説明

接続部、接続部を備えた電子機器、プログラム及び記録媒体

【課題】外部端子の差し込み口を備える電子機器において、直感的に操作しやすいハードウェアインターフェースを提供する。
【解決手段】接続部1は、キャビティ2、ジャック3、スイッチ4の部材から成る。ユーザは接続部1に差し込んだピンプラグ5の筐体外部に露出する部分を操作できる。これにより、キャビティ2とジャック3の隙間に配置されたスイッチ4がジャック3の動きにより押下され、各スイッチに割り当てられた固有の信号がこの接続部1を備えた電子機器に出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に備える外部機器との接続部、及び接続部を備えた電子機器等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるスマートフォンをはじめとする携帯型の情報端末にみられるように、電子機器の操作はボタンを介したハードウェア的なものではなく、タッチパネルを介したソフトウェア的なものが主流になりつつある。こうした流れの中で、機器の外観はシンプルなデザインが追求され、電源スイッチやホームボタンといった必要最小限の機能を担うハードウェアインターフェースを配置しただけの機器が多く、キーの数は減少する傾向にある。
【0003】
ここで、下記の特許文献1には、着信制限機能付き携帯電話端末に関する発明が開示されている。この発明によれば、電話の着信時にイヤホンマイクの接続の有無を判定し、接続されている場合は、着信拒否モードに設定されていてもこれを解除して通話可能にできる。すなわち、外部端子が機器に接続されている場合、ユーザはインターフェースを操作する必要なく、自動的に機器の動作を変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−150939号公報(平成19年6月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、操作に占めるハードウェアインターフェースを使う割合を減らせば、タッチパネルでしか操作できない機能が増加する。すなわち、ユーザは常にディスプレイでインターフェースを視認する必要があるため、携帯端末をポケットや鞄の中に入れたまま手探りで操作することはできない。したがって、携帯端末で音楽を聴いている最中に、前後の音楽を再生したり、音量を調節したりするといった簡単な操作を行いたいだけの場合であっても、ユーザはディスプレイを見ながらの操作を強いられる。
【0006】
また、タッチパネル入力を行う装置では、タッチ操作が行われたことを示す音を出力したり、タッチを検出した位置の色や輝度を変化させたりすることによって、タッチ操作を認識した位置をユーザにフィードバックする。しかし、このようなフィードバックは、ハードウェアキーによる操作を行う場合と比べてユーザへのフィードバックが弱い。
【0007】
一方で、携帯型の音楽プレーヤーのイヤホンには、ケーブル部分に簡単な操作を行えるハードウェアキーを設けているものがある。しかし、新たに設けたハードウェアキー部分が使用する上で邪魔になる場合がある。また、ボタンが増えることにより操作が複雑になりがちで、操作性に問題が生じる場合もある。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の先行発明は、イヤホンマイクが接続されている場合に、電話の着信が制限される状況で着信したときの自動処理を規定したに過ぎない。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部端子の差し込み口を備える電子機器において、直感的に操作しやすいハードウェアインターフェースを実現する接続部、及び接続部を備えた電子機器等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の接続部は、外部端子の差し込み口として電子機器に設けられる接続部であって、前記外部端子と電気的に接続するジャックを備え、前記ジャックは、前記電子機器の筐体に設けられた凹部であり、前記外部端子が差し込まれる開口を前記電子機器の筐体外部に向けて有するキャビティ内に、該ジャックに挿入された前記外部端子を介して姿勢を制御可能に設けられており、前記ジャックおよび前記キャビティの少なくとも一方に、該ジャックの前記キャビティ内における姿勢を検出可能なスイッチを備えることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、ユーザが上記接続部に外部機器の外部端子を接続し、これを前後左右に傾ける、手前に抜く/奥へ押し込む、あるいはこれらを複合させた動作を行うことで、キャビティおよび/あるいはジャックに設けられたスイッチが動作する。各スイッチが動作することで、ジャックのキャビティ内における姿勢が検出できる。例えば、スイッチが押下されることにより予め割り当てられた各固有の信号を出力するようにしてもよい。したがって、本発明の接続部を備えた電子機器は、スイッチによってジャックのキャビティ内における姿勢を検出することで、ユーザの操作内容を識別できる。すなわち、本発明は、もともと存在する外部機器の接続インターフェースに入力インターフェースとしての機能を持たせるものである。
【0012】
したがって、本発明によれば、電子機器のデザインを損なわずに操作性の高いハードウェアインターフェースを提供できる。これにより、例えば音量を調節するなどの簡単な操作は、指先への操作フィードバックによりディスプレイ画面を見ることなく操作できる。
【0013】
また、前記接続部は、前記キャビティの前記外部端子の挿入方向に沿った断面が、前記開口側の上辺が前記開口と対向する側の下辺よりも長いことが望ましい。
