説明

接触検知スイッチ

【課題】柔軟で損傷を受けにくく、且つ、各電極が確実に接続される接触検知スイッチを提供する。
【解決手段】接触検知スイッチ1は、可撓性基板2と、四つの第1電極31を支持する第1支持板3と、四つの第2電極を支持する第2支持板4と、第1支持板3と第2支持板4との間に配置された五つのスペーサ部材5と、を有する。可撓性基板2及び第1支持板3は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合し、第1支持板3及び第2支持板4は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面に取り付けて使用する接触検知スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接触検知スイッチの一例が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1の曲面スイッチは、上部フレキシブル基板、下部フレキシブル基板、各基板に挟まれるスペーサ部材、導体、および保護シートから構成されている。各基板とスペーサ部材とは、粘着性接着剤を用いて接着されている。そして、この曲面スイッチは、取り付け対象物の曲面に対して、曲面に沿って変形して取り付けられる。
【0003】
また、特許文献2の感圧スイッチは、上部電極を有する上部可撓性シート、及び、下部電極を有する下部可撓性シートから構成される。このスイッチにおいては、上部可撓性シートの外周と、下部可撓性シートの外周とが部分的に固定されている。そのため、感圧スイッチを、円柱状のグリップの表面に沿って湾曲させた際に、上部可撓性シート及び下部可撓性シートに弛みが生じないようになっている。
【0004】
【特許文献1】実開平7−19927号公報
【特許文献2】特開2004−146372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のスイッチでは、スペーサ部材の全面にわたって(又は、表面全体に点在して)接着剤が塗布され、スペーサ部材の全体が、各基板に対して取り付けられている。また、このスイッチでは、粘着性接着剤によりスペーサと基板とのずれが許容されている。
しかし、このスイッチにおいては、スペーサ全体が基板に取り付けられているため、曲面の湾曲が大きい場合(すなわち、曲面の曲率半径が小さい場合)には、曲面から離れた板部材(上部フレキシブル基板及び保護シート)が、円周方向に圧縮の力を受ける(図10(a)参照)。そして、圧縮の力が大きい場合には、スイッチが損傷を受けるおそれがある。
【0006】
特許文献2のスイッチにおいては、各シートの一方の端部同士が固定されているために、このスイッチの柔軟性は高い。しかし、このスイッチを凹状の曲面に取り付けて使用する場合には、曲面の湾曲が大きいと、下部シートが大きく湾曲するのに対して上部シートの湾曲が小さくなるため、上部のシートが、下部シートから大きく離れる部分が生じ、電極間の接続が困難となるおそれがある(図10(b)参照)。
【0007】
そこで、本発明の目的は、柔軟で損傷を受けにくく、且つ、各電極が確実に接続される接触検知スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するために、本発明に係る接触検知スイッチは、凹状の曲面に対して取り付けられ、前記曲面に結合する可撓性基板と、前記可撓性基板に結合し、表面において第1電極を支持する、可撓性の第1支持板と、前記第1支持板に結合し、表面において、前記第1電極に対向するように第2電極を支持する、可撓性の第2支持板と、前記第1支持板と前記第2支持板との間に配置され、前記第1支持板及び前記第2支持板の少なくとも一方に対して固定されているスペーサ部材と、を有する。
前記スペーサ部材は、前記第2支持板が押されていない状態では、前記第1電極と前記第2電極とが接触しないように、前記第1電極と前記第2電極との間に隙間を形成し、前記可撓性基板及び前記第1支持板は、前記第1支持板を二つの領域に分けるように、前記第1支持板の中央位置において結合し、前記第1支持板及び前記第2支持板は、前記第1支持板を二つの領域に分けるように、前記第1支持板の中央位置において結合している。
【0009】
この構成では、可撓性基板と第1支持板とが、第1支持板の中央位置のみで結合し、また、第1支持板と第2支持板とが、第1支持板の中央位置のみで結合する。そのため、スイッチが凹状の曲面に取り付けられた状態において、曲面から離れた位置にある板部材では、部材の湾曲が小さくなる。その結果、板部材(可撓性基板及び第1支持板、並びに、第1支持板及び第2支持板)の全面同士が結合する場合に比べて、凹状の曲面から離れた板部材に作用する力が小さくなる。そのため、スイッチが取り付けられる曲面の湾曲が大きくても、スイッチの損傷が防止される。
また、第1支持板及び第2支持板の結合位置が、第1支持板の中央位置であるので、第1支持板と第2支持板とが、大きく離れることない。そのため、スイッチが取り付けられる曲面の湾曲が大きくても、第1電極及び第2電極の接続が確実に行なわれる。
以上のように、本発明により、柔軟で損傷を受けにくい接触検知スイッチが得られ、また、本発明の接触検知スイッチでは、各電極が確実に接続される。
【0010】
凹状の曲面とは、窪んだ、谷状の曲面のことであり、例えば、内側から見たときの球面や、円筒の内面のことである。
【0011】
可撓性基板としては、合成樹脂製シート(ポリエステルシートなど)、ゴムシートなどを用いることができる。また、第1支持板及び第2支持板としては、合成樹脂製シートなどを用いることができる。
【0012】
第1電極及び第2電極は、それぞれ、第1支持板及び第2支持板の表面に、導電性物質(カーボン、銀、アルミニウムなど)を、印刷、蒸着などの手段を用いて積層させる(ラミネート状にする)ことにより形成される。
【0013】
スペーサ部材は、合成樹脂などの絶縁材料から成るシート(ポリエステルシートなど)に、複数の穴(貫通孔)が形成されたもの、などを使用できる。スペーサ部材は、一枚のシート状のものでなくでもよく、線状のものであってもよく、また、電極間に配置される独立したブロック(例えば、板状、山状、球状のもの)であってもよい。
