搬送手段の制御システム
【課題】 従来の搬送手段における制御システムでは、作業者が、良好な操作感覚で荷物を昇降させることができない上に、荷物の把持と操作レバーの操作とを同時に行って荷物を水平移動させることができない。
【解決手段】ロープ2の下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段3と、力計測手段3の計測結果に基づき第1演算部がサーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段4と、ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の長さを計測する長さ計測手段と、ロープ2によって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が荷物を水平方向へ押した時のロープ2が垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、長さ計測手段、重量計測手段および角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段7がクレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【解決手段】ロープ2の下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段3と、力計測手段3の計測結果に基づき第1演算部がサーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段4と、ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の長さを計測する長さ計測手段と、ロープ2によって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が荷物を水平方向へ押した時のロープ2が垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、長さ計測手段、重量計測手段および角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段7がクレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段の制御システムに係り、より詳しくはサーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役物を昇降する装置における制御システムの一つとして、荷役物を昇降する機構と、この昇降機構を駆動する駆動源と、この駆動源を制御する為の制御部および操作部を有し、人間が操作部を持ち、荷役物を持ち上げようとする時に出す反重力方向への持上げ力の大きさを、操作部に設けた力センサーで検出し、その持上げ力の大きさに応じて荷役物搬送機の吊り上げ力を増幅させ、その持上げ力と吊り上げ力で荷役物を昇降させる力制御方法を有する荷役物搬送機において、荷役物を持ち上げようとする力が大きくなるにつれ、持上げ力に対する吊り上げ力の比率を常にまたは近似的に増大させることで、シリンダーへのエアー量を制御するようにしたものがある。
【0003】
また、例えば、上鋳枠のブシュを下鋳枠の合わせピンに嵌入して上・下鋳枠を重ね合わせる工程を手作業によって行う場合には、クレーンの操作ボタンの操作により、天井クレーンなどで吊るした上鋳枠を下鋳枠の真上に移動させて位置合わせを行ったあと、上鋳枠を下降させて下鋳枠上に載置していた。
【0004】
一方、工場内における研究的なパワ−アシストシステムとしては、力覚センサーを用いて人間の操作力を測定し、その操作力に応じたアシスト力(補助力)を得るようにしたものや、作業者の負担の軽減だけでなく操作フィリングも考慮してスキルアシスト(技術補助)を行うようにしたものや、アクセルとハンドルにより人間が操作するCOBOTOがある。
【0005】
しかし、前者である荷役物を昇降する装置における制御システムでは、作業者が荷物から分離された操作レバーを操作することにより、荷物の移動速度および方向の指令が出されるようになっているため、作業者は荷物の把持と操作とを同時に行うことができず、その結果、作業者は良好な操作感覚で荷物を昇降させることができなかった。
そして、例えば、上・下鋳枠の重ね合わせ作業では、上鋳枠を下鋳枠の真上に移動させた時に上鋳枠が振れるため正確な位置合わせが困難であり、したがって、何度も操作ボタンを押して上鋳枠の位置を微調整する必要があり非効率であった。しかも、上鋳枠と操作パネルを両手で同時に持って作業をするため、操作が極めてやりにくく、作業者にとって身体的負担が大きくなるなどの問題があった。
【0006】
また、後者であるパワ−アシストシステムでは、作業者による操作力を測定するセンサが荷物から離れた別の場所に設置されているため、作業者が荷物に直接触れて荷物に対する手応えを感じながら荷物を搬送することができず、良好な操作感覚が期待できなかった。しかも、上述のパワ−アシストシステムは、システム専用の装置が必要であるため、工場の天井走行クレ−ンへの導入できなかった。
【特許文献1】特開平11-147699号
【非特許文献1】中村久著「運搬用パワ−アシストシステムの開発」システムインテグレ−ション部門学術講演会’01講演会論文集2001年(p515〜516)。
【非特許文献2】山田陽滋著「スキルアシストの安全取組」システムインテグレ−ション部門学術講演会’01講演論文集2001年(p519〜520)。
【非特許文献3】P Akella著「Cobots for the automobile assembly line」Proc IEEE Int Conf Rob Autom 1999年(p728〜733)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の搬送手段における制御システムでは、作業者が、良好な操作感覚で荷物を昇降させることができない上に、荷物の把持と操作レバーの操作とを同時に行って荷物を水平移動させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解消するために本発明における搬送手段の制御システムは、サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記搬送手段の走行条件を演算して前記クレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したことを特徴とする
【0009】
このように構成されたものは、ロープ巻揚げドラムから巻き下げられた任意長さのロープによって吊り下げられた任意重量の荷物を作業者が望む方向へ上昇または下降させるため荷物に力を加えると、力計測手段は、作業者の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測してその計測結果を第1制御手段に送信する。力計測手段からの計測結果の受信により第1制御手段は、計測結果に対応したサーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令信号を出す。これにより、作業者は、加えた力に対応した力を付与されながら、荷物を望む方向へ望む速度で昇降させることができる。
