説明

搬送容器の壁構造、搬送機器の製造方法及び成形金型

【課題】孔閉塞部材の支持強度を従来より高くすることが可能な搬送容器の壁構造と、孔閉塞部材を支持する支持壁の形状の自由度を従来より高くすることが可能な成形金型と、その成形金型を利用した搬送機器の製造方法とを提供する。
【解決手段】本発明では、孔閉塞部材25を成形するための第2キャビティ39が成形金型30内に形成される前に、支持壁20を含めむ蓋枠壁13を成形するための第1キャビティ38が成形金型30内に形成されるので、従来の成形金型のように、蓋枠壁13の開口縁部の表裏が必ず同じ形状になるという制約がなくなり、支持壁20の形状の自由度が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁と、その容器構成壁の壁貫通孔を閉塞した孔閉塞部材とが相互に異なる樹脂で二色成形された搬送容器の壁構造、そのような二色成形を行う成形金型、及び、そのような搬送容器又は搬送容器用の蓋体を製造する搬送機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の成形金型の一例として図14(A)に示したものは、第1と第2の成形金型1,2の間に形成されたキャビティ4が、筒型コア3によりメインキャビティ4Aとサブキャビティ4Bとに区画され、サブキャビティ4Bで孔閉塞部材8を成形してから筒型コア3をコアバックして(図14(B)参照)、メインキャビティ4Aで容器構成壁6を成形する構造になっていた。これにより、容器構成壁6に備えた壁貫通孔7の孔内側面7Aに孔閉塞部材8の側面が固着した壁構造を有する搬送容器の蓋体が成形されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4203684号公報(段落[0042]〜[0044],図1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の搬送容器の蓋体の壁構造では、壁貫通孔7の孔内側面7Aに孔閉塞部材8の側面が固着し、孔閉塞部材8の厚さの範囲で容器構成壁6が孔閉塞部材8を支持しているが、上記した孔閉塞部材8の厚さや材質等によっては支持強度が不足する事態が生じ得る。これに対し、上記した従来の成形金型を用いて、孔閉塞部材8の内外の一方の面(厚さ方向の一方の面)に固着する支持壁を容器構成壁6に一体成形しても、その支持壁の強度を高くすることが困難であると共に、支持壁の形状の自由度が低いという問題が生じる。
【0005】
具体的には、図15(B)に示すように、例えば、容器構成壁6に一体成形した支持壁5が孔内側面7Aより壁貫通孔7の内側に張り出した構造にするには、従来の成形金型では、図15(A)に示すように段付陥没部3Aを筒型コア3に設ければよい。ところが、上記した従来の成形金型では、コアバック前の筒型コア3により、容器構成壁6のうち孔閉塞部材8との固着部分に段差形状が成形されると、その固着部分の裏側にもコアバック後の筒型コア3により段差形状が必ず成形される。このため、容器構成壁6には、表裏の段差形状の角部が突き合わされて薄肉部6Nが発生して強度不足が生じたり、それを解消のために支持壁5を厚くして搬送容器内の荷物との干渉が生じる等の問題が起こり得た。
【0006】
また、従来の成形金型では、容器構成壁6における壁貫通孔7の開口縁部の表裏が共に同じ筒型コア3の先端面で成形されるので、それら表裏の形状が必ず同じになるという制約を受け、その表裏の形状を相違させるような支持壁(例えば、図4(B)の符号20参照)を成形することができなかった。また、筒型コア3のコアバック後の退去空間(図15(B)の符号4C参照)で支持壁5が成形されるので、例えば、孔閉塞部材8側より幅広となるリブ形状の支持壁(図7の符号22参照)のように、孔閉塞部材から離れるに従って断面積が小さくなる支持壁も成形することができなかった。さらには、孔閉塞部材を内面又は外面を横切るように延びて孔閉塞部材を支持する支持壁(図7の符号22参照)も、上記した従来の成形金型では筒型コア3及びそれをコアバック可能に支持する第1成形型1の形状が煩雑になり過ぎて、そのような支持壁を成形することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、孔閉塞部材の支持強度を従来より高くすることが可能な搬送容器の壁構造と、孔閉塞部材を支持する支持壁の形状の自由度を従来より高くすることが可能な成形金型と、その成形金型を利用した搬送機器の製造方法との提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る搬送容器の壁構造は、搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁が有する壁貫通孔の孔内側面に孔閉塞部材が固着して壁貫通孔が閉塞された状態に容器構成壁と孔閉塞部材とが二色成形された搬送容器の壁構造において、容器構成壁の一部として成形されて、孔閉塞部材の内外の何れか一方の面に沿って孔内側面より壁貫通孔の内側に張り出すか又