説明

搬送コンベヤ、搬送加熱装置、および搬送コンベヤシステム

【課題】基板等の被処理物が搬送途上で加熱工程に付されても熱遮蔽を生じ易い部材の介在を排除し且つ被処理物の熱変形を有効に抑制し得る搬送コンベヤ等を提供すること。
【解決手段】搬送対象物である基板等の被処理物Wを個別に支持して搬送する一対の搬送機構2,3を備えている。各搬送機構2,3は、同期移動する搬送移送体(搬送チェーン)11,12を有し、その対向側面にそれぞれ複数の支持部材11E,12Eを備え、この支持部材11E,12Eで被処理物Wをその左右の端部で個別に支持しつつ搬送する。更に、各搬送移送体(搬送チェーン)11,12に、被処理物Wの各端部を支持部材11E,12Eと共に保持する保持機構31,41を、複数装備した。これにより、被処理物Wの熱変形や移動中における振動等によって生じる被処理物Wの部分的な損傷は、前述した保持機構によって保持されることから有効に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物用の搬送コンベヤ、搬送加熱装置、および搬送システムに係り、特に、基板等の被処理物を、その両端部を支持しながら所定箇所まで搬送するに必要な搬送コンベヤ、搬送加熱装置、および搬送コンベヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
被処理物用の搬送装置としては、例えばプリント基板等(以下「基板」という)の被処理物をリフロー装置側へ移送するための搬送コンベヤが比較的多く知られている。これらの搬送コンベヤは、これに所定の加熱手段を組み込むことにより、基板上の一部又は多数箇所の回路接続箇所に付されたハンダを短時間に加熱して当該各回路接続を完了させることができ、同時に高精度に且つ連続的にハンダ作業が実行されることから、近時にあっては比較的多く採用されている。
【0003】
一方、搬送コンベヤを用いての基板(被処理物)の加熱処理にあっては、基板の熱変形等が生じやすい。この場合の熱変形は、例えば全体加熱の場合には、重量の関係で基板中央部の下方へ向かう湾曲変形が多いことから、これを防止するために従来より種々の技術的な手法が試みられている(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2002−299812公報
【特許文献2】特開2003−179343公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1,2に示す従来例にあっては、それぞれ初期の目的を達成し得るものの、中央部の下面部分に装備した反り防止機構によって熱吸収および熱遮蔽が生じる。かかる現象は、通常のハンダによる場合には悪影響は低いが無鉛ハンダにあっては融点が高いことから、基板(被処理物)上に加熱ムラが生じる。この影響を回避するためには加熱時間を長くすればよいが、基板上の電子部品の耐熱性も考慮すると、短時間に迅速に加熱処理することが重要とされている。このため、基板全体の均一加熱に対して支障を来すような障害は僅かな障害であっても出来るだけ排除する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、基板等の被処理物が搬送途上で加熱工程に付されても熱吸収および熱遮蔽を生じ易い部材の介在を排除して且つ被処理物の熱変形を有効に抑制し得る搬送コンベヤ、搬送加熱装置、および搬送コンベヤシステムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にかかる搬送コンベヤでは、所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物を個別に支持しつつ搬送する一対の搬送機構を備えている。この各搬送機構は、同期して併走移動する搬送移送体を有し、その対向側面にそれぞれ突設された複数の支持部材を備え、この複数の支持部材で前述した被処理物をその進行方向に向かって左右の端部で個別に支持しつつ搬送するように構成されている。更に、各搬送機構の搬送移送体には、前述した被処理物の各端部の一部を前述した支持部材と共に保持する保持機構が、それぞれ所定間隔を隔てて複数個装備されている(請求項1)。
【0007】
このため、被処理物は、その両端部が各搬送移送体の複数の支持部材に支持されつつ当該搬送移送体によって搬送される。そして、この間、当該被処理物はその上面および下面が空間に露出されていることから、例えば当該被処理物に対する加熱工程や除塵工程等を円滑に且つ効率よく実行する事ができる。又、この発明では、各搬送機構の相互間には前述した従来例の場合と異なり何らの熱遮蔽部材が存在しないことから、例えば加熱処理等にあっては、被処理物を全体的に均一な加熱状態を設定するこができる。更に、被処理物の熱変形や移動中における振動等によって生じる被処理物の変形や部分的な損傷は、前述した保持機構によって保持されることから有効に抑制されるようになっている。
【0008】
ここで、前述した複数の各支持部材を棒状の支持部材により構成すると共に、この各棒状支持部材を前記各搬送機構が備えている搬送移送体の対向面側に当該搬送機構に沿って等間隔に配設してもよい(請求項2)。このようにすると、被処理物の載置位置が前後方向にずれが生じても、有効に支持し搬送することができる点で都合がよい。
【0009】
又、前述した一対の各搬送機構を、それぞれ搬送移送体としてのエンドレス型の搬送チェーンと、この搬送チェーンを走行駆動するチェーン駆動手段と、前記搬送チェーンの走行状態を維持し且つ案内する複数のガイドチェーン車と、前述した搬送チェーンによる被処理物の搬送領域に装備された搬送チェーン用のガイドレールとを備えた構成としてもよい(請求項3)。このようにすると、装置全体を堅牢にして且つ耐久性および耐熱性の高い状態に維持することができ、搬送動作を安定して円滑に実行することができ、大型化も可能となるという利点がある。
【0010】
更に、前記エンドレス型の搬送チェーンを、ローラチェーンを横二列に併設して成る二列型のローラチェーンにより構成し、その内側に位置するローラチェーンに前記保持機構を装備するようにしてもよい(請求項4)。このようにすると、一対の各搬送機構の搬送能力および耐久性をより一層高めることができる。
【0011】
前述した保持機構については、前述した支持部材の基幹部側(例えばチェーン側)を回動支点として当該支持部材の先端部に向けて起伏回動自在に装備され且つその先端部が前述した支持部材の先端部に向けて曲折された押さえ部材と、この押さえ部材を起伏回動自在に保持する連結プレートと、この連結プレートに装備され前記押さえ部材を通常は伏した状態に設定してこれを維持する押さえバネとを備えた構成としてもよい(請求項5)。
【0012】
このようにすると、装備箇所にあっては例えば連結プレートを搬送チェーンのリンク部材に代えて組み込むことができ、これにより保持機構の小型化が可能となり、支持部材と協同して被処理物の左側又は右側の端部を挟持しやすい形態を単純な構造で形成することができる。
【0013】
前述した各保持機構の押さえ部材に対して起立動作を付勢する動作付勢機構を、前記各保持機構に個別に対応して前述した搬送移送体に装備すると共に、この動作付勢機構を作動させる作動カムを、各搬送機構の被処理物用搬入端および被処理物用搬出端にそれぞれ装備してもよい(請求項6)。この場合、作動カムを、前述した各搬送機構の被処理物用搬送領域の被処理物用搬入端および被処理物用搬出端に装備されたガイドチェーン車に同軸で且つ一体的に装備してもよい(請求項7)。このようにすると、被処理物の搬送に際しては、その搬入から搬出に至る全工程で連続運転が可能となり、被処理物の搬送処理能力を一段と高めることができる。
【0014】
又、前述した動作付勢機構を、その一端部が前述した支持部材の基幹部に回転自在に保持され他端部が鉤状に形成された回動起立部材をもって構成し、この回動起立部材はその一端部の外周囲が半円状に形成され且つこの半円状の外周部分に前記作動カムが当接してこれに回転動作を付勢する構造とし、この一端部の回転動作と共に回動する当該回動起立部材の他端部で前述した保持機構の押さえ部材に起立動作を付勢するように構成してもよい(請求項8)。
【0015】
このようにすると、搬送移送体(搬送チェーン)が走行して保持機構および動作付勢機構が作動カムの装備箇所に移動してくると、前述した被処理物の搬入及び搬出領域では保持機構の押さえ部材が伏した状態(支持部材上の被処理物を挟持した状態)から起立した状態に設定され、これによって被処理物が挟持された状態から開放されて前述した被処理物の搬入および搬出が実行される。
【0016】
更に、上述した複数の各保持機構については、押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部を前述した支持部材側に常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構とした(請求項9)。この場合、複数の各保持機構を、前述した一対の各搬送機構の内の何れか一方のみに装備してもよい(請求項10)。このようにすると、被処理物が熱変形し易い部材によって構成されていても、かかる変形を有効に抑制するこができる。
【0017】
前述した一対の各搬送機構に装備される複数の保持機構の内、被処理物の搬送方向の先端部に対応する箇所の両側端部の少なくとも一方の側端部には、前述した押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部を支持部材に常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構を装備し、他方の側端部には、前述した押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部上面との間に隙間を有するように構成してなる隙間有り保持機構を装備するように構成してもよい(請求項11)。このようにすると、熱変形等で大きく湾曲する被処理物に対しては各部を緩やかに押さえておくことにより、冷却後に内部歪みが残りやすい部材に対してはこれを有効に低減させることができて都合がよい。
【0018】
又、前述した一対の各搬送移送体の相互間を、所定のピッチ間隔で棒状連結部材にて連結してもよい(請求項12)。又この棒状連結部材は、対向位置にある支持部材を相互に連結する形態をもって装備してもよい(請求項13)。このようにすると、一対の各搬送機構の進行移動に際して有効に同期をとることができ、被処理物が支持されて走行される場合に生じる面の微小蛇行およびこれに起因して生じる微小振動等の発生を有効に抑制することができ、更には被処理物全体がその周囲下方でほぼ均一に支持されるように構成し得るので、熱風加熱等に際しても被処理物を円滑に搬送することができ、熱処理に伴う変形を全体的に有効に抑制し得るという利点がある。