【0010】
そして、任意長さのロープによって吊り下げられた任意重量の荷物を作業者が水平方向へ押した時、長さ計測手段からの巻き下げロープの長さ情報、重量計測手段からの荷物重量情報および角度計測手段からのその時点におけるロープの振れ角度情報が第2制御手段に入力されて、その時点においてロープの振れ角が消滅する方向へクレ−ンを移動させるのに必要な電力がクレ−ンの電動機に入力される。これにより、作業者は、荷物を直接操作しながら操作性の高い状態で荷物を水平方向へ搬送することができる。
【0011】
なお、本発明において、演算部に (式)Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2)で表させるコントローラーKfを記憶することにより、力計測手段からの計測情報である、荷物の質量、作業者の操作力および荷物の加速度によって生じる力に基づき、前記演算部は、前記コントローラーKfにより荷揺れなどの共振があってもシステムが飛散せず、かつ、最小時間で所定の昇降速度を演算することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように本発明は、サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記クレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したから、作業者は荷物に対して良好な操作感覚を得ながら荷物を望む方向へ望む速度で昇降させることが可能になる上に、荷物を直接操作しながら操作性の高い状態で荷物を水平方向へ搬送することが可能になるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、巻揚げ機を天井走行クレ−ンに装着して成る搬送手段に本発明を適用した最良の形態について図面に基づき詳細に説明する。なお、上鋳枠の場合も同様であるので、荷物には鋳型または中子付き鋳型を内蔵した上鋳枠を含むものとして説明する。
【0014】
図1に示すように、荷物Wを昇降させる本巻揚げ機においては、ロープ巻揚げドラム(図示せず)の回転軸にこれを正逆回転させるサーボモータ1の出力軸が連結してあり、さらにロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の下端にはロープ2の下端に掛かる力の大きさを計測する力計測手段としてのロードセル3が装着してある。ロードセル3の下端には昇降すべき荷物Wがフック(図示せず)を介して掛止してある。また、前記ロードセル3にはこれの計測結果に基づき、前記サーボモータ1の回転の方向および速度を演算する第1演算部としてのコンピュータを含みかつコンピュータの演算結果に基づき前記サーボモータ1に駆動指令信号を出す第1制御手段4が電気的に接続してある。
【0015】
また、図2に示すように、前記ロープ巻揚げドラムは天井走行クレ−ンの台車6に装着してあり、さらに、前記天井走行クレ−ンには、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の長さを計測する長さ計測手段(図示せず)と、前記ロープ2によって吊り下げられた荷物Wの重量を計測する重量計測手段(図示せず)と、前記荷物を作業者が押した時の前記ロープ2が垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段(図示せず)と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの情報に基づき、前記天井走行クレ−ンの走行条件を演算する第2演算手段としてのコンピュータを含みかつコンピュータの演算結果に基づき前記天井走行クレ−ンに駆動指令信号を出す第2制御手段7が装着してある。そして、前記荷物Wは、作業者により右方向へ押されて天井走行クレ−ンを介して移動されるようになっている。
【0016】
次に、このように構成した搬送手段を用いて作業者が荷物Wを任意の場所へ搬送する際のこの搬送手段の動作について説明する。最初に、ロープ2によって吊り下げられた荷物Wを作業者が上方または下方へ押して荷物を作業者の望む方向へ望む速度で昇降される手順について述べる。作業者が荷物Wを上方または下方へ押すと、ロードセル3がロープ2に掛かる力の大きさを計測して第1制御手段4に送信する。すると、巻揚げ機を介しての作業者による荷物Wの昇降をアシストすべく、第1制御手段4のコンピュータにおいては下記に示す原理に基づき演算が行われる。
【0017】
すなわち、基本的な原理としては、図2に示すように、作業者が荷物Wに操作力fh[N]を加えると、ロードセル3が力fm[N]を検知して、コントローラーKfは制御入力u(=rv[m/s]指示速度)を生成し、この結果、巻揚げ機は命じられた速度νに従って荷物Wを上昇または下降させる。
ここで、m[kg]は荷物Wの質量である。
なお、z軸方向は下向きを正とする。
【0018】
上述の作用は以下に示す理論によって行われる。すなわち、
制御された荷物Wの昇降速度v=rv=Kffm
(1)
の関係式が成り立つ。
ここで、力fmは操作力fhから荷物Wの加速度dv/dtによる見かけの重量を差し引いたものであるから、
fm=fh−mdv/dt
(2)
となり、荷物Wは操作力fhにより以下の伝達関数で表させる昇降速度を得る。
Rν(s)=Kf(s)Fh(s)/[1+msKf(s)] (3)
したがって、Kf(s)のゲインを大きくすることにより、作業者は僅かな力で荷物を昇降することができる。
ここで、sはラプラス演算子[1/s]、Fhは操作力[N]である。
【0019】
ところで、コントローラーのパラメータとして、定常状態で、制御された荷物Wの昇降速度rv=kpfhとなる、操作力から巻き上げ下げ速度の変換係数kp[(m /s/N)]を定義する。
ここで、kpは操作力1[N]当りの荷重の移動速度[m /s]を示す。
この変数はユーザの要求によって決定され、荷物Wの搬送速度を遅くし荷物Wの正確な位置決めを行いたい場合にはkpを小さく選び、わずかな力で高速に搬送したい場合はkpを大きく選ぶ。
【0020】
また、巻揚げ機の共振周波数とそのピークゲインの変動を乗法変動として考慮すると次式のように表わすことができる。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、波バーPは実際の伝達関数、Pは式P(s)=Fm(s) /Rv=msで表されるノーマルな伝達関数、Δは変動である。
【0023】
また、図4にモデル化誤差とおもみ関数の見積もりの関係を示す。この図4において、左図細線がΔを見積もった伝達関数であるとすると、ロバスト性の安定化のために、|Wr|>|Δとなる重み関数Wrを