は壁貫通孔を横切って延び、孔閉塞部材に固着した支持壁を備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搬送容器の壁構造において、容器構成壁の内外の何れか一方の面には、壁貫通孔の開口縁から開口縁突部が突出した状態に成形されて、その開口縁突部に支持壁の端部が一体に設けられ、孔閉塞部材には、孔内側面のうち支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起が成形されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明に係る成形金型は、搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁が有する壁貫通孔を孔閉塞部材で閉塞した状態に容器構成壁と孔閉塞部材とを二色成形する成形金型であって、容器構成壁及び孔閉塞部材の内外の一方の面を成形するための第1成形面を有した第1成形型と、容器構成壁の内外の他方の面を成形する第2成形面を有し、第1成形型に対して相対的に直動して第1成形型に接合した型閉じ位置と第1成形型から離間した型開き位置とに配置可能であると共に、第2成形面に開口したコア受容孔を有した第2成形型と、孔閉塞部材の内外の他方の面を成形する第3成形面を先端に有し、コア受容孔内に受容されて第3成形面が第1成形面に接合した初期位置と第1成形面から離間したコアバック位置との間で直動するスライドコアとが備えられ、第2成形型が型開き位置から型閉じ位置に移動したときにスライドコアが初期位置に配置されて、容器構成壁を成形するため第1キャビティが成形金型内に形成されると共に、第1キャビティにより容器構成壁を成形後、スライドコアがコアバック位置に移動して孔閉塞部材を成形するための第2キャビティが成形金型内に形成され、第1キャビティは、第1成形面と第2成形面との間と、第1成形面と第3成形面との間とに跨って連通した状態に形成され、第1キャビティのうち第1成形面と第3成形面との間に配置された支持壁成形部で成形される容器構成壁の支持壁を第2キャビティで成形される孔閉塞部材に固着させるように構成したところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の成形金型において、初期位置に配置されたスライドコアの先端部側面が第1キャビティの内面の一部となって壁貫通孔の孔内側面を成形するように構成したところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の成形金型において、第1キャビティにおける第1成形面と第2成形面との間には、容器構成壁のうち壁貫通孔の開口縁から突出して、支持壁の端部と一体になった開口縁突部を成形するための開口縁突部成形部が設けられ、第2キャビティ内に射出した孔閉塞部材成形用の樹脂の圧力により、孔内側面における支持壁側の端部に食い込む抜け止め突起を孔閉塞部材に一体成形可能としたところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の何れか1の請求項に記載の成形金型において、第1成形面に形成されかつコア受容孔を横切って延びた支持壁成形溝を第3成形面で閉塞して支持壁成形部を構成したところに特徴を有する。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載の成形金型において、支持壁成形溝は、第3成形面側の開口端部が、第3成形面から離れた奥部より幅広になっているところに特徴を有する。
【0015】
請求項8の発明に係る搬送機器の製造方法は、請求項3乃至7の何れか1の請求項に記載の成形金型を用いて搬送容器又は搬送容器用の蓋体を製造するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
[請求項1の発明]
請求項1の搬送容器の壁構造によれば、容器構成壁のうち壁貫通孔の孔内側面に孔閉塞部材が固着された上に、容器構成壁の一部として成形された支持壁が孔閉塞部材の内外の何れか一方の面に固着して孔閉塞部材を支持するので、孔閉塞部材の支持強度を従来より高くなる。
【0017】
[請求項2の発明]
請求項2の搬送容器の壁構造では、容器構成壁のうち壁貫通孔の開口縁から突出した開口縁突部に支持壁の端部が一体に設けられているので、孔内側面のうち支持壁側の端部は、壁貫通孔の開口縁の厚さ方向における中間に位置することになり、容器構成壁が溶融樹脂から成形される過程では、孔内側面のうち支持壁の反対側の端部に比べて支持壁側の端部の固化が後になる。これにより、容器構成壁、孔閉塞部材の順番で二色成形したときに、孔閉塞部材成形用の溶融樹脂の圧力により、孔内側面における支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起を孔閉塞部材に成形することができる。そして、この抜け止め突起により、容器構成壁と孔閉塞部材との結合力を高めることができる。
【0018】
[請求項3の発明]