【0019】
更に、前述した一対の各搬送機構には、当該各搬送機構の一部をなす搬送移送体としての搬送チェーンを常時洗浄する洗浄機構を個別に併設するように構成してもよい(請求項14)。このようにすると、被処理物用として装備した保持機構の起伏回動を長期間にわたって円滑に作動させることができ、各搬送チェーンの全体的な円滑動作およびその耐久性を著しく高めることがきる。
【0020】
ここで、前述した洗浄機構に、当該洗浄機構の洗浄液を冷却する洗浄液冷却手段を装備してもよい(請求項15)。又、前述した洗浄機構の入力段に、洗浄前の搬送移送体(搬送チェーン)を冷却する移送体冷却手段(搬送チェーン冷却手段)を設けてもよい(請求項16)。これにより、経時的に上昇する冷却液の温度上昇を押さえてその蒸発を有効に抑制するこができ、装置全体の耐久性を高めることができる。
【0021】
又、前述した洗浄機構の出力段に、洗浄後の搬送移送体(搬送チェーン)に付された洗浄液を液切りする(乾燥する)液切り部を併設してもよい(請求項17)。このようにすると、周囲空間から飛来する塵埃の付着を有効に回避し得ると共に、被処理物(基板)に水滴が付着するのを予め有効に回避することができる。
【0022】
又、本発明にかかる搬送加熱装置は、前述した搬送コンベヤに被処理物用の加熱手段を組み合わせたもので、前述した搬送コンベヤの一対の各搬送機構の被処理物用搬入端から被処理物用搬出端に至る途上に、被処理物用加熱手段を装備する、という構成とした(請求項18)。ここで、前述した被処理物用加熱手段は、被処理物の上面と下面の両方を同時に加熱する両面加熱方式のものとしてもよい(請求項19)。このようにしても、前述した搬送コンベヤの有する利点を有効に生かすことができ、当該被処理物の搬送加熱工程を有効に実行することができ、被処理物を搬送しながら加熱処理しても、前述した保持機構が有効に機能して反りや変形の少ない状態を維持することが可能となる。
【0023】
又、本発明にかかる搬送コンベヤシステムでは、所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物をその左右の両端部で個別に支持しつつ搬送する一対の搬送機構と、この各搬送機構が備え且つ併走移動する搬送移送体の対向側面にそれぞれ突設され前記被処理物の各端部を支持する構造の複数の支持部材とを備えた搬送コンベヤを有する。この搬送コンベヤの一対の搬送機構に対応して、前述した被処理物を所定のタイミングで送り込む被処理物搬入装置が併設され、更に、この被処理物搬入装置には前記被処理物の搬入のタイミングを自在に設定する搬入調整機構が併設されている。
【0024】
そして、前述した一対の搬送機構の何れか一方の搬送機構には、棒状連結部材が被処理物搬入領域に近づいたことを検出する連結部材検出センサを装備すると共に、この連結部材検出センサからの情報に基づいて作動し前記搬入調整機構を駆動制御して前記被処理物の最適な搬入のタイミングを設定する搬入タイミング演算制御部を備える、という構成を採用した(請求項20)。
【0025】
このため、搬送コンベヤに対する被処理物の搬入および搬出を連続的に且つ迅速に実行することができ、多量の被処理物であってもその搬送および搬送中の加熱処理を連続して円滑に実行することができる。又、被処理物の搬入のタイミングを設定しこれに合わせて搬入および搬出を実行するようにしたので、被処理物相互間の衝突事故等が回避され損傷事故等がなくなり、良好な品質を維持しながら多量の被処理物を円滑に搬送し又は連続して加熱処理をなし得るという利点がある。
【0026】
ここで、前述した搬入調整機構は、前述した被処理物搬入装置を介して送り込まれる被処理物の搬入を一時的に係止して当該搬入のタイミングを調整する搬入調整機能を有し、前述した搬入タイミング演算制御部は、連結部材検出センサから出力される棒状棒連結部材の接近情報に基づいて作動し当該棒状連結部材が被処理物を受けとめる位置までの移動時間を演算する移動時間演算機能と、この演算された時間に合わせて前記被処理物を前記搬送機構に送り込むように前述した搬入調整機構による係止解除の動作タイミングを設定する解除動作設定機能とを備えた構成としてもよい(請求項21)。
【0027】
このようにすると、被処理物の搬入および搬出の能率を具体的に設定することができ、被処理物の性質に応じた搬送速度若しくは加熱時間の設定等を必要に応じて予め自在に設定することができ、作業工程の円滑化および高能率化を実行することが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述したように構成され機能するので、これによると、被処理物はその搬送過程において上面および下面が空間に露出されており且つ各搬送機構の相互間には前述した従来例の場合と異なり何らの熱遮蔽部材が存在しないことから、加熱処理等にあっては、被処理物を全体的に均一な加熱状態を設定するこができ、更に、搬送中における被処理物は複数の保持機構によって隙間なく或いは所定の隙間をもって保持されることから、当該被処理物の熱変形や移動中における振動等による被処理物の変形や部分的な損傷は、これを有効に抑制することができるという従来にない優れた搬送コンベヤ、搬送加熱装置、及び搬送コンベヤシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の最良の実施形態を、図面に従って説明する。
この実施形態は、被処理物としてのプリント配線された回路基板(以下、単に「基板」という)Wの全体を搬送しながら一様に加熱して当該基板W上の回路に付されたハンダを一斉に溶融し電子部品等をハンダ付するシステムについて、本発明を実施した場合を例示するものである。
【0030】
〈全体的な構成〉
図1乃至図4において、符号1は搬送コンベヤを示す。この搬送コンベヤ1は、被処理物である基板Wを、その左右の両端部を個別に支持しつつ搬送する一対の搬送機構2,3を備えている。この各搬送機構2,3は、相互に同期して移動する搬送移送体を備え、この搬送移送体の対向側面にそれぞれ突設され前述した被処理物である基板Wを(その各端部を)個別に支持する構造の複数の支持部材11E,12Eを備えている。
【0031】
この搬送コンベヤ1の中央部には、前述した搬送機構2,3の被処理物搬送領域を間に配して、その上下の空間領域に加熱手段4が配設されている(図4参照)。即ち、この加熱手段4は、搬送中の基板Wを加熱して当該基板Wの所定の回路に付されたハンダを一斉に溶融し、これによって組み込まれた電子部品等を同時に且つ均一にハンダ付をするためのものである。この場合、加熱手段4の作動中にあっては、上述した搬送コンベヤ1は被処理物である基板Wを有効に保持しつつこれを円滑に搬送するためのものである。
【0032】
この場合、この図4における上述した搬送コンベヤ1は、搬送加熱装置用の搬送コンベヤとして機能することとなる。ここで、この図4では、加熱手段4としては、被処理物搬送領域の搬送移送体部分を挟んで上下に分けて装備した場合、即ち、搬送される被処理物の上面と下面の両方を同時に加熱する両面加熱方式のものを例示したが、上面側だけの片面加熱方式のものであってもよい。
【0033】
図4において、符号7は搬送コンベヤ1に基板Wを搬入するための被処理物搬入装置を示し、符号8は搬送コンベヤ1から搬出される基板Wを外部へ送り出すための被処理物搬出装置を示す。そして、搬送コンベヤシステムは、この搬送コンベヤ1に搬入装置7(又は搬入装置7と搬出装置8)を併設することによって構成されている。これにより、搬送コンベヤ1に対する基板Wの搬入/搬出作業を連続的に且つ迅速に実行することができ、多量の基板Wであっても充分にこれに対応することができ、加熱工程にあっては搬送中の基板W上のハンダの加熱処理を迅速に且つ連続して実行することが可能となる。
【0034】
前述したように、各搬送機構2,3が備えている搬送移送体の相互に対向する側面には、図1に示すように、相互間に位置する空間領域に向けて前述した基板Wの進行方向の左右の端部を下方から支持するための同一形状の複数の支持部材11E,11E,11E・・・,12E,12E,12E・・・が、その側端面全体にわたって所定間隔を隔てて突設装備されている。又、この各支持部材11E又は12Eと協同して前述した基板(被処理物)Wの左右の各端部を保持する複数の保持機構31,41が、前述した各搬送機構2,3上に所定間隔をおいてそれぞれ装備されている(図1〜図3参照)。これにより、例えば、基板(被処理物)Wの熱変形や移動中における振動等によって生じる部分的な損傷等は、当該保持機構31,41に保持されることから、予めこれを有効に回避することができる。
【0035】
前述した一対の各搬送機構2,3は、図1乃至図4に示すように、本実施形態ではそれぞれエンドレス型のチェーン機構によって構成されている。これを更に詳述すると、各搬送機構2,3は、所定間隔S(図1参照)を隔てて配設され搬送対象物である基板Wの左右の両端部を下方から個別に支持した状態で当該基板Wを搬送する搬送移送体としてのエンドレス型の搬送チェーン11,12と、この搬送チェーン11,12を走行駆動するチェーン駆動手段13と、前述した搬送チェーン11(又は12)の走行状態を維持し且つ案内する複数のガイドチェーン車(スポロケット車)14a,14b,14c,・・・(15a,15b,15c,・・・)とを備えている。チェーン駆動手段13としては実際には速度制御可能な駆動モータが使用されている。
【0036】
搬送チェーン(搬送移送体)11,12としては、本実施形態では2列一体型のローラチェーンが使用されている(図1乃至図3参照)。即ち、一方の搬送チェーン11は、並列に連結されてなーラチェーン11A,11Bによって構成されている。又、他方の搬送チェーン12は、並列に連結されてなるローラチェーン12A,12Bによって構成されている。符号13A,13Bは、チェーン駆動手段13に所定間隔を隔てて直結された2列用の原動チェーン車(スポロケット車)を示す。更に、この原動チェーン車13A,13Bは、前述したチェーン駆動手段13と共に搬送チェーン11,12の下流側(被処理物搬出側)に、当該各搬送チェーン11,12に対応して装備されている。このため、一対の各搬送機構2,3の搬送能力をより一層高めることができ、装置全体を堅牢にして且つ耐久性および耐熱性の高い状態に維持することができ、基板Wの搬送動作を安定して円滑に実行することができ、大型化も可能となるという利点が有る。
【0037】
