説明

接続装置およびその接続装置を使用したセンサ

【課題】 電子部品の電極部を複数の接触子に確実に接触させることができ、また、静電気による電子部品の悪影響も防止可能な接続装置と、この接続装置を用いたセンサを提供することを目的とする。
【解決手段】 基板11上において、最外周配列位置R0に突出寸法h0のスパイラル接触子12A0を設け、第1の配列位置R1に突出寸法h1のスパイラル接触子12A1を設け、第2の配列位置R2に突出寸法がh2のスパイラル接触子12A2を設け、第3の配列位置R3に突出寸法がh3のスパイラル接触子12A3を設ける。h0>h1>h2>h3とする。導電プレート20は、突出寸法が大きいスパイラル接触子から順に接触し、導電プレート20の微小な位置変化を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板から接触子の接触点までの高さが場所により相違する接続装置に係り、さらに前記接続装置を利用して荷重等の測定を可能としたセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、半導体デバイスを接続させるスパイラル状接触子が開示されている。
【0003】
図6は従来のスパイラル状接触子を用いた絶縁基板の断面図である。
絶縁基板100には孔101が設けられており、孔101の内面には銅メッキが施されて導電部102が形成されている。絶縁基板100の上面(図示Z1側の面)には、導電部102に導通するスパイラル状接触子103が設けられている。また、絶縁基板100の下面(図示Z2側の面)には、導通部102に導通する接続部104が形成されている。
【0004】
下記特許文献1に記載の従来例では、個々のスパイラル状接触子103が平坦に形成されており、電極等が接触したときにスパイラル状接触子103が、孔101内に向けて変形できるようになっている。
【特許文献1】特開2002−175859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に記載の従来の接続装置では、スパイラル状接触子103が平面Hの位置で平面的に設けられているので、例えばIC(集積回路)やICパッケージなどの電子部品の接続部として使用したときに、全てのスパイラル状接触子103と、電子部品の電極部とが全て確実に接触できないことがありえる。
【0006】
また、複数のスパイラル状接触子103のいずれかがアース電位で、他のものが信号端子である場合に、電子部品を装着したときに、アース電位のスパイラル接触子103が電極部に最初に接続される保証がなく、よって、静電気が信号端子に及んだときに電子部品の内部回路を損傷するおそれがある。
【0007】
一方、従来、微小な質量を測定する測定装置として電気的端子を使用したものがあるが、電気的端子の剛性が高いものが主であるため、きわめて軽量な質量を確実に検出できない問題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、電子部品の電極部を複数の接触子に確実に接触させることができ、また、静電気による電子部品の悪影響も防止可能な接続装置を提供することを目的としている。
【0009】
また本発明は、被測定物の微小な位置の変化や、被測定物に作用する、きわめて軽量な荷重の測定が可能なセンサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基板上に複数の渦巻き状の接触子が設けられた接続装置において、
前記接触子は前記基板からの突出寸法が相違しているものを含んでおり、前記接触子が配列している領域において、前記基板からの突出寸法の高いものが、前記基板からの突出寸法の低いものよりも外側に位置していることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の接続装置は、対象物が接触するときに、最初に突出寸法の高い接触子に接触し、次に突出寸法の低い接触子に接触するため、接触子の全てが安定して接触できるようになる。
【0012】
特に、前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子が、前記領域の最外部に位置していると、あるいは、前記領域の平面形状が四角形であり、前記四角形の領域の角部に位置している前記接触子の前記基板からの突出寸法が、他の前記接触子の前記基板からの突出寸法よりも高いものであると、最初に突出寸法の高い接触子で対象物が支えられてから他の接触子に接触できるようになるため、全ての接触子を安定させて接触させることができる。
【0013】