【0014】
ここで、前記スイッチが適切に動作するのであれば、前記断面の形状は限定されず、任意の形状で設計可能である。しかし、例えば前記上辺が前記下辺よりも短ければ、前記外部端子の挿入が困難となり、外部端子の可動範囲も限定される。また、外部端子と前記ジャックとの接触が悪くなり、電気的な接続に問題を生じる可能性がある。
【0015】
したがって、前記断面が上記のようであることが望ましい。これにより、上記の問題を回避しつつユーザに簡便なハードウェアインターフェースを提供できる。
【0016】
また、前記接続部は、前記スイッチが、前記キャビティと前記ジャックとの間の圧力の変化を検出するセンサであってもよい。
【0017】
前記センサは、例えば、前記キャビティと前記ジャックとの間に圧力が加わることで変化する内部抵抗の値を、センサ外部へ出力するものである。この圧力センサを前記ジャックの前記キャビティ内における姿勢を検出可能なように備えておくことができる。この構成によれば、多段階に計測される圧力センサの出力に対応した複雑な動作を定義することができるため、より高度で柔軟な操作性をユーザに提供できる。
【0018】
また、前記接続部は、前記ジャックの前記外部端子が挿入される凹部の形状が、オーディオ用端子の規格に準拠していることが望ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記接続部にオーディオ用端子を接続することができる。ユーザは、上記接続部を備える電子機器を使用して音楽を聴く場合等に、ジャックに差し込んだオーディオ用プラグの筐体外部に露出する部分を、例えば、前後左右に傾ける、手前に抜く/奥へ押し込む、あるいはこれらを複合させて動かすことで操作できる。
【0020】
これにより、キャビティおよび/あるいはジャックに配置されたスイッチがジャックの動きにより動作し、スイッチから固有の出力信号がこの接続部を備えた電子機器に出力されるため、本発明の接続部を備えた電子機器はこの出力信号を受信することによりユーザからの操作内容を識別できる。
【0021】
したがって、例えば、ユーザは音楽の再生・停止、音楽の選択、音量の調節、音楽の早送り・巻き戻しといった操作を、ジャックに接続された外部機器の外部端子を操作することで簡単に行うことができる。
【0022】
また、本発明の電子機器は、上記接続部を備えることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の電子機器の制御方法は、上記接続部を備える電子機器の制御方法であって、前記外部端子が前記ジャックに接続されると、前記ジャックへの出力を変化させる出力制御ステップを含むことを特徴としている。
【0024】
電子機器が前記接続部を備えることにより、新たなキーを追加する必要がなく、それゆえ機器のデザインを損なうことなく、操作性の高いハードウェアインターフェースを持つ電子機器を提供できる。
【0025】
また、前記電子機器は、前記スイッチの出力信号に応じて前記ジャックへの出力を変化させる音声出力制御手段をさらに備えることが望ましい。
【0026】
上記の構成によれば、スイッチの出力信号に基づいてジャックへの出力が変化するため、ユーザは、例えば音量調節や音楽の早送り/巻き戻しなどの操作を、ジャックに接続された外部機器の外部端子を操作することで行える。
【0027】
また、前記電子機器は、前記スイッチの出力信号に基づいて、操作画面をユーザへ提示する表示出力部をさらに備えることが望ましい。
【0028】
上記の構成によれば、スイッチの出力信号に基づいて操作画面が変化するため、ユーザは、例えば音楽の選択や起動したいアプリケーションの選択などの操作を、ジャックに接続された外部機器の外部端子を操作することで行えることを視覚を通じて直感的に理解できる。
【0029】
また、前記電子機器は、前記ジャックに前記外部端子が挿入されているときは、前記外部端子を動かすことにより前記電子機器を操作可能であることを示す前記操作画面を前記表示出力部に表示する表示出力制御手段を備えることが望ましい。
【0030】
上記の構成によれば、前記ジャックに前記外部端子が挿入されているときに、前記外部端子を動かすことにより前記電子機器を操作可能であることを、前記操作画面として表示することができる。そのため、ユーザは外部端子を動かすことで前記電子機器の操作が行えるか否かを視覚を通じて直感的に理解できる。さらに、前記ジャックに前記外部端子が挿入されているときといないときとで操作画面が変化するようにできるため、操作方法が変化したことをユーザへ明確に提示できる。
【0031】
また、前記電子機器において、前記表示出力制御手段は、前記操作画面における操作方向が前記ジャックに挿入された前記外部端子の傾倒方向に対応づけられた前記操作画面を前記表示出力部に表示することが望ましい。
【0032】
上記の構成によれば、操作画面において、ユーザがアイコンやカーソル等を操作する操作方向と、ジャックに挿入された外部端子の傾倒方向とが対応づけられているため、ユーザは外部端子を動かすことで、操作画面においてアイコンやカーソル等を操作して、所望の処理を行うことができる。例えば、操作画面の上方向に音声を大きくする処理が割り当てられていると、ユーザはジャックに挿入された外部端子を操作画面の上方向に対応付けられた方向に倒すことで、音声を大きくすることができる。また、操作画面の右側に所望のアイコンが表示されていると、ユーザはジャックに挿入された外部端子を操作画面の右方向に倒すことで、所望のアイコンを選択することができる。
【0033】
