように鋭角とすることもできる。開栓された栓体部分を保持用開栓カッターが保持するのに容易とするためである。なお、本開栓ブロックも、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、製造方法や材料は問わない。
【0053】
図9は、保持用開栓カッター55が付いた開栓ブロック5が、採血管1の栓体2を打ち抜き、保持用開栓カッター55が開栓された栓体部分23を保持している図である。開閉チャック6により把持された開栓ブロック5は、開栓ポジションに移動し、採血管へ下降し、保持用開栓カッター55が採血管の栓体を打ち抜き開栓する。次に開栓ブロック5は上昇するが、そのとき開栓された栓体部分23を保持用開栓カッター55の留部551・552(552だけの場合もある。)が保持する。こうして開栓された栓体部分23は開栓ブロックと共に廃棄ポジションに移動して廃棄される。
【実施例3】
【0054】
開閉チャックにより把持された開栓ブロックが移動途中で離脱しないように開栓ブロックの把持部にはリブをつけることが好ましい。図10には、開栓ブロックの把持部にリブ56をつけた開栓ブロックが示されている。(1)は把持部分の円筒外周に、(2)では内周にリブ56が設けられている。開閉チャック6及開閉ピン61の動きも開閉チャック制御手段により制御される。また図示しないが開栓ブロックの離脱を確実にするため、開閉チャックに押出しピンを付けたりする方法もある。
【実施例4】
【0055】
図11は保持用開栓カッター55がついた開栓ブロック5の動きを示したものである。開閉チャック6等は、図示しない開閉チャック制御手段により、上下スライダー10や水平スライダー9に沿って移動している。開閉チャック6は、開栓ブロック5のある供給ポジションに移動し、開閉ピン61が開き、開栓ブロック5を把持する。次に開栓ブロックを把持した開閉チャック6が、開栓ポジションに移動して採血管1を開栓する。開栓された栓体部分23は開栓ブロック5に保持され、その開栓ブロックは開閉チャック6に把持されて廃棄ポジションに移動し、開閉ピン61が閉じて開栓ブロックごとに廃棄される。なお、開閉チャック6や開閉ピン61は開栓ブロック5を把持するもので足り、把持方法や形状等は任意である。
【0056】
図12は、供給ポジション、開栓ポジション、廃棄ポジションの位置関係の一例である。開閉チャック6は、廃棄ポジションの位置にきて開栓ブロックを離脱させると、左側の供給ポジションに移動する。開栓ブロック6、採血管1は、それぞれ、5個入りの開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7に搭載され、開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7は図12の表面から裏面に開閉チャック6の動きに連動させて移動する。
【0057】
図12において、開閉チャック6を5つの複数連として採血管1のラックごとに一度に開栓することも可能である。この場合には、開栓ブロック収容箱20の形状も変わってくる。
【実施例5】
【0058】
図13は、開栓ポジションと開栓確認センサー30の位置関係を示すものである。採血管1が5本ごとに採血管用ラック7に搭載され、開栓ポジションに送られる。図示しない位置センサーにより採血管用ラック7が止まり、開栓する採血管1がクランプ40により固定される。続いて前述したような開閉チャック6の移動、開栓作業が行われる。同時に先に開栓した採血管1の開栓確認が開栓確認センサー30にて行われる。開栓確認センサー30により開栓がされていない場合には、連続的な作業の中止あるいは開栓されていない採血管1の除去等の作業が第10発明である開栓システムにより行われる。これは開栓システムの一例を示したに過ぎず、これに限定するものではない。本開栓システムは開栓ブロックの移動、採血管の移動、開栓作業、及びその開栓確認行為等を自動的に行なわせるものである。
なお、上記のように図11、図12、図13は開栓装置の一例を示したにすぎず、本発明がこれらの図に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
分析機器の高度化に伴い、検体の僅かな汚染も分析結果に大きく影響し検査工程等における検体の汚染は極力抑制しなければならない。特に臨床検査に供する血液はなおさらのことである。本発明は採血管ごとにその開栓作業において開栓ブロックをディスポーサブルなものとして使用するものであり、構造は簡単であり、かつ低コストであることから、今後の利用が大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】採血管の断面図
【図2】栓体平面図
【図3】採血管と採血ホルダー
【図4】保持ピン付きの開栓ブロック概略図
【図5】留部を有する保持ピン
【図6】保持ピンが開栓された栓体部分を保持した図
【図7】保持用開栓カッターが付いた開栓ブロック
【図8】保持用開栓カッターの先端部
【図9】保持用開栓カッターが開栓された栓体部分を保持した図
【図10】把持部円筒にリブを付けた開栓ブロック
【図11】開栓ブロックの移動と開栓装置
【図12】開栓ブロックの各ポジションの平面図
【図13】採血管の移動システム
【符号の説明】
【0061】
1 採血管 11有底管 12フランジ部 13開口部
2 栓体 21ゴム部材 22タブ 23開栓された(打ち抜かれた)栓体部分
3 検体(血液)
4 採血ホルダー 41採血針 42採血針先端部 43採血針後端部
5 開栓ブロック 51開栓部分 52把持部分 53開栓カッター
