接合方法
【課題】シリコンウエハなどの接合面を清浄化および活性化して接合するに際し、清浄化時に除去した汚染物が清浄化された接合面に再付着するのを防止し、接合品質を向上させる。
【解決手段】真空チャンバ2、搬出入口3、扉4、排気口5、プッシュロッド6、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11、12を含む接合装置1において、保持部材7、8に保持されたウエハ13、14にビーム照射装置9、10から原子ビーム15、16をライン状に照射するに際し、原子ビーム15、16の照射位置をウエハ13、14接合面の原子ビーム15、16の照射領域から未照射領域に移動させ、かつ、原子ビーム15、16と、その照射位置移動方向のウエハ13、14接合面とのなす角の角度を90°より大きく180°より小さくする清浄化工程と、清浄化されたウエハ13、14接合面を接触させて接合する接合工程とを行う。
【解決手段】真空チャンバ2、搬出入口3、扉4、排気口5、プッシュロッド6、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11、12を含む接合装置1において、保持部材7、8に保持されたウエハ13、14にビーム照射装置9、10から原子ビーム15、16をライン状に照射するに際し、原子ビーム15、16の照射位置をウエハ13、14接合面の原子ビーム15、16の照射領域から未照射領域に移動させ、かつ、原子ビーム15、16と、その照射位置移動方向のウエハ13、14接合面とのなす角の角度を90°より大きく180°より小さくする清浄化工程と、清浄化されたウエハ13、14接合面を接触させて接合する接合工程とを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば、半導体装置を製造するに際し、シリコンまたはその他の金属からなる2つの部品を接合することが行われている。接合方法としては、たとえば、加圧接合法、加熱接合法などが挙げられる。しかしながら、これらの接合方法で部品を接合すると、部品の変形、破損、変質などが発生するおそれがある。したがって、極めて高い寸法精度が要求される半導体装置の製造において、これらの接合方法を利用すると、半導体装置の信頼性を低下させるおそれがある。また、不良品率が高くなり、製品歩留まりを低下させるおそれもある。
【0003】
このため、部品の変形、破損、変質などの不具合が発生し難い常温接合法について、種々の提案がなされている。たとえば、2つのシリコンウエハを接合する前に、室温下真空中にて、それぞれのシリコンウエハの接合面に不活性ガスイオンビームまたは不活性ガス高速原子ビームを照射してスパッタリングを行う接合方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。図12は、特許文献1の接合方法を実施するためのウエハ接合装置101の構成を模式的に示す縦断面図である。図13は、図12に示すウエハ接合装置101の要部の構成を拡大して示す縦断面図である。ウエハ接合装置101は、真空チャンバ102、ウエハ搬出入口103、扉104、排気口105、プッシュロッド106、保持部材107、108およびビーム照射装置109、110を含む。
【0004】
真空チャンバ102は耐圧性容器部材であり、その側面にウエハ搬出入口103、扉104および排気口105が設けられている。ウエハ搬出入口103は、真空チャンバ102にウエハ111、112を出し入れする開口である。扉104はウエハ搬出入口103を開閉する。排気口105には図示しない真空ポンプが接続され、真空チャンバ102内部を真空にする。プッシュロッド106は、真空チャンバ102の上面に挿通され、上下動可能に設けられている。保持部材107、108は、真空チャンバ102の内部において鉛直方向に対向するように設けられ、それぞれウエハ111、112を保持している。保持部材107は、真空チャンバ102内部の鉛直方向下部に固定されている。保持部材108は、プッシュロッド106によって上下動可能に支持されている。ビーム照射装置109、110も真空チャンバ102内部に設けられている。ビーム照射装置109、110は保持部材107、108に保持されるウエハ111、112にビーム113、114を照射する。
【0005】
ウエハ接合装置101においては、保持部材107、108によりウエハ111、112を保持し、真空チャンバ102内部を真空とし、ウエハ111、112の接合面にビーム113、114を照射してスパッタリングを行う。その後、プッシュロッド106を下降させ、ウエハ111、112の接合面を接触させてこれらを接合する。
【0006】
特許文献1の接合方法には、次の(1)〜(4)の技術的課題がある。
(1)ウエハ111、112はそれぞれの接合面が鉛直方向に対向するように保持されている。このため、たとえば、ウエハ112にビーム114を照射すると、ウエハ112の接合面に付着していた汚染物120がウエハ112の鉛直方向下方で浮遊しつつ、矢符121の方向に下降し、ビーム113に衝突する。このとき、汚染物120にはウエハ111の接合面に向かう力が付与されるので、最終的にウエハ111の接合面に再付着する。同様に、ウエハ111の接合面から除去される図示しない汚染物質も、ウエハ112の接合面に再付着し易い。特に、特許文献1の方法では、ウエハ111、112の接合面の全面にビーム113、114を照射するので、除去される汚染物120は、ウエハ111、112の接合面近傍に浮遊して再付着し易い。
【0007】
(2)図14は、ビーム照射装置109によるウエハ111へのビーム113の照射を示す側面図である。ビーム照射装置109は、ウエハ111の鉛直方向斜め上方からウエハ111の接合面に向けてビーム113を照射する。したがって、特に、ウエハ111のビーム照射装置109側の端部111aと、反対側の端部111bとではビーム113の強度、照射量などが異なり、接合面を均一に清浄化することができない。ビーム照射装置110によるウエハ112へのビーム114の照射でも、同様のことが起こる。
(3)また、ウエハ111、112の接合面の全面に、ビーム113、114を照射する場合には、真空チャンバ102内部における不活性ガスの流量が多くなり、真空チャンバ102内部の真空度が低下する。これによって、接合品質が低下する。
【0008】
(4)図15は、接合面にAu突起電極126が設けられたウエハ125へのビーム128の照射を示す側面図である。特許文献1のように、ウエハ125に対して鉛直方向斜め上方に配置されたビーム照射装置127からビーム128を照射する方式では、ビーム128が直進性を有するため、ビーム128の非照射部分126aが生じる。結果として良好な接合品質を得ることができない。
【特許文献1】特開平10−92702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図16は単結晶シリコンウエハの表面状態を概略的に示す側面図である。シリコンウエハの表面には、図16に示すように、厚さ数nm程度の自然酸化膜が存在している。さらに自然酸化膜の表面には、空気中の二酸化炭素などの有機汚染物が分子間力で吸着して形成される厚さ数nm程度の有機汚染物層が存在している。したがって、シリコン同士を直接接合させるためには、自然酸化膜および有機汚染物を除去する必要がある。除去したSiO2、有機汚染物などのシリコンウエハ表面への再付着を防止するためには、特許文献1の技術と同様に、真空チャンバ内でシリコンウエハ表面に原子ビームを照射し、自然酸化膜および有機汚染物を物理的に除去するスパッタリングが有効である。
図17〜19は、スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。図17に示すように、シリコンウエハ表面に原子ビームを照射すると、有機汚染物が除去される。次に、図18に示すように自然酸化膜が除去され、図19に示すようにシリコン面が露出する。
【0010】
スパッタリングを行う場合、原子ビームのシリコンウエハに対する照射角度によってスパッタ率が変化する。照射角度が小さいとスパッタ率が低い。また、照射角度が大きいとスパッタ率は向上するが、除去された物質が原子ビームを遮るので、スパッタ率は次第に低下する。ここで、スパッタ率はエッチング速度と同義である。図20は、エッチング速度と照射角度との関係を示すグラフである。図20から、照射角度が60°を超えると、エッチング速度がほとんど向上せず、汚染物再付着が起こり易くなることがわかる。したがって、エッチング速度を出来るだけ大きくし、かつ汚染物再付着を防止するという観点から、照射角度の適正範囲は45〜60°であり、さらに好ましくは50°程度である。
【0011】
しかしながら、前記のように照射角度を調整しても、シリコンウエハ表面への浮遊汚染物の再付着を完全に防止することは困難である。原子ビームの照射によってシリコンウエハ表面から除去された汚染物は、シリコンウエハ表面近傍の空間に浮遊している。この浮遊汚染物に原子ビームが当たると、浮遊汚染物にシリコンウエハ表面に向かう力が付加され、浮遊汚染物のシリコンウエハ表面への再付着が起こる。
【0012】
また、スパッタリング時には真空チャンバ内の圧力は、たとえば、10e-2Paに設定されている。したがって、真空チャンバ内における不活性ガスの分子量は、大気圧下に比べて1/(10e7)になる。一方、大気圧下で22.4リットル当たり6×e23個の気体分子が存在しているから、真空チャンバ内でも22.4リットル当たり6×e18個の気体分子が存在している。これだけの気体分子が存在していると、真空チャンバ内で不活性ガスの気流が発生するのを避けることができない。一方、シリコンウエハ表面から除去された浮遊汚染物はnmレベルの極めて微細な大きさを有している。したがって、浮遊汚染物がシリコンウエハ近傍から排除されたとしても、完全に排気されずに真空チャンバ中に残り、真空チャンバ内部の気流に乗って、真空チャンバ内部を浮遊し、シリコンウエハ表面に瞬間的に近接または接触するものもある。浮遊汚染物は、ナノ秒程度の極めて短い時間でシリコンウエハ表面に吸着するので、再付着が起こる可能性がある。
【0013】
このような現象が生じることにより、結果として、浮遊汚染物のシリコンウエハへの再吸着が発生する。真空チャンバ内でのスパッタリングでは、シリコンウエハ表面の有機汚染物などの除去、除去された汚染物の浮遊、および浮遊汚染物の再付着といった一連のプロセスが繰返されるため、シリコンウエハ表面を十分に清浄化することが困難になり、接合品質が低下する。