前述したガイドチェーン車(二連のスポロケット車)14a,14b,14c,・・・としては、図4に示すように、本実施形態では各搬送チェーン11,12に対応してそれぞれ10個のガイドチェーン車14a〜14j,15a〜15j,が前述した搬送コンベヤ1の装置本体1Aに装備されている。この内、搬送チェーン11(又は12)の被処理物搬出側(図4の左側)には、前述した原動チェーン車13A(又は13B)に近接してその前後に5個のガイドチェーン車14a〜14c,14i,14j(又は15a〜15c,15i,15j)が装備されている。又、搬送チェーン11(又は12)の被処理物搬入側(図4の右側)には、同じく5個のガイドチェーン車14d〜14h(又は15d〜15h)が装備されている。
【0038】
この内、基板(被処理物)Wを搬送する領域(図4の上端部を走行する搬送チェーン11,12部分)には、上流側(図4の右端部)にはガイドチェーン車14h,15hが、下流側にはガイドチェーン車14i,15iが、それぞれ配設され、これによって基板(被処理物)Wを搬送する領域が特定されている。符号16,17は、この基板Wを搬送する領域に前述した搬送チェーン11,12に対応して個別に装備されたコンベアレールを示す。
【0039】
又、上流側である被処理物搬入側に装備されたガイドチェーン車14d〜14h(又は15d〜15h)の内、ガイドチェーン車14e及び14g(又は15e及び15g)が下方から上方に向かう直線状走行路から内側に入り込んで装備され、これによって各搬送チェーン11(12)には適度の張力が設定されるようになっている。
【0040】
同時に、搬送チェーン11(又は12)の走行抵抗の内、ガイドチェーン車14a(又は15a)からガイドチェーン車14h(又は15h)に至る領域の走行抵抗が、ガイドチェーン車14i(又は15i)から原動チェーン車13B(又は13A)に至る領域の走行抵抗よりも(搬送チェーン11,12のジグザグ走行によって)幾分大きくなるように設定され、これによって、基板(被処理物)Wを搬送する領域(ガイドチェーン車14h(15h)からガイドチェーン車14i(14i)に至る領域)を走行する搬送チェーン11,12部分に、適度の張力が印加されるようになっている。このため、被処理物である基板Wの搬送領域では、搬送チェーン11,12の弛み等が無くなり、基板Wは常に同一条件で円滑に搬送されるようになっている。
【0041】
〈搬送チェーンについて〉
エンドレス型の搬送チェーン(搬送移送体)11,12としては、前述したように、それぞれ二列一体型のローラチェーン11A,11B,12A,12Bが使用されている(図1〜図3参照)。この図1〜図3において、符号11a,11b,12a,12bはリンクプレートを示す。又、符号11eはリンクプレート11a,11bを連結するためのチェーンピンとして機能する支軸を示す。この支軸11eは、後述するように、搬送チェーン12側に向けて延設(突設)され、その延設部(突設部)が基板支持用の支持部材11Eとして機能するように構成されている。同様に、符号12eはリンクプレート12a,12bを連結するチェーンピンとして機能する支軸を示す。そして、この支軸12eも、後述するように搬送チェーン11側に向けて延設(突設)され、その延設部(突設部)が基板支持用の支持部材12Eとして機能するように構成されている。更に、符号11r,12rはローラチェーン11,12のローラを示す。このローラ11r,12rと支軸11e,12eとの間には、実際にはそれぞれブシュ(図示せず)が介装されている。
【0042】
このように、二列一体型をもって構成されたローラチェーンから成る搬送チェーン11,12は、それぞれ所定間隔を隔てて同軸上に一体的に組み込まれた原動チェーン車(スポロケット車)13A,13Bに付勢され同時に複数のガイドチェーン車14a〜14j,15a〜15j,にそれぞれ案内されて、安定した状態で同期走行し得るようになっている。
【0043】
又、各搬送チェーン11,12には、その装備された状態の対向側面に、前述した基板支持用の棒状の支持部材11E,12Eが等間隔に複数装備されている。この各棒状の支持部材11E,12Eは、実際には各搬送チェーン11,12の前述した支軸11e又は12eが、それぞれ他方の搬送チェーン11又は12に向けて延設(突設)された状態で装備されている。そして、この複数の各支軸11e又は12eには、本実施例ではその一つ置きに位置決め用の鍔状部材11s,12sがそれぞれ装備されている。この鍔状部材11s,12sは、支軸11e又は12eの突出部分の中央部分に直交した状態で固着装備され、前述した基板(被処理物)Wが載置された場合の左右の位置を設定する位置決め機能と、後述する保持機構31,41(および131,141)が備えている押さえ部材32,42(および132,142)・・の作動休止時に機能する押さえ部材保持機能とを兼ね備えている。
【0044】
そして、前述した基板(被処理物)Wは、この複数の棒状支持部材11E,12Eによって左右の各端部の複数箇所が下方から支持された状態で、図4の右方向から左方向に搬送されるようになっている。ここで、前述した一対の各搬送機構2,3の主要部をなす各搬送チェーン11,12は、その配置間隔Sが基板(被処理物)Wの大きさに合わせて予め設定されている(図1参照)。ここで、符号Sは基板(被処理物)Wを載置し保持する領域の幅(間隔)を示す。この保持領域の幅Sは、基板(被処理物)Wの幅寸法よりも大きい寸法に設定されている。このため、基板(被処理物)Wは、左右から突出された複数の棒状の支持部材11E,12E上に前述した鍔状部材11s,12sに案内されて円滑に載置することができ、その後は当該複数の棒状支持部材11E,12Eによって有効に支持され同時に鍔状部材11s,12sによって横方向の移動が規制され、離脱することなく円滑に搬送されるようになっている。又、基板(被処理物)Wが前後方向にずれて配置されても、常に同一条件で有効に支持されることとなり、かかる点においても安定して且つ円滑に搬送されることとなる。図1乃至図4において、矢印Aは搬送チェーン11,12の走行方向を示す。
【0045】
又、図1において、符号90は前述した搬送チェーン11,12を同一走行面内において連結すると共に基板(被処理物)Wを支持するための棒状連結部材を示す。この棒状連結部材90は、搬送チェーン11,12の進行方向に沿って且つ所定のピッチをもって配設され、当該配設箇所では、各搬送チェーン11,12を構成するローラチェーンの各支軸11e,12eから突設された棒状支持部材11E,12Eの相互間を橋渡しする形態をもって、一体的に連結されている。これによって、各搬送チェーン11,12の同期走行中の微小蛇行若しくは振動等が有効に抑制され、基板Wをより安定した状態で円滑に搬送することが可能となっている。
【0046】
〈コンベアレールについて〉
コンベアレール16,17は、前述したように2列のローラチェーンから成る各搬送チェーン11,12が図4の上端部を右方から左方へ走行するに際し、そのガイドレールとして機能する。この内、コンベアレール16は、図5(A)に示すように、本実施形態では2列の各ローラチェーン11A,11Bから成る搬送チェーン11の外側に位置するローラチェーン11A部分を案内するように構成され、前述した基板(被処理物)Wを搬送する領域(図3の上端部を走行する搬送チェーン11部分)に装備されている。
【0047】
この図5(A)において、符号31は基板(被処理物)Wを保持する保持機構を示す。この保持機構31としては、搬送用の基板Wを支持部材11Eと共に隙間無く保持する隙間無し保持保持機構が使用されている。符号32は、この場合の押さえ部材を示す。又、図5(B)は、搬送チェーン11が後述する隙間有り保持部材131を装備した状態でコンベアレール16部分を走行する場合の状態を示す説明図である。符号132は、この隙間有り保持部材131が備えている押さえ部材を示す。
【0048】
同様に、コンベアレール17は、図6(A)に示すように、本実施形態では2列の各ローラチェーン12A,12Bから成る搬送チェーン12の外側に位置するローラチェーン12B部分を案内するように構成され、前述した基板(被処理物)Wを搬送する領域(図4の上端部を走行する搬送チェーン12部分)に装備されている。この図6(A)において、符号41は基板(被処理物)Wを保持する保持機構を示す。この保持機構41としては、搬送用の基板Wを支持部材12Eと共に隙間無く保持する隙間無し保持保持機構が使用されている。符号42は、この場合の押さえ部材を示す。又、図6(B)は、搬送チェーン12が後述する隙間有り保持部材141を装備した状態でコンベアレール17部分を走行する場合の状態を示す説明図である。符号142は、この隙間有り保持部材142が備えている押さえ部材を示す。
【0049】
これを更に詳述する。前述したコンベアレール16は、図5(A)に示すように、ローラチェーン11Aのローラ11r部分がころがって移動するのを案内する下側レール部16Aと、ローラチェーン11Aが上方へ変動するのをリンクプレート11a,11b部分で抑制する上側レール部16Bと、これらの各レール部16A,16Bを保持するレール本体16Cとを備えた構成となっている。
【0050】
これにより、この搬送チェーン11がコンベアレール16部分を走行する場合には、下側レール部16Aによって各ローラ11r部分(搬送チェーン11の外側の下方中央部)を円滑に受けて移動させ、上側レール部16Bが各ローラ11rの両側に位置するリンクプレート11a,11b部分(搬送チェーン11の上方の左右二箇所)を同一条件で上方向から下方向に向けて緩やかに押さえる状態となっている。このため、当該搬送チェーン11は、走行中はその下方中央部がローラ11r部分を介して転がり接触し且つその上方の左右方向が常時二点(リンクプレート11a,11b部分)で保持されることから、進行方向の断面内が常時三点支持の状態が維持されることとなり、振動も有効に抑制されて安定走行が維持されるようになっている。
【0051】
前述した搬送チェーン12の場合も、上記コンベアレール16と全く同様に構成されたコンベアレール17によって案内され、搬送チェーン11の場合と同様に安定走行し得るようになっている。即ち、図6(A)において、コンベアレール17は、ローラチェーン12Bのローラ12r部分がころがって移動するのを案内する下側レール部17Aと、ローラチェーン12Aが上方へ変動するのをリンクプレート12a,12b部分で抑制する上側レール部17Bと、これらの各レール部17A,17Bを保持するレール本体17Cとを備えた構成となっている。
【0052】
これにより、この搬送チェーン12がコンベアレール17部分を走行する場合には、下側レール部17Aによって当該搬送チェーン12の外側に位置するローラチェーン12Bの各ローラ12r部分(搬送チェーン12の外側の下方中央部)を円滑に受けて移動させると共に、上側レール部17Bがローラチェーン12Bの各ローラ12rの両側に位置するリンクプレート12a,12b部分(搬送チェーン12の上方の左右二箇所)を同一条件で上方向から下方向に向けて緩やかに押さえる状態となっている。このため、当該搬送チェーン12は、走行中はその下方中央部がローラ12r部分を介して転がり接触し且つその上方の左右方向が常時二点(リンクプレート12a,12b部分)で保持されることから、進行方向の断面内で常時三点支持の状態が維持されることとなり、振動も有効に抑制されて安定走行が維持されるようになっている。
