説明

接続機器およびプログラム

【課題】船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器において、上位互換性を確保し、ユーザビリティを向上させる。
【解決手段】ネットワークを経由して送信される任意のメッセージ中のPGN(通信ID)に基づき、このネットワークのプロトコルを識別する(ステップS3)。このネットワークのプロトコルに応じて機器用プロトコルを決定する(ステップS7、S8)。この機器用プロトコルに準拠してネットワークとデータ通信を行う。これにより、接続機器がネットワークに接続されると、接続機器が自らネットワークのプロトコルを識別して適宜作動する。そのため、上位互換性が確保され、ユーザビリティが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のネットワークに接続機器を接続する際には、ネットワークのプロトコル(通信規約)に準拠した接続機器を用意する必要がある。したがって、ネットワークのプロトコルが複数種類あると、その数に対応した接続機器を用意しなければならない面倒がある。
【0003】
こうした面倒を避ける手法としては、特許文献1に開示された技術(以下、公知技術1という。)や、特許文献2に開示された技術(以下、公知技術2という。)が提案されていた。
【特許文献1】実開平5−59282号公報
【特許文献2】特許第3669671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公知技術1では次のような課題があった。
【0005】
第1に、故障診断装置が接続されるたびに毎回どのプロトコルなのかを判断する必要があるため、常時接続される接続機器の場合には、判断が完了するまでの待ち時間が長くて実用性に欠けるばかりか、誤判断の頻度が高くなり、十分な信頼性を確保することができない。
【0006】
第2に、認証を行わないプロトコル(以下、非認証プロトコルという。)のネットワークに、認証を行うプロトコルに準拠した接続機器(以下、認証準拠機器という。)が接続された場合は、認証異常になる恐れがある。そのため、上位互換性を確保することができず、ユーザビリティ(使い勝手)が低下する。
【0007】
他方、公知技術2では、故障診断回路の数に応じて複数の通信線が必要となるため、低廉に実現できないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、実用性および信頼性が高く、上位互換性の確保によってユーザビリティを向上させることができ、しかも、低廉に実現することが可能な接続機器およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器であって、前記ネットワークを経由して送信される任意のメッセージ中の特定の情報に基づいて当該ネットワークのプロトコルを識別するプロトコル識別手段と、前記プロトコル識別手段によって識別された前記ネットワークのプロトコルに応じて機器用プロトコルを決定するプロトコル決定手段と、前記プロトコル決定手段によって決定された機器用プロトコルに準拠して前記ネットワークとデータ通信を行うデータ通信手段とを備えている接続機器としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記ネットワークのプロトコルをプロトコル情報として記憶する不揮発性のメモリ手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記メモリ手段に記憶されたプロトコル情報を消去して初期状態に戻すメモリリセット手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器に、前記ネットワークを経由して送信される任意のメッセージ中の特定の情報に基づいて当該ネットワークのプロトコルを識別するプロトコル識別処理と、前記ネットワークのプロトコルに応じて機器用プロトコルを決定するプロトコル決定処理と、前記機器用プロトコルに準拠して前記ネットワークとデータ通信を行うデータ通信処理とを実行させるプログラムとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、接続機器がネットワークに接続されると、接続機器が自らネットワークのプロトコルを識別して適宜作動する。したがって、接続機器の上位互換性を確保し、ユーザビリティを向上させることができる。しかも、公知技術2と異なり、複数の通信線を必要としないので、低廉に実現することが可能となる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、2回目以降の接続時には、プロトコルの種類を判断するための処理が不要となる分だけ待ち時間が短くなるため、迅速かつ安定した通信が可能となる。その結果、公知技術1と比べて、接続機器の実用性および信頼性を高めることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、メモリリセット手段により、メモリ手段に記憶された機器用プロトコルを消去して初期状態に戻すことができるため、接続機器を接続するネットワークの変更にも容易に対処することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1と同じ効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0018】
