説明

搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法、基地局及びユーザ設備

【課題】搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法、基地局及びユーザ端末を提供する。
【解決手段】処理方法は、LTEアドバンスに用いられるものであり、基地局が第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信すること、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局が、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信すること、基地局が、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知することを含む。また、拡張搬送波にデータ伝送がないときのユーザ端末の電力消耗も低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTEアドバンス(Long Term Evolution-Advanced)システムに係り、特に、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法、基地局及びユーザ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)システムでは、スケジューリングや割当て及び制御情報をベアラーする物理下りリンク制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)が定義され、PDCCHには最大で三つの直交周波数分割多重OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルを含むことができる。物理制御フォーマット指示チャネルPCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)は、PDCCHがサブフレームで占めるOFDMシンボルの数を指示し、物理下りリンク共有チャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクのデータ情報をベアラーする。
【0003】
LTEアドバンス(Long Term Evolution-Advanced)システムでは、搬送波集約(Carrier Aggregation)技術を用いて伝送バンド帯域を拡張することにより、より高いデータレートを取得する。
【0004】
集約された各搬送波は、一つの成分搬送波CC(Component Carrier)と称される。成分搬送波は、スペクトル上で連続であってもよいし非連続であってもよい。システムには、最多で5つの成分搬送波が存在する。LTEアドバンスシステムでは、拡張搬送波(Extension Carrier)について、独立に存在する(Stand-Alone)ことのできない成分搬送波であるが、必ず独立に存在可能な成分搬送波とともに成分搬送波集合を構成して使用されるものであると定義している。これらの独立に存在可能な成分搬送波は、主成分搬送波(Primary CC)と称される。拡張搬送波は、主にデータ情報の伝送に用いられ、シグナリングのオーバーヘッドを低減させる。その制御情報は、主成分搬送波のPDCCHに格納される。
【0005】
2つの成分搬送波で搬送波集約を行うとすると、そのうちの1つは拡張搬送波であり、もう1つは主成分搬送波である。現在の同期信号に指定されるシーケンス開始時刻がTであり、主成分搬送波のPDCCHの時間長がTであり、ユーザによるPDCCH受信と復調に要する時間長がTであり、サブフレーム(sub-frame)の時間長がTsubframeである。現在、拡張搬送波配置方法は主に2種類あり、以下それぞれ説明する。
【0006】
方式1
図1に示すように、拡張搬送波の前から複数のOFDMシンボル内にデータ情報を送信しない。データ送信しないシンボルの数は、主成分搬送波のPDCCHのOFDMシンボル数に等しい。
【0007】
基地局側の処理として、T時刻に主成分搬送波に制御情報と成分搬送波のデータ情報とをロードし、T+T時刻に拡張搬送波に、時間長がTsubframe−Tの拡張搬送波のデータ情報をロードする。
【0008】
一方、ユーザ端末側の処理として、T時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、主成分搬送波のPDCCHを受信してPDCCHに含まれる制御情報を復調し、T+T時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、拡張搬送波のデータ情報を受信し、T+T3時刻に主成分搬送波PDCCHにベアラーされる制御情報を得て、制御情報によってユーザが拡張搬送波にデータ伝送があると指示する場合、引き続き拡張搬送波のデータ情報を受信し、T+Tsubframe時刻になると終了し、制御情報によってユーザが拡張搬送波にデータ伝送がないと指示する場合、受信したデータ情報をクリアし、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにする。
【0009】
しかし、上記方式には、少なくとも以下の欠点が存在する。
【0010】
拡張搬送波のデータ情報は、サブフレームの全ての利用可能な資源を占めておらず、拡張搬送波の資源利用率を低下させ、システムのデータ伝送レートを減少させた。
【0011】
ユーザが拡張搬送波にデータ伝送がないと、ユーザは、T−Tとの時間帯に拡張搬送波データ受信に利用される電力を浪費することになる。
【0012】
上記の拡張搬送波の前から複数のOFDMシンボル内にデータ情報を送信しないことによるデータ伝送レート低下問題を解決するために、方式2が提案されている。
【0013】
図2に示すように、方式2では、拡張搬送波上のすべての資源がデータ情報の送信に用いられ、ただし、主成分搬送波と拡張搬送波が同期送信する。
【0014】
基地局側の処理として、基地局は、T時刻に主成分搬送波に制御情報と主成分搬送波のデータ情報とをロードし、同時にT時刻に拡張搬送波に拡張搬送波のデータ情報をロードする。
【0015】
一方、ユーザ端末側の処理として、T時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、主成分搬送波のPDCCHを受信してPDCCHに含まれる制御情報を復調する第1ステップ、T時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、拡張搬送波のデータ情報を受信する第2ステップ、ユーザがT+T3時刻に主成分搬送波PDCCHにベアラーされる制御情報を得て、制御情報によってユーザが拡張搬送波にデータ伝送があると指示する場合、引き続き拡張搬送波のデータ情報を受信し、T+Tsubframe時刻になると終了し、制御情報によってユーザが拡張搬送波にデータ伝送がないと指示する場合、受信したデータ情報をクリアし、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにする第3ステップを含む。