Wr=ωps /ωc(s+ωp) (5)
として、図4の左図太線を得る。
なお、この図4において、ωc[rad /s]は交差角周波数、ωp[rad
/s]はΔピークとなる周波数である。
【0024】
また、本発明のように、混合感度の問題の制御のブック図は図5に示すようになる。そして、wからz間での伝達関数は本システムの相補感度関数で、ロバスト安定の条件は重み関数Wrを考慮して||Twz2||∞<1となる。
したがって、要求するコントローラは(6)式で示すように定式化できる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、w(=fh)からz1までの伝達関数Twz1は、操作力fhと荷物速度rvの誤差に相当する。本演算手段の目的はステップ状の操作力に対し、定常速度kp[(m /s/N)]にできるだけ速く整定するコントローラーKfを設計することであるから、次式のように重み関数Wsを決定する。
Ws=1 /s (7)
【0027】
なお、上記のコントローラーKfは、下記のようにして得られる。
すなわち、重み関数Wr、Wsおよびノーマルな伝達関数P(s)の次数の合計が2であるので、最適コントローラーは2次となる。したがって、コントローラーの構造を次式のように表すことができる。
Kf=kp(as2+bs+c) /(s2+2ζωns+ωn2) (8)
ここで、aおよびbは定数、cは変数、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数、ωnは固有角周波数である。
【0028】
また、ロバスト安定性の観点から、a=b=0となる。a≠0、b≠0とすると、変動が大きい場合にロバスト安定条件を満たさなくなる場合が起こる。
【0029】
定常状態における式v=kp fを満たすために以下のように変数cを得る。
【0030】
【数3】
【0031】
したがって、コントローラーの解析解は次の方程式となる。
Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2) (10)
このとき、伝達関数Twvr、Twz1およびTwzは以下のように書き表せる。
【0032】
【数4】
【0033】
ところで、荷物Wの残留振動あるいはオーバーシュートは、非常に危険であり、ζ'は1.0より大きくしなければならない。したがって、ζは以下のように制約される。
ζ>1.0- kpmωn/2 (12)
【0034】
また、ロバスト安定条件より、伝達関数のノルム|Twz2|は以下のように1未満である。
【0035】
【数5】
【0036】
なお、第2項と第3項は条件ζ'>1のもとで1未満となる。
したがって、ωnに関して次の関係を得る。
ωn‹平方根ωc/mkp (14)
【0037】
また、コントローラーは、Twz1のH2ノルムを最小限にするように設計されなければならない。単純な計算によって、式(11)から次式を得る。
【0038】
【数6】
【0039】
なお、最小限のためにはζ'>1.0の制約下で、ζ'はできるだけ小さくなくてはならず、かつωnは式(14)の制約下で、できるだけ大きくなくてはならない。したがって、
【0040】
【数7】
を得る。
【0041】
以上の考察によって、演算部として以下の最適ロバストコントローラーが決定される。
【0042】
【数8】
【0043】
このとき、最適なH2ノルムは次式となる。
【0044】
【数9】
【0045】
最後に、ロープ2によって吊り下げられた荷物Wを作業者が水平方向へ押して移動される手順について述べる。ロープ2によって吊り下げられた荷物を作業者が右方へ押すと、第2制御手段7のコンピュータにおいては、天井走行クレ−ンを介しての作業者による荷物Wの搬送をアシストすべく次のような演算が行われる。
【0046】
すなわち、図2に示す天井走行クレ−ンの運動方程式は、式 m・l2・d2θ/dt2−m・l・d2x/dt2・cosθ+m・l・g・sinθ=F・l
;p=x+l・sinθ で表される。
ここでm[kg]は荷物の質量、 l[m]はロ−プの長さ、g[m/s2]は重力加速度、θ[rad]はロ−プの振れ角の角度、x[m]は台車6の位置、d2x/dt2[m/s2]はその加速度、F[N]は作業者が与える操作力、p[m]は荷物Wの位置である。
【0047】
次いで、ロ−プ2の振れ角の角度をθ→0にして式(1)を線形に近似し、さらに、式
dx/dt=−Kfθ のように、フィ−ドバックゲインKfを用いて振れ角の角度θ[rad]から台車6の速度を決定する。これにより式(19)を得る。
【0048】
【数10】
【0049】
また、第2制御手段7においてはPID制御動作が行われる。
ここで、PID制御動作とは、操作量が制御偏差に比例する制御動作であるP制御動作と、操作量が制御偏差の積分値に比例する制御動作であるI動作と、操作量が微分値に比例する制御動作であるD動作を加え合わせたものである。
これにより、式(19)のKfをKf=Kp+Kds+Ki/sに置きて換え式(20)および(21)を得る。
【0050】
【数11】
【0051】
ところで、式(21)において、簡単のためにKi=0とした時、式(20)は次ぎの式(22)ように変形できる。
【0052】
【数12】
【0053】
ロ−プ2のような制動抵抗の小さな軟構造物によって吊り下げた荷物Wに作業者が操作力を印加した場合には、荷物Wの残留振動が懸念されるが、式(22)から適切なKpを与えることによってζ>0.707となり、振動のない荷物Wの操作が可能になる。
【0054】
また、天井走行クレ−ンによる搬送速度と作業者による操作力の関係は、ω≪ωnにおいて式(21)からdp/dt=Kp/mg・Fとなり、操作力に比例した搬送速度が得られる。
【0055】
また、作業者の負担を軽くするためには、作業者の操作力の変化に応答よく天井走行クレ−ンが反応するということが重要である。つまり式(22)に示されたωnを大きくするということが天井走行クレ−ン全体の反応を早くすることにつながる。これは、式(22)から、−l<微分ゲインKd<0の範囲で負の微分ゲインKdを設定することにより実現される。
このことは以下のように説明できる。微分ゲインKd<0とは、作業者があえて操作力の方向とは反対方向に台車1(天井走行クレ−ン)を動かそうとすることを意味する。すなわち、図2において台車6が左方向である負の方向に加速すると、右方向である正の方向に振れ角が生じることになり、正の方向に振れ角を作ろうとする作業者の操作力を助けることになる。
【0056】
また、式(21)の右項は分母子がわずかに異なる2次の有理式である。そのためωがωnよりも小さな領域では式(23)のように線形に近似することができる。
【0057】
【数13】
この式(23)は、質量m・(Ki+g)/Ki[kg]の荷物Wを摩擦のない状態で動かす際の運動方程式にほかならない。したがって、作業者が操作力F[N]を一度加えると、あたかも無重力状態で荷物を押したかのように、荷物Wは進んでいくことになる。
【実験例】