図1乃至図5には、本発明の実施の形態1を示す。
【0019】
まず、構成を説明する。船舶1は、図1に示すように、船体2を有しており、船体2の後部(船尾)には船外機6が着脱自在に取り付けられている。また、船体2には3つのハブ3が設置されており、これらのハブ3には各種の接続機器10、具体的にはゲージ4、ゲートウェイ5、リモコン7、イモビライザー8、多機能センサー9が着脱自在に接続されてネットワークNを構成している。このネットワークNは、第1のプロトコルP1と第2のプロトコルP2の両方に対応している。なお、接続機器10には、第1のプロトコルP1に対応したものと第2のプロトコルP2に対応したものの2種類があり、前者は、ネットワークNに接続されると、すぐにアドレス申請メッセージなどの任意のメッセージMを送信し始める仕様となっているのに対して、後者は、ネットワークNに接続されても、データを何も送信しない仕様となっている。
【0020】
また、船外機6とリモコン7とは、メカケーブル20による接続方式で接続されている。
【0021】
また、接続機器10は、図2に示すように、CPU(中央処理装置)11を有しており、CPU11には、プロトコル識別部(プロトコル識別手段)12、プロトコル決定部(プロトコル決定手段)13、メモリリセット部(メモリリセット手段)14、データ通信部(データ通信手段)15、不揮発性のデータメモリ(メモリ手段)16、プログラムメモリ17が接続されている。さらに、メモリリセット部14にはリセットボタン19が接続されている。
【0022】
ここで、データ通信部15は、第1のプロトコルP1と第2のプロトコルP2の両方に準拠してネットワークNとデータ通信を行う機能を備えている。また、データメモリ16には、プロトコル情報を読み書き自在に記憶する領域が設けられている。さらに、プログラムメモリ17には、図3に示すプロトコル切替プログラムPRGが読み出し自在に格納されている。
【0023】
次に、作用について説明する。
【0024】
以上のような構成を有する接続機器10をネットワークNに初めて接続すると、CPU11は、図3に示すプロトコル切替プログラムPRGをプログラムメモリ17から読み出し、このプロトコル切替プログラムPRGに基づき、プロトコル切替動作を以下のとおり実行する。
【0025】
まず、CPU11は、所定の初期化動作を行った後(図4に示す「パワーOFF」から「初期化」への矢印参照)、プロトコル識別部12に対して、ネットワークNのプロトコルの識別動作を指令する。これを受けてプロトコル識別部12は、データメモリ16に記憶されたプロトコル情報に基づき、ネットワークNのプロトコルを識別しようとする(プロトコル切替プログラムPRGのステップS1)。ところが、このときは初回接続時であるため、データメモリ16にプロトコル情報が何も記憶されていない。したがって、プロトコル識別部12は、プロトコル情報に基づいてネットワークNのプロトコルを識別することができない。そこで、プロトコル識別部12は、その旨の信号をCPU11に出力する。
【0026】
すると、CPU11は、通信状態を待ち状態(ウェイティング状態)へ遷移させた後(図4に示す「初期化」から「待ち状態」への矢印参照)、プロトコル識別部12に対して、任意のメッセージMの受信チェック動作を指令する。これを受けてプロトコル識別部12は、所定の待ち時間(例えば、3秒)が経過するまで、ネットワークNに接続された他の接続機器10から送信される任意のメッセージMの受信チェックを行う(プロトコル切替プログラムPRGのステップS2)。
【0027】
このメッセージMは、例えば図5(a)(b)に示すように、識別フィールドF1およびデータフィールドF2から構成されている。ここで、識別フィールドF1には、P(プライオリティー)、PGN(通信ID)、DA(デスティネーション・アドレス)、SA(ソース・アドレス)などの識別情報が格納されており、データフィールドF2にはエンジン・スピードなど各種のエンジン情報が格納されている。
【0028】
そして、所定の待ち時間が経過するまでに何らかのメッセージMを受信した場合、プロトコル識別部12は、このメッセージM中のPGNの属性に基づいてネットワークNのプロトコルを識別する(プロトコル切替プログラムPRGのステップS3)。
【0029】
