説明

接続装置

【課題】 携帯端末等の組立て時、あるいは携帯端末やICカード等をクレードルやソケット等へ装着する時に接点部が帯電していると、静電破壊が発生して内部回路の素子を破壊してしまう恐れがある。
【解決手段】 帯電している相手側端子8が嵌合方向へ押下し接点7と接触すると、相手側端子8に帯電している電荷は、接点7から接点バネ2、GNDバネ3、GND端子5を通してGNDプレーン10に流れる。そして、さらに押下すると接点バネ2とGNDバネの接続が断たれ、さらに嵌合すると相手側電極8と内部回路が接点7、接点バネ2、ホット端子4及びホットパターン9を通して接続されるので、静電破壊は発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末等の組立て時、あるいは携帯端末やICカード等をクレードルやソケット等へ装着する時に接点部で発生する静電破壊から内部回路を保護できるようにしたコネクタ等の接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末やICカード等をクレードルやソケット等へ装着する時に接点部で発生する静電破壊から内部回路を保護する方法の一つとして、静電ブラシで静電気を除去したり、ICカードを着脱するときに強制的に携帯端末本体の電源を切ったりする等の仕組みを追加する構成にしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、携帯端末のアンテナ等に発生する静電破壊に関しては、ノッチフィルタやローパスフィルタ、あるいは静電サージ対策回路を挿入して回路的に静電破壊を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、携帯情報端末の拡張スロット内部にデータ通信用接点と充電用接点とを具備し、かつ、そのスロットに対向する関係のコネクタ及び接点を有するクレードルにおいて、携帯情報端末側の接点はユーザーが指で触れない位置に設置し、静電破壊を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−27839号公報
【特許文献2】特開2003−133989号公報
【特許文献3】特開2003−163721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の静電破壊防止のための構造では、例えば、特許文献1記載のものでは、静電ブラシで静電気を除去しているが、接点に帯電していた場合、帯電ブラシを直接接点に当てることが困難である。また、装着時に本体の電源をOFFする構成を追加せねばならず、かつOFFしていても、本体内部の素子破壊等の発生を必ずしも防止できるとは限らない。
【0007】
また、特許文献2記載のものでは、携帯端末のアンテナ等に発生する静電破壊をノッチフィルタやローパスフィルタ、あるいは静電サージ対策回路を挿入して回路的に静電破壊を防止しているが、追加回路のコストUPや、回路追加による高周波特性劣化等の弊害が発生する等の問題点があった。
【0008】
また、特許文献3記載のものでは、携帯情報端末側の接点をユーザーが指で触れない位置に設置して静電破壊を防止しているが、携帯情報端末の小型化には不利である。
【0009】
また、製造時にコネクタ接続を伴う組立て時等にコネクタの接点に帯電していた場合、組立てした瞬間に静電破壊が起こり、製造歩留まりを悪化させる場合がある。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、携帯端末等をクレードルやソケット等へ装着する時に接点部で発生する静電破壊から回路を保護できる接続装置の構造を提供することを目的としている。また、製造時にコネクタ接続を伴う組立て時等の静電破壊による製造歩留まり劣化の防止、並びに電気的対策として保護素子等を追加した場合のコストUPや性能劣化を回避できる接続装置の構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る接続装置は、嵌合により相手側電極と電気的に接続される接点、この接点が固定され、上記相手側電極の嵌合方向に押圧されることにより撓むバネ部材、嵌合前で、上記相手側電極と接点とが接触している状態で上記バネ部材を介して上記相手側電極をGNDに電気的に接続し、嵌合状態で上記バネ部材との電気的接続を断たれるGND線、嵌合状態で上記バネ部材を介して上記相手側電極を内部回路と接続するホット端子からなる構成としたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、接続装置を嵌合する時、嵌合前で、相手側電極と接点とが接触している状態でバネ部材を介して相手側電極をGNDに電気的に接続するように構成しているので、静電破壊による内部回路の素子破壊を防止でき、使用時(指触れや嵌合の瞬間)並びに製造時(組立て時)に機器の故障や製造不具合を防止できる効果がある。また、保護素子等を追加した場合のコストUPや性能劣化を回避できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態1について、図を参照して説明する。
【0014】
図1に実施の形態1に係るコネクタの構成図を示す。
【0015】
樹脂製のハウジング1の内部にバネ部材としての接点バネ2とGNDバネ3を組み込み、接点バネ2が接続されたホット端子4及びGNDバネ3と接続されたGND端子5を有した表面実装コネクタとなっている。6はプリント基板で、コネクタを実装するとともに携帯電話機等の内部回路(図示せず)を実装している。7は接点バネに固定された接点で、ハウジングに形成した小孔1aに臨んでいる。8は嵌合することにより接点7と接続される相手側電極であり、図示しないアンテナが接続されている。
【0016】
即ち、図示のコネクタは、携帯電話機のアンテナを内部回路に接続するコネクタであり、組み付けによりコネクタが嵌合され、相手側電極8が接点7に接続されて、アンテナと内部回路とを電気的に接続するようになっている。
【0017】
相手側電極8と電気的に接続される部分は接点7であり、接点7が物理的に矢印で示す相手側電極8の嵌合方向へ押下される構造になっているため、接点バネ2は相手側電極8の嵌合方向へ撓むようになっている。
【0018】
