説明

接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置。

【課題】接近者の顔画像をはじめとする外観の特徴量が変化したような場合であれ、監視対象に接近する接近者を的確に特定することのできる接近者情報記録装置及び同接近者情報記録装置を用いた接近者威嚇装置を提供する。
【解決手段】監視対象に接近する接近者の撮像に併せて同接近者の生体情報を検出するとともに、各々撮像された画像情報と前記検出された生体情報とを紐付けして記録する。そして、この記録された生体情報とその都度検出される接近者の生体情報との照合を通じて、撮像され、記録された画像情報の履歴確認を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の監視対象に接近する接近者の情報を記録する接近者情報記録装置及び同接近者情報記録装置を用いた接近者威嚇装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接近者情報記録装置としては、例えば、特許文献1に記載の接近者情報記録装置がある。図13にこの特許文献1に記載の接近者情報記録装置についてその概要を示す。
【0003】
図13に示すように、この接近者情報記録装置では、監視対象や監視対象の周辺の監視領域が撮像部10により撮像され、この撮像された監視画像データが監視処理部20を構成する不審者検出部22に出力される。また、監視対象や監視対象の周辺に存在する物体の有無、状態、位置などがセンサ部11により検出され、この検出されたセンサデータが監視処理部20を構成する周辺情報取得部21に出力される。
【0004】
このうち、周辺情報取得部21では、センサ部11から入力されたセンサデータや、ネットワークを介して入力される各種情報に基づき監視対象の周辺情報が取得される。また、不審者検出部22では、撮像部10により撮像された監視画像データから監視対象に接近する接近者の顔画像が抽出される。そして、この抽出された接近者の顔画像は、監視対象への接近が許可された許可者に関する情報が記録及び管理される許可者情報記録部24に記録されている許可者の顔の特徴量と照合される。また、上記抽出された接近者の顔画像は、監視画像や周辺情報が一時的に記録保持される接近情報記録部25に記録されている既検出者の顔の特徴量と照合される。そして、こうした顔画像の特徴量の照合により、撮像部10により撮像された接近者が特定される。
【0005】
また、上記不審者検出部22では、顔画像および監視画像に基づいて、接近者の顔及び視線の向きが検出される。こうした不審者検出部22では、上記照合により特定された接近者の不審度が算出され、この接近者が不審者であるか否かが判定される。また、この不審者検出部22では、目出し帽、フード、フルフェイスのヘルメットなどにより顔を隠蔽した接近者である隠蔽不審者や、接近者の不審行為等が検出される。
【0006】
このような照合により、不審者検出部22では、上記撮像された接近者が利用許可者、接近許可者、既検出者、未検出者等のいずれであるかといった分類や、この接近者が不審者であるか否かの判定が行われる。そして、こうして求められた接近者に関する情報である接近者検出情報が対処動作部23に出力される。また、この不審者検出部22により求められた接近者特定情報、接近者の顔画像データ、接近者の特徴量データ、接近者の視線方向および顔方向を示す情報、接近者による不審行為の内容を示す情報、及び接近者検出情報等の各種情報が接近情報記録部25に記録される。
【0007】
このうち、接近者検出情報が入力される対処動作部23では、不審者の検出時においては、監視対象を不審者から防御するための処理として接近者に対する警告等が行われるとともに、この警告内容が接近情報記録部25に記録される。また、この対処動作部23は、接近情報記録部25に記録されている接近者の情報をユーザの指令に応じて許可者情報記録部24に記録し、この接近者が利用許可者あるいは接近許可者であるとして登録する。また一方、この対処動作部23では、接近者に対し、監視画像データに基づく監視画像を同接近者に対する威嚇として適宜の表示装置に表示する。
【0008】
そして、対処動作部23、許可者情報記録部24、接近情報記録部25によって得られた接近者に関する各種情報は、通信部26に集約されるとともに、同集約された各種情報がネットワークを介して接近者情報を管理するセンタシステムに送信される。
【0009】
このように、上記接近者情報記録装置によれば、上記検出された接近者の顔画像の特徴量と許可者情報記録部24や接近情報記録部25に記録されている人物の顔画像の特徴量との照合を通じて接近者が特定され、この特定された接近者の検出頻度等に基づいて接近者が不審者であるか否かが判定されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−259828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、接近者の顔画像の特徴量とは、あくまでその接近者の外観に関する情報でしかなく、変装等によって接近者の顔が覆われていた場合や夜間時等においては、同一の接近者であっても接近者の顔画像の特徴量が変化することとなる。このため、変装等によって接近者の特徴量が変化したような場合には、上記検出された接近者の顔画像の特徴量と許可者情報記録部24や接近情報記録部25に記録されている接近者の顔画像の特徴量とを照合したとしても、その照合を正確に行うことは困難である。こうしことから、接近者の顔画像に基づきその特定を図ったとしても、その特徴量が変化したような場合には監視対象に接近する接近者を特定することは難しい。このため、接近者の顔画像をはじめとする外観の特徴量が変化したような場合には、接近者の特定にかかる精度も自ずと低下することとなり、この特定回数、すなわち接近者の検出頻度等に基づく不審者の判別にかかる信頼性も自ずと低下するようになる。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接近者の顔画像をはじめとする外観の特徴量が変化したような場合であれ、監視対象に接近する接近者を的確に特定することのできる接近者情報記録装置及び同接近者情報記録装置を用いた接近者威嚇装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、監視対象に接近する接近者を撮像し、この撮像された画像情報を記録する接近者情報記録装置において、前記接近者の撮像に併せて同接近者の生体情報を検出するとともに、各々撮像された画像情報と前記検出された生体情報とを紐付けして記録し、この記録された生体情報とその都度検出される接近者の生体情報との照合を通じて、前記撮像され、記録された画像情報の履歴確認を行うことを要旨とする。
【0014】
