説明

搬送箱

【課題】 耐衝撃性に優れ商品の多様な形状にも対応できる搬送箱を提供することを目的とする。
【解決手段】 搬送箱(100A)は、第1方向に伸びる上辺(Sy1)と下辺(Sy2)とを有し第1方向と交差する第2方向に対向して配置される一対の第1側壁(My)と、第1側壁と交差し第1側壁の下辺と接する底面(Mz)と、第2方向に伸びて一対の第1側壁間を結ぶ複数の仕切部(12A)と、仕切部に対応する箇所が山折り(131)に折られ仕切部に掛けられ、仕切部と仕切部との間が谷折り(132)に折られたシート(13)とを備える。また、シートの谷折りと底面とには空隙が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の納入、搬送等に使われる搬送箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、搬送箱内が複数の仕切板により隔離された搬送箱を開示している。この搬送箱は、相対する側面が一体化された二重壁構造となり、その二重壁構造となった側面の内側に互いに平行である仕切溝が形成されている。また、仕切溝に複数の仕切板を差し込むことで、搬送箱内が複数の梱包空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−280272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された搬送箱において、複数の梱包空間は一対の仕切板及び一対の側面により囲まれて構成されている。一対の仕切板が仕切溝に差し込まれて一対の側面に固定されているので、薄い商品が広い梱包空間に入った状態では、薄い商品が梱包空間内で移動してしまい移動した際に衝撃が商品に加わるおそれがある。ちょうど良い寸法の商品が梱包空間に入った状態でも、搬送箱の底面に衝撃が加わると商品が底面側から衝撃を受けることになり、また、一対の仕切板の方向と直交する方向から衝撃を受けると一対の仕切板が固定されているため商品にも同様な衝撃が加わるおそれがある。
【0005】
本発明は、耐衝撃性に優れ商品の多様な形状にも対応できる搬送箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の商品を搬送する搬送箱は、第1方向に伸びる上辺と下辺とを有し第1方向と交差する第2方向に対向して配置される一対の第1側壁と、第1側壁と交差し第1側壁の下辺と接する底面と、第2方向に伸びて一対の第1側壁間を結ぶ複数の仕切部と、仕切部に対応する箇所が山折りに折られ仕切部に掛けられ、仕切部と仕切部との間が谷折りに折られたシートとを備える。また、シートの谷折りと底面とには空隙が形成される。
シートの谷折りの部分に商品が収納される。仕切部にシートの山折りが掛けられているため、谷折りに商品が収納された状態で商品がブランコのように揺れる。このため第1方向に衝撃が加わっても商品はその衝撃を直接受けることはない。また、シートの谷折りの部分と底面とが接触していないので上下方向からの衝撃に対してもその衝撃を直接受けることがない。
【0007】
第2観点の搬送箱は、第1側壁の上辺を所定間隔で切欠いて形成された複数の切欠部を有し、仕切部は切欠部に係合する一対の係止部を有する。
このような構成によれば、仕切部は切欠部及び係止部により第1方向に移動せず且つ第2方向に移動しない。
【0008】
第3観点の搬送箱において、仕切部は一定の幅を有する平板を折り曲げて形成される。
第4観点の搬送箱において、仕切部は第1方向に移動しないように上辺と係合し一対の係止部を有する。
【0009】
第5観点の搬送箱は、搬送箱の側壁であり第2方向に伸びる上辺と下辺とを有し第1方向に対向して配置される一対の第2側壁を備える。また、第2側壁と第2側壁に隣接する仕切部との間からシートが抜けないように、シートの谷折りからシートの山折りまでの長さが第2側壁の高さの半分以上の長さであり、第2側壁と隣接する仕切部とが近接している。
隣り合う仕切部が近接しシートの谷折りからシートの山折りまでの長さが長いためシートが抜けたりしない。
【0010】
