説明

接着剤バルブ

【課題】特に接着剤バルブ又は接着剤ノズルである配量用バルブの動作信頼性を高め、寿命を延長すること。
【解決手段】特に接着剤である液状の物質の配量用のバルブ又は接着剤用のバルブであって、特に永久磁石である少なくとも1つの磁石22,23によって調整可能な閉鎖部材16を備えて成る前記バルブにおいて、磁石22,23に、前記物質の影響に対して保護し、かつ、磁力に悪影響を及ぼさない保護層及び/又はカバー34を設けた。また、このカバー34を特にチタンである金属で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に接着剤である液状の物質の配量用のバルブ又は接着剤用のバルブであって、特に永久磁石である少なくとも1つの磁石によって調整可能な閉鎖部材を備えて成る前記バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のようなバルブは特許文献1に開示されており、このような公知のバルブにおいては、包装技術において(たばこ用)パッケージの折片上に(少ない)所定量の接着剤を供給するのに用いられている。また、このような公知のバルブにおいては、閉鎖部材、すなわち球状の閉鎖要素を端部に備えたバルブタペットが、永久磁石の作用を受け、バルブシートにおける閉鎖ヘッドに当接するよう閉鎖位置へ移動するようになっている。
【0003】
また、従来技術において、バルブケーシング内には、1つの磁石が固定され、これに対向しつつバルブタペットに結合されたもう1つの磁石が設けられている。さらに、これら磁石は同極(特にN極)どうしが対向するように配置されており、これにより、互いに反発する磁界が生じるか、あるいはバルブタペットへ伝達される。そして、周期的に操作される電磁石により、磁石の作用に抗して閉鎖部材の開放位置へとバルブタペットが移動されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/155117号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、特に接着剤バルブ又は接着剤ノズルである配量用バルブの動作信頼性を高め、寿命を延長することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、バルブ又はノズルにおいて、永久磁石である少なくとも1つの磁石に、液状物質の影響に対して保護し、かつ、磁力に悪影響を及ぼさない保護層及び/又はカバーを設けることによって達成される。
【0007】
本発明は、磁石がバルブの構造及び動作態様により侵食性の物質に接触する際に、特に包装技術における接着剤であるこの侵食性の物質により、磁石に不都合な変化が生じてしまうことにかんがみてなされたものである。本発明によれば、磁石における少なくともこの接触領域が上述のような特性を有するカバー又は保護層によって保護される。
【0008】
この保護カバーには様々な材料が適しており、ポリエステルのような合成樹脂や、金属でもよいが、特にチタンが適しており、優位な結果が得られる。このような材料は、接着剤や液状の物質に対しての保護機能を有しているとともに、低強度の磁性を有しており、磁界における磁力線を増大させ、磁石による復元力も増大させるものである。
【0009】
また、保護層又はカバーは、接着剤(特に単一成分接着剤又は多成分接着剤)により磁石に固定されている。さらに、磁石と、保護層又はカバー(キャップ)とで構成されるユニットは、磁石支持体における凹部に固定手段によって固定されるようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に接着剤バルブ又は接着剤ノズルである配量用バルブの動作信頼性を高め、寿命を延長することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】特に接着剤バルブであるバルブの断面図である。
【図2】図1におけるII部の拡大図である。
【図3】他の実施形態を示す、図2に対応した図である。
【図4】他の実施形態を示す、図2及び図3に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1には接着剤ノズルあるいは接着剤バルブである本発明の好ましい実施形態が例示されており、この接着剤バルブにより、液状の接着剤の一定量が供給されるようになっている。この接着剤バルブは、特に、たばこ用パッケージなどのパッケージの折片に接着剤を供給するものである。
【0014】
この接着剤バルブは、特に接着剤である処理媒体が供給されるバルブチャンバ11を有するバルブケーシング10で構成されている。また、本実施形態においては、(水平方向に延在する)接着剤通路12がバルブチャンバ11へ開口している。
【0015】
しかして、接着剤はバルブシート14におけるバルブ開口部13から流出するようになっており、このバルブシート14は、バルブ開口部13の中心部へ向かって下方へ狭窄する円すい状の着座面15と共に形成されている。また、バルブ開口部13には閉鎖部材16が設けられており、この閉鎖部材16は、バルブケーシング10内において、閉弁位置(図1)と開弁位置の間で長手方向あるいは垂直方向に移動可能になっている。また、この閉鎖部材16は、ピストン部17と、中間部材18と、該中間部材18に取り付けられた弁体(閉鎖要素)19とで構成されており、この弁体19は、その外形がバルブシート14あるいは着座面15に合わせて形成されているとともに、本実施形態においては球として形成されている。また、閉鎖部材16の直径、すなわちピストン部17の直径は、バルブチャンバ11の直径よりもはるかに小さく設定されている。そして、バルブチャンバ11内における接着剤は、ピストン部17を包囲しつつバルブチャンバ11の端部にまで至っている。
【0016】