上述のように、撮像装置等により撮像された接近者の画像情報は、変装等によって接近者の顔が覆われていた場合や夜間時等においては、同一の接近者であっても相違したものとなる。一方、例えば、声や骨格、歩容といった接近者の固有の情報としての生体情報は、変装等によって接近者の顔が覆われていた場合や夜間時等であれ、その外観の変化の影響を受けることなく同一の情報となる。このため、上記構成によるように、家や自動車といった監視対象に接近する接近者の撮像に併せて同接近者の生体情報を検出するとともに、それら画像情報と生体情報とを紐付けして記録することとすれば、生体情報によって特定された接近者毎の固有の情報として上記画像情報を記録することができるようになる。すなわち、画像情報と生体情報とが記録された接近者が再び検出された際に、その外観の特徴量が変装や周辺環境に起因して変化していたとしても、一旦記録された生体情報と再
び検出された生体情報との照合を通じて上記紐付けされた画像情報と新たに撮像された画像情報とを同一の接近者の画像情報であるとして履歴確認することができるようになる。これにより、接近者の顔画像をはじめとする外観の特徴量が変化したような場合であれ、監視対象に接近する接近者を的確に特定することができるようになる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の接近者情報記録装置において、前記検出された接近者毎の生体情報はその特徴量が量子化され、この量子化された生体情報が前記撮像された画像情報のアドレス情報として紐付けされることを要旨とする。
【0016】
上記構成によるように、上記検出された接近者毎の生体情報の特徴量を量子化するとともに、この量子化された生体情報を画像情報のアドレス情報として紐付けすることとすれば、接近者毎の生体情報と画像情報とを紐付けして記録する上で、接近者毎の生体情報をアドレス情報とした画像情報の管理、データベースの作成が可能となる。これにより、上記記録された生体情報とその都度検出される接近者の生体情報との照合を通じて行われる画像情報の履歴確認を容易に行うことができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の接近者情報記録装置において、前記生体情報が、接近者の動作パターンを示す情報であることを要旨とする。
上記接近者、すなわち、人物の身振り、手振り、立ち上がり動作等の各種動作は、通常、人物毎の固有の動作パターンに基づいて行われるものであり、こうした動作パターンは、人物の外観の特徴量が変化した場合であれ、通常は、同一のものとなる。このため、上記構成によるように、接近者の生体情報として接近者の動作パターンを示す情報を用いることとすれば、接近者毎の固有の動作パターンに基づいた人物の特定を行うことができるようになる。また、こうした接近者の動作パターンは、接近者が撮像装置等によって撮像される顔画像等に基づき識別可能な距離を超える位置に存在したとしても、撮像装置等によって撮像された画像情報に基づき容易に識別することが可能である。これにより、接近者の生体情報を取得する上で、その検知エリアの拡大が図られるようにもなる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の動作パターンを示す情報が、接近者の歩容情報であることを要旨とする。
上記接近者が監視対象に接近する際には、歩行して接近することが普通であり、また、こうした接近者毎の歩行態様、すなわち、歩容情報に基づく同一人物の照合は、その照合率が極めて高い一方、本人拒否率及び他人受入率は極めて低い。このため、上記構成によるように、接近者の動作パターンを示す情報として接近者の歩容情報を用いることとすれば、接近者が歩行して監視対象に接近する際の生体情報を容易に取得することが可能となる。また、生体情報としてのこうした歩容情報は、接近者を高い精度のもとに特定することができることから、上述した生体情報の照合を通じた各画像情報の履歴確認をより高精度に行うことができるようになる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の歩容情報が、接近者の歩行に伴う電位変化を示す非接触歩行信号であることを要旨とする。
【0020】
上記構成によるように、接近者の歩容情報として接近者の歩行に伴う電位変化を示す情報、すなわち非接触歩行信号を用いることとすれば、接近者の歩行に伴う電位変化の検出を通じた接近者の生体情報の取得が可能となる。このため、接近者の生体情報の取得に際しては、例えば監視対象の周辺に設置された検知手段により接近者の電位変化を検出することによって、監視エリアに存在する接近者の生体情報を自動的に取得することができるようになる。これにより、たとえ、接近者の周辺に障害物が存在したとしても、この障害物による影響を受けることなく接近者の生体情報を容易に取得することができるようにな
る。また、上記構成では、接近者の電位変化の検出によってその生体情報を取得可能なことから、接近者に気付かれることなくその生体情報を容易に取得することができるようにもなる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の歩容情報が、接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報であることを要旨とする。
歩行時における接近者の歩容情報としては、歩行時における腕の振り、姿勢、歩幅等といった複数の要素があり、それら各要素は上記歩容シルエットに基づいて取得することが可能である。このため、上記構成によるように、接近者の歩容情報として時系列の歩容シルエットを示す情報を用いることとすれば、接近者の歩行時における周期的な動作特徴に基づいた接近者の特定を高い精度のもとに行うことができるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報が、赤外線カメラによって撮像された画像情報であることを要旨とする。
【0023】
上記構成によるように、接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報として赤外線カメラによって撮像された画像情報、すなわち温度画像を用いることとすれば、特に夜間時おいても接近者の歩容情報を好適に取得することができるようになる。これにより、監視対象の環境条件の変化によることなくその生体情報を高精度に検出することができるようになる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報が、前記撮像された接近者の画像情報から抽出されることを要旨とする。
【0025】
上記構成によるように、接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報を上記撮像された接近者の画像情報から抽出することとすれば、接近者の画像情報を撮像するための撮像装置と接近者の歩容情報を検出するための撮像装置とを共有することができるようになる。これにより、接近者情報記録装置としての構造上の簡略化が図られるようになる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置において、前記接近者の生体情報が検出される都度、当該接近者が不審者であるか否かを判別する不審者判別手段をさらに備え、この判別結果を当該接近者の生体情報及び画像情報と共々紐付けして記録することを要旨とする。
【0027】