請求項3の成形金型は、第2成形型が第1成形型に対する型開き位置から型閉じ位置に相対移動したときにスライドコアが初期位置に配置されて、成形金型内に第1キャビティが形成される。このとき、第1キャビティは、第1成形型の第1成形面と第2成形型の第2成形面との間のみならず、第1成形型の第1成形面とスライドコアの第3成形面との間にも形成され、第1キャビティのうち第1成形面と第3成形面との間の支持壁成形部で支持壁が容器構成壁に一体成形される。そして、第1キャビティで容器構成壁を成形後、スライドコアがコアバック位置に移動する。これにより、孔閉塞部材を成形するための第2キャビティが、スライドコアのコアバック後の退去空間として形成され、支持壁成形部で成形されている支持壁が第2キャビティ内に露出し、第2キャビティで成形される孔閉塞部材と固着する。このように、本発明では、孔閉塞部材を成形するための第2キャビティが成形金型内に形成される前に、支持壁を含む容器構成壁を成形するための第1キャビティが成形金型内に形成されるので、従来の成形金型のように、容器構成壁における壁貫通孔の開口縁部の表裏が必ず同じ形状になるという制約はなくなり、支持壁の形状の自由度が高くなる。よって、本発明の成形金型によれば、従来の成形金型では成形が不可能であった形状の支持壁、即ち、容器構成壁における壁貫通孔の開口縁部の形状を表裏で相違させるような形状の支持壁や、孔閉塞部材から離れるに従って断面積が小さくなるような形状の支持壁も成形することができる。
【0019】
[請求項4の発明]
請求項4の成形金型によれば、初期位置に配置されたスライドコアの先端部側面が第1キャビティの内面の一部となって壁貫通孔の孔内側面を成形する。そして、スライドコアがコアバック位置に移動して第2キャビティが形成されると、その第2キャビティ内に壁貫通孔の孔内側面が露出し、第2キャビティで成形された孔閉塞部材が壁貫通孔の孔内側面に固着する。これにより、容器構成壁の支持壁が孔閉塞部材の内外の何れか一方の面に固着された上に、容器構成壁のうち壁貫通孔の孔内側面にも孔閉塞部材が固着した構造になり、孔閉塞部材の支持強度を従来より高くすることが可能になる。
【0020】
[請求項5の発明]
請求項5の成形金型で成形した容器構成壁では、壁貫通孔の開口縁から突出した開口縁突部に支持壁の端部が一体に設けられた状態になる。これにより、孔内側面のうち支持壁側の端部は、壁貫通孔の開口縁の厚さ方向における中間に位置することになり、容器構成壁が溶融樹脂から成形される過程では、孔内側面のうち支持壁と反対側の端部に比べて支持壁側の端部の固化が後になる。これにより、容器構成壁の成形後に、第2キャビティ内に射出した孔閉塞部材成形用の樹脂の圧力により、孔内側面における支持壁側の端部に食い込む抜け止め突起を孔閉塞部材に成形することができる。そして、この抜け止め突起により、容器構成壁と孔閉塞部材との結合力を高めることができる。
【0021】
[請求項6の発明]
請求項6の成形金型では、第1成形面に形成されかつコア受容孔を横切って延びた支持壁成形溝を第3成形面で閉塞して支持壁成形部を構成したことで、簡素な金型構造で孔閉塞部材を横切るように延びた支持壁を成形することができる。
【0022】
[請求項7の発明]
請求項7の成形金型では、支持壁成形溝は、第3成形面にて閉塞される側の開口端部が、第3成形面から離れた奥部より幅広になっているので、従来の成形金型では成形が不可能であった孔閉塞部材に近い側より離れた側が幅狭となるリブ形状の支持壁を成形することができる。
【0023】
[請求項8の発明]
請求項8の搬送機器の製造方法は、従来の成形金型を用いた場合には成形が困難又は不可能であった壁構造を有する搬送機器(搬送容器又は搬送容器用の蓋体)を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)本発明の第1実施形態に係る蓋体の外面側の斜視図、(B)その内面側の斜視図
【図2】図1(A)のA−A切断面における蓋体の断面図
【図3】成形金型の断面図
【図4】(A)成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【図5】成形金型のコアバック後の一部拡大断面図、
【図6】(A)本発明の第2実施形態に係る蓋体の外面側の斜視図、(B)その内面側の斜視図
【図7】図6(A)のB−B切断面における蓋体の断面図
【図8】(A)成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【図9】(A)本発明の第3実施形態に係る成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【図10】(A)本発明の第4実施形態に係る成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【図11】抜け止め突起の変形例を示した成形金型及び蓋体の断面図
【図12】本発明に属しない抜け止め突起を示した成形金型及び蓋体の断面図
【図13】本発明に属しない抜け止め突起を示した成形金型及び蓋体の断面図
