説明

搬送装置の搬送物滞留構造

【課題】 搬送される搬送物に搬送抵抗を付与することで、その搬送経路での搬送物の一時滞留を可能にしながらも、このときの搬送物が受ける搬送力とその搬送力に対する抗力とに起因して搬送物が振動する不都合が発生することを回避できるようにする。
【解決手段】 搬送物1を搬送する搬送経路Rに搬送物1を一時的に滞留させる滞留部A1を設け、その滞留部A1に、搬送物1に搬送抵抗を付与する搬送抵抗付与手段7Cと、搬送物1の一部又は全体と搬送機構5の搬送作用部5Dとを離間させて、搬送物1に作用する搬送機構5の搬送力を低下させる搬送抑制手段7Eとを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される搬送物に搬送抵抗を付与して、その搬送経路において搬送物を一時的に滞留させるように構成された搬送装置の搬送物滞留構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送装置の搬送物滞留構造としては、ローラコンベアの終端部にハードラバーなどの弾性材からなるストッパを配備して、搬送される播種処理後の育苗箱をローラコンベアの終端部にて停止させるように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−114608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成では、単に、ローラコンベアで搬送される育苗箱をストッパで受け止めて停止させるだけであることから、ストッパによって停止している育苗箱は、このときに受けるローラコンベアの搬送力と、その搬送力に抗するストッパ(弾性材)の反発力とで振動することになり、この振動によって、育苗箱内においては、土や種の片寄りあるいは種の浮き沈みなどの土や種の変位が発生し、その後の育苗に悪影響を及ぼすことになる。
【0004】
本発明の目的は、搬送される搬送物に搬送抵抗を付与することで、その搬送経路での搬送物の一時滞留を可能にしながらも、このときの搬送物が受ける搬送力とその搬送力に対する抗力とに起因して搬送物が振動する不都合が発生することを回避できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、搬送物を搬送する搬送経路に前記搬送物を一時的に滞留させる滞留部を設け、その滞留部に、前記搬送物に搬送抵抗を付与する搬送抵抗付与手段と、前記搬送物の一部又は全体と搬送機構の搬送作用部とを離間させて、前記搬送物に作用する前記搬送機構の搬送力を低下させる搬送抑制手段とを設けてある。
【0006】
この構成によると、搬送物は、搬送抵抗付与手段による搬送抵抗を受けて搬送経路の滞留部で一時的に滞留されるのであるが、このとき、搬送抑制手段によって、その一部又は全体が搬送機構の搬送作用部から離間して、搬送機構による搬送力が低下していることになり、これによって、搬送抵抗付与手段による搬送抵抗を受ける際に発生する衝撃が吸収されることになり、又、滞留部での滞留時に作用する搬送機構の搬送力とその搬送力に抗する搬送抵抗付与手段の抗力とに起因した振動の発生が回避されることになる。
【0007】
従って、搬送される搬送物に搬送抵抗を付与することで、その搬送経路での搬送物の一時滞留を可能にしながらも、この一時滞留状態を現出する際に発生する搬送物に対する衝撃を軽減でき、又、この一時滞留状態において搬送物が振動する不都合を回避でき、結果、その衝撃や振動に起因した内容物の変異や異音の発生などを防止できる。
【0008】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記搬送抵抗付与手段を、前記搬送機構で搬送される前記搬送物を受け止める作用位置と、前記搬送機構で搬送される前記搬送物の通過を許容する退避位置とに位置切り換え可能なストッパで構成してある。
【0009】
この構成によると、ストッパを作用位置に切り替えることで、例えば、搬送物との摺接で搬送物を一時滞留させる場合に比較して、搬送経路において搬送物を確実に一時滞留させることができ、又、ストッパを退避位置に切り替えることで、搬送経路において一時的に滞留させた搬送物を搬送経路に沿って搬送させる、あるいは、一時滞留させずに搬送経路に沿って搬送させるといった、搬送形態の切り替えを行える。
【0010】