すなわち、このPGNが第1のプロトコルP1で専ら使用されるもの(例えば、図5(a)に示す「127488」)であれば、プロトコル識別部12は、ネットワークNのプロトコルが第1のプロトコルP1であると判断し、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、2回目以降の接続時の便宜のため、プロトコル情報として「第1のプロトコルP1」をデータメモリ16に書き込んで記憶させた後(プロトコル切替プログラムPRGのステップS4)、プロトコル決定部13に対して、機器用プロトコルの決定動作を指令する。これを受けてプロトコル決定部13は、機器用プロトコルを「第1のプロトコルP1」と決定し(プロトコル切替プログラムPRGのステップS7、図4に示す「待ち状態」から「第1のプロトコル」への矢印参照)、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、データ通信部15に対して、機器用プロトコルによるデータ通信動作を指令する。これを受けてデータ通信部15は、第1のプロトコルP1に準拠してネットワークNとデータ通信を行う。その結果、接続機器10は、第1のプロトコルP1に対応した機器として作動する。
【0030】
また、このPGNが第2のプロトコルP2で専ら使用されるもの(例えば、図5(b)に示す「65280」)であれば、プロトコル識別部12は、ネットワークNのプロトコルが第2のプロトコルP2であると判断し、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、2回目以降の接続時の便宜のため、プロトコル情報として「第2のプロトコルP2」をデータメモリ16に書き込んで記憶させた後(プロトコル切替プログラムPRGのステップS6)、プロトコル決定部13に対して、機器用プロトコルの決定動作を指令する。これを受けてプロトコル決定部13は、機器用プロトコルを「第2のプロトコルP2」と決定し(プロトコル切替プログラムPRGのステップS8、図4に示す「待ち状態」から「第2のプロトコル」への矢印参照)、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、データ通信部15に対して、機器用プロトコルによるデータ通信動作を指令する。これを受けてデータ通信部15は、第2のプロトコルP2に準拠してネットワークNとデータ通信を行う。その結果、接続機器10は、第2のプロトコルP2に対応した機器として作動する。
【0031】
なお、このPGNが第1、第2のプロトコルP1、P2に共通して使用されるものであれば、ネットワークNのプロトコルが第1のプロトコルP1か第2のプロトコルP2か不明であるので、プロトコル識別部12は、次の任意のメッセージMの受信を待つ。
【0032】
一方、所定の待ち時間が経過してもメッセージMを1件も受信しない場合(プロトコル切替プログラムPRGのステップS5)、プロトコル識別部12は、ネットワークNのプロトコルが第2のプロトコルP2であると判断し、その旨の信号をCPU11に出力する。これは、ネットワークNに接続された他の接続機器10の中に、第1のプロトコルP1に対応したものが1つでも含まれていれば、所定の待ち時間が経過するまでに何らかのメッセージMを受信するはずであり、逆に言うと、所定の待ち時間が経過してもメッセージMを1件も受信しなければ、ネットワークNに接続された他の接続機器10が、すべて第2のプロトコルP2に対応したものであると結論づけられるとの考え方に基づく処理である。
【0033】
すると、CPU11は、2回目以降の接続時の便宜のため、プロトコル情報として「第2のプロトコルP2」をデータメモリ16に書き込んで記憶させた後(プロトコル切替プログラムPRGのステップS6)、プロトコル決定部13に対して、機器用プロトコルの決定動作を指令する。これを受けてプロトコル決定部13は、機器用プロトコルを「第2のプロトコルP2」と決定し(プロトコル切替プログラムPRGのステップS8、図4に示す「待ち状態」から「第2のプロトコル」への矢印参照)、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、データ通信部15に対して、機器用プロトコルによるデータ通信動作を指令する。これを受けてデータ通信部15は、第2のプロトコルP2に準拠してネットワークNとデータ通信を行う。その結果、接続機器10は、第2のプロトコルP2に対応した機器として作動する。
【0034】
ここで、初回接続時の手順が終了する。
【0035】
このように、接続機器10をネットワークNに接続すると、このネットワークNのプロトコルが第1のプロトコルP1であろうと第2のプロトコルP2であろうと、接続機器10は自らネットワークNのプロトコルを識別して適宜作動する。したがって、ネットワークNのプロトコルが非認証プロトコルであり、接続機器10が認証準拠機器であったとしても、認証異常になる恐れはなく、接続機器10の上位互換性を確保し、ユーザビリティを向上させることができる。
【0036】
しかも、公知技術2と異なり、複数の通信線を必要としないので、低廉に実現することが可能となる。