本発明の目的は、接合対象物表面から除去された汚染物が該表面に再付着するのを防止し、該表面を効率良くかつ確実に清浄化し、清浄化された表面を接触させるだけで容易に接合できる接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1対象物の接合面と第2対象物の接合面とが対向するように第1対象物および第2対象物を配置し、前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面にエネルギー波をライン状に照射する清浄化工程と、前記清浄化工程に引き続いて行われ、前記第1対象物の接合面と前記第2対象物の接合面とを接触させる接合工程とを含む接合方法において、
清浄化工程は、
前記第1対象物および前記第2対象物の接合面における前記エネルギー波の照射された領域から前記エネルギー波の照射されていない領域に向けて前記エネルギー波の照射位置を移動させるとともに、前記エネルギー波の照射中心線と、前記エネルギー波の照射位置移動方向の前記接合面と、のなす角の角度が90°より大きく180°より小さくなるようにして行われる接合方法に係る。
【0015】
前記エネルギー波の照射方向と直交する方向における、前記エネルギー波の幅は10mm以下であることが好ましい。
【0016】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第2対象物を配置し、かつ前記第2対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第1対象物を配置して前記エネルギー波を照射することが好ましい。
【0017】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面にそれぞれ対向するように設けられて、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面に第1および第2エネルギー波をそれぞれ照射する第1および第2エネルギー波発生源をさらに含み、
前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線との水平平面への投影図において、前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線とのなす角の角度が30°〜90°であることが好ましい。
【0018】
前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面に対する前記エネルギー波の入射角度が45°〜60°であることが好ましい。
【0019】
前記エネルギー波の照射により前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面から除去された汚染物を回収する集塵工程をさらに含むことが好ましい。
【0020】
前記エネルギー波が原子ビームであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の接合方法によれば、対象物の接合面から除去した浮遊汚染物が該接合面に再付着することが防止されるので、対象物の接合面を効率良く清浄化することができる。また、対象物の接合面は清浄化によって活性化された状態にあるので、2つの対象物の接合面を接触させるだけで、接合強度が高く、外部からの応力を受けても接合状態が解けることのない、接合品質の高い接合体を工業的に有利に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の第1形態である接合方法を実施するための接合装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す接合装置1の要部の構成を模式的に示す断面図である。図3は、図1に示す接合装置1に備えられるビーム照射装置9の構成を模式的に斜視図である。接合装置1は、真空チャンバ2、搬出入口3、扉4、排気口5、プッシュロッド6、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11、12を含む。
【0023】
真空チャンバ2は内部空間を有する耐圧性の容器状部材であり、その鉛直方向側面に搬出入口3、扉4および排気口5が設けられている。搬出入口3は、接合対象部材(以下「被接合部材」とする)を真空チャンバ2内に出し入れするための開口である。被接合部材としては、たとえば、シリコンウエハ、シリコン以外の金属からなる各種部品などが挙げられる。本実施の形態では、被接合部材13、14としていずれもシリコンウエハを用い、以下単にウエハ13、14と標記する。扉4は開閉自在に設けられて、搬出入口3を開閉する。排気口5には図示しない真空ポンプが接続される。真空ポンプは真空チャンバ2内部の気体を排気し、真空チャンバ2内部を真空にする。プッシュロッド6は、真空チャンバ2の鉛直方向上面に形成された貫通孔に挿通され、図示しない駆動手段によって上下動可能に設けられ、保持部材8を支持している。
【0024】
真空チャンバ2の内部には、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11,12が設けられている。
保持部材7、8は、鉛直方向に対向するように設けられている。また、保持部材7は、ウエハ13を回転自在に保持する部材であり、図示しない支持部材によって、真空チャンバ2内部の鉛直方向下部に固定されている。保持部材8は、ウエハ14を回転自在に保持する部材であり、プッシュロッド6によって上下動可能に支持され、保持部材7の鉛直方向上方に配置されている。このように保持部材7、8を配置することによって、保持部材7、8に保持されるウエハ13、14も、鉛直方向に対向配置されることになる。このとき、ウエハ13の接合面に照射されるエネルギー波15の、エネルギー波照射方向における照射範囲の延長線上の範囲外に、ウエハ14を配置し、かつウエハ14の接合面に照射されるエネルギー波16の、エネルギー波照射方向における照射範囲の延長線上の範囲外に、ウエハ13を配置するのが好ましい。すなわち、ウエハ13にエネルギー波16が照射されず、ウエハ14にエネルギー波15が照射されないように、ウエハ13、14ひいては保持部材7、8を配置することが好ましい。これにより、一旦除去された汚染物のウエハ13、14への再付着が一層防止される。
【0025】
保持部材7、8がウエハ13、14を回転自在に保持することによって、ウエハ13、14の接合面に、たとえば、Au突起電極などが形成されて凹凸がある場合に、エネルギー波未照射部分が発生するのを防止できる。より具体的には、たとえば、エネルギー波の照射毎にウエハ13、14を90°、180°、270°と回転させることによって、エネルギー波の直進性によってエネルギー波未照射部分が発生するのを防止できる。
【0026】
ビーム照射装置9、10は、保持部材7、8により保持されているウエハ13、14の接合面に対向するように設けられ、ウエハ13、14の接合面にエネルギー波をライン状に照射する。本実施の形態では、エネルギー波には中性化された原子ビーム(以下単に「原子ビーム」とする)15、16が使用されている。ビーム照射装置9のウエハ13接合面への対向面には、図3に示すように、スリット状のビーム照射孔が設けられ、これによって、ライン状の原子ビーム15をウエハ13接合面に照射できる。図示しないが、ビーム照射装置10のウエハ14接合面にも、ビーム照射装置9と同様のライン状ビーム照射孔が設けられている。原子ビーム15、16をライン状に照射することにより、原子ビーム源であるArガスなど不活性ガス流量を少なくすることができ、結果として真空チャンバ2内に導入されるガス量が少なくなり、真空チャンバ2内部の圧力上昇が少なくなる。真空チャンバ2の内部圧力は真空チャンバ2内に存在する気体の分子量の合計に比例し、圧力が低い程、浮遊する汚染物を少なくし、原子ビーム15、16照射の際に汚染物がウエハ13、14接合面に再付着するのを防ぐことができる。
【0027】
ビーム照射孔の形状は図3に示すものに限定されず、図4(a)に示すものでもよい。図4は、別形態のビーム照射装置20および従来のビーム照射装置130の構成を模式的に示す斜視図である。図4(a)は別形態のビーム照射装置20である。図4(b)は従来のビーム照射装置130である。ビーム照射装置20は、ウエハ接合面への対向面に、複数の円形の孔が一列に直線状に並ぶドットライン状のビーム照射孔20aが形成されている。ビーム照射孔20aによっても、原子ビームをライン状に照射することができる。一方、従来のビーム照射装置130では、ウエハ接合面への対向面全域に複数の円形の孔が形成されている。このような構成では、原子ビームをライン状に照射することはできない。
【0028】
また、ビーム照射装置9、10は、図示しない駆動手段によって水平方向および水平方向に垂直な方向(図1および図2に対して垂直な方向)に往復動可能に支持されている。これによって、原子ビーム15、16をウエハ13、14にライン状に照射する際に、ウエハ13、14の接合面における原子ビーム15、16の照射された領域から照射されていない領域に向けて原子ビーム15、16の照射位置を移動させることができる。この時、原子ビーム15、16の照射中心線と、原子ビーム15、16の照射位置の移動方向の接合面と、のなす角の角度が90°より大きく、かつ180°よりも小さくする。この角度が90°未満では、接合面から一旦除去された汚染物の接合面への再付着が起こり易くなる。ここで、照射中心線とは、ライン状に照射される原子ビーム15、16の幅方向(照射方向に直交する方向)において、原子ビーム15、16をそれぞれ2等分する線を意味する。
【0029】
本実施の形態では、原子ビーム15のライン状の照射は、ウエハ13の集塵器11側の端部から、ウエハ13のビーム照射装置10側の端部に向けて行うのが好ましい。すなわち、原子ビーム15のウエハ13接合面に対する入射角が鈍角になる方向に、原子ビーム15を照射するのが好ましい。同様に、原子ビーム16の照射は、ウエハ14の集塵器12側の端部から、ウエハ14のビーム照射装置9側の端部に向けて行うのが好ましい。これによって、ウエハ13、14接合面から除去された汚染物の大部分が、原子ビーム15、16の移動方向のみに浮遊することになるので、汚染物のウエハ13、14接合面への再付着が防止される。
【0030】
