説明

握り寿司製造装置

【課題】 所定量の米飯の製造速度を向上させることができるとともに、少なくとも2人の作業者が互いに干渉し合うことなく、シャリ玉の取出作業を効率よく行うことができる握り寿司製造装置を提供すること。
【解決手段】 ホッパ部8に投入された米飯を排出部17から所定量ずつ排出させることが可能な握り寿司製造装置1において、排出部17の左右両側には、取出部5、6が設けられ、排出部17の下方には、排出部17から排出された所定量の米飯を受けるための少なくとも2つの受部21、22が左右側にそれぞれ配置された受部材20が、それぞれの受部21、22を排出部17の直下に交互に配置できるように往復移動自在に設けられており、受部21、22は、左右いずれか一方側の受部22が排出部17の直下に位置するときに、左右いずれかの取出部5に他方側の受部21が位置するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯をシャリ玉状に成形する握り寿司製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の握り寿司製造装置では、上方に設けられたホッパ部より供給された米飯を、互いに対向させて配置した2列のローラ群に送り込むことで、ローラ群の下方に配置される成形機構部に米飯を定量ずつ供給し、この供給された米飯が成形機構部でシャリ玉状に成形されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、握り寿司製造装置における成形機構部には、水平方向に回転するターンテーブルが設けられ、このターンテーブルの同一円周上には、断面略長円形に形成された複数の成形シリンダ孔が配置されており、このシリンダ孔のうち部の下方には、ターンテーブルの回転に伴って昇降される下型が設けられるとともに、上方からシリンダ孔内に遊嵌される上型が駆動源によって昇降可能に設けられていて、シリンダ孔に供給された米飯が上型によって上方から押圧されてシャリ玉状に成形され、このシャリ玉が下型によって下方から押圧されることでシリンダ孔内から排出され、作業者によってシャリ玉が取り出されるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−333709号公報(第3頁、第3図)
【特許文献2】特開2000−245371号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の握り寿司製造装置にあっては、シャリ玉(定量の米飯)の取出作業者は1人でシャリ玉を取り出すようになっていたので、握り寿司製造装置の稼動速度を増加させても、作業員1人の手作業によるシャリ玉の取出作業の速度を向上させるには限界がある。また、ターンテーブルを一方向に向けて回転することによりシリンダ孔を移動させているので、例えば2人の作業者にてシャリ玉の取出作業を行う場合に、各々の作業者がシャリ玉を取り出す際に干渉しあって取出作業の効率が低下するといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、所定量の米飯の製造速度を向上させることができるとともに、少なくとも2人の作業者が互いに干渉し合うことなく、シャリ玉の取出作業を効率よく行うことができる握り寿司製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の握り寿司製造装置は、
ホッパ部に投入された米飯を、該米飯を排出する排出部から所定量ずつ排出させることが可能な排出装置を備える握り寿司製造装置において、
前記排出部の左右両側には、前記排出部から排出された所定量の米飯を取り出すための取出部が設けられ、前記排出部の下方には、前記排出部から排出された所定量の米飯を受けるための少なくとも2つの受部が左右側にそれぞれ配置された受部材が、それぞれの受部を前記排出部の直下に交互に配置できるように往復移動自在に設けられており、前記受部は、左右いずれか一方側の受部が前記排出部の直下に位置するときに、左右いずれかの取出部に他方側の受部が位置するように配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、受部材が往復移動すると、一方の受部に所定量の米飯を排出しているときに他方の受部が取出部に位置するといった動作を左右で交互に繰り返すので、排出部から受部に排出された米飯を左右の取出部から交互に取り出すことができ、これにより少なくとも2人の作業者が、互いに干渉し合うことなく米飯を取り出すことができるため、米飯の製造速度を効果的に向上させることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の握り寿司製造装置は、請求項1に記載の握り寿司製造装置であって、