【図14】(A)従来の成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【図15】(A)従来の問題点を説明するための成形金型のコアバック前の断面図、(B)そのコアバック後の断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1(A)に示した搬送容器10の上面は蓋体11になっていて、その蓋体11は、四角形の蓋枠壁13と、その蓋枠壁13の枠孔14(本発明の「壁貫通孔」に相当する)を閉塞した孔閉塞部材25との二色成形品になっている。本実施形態では、この蓋枠壁13が本発明に係る「搬送容器の上面の容器構成壁」に相当する。そして、この蓋体11に本発明に係る「搬送容器の壁構造」が適用されると共に、蓋体11の製造に本発明に係る「搬送機器の製造方法」が用いられる。
【0026】
上記した孔閉塞部材25は、透明な樹脂(例えば、ランダムPP)の構成された略四角形の平板状をなしている。一方、蓋枠壁13は、例えば、不透明な樹脂(例えば、ブロックPP)の構成され、全体が四角形になっていて、その全体の外縁形状に相似した四角形の枠孔14を備えている。蓋枠壁13の外縁部全体には、外縁補強部15が形成されている。外縁補強部15は、図1(A)に示すように上面側に膨出する一方、図1(B)に示すように下面側が溝状に窪み、その溝内における長手方向の複数位置には、溝幅方向で溝内側面間を連絡した溝内補強壁15Aが形成されている。
【0027】
図2に示すように、蓋枠壁13のうち外縁補強部15より内側に備えた天井板部16は、外縁補強部15から内側に離れた部分に環状傾斜部16Aを有すると共に、その環状傾斜部16Aより内側部分と外側部分とが共に水平な平板状になっている。そして、天井板部16のうち環状傾斜部16Aより内側の中央平板部16Bに、前記した枠孔14が貫通形成されている。
【0028】
図1(B)に示すように、天井板部16の下面のうち枠孔14の開口縁からは、下方に向けて環状リブ17(本発明の「開口縁突部」に相当する)が突出して枠孔14を囲んでいる。また、天井板部16の下面のうち外縁補強部15側の縁部からは、下方に向けて外縁環状リブ18が突出している。外縁環状リブ18は、環状リブ17を囲みかつ環状リブ17より下方に突出している。そして、図1(B)に示すように、天井板部16の下面のうち外縁環状リブ18と環状リブ17との間には、枠孔14の各辺毎に2つずつの補強リブ19が突出形成されて、外縁環状リブ18と環状リブ17との間に差し渡されている。
【0029】
図2に示すように、環状リブ17の内側面17Aからは、本発明に係る支持壁20が水平に張り出している。この支持壁20は、環状リブ17の内側面17Aの上端部に配置され、枠孔14内の孔閉塞部材25における下面の外縁部に固着されている。また、孔閉塞部材25の側面は、枠孔14の孔内側面14Aに固着されている。さらに、孔閉塞部材25の上面と中央平板部16Bの上面とは面一になっている。また、図5に拡大して示すように、孔内側面14Aのうち支持壁20側の端部には、孔閉塞部材25に一体成形された抜け止め突起90が食い込んでいる。抜け止め突起90は孔閉塞部材25の下面と略面一な面と、前記孔閉塞部材25の側面のうち孔閉塞部材25の厚さ方向の中間位置から斜め下方に向かって傾斜した傾斜面とを有した断面略三角形になっている。
【0030】
図3には、本発明に係る成形金型30の一部が拡大して示されている。この成形金型30により上記した蓋体11が二色成形される。同図において符号31は、本発明の「第1成形型」に相当する固定型であって、符号32は本発明に係る「第2成形型」に相当する可動型である。
【0031】
固定型31のうち可動型32との対向面は、本発明に係る第1成形面31Aになっていて、この第1成形面31Aにより蓋枠壁13と孔閉塞部材25の内面(下面)が成形される。また、可動型32のうち固定型31との対向面は、本発明に係る第2成形面32Aになっていて、この第2成形面32Aにより蓋枠壁13の外面(上面)が成形される。さらに、可動型32には、蓋体11における枠孔14に対応した断面四角形のコア受容孔32Bが形成され、そのコア受容孔32B内に、本発明に係るスライドコア33が受容されている。スライドコア33のうち固定型31との対向面は、本発明に係る第3成形面33Aになっていて、その第3成形面33Aによって孔閉塞部材25の外面(上面)が成形される。
【0032】
可動型32は、固定型31に接合した型閉じ位置と固定型31から離間した型開き位置との間を直動する。そして、可動型32が型閉じ位置に配置されると、第1成形面31A及び第2成形面32Aのうち外縁に備えた外縁平坦部31D,32D同士が当接して、第1成形面31Aと第2成形面32Aとの間に蓋枠壁13を成形するための第1キャビティ38が形成される。また、スライドコア33は、可動型32が型開き位置から型閉じ位置に移動したときに、可動型32における初期位置に配置されて固定型31に接合し、可動型32が型閉じ位置に維持された状態で可動型32におけるコアバック位置とへと移動して(即ち、コアバックして)、固定型31から離間する。