第6観点の搬送箱は、シートが第1シートとこの第1シートと異なる第2シートとを含み、隣り合う仕切部の間からシートが抜けないように、シートの谷折りからシートの山折りまでの長さが第2側壁の高さの半分以上の長さであり、隣り合う仕切部が近接している。
このような構成によれば、異なる種類の商品に対して第1シートと第2シートとを使うことができる。また隣り合う仕切部が近接しシートの谷折りからシートの山折りまでの長さが長いためシートが抜けたりしない。
【0011】
第7観点の搬送箱において、第1側壁又は第2側壁は、上辺に形成された係合用凸部と下辺に形成された係合用凹部とを有し、複数の搬送箱を上下に積み重ねる際、上方の搬送箱の係合用凹部と下方の搬送箱の係合用凸部とが係合される。
このような構成によれば、容易に複数の搬送箱を積み重ねることができるとともに、第1方向又は第2方向からの衝撃などにより上方に配置された搬送箱が落ちることを防止できる。
【0012】
第8観点の商品を搬送する搬送箱は、第1方向に伸びる上辺と下辺とを有し上辺を所定間隔で切欠いて形成された複数の切欠部を有し第1方向と交差する第2方向に対向して配置される一対の第1側壁と、第1側壁と交差し第1側壁の下辺と接する底面と、第2方向の両側に所定間隔で第2方向の伸びる突起状の係止部が形成され係止部に対応する箇所が山折りに折られ係止部が形成された箇所の間が谷折りに折られたシートとを備える。また、係止部が一対の第1側壁間を結ぶように切欠部に係合し、シートの谷折りと底面とには空隙が形成される。
このような構成によれば、シート自体が一対の第1側壁間を結ぶことができる。
【0013】
第9観点の搬送箱は、第2方向に伸びる上辺と下辺とを有し第1方向に対向して配置され第1側壁及び底面に交差するように接した一対の第2側壁を備える。また、第1側壁又は第2側壁は上辺に形成された係合用凸部と下辺に形成された係合用凹部とを有し、複数の搬送箱を上下に積み重ねる際、上方の搬送箱の係合用凹部と下方の搬送箱の係合用凸部とが係合される。
【0014】
第10観点の搬送箱において、シートは紙、プラスチックシート又は織布を含む。
第11観点の搬送箱において、底面は搬送箱の底面であり第1側壁は搬送箱の内部に配置される。
このような構成によれば、第1側壁の外側にさらに側壁が形成されているので、第1方向からの衝撃に対しても強くなる。
第12観点の搬送箱において、底面は搬送箱の底面であり、第1側壁は搬送箱の側壁である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、耐衝撃性に優れ商品の多様な形状にも対応できる搬送箱が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の第1搬送箱100Aの分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の第1搬送箱100Aを組立した後の斜視図である。
【図3】(a)は、第1搬送箱100Aに用いられる仕切部12を示した斜視図である。 (b)〜(d)は、(a)とは異なる仕切部の別の例を示した斜視図である。
【図4】第1搬送箱100Aに商品WK1〜WK3が収納された状態を示した側面図である。
【図5】二つの第1搬送箱100Aを上下に重ねた状態を示した斜視図である。
【図6】第2実施形態の第2搬送箱100Bの側面図である。
【図7】第3実施形態の第3搬送箱100Cに用いられるシート33の部分斜視図である。
【図8】第3実施形態の第3搬送箱100Cに用いられるシート33を展開した状態の部分平面図である。
【図9】第4実施形態の第4搬送箱100Dの分解斜視図である。
【図10】(a)は、仕切部42の部分拡大斜視図である。 (b)は、仕切部42が箱体41に係合した状態の部分拡大斜視図である。
【図11】第5実施形態の第5搬送箱100Eの組立した後の斜視図で、シート13が省略されている。
【図12】第5実施形態の第5搬送箱100Eの分解斜視図で、箱体56が省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
<第1搬送箱100Aの全体構成>