前記受部は、前記排出部から排出された所定量の米飯を所定形状に成形するための成形孔にて構成されているとともに、前記成形孔内には、該成形孔が前記左右いずれかの取出部に位置したときに該成形孔内の米飯を上方に押し上げて成形孔から排出させる押上げ部材が昇降可能に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、排出部から排出された米飯が所定の形状に成形されるとともに、成形孔が取出部に位置したときに、押上げ部材により成形孔内の米飯が上昇されることで、成形孔内に排出された米飯を容易に取り出すことができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の握り寿司製造装置は、請求項2に記載の握り寿司製造装置であって、
前記成形孔は、左右いずれか一方側の成形孔と他方側の成形孔との形状が異なっていることを特徴としている。
この特徴によれば、形状の異なるシャリ玉を、同一の握り寿司製造装置において容易に製造することができるばかりか、形状の異なるシャリ玉を左右の取出部からそれぞれ別々に取り出すことができるので、取出後の仕分けが容易になる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の握り寿司製造装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の握り寿司製造装置であって、
前記排出装置は、前記排出部から排出する米飯の排出量を、左右いずれか一方側の受部に排出する排出量と、他方側の受部に排出する排出量と、で異なるように交互に切り替える排出量切替手段を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、重量(大きさ)の異なるシャリ玉を、同一の握り寿司製造装置において製造することができるばかりか、重量の異なるシャリ玉を左右の取出部からそれぞれ別々に取り出すことができるので、取出後の仕分けが容易になる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の握り寿司製造装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の握り寿司製造装置であって、
前記排出装置は、前記受部材の往復移動に応じて前記排出部から米飯を排出させる時間間隔を調整可能な排出間隔調整手段を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、例えば米飯の取り出し作業者が1人の場合、排出部からの米飯の排出間隔を、左右いずれか一方側の受部が排出部の下方に位置したときのみとすることで、米飯は左右いずれか一方側の取出部からのみ取り出しできるので、シャリ玉の製造状況に応じて効率よく使用することができる。
【0012】
本発明の請求項6に記載の握り寿司製造装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の握り寿司製造装置であって、
握り寿司製造装置の筐体が平面視で略矩形状を成し、前記取出部が前記筐体の角部に設けられ、前記取出部の正面および側面の2面が開口されていることを特徴としている。
この特徴によれば、取出部の正面および側面の2側方が開口されることで、作業者の手を挿入しやすくなるため、シャリ玉を取り出し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例1における握り寿司製造装置を示す斜視図であり、図2は、実施例1における握り寿司製造装置を示す正面図であり、図3は、実施例1における握り寿司製造装置を示す側面図であり、図4は、実施例1における図3に示すIV−IV断面図であり、図5は、実施例1における図3に示すV−V断面図であり、図6は、実施例1における図2に示すVI−VI断面図である。以下、図3および図6の左側を握り寿司製造装置の正面側とし、図4の下方側を握り寿司製造装置の正面側として説明する。
【0015】