【0058】
コントローラーの実験条件は表1のとおりである。
【0059】
【表1】
【0060】
操作力と変換係数kpに関する定常状態の特性を、図6に示す。実験の結果は理論値と一致し、例えば操作力10.0[N]の力で重量30.3[kg]の荷物を0.06[m/s]の速度で動かすことが確認できた。
【0061】
また、操作力とそのときの、荷物Wの速度の応答を図7に示す。実験の結果はシミュレーションと一致し、振動もなく安定に制御されており、本発明の妥当性が確認できた。
【実施例】
【0062】
それぞれの大きさが縦・横約0.8m、高さ約0.4mで、それぞれの重量が約30kgであって位置合わせ用のピン・ブシュを有する上・下鋳枠において、上述の実験例と同様の条件で上鋳枠を下鋳枠上に載置する作業を行ったところ、振動もなく安定した状態で上鋳枠を下鋳枠上に載置することができた。
なお、鋳型内臓の上鋳枠の重量が10〜500Kgの場合には作業者は負担なく上鋳枠を昇降できたが、500Kgを超えると、操作力に対するノイズによりシステムが安定稼動しない場合があって好ましくなく、また10Kg未満ではクレーンが不要である。
【0063】
また、図2に示す天井走行クレ−ンを用いて実際に荷物Wの搬送実験を行った結果について説明する。ロ−プ2の長さを1.0m、荷物Wの重量を10.0kgとして、比例要素Kpを5.0としたP制御動作、比例要素Kpを5.0、微分ゲインKdを−0.5としたPD制御動作、比例要素Kpを5.0、積分ゲインKiを3.0としたPI制御動作を用いて3種類の実験を行った。
【0064】
ここで、PD制御動作とは、操作量(操作力)が制御偏差に比例する制御動作であるP制御動作と、操作量(操作力)が微分値に比例する制御動作であるD動作を加え合わせたものである。また、PI制御動作とは、P制御動作と、操作量(操作力)が制御偏差の積分値に比例する制御動作であるI動作を加え合わせたものである。
なお、これらのゲインは大き過ぎるとモデルに現われない高次モ−ドの影響を大きく受けてしまうため適度な範囲内の値に設定してある。
【0065】
まず、P制御動作を用いた搬送実験においては、作業者により3段階の一定の操作力を加え、その際の台車1(天井走行クレ−ン)の搬送速度を調べた。この実験値を理論値と比較したものを図8に示す。これの実験値は理論値とほぼ一致しており、台車6の搬送速度が作業者の操作力に比例していることが確認できた。
【0066】
また、PD制御動作およびPI制御動作をそれぞれ用いた搬送実験を行い、この結果を図9(a)および(b)にそれぞれ示す。同時にモデルの妥当性を確認するため、実験と同様の操作力をシミュレ−ションに適用したものを重ねて示す。これら図9(a)および(b)からは、PD制御動作では作業者の操作力に比例した振れ角や台車1の搬送速度が得られており、PI制御動作では作業者が一度操作力を与えただけで一定速度のまま荷物が移動していく様子が分かる。
【0067】
また、重量10kgの荷物の搬送実験においては、最大でも4Nの操作力で搬送することが確認できた。なお、実験値の振れ角に高次モ−ドの影響が出たが、実験とシミューレーションとの挙動は一致しており、モデルの有効性も確かめられた。
【0068】
また、微分ゲインの効果を確かめるために、P制御動作との挙動の違いをシミュレ−ションし、そのシミュレ−ションしたものを図11に示す。微分ゲインにおいても振れ角の角度θ[rad]の立ち上がり方、および台車6の速度の逆振れにその効果がみられた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、天井クレーンを用いた様々なところに利用できる。例えば、鋳造分野では鋳枠、中子などの搬送組み立て、自動車の組み立てなどの各種業界での組み立てサイトや、福祉機器などにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明を適用した最良の形態のうち荷物Wを昇降させる場合の構造を示す概略図である。
【図2】本発明を適用した最良の形態のうち荷物Wを水平移動させる場合の構造を示す概略図である。
【図3】図1に示す構造物に係る制御のブロック図である。
【図4】モデル化誤差と重く関数の見積もりとの関係を示すグラフである。
【図5】混合感度問題のブロック図である。
【図6】操作力と定常速度の関係を示すグラフである。
【図7】操作力に対する昇降速度の応答の状態を示すグラフである。
【図8】P制御動作の実験において、3段階の一定の操作力とこの操作力による搬送速度の関係について実験値と理論値を示すグラフである。
【図9】(a) PD制御動作の搬送実験を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段の制御システムに係り、より詳しくはサーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役物を昇降する装置における制御システムの一つとして、荷役物を昇降する機構と、この昇降機構を駆動する駆動源と、この駆動源を制御する為の制御部および操作部を有し、人間が操作部を持ち、荷役物を持ち上げようとする時に出す反重力方向への持上げ力の大きさを、操作部に設けた力センサーで検出し、その持上げ力の大きさに応じて荷役物搬送機の吊り上げ力を増幅させ、その持上げ力と吊り上げ力で荷役物を昇降させる力制御方法を有する荷役物搬送機において、荷役物を持ち上げようとする力が大きくなるにつれ、持上げ力に対する吊り上げ力の比率を常にまたは近似的に増大させることで、シリンダーへのエアー量を制御するようにしたものがある。
【0003】
また、例えば、上鋳枠のブシュを下鋳枠の合わせピンに嵌入して上・下鋳枠を重ね合わせる工程を手作業によって行う場合には、クレーンの操作ボタンの操作により、天井クレーンなどで吊るした上鋳枠を下鋳枠の真上に移動させて位置合わせを行ったあと、上鋳枠を下降させて下鋳枠上に載置していた。
【0004】
一方、工場内における研究的なパワ−アシストシステムとしては、力覚センサーを用いて人間の操作力を測定し、その操作力に応じたアシスト力(補助力)を得るようにしたものや、作業者の負担の軽減だけでなく操作フィリングも考慮してスキルアシスト(技術補助)を行うようにしたものや、アクセルとハンドルにより人間が操作するCOBOTOがある。
【0005】
しかし、前者である荷役物を昇降する装置における制御システムでは、作業者が荷物から分離された操作レバーを操作することにより、荷物の移動速度および方向の指令が出されるようになっているため、作業者は荷物の把持と操作とを同時に行うことができず、その結果、作業者は良好な操作感覚で荷物を昇降させることができなかった。
そして、例えば、上・下鋳枠の重ね合わせ作業では、上鋳枠を下鋳枠の真上に移動させた時に上鋳枠が振れるため正確な位置合わせが困難であり、したがって、何度も操作ボタンを押して上鋳枠の位置を微調整する必要があり非効率であった。しかも、上鋳枠と操作パネルを両手で同時に持って作業をするため、操作が極めてやりにくく、作業者にとって身体的負担が大きくなるなどの問題があった。