従って、搬送物に対する衝撃や振動に起因した内容物の変異や異音の発生などを防止しながらも、搬送物を一時滞留させる際の確実性が向上するとともに、搬送形態の切り替え性に優れたものにできる。
【0011】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記搬送作用部が前記搬送物の底面に作用するように構成し、前記搬送抑制手段を、前記搬送物に作用する前記搬送機構の搬送力を利用した前記搬送物の乗り上がりで、前記搬送物の一部又は全体と前記搬送作用部とを離間させるように構成してある。
【0012】
この構成によると、搬送物は、その底面に作用する搬送機構の搬送力による乗り上がりで、搬送機構の搬送作用部から離間して、その底面に作用する搬送機構の搬送力が低下することになり、これによって、搬送物を搬送機構の搬送作用部から離間させるための専用の駆動機構などを不要にできる。
【0013】
従って、搬送物を搬送機構の搬送作用部から離間させるための専用の駆動機構などを装備することに起因した構成の複雑化やコストの高騰を招くことなく、搬送物に対する衝撃や振動に起因した内容物の変異や異音の発生などを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1には、田植機用の植付苗を集中育成する育苗施設において複数の育苗箱(搬送物の一例)1を緑化台車2に積み込む際に使用する搬送装置Aの全体平面が、図2にはその全体正面が、図3にはその全体側面がそれぞれ示されており、この搬送装置Aは、育苗箱1の搬送経路Rにおいて育苗箱1を一時的に滞留させて縦横に整列させる滞留部A1や、この滞留部A1から縦横に整列した育苗箱1を受け取って緑化台車2に積み込む積込部A2、など備えて構成されている。
【0015】
搬送装置Aで搬送される育苗箱1は、播種装置(図示せず)によって床土供給、灌水、播種、及び覆土供給などが施された播種処理後のものであり、その長手方向を前後向きにした前後向き姿勢で播種装置からベルト搬送式の中継搬送装置3を介して搬入される。
【0016】
緑化台車2は、左右一対のキャスター輪2Aと固定転輪2Bと備えた矩形の基枠2C、その基枠2Cの四隅と左右の前後中間部とにそれぞれ立設されるとともに、上端部同士が対応する前後向きの上部フレーム2Dで連結された6本の支柱2E、及び、上下方向に所定間隔を隔てる状態で左右の対向する支柱2E同士にわたって架設された複数の棚板2F、などによって、対向する前後の棚板2Fで前後向き姿勢の2つの育苗箱1を左右に並べた状態に支持できて、各棚段に4つの育苗箱1を縦横に整列した状態で積み込めるように構成され、搬送装置Aに対向配備した台車供給装置4によって所定の積み込み位置に搬送案内される。
【0017】
中継搬送装置3は、播種装置からの複数の育苗箱1を前後向き姿勢で一列に連なる整列状態で滞留部A1に向けて連続搬送するように構成されるとともに、その搬送経路R1における終端部の高さ位置が緑化台車2の略上下中間位置に位置するように設定されている。
【0018】
台車供給装置4は、緑化台車2の基枠2Cに垂下装備した受動板2Gに係合する多数の搬送突起4aを備えた無端搬送チェーン4A、この無端搬送チェーン4Aを駆動する電動式の搬送モータ4B、及び、緑化台車2の左右のキャスター輪2Aと固定転輪2Bとを案内する左右一対の案内レール4C、などによって、その待機位置に供給された空の緑化台車2を所定の積み込み位置まで搬送し、かつ、全棚段に育苗箱1が積み込まれた緑化台車2を所定の積み込み位置から送り出すように構成されている。
【0019】
図1〜7に示すように、滞留部A1は、育苗箱1の二列搬送が可能な幅広に形成された搬送機構5、搬送機構5の搬送経路R2において育苗箱1を二列に分配する分配機構6、搬送機構5の搬送経路終端側での育苗箱1の滞留を可能にする保持機構7、及び、分配機構6や保持機構7の作動を制御する制御ユニット(図示せず)、などを備えて、中継搬送装置3によって一列に搬送される育苗箱1を二列に並べ替えるように構成されている。
【0020】
搬送機構5は、その搬送高さ位置が中継搬送装置3の搬送終端位置と同じ高さになるように形成した基台5A、その基台5Aの搬送終端部に配備した駆動ローラ5B、基台5Aの搬送始端部に配備した従動ローラ5C、駆動ローラ5Bと従動ローラ5Cとにわたって張架した無端ベルト5D、及び、駆動ローラ5Bを駆動する電動式の搬送モータ5E、などを備えて、中継搬送装置3による搬送速度よりも少し速い速度で育苗箱1を搬送して、中継搬送装置3で搬入された育苗箱1を、後続の育苗箱1から分離した状態で積込部A2に向けて搬送するように構成されている。