ところで、閉鎖部材16を操作するために、すなわち閉鎖部材16を開弁位置と閉弁位置の間で変位させるために、互いに独立した複数の操作部材が設けられている。第1の操作部材は、閉鎖部材16をその開弁位置(図1における上方)へもたらす電磁石20である。ここで、この電磁石20のコイルは、断面U字状のホルダ部21に配置されている。また、この電磁石20は、バルブケーシング10の中心部に配置されているとともに、その下部においてタペット状の閉鎖部材16を包囲している。そして、電磁石20のパルス状の動作により、閉鎖部材16が開弁位置へ移動し、これに伴い弁体19も開弁位置へ移動することになる。
【0017】
また、閉鎖部材の閉弁動作も磁石によって行われ、第1の磁石22及び第2の磁石23が互いに対向配置されている。ここで、これら第1及び第2の磁石22,23を永久磁石として形成するのが好ましい。
【0018】
そして、第1の磁石22は、バルブケーシング10内、すなわちバルブチャンバ11に対向しつつバルブシート14に対して境界をなす支持部24内に固定して配置されている。この支持部24は、特に円筒状に形成されているとともに、電磁石20によって部分的に包囲された領域に固定されている。なお、この支持部24は、バルブチャンバ11の境界の変更に合わせて変位可能に指示されている。そして、この目的のために、支持部24は外部から操作可能なネジ25に接続されており、このネジ25により、支持部24の相対変位が、閉鎖部材16の上側のストッパとして調整可能となっている。この閉鎖部材16は、開弁位置(図1における上側)において支持部24の自由端26への当接が維持されるようになっている。
【0019】
第1の磁石22は支持部24の中心部における凹部27内に収容されており、この第1の磁石22の固定は、機械的な接合手段、又は特に接着剤28によりなされている。また、凹部27は第1の磁石22よりもわずかに大きく形成されているため、接着剤28により、第1の磁石22は、完全に、又は少なくともその側面部29を含む領域において凹部27のリング状に形成された内壁部に結合されている。
【0020】
一方、第2の磁石23は、第1の磁石22に対向するよう閉鎖部材16、特にピストン部27の上端面30近傍に配置されている。ピストン部27にも凹部31が形成されており、この凹部31内に第2の磁石23が特に接着剤32によって固定されている。なお、円筒状に形成された第1及び第2の磁石22,23は、互いに同極(ここではN極)どうしが対向するよう配置されている。
【0021】
また、第1及び第2の磁石22,23は、機械的及び/又は化学的な影響から保護されており、特に、包装技術における接着剤のような侵食性の物質に対して保護されている。このような保護は、少なくとも互いに対向する面においてカバー及び/又はコーティングをすることにより機能するものとなっている。
【0022】
図2に示す実施形態においては、磁石における対向面33並びに第1及び第2の磁石22,23の側面部29がキャップ状のカバー34を備えている。ここで、カバー34を金属(特にチタン)で形成するのが好ましい。この材料は非常に薄い肉厚(例えば約0.05mm)に加工することが可能である。そして、この材料は、低強度の磁性を有しており、第1及び第2の磁石の磁力線を増大させるものとなっている。また、このカバー34あるいはチタン製のキャップを、接着剤(ここでは第1及び第2の磁石22,23の固定に使用される接着剤28,32)により第1及び第2の磁石22,23に接着するのが好ましい。なお、支持部24においては、カバー34が該支持部24の自由端26と面一になるような配置構造となっている。
【0023】
第1の磁石22に対向した第2の磁石23においてもカバー34が前記上端面30と面一となっているが、この領域には、リング状に配置された複数のウェブ35が設けられている。このウェブ35は、前記上端面30あるいは第2の磁石23及びカバー34を超えて突出しているとともに、第1及び第2の磁石22,23あるいはそのカバー34が前記自由端26において直接接触しないよう、閉鎖部材16の上側位置において前記自由端に当接するようになっている。アール部36を有するカバー34をカバー34の形状に合わせるために、第1及び第2の磁石22,23は、その対向面33において傾斜部37を備えている。
【0024】
図3に示す実施形態は、第1及び第2の磁石22,23の保護手段において上述の実施形態と相違している。これら第1及び第2の磁石22,23はそれぞれカバープレート38を備えており、このカバープレート38は、凹部27,31の全断面にわたって延在している。また、このカバープレート38は、特に接着剤28,32で固定されているか、あるいは前記対向面33に結合されている。さらに、このカバープレート38をチタンで形成するのが好ましいが、他の金属又は合成樹脂で構成してもよい。また、各カバープレート38は前記自由端26あるいはウェブ35よりも磁石側に配置されているため、互いの接触が防止されることになる。さらに、カバープレート38は凹部27あるいは31に合わせて設置されているため、磁石の領域がシールされるようになっている。
【0025】
第1及び第2の磁石22,23に対するこのような特別なカバー部材に代えて、これら第1及び第2の磁石22,23に、その製造時又はバルブ内における所定の位置に設置した後に、保護層39を設けることも考えられる。この保護層39も第1及び第2の磁石22,23を保護する特性を有しており、その作用は、上述のようなカバーに比して損なわれるようなものではない。また、この保護層39は、その形成時に成形可能であるとともに後に硬化する基質で構成されている。なお、この保護層39を、例えば合成樹脂(ポリエステル)で構成することができる。
【0026】
図4に示す実施形態においては、保護層39が凹部27あるいは31の全開口領域にわたって延在しており、この保護層は、凹部27,31を包囲する平面にシールされつつ結着されている。また、これに代えて、保護層39を更に磁石の側面部29まで延在させたり、この側面部29を包囲するよう形成することも可能である。
【0027】