また、前記領域の外側から内側に向けて、前記接触子の前記基板からの突出寸法が段階的に低く形成されているものが好ましい。
【0014】
上記構成では、さらに対象物を全ての接触子に対して安定させて接触させることができるようになる。
【0015】
また、前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子は、前記基板方向へ圧縮するときの弾性係数が他の前記接触子よりも大きいことが好ましい。
【0016】
突出寸法の高い接触子の弾性係数が大きいと、最初に突出寸法の高い接触子が対象物に接触したときにこの接触子で対象物を確実に支えることができるようになる。
【0017】
本発明の接続装置は、電子部品に設けられた個々の電極部がそれぞれの前記接触子に接続されて導通されるものとして使用できる。
【0018】
例えば、ICまたはICパッケージのように複数の電極部を有する電子部品の個々の電極部をそれぞれ、接触子に確実に接触させることができる。
【0019】
この場合に、前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子がアース用として使用されることが好ましい。
【0020】
最も突出している接触子がアース用であると、この接触子が最初に電子部品の電極部等に接触することにより、静電気によって電子部品に悪影響を与えることを防止できるようになる。
【0021】
また、本発明は、前記接続装置を用い、被測定物がいずれの前記接触子に接触するかを検出することで、前記被測定物の位置の変化または前記被測定物に作用する荷重を測定可能としたことを特徴とするものである。例えば、前記センサは、μg単位の微小な差の、前記被測定物に作用する荷重の検出が可能となる。
【0022】
前記センサとしては、前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子を基準電位とし、前記基準電位と他の前記接触子との電位差を測定することで、前記被測定物に作用する荷重の検出を可能としたものとして構成できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の接続装置では、電子部品などの対象物を安定して全ての接触子に対して接触させることが可能である。また、静電気によって電子部品に悪影響を与えることも防止できる。
【0024】
さらに、本発明の接続装置を使用したセンサは、距離の微小な変化や非常に小さい荷重を複数段階で正確に測定できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1Aは本発明の接続装置を示す平面図、図1Bは図1Aの1−1線での切断断面図、図2は基板上の個々のスパイラル接触子を示す図1Bの拡大断面図、図3はスパイラル接触子の平面図、図4は本発明の接続装置を用いたセンサを示す部分断面図、図5は本発明のセンサの回路構成の概略を示す回路図である。
【0026】
なお、図1Bおよび図4では、各スパイラル接触子の突出寸法の差を理解しやすいように、各スパイラル接触子を三角形で示し、且つ基板からの突出寸法を誇張して記載している。
【0027】
接続装置10は、基板11を有し、基板11の上面(図示Z1方向の面)11Aには渦巻き状に形成された複数のスパイラル接触子12Aが設けられている。スパイラル接触子12Aは、銅、ニッケルまたは銅とニッケルとの複合材料のような薄い導電板からエッチングプロセスで形成されたもの、または銅メッキ、ニッケルメッキ、あるいは銅メッキとニッケルメッキなどで形成されたものである。スパイラル接触子12Aは、図2および図3に示すように、前記導電板またはメッキ層により渦巻き状に形成されており、且つその巻き中心(接点部123)が基板11の表面から離れるように突状に形成されている。
【0028】
基板11は絶縁性を有しており、その上面11Aには複数の接続部11aが互いに独立して形成されている。また上面11Aにはそれぞれの接続部11aに導通する配線部が形成されている。
【0029】
図1Aに示すように、基板11の上面11Aにおける接続部11aの配置領域は四角形であり、個々の接続部11aは、図1Aに示す破線に沿って一定のピッチで配列している、図1Aには、接続部11aおよびその上に設けられたスパイラル接触子12Aのうちの一部のみ示しているが、実際には前記破線に沿って列を形成するように、接続部11aおよびスパイラル接触子12Aが多数個設けられている。
【0030】
図1Aでは、配列領域のうちの最外周側の配列位置を最外周配列位置R0で示し、その内側の配列位置を第1の配列位置R1、さらにその内側の配列位置を第2の配列位置R2、最も中央部での配列位置を第3の配列位置R3として示している。