【0014】
スペーサ部材は、粘着テープ(ガムテープ、両面テープなど)であってもよい。粘着テープに関しては、間隔を空けて複数列のテープを配置してもよいし、格子状(縦横に並べたテープを重ねて組んだ状態)に配置してもよい。また、スペーサ部材として、粘着テープを重ねたものを使用してもよい。
【0015】
スペーサ部材は、可撓性のものであってもよく、この場合には、第2支持板が押された状態では、スペーサは、第1電極と第2電極とが接触するように変形する。また、スペーサ部材が可撓性でなくてもよく、この場合には、第2支持板が変形することにより、第1電極と第2電極とが接触する。なお、スペーサ部材及び第2支持板の両方が可撓性であってもよい。
【0016】
「第1支持板を二つの領域に分ける中央位置」とは、第1支持板の中央領域を挟んで、第1支持板が二つの領域に分かれる場合に、この中央領域に含まれる場所のことである。ここで、「中央領域」とは、第1支持板の両端を除いた領域である。
また、「結合」とは、接着剤、両面テープなどの結合手段を用いて、両者が連結していることを示す。
そして、「可撓性基板と第1支持板とが、第1支持板の中央位置において結合する」とは、可撓性基板と第1支持板とが、第1支持板の中央領域のいずれかの位置において結合することを表わす。
ここでは、可撓性基板及び第1支持板の例により、「中央位置における結合」の意味について説明したが、「中央位置における結合」の意味は、他の板部材についても同様に説明されるため、他の板部材についての説明を省略する。
【0017】
また、結合領域(接着剤などの結合手段が、塗布・配置される領域)は、中央領域において、線状に連続した領域であってもよいし、中央領域に分布した複数の領域であってもよい。
【0018】
板部材の「結合」については、第1支持板と第2支持板とが、接着剤のみを介して直接結合してもよいし、第1支持板と第2支持板とが、スペーサ部材を介して結合してもよい。すなわち、例えば、第1支持板と第2支持板との間に、スペーサ部材が配置され、このスペーサ部材が、第1支持板及び第2支持板の両方に対して接着されていてもよい。
また、他の部材における「結合」についても同様に、接着剤以外の他の部材を介していてもよい。
【0019】
また、第1支持板及び第2支持板の結合位置については、第1支持板の中央位置において、第1支持板と、第2支持板の端部とが結合していてもよい。
【0020】
接触検知スイッチの設置方向について:
接触検知スイッチが凹状の曲面に取り付けられた状態では、中央領域を挟んだ二つの領域、及び、中央領域は、曲面の円周方向に沿って配置される。
【0021】
(2)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいて、前記第1支持板及び前記第2支持板は、前記第2支持板を二つの領域に分けるように、前記第2支持板の中央位置において結合していてもよい。
【0022】
特許文献2のスイッチにおいては、両シートが一方の端部で固定されているために、上部のシート(上部可撓性シート)がめくれやすく、スイッチとしての強度に問題がある。
本構成では、第1支持板及び第2支持板が、第2支持板の中央位置で結合しているために、両支持板が端部で固定されている場合に比べて、スイッチとしての強度が高くなる。
【0023】
(3)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいて、前記第2支持板の、前記第1支持板に面する側の反対側には、カバー部材が結合していてもよい。この構成により、第2支持板を保護することができる。
【0024】
(4)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいては、前記カバー部材が、緩衝材料であってもよい。この構成によると、スイッチが人体に触れるときの衝撃を緩和することができる。
なお、緩衝材料としては、ポリウレタンシート、段ボールシート、発泡スチロール板、ゴム板、気泡緩衝材などを利用できる。また、合成樹脂(ポリウレタンや塩化ビニルなど)の発泡体を、ポリウレタンシート、段ボールシート、発泡スチロール板、ゴム板、気泡緩衝材などによって被覆したものを、カバー部材としてもよい。
【0025】
(5)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいて、前記第2支持板及び前記カバー部材は、前記第2支持板を二つの領域に分けるように、前記第2支持板の中央位置において結合していてもよい。
【0026】
この構成では、カバー部材が設けられている場合において、曲面から離れた位置にあるカバー部材の湾曲が小さくなるため、カバー部材に作用する力を抑制できる。
【0027】
(6)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいて、前記可撓性基板及び前記曲面は、前記可撓性基板を二つの領域に分けるように、前記可撓性基板の中央位置において結合してもよい。
【0028】
この構成では、可撓性基板の全面が曲面と結合する場合に比べて、可撓性基板の湾曲が小さくなる。そのため、スイッチ全体の損傷が、より確実に防止される。
【0029】
(7)また、本発明に係る接触検知スイッチにおいては、前記可撓性基板、前記第1支持板、又は、前記第2支持板に、切り込みが形成されていてもよい。
【0030】
この構成では、可撓性基板、第1支持板、又は第2支持板の柔軟性が向上するため、スイッチが取り付けられる曲面の湾曲が大きくても、スイッチの構成部材に対する応力の集中が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る接触検知スイッチ、及びCT撮影装置を示す図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は、撮影装置のE−E’断面図である。図2は、第1実施形態に係る接触検知スイッチの断面図である。図3は、接触検知スイッチの組み立ての過程を示す平面図であり、(a)は第1支持板の平面図、(b)は第1支持板にスペーサ部材が取り付けられた状態を示す平面図である。図4は、接触検知スイッチの製造過程を示す平面図である。図5は、接触検知スイッチが曲面に配置された状態を示す断面図である。図6は、接触検知スイッチの曲率半径について説明するための断面概略図である。図7は、中央位置について説明するための平面図である。