【0006】
また、後者であるパワ−アシストシステムでは、作業者による操作力を測定するセンサが荷物から離れた別の場所に設置されているため、作業者が荷物に直接触れて荷物に対する手応えを感じながら荷物を搬送することができず、良好な操作感覚が期待できなかった。しかも、上述のパワ−アシストシステムは、システム専用の装置が必要であるため、工場の天井走行クレ−ンへの導入できなかった。
【特許文献1】特開平11-147699号
【非特許文献1】中村久著「運搬用パワ−アシストシステムの開発」システムインテグレ−ション部門学術講演会’01講演会論文集2001年(p515〜516)。
【非特許文献2】山田陽滋著「スキルアシストの安全取組」システムインテグレ−ション部門学術講演会’01講演論文集2001年(p519〜520)。
【非特許文献3】P Akella著「Cobots for the automobile assembly line」Proc IEEE Int Conf Rob Autom 1999年(p728〜733)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の搬送手段における制御システムでは、作業者が、良好な操作感覚で荷物を昇降させることができない上に、荷物の把持と操作レバーの操作とを同時に行って荷物を水平移動させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解消するために本発明における搬送手段の制御システムは、サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記搬送手段の走行条件を演算して前記クレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したことを特徴とする
【0009】
このように構成されたものは、ロープ巻揚げドラムから巻き下げられた任意長さのロープによって吊り下げられた任意重量の荷物を作業者が望む方向へ上昇または下降させるため荷物に力を加えると、力計測手段は、作業者の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測してその計測結果を第1制御手段に送信する。力計測手段からの計測結果の受信により第1制御手段は、計測結果に対応したサーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令信号を出す。これにより、作業者は、加えた力に対応した力を付与されながら、荷物を望む方向へ望む速度で昇降させることができる。
【0010】
そして、任意長さのロープによって吊り下げられた任意重量の荷物を作業者が水平方向へ押した時、長さ計測手段からの巻き下げロープの長さ情報、重量計測手段からの荷物重量情報および角度計測手段からのその時点におけるロープの振れ角度情報が第2制御手段に入力されて、その時点においてロープの振れ角が消滅する方向へクレ−ンを移動させるのに必要な電力がクレ−ンの電動機に入力される。これにより、作業者は、荷物を直接操作しながら操作性の高い状態で荷物を水平方向へ搬送することができる。
【0011】
なお、本発明において、演算部に (式)Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2)で表させるコントローラーKfを記憶することにより、力計測手段からの計測情報である、荷物の質量、作業者の操作力および荷物の加速度によって生じる力に基づき、前記演算部は、前記コントローラーKfにより荷揺れなどの共振があってもシステムが飛散せず、かつ、最小時間で所定の昇降速度を演算することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように本発明は、サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記クレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、を具備したから、作業者は荷物に対して良好な操作感覚を得ながら荷物を望む方向へ望む速度で昇降させることが可能になる上に、荷物を直接操作しながら操作性の高い状態で荷物を水平方向へ搬送することが可能になるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、巻揚げ機を天井走行クレ−ンに装着して成る搬送手段に本発明を適用した最良の形態について図面に基づき詳細に説明する。なお、上鋳枠の場合も同様であるので、荷物には鋳型または中子付き鋳型を内蔵した上鋳枠を含むものとして説明する。
【0014】
図1に示すように、荷物Wを昇降させる本巻揚げ機においては、ロープ巻揚げドラム(図示せず)の回転軸にこれを正逆回転させるサーボモータ1の出力軸が連結してあり、さらにロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の下端にはロープ2の下端に掛かる力の大きさを計測する力計測手段としてのロードセル3が装着してある。ロードセル3の下端には昇降すべき荷物Wがフック(図示せず)を介して掛止してある。また、前記ロードセル3にはこれの計測結果に基づき、前記サーボモータ1の回転の方向および速度を演算する第1演算部としてのコンピュータを含みかつコンピュータの演算結果に基づき前記サーボモータ1に駆動指令信号を出す第1制御手段4が電気的に接続してある。
【0015】
また、図2に示すように、前記ロープ巻揚げドラムは天井走行クレ−ンの台車6に装着してあり、さらに、前記天井走行クレ−ンには、前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープ2の長さを計測する長さ計測手段(図示せず)と、前記ロープ2によって吊り下げられた荷物Wの重量を計測する重量計測手段(図示せず)と、前記荷物を作業者が押した時の前記ロープ2が垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段(図示せず)と、前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの情報に基づき、前記天井走行クレ−ンの走行条件を演算する第2演算手段としてのコンピュータを含みかつコンピュータの演算結果に基づき前記天井走行クレ−ンに駆動指令信号を出す第2制御手段7が装着してある。そして、前記荷物Wは、作業者により右方向へ押されて天井走行クレ−ンを介して移動されるようになっている。
【0016】
次に、このように構成した搬送手段を用いて作業者が荷物Wを任意の場所へ搬送する際のこの搬送手段の動作について説明する。最初に、ロープ2によって吊り下げられた荷物Wを作業者が上方または下方へ押して荷物を作業者の望む方向へ望む速度で昇降される手順について述べる。作業者が荷物Wを上方または下方へ押すと、ロードセル3がロープ2に掛かる力の大きさを計測して第1制御手段4に送信する。すると、巻揚げ機を介しての作業者による荷物Wの昇降をアシストすべく、第1制御手段4のコンピュータにおいては下記に示す原理に基づき演算が行われる。