54 保持ピン 541(保持ピンの)両側留部 542(保持ピンの)内側留部
55 保持用開栓カッター 551(保持用開栓カッターの)両側留部
552(保持用開栓カッターの)内側留部
56(把持部分先端の)リブ
58 隔壁 581(隔壁の)孔
59 円筒部
6 開閉チャック 61開閉ピン
7 採血管用ラック
8 開栓ブロック用フィーダー
9 水平スライダー
10 上下スライダー
20 開栓ブロック収容箱
30 開栓確認センサー
40 クランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体である血液の飛散等による二次感染や、検体間の汚染を防止させるための、採血管の開栓に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
臨床検査における採血では、種々の採血管が使用されている。最近ではガラス製より軽く、落下しても破損しない樹脂製の採血管が主に使用されている。
【0003】
採血管とその栓体を図1及び図2を使って説明する。樹脂製採血管1は、円形の開口部13の外周にフランジ部12を有する樹脂製有底管11と、アルミ箔等の金属箔に樹脂をコーティングし、その中央部に採血針41(図3)を刺し通すためのゴム部材21の接着等をし、樹脂コーティングの外周の一部にタブ22を設けた栓体2とからなっている。タブ22は、手作業で開栓するときの摘み部分となるものである。前記採血管1は、内圧を減圧した状態で、樹脂有底管11の開口部13に熱溶着等の方法で栓体2が接着され、真空採血管と呼ばれている。ここでは、樹脂製採血管や減圧された真空採血管も採血管1に含まれるものとし、金属箔を樹脂がコーティングしているかどうかを問わず、樹脂製のフィルムを使用し、中央にゴム部材21を有する栓体をフィルムシールタイプの栓体2というものとする。以下特に断りがない限り、栓体とした場合には上記フィルムシールタイプの栓体2をいうものとする。
【0004】
採血ホルダーについて図3を用いて説明する。採血管1は前述のように減圧状態とされた真空採血管1として使用されている。図3に示すように、採血時には、採血ホルダー4に採血針41としての注射針を取り付け、採血針41の先端部42を血管内(図示しない)に刺した後、真空採血管1を採血管ホルダー4内に差し込み、採血針41の後端部43が真空採血管1の開口部13に接着された栓体2を刺し抜くことにより、血管内と真空採血管1を連絡させる。真空採血管1内は減圧されているため、血液3は真空採血管1内に流入し採血が行われる。真空採血管1を採血管ホルダー4内から後退させ、採血針41の後端部43を栓体2から引き抜くことにより採血は終了する。栓体2は空気非透過性でありゴム部材21により採血針41が刺通可能に、かつ採血針41が抜けた後も気密性が維持できるように構成されている。採血管1には、開口部13の直径や有底管11の長さが異なるものがあるが、有底管11の開口部13のフランジ12の大きさとゴム部材21の大きさは共通となっていて、採血作業の安定化のため1種類の採血ホルダー4にて採血できるようにされている。
【0005】
血液検査作業において、実験室レベルでは、作業者が手作業で栓体2のタブ22を摘んで開栓するが、採血管1内は採血されていても、減圧した状態にあり、栓体2のフィルムを剥がすとき瞬間的に減圧が解かれ、血液が外部に飛散したり、あるいは手作業によるため、血液による他の検体への汚染や作業者への二次感染の危険性がある。以下検体という場合には、特に断りがない限り血液を意味するものとする。
【0006】
こうした手作業による作業環境への汚染や二次感染の危険性を解消し、さらに血液検査の効率化のため採血管開栓作業の自動化が提案されている。
採血管の栓体を中空の打ち抜きパンチにより開栓し、打ち抜かれた打ち抜き片を減圧空間に把持させて処理する方法(特許文献1)、採血管の栓体表面に接着テープの接着面を接着させその接着テープを引っ張ることにより採血管開口部を封口している栓体を剥離して開栓する方法(特許文献2)、採血管の栓を除去する自動開栓装置において、栓の存在を感知する検出器を備えたもの(特許文献3)等がある。
【特許文献1】特許公開平6−64688
【特許文献2】特許公開平9−24038
【特許文献3】特許公開平6−8995
【0007】
また近年、分析機器等が高性能化され、分析精度が向上し、検体である血液に微量でも他の物質、例えばその検体以外の他の検体が少しでも混入すれば、その検査結果は実体とは異なるものとなり、誤診につながる恐れもある。
採血管を開栓したカッター等の器具をさらに次の採血管の開栓に使用する場合、該治具に先の採血管を開栓したときの検体が付着し、次の採血管の開栓時にこの採血管内にある検体を汚染するいわゆる検体間での汚染の可能性もある。上記特許文献1〜3では、採血管を開栓させた器具が次の採血管にも使用され検体間での汚染の可能性もある。また採血管毎に開栓する器具を使い捨てとして、採血管毎に開栓する器具を新しいものに更新していくというものではない。
【0008】
検体の汚染をより抑制できる採血管の開栓機構として、栓体を打ち抜く開栓カッターを採血管毎に交換する方法がある(特許文献4)。その出願によれば、栓体である蓋部を打ち抜く開栓カッターとカッター保持具を装備し、開栓カッター保持具に開栓カッターを装着し栓体を打ち抜き、打ち抜かれ栓体部分を開栓カッター保持具に別に設けられたニードルに保持させ、ニードルを進退運動させて打ち抜かれた栓体部分を廃棄し、さらに開栓カッターも開栓カッター保持具より離脱させて、開栓カッターを新たなものに交換していく機構としている。本法により検体の汚染は、より抑制することが可能である。
