説明

描画表示装置

【課題】発光ダイオードを使用したライトペンを採用することで、安全性を確保すると共に、該ライトペンの軌跡を、表示領域に表示できる描画表示装置を提供する。
【解決手段】表示領域14に表示画像を表示するプロジェクタ5と、発光ダイオード8を具備するライトペン2と、発光ダイオード8が点灯中のライトペン2を撮像可能であり、表示領域14の対向方向を撮像するカメラ3と、カメラ3により撮像された画像を順次記憶するメモリ4bと、メモリ4bに直近所定時間内に記憶された画像を積算した積算画像に基づき、前記表示画像を生成する中央演算処理装置4aを具備したパーナルコンピュータ4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を放出するライトペンの軌跡を、表示領域に表示する描画表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーションの場などで使用されるレーザポインタ、或いは発光ダイオードポインタは、手軽に光による描画も行うことができ、ライトペンとしても使用することができる。また、前記ライトペンは、前記プレゼンテーションの場における描画用としてだけでなく、レクレーション等における遊具としても使用できる。
【0003】
ところで、前記ライトペンにより描画した絵は、光であるため瞬時に消えてしまうが、当該描画した絵がその後も残り表示され続ければ、プレゼンテーションの効果、またレクレーションにおける娯楽性は高まる。
【0004】
このような状況を鑑みてか、特許文献1には、使用者がライトペンにてプレゼンテーション資料等が表示された画面上に描画した際の該ライトペンの軌跡を検出し、前記画面上に継続して表示するポインタ光トラッキング方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公表2006−85580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のポインタ光トラッキング方法は、発光ダイオードポインタをライトペンとして採用することは困難である。その理由は、該ポインタ光トラッキング方法では、プレゼンテーション資料等が表示された画面を撮像し、当該画像より輝度の高い点を抽出することより前記ライトペンの軌跡を求めるが、発光ダイオードから発せられる光は発散光である。従って、前記発光ダイオードポインタから前記画面に到達するまでの間に拡散してしまい、該画面上における該発光ダイオードから発せられる光の輝度は低くなるので、その抽出が困難となるからである。一方、レーザポインタをライトペンとして採用した場合には、レーザ光の発散が少ないので上記問題が生じることはないものの、該ポインタ光トラッキング方法をレクレーション用途に適用するとするならば、前記レーザポインタは、子供にも使用されることになり、危険なレーザ光が目に入るなどの事故が懸念される。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決することを目的としてなされたものであり、発光ダイオードを使用したライトペンを採用することで、安全性を確保すると共に、該ライトペンの軌跡を、表示領域に表示できる描画表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の描画表示装置は、表示領域に表示画像を表示する表示部と、発光ダイオードを具備するライトペンと、前記発光ダイオードが点灯中の前記ライトペンを撮像可能であり、前記表示領域の対向方向を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された画像を順次記憶するメモリと、該メモリに直近所定時間内に記憶された画像を積算した積算画像に基づき、前記表示画像を生成する中央処理演算装置を具備した処理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の描画表示装置は、前記処理部が、前記積算画像の左右を反転させることにより、前記表示画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の描画表示装置では、カメラが、利用者が表示領域に向かった描画に供している発光ダイオードが点灯中のライトペンを撮像する。前記発光ダイオードは、電球などと比べて高輝度な光源であるため、前記カメラにより撮像された画像中、点灯中の該発光ダイオードが撮像された領域は明るく記録される。また、処理部は、中央処理演算装置が、メモリに記憶されている直近所定時間内にカメラから送られた画像を積算した積算画像に基づく、表示画像を生成する。従って、前記表示画像には、直近所定時間内の前記発光ダイオードの動き、即ち直近所定時間内の前記ライトペンの軌跡が記録されており、該表示画像は、表示領域に表示部により表示される。以上に基づき、本描画表示装置は、直近所定時間内の前記ライトペンの軌跡を、前記利用者等に見せることができるので、プレゼンテーション、或いはレクレーションの場で活用することができる。また本描画表示装置は、上記のように発光ダイオードを使用していることから、前記利用者の安全性の確保もできる。
【0011】
請求項2に記載の描画表示装置では、前記カメラが前記表示領域の対向方向を撮像することに基づき前記積算画像の左右の反転が生じるが、前記処理部が、前記積算画像の左右の反転をキャンセルするために、該積算画像の左右を反転させて前記表示画像を生成する。以上に基づき、本描画表示装置は、前記表示部により、前記表示領域に左右の反転のない表示画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の描画表示装置の斜視図。
【図2】描画表示装置のブロック図。
【図3】ライトペンの斜視図。