また、ビーム照射装置9、10の、原子ビーム15、16の照射方向に垂直な方向における両側の側面に、該側面から外方に向けて垂直に延びる図示しない軸体が設けられている。この軸体には図示しない駆動手段が接続されている。ビーム照射装置9、10は、この軸体を中心にして、矢符9x、10xの方向に回転する。ビーム照射装置9、10を回転させることによっても、原子ビーム15、16をライン状に照射することができる。また、図5に示すように、前記軸体を回転中心にしてビーム照射装置9を回転させることによって、原子ビーム15のウエハ13接合面に対する入射角θ1を適宜調整できる。これはビーム照射装置10においても同様である。図5はビーム照射装置9の回転動作を示す側面図である。また、ウエハ13、14接合面に対して原子ビーム15、16の照射を複数回実施する場合は、1回の照射毎に入射角を調整すれば、ウエハ13、14接合面の汚染物を一層効率良くかつ一層確実に除去できる。ビーム照射装置9、10を回転させながら原子ビーム15、16を照射する場合、照射移動速度は特に制限はないが、一定速度に制御するのが好ましい。なお、本実施の形態では、ビーム照射装置9、19は水平方向および水平方向に垂直な方向の往復動機能および回転機能の両方を有しているが、いずれか一方の機能を有していれば、原子ビーム15、16の照射を支障なく実施することができる。
【0031】
また、ビーム照射装置9、10は、それぞれから照射される原子ビーム15、16が一部でも交わらないように配置される。また、ビーム照射装置9、10は、好ましくは、原子ビーム15、16のウエハ13、14の接合面に対する入射角θ1、θ2が、45°〜60°になるように配置される。入射角θ1、θ2が45°未満では、原子ビーム15、16によるウエハ13、14の接合面における汚染物の除去速度が遅くなり、生産効率が低下するおそれがある。一方、入射角θ1、θ2が60°を超えると、汚染物の除去速度が上がらない上、汚染物の再付着が起こり易くなるおそれがある。
なお、ビーム照射装置9、10のビーム照射孔近傍には図示しないシャッタが設けられ。原子ビーム15、16の照射を行わない場合には、シャッタによってビーム照射孔から照射される原子ビーム15、16を遮るように構成されている。また、ビーム照射装置9、10は、保持部材7、8に出来るだけ近接させて配置するのが望ましい。
【0032】
原子ビーム15、16の照射幅は、10mm以下、好ましくは1mm以下である。なお、照射幅の下限は、清浄化効率などを考慮すると100μm程度に設定するのが好ましい。なお、照射幅とは、原子ビーム15、16の照射方向に対して垂直な方向の幅を意味する。原子ビーム15、16の照射幅を10mm以下に設定することによって、ウエハ13、14接合面から除去されて浮遊する汚染物が、原子ビーム15、16によってウエハ13、14接合面に再付着するのが防止される。より具体的には、ウエハの全面に原子ビームを照射する場合に比べて、再付着の可能性が4インチウエハで1/10程度、6インチウエハで1/15程度に低下する。
【0033】
次に、図6〜9を参照して、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面の清浄化をさらに具体的に説明する。図6は、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面への原子ビーム15の照射を示す側面図である。図6(a)は図6(b)よりも入射角θ1の角度が大きい場合を示している。図7は、図6において一点破線で示される領域AおよびBを拡大して示す側面図である。図6(a)と図7(a)および図6(b)と図7(b)がそれぞれ対応している。図8は、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面に対する原子ビーム15の照射を説明する側面図である。図9は、ウエハ13接合面に対して原子ビーム15を照射したときの、ウエハ13接合面の表面状態を示す側面図である。なお、図6〜9においては、説明を簡略化するために、ビーム照射装置9とウエハ13との水平方向における位置関係を逆転させて図示している。
【0034】
図6および図7に示すように、ビーム照射装置9によって、ウエハ13接合面に対して入射角θ1が45〜60°の範囲で原子ビーム15を照射すると、該接合面上の汚染物30は入射角θ1と同じ角度の放射角θ3で該接合面からはじき飛ばされる。これはニュートンの法則により入射角と放射角とが等しくなるためである。このように、原子ビーム15の入射角θ1と汚染物30の放射角θ3とが等しいことに基づいて、原子ビーム15の照射方向が決定される。
【0035】
図8(a)および図7(b)に示すように、ウエハ13に対する原子ビーム15は、水平方向におけるウエハ13の集塵器11側の端部を始点とし、ウエハ13のビーム照射装置10側の端部を終点とし、始点から終点に向けて照射位置を移動させながら、ライン状に照射される。すなわち、原子ビーム15は、原子ビーム15とその照射位置移動方向の接合面とのなす角の角度(180−θ1)が90°を超え、180°未満になるようにライン状に照射される。なお、原子ビーム15の接合面に対する入射角θ1は、好ましくは45〜60°である。原子ビーム15の照射によって、ウエハ13接合面上の汚染物30は、放射角θ3で原子ビーム15の照射位置移動方向に弾き飛ばされる。このように原子ビーム15を照射すると、汚染物30がこれから照射しようとする方向に飛ばされる。したがって、汚染物30が原子ビーム15の照射が終わって清浄化されたウエハ13接合面である領域Cの部分に落下し、再付着することが著しく防止される。また、汚染物30が飛ばされた方向でウエハ13接合面に落下して再付着しても、その部分はこれから原子ビーム15の照射を受ける部分であるから、汚染物30の再付着によるウエハ13接合面の汚染が防止される。
【0036】
図8(c)に示すように、原子ビーム15の照射位置が終点に達すると、シャッタ32によって原子ビーム15の照射を遮った状態で、ビーム照射装置9を原子ビーム15の商社位置の始点まで戻す。この動作を繰り返すことを、本明細書では、原子ビーム15の間欠照射という。これによって、ウエハ13接合面近傍に汚染物30が浮遊し、原子ビーム15の照射を受けても、これから清浄化される接合面に付着するので、清浄化された接合面への汚染物30の再付着が大幅に減少する。したがって、原子ビーム15の照射を受けたウエハ13接合面を清浄な状態に保つことができる。原子ビーム15により除去された汚染物30は除去後に排気口5、後述する集塵器11、12などによって回収される。
【0037】
一方、図8(d)に示すように、原子ビーム15の入射角θ1=45〜60°とし、原子ビーム15の照射位置始点をウエハ13の図示しないビーム照射装置10側の端部、照射位置終点をウエハ13の図示しない集塵器11側の端部にして照射を行うと、ウエハ13接合面の清浄化された部分に一旦除去された汚染物30が落下し、再付着が起こり易くなる。これは、ウエハ13接合面の清浄化された部分の鉛直方向上方に汚染物30が弾き飛ばされるからである。したがって、原子ビーム15の照射移動方向は、原子ビーム15と原子ビーム15の照射移動方向の接合面とのなす角の角度(180−θ1)が90°を超え、180°未満になるのが好ましく、120°を超え、135°未満になるのがさらに好ましい。換言すれば、原子ビーム15の照射移動方向と、汚染物30の放射方向(弾き飛ばされる方向)とが同じ方向になるように、原子ビーム15の照射位置の移動を行うのが好ましい。これにより、図9(a)〜(c)に示すように、図9(a)から図9(c)という順番で、ウエハ13上の珪素酸化物および汚染物が徐々にかつ確実に除去される。
【0038】
原子ビーム16のウエハ14接合面への照射も、同様に行われる。すなわち、水平方向におけるウエハ14の集塵器12側の端部を始点、ウエハ14のビーム照射装置9側の端部を終点とし、始点から終点に向けて照射位置を移動させながら、ライン状に照射される。このとき、原子ビーム16は、原子ビーム16とその照射位置移動方向のウエハ14接合面とのなす角の角度(180−θ2)が90°を超え、180°未満になり、好ましくは120°を超え、135°未満になる。原子ビーム16の照射位置が終点に達すると、ビーム照射装置10に設けられる図示しないシャッタによって原子ビーム16の照射が遮断された状態で、始点まで戻り、水平方向に垂直な方向に所定量移動して同じ動作を繰返し実行する。
なお、本実施の形態では、ビーム照射装置9、10に移動機能を付加して原子ビーム15、16の照射位置を移動する構成を採るが、それに限定されず、保持部材7、8に移動機能および/または回転機能を付加し、ウエハ13、14を移動および/または回転させても良い。
【0039】
ここで、図1および図2に戻る。接合装置1は、集塵器11、12を含む。集塵器11は、保持部材7とビーム照射装置9との間の空間において、保持部材8によって保持されるウエハ14接合面を臨むように設けられている。集塵器11は、ビーム照射装置10からウエハ14接合面に向けて照射される原子ビーム16によって該接合面から弾き飛ばされる汚染物16xの進行方向に設置され、汚染物16xを効率良く回収する。同様に、集塵器12は、保持部材8とビーム照射装置10との間の空間において、保持部材7によって保持されるウエハ13接合面を臨むように設けられている。集塵器12は、ビーム照射装置9からウエハ13接合面に向けて照射される原子ビーム15によって該接合面から弾き飛ばされる汚染物15xの進行方向に設置され、汚染物15xを効率良く回収する。
【0040】
また、集塵器11、12は、図示しない駆動手段によって、ウエハ14、13に対して近接および離反可能に設けられている。集塵器11、12に近接および離反動作を実行させることによって得られる効果を、図10に基づいて説明する。図10は、ウエハ13に対して原子ビーム15の照射を行う際の、集塵器12の近接および離反動作の効果を説明する図面である。図10(a)は斜視図である。図10(b)は第1回目の原子ビーム15の照射を示す側面図である。図10(c)はn回目の原子ビーム15の照射を示す側面図である。なお、図10では、説明を簡略化するために、ビーム照射装置9と集塵器12との水平方向の位置関係を逆にしている。
【0041】
図10(b)に示すように、原子ビーム15の照射を行う前のウエハ接合面13には、多量の汚染物37が付着している。このため、第1回目の原子ビーム15の照射によって汚染物37がウエハ接合面13から除去されても、真空チャンバ2内に多く浮遊し、清浄化面に再付着物38として付着することがある。この場合には、集塵器12をウエハ13からある程度離隔させ、集塵器12近傍のある程度広い領域の雰囲気を吸引し、除去された汚染物30を回収する。一方、図10(c)に示すように、n回目の原子ビーム15の照射では、真空チャンバ2内に浮遊する汚染物30の量が排気および集塵器11、12による回収によって少なくなっている。また、ウエハ13接合面に付着する再付着物38の量も減少している。したがって、集塵器12をウエハ13接合面に近接させ、ウエハ13接合面から除去される汚染物30を確実に捕集することによって、真空チャンバ2内に汚染物30が浮遊し、ウエハ13接合面に付着するのを防止する。このようにして、原子ビーム15、16の照射を複数回繰り返して実施することにより、ウエハ13、14接合面を確実に清浄化できる。