【0032】
(全体構成)
まず、図1を用いて、本実施形態に係るCT撮影装置100、及び接触検知スイッチ1について説明する。CT(Computed Tomography)撮影装置100は、人体の内部画像を撮影するための装置であり、撮影装置(本体)101、及び、支持台101bを有する。支持台101bの上部には、スライド台101cが設置されており、スライド台101cは、図の矢印S方向(スライド方向S)に沿って、支持台101bの上をスライド移動する。
【0033】
撮影装置101には、スライド方向Sに沿って、貫通孔101hが形成されている。撮影対象となる人は、スライド台101c上に寝かされ、スライド台101cと共に貫通孔101hの内部へ移動する。そして、貫通孔101hの内部において、撮影が行なわれる。
【0034】
また、撮影装置101には、支持台101bに面して、曲面101sが形成されている。曲面101sは、貫通孔101hの周囲に形成されている。
【0035】
図1(b)に示すように、曲面101sは、スライド方向Sに平行な断面において、曲線で表わされる。ここで、スライド方向Sに平行な断面上における、曲面101sの表面に沿った方向を、表面方向Tとする(図1(b)の矢印T方向参照)。
【0036】
また、曲面101sは、貫通孔101hの周囲に沿った円周方向V(図1(a)の矢印V方向参照)に沿って延びるように形成されている。曲面101s上の各点において、表面方向Tと円周方向Vとは直交する。また、円周方向Vとスライド方向Sとは直交している。
【0037】
また、曲面101sは、図5に示すように、表面方向Tに垂直な断面において、凹状に窪むように形成されている。
【0038】
そして、曲面101sには、四つの接触検知スイッチ1が取り付けられている。接触検知スイッチ1は、電源及び制御装置(これらについては図示せず)に接続されている。接触検知スイッチ1に対して人体等が接触すると、接触検知スイッチ1内に設けられた電極同士が接触して、接触検知スイッチ1がオン状態になる(接触検知スイッチ1を含む電気回路が形成される;開いていた回路が閉じる)。そして、スイッチがオン状態になると、制御装置に電流が流れ、スライド台101cのスライド移動が停止するようになっている。すなわち、接触検知スイッチ1及び制御装置は、CT撮影装置100の安全装置として機能している。
【0039】
(接触検知スイッチ)
以下、接触検知スイッチ1の詳細について説明する。四つの接触検知スイッチ1のそれぞれは、同一の構造を有しているため、ここでは一つの接触検知スイッチ1について説明する。なお、図2の断面位置は、接触検知スイッチ1の第1支持板3のみに着目した場合における、図3(b)のD−D’断面位置に相当する。
【0040】
図2、図3等において、矢印Lで示される方向を、接触検知スイッチ1の「長さ方向」とする。また、長さ方向Lに直交し、且つ、接触検知スイッチ1の各板部材に平行な方向を、幅方向Wとする(図3等における矢印W方向参照)。また、長さ方向L及び幅方向Wの両方に直交する方向を高さ方向Hとする(図2等の矢印H方向参照)。また、以下の説明中の「上」「下」は、説明に対応する図中における上下を示しており、鉛直方向における上下のことではない。
【0041】
接触検知スイッチ1は、可撓性基板2と、第1支持板3と、第2支持板4と、五つのスペーサ部材5と、カバー部材6とを有する(図2及び図5参照)。接触検知スイッチ1においては、複数の板部材が、高さ方向Hに積層されている。
【0042】
可撓性基板2は、ポリエステルシートであり、曲面101sに直接取り付けられる(図5参照)。具体的には、可撓性基板2の下面全体が、曲面101sに対して接着される。なお、図5においては、可撓性基板2と曲面101sとの間の接着剤層を省略している。
【0043】
第1支持板3は、ポリエステルシートであり、可撓性を有する。第1支持板3は、接着剤層7bを介して可撓性基板2に結合している。接着剤層7bは、幅方向Wに沿って延びるように、線状に延びるように形成されている。
また、第1支持板3は、表面において、四つの第1電極31を支持する。それぞれの第1電極31は、幅方向Wに沿って延びるように、線状に形成されている(図3(a)参照)。
【0044】
第2支持板4は、ポリエステルシートであり、可撓性を有する。第2支持板4は、接着剤層7d、スペーサ部材5(中央のスペーサ部材5c;後述)、及び接着剤層7cを介して、第1支持板3に結合している。
第2支持板4は、表面において、四つの第1電極31のそれぞれに対向するように、四つの第2電極41を支持する。すなわち、四つの第1電極31及び四つの第2電極41は、第1支持板3及び第2支持板4に挟まれた位置に配置されている。また、それぞれの第2電極41は、幅方向Wに沿って延びるように、線状に形成されている(図4参照)。
【0045】
五つのスペーサ部材5は、第1支持板3と第2支持板4との間に配置されている。それぞれのスペーサ部材5は、ポリエステル製のシートであり、幅方向Wに沿って線状に形成されている(図3(b)参照)。
【0046】
五つのスペーサ部材5のそれぞれは、接着剤層7cを介して第1支持板3に結合している(図2参照)。また、五つのスペーサ部材5のうち、第1支持板3の中央位置に配置されたもの(スペーサ部材5c)については、接着剤層7dを介して第2支持板4に結合している。すなわち、スペーサ部材5cは、第1支持板3及び第2支持板4の両方に対して結合している。
【0047】