【0033】
以下、第1〜第3の成形面31A,32A,33Aにおける所要部位について詳説する。第1成形面31Aには、第3成形面33Aとの対向部分の外縁部に沿って環状溝40が陥没形成されている。環状溝40は、第1成形面31Aのうち第3成形面33Aとの対向部分と可動型32との対向部分とに跨った幅をなしている。具体的には、図4(A)及び図5に示すように、スライドコア33の外面を延長して第1成形面31A上で交差する環状想像線L1によって環状溝40は幅方向で二分され、環状溝40のうち環状想像線L1より内側部分、即ち、環状溝40のうち第1成形面31Aにおける第3成形面33Aとの対向領域に配置された部分は、蓋枠壁13の支持壁20を成形するための支持壁成形部41になっている。
【0034】
一方、環状溝40のうち環状想像線L1より外側部分、即ち、環状溝40のうち第1成形面31Aにおける第2成形面32Aとの対向領域に配置された部分は、蓋枠壁13における環状リブ17を成形するための環状リブ成形部42(本発明の「開口縁突部成形部」に相当する)になっていて、支持壁成形部41より段付き状に深くなっている。
【0035】
なお、図3に示すように、第1成形面31Aのうち環状溝40より内側部分の中央には、樹脂射出孔35が開口している。また、第1成形面31Aのうち第3成形面33Aとの対向部分は、樹脂射出孔35及び支持壁成形部41を除いて全体が略平坦面になっている。さらに、第3成形面33Aの全体も、略平坦面になっている。
【0036】
図4(A)に示すように、第1成形面31Aのうち環状溝40より外側部分は、全体が環状溝40の内側部分と面一な平坦内面成形部43になっていて、そこには、蓋枠壁13の補強リブ19(図1(B)参照)を成形するための補強リブ成形溝45Kが形成されると共に、樹脂射出孔34の噴出口が開口している。一方、第2成形面32Aのうちコア受容孔32Bの外側部分は、可動型32の型閉じ位置で平坦内面成形部43に対して蓋枠壁13の肉厚分だけ離間して対向した平坦外面成形部44になっている。そして、図4(A)に示すように、スライドコア33が初期位置に配置された状態では、スライドコア33が平坦外面成形部44から固定型31側に突出した状態になって第3成形面33Aが第1成形面31Aに接合し、図4(B)に示すように、スライドコア33がコアバック位置に配置された状態では、スライドコア33の先端面(第3成形面33A)と平坦外面成形部44とが面一になって、第3成形面33Aと第1成形面31Aとの間に第2キャビティ39が形成される。
【0037】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、成形金型30を用いた蓋体11の製造方法について説明する。本実施形態の成形金型30では、可動型32が固定型31に対する型開き位置から型閉じ位置に相対移動したときにスライドコア33が初期位置に配置されて、図4(A)に示すように、成形金型30内に第1キャビティ38が形成される。このとき、第1キャビティ38は、固定型31の第1成形面31Aと可動型32の第2成形面32Aとの間のみならず、固定型31の第1成形面31Aとスライドコア33の第3成形面33Aとの間にも形成され、第1キャビティ38のうち第1成形面31Aと第3成形面33Aとの間の支持壁成形部41で支持壁20が蓋枠壁13に一体成形される。また、スライドコア33の先端部側面33Sは、第1キャビティ38の内面の一部となって枠孔14の孔内側面14A(図2参照)を成形する。
【0038】
そして、第1キャビティ38で蓋枠壁13を成形後、スライドコア33がコアバック位置に移動する(即ち、コアバックする)。これにより、孔閉塞部材25を成形するための第2キャビティ39が、スライドコア33のコアバック後の退去空間として形成され、支持壁成形部41で成形されている支持壁20が第2キャビティ39内に露出すると共に、蓋枠壁13における枠孔14の孔内側面14Aも第2キャビティ39内に露出する。この状態で第2キャビティ39に孔閉塞部材25成形用の溶融樹脂が射出されて孔閉塞部材25が成形され、枠孔14の孔内側面14Aと支持壁20とに固着する。このとき、第2キャビティ39内の樹脂圧により、孔内側面14Aにおける支持壁20側の端部に食い込む抜け止め突起90が孔閉塞部材25(図5参照)に一体成形される。詳細には、本実施形態の蓋体11では、枠孔14の開口縁から突出した環状リブ17に支持壁20の端部が一体になっているので、孔内側面14Aのうち支持壁20側の端部が、枠孔14の開口縁の厚さ方向における中間に位置することになる。これにより、蓋枠壁13が溶融樹脂から成形される過程では、孔内側面14Aのうち支持壁20と反対側の端部に比べて支持壁20側の端部の固化が遅くなる。これにより、蓋枠壁13の成形後、孔内側面14Aが完全に固化する前に第2キャビティ39内に溶融樹脂が射出されると、その樹脂圧により孔内側面14Aにおける支持壁20側の端部に食い込む抜け止め突起90が孔閉塞部材25に一体成形される。そして、上記のように孔閉塞部材25が成形されて固化したら、可動型32をスライドコア33と共に型開き位置に移動して成形金型30から蓋体11が取り出され、蓋体11の成形が完了する。