【0042】
原子ビーム15、16によって除去される汚染物15x、16xは、前述したように、ニュートン力学に従って入射角に対応する放射角で弾き飛ばされ、除去される。したがって、原子ビーム15、16の入射角を設定すれば、汚染物15x、16xが除去される方向を予測することができ、その場所に集塵器11、12を設置すれば汚染物15x、16xが真空チャンバ2内に浮遊し、ウエハ13、14接合面に再付着することを防ぐことができる。また、原子ビーム15、16の物理エネルギーによって、除去される汚染物15x、16xの量が決定される。原子ビーム15、16の入射角はエネルギー量と除去される汚染物の放射角に影響を与え、入射角が小さいとエネルギーが小さくなり、汚染物の除去能力が低くなる一方で、汚染物の再付着の可能性は低くなる。入射角が大きいとエネルギーが大きくなり、汚染物15x、16xの除去能力が大きくなるが汚染物15x、16xの再付着の確率が高くなる。このように原子ビーム15、16をライン状にし、複数回照射することによって、一度除去した汚染物に再度原子ビーム15、16が当たるを確率が減少し、ウエハ13、14への再付着が発生しにくくなる。
【0043】
本実施の形態のように、ウエハ13、14を鉛直方向に対向配置し、かつ、ウエハ13、14の接合面に対向するようにエネルギー波発生源であるビーム照射装置9、10を配置する場合、図11に示すように、位置調整を行うのが好ましい。図11は、ビーム照射装置9、10とウエハ13、14との位置関係を示す上面図である。なお、図11においては、プッシュロッド6および保持部材7、8の図示を省略する。図示しない原子ビーム15、16の照射中心線40、41を、鉛直方向に垂直な水平面に投影した場合に、照射中心線40、41の投影線がなす角の角度θ4が30°〜90°になるように、位置調整を行うのが好ましい。これによって、ビーム照射装置9、10から照射される原子ビーム15、16同士の緩衝が防止され、ひいては汚染物の再付着が防止される。なお、水平面への投影図は、上面図と同じになる。
【0044】
角度θ4が30°未満では、たとえば、ビーム照射装置9から原子ビーム15の照射を受けてウエハ13表面から除去される汚染物が、ビーム照射装置10からの原子ビーム16によりウエハ14表面に打ち付けられ、除去した汚染物質が再付着する可能性が高まるおそれがある。同様に、ウエハ14表面から除去される汚染物がビーム照射装置9からの原子ビーム15によりウエハ13表面に打ち付けられるおそれがある。これにより、除去した汚染物質の再付着の可能性が高まる。
【0045】
一方、角度θ4が90°を超えると、ビーム照射装置9、10から照射されるビーム15、16の干渉によって、ビーム15、16のビーム強度が不安定になり、処理工程において、ウエハ13、14の清浄化度が不十分になるおそれがある。また、ビーム照射装置9、10からの原子ビーム照射方向がほぼ同じ方向になる。その結果、ウエハ13、14表面における汚染物の除去度合が、ビーム照射装置9、10に近接する部分の方がビーム照射装置9、10から離反する部分よりも大きくなるおそれがある。ウエハ13、14は対向配置されているので、これらを接合する際には、ビーム照射装置9、10に近接する部分同士およびビーム照射装置9、10から離反する部分同士が接合される可能性が高い。その結果、接合部位によって汚染物の除去量に差が生じ、ウエハ13、14の接合品質が低下するおそれがある。
【0046】
接合装置1によれば、清浄化工程と接合工程とが行われる。
清浄化工程では、真空チャンバ2内にウエハ13、14が搬入され、それぞれ保持部材7、8に保持され、鉛直方向に対向配置される。次に、真空チャンバ2内が真空またはそれに近い状態まで減圧される。次に、ビーム照射装置9からウエハ13に原子ビーム15をライン状に照射し、ビーム照射装置10からウエハ14に原子ビーム16をライン状に照射する。これによって、ウエハ13、14の接合面を清浄化する。接合工程は、清浄化工程に引き続いて行われ、ウエハ13およびウエハ14の清浄化された接合面を接触させて接合する。すなわち、プッシュロッド6を下降させることによって、プッシュロッド6に支持された保持部材8ひいてはウエハ14を下降させて、ウエハ13の接合面とウエハ14の接合面とを接触させて接合し、接合体を得る。この接合体は真空チャンバ2外に搬出され、新しいウエハ13、14が搬入され、同じ動作が繰り返される。
なお、接合装置1は、清浄化工程と並行して、または清浄化工程と接合工程との間に、集塵工程を行うこともできる。集塵工程では、原子ビーム15、16の照射によりウエハ13、14の接合面から除去された汚染物を回収する。
【0047】
本構成によって、清浄化処理した後に再度チャンバ内を浮遊する汚染質が再付着することを防き、清浄化処理した接合面を接触させるだけで容易に接合できる接合方法を提供できる。その結果、常温で良好な接合品質を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の接合方法は、ライン状の原子ビームを照射しかつ照射動作のできるビーム照射装置と、除去された汚染物を回収するための集塵器とを有し、Si−Si接合、金属間接合などの低温接合の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の第1形態である接合方法を実施するための接合装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す接合装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す接合装置に備えられるビーム照射装置の構成を模式的に斜視図である。
【図4】別形態のビーム照射装置および従来のビーム照射装置の構成を模式的に示す斜視図である。図4(a)は別形態のビーム照射装置である。図4(b)は従来のビーム照射装置である。
【図5】図3に示すビーム照射装置の回転動作を示す側面図である。
【図6】図3に示すビーム照射装置によるウエハ接合面への原子ビームの照射を示す側面図である。
【図7】図6において一点破線で示される領域AおよびBを拡大して示す側面図である。
【図8】図3に示すビーム照射装置によるウエハ接合面に対する原子ビームの照射を説明する側面図である。
【図9】ウエハ接合面に対して原子ビームを照射したときの、ウエハ接合面の表面状態を示す側面図である。
【図10】集塵器の効果を説明する側面図である。
【図11】ビーム照射装置とウエハとの位置関係を示す上面図である。
【図12】特許文献1の接合方法を実施するためのウエハ接合装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図13】図12に示すウエハ接合装置の要部の構成を拡大して示す縦断面図である。
【図14】ビーム照射装置によるウエハへのビームの照射を示す側面図である。
【図15】接合面にAu突起電極が設けられたウエハへのビームの照射を示す側面図である。
【図16】シリコンウエハの表面状態を概略的に示す側面図である。
【図17】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図18】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図19】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図20】エッチング速度と原子ビームの照射角度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 接合装置
2 真空チャンバ
3 搬出入口
4 扉
5 排気口
6 プッシュロッド
7、8 保持部材
9、10、20 ビーム照射装置
11、12 集塵器
13、14 ウエハ
15、16 原子ビーム
15x、16x、30 汚染物
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば、半導体装置を製造するに際し、シリコンまたはその他の金属からなる2つの部品を接合することが行われている。接合方法としては、たとえば、加圧接合法、加熱接合法などが挙げられる。しかしながら、これらの接合方法で部品を接合すると、部品の変形、破損、変質などが発生するおそれがある。したがって、極めて高い寸法精度が要求される半導体装置の製造において、これらの接合方法を利用すると、半導体装置の信頼性を低下させるおそれがある。また、不良品率が高くなり、製品歩留まりを低下させるおそれもある。
【0003】
このため、部品の変形、破損、変質などの不具合が発生し難い常温接合法について、種々の提案がなされている。たとえば、2つのシリコンウエハを接合する前に、室温下真空中にて、それぞれのシリコンウエハの接合面に不活性ガスイオンビームまたは不活性ガス高速原子ビームを照射してスパッタリングを行う接合方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。図12は、特許文献1の接合方法を実施するためのウエハ接合装置101の構成を模式的に示す縦断面図である。図13は、図12に示すウエハ接合装置101の要部の構成を拡大して示す縦断面図である。ウエハ接合装置101は、真空チャンバ102、ウエハ搬出入口103、扉104、排気口105、プッシュロッド106、保持部材107、108およびビーム照射装置109、110を含む。
【0004】
真空チャンバ102は耐圧性容器部材であり、その側面にウエハ搬出入口103、扉104および排気口105が設けられている。ウエハ搬出入口103は、真空チャンバ102にウエハ111、112を出し入れする開口である。扉104はウエハ搬出入口103を開閉する。排気口105には図示しない真空ポンプが接続され、真空チャンバ102内部を真空にする。プッシュロッド106は、真空チャンバ102の上面に挿通され、上下動可能に設けられている。保持部材107、108は、真空チャンバ102の内部において鉛直方向に対向するように設けられ、それぞれウエハ111、112を保持している。保持部材107は、真空チャンバ102内部の鉛直方向下部に固定されている。保持部材108は、プッシュロッド106によって上下動可能に支持されている。ビーム照射装置109、110も真空チャンバ102内部に設けられている。ビーム照射装置109、110は保持部材107、108に保持されるウエハ111、112にビーム113、114を照射する。