また、前記電子機器は、前記スイッチが、前記キャビティと前記ジャックとの間の圧力の変化を検出するセンサである前記接続部を備え、前記センサは検出した圧力に対応して多段階の信号を出力するものであり、前記センサが出力する信号の段階に対応する機能を実行する出力制御手段を備えることが望ましい。
【0034】
上記の構成によれば、前記センサの測定値に対応して多段階に前記電子機器の機能を割り当てられるため、微妙で繊細な操作性を実現できる。
【0035】
なお、前記電子機器は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記電子機器の各手段として動作させることにより、前記電子機器をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明の接続部は、外部端子と電気的に接続するジャックを備え、前記ジャックは、電子機器の筐体に設けられた凹部であり、外部端子が差し込まれる開口を前記電子機器の筐体外部に向けて有するキャビティ内に、該ジャックに挿入された前記外部端子を介して姿勢を制御可能に設けられており、前記ジャックおよび前記キャビティの少なくとも一方に、該ジャックの前記キャビティ内における姿勢を検出可能なスイッチを備える構成である。
【0037】
また、本発明の電子機器は、上記接続部を備えることを特徴としている。
【0038】
また、本発明の電子機器の制御方法は、上記接続部を備える電子機器の制御方法であって、前記外部端子が前記ジャックに接続されると、前記ジャックへの出力を変化させる出力制御ステップを含むことを特徴としている。
【0039】
したがって、新たなキーを追加する必要がなく、それゆえ機器のデザインを損なうことなく、操作性の高いハードウェアインターフェースを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態における具体的な形状を示す図であり、(a)は接続部にピンプラグが挿入されていない場合における断面図、(b)は接続部にピンプラグが挿入されている場合の断面図、および(c)は接続部にピンプラグが挿入されている場合の斜視図である。
【図2】(a)は上記ジャックに差し込んだピンプラグが垂直であることにより、いずれのスイッチも押下されていない様子を表した断面図、(b)は上記ジャックに差し込んだピンプラグを傾けることにより、スイッチが押下される様子を表した断面図、および(c)は上記キャビティの形状を規定する直角三角形と、その斜辺と底辺とのなす角を表した図である。
【図3】上記接続部を搭載した2種類の携帯情報端末の外観を表す図であり、(a)はその正面図、(b)はその斜視図である。
【図4】上記携帯情報端末の要部構成を表すブロック図である。
【図5】上記携帯情報端末における、音楽選択を行う場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】上記情報携帯端末でオーディオソフトを起動させたときに表示される画面の例であり、(a)は接続部にピンプラグが挿入されていない場合の画面例、および(b)は接続部にピンプラグが挿入されている場合の画面例である。
【図7】上記情報携帯端末で通話ソフトを起動させたときに表示される画面の例であり、(a)は接続部にピンプラグが挿入されていない場合の画面例、および(b)は接続部にピンプラグが挿入されている場合の画面例である。
【図8】上記情報携帯端末の待ち受け画面の例であり、(a)は接続部にピンプラグが挿入されていない場合の画面例、および(b)は接続部にピンプラグが挿入されている場合の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0042】
〔概要〕
図1は、本実施の形態に係る具体的な形状を示し、(a)は接続部1にピンプラグ5が挿入されていない場合における断面図、(b)は接続部1にピンプラグ5が挿入されている場合の断面図、および(c)は接続部1にピンプラグ5が挿入されている場合の斜視図である。
【0043】
接続部1は、図1(a)に示すように、キャビティ2、ジャック3、スイッチ4から成る。ここで、図1に示す通り、ジャック3とはキャビティ2に嵌合された状態でピンプラグ5(外部端子)と接触する部品をいう。また、キャビティ2とは電子機器の筐体に開けられた凹部である(図3参照)。
【0044】
従来は、ジャックとキャビティは同一の形状に設計され、ジャックがキャビティ内に埋め込まれた状態で固定されていた。しかし、本実施の形態に係るキャビティ2は、図1に示すようにジャック3と異なる形状であり、これが嵌められても両者の間には隙間が生じる。
【0045】
そして、ジャック3がキャビティ2から外へ飛び出さないよう、例えばキャビティ2の開口付近に開口を狭めるような係止部を設けるだけで両者を固定しないため、ユーザは接続部1のジャック3に差し込んだピンプラグ5の筐体外部に露出する部分を、前後左右に傾ける、手前に抜く/奥へ押し込む、あるいはこれらを複合させて動かすことで操作できる。これにより、キャビティ2とジャック3の隙間に配置されたスイッチ4がジャック3の動きにより押下され、各スイッチに割り当てられた固有の信号がこの接続部1を備えた電子機器に出力される。図2(a)は、ジャック3に差し込んだピンプラグ5が垂直であることにより、いずれのスイッチ4も押下されていない状態、および同図(b)は、この状態からユーザがピンプラグ5を傾けることにより、右側のスイッチ4が押下される様子を表したものである。
【0046】
すなわち、本実施の形態に係る接続部1により、ジャック3に差し込まれたピンプラグ5が電子機器との接続インターフェースとしての役割を担うだけでなく、電子機器の入力インターフェースとしての役割も担う。これにより、電子機器のシンプルなデザインを損なうことも使い勝手を悪化させることもなく、操作性の高いハードウェアインターフェースを提供できる。