【0031】
配列位置R0〜R3に規則的に配列されている個々の接続部11aの上に、スパイラル接触子12Aが導通して設置されている。最外周配列位置R0に位置する個々の接続部11aの上には、突出寸法(図示Z1−Z2方向の寸法)が最も高いh0であるスパイラル接触子12A0が設けられ、第1の配列位置R1の接続部11aの上には、突出寸法がh1であるスパイラル接触子12A1が設けられ、第2の配列位置R2の接続部11aの上には、突出寸法がh2であるスパイラル接触子12A2が設けられ、第3の配列位置R3の接続部11aの上には、突出寸法がh3であるスパイラル接触子12A3が設けられる。
【0032】
本発明では、スパイラル接触子12A0〜A3の突出寸法どうしの関係は、h0>h1>h2>h3となっている。すなわち、基板11の外周側から中央部に向かうにしたがって、スパイラル接触子12Aの突出寸法が低くなっている。
【0033】
スパイラル接触子12Aは、図3に示すように、その外周側にリング状の枠体121を有しており、スパイラル接触子12A2においては、図2に示すように、枠体121の下面(図示Z2方向の面)が基板11の接続部11aに対し導電性接着剤などの接合手段を用いて固定されている。なお、枠体121の大きさは、接続部11aの範囲内に収まるように、接続部11aと同じ大きさか、それよりも僅かに小さな面積で形成されている。スパイラル接触子12A0,12A1および12A3においても同様に、枠体121の下面が基板11の接続部11aに対し導電性接着剤などの接合手段を用いて固定されている。
【0034】
図2および図3に示すように、スパイラル接触子12Aの枠体121にはその内側の一部を基端部122aとし、自由端側の先端が枠体121の中心方向に向かって渦巻き状に延びる弾性部122が一体形成されている。弾性部122の自由端側の先端には、広い面積からなる接点部123が設けられている。そして、スパイラル接触子12Aは接点部123が枠体121から凸状に突出する形状で形成されており、図示Z1−Z2方向に弾性変形することができるようになっている。
【0035】
基端部122aと接点部123との図示Z1−Z2方向の距離をスパイラル接触子12Aの突出寸法をhとする。したがって、スパイラル接触子12A0〜A3のそれぞれの基端部122aと接点部123との図示Z1−Z2方向の距離が、h0,h1,h2,h3である。
【0036】
スパイラル接触子12Aの弾性部122は、基端部122aから接点部123に至るまでの間において同じ断面積、すなわち一定の板厚寸法および一定の幅寸法で形成されている。
【0037】
本発明では、スパイラル接触子12A0〜A3の突出寸法h0〜h3は、微小な差で異なっているが、スパイラル接触子12A0〜A3の基端部122aから接点部123までの弾性部122に沿った距離は同一の一定の距離となっている。このため、高さ寸法に応じて、最大径D0などの寸法が異なる寸法のスパイラル接触子12Aを製造することなく、最大径D0などの寸法が同じ寸法であるスパイラル接触子12Aを用いて、突出寸法が異なるスパイラル接触子12A0〜A3を容易に形成することができる。
【0038】
なお、本発明と異なり、スパイラル接触子12A0〜A3の突出寸法h0〜h3の差が微小ではなく、所定の大きさの突出寸法差であり、そのような突出寸法差を有する複数の突出寸法のスパイラル接触子を形成する場合には、上記と異なり、スパイラル接触子の基端部122aから接点部123までの弾性部122に沿った長さ、スパイラル接触子の最大径D0、あるいは弾性部122の太さなどを、各スパイラル接触子の突出寸法に応じて変化させる必要がある。
【0039】
スパイラル接触子12Aは、図2に示すように、基端部122aを支点として接点部123を含む弾性部122が片持ち支持されている。そして、スパイラル接触子12Aは、上方から押圧されると、弾性部122が収縮する方向(図示Z2方向)に弾性変形させられる。このとき、接点部123側は渦巻きの中心側に位置してほぼ剛体と化しているため、弾性部122は基端部122a側から先に弾性変形させられる。
【0040】
接続装置10には、IC(集積回路)単体またはICがパッケージ内に組み込まれたICユニットなどの電子部品が設置される。この電子部品の底面には、複数の電極部が設けられ、個々の電極部がそれぞれのスパイラル接触子12Aに対向できるように配置されている。
【0041】
電子部品がスパイラル接触子12A上に設置された状態で、個々のスパイラル接触子12Aが弾性変形して、電子部品の電極部とスパイラス接触子12Aとが確実に接触して導通される。電子部品は図示しない保持手段により保持されて、基板11上に電子部品が動くことなく位置決めされて実装される。また、前記保持手段による保持を解除することによって、電子部品を交換することも可能である。