【0016】
しかし、上記方式には、少なくとも以下の欠点が存在する。
【0017】
ユーザ設備側の処理フローの第3ステップにおいて、ユーザが拡張搬送波にデータ伝送がないと、T中に拡張搬送波データ受信に利用される電力を浪費することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法、基地局及びユーザ設備を提供し、サブフレーム資源を充分に利用するとともに、拡張搬送波にデータ伝送がないときのユーザ設備の電力消耗を低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を実現するために、本発明実施例は、LTEアドバンスに用いられる、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法を提供する。該方法において、基地局が、第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信すること、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局が、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信すること、基地局が、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知することを含む。
【0020】
上記処理方法において、上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上である。
【0021】
上記処理方法において、上記基地局は、予めユーザ設備と約束する方式で、上記時間差値を上記ユーザ設備に通知する。
【0022】
上記処理方法において、上記基地局は、拡張搬送波の同期信号又はシステム放送情報を用いて上記時間差値を上記ユーザ設備に通知する。
【0023】
上記処理方法において、上記基地局は、無線資源制御層、無線リンク制御層、パケットデータコンバージェンスプロトコル層又は媒体アクセス制御サブ層を介して、上記時間差値を上記ユーザ設備に通知する。
【0024】
上記目的を実現するために、本発明実施例は、LTEアドバンスに用いられる、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法を更に提供する。該方法において、ユーザ設備は、基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である第1時刻と、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である第2時刻との時間差値を取得すること、ユーザ設備は、第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信すること、ユーザ設備は、拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、上記第3時刻と上記時間差値との和である第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、拡張搬送波にロードされている第2データ情報を受信し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持することを含む。
【0025】
上記処理方法において、上記時間差値は、ユーザ設備が上記制御情報の受信と復調に要する時間以上である。
【0026】
上記処理方法において、上記ユーザ端末は、予め基地局と約束する方式で、上記時間差値を取得する。
【0027】
上記処理方法において、上記ユーザ端末は、拡張搬送波の同期信号又はシステム放送情報を用いて上記時間差値を取得する。
【0028】
上記処理方法において、上記ユーザ端末は、無線資源制御層、無線リンク制御層、パケットデータコンバージェンスプロトコル層又は媒体アクセス制御サブ層を介して、上記時間差値を取得する。
【0029】
上記処理方法において、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さい場合、上記ユーザ設備は、第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにしてデータ受信を行うこと、第5時刻に制御情報を受信して復調した後、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かを判断し、ロードされていると判断した場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持し、第2データ情報受信完了後に今回のサブフレームデータの受信処理を終了させ、ロードされていると判断しなかった場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにし今回のサブフレームデータの受信処理を終了させることで、データ受信処理を行う。
【0030】
上記目的を実現するために、本発明実施例は、LTEアドバンスに用いられる基地局を更に提供する。該基地局において、第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信するための第1ロード・送信モジュールと、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信するための第2ロード・送信モジュールと、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知するための時間差値通知モジュールとを含む。
【0031】
上記基地局において、上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上である。
【0032】
上記目的を実現するために、本発明実施例は、LTEアドバンスに用いられるユーザ設備を更に提供する。該ユーザ設備において、基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である第1時刻と、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である第2時刻との時間差値を取得するための時間差値取得モジュールと、第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信するための第1制御モジュールと、拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、上記第3時刻と上記時間差値との和である第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにして、拡張搬送波にロードされている第2データ情報の受信が完了するまでオン状態を維持し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持するための第2制御モジュールとを含む。