【0005】
ウエハ接合装置101においては、保持部材107、108によりウエハ111、112を保持し、真空チャンバ102内部を真空とし、ウエハ111、112の接合面にビーム113、114を照射してスパッタリングを行う。その後、プッシュロッド106を下降させ、ウエハ111、112の接合面を接触させてこれらを接合する。
【0006】
特許文献1の接合方法には、次の(1)〜(4)の技術的課題がある。
(1)ウエハ111、112はそれぞれの接合面が鉛直方向に対向するように保持されている。このため、たとえば、ウエハ112にビーム114を照射すると、ウエハ112の接合面に付着していた汚染物120がウエハ112の鉛直方向下方で浮遊しつつ、矢符121の方向に下降し、ビーム113に衝突する。このとき、汚染物120にはウエハ111の接合面に向かう力が付与されるので、最終的にウエハ111の接合面に再付着する。同様に、ウエハ111の接合面から除去される図示しない汚染物質も、ウエハ112の接合面に再付着し易い。特に、特許文献1の方法では、ウエハ111、112の接合面の全面にビーム113、114を照射するので、除去される汚染物120は、ウエハ111、112の接合面近傍に浮遊して再付着し易い。
【0007】
(2)図14は、ビーム照射装置109によるウエハ111へのビーム113の照射を示す側面図である。ビーム照射装置109は、ウエハ111の鉛直方向斜め上方からウエハ111の接合面に向けてビーム113を照射する。したがって、特に、ウエハ111のビーム照射装置109側の端部111aと、反対側の端部111bとではビーム113の強度、照射量などが異なり、接合面を均一に清浄化することができない。ビーム照射装置110によるウエハ112へのビーム114の照射でも、同様のことが起こる。
(3)また、ウエハ111、112の接合面の全面に、ビーム113、114を照射する場合には、真空チャンバ102内部における不活性ガスの流量が多くなり、真空チャンバ102内部の真空度が低下する。これによって、接合品質が低下する。
【0008】
(4)図15は、接合面にAu突起電極126が設けられたウエハ125へのビーム128の照射を示す側面図である。特許文献1のように、ウエハ125に対して鉛直方向斜め上方に配置されたビーム照射装置127からビーム128を照射する方式では、ビーム128が直進性を有するため、ビーム128の非照射部分126aが生じる。結果として良好な接合品質を得ることができない。
【特許文献1】特開平10−92702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図16は単結晶シリコンウエハの表面状態を概略的に示す側面図である。シリコンウエハの表面には、図16に示すように、厚さ数nm程度の自然酸化膜が存在している。さらに自然酸化膜の表面には、空気中の二酸化炭素などの有機汚染物が分子間力で吸着して形成される厚さ数nm程度の有機汚染物層が存在している。したがって、シリコン同士を直接接合させるためには、自然酸化膜および有機汚染物を除去する必要がある。除去したSiO2、有機汚染物などのシリコンウエハ表面への再付着を防止するためには、特許文献1の技術と同様に、真空チャンバ内でシリコンウエハ表面に原子ビームを照射し、自然酸化膜および有機汚染物を物理的に除去するスパッタリングが有効である。
図17〜19は、スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。図17に示すように、シリコンウエハ表面に原子ビームを照射すると、有機汚染物が除去される。次に、図18に示すように自然酸化膜が除去され、図19に示すようにシリコン面が露出する。
【0010】
スパッタリングを行う場合、原子ビームのシリコンウエハに対する照射角度によってスパッタ率が変化する。照射角度が小さいとスパッタ率が低い。また、照射角度が大きいとスパッタ率は向上するが、除去された物質が原子ビームを遮るので、スパッタ率は次第に低下する。ここで、スパッタ率はエッチング速度と同義である。図20は、エッチング速度と照射角度との関係を示すグラフである。図20から、照射角度が60°を超えると、エッチング速度がほとんど向上せず、汚染物再付着が起こり易くなることがわかる。したがって、エッチング速度を出来るだけ大きくし、かつ汚染物再付着を防止するという観点から、照射角度の適正範囲は45〜60°であり、さらに好ましくは50°程度である。
【0011】
しかしながら、前記のように照射角度を調整しても、シリコンウエハ表面への浮遊汚染物の再付着を完全に防止することは困難である。原子ビームの照射によってシリコンウエハ表面から除去された汚染物は、シリコンウエハ表面近傍の空間に浮遊している。この浮遊汚染物に原子ビームが当たると、浮遊汚染物にシリコンウエハ表面に向かう力が付加され、浮遊汚染物のシリコンウエハ表面への再付着が起こる。
【0012】
また、スパッタリング時には真空チャンバ内の圧力は、たとえば、10e-2Paに設定されている。したがって、真空チャンバ内における不活性ガスの分子量は、大気圧下に比べて1/(10e7)になる。一方、大気圧下で22.4リットル当たり6×e23個の気体分子が存在しているから、真空チャンバ内でも22.4リットル当たり6×e18個の気体分子が存在している。これだけの気体分子が存在していると、真空チャンバ内で不活性ガスの気流が発生するのを避けることができない。一方、シリコンウエハ表面から除去された浮遊汚染物はnmレベルの極めて微細な大きさを有している。したがって、浮遊汚染物がシリコンウエハ近傍から排除されたとしても、完全に排気されずに真空チャンバ中に残り、真空チャンバ内部の気流に乗って、真空チャンバ内部を浮遊し、シリコンウエハ表面に瞬間的に近接または接触するものもある。浮遊汚染物は、ナノ秒程度の極めて短い時間でシリコンウエハ表面に吸着するので、再付着が起こる可能性がある。
【0013】
このような現象が生じることにより、結果として、浮遊汚染物のシリコンウエハへの再吸着が発生する。真空チャンバ内でのスパッタリングでは、シリコンウエハ表面の有機汚染物などの除去、除去された汚染物の浮遊、および浮遊汚染物の再付着といった一連のプロセスが繰返されるため、シリコンウエハ表面を十分に清浄化することが困難になり、接合品質が低下する。
本発明の目的は、接合対象物表面から除去された汚染物が該表面に再付着するのを防止し、該表面を効率良くかつ確実に清浄化し、清浄化された表面を接触させるだけで容易に接合できる接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1対象物の接合面と第2対象物の接合面とが対向するように第1対象物および第2対象物を配置し、前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面にエネルギー波をライン状に照射する清浄化工程と、前記清浄化工程に引き続いて行われ、前記第1対象物の接合面と前記第2対象物の接合面とを接触させる接合工程とを含む接合方法において、
清浄化工程は、
前記第1対象物および前記第2対象物の接合面における前記エネルギー波の照射された領域から前記エネルギー波の照射されていない領域に向けて前記エネルギー波の照射位置を移動させるとともに、前記エネルギー波の照射中心線と、前記エネルギー波の照射位置移動方向の前記接合面と、のなす角の角度が90°より大きく180°より小さくなるようにして行われる接合方法に係る。
【0015】
前記エネルギー波の照射方向と直交する方向における、前記エネルギー波の幅は10mm以下であることが好ましい。
【0016】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第2対象物を配置し、かつ前記第2対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第1対象物を配置して前記エネルギー波を照射することが好ましい。
【0017】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面にそれぞれ対向するように設けられて、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面に第1および第2エネルギー波をそれぞれ照射する第1および第2エネルギー波発生源をさらに含み、
前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線との水平平面への投影図において、前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線とのなす角の角度が30°〜90°であることが好ましい。
【0018】
前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面に対する前記エネルギー波の入射角度が45°〜60°であることが好ましい。
【0019】
前記エネルギー波の照射により前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面から除去された汚染物を回収する集塵工程をさらに含むことが好ましい。
【0020】
前記エネルギー波が原子ビームであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の接合方法によれば、対象物の接合面から除去した浮遊汚染物が該接合面に再付着することが防止されるので、対象物の接合面を効率良く清浄化することができる。また、対象物の接合面は清浄化によって活性化された状態にあるので、2つの対象物の接合面を接触させるだけで、接合強度が高く、外部からの応力を受けても接合状態が解けることのない、接合品質の高い接合体を工業的に有利に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の第1形態である接合方法を実施するための接合装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す接合装置1の要部の構成を模式的に示す断面図である。図3は、図1に示す接合装置1に備えられるビーム照射装置9の構成を模式的に斜視図である。接合装置1は、真空チャンバ2、搬出入口3、扉4、排気口5、プッシュロッド6、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11、12を含む。