【0017】
すなわち、基本的な原理としては、図2に示すように、作業者が荷物Wに操作力fh[N]を加えると、ロードセル3が力fm[N]を検知して、コントローラーKfは制御入力u(=rv[m/s]指示速度)を生成し、この結果、巻揚げ機は命じられた速度νに従って荷物Wを上昇または下降させる。
ここで、m[kg]は荷物Wの質量である。
なお、z軸方向は下向きを正とする。
【0018】
上述の作用は以下に示す理論によって行われる。すなわち、
制御された荷物Wの昇降速度v=rv=Kffm
(1)
の関係式が成り立つ。
ここで、力fmは操作力fhから荷物Wの加速度dv/dtによる見かけの重量を差し引いたものであるから、
fm=fh−mdv/dt
(2)
となり、荷物Wは操作力fhにより以下の伝達関数で表させる昇降速度を得る。
Rν(s)=Kf(s)Fh(s)/[1+msKf(s)] (3)
したがって、Kf(s)のゲインを大きくすることにより、作業者は僅かな力で荷物を昇降することができる。
ここで、sはラプラス演算子[1/s]、Fhは操作力[N]である。
【0019】
ところで、コントローラーのパラメータとして、定常状態で、制御された荷物Wの昇降速度rv=kpfhとなる、操作力から巻き上げ下げ速度の変換係数kp[(m /s/N)]を定義する。
ここで、kpは操作力1[N]当りの荷重の移動速度[m /s]を示す。
この変数はユーザの要求によって決定され、荷物Wの搬送速度を遅くし荷物Wの正確な位置決めを行いたい場合にはkpを小さく選び、わずかな力で高速に搬送したい場合はkpを大きく選ぶ。
【0020】
また、巻揚げ機の共振周波数とそのピークゲインの変動を乗法変動として考慮すると次式のように表わすことができる。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、波バーPは実際の伝達関数、Pは式P(s)=Fm(s) /Rv=msで表されるノーマルな伝達関数、Δは変動である。
【0023】
また、図4にモデル化誤差とおもみ関数の見積もりの関係を示す。この図4において、左図細線がΔを見積もった伝達関数であるとすると、ロバスト性の安定化のために、|Wr|>|Δとなる重み関数Wrを
Wr=ωps /ωc(s+ωp) (5)
として、図4の左図太線を得る。
なお、この図4において、ωc[rad /s]は交差角周波数、ωp[rad
/s]はΔピークとなる周波数である。
【0024】
また、本発明のように、混合感度の問題の制御のブック図は図5に示すようになる。そして、wからz間での伝達関数は本システムの相補感度関数で、ロバスト安定の条件は重み関数Wrを考慮して||Twz2||∞<1となる。
したがって、要求するコントローラは(6)式で示すように定式化できる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、w(=fh)からz1までの伝達関数Twz1は、操作力fhと荷物速度rvの誤差に相当する。本演算手段の目的はステップ状の操作力に対し、定常速度kp[(m /s/N)]にできるだけ速く整定するコントローラーKfを設計することであるから、次式のように重み関数Wsを決定する。
Ws=1 /s (7)
【0027】
なお、上記のコントローラーKfは、下記のようにして得られる。
すなわち、重み関数Wr、Wsおよびノーマルな伝達関数P(s)の次数の合計が2であるので、最適コントローラーは2次となる。したがって、コントローラーの構造を次式のように表すことができる。
Kf=kp(as2+bs+c) /(s2+2ζωns+ωn2) (8)
ここで、aおよびbは定数、cは変数、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数、ωnは固有角周波数である。
【0028】
また、ロバスト安定性の観点から、a=b=0となる。a≠0、b≠0とすると、変動が大きい場合にロバスト安定条件を満たさなくなる場合が起こる。
【0029】
定常状態における式v=kp fを満たすために以下のように変数cを得る。
【0030】
【数3】
【0031】
したがって、コントローラーの解析解は次の方程式となる。
Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2) (10)
このとき、伝達関数Twvr、Twz1およびTwzは以下のように書き表せる。
【0032】
【数4】
【0033】
ところで、荷物Wの残留振動あるいはオーバーシュートは、非常に危険であり、ζ'は1.0より大きくしなければならない。したがって、ζは以下のように制約される。
ζ>1.0- kpmωn/2 (12)
【0034】
また、ロバスト安定条件より、伝達関数のノルム|Twz2|は以下のように1未満である。
【0035】
【数5】
【0036】
なお、第2項と第3項は条件ζ'>1のもとで1未満となる。
したがって、ωnに関して次の関係を得る。
ωn‹平方根ωc/mkp (14)
【0037】
また、コントローラーは、Twz1のH2ノルムを最小限にするように設計されなければならない。単純な計算によって、式(11)から次式を得る。
【0038】
【数6】
【0039】
なお、最小限のためにはζ'>1.0の制約下で、ζ'はできるだけ小さくなくてはならず、かつωnは式(14)の制約下で、できるだけ大きくなくてはならない。したがって、
【0040】
【数7】
を得る。
【0041】
以上の考察によって、演算部として以下の最適ロバストコントローラーが決定される。
【0042】
【数8】
【0043】
このとき、最適なH2ノルムは次式となる。
【0044】
【数9】
【0045】
最後に、ロープ2によって吊り下げられた荷物Wを作業者が水平方向へ押して移動される手順について述べる。ロープ2によって吊り下げられた荷物を作業者が右方へ押すと、第2制御手段7のコンピュータにおいては、天井走行クレ−ンを介しての作業者による荷物Wの搬送をアシストすべく次のような演算が行われる。
【0046】
すなわち、図2に示す天井走行クレ−ンの運動方程式は、式 m・l2・d2θ/dt2−m・l・d2x/dt2・cosθ+m・l・g・sinθ=F・l
;p=x+l・sinθ で表される。
ここでm[kg]は荷物の質量、 l[m]はロ−プの長さ、g[m/s2]は重力加速度、θ[rad]はロ−プの振れ角の角度、x[m]は台車6の位置、d2x/dt2[m/s2]はその加速度、F[N]は作業者が与える操作力、p[m]は荷物Wの位置である。
【0047】
次いで、ロ−プ2の振れ角の角度をθ→0にして式(1)を線形に近似し、さらに、式
dx/dt=−Kfθ のように、フィ−ドバックゲインKfを用いて振れ角の角度θ[rad]から台車6の速度を決定する。これにより式(19)を得る。
【0048】
【数10】
【0049】
また、第2制御手段7においてはPID制御動作が行われる。