【0042】
電子部品を設置する際に、まず最外周配列位置R0に位置する最も高い突出寸法h0のスパイラル接触子12A0によって電子部品が支えられるため、この状態で電子部品が傾きにくくなり、その後に、第1の配列位置R1に位置する突出寸法がh1であるスパイラル接触子12A1、第2の配列位置R2に位置する突出寸法がh2であるスパイラル接触子12A2に順番に接触し、最後に第3の配列位置R3に位置する突出寸法がh3であるスパイラル接触子12A3に接触する。
【0043】
したがって、電子部品の電極部は、安定して全てのスパイラル接触子に接触できるようになる。
【0044】
なお、最外周配列位置R0に位置する最も突出寸法が高いスパイラル接触子12A0の弾性部122の断面積を他のスパイラル接触子よりも大きくするなどして、スパイラル接触子12A0の圧縮方向での弾性係数を他のスパイラル接触子よりも大きくすることが可能である。このように構成することにより、電子部品が設置されたときに、最初に剛性の高い最外周のスパイラル接触子12A0で支えられてから、それよりも内側のスパイラル接触子に接触するようになり、電子部品の全ての電極部がスパイラル接触子に安定して接触できるようになる。
【0045】
なお、前記実施の形態の変形例として、最外周配列位置R0に位置するスパイラル接触子12A0の突出寸法のみを高くし、それよりも内側に位置する全てのスパイラル接触子をスパイラル接触子12A0よりも低く、且つ全て同じ突出寸法としてもよい。
【0046】
あるいは、四角形に配置されている最外周配列位置R0のうちの4つの角部のそれぞれに位置するスパイラル接触子の突出寸法hのみを最も高くし、それ以外のスパイラル接触子の突出寸法を前記角部のスパイラル接触子の突出寸法よりも低くし、または前記角部に位置するスパイラル接触子の突出寸法と前記角部に位置するスパイラル接触子に近接した数個のスパイラル接触子の突出寸法を最も高くしてもよい。これに加えて、前記角部に位置するスパイラル接触子の弾性係数を他のスパイラル接触子の弾性係数よりも大きくしてもよい。
【0047】
前記いずれかの構成とすることにより、電子部品を最外周のスパイラル接触子12A0または前記4つの角部に位置するスパイラル接触子によって最初に支えられながら他のスパイラル接触子に接触するようになり、安定した接触を実現できる。
【0048】
また、前記のいずれかにおいて、最も突出寸法の高いスパイラル接触子の少なくとも1つをアース用(グラウンド端子)として基準電位とし、他のスパイラル接触子を信号伝達用として使用することが好ましい。電子部品が設置されたときに最初にアース用のスパイラル接触子が、電子部品のグラウンド電極部に接触することにより、基板11の周辺の静電気によってICなどの電子部品に悪影響を及ぼすのを防止できる。
【0049】
次に、前記接続装置10を使用したセンサについて説明する。
図4に示すように、基板11の最外周配列位置R0に設けられた接続部11aは電源装置Eの−側の出力端子(接地端子)に接続されている。すなわち、最も大きい突出寸法h0を有するスパイラル接触子12A0は接地されている。
【0050】
一方、図4および図5に示すように、第1の配列位置R1〜第3の配列位置R3に設けられた個々の接続部11aには所定の抵抗値からなる外付け抵抗rの一端がそれぞれ接続されている。個々の外付け抵抗rの他方の端部は入力ラインLinに接続されており、入力ラインLinを介して電源装置Eの+側の出力端子(+端子)に接続されている。すなわち、入力ラインLinを介して電源電圧Vccを第1の配列位置R1〜第3の配列位置R3に設けられた各接続部11aに印加することができるようになっている。
【0051】
また、第1の配列位置R1〜第3の配列位置R3に設けられた接続部11aからは検出ラインL1out〜L3outがそれぞれ接続されており、各検出ラインL1out〜L3outはコネクタを介して接続装置10の外部に引き出されている。なお、外付け抵抗r、入力ラインLinおよび検出ラインL1out〜L3outは、基板11の下面に設けられており、図示しないスルーホールを介して第1の配列位置R1〜第3の配列位置R3に設けられた接続部11aに接続されている。
【0052】
図5に示すように、検出ラインL1out〜L3outの端部は、例えばマルチプレクサなどの切り換え手段31に入力されており、切り換え手段31を介してA/D変換手段32に接続されている。そして、A/D変換手段32の出力はCPUを主体とする制御部33に入力されている。
【0053】