図1の符号1は、本発明の適用された握り寿司製造装置であり、この握り寿司製造装置1は、筐体2の上部に蓋体3が設けられており、この筐体2は、正面側の左右に2つの取出部5、6を有し、筐体2の左右側面には把手4が設けられている。把手4の近傍には、後述するように握り寿司製造装置1で製造されるシャリ玉Sの取り出しに使用する取出部5、6を、取出部5、6の両者またはいずれか一方のみのいずれかに選択できる選択ボタン7が設けられている。図4に示すように、取出部5、6は平面視で略四角形の筐体2の角部に設けられており、各々の取出部5、6の正面側と側面側が開口されている。
【0016】
図5に示すように、筐体2のうち部には、米飯を供給可能なホッパ部8が上部に設けられており、蓋体3を開放すると、米飯S’をホッパ部8に投入できるようになっている。ホッパ部8内には、ホッパ部8に投入された米飯S’を撹拌させながら前方へ移動させるための複数の撹拌棒9が配置されており、この撹拌棒9は、モータ10を駆動させることにより回動するようになっている。
【0017】
図5および図6に示すように、ホッパ部8の下方には、移送部11が設けられており、ホッパ部8内の撹拌棒9の回動によって前方へ移動された米飯S’が移送部11内に供給されるようになっている。この移送部11には複数の移送ローラ12が配置されており、移送ローラ12は、左右2列に成るように配置されており、互いに所定距離離間されて配置されている。この移送ローラ12は米飯を移送する排出装置を構成している。左右に配置されている互いの移送ローラ12同士の間隔は下方に行くにつれて狭まるように配置されている。
【0018】
図6に示すように、移送ローラ12は、回動軸13を介して後方に回動ギア14が固着されており、互いの回動ギア14同士の間には、互いの回動を伝達させるための伝達ギア15が配置され、これらの伝達ギア15内の1つがモータ16に係合されている。モータ16を駆動させると、互いに対向する移送ローラ12同士が、各々反対方向(図5中矢印方向)に回動されるようになっており、移送ローラ12間に供給された米飯S’が徐々に圧縮されつつ下方に移送されるようになっている。
【0019】
図5および図6に示すように、移送部11によって下方に移送された米飯S’は移送部11の下端の排出部17から排出されるようになっている。この排出部17には、連なった米飯S’を切断して所定量ずつ排出するための左右方向に開閉可能なカッター18が配置されており、このカッター18は筐体2内に配置されたモータ19を駆動させることにより開放および閉鎖されるようになっている。これら移送ローラ12およびカッター18により、本発明の排出装置が構成されている。
【0020】
図4および図5に示すように、排出部17の左右両側方には、前述した取出部5、6が配置されており、筐体2内の下部には、左右方向に向けてスライド移動自在な受部材としてのスライドテーブル20が配置されている。このスライドテーブル20の左右端部近傍には、実施例1における受部および成形孔としての2つのシリンダ孔21、22が形成されており、このシリンダ孔21、22は、平面視で略長孔形状を成し、左右各々のシリンダ孔21、22は同一形状を成している。
【0021】
図4に示すように、スライドテーブル20の後方側には、左右方向に延びるスライドレール23が配置されており、スライドテーブル20は、支持部材24を介して、スライドレール23内部のリードスクリュー(図示略)に連結されている。スライドレール23の端部に設けられたモータ25を駆動させると、スライドレール23内部のリードスクリュー(図示略)が回動し、支持部材24を介してスライドテーブル20が左右方向に向けて直線状に往復移動するようになっている。
【0022】
図4および図5に示すように、筐体2内に配置されたスライドテーブル20が左側の端部までスライド移動された状態では、左側のシリンダ孔21が取出部5から外部に露出されるとともに、右側のシリンダ孔22が排出部17の直下に位置するようになっている。尚、スライドテーブル20が右側の端部までスライド移動された状態では、右側のシリンダ孔22が取出部5から外部に露出されるとともに、左側のシリンダ孔23が排出部17の直下に位置するようになっている。
【0023】
図5に示すように、排出部17と取出部5、6の中間位置には、図示しない駆動手段によって上下動される上型26、27が配置されており、この上型26、27は、平面視で略長円形状を成し、各々の上型26、27は同一形状を成している。この左右の上型26、27は、上方から左右各々のシリンダ孔21、22に遊嵌されるようになっている。
【0024】