【0021】
図1〜5に示すように、分配機構6は、搬送機構5の基台5Aにおける上部の搬送方向略中間位置に配備した支持フレーム6A、この支持フレーム6Aに搬送機構5の搬送経路R2と平面上で直交する方向に移動可能に支持されたガイド杆6B、ガイド杆6Bの一端に搬送機構5の搬送経路R2に沿う姿勢で固着された支持プレート6C、支持プレート6Cに下方に向けて伸長作動する姿勢で支持された第1シリンダ6D、第1シリンダ6Dの作動で上下方向に往復移動する移動体6E、第1シリンダ6Dとともに移動体6Eを搬送機構5の搬送経路R2と平面上で直交する方向に往復移動させる第2シリンダ6F、第2シリンダ6Fの作動ストロークを検出するストロークセンサ(図示せず)、及び、育苗箱1の移動可能位置への到達を検出する位置センサ(図示せず)、などを備えて構成されている。
【0022】
移動体6Eは、搬送機構5の搬送経路R2に沿う姿勢で配備した移動フレーム6aに、搬送機構5の搬送経路R2に沿う方向に所定間隔を隔てて配備される4つのローラ6bを、縦軸心周りに遊転可能な状態に垂下装備して構成され、第1シリンダ6Dの作動で、4つのローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2に入り込む作用位置と、4つのローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2から上方に外れる退避位置とにわたって移動する。そして、移動体6Eにおける搬送機構5の搬送経路R2に沿う方向の長さは、育苗箱1の前後長さの半分以上で、かつ、その前後長さよりも短い長さに設定されている。
【0023】
図1〜4、図6及び図7に示すように、保持機構7は、搬送機構5の基台5Aにおける上部の搬送方向下手側に配備した第1フレーム7A、搬送機構5の基台5Aにおける上部の搬送方向下手側端部に配備した一対の第2フレーム7B、それらの第2フレーム7Bに搬送機構5の搬送経路R2を横断する横軸心周りに開閉揺動可能に支持されたストッパ7C、このストッパ7Cの開閉操作用として支持フレーム7Aとストッパ7Cの操作アーム7aとにわたって架設した開閉シリンダ7D、搬送機構5の搬送方向下手側での4つの育苗箱1の縦横整列状態を検出する整列センサ(図示せず)、整列した4つの育苗箱1の搬送機構5からの搬出完了を検出する搬出センサ(図示せず)、及び、育苗箱1に作用する搬送機構5の搬送力で育苗箱1の搬送方向下手側の端部を乗り上がらせる乗上部材7E、などを備えて構成されている。
【0024】
ストッパ7Cは、第2フレーム7Bに支持された揺動部材7bの遊端部に垂下装備したバネ板7cによって、搬送機構5で搬送される育苗箱1を受け止め保持するように構成され、これによって、搬送機構5で搬送される育苗箱1を受け止める際に発生する衝撃を吸収する。
【0025】
つまり、ストッパ7Cが、育苗箱1に搬送抵抗を付与する搬送抵抗付与手段として機能する。
【0026】
図4、図6及び図7に示すように、乗上部材7Eは、搬送機構5の搬送終端部とストッパ7Cとの間に搬送機構5の搬送方向と直行する姿勢で配備した丸棒鋼材で構成され、その乗上作用部7dの高さ位置が、育苗箱1の底面1aに作用する無端ベルト5Dの搬送面5aの高さ位置よりも高くなるように高さ設定され、その乗上作用部7dに乗り上げた育苗箱1の搬送方向下手側を、搬送機構5の搬送作用部である無端ベルト5Dから離間させるようになっている。
【0027】
つまり、乗上部材7Eが、育苗箱1の一部と搬送機構5の無端ベルト5Dとを離間させて、育苗箱1に作用する搬送機構5の搬送力を低下させる搬送抑制手段として機能する。
【0028】
制御ユニットは、以下に示すように分配機構6や保持機構7の作動を制御することで、中継搬送装置3によって前後向き姿勢で一列に連なる整列状態で連続搬送される複数の育苗箱1を二列に並び替え、この並び替えで4つ育苗箱1が縦横に整列するごとに積込部A2に搬出するように構成されている。
【0029】
図1〜11に示すように、制御ユニットは、ストロークセンサによって第2シリンダ6Fの最長状態が検出されると、移動体6Eが移動始端位置に復帰したと判断し、第1シリンダ6Dを伸長作動させて、移動体6Eを、その各ローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2に入り込む作用位置まで下降させる。