スペーサ部材5は、カバー部材6及び第2支持板4が押されていない状態では、第1電極31と第2電極41とが接触しないように、第1電極31と第2電極41との間に隙間を形成する。また、カバー部材6及び第2支持板4が押されると、(i)スペーサ部材5の変形(長さ方向Lに広がる変形)、並びに、(ii)第2支持板4及びカバー部材6の変形(湾曲変形)が生じ、第1電極31と第2電極41とが接触する。
【0048】
なお、スペーサ部材5及び接着剤層(接着剤層7d及び接着剤層7c)の代わりに、ポリエステル板を基材とする両面テープを使用してもよい。この場合には、スペーサ部材5がポリエステル基材に相当し、接着剤層7d及び接着剤層7cが、基材両面の接着剤層に相当する。具体的には、両面テープを、スペーサ部材5cの位置に配置する場合には、両面テープの両面の台紙(粘着面を保護するための剥離紙)を剥がしたものを使用する。また、両面テープを、スペーサ部材5cを除く四つのスペーサ部材5の位置に配置する場合には、片面の台紙だけを剥がしたものを使用する。
【0049】
カバー部材6は、緩衝材料であり、具体的には、ポリウレタンシートである。カバー部材6は、接着剤層7fを介して、第2支持板4に結合している。接着剤層7fは、第2支持板4及びカバー部材6の全面にわたって形成されている。すなわち、第2支持板4の上面全体と、カバー部材6の下面全体とが接着されている。また、カバー部材6は、第2支持板4の第1支持板3に面する側(図2における下面側)の反対側(図2における上面側)に取り付けられている。そして、接触検知スイッチ1においては、カバー部材6が最上部に位置している。
【0050】
可撓性基板2及び第1支持板3は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合している。また、第1支持板3及び第2支持板4は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合している。
すなわち、第1支持板3及び第2支持板4の結合位置は、第1支持板3の中央位置である。そして、可撓性基板2及び第1支持板3の結合位置もまた、第1支持板3の中央位置である。
また、第1支持板3及び第2支持板4は、第2支持板4を二つの領域に分けるように、第2支持板4の中央位置において結合している。
【0051】
このように、(i)可撓性基板2及び第1支持板3、並びに、(ii)第1支持板3及び第2支持板4は、部分的に結合している。
なお、上記の「中央位置」及び「中央位置における結合」の意義に関しては後述する。
【0052】
(接触検知スイッチの組み立てについて)
次に、接触検知スイッチ1の組み立て方法について説明する。
まず、第1支持板3に対して、四つの第1電極31を配置する(第1電極配置工程;図3(a)参照)。具体的には、それぞれの第1電極31(図3(a)の斜線ハッチング部参照)を、第1支持板3の表面に接着する。本工程において、第1電極31は、幅方向Wに沿って延びるように配置される。
【0053】
また、第1支持板3と同様に、第2支持板4に対して、四つの第2電極41を配置する(第2電極配置工程;図4の第2支持板4参照)。具体的には、それぞれの第2電極41を、第2支持板4の表面に接着する。本工程において、第2電極41は、幅方向Wに沿って延びるように配置される。
【0054】
次に、第1支持板3に対して、五つのスペーサ部材5を取り付ける(スペーサ設置工程;図3(b)参照)。以下、具体的に説明する。第1電極配置工程を経た状態では、第1支持板3の表面には、五つの設置領域A(第1電極31が配置されていない領域)が、それぞれ、幅方向Wに沿って形成されている(図3(a)参照)。この五つの設置領域Aのそれぞれに対して、まず、接着剤を塗布し(接着剤層7cを形成し)、それぞれの接着剤層7cの上にスペーサ部材5(図3(b)のドットを付した部分)を設置する。
【0055】
次に、第2支持板4を設置する(第2支持板4設置工程;図4参照)。以下、具体的に説明する。第1支持板3の中央位置に取り付けられたスペーサ部材5cの上面(図4の領域C)に、接着剤を塗布する(接着剤層7dを形成する)。そして、接着剤層7dの上に、第2支持板4を配置する。このときに、スペーサ部材5cの上面(領域C)と、第2支持板4の領域B(第2支持板4の下面において、第2電極41が配置されていない、中央位置の領域)とを、接着により結合する。なお、図4においては、第2支持板4の裏側に位置し、隠れている第2電極41を、破線部として示している。
【0056】
次に、第2支持板4に対してカバー部材6を取り付ける(カバー部材設置工程)。具体的には、第2支持板4の上面の全体に、接着剤を塗布し(接着剤層7fを形成し)、接着剤層7fに対して、カバー部材6を設置する。
【0057】
次に、可撓性基板2を第1支持板3に対して取り付ける(可撓性基板取り付け工程)。以下、具体的に説明する。可撓性基板2の表面に、接着剤を塗布し、接着剤層7bを形成する。接着剤層7bは、可撓性基板2の表面の中央位置において、幅方向Wに沿って延びるように形成される。そして、接着剤層7bに対して、第1支持板3の下面を接触させる。接着剤層7bの位置は、第1支持板3の下面の中央位置に相当する。
以上のようにして、接触検知スイッチ1が組み立てられる。
【0058】
(接触検知スイッチが取り付けられた状態について)
次に、図5及び図6を用いて、接触検知スイッチ1が曲面101sに取り付けられた状態について説明する。以下、接触検知スイッチ1の一断面における状態について説明するが、他の断面位置においても同様である。なお、図5の接触検知スイッチ1の断面位置は、図2の断面位置と同一である。また、図6は、断面を示すハッチングを省略して示している。
【0059】
接触検知スイッチ1は、長さ方向Lが円周方向Vに沿うように、曲面101sに取り付けられる。なお、接触検知スイッチ1が曲面に取り付けられていない状態では、長さ方向Lは直線に沿った方向であるが(図2参照)、接触検知スイッチ1が曲面101sに取り付けられた状態では、長さ方向Lは、円周方向Vに沿って湾曲する。
【0060】