【特許文献4】特許公開2005−206180
【0009】
しかし前記発明では、打ち抜かれた栓体部分を保持するニードルが採血管毎に交換されていないため、採血管の栓体を刺し抜いたニードルに検体が付着し、次の採血管の開栓時に、先の検体が付着したニードルが栓体を刺し抜いて、後の検体に触れその検体を汚染する、検体間での汚染の恐れがある。すなわち採血管の開栓に携わった器具のすべてを廃棄し、その採血管の開栓に携わる器具をすべて更新するものではない。なお、以下ニードルに替え保持手段または保持ピンと称することとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、採血管の検体間の汚染をより抑制するため、採血管毎に、開栓に携わった器具を廃棄処分とし、採血管毎に開栓に携わる器具を更新する開栓装置及びその開栓器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、前記課題を解決するため、開栓ブロックに採血管の栓体を開栓する開栓手段と、開栓された栓体部分を保持する保持手段とを設け、1本の採血管毎に1個の開栓ブロックを更新して開栓し、開栓に使用した開栓ブロックは栓体部分と共に廃棄して、検体間の汚染を抑制するものである。
【0012】
すなわち、第1発明は、フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新する使い捨て用開栓ブロックを用いることを特徴とする開栓装置である。
【0013】
開栓ブロックには、採血管の栓体を開栓する手段と、開栓された栓体部分を保持する手段が設けられている。さらに開栓ブロックは、採血管の開栓時等に検体が周囲に飛散することを防ぐため、採血管の開口部を覆う機能も有している。ここで、採血管の開口部を覆い、採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を保持する開栓部分と、移動のため開閉チャックにより把持される把持部分を有し、部品として扱うことができるものであれば、その形状を問わず、開栓ブロックというものとする。
【0014】
「開栓された栓体部分」としたのは、有底管を封口している栓体のすべてを剥離して開栓するのではなく、栓体の一部を切断等して開栓し、その切断された栓体の一部を開栓ブロックが保持するためである。
【0015】
複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、1つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管のある開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロックを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。開閉チャックの制御手段は開閉チャックの移動だけではなく、開栓ブロックの把持及び離脱等も制御するものである。供給ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを把持する位置、開栓ポジションとは、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓する位置、廃棄ポジションとは、開閉チャックが開栓ブロックを離脱させる位置をいう。各ポジションの位置は同一平面上にあるとは限らない。開閉チャックが開栓ブロックを把持する方法としては、開栓ブロックの把持部分である円筒の内壁、あるいは外壁を把持する方法等があるが、把持する方法については問わない。1本の採血管に対し1個の開栓ブロックを使用して開栓し、1度使用した後は、開栓された栓体部分と共に廃棄する開栓ブロックを使用することを特徴とする開栓装置である。なお、本開栓装置は、コンピューター制御により操作されるか否かは問わない。また、本開栓装置は、採血管の分類、開栓、分注、分析それに伴う搬送等を自動的に行う採血管の自動分析設備の中に組み込まれて使用することができるが、その設備には、第1発明が含まれることになる。
【0016】
第2発明は、第1発明の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に同心円上に配置される栓体を開栓する開栓カッターと、さらに、開栓カッターの内側に同心円上に配置される開栓された栓体部分を保持する保持ピンとを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロックである。
【0017】
円筒内に隔壁を設け、一方の円筒部を開栓部分とし、他の円筒部を把持部分としたものである。円筒の軸芯と垂直な隔壁は、その中央部に開栓部分と把持部分を貫通する孔がある場合もあるし、孔がない場合もある。開栓カッターは、隔壁に対し略垂直に付けられているが、円筒の軸芯に向いて付けられている場合もある。開栓カッターの内側に配置される保持ピンも隔壁に対し略垂直に付けられているが、円筒の軸芯に向いて付けられている場合もあることは開栓カッターと同じである。保持ピンを開栓カッターの内側に配置したのは、開栓された栓体部分を保持するには、開栓カッターの内側に配置しなければ、開栓された栓体部分を保持できないからである。又保持ピンは、円筒の同心円上に90度あるいは60度の等間隔で取り付けられるが、配置角度や保持ピンの数は問わない。なお、内側とは、円筒の軸芯に向かう方向をいうものとする。開栓カッターの最長部の長さ、すなわち隔壁から開栓カッターの先端部までの長さは、開栓部分の円筒の長さより短くして、開栓カッターの最長部が、開栓部分の円筒内に入っていることが好ましい。採血管の栓体を開栓する前に、採血管の先端部を開栓ブロックの開栓部分が覆い、その後に開栓カッターにより開栓して検体の飛散を防ぐためである。