上記構成によるように、接近者情報記録装置として上記不審者判別装置をさらに備えることとすれば、接近者の挙動や服装等に基づき監視対象に接近する人物が不審者であるか否かを判別することができるようになる。そして、この不審者判別装置による判別結果を生体情報及び画像情報と共々紐付けして記録することとすれば、接近者の挙動等に基づき不審者であると一旦判別された接近者が再び検出された場合には、接近者が不審者であるかの判別を行うまでもなく、その生体情報の照合を通じた履歴確認として不審者であるか否かを判別することができるようになる。これにより、不審者であると一旦判別された人物が再び検出された場合には、たとえ接近者の挙動や服装等に基づく不審者であるか否かの判別が困難な場合であれ、その生体情報による履歴確認を通じて不審者であると容易に判別することができるようになる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の接近者情報記録装置において、前記不審者判別手段は、前記接近者の生体情報が検出される都度、その生体情報に基づき前記監視対象に接近する頻度をカウントするものであり、このカウントされた接近の頻度に基づき
前記接近者が不審者であるか否かを判別することを要旨とする。
【0029】
通常、家や自動車等の監視対象に接近する接近者とその検出頻度とは、接近者の不審の度合いに相関することが多い。このため、上記構成によるように、一旦不審者と判別された接近者が監視対象に接近する頻度をその生体情報に基づきカウントするとともに、このカウントされた接近の頻度に基づき接近者が不審者であるか否かを判別することとすれば、接近者が監視対象に接近する頻度を高い精度のもとにカウントすることが可能となり、ひいては、こうした接近の頻度に基づく不審者の判別にかかる信頼性が好適に高められるようになる。
【0030】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置において、前記監視対象が自動車であることを要旨とする。
この発明は、請求項11によるように、監視対象とされた自動車の盗難やいたずら等を目的とした不審者等の接近者情報を記録する場合に特に有効であり、上記構成によれば、自動車に接近する接近者の生体情報と画像情報とを紐付けして記録することにより、自動車に接近する接近者の外観の特徴量が変化したような場合であれ、接近者の特定を高い信頼性のもとに行うことができるようになる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置と、前記接近者の画像情報を前記接近者に対して可視表示する表示装置とを備え、前記撮像された接近者の画像情報と前記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを前記表示装置に併せて表示することによって接近者に対する威嚇を行うことを要旨とする。
【0032】
通常、自動車等の監視対象の盗難やいたずらを目的とする不審者は、自動車等の監視対象を視察した上で、変装等によって外観から本人を特定できない状態で盗難やいたずら等の行為を行うことが多く、この場合には、外観の特徴量に基づく接近者の特定は困難である。また、この場合には、外観の特徴量に基づき本人を特定できない画像情報を接近者に対して表示したところで接近者に対する威嚇効果は期待できない。この点、上記構成によれば、画像情報及び生体情報が一旦記録された接近者が検出された場合には、接近者の生体情報に基づき接近者を特定可能なことから、この生体情報の照合を通じて、その都度撮像された接近者の画像情報と上記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを併せて接近者に対して表示することができるようになる。これにより、接近者に対しては、変装等によりその外観の特徴量を変化させたところで同接近者が特定されているとともにその情報が記録されている旨の威嚇を行うことができるようになり、接近者に対する威嚇効果が好適に高められるようになる。そして、特に監視対象が自動車である場合には、上記撮像された接近者の画像情報と上記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを自動車に接近する接近者に対して併せて表示することにより、接近者の外観の特徴量の変化の影響を受けることのない好適な威嚇を行うことができるようになる。
【0033】
請求項13に記載の発明は、請求項9または10に記載の接近者情報記録装置と、前記接近者の画像情報を前記接近者に対して可視表示する表示装置とを備え、前記不審者判別手段により接近者が不審者であると判別されたとき、前記撮像された接近者の画像情報と前記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを前記表示装置に併せて表示することによって当該接近者に対する威嚇を行うことを要旨とする。
【0034】
上記構成によるように、監視対象に接近する接近者が不審者であると判別されたことを条件に、その都度撮像された画像と記録された画像とを表示装置に併せて表示することとすれば、接近者が不審者である場合にのみ画像表示を通じた威嚇が行われる一方、不審者でない接近者に対しては画像表示による威嚇は行われない。これにより、上記各画像情報
の表示によって接近者を威嚇する上で、威嚇が必要とされる接近者のみに対する画像情報の表示が可能となり、接近者威嚇装置としての実用性がより高められるようになる。
【0035】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の接近者威嚇装置において、前記監視対象が自動車であることを要旨とする。
この発明も、請求項14によるように、監視対象とされた自動車の盗難やいたずら等を目的とした不審者等の接近者に対して威嚇を行う場合に特に有効であり、上記構成によれば、上記撮像された接近者の画像情報と上記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを自動車に接近する接近者に対して併せて表示することにより、接近者の外観の特徴量の変化の影響を受けることのない好適な威嚇を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の第1の実施の形態について、その構成を示すブロック図。
【図2】同装置を構成する接近者情報データベースにおけるデータ構造の一例を示す図。
【図3】(a)は、同装置による監視対象と接近者との関係を模式的に示す図。(b)は、接近者の非接触歩行信号の一例を示す図。
【図4】(a)は、同装置による監視対象と接近者との関係を模式的に示す図。(b)は、接近者の非接触歩行信号の一例を示す図。
【図5】(a)は、履歴画像表示部に表示される画像情報の一例を示す図。(b)は、現画像表示部に表示される画像情報の一例を示す図。
【図6】同装置による接近者の情報の記録手順及び接近者に対する威嚇手順を示すフローチャート。
【図7】同装置による接近者の非接触歩行信号と画像情報との紐付け処理を示すフローチャート。
【図8】同装置による接近者の情報の記録手順及び接近者に対する威嚇手順を示すタイムチャート。
【図9】本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の第2の実施の形態について、その構成を示すブロック図。