【0023】
真空チャンバ2は内部空間を有する耐圧性の容器状部材であり、その鉛直方向側面に搬出入口3、扉4および排気口5が設けられている。搬出入口3は、接合対象部材(以下「被接合部材」とする)を真空チャンバ2内に出し入れするための開口である。被接合部材としては、たとえば、シリコンウエハ、シリコン以外の金属からなる各種部品などが挙げられる。本実施の形態では、被接合部材13、14としていずれもシリコンウエハを用い、以下単にウエハ13、14と標記する。扉4は開閉自在に設けられて、搬出入口3を開閉する。排気口5には図示しない真空ポンプが接続される。真空ポンプは真空チャンバ2内部の気体を排気し、真空チャンバ2内部を真空にする。プッシュロッド6は、真空チャンバ2の鉛直方向上面に形成された貫通孔に挿通され、図示しない駆動手段によって上下動可能に設けられ、保持部材8を支持している。
【0024】
真空チャンバ2の内部には、保持部材7、8、ビーム照射装置9、10および集塵器11,12が設けられている。
保持部材7、8は、鉛直方向に対向するように設けられている。また、保持部材7は、ウエハ13を回転自在に保持する部材であり、図示しない支持部材によって、真空チャンバ2内部の鉛直方向下部に固定されている。保持部材8は、ウエハ14を回転自在に保持する部材であり、プッシュロッド6によって上下動可能に支持され、保持部材7の鉛直方向上方に配置されている。このように保持部材7、8を配置することによって、保持部材7、8に保持されるウエハ13、14も、鉛直方向に対向配置されることになる。このとき、ウエハ13の接合面に照射されるエネルギー波15の、エネルギー波照射方向における照射範囲の延長線上の範囲外に、ウエハ14を配置し、かつウエハ14の接合面に照射されるエネルギー波16の、エネルギー波照射方向における照射範囲の延長線上の範囲外に、ウエハ13を配置するのが好ましい。すなわち、ウエハ13にエネルギー波16が照射されず、ウエハ14にエネルギー波15が照射されないように、ウエハ13、14ひいては保持部材7、8を配置することが好ましい。これにより、一旦除去された汚染物のウエハ13、14への再付着が一層防止される。
【0025】
保持部材7、8がウエハ13、14を回転自在に保持することによって、ウエハ13、14の接合面に、たとえば、Au突起電極などが形成されて凹凸がある場合に、エネルギー波未照射部分が発生するのを防止できる。より具体的には、たとえば、エネルギー波の照射毎にウエハ13、14を90°、180°、270°と回転させることによって、エネルギー波の直進性によってエネルギー波未照射部分が発生するのを防止できる。
【0026】
ビーム照射装置9、10は、保持部材7、8により保持されているウエハ13、14の接合面に対向するように設けられ、ウエハ13、14の接合面にエネルギー波をライン状に照射する。本実施の形態では、エネルギー波には中性化された原子ビーム(以下単に「原子ビーム」とする)15、16が使用されている。ビーム照射装置9のウエハ13接合面への対向面には、図3に示すように、スリット状のビーム照射孔が設けられ、これによって、ライン状の原子ビーム15をウエハ13接合面に照射できる。図示しないが、ビーム照射装置10のウエハ14接合面にも、ビーム照射装置9と同様のライン状ビーム照射孔が設けられている。原子ビーム15、16をライン状に照射することにより、原子ビーム源であるArガスなど不活性ガス流量を少なくすることができ、結果として真空チャンバ2内に導入されるガス量が少なくなり、真空チャンバ2内部の圧力上昇が少なくなる。真空チャンバ2の内部圧力は真空チャンバ2内に存在する気体の分子量の合計に比例し、圧力が低い程、浮遊する汚染物を少なくし、原子ビーム15、16照射の際に汚染物がウエハ13、14接合面に再付着するのを防ぐことができる。
【0027】
ビーム照射孔の形状は図3に示すものに限定されず、図4(a)に示すものでもよい。図4は、別形態のビーム照射装置20および従来のビーム照射装置130の構成を模式的に示す斜視図である。図4(a)は別形態のビーム照射装置20である。図4(b)は従来のビーム照射装置130である。ビーム照射装置20は、ウエハ接合面への対向面に、複数の円形の孔が一列に直線状に並ぶドットライン状のビーム照射孔20aが形成されている。ビーム照射孔20aによっても、原子ビームをライン状に照射することができる。一方、従来のビーム照射装置130では、ウエハ接合面への対向面全域に複数の円形の孔が形成されている。このような構成では、原子ビームをライン状に照射することはできない。
【0028】
また、ビーム照射装置9、10は、図示しない駆動手段によって水平方向および水平方向に垂直な方向(図1および図2に対して垂直な方向)に往復動可能に支持されている。これによって、原子ビーム15、16をウエハ13、14にライン状に照射する際に、ウエハ13、14の接合面における原子ビーム15、16の照射された領域から照射されていない領域に向けて原子ビーム15、16の照射位置を移動させることができる。この時、原子ビーム15、16の照射中心線と、原子ビーム15、16の照射位置の移動方向の接合面と、のなす角の角度が90°より大きく、かつ180°よりも小さくする。この角度が90°未満では、接合面から一旦除去された汚染物の接合面への再付着が起こり易くなる。ここで、照射中心線とは、ライン状に照射される原子ビーム15、16の幅方向(照射方向に直交する方向)において、原子ビーム15、16をそれぞれ2等分する線を意味する。
【0029】
本実施の形態では、原子ビーム15のライン状の照射は、ウエハ13の集塵器11側の端部から、ウエハ13のビーム照射装置10側の端部に向けて行うのが好ましい。すなわち、原子ビーム15のウエハ13接合面に対する入射角が鈍角になる方向に、原子ビーム15を照射するのが好ましい。同様に、原子ビーム16の照射は、ウエハ14の集塵器12側の端部から、ウエハ14のビーム照射装置9側の端部に向けて行うのが好ましい。これによって、ウエハ13、14接合面から除去された汚染物の大部分が、原子ビーム15、16の移動方向のみに浮遊することになるので、汚染物のウエハ13、14接合面への再付着が防止される。
【0030】
また、ビーム照射装置9、10の、原子ビーム15、16の照射方向に垂直な方向における両側の側面に、該側面から外方に向けて垂直に延びる図示しない軸体が設けられている。この軸体には図示しない駆動手段が接続されている。ビーム照射装置9、10は、この軸体を中心にして、矢符9x、10xの方向に回転する。ビーム照射装置9、10を回転させることによっても、原子ビーム15、16をライン状に照射することができる。また、図5に示すように、前記軸体を回転中心にしてビーム照射装置9を回転させることによって、原子ビーム15のウエハ13接合面に対する入射角θ1を適宜調整できる。これはビーム照射装置10においても同様である。図5はビーム照射装置9の回転動作を示す側面図である。また、ウエハ13、14接合面に対して原子ビーム15、16の照射を複数回実施する場合は、1回の照射毎に入射角を調整すれば、ウエハ13、14接合面の汚染物を一層効率良くかつ一層確実に除去できる。ビーム照射装置9、10を回転させながら原子ビーム15、16を照射する場合、照射移動速度は特に制限はないが、一定速度に制御するのが好ましい。なお、本実施の形態では、ビーム照射装置9、19は水平方向および水平方向に垂直な方向の往復動機能および回転機能の両方を有しているが、いずれか一方の機能を有していれば、原子ビーム15、16の照射を支障なく実施することができる。
【0031】
また、ビーム照射装置9、10は、それぞれから照射される原子ビーム15、16が一部でも交わらないように配置される。また、ビーム照射装置9、10は、好ましくは、原子ビーム15、16のウエハ13、14の接合面に対する入射角θ1、θ2が、45°〜60°になるように配置される。入射角θ1、θ2が45°未満では、原子ビーム15、16によるウエハ13、14の接合面における汚染物の除去速度が遅くなり、生産効率が低下するおそれがある。一方、入射角θ1、θ2が60°を超えると、汚染物の除去速度が上がらない上、汚染物の再付着が起こり易くなるおそれがある。
なお、ビーム照射装置9、10のビーム照射孔近傍には図示しないシャッタが設けられ。原子ビーム15、16の照射を行わない場合には、シャッタによってビーム照射孔から照射される原子ビーム15、16を遮るように構成されている。また、ビーム照射装置9、10は、保持部材7、8に出来るだけ近接させて配置するのが望ましい。
【0032】
原子ビーム15、16の照射幅は、10mm以下、好ましくは1mm以下である。なお、照射幅の下限は、清浄化効率などを考慮すると100μm程度に設定するのが好ましい。なお、照射幅とは、原子ビーム15、16の照射方向に対して垂直な方向の幅を意味する。原子ビーム15、16の照射幅を10mm以下に設定することによって、ウエハ13、14接合面から除去されて浮遊する汚染物が、原子ビーム15、16によってウエハ13、14接合面に再付着するのが防止される。より具体的には、ウエハの全面に原子ビームを照射する場合に比べて、再付着の可能性が4インチウエハで1/10程度、6インチウエハで1/15程度に低下する。
【0033】
次に、図6〜9を参照して、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面の清浄化をさらに具体的に説明する。図6は、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面への原子ビーム15の照射を示す側面図である。図6(a)は図6(b)よりも入射角θ1の角度が大きい場合を示している。図7は、図6において一点破線で示される領域AおよびBを拡大して示す側面図である。図6(a)と図7(a)および図6(b)と図7(b)がそれぞれ対応している。図8は、ビーム照射装置9によるウエハ13接合面に対する原子ビーム15の照射を説明する側面図である。図9は、ウエハ13接合面に対して原子ビーム15を照射したときの、ウエハ13接合面の表面状態を示す側面図である。なお、図6〜9においては、説明を簡略化するために、ビーム照射装置9とウエハ13との水平方向における位置関係を逆転させて図示している。
【0034】
図6および図7に示すように、ビーム照射装置9によって、ウエハ13接合面に対して入射角θ1が45〜60°の範囲で原子ビーム15を照射すると、該接合面上の汚染物30は入射角θ1と同じ角度の放射角θ3で該接合面からはじき飛ばされる。これはニュートンの法則により入射角と放射角とが等しくなるためである。このように、原子ビーム15の入射角θ1と汚染物30の放射角θ3とが等しいことに基づいて、原子ビーム15の照射方向が決定される。