第1搬送箱100Aの全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は第1実施形態の第1搬送箱100Aの分解斜視図で、図2は第1実施形態の第1搬送箱100Aの組立した後の斜視図である。なお、仕切部12Aの延伸方向をY軸方向、鉛直方向をZ軸方向、Y軸及びZ軸方向に垂直な方向をX軸方向として説明する。以降の図面でも同じ座標系が使用される。
【0018】
図1及び図2に示されたように、第1搬送箱100Aは箱体11、仕切部12A及びシート13により構成される。箱体11は、Y軸方向に対向した一対の第1側壁Myと、X軸方向に対向した一対の第2側壁Mxと、XY平面で第1側壁及び第2側壁に垂直な底面Mzとで構成された上面が開口されたダンボール製である。なお、第1側壁MyはX軸方向に伸びた上辺Sy1及び下辺Sy2を有し、第2側壁MxはY軸方向に伸びた上辺Lx1及び下辺Lx2を有している。底面Mzは第1側壁Myの一対の下辺Sy2及び第2側壁Mx一対の下辺Lx2により囲まれて形成される。ここで、箱体11はY軸方向の長さがL1で、Z軸方向の高さがH1である。
【0019】
また、一対の第1側壁Myの上辺Sy1にはその下辺Sy2に向かって凹んだ9対の切欠部111が形成されている。なお切欠部111は、第2側壁Mxと隣接した二対の端部切欠部111Aと、端部切欠部111Aの間に形成された7対の内部切欠部111Bとを含んでいる。第1実施形態では、幅がW1である切欠部111が等間隔P1に形成されているが、必要によって調整してもよい。また、第1実施形態では9対の切欠部111が形成されているが、必要によって幅W1及び数量を調整してもよい。
【0020】
第1搬送箱100Aは、箱体11に形成された9対の切欠部111に対応するように細長い9本のダンボール製の仕切部12Aを備えている。ここで、仕切部12Aについてその斜視図である図3(a)を参照しながら説明する。
図3(a)に示されたように、仕切部12Aは一枚の平板を二重に折り曲げて形成され、その長さL2は第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1より長い。仕切部12Aは二重に折り曲げているため弾性力を有する。また、仕切部12Aの両端部の近傍には短手方向に凹んだ二対の係止部121aが形成されている。長手方向に対応した一対の係止部121a同士の距離は、第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1と同じである。このため、仕切部12Aを第1側壁Myに固定する際、仕切部12Aに形成された係止部121aが第1側壁Myに形成された一対の切欠部111に係合される。つまり、第1側壁Myに固定された仕切部12Aは、切欠部111と係止部121aとによりX軸方向に移動せず且つY軸方向に移動しないようになっている。また、仕切部12Aがより確実に箱体11に係合するためには、仕切部12Aに形成された係止部121aの幅を第1側壁Myの厚さとほぼ同じにすることが好ましい。
【0021】
また、図3(b)〜(d)は、仕切部の別の例を示した斜視図である。
図3(b)に示されたように、仕切部12Bは一本の板状のダンボール製で、その長さL2は第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1より長く、その厚さW1は切欠部111の幅W1と同じである。また、仕切部12Bの両端部の近傍には短手方向に凹んだ一対の係止部121bが形成されている。なお、一対の係止部121b同士の距離は、第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1と同じである。
【0022】
図3(c)に示されたように、仕切部12Cは一枚の平板を二重に折り曲げて形成され、その長さL2は第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1より長い。また、仕切部12Cにはその短辺方向に沿って凹んだ凹部121cが形成されている。なお、凹部121cの長さL1は、第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1と同じである。
【0023】