シリンダ孔21、22は、スライドテーブル20の上面から下面にかけて貫通されており、このシリンダ孔21、22に下方から平面視で略長円形状を成す実施例1における押上げ部材としての下型28、29が嵌合されている。左右に配置される各々の下型28、29は同一形状を成しており、下型28、29の上面はシリンダ孔21、22の底面を形成するとともに、この下型28、29の上面の中央部には、上方に向かって膨出する湾曲突出部30(図6参照)が形成されている。
【0025】
下型28、29の下方には、左右方向に延びるガイドレール31が設けられ、このガイドレール31は、中央部が低く、左右側部が高くなるように形成されており、ガイドレール31における中央部と左右側部の間は傾斜面として形成されている。下型28、29の下部には、摺動ローラ34、35が設けられており、この摺動ローラ34、35は、ガイドレール31の上面に当接されている。
【0026】
また、下型28、29の後方には、図6に示されるように、傾斜されたガイドレール32が設けられているとともに、下型28、29の側部には、係合片36が設けられており、この係合片36は、ガイドレール32の下面に当接されるようになっている。
【0027】
更に、スライドテーブル20が左右方向に往復移動される場合には、一方のシリンダ孔21、22が排出部17の直下の位置にあるときに、スライドテーブル20が一旦停止し、一方のシリンダ孔21、22が上型26、27の直下の位置にあるときに、スライドテーブル20が一旦停止し、一方のシリンダ孔21、22が取出部5、6の位置にあるときに、スライドテーブル20が一旦停止するようになっている。尚、スライドテーブル20のシリンダ孔21、22は、前記各々の位置間を0.2秒間で移動し、前記各々の位置で0.8秒間一旦停止されつつ往復動作を繰り返すようになっている。
【0028】
次に、実施例1における握り寿司製造装置1の動作状況につき、図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は、実施例1における握り寿司製造装置1の動作状況を示す図である。
【0029】
実施例1の握り寿司製造装置1を用いてシャリ玉Sを製造する際には、先ず図7に示すように、スライドテーブル20に設けられた2つのシリンダ孔21、22のうち、一方のシリンダ孔、例えば右側のシリンダ孔22が排出部17の直下の位置になるまで、スライドテーブル20を左方向にスライド移動させて、排出部17に配置されるカッター18を開放する。
【0030】
そして、ホッパ部8に投入された米飯S’が、移送部11の移送ローラ12の回動により圧縮されつつ下方の排出部17に移送されて、排出部17から下方に落下(排出)される。排出部17から落下した米飯S’がシリンダ孔22内に投入されて、所定量の米飯S’がシリンダ孔22内部に保持されたときに、排出部17に設けられたカッター18を閉鎖して排出部17から連なった米飯S’を切断する。具体的には、移送ローラ12の回転数を一定に保っておき、一定の時間間隔おきにカッター18を閉鎖することで、一定量の米飯S’がシリンダ孔22に投入されるようにする。
【0031】
次に図8に示すように、米飯S’を保持した右側のシリンダ孔22が、右側に配置される上型27の直下の位置になるまでスライドテーブル20を右方向にスライド移動させる。スライドテーブル20がスライド移動されると、左側のシリンダ孔21に嵌合された下型28の側部に配置された係合片36(図6参照)が、ガイドレール32の下面に摺動されるので、ガイドレール32の傾斜に沿って下型28が降下される。
【0032】
また、右側への移動途中において上型27を降下させて右側のシリンダ孔22に上方から遊嵌させると、シリンダ孔22内に保持された米飯S’が、上型27と下型29との間で上下方向から挟み込まれるようになり、米飯S’がシャリ玉形状に成形される。尚、米飯S’(シャリ玉S)の成形後には、上型27が上昇されてシリンダ孔22から引き抜かれるようになっている。
【0033】
そして、図9に示すように、右側のシリンダ孔22が、右側の取出部6の位置になるまでスライドテーブル20を右方向にスライド移動させると、右側の下型29の下部に配置された摺動ローラ35がガイドレール31の傾斜された上面を摺動し、ガイドレール31の傾斜に沿って下型29が上昇され、シリンダ孔22の底面を成す下型29の上面がスライドテーブル20の上面とほぼ同じ高さになる。そしてシリンダ孔22が取出部6の位置まで移動されると、シャリ玉Sがシリンダ孔22から排出され、シャリ玉Sの取出作業者が取出部6からシャリ玉Sを容易に取り出せる。
【0034】