【図4】描画表示装置の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明の描画表示装置1は、図1、及び2に示すように、描画に使用する発光ダイオード8を備えたライトペン2、表示領域14の対向方向を撮像するカメラ3、カメラ3より撮像された画像を処理し、ライトペン2の軌跡が記録された表示画像を生成するパーナルコンピュータ(処理部)4、前記表示画像を表示領域14に表示するプロジェクタ(表示部)5を備え構成される。
【0014】
前記ライトペン2は、図1に示すように、表示領域14に向かって使用者6が手に持ち使用し、図3に示すように、ペン状の外観を有し、その先端部7に発光ダイオード8が配設されている。即ち、ライトペン2は、それが具備する発光ダイオード8から発せられる光Lによる表示領域14へ描画用のペンとして、使用者6に使用される。なお、発光ダイオード8は、発光色の異なる複数のチップを具備した素子にて構成する、或いは発光色の異なる単色発光の素子を複数具備して構成することにより、発光する色を切り替え可能とすることが望ましい。その理由であるが、該ライトペン2の軌跡は、発光ダイオードの発光色に色づけされ表示領域14に表示されるので、発光ダイオード8の発光色を切り替えることで、表示領域14に表示される該ライトペン2の軌跡の色も変更でき、娯楽性が高まるからである。
【0015】
また、ライトペン2の軸部9には、発光ダイオード8の点灯/消灯を選択する点灯スイッチ10、及び該発光ダイオード8の発光色を選択する選択スイッチ11が配設されている。この選択スイッチ11は、例えば、押すたびに発光ダイオード8の発光色が切り替わるものとして構成すれば、容易に発光ダイオード8の発光色を切り替えることができるという効果を発揮する。また、軸部9の内部には、例えば乾電池、充電池等により構成され、発光ダイオード8に電源供給して、発光させるための図外の電源が配設されている。
【0016】
前記カメラ3は、表示領域14と対向する方向を撮像するようにセットされ、汎用的なウェブカメラ、ビデオカメラ、或いは専用のカメラにより構成される。カメラ3は、点灯中の発光ダイオード8を、該カメラ3の図外の内部デバイスを破損させることなく撮像することができるよう構成されている。これは、発光ダイオード8は、電球などと比べて高輝度な光源であるため、カメラ3により点灯中の発光ダイオード8が撮像された領域は明るく記録されるが、その感度が高すぎると点灯中の該発光ダイオード8を撮像することにより、その内部デバイスが破損する場合がある。従って、カメラ3は、点灯中の該発光ダイオード8を撮像した際に、その内部デバイスが破損しないよう感度調整が施されている。以上により、カメラ3は、使用者6が表示領域14に向かった描画に供している発光ダイオード8を点灯中のライトペン2を撮像することが可能であり、当該撮像された画像においては、点灯中の発光ダイオード8が撮像された領域が明るく、該発光ダイオード8の発光色が付されて記録されている。カメラ3により撮像された画像は、ケーブル12を介してパーソナルコンピュータ4に送信される。なお、カメラ3は、ケーブル12を介さず、図外の無線通信回線を介して、前記撮像画像をパーソナルコンピュータ4に送信してもよい。
【0017】
前記パーソナルコンピュータ4は、中央演算処理装置4aにより、メモリ4bに保持されたプログラムを実行することで、カメラ3により撮像された画像を順次メモリ4bに記憶すると共に、メモリ4bに前記記憶した画像に基づきプロジェクタ5により表示領域14に表示する表示画像を生成する。前記表示画像は、ケーブル13を介してプロジェクタ5に送信される。なお、パーソナルコンピュータ4は、前ケーブル13を介さず、図外の無線通信回線を介して、前記表示画像をプロジェクタ5に送信してもよい。また、パーナルコンピュータ4は、上記機能を有するものであれば、図外の専用の処理装置へ変更することが可能である。
【0018】
前記プロジェクタ5は、パーソナルコンピュータ4より送られてくる前記撮像画像を表示領域14に表示(投影)するものである。なお、プロジェクタ5は、図外の液晶ディスプレイ、或いは、図外のプラズマディスプレイに変更することも可能であり、この場合、前記液晶ディスプレイ、或いは、前記プラズマディスプレイは、表示領域14の位置に配設する。これにより、使用者6は、前記液晶ディスプレイ、或いは、前記プラズマディスプレイの画面に向かい、発光ダイオード8が点灯中のライトペン2による描画が可能となる。
【0019】
以上のように構成される描画表示装置1の動作を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。S1において、パーナルコンピュータ4は、カメラ3から、画像が送られてきているか否か確認する。カメラ3から画像が送られてきている場合は(S1でYES)、S2に進む。また、カメラ3から画像が送られてきていない場合は(S1でNO)、動作を終了する。
【0020】
図4のS2において、パーナルコンピュータ4は、カメラ3から送られてきた画像をメモリ4bに順次保持する。この画像において、使用者6が表示領域14に向かった描画に供している発光ダイオード8が点灯中のライトペン2が撮像されている場合は、発光ダイオード8が撮像されている領域が、明るく、該発光ダイオード8の発光色が付されて記録されている。
【0021】
図4のS3において、パーナルコンピュータ4は、直近所定時間内にメモリ4aに記憶された画像を読み出すと共に、それらを積算し積算画像を生成する。読み出した画像において、使用者6が表示領域14に向かった描画に供している発光ダイオード8が点灯中のライトペン2が撮像されている場合は、前記撮像画像に、直近所定時間内の発光ダイオード8の動き、即ちライトペン2の軌跡が記録されている。また、前記直近所定時間は、任意に設定可能である。例えば、前記直近所定時間を10秒と設定した場合には、パーナルコンピュータ4が、現在から直近10秒間に、カメラ3から送られてきた画像を積算し積算画像を生成する。この場合の積算画像には、直近10秒間のライトペン2の軌跡が記録されている。