ここで、PID制御動作とは、操作量が制御偏差に比例する制御動作であるP制御動作と、操作量が制御偏差の積分値に比例する制御動作であるI動作と、操作量が微分値に比例する制御動作であるD動作を加え合わせたものである。
これにより、式(19)のKfをKf=Kp+Kds+Ki/sに置きて換え式(20)および(21)を得る。
【0050】
【数11】
【0051】
ところで、式(21)において、簡単のためにKi=0とした時、式(20)は次ぎの式(22)ように変形できる。
【0052】
【数12】
【0053】
ロ−プ2のような制動抵抗の小さな軟構造物によって吊り下げた荷物Wに作業者が操作力を印加した場合には、荷物Wの残留振動が懸念されるが、式(22)から適切なKpを与えることによってζ>0.707となり、振動のない荷物Wの操作が可能になる。
【0054】
また、天井走行クレ−ンによる搬送速度と作業者による操作力の関係は、ω≪ωnにおいて式(21)からdp/dt=Kp/mg・Fとなり、操作力に比例した搬送速度が得られる。
【0055】
また、作業者の負担を軽くするためには、作業者の操作力の変化に応答よく天井走行クレ−ンが反応するということが重要である。つまり式(22)に示されたωnを大きくするということが天井走行クレ−ン全体の反応を早くすることにつながる。これは、式(22)から、−l<微分ゲインKd<0の範囲で負の微分ゲインKdを設定することにより実現される。
このことは以下のように説明できる。微分ゲインKd<0とは、作業者があえて操作力の方向とは反対方向に台車1(天井走行クレ−ン)を動かそうとすることを意味する。すなわち、図2において台車6が左方向である負の方向に加速すると、右方向である正の方向に振れ角が生じることになり、正の方向に振れ角を作ろうとする作業者の操作力を助けることになる。
【0056】
また、式(21)の右項は分母子がわずかに異なる2次の有理式である。そのためωがωnよりも小さな領域では式(23)のように線形に近似することができる。
【0057】
【数13】
この式(23)は、質量m・(Ki+g)/Ki[kg]の荷物Wを摩擦のない状態で動かす際の運動方程式にほかならない。したがって、作業者が操作力F[N]を一度加えると、あたかも無重力状態で荷物を押したかのように、荷物Wは進んでいくことになる。
【実験例】
【0058】
コントローラーの実験条件は表1のとおりである。
【0059】
【表1】
【0060】
操作力と変換係数kpに関する定常状態の特性を、図6に示す。実験の結果は理論値と一致し、例えば操作力10.0[N]の力で重量30.3[kg]の荷物を0.06[m/s]の速度で動かすことが確認できた。
【0061】
また、操作力とそのときの、荷物Wの速度の応答を図7に示す。実験の結果はシミュレーションと一致し、振動もなく安定に制御されており、本発明の妥当性が確認できた。
【実施例】
【0062】
それぞれの大きさが縦・横約0.8m、高さ約0.4mで、それぞれの重量が約30kgであって位置合わせ用のピン・ブシュを有する上・下鋳枠において、上述の実験例と同様の条件で上鋳枠を下鋳枠上に載置する作業を行ったところ、振動もなく安定した状態で上鋳枠を下鋳枠上に載置することができた。
なお、鋳型内臓の上鋳枠の重量が10〜500Kgの場合には作業者は負担なく上鋳枠を昇降できたが、500Kgを超えると、操作力に対するノイズによりシステムが安定稼動しない場合があって好ましくなく、また10Kg未満ではクレーンが不要である。
【0063】
また、図2に示す天井走行クレ−ンを用いて実際に荷物Wの搬送実験を行った結果について説明する。ロ−プ2の長さを1.0m、荷物Wの重量を10.0kgとして、比例要素Kpを5.0としたP制御動作、比例要素Kpを5.0、微分ゲインKdを−0.5としたPD制御動作、比例要素Kpを5.0、積分ゲインKiを3.0としたPI制御動作を用いて3種類の実験を行った。
【0064】
ここで、PD制御動作とは、操作量(操作力)が制御偏差に比例する制御動作であるP制御動作と、操作量(操作力)が微分値に比例する制御動作であるD動作を加え合わせたものである。また、PI制御動作とは、P制御動作と、操作量(操作力)が制御偏差の積分値に比例する制御動作であるI動作を加え合わせたものである。
なお、これらのゲインは大き過ぎるとモデルに現われない高次モ−ドの影響を大きく受けてしまうため適度な範囲内の値に設定してある。
【0065】
まず、P制御動作を用いた搬送実験においては、作業者により3段階の一定の操作力を加え、その際の台車1(天井走行クレ−ン)の搬送速度を調べた。この実験値を理論値と比較したものを図8に示す。これの実験値は理論値とほぼ一致しており、台車6の搬送速度が作業者の操作力に比例していることが確認できた。
【0066】
また、PD制御動作およびPI制御動作をそれぞれ用いた搬送実験を行い、この結果を図9(a)および(b)にそれぞれ示す。同時にモデルの妥当性を確認するため、実験と同様の操作力をシミュレ−ションに適用したものを重ねて示す。これら図9(a)および(b)からは、PD制御動作では作業者の操作力に比例した振れ角や台車1の搬送速度が得られており、PI制御動作では作業者が一度操作力を与えただけで一定速度のまま荷物が移動していく様子が分かる。
【0067】
また、重量10kgの荷物の搬送実験においては、最大でも4Nの操作力で搬送することが確認できた。なお、実験値の振れ角に高次モ−ドの影響が出たが、実験とシミューレーションとの挙動は一致しており、モデルの有効性も確かめられた。
【0068】
また、微分ゲインの効果を確かめるために、P制御動作との挙動の違いをシミュレ−ションし、そのシミュレ−ションしたものを図11に示す。微分ゲインにおいても振れ角の角度θ[rad]の立ち上がり方、および台車6の速度の逆振れにその効果がみられた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、天井クレーンを用いた様々なところに利用できる。例えば、鋳造分野では鋳枠、中子などの搬送組み立て、自動車の組み立てなどの各種業界での組み立てサイトや、福祉機器などにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明を適用した最良の形態のうち荷物Wを昇降させる場合の構造を示す概略図である。
【図2】本発明を適用した最良の形態のうち荷物Wを水平移動させる場合の構造を示す概略図である。
【図3】図1に示す構造物に係る制御のブロック図である。
【図4】モデル化誤差と重く関数の見積もりとの関係を示すグラフである。
【図5】混合感度問題のブロック図である。
【図6】操作力と定常速度の関係を示すグラフである。
【図7】操作力に対する昇降速度の応答の状態を示すグラフである。
【図8】P制御動作の実験において、3段階の一定の操作力とこの操作力による搬送速度の関係について実験値と理論値を示すグラフである。
【図9】(a) PD制御動作の搬送実験を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、