また、接触検知スイッチ1は、幅方向Wが表面方向Tに沿うように、曲面101sに取り付けられる。なお、接触検知スイッチ1が曲面に取り付けられていない状態では、幅方向Wは直線に沿った方向であるが(図2参照)、接触検知スイッチ1が曲面101sに取り付けられた状態では、長さ方向Lは、表面方向Tに沿って湾曲する。なお、図5の矢印H(高さ方向H)は、接触検知スイッチ1の中央位置における高さ方向、すなわち、スペーサ部材5cが配置された位置における高さ方向を示している。
【0061】
図5及び図6に示すように、接触検知スイッチ1が曲面101sに取り付けられた状態では、各板部材の湾曲の大きさが異なる。以下、各板部材の曲率半径に着目して、湾曲の大きさについて説明する。
【0062】
可撓性基板2は、曲面101sに沿って設置されているので、可撓性基板2の湾曲の大きさは、曲面101s湾曲の大きさに等しい。曲面101sの曲率半径は、図6のR1で表わされる。
【0063】
可撓性基板2の曲率半径よりも、第1支持板3の曲率半径の方が小さい。そして、第1支持板3の曲率半径よりも、第2支持板4の曲率半径がさらに小さい。また、カバー部材6の曲率半径は、第2支持板4の曲率半径よりも小さい。第2支持板4の表面(上面)の曲率半径は、図6のR2で表わされる。
【0064】
曲面101sの曲率円の中心は、図6においてP1で表わされるのに対して、第2支持板4の表面における曲率円の中心は、図6においてP2で表わされる。そして、P2は、P1と比較して、曲面101sからの距離がほぼ倍増している。すなわち、R2は、R1よりも長い。
以上のように、接触検知スイッチ1が曲面101sに取り付けられた状態においては、曲面101sから離れるにつれて(カバー部材6に近づくにつれて)、各板部材の曲率半径が大きくなる。
【0065】
(従来のスイッチについて)
ここで、接触検知スイッチ1と比較するために、図10を用いて、従来のスイッチについて説明する。図10は、従来のスイッチを示す断面概略図である。図10(a)及び図10(b)においては、従来のスイッチ(スイッチ901A及びスイッチ901B)が、曲面101sに取り付けられている。なお、図10(a)、10(b)では、本実施形態と同様の部分については、図に同一の符号が付されている。また、図10は、断面を示すハッチングを省略して示している。
【0066】
(従来例1との比較)
従来例1に係るスイッチ901Aにおいては、五つのスペーサ部材5の全てが、第1支持板3及び第2支持板4の両方に対して固定されている。具体的には、スペーサ部材5cは、接着剤層7c及び接着剤層7dを介して、第1支持板3及び第2支持板4の両方に結合しており、スペーサ部材5cを除く四つのスペーサ部材5は、接着剤層7c及び接着剤層907dを介して、第1支持板3及び第2支持板4の両方に結合している。また、可撓性基板2及び第1支持板3は、接着剤層907gを介して結合している。接着剤層907gは、可撓性基板2及び第1支持板3の全面にわたって形成されている。
【0067】
このスイッチ901Aにおいては、図10(a)に示すように、曲面101sにおける曲率円の中心P3と、第2支持板4の表面における曲率円の中心P3とが一致している。そして、曲面101sにおける曲率半径R3と、第2支持板4の表面における曲率半径R4との関係については、R4が、R3より短くなっており、これらの長さ関係が、本実施形態とは逆になっている。
【0068】
そして、曲面101sから離れた板部材(主に、第2支持板4及びカバー部材6)では、曲面101sに比べて湾曲が大きくなっているので、これらの部材には、円周方向Vに沿って大きな圧縮の力が作用する。そのため、曲面101sから離れた板部材、又は、各接着剤層に大きな力が作用し、(i)各部材の損傷(折れ曲がりなど)や、(ii)各部材間の分離(接着剤層の損傷に起因する分離)が発生するおそれがある。
【0069】
一方、本発明の接触検知スイッチ1においては、曲面101sに比べて、第1支持板3、第2支持板4及びカバー部材6の湾曲が小さくなっている(曲率半径が大きくなっている)。そのため、曲面101sの湾曲が大きい場合であっても、第1支持板3、第2支持板4、及びカバー部材6の損傷が抑制される。
【0070】
(従来例2との比較)
また、従来例2に係るスイッチ901Bにおいては、五つのスペーサ部材5のうち、端のスペーサ部材5dのみが、接着剤層7c及び接着剤層907hを介して、第1支持板3及び第2支持板4の両方に結合している。また、スペーサ部材5dを除く四つのスペーサ部材5は、接着剤層7cを介して、第1支持板3にのみ結合している。また、可撓性基板2及び第1支持板3は、接着剤層907gを介して結合している。接着剤層907gは、可撓性基板2及び第1支持板3の全面にわたって形成されている。
【0071】
スイッチ901Bでは、カバー部材6が押されていない状態において、曲面101sの湾曲が大きくても、第2支持板4及びカバー部材6はほとんど湾曲しない。しかし、曲面101sの湾曲が大きいと、第2支持板4と第1支持板3との間の中央付近において、大きな隙間が生じる(図10(b)参照)。そのため、中央付近の第1電極31及び第2電極41については、接触が困難となり、その結果、これらの間の電気的な接続が困難となるおそれがある。
【0072】
一方、本発明の接触検知スイッチ1においては、曲面101sの湾曲が大きくても、電極間の隙間が大きくなることはないので、電極間の電気的な接続が困難となることはない。
【0073】
(中央位置について)
次に、可撓性基板2、第1支持板3、第2支持板4、及びカバー部材6における「中央位置」について説明する。ここでは、第1支持板3を用いて「中央位置」について説明するが、他の板部材に関しても同様に説明できるため、他の板部材に関しての説明を省略する。他の部板材の「中央位置」に関しては、以下の説明において、「第1支持板3」を各板部材に置き換えることにより説明される。
【0074】
ここでは、図7に示すように、第1支持板3を、第1領域3A、第2領域3B、及び中央領域3Cの三つの領域に分けて考える。第1領域3A、第2領域3B、及び中央領域3Cは、長さ方向Lに沿って、順に並べて配置される。第1領域3A及び第2領域3Bは、中央領域3Cを挟んで配置される端部領域である。第1支持板3において、第1領域3A及び第2領域3Bの長さ(長さ方向Lに関する長さ)は、それぞれ、第1支持板3の全長に対して三割の長さであり、中央領域3Cの長さは、第1支持板3の全長に対して四割の長さである。なお、中央領域の長さは、全長に対して四割の長さより短くてもよく、例えば、全長に対して三割、二割、又は一割の長さであってもよい。