図3(d)に示されたように、仕切部12Dは一本の板状のダンボール製で、その長さL2は第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1より大きく、その厚さW1は切欠部111の幅W1と同じである。また、また、仕切部12Dにはその短辺方向に沿って凹んだ凹部121dが形成されている。なお、凹部121dの長さL1は、第2側壁Mxの上辺Lx1の長さL1と同じである。
【0024】
つまり、図3(b)〜(d)に示された仕切部12B〜12Dを第1側壁Myに固定する際、仕切部12B〜12Dに形成された係止部121a、121b又は凹部121c、121dが第1側壁Myに形成された一対の切欠部111に係合される。つまり、第1側壁Myに固定された仕切部12B〜12Dは、切欠部111及び係止部121a、121bもしくは凹部121c、121dによりX軸方向に移動せず且つY軸方向に移動しないようになっている。
【0025】
図1及び図2に戻り、第1搬送箱100Aは商品を保持するシート13をさらに備えている。シート13は一枚の紙、プラスチックシート又は織布などからなる。シート13は山折り131と谷折り132とに交互に折られアコーディオン状に形成される。山折り131と谷折り132とは長さD1で折られている。図1又は図2では、山折り131が直線的に逆「V」字型に折られている。谷折り132が曲線状に「U」字型に折られている。シート13の山折り131の箇所は仕切部12Aに掛けられている。本明細書において、「山折り」とはシートの折られた+Z側の端部を示し、「谷折り」とはシートの折られた−Z側の端部を示している。
【0026】
また、折り曲げられたシート13の長さD1(Z軸方向の高さ)は箱体11の高さH1より短いので、シート13の谷折り132はその最低点Tが箱体11の底面Mzに接しない。つまり、高さH1と長さD1との差(距離)DDの空隙が形成されている。さらに、シート13は箱体11に収納できるようにY軸方向の幅LLを箱体11のY軸方向の長さL1以下にする。但し、仕切部12Aに掛けられたシート13があまり短くなると搬送中の振動によりシート13がY軸方向に移動してしまうので、そのY軸方向の幅LLを箱体11のY軸方向の長さL1と同程度にすることが望ましい。
【0027】
また、端部切欠部111Aが隣接した第2側壁Mxに接近しているので、シート13を端部切欠部111Aに係合された仕切部12Aと第2側壁Mxとの間に抜けないように挟むことができる。またシート13の山折り131の箇所から谷折り132の箇所までは長さD1で、第1搬送箱100Aが振動しても、シート13の谷折り132の箇所が端部切欠部111Aに係合された仕切部12Aと第2側壁Mxとの間から抜け出ることはない。シート13の谷折り132の箇所が抜け出ないように、シート13の山折り131の箇所から谷折り132の箇所までに長さD1は、箱体11の高さH1の半分以上の長さであることが望ましい。
【0028】
図2に示されたように9本の仕切部12Aの間には、8つのシート13の谷折り132があり、8つの投入口ET1〜ET8が形成される。その投入口ET1〜ET8から商品が投入され、商品がシート13に収納される。
【0029】
隣り合う山折り131の間の谷折り132を含んだシート13に収納された商品は、仕切部12Aから掛けられた状態になっている。そのため第1搬送箱100AにX軸方向から衝撃が加わっても、仕切部12Aを支点として商品がシート13に保持された状態でブランコのように揺れるだけである。このため商品はX軸方向から衝撃に対して影響を受けにくくなる。また、シート13の谷折り132はその最低点Tが箱体11の底面Mzに接せず、距離DDの空隙が形成されている。このため商品はZ軸方向から衝撃に対して影響を受けにくくなる。
【0030】
<第1搬送箱100Aの商品収納例>
図4は、搬送箱100Aに例えば商品WK1〜WK3が収納された状態を示した側面図である。図4に示されたように、第1搬送箱100Aは板状の商品WK1、断面が不規則な商品WK2又は投入口ETより幅広い商品WK3を収納することができる。
【0031】
まず、第1搬送箱100Aに例えば本などの板状商品WK1が投入口ET7から投入される場合は、商品WK1は谷折り132近傍のシート13で挟まれて収納される。また、第1搬送箱100Aに商品WK2が投入口ET5から投入される場合、シート13がやわらかい紙又は織布などであれば商品WK2の形状に倣ってシート13が変形する。そのためシート13は商品WK2が確実に包んで収納することができる。