【0035】
図8(a)および図7(b)に示すように、ウエハ13に対する原子ビーム15は、水平方向におけるウエハ13の集塵器11側の端部を始点とし、ウエハ13のビーム照射装置10側の端部を終点とし、始点から終点に向けて照射位置を移動させながら、ライン状に照射される。すなわち、原子ビーム15は、原子ビーム15とその照射位置移動方向の接合面とのなす角の角度(180−θ1)が90°を超え、180°未満になるようにライン状に照射される。なお、原子ビーム15の接合面に対する入射角θ1は、好ましくは45〜60°である。原子ビーム15の照射によって、ウエハ13接合面上の汚染物30は、放射角θ3で原子ビーム15の照射位置移動方向に弾き飛ばされる。このように原子ビーム15を照射すると、汚染物30がこれから照射しようとする方向に飛ばされる。したがって、汚染物30が原子ビーム15の照射が終わって清浄化されたウエハ13接合面である領域Cの部分に落下し、再付着することが著しく防止される。また、汚染物30が飛ばされた方向でウエハ13接合面に落下して再付着しても、その部分はこれから原子ビーム15の照射を受ける部分であるから、汚染物30の再付着によるウエハ13接合面の汚染が防止される。
【0036】
図8(c)に示すように、原子ビーム15の照射位置が終点に達すると、シャッタ32によって原子ビーム15の照射を遮った状態で、ビーム照射装置9を原子ビーム15の商社位置の始点まで戻す。この動作を繰り返すことを、本明細書では、原子ビーム15の間欠照射という。これによって、ウエハ13接合面近傍に汚染物30が浮遊し、原子ビーム15の照射を受けても、これから清浄化される接合面に付着するので、清浄化された接合面への汚染物30の再付着が大幅に減少する。したがって、原子ビーム15の照射を受けたウエハ13接合面を清浄な状態に保つことができる。原子ビーム15により除去された汚染物30は除去後に排気口5、後述する集塵器11、12などによって回収される。
【0037】
一方、図8(d)に示すように、原子ビーム15の入射角θ1=45〜60°とし、原子ビーム15の照射位置始点をウエハ13の図示しないビーム照射装置10側の端部、照射位置終点をウエハ13の図示しない集塵器11側の端部にして照射を行うと、ウエハ13接合面の清浄化された部分に一旦除去された汚染物30が落下し、再付着が起こり易くなる。これは、ウエハ13接合面の清浄化された部分の鉛直方向上方に汚染物30が弾き飛ばされるからである。したがって、原子ビーム15の照射移動方向は、原子ビーム15と原子ビーム15の照射移動方向の接合面とのなす角の角度(180−θ1)が90°を超え、180°未満になるのが好ましく、120°を超え、135°未満になるのがさらに好ましい。換言すれば、原子ビーム15の照射移動方向と、汚染物30の放射方向(弾き飛ばされる方向)とが同じ方向になるように、原子ビーム15の照射位置の移動を行うのが好ましい。これにより、図9(a)〜(c)に示すように、図9(a)から図9(c)という順番で、ウエハ13上の珪素酸化物および汚染物が徐々にかつ確実に除去される。
【0038】
原子ビーム16のウエハ14接合面への照射も、同様に行われる。すなわち、水平方向におけるウエハ14の集塵器12側の端部を始点、ウエハ14のビーム照射装置9側の端部を終点とし、始点から終点に向けて照射位置を移動させながら、ライン状に照射される。このとき、原子ビーム16は、原子ビーム16とその照射位置移動方向のウエハ14接合面とのなす角の角度(180−θ2)が90°を超え、180°未満になり、好ましくは120°を超え、135°未満になる。原子ビーム16の照射位置が終点に達すると、ビーム照射装置10に設けられる図示しないシャッタによって原子ビーム16の照射が遮断された状態で、始点まで戻り、水平方向に垂直な方向に所定量移動して同じ動作を繰返し実行する。
なお、本実施の形態では、ビーム照射装置9、10に移動機能を付加して原子ビーム15、16の照射位置を移動する構成を採るが、それに限定されず、保持部材7、8に移動機能および/または回転機能を付加し、ウエハ13、14を移動および/または回転させても良い。
【0039】
ここで、図1および図2に戻る。接合装置1は、集塵器11、12を含む。集塵器11は、保持部材7とビーム照射装置9との間の空間において、保持部材8によって保持されるウエハ14接合面を臨むように設けられている。集塵器11は、ビーム照射装置10からウエハ14接合面に向けて照射される原子ビーム16によって該接合面から弾き飛ばされる汚染物16xの進行方向に設置され、汚染物16xを効率良く回収する。同様に、集塵器12は、保持部材8とビーム照射装置10との間の空間において、保持部材7によって保持されるウエハ13接合面を臨むように設けられている。集塵器12は、ビーム照射装置9からウエハ13接合面に向けて照射される原子ビーム15によって該接合面から弾き飛ばされる汚染物15xの進行方向に設置され、汚染物15xを効率良く回収する。
【0040】
また、集塵器11、12は、図示しない駆動手段によって、ウエハ14、13に対して近接および離反可能に設けられている。集塵器11、12に近接および離反動作を実行させることによって得られる効果を、図10に基づいて説明する。図10は、ウエハ13に対して原子ビーム15の照射を行う際の、集塵器12の近接および離反動作の効果を説明する図面である。図10(a)は斜視図である。図10(b)は第1回目の原子ビーム15の照射を示す側面図である。図10(c)はn回目の原子ビーム15の照射を示す側面図である。なお、図10では、説明を簡略化するために、ビーム照射装置9と集塵器12との水平方向の位置関係を逆にしている。
【0041】
図10(b)に示すように、原子ビーム15の照射を行う前のウエハ接合面13には、多量の汚染物37が付着している。このため、第1回目の原子ビーム15の照射によって汚染物37がウエハ接合面13から除去されても、真空チャンバ2内に多く浮遊し、清浄化面に再付着物38として付着することがある。この場合には、集塵器12をウエハ13からある程度離隔させ、集塵器12近傍のある程度広い領域の雰囲気を吸引し、除去された汚染物30を回収する。一方、図10(c)に示すように、n回目の原子ビーム15の照射では、真空チャンバ2内に浮遊する汚染物30の量が排気および集塵器11、12による回収によって少なくなっている。また、ウエハ13接合面に付着する再付着物38の量も減少している。したがって、集塵器12をウエハ13接合面に近接させ、ウエハ13接合面から除去される汚染物30を確実に捕集することによって、真空チャンバ2内に汚染物30が浮遊し、ウエハ13接合面に付着するのを防止する。このようにして、原子ビーム15、16の照射を複数回繰り返して実施することにより、ウエハ13、14接合面を確実に清浄化できる。
【0042】
原子ビーム15、16によって除去される汚染物15x、16xは、前述したように、ニュートン力学に従って入射角に対応する放射角で弾き飛ばされ、除去される。したがって、原子ビーム15、16の入射角を設定すれば、汚染物15x、16xが除去される方向を予測することができ、その場所に集塵器11、12を設置すれば汚染物15x、16xが真空チャンバ2内に浮遊し、ウエハ13、14接合面に再付着することを防ぐことができる。また、原子ビーム15、16の物理エネルギーによって、除去される汚染物15x、16xの量が決定される。原子ビーム15、16の入射角はエネルギー量と除去される汚染物の放射角に影響を与え、入射角が小さいとエネルギーが小さくなり、汚染物の除去能力が低くなる一方で、汚染物の再付着の可能性は低くなる。入射角が大きいとエネルギーが大きくなり、汚染物15x、16xの除去能力が大きくなるが汚染物15x、16xの再付着の確率が高くなる。このように原子ビーム15、16をライン状にし、複数回照射することによって、一度除去した汚染物に再度原子ビーム15、16が当たるを確率が減少し、ウエハ13、14への再付着が発生しにくくなる。
【0043】
本実施の形態のように、ウエハ13、14を鉛直方向に対向配置し、かつ、ウエハ13、14の接合面に対向するようにエネルギー波発生源であるビーム照射装置9、10を配置する場合、図11に示すように、位置調整を行うのが好ましい。図11は、ビーム照射装置9、10とウエハ13、14との位置関係を示す上面図である。なお、図11においては、プッシュロッド6および保持部材7、8の図示を省略する。図示しない原子ビーム15、16の照射中心線40、41を、鉛直方向に垂直な水平面に投影した場合に、照射中心線40、41の投影線がなす角の角度θ4が30°〜90°になるように、位置調整を行うのが好ましい。これによって、ビーム照射装置9、10から照射される原子ビーム15、16同士の緩衝が防止され、ひいては汚染物の再付着が防止される。なお、水平面への投影図は、上面図と同じになる。
【0044】
角度θ4が30°未満では、たとえば、ビーム照射装置9から原子ビーム15の照射を受けてウエハ13表面から除去される汚染物が、ビーム照射装置10からの原子ビーム16によりウエハ14表面に打ち付けられ、除去した汚染物質が再付着する可能性が高まるおそれがある。同様に、ウエハ14表面から除去される汚染物がビーム照射装置9からの原子ビーム15によりウエハ13表面に打ち付けられるおそれがある。これにより、除去した汚染物質の再付着の可能性が高まる。
【0045】
一方、角度θ4が90°を超えると、ビーム照射装置9、10から照射されるビーム15、16の干渉によって、ビーム15、16のビーム強度が不安定になり、処理工程において、ウエハ13、14の清浄化度が不十分になるおそれがある。また、ビーム照射装置9、10からの原子ビーム照射方向がほぼ同じ方向になる。その結果、ウエハ13、14表面における汚染物の除去度合が、ビーム照射装置9、10に近接する部分の方がビーム照射装置9、10から離反する部分よりも大きくなるおそれがある。ウエハ13、14は対向配置されているので、これらを接合する際には、ビーム照射装置9、10に近接する部分同士およびビーム照射装置9、10から離反する部分同士が接合される可能性が高い。その結果、接合部位によって汚染物の除去量に差が生じ、ウエハ13、14の接合品質が低下するおそれがある。
【0046】
接合装置1によれば、清浄化工程と接合工程とが行われる。