尚、図4に示すように、握り寿司製造装置1の筐体2が平面視で略矩形状を成し、取出部5、6が筐体2の角部に設けられ、取出部5、6の正面側および側面側の2側方が開口されているので、シャリ玉Sの取出作業者が筐体2の正面側および側面側のどちらの位置にいてもシャリ玉Sが取り出し易くなっている。
【0035】
更に尚、シリンダ孔21、22に嵌合された下型28、29は、シリンダ孔21、22が取出部6の位置になるまで上昇されないので、スライドテーブル20のスライド移動の速度を速めても、シャリ玉Sをシリンダ孔21、22に内部で保持しておくことができる。
【0036】
さらに図9に示すように、右側のシリンダ孔22が右側の取出部6に位置したときに、左側のシリンダ孔21は排出部17の直下に位置することになる。そして、再びカッター18を開放すると、左側のシリンダ孔21に米飯S’が投入され、前述した右側のシリンダ孔22の動作状況と同様に、左側に配置されている上型26がシリンダ孔21に遊嵌されることで、シリンダ孔21に保持された米飯S’がシャリ玉形状に成形され、左側の取出部5からシャリ玉Sが取り出されるようになっている。
【0037】
このように本発明の握り寿司製造装置1では、スライドテーブル20のシリンダ孔21、22に保持された米飯S’がシャリ玉形状に成形され、スライドテーブル20を左右方向に往復移動させることによって、筐体2の左右に設けられた取出部5、6からシリンダ孔21、22保持されたシャリ玉Sを交互に取り出せるようになっており、握り寿司製造装置1によるシャリ玉Sの製造速度を向上させても、2人の作業者を握り寿司製造装置1の左右に配置することで、左右各々の取出部5、6からシャリ玉Sの取出作業を行えるようになる。すなわち、1人の作業者は、対応する1つの取出部5、6からシャリ玉Sを取り出せばよいので、2人の作業者が互いに干渉し合うことなく、シャリ玉Sの取出作業を行うことができる。
【0038】
また、本発明の握り寿司製造装置1では、前述したように製造されるシャリ玉Sの取出部5、6を適宜選択できる選択ボタン7が設けられており、この選択ボタン7を、装置を駆動する前の段階で押圧することで、図示しない制御装置は、選択ボタン7に対応する側(左側および右側)の取出部5、6からシャリ玉Sが取り出せるように、移送ローラ12やカッター18やスライドテーブル20や上型26、27の駆動制御を行うようになっている。そのためシャリ玉Sの取り出し作業者が1人であるときには、一方の選択ボタン7を押圧して対応するどちらか一方の取出部5、6からシャリ玉Sが取り出せるようにすればよい。尚、シャリ玉Sの取り出し作業者が2人であるときには、両方の選択ボタン7を押圧することで、左右両方の取出部5、6からシャリ玉Sを取り出せるようになっている。
【0039】
つまり、図示しない制御装置は、シリンダ孔21、22の往復移動に応じて、排出部17から米飯を排出させる時間間隔を調整可能な排出間隔調整機能を備えるようにすることで、シャリ玉の製造状況に応じて握り寿司製造装置1を効率よく使用することができる。
【0040】
尚、特に詳細な図示はしないが、排出部17には、排出部17の直下の位置にあるシリンダ孔21、22のうち部にシャリ玉S(米飯S’)が保持されているか否かを検出するためのシャリセンサ(図示略)が配置されており、作業者がシャリ玉Sを取出部5、6から取りそびれたときに、排出部17の直下の位置にあるシリンダ孔21、22内部のシャリ玉Sをシャリセンサ(図示略)が検出し、カッター18が開放されることを停止して、再びシリンダ孔21、22に米飯S’が投入されることを防止できる。尚、シャリセンサ(図示略)がシリンダ孔21、22内のシャリ玉S(米飯S’)を検出すると、カッター18を閉鎖したままシリンダ孔21、22が再度取出部5、6の位置になるまでスライドテーブル20がスライド移動される。
【0041】
尚、本実施例では、スライドテーブル20の左右に配置されているシリンダ孔21、22と上型26、27と下型28、29がそれぞれ同一形状を成していたが、シリンダ孔21、22、上型26、27、下型28、29等を、左右それぞれで異なった形状にすることもできる。このようにすると、左右のシリンダ孔21、22で形成されるシャリ玉Sを大きさや形状を異なる形状に成形できる。例えば、一方のシリンダ孔21に嵌合される下型28を上面に湾曲突出部30を有する構成として、握り寿司用のシャリ玉Sを成形させるとともに、他方のシリンダ孔22に嵌合される下型29を上面が平らな構成として軍艦巻き用のシャリ玉Sを成形させることができ、このようにすれば、握り寿司用のシャリ玉Sと、軍艦巻き用のシャリ玉Sの各々異なる形状のシャリ玉Sを同一(1台)の握り寿司製造装置1において同時に製造することができる。また、この場合、形状の異なるシャリ玉を左右の取出部5、6からそれぞれ別々に取り出すことができるので、取出後の仕分けが容易になる。