【0053】
〈保持機構について〉
前述したように、搬送コンベヤの主要部を成す搬送チェーン(搬送移送体)11,12には、所定間隔を隔ててそれぞれ複数の保持機構31,41が装備されている(図1乃至図3参照)。この内、保持機構31は一方の搬送チェーン(搬送移送体)11に所定間隔を隔てて複数装備されている。そして、二列型のローラチェーン11A,11Bからなる搬送チェーン11の内側に位置する方のローラチェーン11Bに、前述した保持機構31が装備されている。同様にして、保持機構41は、他方の搬送チェーン(搬送移送体)12に所定間隔を隔て複数装備されている。そして、二列型のローラチェーン12A,12Bからなる搬送チェーン12の内側に位置するローラチェーン12Aに、前述した保持機構41が装備されている。この各保持機構31,41は、それぞれ押さえ部材の形状が左右対称形をなしているが、全体的にはほぼ同一の構成となっている。このため、以下、一方の保持機構31について詳述する。
【0054】
この一方の保持機構31は、図1乃至図2に示すように、支持部材11Eの基幹部側(搬送チェーン側)を回動支点として当該支持部材11Eの先端部に向けて起伏回動自在に装備され且つその先端部が支持部材11Eの先端部に向けて曲折された押さえ部材32を備えている。この押さえ部材32は、連結プレート33によって起伏回動自在に保持されている。そして、この連結プレート33には、前述した押さえ部材32を通常は伏した状態に設定してこれを維持する押さえバネ34が装備されている。符号35は、連結プレート33と押さえ部材32との間に介装された蝶番を示す。前述した押さえバネ34は、この蝶番35の支軸部分に装備されている。
【0055】
ここで、前述した連結プレート33は、二列一体型の搬送チェーン(搬送移送体)11の内側に位置するローラチェーン11Bが備えているリンクプレート11bに代えて、当該搬送チェーン(搬送移送体)11にリンクプレートとしても機能するように組み込まれている。これにより、当該保持機構31の小型化および軽量化が図られている。この連結プレート33は、本実施形態では、上端の水平部分がローラチェーン11Bを覆うように曲折されて全体的には断面が逆L字状に形成され、下側の直立部分がリンクプレート11bと同等に機能するようになっている。そして、この連結プレート33の上端の水平部分に、前述した押さえ部材32が、蝶番35を介して起伏回動自在に装備されている。
【0056】
かかる構成は、本実施形態では、一方の保持機構31が装備される全箇所で全く同様の動作形態をもって組み込まれている。又、上記押さえ部材32は、前述した支持部材11E側の部分の内、位置決め用の鍔状部材11sが装備されていない領域部分の先端部が切除され、これによって保持機構31の軽量化が図られている。
【0057】
この保持機構31は、その押さえ部材32部分が、図1〜図2に示すように、一方の搬送チェーン(搬送移送体)11に突設された支持部材11Eの内の鍔状部材11sを有する支持部材(鍔付支持部材)11Eと鍔付でない支持部材11Eの二つの支持部材11Eに対応した状態に配設され装備されている。図1では基板(被処理物)Wが未載置の状態であることから、押さえ部材32は伏した状態で、図2に示すように鍔状部材11sに係止されている。この図2(A)において、二点鎖線は押さえ部材32が立ち上がった状態を示す。この押さえ部材32は後述する動作付勢機構70によってその起伏動作が付勢されるようになっている。
【0058】
又、前述した他方の保持機構41は、図1及び図3に示すように、その一部をなす押さえ部材42及び押さえバネ44が装備位置の関係で前述した一方の保持機構31の押さえ部材32及び押さえバネ34に対しては線対称の形状に形成されているほかは、前述した一方の保持機構31の場合と全く同様に構成され同様に機能するようになっている。この他方の保持機構41については、その装備箇所が、二列型のローラチェーン12A,12Bからなる他方の搬送チェーン12の内の内側に位置するローラチェーン12Aに特定されている。そして、前述した一方の保持機構31と同時に連係して作動し、基板(被処理物)Wを有効に保持し得るようになっている。
【0059】
更に、図1及び図3において、付号43は他方の保持機構41における断面逆L字状に形成された連結プレートを示し、符号45は蝶番を示す。この他方の保持機構41における連結プレート43は、二列一体型のローラチェーン12A,12Bから成る搬送チェーン(搬送移送体)12の内側に位置するローラチェーン12Aが備えているリンクプレート12aに代えて、当該搬送チェーン12に組み込まれている。この連結プレート43は、本実施形態では、上端が水平に曲折された逆L字状に形成され、下側の直立部分がリンクプレート12aと同等に機能し、上端の水平部分に前述した押さえ部材42が、蝶番45を介して起伏回動自在に装備されている。
【0060】
このような構成を備えた保持機構31,41は、その複数が例えば図10に示すように、一方の搬送チェーン11と他方の搬送チェーン12の複数箇所にそれぞれ等間隔に装備されている。この保持機構31,41の装備間隔は、搬送する一個の基板(被処理物)Wに対してその複数箇所(例えば片側3箇所)を保持し得る間隔に予め設定されている。尚、この保持機構31,41による保持箇所は、片側で2か所でも或いは4か所以上であってもよい。
【0061】
上述した各保持機構31,41は、押さえ部材32,42がそれぞれ基板(被処理物)Wの左右の各端部を隙間無く挟持するためのもので、隙間無し保持機構として機能する(図2〜図3参照)。これに対し、図7に、隙間有りの保持機構131,141を示す。この図7に示す隙間有り保持機構131,141は、基板(被処理物)Wの左右の各端部を僅かな隙間Kを介した状態で保持するようにしたものである。この場合、押さえ部材132,142の先端部の曲折した箇所の長さが前述した隙間無し保持機構31,41の押さえ部材32,42のものよりも短く設定され、これによって、保持状態にあっても基板(被処理物)Wに対して隙間Kが形成されるようになっている。
【0062】
ここで、図7(A)は一方の搬送チェーン11に装備された状態の隙間有りの保持機構131を示し、図7(B)は他方の搬送チェーン12に装備された状態の隙間有りの保持機構141を示す。又、記号Kは、基板(被処理物)Wが無い状態における保持部材11E,12Eと押さえ部材132,142の先端部との間の隙間を示す。更に、図5(B)に、一方の搬送チェーン11に装備された隙間有りの保持機構131部分が当該搬送チェーン12と共にコンベアレール16部分を走行する場合の状態を示す。又、図6(B)に、他方の搬送チェーン12に装備された隙間有りの保持機構141部分が当該搬送チェーン12と共にコンベアレール16部分を走行する場合の状態を示す。
【0063】
実際には、隙間Kを形成した状態では基板(被処理物)Wを保持し得ないが、加熱処理中に熱変形が大きく生じた場合を想定して、その許容範囲(逃げ)を予め設定しておき、これによって基板(被処理物)Wが加熱処理中における大きく変形するのを有効に抑制し、若しくは熱歪みが内部に蓄積されたりするのを予め回避し得るようにしたものである。この場合、この隙間有り保持機構131,141の実際の装備に際しては、後述するように、前述した隙間無しの保持機構31,41によって基板Wの少なくとも一箇所を保持するように構成するとよい。このようにすると、これと前述した鍔状部材11sとが協同して有効に機能し、搬送コンベヤ1による搬送中での位置ずれが有効に抑制される。
【0064】
〈動作付勢機構と作動カムについて〉
前述した保持機構31,41および131,141には、これらに個別に対応して動作付勢機構70が併設されている。この動作付勢機構70は、前述した複数の各保持機構31,41又は131,141に個別に対応して前述した一方と他方の各搬送チェーン11,12に個別に装備されている。そして、この各保持機構31,41又は131,141を作動させる円盤状の作動カム81が、前述した搬送コンベヤ1の被処理物搬送領域における被処理物搬入端および被処理物搬出端に、それぞれ装備されている。具体的には、この作動カム81は、被処理物搬送領域における被処理物搬入端および被処理物搬出端に装備されたガイドチェーン車14h,15hおよび14i,15iに、同軸上で個別に且つ一体的に連結されている。以下、これを具体的に詳述する。
【0065】
最初に、動作付勢機構70を説明する。この動作付勢機構70は、図8乃至図9に示すように、板状部材により全体的には鉤状に形成された鉤状本体部70Aと、この鉤状本体部70Aの回動中心点として機能する取付け部70Bと、この取付け部70Bを中心とした回動端部に位置し前述した保持機構31,41および131,141の押さえ部材32,42,132,142を個別に順次上方に向けて押し上げる回動押し上げ部70C(回動端部の外周端部)と、前記取付け部70Bに近接して設けられ後述する作動カム81から回転力を付勢される従動カム部70Dと、この従動カム部70Dと前述した回動押し上げ部70Cとの間に設けられ非動作時には隣接する支持部材11E(12E)に係止される係止用凹部70Eとを備えている。この動作付勢機構70は、全体的にはクエッションマーク状に形成されている。上記回動押し上げ部70Cは、その外周形状が半円弧状に形成されている。
【0066】
更に、上述した回動押し上げ部70Cはその厚さ方向の角部が半円弧状に形成され、又この回動押し上げ部70Cに連なる側の前述した係止用凹部70Eの開口端(作動カム81との当接面)はその厚さ方向に沿って断面V字状の凹部が形成され、これに対応して後述する作動カム81には、その周囲に、厚さ方向に沿って断面山形状の凸部81Aが形成されている。この場合、係止用凹部70EのV字状の凹部70Eは、その断面内の角度が90度強に設定されている。又前述した作動カム81の頂角は、90度弱に設定されている。これによって、作動カム81は最初に動作付勢機構70の先端部に円滑に当接し当該動作付勢機構70に起立動作を円滑に付勢し得るようになっている。更に、前述した従動カム部70Dには、前述した作動カム81との当接箇所の全体にわたって断面V字状の凹部が形成されている。これにより、作動カム81は、搬送チェーン11,12の移動と共に、従動カム部70Dを介して当該動作付勢機構70にその起立動作を確実に伝達し得る構成となっている。
【0067】