【0033】
上記ユーザ設備において、上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上である。
【発明の効果】
【0034】
本発明実施例によれば、以下の有益な効果を有する。
【0035】
本発明実施例において、基地局が第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信し、そして一定時間の遅延を経て拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信した後、各種方式を利用してユーザ設備に該遅延時間を通知することによって、ユーザ設備に対して特定時間になってから拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにするようにさせることで、拡張搬送波にデータ伝送がないときに拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン時間を短縮し、拡張搬送波にデータ伝送がないときのユーザ設備の電力消耗を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術の拡張搬送波配置方法1における拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を示す図面である。
【図2】従来技術の拡張搬送波配置方法2における拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を示す図面である。
【図3】基地局側から見た、本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法のフローを示す図面である。
【図4】ユーザ端末側から見た、本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法のフローを示す図面である。
【図5】本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、インプリシット通知方式の下でかつΔTがT3以上の場合に拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を示す図面である。
【図6】本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、インプリシット通知方式の下でかつΔTがT3より小さい場合に拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を示す図面である。
【図7】本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、ステップ43の詳しいフローを示す図面である。
【図8】本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、明示的通知方式の下で拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を示す図面である。
【図9】本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法のシミュレーション結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法、基地局及びユーザ端末において、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局が第1時刻に主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードした後、第2時刻(第2時刻と第1時刻との差が0より大きい)に拡張搬送波に第2データ情報をロードし、そして、ユーザ端末が第2時刻に基づいて第2データ情報の受信を行う。
【0038】
図3に示すように、本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法は、基地局側から見て、次のステップを含む。
【0039】
ステップ31において、基地局は、第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信する。
【0040】
ステップ32において、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局は、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信する。
【0041】
ステップ33において、基地局は、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知する。
【0042】
なお、上記のステップ33は、ステップ31及び32との間に必然的な順序関係がない。基地局は、まずステップ33を実行してもよいし、ステップ33をステップ31、32と同時に実行してもよい。
【0043】
本発明実施例の基地局は、第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信するための第1ロード・送信モジュールと、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信するための第2ロード・送信モジュールと、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知するための時間差値通知モジュールとを含む。
【0044】
図4に示すように、本発明実施例の搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法は、ユーザ端末側から見て、次のステップを含む。
【0045】
ステップ41において、ユーザ設備は、時間差値を取得する。上記時間差値は、第1時刻と第2時刻との差である。上記第1時刻は、基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である。上記第2時刻は、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である。
【0046】
ステップ42において、ユーザ設備は、第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信する。
【0047】
ステップ43において、ユーザ設備は、拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、拡張搬送波にロードされている第2データ情報を受信し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持する。上記第4時刻は、上記第3時刻と上記時間差値との和である。上記第5時刻は、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である。