【0042】
また、本実施例では、移送ローラ12の回転数を一定に保っておき、一定時間間隔おきにカッター18を閉鎖することで、常に一定量の米飯S’がシリンダ孔21、22に交互に投入されるようになっていたが、移送ローラ12の回転数と、カッター18の閉鎖時間間隔を調節、すなわち、前述した図示しない制御装置は、排出部17から排出する米飯の排出量を、例えば左側のシリンダ孔21に排出する排出量と、右側のシリンダ孔22に排出する排出量と、で異なるように交互に切り替える制御を行う排出量切替機能を備えることで、左右のシリンダ孔21、22のうち、一方のシリンダ孔21と他方のシリンダ孔22に投入する米飯S’の量を交互に切り替えることもできる。このようにすれば、左右各々の取出部5、6から取り出されるシャリ玉Sの重量(大きさ)をそれぞれ異なる重量にすることができ、重量の違うシャリ玉Sを同一(1台)の握り寿司製造装置1において同時に製造することができるばかりか、重量(大きさ)の異なるシャリ玉を左右の取出部5、6からそれぞれ別々に取り出すことができるので、取出後の仕分けが容易になる。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2に係る握り寿司製造装置37の動作状況につき、図10〜図13を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0044】
図10〜図13は、実施例2における握り寿司製造装置37の動作状況を示す図であり、この実施例2における握り寿司製造装置37のスライドテーブル38(受部材)は、実施例2における受部および成形孔としての4つのシリンダ孔39〜42が形成されており、各々のシリンダ孔39〜42には、下方から実施例2における押上げ部材としての下型43〜46が嵌合されている。
【0045】
実施例2の握り寿司製造装置37を用いてシャリ玉Sを製造する際には、先ず図10に示すように、スライドテーブル38に設けられた4つのシリンダ孔39〜42のうち、最も右側に配置されるシリンダ孔42が排出部47の直下の位置になるまで、スライドテーブル38を左方向にスライド移動させて、排出部47に配置されるカッター48を開放する。
【0046】
そして、排出部47から落下した米飯S’がシリンダ孔42内に投入されて、所定量の米飯S’がシリンダ孔42内部に保持されたときに、排出部47に設けられたカッター48を閉鎖することで、排出部47から連なった米飯S’を切断する。
【0047】
次に図11に示すように、米飯S’を保持したシリンダ孔42が、右側に配置される上型50の直下の位置になるまでスライドテーブル38を右方向にスライド移動させる。そして、上型50を降下させてシリンダ孔42に上方から遊嵌させると、シリンダ孔42内に保持された米飯S’が、上型50と下型46との間で上下方向から挟み込まれるようになり、米飯S’がシャリ玉形状に成形される。
【0048】
図11に示すように、最も右側のシリンダ孔42に保持されている米飯S’が成形されるときには、最も右側のシリンダ孔42の隣りのシリンダ孔41が、排出部47の直下の位置になる。このときカッター48が開放されて、シリンダ孔41内に米飯S’が投入される。最も右側のシリンダ孔42内の米飯S’(シャリ玉S)が成形されると、上型50が上昇されてシリンダ孔42から引き抜かれるようになっている。
【0049】
そして、図12に示すように、最も右側のシリンダ孔42が、右側の取出部52の位置になるまでスライドテーブル38を右方向にスライド移動させるとともに、シリンダ孔42の隣りのシリンダ孔41が、上型50の直下の位置になるまでスライドテーブル38を右方向にスライド移動移動させる。すると、下型46がガイドレール53の傾斜に沿って上昇される。最も右側のシリンダ孔42内のシャリ玉Sは、シリンダ孔42から排出される。
【0050】
そして、上型50を降下させてシリンダ孔41に上方から遊嵌させると、シリンダ孔41内に保持された米飯S’が、上型50と下型45との間で上下方向から挟み込まれるようになり、米飯S’がシャリ玉形状に成形される。シリンダ孔41内の米飯S’が成形されると、上型50が上昇されてシリンダ孔41から引き抜かれるようになっている。
【0051】