【0030】
移動体6Eを移動始端位置で下降させた状態において、位置センサによって育苗箱1の分配機構6による移動可能位置への到達が検出されると、第2シリンダ6Fを収縮作動させて移動体6Eを移動終端位置に向けて移動させることで、搬送機構5によって中継搬送装置3の搬送経路R1に沿って搬送される育苗箱1を、その搬送経路R1の延長線上に位置する移載方向(緑化台車2に対する移載方向)上手側の移載上手搬送経路R2aに対して移載方向下手側に並設した移載下手搬送経路R2bに導くように、移動体6Eの各ローラ6bによって搬送機構5の搬送経路R2と交差する方向に引き寄せる。
【0031】
この引き寄せ作動において、ストロークセンサによって第2シリンダ6Fの最短状態が検出されると、移動体6Eが移動終端位置に到達して育苗箱1が移載下手搬送経路R2bに導かれたと判断し、第1シリンダ6Dを収縮作動させて、移動体6Eを、その各ローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2から外れる退避位置まで上昇させた後、ストロークセンサによって第2シリンダ6Fの最長状態が検出されるまで、第1シリンダ6Dを伸長作動させて移動体6Eを移動始端位置に向けて復帰移動させる。
【0032】
この復帰移動において、位置センサによって育苗箱1の分配機構6による移動可能位置への到達が検出された場合は、この復帰移動を継続して、搬送機構5によって中継搬送装置3の搬送経路R1に沿って搬送される育苗箱1を、その搬送経路R1の延長線上に位置する移載上手搬送経路R2aに向けて通過させる。
【0033】
つまり、搬送機構5で搬送される奇数番目の育苗箱1を移動体6Eによって移載下手搬送経路R2bに向けて誘導し、偶数番目の育苗箱1を移載上手搬送経路R2aに向けて通過させる。
【0034】
そして、整列センサによって4つの育苗箱1の縦横整列状態が検出されると、開閉シリンダ7Dを収縮作動させて、ストッパ7Cを、搬送機構5で搬送される育苗箱1の通過を許容する退避位置に切り替えることで、搬送機構5の搬送作用で4つの育苗箱1を縦横に整列した状態で積込部A2に向けて搬出させ、その後、搬出センサによって4つの育苗箱1の搬出完了が検出されると、開閉シリンダ7Dを伸長作動させて、ストッパ7Cを、搬送機構5で搬送される育苗箱1を受け止める作用位置に切り替えることで、4つの育苗箱1が縦横に整列するまで育苗箱1を搬送機構5の搬送方向下手側で滞留させる。
【0035】
図1〜3及び図12に示すように、積込部A2は、滞留部A1から搬出された4つの育苗箱1を縦横に整列した状態で所定の積み込み位置に向けて搬送する搬送機構8、この搬送機構8を滞留部A1の搬送機構5から育苗箱1を受け取る受取位置と各棚段高さ位置とにわたって昇降させる昇降機構9、搬送機構8の搬送面上に位置する4つの育苗箱1を移載対象の棚段に向けて一挙に押し出す移載機構10、及び、各機構8〜10の作動を制御する制御ユニット(図示せず)、などを備えて、緑化台車2の各棚段に4つの育苗箱1を縦横に整列した状態で積み込むように構成されている。
【0036】
搬送機構8は、昇降機構9に昇降可能に支持される一対の各被支持部8aを備えた基枠8A、各被支持部8aに遊転可能に上下一対ずつ装備したガイドローラ8B、電動式の搬送モータ(図示せず)の作動で駆動される無端搬送ベルト8C、及び、4つの育苗箱1の積み込み位置への到達を検出する位置センサ(図示せず)、などを備えて構成されている。
【0037】
昇降機構9は、所定の積み込み位置に立設した基枠9A、対応するガイドローラ8Bを上下方向に案内するガイドレール9B、基枠9Aの上部に配備した一対の駆動スプロケット9C、基枠9Aの下部に配備した一対の従動スプロケット9D、対応する駆動スプロケット9Cと従動スプロケット9Dとにわたって回し掛けた状態で両端部が搬送機構8の対応する被支持部8aに連結された駆動チェーン9E、各駆動スプロケット9Cを同方向に等速駆動する電動式の昇降モータ9F、及び、制御ユニットによる搬送機構8の受取位置や各棚段位置への到達検知を可能にする高さセンサ、などを備えて構成されている。
【0038】
尚、搬送機構8の受取位置は、緑化台車2における上下中間位置の棚段に対する育苗箱1の移載が可能な高さ位置に設定されている。
【0039】