制御部33は、切り換え手段31を一定の切り換えのタイミング(サンプリング周期)で所定の順番にしたがって切り換えさせる指令を与える。切り換え手段31は検出ラインL1out〜L3outを所定の順番にしたがって一つづつ選択するため、スパイラル接触子12A1〜A3の検出電圧(アナログ量)V1out〜V3outが順次A/D変換手段32に入力される。そして、制御部33は前記所定の変換のタイミング(サンプリング周期)にしたがってA/D変換手段32を駆動する。これにより、スパイラル接触子12A1〜A3の検出電圧(アナログ量)V1out〜V3outがデジタル出力に変換され、変換後のデジタル出力が順次制御部33に与えられる。
【0054】
図4に示すように、基板11の上方には、導電性の導電プレート20が設けられており、この導電プレート20は、図示しない案内機構によって、基板11の上面に対して垂直方向(図示Z1−Z2方向)へ無負荷またはほとんど無負荷で昇降できるようになっている。そして、導電プレート20上に被測定物Wが設置される。
【0055】
このセンサでは、導電プレート20の垂直方向への微小な移動量、またはきわめて小さい、例えばμg単位で相違する、被測定物Wに作用する荷重の測定、または前記荷重別の選別が可能である。
【0056】
導電プレート20が下降すると、導電プレート20が、まず、突出寸法が最も大きいスパイラル接触子12A0に接点部123を介して平面H0の位置で接触する。このとき、スパイラル接触子12A0が接地されているため、導電プレート20もスパイラル接触子12A0を介して接地される。しかし、スパイラル接触子12A1〜12A3とは接触しておらず、離間している。このため、スパイラル接触子12A1〜12A3の検出ラインL1out〜L3outから得られる検出電圧V1out〜V3outは全て電源電圧Vcc(検出電圧(Vcc,Vcc,Vcc))であり、制御部33には検出電圧(Vcc,Vcc,Vcc)がデジタル出力に変換された後の、検出電圧(Vcc,Vcc,Vcc)に相当するデジタル出力が与えられる。以下では、スパイラル接触子12A1〜12A3の検出ラインL1out〜L3outから得られる検出電圧V1out〜V3outを、前記のように検出電圧(V1out,V2out,V3out)として表す。
【0057】
その後、導電プレート20が下降すると、スパイラル接触子12A0が均一に収縮し、導電プレート20が所定の距離s1(=h0−h1)だけ下降すると、図4において(ii)に示すように、導電プレート20がスパイラル接触子12A1と接点部123を介して接触する。このとき、接地された導電プレート20がスパイラル接触子12A1と接触するため、スパイラル接触子12A1の検出ラインL1outから得られる検出電圧V1outは、電源電圧Vccから0へと変化する。そして、導電プレート20は、スパイラル接触子12A2,12A3とは接触していないため、制御部33には検出電圧(0,Vcc,Vcc)に相当するデジタル出力が与えられる。そして、このデジタル出力の変化が制御部33で検知されることによって、導電プレート20が、スパイラル接触子12A1と接触し、基板11の接続部11aの位置を基準として高さh1のところに位置していることが検知される。また、導電プレート20がスパイラル接触子12A1と接触して初めて、検出電圧V1outは電源電圧Vccから0へと変化する。このため、導電プレート20とスパイラル接触子12A0との接触が検知されて、検出電圧V1outが電源電圧Vccから0へと変化する前、すなわち、制御部33に検出電圧(Vcc,Vcc,Vcc)に相当するデジタル出力が与えられているときは、導電プレート20が、基板11の接続部11aの位置を基準として高さh0とh1との間(領域T1)に位置していると判断される。
【0058】
その後、導電プレート20がさらに下降すると、スパイラル接触子12A0および12A1が下方へ収縮し、導電プレート20はスパイラル接触子12A0および12A1と接触した状態で、XY平面(水平面)から傾くことなく、水平姿勢を保った状態で下方へ移動させられる。このとき、制御部33には、継続して検出電圧(0,Vcc,Vcc)に相当するデジタル出力が与えられている。よって、導電プレート20が、基板11の接続部11aの位置を基準として高さh1とh2との間(領域T2)に位置していると判断される。
【0059】