【0037】
なお、機器用プロトコルが「第1のプロトコルP1」または「第2のプロトコルP2」である状態や初期化状態で、接続機器10の電源をOFFすると、CPU11等への通電が遮断される(図4に示す「初期化」から「パワーOFF」への矢印、「第1のプロトコル」から「パワーOFF」への矢印、「第2のプロトコル」から「パワーOFF」への矢印参照)。このとき、データメモリ16は不揮発性であるため、データメモリ16中のプロトコル情報が電源OFF動作によって消失することはない。
【0038】
また、接続機器10をネットワークNに2回目以降に接続すると、CPU11は、初回接続時と同様、図3に示すプロトコル切替プログラムPRGをプログラムメモリ17から読み出し、このプロトコル切替プログラムPRGに基づき、以下のプロトコル切替動作を実行する。
【0039】
まず、CPU11は、所定の初期化動作を行う(図4に示す「パワーOFF」から「初期化」への矢印参照)。ここで、データメモリ16中のプロトコル情報は、初期化動作によって消失することはなく、初期化後も保持される。
【0040】
次に、CPU11は、プロトコル識別部12に対して、ネットワークNのプロトコルの識別動作を指令する。これを受けてプロトコル識別部12は、データメモリ16に記憶されたプロトコル情報に基づき、ネットワークNのプロトコルを識別しようとする(プロトコル切替プログラムPRGのステップS1)。このときは、初回接続時と異なり、データメモリ16にプロトコル情報(「第1のプロトコルP1」または「第2のプロトコルP2」)が記憶されているので、プロトコル識別部12は、このプロトコル情報に基づいてネットワークNのプロトコルを識別する。
【0041】
すなわち、データメモリ16にプロトコル情報として「第1のプロトコルP1」が記憶されている場合、プロトコル識別部12は、ネットワークNのプロトコルが第1のプロトコルP1であると判断し、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、プロトコル決定部13に対して、機器用プロトコルの決定動作を指令する。これを受けてプロトコル決定部13は、機器用プロトコルを「第1のプロトコルP1」と決定し(プロトコル切替プログラムPRGのステップS7、図4に示す「初期化」から「第1のプロトコル」への矢印参照)、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、データ通信部15に対して、機器用プロトコルによるデータ通信動作を指令する。これを受けてデータ通信部15は、第1のプロトコルP1に準拠してネットワークNとデータ通信を行う。その結果、接続機器10は、第1のプロトコルP1に対応した機器として作動する。
【0042】
また、データメモリ16にプロトコル情報として「第2のプロトコルP2」が記憶されている場合、プロトコル識別部12は、ネットワークNのプロトコルが第2のプロトコルP2であると判断し、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、プロトコル決定部13に対して、機器用プロトコルの決定動作を指令する。これを受けてプロトコル決定部13は、機器用プロトコルを「第2のプロトコルP2」と決定し(プロトコル切替プログラムPRGのステップS8、図4に示す「初期化」から「第2のプロトコル」への矢印参照)、その旨の信号をCPU11に出力する。すると、CPU11は、データ通信部15に対して、機器用プロトコルによるデータ通信動作を指令する。これを受けてデータ通信部15は、第2のプロトコルP2に準拠してネットワークNとデータ通信を行う。その結果、接続機器10は、第2のプロトコルP2に対応した機器として作動する。
【0043】
ここで、2回目以降の接続時の手順が終了する。
【0044】
このように、2回目以降の接続時には、データメモリ16中のプロトコル情報を参照することにより、プロトコルの種類を判断するための処理(プロトコル切替プログラムPRGのステップS2〜S6)が不要となる。したがって、その分だけ待ち時間が短くなり、迅速かつ安定した通信が可能となる。その結果、公知技術1と比べて、接続機器10の実用性および信頼性を高めることができる。
【0045】
ところで、接続機器10を接続するネットワークNの変更などに伴い、データメモリ16中のプロトコル情報をリセットする際には、リセットボタン19を押す。すると、メモリリセット部14は、データメモリ16中のプロトコル情報を消去して初期状態に戻す。
【0046】
例えば、リセットする直前のプロトコル情報が「第1のプロトコル」であれば、メモリリセット部14は、この「第1のプロトコル」を消去し、通信状態を待ち状態へ遷移させる(図4に示す「第1のプロトコル」から「待ち状態」への矢印参照)。
【0047】
また、リセットする直前のプロトコル情報が「第2のプロトコル」であれば、メモリリセット部14は、この「第2のプロトコル」を消去し、通信状態を待ち状態へ遷移させる(図4に示す「第2のプロトコル」から「待ち状態」への矢印参照)。