そして、上記のように構成された動作付勢機構70は、本実施形態では、前述した各保持機構31,41又は131,141に対応して同一の搬送チェーン11,12上に個別に装備されている。そして、この動作付勢機構70は、まず、前述した取付け部70Bが鍔状部材11sの無い棒状支持部材11E,12Eに回転自在に装備され、その回動端部側の係止用凹部70Eが、各搬送チェーン11,12の搬送移動方向の下流側に隣接する棒状支持部材(鍔状部材11sが付された支持部材)11E,12Eに、図8の上方から下方に向けて係合するように伏せた状態で配置されている。かかる形態は取付け部70Bに装備された復帰ばね(図示せず)によって当該伏せた状態(係止用凹部70Eが支持部材11E,12Eに係合した状態)が維持されるように成っている。
【0068】
このため、図8に示すように、当該動作付勢機構70は、搬送チェーン11,12上においては移動方向に沿って上流側に位置する取付け部70Bを回動支点とし、下流側に位置する係止用凹部70E側が外側に向けて起伏回動可能に装備されている。この図8において、符号14iは基板(被処理物)Wの搬出領域に装備された二連のガイドチェーン車を示す。
【0069】
続いて、作動カム81について説明する。作動カム81は、基板(被処理物)Wを搬入/搬出する各領域に装備された各ガイドチェーン車14h,14iに、それぞれ同軸上で且つ一体的に固着装備されている。図8に、作動カム81が基板(被処理物)Wを搬出する領域のガイドチェーン車14iに一体的に装備された場合の状態を示す。この図8(A)において、符号16はガイドレールを示す。又、図9には、搬送チェーン11の走行動作と共に回転する作動カム81に付勢されて前述した動作付勢機構70が作動し、前述した保持機構31による基板保持状態が解放された時の状態を示す。
【0070】
これを更に詳述すると、まず、搬送チェーン11,12の走行と共に当該搬送チェーン11,12に装備された保持機構31,41に対応する各動作付勢機構70が、基板搬出領域のガイドチェーン車14i,15iに装備された作動カム81に接近すると、先ず最初に鉤状に形成された動作付勢機構70の回動押し上げ部70Cの係止用凹部70E側が作動カム81に当接し、これによって当該回動押し上げ部70Cが少し起立する。
【0071】
続いて各当該動作付勢機構70の従動カム部70Dが、それぞれ作動カム81当接すると、当該従動カム部70Dが、作動カム81の回転力に付勢されて急激に立ち上がり、同時にその先端部の回動押し上げ部70C側が取付け部70Bを回動支点として一気に立ち上がり、同時に、例えば前述した保持機構31の押さえ部材32がそれぞれ図9に示すように回動力が付勢されて一気に起立する。これにより、搬送チェーン11上の基板(被処理物)Wが保持状態から開放され、搬送チェーン11の走行と共にその搬出領域から順次外部へ送り出されるようになっている。保持機構41,131,141の場合もそれぞれ全く同様に作動する。
【0072】
又、基板(被処理物)Wの搬入領域においても、上述した作動カム81と同一に形成され装備された作動カム81が装備されその働きによって各動作付勢機構70が順次起伏動作し、これによって、搬入領域に搬入される基板(被処理物)Wが順次確実に搬入されその後に円滑に保持されるようになっている。
【0073】
〈保持機構の配置について〉
保持機構31,41,131,141は、前述したように、隙間無し保持機構31,41と隙間有り保持機構保持機構131,141とに分けられている。この二種類の保持機構31,41又は131,141は、基板(被処理物)Wの種類によって種々の組み合わせで使用される。図10乃至図11に、これを例示する。図中、二点差線の四角形で囲った微小領域が隙間無し保持機構31,41の配設位置を示し、二点差線の円形で囲った微小領域が隙間有り保持機構131,141の配設位置を示す。
【0074】
図10は、隙間無し保持機構31,41を装備した場合である。この図10では一対の各搬送チェーン(搬送移送体)11,12の全体にわたって隙間無し保持機構31,41が装備されてある。この場合、隙間無し保持機構31,41は、搬送チェーン(搬送移送体)11,12上にあっては、各支持部材11E,12Eをそれぞれ中6個置いて等間隔に配置され装備されている。
【0075】
この図10において、符号90は棒状連結部材を示す。この棒状連結部材90は、この図10の例では、支持部材11E,12Eを中15個置いたピッチで等間隔に且つ搬送チェーン(搬送移送体)11,12の全体にわたって装備されている。そして、この棒状連結部材90および支持部材11E,12Eによって下方から支持された基板(被処理物)Wは、隙間無し保持機構31,41によってその両端部がそれぞれ3か所で保持された状態で、図中矢印Aの方向に搬送されるようになっている。
【0076】
この図10の例では、保持機構として隙間無し保持機構31,41を装備した場合を例示したが、搬送チェーン(搬送移送体)11又は12の何れか一方のみに、隙間無し保持機構31又は41を装備するように構成してもよい。即ち、前述した被処理物(基板)Wの搬送方向に沿って当該被処理物(基板)Wの左端又は右端の何れか一方の端部を前述した支持部材11E,12Eと共に保持する保持機構を、一対の搬送機構2又は3の何れか一方の搬送チェーン(搬送移送体)11又は12に、それぞれ所定間隔を隔てて複数個装備する。そして、この各保持機構を、その押さえ部材の曲折端部が被処理物(基板)Wの端部を支持部材11E又は12Eに常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構31又は41としてもよい。
【0077】
この場合、搬送チェーン(搬送移送体)11又は12の何れか一方に隙間無し保持機構31を装備すると共に、他方に隙間有り保持機構131を装備するように構成しもよい。或いは、この図10の例において、搬送チェーン(搬送移送体)11又は12の何れか一方に隙間無し保持機構31を装備し、他方の搬送チェーン(搬送移送体)12又は11には保持機構を一切搭載しないように構成してもよい。
【0078】
このため、これによると、被処理物(基板W)が熱変形し易い部材によって構成されたものであっても当該被処理物(基板W)の少なくとも一方の端部が保持された状態で搬送されるので、その搬送過程において加熱工程等に付されても、熱変形を有効に抑制することができ、かかる点において、多種類の被処理物(基板W)の搬送に対応し得るという汎用性ある搬送コンベヤを得ることができる。
【0079】
又、図11に、隙間無し保持機構31,41と隙間有り保持機構131,141の二種類の保持機構を装備した場合の例を示す。具体的には、この図11では、一対の各搬送機構2,3の各搬送チェーン(搬送移送体)11又は12に装備される複数の保持機構の内、前記被処理物(基板)Wの搬送方向の先端部に対応する箇所の両側端部に、前述した押さえ部材32,42の曲折端部が被処理物(基板)Wの端部を常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構31,41を装備した。同時に、他の箇所に装備された保持機構の全部を、隙間有り保持機構131,141(即ち、前述した押さえ部材132,142の曲折端部が基板Wの端部上面との間に隙間Kを有するように構成されてなる保持機構)を装備するように構成した場合を示す。
【0080】
この場合、前述した基板Wの搬送方向の先端部に対応する箇所の両側端部の少なくとも一方の側端部には、隙間無し保持機構(押さえ部材32,42の曲折端部が基板Wの端部を常時押圧するように構成してなる保持機構)31,41を装備すると共に、他方の側端部には、隙間有り保持機構(押さえ部材132,142の曲折端部が基板Wの端部上面との間に隙間Kを有するように構成してなる隙間有り保持機構)131,141を装備してもよい。
【0081】
このため、これによると、熱変形等で大きく湾曲する被処理物に対しては各部を緩やかに押さえておくことにより、特に冷却後に内部歪みが残りやすい部材に対してはこれを有効に低減させることができ、かかる点において、多種類の被処理物(基板)の搬送に有効に対応し得るという汎用性ある搬送コンベヤを得ることができる。
【0082】
尚、上述した図11の開示内容において、基板Wの端部を常時押圧し保持する隙間無し保持機構31,41を装備するのは、搬送方向の先端部だけに限定されるものではなく、他の箇所に装備したものであってもよい。
【0083】
〈被処理物(基板)の搬入制御について〉
前述したように、本実施形態では、前述した搬送コンベアの主要部をなす一対の搬送機構2,3には、基板(被処理物)Wを搬入する被処理物搬入装置7が併設されている(図4参照)。この被処理物搬入装置7は、前述した搬送コンベアと同等に構成され同等に機能する搬入チェーン7A,7Bが装備されている。又、この被処理物搬入装置7には、図12(A)に示すように、基板(被処理物)Wの搬入のタイミングを自在に設定する搬入調整機構71が併設されている。この搬入調整機構71は、ソレノイドを内蔵して電気的に作動し搬入チェーン7A,7B上の基板(被処理物)Wの走行を一時的に係止する係止手段71Aを備えている。
【0084】
この搬入タイミング調整機構71に対応して、前述した搬送コンベア側の搬送チェーン11,12の走行と共に到来する棒状連結部材90を検出するための連結部材検出センサ90Aが、前述したガイドチェーン車14iの図12(A)における下側(搬送チェーン11の到来側)に配設されている。そして、この連結部材検出センサ90Aからの検出情報に基づいて作動し前述した搬入調整機構71を駆動制御して前述した基板(被処理物)Wの最適な搬入のタイミングを設定する搬入タイミング演算制御部72が設けられている(図12(B)参照)。この搬入タイミング演算制御部72は、前述したように具体的には、搬入調整機構71の係止手段71Aの動作を制御するもので、当該係止手段71Aの係止動作および係止解除動作を所定のタイミングで付勢し、同時に当該動作を所定時間維持する機能を備えている。
【0085】
即ち、前述した搬入タイミング調整機構71は、被処理物搬入装置7を介して搬入される基板(被処理物)Wの移動を一時的に停止して搬入移送のタイミングを調整する搬入調整機能を備えている。又、前述した搬入タイミング演算制御部71は、連結部材検出センサ90Aから送られて来る棒状連結部材90の接近情報に基づいて作動し当該連結部材検出センサ90Aが基板(被処理物)Wを受けとめる位置までの移動時間を演算する移動時間演算機能と、この演算された時間に合わせて基板(被処理物)Wを前述した搬送チェーン11,12側に送り込むように前述した搬入タイミング調整機構71による係止解除の動作タイミングを設定する解除動作設定機能とを備えている。
【0086】