【0047】
電子機器に外部機器を接続するためのインターフェースには様々な規格があるところ、ジャック3の内部の形状が当該規格に適合していれば、どのような接続規格に対しても本発明を適用できる。しかし、本発明の接続部は、携帯型電子機器のハードウェアインターフェースを減らすことで操作性が悪化するという課題を解決できる点に意義がある。
【0048】
そこで、以下ではいわゆるスマートフォンなどの通話機能を有する携帯情報端末にオーディオ用のピンプラグを差し込み、イヤホンを使って音楽を聴く状況を想定し、その具体的な実施の形態を説明する。
【0049】
〔接続部の形状〕
(外観)
図3(a)は、本実施の形態に係る携帯情報端末(電子機器)100の外観例を2つ表したものである。携帯情報端末100は、出力部(表示出力部)50、キー入力部6、音声入力部7、および本実施の形態に係る接続部1から構成される。携帯情報端末100aと携帯情報端末100bの違いは、キー入力部6の有無である。携帯情報端末100aでは出力部50はタッチパネルとしてユーザの入力を受け付けるが、携帯情報端末100bではキー入力部6によって入力を受け付けることができるため、タッチパネルである必要はない。
【0050】
図3(b)は、携帯情報端末100aの斜視図である。図示の通り、本実施の形態に係る接続部1は携帯情報端末100の上辺部に配置されているが、位置はこれに限られず、設計の都合に合わせて携帯情報端末100における任意の位置に配置可能である。例えば、筐体の側面部に配置してもよいし、背面部に配置してもよい。
【0051】
(キャビティ2)
再度、図1および図2を参照して説明する。図1(a)に示すように、本実施の形態に係るキャビティ2は、その断面が、上辺(開口側)が下辺(底部側)よりも長い略台形となる形状である。そして、図2(b)、(c)に示すように、当該台形の高さを底辺とし、上辺と下辺の差分の2分の1を高さとする三角形において、その斜辺と前記底辺とのなす角θが所定の範囲となるように設定されている。
【0052】
ここで、スイッチ4が適切に押下されるのであれば、θはこの範囲に限られず、任意の角度で設計可能である。しかし、θが大きすぎてジャック3のあそびが大きすぎると、キャビティ2とジャック3の隙間に異物が入りやすくなることにより、故障の可能性が高まるという問題が生じる。逆に、θが小さすぎてジャック3のあそびが小さすぎると、誤動作が頻発するおそれが大きいだけでなく、ハードウェアインターフェースとしてユーザへ与えるフィードバックが弱くなるという問題が起こる。
【0053】
そこで、本実施の形態では、なす角θは2.8度から3.2度の間の値をとるものとする。これにより、故障や誤動作のおそれを低減させつつ、ユーザに簡便なハードウェアインターフェースを提供できる。ただし、スイッチ4のストロークなどに依存して最適角は変化するため、θのとり得る範囲は上記範囲に限定されない。すなわち、通常のイヤホンジャックの使用において悪影響の出ない角度に抑えていれば、2.8度から3.2度に限るものではない。
【0054】
また、キャビティ2の断面は台形でなくともよい。すなわち、後述するように、ジャック3の外部形状は任意に設計可能であるため、これとの兼ね合いにより不都合がなければ、どのような断面形状であってもよい。
【0055】
(ジャック3)
ピンプラグ5と接触するジャック3の内部形状は、オーディオ用のピンプラグ5を適切に抜き差しできるようオーディオ用端子の規格に準拠したものでなければならない。一方、キャビティ2と接触するジャック3の外部形状は、図2(c)に示す斜視図では直方体であるが、これに限られず適宜形状の変更が可能である。すなわち、ユーザがピンプラグ5を動かすことで、ジャック3によって少なくとも1つのスイッチ4が押下される形状でありさえすればよい。
【0056】
ピンプラグ5がジャック3に接触しており、ジャック3はフレキシブルプリント基板によって、後述する携帯情報端末100の制御部20(図4参照)と接続されている。これにより、携帯情報端末100で再生される音声が、ジャック3およびピンプラグ5を介してイヤホン部30(図4参照)に出力される。ただし、ジャック3と制御部20とが通信可能なように接続されていればよく、上記接続方法に限定されない。
【0057】
(スイッチ4)
本実施の形態では、キャビティ2とジャック3の隙間に少なくとも1つのスイッチ4が配置されている。スイッチ4は、ジャック3がキャビティ2の内部でいずれの方向にも傾いていない場合は押下されないが、ユーザがピンプラグ5を前後左右に動かすことでジャック3がいずれかの方向へ傾けば、ジャック3の外壁面によって押下される。なお、ここではジャック3の外部形状が直方体であるため、ピンプラグ5の動作の自由度は、図1(c)の斜視図とともに示す方位(矢印)の通りである。
【0058】
(ピンプラグ5)
ジャック3の内部形状がオーディオプラグの規格に準拠した形状であるため、ピンプラグ5は一般的に使用されているオーディオ用のプラグでよい。オーディオプラグ以外の形態で本発明を実施する場合も、当該規格に適合した汎用品でよい。例えば、USBの接続部に適用する場合においても、一般のUSB端子を接続できる。
【0059】
〔携帯情報端末の構成〕
図4は、本実施の形態に係る携帯情報端末100の構成を示すブロック図である。携帯情報端末100は、接続部1、制御部20、イヤホン部30、出力部50、記憶部60、および動作抑制部70を備えている。また、接続部1は4つのスイッチ41〜スイッチ44を備え、制御部20は音声選択部21と出力制御部(音声出力制御手段、表示出力制御手段、出力制御手段)22を含む。