【0018】
第3発明は、第2発明の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の開栓カッターは、のこぎり刃状とし、保持ピンは、隔壁からの長さが開栓カッターの最長部より長くし、その先端を鋭角とし、さらに開栓された栓体部分を保持するため、その先端部の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持ピンとする開栓ブロックである。
【0019】
開栓カッターをのこぎり刃状としたのは、栓体はフィルムシールタイプのものであり、先端をのこぎり刃状にすることにより、栓体を打ち抜いて開栓するためである。隔壁からの保持ピンの長さを開栓カッターの最長部すなわち隔壁からのこぎり刃の先端までの長さより長くしたのは、開栓カッターが栓体に接触する前に保持ピンが栓体を貫通させ、開栓カッターにより開栓された栓体部分を保持しやすくするためである。保持ピンと円筒の長さは任意であるが、円筒の長さは、保持ピンと同じか、それより長くてもよい。ここで長さとは隔壁からの距離をいう。開栓ポジションにて、開栓ブロックは所定の高さに降下して、まず開栓部分の保持ピンが栓体を貫通し、次に開栓カッターが栓体を打ち抜き、開栓させる。次に開栓ブロックが上昇するとき、打ち抜かれて開栓された栓体部分を保持ピンの留部が保持し、その開栓ブロックは廃棄ポジションに移動して、開栓された栓体部分とともに廃棄するものである。
【0020】
保持ピンの先端部の両側と内側、あるいは内側の段差状の留部とは、開栓された栓体部分を保持するためであり、栓体を開栓し、開栓ブロックが上昇するとき、保持ピンの先端部の両側と内側あるいは内側に段差を設け、この留部に開栓された栓体部分を保持して、開栓ブロックとともに廃棄するものである。保持ピンの先端部の両側とは円筒の軸芯に向かいその左右をいい、内側とは円筒の軸芯に向かう方向をいう。
【0021】
第4発明は、第1発明の開栓ブロックについて、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に、同心円状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する保持用開栓カッターを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロックである。
【0022】
第4発明は、第2発明とは異なり、開栓カッターに栓体の開栓機能と開栓された栓体部分の保持機能の二つの機能を持たせる保持用開栓カッターを開栓ブロックの開栓部分に付けたものである。開栓機能だけの開栓カッターと区別するため保持用開栓カッターとした。第3発明と同様に、保持用開栓カッターの最長部の長さ、すなわち隔壁から開栓カッターの先端部までの長さを、開栓部分の円筒の長さより短くして、保持用開栓カッターの最長部が、開栓部分の円筒内に入っていることが好ましい。採血管の栓体を開栓する前に、採血管の先端部を開栓ブロックの開栓部分が覆い、その後に保持用開栓カッターにより開栓して検体の飛散を防ぐためである。
【0023】
第5発明は、第4発明の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の保持用開栓カッターは、のこぎり刃状とし、かつ、開栓された栓体部分を保持するため、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持用開栓カッターとする開栓ブロックである。
【0024】
第3発明と同様に、保持用開栓カッターをのこぎり刃状としたのは、栓体はフィルムシールタイプのものであり、先端をのこぎり刃状にすることにより、栓体を打ち抜いて開栓するためである。のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部を付けるのは、開栓された栓体部分を保持するためであり、第3発明の保持ピンと同じである。前述のように、開栓部分の円筒の長さは、検体の飛散を防ぐため保持用開栓カッターの長さ、すなわち隔壁からのこぎり刃の先端部までの長さより長くすることが好ましい。内側とは、円筒の軸芯に向かう方向をいい、両側とは円筒の軸芯に向かいその左右をいう。
【0025】
さらに、第6発明は、開栓ブロックの開栓部分の先端部は、採血管開口部を覆うようにした請求項2から請求項5のいずれかの開栓ブロックである。
【0026】
採血管の開口部は、一般的には図1に示すように、周囲にフランジ部が付けられている。検体の入った採血管は減圧状態になっている。この採血管を開栓するとき、減圧状態が解かれるため、検体が飛散する場合もある。そこで開栓部分の円筒の先端部が採血管の外壁を覆うように、すなわち採血管の開口部が開栓部分の円筒の先端部に挿入できるようにして、検体が採血管の周囲へ飛散することを防ぐためである。
【0027】
さらに第7発明は、開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブをつけた請求項2から請求項6のいずれかの開栓ブロック。
【0028】
開栓ブロックは、その把持部分が開閉チャックにより把持されて各ポジションへ移動する。移動とは各ポジションへの水平及び上下方向への動きをいうが、その移動途中で開栓ブロックが開閉チャックより離脱しないようにすることが必要である。把持部分である円筒の内周または外周にリブを設けることにより、このリブが滑り止めの役割を果たし、開栓ブロックが開閉チャックより離脱することを防ぐものである。またリブを付けることにより開栓ブロックが補強される。