移載機構10は、搬送機構8の基枠8Aから積み込み位置の緑化台車2に向けて延設された移載ガイド10A、基枠8Aにおける搬送機構8の搬送方向中間位置に搬送機構8の搬送方向と直行する移載方向に沿う姿勢で支持された支持フレーム10B、この支持フレーム10Bの下面に移載方向に沿う姿勢で連結されたロッドレスシリンダ10C、ロッドレスシリンダ10Cの作動で移載方向に往復移動する第1押出具10D、第1押出具10Dに装備した操作シリンダ10E、この操作シリンダ10Eの作動で移載方向に出退操作される第2押出具10F、第1押出具10Dの移載完了位置への到達を検出する完了センサ、第1押出具10Dの移載待機位置への到達を検出する待機センサ、及び、移載ガイド10Aの案内領域への育苗箱1の到達を検出する案内センサ、などを備えて構成されている。
【0040】
移載ガイド10Aには、第1押出具10Dによって緑化台車2に向けて押し出される各育苗箱1を、緑化台車2の前後方向での適切な移載位置に案内する3つのガイド板10a,10b、10cが立設されている。
【0041】
第1押出具10Dは、その作用端側が、移載作動時に緑化台車2の前後中間部に立設した支柱2Eとの干渉を避ける二股状で、かつ、その移載方向下手側の端部に、搬送機構8の搬送面上で縦横に整列する4つ育苗箱1に対して移載方向上手側から押圧作用する一対の押出面10dを有するように形成され、又、それらの各押出面10dにおける搬送機構8の搬送方向に沿う方向の長さが、ガイド板10a,10b,10cに干渉しない長さに設定されている。
【0042】
第2押出具10Fは、移載作動時での中間に位置するガイド板10bとの干渉を避ける二股状に形成されるとともに、その移載方向下手側の端部には、搬送機構8の搬送面上で縦横に整列する4つ育苗箱1のうちの移載方向上手側に位置する2つの育苗箱1の連接端側に対して移載方向上手側から押圧作用する一対の押出ロッド10eが、移載方向に沿う姿勢で装備されている。
【0043】
制御ユニットは、以下に示すように搬送機構8や昇降機構9などの作動を制御することで、滞留部A1の搬送機構5によって搬入された育苗箱1を、所定の積み込み位置に位置する緑化台車2の各棚段に、予め設定された移載順に積み込むように構成されている。
【0044】
図1〜3及び図12〜15に示すように、制御ユニットは、位置センサによって4つの育苗箱1の積み込み位置への到達が検出されると、搬送機構8による搬送を停止させて、4つの育苗箱1を積み込み位置にて停止させるとともに、その到達検出回数に基づいて移載対象の棚段位置を判別し、昇降モータ9Fを作動させて、搬送機構8を4つの育苗箱1とともに受取位置から移載対象の棚段位置に向けて昇降させる。
【0045】
その昇降作動において、高さセンサからの検出に基づいて移載対象の棚段位置への搬送機構8の到達を検知すると、昇降モータ9Fを停止させて搬送機構8を移載対象の棚段位置にて停止させ、その停止後、操作シリンダ10Eを伸長作動させて、第2押出具10Fの一対の押出ロッド10eを、第1押出具10Dの各押出面10dよりも移載方向下手側に突出させることで、それらの押出ロッド10eによって、搬送機構8の搬送面上に縦横に整列した状態で並ぶ4つの育苗箱1を移載方向上手側から押圧して、4つの育苗箱1を、搬送機構8の搬送方向に沿って連なる育苗箱1の連接端における移載方向下手側ほど大きく離間するV字状に変位させ、その後、ロッドレスシリンダ10Cを移載作動させて、第1押出具10Dを移載方向下手側に移動させることで、第1押出具10Dの一対の押出面10dによって、そのV字状の4つの育苗箱1を移載方向上手側から押圧し、その押圧によって移載方向下手側の育苗箱1が移載ガイド10Aの案内領域に到達したことを案内センサの検出に基づいて検知すると、操作シリンダ10Eを収縮作動させて、第2押出具10Fの一対の押出ロッド10eを、第1押出具10Dの各押出面10dよりも移載方向上手側に退避させて育苗箱1から離間させ、第1押出具10Dによる押圧で、4つの育苗箱1を、移載ガイド10Aで案内させながら移載対象の棚段に移載する。
【0046】
その移載作動において、完了センサによって第1押出具10Dの移載完了位置への到達が検出されると、移載対象の棚段への4つの育苗箱1の移載が完了したと判断して、ロッドレスシリンダ10Cを退避作動させて、第2押出具10Fとともに第1押出具10Dを移載待機位置に向けて移動させ、又、その移動開始から所定時間が経過すると、第1押出具10D及び第2押出具10Fが緑化台車2から離れたと判断して、昇降モータ9Fを作動させて、搬送機構8を移載対象の棚段位置から受取位置に向けて昇降させる。