接点バネ2の一端がホット端子4となっており、ホット端子4はプリント基板6のコネクタに接続したい回路に接続されるホットパターン9に半田付けされる。また、GNDバネ3の一部がGND端子5となっており、GND端子5はプリント基板6上のGNDプレーン10に半田付けされる。
【0019】
図1のコネクタに外圧が加わらない状態では、接点バネ2とGNDバネ3は、接点バネ2の反力によって接触している。従って、ホットパターン9とGNDパターン10は同電位、つまりホットパターンはGND電位となっている。
【0020】
図2及び図3により、図1のコネクタの動作原理を示す。図2のように、コネクタを嵌合する動作を開始すると、まず接続したい相手側電極8が接点7に近づき、接触する。この時、接点バネ2が相手側電極8に押圧される前には接点バネ2とGNDバネ3は物理的に接触したままである。従って、もし相手側電極8が帯電していた場合、帯電している電荷は接点7を通り、接点バネ3、GNDバネ3の経路でインピーダンスの低いGND端子5側からプリント基板6上のGNDプレーン10へ瞬間的に流れる。
【0021】
次に、図3のように、そのままコネクタの嵌合動作を続けると、相手側電極8がさらに押下されて接点バネ2が撓んでいき、接点バネ2とGNDバネ3は物理的に離れて接続が断たれる。従って、相手側電極8は接点2を通り、ホット電極4を通過しプリント基板6上のホットパターン9へ接続される。結果的に相手側電極11とホットパターン9が接続されて、コネクタとして機能する。
【0022】
上記のようにコネクタ嵌合の過程において、図2の状態で静電破壊を引き起こす電荷はGNDプレーン10側へ放電し終わるため、図3の嵌合状態時には、ホットパターン側へ流れない。従って、ホットパターン側に静電耐圧の低い素子が接続されていたとしても、静電破壊に至らない構造となっている。
【0023】
なお、図2、図3での説明では、相手側電極8との嵌合動作時について説明したが、人間の指等、帯電した異物との接触時についても同じ原理で静電破壊を防ぐことが可能である。
【0024】
次に、この発明に係る実施の形態2について、図4を参照して説明する。
【0025】
実施の形態1のコネクタは、バネ性を持つ板金を用いて接点バネ2とGNDバネ3を構成しているが、図4に示した実施の形態2では、接点部11にピン型の金属を用い、コイルスプリング12を使用することにより接触安定性を高めている。
【0026】
図4において、1は樹脂製のハウジング、1aは小孔、4はホット端子、5はGND端子、6はプリント基板、11は接点部、12はコイルスプリング、13は金属性スリーブである。
【0027】
即ち、図示の状態で、接点部11は金属性スリーブ13に接続されている。いま、図示しない相手側電極が嵌合方向(図示の下方向)に押下され、接点部11と接触すると、仮に相手側電極が帯電していた場合、その電荷は、接点部11からインピーダンスの小さい、金属製スリーブ13、GND端子5を通してGNDに流れる。さらに、相手側電極が押圧されて接点部11と金属性スリーブ13の接続が断たれ、嵌合状態になると相手側端子はホット電極4と接続されて、アンテナと内部回路とを接続する。
【0028】
なお、上記実施の形態1及び2では1対のコネクタのみを示しているが、複数のコネクタ対を多段に並べて構成するものとしてもよい。この場合、コネクタ強度向上のためにGNDバネ部はコネクタのフレーム(シャーシ)等と共通化しても良い。
【0029】
また、上記実施の形態では、表面実装型コネクタについて例示したが、表面実装型以外についても応用可能である。
【0030】
また、携帯端末内部のアンテナコネクタ部、プリント基板とプリント基板またはプリント基板と機能モジュールとを接続するコネクタ等にも適用可能であり、その場合には製造時の静電破壊を防止できる。
【0031】
また、携帯端末とクレードルを接続する表面に露出した接点部に適用することにより、人間の手で触れた時の静電破壊に対しても同様の効果を有す。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明の適用例としては、携帯端末と充電台との接点、クレードルとの接点あるいは外部I/Fやメモリカードとのコネクタ接点などがある。また、携帯端末内部のアンテナコネクタ部、プリント基板とプリント基板またはプリント基板と機能モジュールとを接続するコネクタ等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態1における接続装置の構成を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における接続装置の嵌合動作を説明するための断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における接続装置の嵌合動作を説明するための断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2における接続装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ハウジング 2 接点バネ 3 GNDバネ 6 プリント基板 7 接点 8 相手側端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合により相手側電極と電気的に接続される接点、この接点が固定され、上記相手側電極の嵌合方向に押圧されることにより撓むバネ部材、嵌合前で、上記相手側電極と接点とが接触している状態で上記バネ部材を介して上記相手側電極をGNDに電気的に接続し、嵌合状態で上記バネ部材との電気的接続を断たれるGND線、嵌合状態で上記バネ部材を介して上記相手側電極を内部回路と接続するホット端子を備えたことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
相手側電極は帯電した部品が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−12554(P2007−12554A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195026(P2005−195026)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】