【0029】
さらに、第8発明は、第2発明から第7発明のいずれかの開栓ブロックを使用した第1発明の開栓装置である。
【0030】
採血管の開栓装置についての先行技術は多く存在する。しかし、採血管毎に開栓に使用する開栓ブロックを更新し、使い捨てるとする開栓装置は見出だされていない。第8発明は、使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した採血管の開栓装置を対象とするものである。
【0031】
さらに、第9発明は、前記開閉チャックを複数連とし、一度に複数の採血管を開栓できるようにした第1発明または第8発明の開栓装置である。
【0032】
開栓装置では、複数の採血管が採血管用ラックに載せられ、採血管用ラックごとに移動されている。開閉チャックを複数連結させておき、それぞれの開閉チャックに開栓ブロックを把持させて、採血管用ラックに載っている複数の採血管を同時に開栓させるためである。開栓ブロックを開閉チャックに合わせて複数連とするか、複数連の開閉チャックに個々に開栓ブロックを把持させるかは自由である。ここで複数連とは、開閉チャックや開栓ブロックが複数連結され、同時に作用できるものをいう。
【0033】
続いて第10発明は、 第1発明、第8発明、または第9発明のいずれかに記載の開栓装置において、連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システムである。
【0034】
使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した開栓装置において、複数の開栓ブロックがフィーダー等に並べて置かれている供給ポジションにて、1つの開栓ブロックを、開閉チャックが把持し、採血管のある開栓ポジションに移動する。開栓ポジションにて開閉チャックに保持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持する。この栓体部分を保持した開栓ブロックを開閉チャックが把持したまま、廃棄ポジションに移動し、開閉チャックより開栓ブロックを離脱させて、開栓された栓体部分と共に廃棄する。かかる一連の動作及び開閉チャックの開栓ブロックの把持及び離脱等の制御するプログラムを伴う開栓システムである。
【発明の効果】
【0035】
第1発明は、採血管の開栓装置において、採血管毎に開栓器具である開栓ブロックを更新して開栓するため、先の採血管を開栓した開栓ブロックに付着した検体により、後に開栓される採血管の検体が汚染される恐れがなくなり、検体間での汚染が防止できる。
【0036】
第2発明は、開栓ブロックは開栓部分と把持部分より構成され、開栓部分の開栓カッターが栓体を開栓するだけでなく、開栓された栓体部分を保持ピンが保持するため、開栓された栓体部分を確保することができ、他の採血管内の検体や周囲への汚染、あるいは二次感染を防止することができる。
【0037】
第3発明は、開栓ブロックの開栓部分の保持ピンを開栓カッターの最長部より長くして、保持ピンの先端部が開栓を貫通し、次に開栓カッターをのこぎり刃状の開栓カッターが栓体を打ち抜いて開栓する。この開栓された栓体部分を留部を有する保持ピンが保持することができるようになる。
【0038】
第4発明は、開栓ブロックの開栓部分に開栓と開栓された開栓部分の保持との二つの機能を有する保持用開栓カッターを付けることにより、開栓部分の構造が第2発明と比較し、構造が簡単になり、開栓ブロックの製造コストが低減される。
【0039】
第5発明は、保持用開栓カッターをのこぎり刃状として栓体を打ち抜き、さらに留部を設けた保持用開栓カッターにより、開栓された栓体部分を保持しやすくすることができる。
【0040】
第6発明は、開栓ブロックの開栓部分の円筒の先端部が採血管のフランジ部を覆うようにして、開栓時等での検体の周囲への飛散を防止するものである。
【0041】
第7発明は、開栓ブロックは開閉チャックにより把持されて移動するが、開栓ブロックの把持部にリブを付けて開閉チャックにより把持されやすくし、移動途中で離脱することを防ぐためである。
【0042】
第8発明は、使い捨て用の開栓器具である開栓ブロックを使用した採血管用開栓装置に限定したものであり、本発明の外延を明らかにするものである。
【0043】
第9発明は、開閉チャックを複数連とすることにより、開栓作業をより効率的にするためである。
【0044】
第10発明は、開栓ブロックを使用した開栓装置を制御する開栓システムを権利範囲とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0046】
図4は、保持ピン付き開栓ブロック5の断面図及び底面図である。円筒59の略中央部に円筒の軸芯に垂直に隔壁58が設けられ、その中央部は孔581が空けられている。隔壁58を挟んで、一方側の開栓部分51には、円筒の内部に円筒59と同心円上にのこぎり刃状の開栓カッター53が隔壁58と略垂直に付けられ、さらに開栓カッター53の内側に円筒59と同心円上に保持ピン54が90度ごとに4本隔壁58に略垂直に付けられている。開栓カッター53は、連続的な環状になっていて、のこぎり刃状の先端部が4つ形成されている。保持ピン54は、開栓された栓体部分を保持しやすくするため、のこぎり刃状先端部の内側方向すなわち円筒の軸芯方向に付けられている。隔壁58を挟んで他の一方側は把持部52となっていて、その上端の外周にリブ56が設けられている。リブ56は外周だけでなく内周にも付けることができる。