清浄化工程では、真空チャンバ2内にウエハ13、14が搬入され、それぞれ保持部材7、8に保持され、鉛直方向に対向配置される。次に、真空チャンバ2内が真空またはそれに近い状態まで減圧される。次に、ビーム照射装置9からウエハ13に原子ビーム15をライン状に照射し、ビーム照射装置10からウエハ14に原子ビーム16をライン状に照射する。これによって、ウエハ13、14の接合面を清浄化する。接合工程は、清浄化工程に引き続いて行われ、ウエハ13およびウエハ14の清浄化された接合面を接触させて接合する。すなわち、プッシュロッド6を下降させることによって、プッシュロッド6に支持された保持部材8ひいてはウエハ14を下降させて、ウエハ13の接合面とウエハ14の接合面とを接触させて接合し、接合体を得る。この接合体は真空チャンバ2外に搬出され、新しいウエハ13、14が搬入され、同じ動作が繰り返される。
なお、接合装置1は、清浄化工程と並行して、または清浄化工程と接合工程との間に、集塵工程を行うこともできる。集塵工程では、原子ビーム15、16の照射によりウエハ13、14の接合面から除去された汚染物を回収する。
【0047】
本構成によって、清浄化処理した後に再度チャンバ内を浮遊する汚染質が再付着することを防き、清浄化処理した接合面を接触させるだけで容易に接合できる接合方法を提供できる。その結果、常温で良好な接合品質を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の接合方法は、ライン状の原子ビームを照射しかつ照射動作のできるビーム照射装置と、除去された汚染物を回収するための集塵器とを有し、Si−Si接合、金属間接合などの低温接合の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の第1形態である接合方法を実施するための接合装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す接合装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す接合装置に備えられるビーム照射装置の構成を模式的に斜視図である。
【図4】別形態のビーム照射装置および従来のビーム照射装置の構成を模式的に示す斜視図である。図4(a)は別形態のビーム照射装置である。図4(b)は従来のビーム照射装置である。
【図5】図3に示すビーム照射装置の回転動作を示す側面図である。
【図6】図3に示すビーム照射装置によるウエハ接合面への原子ビームの照射を示す側面図である。
【図7】図6において一点破線で示される領域AおよびBを拡大して示す側面図である。
【図8】図3に示すビーム照射装置によるウエハ接合面に対する原子ビームの照射を説明する側面図である。
【図9】ウエハ接合面に対して原子ビームを照射したときの、ウエハ接合面の表面状態を示す側面図である。
【図10】集塵器の効果を説明する側面図である。
【図11】ビーム照射装置とウエハとの位置関係を示す上面図である。
【図12】特許文献1の接合方法を実施するためのウエハ接合装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図13】図12に示すウエハ接合装置の要部の構成を拡大して示す縦断面図である。
【図14】ビーム照射装置によるウエハへのビームの照射を示す側面図である。
【図15】接合面にAu突起電極が設けられたウエハへのビームの照射を示す側面図である。
【図16】シリコンウエハの表面状態を概略的に示す側面図である。
【図17】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図18】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図19】スパッタリングによるシリコンウエハ表面の清浄化を概略的に示す側面図である。
【図20】エッチング速度と原子ビームの照射角度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 接合装置
2 真空チャンバ
3 搬出入口
4 扉
5 排気口
6 プッシュロッド
7、8 保持部材
9、10、20 ビーム照射装置
11、12 集塵器
13、14 ウエハ
15、16 原子ビーム
15x、16x、30 汚染物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物の接合面と第2対象物の接合面とが対向するように第1対象物および第2対象物を配置し、前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面にエネルギー波をライン状に照射する清浄化工程と、前記清浄化工程に引き続いて行われ、前記第1対象物の接合面と前記第2対象物の接合面とを接触させる接合工程とを含む接合方法において、
清浄化工程は、
前記第1対象物および前記第2対象物の接合面における前記エネルギー波の照射された領域から前記エネルギー波の照射されていない領域に向けて前記エネルギー波の照射位置を移動させるとともに、前記エネルギー波の照射中心線と、前記エネルギー波の照射位置移動方向の前記接合面と、のなす角の角度が90°より大きく180°より小さくなるようにして行われる接合方法。
【請求項2】
前記エネルギー波の照射方向と直交する方向における、前記エネルギー波の幅は10mm以下である請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第2対象物を配置し、かつ前記第2対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第1対象物を配置して前記エネルギー波を照射する請求項1または2記載の接合方法。
【請求項4】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面にそれぞれ対向するように設けられて、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面に第1および第2エネルギー波を照射する第1および第2エネルギー波発生源をさらに含み、
前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線との水平平面への投影図において、前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線とのなす角の角度が30°〜90°である請求項1または3記載の接合方法。
【請求項5】
前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面に対する前記エネルギー波の入射角度が45°〜60°である請求項1〜4のいずれか1つに記載の接合方法。
【請求項6】
前記エネルギー波の照射により前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面から除去された汚染物を回収する集塵工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の接合方法。
【請求項7】
前記エネルギー波が原子ビームである請求項1〜6のいずれか1つに記載の接合方法。
【請求項1】
第1対象物の接合面と第2対象物の接合面とが対向するように第1対象物および第2対象物を配置し、前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面にエネルギー波をライン状に照射する清浄化工程と、前記清浄化工程に引き続いて行われ、前記第1対象物の接合面と前記第2対象物の接合面とを接触させる接合工程とを含む接合方法において、
清浄化工程は、
前記第1対象物および前記第2対象物の接合面における前記エネルギー波の照射された領域から前記エネルギー波の照射されていない領域に向けて前記エネルギー波の照射位置を移動させるとともに、前記エネルギー波の照射中心線と、前記エネルギー波の照射位置移動方向の前記接合面と、のなす角の角度が90°より大きく180°より小さくなるようにして行われる接合方法。
【請求項2】
前記エネルギー波の照射方向と直交する方向における、前記エネルギー波の幅は10mm以下である請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第2対象物を配置し、かつ前記第2対象物の接合面に照射されるエネルギー波の照射範囲の延長線上の範囲の外に前記第1対象物を配置して前記エネルギー波を照射する請求項1または2記載の接合方法。
【請求項4】
前記第1対象物と前記第2対象物とを鉛直方向に対向配置するとともに、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面にそれぞれ対向するように設けられて、前記第1対象物および前記第2対象物の接合面に第1および第2エネルギー波を照射する第1および第2エネルギー波発生源をさらに含み、
前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線との水平平面への投影図において、前記第1エネルギー波の照射中心線と前記第2エネルギー波の照射中心線とのなす角の角度が30°〜90°である請求項1または3記載の接合方法。
【請求項5】
前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面に対する前記エネルギー波の入射角度が45°〜60°である請求項1〜4のいずれか1つに記載の接合方法。
【請求項6】
前記エネルギー波の照射により前記第1対象物の接合面および前記第2対象物の接合面から除去された汚染物を回収する集塵工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の接合方法。
【請求項7】
前記エネルギー波が原子ビームである請求項1〜6のいずれか1つに記載の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図20】
【図9】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図20】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−302370(P2008−302370A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149316(P2007−149316)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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