【0075】
例えば、第1支持板3及び第2支持板4の結合について説明すると、上記のように、第1支持板3及び第2支持板4は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合している。「第1支持板3を二つの領域に分ける中央位置」とは、この中央領域3Cに含まれる場所のことである。すなわち、第1支持板3と第2支持板4との間の結合領域(互いの結合のために接着剤が塗布される領域)は、中央領域3Cの内部に位置している。
【0076】
本実施形態においては、図7(a)に示すように、結合領域71A(斜線ハッチングを付した部分)が、中央領域3Cの中央線(幅方向Wに沿った中央線;図7(a)の一点鎖線参照)、すなわち、第1支持板3の中央線に沿って伸びるように、線状に配置されている。そして、本実施形態においては、第1支持板3の結合領域71Aに接着剤層7cが形成され、スペーサ部材5(スペーサ部材5c)がその接着剤層7cの上に配置され、さらに、スペーサ部材5に対して、接着剤層7dが形成され、その上に第2支持板4が配置される。
また、接着剤層7c、接着剤層7d、及びスペーサ部材5と、結合領域71Aとでは、長さ(長さ方向Lに関する長さ)及び幅(幅方向Wに関する長さ)が一致している。
【0077】
結合領域は、中央領域3Cの内部にあればよく、結合領域の配置については、図7(a)の配置には限られない。例えば、図7(b)に示すように、結合領域71Bが、中央領域3Cの全領域であってもよい。
【0078】
また、図7(c)に示すように、結合領域71Cが、中央領域3Cの中心(長さ方向L及び幅方向Wに関しての中心)、すなわち、第1支持板3の中心のみに配置されていてもよい。このように、結合領域を中央の一点だけにすると、第1支持板3において、自由に変形できる領域が広くなるため、接触検知スイッチの柔軟性が向上する。そのため、このような構成にすることにより、接触検知スイッチを、複雑な形状の曲面に使用できる。
【0079】
また、図7(d)に示すように、二つの結合領域71Dが、中央領域3Cの中央線(図7(d)の一点鎖線参照)に沿って配置されていてもよい。また、図7(d)においては、二つの結合領域71Dは、第1支持板3の、幅方向Wに関する両端に配置されている。
【0080】
また、図7(e)に示すように、六つの結合領域71Eが、中央領域3Cの全体にわたって、ある間隔をおいて配置されていてもよい。図7(e)においては、六つの結合領域71Eが、二列に並べて配置されている(幅方向Wが列方向に相当する)。
【0081】
また、図7(f)に示すように、二つの結合領域71Fが、中央領域3Cの斜め方向に沿って配置されていてもよい。
【0082】
また、中央領域3Cの面積に対する、結合領域の面積の比率に関しては、図7(b)の結合領域71Bのように、中央領域3Cの全体にわたった領域であってもよいし(面積比率:十割)、図7(c)の結合領域71Cのように、中心位置にのみに配置される、比較的小さな領域(面積比率:約一割)であってもよい。
【0083】
(効果)
次に、接触検知スイッチ1により得られる効果について説明する。接触検知スイッチ1は、凹状の曲面101sに対して取り付けられるものであって、曲面101sに結合する可撓性基板2と、可撓性基板2に結合し、表面において四つの第1電極31を支持する、可撓性の第1支持板3と、第1支持板3に結合し、表面において、四つの第1電極31に対向するように四つの第2電極を支持する、可撓性の第2支持板4と、第1支持板3と第2支持板4との間に配置され、第1支持板3に対して固定されている五つのスペーサ部材5と、を有する。
五つのスペーサ部材5のうち、中央のスペーサ部材5cは、第1支持板3及び第2支持板4に対して固定されている。
それぞれのスペーサ部材5は、第2支持板4が押されていない状態では、それぞれの第1電極31とそれぞれの第2電極41とが接触しないように、第1電極31と第2電極41との間に隙間を形成し、可撓性基板2及び第1支持板3は、第1支持板3を二つの領域(第1領域3A及び第2領域3B)に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合し、第1支持板3及び第2支持板4は、第1支持板3を二つの領域に分けるように、第1支持板3の中央位置において結合している。
【0084】
この構成では、可撓性基板2と第1支持板3とが、第1支持板3の中央位置のみで結合し、また、第1支持板3と第2支持板4とが、第1支持板3の中央位置のみで結合する。そのため、接触検知スイッチ1が凹状の曲面101sに取り付けられた状態において、曲面101sから離れた位置にある板部材では、部材の湾曲が小さくなる。その結果、板部材(可撓性基板2及び第1支持板3、並びに、第1支持板3及び第2支持板4)の全面同士が結合する場合に比べて、凹状の曲面101sから離れた板部材に作用する力が小さくなる。そのため、スイッチが取り付けられる曲面101sの湾曲が大きくても、スイッチの損傷が防止される。
また、第1支持板3及び第2支持板4の結合位置が、第1支持板3の中央位置であるので、第1支持板3と第2支持板4とが、大きく離れることない。そのため、スイッチが取り付けられる曲面101sの湾曲が大きくても、第1電極31及び第2電極41の接続が確実に行なわれる。
以上のように、本発明により、柔軟で損傷を受けにくい接触検知スイッチが得られ、また、本発明の接触検知スイッチでは、各電極が確実に接続される。
【0085】
接触検知スイッチ1において、第1支持板3及び第2支持板4は、第2支持板4を二つの領域に分けるように、第2支持板4の中央位置において結合している。
【0086】
特許文献2のスイッチにおいては、両シートが一方の端部で固定されているために、上部のシート(上部可撓性シート)がめくれやすく、スイッチとしての強度に問題がある。