その後、導電プレート20が所定の距離s2(=h1−h2)だけ下方へ移動させられると、図4の(iii)に示すように、導電プレート20が全てのスパイラル接触子12A2と接点部123を介して接触する。このとき、接地された導電プレート20がスパイラル接触子12A2と接触するため、スパイラル接触子12A2の検出ラインL2outから得られる検出電圧V2outは、電源電圧Vccから0へと変化する。そして、導電プレート20はスパイラル接触子12A3とは接触していないため、制御部33には検出電圧(0,0,Vcc)に相当するデジタル出力が与えられる。そして、このデジタル出力の変化が制御部33で検知されることによって、導電プレート20が、スパイラル接触子12A2と接触し、基板11の接続部11aの位置を基準として高さh2のところに位置していることが検知される。
【0060】
その後、導電プレート20が下降すると、上記原理によって、導電プレート20が、基板11の接続部11aの位置を基準として、高さh2とh3との間(領域T3)に位置していること、または高さh3のところに位置していること、および基板11と高さh3のところとの間(領域T4)に位置していることが検知される。
【0061】
本発明では、上記構造および原理によって、導電プレート20の微小な移動量を検出でき、または被測定物Wに作用する、微小に異なる荷重を検出できる。
【0062】
なお、本発明では、スパイラル接触子12A0〜12A3が設けられる配列位置R0〜R3の形状は、図1Aに示すような四角形の形状には限定されず、導電プレート20がXY平面から傾くことなく、水平姿勢を保った状態で接触できれば、同心円状などに配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】本発明の接続装置を示す平面図、
【図1B】図1Aの1−1線での切断断面図、
【図2】基板上の個々のスパイラル接触子を示す図1Bの拡大断面図、
【図3】スパイラル接触子の平面図、
【図4】本発明の接続装置を用いたセンサを示す部分断面図、
【図5】本発明のセンサの回路構成の概略を示す回路図、
【図6】従来のスパイラル状接触子を用いた絶縁基板の断面図
【符号の説明】
【0064】
10 接続装置
11 基板
12A,12A0,12A1,12A2,12A3 スパイラル接触子
20 導電プレート
R0 最外周配列位置
R1 第1の配列位置
R2 第2の配列位置
R3 第3の配列位置
W 被測定物
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の渦巻き状の接触子が設けられた接続装置において、
前記接触子は前記基板からの突出寸法が相違しているものを含んでおり、前記接触子が配列している領域において、前記基板からの突出寸法の高いものが、前記基板からの突出寸法の低いものよりも外側に位置していることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子が、前記領域の最外部に位置している請求項1記載の接続装置。
【請求項3】
前記領域の平面形状が四角形であり、前記四角形の領域の角部に位置している前記接触子の前記基板からの突出寸法が、他の前記接触子の前記基板からの突出寸法よりも高い請求項1記載の接続装置。
【請求項4】
前記領域の外側から内側に向けて、前記接触子の前記基板からの突出寸法が段階的に低く形成されている請求項1記載の接続装置。
【請求項5】
前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子は、前記基板方向へ圧縮するときの弾性係数が他の前記接触子よりも大きい請求項1ないし4のいずれかに記載の接続装置。
【請求項6】
電子部品に設けられた個々の電極部がそれぞれの前記接触子に接続されて導通される請求項1ないし5のいずれかに記載の接続装置。
【請求項7】
前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子がアース用として使用される請求項6記載の接続装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかの接続装置を用い、被測定物がいずれの前記接触子に接触するかを検出することで、前記被測定物の位置の変化または前記被測定物に作用する荷重を測定可能としたことを特徴とするセンサ。
【請求項9】
前記基板からの突出寸法が最も高い前記接触子を基準電位とし、前記基準電位と他の前記接触子との電位差を測定することで、前記被測定物に作用する荷重の検出を可能とした請求項8記載のセンサ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−162571(P2006−162571A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358840(P2004−358840)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】