【0032】
投入口ETより幅広い商品WK3が第1搬送箱100Aに投入される場合について、詳しく説明する。ここで、商品WK3のX軸方向の幅は2つの投入口ETの幅に相当する。このような場合、投入口ET1と投入口ET2との間の仕切部12Aを取り除く。これにより、投入口ET1及び投入口ET2が1つの幅広い新しい投入口ETnとなる。一方、シート13の山折り131が1つ余る。余った1つの山折り131は図4の一点鎖線Aに囲まれて示したように第2側壁Mxとそれに隣接した仕切部12Aとの間に挟ませることで、シート13が箱体11の底面Mzに接することを防止できる。
【0033】
第1搬送箱100Aは内部切欠部111Bの仕切部12Aを取り除くことで、1つの投入口ETより幅広い商品を確実に収納することができる。但し、一対の第2側壁Mxに隣接した2つの仕切部12Aは端部切欠部111Aから取り除かないようにするほうが望ましい。余分のシート13を挟み込む役割を有しているからである。
【0034】
<第1搬送箱100Aの積み重ね>
通常、商品の搬送において複数の第1搬送箱100Aが積み重ねられて大量に搬送される場合が多い。以下複数の第1搬送箱100Aの搬送について、図5を参照しながら説明する。図5は、二つの第1搬送箱100Aを上下に重ねた状態を示した斜視図である。
【0035】
図5に示されたように、第1搬送箱100Aは一対の第2側壁Mxの+Z側に係合用凸部14aが形成され、−Z側に係合用凹部14bが形成されている。係合用凸部14aと係合用凹部14bとはほぼ同じ大きさである。2つの第1搬送箱100Aが上下に重ね合わされるとき、上方に配置された第1搬送箱100Aaの係合用凹部14bが下方に配置された第1搬送箱100Abの係合用凸部14aに係合される。これにより、例えば上下に積み重ねて第1搬送箱100Aを搬送するとき、上方に配置された第1搬送箱100AaがY軸方向の衝撃を受けても下方に配置された第1搬送箱100Abに固定されて振動によって移動したり倒れたりしないようになっている。
【0036】
第1実施形態では、係合用凸部14a及び係合用凹部14bが一対の第2側壁Mxに形成されているが、一対の第1側壁Myに形成されてもよいし、一対の第2側壁Mx及び一対の第1側壁Myの四辺に形成されてもよい。
【0037】
(第2実施形態)
<第2搬送箱100Bの全体構成>
図6は、第2実施形態の第2搬送箱100Bの側面図で、第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0038】
図6に示されたように、第2搬送箱100Bは9対の切欠部111a〜111iを有している。切欠部111fには2つの仕切部12Aが係合されている。またシート23は、切欠部111a〜111fに係合された仕切部12Aに掛けた第1シート23aと、切欠部111f〜111iに係合された仕切部12A掛けた第2シート23bとを含んでいる。このように2枚以上のシート23が使用されてもよい。
【0039】
このとき、第1シート23aはその一端が+X側の第2側壁Mxとそれに隣接した仕切部12Aとで挟まれ、他端が切欠部111fに係合された2つの仕切部12Aで挟まれている。第1シート23aの谷折り132の箇所が抜け出ないように、第1シート23aの山折り131の箇所から谷折り132の箇所までの長さは箱体11の高さH1の半分以上の長さD1である。これにより、第1シート23aの谷折り132の箇所が切欠部111fの2つの仕切部12Aから抜け出ることはない。第2シート23bはその一端が切欠部111fに係合された2つの仕切部12Aで挟まれ、他端が−X側の第2側壁Mxとそれに隣接した仕切部12Aとで挟まれている。第2シート23bの山折り131の箇所から谷折り132の箇所までの長さD1は箱体11の高さH1の半分以上の長さである。これにより、第2シート23bの谷折り132の箇所が切欠部111fの2つの仕切部12Aから抜け出ることはない。
【0040】