【図10】(a)〜(c)は、同実施の形態の歩容シルエット抽出部によって抽出される接近者の歩容シルエットの一例を模式的に示す図。
【図11】本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の第3の実施の形態について、接近者情報データベースにおけるデータ構造の一例を示す図。
【図12】本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の他の実施の形態について、その全体構成を模式的に示す図。
【図13】従来の接近者情報記録装置について、その概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明にかかる接近者情報記装置及び接近者威嚇装置を具体化した第1の実施の形態について図1〜図8を参照して説明する。この実施形態の装置は、監視対象とする自動車に搭載されて、同自動車に接近する接近者の情報を記録するとともに、この接近者に対して威嚇を行う装置として構成されている。
【0038】
まず、図1に示されるように、この接近者情報記装置及び接近者威嚇装置は、車両の停止時において監視対象とする自動車に接近する接近者を撮像する画像センサ110を備えている。なお、この画像センサ110は、本実施の形態においては、車両の周辺環境を撮像可能な態様で自動車に搭載されている。また、この接近者情報記装置及び接近者威嚇装置には、自動車に接近する接近者の電位変化を検出する非接触歩行認証装置111が併せて設けられている。便宜上、図示は割愛するが、この非接触歩行認証装置111は、監視
対象の周辺に設けられたステンレンス等の金属からなる電極と、接近者の歩行によって生じる同電極の浮遊容量の変化を電流の変化として検出する電流計測部とによって構成されている。そして、この電極の浮遊容量の出力波形が接近者毎の固有の生体情報を示す非接触歩行信号として抽出される。なお、本実施の形態では、非接触歩行認証装置111を構成する電極は、接近者の電位変化を検出可能な態様で自動車に搭載されている。
【0039】
このように、画像センサ110によって撮像された接近者の画像情報と非接触歩行認証装置111によって抽出された非接触歩行信号とは、それら画像情報と非接触歩行信号とを紐付けする紐付け処理部121に取り込まれる。この紐付け処理部121では、接近者毎の非接触歩行信号を接近者の固有の生体情報として、それら画像情報と非接触歩行信号との紐付けが行われる。なお、この画像情報と非接触歩行信号との紐付けは、非接触歩行信号の特徴量が量子化され、この量子化された非接触歩行信号が画像情報のアドレス情報として紐付けされることによって行われる。そして、こうした紐付け処理部121により紐付けされた画像情報と非接触歩行信号(正確にはその量子化された特徴量を示す情報:以下では便宜上、この特徴量が量子化された情報を含めて非接触歩行信号という)とが、接近者毎の固有の情報として適宜記録される接近者情報データベース130に記録される。これにより、この接近者情報データベース130には、自動車に接近する接近者が検出される都度、その接近者の生体情報としての非接触歩行信号と画像情報とが紐付けされて記録されるようになる。
【0040】
また、紐付け処理部121に入力された情報のうちの画像センサ110によって撮像された接近者の画像情報は、この撮像された接近者が不審者であるか否かの判別を行う不審者判別手段としての不審者判別部122に入力される。この不審者判別部122では、撮像された接近者の画像情報に基づき同接近者の挙動や服装等を判別基準とした不審者判別が行われる。そして、上記検出された接近者がこうした不審者判別部122によって不審者であると判別された場合には、該不審者判別部122の制御のもとに、画像センサ110により撮像された画像情報が現画像表示部141に表示される。この現画像表示部141は、画像センサ110により撮像された画像情報を接近者自身に対して可視表示する部分である。また、不審者判別部122では、不審者と判別された接近者の非接触歩行信号をもとに、この非接触歩行信号が接近者情報データベース130に記録されている接近者毎の非接触歩行信号と照合される。そして、上記非接触歩行認証装置111によって検出された非接触歩行信号と同一の非接触歩行信号が接近者情報データベース130に記録されていた場合には、この記録された非接触歩行信号に紐付けされた画像情報の履歴確認が行われる。こうして、非接触歩行認証装置111によって非接触歩行信号が検出された接近者の画像情報である履歴画像情報が接近者情報データベース130に記録されていた場合には、同じく不審者判別部122の制御のもとに、この接近者情報データベース130に記録されている履歴画像情報が履歴画像表示部142に表示される。この履歴画像表示部142も、上記条件にて検索された履歴画像情報を接近者自身に対して可視表示する部分である。
【0041】
このように、本実施の形態では、不審者と判別された接近者に対しては、現在の接近者の画像情報と接近者情報データベース130に記録されている履歴画像情報とが現画像表示部141と履歴画像表示部142とに併せて表示されることによって、不審者と判別された接近者に対する威嚇が行われるようになる。
【0042】
次に、上記接近者情報データベース130に記録されているデータ構造の一例を図2を参照して説明する。
この図2に示すように、接近者情報データベース130には、上記非接触歩行信号の特徴量が量子化された接近者毎の生体情報として、例えば16ビットの生体情報が記録されている。そして、この量子化された16ビットの生体情報をアドレス情報として、例えば
、人物A〜人物Eの画像情報a〜eが人物毎に紐付けされて記録されている。こうした接近者情報データベース130では、例えば非接触歩行信号及び画像情報が一度記録された人物Bが自動車に再び接近したような場合には、その非接触歩行信号が検出されると同検出された非接触歩行信号の特徴量が量子化された例えば「0000110000001100」といった情報をアドレス情報として人物Bの履歴確認が行われる。そして、例えばデジタル比較器に接続されたレジスタ上でのアドレス情報の照合を通じて人物Bの履歴確認が行われると、接近者情報データベース130に記録されている人物Bの画像情報bと新たに撮像された人物Bの画像情報b*とが同一人物の画像情報であるとして履歴確認される。
【0043】
次に、こうした接近者情報記装置及び接近者威嚇装置によって行われる接近者情報の記録態様について、図3〜図5を参照して説明する。なお、図3(a)及び図4(a)は、それぞれ、監視対象としての自動車と同自動車に接近する接近者との関係を模式的に示している。また、図3(b)及び図4(b)は、それぞれ、上記非接触歩行認証装置111によって検出された接近者の非接触歩行信号の一例を示している。
【0044】
図3(a)に示すように、自動車Cに搭載された上記画像センサ110の監視エリアに人物TGの接近が確認されたとすると、この接近者TGが画像センサ110によって撮像され、その画像情報が取得される。また、こうした接近者TGの非接触歩行信号が上記非接触歩行認証装置111によって取得される。
【0045】
