説明

揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置

【課題】有害な揮発性有機化合物を分解するマイクロ波処理装置を提供する。
【解決手段】ナノメータースケールの二酸化チタンにより活性炭または高誘電率の担体を被覆した触媒を、反応槽のキャリア内に配置された耐熱セラミック管(またはガラス管)16内に充填し、耐熱セラミック管(またはガラス管)16のマグネトロンマイクロ波発振器15の照射体15‘ の間に配置してマイクロ波を照射する。
耐熱セラミック管の入口161から送られた揮発性有機化合物はマイクロ波照射により二酸化チタン触媒の存在下で分解され、無害なガスとなって出口162から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置に関し、特に燃料不用、高効率、容易な組立容易、低コスト、高い安全性といった特色を備える揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する数ある有機汚染物質の中で、揮発性有機化合物は、石油精錬所からクリーニング業、電子産業、表面処理業、皮革業、ペンキ塗装業など日常生活に密着したものを扱う業界、および最も関連が深い化学製造業といった排出源が広範囲に及ぶため、我々の周囲に普遍的に存在している。揮発性有機化合物は、揮発性および化学的毒性を有するものが多く、人体に与える影響および潜在的脅威は相当に大きい。アメリカでは、1990年に「空気清浄化法修正案」が可決され、多くの揮発性有機化合物が有毒空気汚染物に指定された。揮発性有機化合物の処理方法には、燃焼法、触媒燃焼法、活性炭による吸着、スクラバ、凝結、光酸化、生物処理、酸化分解法などがある。
【0003】
熱処理法および酸化分解法は、揮発性有機化合物を効果的に除去することができるが、初期投資または処理コストが非常に高いという欠点がある。吸着および吸収法は、汚染物質の所在を替えるのみで、基本的には減量および減毒という処理目的を達成していない。このような実情から上記の従来技術には、依然として改善の余地があった。ゆえに、高効率、低コストの処理技術の開発が、環境問題研究における最重要課題の一つであった。
【特許文献1】特開2000−334062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、反応槽内のキャリアに照射体を有するマグネトロンマイクロ波発振器、および複数の充填物を有する耐熱セラミック管(またはガラス管)を配置して、マグネトロンマイクロ波発振器によりマイクロ波エネルギーを発生させ、耐熱セラミック管(またはガラス管)に流入した有機化合物に破壊および分解作用を加える燃料不用、高効率、容易な組立、低コスト、安全性を有する揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置を提供する。本発明の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置は、反応槽、およびそれに関連する装置を備える。1200度以上の高熱に耐えうるセラミック管(またはガラス管)、およびK型温度センサ、一酸化炭素、二酸化炭素測定器、気体流量計、電子記録器、エアーコンプレッサ、モータ、バルブなどの関連する耐熱デバイスからなる。
【0006】
セラミック管(またはガラス管)中の充填物の材料については、ナノメータースケールの二酸化チタンを触媒にして、活性炭または高誘電率の担体を覆い、揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置内に配置されたマグネトロンマイクロ波発振器のセラミック管(またはガラス管)内に充填する。これにより、充填担体の誘電率を高め、マイクロ波効率を向上させる。また、マイクロ波により二酸化チタン触媒に高エネルギのフリーラジカル、電子・正孔対を発生させ、揮発性有機化合物を処理する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置は、ナノ光触媒、および磁化とマイクロ波という2つの最新処理技術を結合させて、効果的、かつ迅速に揮発性有機化合物を分解し、揮発性有機化合物が環境に及ぼす汚染、および人体に与える危険性を減少させることができた。
【0008】
本発明の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置が排出する物質は、二酸化炭素および水蒸気であって、全く無害である。また、揮発性有機化合物を分解する反応処理工程にかかる時間が短いため、エネルギの消耗が少なく、二次公害がないという利点を有する。
【0009】
本発明の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置は、光触媒の反応処理工程にかかる時間が短いため、反応槽の体積を従来の装置より小型化できた。また、組立が容易で、製作コストおよび処理コストも比較的安価で、小規模の工場でも備えることができ、メーカーの経済的負担を低下させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態による反応槽と関連装置との接続を示す図である。図1に示すように、気体(酸素O2や窒素N2など)が流量計1から気体混合槽2に流入する。気体混合槽2と濾過器4の一方の端部との間にはバルブ3が接続され、このバルブ3が空気(Air)を取り入れる。濾過器4の他方の端部にはバルブ3´が接続される。濾過器4を通過した混合気体は、バルブ3´を通過してバルブ5、流量制御器6、揮発性有機化合物7のルートと、バルブ5、流量制御器6、湿度制御器8のルートとの2つのルートに流入し、2つのルートを通過すると合流してバルブ3″に流入する。また、これとは異なり、バルブ3´を通過した混合気体は、直接バルブ3″に流入しても良い。上記の揮発性有機化合物7および湿度制御器8は、冷却システム14に接続して監視制御する。
【0011】
バルブ3″に流入した混合気体は、質量流量計9、温度制御器10に向う。温度制御器10と試料採取バルブ11との間にはバルブ5´が接続され、試料採取バルブ11はコンピュータ記録および制御装置13に接続して監視制御する。