【0048】
このように、リセットボタン19を押すことで、データメモリ16中のプロトコル情報を消去して初期状態に戻すことができるので、接続機器10を接続するネットワークNの変更にも容易に対処することが可能となる。
[発明のその他の実施の形態]
【0049】
なお、上述した実施の形態1では、任意のメッセージM中のPGNに基づいてネットワークNのプロトコルが識別される場合について説明したが、このPGN以外の情報に基づいてネットワークNのプロトコルを識別するようにしても構わない。
【0050】
また、上述した実施の形態1では、船外機6とリモコン7とがメカケーブル20による接続方式で接続された船舶1について説明したが、その他の接続方式を採用した船舶1、例えば船外機6のECUとリモコン7のECUとがLAN(Local Area Network)経由で電気的に接続されたDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)方式の船舶1に本発明を適用することも勿論できる。
【0051】
さらに、上述した実施の形態1では、船体2に船外機6が取り付けられた船舶1について説明したが、船外機6以外の船舶推進装置(例えば、船内外機など)が船体2に取り付けられた船舶1に本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プレジャーボート、小型滑走艇、水上オートバイなど各種の船舶に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1に係る接続機器がネットワークに接続された状態を示す模式図である。
【図2】同実施の形態1に係る接続機器のブロック図である。
【図3】同実施の形態1に係るプロトコル切替プログラムを示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態1に係る通信状態の遷移を示す模式図である。
【図5】同実施の形態1に係る任意のメッセージを例示する模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1……船舶
2……船体
3……ハブ
4……ゲージ
5……ゲートウェイ
6……船外機
7……リモコン
8……イモビライザー
9……多機能センサー
10……接続機器
11……CPU
12……プロトコル識別部(プロトコル識別手段)
13……プロトコル決定部(プロトコル決定手段)
14……メモリリセット部(メモリリセット手段)
15……データ通信部(データ通信手段)
16……データメモリ(メモリ手段)
17……プログラムメモリ
19……リセットボタン
20……メカケーブル
F1……識別フィールド
F2……データフィールド
M……任意のメッセージ
N……ネットワーク
PRG……プロトコル切替プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器であって、
前記ネットワークを経由して送信される任意のメッセージ中の特定の情報に基づいて当該ネットワークのプロトコルを識別するプロトコル識別手段と、
前記プロトコル識別手段によって識別された前記ネットワークのプロトコルに応じて機器用プロトコルを決定するプロトコル決定手段と、
前記プロトコル決定手段によって決定された機器用プロトコルに準拠して前記ネットワークとデータ通信を行うデータ通信手段とを備えていることを特徴とする接続機器。
【請求項2】
前記ネットワークのプロトコルをプロトコル情報として記憶する不揮発性のメモリ手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接続機器。
【請求項3】
前記メモリ手段に記憶されたプロトコル情報を消去して初期状態に戻すメモリリセット手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の接続機器。
【請求項4】
船舶に搭載されたネットワークに接続される接続機器に、
前記ネットワークを経由して送信される任意のメッセージ中の特定の情報に基づいて当該ネットワークのプロトコルを識別するプロトコル識別処理と、
前記ネットワークのプロトコルに応じて機器用プロトコルを決定するプロトコル決定処理と、
前記機器用プロトコルに準拠して前記ネットワークとデータ通信を行うデータ通信処理とを実行させることを特徴とするプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−44653(P2009−44653A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209911(P2007−209911)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)
【Fターム(参考)】