図12(B)において、符号74はメモリを示す。このメモリ74は、前述した搬入タイミング演算制御部72の演算制御に必要とする所定の演算プログラムおよび演算用の所定の情報を予め記憶して置くためのものである。又、符号75は入力部を示す。この入力部75は搬入タイミング調整機構71の動作を設定する種々の指令や制御動作に必要な各種情報を入力するものである。この入力部75からの入力情報は前述したメモリ74に記憶され、必要に応じて所定の動作プログラムに従って搬入タイミング演算制御部72に利用されるようになっている。
【0087】
又、符号76はタイマを示す。このタイマ76は、前述した搬入タイミング演算制御部72により演算された時間情報を一時的に記憶し搬入タイミング調整機構71の動作を規制するためのものである。このタイマ76に設定された時間に基づいて上述した搬入タイミング調整機構71が作動し、前述した係止手段71Aの係止動作および係止解除動作が所定のタイミングで付勢され、前述した基板(被処理物)Wの搬入タイミングが設定されるようになっている。この場合、例えば連結部材検出センサ9Aからの最初の検知信号で係止手段71Aの係止動作を作動させ、二回目の検知信号で直ちに又はタイマ76の設定時間経過後に前述した係止手段71Aの係止状態を解除する係止解除動作を作動させるように、前記搬入タイミング調整機構71を駆動制御してもよい。尚、前述したタイマ76については、同等に機能するものであれば、発振器とカウンタとを組み合わせて装備する等、同等に機能するものであれば他の技術的な手法で置き換えてもよい。
【0088】
〈搬送チェーン用洗浄機構について〉
前述した搬送コンベヤは、塵埃が付着し易い。とくに搬送チェーンを装備した搬送コンベヤは、搬送チェーンの各構成部品相互間(例:ローラチェーン11,12にあってはリンクプレート11a,11b、ローラ11r,12r、支軸11e,12e等の各構成部品相互間)に塵埃が付着し固形化し易い。特に、前述したように搬送コンベヤ1に被処理物用の加熱手段4を装備して搬送加熱装置を構成した場合には、熱による塵埃の固形化という不都合が生じ、搬送チェーン11,12の走行負荷が大きくなり、単に電力消費が増加するばかりでなく、搬送チェーン11,12の円滑な走行が阻害され同時に耐久性が著しく劣化するという不都合が生じる。このため、かかる不都合を有効に回避する手段として、本実施形態では搬送チェーン(搬送移送体)に洗浄機構101(200)を併設することを試みた(図4参照)。
【0089】
この洗浄機構の具体例を図13(A)(B)に示す。この内、図13(A)には乾式ブラシによるブラシ式洗浄機構101を示す。このブラシ式洗浄機構101は、搬送コンベヤの搬送チェーン(搬送移送体)11の洗浄について説明したもので、搬送チェーン(搬送移送体)12についても全く同様の構成のものが装備されるようになっている。この図13(A)では、洗浄用の乾式ブラシ101Aを、搬送チェーン(搬送移送体)11を構成する各ローラチェーン11A,11Bに常時当接するようにした場合を示す。
【0090】
ここで、符号101Bはブラシ保持部材を示し、符号103は塵埃収集ケースを示す。搬送チェーン(搬送移送体)12を構成する各ローラチェーン12A,12Bに対しても同様にして乾式ブラシ101Aおよびブラシ保持部材101Bが別途装備されている。これにより、搬送チェーン(搬送移送体)11,12の走行(矢印S方向)と共に、洗浄用の各乾式ブラシ101Aが個別に常時機能し、当該搬送チェーン(搬送移送体)11,12に付着した塵埃等の固形物が同時に且つ連続して有効に除去されることとなる。
【0091】
又、図13(B)は洗浄液による液体式洗浄機構200を示す。この液体式洗浄機構200では、搬送コンベヤ1の一方の搬送チェーン(搬送移送体)11を構成する二連のローラチェーン11A,11Bを、洗浄槽200A内にU字状に案内して連続的に洗浄する構成を採用した。そして、この洗浄槽200A内では、U字状に案内されて走行するローラチェーン11A,11Bに対し、その洗浄槽200A内の下端部中央には、当該ローラチェーン11A,11Bの上側に洗浄用のブラシ201Aが常時当接して装備され、下側には洗浄用の超音波出力手段210が装備されている。
【0092】
符号201a,201b,201c,201dは、それぞれ搬送チェーン(搬送移送体)11を案内する二連のガイド車(スポロケット車)を示す。符号200Bは洗浄槽200A内に収容された洗浄液を示す。この洗浄液200Bには、搬送チェーン(搬送移送体)11を構成するローラチェーン11A,11Bに付着した固形油又は塵埃等を溶かすための溶剤が含まれている。
【0093】
又、前述した他方の搬送チェーン(搬送移送体)12を構成する二連のローラチェーン12A,12Bに対しても、これを、上記一方の搬送チェーン11の場合と同様に同一の洗浄槽200A内にU字状に案内して連続的に洗浄する構成となっている。そして、この洗浄槽200A内では、U字状に案内されて走行するローラチェーン12A,12B(図示せず)に対し、その洗浄槽200A内の下端部中央には、当該ローラチェーン12A,12Bの上側に洗浄用のブラシ202Aが常時当接して装備され、下側には洗浄用の超音波出力手段220が装備されている。符号202a,202b,202c,202dは、それぞれ搬送チェーン(搬送移送体)12を案内する二連のガイド車(スポケット車)を示す。
【0094】
そして、装置全体が稼働して搬送チェーン(搬送移送体)11,12が走行すると、洗浄用ブラシ201A(202A)が常時機能し、当該搬送チェーン(搬送移送体)11,12に付着した塵埃が連続して有効に除去される。この間、前述した超音波発信部210(220)が作動して洗浄液200B内を走行する搬送チェーン(搬送移送体)11,12の全体が常時超音波洗浄されるようになっている。
【0095】
これにより、搬送チェーン(搬送移送体)11,12に付着した固形油又は塵埃等が、連続して有効に除去され、これによって、基板(被処理物)Wに対する保持機構31,41,131,141の起伏保持動作を長期間にわたって円滑に実行することができ、搬送チェーン11,12の全体的な動作の円滑を図ることができ、装置全体の耐久性を著しく高めることができる。
【0096】
次に、洗浄液による液体式洗浄機構の他の具体例を、図14に基づいて説明する。この図14に示す液体式洗浄機構230は、図13(B)の場合と同様に、二連のローラチェーン11A,11Bから成る一方の搬送チェーン(搬送移送体)11を、洗浄槽230A内にU字状に案内して連続的に洗浄する構成を採用した。そして、この洗浄槽230A内では、U字状に案内されて走行する搬送チェーン11に対し、その洗浄槽230A内の下端部中央には、当該搬送チェーン11の下側に洗浄用の超音波出力手段210が装備されている。
【0097】
符号231a,231b,231c,231dは、それぞれ搬送チェーン(搬送移送体)11を案内する二連のガイド車(スポロケット車)を示す。符号230Bは洗浄槽230A内に収容された洗浄液を示す。この洗浄液230Bには、搬送チェーン11を構成するローラチェーン11A,11Bに付着した固形油又は塵埃等を溶かすための溶剤が含まれている。
【0098】
又、前述した二連のローラチェーン12A,12Bから成る他方の搬送チェーン(搬送移送体)12に対しても、これを、上記一方の搬送チェーン11の場合と同様に同一の洗浄槽230A内にU字状に案内して連続的に洗浄する構成となっている。そして、この洗浄槽230A内では、U字状に案内されて走行する他方の搬送チェーン12(図示せず)に対し、その洗浄槽230A内の下端部中央には、洗浄用の超音波出力手段220が装備されている。符号232a,232b,232c,232dは、それぞれ搬送チェーン12を案内する二連のガイド車(スポロケット車)を示す。
【0099】
更に、前述した搬送チェーン(搬送移送体)11,12は、連続運転と共に摩擦熱等によって温度が上昇し、或いは上記搬送コンベヤを装備した搬送加熱装置にあっては搬送チェーン11,12が加熱領域を通過することから、当該通過箇所で加熱されて温度上昇をきたす。このため、この搬送チェーン11,12を洗浄する洗浄槽230A内では洗浄液230Bの温度が徐々に上昇し、当該洗浄液230Bが蒸発し易い状態となる。かかる不都合を防止し洗浄液230Bの蒸発を抑制するため、本実施形態では、洗浄槽用の洗浄液冷却手段241が当該洗浄槽230Aに併設され、同時に洗浄前の搬送チェーン11,12を冷却するためのチェーン冷却手段240が、洗浄槽230Bのチェーン搬入側に装備されている。この内、チェーン冷却手段240は、予め冷却設定温度が外部から自在に可変設定されるように構成されている。
【0100】
ここで、上述した洗浄液冷却手段241には温度調整機構242が併設され、前述した洗浄槽230Aには温度センサ241aが装備されている。そして、この温度センサ241aによって洗浄槽230A内の液温が連続的に又は間欠的に測定され且つ当該温度情報に基づいて前述した温度調整機構242が作動し、当該温度調整機構242に予め設定された液温の設定値に基づいて前述した洗浄液冷却手段241が駆動制御され、これにより、前述した洗浄槽230A内の洗浄液の温度が常時低く設定され、その蒸発が有効に抑制されることとなる。ここで、温度センサ241aは洗浄液の液面の上下変化に対応可能なフロート式(液面浮上型)のものとしてもよい。
【0101】
更に、この図14に示す液体式洗浄機構230には、前述した洗浄槽230Aのチェーン搬出段に、前述した各搬送チェーン11,12に対応して液切り部244(245)が設けられている。この液切り部244(245)は、洗浄槽230Aから送り出される搬送チェーン11(12)に沿って、順に、ブラシ機構245A(246A)とエアーブロー245B(246B)とが配設された構成となっている。
【0102】
ここで、ブラシ機構245A,246Aは、本実施形態ではそれぞれ各搬送チェーン11,12を挟んで一対のブラシが対向装備されて構成されている。又、ブラシ機構245A,246Aの下流側に装備されたエアーブロー245B,246Bは、それぞれ一対のエアーノズルを備え、各エアーノズルが各搬送チェーン11,12に対して下流側から上流側に向けて(図14では下側に向けて)例えば45°の傾きをもって各搬送チェーン11,12に対してエアー噴射するように組み込まれている。
【0103】
このため、この液切り部244,245では、洗浄後の各搬送チェーン11,12がブラシ機構245A,246Aとエアーブロー245B,246Bとによって水滴が有効に除去され、同時に、一部残存し付着したままの固形油又は塵埃等も、洗浄液で軟質化されていることもあって、ブラシでとエアーブローとで、同時に効率よく除去されるようになっている。
【0104】