図2は、本発明の実施形態によるマグネトロンマイクロ波発振器、照射体、および充填物を有する耐熱セラミック管(またはガラス管)がキャリア内に配置された状態を示す図である。混合気体は導入管Aから反応槽12の一方の端部にある入口121に流入し、反応槽12内の図2で示された充填物17がマグネトロンマイクロ波発振器15の発生するマイクロ波照射を受けることにより、高エネルギのフリーラジカル、電子・正孔対、高速高温反応(室温から1100℃)を形成し、充填物17を通過する揮発性有機化合物を完全に分解し、無害な気体にする。無害な気体は、反応槽12の他方の端部にある出口122から直接排出管Bに流入する。排出管Bの末端に試料採取バルブ11´を配置しても良く、試料採取バルブ11´はコンピュータ記録および制御装置13´に接続して監視制御することができる。
【0012】
図2に示すように、キャリア21には複数の照射体15″を有するマグネトロンマイクロ波発振器15が配置される。照射体15″の間には、複数の充填物17を有する耐熱セラミック管(またはガラス管)16が配置される。耐熱セラミック管(またはガラス管)16は、耐高熱精密セラミック管またはガラス管で、充填物17は触媒作用を有し、耐熱セラミック管(またはガラス管)16内全体に配置される。耐熱セラミック管(またはガラス管)16の一方の端部にある入口161は導入管Aに対応し、他方の端部にある出口162は排出管Bに対応する。
【0013】
図3は、本発明の実施形態によるキャリア内に配置された脚部、導入口および排出口を示す図である。図3に示すように、キャリア21の底部には複数の脚部211が配置される。キャリア21には導入口212および排出口213が配置されるが、導入口212は図1で示された反応槽12の入口121に対応し、排出口213は図1で示された反応槽12の出口122に対応する。最善の効果を得るため、キャリア21の数量は必要により決めることができ、図1で示された反応槽12内に重ねて配置される。
【0014】
図4は、本発明の実施形態によるマグネトロンマイクロ波発振器が耐熱セラミック管(またはガラス管)内で発生させたマイクロ照射を示す図である。図4に示すように、図2のキャリア21内の耐熱セラミック管(またはガラス管)16の充填物17がマグネトロンマイクロ波発振器15の発生するマイクロ波照射を受けることにより、高エネルギのフリーラジカル、電子・正孔対、高速高温反応(室温から1100℃)を形成し、充填物17を通過する揮発性有機化合物を完全に分解し、無害な気体にする。
【0015】
ここで取り上げる多くのデバイス自体は、公知であるから図において示されていない。本発明の実施形態による充填物17は、チタンを含む溶液を真空蒸発装置内に配置し、適量の吸着剤を混入し、均等に攪拌した後、真水を混入し加水分解する。1時間続けて攪拌すると、溶液が完全に蒸発してなくなり、TiO2/absorbentの固体顆粒を得ることができる。この顆粒を高温でベイクすると、結合強度を増加させることができる。充填物17は、XDR(X線回折装置)およびSEM(走査型電子顕微鏡)により、作られた触媒の結晶構造および結晶顆粒のサイズを分析し、BET(比表面積測定装置)により製造過程における吸収剤の比表面積と孔隙粒径との変化を測定、吸収剤表面のゼータ電位を観察・評価する。
【0016】
本発明では好適な実施形態を前述の通りに開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者は誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護の範囲は、発明の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による反応槽と関連装置との接続を示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるマグネトロンマイクロ波発振器、照射体、および充填物を有する耐熱セラミック管(またはガラス管)がキャリア内に配置された状態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるキャリア内に配置された脚部、導入口および排出口を示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるマグネトロンマイクロ波発振器が耐熱セラミック管(またはガラス管)内で発生させたマイクロ照射を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 流量計
2 気体混合槽
3 バルブ
3´ バルブ
3″ バルブ
4 濾過器
5 バルブ
5´ バルブ
6 流量制御器
7 揮発性有機化合物
8 湿度制御器
9 質量流量計
10 温度制御器
11 試料採取バルブ
11´ 試料採取バルブ
12 反応槽
121 入口
122 出口
A 導入管
B 排出管
13 コンピュータ記録および制御装置
13´ コンピュータ記録および制御装置
14 冷却システム
15 マグネトロンマイクロ波発振器
15´ 照射体
16 耐熱セラミック管(またはガラス管)
161 入口
162 出口
17 充填物
21 キャリア
211 脚部
212 導入口
213 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽中に、複数のマイクロ波照射体に接続したマグネトロンマイクロ波発振器及び該マイクロ波照射体の間に、担体を二酸化チタンで被覆した触媒を充填した耐熱セラミック管(またはガラス管)を複数配置したキャリアを複数収容し、
該耐熱セラミック管内を通す揮発性有機化合物にマイクロ波を照射することを特徴とする、
揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置。
【請求項2】
前記キャリアは、前記耐熱セラミック管(またはガラス管)の揮発性有機化合物を流入、排出する入口及び出口にそれぞれ接続された導入口および排出口を有することを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置。
【請求項3】
前記充填物は、高誘電率という物理的性質を有することを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物処理用マイクロ波処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−284529(P2008−284529A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134844(P2007−134844)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(507165947)
【Fターム(参考)】