本構成では、第1支持板3及び第2支持板4が、第2支持板4の中央位置で結合しているために、両支持板が端部で固定されている場合に比べて、スイッチとしての強度が高くなる。
【0087】
接触検知スイッチ1において、第2支持板4の、第1支持板3に面する側の反対側には、カバー部材6が結合している。この構成により、第2支持板4を保護することができる。
【0088】
接触検知スイッチ1においては、カバー部材6が、緩衝材料である。この構成により、スイッチが人体に触れるときの衝撃を緩和することができる。
【0089】
また、本実施形態では、部分的結合が、二段階((i)可撓性基板2及び第1支持板3の間、並びに、(ii)第1支持板3及び第2支持板4の間)で行なわれている。そのため、部分的結合が一段階のみで行なわれている場合に比べて、曲面から離れた板部材の湾曲を低減させる効果が増大する。本実施形態では、二段階の部分的結合が行なわれているが、部分的結合の段階数は多い方がよく、部分的結合が三段階以上で行なわれていてもよい(後述の第2実施形態参照)。
【0090】
また、特許文献1のスイッチにおいては、板部材が大きな圧縮力を受けて変形し、この変形状態が回復せずに、スイッチが常にオン状態になるおそれがある(図11参照)。
一方、接触検知スイッチ1では、各板部材に作用する力が小さいので、接触検知スイッチ1を用いることにより、スイッチの誤作動(板部材の変形に起因する誤作動)を防止できる。
なお、図11のスイッチ901A’の構成は、図10(a)のスイッチ901Aの構成と同様である。
【0091】
(第1変形例)
次に、変形例に係る接触検知スイッチについて、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図8は、変形例について説明するための図であり、(a)は第1変形例の平面図、(b)は第2変形例の平面図である。
【0092】
本変形例においては、可撓性基板、第1支持板、及び第2支持板に切り込みが形成されている。以下、第1支持板についてのみ説明するが、可撓性基板、第2支持板、及びカバー部材についても、切り込みの形状、位置、大きさについては、第1支持板と同様であるために、可撓性基板、第2支持板、及びカバー部材についての説明を省略する。
【0093】
図8(a)に示すように、第1変形例に係る第1支持板203には、三本の切り込み203sが形成されている。それぞれの切り込み203sは、幅方向Wに沿って形成されている。また、三本の切り込み203sは、長さ方向Lに、順に並べて配置されている。三本の切り込み203sの開放方向は、交互に異なっている。具体的には、それぞれの切り込み203sの開放方向が、左の切り込み203sから順に、(図における)上方向、下方向、上方向となっている。
【0094】
また、図8(b)に示すように、第2変形例に係る第1支持板303には、十本の切り込み303s、及び、五本の切り込み303tが形成されている。切り込み303s、及び、切り込み303tは、幅方向Wに沿って形成されている。切り込み303sは、幅方向Wに関して、第1支持板303の上端及び下端に形成されており、切り込み303tは、幅方向Wに関して、第1支持板303の中央部に形成されている。また、上部(図における上部)の五本の切り込み303sと、下部の五本の切り込み303sとは、幅方向W方向に沿って対向するように配置されている。また、対向する二本の切り込み303sが位置する仮想直線を対向線とすると、四本の切り込み303tは、五本の対向線の間に配置されている。
【0095】
(効果)
本変形例により得られる効果について説明する。この構成では、形成された切り込みにより、可撓性基板、第1支持板、又は第2支持板の柔軟性が向上するため、スイッチが取り付けられる曲面101sの湾曲が大きくても、スイッチの構成部材に対する応力の集中が防止される。
【0096】
切り込みは、長さ方向Lに沿って形成されていてもよい。また、長さ方向Lに沿った切り込みと、幅方向Wに沿った切り込みとが、一つの板部材に混在して形成されていてもよい。
【0097】
なお、切り込みは、可撓性基板、第1支持板、及び、第2支持板の少なくともいずれかに形成されていればよい。また、カバー部材に切り込みが形成されていてもよい。
【0098】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る接触検知スイッチについて、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。図9は、第2実施形態に係る接触検知スイッチの断面図である。
【0099】
本実施形態に係る接触検知スイッチ401においては、第2支持板4及びカバー部材6が、第2支持板4の中央位置において結合している。具体的には、第2支持板4の上面の中央位置に、接着剤層7kが形成されており、第2支持板4及びカバー部材6は、この接着剤層7kを介して結合している。
【0100】
また、可撓性基板2の下面(曲面101sに面する面)には、接着剤層7jが形成されており、接着剤層7jは、可撓性基板2の中央位置に配置されている。そして、可撓性基板2と曲面101sとは、この接着剤層7jを介して結合する。
【0101】
接着剤層7k及び接着剤層7jは、幅方向Wに沿って延びるように、線状に形成されている。また、図9に示すように、接着剤層7j、接着剤層7b、接着剤層7c、接着剤層7d、及び、接着剤層7kは、高さ方向Hに沿って(中央線に沿って)配置されている。
接触検知スイッチは、このように構成されていてもよい。
【0102】
(効果)
接触検知スイッチ401により得られる効果について説明する。接触検知スイッチ401において、第2支持板4及びカバー部材6は、第2支持板4を二つの領域に分けるように、第2支持板4の中央位置において結合している。
【0103】
この構成では、カバー部材6が設けられている場合において、曲面101sから離れた位置にあるカバー部材6の湾曲が小さくなるため、カバー部材6に作用する力を抑制できる。
【0104】