この非接触歩行認証装置111により取得された非接触歩行信号は、図3(b)に示すように、接近者TG毎に固有の特性を有する波形となっており、その波高や波長等といった特徴量が接近者TG毎に異なる固有のものとなっている。そして、こうした接近者TGの固有の非接触歩行信号に、画像センサ110によって撮像された画像情報が紐付けされて記録される。このように、本実施の形態では、自動車Cに接近する接近者TGが検出される都度、その画像情報と非接触歩行信号とが取得されるとともに、それら紐付けされて適宜記録されるようになる。
【0046】
ここで、例えば、図4(a)に示すように、図3(a)に示した同一の人物であって、変装によってその外観の特徴量が変化した人物(接近者)TGが再び自動車Cに接近したとすると、この接近者TGが画像センサ110によって撮像されるとともに、同接近者TGの非接触歩行信号が非接触歩行認証装置111によって取得される。このうち、画像センサ110によって取得される接近者TGの画像情報は、同接近者TGの外観の特徴量が変装によって変化したことから、先の図3(a)に示した状況下で取得された接近者TGの画像情報とは異なる情報となっている。一方、非接触歩行認証装置111によって取得される非接触歩行信号は、図4(b)に示すように、接近者TGの外観の特徴量の変化の影響を受けることなく人物毎の固有の情報であることから、先の図3(a)に示した状況下で取得された接近者TGの非接触歩行信号(図3(b)参照)と同一の特徴量を有する情報となっている。すなわち、変装等によって接近者の顔が覆われていた場合や夜間時において接近者TGの外観の特徴量が変化したとしても、非接触歩行認証装置111によって取得される非接触歩行信号は、それらの変化の影響を受けることなく接近者TGの固有の情報として取得することが可能である。そして、本実施の形態では、不審者判別部122の判別に基づき接近者TGが不審者であると判別されることにより、接近者TGの非接触歩行信号の照合を通じた接近者TGの履歴確認が行われる。この履歴確認に基づき接近者TGの画像情報が接近者情報データベース130に記録されていた場合には、この記録された画像情報、すなわち、先の図3(a)に示した状況下で取得された接近者TGの画像情報と図4(a)に示した状況下で取得された接近者TGの画像情報とが関連付けられる。こうして、接近者TGの各々の画像情報が関連付けられると、各々関連付けられた画像情報が上記現画像表示部141及び履歴画像表示部142を通じて接近者TGに同時表
示されて、接近者TGに対する威嚇が行われる。
【0047】
このように、本実施の形態では、監視対象とする自動車Cに接近者TGが接近する都度、その画像情報と非接触歩行信号とが取得、記録される。そして、画像情報及び非接触歩行信号が取得された接近者TGが自動車Cの盗難等を目的として再び自動車Cに接近した場合には、図5(a)及び(b)にそれぞれ示すように、非接触歩行信号による照合を通じて履歴確認された記録済の画像情報と画像センサ110によって撮像中の画像情報とが併せて画像表示される。これにより、自動車Cの盗難等を目的とする不審者に対しては、変装等をして外観の特徴量を変化させたとしても、本人が特定され、その画像情報が記録されている旨を通知することが可能となり、不審者に対する威嚇効果が高められるようになる。
【0048】
次に、こうした装置による接近者の情報の記録手順及び威嚇手順について、図6を参照してさらに詳述する。
まず、図6に示すように、ステップS101において、自動車Cが駐車場等に停車されると、画像センサ110及び非接触歩行認証装置111によって自動車Cの周辺環境の監視が開始される。次いで、それら画像センサ110及び非接触歩行認証装置111の監視に基づき自動車Cに接近する接近者TGが検知されると、この接近者TGの画像情報及び非接触歩行信号が取得されるとともに、それら取得された画像情報及び非接触歩行信号が記録される(ステップS102:YES、S103)。こうして、自動車Cに接近する接近者TGの画像情報及び非接触歩行信号が取得され、記録されると、画像情報から抽出される接近者TGの挙動や服装等に基づいて同接近者TGが自動車Cの盗難等を目的とした不審者であるかが判別される(ステップS104)。
【0049】
そして、接近者TGが不審者であると判別された場合には、この不審者と判別された接近者TGの非接触歩行信号の照合を通じて、接近者TGと同一の人物の画像情報が接近者情報データベース130に記録されているか否かの履歴確認が行われる(ステップS105)。この履歴確認を通じて接近者TGと同一の人物の画像情報が接近者情報データベース130に記録されていた場合には、先の図5(a)及び(b)に示した履歴画像と撮像中の画像とが併せて接近者TGに対して表示される(ステップS106:YES、S107)。一方、上記履歴確認を通じて接近者TGと同一の人物の画像情報が接近者情報データベース130に記録されていない場合には、先の図5(b)に示した撮像中の画像のみが接近者TGに対して画像表示される(ステップS106:NO、S108)。
【0050】
次に、上記紐付け処理部121によって行われる接近者TGの非接触歩行信号と画像情報との紐付け処理を、図7を参照して説明する。
図7に示すように、まず、接近者TGの非接触歩行信号と画像情報とが紐付け処理部121に取り込まれると(ステップS201、S202)、このうち、非接触歩行信号の特徴量の量子化が行われる(ステップS203)。そして、この量子化された非接触歩行信号をアドレス情報として、接近者TGの非接触歩行信号に画像情報が紐付けされる(ステップS204)。
【0051】
こうして、紐付けされた非接触歩行信号と画像情報とは、接近者TGを特定する固有の情報として接近者情報データベース130に記録される(ステップS205)。そして、こうした紐付け処理が、接近者TGの非接触歩行信号及び画像情報が取得される都度行われることにより、接近者情報データベース130には、自動車Cに接近した接近者TGの非接触歩行信号及び画像情報が先の図2に例示した態様で蓄積されるようになる。
【0052】
次に、上記接近者情報記録装置による接近者TGの非接触歩行信号と画像情報との履歴確認手順及び接近者TGに対する威嚇態様について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、タイミングt1(ここでの例では日中)において、自動車Cに接近する接近者TGが画像センサ110及び非接触歩行認証装置111により検知されたとすると、この接近者TGの画像情報と非接触歩行信号とが取得され、各々紐付けされて接近者情報データベース130に記録される。なお、ここでの例では、タイミングt1において検知された接近者TGは、変装等を行っておらず、外観の特徴量に基づいても接近者TGを特定可能な画像情報が撮像されているものとする。
【0053】
そして、タイミングt2(ここでの例では夜間時)において、変装によって外観の特徴量を変化させた接近者TGが自動車Cの盗難等を目的として再び同自動車Cに接近したとすると、この接近者TGの画像情報と非接触歩行信号とが取得され、各々紐付けされて接近者情報データベース130に記録される。ただし、この際に取得される接近者TGの画像情報は、夜間時であるとともに接近者TGの外観の特徴量が変装によって変化されていることから、画像センサ110によって撮像される画像情報に基づく接近者TGの特定は困難となっている。