【0060】
なお、携帯情報端末100は、通話機能を有するものを想定しているが、本発明に直接関係のない部分、例えば通話機能を実現する部分や、図3(a)で例示したキー入力部および音声入力部7などの構成および説明は省略する。
【0061】
(接続部1とスイッチ41〜44)
接続部1は、図1に示した接続インターフェースである。接続部1はスイッチ41〜44を含んでおり、ユーザが接続部1に差し込んだオーディオプラグ(ピンプラグ5、外部端子)を動かすことにより、これらスイッチ41〜44のうち少なくとも1つが押下される。その結果、各スイッチ41〜44に予め割り当てられた固有の信号が制御部20へ出力される。
【0062】
なお、図4ではスイッチを4つ示したが、スイッチの数は4つに限られない。1つだけであってもよいし、キャビティ2とジャック3の形状や隙間が許す限り多くのスイッチを配置してもよい。
【0063】
また、スイッチ41〜44は、物理的に押下されることにより信号を出力するようなスイッチでなくともよい。例えば、キャビティ2とジャック3との間に圧力が加わることで変化する内部抵抗の値を、後述する制御部20(図4参照)へ出力するセンサをジャック3のキャビティ2内における姿勢を検出可能なように備えておくことができる。
【0064】
(音声選択部21)
音声選択部21は、上記スイッチ41〜44からの入力信号に基づいて記憶部60に保存されている音声データを読み込み、これを出力制御部22へ出力する。
【0065】
(出力制御部22)
出力制御部22は、接続部1および出力部50への出力制御を行うものである。本実施の形態では、出力制御部(音声出力制御手段)22は、音声選択部21から受け取った音声データを復号する等の処理を行った上で、当該音声を接続部1からイヤホン部30へ出力する。なお、接続部1にイヤホン部30等の音声出力装置が接続されていない場合(イヤホン部30が構成に含まれない場合)、出力制御部22は出力部3へ当該音声を出力する。
【0066】
(イヤホン部30)
イヤホン部30は、出力制御部22から接続部1を介して出力される音声データを、実際の音声として出力する。イヤホン部30はイヤホンに限られず、ヘッドホンなど、ユーザが音声を聴くことのできる音声出力装置であれば何でもよい。また、接続部1に操作可能なピンプラグ5が接続されてさえいれば、これとイヤホン部30とは有線接続されていなくともよい。例えば、Bluetooth(登録商標)による無線通信で接続することができる。
【0067】
(出力部50)
出力部50は、出力制御部22の制御にしたがって動作する出力装置であり、例えばタッチパネルを備えた液晶ディスプレイで構成できる。また、出力部50は、接続部1にオーディオプラグ(ピンプラグ5、外部端子)が接続されていない場合に、音声を出力するスピーカとして構成されていてもよい。また、本実施の形態では携帯情報端末を想定しているため、出力部50が携帯情報端末100と一体である構成として図示しているが、出力部50は、有線または無線で携帯情報端末100と通信可能に接続された外部出力装置として実現されてもよい。
【0068】
(記憶部60)
記憶部60は、音声データを保存するための記憶域であり、不揮発性の記憶装置、例えば半導体メモリやハードディスク等で構成できる。また、本実施の形態では携帯情報端末を想定しているため、記憶部60が携帯情報端末100の内部に含まれる構成として図示しているが、記憶部60は、有線または無線で携帯情報端末100と通信可能に接続された外部記憶装置として実現されてもよい。
【0069】
(動作抑制部70)
動作抑制部70は、接続部1からの入力操作を抑制するものである。すなわち、携帯情報端末100をポケットの中に入れて使用する場合等の誤動作を防止するため、所定の条件を満たす場合に制御部20が接続部1からの入力を無視できるように、制御部20へその条件判定の結果を出力する。
【0070】
この機能は、携帯情報端末100の筐体にスイッチを設け、これのオン/オフ切り替えにより実現できる。この場合、動作抑制部70はいずれの側にスイッチが入れられているかを確認することで、抑制機能のオン/オフを判定できる。あるいは、この機能は、タッチパネルから動作を抑制する入力操作を行うことによっても実現できる。この場合、前記入力操作があるたびに、動作抑制部70がその内部に備えられた1ビットの情報を保持できるメモリ(図示せず)にオン/オフを書き換えるよう構成すれば、動作抑制部70はこれを参照することで抑制機能のオン/オフを判定できる。
【0071】
〔音楽の選択を行う場合の処理〕
図5は、携帯情報端末100が音楽を再生している最中に、ユーザがピンプラグ5により接続部1を操作して音楽の選択や音量の調節を行う場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【0072】
ユーザがピンプラグ5を左へ倒すことによりスイッチ41が押下されると、スイッチ41は予め割り当てられた固有の信号を制御部20へ出力する(S101)。制御部20は、スイッチ41から信号の入力を受けると(S101でYES)、動作抑制部70に動作抑制の判定結果を求める。
【0073】
動作抑制部70は、先に例示した方法に基づいて現在の動作抑制のオン/オフを判定し、その結果を制御部20へ出力する(S102)。制御部20は、現在スイッチ入力が抑制されているとの判定結果を動作抑制部70から受け取った場合(S102でYES)、何もせずに待機状態(現在再生中の音楽を再生したままの状態)へ戻る。
【0074】