また、接触検知スイッチ401において、可撓性基板2及び曲面101sは、可撓性基板2を二つの領域に分けるように、可撓性基板2の中央位置において結合する。
【0105】
この構成では、可撓性基板2の全面が曲面101sと結合する場合に比べて、可撓性基板2の湾曲が小さくなる。そのため、スイッチ全体の損傷が、より確実に防止される。
【0106】
なお、(i)第2支持板4及びカバー部材6の間、並びに、(ii)可撓性基板2及び曲面101sの間の一方が、全面で結合していてもよい。
【0107】
(他の実施形態について)
本発明の実施形態は、上記の実施形態に限られない。
例えば、上記の実施形態では、第1支持板の中央位置と、第2支持板の中央位置と、可撓性基板の中央位置と、カバー部材の中央位置とが一致している。しかし、これらは一致していなくてもよい。但し、第1支持板及び第2支持板の結合位置は、第1支持板の中央位置であり、且つ、可撓性基板及び第1支持板の結合位置は、第1支持板の中央位置である。
【0108】
また、接触検知スイッチ1は、凹状の曲面に取り付けて使用できるものであり、接触検知スイッチ1の用途は、CT撮影装置100には限られない。
【0109】
また、第1電極及び第2電極は、格子状に形成されていてもよい。すなわち、上記の実施形態の電極(幅方向Wに沿って延びているもの)に加えて、長さ方向Lに沿って延びる、複数の電極が配置されていてもよい。この場合には、スペーサ部材間の隙間(スペーサが板部材である場合には、スペーサ部材に形成された貫通孔)に対応する位置に、電極からなる格子の交点が配置されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1実施形態に係る接触検知スイッチ、及びCT撮影装置を示す図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は、撮影装置のE−E’断面図である。
【図2】第1実施形態に係る接触検知スイッチの断面図である。
【図3】接触検知スイッチの組み立ての過程を示す平面図であり、(a)は第1支持板の平面図、(b)は第1支持板にスペーサ部材が取り付けられた状態を示す平面図である。
【図4】接触検知スイッチの製造過程を示す平面図である。
【図5】接触検知スイッチが曲面に配置された状態を示す断面図である。
【図6】接触検知スイッチの曲率半径について説明するための断面概略図である。
【図7】中央位置について説明するための平面図である。
【図8】変形例について説明するための図であり、(a)は第1変形例の平面図、(b)は第2変形例の平面図である。
【図9】第2実施形態に係る接触検知スイッチの断面図である。
【図10】従来のスイッチを示す断面概略図である。
【図11】従来のスイッチを示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0111】
1 接触検知スイッチ
2 可撓性部材
3 第1支持板
3A 第1領域
3B 第2領域
3C 中央領域
31 第1電極
4 第2支持板
41 第2電極
5 スペーサ部材
6 カバー部材
7b、7c、7d、7f 接着剤層
71A、71B、71C、71D、71E、71F 結合領域
100 CT撮影装置
101 撮影装置
101h 貫通孔
101b 支持台
101c スライド台
101s 曲面
H 高さ方向
L 長さ方向
S スライド方向(軸方向)
V 周方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状の曲面に対して取り付けられる接触検知スイッチであって、
前記曲面に結合する可撓性基板と、
前記可撓性基板に結合し、表面において第1電極を支持する、可撓性の第1支持板と、
前記第1支持板に結合し、表面において、前記第1電極に対向するように第2電極を支持する、可撓性の第2支持板と、
前記第1支持板と前記第2支持板との間に配置され、前記第1支持板及び前記第2支持板の少なくとも一方に対して固定されているスペーサ部材と、を有し、
前記スペーサ部材は、前記第2支持板が押されていない状態では、前記第1電極と前記第2電極とが接触しないように、前記第1電極と前記第2電極との間に隙間を形成し、
前記可撓性基板及び前記第1支持板は、前記第1支持板を二つの領域に分けるように、前記第1支持板の中央位置において結合し、
前記第1支持板及び前記第2支持板は、前記第1支持板を二つの領域に分けるように、前記第1支持板の中央位置において結合していることを特徴とする接触検知スイッチ。
【請求項2】
前記第1支持板及び前記第2支持板は、前記第2支持板を二つの領域に分けるように、前記第2支持板の中央位置において結合していることを特徴とする請求項1に記載の接触検知スイッチ。
【請求項3】
前記第2支持板の、前記第1支持板に面する側の反対側には、カバー部材が結合していることを特徴とする請求項1又は2に記載の接触検知スイッチ。
【請求項4】
前記カバー部材が、緩衝材料であることを特徴とする請求項3に記載の接触検知スイッチ。
【請求項5】
前記第2支持板及び前記カバー部材は、前記第2支持板を二つの領域に分けるように、前記第2支持板の中央位置において結合していることを特徴とする請求項3に記載の接触検知スイッチ。
【請求項6】
前記可撓性基板及び前記曲面は、前記可撓性基板を二つの領域に分けるように、前記可撓性基板の中央位置において結合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接触検知スイッチ。
【請求項7】
前記可撓性基板、前記第1支持板、又は、前記第2支持板に、切り込みが形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の接触検知スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−129401(P2010−129401A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303341(P2008−303341)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】