そして、装置全体が稼働し搬送チェーン(搬送移送体)11,12が走行すると、洗浄槽230A内では、搬送チェーン(搬送移送体)11,12が常時連続して超音波洗浄され、当該搬送チェーン11,12に付着した固形油又は塵埃等が有効に除去される。同時に、洗浄槽230Aを通過した搬送チェーン11,12は、液切り部244,245によって、洗浄液がブラシとエアーブローとで二段にわたって前述したように有効に除去され、同時に、残存する固形油又は塵埃等もブラシとエアーブローとによって有効に除去される。
【0105】
これにより、搬送チェーン(搬送移送体)11,12は当該搬送チェーン(搬送移送体)11,12に付着した固形油又は塵埃等を連続して有効に除去することができ、これがため、基板(被処理物)Wに対する保持機構31,41,131,141の起伏保持動作を長期間にわたって円滑に実行することができ、搬送チェーン11,12の全体的な円滑動作を図ることができ、装置全体の耐久性を著しく高めることができる。
【0106】
〈全体的な動作等〉
システム全体を稼働させると、被処理物である基板Wは、搬入装置7側から搬送コンベヤ1の各搬送機構2,3の搬送チェーン(搬送移送体)11,12上に、所定のタイミングで順次搬入される。この場合、搬入装置7上の搬入タイミング調整機構71が搬入タイミング演算制御部72に制御されて作動し、搬送チェーン11,12上に、基板Wを、例えば所定の間隔を置いて等間隔に搬入する等の調整を行いつつ、所定のタイミングで順次搬入する。この場合、搬入タイミング演算制御部72は、搬送チェーン(搬送移送体)11,12の走行のタイミングを監視する連結部材検出センサ9Aからの信号に基づいて作動し、前述したように搬入タイミング調整機構71を駆動制御するようになっている。
【0107】
搬送コンベヤ1側に搬入される基板Wは、各搬送チェーン11,12に装備された複数の支持部材11E,12E上に直接載置され、この支持部材11E,12Eにその両端が下方から支持され同時に保持機構31,41(131,141)に保持されつつ搬送される。この場合、各搬送チェーン(搬送移送体)11,12上に装備された保持機構31,41(131,141)は、基板搬入領域で、搬入された基板Wを順次保持する。この場合、当該搬入領域に装備された円盤状の作動カム81によって各搬送チェーン11,12に装備された保持機構31,41,131,141が順次開放状態に設定される。具体的には、作動カム81は動作付勢機構70を介して基板搬入領域に近づいた保持機構31,41,131,141を順次開放状態に設定する。これによって、搬入される基板Wは、円滑に支持部材11E,12E上に載置され、しかるのち、当該保持機構31,41,131又は141によって保持されて搬送チェーン11,12と共に一体的に搬送される。
【0108】
その後、搬送チェーン11,12上に保持された基板(被処理物)Wは、途中で被処理物用の加熱手段4によって加熱工程に付され、基板W上に付された回路導通用の所定のハンダが溶融される。その後、基板Wは基板搬出側に搬送される。この間、基板Wは、支持部材11E,12Eと保持機構31,41,131又は141によって保持される。このため、基板Wの熱変形や位置ずれ等が保持機構31,41,131又は141の保持機能によって有効に抑制され、何ら傷付くことなく円滑に搬送される。基板搬出領域には、前述した作動カム81と同等の作動カム81が装備され、この作動カム81が機能して、動作付勢機構70を介して保持機構31,41,131又は141を順次駆動制御し、基板(被処理物)Wを順次解放状態に設定する。これにより、搬送チェーン11,12上の基板(被処理物)Wは、搬送チェーン11,12の走行と共に外部(搬出装置8側)へ円滑に送り出される。
【0109】
このように、本実施形態では、上述のように構成したので、被処理物たる基板Wは、その両端部が各搬送移送体(搬送チェーン11,12)の複数の支持部材11E,12Eに支持されつつ当該搬送移送体(搬送チェーン11,12)によって搬送される。そして、この間、当該基板(被処理物)Wはその上面および下面が空間に露出されていることから、例えば当該被処理物に対する加熱工程や除塵工程等を円滑に且つ効率よく実行する事ができる。
【0110】
又、各搬送機構2,3の相互間には前述した従来例の場合と異なり何らの熱遮蔽部材が存在しないことから、例えば搬送中における基板(被処理物)Wの加熱工程等にあっては、当該基板(被処理物)Wを全体的に均一加熱状態を維持するこができる。更に、基板(被処理物)Wの熱変形や移動中における振動等によって生じる部分的な損傷は、前述した保持機構31,41,131,141によって保持されることから、予めこれを有効に回避することができる。
【0111】
更に、上述した搬送コンベヤシステムでは、搬送コンベヤの一対の搬送機構2,3に被処理物搬入装置7が併設され、更に、この被処理物搬入装置には基板(被処理物)Wの搬入のタイミングを自在に設定する搬入調整機構等を装備し、同時に、連結部材検出センサからの情報に基づいて作動し基板(被処理物)Wの最適な搬入のタイミングを設定する搬入タイミング演算制御部を備えたので、搬送コンベヤ1に対する基板(被処理物)Wの搬入および搬出を連続的に且つ迅速に実行することができ、多量の基板(被処理物)Wであってもその搬送および搬送中の加熱処理等を連続して円滑に実行することができる。又、被処理物の搬入のタイミングを設定しこれに合わせて搬入および搬出をなし得るようにしたので、被処理物相互間の衝突事故等が回避され損傷事故等がなくなり、良好な品質を維持しながら多量の被処理物を円滑に搬送し又は連続して加熱処理をなし得るという利点があり、被処理物の性質に応じた搬送速度若しくは加熱時間の設定等を必要に応じて予め自在に設定することができ、搬送作業の円滑化および高能率化を実行することができる。
【0112】
ここで、上記実施形態では、棒状連結部材90を搬送チェーン11,12の各支軸11e,12eから突設された棒状支持部材11E,12Eを相互間に橋渡しする形態をもって装備した場合を例示したが、リンクプレート11b,12aの相互間に装備するようにしてもよい。又、上記実施形態では、棒状連結部材90や保持機構31,41,131,141についてはいずれも等間隔に装備した場合を例示したが、それぞれ実情に合わせて異なった間隔で装備してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施形態の搬送チェーン部分を示す一部省略した部分平面図である。
【図2】図1のAーA線に沿って見た一方の搬送チェーンの部分断面図で、図2(A)は保持機構部分を示す図、図2(B)は図2(A)の右側面図である。
【図3】図1のBーB線に沿って見た他方の搬送チェーンの部分断面図で、図3(A)は保持機構部分を示す図、図2(B)は図2(A)の左側面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す概略全体構成図である。
【図5】図2に示す一方の搬送チェーンがガイドレール部分を走行する場合の状態を示す図で、図5(A)は隙間無し保持機構を装備した部分の走行状態を示す説明図、図5(B)は隙間有り保持機構を装備した部分の走行状態を示す説明図である。
【図6】図3に示す他方の搬送チェーンがガイドレール部分を走行する場合の状態を示す図で、図6(A)は隙間無し保持機構を装備した部分の走行状態を示す説明図、図6(B)は隙間有り保持機構を装備した部分の走行状態を示す説明図である。
【図7】隙間有り保持機構の装備状態を示す図で、図7(A)は一方の搬送チェーンに装備された保持機構の例を示す説明図、図7(B)は他方の搬送チェーンに装備された保持機構の例を示す説明図である。
【図8】一方の搬送チェーンに装備された保持機構とこれを作動させる作動カムおよび動作付勢機構の構成および連係動作を示す図で、図8(A)は搬送チェーンに直交する断面内における三者の位置関係を示す説明図、図8(B)は一部省略した図8(A)の右側面図、図8(C)は図8(B)内における作動カムの各部を示す説明図である。
【図9】一方の搬送チェーンに装備された保持機構とこれを作動させる作動カムおよび動作付勢機構の構成および動作状態の例を示す図で、図9(A)は搬送チェーンに直交する断面内において保持機構の押さえ部材が押し上げられる状態を示す説明図、図8(B)は図8(A)の右側面図、図8(C)は図8(B)内における作動カムの動作状態を示す説明図である。
【図10】図1における一方と他方の搬送チェーンに装備される保持機構および棒状連結部材と基板(被処理物)の位置関係を示す説明図である。
【図11】図1における一方と他方の搬送チェーンに装備される保持機構および棒状連結部材と基板(被処理物)の位置関係の他の例を示す説明図である。
【図12】図1における一方と他方の搬送チェーンと被処理物搬入装置との関係を示す図で、図12(A)は基板(被処理物)が搬入されるタイミングを示す説明図、図12(B)は被処理物搬入装置に装備された搬入調整機構の動作を制御するための制御ブロック図である。
【図13】図4に開示した洗浄機構の具体例を示す図で、図13(A)はブラシ式洗浄機構の例を示す説明図、図13(B)は液体式洗浄機構の例を示す説明図である。
【図14】図4に開示した洗浄機構の他の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 搬送コンベヤ
2,3 一対の搬送機構
4 加熱手段
7 被処理物用搬入装置
8 被処理物用搬出装置
11,12 搬送移送体としての搬送チェーン
11A,11B,12A,12B ローラチェーン(二連)
11E,12E 支持部材
11e,12e チェーンピンとしての支軸
11r,12r ローラ
11s,12s 鍔状部材
13 チェーン駆動手段
13A,13B 原動チェーン車
14a〜14i,15a〜15i ガイドチェーン車
16,17 コンベアレール
31,41 保持機構(隙間無し)
32,42 132,142 押さえ部材
33,43 連結プレート
34,44 押さえバネ
35,45 蝶番
70 動作付勢機構
71 搬入調整機構
72 搬入タイミング演算制御部
81 作動カム
90 棒状連結部材
90A 連結部材検出センサ
101 ブラシ式洗浄機構
131,141 保持機構(隙間有り)
200,230 液体式洗浄機構
240 チェーン冷却手段(移送体冷却手段)
241 洗浄液冷却手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物をその左右の各端部を個別に支持しつつ搬送する搬送移送体を備えた一対の搬送機構と、前記搬送移送体の相互間の対向側面にそれぞれ突設されて前記被処理物の端部を個別に支持する構造の複数の支持部材とを備えた搬送コンベヤにおいて、