一方、抑制されていないとの判定結果を受け取った場合(S102でNO)、制御部20は、各スイッチに予め割り当てられた固有の信号により所定の処理を実行する。この説明では、ピンプラグ5を左へ倒すことによりスイッチ41が押下された場合を想定しているため、処理はS103aへ進む。
【0075】
すなわち、音声選択部21が、現在再生されている音楽の1つ前に再生されていた音楽に対応する音声データを記憶部60から読み出し、そのデータを出力制御部22へ出力する。そして、出力制御部22が音声データを復号する等の処理を行った上で、当該音声を接続部1からイヤホン部30へ出力することで再生する(S104)。
【0076】
また、ユーザがピンプラグ5を右へ倒すことによりスイッチ42が押下された場合も、同様の処理を行う(S101、S102)。すなわち、S102の分岐からS103bへ処理が進み、音声選択部21が、現在再生されている音楽の1つ次に再生される音楽に対応する音声データを記憶部60から読み出し、そのデータを出力制御部22へ出力する。後の処理も上述と同様である(S104)。
【0077】
〔音量の調節を行う場合の処理〕
また、ユーザがピンプラグ5を前へ倒すことによりスイッチ43が押下されると、スイッチ43は予め割り当てられた固有の信号を制御部20へ出力する(S101)。前述と同様にS102の処理を行い、処理はS103cへ進む。すなわち、出力制御部22が現在再生されている音声の音量を、所定量だけ下げる調節を行う。
【0078】
同様に、ユーザがピンプラグ5を後へ倒すことによりスイッチ44が押下されると、S101、S102の処理を経てS103dへ進む。すなわち、出力制御部22が現在再生されている音声の音量を、所定量だけ上げる調節を行う。
【0079】
なお、ユーザがねじを回すようにピンプラグ5を回転させることで音量調節を行うよう構成することもできる。すなわち、例えばキャビティ2の内壁形状およびジャック3の外部形状を円筒形にし、各スイッチが回転方向の順番に信号を出力すれば、制御部20はスイッチからの信号入力の順序によりピンプラグ5が時計回りで、または反時計回りで回転していることが判定できる。出力制御部22は、入力を受けた信号系列の長さに応じて現在再生されている音声の音量を調節するようにできる。
【0080】
〔その他実施の変形例〕
(音楽の早送り・巻き戻し)
さらに、携帯情報端末100が音楽を再生している最中に、ユーザがピンプラグ5を左へ倒し続けることにより、スイッチ41が押下され続けた場合、再生中の音楽を巻き戻すよう構成することもできる。逆に、ユーザがピンプラグ5を右へ倒し続けることにより、スイッチ42が押下され続けた場合、再生中の音楽を早送りするよう構成することもできる。
【0081】
この機能を実現するためには、まずスイッチ41/42の長押し状態を検出し、上記の音楽選択の操作と区別する必要がある。これは、制御部20が当該スイッチから入力された信号の持続時間を監視し、これで場合分けを行うことにより区別できる。そして、スイッチ41/42が長押しされていることが検出されれば、出力制御部(音声出力制御手段)22が再生中の音楽を早送り/巻き戻しするよう当該音声データの出力処理を行えばよい。
【0082】
(音楽の再生・停止)
キャビティ2の底部とジャック3の底面の間にスイッチ45(図示せず)を追加し、ユーザがピンプラグ5を押し込むことによりスイッチ45が押下されるようにもできる。これにより、出力制御部(音声出力制御手段)22がスイッチ45からの信号を受け取ると、ユーザが携帯情報端末100で音楽を再生中であるときは音楽の再生を停止するようにでき、停止中であるときは音楽の再生を開始するようにできる。
【0083】
(通話中の受話音量の調節)
ユーザがピンプラグ5により接続部1を操作して音量の調節を行うことができるのは、音楽を聴いている場合に限られない。例えば、通話中に受話音量を調節したい場合が考えられる。この場合も、ユーザは同様の操作により音量の調節を行うことができ、出力制御部(音声出力制御手段)22が行う処理も前述と同様である。
【0084】
(端子接続による表示画面の変化)
ピンプラグ5により操作可能になったことをユーザへ明示するため、接続部1へピンプラグ5が接続されたときは、出力制御部(表示出力制御手段)22が出力部(表示出力部)50に表示する内容を変化させてもよい。
【0085】
ここで、ユーザが情報携帯端末100で音楽を聴く場合において、図6(a)はピンプラグ5を接続せずにオーディオソフトを起動させたときに出力部50に表示される画面、同図(b)はピンプラグ5を接続したときに表示される画面の例を示す。図6(b)では、画面上にスティック81が表示され、これとピンプラグ5が対応する。これにより、ユーザはピンプラグ5を前後左右に傾けることでスティック81が前後左右に移動して表示されるため、音楽の選択と音量調節が行えることを視覚を通じて直感的に理解できる。
【0086】
また、ユーザが情報携帯端末100で通話する場合において、図7(a)はピンプラグ5を接続せずに通話ソフトを起動させたときに出力部50に表示される画面、同図(b)はピンプラグ5を接続したときに表示される画面の例を示す。図6(b)と同様に、図7(b)でも画面上にスティック82が表示さることにより、ユーザはピンプラグ5を前後に傾けることでスティック82が前後左右に移動して表示されるため、音量調節が行えること理解できる。
【0087】
さらに、接続部1へのピンプラグ5接続の有無によって、出力制御部22が情報携帯端末100の待ち受け画面を変化させてもよい。図8(a)はピンプラグ5を接続していない状態で出力部50に表示される待ち受け画面、同図(b)はピンプラグ5を接続したときに表示される待ち受け画面の例を示す。図6(b)、図7(b)と同様に、画面上にスティック83が表示され、ユーザはピンプラグ5を前後左右に傾けることでスティック83がその方向に移動して表示され、その方向に対応するアプリケーションを起動できることが、視覚を通じて直感的に理解できる。