【0047】
そして、待機センサによって第1押出具10Dの移載待機位置への到達が検出されると、ロッドレスシリンダ10Cを停止させて、第2押出具10Fとともに第1押出具10Dを移載待機位置にて待機させ、又、高さセンサからの検出に基づいて搬送機構8の受取位置への到達を検知すると、昇降モータ9Fを停止させて搬送機構8を受取位置にて待機させ、更に、待機センサによる第1押出具10Dの移載待機位置への到達検出と、高さセンサからの検出に基づく搬送機構8の受取位置への到達検知とに基づいて、搬送機構8による搬送を再開させて、滞留部A1からの育苗箱1の搬入を可能にする。
【0048】
又、位置センサの到達検出回数などに基づいて、上記の作動による全棚段への育苗箱1の積み込み完了を検知すると、台車供給装置4の搬送モータ4Bを作動させて、全棚段への育苗箱1の積み込みが完了した緑化台車2を所定の積み込み位置から送り出すとともに待機位置に位置する空の緑化台車2を所定の積み込み位置まで搬送する。
【0049】
以上のように、搬送装置Aの滞留部A1においては、中継搬送装置3によって供給された育苗箱1を、搬送機構5が中継搬送装置3の搬送速度よりも少し速い速度で搬送することで、中継搬送装置3の連続搬送による育苗箱1の滞留部A1に対する連続供給を継続しながら、後続の育苗箱1から確実に分離させることができ、これによって、中継搬送装置3の間欠搬送で育苗箱1を滞留部A1に間欠供給する場合に招く虞のある搬送効率の低下などを回避しながら、分配機構6による移載下手搬送経路R2bへの育苗箱1の誘導時に、その育苗箱1に後続の育苗箱1が連続することに起因した誘導不良や搬送姿勢の乱れを防止でき、もって、各育苗箱1を移載上手搬送経路R2aと移載下手搬送経路R2bとに適切に分配できる。
【0050】
又、移動体6Eにおける搬送機構5の搬送経路R2に沿う方向の長さを、育苗箱1の前後長さの半分以上で、かつ、その前後長さよりも短い長さに設定したことで、移動体6Eによる育苗箱1の誘導を、移動体6Eの長さを育苗箱1の前後長さの半分よりも短い長さに設定した場合に招く虞が高くなる育苗箱1の搬送姿勢の乱れが抑制された安定状態で良好に行えるとともに、移動体6Eの長さを育苗箱1の前後長さよりも長い長さに設定した場合に招く虞が高くなる往路での後続の育苗箱1との干渉を回避できる。
【0051】
しかも、分配機構6の移動体6Eによる育苗箱1の移載下手搬送経路R2bへの誘導を、搬送機構5による育苗箱1の搬送を継続しながら行うことで、その誘導時における搬送機構5による育苗箱1の搬送をストッパなどで一時的に阻止するように構成した場合に生じる虞のある、誘導中の育苗箱1と後続の育苗箱1との接触を回避でき、又、その接触を、誘導時に育苗箱1を搬送停止させる構成においても回避できるようにする上で必要となっていた、中継搬送装置3と分配機構6との間における育苗箱1の搬送距離を長くする、あるいは、搬送機構5の搬送速度を中継搬送装置3の搬送速度よりも大幅に速くする、といった構成を不要にでき、結果、育苗箱1の搬送距離を長くすることに起因した装置全体の大型化や搬送効率の低下を防止し、かつ、搬送機構5による搬送速度の増速に伴って増大するストッパ7Cによる育苗箱1の受け止め時に発生する衝撃などに起因した育苗箱1内での土や種の片寄りあるいは種の浮き沈みなどを回避しながら、誘導中の育苗箱1と後続の育苗箱1との接触に起因した育苗箱1の誘導不良や搬送姿勢の乱れを防止できる。
【0052】
更に、滞留部A1で各育苗箱1を移載上手搬送経路R2aと移載下手搬送経路R2bとに分配する上において、分配機構6の移動体6Eは、その移動始端位置から移動終端位置に向かう往路では、各ローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2に入り込む作用位置に位置して育苗箱1を移載下手搬送経路R2bに導くようになり、又、その移動終端位置から移動始端位置に向かう復路では、各ローラ6bが搬送機構5の搬送経路R2から外れる退避位置に位置して育苗箱1を移載上手搬送経路R2aに向けて通過させるようになり、これによって、移動体6Eが移動終端位置から移動始端位置に戻る間も、搬送機構5による育苗箱1の搬送を継続させることができ、結果、その復路においても移動体6Eが作用位置に位置する状態を維持するように構成した場合に必要となる、移動体6Eが移動終端位置から移動始端位置に戻るまでの間、搬送機構5による育苗箱1の搬送を一時停止させる、といった育苗箱1の間欠搬送を不要にでき、その間欠搬送に起因した搬送効率の低下などを回避できる。