【0047】
開栓カッターは、4つの先端を有する、のこぎり刃状となっているが、この数に限るものではなく、また、保持ピンも4本としているが、これに限るものではない。隔壁の孔581は射出成形の作業等のため付けられたものであるが、空気がこの孔を通り、開栓時に採血管に空気が入りやすくなるという長所もある。ただし孔の有無は問わない。
【0048】
図5は、保持ピン54の正面図と左右側面図等である。(1)は、保持ピン先端部の両側と内側に段差状の留部541・542を付けた保持ピン54であり、(2)は内側にだけ段差状の留部542を付けた保持ピン54である。保持ピン先端部の左右(両側)の勾配角度R1は、(1)が約60°、(2)が約30°となっているがこれに限るものではなく、保持ピン54の内側への勾配角度R2は約30°となっているが、これに限るものではない。さらに両側の留部541と保持ピン54の軸との角度R3は(1)では略直角になっているが、(3)のようにR3を鋭角とすることもできる。また、内側の留部542と保持ピン54の軸との角度R4も直角だけではなく、(4)のように鋭角とすることもできる。
【0049】
本開栓ブロックは、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、製造方法や材料は問わない。
【0050】
図6は、開栓カッター53と保持ピン54が付いた開栓ブロックが、採血管1の栓体2を打ち抜き、保持ピン54が開栓された栓体部分23を保持している図である。開閉チャック6により把持された開栓ブロック5は、開栓ポジションに移動し、採血管へ下降し、保持ピン54が採血管の栓体を貫通し、続いて開栓カッターが栓体を打ち抜き開栓する。次に開栓ブロック5は上昇するが、そのとき開栓された栓体部分23を保持ピン54が保持する。こうして開栓された栓体部分23は開栓ブロック5と共に廃棄ポジションに移動して廃棄される。なお、移動とは各ポジションへの水平及び上下方向への動きをいうが、ここでは開栓ブロック5の動きを説明するため、移動及び下降・上昇なる言葉を用いた。以下同様に必要に応じ使用する。
【実施例2】
【0051】
図7は、保持用開栓カッター55が付いた開栓ブロック5である。保持用開栓カッター55は、のこぎり刃状の連続的な環状となっている。のこぎり刃状の先端には、開栓された栓体部分23を保持する留部551・552が形成されている。のこぎり刃状の先端部は4つ形成されているが、この数に限るものではない。
【0052】
図8は、保持用開栓カッターの先端部の正面図、左右側面図等である。(1)は、のこぎり刃状の両側と内側に段差状の留部551・552を付けたものであり、(2)は内側にのみ段差状の留部552を付けたものである。保持用開栓カッターの左右(両側)の勾配角度R5は、(1)が約60度、(2)が約30度となっているがこれに限るものではない。保持用開栓カッター55の軸と内側の勾配角度R6は、約30度であるがこれに限定するものではない。さらに両側の留部551と保持用開栓カッター55の軸との角度R7は(1)では略直角になっているが、(3)のようにR7を鋭角とすることもできる。また、内側の留部552と保持用開栓カッター55の軸との角度R8も直角だけではなく、(4)のように鋭角とすることもできる。開栓された栓体部分を保持用開栓カッターが保持するのに容易とするためである。なお、本開栓ブロックも、使い捨て用であり単価を安くするため、射出成形により製造され、材料はポリプロピレンが使用されている。しかし、これに限るものではなく、製造方法や材料は問わない。
【0053】
図9は、保持用開栓カッター55が付いた開栓ブロック5が、採血管1の栓体2を打ち抜き、保持用開栓カッター55が開栓された栓体部分23を保持している図である。開閉チャック6により把持された開栓ブロック5は、開栓ポジションに移動し、採血管へ下降し、保持用開栓カッター55が採血管の栓体を打ち抜き開栓する。次に開栓ブロック5は上昇するが、そのとき開栓された栓体部分23を保持用開栓カッター55の留部551・552(552だけの場合もある。)が保持する。こうして開栓された栓体部分23は開栓ブロックと共に廃棄ポジションに移動して廃棄される。
【実施例3】
【0054】
開閉チャックにより把持された開栓ブロックが移動途中で離脱しないように開栓ブロックの把持部にはリブをつけることが好ましい。図10には、開栓ブロックの把持部にリブ56をつけた開栓ブロックが示されている。(1)は把持部分の円筒外周に、(2)では内周にリブ56が設けられている。開閉チャック6及開閉ピン61の動きも開閉チャック制御手段により制御される。また図示しないが開栓ブロックの離脱を確実にするため、開閉チャックに押出しピンを付けたりする方法もある。
【実施例4】
【0055】
図11は保持用開栓カッター55がついた開栓ブロック5の動きを示したものである。開閉チャック6等は、図示しない開閉チャック制御手段により、上下スライダー10や水平スライダー9に沿って移動している。開閉チャック6は、開栓ブロック5のある供給ポジションに移動し、開閉ピン61が開き、開栓ブロック5を把持する。次に開栓ブロックを把持した開閉チャック6が、開栓ポジションに移動して採血管1を開栓する。開栓された栓体部分23は開栓ブロック5に保持され、その開栓ブロックは開閉チャック6に把持されて廃棄ポジションに移動し、開閉ピン61が閉じて開栓ブロックごとに廃棄される。なお、開閉チャック6や開閉ピン61は開栓ブロック5を把持するもので足り、把持方法や形状等は任意である。