【0048】
本発明実施例のユーザ設備は、基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である第1時刻と、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である第2時刻との時間差値を取得するための時間差値取得モジュールと、第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信するための第1制御モジュールと、拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、上記第3時刻と上記時間差値との和である第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにして、拡張搬送波にロードされている第2データ情報の受信が完了するまでオン状態を維持し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持するための第2制御モジュールとを含む。
【0049】
本発明の具体的な実施例において、ユーザ設備が特定時間に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにして省エネの目的を達成するには、基地局はユーザ設備に対して上記時間差値を通知しなければならない。以下、どのように通知するかを更に詳しく説明する。
【0050】
<通知方式1>
予め定められた時間差値を双方で約束する。
【0051】
拡張搬送波にデータをロードすることが必要となる場合、基地局は、予め定められた時間差値に基づいて拡張搬送波へのデータのロードを行い、一方、ユーザ端末も該予め定められた時間差値に基づいてデータ受信を行う。
【0052】
<通知方式2>
基地局が拡張搬送波の同期信号を用いて該時間差値を伝送する。
【0053】
基地局は、拡張搬送波遅延情報を拡張搬送波の同期信号に加え、主成分搬送波の同期信号に対して拡張搬送波の同期信号にある程度の遅延を生じさせ、一方、ユーザ端末は、2種類の同期信号に対する解析から該時間差値を得ることができる。
【0054】
<通知方式3>
基地局がシステム放送情報を直接利用して該時間差値を伝送する。
【0055】
基地局は、時間差値をシステム放送情報に加える。ユーザ端末が基地局にアクセスするときにシステム放送情報を解析することで時間差値を得ることができる。
【0056】
<通知方式4>
基地局がハイレイヤ(例えば無線資源制御層、無線リンク制御層、パケットデータコンバージェンスプロトコル層又は媒体アクセス制御サブ層など)より該時間差値を配布する。
【0057】
もちろん、以上に列挙した方式に限られることはなく、基地局とユーザ端末との間のあらゆる利用可能な通信方式は、いずれも該時間差値の伝送に用いることができる。ここでは、逐一詳しく説明しない。
【0058】
上記の時間差値について、0より大きいのであれば、ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間に比較して大きいか小さいかにかかわらず、いずれもユーザ端末側において電力消耗ゲインを取得できる。以下詳しく説明する。
【0059】
上記方式1、2は、インプリシット通知の方式である。以下、該種類の方式の下で、拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態を詳しく説明する。
【0060】
まず、時間差値ΔTがユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間T3以上の場合について説明する。
【0061】
図5に示すように、時間差値ΔTがT3以上の場合に、T1+T3時刻において、ユーザ設備は既に主成分搬送波の制御情報を取得して復調しており、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かが分かる。第2データ情報がロードされていない場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置は、常にオフ状態に維持される。しかし、従来技術の実現方式2において、[T1、T1+T3]に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオンを維持する必要があるが、実際には拡張搬送波に第2データ情報がロードされていないため、必然的にエネルギーの消耗をもたらす。従って、時間差値ΔTがユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間T3以上の場合に、本発明実施例の方法によれば、拡張搬送波にデータ伝送がないときのユーザ設備の電力消耗を低下させることができる。
【0062】
以下、時間差値ΔTがユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間T3より小さい場合について説明する。
【0063】
図6に示すように、時間差値ΔTが時間T3より小さい場合に、T1+ΔT時刻において、主成分搬送波の制御情報がまだ復調されて得ていないため、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かが分からず、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにしてデータ受信を行う必要がある。
【0064】
T1+T3時刻において、ユーザ設備は既に主成分搬送波の制御情報を取得して復調しており、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かが分かる。第2データ情報がロードされていない場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにする。従って、ΔTがT3より小さい場合に、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていなくても、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン時間は、T3とΔTとの差となる。しかし、従来技術の実現方式2において、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合に、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン時間はT3である。従って、時間差値ΔTがT3より小さい場合に、本発明実施例の方法によれば、拡張搬送波にデータ伝送がないときに拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン時間ΔTを短縮することができ、拡張搬送波にデータ伝送がないときのユーザ設備の電力消耗を低下させることができる。
【0065】
もちろん、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン時間が短縮されると、データ格納への要求も低くなる。