【0039】
このように、本実施形態の成形金型30では、孔閉塞部材25を成形するための第2キャビティ39が成形金型30内に形成される前に、支持壁20を含む蓋枠壁13を成形するための第1キャビティ38が成形金型30内に形成されるので、従来の成形金型のように、蓋枠壁13の開口縁部の表裏が必ず同じ形状になるという制約はなくなり、支持壁20の形状の自由度が高くなる。よって、本実施形態の成形金型30によれば、蓋枠壁13の開口縁部に環状リブ17を設けて補強した上でその環状リブ17に支持壁20を設けたように、従来の成形金型では成形が不可能であった支持壁20を蓋体11に設けることができる。また、このようにして成形された蓋体11は、孔閉塞部材25の側面が蓋枠壁13の孔内側面14Aに固着された上に、孔閉塞部材25の下面外縁部が蓋枠壁13の支持壁20に固着した構造になるので、孔閉塞部材25の支持強度を従来より高くすることが可能になる。さらに、孔内側面14Aにおける支持壁20側の端部に食い込む抜け止め突起90(図5参照)が孔閉塞部材25に一体成形されているので、蓋枠壁13と孔閉塞部材25との結合力を高めることができる。
【0040】
[第2実施形態]
本実施形態の蓋体11は、図6〜図8に示されており、前記第1実施形態で説明した支持壁20に加え、孔閉塞部材25の下方を横切って延びたリブ形状の支持壁22(以下、「リブ状支持壁22」という)を備えた点が第1実施形態の蓋体11と大きく相違する。具体的には、リブ状支持壁22は、前記第1実施形態で説明した補強リブ19を延長してなり、孔閉塞部材25の下方で格子状に交差している。また、図7に示すように、各リブ状支持壁22は、上端部から両側方に張り出したリブフランジ22Fを有し、そのリブフランジ22Fを含むリブ状支持壁22の上端部が孔閉塞部材25の下面に固着されている。また、リブ状支持壁22の下面と補強リブ19の下面とは面一になっている(図7参照)。
【0041】
なお、図7に示すように、環状リブ17Vの内側面17Aは、枠孔14の孔内側面14Aより枠孔14の内側寄りに位置している点も前記第1実施形態と異なる。
【0042】
図8(A)及び図8(B)には、上記した蓋体11Vを成形するための成形金型30Vが示されている。この成形金型30Vでは、第1成形面31Aのうち第3成形面33Aとの対向部分に、リブ状支持壁22に対応した複数の支持壁成形溝45が形成されて、補強リブ19を成形するための補強リブ成形溝45Kと連通している。また、リブ状支持壁22にリブフランジ22Fを設けるために支持壁成形溝45は第3成形面33A側の開口端部が、第3成形面33Aから離れた奥部より幅広になっている。
【0043】
本実施形態の成形金型30Vによれば、第1成形面31Aに形成した支持壁成形溝45が第3成形面33Aにて閉塞されてリブ状支持壁22を成形するための「支持壁成形部」になり、簡素な金型構造で枠孔14を横切るように延びたリブ状支持壁22を成形することができると共に、従来の成形金型では成形が不可能であった孔閉塞部材25が幅広のリブ状支持壁22を成形することができる。
【0044】
[第3実施形態]
本実施形態は、図9に示されており、孔閉塞部材25が枠孔14内に孔内側面14Aより内側に離して受容されている点が第2実施形態と異なる。即ち、本実施形態の蓋体11Wは、図9(B)に示すように、孔閉塞部材25が蓋枠壁13Wの枠孔14に対し、孔内側面14Aとの間に隙間を開けた状態で収まって支持壁20及びリブ状支持壁22Wに固着している。また、本実施形態のリブ状支持壁22は、例えば、孔閉塞部材25からの突出量より孔閉塞部材25に対する固着幅の方が大きい断面形状になっている。
【0045】
この蓋体11Wを成形するための成形金型30Wでは、図9(A)に示すように、第2成形面32Aに、コア受容孔32Bの開口縁から突出した環状突部32Tが備えられている。そして、環状突部32Tの外側面によって枠孔14の孔内側面14Aが成形される。また、スライドコア33が初期位置に配置された状態では、第3成形面33Aと環状突部32Tとの先端面とが面一になり、スライドコア33がコアバックして第2キャビティ39が成形されると、コア受容孔32Bの内側面で孔閉塞部材25の外側面が成形される。なお、上記以外の部位に関しては、第1〜第3の実施形態と同じものに同一符号を図9に付して重複説明は省略する。
【0046】
[第4実施形態]
本実施形態の蓋体11Xは、図10(B)に示すように、孔閉塞部材25Xの下面外縁部が蓋枠壁13Xにおける枠孔14の上面開口縁に固着している点と、リブ状支持壁22Wが枠孔14内に配置されている点とが第3実施形態と相違する。この蓋体11Xを成形するための成形金型30Xでは、図10(A)に示すように、スライドコア33が初期位置に配置された状態で第3成形面33Aと、第2成形面32Aの平坦外面成形部44とが面一になる。なお、上記以外の部位に関しては、第1〜第3の実施形態と同じものに同一符号を図10に付して重複説明は省略する。