又、その搬送効率の低下を回避する上において、移動体6Eが復路においても作用位置に位置する場合のように、搬送機構5の搬送速度を速くする、あるいは、移動体6Eの移動速度を速くする、といった構成を採用する必要がなく、もって、その搬送速度の増速によって増大するストッパ7Cによる育苗箱1の受け止め時に発生する衝撃などや、移動体6Eによる誘導速度の増速に起因した育苗箱1内での土や種の片寄りなどを回避できる。
【0053】
その上、育苗箱1の移載下手搬送経路R2bへの誘導を移動体6Eに備えた4つのローラ6bで行うことで、移載下手搬送経路R2bへの誘導中における搬送機構5による育苗箱1の搬送がより円滑に行われるようになり、結果、滞留部A1での搬送効率が更に向上するとともに、移載下手搬送経路R2bに誘導中の育苗箱1の搬送が円滑に行われないことによって生じる虞のある、後続の育苗箱1との接触に起因した誘導不良や搬送姿勢の乱れを未然に回避できる。
【0054】
そして、搬送機構5の搬送作用で搬送機構5の搬送終端部に到達する育苗箱1は、ストッパ7Cのバネ板7cで受け止め保持されることで、ストッパ7Cによる受け止め時に発生する衝撃が吸収されることになり、しかも、その受け止め前に、その搬送方向下手側の端部が、育苗箱1の底面1aに作用する搬送機構5の搬送力で乗上部材7Eに乗り上がり、その搬送方向下手側が搬送機構5の無端ベルト5Dから離間することで、搬送機構5の搬送面5aに対する底面1aの接触状態が面接触状態から線接触状態に切り替えられて、その底面1aに作用する搬送機構5の搬送力が低下することになり、これによって、ストッパ7Cによる受け止め時に発生する衝撃自体が軽減されることから、ストッパ7Cによる受け止め時の衝撃吸収がより良好に行われることになり、更に、その底面1aに作用する搬送機構5の搬送力が低下することで、ストッパ7Cによる受け止め保持状態において育苗箱1に作用する搬送機構5の搬送力とその搬送力に抗するバネ板7cの反発力とに起因した振動の発生を回避できるようになり、結果、その衝撃や振動に起因した育苗箱1内での土や種の片寄りあるいは種の浮き沈みなどを防止できる。
【0055】
一方、積込部A2においては、搬送機構8の受取位置を、緑化台車2における上下中間位置の棚段に対する育苗箱1の移載が可能な高さ位置に設定したことで、それ以外の高さ位置に設定した場合よりも、搬送機構8の昇降搬送に要する最長時間が短くなって、移載対象の棚段に対する育苗箱1の積み込みを効率良く行えることから、搬送効率の向上が図られた滞留部A1での育苗箱1の並べ替えに要する時間内で、移載対象の棚段に対する育苗箱1の積み込みを完了させることができる。
【0056】
要するに、この搬送装置Aは、その滞留部A1においては、中継搬送装置3によって前後向き姿勢で一列に連なる整列状態で連続搬送される複数の育苗箱1を、順次、後続の育苗箱1から切り離して二列に並び替えるとともに、その搬送終端位置で滞留させ、かつ、この滞留で4つ育苗箱1が縦横に整列するごとに積込部A2に搬出する、といった並び替え搬送を迅速かつ適切に行い、又、その積込部A2においては、予め設定された移載順に基づいて、縦横に整列する状態で4つの育苗箱1が搬入されるごとに、4つの育苗箱1を、積み込み位置の緑化台車2における移載対象の棚段位置まで昇降搬送するとともに、その移載対象の棚段に対して一挙に適切な状態に移載する、といった積み込み搬送を効率良く行い、更に、その積み込み搬送での昇降距離が最大となる場合に、滞留部A1での並び替え搬送が完了すると同時に積込部A2での積み込み搬送が完了し、積み込み搬送での昇降距離にかかわらず、滞留部A1での並び替え搬送が完了すると同時に滞留部A1から積込部A2への育苗箱1の搬入を行えるように構成され、もって、緑化台車2に対する育苗箱1の積み込みを効率良く良好に行える。
【0057】
〔別実施例〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕搬送装置Aとしては、育苗施設以外の例えば、製造ラインや種分けラインなどで使用するものであってもよい。
【0058】