また、第2実施形態において第1シート23aの谷折り232aはその最低部が一定の幅を有するように直線的な「U」字形に折り曲げて形成される。このような構成によれば、一定の幅を有する商品を収納するとき、より確実に商品を保持することができる。さらに、第1シート23bの谷折り232bはその最低部が「V」字型に折り曲げて形成される。このような構成によれば、薄い商品を収納するとき、より確実に商品を保持することができる。
【0041】
また、2枚の第1シート23a及び第2シート23bが用いられるので、異なる商品に対して異なる材質のシートを用いることができる。
第2実施形態では、シート23が2枚の第1シート23a及び第2シート23bを含んでいるが、3つ以上のシートが含まれてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
<第3搬送箱100Cの全体構成>
第3実施形態に係る第3搬送箱100Cの外形は図2に示されたとおりである。また、図7は第3実施形態の第3搬送箱100Cに用いられるシート33の部分斜視図で、図8は第3実施形態の第3搬送箱100Cに用いられるシート33を展開した状態の部分平面図である。なお、第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0043】
図7に示されたように、第3実施形態の第3搬送箱100Cでは第1及び第2実施形態で説明された仕切部を備えず、シート33に係止部333が形成される。係止部333は箱体11に形成された切欠部111(図2を参照)に係合する。
【0044】
また、図8に示されたシート33は、その長尺方向に所定の間隔で幅方向(図7のY軸方向)の両側に突起334が形成されている。突起334におけるシート33の延伸方向の両側には切り欠きが形成され、その切り欠けが係止部333になる。このため、シート33を突起334のある一点鎖線で示した折り曲げラインPLで山折りし、他の折り曲げラインPLで谷折りすると、図7に示されたシート33になる。つまり、シート33の突起334に対応される領域が山折り331になり、そのほかの領域が谷折り332になる。そして係止部333は、箱体11の切欠部111(図2を参照)に係合する。また、したがって、2つの隣接した山折り331により商品の投入口ETが形成される。
【0045】
第3搬送箱100Cにおいて、シート33でできた突起334及び係止部333が一対の切欠部111(図2を参照)に掛けられる。このためシート33は強度のある紙等で構成されることが好ましい。またシート33自体は強度が弱い場合には山折り331の箇所を二重に貼り合わせた紙の構造にしたりして、山折り331の箇所を補強処理してもよい。
【0046】
(第4実施形態)
<第4搬送箱100Dの全体構成>
図9は第4実施形態の第4搬送箱100Dの分解斜視図で、図10(a)は仕切部42の部分拡大斜視図で、図10(b)は仕切部42が箱体41に係合した状態の部分拡大斜視図である。なお、第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0047】
図9に示されたように、第4搬送箱100Dは箱体41、仕切部42及びシート13により構成される。箱体41の第1側壁MyはX軸方向に伸びた上辺Sy1及び下辺Sy2を有し、第2側壁MxはY軸方向に伸びた上辺Lx1及び下辺Lx2を有している。第1〜第3実施形態で説明された箱体と異なり、第1側壁Myの上辺Sy1は切欠部を有していない。
【0048】
また、仕切部42は長手方向(Y軸方向)の両端部に幅広く形成されたカシメ部422を有している。カシメ部422はX軸方向に長くY軸方向に短い立方体形状に形成されている。例えば仕切部42はダンボール製である。カシメ部422の下面(Z軸方向)にカシメ部422の厚さの半分ほど切り欠いた係止部421を有している。
【0049】
係止部421はX軸方向に伸びており、図10に示されたように係止部421はY軸方向に箱体41の厚さR2以下の幅R1を有している。係止部421の幅R1は箱体41の第1側壁Myの厚さR2以下である。そのため、仕切部42の係止部421が箱体41の第1側壁Myの上辺Sy1に係合されるとき、係止部421が狭い分だけ広がる。その際に係止部421の弾性力で箱体41の第1側壁Myを挟む。したがって、仕切部42が横方向(X軸方向)に移動しない。
【0050】