【0066】
以下、上記ステップ43を詳しく説明する。
【0067】
ステップ431において、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいかを判断する。小さいと判断した場合、ステップ432へ進むが、逆の場合、ステップ436へ進む。
【0068】
ステップ432において、ユーザ設備は、第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにしてデータ受信を行う。上記第4時刻は、上記第3時刻と上記時間差値との和である。
【0069】
ステップ433において、ユーザ設備は、第5時刻に制御情報を受信して復調した後、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かを判断する。ロードされていると判断した場合、ステップ434へ進むが、逆の場合、ステップ435へ進む。
【0070】
ステップ434において、ユーザ設備は、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持し、第2データ情報受信完了後に今回の処理を終了させる。
【0071】
ステップ435において、ユーザ設備は、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにして、直接今回の処理を終了させる。
【0072】
ステップ436において、ユーザ設備は、第5時刻に制御情報を受信して復調した後、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かを判断する。ロードされていると判断した場合、ステップ437へ進むが、逆の場合、ステップ438へ進む。
【0073】
ステップ437において、ユーザ設備は、第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにしてデータ受信を行い、第2データ情報受信完了後に今回の処理を終了させる。
【0074】
ステップ438において、ユーザ設備は、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオフ状態を維持し、今回の処理を終了させる。
【0075】
上記記載から分かるように、時間差値が主成分搬送波のPDCCH受信と復調時間に等しいときに、ユーザ設備側において最大の電力節約ゲインを取得できるが、そのときに最小の遅延が導入されている。
【0076】
方式3と方式4は、明示的通知の方式である。該種類の方式の下で拡張搬送波のデータ分布及びユーザ設備の無線周波数受信装置の状態は、図8に示されている。図8から分かるように、インプリシット通知方式に比較して、明示的通知方式では、拡張搬送波に対して全体的なシフトを行わないが、先頭の時間長が時間差値であるOFDMシンボル内にデータ情報を送信しないことによって、第2データ情報と主成分搬送波上のデータ情報をずらして送信することで、同じくインプリシット通知方式同様のユーザ設備電力消耗節約効果を達成でき、複数のOFDMシンボル資源を浪費しただけである。
【0077】
明示的通知方式にせよインプリシット通知方式にせよ、本発明実施例では、拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局において、主成分搬送波にデータ情報をロードする開始時刻より拡張搬送波にデータ情報をロードして送信する開始時刻は遅いことが保証される。
【0078】
時間差値が主成分搬送波のPDCCH受信と復調時間より大きいときに、ユーザ設備側において最大の電力節約ゲインを取得することもできるが、ある程度の遅延が導入されている。実際の処理において、各種類のサービスにはある程度の遅延が要求されることがある。従って、該時間差値は、無限大となることができず、時間差値の設定は、サービスの遅延要求を満足しなければならない。例えばハイブリッド自動再送要求HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)システムでは、HARQシステムにおける処理の冗長時間が約1ミリ秒であるため、該時間差値は、1ミリ秒を超えてはならない。もちろん、双方向型ゲーム、VoIP(Voice over Internet Protocol)、マルチメディアなどその他のサービスでも、それぞれ異なる遅延要求(QoS要求)があり、システム遅延要求に応じて拡張搬送波遅延を設定できる。遅延要求を保証すると同時に、なるべく電力を節約する。ここでは、逐一記載しない。
【0079】
また、基地局とユーザ端末の処理の便利上、該時間差値の最小値を、1つのOFDMシンボルの時間長に設定してもよい。
【0080】
本発明実施例では、拡張搬送波に遅延を導入して設定することによって、LTEアドバンスユーザが拡張搬送波にデータを受信する際の電力消耗低下に有利であり、LTEアドバンスユーザに必要とされるデータ格納要求を減少させる。
【0081】
電力節約のゲインを検証するために、本発明実施例の技術案についてシミュレーションと分析を行った。シミュレーションをする際に、各サブフレームに14のOFDMシンボルを含むと設定する。PDCCHに占められるOFDMシンボルの数が3、PDCCH復調に必要の時間が2つのOFDMシンボルの時間長であると、PDCCH受信と復調の時間は、5つのOFDMシンボルの時間長となる。ユーザが拡張搬送波にデータ情報を有する確率をp%とする。シミュレーションでは、データ情報に占められるOFDMシンボルの時間長と電力消耗に占められるOFDMシンボルの時間長をそれぞれ計算する。以下に示すシミュレーション結果から、従来の配置方法2に比較して、本発明実施例の技術案によれば、データ情報同一を保証する前提では、より少ない電力を消耗したことが分かる。

【0082】
図9は、上記シミュレーション条件の下で、時間差値が異なる場合、ユーザ設備が拡張搬送波にスケジューリングされる各確率における、従来技術の技術案2に対して本発明実施例の方法の電力消耗節約ゲインを示す曲線である。本発明実施例の方法によれば、いずれの場合でもある程度の電力消耗節約ゲインを取得でき、ユーザ設備側の電力消耗を低下させたことが分かる。
【0083】
以上は、本発明の実施方式に過ぎない。なお、当該分野の一般技術者にとって、本発明の原理を背離しない前提で、若干の改進や修飾が考えられる。ただし、これらの改進や修飾も本発明の保護範囲にあることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTEアドバンスに用いられる、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、
基地局が、第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信すること、
拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、基地局が、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信すること、