【0056】
図12は、供給ポジション、開栓ポジション、廃棄ポジションの位置関係の一例である。開閉チャック6は、廃棄ポジションの位置にきて開栓ブロックを離脱させると、左側の供給ポジションに移動する。開栓ブロック6、採血管1は、それぞれ、5個入りの開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7に搭載され、開栓ブロック用フィーダー8、採血管用ラック7は図12の表面から裏面に開閉チャック6の動きに連動させて移動する。
【0057】
図12において、開閉チャック6を5つの複数連として採血管1のラックごとに一度に開栓することも可能である。この場合には、開栓ブロック収容箱20の形状も変わってくる。
【実施例5】
【0058】
図13は、開栓ポジションと開栓確認センサー30の位置関係を示すものである。採血管1が5本ごとに採血管用ラック7に搭載され、開栓ポジションに送られる。図示しない位置センサーにより採血管用ラック7が止まり、開栓する採血管1がクランプ40により固定される。続いて前述したような開閉チャック6の移動、開栓作業が行われる。同時に先に開栓した採血管1の開栓確認が開栓確認センサー30にて行われる。開栓確認センサー30により開栓がされていない場合には、連続的な作業の中止あるいは開栓されていない採血管1の除去等の作業が第10発明である開栓システムにより行われる。これは開栓システムの一例を示したに過ぎず、これに限定するものではない。本開栓システムは開栓ブロックの移動、採血管の移動、開栓作業、及びその開栓確認行為等を自動的に行なわせるものである。
なお、上記のように図11、図12、図13は開栓装置の一例を示したにすぎず、本発明がこれらの図に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
分析機器の高度化に伴い、検体の僅かな汚染も分析結果に大きく影響し検査工程等における検体の汚染は極力抑制しなければならない。特に臨床検査に供する血液はなおさらのことである。本発明は採血管ごとにその開栓作業において開栓ブロックをディスポーサブルなものとして使用するものであり、構造は簡単であり、かつ低コストであることから、今後の利用が大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】採血管の断面図
【図2】栓体平面図
【図3】採血管と採血ホルダー
【図4】保持ピン付きの開栓ブロック概略図
【図5】留部を有する保持ピン
【図6】保持ピンが開栓された栓体部分を保持した図
【図7】保持用開栓カッターが付いた開栓ブロック
【図8】保持用開栓カッターの先端部
【図9】保持用開栓カッターが開栓された栓体部分を保持した図
【図10】把持部円筒にリブを付けた開栓ブロック
【図11】開栓ブロックの移動と開栓装置
【図12】開栓ブロックの各ポジションの平面図
【図13】採血管の移動システム
【符号の説明】
【0061】
1 採血管 11有底管 12フランジ部 13開口部
2 栓体 21ゴム部材 22タブ 23開栓された(打ち抜かれた)栓体部分
3 検体(血液)
4 採血ホルダー 41採血針 42採血針先端部 43採血針後端部
5 開栓ブロック 51開栓部分 52把持部分 53開栓カッター
54 保持ピン 541(保持ピンの)両側留部 542(保持ピンの)内側留部
55 保持用開栓カッター 551(保持用開栓カッターの)両側留部
552(保持用開栓カッターの)内側留部
56(把持部分先端の)リブ
58 隔壁 581(隔壁の)孔
59 円筒部
6 開閉チャック 61開閉ピン
7 採血管用ラック
8 開栓ブロック用フィーダー
9 水平スライダー
10 上下スライダー
20 開栓ブロック収容箱
30 開栓確認センサー
40 クランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新する使い捨て用開栓ブロックを用いることを特徴とする開栓装置。
【請求項2】
請求項1の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に同心円上に配置される栓体を開栓する開栓カッターと、さらに、開栓カッターの内側に同心円上に配置される開栓された栓体部分を保持する保持ピンとを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロック。
【請求項3】
請求項2の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の開栓カッターは、のこぎり刃状とし、保持ピンは、隔壁からの長さが開栓カッターの最長部より長くし、その先端を鋭角とし、さらに開栓された栓体部分を保持するため、その先端部の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持ピンとする開栓ブロック。
【請求項4】
請求項1の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に、同心円状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する保持用開栓カッターを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロック。
【請求項5】
請求項4の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の保持用開栓カッターは、のこぎり刃状とし、かつ、開栓された栓体部分を保持するため、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持用開栓カッターとする開栓ブロック。