【0054】
そこで本実施の形態では、図8に示すように、
a.非接触歩行認証装置111によって取得された非接触歩行信号をアドレス情報として、接近者TGの記録が検索される。
b.接近者TGの記録の検索を通じて照合された非接触歩行信号を辿って、この非接触歩行信号に紐付けされた接近者TGの画像情報の履歴確認が行われる。
c.履歴確認されたタイミングt1の時点で撮像され、記録された画像情報が、タイミングt2において画像情報が取得された接近者TGと同一の人物であるとして読み込まれ、それら各画像情報が接近者TGに対して画像表示される。
といった態様にて、接近者TGを特定するとともに、この特定された接近者TGに対する威嚇が行われる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)自動車Cに接近する接近者TGの撮像に併せて接近者TGの非接触歩行信号を検出するとともに、それら画像情報と非接触歩行信号とを紐付けして記録することとした。このため、自動車Cに接近する接近者TGの画像情報を、同接近者TGの非接触歩行信号によって特定された固定の情報として接近者情報データベース130に適宜記録することができるようになる。これにより、画像情報及び非接触歩行信号が一旦記録された接近者TGが再び検出された際には、変装等によって接近者TGの外観の特徴量が変化したような場合であれ、自動車Cに接近する接近者TGを的確に特定することができるようになる。
【0056】
(2)非接触歩行認証装置111により検出された接近者TG毎の非接触歩行信号の特徴量を量子化するとともに、この量子化された非接触歩行信号を画像センサ110により撮像された画像情報のアドレス情報として紐付けすることとした。このため、接近者TG毎の非接触歩行信号と画像情報とを紐付けして記録する上で、接近者TG毎の固有の非接触歩行信号をアドレス情報とした画像情報の管理、データベースの作成が可能となる。これにより、非接触歩行信号の照合を通じた接近者TG毎の画像情報の履歴確認を容易に行うことができるようになる。
【0057】
(3)接近者TGの生体情報として、接近者TGの非接触歩行信号を用いることとした。このため、接近者TGの生体情報の検出を通じて接近者TGを特性する上で、その特定精度が好適に高められるようになる。また、こうした非接触歩行信号、すなわち、接近者TGの電位変化を示す情報は、先の電極の浮遊容量の変化として検出可能なことから、たとえ、接近者の周辺に障害物が存在したとしてもこの障害物による影響を受けることなく
容易に取得することができるようになる。
【0058】
(4)接近者TGに対して同接近者TGの画像情報を可視表示する現画像表示部141及び履歴画像表示部142を備えるとともに、それら現画像表示部141及び履歴画像表示部142に撮像中の画像情報と接近者情報データベース130に紐付けされて記録された画像情報とを併せて表示することによって接近者TGに対する威嚇を行うこととした。こうした構成によれば、画像情報及び非接触歩行信号が紐付けされて記録された接近者TGに対しては、撮像中の画像情報に併せて記録された履歴画像を表示することができるようになる。このため、接近者TGが自動車Cの盗難等を目的として変装等によって外観の特徴量を変化させて再び自動車Cに接近した際には、画像センサ110によって撮像されている画像情報に併せて、接近者情報データベース130に記録されている画像情報が表示されるようになる。これにより、接近者TGに対しては、変装等により外観の特徴量を変化させたとしても、本人が特定され、その画像情報が記録されている旨を通知することが可能となり、ひいては、自動車の盗難等を目的とした接近者TGに対する威嚇効果が好適に高められるようになる。
【0059】
(6)不審者判別部122により接近者TGが不審者であると判別されたときに、現画像表示部141及び履歴画像表示部142による画像情報の表示を行うこととした。これにより、各々撮像され、記録された画像情報を接近者TGに対して表示することで威嚇を行う上で、威嚇が必要とされる接近者TGのみに対する画像情報の表示が可能となり、接近者威嚇装置としての実用性がより高められるようになる。
【0060】
(7)上記接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置による監視対象を自動車Cとした。これにより、自動車Cの盗難やいらずら等を目的として同自動車Cに接近する接近者TGの外観が変化したような場合であれ、その接近者TGに対する撮像され、記録された画像情報の表示による好適な威嚇を行うことができるようになる。
【0061】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の第2の実施の形態について図9〜図10を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態は、接近者TGの生体情報として、接近者TGの歩容シルエットを示す情報を用いるものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
【0062】
図9は、先の図1に対応する図として、本実施の形態における接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置についてその概略構成を示したものである。なお、この図9において、先の図1に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0063】
すなわち、図9に示すように、本実施の形態では、赤外線カメラ150によって接近者TGが撮像され、この赤外線カメラ150により撮像された温度画像が歩容シルエット抽出部151に取り込まれる。この歩容シルエット抽出部151では、赤外線カメラ150によって撮像された温度画像から背景差分によって接近者TGの時系列の歩容シルエットを示す情報が抽出される。こうして、歩容シルエット抽出部151により抽出された接近者TGの歩容シルエットを示す情報は、紐付け処理部121に取り込まれ、その特徴量が量子化される。そして、先の第1の実施の形態と同様、特徴量が量子化された歩容シルエットを示す情報をアドレス情報として、画像センサ110によって撮像された画像情報が紐付けされて、接近者情報データベース130に記録される。
【0064】
次に、上記歩容シルエット抽出部151によって抽出される接近者TGの歩容シルエットについて、図10を参照して説明する。なお、図10(a)〜(c)は、それぞれ、歩
容シルエット抽出部151によって撮像された温度画像の一例を時系列に示したものである。
【0065】
この図10(a)〜(c)に示すように、歩容シルエット抽出部151によって撮像された接近者TGの温度画像は、接近者TGの姿勢、歩幅、手足の振り等の周期的な動作が接近者TG毎に異なる特徴を有している。また、こうした歩容シルエットを示す情報とは、接近者TGが変装等によってその外観の特徴量を変化させたとしても同一の情報となっており、接近者TGの外観の特徴量の変化の影響を受けることなく接近者TGを特定することができるようになる。このように、本実施の形態においても、こうした接近者TGの歩容シルエットを示す情報(正確にはその量子化された特徴量を示す情報)と上記画像情報とを紐付けして記録することにより、接近者TG毎の画像情報の記録と履歴確認とを高い信頼性のもとに行うことができるようになる。