ところで、第1及び第2の磁石22,23の取付時には、これら第1及び第2の磁石22,23の各所定の面に結合層すなわち接着剤28,32を形成又は塗布し、それぞれ凹部27,31へ設置される。その後、カバー34、カバープレート38又は保護層39が設けられる。なお、カバー34又は保護層39を採用する場合には、第1及び第2の磁石22,23を凹部27,31へ設置する前にこれらを第1及び第2の磁石22,23へ設けることも可能である。
【0028】
また、凹部27,31の底部にはくぼみ部40が形成されており、このくぼみ部40には、第1及び第2の磁石22,23の設置時に生じる過剰な接着剤28,32が収容されるようになっている。
【符号の説明】
【0029】
10 バルブケーシング
11 バルブチャンバ
12 接着剤通路
13 バルブ開口部
14 バルブシート
15 着座面
16 閉鎖部材
17 ピストン部
18 中間部材
19 弁体(閉鎖要素)
20 電磁石
21 ホルダ部
22 第1の磁石
23 第2の磁石
24 支持部
25 ネジ
26 支持部の自由端
27 凹部
28 接着剤
29 磁石の側面部
30 ピストン部の上端面
31 凹部
32 接着剤
33 磁石における対向面
34 カバー
35 ウェブ
36 アール部
37 傾斜部
38 カバープレート
39 保護層
40 くぼみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に接着剤である液状の物質の配量用のバルブ又は接着剤用のバルブであって、特に永久磁石である少なくとも1つの磁石(22,23)によって調整可能な閉鎖部材(16)を備えて成る前記バルブにおいて、
前記磁石(22,23)に、前記物質の影響に対して保護し、かつ、磁力に悪影響を及ぼさない保護層(39)及び/又はカバー(34,38)を設けたことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記磁石(22,23)の断面においてアール部又はエッジ部を形成し、該磁石(22,23)における少なくとも自由端、前記物質に対向する端面又は前記磁石(22,23)における対向面(33)に、前記カバー(34)、分離壁あるいはカバープレート(38)及び前記保護層(39)のうち少なくともいずれかを設けたことを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項3】
前記カバー(34)又は前記カバープレート(38)を特にチタンである金属で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のバルブ。
【請求項4】
前記カバー(34)をキャップとして形成するとともに、該キャップにより、前記磁石(22)の前記自由端又は前記対向面(33)及び前記磁石(22,23)における少なくとも側面部(29)を覆うよう形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項5】
チタン製の前記カバー(34)あるいはキャップの肉厚を特に約0.05mmとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項6】
前記カバー(34)あるいはキャップを、特に接着剤である結合手段で前記磁石(22,23)に固定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記磁石(22,23)に形成される前記保護層(39)を、特に合成樹脂(ポリエステル)である、最初は液状又は成形可能であるとともに前記磁石(22,23)への形成後には硬化する材料で形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記磁石(22,23)を磁石支持部(17,24)における凹部(27,31)に配置するとともに、該凹部(27,31)の開口側に、特に該凹部(27,31)に適合するよう固定されたカバープレート(38)である前記カバー(34)又は前記保護層(39)を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記磁石(22,23)を前記磁石支持部(17,24)における前記凹部(27,31)における底部で支持するとともに、該底部に、過剰な接着剤を収容するためのくぼみ部(40)を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項10】
磁石支持部(17,24)における凹部(27,31)へ磁石(22,23)を挿入して、該磁石を前記磁石支持部(17,24)における前記凹部(27,31)へ取り付ける方法において、
a)液状の物質に対して保護するカバー(34)、カバープレート(38)及び保護層(39)のうち少なくともいずれかを前記磁石(22,23)に設け、
b)前記磁石(22,23)における少なくとも側面部(29)において接着剤を塗布し、
c)接着剤と、カバー(34)、カバープレート(38)及び保護層(39)のうち少なくともいずれかを備えた前記磁石(22,23)を前記凹部(27,31)へ挿入する
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522942(P2012−522942A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502484(P2012−502484)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001631
【国際公開番号】WO2010/112134
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(504265684)フォッケ・ウント・コンパニー(ゲゼルシャフト・ミト・べシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト) (31)
【Fターム(参考)】