前記被処理物の各端部の一部を前記支持部材と共に協同して保持する保持機構を、前記一対の各搬送機構の搬送移送体にそれぞれ所定間隔を隔てて複数個装備したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記請求項1に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記複数の各支持部材を棒状の支持部材により構成すると共に、この各棒状の支持部材を前記一対の各搬送機構が備えている搬送移送体の側面に相互に相手側に向けて且つ当該搬送機構に沿って等間隔に装備したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記一対の各搬送機構が、それぞれ搬送移送体としてのエンドレス型の搬送チェーンと、この搬送チェーンを走行駆動するチェーン駆動手段と、前記搬送チェーンの走行状態を維持し且つ案内する複数のガイドチェーン車と、前記搬送チェーンによる被処理物の搬送領域に装備された搬送チェーン用のガイドレールとを備えていることを特徴とした搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記請求項3に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記一対の各搬送機構が備えているエンドレス型の搬送チェーンを、エンドレス型のローラチェーンを横二列に併設して成る二列型ローラチェーンにより構成し、その内側に位置するローラチェーンに前記保持機構を装備したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記請求項1,2,3又は4に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記各保持機構を、前記支持部材の基幹部側を回動支点として当該支持部材の先端部に向けて起伏回動自在に装備され且つその先端部が前記支持部材の先端部に向けて曲折された押さえ部材と、この押さえ部材を起伏回動自在に保持する連結プレートと、この連結プレートに装備され前記押さえ部材を通常は伏した状態に設定してこれを維持する押さえバネとにより構成したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記請求項5に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記各保持機構の押さえ部材に対して起立動作を付勢する動作付勢機構を、前記各保持機構に個別に対応して前記搬送移送体に装備すると共に、
この動作付勢機構を作動させる作動カムを、前記各搬送機構の被処理物用搬入端および被処理物用搬出端にそれぞれ装備したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項7】
前記請求項6に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記作動カムを、前記各搬送機構における被処理物搬送領域の被処理物用搬入端および被処理物用搬出端にそれぞれ装備されたガイドチェーン車に同軸に且つ一体的に装備したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項8】
前記請求項6又は7に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記動作付勢機構を、一端部が前記支持部材の基幹部に回動自在に保持され且つ他端部が鉤状に形成された回動起立部材をもって構成し、
この回動起立部材はその一端部の外周囲が半円状に形成され、且つこの半円状の外周部分に前記作動カムが当接して当該回動起立部材に回転動作を付勢する構成とし、この一端部の回転動作と共に回動する当該回動起立部材の他端部で前記押さえ部材に起立動作を付勢する構造としたことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項9】
前記請求項5に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記保持機構を、前記押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部を前記支持部材に常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構としたことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項10】
所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物をその左右の各端部を個別に支持しつつ搬送する搬送移送体を備えた一対の搬送機構と、前記搬送移送体の相互間の対向側面にそれぞれ突設されて前記被処理物の端部を個別に支持する構造の複数の支持部材とを備えた搬送コンベヤにおいて、
前記被処理物の進行方向に沿って当該被処理物の左端又は右端の何れか一方の端部を前記支持部材と共に保持する保持機構を、前記一対のいずれか一方の搬送機構にそれぞれ所定間隔を隔てて複数個装備し、この各保持機構を、前記押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部を前記支持部材に常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構としたことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項11】
所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物をその左右の各端部を個別に支持しつつ搬送する搬送移送体を備えた一対の搬送機構と、前記搬送移送体の相互間の対向側面にそれぞれ突設されて前記被処理物の端部を個別に支持する構造の複数の支持部材とを備えた搬送コンベヤにおいて、
前記一対の各搬送機構に装備される複数の保持機構の内、前記被処理物の搬送方向の先端部に対応する箇所の両側端部の少なくとも一方の側端部には、前記押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部を常時押圧するように構成してなる隙間無し保持機構を装備すると共に、他方の側端部には、前記押さえ部材の曲折端部が前記被処理物の端部上面との間に隙間を有するように構成してなる隙間有り保持機構を装備してなることを特徴とした搬送コンベヤ。
【請求項12】
前記請求項1乃至11の何れか一つに記載の搬送コンベヤにおいて、
前記一対の各搬送機構がそれぞれ備えている搬送移送体の相互間を、所定ピッチ毎に連結用の棒状連結部材で連結したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項13】
前記請求項12に記載の搬送コンベヤにおいて、
前記棒状連結部材は、前記各搬送移送体が備え且つ対向位置に配置された支持部材を相互に一直線に連結する形態をもって装備されていることを特徴とした搬送コンベヤ。
【請求項14】
前記請求項1乃至13の何れか一つに記載の搬送コンベヤにおいて、
前記一対の各搬送機構に、該搬送機構の一部をなす搬送移送体若しくは搬送移送体としての搬送チェーンを常時洗浄する洗浄機構を併設したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項15】
前記請求項1乃至14の何れか一つに記載の搬送コンベヤにおいて、
前記洗浄機構に、当該洗浄機構の洗浄液を冷却する洗浄液冷却手段を併設したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項16】
前記請求項1乃至14の何れか一つに記載の搬送コンベヤにおいて、
前記洗浄機構の入力段に、洗浄前の前記搬送移送体を冷却する移送体冷却手段を設けたことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項17】
前記請求項1乃至16の何れか一つに記載の搬送コンベヤにおいて、
前記洗浄機構の出力段に、洗浄後の搬送移送体に付された洗浄液を液切りする液切り部を併設したことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項18】
前記請求項1乃至17の何れか一つに記載の搬送コンベヤを有し、この搬送コンベヤの前記一対の各搬送機構の被処理物用搬入端から被処理物用搬出端に至る途上に、被処理物用の加熱手段を装備したことを特徴とする搬送加熱装置。
【請求項19】
前記請求項18に記載の搬送加熱装置において、
前記被処理物用加熱手段は、前記被処理物の上面と下面の両方を同時に加熱する両面加熱方式のものであることを特徴とする搬送加熱装置。
【請求項20】
所定間隔を隔てて配設され搬送対象物である被処理物をその左右の各端部を個別に支持しつつ搬送する搬送移送体を備えた一対の搬送機構と、前記搬送移送体の相互間の対向側面にそれぞれ突設されて前記被処理物の端部を個別に支持する構造の複数の支持部材とを備えた搬送コンベヤを設け、
この搬送コンベアの前記一対の搬送機構に、前記被処理物を所定の速度で送り込む被処理物搬入装置を併設すると共に、この被処理物搬入装置に前記被処理物の搬入のタイミングを自在に設定する搬入調整機構を併設し、
前記一対の搬送機構の何れか一方の搬送機構に、前記支持棒部材が前記被処理物搬入領域に近づいたことを検出する連結部材検出センサを装備すると共に、この連結部材検出センサからの情報に基づいて作動し前記搬入調整機構を駆動制御して前記被処理物の最適な搬入のタイミングを設定する搬入タイミング演算制御部を備えたことを特徴とする搬送コンベアシステム。
【請求項21】
前記請求項20に記載の搬送コンベアシステムにおいて、
前記搬入調整機構は、前記被処理物搬入装置を介して搬入される被処理物の移動を一時的に停止して搬入移送のタイミングを調整する搬入調整機能を有し、
前記搬入タイミング演算制御部は、前記連結部材検出センサからの棒状連結部材の接近情報に基づいて作動し当該棒状連結部材が前記被処理物を受けとめる位置までの移動時間を演算する移動時間演算機能と、この演算された時間に合わせて前記被処理物を前記搬送機構に送り込むように前記搬入調整機構による係止解除の動作タイミングを設定する解除動作設定機能とを備えていることを特徴とした搬送コンベアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−1736(P2007−1736A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185083(P2005−185083)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【出願人】(596126867)株式会社タムラエフエーシステム (46)
【Fターム(参考)】