【0066】
以上、説明したように、本実施の形態においても前記(1)、(2)、(4)〜(7)の効果が得られるとともに、前記(3)の効果に代えて以下のような効果が得られるようになる。
【0067】
(3A)接近者TGの生体情報として、接近者TGの時系列の歩容シルエットを示す情報を用いることとした。このため、接近者TG毎の姿勢、歩幅、手足の振り等の周期的な動作特徴に基づいて接近者TGを特定することができるようになる。これにより、接近者TGの生体情報の検出を通じて接近者TGを特性する上で、その特定にかかる精度が好適に高められるようになる。
【0068】
(3B)接近者TGの歩容シルエットを、赤外線カメラ150によって撮像することとした。これにより、特に夜間時おいても接近者の歩容情報を好適に取得することができるようになり、監視対象の環境条件の変化によることなくその生体情報を高精度に検出することができるようになる。
【0069】
(第3の実施の形態)
以下、本発明にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置の第3の実施の形態について図11を参照して説明する。なお、この第3の実施の形態は、上記不審者判別部122による接近者TGが不審者であるか否かの判別結果を同接近者TGの非接触歩行信号及び画像情報と共々紐付けして記録するものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
【0070】
すなわち、先の図2に対応する図として図11に示すように、本実施の形態では、不審者判別部122によって接近者TGが不審者であるか否かが判別されると、この判別結果が接近者TGの非接触歩行信号の特徴量が量子化された情報をアドレス情報として同接近者TGの画像情報と共に紐付けされる。この判別結果の紐付けに際しては、不審者判別部122による判別結果に基づき、接近者TGが不審者であると判別された場合は不審者フラグとして「1」が、接近者TGが不審者でないと判別された場合には不審者フラグとして「0」がそれぞれ上記アドレス情報に紐付けされる。接近者情報記録装置としてこのような構成によれば、自動車Cに接近する接近者TGの非接触歩行信号及び画像情報が取得される都度、上記アドレス情報には、接近者TGの画像情報と同接近者TGが不審者であるか否かが判別された判別結果とが適宜紐付けされて記録されるようになる。これにより、接近者情報データベース130には、自動車Cに接近した接近者TG毎の非接触歩行信号、画像情報、不審者であるか否かの判別結果がそれぞれ紐付けされて集積されるようになる。
【0071】
ここで、例えば、挙動や服装等に基づき一旦不審者と判別された人物Bが自動車Cに再
度接近したような場合には、まず、その非接触歩行信号が検出されるとともに、この検出された非接触歩行信号の特徴量が量子化された例えば「0000110000001100」といった情報をアドレス情報として人物Bの履歴確認が行われる。そして、アドレス情報の照合を通じて人物Bの履歴確認が行われると、画像情報の履歴確認に併せて、同人物Bが不審者であるか否かの判別結果、すなわち不審者フラグの履歴確認が行われる。こうした履歴確認に基づき、上記不審者判別部122では、接近者情報データベース130に記録されている不審者フラグが「1」であることから、人物Bが不審者であるか否かを判別するまでもなく人物Bが不審者であるか否かを判別することができるようになる。これにより、一旦不審者であると判別された人物Bが再び自動車Cに接近した場合には、その挙動や服装等に基づき同人物Bが不審者であるか否かを判別することが困難な状況下であったとしても、非接触歩行信号の照合による履歴確認を通じて人物Bが不審者であるか否かを容易に判別することができるようになる。なお、本実施の形態では、接近者の歩容情報として第1の実施の形態で採用した非接触歩行信号を用いたが、同歩容情報としては、第2の実施の形態で採用した時系列の歩容シルエットを示す情報も同様に用いることができることは云うまでもない。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態にかかる接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置によれば、前記(1)〜(7)の効果に併せて、さらに以下の効果が得られるようになる。
(8)不審者判別部122による接近者TGが不審者であるか否かの判別結果を同接近者TGの非接触歩行信号及び画像情報と共々紐付けして記録することとした。これにより、一旦不審者であるか否かの判別された接近者TGが再び検出された場合には、改めて接近者が不審者であるかの判別を行うまでもなく、その非接触歩行信号の照合を通じた履歴確認として接近者TGが不審者であるか否かを容易に判別することができるようになる。これにより、一旦不審者と判別された人物が再び検出された場合には、その挙動や服装等に基づく不審者であるか否かの判別が困難な場合であれ、非接触歩行信号による履歴確認を通じて不審者であると容易に判別することができるようになる。
【0073】
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記各実施の形態では、接近者TGの生体情報と画像情報との紐付けを、特徴量が量子化された生体情報をアドレス情報として同アドレス情報に画像情報を紐付けすることにより行うこととした。これに限らず、生体情報の特徴量の量子化を割愛し、接近者の生体情報と画像情報とを直接紐付けして記録するとともに、この記録された生体情報の照合を通じて上記履歴確認を行うようにしてもよい。
【0074】
・上記第2の実施の形態では、接近者TGの歩容シルエットを、上記赤外線カメラ150によって撮像された温度画像から抽出することとした。これに限らず、接近者TGを識別可能な歩容シルエットを示す情報を取得可能な場合には、赤外線カメラ150を割愛し、接近者TGの歩容シルエットを画像センサ110によって撮像された画像情報から抽出する構成としてもよい。こうした構成によれば、接近者TGの画像情報を撮像するための撮像装置と接近者TGの歩容シルエットを検出するための撮像装置とを共有することができるようになり、ひいては、接近者情報記録装置あるいは接近者威嚇装置としての構造上の簡略化が図られるようになる。
【0075】
・上記各実施の形態では、接近者TGの生体情報として接近者TGの動作パターンを示す情報のうちの歩容情報を用いることとしたが、接近者TGの動作パターンとしては、接近者を特定可能なものであればよく、この他、接近者TGの身振り、手振り、立ち上がり動作等の各種動作を用いることも可能である。また、接近者TGの生体情報としては、接近者TGが自動車Cに接近する際に取得可能な情報であればよく、接近者TGの声や臭い、脈拍等を示す情報を用いる構成であってもよい。要は、接近者TGの外観の特徴量が変