【0047】
[他の実施形態]
本本実施形態は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本本実施形態の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0048】
(1)前記第1実施形態では、搬送容器10のうち上面壁としての蓋体11に本発明の「搬送容器の壁構造」を適用した例を示したが、搬送容器の下面壁に壁貫通孔を形成して、その壁貫通孔を下面壁と異なる樹脂製の孔閉塞部材にて閉塞したものや、下面壁に対して着脱可能な側面壁に壁貫通孔を形成し、その壁貫通孔を側面壁と異なる樹脂製の孔閉塞部材で閉塞したものに本発明を適用してもよい。
【0049】
(2)前記第1実施形態の蓋体11では、孔閉塞部材25が透明な樹脂製で構成される一方、「容器構成壁」としての蓋枠壁13が不透明な樹脂製で構成されていたが、二色成形の対象となる2種類の樹脂の相違は、透明か不透明かの相違に限定されるものではない。具体的には、弾性、硬度、比重等の材料特性が異なり、共に透明(又は、共に不透明)な樹脂で本発明に係る「孔閉塞部材」と「容器構成壁」とを構成してもよいし、同じ化学組成の樹脂で色(透明か不透明かを含む)のみが異なる樹脂で、本発明に係る「孔閉塞部材」と「容器構成壁」とを構成してもよい。
【0050】
(3)前記第1実施形態では、孔閉塞部材25を支持する支持壁20を蓋体11の内面に配置した例を示したが、本発明に係る「支持壁」は、蓋体の外面に配置してよい。
【0051】
(4)前記第1実施形態では、本発明に係る「壁貫通孔」に相当する枠孔14が四角形であったが、「壁貫通孔」は四角形に限定されるものではなく、円形、四角形以外の多角形であってもよい。
【0052】
(5)前記第1実施形態の孔閉塞部材25は、平坦な板状であったが、これに限定されるものではなく、一部が屈曲したり凹凸を有した板状であってもよく、全体がドーム形状に湾曲していてもよい。
【0053】
(5)前記第1実施形態では、本発明に係る「第1成形型」が地面に対して固定される固定型となり、本発明に係る「第2成形型」が地面に対して可動する可動型になっていたが、その逆であってもよい。
【0054】
(6)前記第1実施形態の抜け止め突起90は、孔閉塞部材25から孔内側面14A側に突出して枠孔14の軸方向でのみ蓋枠壁13に係合していたが、図11に示すように、抜け止め突起90Aが孔閉塞部材25から孔内側面14A側のみならず支持壁20側にも突出して、枠孔14の軸方向と軸直交方向との両方向で蓋枠壁13に係合する抜け止め突起90Aが成形されるように、環状リブ17の厚さ、高さ、射出成形の樹脂圧を設定してもよい。これにより、孔閉塞部材25と蓋枠壁13との係合がより強固になる。
【0055】
[付記]
なお、本発明の特許請求の範囲には属しないが、本発明の技術を利用して、以下のように構成して、孔閉塞部材と容器構成壁(蓋枠壁13)との結合強度の強化を図ってもよい。具体的には、例えば、図12に示すように、支持壁を設けずに、蓋枠壁13における枠孔14の開口縁から開口縁突部91を突出させることで、蓋枠壁13の厚さ方向の中間部に孔閉塞部材25の厚さ方向の一端を配置し、その孔閉塞部材25の厚さ方向の一端から突出して蓋枠壁13へと食い込んだ抜け止め突起92を孔閉塞部材25に一体成形してもよい。また、図13に示すように、蓋枠壁13における枠孔14の開口縁を開口縁突部93によって蓋枠壁13の他の部位に比べて厚くしておき、その厚さ方向の中間部に孔閉塞部材25の厚さ方向の中間部を配置し、その孔閉塞部材25の厚さ方向の中間部から突出して蓋枠壁13へと食い込んだ抜け止め突起94を孔閉塞部材25に一体成形してもよい。さらには、図示しないが蓋枠壁を均一の厚さにしておいて、その蓋枠壁の厚さ方向の中間部で孔閉塞部材の一部を蓋枠壁へと食い込ませてもよし、蓋枠壁より孔閉塞部材を先に成形しておいて、孔閉塞部材の一部を蓋枠壁側へと食い込ませてもよい。即ち、「搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁が有する壁貫通孔の孔内側面に孔閉塞部材が固着して前記壁貫通孔が閉塞された状態に前記容器構成壁と前記孔閉塞部材とが二色成形された搬送容器の壁構造において、前記壁貫通孔の開口縁における前記容器構成壁の厚さ方向の中間部で前記孔内側面に食い込んだ抜け止め突起を前記孔閉塞部材に一体成形するか、或いは、前記孔閉塞部材の外縁部における厚さ方向の中間部で、前記孔閉塞部材の側面に食い込んだ抜け止め突起を前記容器構成壁に一体成形した搬送容器の壁構造」とすることで、孔閉塞部材と容器構成壁との結合強度の強化を図ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 搬送容器
11,11V,11W,11X 蓋体
13,13W,13X 蓋枠壁
14 枠孔(壁貫通孔)
14A 孔内側面
20 支持壁
22,22W リブ状支持壁
22F リブフランジ
25 孔閉塞部材
30,30V,30W,30X 成形金型