【0088】
(スタイラス等の挿入)
本発明の接続部は、ジャックの動きでスイッチが押下されることにより、各スイッチの識別可能な信号が電子機器へ出力される。したがって、ジャックに挿入されるものは、何らかの規格に準拠した端子である必要はない。すなわち、本実施の形態においては携帯情報端末100にオーディオ用のプラグを差し込む場合について説明したが、これに限られず、ジャックを動かせるものであれば何を挿入してもよい。
【0089】
例えば、本実施の形態における出力部50を構成するタッチパネル式のディスプレイを操作するために、携帯情報端末100にスタイラス(図示せず)を付属する場合、これを接続部1へ挿入して操作することもできる。または、接続部1の穴(凹部)を塞ぐための蓋に、指で操作できる突起がついたものを用いて操作することもできる。
【0090】
(圧力変化に基づく誤動作の防止)
前述したように、圧力センサをジャック3のキャビティ2内における姿勢を検出可能なように備える構成とした場合は、圧力の変化量を制御のための情報に加えることで、誤動作を防止することができる。
【0091】
例えば、携帯情報端末100を鞄の中に入れている状況において、持ち運びの振動でジャック3が動かされれば、一瞬の間に生じる急激な圧力変化を検出できる。ユーザが操作入力を行う通常の使用においてはこのような変化は検出されないため、こうした変化が検出されたときはユーザによる使用ではないとみなして動作を抑制することができる。具体的には、単位時間あたりの圧力の変化量に対して予めしきい値を設定しておき、これを超える変化量が検出されたときは操作を行わないようにすればよい。
【0092】
(操作速度の段階的調節)
同様に、圧力センサをジャック3のキャビティ2内における姿勢を検出可能なように備える構成とした場合は、圧力センサの計測値の大きさまたは絶対値に比例する制御を行える。
【0093】
例えば、携帯情報端末100が音楽を再生している最中に、ユーザがピンプラグ5を一方へ倒し続けることにより圧力が検出され続けた場合、ユーザが軽く力を加えることにより、小さな圧力が継続して検出されたときは音楽を低速で早送り/巻き戻しすることが考えられる。逆に、ユーザが強く力を加えることにより、大きな圧力が継続して検出されたときは音楽を高速で早送り/巻き戻しすることも考えられる。
【0094】
あるいは、ユーザが携帯情報端末100でウェブページを閲覧しているときに、ピンプラグ5を一方の方向へ倒し続けることにより圧力が検出され続けた場合、ユーザが軽く力を加えることにより、小さな圧力が継続して検出されたときはウェブページがゆっくりスクロールするように制御することが考えられる。逆に、ユーザが強く力を加えることにより、大きな圧力が継続して検出されたときはウェブページが早くスクロールするように制御することが考えられる。さらに、より大きな圧力が検出されたときは、ウェブページの最上部/最下部へジャンプするといった特殊な制御を行うことも考えられる。
【0095】
このように、圧力センサを用いた場合はその測定値に対応して多段階に機能を割り当てられるため、微妙で繊細な操作性を実現する様々な変形例が考えられる。
【0096】
(その他アプリケーションの操作)
上述したオーディオソフト、通話ソフトに限らず、携帯情報端末100で起動するアプリケーションに応じて、制御部20が各スイッチからの信号を受け取った後の処理を適宜設計できる。例えば、メールソフトでの文字入力や送受信操作、電子地図における表示位置や縮尺の変更、ゲームソフトでのキャラクターの操作など、各操作に割り当てる機能については多彩な変形例が考えられる。
【0097】
そして、携帯情報端末100では、起動するアプリケーションに応じて、ユーザがピンプラグ5を介して行った接続部1への操作に対応する処理を、出力制御部22が実行し、イヤホン部30およびディスプレイあるいはスピーカ等の出力部50から出力する。例えば、音声を処理するアプリケーションの場合には、ユーザがピンプラグ5を介して行った接続部1への操作に応じて、出力制御部22が音声処理を行って、イヤホン部30あるいはスピーカ等(出力部50)から出力する。また、画像やテキスト等の画面表示を処理するアプリケーションの場合には、ユーザがピンプラグ5を介して行った接続部1への操作に応じて、出力制御部22が表示処理を行って、ディスプレイ等(出力部50)に出力する。もちろん、アプリケーションの種類によらず、ディスプレイ等(出力部50)に表示する操作画面は、ユーザがピンプラグ5を介して行った接続部1への操作に応じて、出力制御部22が表示処理を行う。
【0098】
〔接続部1と携帯情報端末100の効果〕
携帯情報端末100に接続部1を設けることにより、新たなハードウェアキーを追加する必要がなく、それゆえ電子機器のデザインを損なわずに操作性の高いハードウェアインターフェースを提供できる。また、指先への操作フィードバックによりディスプレイ画面を見ることなく操作できるため、例えば携帯情報端末100を握った手をポケットに入れたまま、親指で音楽選択や音量調節を行うなど、手軽な操作が可能になる。
【0099】
さらに、スイッチ4から制御部20へ出力される信号にアプリケーションに応じて適当な機能を割り付けることにより、携帯情報端末100に多彩な操作性を持たせることができる。
【0100】
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、携帯情報端末100の各ブロック、特に制御部20は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0101】