化したような場合であれ、同接近者TGを特定することが可能な情報であれば本発明の適用は可能である。
【0076】
・上記各実施の形態では、接近者TGが不審者であるか否かの判別を、画像センサ110によって撮像された画像情報に基づいて接近者TGの挙動や服装等に基づき行うこととした。これに限らず、接近者TGの生体情報に基づき接近者TGが自動車Cに接近する頻度をカウントするとともに、このカウントされた接近の頻度に基づき接近者TGが不審者であるか否かを判別する構成であってもよい。こうした構成によれば、接近者TGが自動車Cに接近する頻度に基づきその不審者判別を行う上で、その判別にかかる精度が高められるようになる。
【0077】
・上記第1及び第2の形態では、接近者情報記録装置及び接近者威嚇装置が不審者判別部122を備えて構成される。そして、この不審者判別部122により接近者TGが不審者であると判別されたときに上記履歴確認を行うとともに、この履歴確認が行われた接近者情報データベース130に記録されている画像情報と画像センサ110により撮像されている接近者TGの画像情報とを併せて表示することとした。これに限らず、不審者判別部122を割愛し、自動車Cに接近する接近者TGが検知される都度、接近者TGの画像情報の履歴確認を行うとともに、同接近者TGに対して上記各画像情報を表示する構成であってもよい。
【0078】
・上記各実施の形態では、画像センサ110及び非接触歩行認証装置111、赤外線カメラ150を自動車Cに搭載する構成とした。これに限らず、図12に示すように、自動車Cが停車される車庫G等に画像センサ110を設置するとともに、非接触歩行認証装置111を構成する電極111aを設置する構成としてもよい。また、この場合には、画像センサ110及び画像センサ110によって撮像され、記録された画像情報を表示する現画像表示部141及び履歴画像表示部142を車庫Gの出入り口部分に設置し、それら現画像表示部141及び履歴画像表示部142に各画像情報を表示する構成としてもよい。こうした構成によれば、画像センサ110及び非接触歩行認証装置111の設置にかかる自由度が高められることから、それら画像センサ110及び非接触歩行認証装置111による監視エリアの拡大が図られるようになる。要は、接近者TGの画像情報と生体情報とを取得する装置は、接近者TGの画像情報と生体情報とを取得可能な位置に設けられる構成であればよい。
【0079】
・上記各実施の形態では、上記監視対象を自動車とした。これに限らず、監視対象は、家屋や施設等の各種不動産であってもよい。要は、動産であれ、不動産であれ、本発明によるそれらの監視対象に接近する接近者の情報を記録するとともに威嚇を行う構成であれば、本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0080】
110…画像センサ、111…非接触歩行認証装置、111a…電極、121…紐付け処理部、122…不審者判別部、130…接近者情報データベース、141…現画像表示部、142…履歴画像表示部、150…赤外線カメラ、151…歩容シルエット抽出部、C…自動車、G…車庫、TG…接近者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に接近する接近者を撮像し、この撮像された画像情報を記録する接近者情報記録装置において、
前記接近者の撮像に併せて同接近者の生体情報を検出するとともに、各々撮像された画像情報と前記検出された生体情報とを紐付けして記録し、この記録された生体情報とその都度検出される接近者の生体情報との照合を通じて、前記撮像され、記録された画像情報の履歴確認を行う
ことを特徴とする接近者情報記録装置。
【請求項2】
前記検出された接近者毎の生体情報はその特徴量が量子化され、この量子化された生体情報が前記撮像された画像情報のアドレス情報として紐付けされる
請求項1に記載の接近者情報記録装置。
【請求項3】
前記生体情報が、接近者の動作パターンを示す情報である
請求項1又は2に記載の接近者情報記録装置。
【請求項4】
前記接近者の動作パターンを示す情報が、接近者の歩容情報である
請求項3に記載の接近者情報記録装置。
【請求項5】
前記接近者の歩容情報が、接近者の歩行に伴う電位変化を示す非接触歩行信号である
請求項4に記載の接近者情報記録装置。
【請求項6】
前記接近者の歩容情報が、接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報である
請求項4に記載の接近者情報記録装置。
【請求項7】
前記接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報が、赤外線カメラによって撮像された画像情報である
請求項6に記載の接近者情報記録装置。
【請求項8】
前記接近者の時系列の歩容シルエットを示す情報が、前記撮像された接近者の画像情報から抽出される
請求項6に記載の接近者情報記録装置。
【請求項9】
前記接近者の生体情報が検出される都度、当該接近者が不審者であるか否かを判別する不審者判別手段をさらに備え、この判別結果を当該接近者の生体情報及び画像情報と共々紐付けして記録する
請求項1〜8のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置。
【請求項10】
前記不審者判別手段は、前記接近者の生体情報が検出される都度、その生体情報に基づき前記監視対象に接近する頻度をカウントするものであり、このカウントされた接近の頻度に基づき前記接近者が不審者であるか否かを判別する
請求項9に記載の接近者情報記録装置。
【請求項11】
前記監視対象が自動車である
請求項1〜10のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の接近者情報記録装置と、前記接近者の画像情報を前記接近者に対して可視表示する表示装置とを備え、
前記撮像された接近者の画像情報と前記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された
画像情報とを前記表示装置に併せて表示することによって接近者に対する威嚇を行う
ことを特徴とする接近者威嚇装置。
【請求項13】
請求項9または10に記載の接近者情報記録装置と、前記接近者の画像情報を前記接近者に対して可視表示する表示装置とを備え、
前記不審者判別手段により接近者が不審者であると判別されたとき、前記撮像された接近者の画像情報と前記接近者情報記録装置に紐付けされて記録された画像情報とを前記表示装置に併せて表示することによって当該接近者に対する威嚇を行う
ことを特徴とする接近者威嚇装置。
【請求項14】
前記監視対象が自動車である
請求項13に記載の接近者威嚇装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−118812(P2011−118812A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277509(P2009−277509)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】