また、係止部421が箱体41の第1側壁Myに挿入しやすくするために、図10(a)の点線Bで示されたように係止部421の下端が幅広くなるようにC面取りされて形成されることが好ましい。
【0051】
(第5実施形態)
<第5搬送箱100Eの全体構成>
図11は、第5実施形態の第5搬送箱100Eの組立した後の斜視図で、シート13が省略されている。図12は、第5実施形態の第5搬送箱100Eの分解斜視図で、箱体56が省略されている。
【0052】
図11に示されたように、第5搬送箱100Eにおいて箱体56は上面が開口されたもので、箱体56中にはY軸方向に伸びた9枚の第1仕切部55aと第1仕切部55aの長手方向の両端部近傍にX軸方向に伸びた一対の第2仕切部55bとが配置されている。一対の第2仕切部55bの間に、図12に示されるシート13が挿入される。後述するように、一対の第2仕切部55bはY軸方向に距離L1が離れて配置され、Y軸方向の幅LLのシート13が挿入される。
【0053】
図12に示されたように、第1仕切部55aは長さL3、高さH1及び厚さW2である板状のものである。第1仕切部55aには一対の第1係止部551が形成されている。一対の第1係止部551は、Y軸方向に距離L1(長さL3以下)が離れている。第1係止部551は、Z軸方向に深さがH2で、Y軸方向の幅W2(図示しない)である。
【0054】
第2仕切部55bは、長さL4、高さH1及び厚さW2(図12では厚さが描かれていない)である板状のものである。一対の第2仕切部55bはY軸方向に距離L1が離れて配置される。1つの第2仕切部55bには、X軸方向に距離P2離れて9つの第2係止部552が形成されている。第2係止部552は、Z軸方向に伸びその深さがH3でX軸方向の幅W2である。
【0055】
ここで、第1仕切部55aと第2仕切部55bとを係合した後に、より安定した構造にするために、第1仕切部55aの深さH2と第2仕切部55bの深さH3との合計長さは第1仕切部55aの高さH1と同じにすることが好ましい。また、第1仕切部55aの深さH2と第2仕切部55bの深さH3とは異なってもよい。
【0056】
シート13が使用されることで、図1実施形態と同様に、第5搬送箱100EにX軸方向及びZ軸方向から衝撃が加わっても商品は衝撃に対して影響を受けにくい。さらに第5搬送箱100Eは、第1側壁Myと第2仕切部55bとの間に一定幅の空隙を有している。したがって、第5搬送箱100EのY軸方向から衝撃があってもの商品は衝撃に対して影響を受けにくい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
11、41、56 … 箱体
12A〜12D、42、55a、55b … 仕切部
13、23、23a、23b、33 … シート
14a … 係合用凸部、 14b … 係合用凹部
100A〜100E、100Aa、100Ab … 搬送箱
111、111A、111B、111a〜111i … 切欠部
121a、121b、421、551、552 … 係止部、 121c、121d … 凹部
131、331 … 山折り、 132、231a、231b、332 … 谷折り
422 … カシメ部
D1 … 折り曲げられたシートの高さ
DD … 谷折りの最低点から底面までの距離
ET、ET1〜ET8、ETn … 投入口
L1 … 第2側壁の上辺及び下辺の長さ、 L2〜L4 … 仕切部の長さ
LL … シートの幅
Lx1、Sy1 … 上辺、 Lx2、Sy2 … 下辺
Mx … 第2側壁、 My … 第1側壁、 Mz … 底面
P1、P2 … 間隔
W1、W2 … 幅
WK1〜WK3 … 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を搬送する搬送箱であって、
第1方向に伸びる上辺と下辺とを有し前記第1方向と交差する第2方向に対向して配置される一対の第1側壁と、
前記第1側壁と交差し前記第1側壁の前記下辺と接する底面と、
前記第2方向に伸びて、前記一対の第1側壁間を結ぶ複数の仕切部と、
前記仕切部に対応する箇所が山折りに折られ前記仕切部に掛けられ、前記仕切部と前記仕切部との間が谷折りに折られたシートと、を備え、
前記シートの谷折りと前記底面とには空隙が形成される搬送箱。