31 固定型(第1成形型)
31A 第1成形面
31A,32A,33A 成形面
31D,32D 外縁平坦部
32 可動型(第2成形型)
32A 第2成形面
32B コア受容孔
33 スライドコア
33A 第3成形面
33S 先端部側面
38 第1キャビティ
39 第2キャビティ
41 支持壁成形部
42 環状リブ成形部
45 支持壁成形溝(開口縁突部成形部)
90,90A 抜け止め突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁が有する壁貫通孔の孔内側面に孔閉塞部材が固着して前記壁貫通孔が閉塞された状態に前記容器構成壁と前記孔閉塞部材とが二色成形された搬送容器の壁構造において、
前記容器構成壁の一部として成形されて、前記孔閉塞部材の内外の何れか一方の面に沿って前記孔内側面より前記壁貫通孔の内側に張り出すか又は前記壁貫通孔を横切って延び、前記孔閉塞部材に固着した支持壁を備えたことを特徴とする搬送容器の壁構造。
【請求項2】
前記容器構成壁の内外の何れか一方の面には、前記壁貫通孔の開口縁から開口縁突部が突出した状態に成形されて、その開口縁突部に前記支持壁の端部が一体に設けられ、
前記孔閉塞部材には、前記孔内側面のうち前記支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起が成形されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送容器の壁構造。
【請求項3】
搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁が有する壁貫通孔を孔閉塞部材で閉塞した状態に前記容器構成壁と前記孔閉塞部材とを二色成形する成形金型であって、
前記容器構成壁及び前記孔閉塞部材の内外の一方の面を成形するための第1成形面を有した第1成形型と、
前記容器構成壁の内外の他方の面を成形する第2成形面を有し、前記第1成形型に対して相対的に直動して前記第1成形型に接合した型閉じ位置と前記第1成形型から離間した型開き位置とに配置可能であると共に、前記第2成形面に開口したコア受容孔を有した第2成形型と、
前記孔閉塞部材の内外の他方の面を成形する第3成形面を先端に有し、前記コア受容孔内に受容されて前記第3成形面が前記第1成形面に接合した初期位置と前記第1成形面から離間したコアバック位置との間で直動するスライドコアとが備えられ、
前記第2成形型が前記型開き位置から前記型閉じ位置に移動したときに前記スライドコアが前記初期位置に配置されて、前記容器構成壁を成形するため第1キャビティが前記成形金型内に形成されると共に、前記第1キャビティにより前記容器構成壁を成形後、前記スライドコアが前記コアバック位置に移動して前記孔閉塞部材を成形するための第2キャビティが前記成形金型内に形成され、
前記第1キャビティは、前記第1成形面と前記第2成形面との間と、前記第1成形面と前記第3成形面との間とに跨って連通した状態に形成され、前記第1キャビティのうち前記第1成形面と前記第3成形面との間に配置された支持壁成形部で成形される前記容器構成壁の支持壁を前記第2キャビティで成形される前記孔閉塞部材に固着させるように構成したことを特徴とする成形金型。
【請求項4】
前記初期位置に配置された前記スライドコアの先端部側面が前記第1キャビティの内面の一部となって前記壁貫通孔の孔内側面を成形するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の成形金型。
【請求項5】
前記第1キャビティにおける前記第1成形面と前記第2成形面との間には、前記容器構成壁のうち前記壁貫通孔の開口縁から突出して、前記支持壁の端部と一体になった開口縁突部を成形するための開口縁突部成形部が設けられ、
前記第2キャビティ内に射出した前記孔閉塞部材成形用の樹脂の圧力により、前記孔内側面における前記支持壁側の端部に食い込む抜け止め突起を前記孔閉塞部材に一体成形可能としたことを特徴とする請求項4に記載の成形金型。
【請求項6】
前記第1成形面に形成されかつ前記コア受容孔を横切って延びた支持壁成形溝を前記第3成形面で閉塞して前記支持壁成形部を構成したことを特徴とする請求項3乃至5の何れか1の請求項に記載の成形金型。
【請求項7】
前記支持壁成形溝は、前記第3成形面側の開口端部が、前記第3成形面から離れた奥部より幅広になっていることを特徴とする請求項6に記載の成形金型。
【請求項8】
請求項3乃至7の何れか1の請求項に記載の成形金型を用いて前記搬送容器又は搬送容器用の蓋体を製造することを特徴とする搬送機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−219108(P2011−219108A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88018(P2010−88018)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】