基地局が、上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知すること
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項2】
上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
上記基地局は、予めユーザ設備と約束する方式で、上記時間差値を上記ユーザ設備に通知することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
上記基地局は、拡張搬送波の同期信号又はシステム放送情報を用いて上記時間差値を上記ユーザ設備に通知することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
上記基地局は、無線資源制御層、無線リンク制御層、パケットデータコンバージェンスプロトコル層又は媒体アクセス制御サブ層を介して、上記時間差値を上記ユーザ設備に通知することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項6】
LTEアドバンスに用いられる、搬送波集約システムにおける拡張搬送波処理方法において、
ユーザ設備は、基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である第1時刻と、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である第2時刻との時間差値を取得すること、
ユーザ設備は、第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信すること、
ユーザ設備は、拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、上記第3時刻と上記時間差値との和である第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、拡張搬送波にロードされている第2データ情報を受信し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持すること
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項7】
上記時間差値は、ユーザ設備が上記制御情報の受信と復調に要する時間以上であることを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
【請求項8】
上記ユーザ設備は、予め基地局と約束する方式で、上記時間差値を取得することを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
【請求項9】
上記ユーザ端末は、拡張搬送波の同期信号又はシステム放送情報を用いて上記時間差値を取得することを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
【請求項10】
上記ユーザ端末は、無線資源制御層、無線リンク制御層、パケットデータコンバージェンスプロトコル層又は媒体アクセス制御サブ層を介して、上記時間差値を取得することを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
【請求項11】
上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さい場合、上記ユーザ設備は、
第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにしてデータ受信を行うこと、
第5時刻に制御情報を受信して復調した後、拡張搬送波に第2データ情報がロードされているか否かを判断し、ロードされていると判断した場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持し、第2データ情報受信完了後に今回のサブフレームデータの受信処理を終了させ、ロードされていると判断しなかった場合、拡張搬送波の無線周波数受信装置をオフにし今回のサブフレームデータの受信処理を終了させることで、
データ受信処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
【請求項12】
LTEアドバンスに用いられる基地局において、
第1時刻から主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードして送信するための第1ロード・送信モジュールと、
拡張搬送波にデータをロードすることが必要とされる場合、第1時刻との時間差値が0より大きくなる第2時刻から拡張搬送波に第2データ情報をロードして送信するための第2ロード・送信モジュールと、
上記第2時刻と第1時刻との時間差値をユーザ設備に通知するための時間差値通知モジュールとを含むことを特徴とする基地局。
【請求項13】
上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上であることを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項14】
LTEアドバンスに用いられるユーザ設備において、
基地局が主成分搬送波に制御情報と第1データ情報とをロードする開始時刻である第1時刻と、基地局が拡張搬送波に第2データ情報をロードする開始時刻である第2時刻との時間差値を取得するための時間差値取得モジュールと、
第3時刻に主成分搬送波の無線周波数受信装置をオンにし、基地局が主成分搬送波にロードした制御情報と第1データ情報とを受信するための第1制御モジュールと、
拡張搬送波に第2データ情報がロードされている場合、上記第3時刻と上記時間差値との和である第4時刻に拡張搬送波の無線周波数受信装置をオンにして、拡張搬送波にロードされている第2データ情報の受信が完了するまでオン状態を維持し、拡張搬送波に第2データ情報がロードされていない場合、上記時間差値がユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間より小さいときにのみ、第4時刻と、上記第3時刻と上記ユーザ設備による制御情報の受信と復調に要する時間との和である第5時刻との間に拡張搬送波の無線周波数受信装置のオン状態を維持するための第2制御モジュールとを含むことを特徴とするユーザ設備。
【請求項15】
上記時間差値は、ユーザ設備による上記制御情報の受信と復調に要する時間以上であることを特徴とする請求項14に記載のユーザ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193444(P2011−193444A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21281(P2011−21281)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】