更に、スライドテーブル38を最も右側まで移動移動させると、シリンダ孔41が取出部52の位置まで移動し、下型45がガイドレール53の傾斜に沿って上昇されるので、シリンダ孔41内のシャリ玉Sは、シリンダ孔41から排出される。そしてシャリ玉Sの取出作業者が右側2つのシリンダ孔41、42からシャリ玉Sを容易に取り出せるようになっている。
【0052】
図12に示すように、最も右端までスライドテーブル38がスライド移動されると、最も左側のシリンダ孔39は排出部47の直下の位置になるまで移動される。そして、再びカッター48を開放すると、最も左側のシリンダ孔39に米飯S’が投入され、前述した最も右側のシリンダ孔42やその隣りのシリンダ孔41の動作状況と同様に、上型49が最も左側に配置されているシリンダ孔39に遊嵌されることで、シリンダ孔39に保持された米飯S’がシャリ玉形状に成形されるとともに、その隣りのシリンダ孔40は排出部47の直下の位置になるので、カッター48が開放されてシリンダ孔40に米飯S’が投入される。
【0053】
そして、最も左側のシリンダ孔39が、左側の取出部51の位置に移動すると、その隣りのシリンダ孔40に保持された米飯S’がシャリ玉形状に成形される。その後、スライドテーブル38を最も左側までスライド移動させると、シリンダ孔40が取出部51の位置まで移動し、下型44がガイドレール53の傾斜に沿って上昇されるので、シリンダ孔40内のシャリ玉Sは、シリンダ孔40から排出される。そしてシャリ玉Sの取出作業者が左側2つのシリンダ孔39、40からシャリ玉Sを容易に取り出せるようになっている。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0055】
例えば、前記実施例では、排出部からシリンダ孔に投入された米飯が、該シリンダ孔に上型が遊嵌されることで、シャリ玉形状に成形されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シリンダ孔が上型の直下になるときにスライドテーブルが一旦停止する動作と、上型がシリンダ孔に遊嵌される動作をしないように設定しておき、シリンダ孔に投入された米飯を成形せずに、取出部から取り出せるようにしてもよい。このようにすれば、上型の遊嵌動作を省略できるので、所定時間内で握り寿司製造装置が製造する定量の米飯の個数を増やすことができる。尚、取出部から取り出された定量の米飯は、複数の成形作業者を用いて手作業でシャリ玉形状に成形することができ、この場合には、成形作業者は2人に限ることなく、3人やそれ以上の成形作業者でシャリ玉の成形作業を行うことができ、シャリ玉の製造速度を向上させることができる。
【0056】
また、前記実施例では、受部材としてのスライドテーブルに、受部としてのシリンダ孔が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、スライドテーブルの上面を平坦な構成としてもよく、この場合には、米飯をシャリ玉形状に成形する成形機構部を排出部に設けることができる。このようにすれば、排出部から排出されたシャリ玉(成形後の所定量の米飯)が、スライドテーブルの上面の左右いずれかの端部近傍に載置され、スライドテーブルが左右に往復移動することで、取出部からシャリ玉が取り出せるようになる。尚、スライドテーブルの上面を平坦とした場合には、スライドテーブルの上面の左右端部近傍が本発明の受部を構成する。
【0057】
また、前記実施例における受部材としてのスライドテーブル20は、排出部17の下方に、左右方向に向けて直線状に往復移動自在に設けられていたが、往復移動自在であれば、直線状に移動するものに限定されるものではなく、例えば従来例にて説明した円盤状のターンテーブルのように、円弧状に往復移動するものとしてもよい。
【0058】
また、米飯を所定量ずつ排出する排出装置は、所定量ずつ排出できるものであれば、移動ローラ12とカッター18にて構成されるものに限定されるものではなく、種々に変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1における握り寿司製造装置を示す斜視図である。
【図2】実施例1における握り寿司製造装置を示す正面図である。
【図3】実施例1における握り寿司製造装置を示す側面図である。
【図4】実施例1における図3に示すIV−IV断面図である。
【図5】実施例1における図3に示すV−V断面図である。
【図6】実施例1における図2に示すVI−VI断面図である。