【0022】
図4のS4において、パーナルコンピュータ4は、前記積算画像の左右を反転させ、表示画像を生成する。これは、カメラ3が表示領域14の対向方向を撮像することに基づき、前記積算画像には左右の反転が生じている。そこで、パーナルコンピュータ4は、前記積算画像の左右の反転をキャンセルするために、上記のように該積算画像の左右を反転させて表示画像を生成する。なお、本ステップは省略可能であり、パーナルコンピュータ4は、前記積算画像の左右を反転させず表示画像としてもよい。
【0023】
図4のS5において、パーナルコンピュータ4は、プロジェクタ5に前記表示画像を送る。プロジェクタ5は、表示領域14にパーナルコンピュータ4から送られた表示画像を表示する。これにより、前記撮像画像に直近10秒間のライトペン2の軌跡が記録されている場合において、表示領域14には、直近10秒間のライトペン2の軌跡が継続して表示されることとなる。
【0024】
以上説明した描画表示装置1では、カメラ3が、利用者6が表示領域14に向かった描画に供している発光ダイオード8が点灯中のライトペン2を撮像する。発光ダイオード8は、電球などと比べて高輝度な光源であるため、前記カメラにより撮像された画像中、点灯中の該発光ダイオード8が撮像された領域は明るく、また該発光ダイオード8の発光色が付されて記録される。また、パーナルコンピュータ4は、中央処理演算装置4aが、メモリ4bに記憶されている直近所定時間内にカメラ2から送られた画像を積算した積算画像に基づく、表示画像を生成する。従って、前記表示画像には、直近所定時間内の前記発光ダイオード8の動き、即ち直近所定時間内の前記ライトペン2の軌跡が記録されており、該表示画像は、表示領域14にプロジェクタ5により表示される。以上に基づき、本描画表示装置1は、直近所定時間内のライトペン2の軌跡を、利用者6等に見せることができるので、プレゼンテーション、或いはレクレーションの場で活用することができる。また本描画表示装置1は、上記のように発光ダイオード8を使用していることから、利用者6の安全性の確保もできる。
【0025】
また、パーナルコンピュータ4は、カメラ3が表示領域14の対向方向を撮像することに基づき前記積算画像に生ずる左右の反転をキャンセルするために、該積算画像の左右を反転させて表示画像を生成する。これにより、描画表示装置1は、プロジェクタ5により、表示領域14に左右の反転のない前記表示画像を表示することができるので、使用者6や、その周囲の人々に違和感を覚えさせない。なお、本描画表示装置1は、該積算画像の左右を反転させずに表示画像とすることも可能である。このようにすることにより、本描画表示装置1は、左右の反転が生じた表示画像をプロジェクタ5により表示領域14に表示するので、使用者6等が通常と異なる印象を感じ、もって娯楽性が高まるという効果を発揮する。
【0026】
更に、描画表示装置1は、前記ライトペン2を画面等物体に接触させることなく使用でき、また、該ライトペン2の具備する発光ダイオード8がランプ類と異なり所謂球切れを生じることがないので、該ライトペン2の故障のリスクが殆どないという特徴も有している。また、本描画表示装置1は、使用者6が、表示領域14に向かってライトペン2により空中に描画できるので、該使用者6が、紙等に絵を描く場合と異なり、枠にとらわれないダイナミックな描画ができる。さらに、本描画表示装置1では、プロジェクタ5により表示領域14に表示されるライトペン2の軌跡に発光ダイオード8の発光色が付されている。これにより、本描画表示装置1は、発光色が変更可能に構成されている発光ダイオード8の発光色を変化させることで、プロジェクタ5により表示領域14に表示されるライトペン2の軌跡の色も変化させることができる。以上のことにより本描画表示装置1は、レクレーションに使用する際の娯楽性が高まるという特徴を有する。
【0027】
なお、本実施の形態で示した描画表示装置1は、本発明に係る描画表意時装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る描画表示装置は、プレゼンテーション、レクレーション等にも幅広く使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 描画表示装置
2 ライトペン
3 カメラ
4 パーソナルコンピュータ(処理部)
5 プロジェクタ(表示部)
6 使用者
8 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に表示画像を表示する表示部と、
発光ダイオードを具備するライトペンと、
前記発光ダイオードが点灯中の前記ライトペンを撮像可能であり、前記表示領域の対向方向を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像を順次記憶するメモリと、該メモリに直近所定時間内に記憶された画像を積算した積算画像に基づき、前記表示画像を生成する中央処理演算装置を具備した処理部と、を備えることを特徴とする描画表示装置。
【請求項2】
前記処理部が、前記積算画像の左右を反転させることにより、前記表示画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の描画表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−118523(P2011−118523A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273528(P2009−273528)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】