【請求項6】
さらに、開栓ブロックの開栓部分の先端部は、採血管開口部を覆うようにした請求項2から請求項5のいずれかの開栓ブロック。
【請求項7】
さらに、開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブをつけた請求項2から請求項6のいずれかの開栓ブロック。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかの開栓ブロックを使用した請求項1の開栓装置。
【請求項9】
前記開閉チャックを複数連とし、一度に複数の採血管を開栓できるようにした請求項1または請求項8の開栓装置。
【請求項10】
請求項1、請求項8、または請求項9のいずれかに記載の開栓装置において、連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システム。
【請求項1】
フィルムシールタイプの栓体を有する採血管の開栓装置であって、採血管の栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する開栓ブロックと、該開栓ブロックを把持する開閉チャックと、該開閉チャックを制御する開閉チャック制御手段とを有し、開閉チャックが供給ポジションに移動して開栓ブロックを把持し、続いて開栓ブロックを把持した開閉チャックが開栓ポジションに移動して、開閉チャックに把持された開栓ブロックが採血管の栓体を開栓し、開栓された栓体部分を開栓ブロックが保持し、さらに開栓ブロックを把持した開閉チャックが廃棄ポジションに移動して、開閉チャックから開栓ブロックを離脱させ、開栓された栓体部分を保持した開栓ブロックを廃棄するようにして、採血管毎に更新する使い捨て用開栓ブロックを用いることを特徴とする開栓装置。
【請求項2】
請求項1の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に同心円上に配置される栓体を開栓する開栓カッターと、さらに、開栓カッターの内側に同心円上に配置される開栓された栓体部分を保持する保持ピンとを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロック。
【請求項3】
請求項2の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の開栓カッターは、のこぎり刃状とし、保持ピンは、隔壁からの長さが開栓カッターの最長部より長くし、その先端を鋭角とし、さらに開栓された栓体部分を保持するため、その先端部の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持ピンとする開栓ブロック。
【請求項4】
請求項1の開栓ブロックは、円筒の軸芯と垂直に隔壁を円筒内に設け、円筒の内側に、同心円状に配置される栓体を開栓し、かつ、開栓された栓体部分を保持する保持用開栓カッターを隔壁に付けた開栓部分と、開閉チャックが開栓ブロックを把持するための、隔壁を挟んで開栓部分と反対側の円筒の把持部分とからなる開栓ブロック。
【請求項5】
請求項4の開栓ブロックにおいて、その開栓部分の保持用開栓カッターは、のこぎり刃状とし、かつ、開栓された栓体部分を保持するため、のこぎり刃状の両側と内側、あるいは内側に段差状の留部をつけた保持用開栓カッターとする開栓ブロック。
【請求項6】
さらに、開栓ブロックの開栓部分の先端部は、採血管開口部を覆うようにした請求項2から請求項5のいずれかの開栓ブロック。
【請求項7】
さらに、開栓ブロックの把持部分の内周または外周にリブをつけた請求項2から請求項6のいずれかの開栓ブロック。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかの開栓ブロックを使用した請求項1の開栓装置。
【請求項9】
前記開閉チャックを複数連とし、一度に複数の採血管を開栓できるようにした請求項1または請求項8の開栓装置。
【請求項10】
請求項1、請求項8、または請求項9のいずれかに記載の開栓装置において、連続的に作動できるようにプログラムされた採血管の開栓システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【公開番号】特開2010−23868(P2010−23868A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186308(P2008−186308)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【特許番号】特許第4212108号(P4212108)
【特許公報発行日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(506393204)株式会社 メディカルジャパン (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【特許番号】特許第4212108号(P4212108)
【特許公報発行日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(506393204)株式会社 メディカルジャパン (2)
【Fターム(参考)】
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