前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、
この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、
前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、
前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、
作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、
前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記クレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、
を具備したことを特徴とする搬送手段の制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記第1演算部には (式)Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2)で表させるコントローラーKfが記憶されていて、前記力計測手段からの計測結果に基づき、前記第1演算部は、前記コントローラーKfにより最小時間で所定の昇降速度を演算することを特徴とする搬送手段の制御システム。
ただし、kpは変換係数 [(m /s/N)]、ωnは固有角周波数[rad/s]、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数である。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記ロープが垂直面とで成す振れ角は、搬送するために作業者が前記荷物を押すか、または前記ロープにおける揺れの回転中心が前記荷物を置いた位置の真上位置と異なることにより生じることを特徴とする搬送手段の制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記荷物は、鋳型内臓の鋳枠であって重量が10〜500Kgであることを特徴とする搬送手段の制御システム。
【請求項1】
サーボモータの正逆駆動によるロープ巻揚げドラムの正逆回転によって巻上げ・巻下げされるロープにより昇降されまたは位置が維持され、かつクレーンによって水平移動される荷物に作業者が操作力である力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を移動させる搬送手段における制御システムであって、
前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と、
この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに駆動指令の信号を出す第1制御手段と、
前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と、
前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と、
作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と、
前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記クレーンの走行条件を演算してクレーンに駆動指令の信号を出す第2制御手段と、
を具備したことを特徴とする搬送手段の制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記第1演算部には (式)Kf=kpωn2 /(s2+2ζωns+ωn2)で表させるコントローラーKfが記憶されていて、前記力計測手段からの計測結果に基づき、前記第1演算部は、前記コントローラーKfにより最小時間で所定の昇降速度を演算することを特徴とする搬送手段の制御システム。
ただし、kpは変換係数 [(m /s/N)]、ωnは固有角周波数[rad/s]、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数である。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記ロープが垂直面とで成す振れ角は、搬送するために作業者が前記荷物を押すか、または前記ロープにおける揺れの回転中心が前記荷物を置いた位置の真上位置と異なることにより生じることを特徴とする搬送手段の制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の搬送手段の制御システムにおいて、
前記荷物は、鋳型内臓の鋳枠であって重量が10〜500Kgであることを特徴とする搬送手段の制御システム。
【図9】(b) PI制御動作の搬送実験を示すグラフである。
【図10】微分ゲインの効果について、PI制御動作とP制御動作の挙動の違いをシミュレ−ションしたグラフである。
【図11】本発明における荷物Wを水平移動させる場合の他の実施例の作動説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1
サーボモータ
2
ロープ
3
ロードセル
4
第1制御手段
5
天井走行クレ−ン
6
台車
7
第2制御手段
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図10】微分ゲインの効果について、PI制御動作とP制御動作の挙動の違いをシミュレ−ションしたグラフである。
【図11】本発明における荷物Wを水平移動させる場合の他の実施例の作動説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1
サーボモータ
2
ロープ
3
ロードセル
4
第1制御手段
5
天井走行クレ−ン
6
台車
7
第2制御手段
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−143397(P2006−143397A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335721(P2004−335721)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年5月23日から5月26日 社団法人日本鋳造工学会主催の「第144回 全国講演大会」において文書をもって発表
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年5月23日から5月26日 社団法人日本鋳造工学会主催の「第144回 全国講演大会」において文書をもって発表
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
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