【図7】実施例1における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図8】実施例1における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図9】実施例1における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図10】実施例2における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図11】実施例2における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図12】実施例2における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【図13】実施例2における握り寿司製造装置の動作状況を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 握り寿司製造装置
2 筐体
5、6 取出部
7 選択ボタン(排出間隔調整手段)
8 ホッパ部
11 移送部
12 移送ローラ(排出装置)
17 排出部
18 カッター(排出装置)
20 スライドテーブル(受部材)
21、22 シリンダ孔(受部、成形孔)
23 スライドレール
26、27 上型
28、29 下型(押上げ部材)
37 握り寿司製造装置
38 スライドテーブル(受部材)
39、40 シリンダ孔(受部、成形孔)
41、42 シリンダ孔(受部、成形孔)
43、44 下型(押上げ部材)
45、46 下型(押上げ部材)
47 排出部
49、50 上型
51、52 取出部
S シャリ玉
S’ 米飯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ部に投入された米飯を、該米飯を排出する排出部から所定量ずつ排出させることが可能な排出装置を備える握り寿司製造装置において、
前記排出部の左右両側には、前記排出部から排出された所定量の米飯を取り出すための取出部が設けられ、前記排出部の下方には、前記排出部から排出された所定量の米飯を受けるための少なくとも2つの受部が左右側にそれぞれ配置された受部材が、それぞれの受部を前記排出部の直下に交互に配置できるように往復移動自在に設けられており、前記受部は、左右いずれか一方側の受部が前記排出部の直下に位置するときに、左右いずれかの取出部に他方側の受部が位置するように配置されていることを特徴とする握り寿司製造装置。
【請求項2】
前記受部は、前記排出部から排出された所定量の米飯を所定形状に成形するための成形孔にて構成されているとともに、前記成形孔内には、該成形孔が前記左右いずれかの取出部に位置したときに該成形孔内の米飯を上方に押し上げて成形孔から排出させる押上げ部材が昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の握り寿司製造装置。
【請求項3】
前記成形孔は、左右いずれか一方側の成形孔と他方側の成形孔との形状が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の握り寿司製造装置。
【請求項4】
前記排出装置は、前記排出部から排出する米飯の排出量を、左右いずれか一方側の受部に排出する排出量と、他方側の受部に排出する排出量と、で異なるように交互に切り替える排出量切替手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の握り寿司製造装置。
【請求項5】
前記排出装置は、前記受部材の往復移動に応じて前記排出部から米飯を排出させる時間間隔を調整可能な排出間隔調整手段を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の握り寿司製造装置。
【請求項6】
握り寿司製造装置の筐体が平面視で略矩形状を成し、前記取出部が前記筐体の角部に設けられ、前記取出部の正面および側面の2面が開口されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の握り寿司製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−187246(P2006−187246A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1898(P2005−1898)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】