後者の場合、携帯情報端末100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯情報端末100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記携帯情報端末100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0102】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0103】
また、携帯情報端末100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、ジャックの動きでスイッチが押下されることにより、各スイッチの識別可能な信号が電子機器へ出力される接続部であるため、携帯電話やスマートフォン等のような携帯情報端末だけでなく、コンピュータや一般家電製品等にも適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 接続部
2 キャビティ
3 ジャック
4 スイッチ
5 ピンプラグ(外部端子)
6 キー入力部
7 音声入力部
20 制御部
21 音声選択部
22 出力制御部(音声出力制御手段、表示出力制御手段、出力制御手段)
30 イヤホン部
41 スイッチ(左)
42 スイッチ(右)
43 スイッチ(前)
44 スイッチ(後)
50 出力部(表示出力部)
60 記憶部
70 動作抑制部
81 スティック(オーディオソフト画面)
82 スティック(通話画面)
83 スティック(待ち受け画面)
100 携帯情報端末(電子機器)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子の差し込み口として電子機器に設けられる接続部であって、
前記外部端子と電気的に接続するジャックを備え、
前記ジャックは、前記電子機器の筐体に設けられた凹部であり、前記外部端子が差し込まれる開口を前記電子機器の筐体外部に向けて有するキャビティ内に、該ジャックに挿入された前記外部端子を介して姿勢を制御可能に設けられており、
前記ジャックおよび前記キャビティの少なくとも一方に、該ジャックの前記キャビティ内における姿勢を検出可能なスイッチを備えることを特徴とする接続部。
【請求項2】
前記キャビティの前記外部端子の挿入方向に沿った断面が、前記開口側の上辺が前記開口と対向する側の下辺よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の接続部。
【請求項3】
前記スイッチが、前記キャビティと前記ジャックとの間の圧力の変化を検出するセンサであることを特徴とする請求項1または2に記載の接続部。
【請求項4】
前記ジャックの前記外部端子が挿入される凹部の形状が、オーディオ用端子の規格に準拠していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の接続部。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の接続部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記スイッチの出力信号に応じて前記ジャックへの出力を変化させる音声出力制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記スイッチの出力信号に基づいて、操作画面をユーザへ提示する表示出力部をさらに備えることを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記ジャックに前記外部端子が挿入されているときは、前記外部端子を動かすことにより前記電子機器を操作可能であることを示す前記操作画面を前記表示出力部に表示する表示出力制御手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記表示出力制御手段は、前記操作画面における操作方向が前記ジャックに挿入された前記外部端子の傾倒方向に対応づけられた前記操作画面を前記表示出力部に表示することを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
請求項3に記載の接続部を備え、
前記センサは検出した圧力に対応して多段階の信号を出力するものであり、
前記センサが出力する信号の段階に対応する機能を実行する出力制御手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1から4のいずれか1項に記載の接続部を備える電子機器の制御方法であって、
前記外部端子が前記ジャックに接続されると、前記ジャックへの出力を変化させる出力制御ステップを含むことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項12】
請求項5から10のいずれか1項に記載の電子機器を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項12の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230644(P2012−230644A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100077(P2011−100077)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】