〔2〕搬送装置Aで搬送される搬送物1としては、例えば、播種処理前の空の育苗箱1、発芽処理後の育苗箱1、緑化処理後の育苗箱1、あるいは、ポット苗(プラグ苗)育成用の育苗トレー、などであってもよく、又、育苗用以外の例えば部品箱や製造部品などであってもよい。
【0059】
〔3〕搬送機構5としては、搬送方向Rに複数の搬送ローラを並設したローラ搬送式に構成したものであってもよく、又、搬送物1の横側面や上面に搬送力を作用させるように構成したものであってもよい。
【0060】
〔4〕搬送抵抗付与手段7Cとしては、搬送物1に対して摺接による摩擦力を付与して搬送物1を一時的に滞留させるように構成したものであってもよく、又、搬送物1に作用する作用位置に固定装備したものであってもよい。
【0061】
〔5〕ストッパ7Cとしては、バネ板7cの代わりに、搬送物1を受け止める際の衝撃を吸収するゴムなどの弾性材を備えて構成したものであってもよい。
【0062】
〔6〕搬送抑制手段7Eとしては、搬送物1に作用する搬送機構5の搬送力で搬送物1の全体を乗り上がらせて、搬送物1に作用する搬送機構5の搬送力を低下させるように構成したものであってもよく、又、搬送物1を、その一部又は全体が搬送機構5の搬送作用部5Dから離間する離間位置と、その離間が解除される搬送位置とに変位させる専用のアクチュエータを備えて構成したものであってもよく、あるいは、搬送機構5の搬送作用部5Dを、搬送物1の一部又は全体から離間する離間位置と、その離間が解除される搬送位置とに変位させる専用のアクチュエータを備えて構成したものであってもよい。
【0063】
〔7〕乗上部材7Eとしては、丸棒鋼材以外の丸パイプ材あるいは乗上作用部7dを有するように形成又は姿勢設定された鋼板材などで構成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】搬送装置の全体構成を示す平面図
【図2】搬送装置の全体構成を示す正面図
【図3】搬送装置の全体構成を示す側面図
【図4】滞留部の構成を示す縦断側面図
【図5】分配機構の作動を示す要部の縦断背面図
【図6】保持機構の作動を示す要部の縦断側面図
【図7】保持機構の構成を示す要部の正面図
【図8】分配機構での1つ目の育苗箱の誘導状態を示す要部の横断平面図
【図9】分配機構での2つ目の育苗箱の通過状態を示す要部の横断平面図
【図10】分配機構での3つ目の育苗箱の誘導状態を示す要部の横断平面図
【図11】分配機構での4つ目の育苗箱の通過状態を示す要部の横断平面図
【図12】積込部の構成を示す要部の縦断正面図
【図13】積込部への育苗箱の搬入状態を示す要部の横断平面図
【図14】移載機構の移載初期状態を示す要部の横断正面図
【図15】移載機構の移載完了状態を示す要部の横断正面図
【符号の説明】
【0065】
1 搬送物

1a 底面
5 搬送機構
5D 搬送作用部
7C 搬送抵抗付与手段(ストッパ)
7E 搬送抑制手段
A1 滞留部
R 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する搬送経路に前記搬送物を一時的に滞留させる滞留部を設け、その滞留部に、前記搬送物に搬送抵抗を付与する搬送抵抗付与手段と、前記搬送物の一部又は全体と搬送機構の搬送作用部とを離間させて、前記搬送物に作用する前記搬送機構の搬送力を低下させる搬送抑制手段とを設けてある搬送装置の搬送物滞留構造。
【請求項2】
前記搬送抵抗付与手段を、前記搬送機構で搬送される前記搬送物を受け止める作用位置と、前記搬送機構で搬送される前記搬送物の通過を許容する退避位置とに位置切り換え可能なストッパで構成してある請求項1に記載の搬送装置の搬送物滞留構造。
【請求項3】
前記搬送作用部が前記搬送物の底面に作用するように構成し、前記搬送抑制手段を、前記搬送物に作用する前記搬送機構の搬送力を利用した前記搬送物の乗り上がりで、前記搬送物の一部又は全体と前記搬送作用部とを離間させるように構成してある請求項1又は2に記載の搬送装置の搬送物滞留構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−248749(P2006−248749A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70844(P2005−70844)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】