【請求項2】
前記第1側壁の上辺を所定間隔で切欠いて形成された複数の切欠部を有し、
前記仕切部は、前記切欠部に係合する一対の係止部を有する請求項1に記載の搬送箱。
【請求項3】
前記仕切部は、一定の幅を有する平板を折り曲げて形成される請求項1又は請求項2に記載の搬送箱。
【請求項4】
前記仕切部は、前記第1方向に移動しないように前記上辺と係合し一対の係止部を有する請求項1に記載の搬送箱。
【請求項5】
前記搬送箱の側壁であり、前記第2方向に伸びる上辺と下辺とを有し前記第1方向に対向して配置される一対の第2側壁を備え、
前記第2側壁と前記第2側壁に隣接する前記仕切部との間から前記シートが抜けないように、前記シートの谷折りから前記シートの山折りまでの長さが前記第2側壁の高さの半分以上の長さであり、
前記第2側壁と隣接する前記仕切部とが近接している請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の搬送箱。
【請求項6】
前記シートが第1シートとこの第1シートと異なる第2シートとを含み、
前記隣り合う仕切部の間から前記シートが抜けないように、前記シートの谷折りから前記シートの山折りまでの長さが前記第2側壁の高さの半分以上の長さであり、
前記隣り合う前記仕切部が近接している請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の搬送箱。
【請求項7】
前記第1側壁又は前記第2側壁は、前記上辺に形成された係合用凸部と前記下辺に形成された係合用凹部とを有し、
複数の前記搬送箱を上下に積み重ねる際、上方の前記搬送箱の係合用凹部と下方の前記搬送箱の係合用凸部とが係合される請求項5に記載の搬送箱。
【請求項8】
商品を搬送する搬送箱であって、
第1方向に伸びる上辺と下辺とを有し、前記上辺を所定間隔で切欠いて形成された複数の切欠部を有し、前記第1方向と交差する第2方向に対向して配置される一対の第1側壁と、
前記第1側壁と交差し前記第1側壁の前記下辺と接する底面と、
前記第2方向の両側に所定間隔で前記第2方向の伸びる突起状の係止部が形成され、前記係止部に対応する箇所が山折りに折られ、前記係止部が形成された箇所の間が谷折りに折られたシートと、を備え、
前記係止部が前記一対の第1側壁間を結ぶように前記切欠部に係合し、前記シートの谷折りと前記底面とには空隙が形成される搬送箱。
【請求項9】
前記第2方向に伸びる上辺と下辺とを有し前記第1方向に対向して配置され前記第1側壁及び前記底面に交差するように接した一対の第2側壁を備え、
前記第1側壁又は前記第2側壁は、前記上辺に形成された係合用凸部と前記下辺に形成された係合用凹部とを有し、
複数の前記搬送箱を上下に積み重ねる際、上方の前記搬送箱の係合用凹部と下方の前記搬送箱の係合用凸部とが係合される請求項8に記載の搬送箱。
【請求項10】
前記シートは、紙、プラスチックシート又は織布を含む請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の搬送箱。
【請求項11】
前記底面は前記搬送箱の底面であり、前記第1側壁は前記搬送箱の内部に配置される請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の搬送箱。
【請求項12】
前記底面は前記搬送箱の底面であり、前記第1側壁は前記搬送箱の側壁である請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の搬送箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−25428(P2012−25428A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165463(P2010−165463)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(397051302)アマゾン ドット コム インコーポレイテッド (10)
【住所又は居所原語表記】410 Terry Ave.N.,Seattle,Washington 98109,U.S.A.
【Fターム(参考)】